(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】板状部材外観両面検査ユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20231207BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G01N21/84 C
G01N21/956 B
(21)【出願番号】P 2022046132
(22)【出願日】2022-03-22
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】516144142
【氏名又は名称】日本ミルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】村川 太一
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-179827(JP,A)
【文献】特開2000-012999(JP,A)
【文献】特開2008-034620(JP,A)
【文献】特開2012-132773(JP,A)
【文献】特開2001-274181(JP,A)
【文献】特開平06-127684(JP,A)
【文献】特開平10-197231(JP,A)
【文献】特開平08-143111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接する平行な2つの搬送路に跨って設けられ、該平行な2つの搬送路のうち、第1搬送路におけるX座標位置に、マガジンラックに収納された両面未検査の板状部材を第1搬送路に投入する板状部材ローダ装置、第2搬送路における前記第1搬送路と同じX座標位置に、第2搬送路を介して近づく方向に搬送される両面検査済の板状部材をマガジンラックに収納する板状部材アンローダ装置を夫々備えた板状部材搬入・搬出部と、
一端が前記板状部材ローダ装置の投入端と近接するように第1搬送路に沿って設けられた一対のレールからなる第1ガイドレールと、
前記第1ガイドレールにセットされた板状部材を前記板状部材ローダ装置から離れる方向に搬送する第1搬送手段と、
一端が前記板状部材アンローダ装置の受取端と近接するように第2搬送路に沿って設けられた一対のレールからなる第2ガイドレールと、
前記第2ガイドレールにセットされた板状部材を前記板状部材アンローダ装置に近づく方向に搬送する第2搬送手段と、
前記第1ガイドレールの他端から、前記第1搬送手段を介して搬送される板状部材を受け取り、受け取った板状部材の表面と裏面とを反転させて、前記第2搬送手段を介して搬送可能となる前記第2ガイドレールの他端にセットする板状部材反転手段を備えた板状部材反転部と、
前記板状部材搬入・搬出部と前記板状部材反転部との間に設けられ、前記第1搬送手段により前記第1搬送路上の検査位置に搬送された、両面未検査の板状部材と前記第2搬送手段により前記第2搬送路上の検査位置に搬送された、片面検査済で未検査面が上を向いた板状部材とを前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動して撮像する1台の撮像装置を備えた板状部材検査部と、
を備え、
前記板状部材ローダ装置は、第1マガジンラック搬送手段と、供給リフタと、第2マガジンラック搬送手段と、を有し、
前記第1マガジンラック搬送手段は、下段に設けられていて、マガジンラックを前記供給リフタに近づく方向に搬送するように構成され、
前記供給リフタは、前記第2マガジンラック搬送手段を上下方向に移動可能に構成され、
前記第2マガジンラック搬送手段は、下段に位置するときには、前記第1マガジンラック搬送手段から搬送されたマガジンラックを受け取り、上段に位置するときには、空のマガジンラックを渡し位置に近づく方向に搬送するように構成され、
前記板状部材アンローダ装置は、第3マガジンラック搬送手段と、収納リフタと、第4マガジンラック搬送手段と、を有し、
前記第3マガジンラック搬送手段は、上段に設けられていて、空のマガジンラックを前記収納リフタに近づく方向に搬送するように構成され、
前記収納リフタは、前記第3マガジンラック搬送手段を上下方向に移動可能に構成され、
前記第4マガジンラック搬送手段は、上段に位置するときには、前記第3マガジンラック搬送手段から搬送された空のマガジンラックを受け位置で受け取り、下段に位置するときには、マガジンラックを取り出し位置に近づく方向に搬送するように構成され、
前記板状部材搬入・搬出部は、前記板状部材ローダ装置
における前記渡し位置から前記板状部材アンローダ装置
における前記受け位置へ空のマガジンラックを自動的に
スライド移動させて受け渡す、自動受渡手段を備えていることを特徴とする板状部材外観両面検査ユニット。
【請求項2】
前記板状部材反転手段は、
前記第1ガイドレールに対応した間隔で配置され、対向する側面で板状部材をガイドする一対のレールからなる第3ガイドレールと、前記一対のレールの夫々上下2箇所に設けられていて、板状部材を間に挟んだ状態で搬送する搬送部と搬送部を駆動する駆動機構を有する搬送手段と、前記一対のレールの中心近傍を軸として、前記一対のレール及び前記搬送部を180度回転させる回転駆動手段と、を備えた板状部材反転装置と、
前記板状部材反転装置を前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に往復移動させて前記第3ガイドレールを前記第1ガイドレールの他端、前記第2ガイドレールの他端にセットする板状部材反転装置トラバース手段と、
を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の板状部材外観両面検査ユニット。
【請求項3】
前記第1ガイドレールと前記第2ガイドレールは、互いに対向する側のレールが位置を固定され、該対向する側とは反対側のレールが前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、夫々一対のレールの間隔を調整可能であるとともに、
前記第3ガイドレールは、一方のレールが位置を固定され、他方のレールが前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、該一対のレールの間隔を調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の板状部材外観両面検査ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、SMT部品及びディスクリート部品が半田付けにより実装されたプリント基板における両面(表面と裏面)の半田付け状態等の外観を検査するための板状部材外観両面検査ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等の板状部材の外観検査ユニットは、一つの搬送路上に、例えば、
図7に示すような板状部材ローダ装置51、板状部材外観検査装置52、板状部材アンローダ装置55を配置して構成されている。
板状部材ローダ装置51は、未検査状態のプリント基板等の板状部材(不図示)が収納されたマガジンラック56を所定のロード可能な位置に移動し、板状部材を搬送路(不図示)に投入するように構成される。
板状部材外観検査装置52は、検査位置に搬送された板状部材を上方から撮像する撮像装置(不図示)を備え、撮像した画像をモニタ52aに表示し、その画像から専用の検査アルゴリズムで板状部材の外観を自動検査することができるように構成される。
板状部材アンローダ装置55は、板状部材外観検査装置52での検査が終了した板状部材をマガジンラック56に収納するとともに、マガジンラック56に収納された板状部材が収納可能枚数に到達したときにマガジンラック56を取り出し可能な位置に移動させるように構成される。
また、搬送路には、一対のレールからなるガイドレール(不図示)と、ガイドレールにセットされた板状部材を、板状部材ローダ装置51から板状部材アンローダ装置55に向けて、搬送する板状部材搬送手段(不図示)を備える。
【0003】
そして、
図7に示すような板状部材外観検査ユニットを用いた、板状部材の外観の両面検査においては、まず、作業者が、未検査状態の板状部材をマガジンラック56に収納し、収納したマガジンラック56を板状部材ローダ装置51にセットする。
次に、板状部材ローダ装置51が、板状部材を搬送路上に設けられたガイドレールにセットする。次に、板状部材搬送手段が、板状部材を板状部材外観検査装置52に搬送する。板状部材外観検査装置52では、板状部材搬送手段を介して所定の検査位置に搬送された板状部材の表面を撮像装置で撮像し、撮像した画像をモニタ52aに表示してその画像から専用の検査アルゴリズムで表面の外観検査を実施する。次に、板状部材搬送手段が、表面が検査済みの板状部材を板状部材アンローダ装置55に搬送する。板状部材アンローダ装置55は、搬送された板状部材をマガジンラック56に収納する。
そして、作業者は、マガジンラック56に収納された表面が検査済の板状部材をマガジンラック56ごと取り出す。
板状部材の両面を検査する場合は、マガジンラック56に板状部材の表面と裏面を反転させて収納し、以後、同様の処理を繰り返す必要がある。
このため、
図7に示すような板状部材外観検査ユニットは、板状部材の両面検査に用いる場合の作業効率に課題があった。
【0004】
しかるに、従来、搬送路へ1度の投入作業で板状部材の両面を検査できるようにした、板状部材外観両面検査ユニットがある。そのような板状部材外観両面検査ユニットとしては、例えば、
図8に示すように、一つの搬送路L1上に、板状部材ローダ装置51と、板状部材60の第1面(表面)検査用の板状部材外観検査装置52と、板状部材反転装置53と、板状部材60の第2面(裏面)検査用の板状部材外観検査装置54と、板状部材アンローダ装置55とを備えたものがある。
板状部材反転装置53は、搬送路L1上で板状部材60の第1面(表面)と第2面(裏面)とを反転させるように構成されている。
そして、
図8の板状部材外観両面検査ユニットを用いた、板状部材の外観両面検査においては、まず、作業者が、未検査状態の板状部材60をマガジンラックに収納し、収納したマガジンラックを板状部材ローダ装置51にセットする。
次に、板状部材ローダ装置51が、板状部材60を搬送路L1上に設けられたガイドレールに投入する。次に、板状部材搬送手段が、板状部材60を第1面検査用の板状部材外観検査装置52に搬送する。第1面検査用の板状部材外観検査装置52では、板状部材搬送手段を介して所定の検査位置に搬送された板状部材60の第1面を第1面検査用の撮像装置(不図示)が撮像し、撮像した画像をモニタ52aに表示してその画像から専用の検査アルゴリズムで第1面の外観検査を実施する。次に、板状部材反転装置53が、板状部材60の第1面と第2面とを反転させる。次に、板状部材搬送手段が、板状部材60を第2面検査用の板状部材外観検査装置54に搬送する。第2面検査用の板状部材外観検査装置54では、板状部材搬送手段を介して所定の検査位置に搬送された板状部材60の第2面を第2面検査用の撮像装置(不図示)で撮像し、撮像した画像をモニタ54aに表示してその画像から専用の検査アルゴリズムで第2面の外観検査を実施する。次に、板状部材搬送手段により、両面が検査済の板状部材60を板状部材アンローダ装置55に搬送する。板状部材アンローダ装置55は、搬送された板状部材60をマガジンラックに収納する。
そして、作業者は、マガジンラックに収納された両面検査済の板状部材60をマガジンラック56ごと取り出す。
図8の板状部材外観両面検査ユニットは、搬送路へ1度の投入作業で板状部材の両面検査を行うことができ、作業性が向上する。
【0005】
しかし、
図8に示すような板状部材外観両面検査ユニットは、2台分の板状部材外観検査装置52、54を設けることになるため、装置のコストが高くなる。また、一つの搬送路L1上に設ける装置が多く、搬送路L1の長さが長くなり、搬送方向の設置スペースが増大してしまう。そして、板状部材ローダ装置51から板状部材アンローダ装置55までの距離が遠くなることで、板状部材ローダ装置51におけるマガジンラックのセット、板状部材60が全て搬送されて空になったマガジンラックの撤去等の作業から、板状部材アンローダ装置55における板状部材60が収納されたマガジンラックの撤去、空のマガジンラックのセット等の作業負担が増大してしまう。
【0006】
また、他の板状部材外観両面検査ユニットとしては、例えば、
図9に示すように、一つの搬送路L1上に、板状部材ローダ装置51と、一台の板状部材外観検査装置52’と、板状部材アンローダ装置55とを備え、板状部材外観検査装置52’内に板状部材反転装置(不図示)を備えたものがある。
図9の板状部材外観両面検査ユニットでは、板状部材ローダ装置51から、板状部材外観検査装置52’における所定の検査位置へ搬送された未検査状態の板状部材60の第1面を撮像手段(不図示)で撮像し、第1面の外観検査を実施後に、板状部材反転装置(不図示)により、板状部材60の第1面と第2面とを反転させて、板状部材60の第2面を撮像手段(不図示)で撮像し、第2面の外観検査を実施し、第2面の外観検査を実施後に、両面検査済の板状部材60を板状部材アンローダ装置55に搬送する。
【0007】
図9の板状部材外観両面検査ユニットは、搬送路の長さが、
図7に示したような片面検査用の板状部材外観検査ユニットと同じ長さで済む。
しかし、板状部材外観検査装置52’のように、内部に板状部材反転装置(不図示)を備えるようにすると、板状部材外観検査装置の内部の機構が複雑化し、コストが高くなってしまう。
また、検査位置で第1面を撮像後、第2面への反転処理が完了するまでの間、撮像手段(不図示)は第2面を撮像することができないため、検査完了までに要する時間はその分長くなり、検査効率が悪くなる。
【0008】
また、両面検査装置ではないが、検査効率向上のために、2つの搬送路を平行に設け、2つの搬送路上の板状部材を1台の撮像手段が搬送路を跨ぐように移動して撮像する構成を備えた板状部材外観検査装置が、例えば、次の特許文献1~3に開示されている。
【0009】
特許文献1に開示の板状部材外観検査装置は、
図10(a)に示すように、1つの検査装置内に第1搬送レーン71と第2搬送レーン72からなる搬送手段が設けられている。第1搬送レーン71は、レール71a、71bから構成され、第2搬送レーン72は、レール72a、72bから構成されている。そして、
図10(b)、
図10(c)に示すように、カメラ73aを有して構成される1つの検査ヘッド73を2つの搬送レーン71、72の間で移動させて、2つのプリント基板K1、K2の検査を行うように構成されている。
【0010】
特許文献2に開示の板状部材外観検査装置は、
図11(a)、
図11(b1)~
図11(b5)に示すように、基板搬入口81より、夫々被検査基板(図示省略)を固定した2個のパレット82
1、82
2を1組として搬入すると、搬入用搬送ライン83が、並列に配置した第1および第2搬送ライン84、85へ交互に送出し、搬入された2組の被検査基板における異なる側の被検査基板を検査ユニット86、87により同時に、かつ、第1と第2搬送ライン84、85上の被検査基板を交互に検査すると共に、一方の搬送ラインにおける被検査基板の検査中に、他方の搬送ラインに次の1組の被検査基板を搬入して検査位置にセットし、一方の搬送ラインにおける被検査基板の検査終了後直ちに検査ユニットを他の搬送ラインの検査位置に移動して検査を行い、検査終了後の被検査基板を固定したパレットを搬出用搬送ライン88が受け取って基板搬出口89より送出するように構成されている。
【0011】
特許文献3に開示の板状部材外観検査装置は、
図12(a)、
図12(b)に示すように、互いに離間して配置され、テーブル(不図示)に載置された実装基板(不図示)を搬送するための第1ステージ91及び第2ステージ92と、第1ステージ91及び第2ステージ92を独立に駆動して基板交換エリアS1と検査エリアS2とを夫々移動可能にする駆動手段93、94と、検査エリアS1に搬送された実装基板を、第1ステージ91及び第2ステージ92の搬送方向(
図12ではY方向)に対して垂直な方向(
図12ではX方向)に移動して検査する検査手段95を備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2014-10082号公報
【文献】特開2000-12999号公報
【文献】特開2008-34620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1に開示の板状部材外観検査装置は、第1搬送レーン71、第2搬送レーン72が、上流装置から搬入されたプリント基板K1、K2をX方向下流側へと一方向に搬送する構成となっている。このため、両面検査を行うためには、一方向の搬送路上に、基板反転装置や、第2面検査用の外観検査装置を別途設ける必要があり、設置ライン長を短くすることができず、また、装置のコストが増大してしまう。しかも、特許文献1に開示の板状部材外観検査装置は、プリント基板(やプリント基板を収納するためのマガジン)の供給・搬出位置が異なるため、作業性も悪くなる。
【0014】
また、特許文献2に開示の板状部材外観検査装置は、第1搬送ライン84、第2搬送ライン85によるパレット821,822の搬送方向が同じ一方向(基板搬入口81側から基板搬出口89側)となる構成となっている。このため、両面検査を行うためには、一方向の搬送路上に、基板反転装置や、第2面検査用の外観検査装置を別途設ける必要があり、設置ライン長を短くすることができない。しかも、特許文献2に開示の基板外観検査装置は、被検査基板(や被検査基板を収納するためのマガジン)の供給・搬出位置が異なるため、作業性が悪くなる。
【0015】
また、特許文献3に開示の板状部材外観検査装置は、搬送手段93、94が、いずれも、基板交換エリアS1と検査エリアS2との間で往復方向に実装基板(不図示)を搬送するための第1ステージ91及び第2ステージ92を搬送しているが、往復移動させると、搬送手段93、94により交互に基板交換エリアS1に検査済の実装基板(不図示)が搬送されるため、検査済の実装基板(不図示)の搬出と未検査の実装基板(不図示)の搬入をその都度行う必要が生じ作業が煩雑化してしまう。
【0016】
しかも、特許文献1~3に開示の板状部材外観検査装置は、そのままの装置構成では、1回の搬送路への投入作業で板状部材の両面を検査することができない。特許文献1~3に開示の板状部材外観検査装置を用いて、板状部材の両面を検査するためには、一旦、板状部材の一方の側の面を検査するために板状部材をセットし、一方の側の面の検査が終了後に、板状部材を取り外し、その後、板状部材の他方の側の面を検査するために板状部材をセットし直し、他方の側の面の検査が終了後に、板状部材を取り外す、というように、板状部材の検査装置へのセットから検査を経て検査後の取り出しに至るまでの作業を2回繰り返して行う必要があり、作業性が悪い。
【0017】
このように、従来の板状部材外観両面検査ユニットには、装置のコストが高くなる、搬送方向の設置スペースが長くなる、板状部材の搬入・搬出の作業負担が増大化する、検査効率が悪くなる等の問題があり、搬送路へ1度の投入作業での板状部材両面検査、装置コストの抑制、設置ライン長短縮、搬入・搬出作業性の格段向上、検査時間の大幅短縮を同時に実現し得る板状部材両面検査ユニットは、存在しなかった。
【0018】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、搬送路へ1度の投入作業でのプリント基板等の板状部材の両面検査、装置コストの抑制、設置ライン長短縮、搬入・搬出作業性の格段向上、検査時間の大幅短縮を同時に実現可能な板状部材外観両面検査ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明による板状部材外観両面検査ユニットは、近接する平行な2つの搬送路に跨って設けられ、該平行な2つの搬送路のうち、第1搬送路におけるX座標位置に、マガジンラックに収納された両面未検査の板状部材を第1搬送路に投入する板状部材ローダ装置、第2搬送路における前記第1搬送路と同じX座標位置に、第2搬送路を介して近づく方向に搬送される両面検査済の板状部材をマガジンラックに収納する板状部材アンローダ装置を夫々備えた板状部材搬入・搬出部と、一端が前記板状部材ローダ装置の投入端と近接するように第1搬送路に沿って設けられた一対のレールからなる第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールにセットされた板状部材を前記板状部材ローダ装置から離れる方向に搬送する第1搬送手段と、一端が前記板状部材アンローダ装置の受取端と近接するように第2搬送路に沿って設けられた一対のレールからなる第2ガイドレールと、前記第2ガイドレールにセットされた板状部材を前記板状部材アンローダ装置に近づく方向に搬送する第2搬送手段と、前記第1ガイドレールの他端から、前記第1搬送手段を介して搬送される板状部材を受け取り、受け取った板状部材の表面と裏面とを反転させて、前記第2搬送手段を介して搬送可能となる前記第2ガイドレールの他端にセットする板状部材反転手段を備えた板状部材反転部と、前記板状部材搬入・搬出部と前記板状部材反転部との間に設けられ、前記第1搬送手段により前記第1搬送路上の検査位置に搬送された、両面未検査の板状部材と前記第2搬送手段により前記第2搬送路上の検査位置に搬送された、片面検査済で未検査面が上を向いた板状部材とを前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動して撮像する1台の撮像装置を備えた板状部材検査部と、を備え、前記板状部材ローダ装置は、第1マガジンラック搬送手段と、供給リフタと、第2マガジンラック搬送手段と、を有し、前記第1マガジンラック搬送手段は、下段に設けられていて、マガジンラックを前記供給リフタに近づく方向に搬送するように構成され、前記供給リフタは、前記第2マガジンラック搬送手段を上下方向に移動可能に構成され、前記第2マガジンラック搬送手段は、下段に位置するときには、前記第1マガジンラック搬送手段から搬送されたマガジンラックを受け取り、上段に位置するときには、空のマガジンラックを渡し位置に近づく方向に搬送するように構成され、前記板状部材アンローダ装置は、第3マガジンラック搬送手段と、収納リフタと、第4マガジンラック搬送手段と、を有し、前記第3マガジンラック搬送手段は、上段に設けられていて、空のマガジンラックを前記収納リフタに近づく方向に搬送するように構成され、前記収納リフタは、前記第3マガジンラック搬送手段を上下方向に移動可能に構成され、前記第4マガジンラック搬送手段は、上段に位置するときには、前記第3マガジンラック搬送手段から搬送された空のマガジンラックを受け位置で受け取り、下段に位置するときには、マガジンラックを取り出し位置に近づく方向に搬送するように構成され、前記板状部材搬入・搬出部は、前記板状部材ローダ装置における前記渡し位置から前記板状部材アンローダ装置における前記受け位置へ空のマガジンラックを自動的にスライド移動させて受け渡す、自動受渡手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の板状部材外観両面検査ユニットにおいては、前記板状部材反転手段は、前記第1ガイドレールに対応した間隔で配置され、対向する側面で板状部材をガイドする一対のレールからなる第3ガイドレールと、前記一対のレールの夫々上下2箇所に設けられていて、板状部材を間に挟んだ状態で搬送する搬送部と搬送部を駆動する駆動機構を有する搬送手段と、前記一対のレールの中心近傍を軸として、前記一対のレール及び前記搬送部を180度回転させる回転駆動手段と、を備えた板状部材反転装置と、前記板状部材反転装置を前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に往復移動させて前記第3ガイドレールを前記第1ガイドレールの他端、前記第2ガイドレールの他端にセットする板状部材反転装置トラバース手段と、を備えてなるのが好ましい。
【0021】
また、本発明の板状部材外観両面検査ユニットにおいては、前記第1ガイドレールと前記第2ガイドレールは、互いに対向する側のレールが位置を固定され、該対向する側とは反対側のレールが前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、夫々一対のレールの間隔を調整可能であるとともに、前記第3ガイドレールは、一方のレールが位置を固定され、他方のレールが前記第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、該一対のレールの間隔を調整可能であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、搬送路へ1度の投入作業でのプリント基板等の板状部材の両面検査、装置コストの抑制、設置ライン長短縮、搬入・搬出作業性の格段向上、検査時間の大幅短縮を同時に実現可能な板状部材外観両面検査ユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる板状部材外観両面検査ユニットの構成を上面側から概念的に示す説明図である。
【
図2】
図1の板状部材外観両面検査ユニットにおける板状部材及びマガジンラックの移動方向を概念的に示す説明図で、(a)は板状部材外観両面検査ユニットを上面側からみたときの板状部材及びマガジンラックの移動方向を夫々示す図、(b)は板状部材ローダ装置を側面からみたときのマガジンラックの移動方向を示す図、(c)は板状部材ローダ装置を側面からみたときのマガジンラックの移動方向を示す図である。
【
図3】
図1の板状部材外観両面検査ユニットにおける板状部材搬入・搬出部の構成及びマガジンラックの移動過程を示す説明図で、(a)はマガジンラックが板状部材ローダ装置に投入されている状態を示す図、(b)はマガジンラックが供給リフタによって上昇した状態を示す図、(c)はマガジンラックが渡し位置に搬送された状態を示す図、(d)はマガジンラックが板状部材アンローダ装置に受け渡された状態を示す図、(e)はマガジンラックが収納リフタに移動した状態を示す図、(f)はマガジンラックが供給リフタによって下降し取り出し方向に移動した状態を示す図である。
【
図4】
図1の板状部材外観両面検査ユニットにおける第1及び第2搬送手段の概略構成を示す説明図で、(a)は第1搬送手段を板状部材反転部側からみた図、(b)は第1搬送手段の要部の側面図、(c)は第2搬送手段を板状部材搬入・搬出部側からみた図、(d)は第2搬送手段の要部の側面図である。
【
図5】
図1の板状部材外観両面検査ユニットにおける板状部材検査部の要部の概略構成を示す板状部材反転部側からみた説明図である。
【
図6】
図1の板状部材外観両面検査ユニットにおける板状部材反転部に備わる板状部材反転手段の概略構成を示す説明図で、(a)は上面からみた図、(b)は搬送路L1の先端側からみた図である。
【
図7】従来の板状部材外観検査ユニットの一例を示す図で、(a)は板状部材ローダ装置の斜視図、(b)は板状部材外観検査装置の正面図、(c)は板状部材アンローダ装置の斜視図、(d)は板状部材ローダ装置と板状部材アンローダ装置に用いられるマガジンラックの斜視図である。
【
図8】従来の板状部材外観両面検査ユニットにおける一構成例を上面側から概念的に示す説明図である。
【
図9】従来の板状部材外観両面検査ユニットにおける他の構成例を上面側から概念的に示す説明図である。
【
図10】特許文献1の板状部材外観検査装置の構成を示す説明図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図11】特許文献2の板状部材外観検査装置の構成を示す説明図で、(a)は概略平面図、(b1)~(b5)は検査動作を示す図である。
【
図12】特許文献3の板状部材外観検査装置の構成を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の板状部材外観両面検査ユニットの実施形態について、図面を用いて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる板状部材外観両面検査ユニットの構成を上面側から概念的に示す説明図である。
【0026】
本実施形態の板状部材外観両面検査ユニットは、板状部材搬入・搬出部11と、第1ガイドレール12と、第1搬送手段13と、第2ガイドレール14と、第2搬送手段15と、板状部材検査部16と、板状部材反転部17と、を備えている。
板状部材搬入・搬出部11は、
近接する平行な2つの搬送路L1、L2に跨って設けられ、平行な2つの搬送路L1、L2のうち、第1搬送路L1におけるX座標位置に板状部材ローダ装置11a、第2搬送路L2における第1搬送路L1と同じX座標位置に板状部材アンローダ装置11bを夫々備えるとともに、板状部材ローダ装置11aから板状部材アンローダ装置11bへ空のマガジンラックを自動的に受け渡す、自動受渡手段11cを備えて構成されている。
板状部材ローダ装置11a、板状部材アンローダ装置11bの基本的な構成は、
図7(a)、
図7(c)を用いて説明した板状部材ローダ装置51、板状部材アンローダ装置55と略同じである。
より詳しくは、板状部材ローダ装置11aは、例えば、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)に示すように、第1マガジンラック搬送手段11a1と、供給リフタ11a2と、第2マガジンラック搬送手段11a3を有している。第1マガジンラック搬送手段11a1は、下段に設けられていて、マガジンラック56を供給リフタ11a2に近づく方向に搬送するように構成されている。供給リフタ11a2は、第2マガジンラック搬送手段11a3を上下方向に移動可能に構成されている。第2マガジンラック搬送手段11a3は、下段に位置するときには、第1マガジンラック搬送手段11a1から搬送されたマガジンラック56を受け取り、上段に位置するときには、空のマガジンラック56
を渡し位置に近づく方向に搬送するように構成されている。
そして、板状部材ローダ装置11aは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)に示すように、また、
図2(b)に矢印で示すように、未検査状態の板状部材60が収納されたマガジンラック56を所定のロード可能な位置に移動し、板状部材60を搬送路L1に投入し、全ての板状部材60の投入が完了して空になったマガジンラック56を、自動受渡手段11cによ
る渡し位置に移動する。
【0027】
また、板状部材アンローダ装置11bは、例えば、
図3(a)、
図3(d)に示すように、第3マガジンラック搬送手段11b1と、収納リフタ11b2と、第4マガジンラック搬送手段11b3と、を有している。第3マガジンラック搬送手段11b1は、上段に設けられていて、空のマガジンラック56を収納リフタ11b2に近づく方向に搬送するように構成されている。収納リフタ11b2は、第3マガジンラック搬送手段11b3を上下方向に移動可能に構成されている。第4マガジンラック搬送手段11b3は、上段に位置するときには、第3マガジンラック搬送手段11b1から搬送された空のマガジンラック56を受け取り、下段に位置するときには、マガジンラック56を取り出し位置に近づく方向に搬送するように構成されている。第5マガジンラック搬送手段11b4は、第4マガジンラック搬送手段11b3から搬送されたマガジンラック56を受け取り、取り出し位置へ搬送するように構成されている。
そして、板状部材アンローダ装置11bは、
図3(d)、
図3(e)、
図3(f)に示すように、また、
図2(c)に矢印で示すように、自動受渡手段11cによる板状部材60の受け位置にセットされた空のマガジンラック56を、板状部材60の収納位置に移動して、板状部材外観検査装置52での検査が済んだ板状部材60をマガジンラック56に収納するとともに、マガジンラック56に収納された板状部材60が収納可能枚数に到達したときにマガジンラック56を取り出し可能な位置に移動する。
【0028】
自動受渡手段11cは、板状部材ローダ装置11aと板状部材アンローダ装置11bとに跨って設けられ、板状部材ローダ装置11aにより、渡し位置に移動した空になったマガジンラック56を、板状部材アンローダ装置11bにおける受け位置にスライド移動させるように構成されている。
より詳しくは、自動受渡手段11cは、例えば、
図3(f)に示すように、受渡用ローラ11c1を有して構成されている。
受渡用ローラ11c1は、板状部材ローダ装置11aにおける渡し位置と、板状部材アンローダ装置11bにおける受け位置とに、長手方向が第2マガジンラック搬送手段11a3や第5マガジンラック搬送手段11b4の搬送方向に平行となる向きで、複数本ずつ設けられている。
板状部材ローダ装置11aに設けられている受渡用ローラ11c1は、モータ(不図示)により回転し、
図3(c)、
図3(d)に示すように、空のマガジンラックを板状部材アンローダ装置11bにおける受け位置に近づく方向に搬送するように構成されている。
このような構成により、板状部材搬入・搬出部11は、空のマガジンラック56を、
図3(a)~
図3(f)に示すように、また、
図2(a)の矢印に示す方向に移動する。
【0029】
第1ガイドレール12は、一端が板状部材ローダ装置11aの投入端と近接するように第1搬送路L1に沿って設けられた一対のレール12a、12bで構成されている。
【0030】
第1搬送手段13は、例えば、
図4(a)、
図4(b)に示すように、一対のレール12a、12bの夫々の内側の上下2箇所に設けられた、搬送ベルト13a1、13a2と、夫々の搬送ベルト13a1、13a2に架け渡された車輪13bと、車輪13bを回転駆動させるモータを備えた駆動機構(不図示)を有し、第1ガイドレール12における上下2箇所の搬送ベルトの間に挟んだ状態で板状部材60を板状部材ローダ装置11aから離れる方向に搬送するように構成されている。
【0031】
第2ガイドレール14は、一端が板状部材アンローダ装置11bの受取端と近接するように第2搬送路L2に沿って設けられた一対のレール14a、14bで構成されている。
【0032】
第2搬送手段15は、例えば、
図4(c)、
図4(d)に示すように、一対のレール14a、14bの夫々の内側の上下2箇所に設けられた、搬送ベルト15a1、15a2と、夫々の搬送ベルト15a1、15a2に架け渡された車輪15bと、車輪15bを回転駆動させるモータを備えた駆動機構(不図示)を有し、第2ガイドレール14における上下2箇所の搬送ベルトの間に挟んだ状態で板状部材60を板状部材アンローダ装置11bに近づく方向に搬送するように構成されている。
【0033】
板状部材検査部16は、板状部材搬入・搬出部11と板状部材反転部17との間に設けられていて、例えば、
図5に示すように、1台の撮像装置16aと、撮像装置保持部材16bと、撮像装置移動手段16cを有している。
図5中、16dは撮像装置移動手段16cを支持する支柱である。
撮像装置保持部材16bは、撮像装置16aを保持するとともに、撮像装置移動手段16cにより第1及び第2搬送路L1、L2に対して垂直な方向に移動可能に取り付けられている。
撮像装置移動手段16cは、ボールねじ機構部16c1と、モータ16c2を有し、モータ16c2の回転により、ボールねじ機構部16c1の長手方向(第1及び第2搬送路L1、L2に対して垂直な方向)に沿って撮像装置16aを保持した撮像装置保持部材16bを往復移動させることが可能に構成されている。
このような構成により、板状部材検査部16は、第1搬送手段13により第1搬送路L1上の検査位置に搬送された、両面未検査の板状部材60と第2搬送手段15により第2搬送路L2上の検査位置に搬送された、片面検査済で未検査面が上を向いた板状部材60とを第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に、1台の撮像装置16aが移動して撮像することができるようになっている。
【0034】
その他、第1ガイドレール12と第2ガイドレール14は、互いに対向する側のレール12b、14aが位置を固定され、対向する側とは反対側のレール12a、14bが第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、夫々一対のレール12aと12b、14aと14bの間隔を調整可能に構成されている。
その他の構成は、
図7(b)を用いて説明した板状部材外観検査装置52と略同じである。
【0035】
板状部材反転部17は、例えば、第1ガイドレール12の他端から、第1搬送手段13を介して搬送される板状部材60を受け取り、受け取った板状部材60の表面と裏面とを反転させて、第2搬送手段15を介して搬送可能となる第2ガイドレール14の他端にセットする板状部材反転手段17aを備えている。
より詳しくは、板状部材反転手段17aは、例えば、
図6に示すように、板状部材反転装置17a1と、板状部材反転装置トラバース手段17a2とで構成されている。
板状部材反転装置17a1は、例えば、一対のレール17a1a、17a1bからなる第3ガイドレールと、搬送手段17a1a1、17a1b1と、回転駆動手段17a1cと、を備えている。
一対のレール17a1a、17a1bは、第1ガイドレール12に対応した間隔で配置され、対向する側面で板状部材をガイドするように構成されている。
搬送手段17a1a1、17a1b1は、
図4に示した第1搬送手段12、第2搬送手段14と同様、一対のレール17a1a、17a1bの内側位置に夫々上下2箇所ずつに設けられた搬送ベルト(符号省略)と、搬送ベルトに架け渡されたプーリ(符号省略)と、プーリを回転駆動させるモータを備えた駆動機構(不図示)を有し、板状部材を上下2箇所の搬送ベルトの間に挟んだ状態で搬送するように構成されている。
回転駆動手段17a1cは、プーリ、ベルト、モータを備えた駆動機構を有して構成され、一対のレール17a1a、17a1b及び搬送ベルトを180度回転させることができるように構成されている。
また、一対のレール17a1a、17a1bは、第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、レールの間隔を調整可能に構成されている。
板状部材反転装置トラバース手段17a2は、ボールねじ機構部17a2aと、モータ(不図示)と、レール17a2bを有し、モータの回転により、板状部材反転装置を第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に往復移動させて一対のレール17a1a、17a1bからなる第3ガイドレールを第1ガイドレール12の他端、第2ガイドレール14の他端にセットすることができるように構成されている。
また、第3ガイドレールは、一方のレール17a1aが位置を固定され、他方のレール17a1bが第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、一対のレール17a1a、17a1bの間隔を調整可能に構成されている。
【0036】
このように構成された第1実施形態の板状部材外観両面検査ユニットを用いた板状部材の両面検査の処理の流れを説明する。ここでは、板状部材60としてプリント基板を用いることとする。
作業者は、未検査状態のプリント基板60をマガジンラック56に収納し、収納したマガジンラック56を板状部材ローダ装置11aにおける搬入口(
図2(b)における左下の位置)にセットする。
板状部材ローダ装置11aは、マガジンラック56に収納されているプリント基板60を搬送路L1上に設けられた第1のガイドレール12に順次投入する。第1板状部材搬送手段13は、
図2(a)に示すように、プリント基板60を板状部材検査部16に順次搬送する。板状部材検査部16では、第1板状部材搬送手段13を介して所定の検査位置に搬送されたプリント基板60の第1面を撮像装置16aが撮像し、撮像した画像をモニタ52aに表示してその画像から専用の検査アルゴリズムで第1面の外観検査を実施する。
次に、板状部材反転部17が、第1ガイドレール12の他端から、第1搬送手段13を介して搬送されるプリント基板60を受け取り、受け取ったプリント基板60の表面と裏面とを反転させて、第2搬送手段15を介して搬送可能となる第2ガイドレール14の他端にセットし、セット後に初期位置に復帰する。
第2搬送手段15は、プリント基板60を板状部材検査部16に搬送する。板状部材検査部16では、撮像装置16aが移動して、第2板状部材搬送手段15を介して所定の検査位置に搬送されたプリント基板60の第2面を撮像し、撮像した画像をモニタ52aに表示してその画像から専用の検査アルゴリズムで第2面の外観検査を実施する。
なお、板状部材検査部16では、一方の搬送路における検査位置に搬送されたプリント基板60を撮像装置16aが撮像している間に、他方の搬送路における検査位置にプリント基板60が搬送される。撮像装置16aは、第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動して第1及び第2搬送路L1、L2の夫々における検査位置に搬送されたプリント基板60を交互に撮像する。
次に、第2搬送手段15は、両面が検査済みのプリント基板60を板状部材アンローダ装置11bに搬送する。板状部材アンローダ装置11bは、プリント基板60をマガジンラック56に収納する。
このようなプリント基板の両面検査が、連続して行われる。板状部材ローダ装置11aでは、渡し位置に移動した空になったマガジンラック56を、自動受渡手段11cが、板状部材アンローダ装置11bにおける受け位置にスライド移動させる。
また、板状部材アンローダ装置11bでは、マガジンラック56に満杯となった両面検査済みのプリント基板60を
図2(c)に示すように搬出口(
図2(c)における左下の位置)に移送させる。
作業者は搬出口に移動した両面検査済みのプリント基板60をマガジンラック56ごと取り出す。
【0037】
本実施形態の板状部材外観両面検査ユニットによれば、第1搬送手段13、第2搬送手段15を、近接する平行な2つの搬送路L1、L2上に、互いのプリント基板等の板状部材60の搬送方向が逆となるように設け、板状部材反転手段17aを、第1搬送手段13を介して搬送される片面検査済の板状部材60を受け取り、受け取った板状部材60の表面と裏面とを反転させて、第2搬送手段15を介して搬送可能となる第2ガイドレール14の他端にセットするように設けるとともに、一台の撮像装置16aを、第1搬送手段13により第1搬送路L1上の検査位置に搬送された、両面未検査の板状部材60と第2搬送手段15により第2搬送路L2上の検査位置に搬送された、片面検査済で未検査面が上を向いた板状部材60とを第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動して撮像するように設けたので、未検査状態の板状部材60を1回搬送路へ投入するだけで、板状部材60の両面を検査できる。
また、一方の搬送路上の板状部材60を撮像装置で撮像中に、他方の搬送路上の板状部材60を検査位置に搬送することができるため、撮像装置16aで2つの搬送路L1、L2上の板状部材60を連続的に撮像でき、検査の作業効率が大幅に向上する。そして、1台の板状部材検査部16で板状部材60の両面を検査できる結果、板状部材検査部16を複数台設けずに済む。
しかも、板状部材検査部16とは別機構として、板状部材反転部17を設けたので、板状部材検査部16の内部構造が複雑化することなく、装置のコストを抑えることができる。
また、板状部材搬入・搬出部11が、2つの搬送路L1、L2に跨って設けられ、平行な2つの搬送路のうち、第1搬送路L1におけるX座標位置に、マガジンラック56に収納された両面未検査の板状部材60を第1搬送路L1に投入する板状部材ローダ装置11a、第2搬送路L2における第1搬送路L1と同じX座標位置に、第2搬送路L2を介して近づく方向に搬送される両面検査済の板状部材60をマガジンラック56に収納する板状部材アンローダ装置11bを夫々備え、搬送方向には、板状部材搬入・搬出部11、板状部材検査部16、板状部材反転部17のみの配置で済むため、設置ライン長を短縮でき、しかも、搬入搬出位置がX座標上の同じ位置であるため、作業者の搬入搬出の負担が大幅に軽減され、作業効率が大幅に向上する。
【0038】
また、本実施形態の板状部材外観両面検査ユニットによれば、板状部材反転手段17aは、第1ガイドレール12に対応した間隔で配置され、対向する側面で板状部材60をガイドする一対のレール17a1a、17a1bからなる第3ガイドレールと、一対のレール17a1a、17a1bの夫々上下2箇所に設けられていて、板状部材60を間に挟んだ状態で搬送する搬送部(搬送ベルト(符号省略))と、搬送部を駆動する駆動機構(不図示)を有する搬送手段17a1a1、17a1b1と、一対のレール17a1a、17a1bの中心近傍を軸として、一対のレール17a1a、17a1b及び搬送部を180度回転させる回転駆動手段17a1cと、を備えた板状部材反転装置17a1と、板状部材反転装置17a1を第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に往復移動させて第3ガイドレールを第1ガイドレール12の他端、第2ガイドレール14の他端にセットする板状部材反転装置トラバース手段17a2と、を備えてなる構成としたので、第1ガイドレール12の他端から、第1搬送手段13を介して搬送される板状部材60を受け取り、受け取った板状部材60の表面と裏面とを反転させて、第2搬送手段15を介して搬送可能となる第2ガイドレール14の他端にセットする構成を具現化できる。
【0039】
また、本実施形態の板状部材外観両面検査ユニットによれば、第1ガイドレール12と第2ガイドレール14は、互いに対向する側のレール12b、14aが位置を固定され、対向する側とは反対側のレール12a、14bが第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、夫々一対のレールの間隔を調整可能であるとともに、第3ガイドレールは、一方のレール17a1aが位置を固定され、他方のレール17a1bが第1及び第2搬送路L1、L2の長手方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、一対のレール17a1a、17a1bの間隔を調整可能であるように構成したので、サイズの異なる板状部材60の両面検査も可能となる。
【0040】
また、本実施形態の板状部材外観両面検査ユニットによれば、(近接する平行な2つの搬送路L1、L2に跨って設けられた板状部材搬入・搬出部11における、平行な2つの搬送路L1、L2のうちの第1搬送路L1に備わる)板状部材ローダ装置11aは、第1マガジンラック搬送手段11a1と、供給リフタ11a2と、第2マガジンラック搬送手段11a3と、を有し、第1マガジンラック搬送手段11a1は、下段に設けられていて、マガジンラック56を供給リフタ11a2に近づく方向に搬送するように構成され、供給リフタ11a2は、第2マガジンラック搬送手段11a3を上下方向に移動可能に構成され、第2マガジンラック搬送手段11a3は、下段に位置するときには、第1マガジンラック搬送手段11a1から搬送されたマガジンラック56を受け取り、上段に位置するときには、空のマガジンラック56を渡し位置に近づく方向に搬送するように構成され、(近接する平行な2つの搬送路L1、L2に跨って設けられた板状部材搬入・搬出部11における、平行な2つの搬送路L1、L2のうちの第2搬送路L2に備わる)板状部材アンローダ装置11bは、第3マガジンラック搬送手段11b1と、収納リフタ11b2と、第4マガジンラック搬送手段11b3と、を有し、第3マガジンラック搬送手段11b1は、上段に設けられていて、空のマガジンラックを収納リフタ11b2に近づく方向に搬送するように構成され、収納リフタ11b2は、第3マガジンラック搬送手段11b1を上下方向に移動可能に構成され、第4マガジンラック搬送手段11b3は、上段に位置するときには、第3マガジンラック搬送手段11b1から搬送された空のマガジンラック56を受け位置で受け取り、下段に位置するときには、マガジンラック56を取り出し位置に近づく方向に搬送するように構成され、板状部材搬入・搬出部11は、板状部材ローダ装置11aにおける渡し位置から板状部材アンローダ装置11bにおける受け位置へ空のマガジンラック56を自動的にスライド移動させて受け渡す、自動受渡手段11cを備えた構成としたので、作業者は、未検査状態の板状部材60が収納されたマガジンラック56を板状部材搬入・搬出部11にセットし、両面検査済みの板状部材60が収納されたマガジンラック56をセットした位置と同じ高さで近接する同じX座標位置から搬出するだけで、板状部材60の搬入・搬出作業を済ませることができる。このため、作業者の負担が格段に軽減される。しかも、板状部材ローダ装置11aから板状部材アンローダ装置11bへのマガジンラック56の受け渡しのための構成が、大掛かりなものとならず、装置のコストを抑えることができる。
【0041】
従って、本実施形態によれば、搬送路へ1度の投入作業での板状部材両面検査、装置コストの抑制、設置ライン長短縮、搬入・搬出作業性の格段向上、検査時間の大幅短縮を同時に実現可能な板状部材外観両面検査ユニットが得られる。
【0042】
以上、本発明の板状部材外観両面検査ユニットの実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内でどのような形態にも構成することが可能である。
例えば、板状部材反転手段は、第1ガイドレールの他端から、第1搬送手段を介して搬送される板状部材を受け取り、受け取った板状部材の表面と裏面とを反転させて、第2搬送手段を介して搬送可能となる第2ガイドレールの他端にセットすることができれば、第1実施形態における板状部材反転手段17aとは異なる構成であってもよい。
また、例えば、自動受渡手段は、板状部材ローダ装置から板状部材アンローダ装置へ空のマガジンラックを自動的に受け渡すことができれば、第1実施形態における自動受渡手段11cとは異なる構成であってもよい。
また、例えば、板状部材検査部は、第1搬送手段により第1搬送路上の検査位置に搬送された、両面未検査の板状部材と第2搬送手段により第2搬送路上の検査位置に搬送された、片面検査済で未検査面が上を向いた板状部材とを第1及び第2搬送路の長手方向に対して垂直な方向に移動して撮像する1台の撮像装置を備えるものであれば、第1実施形態における板状部材検査部16とは異なる構成であってもよい。
その他、第1搬送手段、第2搬送手段も、板状部材ローダ装置から離れる方向に搬送する、板状部材アンローダ装置に近づく方向に搬送することができるものであれば、第1実施形態における第1搬送手段13、第2搬送手段15とは異なる構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の板状部材外観両面検査ユニットは、SMT部品及びディスクリート部品が半田付けにより実装されたプリント基板における両面(表面と裏面)の半田付け状態等の外観検査の他にも、板状部材における両面(表面と裏面)の外観を検査することが必要とされる分野に有用である。
【符号の説明】
【0044】
11 板状部材搬入・搬出部
11a 板状部材ローダ装置
11a1 第1マガジンラック搬送手段
11a2 供給リフタ
11a3 第2マガジンラック搬送手段
11b 板状部材アンローダ装置
11b1 第3マガジンラック搬送手段
11b2 収納リフタ
11b3 第4マガジンラック搬送手段
11b4 第5マガジンラック搬送手段
11c 自動受渡手段
11c1 受渡用ローラ
12 第1ガイドレール
12a、12b 一対のレール
13 第1搬送手段
13a1、13a2 搬送ベルト
13b 車輪
14 第2ガイドレール
14a、14b 一対のレール
15 第2搬送手段
15a1、15a2 搬送ベルト
15b 車輪
16 板状部材検査部
16a 撮像装置
16b 撮像装置保持部材
16c 撮像装置移動手段
16c1 ボールねじ機構部
16c2 モータ
16d 支柱
17 板状部材反転部
17a 板状部材反転手段
17a1 板状部材反転装置
17a1a、17a1b 一対のレール
17a1a1、17a1b1 搬送手段
17a1c 回転駆動手段
17a2 板状部材反転装置トラバース手段
17a2a ボールねじ機構部
17a2b レール
L1 (第1)搬送路
L2 第2搬送路
51 板状部材ローダ装置
52、52’、54 板状部材外観検査装置
52a、52’a モニタ
55 板状部材アンローダ装置
56 マガジンラック
60 板状部材(プリント基板)
71 第1搬送レーン
71a、71b レール
72 第2搬送レーン
72a、72b レール
73 検査ヘッド
73a カメラ
K1、K2 プリント基板
81 基板搬入口
821,822 パレット
83 搬入用搬送ライン
84 第1搬送ライン
85 第2搬送ライン
86、87 検査ユニット
88 搬送用搬送ライン
91 第1ステージ
92 第2ステージ
93、94 駆動手段
95 検査手段
S1 基板交換エリア
S2 検査エリア