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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20231207BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20231207BHJP
   B65D 47/36 20060101ALI20231207BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B65D41/34 110
B65D47/12 100
B65D47/36 300
B65D51/22 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019076733
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020172325
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 達大
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041608(JP,A)
【文献】登録実用新案第3125465(JP,U)
【文献】特開2011-184095(JP,A)
【文献】特開2004-299683(JP,A)
【文献】特開2004-083141(JP,A)
【文献】特開2016-030619(JP,A)
【文献】特開2019-014514(JP,A)
【文献】独国実用新案第202007009673(DE,U1)
【文献】特開2016-008058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/34
B65D 47/12
B65D 47/36
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付け可能な中栓と、蓋とを有するキャップであって、
中栓は、注出筒を備えた中栓本体と、中栓本体の底部外周から径方向における外側へ張り出した中栓フランジとを有し、
中栓本体の底部外周に第1係合部が形成され、
蓋は、回転によって中栓に着脱自在なねじ式の蓋本体と、蓋本体の下部に第1弱化部を介して離脱可能に設けられた封印帯とを有し、
蓋本体は注出筒に当接離間自在なシール部材を有し、
互いに螺合自在な雄ねじと雌ねじとのいずれか一方のねじが中栓本体に形成されているとともに、他方のねじが蓋本体に形成され、
蓋を閉じた際、雄ねじと雌ねじとの間に送り方向の遊びが形成されているとともに、シール部材が注出筒に全周にわたり当接して注出筒と蓋本体との間をシールし、
第1弱化部は、周方向における複数箇所に形成された接続片を残して、周方向に切断されており、
蓋本体の下部と封印帯の上部とが接続片を介して繋がっており、
封印帯の内周に第2係合部が形成され、
第2係合部は蓋の開方向において第1係合部に係合可能であり、
封印帯は下方から中栓フランジに受け止められ、
中栓本体は注出筒の内側に第2弱化部を介して離脱可能に設けられた離脱部を有し、
離脱部に第3係合部が形成され、
蓋本体に第4係合部が形成され、
第4係合部は蓋の開方向において第3係合部に係合可能であり、
離脱部が中栓本体から離脱することにより、注出筒の内側が開孔し、
未開封のキャップの蓋を開方向に回した際、第1弱化部の接続片が破断するまでの回転角度は、第2弱化部が破断するまでの回転角度よりも小さく、且つ、シール部材が注出筒から離間するまでの回転角度よりも小さいことを特徴とするキャップ。』
【請求項2】
中栓本体は中栓フランジよりも上方に形成された上向きの受け面を有し、
第1係合部は中栓フランジと受け面との上下間における中栓本体の底部外周に形成され、
蓋本体は、頂板部と、頂板部の外周縁から垂下された筒状のスカート部とを有し、
封印帯はスカート部の下部に第1弱化部を介して離脱可能に設けられ、
注出筒を上向きにして、蓋を中栓の上方から下向きに打栓して中栓に取り付ける際、スカート部の下端部が下方から受け面に受け止められるとともに、封印帯が下方から中栓フランジに受け止められることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
封印帯の内径はスカート部の外径よりも大きく、
接続片はスカート部の下端部外周と封印帯の上端部内周との間に径方向へ架設されていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
蓋を開方向に回した際、第2係合部が第1係合部に係合して第1弱化部の接続片が破断され、その後、第4係合部が第3係合部に係合して第2弱化部が破断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
蓋を開方向に回した際、第2係合部が第1係合部に係合して第1弱化部の接続片が破断され、その後、他方のねじが一方のねじに螺合して蓋本体が一方向に送られて、シール部材が注出筒から離間することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図13図14に示すように、容器101に取り付けられる中栓102と、蓋103とを有するものがある。中栓102は円筒状の注出筒104と胴部105とを有している。胴部105の外周面には複数の第1係合突起106が形成されている。
【0003】
蓋103は、回転によって中栓102に着脱自在なねじ式の蓋本体108と、蓋本体108の下部に弱化部109を介して離脱可能に設けられた円環状の封印帯110とを有している。封印帯110の内周に複数の第2係合突起111が形成されている。第2係合突起111は蓋103の開方向Oにおいて第1係合突起106に係合可能である。
【0004】
これによると、注出筒104を上向きにして、蓋103を中栓102の上方から下向きに打栓することにより、蓋103が中栓102に取り付けられる。その後、未開封のキャップ100の蓋103を開方向Oに回すことにより、第2係合突起111が第1係合突起106に係合し、封印帯110が蓋本体108の開方向Oへの回動に追従することができず、弱化部109が破断して、蓋本体108が封印帯110から分離し、図14に示すように封印帯110を中栓102側に残して、蓋本体108が中栓102から取り外される。
【0005】
これにより、蓋103が開方向Oへ回転操作されたことを外部から目視で認識することができ、万一、第三者が未開封状態において蓋103を開方向Oへ回転操作し、異物を外部から容器101内に混入させた場合でも、使用者は異常を察知することができる。
【0006】
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-41608
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の従来形式では、図14に示すように、蓋103を開方向Oに回して、弱化部109が破断し、蓋本体108が封印帯110から分離した後、封印帯110に下向きの何らかの外力が作用した場合、封印帯110が中栓102から下方に脱落するといった問題がある。
【0009】
本発明は、第1弱化部が破断しても、封印帯が中栓から下方に脱落するのを防止することができるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器に取り付け可能な中栓と、蓋とを有するキャップであって、
中栓は、注出筒を備えた中栓本体と、中栓本体の底部外周から径方向における外側へ張り出した中栓フランジとを有し、
中栓本体の底部外周に第1係合部が形成され、
蓋は、回転によって中栓に着脱自在なねじ式の蓋本体と、蓋本体の下部に第1弱化部を介して離脱可能に設けられた封印帯とを有し、
蓋本体は注出筒に当接離間自在なシール部材を有し、
互いに螺合自在な雄ねじと雌ねじとのいずれか一方のねじが中栓本体に形成されているとともに、他方のねじが蓋本体に形成され、
蓋を閉じた際、雄ねじと雌ねじとの間に送り方向の遊びが形成されているとともに、シール部材が注出筒に全周にわたり当接して注出筒と蓋本体との間をシールし、
第1弱化部は、周方向における複数箇所に形成された接続片を残して、周方向に切断されており、
蓋本体の下部と封印帯の上部とが接続片を介して繋がっており、
封印帯の内周に第2係合部が形成され、
第2係合部は蓋の開方向において第1係合部に係合可能であり、
封印帯は下方から中栓フランジに受け止められ、
中栓本体は注出筒の内側に第2弱化部を介して離脱可能に設けられた離脱部を有し、
離脱部に第3係合部が形成され、
蓋本体に第4係合部が形成され、
第4係合部は蓋の開方向において第3係合部に係合可能であり、
離脱部が中栓本体から離脱することにより、注出筒の内側が開孔し、
未開封のキャップの蓋を開方向に回した際、第1弱化部の接続片が破断するまでの回転角度は、第2弱化部が破断するまでの回転角度よりも小さく、且つ、シール部材が注出筒から離間するまでの回転角度よりも小さいものである。
【0011】
これによると、未開封のキャップの蓋を開方向に回すことにより、第2係合部が第1係合部に係合し、封印帯が蓋本体の開方向への回動に追従することができず、第1弱化部の接続片が破断して、蓋本体が封印帯から分離し、封印帯を中栓側に残して、蓋本体が中栓から取り外される。
【0012】
この際、封印帯は下方から中栓フランジに受け止められているため、その後、封印帯に下向きの何らかの外力が作用しても、封印帯が中栓から下方に脱落するのを防止することができる。
また、上記のように未開封のキャップの蓋を開方向に回した際、第4係合部が第3係合部に係合し、注出筒が蓋本体の開方向への回動に追従することができず、第2弱化部が破断して、離脱部が中栓本体から分離する。これにより、注出筒の内側が開孔し、容器の内容物を注出筒から注出することができる。
また、蓋を開方向に回すことにより、蓋本体がねじを介して一方向に送られ、シール部材が注出筒から離間して、注出筒と蓋本体とのシールが解除される。
さらに、蓋を閉方向に回して閉じることにより、蓋本体がねじを介して他方向に送られ、シール部材が注出筒に全周にわたり当接して、注出筒と蓋本体との間がシールされる。
【0013】
本第2発明におけるキャップは、中栓本体は中栓フランジよりも上方に形成された上向きの受け面を有し、
第1係合部は中栓フランジと受け面との上下間における中栓本体の底部外周に形成され、
蓋本体は、頂板部と、頂板部の外周縁から垂下された筒状のスカート部とを有し、
封印帯はスカート部の下部に第1弱化部を介して離脱可能に設けられ、
注出筒を上向きにして、蓋を中栓の上方から下向きに打栓して中栓に取り付ける際、スカート部の下端部が下方から受け面に受け止められるとともに、封印帯が下方から中栓フランジに受け止められるものである。
【0014】
これによると、蓋を打栓して中栓に取り付ける際、スカート部の下端部が受け面に受け止められるとともに、封印帯が中栓フランジに受け止められるため、打栓時にスカート部に作用する下向きの外力が受け面と中栓フランジとに分散して受けられる。これにより、打栓時に、第1弱化部の接続片が損傷するのを防止することができる。
【0015】
本第3発明におけるキャップは、封印帯の内径はスカート部の外径よりも大きく、
接続片はスカート部の下端部外周と封印帯の上端部内周との間に径方向へ架設されているものである。
【0016】
これによると、キャップの外側から接続片を目視で確認し易い。
【0019】
本第発明におけるキャップは、蓋を開方向に回した際、第2係合部が第1係合部に係合して第1弱化部の接続片が破断され、その後、第4係合部が第3係合部に係合して第2弱化部が破断するものである。
【0020】
これによると、蓋を開方向に回した際、離脱部が中栓本体から分離するよりも先に蓋本体が封印帯から分離するため、蓋が開方向へ回転操作されたことを確実に外部から目視で認識し得る。仮に、上記とは逆に、離脱部が中栓本体から分離した後に蓋本体が封印帯から離脱する場合、離脱部が中栓本体から分離しているが、蓋本体が封印帯から分離していない状態が生じる虞がある。このような状態が生じると、蓋が既に開方向へ回転操作されているにも関わらず、蓋に対して回転操作が行われたことを確実に認識することは困難となる。
【0024】
本第発明におけるキャップは、蓋を開方向に回した際、第2係合部が第1係合部に係合して第1弱化部の接続片が破断され、その後、他方のねじが一方のねじに螺合して蓋本体が一方向に送られて、シール部材が注出筒から離間するものである。
【0025】
これによると、蓋を開方向に回した際、シール部材が注出筒から離間するよりも先に蓋本体が封印帯から分離するため、蓋が開方向へ回転操作されたことを確実に外部から目視で認識し得る。仮に、上記とは逆に、シール部材が注出筒から離間した後に蓋本体が封印帯から離脱する場合、シール部材が注出筒から離間しているが、蓋本体が封印帯から分離していない状態が生じる虞がある。このような状態が生じると、蓋が既に開方向へ回転操作されているにも関わらず、蓋に対して回転操作が行われたことを確実に認識することは困難となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によると、未開封のキャップの蓋を開方向に回すことにより、第1弱化部の接続片が破断して、蓋本体が封印帯から分離し、弱化部を中栓側に残して、蓋本体が中栓から取り外される。この際、封印帯は下方から中栓フランジに受け止められているため、その後、封印帯に下向きの何らかの外力が作用しても、封印帯が中栓から下方に脱落するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態におけるキャップの断面図であり、未開封状態を示す。
図2】同、キャップの一部切欠き正面図であり、蓋を中栓に打栓して装着するときの様子を示す。
図3】同、キャップの中栓の平面図である。
図4】同、キャップの中栓の斜視図である。
図5】同、キャップの蓋の底面図である。
図6】同、キャップの蓋の封印帯の斜視図である。
図7図1におけるX-X矢視図である。
図8図1におけるY-Y矢視図である。
図9】同、キャップの一部拡大断面図である。
図10】同、キャップの一部拡大断面図である。
図11】同、キャップの断面図であり、蓋を中栓から取り外して開封した状態を示す。
図12】同、キャップの中栓の斜視図であり、封印帯が蓋本体から離脱して中栓側に残り、離脱部が中栓側から分離した状態を示す。
図13】従来のキャップの断面図であり、未開封状態を示す。
図14】同、キャップの断面図であり、蓋を中栓から取り外して開封した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
図1に示すように、キャップ1は、容器2の口部に取り付け可能な中栓3と、蓋4とを有している。中栓3は、中栓本体6と、中栓本体6の底部外周から径方向における外側へ張り出した中栓フランジ7とを有している。
【0030】
ここで、キャップ1の軸心5を上下方向とすると、図2図4に示すように、中栓本体6は、円筒状の胴部10と、円筒状の注出筒11と、胴部10の天井部に設けられて注出筒11を支持する円筒壁12と、胴部10の底部外周を取り囲むように設けられた円筒状の底部外筒壁13と、中栓フランジ7よりも上方に形成された上向きの受け面14と、離脱部15とを有している。
【0031】
胴部10には、下方が開放された溝18が全周にわたり形成され、容器2の口部が溝18に嵌め込まれることで、中栓3が容器2に取り付けられる。円筒壁12は胴部10の天井部から立ち上がり、円筒壁12の先端が注出筒11の外周に繋がっている。円筒壁12の外周には雄ねじ16が形成されている。
【0032】
中栓フランジ7は底部外筒壁13の下端部に全周にわたり設けられている。底部外筒壁13の外周面には、径方向外側へ突出した第1係合突起17(第1係合部の一例)が周方向Aにおいて複数(多数)形成されている。
【0033】
受け面14は底部外筒壁13の上端部に全周にわたり形成されており、第1係合突起17は中栓フランジ7と受け面14との上下間に位置している。
【0034】
図2図5に示すように、蓋4は、回転によって中栓3に着脱自在なねじ式の蓋本体21と、蓋本体21の下部に第1弱化部22を介して離脱可能に設けられた封印帯23とを有している。蓋本体21は、円形の頂板部24と、頂板部24の外周縁から垂下された円筒状のスカート部25と、保持部材26と、注出筒11の先端部に当接離間自在な円筒状のシール部材27と、蓋円筒部材28とを有している。
【0035】
保持部材26は、下方が開放された円筒状の部材であり、頂板部24の中心部から垂下されている。シール部材27は、頂板部24から垂下されており、径方向Bにおいて保持部材26の外側に位置している。図1に示すように、蓋4を閉じた状態で、シール部材27が注出筒11の先端部内周に全周にわたり当接することにより、注出筒11と蓋本体21との間がシールされる。蓋円筒部材28は、頂板部24から垂下され、径方向Bにおいてシール部材27とスカート部25との間に位置しており、図1に示すように、蓋4を閉じた状態で、中栓本体6の円筒壁12の外周を取り囲む。
【0036】
第1弱化部22は、周方向Aにおける複数箇所に形成された接続片31を残して、周方向Aに切断された切れ目を有している。図2図5に示すように、スカート部25の下端部と封印帯23の上端部とが複数の接続片31を介して繋がっている。封印帯23の内径D1はスカート部25の外径D2よりも大きく、接続片31はスカート部25の下端部外周と封印帯23の上端部内周との間に径方向Bへ架設されている。
【0037】
図6に示すように、封印帯23は円環形状であり、封印帯23の内周面には、径方向内側へ突出した第2係合突起32(第2係合部の一例)が周方向Aにおいて複数形成されている。図7に示すように、第2係合突起32は蓋4の開方向Oにおいて第1係合突起17に係合可能である。尚、第1係合突起17の上下方向の長さは第2係合突起32の上下方向の長さよりも短く設定されている。
【0038】
図1に示すように、蓋4を閉じた状態で、中栓フランジ7は封印帯23の下方に突出しており、封印帯23は下方から中栓フランジ7に受け止められる。
【0039】
図2に示すように、中栓本体6の離脱部15は、上方が開放された円筒状の部材であり、肉厚を薄くした第2弱化部37を介して、離脱可能に注出筒11の内側に設けられている。図2図3図12に示すように、離脱部15の外周面には、径方向外側へ突出した第3係合突起39(第3係合部の一例)が周方向Aにおいて複数形成されている。
【0040】
また、図2図5に示すように、蓋本体21の保持部材26の内周面には、径方向内側へ突出した第4係合突起40(第4係合部の一例)が周方向Aにおいて複数形成されている。図1図8に示すように、蓋4を閉じた状態で、離脱部15が下方から保持部材26内に挿入され、第4係合突起40が蓋4の開方向Oにおいて第3係合突起39に係合可能である。図11に示すように、第2弱化部37が破断して離脱部15が中栓本体6から離脱することにより、注出筒11の内側底部が開孔し、注出筒11の内側底部に開孔部41が形成される。
【0041】
また、図2に示すように、蓋本体21の蓋円筒部材28の内周面には雌ねじ42が形成されている。中栓本体6の雄ねじ16と蓋本体21の雌ねじ42とは互いに螺合自在であり、図1図9に示すように、蓋4を閉じた状態で、雄ねじ16と雌ねじ42との間に送り方向の遊び43(間隙)が形成されているとともに、シール部材27が注出筒11の先端部内周に全周にわたり当接することにより、注出筒11と蓋本体21との間がシールされる。
【0042】
尚、組立後の未開封のキャップ1の蓋4を開方向Oに回した際、第1弱化部22の接続片31が破断するまでの回転角度を第1回転角度C1とし、第2弱化部37が破断するまでの回転角度を第2回転角度C2とし、シール部材27が注出筒11から離間するまでの回転角度を第3回転角度C3とすると、第1回転角度C1<第2回転角度C2<第3回転角度C3となるように、第1係合突起17と第2係合突起32と第3係合突起39と第4係合突起40と雄ねじ16と雌ねじ42の各形成位置等が設定されている。
【0043】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0044】
中栓3と蓋4とを個別に製作した後、図2に示すように、離脱部15が中栓本体6に設けられ且つ封印帯23が蓋本体21に設けられている未使用状態において、注出筒11を上向きにして、蓋4を中栓3の上方から下向きに打栓して(打ち込んで)中栓3に取り付けることにより、図1に示すようにキャップ1が組み立てられる。
【0045】
上記のように蓋4を打栓した際、図10に示すように、蓋4のスカート部25の下端部が下方から中栓3の受け面14に受け止められるとともに、封印帯23が下方から中栓フランジ7に受け止められる。このため、打栓時にスカート部25に作用する下向きの外力Fが受け面14と中栓フランジ7とに分散して受けられ、これにより、打栓時に、第1弱化部22の接続片31が損傷するのを防止することができる。
【0046】
このようにして組み立てられたキャップ1を容器2の口部に取り付けた後、未開封のキャップ1の蓋4を開方向Oに回すことにより、先ず、第2係合突起32が第1係合突起17に係合し、封印帯23が蓋本体21の開方向Oへの回動に追従することができず、第1弱化部22の接続片31が破断して、蓋本体21が封印帯23から分離する。
【0047】
その直後、時間的に僅かにずれて、第4係合突起40が第3係合突起39に係合し、注出筒11が蓋本体21の開方向Oへの回動に追従することができず、第2弱化部37が破断して、離脱部15が中栓本体6から分離する。
【0048】
その直後、時間的に僅かにずれて、蓋本体21の開方向Oへの回転に伴って雄ねじ16と雌ねじ42との遊び43(図9参照)が無くなり、雌ねじ42が雄ねじ16に当接して螺合することにより、蓋本体21が中栓本体6に対して上方へ送られ、シール部材27が注出筒11から上方へ離間して、注出筒11と蓋本体21とのシールが解除される。
【0049】
これにより、図11図12に示すように、封印帯23を中栓3側に残し、離脱部15が保持部材26内に保持された状態で、蓋本体21が離脱部15と共に中栓3から取り外され、注出筒11の内側底部に開孔部41が形成され、容器2の内容物を注出筒11から注出することができる。
【0050】
上記のように蓋4を開方向Oに回して蓋本体21を中栓3から取り外した際、封印帯23は下方から中栓フランジ7に受け止められているため、その後、封印帯23に下向きの何らかの外力が作用しても、封印帯23が中栓3から下方に脱落するのを防止することができる。
【0051】
また、上記のように蓋4を開方向Oに回した際、離脱部15が中栓本体6から分離するよりも先に蓋本体21が封印帯23から分離するため、蓋4が開方向Oへ回転操作されたことを確実に外部から目視で認識し得る。
【0052】
仮に、上記とは逆に、離脱部15が中栓本体6から分離した後に蓋本体21が封印帯23から離脱する場合、離脱部15が中栓本体6から分離しているが、蓋本体21が封印帯23から分離していない状態が生じる虞がある。このような状態が生じると、蓋4が既に開方向Oへ回転操作されているにも関わらず、蓋4に対して回転操作が行われたことを確実に認識することは困難となる。
【0053】
また、上記のように蓋4を開方向Oに回した際、シール部材27が注出筒11から離間するよりも先に蓋本体21が封印帯23から分離するため、蓋4が開方向Oへ回転操作されたことを確実に外部から目視で認識し得る。
【0054】
仮に、上記とは逆に、シール部材27が注出筒11から離間した後に蓋本体21が封印帯23から離脱する場合、シール部材27が注出筒11から離間しているが、蓋本体21が封印帯23から分離していない状態が生じる虞がある。このような状態が生じると、蓋4が既に開方向Oへ回転操作されているにも関わらず、蓋4に対して回転操作が行われたことを確実に認識することは困難となる。
【0055】
また、接続片31はスカート部25の下端部外周と封印帯23の上端部内周との間に径方向Bへ架設されているため、キャップ1の外側の斜め上から接続片31を目視で確認し易い。
【0056】
また、蓋4を開方向Oに回して開封した後、蓋4を閉方向Sに回して閉じることにより、蓋本体21が雄ねじ16と雌ねじ42を介して下方へ送られ、シール部材27が注出筒11に全周にわたり当接して、注出筒11と蓋本体21との間がシールされる。
【0057】
上記実施の形態では、蓋4を開方向Oに回すことにより、第4係合突起40が第3係合突起39に係合して、第2弱化部37が破断し、離脱部15が中栓本体6から分離するように構成されているが、離脱部15にプルリングを設け、蓋本体21を中栓3から取り外した後、プルリングを引っ張って第2弱化部37を破断させる構成にしてもよい。
【0058】
上記実施の形態では、中栓本体6に雄ねじ16を形成し、蓋本体21に雌ねじ42を形成しているが、中栓本体6に雌ねじ42を形成し、蓋本体21に雄ねじ16を形成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 キャップ
2 容器
3 中栓
4 蓋
6 中栓本体
7 中栓フランジ
11 注出筒
14 受け面
15 離脱部
16 雄ねじ
17 第1係合突起(第1係合部)
21 蓋本体
22 第1弱化部
23 封印帯
24 頂板部
25 スカート部
27 シール部材
31 接続片
32 第2係合突起(第2係合部)
37 第2弱化部
39 第3係合突起(第3係合部)
40 第4係合突起(第4係合部)
42 雌ねじ
43 遊び
A 周方向
B 径方向
D1 封印帯の内径
D2 スカート部の外径
O 開方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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