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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
A47G9/10 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019077379
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020174744
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】東海林 由佳
(72)【発明者】
【氏名】安藤 翠
(72)【発明者】
【氏名】折笠 舞
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-006964(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0083685(KR,A)
【文献】登録実用新案第3101898(JP,U)
【文献】特開2018-149216(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1293259(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0134118(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
A61B 5/107
G06F 17/40
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕で使用者が横向き寝をしたときに前記枕の前記使用者の頬が当たる部分の高さを決定する枕高さ決定方法であって、
正面を向いた前記使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線、及び前記使用者の口元から横方向に延びる第2直線、の交点である第1交点を検出する工程と、
前記第2直線、及び前記使用者の顔の輪郭、の交点である第2交点を検出する工程と、
前記第1交点と前記第2交点との間の長さ、又は、前記頬骨と前記第2交点とを結ぶ第3直線と前記第1直線との成す角度を検出する工程と、
前記長さ又は前記角度から前記頬が当たる部分の高さを決定する工程と、
を備え
前記第1交点を検出する工程、前記第2交点を検出する工程、前記角度を検出する工程、及び前記高さを決定する工程は、前記使用者の顔と共に目盛り部を撮影することによって実施される、枕高さ決定方法。
【請求項2】
枕の使用者の頬が当たる部分の高さを決定するときに用いられる枕高さ決定用測定具であって、
前記使用者の顔を入れることが可能であり、縦辺及び横辺を有する枠部と、
前記枠部の角部からの距離に応じた数値が前記縦辺及び前記横辺のそれぞれに記載された目盛り部と、を備え、
前記使用者の顔と共に前記目盛り部を撮影することによって、
正面を向いた前記使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線と、
前記使用者の口元から横方向に延びる第2直線と、
前記第2直線と前記使用者の顔の輪郭との交点から前記頬骨まで延びる第3直線と、
を検出する枕高さ決定用測定具。
【請求項3】
枕の使用者の頬が当たる部分の高さを決定するときに用いられる枕高さ決定用測定具であって、
前記使用者の背後に位置する目盛り部材を備え、
前記目盛り部材は、格子状に配置された複数の縦線及び複数の横線を有し、
前記使用者の顔と共に前記目盛り部材を撮影することによって、
正面を向いた前記使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線と、
前記使用者の口元から横方向に延びる第2直線と、
前記第2直線と前記使用者の顔の輪郭との交点から前記頬骨まで延びる第3直線と、
を検出する枕高さ決定用測定具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-64107号公報には、枕を選択するときに用いられる寝具用形状測定装置が記載されている。寝具用形状測定装置は、枕の購入者である被検者の後頭部及び頸部の形状を形状データとして取得する。寝具用形状測定装置は、取得した被検者の身体の形状データを基に、被検者に適した枕を自動的に選択して表示する機能を有する。
【0003】
寝具用形状測定装置は、被検者の後頭部及び頸部に当てられる複数の棒状体と、各棒状体の長手方向の一方側に配置された複数のセンサと、センサによって得られた棒状体の位置から後頭部及び頸部の形状データを取得する基板とを備える。この寝具用形状測定装置では、複数のセンサが検出した棒状体の位置から後頭部及び頸部の情報を形状データとして取得することによって、各棒状体の位置から形状データを自動的に取得している。そして、寝具用形状測定装置では、測定した被検者の後頭部及び頸部の高さに応じて枕のリストを情報端末に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-64107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した寝具用形状測定装置では、複数の棒状体の位置を基に後頭部及び頸部の形状データを取得し、取得した形状データを基に枕のリストを情報端末に表示する。この寝具用形状測定装置では、被検者の後頭部及び頸部の形状データを取得することによって仰向き寝をしている被検者の身体形状データを取得することが可能である。
【0006】
ところで、枕が横向き寝をする使用者に適さない場合、横向き寝をするときに使用者の頬を圧迫する可能性がある。枕で横向き寝をするときに頬が圧迫されると、頬骨に圧力が集中して頬の血流が妨げられ、健康な肌の状態をキープできなくなる可能性がある。しかしながら、前述した寝具用形状測定装置では、横向き寝をしたときにおける被検者の身体形状データの取得については何ら考慮されていない。
【0007】
本開示は、横向き寝に相応しい枕を提案することができる枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る枕高さ決定方法は、枕で使用者が横向き寝をしたときに枕の使用者の頬が当たる部分の高さを決定する枕高さ決定方法であって、正面を向いた使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線、及び使用者の口元から横方向に延びる第2直線、の交点である第1交点を検出する工程と、第2直線、及び使用者の顔の輪郭、の交点である第2交点を検出する工程と、第1交点と第2交点との間の長さ、又は、頬骨と第2交点とを結ぶ第3直線と第1直線との成す角度を検出する工程と、長さ又は角度から頬が当たる部分の高さを決定する工程と、を備え、第1交点を検出する工程、第2交点を検出する工程、角度を検出する工程、及び高さを決定する工程は、使用者の顔と共に目盛り部を撮影することによって実施される
【0009】
この枕高さ決定方法では、枕で使用者が横向き寝をしたときに使用者の頬が当たる部分の枕の高さを決定する。この枕高さ決定方法では、正面を向いた使用者の頬骨から使用者の顔の下方向に延びる第1直線と、正面を向いた使用者の口元から横方向に延びる第2直線と、第2直線と顔の輪郭との交点である第2交点から頬骨まで延びる第3直線とを求める。頬骨、第1交点及び第2交点は直角三角形状を成している。枕高さ決定方法では、第1交点と第2交点との間の長さ、又は斜辺を成す第3直線と第1直線との成す角度、から枕の頬が当たる部分の高さを決定する。第1交点と第2交点との間の長さ、及び第3直線と第1直線との成す角度は、いずれも頬骨から下方に延びる第1直線に対する第3直線の傾斜度合、すなわち、頬骨から顎に向かって延びる部分の傾斜度合に相当する。具体的には、当該長さが長い、又は当該角度が大きい場合には頬骨から顎に向かって引き締まった細い顔を示しており、当該長さが短い又は当該角度が小さい場合には頬骨から顎に向かう部分にエラが張っていて太い顔を示している。従って、当該長さ又は当該角度を検出することによって使用者の顔が細いか太いかを判断することができる。よって、当該長さ又は当該角度から横向き寝時に枕の頬が当たる部分の高さを決定することにより、使用者の顔の形状に応じた横向き寝に相応しい枕を提案することができる。また、枕高さ決定方法では、正面を向いた使用者の顔の形状を測定すればよいので、敷き寝具等に使用者を横たわらせる必要が無い。従って、敷き寝具等を配置する専用のスペースを不要とすることができるので、省スペースを実現させることができる。
【0010】
本開示の一側面に係る枕高さ決定用測定具は、枕の使用者の頬が当たる部分の高さを決定するときに用いられる枕高さ決定用測定具であって、使用者の顔を入れることが可能であり、縦辺及び横辺を有する枠部と、枠部の角部からの距離に応じた数値が縦辺及び横辺のそれぞれに記載された目盛り部と、を備え、使用者の顔と共に目盛り部を撮影することによって、正面を向いた前記使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線と、使用者の口元から横方向に延びる第2直線と、第2直線と使用者の顔の輪郭との交点から前記頬骨まで延びる第3直線と、を検出する。また、本開示の別の側面に係る枕高さ決定用測定具は、枕の使用者の頬が当たる部分の高さを決定するときに用いられる枕高さ決定用測定具であって、使用者の背後に位置する目盛り部材を備え、目盛り部材は、格子状に配置された複数の縦線及び複数の横線を有し、使用者の顔と共に目盛り部材を撮影することによって、正面を向いた使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線と、使用者の口元から横方向に延びる第2直線と、第2直線と使用者の顔の輪郭との交点から頬骨まで延びる第3直線と、を検出する。
【0011】
この枕高さ決定用測定具は、正面を向いた使用者の頬骨から下方向に延びる第1直線と、使用者の口元から横方向に延びる第2直線と、第2直線と使用者の顔の輪郭との交点から頬骨まで延びる第3直線とを検出する。よって、頬骨から下方に延びる第1直線と、口元から横方向に延びる第2直線と、第2直線と顔の輪郭との交点から頬骨に延びる第3直線とを含む直角三角形を形成することができる。従って、第1直線と第2直線との交点である第1交点から第2直線と第3直線との交点である第2交点までの長さ、又は第3直線と第1直線との成す角度を求めることにより、前述の枕高さ決定方法と同様、枕の頬が当たる部分の高さを決定することができる。その結果、当該長さ又は当該角度から枕の頬が当たる部分の高さを決定することができるので、使用者の顔の形状に応じた横向き寝に相応しい枕を提案することができる。更に、正面を向く使用者の顔の形状を測定すればよいので、形状の測定を効率よく行うことができる。すなわち、正面を向いた使用者の顔の形状を測定すればよく、測定のために敷き寝具等に使用者を横たわらせることを不要とすることができる。従って、測定のための敷き寝具等を不要とできるので、測定のためのスペースを省スペース化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、横向き寝に相応しい枕を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具が適用される枕の例を示す図である。
図2】(a)、(b)及び(c)のそれぞれは、使用者の顔の形状のタイプを例示的に示す図である。
図3】第1実施形態に係る枕高さ決定方法を説明するための例示的な使用者の正面図である。
図4】第1実施形態に係る枕高さ決定用測定具を用いた枕高さ決定方法の例を示す図である。
図5図4の枕高さ決定用測定具を示す正面図である。
図6】第2実施形態に係る枕高さ決定用測定具を用いた枕高さ決定方法の例を示す図である。
図7図6の例示的な枕高さ決定用測定具を示す正面図である。
図8】実施例に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具を用いた実験の実験結果を示す図である。
図9図8の実験において得られた使用者の顔の形状のタイプ別に得られた最大圧力値とパッド枚数との関係を示すグラフである。
図10図8の実験において得られた使用者の顔の形状のタイプ別に得られた平均圧力値とパッド枚数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具の実施形態について説明する。本発明は、以降の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
(第1実施形態)
まず、本実施形態に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具が適用される枕の例について図1を参照しながら説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る枕1は、例えば、汚れ防止のための枕カバーに収容された状態で使用される枕本体である。一例として、枕1は、マットレス又は敷き布団等の敷き寝具の上に載せられて使用される。枕1は、第1方向D1に延在する一対の長辺2と、第1方向D1に交差する第2方向D2に延在する一対の短辺3とを有する。第1方向D1は枕1の長手方向であり、第2方向D2は枕1の幅方向である。
【0015】
例えば、第1方向D1及び第2方向D2は互いに直交している。長辺2は、第2方向D2の一方側に位置する第1長辺2bと、第2方向D2の他方側に位置する第2長辺2cとを含む。第2長辺2cは、例えば、使用者M(図2参照)の首が載せられる部位である。短辺3は、第1方向D1の一方側(図1では左側)に位置する第1短辺3bと、第1方向D1の他方側(図1では右側)に位置する第2短辺3cとを含む。本明細書において、「使用者」とは、枕1を使用する可能性がある者を示しており、例えば、枕1を購入する前に枕1を試用する者である。
【0016】
枕1は、例えば、第1方向D1の両端側のそれぞれに位置する一対の第1仕切部5と、各第1仕切部5よりも側地10の隅部10b側に位置する第2仕切部6とを備える。各第1仕切部5は、枕1の内部空間を仕切っている。各第1仕切部5と各第2仕切部6との間には使用者Mの頬が載せられる第1部分P1が設けられており、各第2仕切部6の隅部10b側には使用者Mの頬から顎まで延びる部分が載せられる第2部分P2が設けられている。
【0017】
第2仕切部6は、例えば、側地10の表面のみを仕切っており、各第2部分P2における側地10の表面の裏側にはシート状の高さ調整部材8が出し入れ可能とされている。一例として、第2部分P2は、シート状の高さ調整部材8を出し入れ可能なポケット状とされている。高さ調整部材8の厚さは、例えば、0.5cm以上且つ2.0cm以下であり、一例として1.0cmである。第2部分P2に高さ調整部材8を出し入れすることによって、第1部分P1に対する第2部分P2の高さを適宜調整可能とされている。
【0018】
高さ調整部材8の材料は、例えば、綿(わた)及びウレタンの少なくともいずれかを含んでいる。高さ調整部材8の材料が綿(わた)である場合、高さ調整部材8を容易に洗濯することができる。また、高さ調整部材8の材料がウレタンである場合、高さ調整部材8の形状をより安定させることができるので、第2部分P2に更に出し入れしやすい高さ調整部材8とすることが可能である。
【0019】
本実施形態に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具では、枕1の第2部分P2の高さを使用者Mの顔の形状に合わせて決定する。一例として、使用者Mの顔の形状は、図2(a)に示されるように頬骨M1から顎M2に向かって引き締まった細い顔のタイプAと、図2(c)に示されるように頬骨M1から顎M2に向かう部分にエラが張っていて太い顔のタイプCと、図2(b)に示されるように中間の細さの顔のタイプBと、に分けられる。
【0020】
本実施形態では、枕1で使用者Mが横向き寝をしたときに枕1の使用者Mの頬が当たる部分である第2部分P2の高さを決定する。例えば、上記のタイプA、タイプB及びタイプCのように、使用者Mの顔のタイプに応じて第2部分P2の高さを変えた枕1を提案する。以下では、使用者Mの顔のタイプを分類する枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具について説明する。
【0021】
まず、枕高さ決定方法について説明する。図3に示されるように、正面を向いた使用者Mの頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1、及び使用者Mの口元M3から横方向に延びる第2直線L2、を定める。本明細書において、「下方向」とは、顔の下方向を示しており、例えば、眉間から口に向かって延びる方向、起立姿勢若しくは着座姿勢における顔の下方向、又は鉛直下方向である。「口元」とは、口、及び口の周辺の部位を示しており、例えば、鼻の下から顎M2までの間の部位を示している。
【0022】
本明細書において、「横方向」とは、顔の横方向を示しており、例えば、2つの目のうち一方の目から他方の目に向かって延びる方向、起立姿勢若しくは着座姿勢における顔の横方向、又は水平方向、である。第1直線L1及び第2直線L2を定めた後に、第1直線L1と第2直線L2との交点である第1交点C1を検出する(第1交点を検出する工程)。第1交点C1は、頬骨M1から第2直線L2に下した垂線と第2直線L2との交点であってもよい。
【0023】
そして、第2直線L2と使用者Mの顔の輪郭M4との交点である第2交点C2を検出する(第2交点を検出する工程)。第2交点C2を検出し、頬骨M1と第2交点C2とを第3直線L3で結ぶことにより、頬骨M1、第1交点C1及び第2交点C2のそれぞれを頂点とする直角三角形Tが形成される。なお、本明細書において、「直角三角形」とは、三角形の1つの角が厳密に90°である場合に限られず、当該角が90°から多少ずれた三角形(例えば当該角の角度が80°以上且つ100°以下である場合等)も含まれる。直角三角形Tが形成された後には、直角三角形Tの底辺T1である第1交点C1と第2交点C2との間の線分の長さX、又は、頬骨M1と第2交点C2とを結ぶ斜辺T2である第3直線L3と第1直線L1との成す角度θ、を算出する。
【0024】
上記の長さX及び角度θは、第1直線L1に対する第3直線L3の傾斜度合に相当する。具体的には、長さX及び角度θのそれぞれの値が大きいほど第3直線L3の傾斜度合が大きく、長さX及び角度θのそれぞれの値が小さいほど第3直線L3の傾斜度合が小さい。第1直線L1に対する第3直線L3の傾斜度合は、使用者Mの頬骨M1から顎M2に向かって延びる部分の細さに相当する。すなわち、第3直線L3の傾斜度合が大きいほど頬骨M1から顎M2に向かって引き締まった細い顔であることを示しており、第3直線L3の傾斜度合が小さいほど頬骨M1から顎M2に向かう部分にエラが張っていて太い顔であることを示している。
【0025】
本実施形態では、第1直線L1に対する第3直線L3の傾斜度合に応じて枕1の頬が当たる部分、すなわち第2部分P2の高さを決定する。具体的には、前述した長さXの値、又は角度θの値から第2部分P2の高さを決定する(高さを決定する工程)。例えば、長さXの値は、0mm以上且つ25mm以下である。本実施形態では、長さXの値が16mm以上且つ25mm以下をタイプA、長さXの値が6mm以上且つ16mm未満をタイプB、長さXの値が0mm以上且つ6mm未満をタイプCと分類する。
【0026】
そして、タイプAの場合には各第2部分P2に2枚の高さ調整部材8を収容し、タイプBの場合には各第2部分P2に1枚の高さ調整部材8を収容し、タイプCの場合には高さ調整部材8を収容しない。以上のように、第2部分P2に収容する高さ調整部材8の枚数を決定することにより枕1の高さを決定し、その後、一連の工程を完了する。
【0027】
次に、本実施形態に係る枕高さ決定用測定具について図4及び図5を参照しながら説明する。図4及び図5に示されるように、枕高さ決定用測定具21は、使用者Mの顔を入れることが可能な枠部22と、枠部22に表示された目盛り部23とを備える。枠部22は、例えば、矩形枠状とされており、枠部22の内側に使用者Mの顔が入れられる。目盛り部23は、例えば、枠部22を形成する縦辺22b及び横辺22cのそれぞれに示されたミリ単位の目盛りである。
【0028】
一例として、枕高さ決定用測定具21は、矩形枠状の枠部22の左下の角部21bに0と記載されると共に角部21bからの距離に応じた数値が縦辺22b及び横辺22cのそれぞれに記載されている目盛り部23を有する。例えば、枠部22の中に入れられた使用者Mの顔がカメラRによって撮影され、カメラRが使用者Mの顔と共に枠部22の目盛り部23を撮影する。カメラRは、一例として、スマートフォンであってもよい。
【0029】
そして、目盛り部23と共に撮影された使用者Mの顔の画像において、頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1、口元M3から横方向に延びる第2直線L2、及び、第2直線L2と使用者Mの顔の輪郭M4との交点である第2交点C2から頬骨M1まで延びる第3直線L3を検出する。例えば、第1直線L1は検出された頬骨M1から縦辺22bに平行に延びる直線として検出され、第2直線L2は検出された口元M3から横辺22cに平行に延びる直線として検出され、第3直線L3は第2直線L2と検出された顔の輪郭M4との第2交点C2から頬骨M1に延びる直線として検出される。
【0030】
図3に示されるように、第1直線L1、第2直線L2及び第3直線L3が検出されることによって前述した直角三角形Tが得られる。従って、直角三角形Tの底辺T1である第1交点C1と第2交点C2との間の線分の長さX、又は、頬骨M1と第2交点C2とを結ぶ斜辺T2である第3直線L3と第1直線L1との成す角度θを得ることが可能である。
【0031】
次に、本実施形態に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具21から得られる作用効果について詳細に説明する。本実施形態に係る枕高さ決定方法では、枕1で使用者Mが横向き寝をしたときに使用者Mの頬が当たる部分である枕1の第2部分P2の高さを決定する。この枕高さ決定方法では、正面を向いた使用者Mの頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1と、正面を向いた使用者Mの口元M3から横方向に延びる第2直線L2と、第2直線L2と顔の輪郭M4との交点である第2交点C2から頬骨M1まで延びる第3直線L3とを求める。
【0032】
頬骨M1、第1直線L1と第2直線L2との交点である第1交点C1、及び第2直線L2と顔の輪郭M4との交点である第2交点C2、は直角三角形Tを成している。枕高さ決定方法では、第1交点C1と第2交点C2との間の長さX、又は斜辺を成す第3直線L3と第1直線L1との成す角度θ、から枕1の頬が当たる第2部分P2の高さを決定する。第1交点C1と第2交点C2との間の長さX、及び第3直線L3と第1直線L1との成す角度θは、いずれも頬骨M1から下方に延びる第1直線L1に対する第3直線L3の傾斜度合、すなわち、頬骨M1から顎M2に向かって延びる部分の傾斜度合に相当する。
【0033】
具体的には、長さXが長い、又は角度θが大きい場合には頬骨M1から顎M2まで引き締まる細い顔を示しており、長さXが短い、又は角度θが小さい場合には頬骨M1からエラが張る太い顔を示している。従って、長さX又は角度θを検出することによって使用者Mの顔が細いか太いかを判断することができる。
【0034】
よって、長さX又は角度θから横向き寝時に枕1の頬が当たる第2部分P2の高さを決定することにより、使用者Mの顔の形状に応じた横向き寝に相応しい枕1を提案することができる。また、枕高さ決定方法では、正面を向いた使用者Mの顔の形状を測定すればよいので、敷き寝具等に使用者Mを横たわらせる必要が無い。従って、敷き寝具等を配置する専用のスペースを不要とすることができるので、省スペースを実現させることができる。
【0035】
また、枕1は、使用者Mの頬が載せられる第1部分P1と、使用者Mの頬から顎M2に向かう部分が載せられる第2部分P2とを備え、第1部分P1に対する第2部分P2の高さが高さ調整部材8によって調整可能とされている。すなわち、高さ調整部材8によって頬から顎M2に向かう部分の高さを調整可能となる。
【0036】
従って、頬から顎M2に向かう部分が引き締まっていて細い顔の使用者M(例えば図2(a)の使用者M)に対しては高さ調整部材8によって第2部分P2の高さを高くし、頬から顎M2に向かう部分にエラが張っていて太い顔の使用者M(例えば図2(c)の使用者M)に対しては第2部分P2を低くして、頬から顎M2に向かう部分に対する枕1の接触面積を増やすことができる。頬から顎M2に向かう部分の接触面積を増やすことによって当該部分の圧力を緩和することができるので、使用者Mの顔の形状に応じた横向き寝に相応しい枕1を提案することができる。
【0037】
具体例として、長さXの値、又は角度θの値から、使用者Mの顔のタイプを分類し、分類したタイプに応じて第2部分P2に収容する高さ調整部材8の枚数を決定する。このように、使用者Mの顔の形状を複数のタイプのいずれかに分類することにより、第2部分P2の高さをよりきめ細やかに変更することができる。よって、個人差に応じて第2部分P2の高さがよりきめ細やかに調整された枕1を提案することができるので、横向き寝に一層相応しい枕1を使用者Mに提案することができる。
【0038】
枕高さ決定用測定具21は、正面を向いた使用者Mの頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1と、使用者Mの口元M3から横方向に延びる第2直線L2と、第2直線L2と使用者Mの顔の輪郭M4との交点である第2交点C2から頬骨M1まで延びる第3直線L3とを検出する。よって、頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1と、口元M3から横方向に延びる第2直線L2と、第2交点C2から頬骨M1に延びる第3直線L3とを含む直角三角形Tを形成することができる。
【0039】
従って、第1直線L1と第2直線L2との交点である第1交点C1から第2直線L2と第3直線L3との交点である第2交点C2までの長さX、又は第3直線L3と第1直線L1との成す角度θを求めることにより、前述の枕高さ決定方法と同様、枕1の頬が当たる第2部分P2の高さを決定することができる。その結果、長さX又は角度θから枕1の顔の頬が当たる第2部分P2の高さを決定することができるので、使用者Mの顔の形状に応じた横向き寝に相応しい枕1を提案することができる。
【0040】
更に、正面を向く使用者Mの顔の形状を測定すればよいので、形状の測定を効率よく行うことができる。すなわち、正面を向いた使用者Mの顔の形状を測定すればよく、測定のために敷き寝具等に使用者Mを横たわらせることを不要とすることができる。更に、測定のための敷き寝具等を不要とできるので、測定のためのスペースを省スペース化することができる。
(第2実施形態)
次に、図6及び図7を参照しながら第2実施形態に係る枕高さ決定用測定具31について説明する。以降の説明では、前述した第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。図6及び図7に示されるように、枕高さ決定用測定具31は、使用者Mの背後に位置する目盛り部材32を有する。目盛り部材32は、例えば、格子状に配置された複数の縦線32b及び複数の横線32cを有し、各縦線32bが鉛直方向に沿うと共に各横線32cが水平方向に沿うように壁Wに貼り付けられる。一例として、目盛り部材32は方眼紙であってもよい。
【0041】
例えば、目盛り部材32の前に配置された使用者Mの顔がカメラRによって撮影され、カメラRは使用者Mの顔と共に目盛り部材32を撮影する。そして、目盛り部材32と共に撮影された使用者Mの顔の画像において、頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1、口元M3から横方向に延びる第2直線L2、及び、第2直線L2と使用者Mの顔の輪郭M4との交点である第2交点C2から頬骨M1まで延びる第3直線L3を検出する。
【0042】
例えば、第1直線L1は検出された頬骨M1から目盛り部材32の縦線32bに平行に延びる直線として検出され、第2直線L2は検出された口元M3から横線32cに平行に延びる直線として検出され、第3直線L3は第2直線L2と検出された顔の輪郭M4との第2交点C2から頬骨M1に延びる直線として検出される。
【0043】
以上、第2実施形態に係る枕高さ決定用測定具31では、頬骨M1から下方向に延びる第1直線L1と、口元M3から横方向に延びる第2直線L2と、第2交点C2から頬骨M1に延びる第3直線L3とを含む直角三角形Tを形成することができる。従って、前述した第1実施形態と同様、長さX又は角度θから枕1の顔の頬が当たる第2部分P2の高さを決定することができるので、使用者Mの顔の形状に応じた横向き寝に相応しい枕1を提案することができる。そして、正面を向く使用者Mの顔の形状を測定すればよいので、形状の測定を効率よく行うことができると共に、測定のためのスペースを省スペース化することができる。
【0044】
以上、本開示に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、枕高さ決定方法の各工程の内容及び順序、並びに、枕高さ決定用測定具の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0045】
例えば、前述の実施形態では、一対の第1部分P1、及び一対の第2部分P2を備える枕1について説明した。しかしながら、本開示に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具は枕1以外の枕に対しても適用可能である。すなわち、枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具が適用される枕の形状、大きさ及び材料については適宜変更可能である。また、高さ調整部材の形状、大きさ、材料、数及び配置態様についても前述した実施形態に限られず適宜変更可能である。例えば、高さ調整部材はシート状以外の形状であってもよい。
【0046】
また、前述の実施形態では、使用者Mの顔がカメラRによって撮影され、カメラRが使用者Mの顔と共に目盛り部23又は目盛り部材32を撮影する例について説明した。この例の場合、使用者Mの顔と共に顔の各部の長さを測定可能な目盛りが撮影されるので、撮影された目盛りを基に直角三角形Tの長さX又は角度θの値の算出が可能となる。
【0047】
この長さX又は角度θの値の算出は、カメラRによって撮影された画像から自動的に行われてもよいし、手動で行われてもよい。長さX又は角度θの値の算出を手動で行う場合には、例えば、枠部22又は目盛り部材32のみを用いてカメラRを用いなくてもよい。このように枕高さ決定用測定具の構成、及び枕高さ決定方法の各工程は適宜変更可能である。
【0048】
また、前述の実施形態では、長さXの値が16mm以上且つ25mm以下をタイプA、長さXの値が6mm以上且つ16mm未満をタイプB、長さXの値が0mm以上且つ6mm未満をタイプCと分類する例について説明した。しかしながら、長さXの値に基づくタイプの分け方は、上記の例に限られず適宜変更可能である。例えば、長さXの値が15mm以上をタイプA、長さXの値が5mm以上且つ15mm未満をタイプB、長さXの値が5mm未満をタイプCと分類してもよい。
(実施例)
次に、本開示に係る枕高さ決定方法及び枕高さ決定用測定具の実施例について説明する。なお、本発明は、後述する実施例に限定されない。実施例に係る実験では、前述した枕高さ決定用測定具21を用いて複数の被検者の長さXを測定した。具体的には、図4に示されるように、水平な台を形成する机の上に枕高さ決定用測定具21の枠部22とカメラRとが並ぶように配置を行った。このとき、枠部22とカメラRは、共に、台の上面から垂直に立設するように配置した。カメラRとしては携帯電話を用いた。
【0049】
なお、本実験では、頬骨M1の頂点から台の上面に垂直に延びる直線を枠部22の縦辺22bに一致させると共に、口の端から台の上面に平行に延びる直線を枠部22の横辺22cに一致させるように、枠部22に使用者Mの顔を入れさせた。このように枠部22とカメラRを配置して枠部22に使用者Mの顔を入れた状態でカメラRで顔を撮影し、撮影した画像から被検者の直角三角形Tの底辺の長さXを求める実験を行った。この実験は、60人の被検者に対して行い、60人の被検者のそれぞれの長さXを算出した。その結果、長さXの最小値は0mmであり、長さXの最大値は25mmであった。
【0050】
以上のように60人の被検者から長さXを求めた後、被検者の顔の形状を、長さXの値が16mm以上且つ25mm以下であるタイプA、長さXの値が6mm以上且つ16mm未満であるタイプB、長さXの値が0mm以上且つ6mm未満であるタイプCのいずれかに分類した。
【0051】
そして、タイプA、タイプB及びタイプCのそれぞれから3人の被検者を抽出し、枕1に寝かせたときの体圧分布の測定、最大圧力値の算出、及び平均圧力値の算出を実験によって行った。なお、体圧分布の測定、最大圧力値の算出、及び平均圧力値の算出は、本実験では、Xsensor社の圧力分布測定装置を用いて行った。
【0052】
タイプAの3人の被検者のそれぞれの長さXの値は23mm、20mm、20mm(平均21mm)であり、タイプBの3人の被検者のそれぞれの長さXの値は12mm、10mm、10mm(平均10.7mm)であり、タイプCの3人の被検者のそれぞれの長さXの値は5mm、0mm、0mm(平均1.7mm)であった。
【0053】
枕1の第1部分P1以外の部分の内容物の材料をポリエチレンパイプ及びウレタンフォームとし、枕1の表地の材料を綿70%シルク30%、枕1の第1部分P1及び第2部分P2の内容物の材料をポリエステル100%とした。枕1の裏地の材料をポリエステル65%綿35%とし、高さ調整部材8を厚さが1cmであってウレタンフォームから成るパッドとした。実験は、タイプAの被検者、タイプBの被検者、及びタイプCの被検者に対して、高さ調整部材8(パッド)の枚数を0枚、1枚又は2枚に変えて行った。
【0054】
以上の実験の体圧分布の結果を図8に示している。図8において、被検者の体圧分布のうち、色彩が濃い箇所は圧力値が高い箇所を示しており、色彩が薄い箇所は圧力値が低い箇所を示している。図8に示されるように、長さXが16mm以上である細い顔のタイプAの場合、パッドの枚数が0枚又は1枚の場合、頬のあたりZに高い圧力がかかっていることが分かる。これに対し、パッドの枚数を2枚にして第2部分P2を高くした場合には、頬のあたりZにかかる圧力が低減されている。
【0055】
一方、長さXが6mm未満である太い顔のタイプCの場合、パッドの枚数を1枚又は2枚としたときに、頬のあたりZに高い圧力がかかっていることが分かる。これに対し、パッドの枚数を0枚として第2部分P2を低くした場合には、頬のあたりZにかかる圧力が低減されている。また、長さXが6mm以上且つ16mm未満である中間の太さのタイプBの場合、パッドの枚数が1枚のときに頬のあたりZにかかる圧力が低減されていることが分かる。以上のように、長さXに応じてパッドの枚数を調整することにより、頬のあたりZにかかる圧力を低減できることが分かった。
【0056】
図9は、パッドの枚数と最大圧力値との関係をタイプAの被検者、タイプBの被検者、及びタイプCの被検者ごとに示した実験結果である。図9に示されるように、長さXが16mm以上である細い顔のタイプAの場合、パッドの枚数が2枚のときに最大圧力値が最も小さく、このときの最大圧力値は18(mmHg)程度であった。長さXが6mm以上且つ16mm未満であるタイプBの場合、パッドの枚数が1枚のときに最大圧力値が最も小さく、このときの最大圧力値は15(mmHg)程度であった。
【0057】
長さXが6mm未満である太い顔のタイプCの場合、パッドの枚数が0枚のときに最大圧力値が最も小さく、このときの最大圧力値の値は13(mmHg)程度であった。以上のように、長さXに応じてパッドの枚数を調整することにより、最大圧力値を低減できることが分かった。
【0058】
図10は、パッドの枚数と平均圧力値との関係をタイプAの被検者、タイプBの被検者、及びタイプCの被検者ごとに示した実験結果である。図10に示されるように、長さXが16mm以上である細い顔のタイプAの場合、パッドの枚数が2枚のときに平均圧力値が最も小さく8(mmHg)程度であった。長さXが6mm以上且つ16mm未満であるタイプBの場合、パッドの枚数が1枚のときに平均圧力値が最も小さく8(mmHg)程度であった。長さXが6mm未満である太い顔のタイプCの場合、パッドの枚数が0枚のときに平均圧力値が最も小さく6(mmHg)程度であった。
【0059】
以上のように、長さXに応じてパッドの枚数を調整することにより、平均圧力値を低減できることが分かった。更に、以上の実施例に係る実験結果より、直角三角形Tの長さXの値が大きい(頬から顎に向かう部分が細い)ときにパッドの枚数を増やし、長さXの値が小さい(頬から顎に向かう部分が太い)ときにパッドの枚数を減らすことによって被検者に最適な第2部分P2の高さとすることが可能であることが分かった。
【符号の説明】
【0060】
1…枕、2…長辺、2b…第1長辺、2c…第2長辺、3…短辺、3b…第1短辺、3c…第2短辺、5…第1仕切部、6…第2仕切部、8…高さ調整部材、10…側地、21,31…枕高さ決定用測定具、21b…角部、22…枠部、22b…縦辺、22c…横辺、23…目盛り部、32…目盛り部材、32b…縦線、32c…横線、C1…第1交点、C2…第2交点、D1…第1方向、D2…第2方向、L1…第1直線、L2…第2直線、L3…第3直線、M…使用者、M1…頬骨、M2…顎、M3…口元、M4…輪郭、P1…第1部分、P2…第2部分、R…カメラ、T…直角三角形、T1…底辺、T2…斜辺、W…壁、θ…角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10