(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】中空構造体
(51)【国際特許分類】
B32B 3/12 20060101AFI20231207BHJP
E04C 2/36 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
B32B3/12 B
E04C2/36 G
(21)【出願番号】P 2019171696
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】青木 規洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 空
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205885(JP,A)
【文献】特開平06-344477(JP,A)
【文献】特開2015-199320(JP,A)
【文献】特開2015-120288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
E04C 2/00 - 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数のセルが並設された板状のコア層と、前記コア層の両面に接合された一対のスキン層を備えてなる熱可塑性樹脂製の中空構造体であって、
前記コア層は、該コア層の主面に対して垂直方向に延びて前記セルを区画する側壁部と、前記側壁部の上端縁に設けられた上壁部と、前記側壁部の下端縁に設けられた下壁部を備えるように、塑性を有する1枚のシートが所定の形状に成形されたシート材から成形されてなり、
前記コア層には、前記上壁部及び前記下壁部の少なくともいずれかが取り除かれて、厚みが薄くされた薄肉部が形成されており、
前記薄肉部では、前記側壁部は屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びており、
前記側壁部の端縁には、前記上壁部及び前記下壁部の少なくともいずれかが設けられていない除去後端縁が形成されており、
前記除去後端縁には、前記セルの内方側に延びる突出部が形成されており、
前記突出部は、一定の厚みに形成されているとともに、その厚みは前記スキン層の厚みよりも薄く、
前記コア層における前記上壁部及び前記下壁部の少なくともいずれかが取り除かれた側に接合された前記スキン層は、前記側壁部の除去後端縁及び前記突出部と接合されていることを特徴とする中空構造体。
【請求項2】
前記側壁部は、第1側壁部と第2側壁部を備えた2層構造をなし、
前記側壁部には、前記第1側壁部と前記第2側壁部が接合されない非接合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空構造体。
【請求項3】
前記薄肉部では、前記側壁部の前記垂直方向の長さが徐々に変化していることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂製の中空構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂製の中空構造体は軽量であって適度な剛性を備えていることから、様々な立体形状に成形することにより、家具、建材等、様々な分野に幅広く適用されている。特許文献1には、熱可塑性樹脂製のプラスチックハニカム体をプレス成形して凹凸形状を賦形した中空構造体を、住宅等の内装部材として使用することが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載される内装部材は、受け型及び押し型の型合わせにより形成されたキャビティ内でプラスチックハニカム体をプレス成形することにより、所望の凹凸形状に成形されてなる。特許文献1では、内装部材として必要な圧縮強度を確保するために、受け型の凹部に対応する部分に、複数の板状の熱刃が立設された押し型を使用している。プレス成形時には、プラスチックハニカム体の表面を受け型側に向けて載置して押し型を下降させると、プラスチックハニカム体の裏面側は押し型に立設された板状の熱刃によって軟化溶融されつつ受け型の凹部に向かって押される。凹凸形状が賦形されたプレス成形品の凹部では、熱刃によって複数の凹溝が形成され、凹溝の周囲では熱刃によって樹脂が溶融して溶融側壁が形成される。また、熱刃やその近傍以外にはプレス成形時の押圧力が作用し難いことから、プラスチックハニカム体の側壁が座屈することが抑制される。これにより、プラスチックハニカム体の圧縮強度がプレス成形前より向上して圧縮強度に優れた内装部材が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、内装部材に形成された凹部では、凹溝の部分では溶融側壁が形成される一方で、凹溝以外の部分では、側壁の座屈が抑制されているとは言え、なお改善の余地がある。そのため、凹溝以外の部分に何らかの衝撃が加わると、外面層がその衝撃に耐えられない場合がある。
【0006】
本発明は、従来のこうした問題を解決するためになされたものであり、その目的は、耐衝撃性に優れた中空構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、内部に複数のセルが並設された板状のコア層と、前記コア層の両面に接合された一対のスキン層を備えてなる熱可塑性樹脂製の中空構造体であって、前記コア層は、該コア層の主面に対して垂直方向に延びて前記セルを区画する側壁部と、前記側壁部の上端縁に設けられた上壁部と、前記側壁部の下端縁に設けられた下壁部を備えるように、塑性を有する1枚のシートが所定の形状に成形されたシート材から成形されてなり、前記コア層には、前記上壁部及び前記下壁部の少なくともいずれかが取り除かれて、厚みが薄くされた薄肉部が形成されており、前記薄肉部では、前記側壁部は屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びており、前記側壁部の端縁には、前記上壁部及び前記下壁部の少なくともいずれかが設けられていない除去後端縁が形成されており、前記除去後端縁には、前記セルの内方側に延びる突出部が形成されており、前記コア層における前記上壁部及び前記下壁部の少なくともいずれかが取り除かれた側に接合された前記スキン層は、前記側壁部の除去後端縁及び前記突出部と接合されている。
【0008】
上記の構成によれば、コア層の厚みが薄くされた薄肉部では、側壁部は屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びている。そのため、中空構造体の主面側から衝撃が掛かったような場合に、側壁部で衝撃を吸収することができるため、薄肉部での中空構造体の変形が抑制される。側壁部が折れ曲がっているような場合に比べて耐衝撃性に優れた中空構造体が得られる。
【0009】
また、薄肉部では、コア層の側壁部の上端部及び下端部の少なくともいずれが設けられておらず、コア層の主面は側壁部の端縁(除去後端縁)と突出部とで形成されている。そして、壁部が存在しない側に接合されているスキン層は、除去後端縁及び突出部と接合されている。そのため、中空構造体の少なくともいずれかの面では、除去後端縁及び突出部とスキン層とが線状に近い状態で接合されていることになる。例えば、中空構造体の一方の面に衝撃が加わると、その面で受けた衝撃は中空構造体の内部に伝わる。中空構造体の表面側のスキン層がコア層の除去後端縁及び突出部と線状に近い状態で接合されていると、スキン層がコア層の壁部と面状に接合されている場合に比べて、スキン層に対するコア層の側壁部の動きが許容される。また、側壁部の動きが許容される一方で、突出部が形成されている分、突出部が形成されていない場合に比べてスキン層との接合強度は向上する。その結果、接合強度は保持しつつ、衝撃が分散し易くなって中空構造体に掛かる衝撃が吸収される。衝撃吸収性が高まることにより耐衝撃性に優れた中空構造体が得られる。
【0010】
上記の構成において、前記側壁部は、第1側壁部と第2側壁部を備えた2層構造をなし、前記側壁部には、前記第1側壁部と前記第2側壁部が接合されない非接合部が設けられていることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、コア層の2層構造の側壁部(第1側壁部と第2側壁部)には、2層構造の側壁部が互いに接合されていない非接合部を有している。そのため、中空構造体の一方の面に加わった衝撃は、第1側壁部及び第2側壁部のずれによっても吸収される。
【0012】
中空構造体に衝撃が加わったときに、コア層の2層構造の側壁部におけるずれによって衝撃吸収性が高まることから、中空構造体の表面に割れ等が生じることが抑制される。
上記の構成において、前記薄肉部では、前記側壁部の前記垂直方向の長さが徐々に変化していることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐衝撃性に優れた中空構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】(a)~(d)は第1実施形態の中空構造体を製造する方法について説明する図。
【
図4】(a)は除去前コア層を構成するシート材の斜視図、(b)は同シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は同シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【
図5】(a)は除去前コア層の斜視図、(b)は(a)のβ‐β線断面図、(c)は(a)のγ‐γ線断面図。
【
図6】(a)は第2実施形態の中空構造体の斜視図、(b)は(a)のσ‐σ線断面図。
【
図7】(a)~(c)は第2実施形態の中空構造体を製造する方法について説明する図。
【
図8】(a)は第2実施形態の中空構造体の断面図、(b)は従来の中空構造体の断面図。
【
図9】(a)~(c)は第3実施形態の中空構造体を製造する方法について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。本実施形態の中空構造体は、例えば、畳の芯材等に適用される。
(第1実施形態)
第1実施形態の中空構造体10について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の中空構造体10は、内部に複数のセルSが並設されたコア層20と、コア層20の上面20aに接合されたスキン層30と、コア層20の下面20bに接合されたスキン層40を備えた板状部材として構成されている。コア層20、スキン層30及びスキン層40は、熱可塑性樹脂製である。また、コア層20、スキン層30及びスキン層40は、図示しない熱可塑性樹脂製の接着層を介して接合されている。
【0017】
コア層20、スキン層30及びスキン層40を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知のものであってその材質は特に限定されない。例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。コア層20、スキン層30及びスキン層40を構成する熱可塑性樹脂は、いずれも同じ材質であることが好ましい。本実施形態では、いずれもポリプロピレン樹脂製とされている。
【0018】
また、コア層20とスキン層30、40を接合する接着層を構成する熱可塑性樹脂も従来周知のものであってその材質は特に限定されない。例えば、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系のものが挙げられる。接着層は、コア層20、スキン層30及びスキン層40を構成する熱可塑性樹脂より低融点の樹脂であることが好ましい。本実施形態では、官能基をポリオレフィンに導入して接着性を付与した変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン系樹脂(変性樹脂)で構成されている。
【0019】
接着層の厚さは、0.1~0.5mmであることが好ましく、0.2~0.3mmであることがより好ましい。接着層の厚さがこの範囲であると、コア層20とスキン層30、40との十分な接着強度を得ることができる。また、中空構造体10の成形性に優れるとともに、コスト面からも好ましい。
【0020】
なお、後に説明する除去前スキン層60も、スキン層30、40と同じ材質の熱可塑性樹脂製である。除去前スキン層60の一方の面には、スキン層30、40と同じ構成の熱可塑性樹脂製の接着層が塗布されており、接着層を介して、後に説明する除去前コア層50に接合されている。
【0021】
図2に示すように、コア層20には、中空構造体10の厚み方向に直交する方向に並設されるように複数のセルSが区画形成されている。コア層20は、複数のセルSを区画する側壁部23と、側壁部23の下端縁に接合されてセルSの下端を閉塞するように設けられた下壁部22を備えている。側壁部23の上端縁には壁部が設けられておらず、セルSの上端は上方に向かって開口している。
【0022】
側壁部23は、側面視において、屈曲することなく連続状態で中空構造体10の厚み方向に延びている。ここで屈曲とは、折れ曲がることを言い、曲がるとは、変曲点を境界として異なる方向に延びる状態を言うものとする。側壁部23としては、中空構造体10の厚み方向に真っすぐ立設されているもの、つまり、コア層20の下面20bの延びる方向に対して垂直となる方向に立設されているものが存在する。また、側面視で、前記垂直方向に対して交差する方向に傾斜するように立設されているものが存在する。さらに、側面視で、前記垂直方向に立設されているか、前記垂直方向に対して傾斜するように立設されているものの、その途中で湾曲しているものが存在する。いずれの側壁部23も、屈曲することなく、コア層20の厚み方向に連続状態で延びている。
【0023】
また、後に説明するように、側壁部23は、1層構造の側壁部23と2層構造の側壁部23が混在している。2層構造の側壁部23は、第1側壁部23bと第2側壁部23cとで構成されており、コア層20の下面20bでは、第1側壁部23bと第2側壁部23cとが熱溶着されている。一方、コア層20の上面20aでは、第1側壁部23bと第2側壁部23cとが当接して熱溶着されている部分、或いは、離間した状態となっている部分が混在している。
【0024】
こうした側壁部23の存在により、コア層20のセルSでは、上面視で複数の形状が混在する状態になっている。コア層20の下面20b側、つまり、コア層20のセルSを下面視したときには、セルSはほぼ正六角形状であるのに対し、上面視したときには、セルSは正六角形状が歪んだ形状のものが混在している。
【0025】
側壁部23の上端縁には、コア層20の上面20aに沿うとともに、セルSの内方側に延びる突出部24が形成されている。突出部24は、側壁部23からセルSの内方側への突出長が略同一となるように形成されている。つまり、突出部24は略同一幅で側壁部23から突出している。突出部24のセルSの内方側への突出長は、5mm程度以下であることが好ましい。5mm程度とは、上面視六角形状のセルSの最も長い対角線の長さに対して、5~10%程度の長さである。なお、突出部24は、側壁部23の上端縁全体に形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。また、突出部24が形成されていない側壁部23が存在していてもよく、突出部24が形成されていないセルSが存在していてもよい。
【0026】
図1に示すように、中空構造体10では、コア層20の上面20aに接合されたスキン層30は、コア層20の側壁部23の上端縁及び突出部24に対して、接着層を介して接合されていることになる。一方、コア層20の下面20bに接合されたスキン層40は、コア層20の下壁部22に対して、接着層を介して接合されている。なお、側壁部23の上端縁は、後に説明する除去後端縁23aである。
【0027】
第1実施形態の中空構造体10では、後に説明する除去前コア層50の上壁部21の全体が取り除かれてコア層20が形成されている。そのため、請求項で言う薄肉部は、コア層20の全体に形成されていることになる。
【0028】
次に、中空構造体10の製造方法について、
図3~
図6を参照して説明する。中空構造体10の製造方法は、成形工程と、折り畳み工程と、第1接合工程と、除去工程と、第2接合工程を備えている。各工程の具体的内容について以下に説明する。
図3では、中空構造体10の製造方法を一連の工程として示し、
図4では、折り畳み工程について示している。
【0029】
図4(a)に示すように、成形工程では、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に加熱成形することによりシート材100が形成される。成形工程により形成されたシート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120がその幅方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0030】
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
【0031】
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
【0032】
図4(b)及び
図4(c)に示すように、折り畳み工程では、上述のように構成されたシート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことで除去前コア層50が形成される。具体的には、シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状の除去前コア層50が形成される。
【0033】
なお、除去前コア層50を形成するシート材100の厚みは、スキン層30、40や、除去前スキン層60の厚みより薄く形成されている。
図4(c)に示すように、シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによって除去前コア層50の上壁部21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによって除去前コア層50の下壁部22が形成される。
【0034】
図5(a)に示すように、折り畳み工程によって形成された除去前コア層50の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。
図5(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部23の上部に2層構造の上壁部21が設けられている。この2層構造の上壁部21の各層は互いに接合されている。また、2層構造の上壁部21には、除去前コア層50成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。第1セルS1においては、側壁部23の下部に1層構造の下壁部22が設けられている。
【0035】
図5(b)の部分拡大図に示すように、第1セルS1の側壁部23と上壁部21との境界部分は、微視的には、直線状に上方へ延びる側壁部23から湾曲しながら上壁部21に繋がった状態となっている。つまり、側壁部23と上壁部21との間には湾曲部分23eが形成されている。
【0036】
一方、
図5(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部23の上部に1層構造の上壁部21が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部23の下部に2層構造の下壁部22が設けられている。この2層構造の下壁部22の各層は互いに接合されている。2層構造の下壁部22には、除去前コア層50成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。
【0037】
図5(c)の部分拡大図に示すように、第1セルS1の側壁部23と上壁部21との境界部分は、微視的には、直線状に上方へ延びる側壁部23から湾曲しながら上壁部21に繋がった状態となっている。つまり、側壁部23と上壁部21との間には湾曲部分23eが形成されている。
【0038】
なお、
図4(c)に示すように、上壁部21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
【0039】
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部23を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部23を構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が、第1側壁部23bと第2側壁部23cとからなる2層構造をなす側壁部23となる。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
【0040】
図5(b)及び(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部23(第1側壁部23b及び第2側壁部23c)によって区画されている。この2層構造の側壁部23は、除去前コア層50の厚み方向中央部に互いに熱溶着されていない部分である非接合部23dを有する。したがって、除去前コア層50の各セルSの内部空間は、第1側壁部23bと第2側壁部23cの間の非接合部23dを介して他のセルSの内部空間に連通している。非接合部23dは、除去前コア層50の厚み方向中央部、つまり、側壁部23の高さ方向の中央部に設けられており、側壁部23の上端部及び下端部では、2層構造の第1側壁部23b及び第2側壁部23cは互いに熱溶着されている。なお、
図5(b)、
図5(c)、
図6(a)及び
図6(b)以外の図では、上壁部21、下壁部22、及び側壁部23の2層構造を省略して示している。
【0041】
図5(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されている。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されている。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、除去前コア層50は、全体としてハニカム構造をなしている。
【0042】
図3(a)に示すように、折り畳み工程により、上壁部21、下壁部22を備え、側壁部23によって複数のセルSが区画された除去前コア層50が得られる。なお、中空構造体10を構成するコア層20は、後に説明する除去工程において、除去前コア層50の上壁部21及び側壁部23の上端部が取り除かれたものから第2接合工程を経て得られたものである。そのため、除去前コア層50の側壁部23及び下壁部22と、コア層20の側壁部23及び下壁部22とを、ともに同じ部材番号で表すものとする。
【0043】
図3(b)に示すように、第1接合工程では、除去前コア層50の上面50aに除去前スキン層60を接合し、下面50bにスキン層40を接合する。第1接合工程では、除去前スキン層60及びスキン層40として、二次加工(プレス成形)していない平坦なシートを接合する。これは、第2接合工程におけるスキン層30についても同様である。
【0044】
第1接合工程では、除去前コア層50、スキン層40及び除去前スキン層60を所定温度に加熱して行う。加熱温度は、スキン層40及び除去前スキン層60における接着層の融点よりも数℃~十数℃高い温度に設定される。具体的には、加熱温度は、接着層を構成する変性ポリオレフィン系接着剤(変性樹脂)の融点よりも数℃程度高く設定されている。この加熱温度は、除去前コア層50やスキン層40及び除去前スキン層60を構成するポリアミド樹脂を軟化せるための成形温度に対して十分に低く設定されている。また、スキン層40及び除去前スキン層60を除去前コア層50に熱溶着する際の加熱時間は数秒~十数秒に設定され、スキン層40及び除去前スキン層60の同じ箇所が過度に長時間加熱されないようになっている。したがって、除去前コア層50、スキン層40及び除去前スキン層60が軟化溶融するまでの高温には至らず、加熱温度を厳密に管理しなくとも、接着層のみを軟化溶融させることができる。
【0045】
除去前コア層50に対してスキン層40及び除去前スキン層60を位置合わせし、所定圧をかけて仮接合させた後冷却すると、除去前コア層50に対してスキン層40及び除去前スキン層60が熱溶着された第1中間体70が得られる。
【0046】
図3(b)及び(c)に示すように、除去工程では、切断治具Tを除去前コア層50の厚み方向に直交する方向に移動させて、第1中間体70における除去前コア層50の上端部を取り除く。具体的には、切断治具Tを、除去前コア層50の側壁部23の上端部に向かって移動させる。切断治具Tは、例えば、先端に鋸刃が設けられた薄板状に形成されており、必要に応じて加熱されている。除去工程によって、除去前コア層50の上端部(上壁部21と側壁部23の上端部)が取り除かれた第2中間体80が得られる。第2中間体80は、コア層20と、コア層20の下面20bに接合されたスキン層40からなる。
【0047】
図3(c)に示すように、側壁部23の上端部が取り除かれたコア層20では、側壁部23は、側面視において、屈曲することなく連続状態でコア層20の厚み方向に延びており、側壁部23の上端縁に除去後端縁23aが形成される。切断治具Tは、除去前コア層50の厚み方向に直交する方向に移動されるため、コア層20に形成された複数の側壁部23の高さは、すべてほぼ同一に形成されている。そのため、除去後端縁23aの高さ方向の位置は、すべてほぼ同一の位置に形成されている。第2中間体80では、除去後端縁23aにより、コア層20の上面20aが構成されている。
【0048】
また、セルSを区画する側壁部23の一部は、第1側壁部23bと第2側壁部23cからなる2層構造であり、除去前コア層50の厚み方向中央部には互いに熱溶着されていない部分である非接合部23dが設けられている。除去工程で取り除かれた側壁部23の上端部は、非接合部23dの近傍上方であるか、非接合部23dの部分である。
【0049】
切断治具Tによる側壁部23の切断時には、側壁部23に対して作用する力によって、側壁部23は、コア層20の下面20bの延びる方向に対して垂直となる方向に立設されているもの、垂直方向に対して交差する方向に傾斜するように立設されているもの、コア層20の厚み方向の途中で湾曲しているものが混在した状態となる。また、コア層20の上面20aでは、第1側壁部23bと第2側壁部23cとが離間しているもの、離間することなく当接してものが混在した状態となっている。第1側壁部23bと第2側壁部23cとが離間しているものは、切断治具Tによる切断が、非接合部23dの近傍上方であるか、非接合部23dの部分でなされたことによる。こうした側壁部23の存在により、コア層20のセルSの上端縁は、正六角形状のものだけでなく、正六角形状が歪んだ形状のものが混在している。
【0050】
除去工程を経た除去後端縁23aには、切断治具Tによる切断によって毛羽だったようなささくれ状の部分が発生する場合がある。こうしたささくれ状の部分は除去後端縁23aからセルSの内方側へ突出しており、突出部24、25と同様にスキン層30との接合強度を向上させるように作用する。
【0051】
なお、除去工程では切断治具Tを側壁部23の上端部に向かって移動させて側壁部23の上端部を取り除くが、ここで言う側壁部23の上端部とは、側壁部23と上壁部21との間に形成された湾曲部分23eと側壁部23との境界部分である。この位置で切断することにより、除去後端縁23aは直線状になり、その後に形成された2層構造の第1側壁部23b及び第2側壁部23cが、衝撃による変形を許容し易い。
【0052】
図3(d)に示すように、第2接合工程では、第2中間体80におけるコア層20の上面20aにスキン層30を接合する。第2接合工程でも第1接合工程と同様、第2中間体80及びスキン層30を所定温度に加熱して行う。第2接合工程により、スキン層30の一方の面に形成された接着層が熱溶融し、第2中間体80に対してスキン層30が熱溶着された中空構造体10が得られる。
【0053】
第2接合工程での加熱温度、加熱時間は、第1接合工程での加熱温度、加熱時間より少し高く、かつ長く設定されている。加熱温度をこのように設定することにより、第2中間体80の除去後端縁23aが一部熱溶融し、除去後端縁23aには、コア層20の上面20aに沿うとともに、セルSの内方側に延びるように樹脂だまりが形成される。樹脂だまりは、スキン層30が熱溶着された中空構造体10の冷却により突出部24となる。
【0054】
また、第2接合工程での加熱によってセルS内の空気が熱膨張し、その熱膨張によって2層構造の側壁部23では、第1側壁部23b及び第2側壁部23cが互いに当接するように押される。これにより、除去工程では、非接合部23dの近傍上方であるか、非接合部23dの部分より上側が取り除かれた2層構造の側壁部23では、第1側壁部23bと第2側壁部23cが、それぞれが離間しているもの、離間することなく当接してものが混在することになる。
【0055】
次に、中空構造体10の作用について説明する。
中空構造体10は、コア層20の上面20aにスキン層30が接合されている。コア層20は、除去前コア層50における上壁部21及び側壁部23の上端部が取り除かれた形状であり、複数の側壁部23の上端縁に除去後端縁23a及び突出部24が形成されている。除去工程を経て形成された複数の除去後端縁23aの高さ方向の位置は、すべてほぼ同一の位置とされている。また、突出部24は、コア層20の上面20aに沿うようにセルSの内方側に延びている。そのため、スキン層30と除去後端縁23a及び突出部24とは線状に近い状態で接合しており、除去後端縁23aのみで接合されている場合に比べて接合強度が向上している。
【0056】
中空構造体10の上面側に衝撃が加わると、上面で受けた衝撃が中空構造体10の内部に伝わることになる。本実施形態の中空構造体10は、スキン層30とコア層20の除去後端縁23a及び突出部24との接合部分が線状に近い状態となっているため、スキン層30がコア層20の上壁部21と面状に接合されている場合に比べて、スキン層30に対するコア層20の側壁部23の動きが許容される。その結果、衝撃が分散しやすくなり中空構造体10に掛かる衝撃が吸収される。
【0057】
側壁部23は、コア層20の下面20bに垂直となる方向に立設されているもの、傾斜しているもの、途中で湾曲しているものが混在しているが、これらは、屈曲することなく連続状態でコア層20の厚み方向に延びている。また、側壁部23の一部は、第1側壁部23bと第2側壁部23cからなる2層構造であり、除去前コア層50の厚み方向中央部には互いに熱溶着されていない部分である非接合部23dが設けられている。2層構造の側壁部23は、第1側壁部23bと第2側壁部23cがそれぞれが離間しているもの、離間することなく当接してものが混在している。
【0058】
中空構造体10の上面側に衝撃が加わると、上面で受けた衝撃が中空構造体10の内部に伝わり、側壁部23が許容しようとする。側壁部23は、屈曲することなく連続状態でコア層20の厚み方向に延びていることから、側壁部23の変形が許容される。さらに、非接合部23dを有する第1側壁部23b及び第2側壁部23cは、非接合部23dの部分でずれ易い。このずれによっても、側壁部23の変形が許容される。その結果、衝撃が分散し易くなり中空構造体10に掛かる衝撃が吸収される。
【0059】
このように、中空構造体10に衝撃が加わったときに、スキン層30に対する側壁部23の動きが許容されるとともに、スキン層30の変形が許容されることにより、中空構造体10の衝撃吸収性が高まる。その結果、中空構造体10の表面に割れ等が生じることが抑制される。
【0060】
一方、中空構造体10の製造途中に得られた第1中間体70は、除去前コア層50の上壁部21に除去前スキン層60が熱溶着により接合されている。上壁部21は、除去前コア層50の上面全体を覆っており、除去前スキン層60は、上壁部21の表面全体に対して面で接合されている。第1中間体70の上面では、除去前コア層50と除去前スキン層60とが強固に接合されている。そのため、第1中間体70の上面側に衝撃が加わったような場合には、強固に接合された除去前コア層50の上壁部21と除去前スキン層60とで衝撃を受けることになるため、衝撃が吸収され難く、第1中間体70の表面に割れ等が生じ易くなる。
【0061】
中空構造体10は、1枚のシート材100を折り畳み成形した除去前コア層50の両面にスキン層40及び除去前スキン層60を接合してなる第1中間体70を経て製造される。1枚のシート材100を折り畳み成形した除去前コア層50では、上壁部21と側壁部23が連続しており、下壁部22と側壁部23が連続している。そのため、第1中間体70の上端部を取り除いた第2中間体80、つまり、除去前コア層50の上端部を取り除いたコア層20では、下壁部22と側壁部23の強度が保持されている。したがって、第2中間体80にスキン層30を接合してなる中空構造体10は、耐衝撃性に優れるだけでなく優れた強度を備えている。
【0062】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の中空構造体10は、コア層20の側壁部23に除去後端縁23a及び突出部24が形成され、除去後端縁23a及び突出部24とスキン層30が線状に近い状態で接合されている。
【0063】
そのため、中空構造体10の上面側から衝撃が加わった場合に、スキン層30がコア層20の上壁部21と面状に接合されている場合に比べて、スキン層30に対するコア層20の側壁部23の移動が許容される。その結果、衝撃が分散しやすくなり、中空構造体10の表面に割れ等が生じることが抑制される。耐衝撃性に優れた中空構造体10が得られる。
【0064】
(2)本実施形態の中空構造体10は、全体がコア層20の厚みが薄くされた薄肉部とされ、側壁部23は屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びている。
そのため、中空構造体10の主面側から衝撃が掛かったような場合に、側壁部23で衝撃を吸収することができるため、中空構造体10の変形が抑制される。側壁部23が折れ曲がっているような場合に比べて耐衝撃性に優れた中空構造体が得られる。
【0065】
(3)本実施形態の中空構造体10は、コア層20の側壁部23の一部が第1側壁部23b及び第2側壁部23cからなる2層構造とされ、第1側壁部23b及び第2側壁部23cは互いに熱溶着されていない非接合部23dを有している。
【0066】
そのため、中空構造体10の上面側から衝撃が加わった場合に、2層構造の側壁部23にもずれが生じやすい。このずれによっても中空構造体10の上面に加わった力が分散されて衝撃が吸収される。耐衝撃性に優れた中空構造体10が得られる。
【0067】
(4)本実施形態の中空構造体10は、第1中間体70、第2中間体80を経て製造される。第1中間体70は、1枚のシート材100を折り畳み成形して得られた除去前コア層50にスキン層40及び除去前スキン層60を接合して得られ、第2中間体80は、第1中間体70の上端部を取り除くことによって得られる。
【0068】
そのため、第1中間体70の除去前コア層50、第2中間体80のコア層20では、下壁部22と側壁部23が連続した形状に形成されている。側壁部23に対して下壁部22を接合して形成されたハニカムコア構造に比べて強度に優れている。第1中間体70、第2中間体80を経て中空構造体10を製造することにより、強度に優れた中空構造体10が得られる。
【0069】
(5)第1接合工程では、加熱温度及び加熱時間を、除去前コア層50、スキン層30、40及び除去前スキン層60が軟化溶融するまでの高温には至らず、接着層のみを軟化溶融させることができるように管理している。
【0070】
そのため、除去前コア層50とスキン層40が強固に接合される一方で、第1接合工程を経ても、中空構造体10のセルSを区画する2重構造の側壁部23では、側壁部23の一部に接合していない非接合部23dを保持することができる。耐衝撃性に優れた中空構造体10が得られる。
【0071】
(6)第2接合工程では、加熱温度、加熱時間は、第1接合工程より少し高く、かつ長く設定されている。
そのため、第2中間体80の除去後端縁23aが一部熱溶融し、除去後端縁23aには、コア層20の上面20aに沿うとともに、セルSの内方側に延びるように樹脂だまりが形成される。樹脂だまりが冷却されて形成された突出部24により、コア層20とスキン層30との接合強度が向上する。
【0072】
(7)除去工程では、例えば、先端に鋸刃が設けられた薄板状の切断治具Tを、除去前コア層50の厚み方向に直交する方向に移動させて、第1中間体70における除去前コア層50の上端部を切断している。
【0073】
そのため、コア層20では、側壁部23の上端縁、つまり、除去後端縁23aの高さがほぼ同一となる。コア層20の除去後端縁23aとスキン層30とを好適に接合することができる。
【0074】
(8)除去工程では、切断治具Tを側壁部23と上壁部21との間に形成された湾曲部分23eと側壁部23との境界部分に移動させて、側壁部23の上端部を取り除いている。
【0075】
そのため、除去後端縁23aは線状になる。スキン層30に対する側壁部23の移動を許容することができる。
(9)除去工程では、切断治具Tを、除去前コア層50の厚み方向に直交する方向に移動させて、第1中間体70における除去前コア層50の上端部を切断して薄肉部を形成している。
【0076】
例えば、コア層20を厚み方向に圧縮して薄肉部を形成するような場合には、側壁部23が圧縮されて座屈し易いが、切断治具Tによる切断によれば、側壁部23の座屈を抑制することができる。そのため、第2中間体80における側壁部23は、その立設状態が保持されて、屈曲することなく連続状態で延びている。耐衝撃性に優れた中空構造体10が得られる。
【0077】
(10)コア層20とスキン層30、40を接着する接着層は、官能基をポリオレフィンに導入して接着性を付与した変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン系接着剤(変性樹脂)で構成されている。
【0078】
そのため、コア層20とスキン層30、40の剥離強度が向上し、強度に優れた中空構造体10が得られる。
(11)中空構造体10の下面側では、コア層20は、1層構造の下壁部22か、2層構造の下壁部22でセルSが閉塞されている。
【0079】
そのため、コア層20とスキン層40との接着面積が広く、剥離強度が優れている。
(12)第2接合工程での加熱により、除去後端縁23aには突出部24が形成される。2層構造の側壁部23における非接合部23dでは、第1側壁部23b及び第2側壁部23cの間に僅かな隙間が形成されているが、突出部24はこの隙間の上部に形成されたり、2層構造の側壁部23の上端縁における第1側壁部23b及び第2側壁部23cの間を繋ぐように形成されたりする。
【0080】
そのため、第2接合工程でのスキン層30の接合強度が向上する。
(第2実施形態)
第2実施形態の中空構造体11について、
図6~
図8を参照して説明する。ここでは、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0081】
第1実施形態の中空構造体10は、薄肉部がコア層20の全体に形成されており、上面が平坦な構造のものとして説明した。第2実施形態の中空構造体11は、
図6(a)に示すように、その上面の一部に凹部12が形成されており、凹部12は、中空構造体11における他の部分に比べて厚みが薄い薄肉部を構成している。凹部12は、中空構造体11の上面側から略直方体形状に凹んでおり、略長方形状の底面12aと4つの側面12bで囲まれている。
【0082】
図6(b)に示すように、本実施形態の中空構造体11は、内部に複数のセルSが並設されたコア層90と、コア層90の上面90aに接合されたスキン層30及び除去前スキン層60と、コア層90の下面90bに接合されたスキン層40を備えた板状部材として構成されている。スキン層30及び除去前スキン層60は、図示しない接着層を介してコア層90の上面90aに接合されており、スキン層40は図示しない接着層を介してコア層90の下面90bに接合されている。スキン層30は、コア層90の上面90aに接合されて中空構造体11の凹部12の底面12a及び4つの側面12bに対応する部分を構成しており、除去前スキン層60は、凹部12以外のコア層90の上面90aに接合されている。コア層90、スキン層30、40及び除去前スキン層60の材質、及び接着層の材質は第1実施形態と同様である。
【0083】
図6(a)及び(b)に示すように、凹部12では、側壁部23は屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びており、その上端縁には、コア層90の上面90aに沿うとともに、セルSの内方側に延びる突出部25が形成されている。突出部25は、側壁部23からセルSの内方側への突出長が略同一となるように形成されている。つまり、突出部25は略同一幅で側壁部23から突出している。なお、突出部25は、側壁部23の上端縁全体に形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。また、突出部25が形成されていない側壁部23が存在していてもよく、突出部25が形成されていないセルSが存在していてもよい。
【0084】
図7(a)~(c)に示す中空構造体11の製造方法とともに、中空構造体11の構造についてあわせて説明する。
中空構造体11の製造方法は、基本的には第1実施形態の中空構造体10と同様である。特に、中空構造体11の製造方法のうち、成形工程、折り畳み工程、及び第1接合工程は、第1実施形態の中空構造体10と同様であるため、以下では、第1接合工程で得られた第1中間体70から、凹部12に対応する部分を取り除く除去工程以降について説明する。
【0085】
図7(a)及び(b)に示すように、除去工程では、第1中間体70において、中空構造体11の凹部12に対応する部分を、切断治具Tにより取り除く。切断治具Tとしては、第1実施形態と同様のものであってもよく、また、例えば、凹部を取り除きやすいようなドリル状のものであってもよい。切断治具Tは、必要に応じて加熱して使用することができる。
【0086】
図7(b)に示すように、除去工程によって、第1中間体70における除去前コア層50の上壁部21の一部と側壁部23の一部の上端部が取り除かれてコア層90が形成されるとともに、取り除かれた上壁部21に接合されていた除去前スキン層60が取り除かれる。これにより、凹部81aがその上面側に形成された第2中間体81が得られる。第2中間体81は、上面側に上壁部21が残存したコア層90と、残存した上壁部21に接合された除去前スキン層60と、下面側に接合されたスキン層40を備えている。
【0087】
第2中間体81の凹部81aでは、側壁部23の上端部が取り除かれた部分に除去後端縁23aが形成されている。凹部81aの底面は除去後端縁23aで構成され、凹部81aの側面には、上壁部21の端縁、除去前スキン層60の端縁が露出した状態とされている。コア層90に形成された除去後端縁23aの高さ方向の位置は、すべてほぼ同一の位置に形成されている。
【0088】
図7(c)に示すように、第2接合工程では、第2中間体81に形成された凹部81aにスキン層30を接合する。第2接合工程での加熱温度、加熱時間は、第1接合工程より少し高く、かつ長く設定されていることから、第2接合工程により、スキン層30の一方の面に形成された接着層が熱溶融して、スキン層30が凹部81aに接着層を介して熱溶着される、また、スキン層30と除去前スキン層60との繋ぎ目が熱溶融して、スキン層え0と除去前スキン層60が一体化する。さらに、第2中間体81の凹部81aでは、除去後端縁23aに、凹部81aにおける上面に沿うとともに、セルSの内方側に延びるように樹脂だまりが形成される。樹脂だまりは、スキン層30が熱溶着された中空構造体11の冷却により突出部25となる。これにより、コア層90の下面90bにスキン層40が接合された中空構造体11が得られる。中空構造体11の上面側では、凹部12を覆うスキン層30と凹部12以外の部分を覆う除去前スキン層60が、連続して一体的に接合されている。
【0089】
次に、中空構造体11の作用について、中空構造体10と同様な作用以外の作用について説明する。
図8(a)に示すように、中空構造体11は、凹部12が形成されることにより厚みの薄い薄肉部を部分的に有している。そして、コア層90において中空構造体11の凹部12に対応する部分では、除去工程によって切断された側壁部23が形成されている。そのため、凹部12における側壁部23は、凹部12以外の他の部分における側壁部23よりその高さは低いものの、凹部12以外の他の部分と同様、屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びている。つまり、本実施形態の中空構造体11では、除去前コア層50の一部を取り除く態様で凹部12を形成しているため、コア層90は、側壁部23の形状がそのまま維持された状態とされている。
【0090】
一方、中空構造体11の一部に凹部12を形成する方法として、除去前コア層50の両面にスキン層40及び除去前スキン層60を接合した第1中間体70を形成後、加熱冶具により一部を熱圧縮する方法が考えられる。この場合、
図8(b)に示すように、側壁部23が圧縮されて座屈する場合がある。側壁部23が座屈すると、厚み方向に連続状態で延びている場合に比べて中空構造体11の強度が低下することが考えられる。
【0091】
これに対して、本実施形態の中空構造体11では、側壁部23の形状が、凹部12と凹部12以外の部分で同様の形状に維持されているため、強度が低下することが抑制され、凹部12での変形が抑制される。
【0092】
本実施形態によれば、上記(1)~(12)に加えて以下のような効果を得ることができる。
(13)本実施形態の中空構造体11には、部分的に凹部12が形成されている。凹部12は、除去工程において、第1中間体70の一部を除去したものにスキン層30を接合することによって形成されている。
【0093】
そのため、凹部12では、コア層90の側壁部23が屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びている。凹部12以外の他の部分と側壁部23の形状が変化しないため、凹部12が変形したり、強度が低下したりすることが抑制される。
【0094】
(14)本実施形態の中空構造体11の凹部12は、第1中間体70の一部を除去することにより形成されている。
そのため、除去前コア層50の側壁部23において取り除く部分を調整することにより、肉厚の異なる凹部12を容易に成形することができる。中空構造体11の形状を適宜変更することができる。汎用性に優れた中空構造体11が得られる。
【0095】
(第3実施形態)
第3実施形態の中空構造体13の構造は、第2実施形態の中空構造体11の構造と基本的に同じであり、その製造工程が異なっている。第2実施形態の製造工程と異なる部分を中心に説明する。
【0096】
図9に示すように、第3実施形態の中空構造体13の製造方法は、成形工程と、折り畳み工程と、除去工程と、第2接合工程を備えており、第1接合工程を備えていない。第1接合工程を備えていないことから、除去前コア層50に除去前スキン層60及びスキン層40を接合してなる第1中間体70に相当するものは存在しない。
【0097】
図9(a)及び(b)に示すように、除去工程では、除去前コア層50において、中空構造体13の凹部12に対応する部分を、切断治具Tにより取り除く。切断治具Tの切断方向は、除去前コア層50の主面に沿う方向であって、かつ、除去前コア層50を形成するシート材100の折り畳み方向と垂直となる方向となるように設定する。このとき、除去前コア層50の外周をクランプ等で保持し、除去前コア層50の移動や変形を抑制する。クランプ等で保持することにより、除去前スキン層60及びスキン層40が接合されていなくても、除去前コア層50の変形を抑制しつつ、凹部12に対応する部分(凹部82a)を形成することができる。
【0098】
図9(b)に示すように、除去工程によって、除去前コア層50の上壁部21の一部と側壁部23の一部の上端部が取り除かれてコア層90が形成される。これにより、凹部82aがその上面側に形成された第2中間体82が得られる。第2中間体82の上面の凹部82a以外の部分には上壁部21が残存している。
【0099】
第2中間体82の凹部82aでは、側壁部23の上端部が取り除かれた部分に除去後端縁23aが形成されている。凹部82aの底面は除去後端縁23aで構成され、凹部82aの側面には、上壁部21の端縁が露出した状態とされている。コア層90に形成された除去後端縁23aの高さ方向の位置は、すべてほぼ同一の位置に形成されている。
【0100】
図9(c)に示すように、第2接合工程では、第2中間体82の上面全体にスキン層30を接合し、下面全体にスキン層40を接合する。第2接合工程での加熱温度は、第2中間体82の除去後端縁23aが一部熱溶融する温度に設定されていることから、第2接合工程により、スキン層30の一方の面に形成された接着層が熱溶融して、スキン層30が除去前コア層50の上面側に接着層を介して熱溶着される、このとき、第2中間体82の凹部82aでは、除去後端縁23aに、凹部82aにおける上面に沿うとともに、セルSの内方側に延びるように樹脂だまりが形成される。樹脂だまりは、スキン層30が熱溶着された中空構造体13の冷却により突出部25となる。また、スキン層40の一方の面に形成された接着層が熱溶融して、スキン層40が除去前コア層50の下壁部22に接着層を介して熱溶着される。
【0101】
本実施形態によれば、上記(1)~(11)に加えて以下のような効果を得ることができる。
(15)本実施形態の中空構造体13には、部分的に凹部12が形成されている。凹部12は、除去工程において、除去前コア層50の一部を除去したものにスキン層30、40を接合することによって形成されている。
【0102】
そのため、凹部12では、コア層90の側壁部23が屈曲することなく連続状態で厚み方向に延びている。凹部12以外の他の部分と側壁部23の形状が変化しないため、凹部12が変形したり、強度が低下したりすることが抑制される。
【0103】
(16)本実施形態の中空構造体13の凹部12は、除去前コア層50の一部を除去することにより形成されている。
そのため、除去前コア層50の側壁部23において取り除く部分を調整することにより、肉厚の異なる凹部12を容易に成形することができる。中空構造体13の形状を適宜変更することができる。汎用性に優れた中空構造体13が得られる。
【0104】
(17)本実施形態の中空構造体13の製造方法では、第1接合工程を経ることなく、除去前コア層50に凹部12に相当する部分である凹部82aを形成した後、スキン層30、40を接合している。
【0105】
そのため、凹部12が形成された側のスキン層30は、凹部12と凹部12以外の部分とで一体に連続している。凹部12の境界部分での外観形状を向上させることができる。
上記各実施形態は、次のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
【0106】
・除去前コア層50は、本実施形態のような折り畳み工程によって製造されるものに限らない。1枚のシート材を折り畳んで複数のセルが形成されるものであれば、その折り畳み態様は特に限定されない。例えば、特許第4368399号に記載されるように、断面台形状の凸部が複数列設された三次元構造体を順次折り畳んでいくことにより、ハニカム構造体としての除去前コア層50を形成してもよい。
【0107】
・除去前コア層50は、折り畳み工程を経て形成されるものでなく、塑性を有するシート材を膨出させることによって形成してもよい。例えば、塑性を有するシート材を真空成形して、多角柱形状や円柱形状のセルが複数膨出されたような形状のものを除去前コア層50としてもよい。或いは、1枚のシートを折り曲げることにより膨出領域と平面領域とが交互に形成されたものを除去前コア層50として使用してもよい。これらの場合、除去前コア層50の側壁部23が非接合部を有する2層構造となっていることが好ましい。第1接合工程では、膨出領域の上面に除去前スキン層60を接合し、平面領域の下面にスキン層40を接合し、得られた第1中間体70から、除去工程、第2接合工程を経て、中空構造体10、11を得ることができる。
【0108】
・上記実施形態では、コア層20、90(除去前コア層50)の内部に六角柱状のセルSが区画形成されていたが、セルSの形状は、特に限定されるものでなく、例えば、四角柱状、八角柱状等の多角形状や円柱状としてもよい。その際、異なる形状のセルSが混在していてもよい。また、各セルSは隣接していなくともよく、セルSとセルSとの間に隙間(空間)が存在していてもよい。
【0109】
・第3実施形態の中空構造体13は、第2実施形態の中空構造体11を製造する工程において、第1接合工程が存在しない方法で製造されているが、第1実施形態の中空構造体10についても、第3実施形態の中空構造体13のように製造することができる。
【0110】
・上記実施形態では、スキン層30、40及び除去前スキン層60を1層構造として構成しているが、2層以上の積層体として構成してもよい。この場合、2層以上の各層で、熱可塑性樹脂を異ならせるようにしてもよい。例えば、スキン層30、40及び除去前スキン層60の少なくともいずれかを3層構造としてもよい。この場合、中間層の硬度を相対的に高くし、中間層を挟む一対の表層の硬度を相対的に低くする。こうすることで、中空構造体10、11、13の耐衝撃性を調整することが可能となる。つまり、相対的に軟質の表層が衝撃を吸収し、相対的に硬質の中間層が、衝撃を面として受けるための剛性を付与することができる。
【0111】
なお、スキン層30、40及び除去前スキン層60を2層以上の積層体として構成する場合、それぞれの層構造を異ならせてもよい。また、スキン層30及び除去前スキン層60のみを1層構造としたり、スキン層40のみを1層構造としたりしてもよい。第2実施形態の中空構造体11の場合、スキン層30と除去前スキン層60は同じ層構成であることが好ましい。
【0112】
・スキン層30、スキン層40、除去前スキン層60の少なくともいずれかの厚みを異ならせてもよい。
・中空構造体10、11、13に、スキン層30、40及び除去前スキン層60とは材質の異なる他のシートを貼ってもよい。例えば、金属シート、繊維強化樹脂シート等を、スキン層30、40や除去前スキン層60の表面に貼ったり、コア層20、90との間に貼ったりしてもよい。
【0113】
・コア層20、90、スキン層30、40及び除去前スキン層60を構成する熱可塑性樹脂として、各種機能性樹脂を添加したものを使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に難燃性の樹脂を添加することにより、難燃性を高めることが可能である。コア層20。90、スキン層30、40、及び除去前スキン層60のすべてに対して各種機能性樹脂を添加したものを使用することも可能であり、また、コア層20。90、スキン層30、40、及び除去前スキン層60の少なくともいずれかに対して使用することも可能である。
【0114】
・スキン層30、40及び除去前スキン層60は、コア層20、90に対して接着層を介して接合されているが、接着層を介して接合されていなくてもよい。第1接合工程、第2接合工程での加熱温度、加熱時間を適宜調整して、スキン層30、40及び除去前スキン層60や、コア層20、90を構成する熱可塑性樹脂を熱溶融させて、それぞれを熱溶着させてもよい。また、粘着剤によって互いに接合されていてもよい。
【0115】
・除去工程では、側壁部23と上壁部21との間に形成された湾曲部分23eと側壁部23との境界部分で側壁部23を切断した。これに限らず、湾曲部分23eを除去後端縁23a側に残した状態で切断してもよい。
【0116】
・第1実施形態の中空構造体10は、除去前スキン層60及び上壁部21が取り除かれて、コア層20の上面20aにスキン層30が接合されているが、これに限定されない。除去前スキン層60が除去前コア層50の下面50b側に接合されるとともに、除去前スキン層60及び下壁部22が取り除かれて、コア層20の下面20bにスキン層40が接合されてもよい。また、除去前スキン層60が除去前コア層50の上面50a及び下面50bに接合されるとともに、除去前スキン層60及び上壁部21、除去前スキン層60及び下壁部22が取り除かれて、コア層20の上面20a及び下面20bにスキン層30、40が接合されてもよい。
【0117】
・第1実施形態の中空構造体10は、除去工程では切断治具Tを側壁部23の上端部に向かって、除去前コア層50の厚み方向に直交する方向、つまり、除去前コア層50の上面50aや下面50bに対して平行となるように移動させた。そのため、除去後端縁23aの高さ方向の位置は、すべてほぼ同一の位置に形成されている。これに限らず、例えば、切断治具Tを除去前コア層50の上面50aや下面50bに対して傾斜する方向に移動させてもよい。この場合、除去後端縁23aの上端縁は一方向に傾斜して形成される。つまり、除去後端縁23aは、その高さが、中空構造体10の厚み方向と直交する方向に直線的に徐々に変化するように形成される。この除去後端縁23aにスキン層30を接合して、スキン層30がスキン層40に対して傾斜するような中空構造体10を形成してもよい。
【0118】
また、除去後端縁23aの上端縁の高さが徐々に高くなる部分と徐々に低くなる部分とが組み合わされていてもよく、ほぼ同一の高さの部分と高さが徐々に変化する部分とが混在していてもよい。これにより、凹部12の形状を複雑な形状とすることができる。
【0119】
或いは、除去後端縁23aの上端縁の高さが曲線状に変化するようにしてもよい。この場合、切断治具Tを除去前コア層50の上面50aや下面50bに対して曲面を形成するように移動させてればよい。この除去後端縁23aにスキン層30を接合すると、上面が緩やかに湾曲した中空構造体10が得られる。
【0120】
第2実施形態の中空構造体11、第3実施形態の中空構造体13でも同様に、凹部12の上面が下面に対して斜め方向に傾斜したり、湾曲したりするように形成してもよい。
・第2実施形態の中空構造体11、第3実施形態の中空構造体13は、上面側に1箇所の凹部12が形成されていたが、これに限定されない。上面側に複数の凹部12が形成されていてもよく、下面側に凹部12が1乃至複数形成されていてもよく、両面に1乃至複数の凹部12が形成されていてもよい。複数の凹部12を形成する場合、それぞれの凹部12の深さ、形状、大きさ等は、同じであっても異なっていてもよい。
【0121】
・中空構造体として、一方の面が中空構造体11のスキン層30及び除去前スキン層60の構成とされ、他方の面が中空構造体10のスキン層30の構成とされていてもよい。つまり、第2中間体80として、一方の面には凹部が1乃至複数形成され、他方の面は、除去前スキン層60又はスキン層40全部と、除去前コア層50の上壁部21又は下壁部22の全部が取り除かれたものとしてもよい。
【0122】
・上記各実施形態では、コア層20、90や、除去前コア層50を形成するシート材100の厚みは、スキン層30、40や、除去前スキン層60の厚みより薄くされているが、これに限定されない。シート材100の厚みと、スキン層30、40や、除去前スキン層60の厚みが同じであってもよく、シート材100の厚みが、スキン層30、40や、除去前スキン層60の厚みより厚くされていてもよい。
【0123】
・第1実施形態の中空構造体10には、略同一幅で側壁部23から突出する突出部24が形成されており、第2実施形態の中空構造体11には、略同一幅で側壁部23から突出する突出部25が形成されている。突出部24、25の形状は、略同一幅で突出するものだけでなく、例えば、側壁部23の端縁が部分的に毛羽だったような、いわゆるささくれ状に形成されていてもよい。こういった形状の突出部24、25も、2層構造の側壁部23の隙間の上部に形成されたり、2層構造の側壁部23の上端縁において第1側壁部23b及び第2側壁部23cの間を繋ぐように形成されたりする場合がある。また、略同一幅の突出部24、25の一部が割れた状態となって、例えば上面視半円形状に形成されていてもよい。除去前コア層50を構成する熱可塑性樹脂の加熱時の軟化度合い、除去工程での切断治具Tでの切断面の状況によって、突出部24、25の形状は必ずしも略同一幅とはならない場合がある。
【0124】
・第1実施形態の第1接合工程、第2接合工程では、除去前コア層50、スキン層40及び除去前スキン層60を所定温度に加熱して行っているが、これに限定されない。スキン層40及び除去前スキン層60のみを加熱して、スキン層40及び除去前スキン層60における低融点の接着層のみを軟化させるようにしてもよい。また、加熱することなく接着層を介して除去前コア層50に接合するようにしてもよい。これは第2、第3実施形態においても同様である。
【0125】
上記各実施形態から把握される技術的思想について以下に記載する。
(イ)内部に複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層の少なくともいずれかの面にスキン層が接合されてなる樹脂製の中空構造体の製造方法であって、平面領域と断面多角形状に上方に膨出する膨出領域とが交互に配置されるシート材を、塑性を有する1枚のシートから成形する成形工程と、前記シート材を折り畳むことにより、筒状をなす複数の前記セルを区画する側壁部と、前記側壁部の両端縁に設けられた一対の壁部を備える除去前コア層を形成する折り畳み工程と、前記除去前コア層の少なくともいずれかの前記壁部を取り除いて、前記コア層の前記側壁部に形成された除去後端縁を露出させる除去工程と、前記除去後端縁に前記スキン層を接合する接合工程とを備え、前記折り畳み工程では、前記シートの隣り合う前記膨出領域の上面同士を当接させて前記側壁部を形成する中空構造体の製造方法。
【0126】
(ロ)記除去工程では、前記除去前コア層の少なくともいずれかの前記壁部の一部を取り除いて、前記コア層の一部に、相対的に厚みが薄い薄肉部を形成するとともに、前記薄肉部で前記側壁部に形成された除去後端縁を露出させる前記(イ)に記載の中空構造体の製造方法。
【0127】
(ハ)内部に複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層の少なくともいずれかの面にスキン層が接合されてなる樹脂製の中空構造体の製造方法であって、平面領域と断面多角形状に上方に膨出する膨出領域とが交互に配置されるシート材を、塑性を有する1枚のシートから成形する成形工程と、前記シート材を折り畳むことにより、筒状をなす複数の前記セルを区画する側壁部と、前記側壁部の両端縁に設けられた一対の壁部を備える除去前コア層を形成する折り畳み工程と、前記除去前コア層の壁部の少なくともいずれかの面に除去前スキン層を接合して中間体を形成する第1接合工程と、前記中間体の前記除去前スキン層及び同除去前スキン層が接合された前記壁部を取り除いて、前記コア層の前記側壁部に形成された除去後端縁を露出させる除去工程と、前記除去後端縁に前記スキン層を接合する第2接合工程とを備え、前記折り畳み工程では、前記シートの隣り合う前記膨出領域の上面同士を当接させて前記側壁部を形成する中空構造体の製造方法。
【0128】
(ニ)前記除去工程では、前記中間体の前記除去前スキン層の一部及び同除去前スキン層の一部が接合された前記壁部の部分を取り除いて、前記コア層の一部に、相対的に厚みが薄い薄肉部を形成するとともに、前記薄肉部で前記側壁部に形成された除去後端縁を露出させる前記(ハ)に記載の中空構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0129】
10、11、13…中空構造体、12…凹部(薄肉部)、20、90…コア層、21……上壁部、22…下壁部、23…側壁部、23a…除去後端縁、23b…第1側壁部、23c…第2側壁部、23d…非接合部、24、25…突出部、30、40…スキン層、50…除去前コア層、60…除去前スキン層(スキン層)、100…シート材、S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル。