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  • 特許-検圧プラグ及びバネ兼用部材 図1
  • 特許-検圧プラグ及びバネ兼用部材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】検圧プラグ及びバネ兼用部材
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20231207BHJP
   F16K 15/18 20060101ALI20231207BHJP
   F16F 1/06 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G01L19/00 101
F16K15/18 D
F16F1/06 K
F16F1/06 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019176457
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021056009
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000106298
【氏名又は名称】株式会社サンコー
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 道夫
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 公宏
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-518597(JP,A)
【文献】特開2009-108979(JP,A)
【文献】実開昭55-055461(JP,U)
【文献】国際公開第2017/175832(WO,A1)
【文献】特開2006-338991(JP,A)
【文献】実開昭48-001002(JP,U)
【文献】特開2012-193814(JP,A)
【文献】実開昭56-082334(JP,U)
【文献】特開平05-010355(JP,A)
【文献】特開2008-170974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0043751(US,A1)
【文献】特開2005-274374(JP,A)
【文献】実公昭35-028666(JP,Y1)
【文献】実公昭45-028868(JP,Y1)
【文献】実開昭49-084727(JP,U)
【文献】特開2016-017620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/00
F16L 37/00-39/06
F16F 1/00-6/00
F16K 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス配管部材に取り付けられる検圧プラグ(1)であって、
内部に内孔(5p)及び弁座(5q・5p)を有する中空の本体(5)と、
該本体に着脱可能に取り付けられた、該本体の内孔(5p)を塞ぐ蓋体(7)と、
前記本体内に配置された弁体(15)と、
前記本体内に配置された、前記弁体(15)を前記弁座(5q・5p)に向けて付勢するバネ(17)と、
を具備し、
前記バネ(17)が、
前記弁体(15)に係合する先端部(17b)と、
前記本体(5)に係止されるとともに、ガス流路を構成する基端部(17j)と、
を有し、
前記本体(5)の内孔(5t)の基部に、径方向外側に掘り込まれた環状溝(5y)が形成されており、
前記バネの前記基端部(17j)が、前記環状溝(5y)に嵌まり込んで係止される大径の外周円環部(17j7)を有するとともに、該外周円環部(17j7)の内側と通常バネ螺旋端部(17h)との間にガス流路が形成されており、
前記バネ(17)が、通常バネ螺旋端部(17h)と前記外周円環部(17j7)とを繋ぐ、略三角形でその頂点の二か所が前記外周円環部(17j7)に重なる張り出し部(17j1・j3・j5)を有することを特徴とする検圧プラグ(1)。
【請求項2】
前記バネ(17)の前記基端部(17j)が、
通常バネ螺旋部(17f)のエンド部(17h)から順に、
外周に向かう第一張り出し部(17j1)→第一曲げ部(17j2)→対向する外周に向かう第二張り出し部(17j3)→第二曲げ部(17j4)→第三張り出し部(17j5)→第三曲げ部(17j6)→外周円環部(17j7)からなる、バネ線の曲げ加工体であることを特徴とする請求項1記載の検圧プラグ(1)。
【請求項3】
一端部(17j)に、他の部品(5)に係止されるとともに、所望の役割を果たす構造部が、バネ線の曲げ加工により形成されているバネ兼用部材(17)であって、
大径の外周円環部(17j7)と、
通常バネ螺旋端部(17h)と前記外周円環部(17j7)とを繋ぐ、略三角形でその頂点の二か所が前記外周円環部(17j7)に重なる張り出し部(17j1・j3・j5)と、
を有することを特徴とするバネ兼用部材(17)。
【請求項4】
基端部(17j)が、
通常バネ螺旋部(17f)のエンド部(17h)から順に、
外周に向かう第一張り出し部(17j1)→第一曲げ部(17j2)→対向する外周に向かう第二張り出し部(17j3)→第二曲げ部(17j4)→第三張り出し部(17j5)→第三曲げ部(17j6)→外周円環部(17j7)からなる請求項3記載のバネ兼用部材(17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス配管内の検圧やエアパージ等を行う際に機器を繋ぐ検圧プラグに関する。特には、部品数が少なく、ガス通過部材の開口率が大きい検圧プラグに関する。また、バネの端部に他の部材の機能を持たせたバネ兼用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等に設置されるガス配管中には、検圧やエアパージ等の各種作業の際に機器を繋げる検圧プラグが設けられている。例えば、管路中にガスメータ吊架ユニットを介してガスメータを設置している場合、検圧プラグは、この吊架ユニットのガスメータ下流側の箇所に設けられている。検圧などの作業時には、この検圧プラグにホース継手等を接続する。プラグの内部には、ホース継手等の着脱に応じて開閉する弁が設けられている。
【0003】
特許文献1は、本発明の発明者らが発明した検圧プラグが開示されている。この検圧プラグは、プラグ内部の不用意な露出を防止できるとともに、試験時の作業性が良いものとして、多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-184067
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献1の検圧プラグよりも部品点数が少ない、あるいは、ガス流路の開口率がより大きいなどの特長を有する検圧プラグを提供することを目的とする。また、バネの端部に他の部材の機能を持たせたバネ兼用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この「課題を解決するための手段」の項、及び、「特許請求の範囲」においては、添付図各部の参照符号を括弧書きして示すが、これは単に参考のためであって、権利範囲を添付図のものに限定するものではない。
【0007】
本発明の検圧プラグ(1)は、 ガス配管部材に取り付けられるものであって、 内部に内孔(5p)及び弁座(5q・5p)を有する中空の本体(5)と、 該本体に着脱可能に取り付けられた、該本体の内孔(5p)を塞ぐ蓋体(7)と、 前記本体内に配置された弁体(15)と、 前記本体内に配置された、前記弁体(15)を前記弁座(5q・5p)に向けて付勢するバネ(17)と、を具備し、 前記バネ(17)が、 前記弁体(15)に係合する先端部(17b)と、 前記本体(5)に係止されるとともに、ガス流路を構成する基端部(17j)と、を有することを特徴とする。
【0008】
従来の検圧プラグにおいては、座金とストップリングという別部品で、バネの係止と流路構成という機能を持たせていたが(図3を参照しつつ後述)、本願発明においては、これらの機能(役割)をバネ(17)の基端部(17j)が果たすことになる(図1・2を参照しつつ後述)ので、部品数が減り、組み立ての手間も減る。また、バネ材の曲げ加工により基端部(17j)を形成すれば、ガス流路を遮る面積を小さくする(開口率を上げる)こともできる。
【0009】
本発明においては、弁座(5q・5p)は、円錐面でも円筒面でもよく、Oリングなどの弾性シール部材によるシールを行うものであってもよい。弁体(15)とバネ先端部(17b)との係合は、単なる当接であってもよい。ただし、バネの伸縮の軸芯が大きくズレないような規制機能を有するものが好ましい。
【0010】
本発明のバネ兼用部材(17)は、一端部(17j)に、他の部品(5)に係止されるとともに、所望の役割を果たす構造部が、バネ線の曲げ加工により形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る検圧プラグの構成を示す断面図である。
図2図1の検圧プラグのバネ17の構成を示す図であって、(A)は斜視図であり、(B)は底面図である。
図3】特許文献1の検圧プラグの弁体115及びバネ117などの構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
1;検圧プラグ、3;保護キャップ5;本体(他の部品)、5b;本体上端部、5d;内孔、5k;メネジ部、5d;内孔、
5h;蓋体収容部、5m;中間部、
5p;内孔(弁座)、5q;弁座(面取り部)、5r;弁室部、5t;中空内孔、
5y;環状溝、5w;オネジ、5x;下端部、5y;環状溝
7;蓋体、7b;回動器具係合部、7f;係合部、7j;オネジ部、7p;パッキン取り付け部
7s;Oリング取り付け部、7w;下端フランジ部
9;パッキン、11;Oリング、13;Oリング
15;弁体、15b;上端フランジ部、15c;弁部、15f;円周溝、15j;下側径大部
15p;凹部、15s;連結片、15w;リング部17;バネ、17b;先端部、17f;主体部(通常バネ螺旋部)、17h;エンド端部
17j;基端部(一端部)、17j1;第一張り出し部、17j2;第一曲げ部、
17j3;第二張り出し部、17j4;第二曲げ部、17j5;第三張り出し部、
17j6;第三曲げ部、17j7;外周円環部、17j8;第四曲げ部、17j9;内向き部
117;コイルバネ、119;座金、119b;突起、119f;貫通孔
121;ストップリング
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るガス検圧プラグの全体構造の概要を説明する。説明において、上下、左右とは、特に断らない限り各図における上下、左右を指すものとする。なお、図1における下側がガス配管側であり、上側がガスの圧力計やパージ器具の付く側である。
【0014】
図1に示す検圧プラグ1は、銅合金等からなる本体5を備えている。この本体5は、中空の筒状である。本体5の下側外周面には、オネジ部5wが形成されている。このオネジ部5wは、ガスメータ吊架ユニット等のガス配管部材の分岐口(プラグ取付口)などに捩じ込まれる。検圧プラグ1の非使用時(通常時)には、本体5の上端には、樹脂製等からなる保護キャップ3が被せられる。
【0015】
本体5は、大きく分けて、上端側に開放された蓋体収容部5hと、下端側に開放された弁室部5rと、両者の間の中間部5mとからなる。蓋体収容部5hの内孔5dやメネジ部5k内には、蓋体7が着脱可能に配置されている。蓋体7は、回動器具の係合部7fや、オネジ部7j、パッキン9の取り付け部7p、Oリング11の取り付け部7s、下端フランジ部7wを有している。
【0016】
本体5の中間部内孔5pの上部には、上述のOリング11や蓋体7のOリング取り付け部7sなどが入り込んでいる。同中間部内孔5pの下部には、次述する弁体15の上端フランジ部15bや、Oリング13などが入り込んでいる。同中間部内孔5pの内径は、蓋体収容部5hや弁室部5rの内径よりも小さく、同中間部内孔5pの下端の面取り部5qや、内孔5pの下部内面が弁座の役割を果たす。
【0017】
弁室部5rの内孔5tは、上下に延びるストレートな円筒面であり、弁体15が上下移動自在に組み込まれる。また、バネ17も上下方向伸縮自在に組み込まれている。弁室部5rの外周は、配管部材(図示されず)にねじ込まれるオネジ部5wが形成されている。同オネジ部5wの下の下端部5xの内面には、バネ17の基端部17jが係止される環状溝5yが形成されている。
【0018】
弁体15は、図3に分かり易く示すように、上端側の弁部15cと下端側のリング部15wとが、一対の連結片15sで繋がれたものである。弁部15cの外周面には、円周溝15fが掘り込まれている。図1に示すように、この円周溝15f(フランジ部15bの下)には、Oリング13が嵌め込まれている。このOリング13は、弁体15の弁部15cと本体5の中間部内孔5pとの間をシールする。
【0019】
弁部15cの下側径大部15jの底面には、図1に示すように、凹部15pが掘り込まれている。この凹部15pには、圧縮コイルバネ17の上端の先端部17bが係合(当接)する。これにより、バネ17が弁体15を上に付勢するとともに、バネ17の先端部が軸直角方向にズレないようになっている。弁体15の下端側のリング部15wは、弁室部5rの内孔5tをスライド可能となっている。弁体15が、検圧プラグ1の開閉具(図示されず、特開2006-184067の図8参照)によって押し下げられ、ばね17が縮んで弁体15が下がると、ガスは、弁体15のリング部15wの中央の開口から上に出て、一対の連結片15sの間を通り、下がった弁部15cの周りから本体5の中間部内孔5pへと抜ける(このとき蓋体7は取り外されている)。
【0020】
次に、本発明の主な特徴部分であるバネ17について、図1図2を参照しつつ説明する。バネ17は、圧縮コイルスプリングであり、一定の径で螺旋状に巻かれた主体部17fと、その基端に接続された外周に張り出す基端部17jとからなる。主体部17fの上端の先端部17bは、上述のように、弁体15の凹部15pに係合(当接)する。主体部17fは、本体5の中空内孔5t内で、下に延びている。
【0021】
バネ17の基端部17jはバネ線の曲げ加工体である。基端部17jは、図2に示すように、主体部17f(比較的小径の螺旋部)の下端部17hから順に、外周に向かう直線状の第一張り出し部17j1→約320度、主体部17fの方向に曲げられた第一曲げ部17j2→直線状に対向する外周に向かう第二張り出し部17j3→約320度、主体部17fの方向に曲げられた第二曲げ部17j4→直線状に対向する外周に向かう第三張り出し部17j5→約90度斜め(外周円環部17j7合流する方向)に曲げられた第三曲げ部17j6→外周円環部17j7→約90度曲げられた第四曲げ部17j8→主体部17fの方向に短く直線状に延びる内向き部17j9からなっている。
【0022】
上述の第二張り出し部17j3、及び、第三張り出し部17j5は、主体部17fの下に重なっている。また、第二張り出し部17j3の外周端部に繋がる第一曲げ部17j2、及び、第三張り出し部17j3の外周端部に繋がる第四曲げ部17j4は、外周円環部17j7の上に重なっている。そして、図1の下部に示すように、重なった第一曲げ部17j2、又は、第二曲げ部17j4と外周円環部17j7とは、本体内孔5tの基部の環状溝5yに嵌まり込んでいる。これにより、バネ主体部17fの下端部17hが、しっかりと本体5に支持されている。
【0023】
バネ17の基端部17jを本体内孔5tに入れる際は、同部17jを本体内孔5tに押し込めば(第三曲げ部17j6と第四曲げ部17j8との間をつぼませるなどする)、同部17jのバネ線が撓んで内孔5t内に入り、環状溝5yにまで来ると、基端部17jのバネ線がスプリングバックして、環状溝5yに嵌まり込んで、図1の状態になる。
【0024】
結局、バネの基端部17jは、本体5の中空内孔5tの基部に形成された環状溝5yに嵌まり込んで係止される大径の外周円環部17j7と、螺旋状バネ主体17fの下端部17hと上記外周円環部17j7とを繋ぐか上に載る、略三角形でその頂点の二か所が上記外周円環部17j7に重なる張り出し部17j1・j3・j5を有するものである。
【0025】
図2(B)に示すバネ17の基端部17jのバネ線の間の空間は、検圧プラグ1を開いたとき(キャップ3・蓋体7を外し、弁体15を押し下げたとき)に、ガスが上に抜ける流路となる。基端部17jは、比較的細いバネ線(一例で0.8mm)の曲げ加工品であるので、開口率が高く摂れる(一例で69%)。
【0026】
本発明の実施形態と先行技術とを比較して説明する。図3に示す先行技術の検圧プラグの構成において、本実施形態のバネ17に対応するものは、コイルバネ117と、座金119と、ストップリング121の三部品である。逆に言うと、本実施形態では、先行技術の三部品を一体化したバネ17とし、部品点数を削減している。
【0027】
座金119は、円盤状をしており、その上面側中心には、突起119bが形成されている。この突起119bは、コイルバネ117の下端の中に入り込んで、同バネを位置決めしている。突起119bの周囲には、3つの貫通孔119fが形成されている。これら各貫通孔119fは、検圧やエアパージ等の際にガス等の流れる流路となる。座金119は、ストップリング121で保持されている。この従来の座金119の3つの貫通孔119fの開口率は36%であり、本発明の実施形態よりも開口率が低い。
図1
図2
図3