(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】成形装置、成形型、及び、取出方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/44 20060101AFI20231207BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B29C33/44
B29C33/42
(21)【出願番号】P 2019194398
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500318520
【氏名又は名称】有限会社広和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 大輔
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231055(JP,A)
【文献】特開昭51-082356(JP,A)
【文献】特開昭49-093263(JP,A)
【文献】特公昭49-045716(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/42,33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品の内側の形状を成形する第1の型部材と、
前記第1の型部材の成形する領域と隣り合う領域において、前記成形品の内側の形状を成形する第2の型部材と、
前記第1の型部材の取り出し方向と直交する方向において当該第1の型部材より細い部材であり、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する連結部材と
を有し、
前記第1の型部材の取り出し方向において、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間の距離が変化し
、
前記連結部材は、前記第1の型部材が取り出し方向に移動すると、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間に露出し、
成形品の内側から前記第2の型部材を取り出す段階において、前記第1の型部材が成形品の外側に位置し、当該第2の型部材と前記連結部材とが成形品の内側に位置する
成形装置。
【請求項2】
前記第1の型部材の取り出し方向において、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間の距離を変更する距離変更部
をさらに有し、
前記距離変更部により変更した後の前記第1の型部材は、前記成形品の外側に位置し、
前記連結部材は、前記距離変更部により移動した前記第1の型部材から露出した状態で、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する
請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記成形品は、径違いの管材であり、
前記第1の型部材は、前記成形品の小口径側の内側の形状を成形し、
前記第2の型部材は、前記成形品の小口径側から大口径側に拡径する拡径部を含む内側の形状を成形する
請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
成形品の内側の形状を成形する第1の型部材と、
前記第1の型部材の成形する領域と隣り合う領域において、前記成形品の内側の形状を成形する第2の型部材と、
前記第1の型部材の取り出し方向と直交する方向において当該第1の型部材より細い部材であり、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する連結部材と
を有し、
前記第1の型部材の取り出し方向において、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間の距離が変化し
、
前記連結部材は、前記第1の型部材が取り出し方向に移動すると、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間に露出し、
成形品の内側から前記第2の型部材を取り出す段階において、前記第1の型部材が成形品の外側に位置し、当該第2の型部材と前記連結部材とが成形品の内側に位置する
成形型。
【請求項5】
成形品の内側の形状を成形する第1の型部材と、
前記第1の型部材の成形する領域と隣り合う領域において、前記成形品の内側の形状を成形する第2の型部材と、
前記第1の型部材の取り出し方向と直交する方向において当該第1の型部材より細い部材であり、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する連結部材と
を有する成形型を前記成形品から取り出す取出方法であって、
前記成形品の内側の形状を成形した後に、当該成形品の内側から前記第1の型部材を取り出し、
当該第1の型部材と前記第2の型部材との間に露出した前記連結部材
と、当該成形品の内壁面
との間に隙間を作る工程と、
前記連結部材と成形品との隙間を利用して、前記成形品を傾けながら、当該成形品の内側から前記第2の型部材を取り出す工程と
を有する取出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置、成形型、及び、取出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、アンダーカット成形型を有する発泡成形型によりアンダーカット部が内部にある発泡成形品を成形する発泡成形品成形装置であって、アンダーカット成形型はその抜き方向と直交する方向の軸線を支点として揺動自在であり、抜き方向手前側が支点となって抜き方向奥側が発泡成形品の中心に向かうようにアンダーカット成形型を揺動させて抜くことを特徴とする発泡成形品成形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、成形作業の効率化を図ることができる成形装置、成形型、及び、取出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る成形装置は、成形品の内側の形状を成形する第1の型部材と、前記第1の型部材の成形する領域と隣り合う領域において、前記成形品の内側の形状を成形する第2の型部材と、前記第1の型部材の取り出し方向と直交する方向において当該第1の型部材より細い部材であり、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する連結部材とを有し、前記第1の型部材の取り出し方向において、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間の距離が変化する。
【0006】
好適には、前記第1の型部材の取り出し方向において、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間の距離を変更する距離変更部をさらに有し、前記距離変更部により変更した後の前記第1の型部材は、前記成形品の外側に位置し、前記連結部材は、前記距離変更部により移動した前記第1の型部材から露出した状態で、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する。
【0007】
好適には、前記成形品は、径違いの管材であり、前記第1の型部材は、前記成形品の小口径側の内側の形状を成形し、前記第2の型部材は、前記成形品の小口径側から大口径側に拡径する拡径部を含む内側の形状を成形する。
【0008】
また、本発明に係る成形型は、成形品の内側の形状を成形する第1の型部材と、前記第1の型部材の成形する領域と隣り合う領域において、前記成形品の内側の形状を成形する第2の型部材と、前記第1の型部材の取り出し方向と直交する方向において当該第1の型部材より細い部材であり、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する連結部材とを有し、前記第1の型部材の取り出し方向において、当該第1の型部材及び前記第2の型部材の間の距離が変化する。
【0009】
また、本発明に係る取出方法は、成形品の内側の形状を成形する第1の型部材と、前記第1の型部材の成形する領域と隣り合う領域において、前記成形品の内側の形状を成形する第2の型部材と、前記第1の型部材の取り出し方向と直交する方向において当該第1の型部材より細い部材であり、当該第1の型部材及び前記第2の型部材を連結する連結部材とを有する成形型を前記成形品から取り出す取出方法であって、前記成形品の内側の形状を成形した後に、当該成形品の内側から前記第1の型部材を取り出し、当該成形品の内壁面および前記連結部材の間に隙間を作る工程と、前記成形品を傾けながら、当該成形品の内側から前記第2の型部材を取り出す工程とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、成形作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本実施形態における型開時の成形装置1を例示する図である。
【
図3】本実施形態における型閉時の成形装置1を例示する図である。
【
図4】型閉時の成形装置1を詳細に説明する図である。
【
図5】型開時の成形装置1を詳細に説明する図である。
【
図7】
図6に例示した内部形状成形型20における第1型部材202を詳細に例示する斜視図である。
【
図8】
図7に例示した第1型部材202の動作を説明する斜視図である。
【
図9】本実施形態における取出方法(S10)を説明するフローチャートである。
【
図10】成形品5の内側から第1型部材202を取り出す工程を例示する図である。
【
図11】成形品5の内側から第2型部材204を取り出す工程を例示する図である。
【
図12】成形装置の成形型における従来の内部形状成形型、及び、取出方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、
図1を参照し、本実施形態の成形装置1により成形される成形品5を説明する。
図1は、成形品5を例示する図である。
図1(A)は、段付型の成形品5を例示する正面図及び断面図であり、
図1(B)は、直管型の成形品5を例示する正面図及び断面図である。
図1に例示するように、成形品5には、一方の端を塞いだ形状をした成形品と、筒状又は管状である成形品とが含まれる。一方の端を塞いだ形状をした成形品として、例えば、瓶、甕、又は、壺である。また、筒状又は管状である成形品として、例えば、管材である。なお、本例の成形品5は、管材である。成形品5は、合成樹脂で成形された管材であり、具体的には発泡性合成樹脂材で成形された管材の模型(発砲スチロール模型)である。成形品5は、消失模型鋳造に用いられる消失鋳型である。また、成形品5の形状は、例えば、直管型の形状、又は、径違いの形状である。本例の成形品5は、径違いの形状であり、具体的には異径の同心レジューサ型の形状である。成形品5は、円筒形状である上管部52と、上管部52から下管部54に向かって、成形品5の軸方向と直交する方向に徐々に広がるよう形成されたテーパー管部53と、テーパー管部53の下方に連続して設けた円筒形状である下管部54と、テーパー管部53の内壁面に立設され、成形品5の軸方向に対して傾斜する整流羽根57とを有する。また、成形品5には、例えば
図1(A)に例示したように、段付部55を上管部52及び下管部54に開口に設けた段付型、又は、
図1(B)に例示した直管型が含まれる。
【0013】
次に、
図12を参照し、成形品5の内側を成形する従来の内部形状成形型20及びその取出方法を説明する。
図12は、成形装置の成形型における従来の内部形状成形型、及び、取出方法を説明する図である。
図12に例示するように、従来の成形装置の成形型は、成形品5の外側の形状を成形する外部形状成形型(不図示)と、成形品5の内側の形状を成形する内部形状成形型20とを有する。従来の内部形状成形型20は、第1型部材202と、第2型部材204とを含む上部中間型200、及び、下部中間型210を有する。
第1型部材202は、成形品5の上管部52の内部形状を成形し、第2型部材204は、成形品5の一部のテーパー管部53の内部形状と整流羽根57とを成形する。第1型部材202及び第2型部材204は、着脱自在に接続される。また、下部中間型210は、成形品5のテーパー管部53と下管部54との内部形状を成形する。
さて、従来の内部形状成形型20の取出方法を説明すると、
図12(A)に例示するように、第1型部材202及び第2型部材204は、成形品5の成形時において、一体的に接続している。次に、
図12(B)に例示するように、第1型部材202及び下部中間型210は、成形品5の成形後において、成形品5の内側から外側に移動する。このとき、第1型部材202に接続した状態で第2型部材204を移動すると、成形品5の内壁面に接触するため、第2型部材204は、第1型部材202から分離し、成形品5の内部に残す必要がある。次に、
図12(C)に例示するように、作業者は、手作業で成形品5の内壁面にぶつからないよう第2型部材204の向きを変えながら、成形品5の内部から第2型部材204を取り出す。
このように、従来の内部形状成形型20の取出方法では、第2型部材204を分離して成形品5の内部に残し、残された第2型部材204を別途手で取り出す必要があった。これにより、次の成形作業を行うために、作業者が成形品5の内側に留まった第2型部材204を取り出す作業と、取り出した第2型部材204を第1型部材202に再び取りつける作業とを行う必要があった。また、これら作業を行うことにより、第2型部材204の成形面を傷つけるおそれがあった。
【0014】
そこで、本発明における実施形態によれば、成形品5の内側に第2型部材20を留めた状態で、成形品5の内側から外側に第1型部材202が移動でき、かつ、第1型部材202及び第2型部材20を分離しないよう一体的に構成した。
これにより、成形品5から第2型部材204を手で取り出す作業と、取り出した第2型部材204を第1型部材202に取りつける作業とを省き、効率的に、成形品5を成形することができる。このような本発明の実施形態による成形装置の構成について、以下図を参照して具体的に説明する。
【0015】
次に、
図2及び
図3を参照し、本実施形態における成形装置1の概要を説明する。
図2は、本実施形態における型開時の成形装置1を例示する図である。
図3は、本実施形態における型閉時の成形装置1を例示する図である。
図2及び
図3に例示するように、本実施形態の成形装置1は、成形品5を成形する成形装置であり、具体的には、消失模型鋳造に用いられる消失鋳型を成形する成形装置である。成形装置1は、成形品5を成形する成形型2と、成形型2を支持し所定の方向に移動させるフレーム3とを有する。
【0016】
成形型2は、成形品5の外側の形状を成形する外部形状成形型10と、成形品5の内側の形状を成形する内部形状成形型20とを有する。
外部形状成形型10は、第1外部形状成形型100及び第2外部形状成形型110を有する。第1外部形状成形型100及び第2外部形状成形型110は、成形品5の外側の形状を成形する成形面100A及び110Aをそれぞれ有する。成形面100A及び110Aは、成形品5の上管部52、テーパー管部53、及び下管部54の外形を成形する成形面となっている。
【0017】
また、内部形状成形型20は、上部中間型200及び下部中間型210を有し、上部中間型200は、第1型部材202と、第2型部材204と、連結部材206と、距離変更部207とを有する。上部中間型200の詳細は後述するが、第1型部材202は、成形品5の上管部52における内側の形状を成形する成形面202Aを有し、第2型部材204は、成形品5のテーパー管部53における内側の形状を成形する成形面204Aを有する。また、連結部材206は、第1型部材202の内部に挿入され、第2型部材204を連結している。
また、下部中間型210は、下型本体212を有する。下型本体212は、成形品5のテーパー管部53及び下管部54における内側の形状を成形する成形面212Aを有する。
【0018】
フレーム3は、固定側フレーム300と、移動側フレーム310と、中間型用フレーム320とを有する。固定側フレーム300及び移動側フレーム310には、軸受け342A、342Bが設けられ、設けられた軸受け342A、342Bには、ガイドシャフト340が挿通される。また、固定側フレーム300及び移動側フレーム310の間に位置し、上部中間型200を保持する型保持部230にも、ガイドシャフト340が挿通される。これにより、上部中間型200及び移動側フレーム310は、
図3に例示したように、ガイドシャフト340をガイドとして、
図2における左右方向に往復移動可能となっている。
固定側フレーム300は、第1外部形状成形型100を蒸気熱で加熱するための蒸気室(不図示)を介して、第1外部形状成形型100を固定保持する。
移動側フレーム310は、第2外部形状成形型110を蒸気熱で加熱するための蒸気室(不図示)を介して、第2外部形状成形型110を固定保持する。移動側フレーム310は、固定側フレーム300に対してガイドシャフト340の軸方向に往復移動可能に構成される。
中間型用フレーム320は、固定側フレーム300と直交する方向に設けられ、下部中間型210の固定台216を介して、下部中間型210を既定の位置に固定保持する。固定台216には、
図1における上下方向に伸縮する油圧シリンダー218が接続されており、中間型用フレーム320は、油圧シリンダー218のピストンロッド218Aが挿通する貫通穴が設けられている。
【0019】
次に、
図4~
図6を参照し、本実施形態の成形装置1における成形型2を詳細に説明する。
図4は、型閉時の成形装置1を詳細に説明する図である。
図5は、型開時の成形装置1を詳細に説明する図である。
図4及び
図5に例示するように、内部形状成形型20は、上部中間型200及び下部中間型210を有する。上部中間型200は、第1型部材202と、第2型部材204と、連結部材206と、距離変更部207とを有する。
【0020】
第1型部材202は、成形品5の小口径側である上管部52の内側の形状を成形する型部材である。第1型部材202は、円柱の形状であり、軸方向に穿設した貫通穴2020を備える。この貫通穴2020は、連結部材206を挿入可能な大きさの穴となっている。なお、
図4及び
図5に例示した第1型部材202は、第1型部材202の内部を説明する便宜上、連結部材206が見えるように表示している。
【0021】
第2型部材204は、第1型部材202より細い部材であり、成形品5のテーパー管部53の内側の形状、及び整流羽根57を成形する型部材である。第2型部材204は、第1型部材202と隣接する位置において、成形品5の内側の形状を成形する。即ち、第2型部材204は、第1型部材202と隣り合う位置において成形品5の内側の形状を成形する。また換言すると、第2型部材204は、第1型部材202の成形する領域と隣接する領域を成形する。即ち、第2型部材204は、第1型部材202の成形する領域と隣り合う領域において、成形品5の内側の形状を成形する。
【0022】
連結部材206は、第1型部材202の取り出し方向と直交する方向において、第1型部材202より細い部材であり、第1型部材202より下方に第2型部材204を連結する棒材である。連結部材206は、断面形状が円柱の形状であり、第1型部材202の貫通穴2020に挿通可能である太さに形成される。連結部材206は、一方の端部を第2型部材204に接続し、他方の端部を型保持部230に接続される。
【0023】
距離変更部207は、成形品5の内側から外側に、第1型部材202を移動させる移動機能モジュールである。本例の距離変更部207は、油圧シリンダー208を有し、油圧シリンダー208のピストンロッド208Aが第1型部材202に接続されている。
図4及び
図5の上下方向に油圧シリンダー208のピストンロッド208Aを伸縮させることにより、第1型部材202を上下方向に移動させる。具体的には、距離変更部207は、ピストンロッド208Aを縮めることにより、第1型部材202を上方向に移動させ、ピストンロッド208Aを伸ばすことにより、第1型部材202を下方向に移動させる。即ち、距離変更部207は、第1型部材202の取り出し方向において、第1型部材202及び第2型部材204の間の距離を変更する。本例の距離変更部207は、成形品5の内側の形状を成形後に、ピストンロッド208Aを縮め、第1型部材202を上方向に移動させることにより、成形品5の内側から外側に、第1型部材202を移動させる。即ち、距離変更部207は、隣接する第1型部材202及び第2型部材204を接触した状態から離間させる。
【0024】
また、下部中間型210は、下型本体212と、嵌合部214と、溝部215とを有する。
下型本体212は、成形品5のテーパー管部53及び下管部54の内側の形状を成形する型部材である。また、下型本体212は、成形品5のテーパー管部53の内側の形状を成形する位置に、嵌合部214を設けている。
嵌合部214は、成形品5を成形する型閉時において、第2型部材204と嵌め合う凹部である。
溝部215は、嵌合部214に第2型部材204を嵌めたときに、第2型部材204および下型本体212の間に形成された溝である。溝部215は、成形品5の軸方向に対して傾斜する整流羽根57を成形品5のテーパー管部53の内壁面に成形する。
【0025】
次に、
図6~
図8を参照し、本実施形態の成形装置1における成形型2の動作を説明する。
図6は、型閉時の成形型2を例示する斜視図である。なお、説明の便宜上、
図2に例示した固定側フレーム300、中間型用フレーム320、及び、ガイドシャフト340を除いている。
図7は、
図6に例示した内部形状成形型20における第1型部材202を詳細に例示する斜視図である。
図8は、
図7に例示した第1型部材202の動作を説明する斜視図である。
図6に例示するように、成形型2は、例えば3基の内部形状成形型20を配列することができる。以下説明の便宜上、3基の内部形状成形型20を、それぞれ内部形状成形型20L、20M、20Nと称呼するが、とくに区別する必要がないときは内部形状成形型20と称呼する。成形型2は、複数基の内部形状成形型20を配列することより、1回の成形で複数の成形品5を得ることができる。
また、
図7に例示するように、内部形状成形型20Lの第1型部材202Lは、図示していないが、内部形状成形型20Mの第1型部材202Mと、内部形状成形型20Nの第1型部材202Nとは、異なる成形面202Aとなっている。具体的には、第1型部材202Mの成形面202AMは、段差部を有し、段付型の成形品5を成形することができる。また、第1型部材202Nの成形面202ANは、円柱の形状であり、直管型の成形品5を成形することができる。これにより、1回の成形で異なる形状の成形品5をそれぞれ得ることができる。
また、
図8に例示するように、これら第1型部材202は、成形品5の成形後に上方向に移動して型保持部230に収納される。これにより、連結部材206は、内部形状成形型20Lの連結部材206Lのように、第1型部材202から露出した状態となる。
このように、内部形状成形型20は、第1型部材202および第2型部材204を一体的に構成した状態で、成形品5の内側から外側に第1型部材202を移動させても、成形品5の内側に第2型部材204が留めることができる。
【0026】
次に、内部形状成形型20の取出方法を説明する。
図9は、本実施形態における取出方法(S10)を説明するフローチャートである。
図10は、成形品5の内側から第1型部材202を取り出す工程を例示する図である。
図11は、成形品5の内側から第2型部材204を取り出す工程を例示する図である。
本取出方法は、成形品5を成形した後に行い、成形した成形品5の内側から内部形状成形型20を取り出すものである。まず、本取出方法の概要を説明すると、
図9に例示するように、ステップ100において、作業者は、下部中間型210を下方向に移動させ、成形品5の内側から下部中間型210を取り出す。下部中間型210を取り出し後に、ガイドシャフト340に沿って、移動側フレーム310、及び、中間型用フレーム320を右方向に移動させる(
図2及び
図3を参照)。ステップ102において、作業者は、第1型部材202を上方向に移動させ、成形品5の内側から第1型部材202を取り出す(
図5を参照)。ステップ104において、作業者は、成形品5を手で持ち、手で持った状態の成形品5を傾斜させかつ回転させながら、第2型部材204から整流羽根57を取り外す。ステップ106において、作業者は、手で持った状態の成形品5を下方向に移動させ、第2型部材204及び連結部材206を成形品5の内側から取り出す。
【0027】
以下、
図10及び
図11を参照しながら、
図9に例示するステップS100~S106における工程を詳細に説明する。
ステップ100において、作業者は、油圧シリンダー218のピストンロッド218Aを縮め、
図10(A)に例示した下部中間型210を下方向に移動させ、成形品5の内側から外側に移動させる。即ち、成形品5の内側から下部中間型210を取り出す。これにより、
図10(A)から
図10(B)の状態に移行する。次に、作業者は、下部中間型210を取り出し後に、
図2に例示したように、ガイドシャフト340に沿って、移動側フレーム310、及び、中間型用フレーム320を右方向に移動させる。これにより、第1外部形状成形型100及び第2外部形状成形型110は、成形品5と離間する。
【0028】
ステップ102において、作業者は、距離変更部207に含まれる油圧シリンダー208のピストンロッド208Aを縮め、
図10(B)に例示した第1型部材202を上方向に移動させ、成形品5の内側から外側に移動させる。即ち、成形品5の内側から第1型部材202を取り出す。これにより、第1型部材202及び第2型部材204は、接触した状態から離間した状態となり、
図10(B)から
図10(C)の状態に移行する。
図10(C)の状態において、連結部材206は、距離変更部207により移動した第1型部材202から露出した状態となる。そして、連結部材206と成形品5における上管部52の開口内壁面との間に隙間800を設けることができる。このとき、第2型部材204および連結部材206は、成形品5の内側に位置し、かつ、第1型部材202の取り出し方向において、第1型部材202より下方に位置している。
【0029】
ステップ104において、作業者は、
図11(D)に例示するように、隙間800を利用しながら、手で持った状態の成形品5を傾斜させかつ回転させ、第2型部材204から整流羽根57を取り外す。このとき、整流羽根57にアンダーカットが存在する場合、作業者は、成形品5の内壁面や整流羽根57に傷をつけないように第2型部材204を取り外す。これにより、
図11(D)から
図11(E)の状態に移行する。
【0030】
ステップ106において、作業者は、手で持った状態の成形品5を傾斜させながら下方向に移動させ、第2型部材204及び連結部材206を成形品5の内側から取り出す。
このように、本実施形態における取出方法によれば、成形品5を傾斜及び回転させることができる程度の隙間800を連結部材206と成形品5の内壁面との間に設けることができるため、成形品5の内壁面や整流羽根57に傷をつけないように、内部形状成形型20を取り出すことができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態における成形装置1によれば、第1型部材202及び第2型部材20を分離しないよう一体的に構成し、成形品5の内側から外側に第1型部材202を移動させても、成形品5の内側に第2型部材20が留まるよう構成した。これにより、成形品5から第2型部材204を取り出す作業と、取り出した第2型部材204を第1型部材202に取りつける作業とを省き、効率的に、成形品5を成形することができる。
また、成形品5の開口近傍の内壁面を成形する第1型部材202より、連結部材206を細くすることにより、成形品5を傾斜及び回転させることができる程度の隙間800を連結部材206と成形品5の内壁面との間に設けることができる。これにより、成形品5を傾斜及び回転させながら第2型部材204及び連結部材206を取り出ことができる。
【符号の説明】
【0032】
1…成形装置
2…成形型
5…成形品
10…外部形状成形型
100…第1外部形状成形型
110…第2外部形状成形型
20…内部形状成形型
200…上部中間型
202…第1型部材
204…第2型部材
206…連結部材
207…距離変更部
210…下部中間型
212…下型本体
214…嵌合部
215…溝部