(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】点灯装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/14 20200101AFI20231207BHJP
【FI】
H05B47/14
(21)【出願番号】P 2019215686
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】590004648
【氏名又は名称】株式会社共進電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】堀上 智
(72)【発明者】
【氏名】長島 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 進也
(72)【発明者】
【氏名】川野 安夫
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-261213(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158786(WO,A1)
【文献】特開2018-206701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の調光度を示す調光信号を取得し、取得した調光信号に応じた電流を前記光源に供給して点灯させる点灯装置において、
前記光源に直列に接続されて前記光源の電流を検出する第1抵抗器及び第2抵抗器の直列回路と、
取得した調光信号に応じて生成された第1調光電圧及び前記第1抵抗器の検出電圧を比較する第1比較器と、
取得した調光信号に応じて生成された第2調光電圧及び前記直列回路の検出電圧を比較する第2比較器と、
前記第1比較器又は第2比較器の比較結果に基づいて前記光源に供給する電流を調整する調光部と
を備え
、
前記調光部は、
前記第1比較器の出力端にカソードが接続された第1ダイオードと、
前記第2比較器の出力端にカソードが接続された第2ダイオードと、
前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードそれぞれのアノードが接続されたフォトカプラと、
前記フォトカプラを介して前記第1比較器及び前記第2比較器の少なくとも一方のローレベルの電圧が入力されるコンバータ用制御ICと
を備える点灯装置。
【請求項2】
前記第1調光電圧及び前記第2調光電圧の比は、前記第1抵抗器の抵抗値及び前記直列回路の抵抗値の比に対応している請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
取得した調光信号が示す調光度が第2閾値より浅い場合、前記第2比較器の動作を禁止する第2禁止部と、
取得した調光信号が示す調光度が前記第2閾値と同等又は該第2閾値より深い第1閾値より深い場合、前記第1比較器の動作を禁止する第1禁止部と
を更に備える請求項2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記調光部は、前記第1比較器が比較する前記第1抵抗器の検出電圧が前記第1調光電圧より高い場合、又は前記第2比較器が比較する前記直列回路の検出電圧が前記第2調光電圧より高い場合、前記光源に供給する電流を低減するように調整する請求項3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記第1禁止部は、前記第1調光電圧を、取得した調光信号に応じた電圧より高くし、
前記第2禁止部は、前記第2比較器に前記直列回路の検出電圧より低い電圧を入力する
請求項4に記載の点灯装置。
【請求項6】
取得した調光信号に応じた相異なるデューティ比を有するPWM信号を生成する第1生成部及び第2生成部と、
該第1生成部及び第2生成部それぞれが生成したPWM信号を積分して前記第1調光電圧及び前記第2調光電圧を生成する第1積分器及び第2積分器と、
前記調光信号が示す調光度と、前記第1生成部が生成するPWM信号のデューティ比とを対応付けて記憶する記憶部と
を更に備える請求項2から請求項5の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記第2抵抗器と並列的に接続されており、前記第2抵抗器に流れる電流を分流するダイオードを更に備える請求項1から請求項6の何れか1項に記載の点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光器からの調光信号に基づいて光源を点灯させる点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(Light Emitting Diode )を光源とする照明器具が、住宅用、事業所用、道路用、産業用等の用途に広く使用されている。照明器具の光源は、例えば直流電源を有する点灯装置から直流電流が供給されて定電流駆動される。
【0003】
光源の光出力の大きさを変化させるには調光器が用いられる。調光器は、例えば調光つまみの操作に応じた情報を示す調光信号を出力し、この調光信号を入力する点灯装置が、調光信号によって示される情報に応じて光源に供給する電流を変化させる。
【0004】
定電流駆動する光源に深い調光を行う場合、光源の電流の検出抵抗に生じる検出電圧、及び該検出電圧と比較される基準電圧が共に微小電圧信号となるため、ノイズの影響を受けて光源に流れる電流を適切に制御できなくなって、光源からの光がちらつく等の問題が生じることがある。
【0005】
これに対し、例えば特許文献1には、フライバックコンバータの出力に接続されたLEDの電流を検出する抵抗を2つ並列にしてそれぞれを別々の比較器に入力し、各比較器の出力をダイオードORを介して制御回路にフィードバックする構成を有する照明器具の電源装置が開示されている。この電源装置は、一方の抵抗をスイッチで非接続とすることにより、検出電圧及び基準電圧を比較的高レベルにして深い調光を行うことができる。
【0006】
また、特許文献2には、LEDを駆動する降圧型コンバータのスイッチング素子のソースに接続された検出抵抗による検出電圧をコンバータ制御部にフィードバックする構成を有するLED駆動装置が開示されている。このLED駆動装置は、検出抵抗をR1のみとするか、R1,R2を並列にするかにより、LED電流の調整範囲を低電流の範囲と高電流の範囲とに切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-261213号公報
【文献】特開2014-123448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2に開示された方法によって深い調光と浅い調光とを切り替える場合、切り替えの過程で検出電圧が不連続に変化するため、フィードバック制御に一時的な乱れが生じて連続的な切り替えができないという問題があった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、深い調光と浅い調光とを連続的に切り替えることが可能な点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る点灯装置は、光源の調光度を示す調光信号を取得し、取得した調光信号に応じた電流を前記光源に供給して点灯させる点灯装置において、前記光源に直列に接続されて前記光源の電流を検出する第1抵抗器及び第2抵抗器の直列回路と、取得した調光信号に応じて生成された第1調光電圧及び前記第1抵抗器の検出電圧を比較する第1比較器と、取得した調光信号に応じて生成された第2調光電圧及び前記直列回路の検出電圧を比較する第2比較器と、前記第1比較器又は第2比較器の比較結果に基づいて前記光源に供給する電流を調整する調光部とを備える。
【0011】
本態様にあっては、光源の電流を第1抵抗器及び第2抵抗器の直列回路で検出し、調光度を示す調光信号に応じて第1調光電圧及び第2調光電圧を生成し、第1比較器にて第1調光電圧及び第1抵抗器の検出電圧を比較し、第2比較器にて第2調光電圧及び直列回路の検出電圧を比較する。そして、第1比較器又は第2比較器の少なくとも一方の比較結果により光源に供給する電流を調整する。このため、対応する調光度が異なる第1比較器及び第2比較器の何れか又は両方を用いて、光源に供給する電流を調整することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る点灯装置は、前記第1調光電圧及び前記第2調光電圧の比は、前記第1抵抗器の抵抗値及び前記直列回路の抵抗値の比に対応している。
【0013】
本態様にあっては、第1調光電圧と第2調光電圧との比の大きさが、第1抵抗器の抵抗値と第1抵抗器及び第2抵抗器の直列回路の抵抗値の比の大きさに対応するように、第1調光電圧及び第2調光電圧を生成する。これにより、第1比較器を用いた場合と、第2比較器を用いた場合とで、光源の電流を同等に調整することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る点灯装置は、取得した調光信号が示す調光度が第2閾値より浅い場合、前記第2比較器の動作を禁止する第2禁止部と、取得した調光信号が示す調光度が前記第2閾値と同等又は該第2閾値より深い第1閾値より深い場合、前記第1比較器の動作を禁止する第1禁止部とを更に備える。
【0015】
本態様にあっては、調光信号が示す調光度が第2閾値より浅くない場合、第2比較器を用い、調光度が第2閾値より浅くない第1閾値より深くない場合、第1比較器を用いて光源の電流を調整する。これにより、調光度が深くて光源の電流が比較的小さい場合に、第2比較器を用いて光源の電流を高精度に調整することができる。また、調光度が第1閾値と第2閾値との間にある場合は、第1比較器及び第2比較器の両方を用いて光源の電流を調整することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る点灯装置は、前記調光部は、前記第1比較器が比較する前記第1抵抗器の検出電圧が前記第1調光電圧より高い場合、又は前記第2比較器が比較する前記直列回路の検出電圧が前記第2調光電圧より高い場合、前記光源に供給する電流を低減するように調整する。
【0017】
本態様にあっては、第1比較器及び第2比較器のそれぞれが比較する検出電圧が調光電圧より高い場合に光源に供給する電流を低減する。これにより、第1比較器及び第2比較器それぞれの2つの入力端子の極性に応じて、第1比較器及び第2比較器の出力の論理的なORをとる構成と、光源の電流を増減する調整方向とが一意に定まる。
【0018】
本発明の一態様に係る点灯装置は、前記第1禁止部は、前記第1調光電圧を、取得した調光信号に応じた電圧より高くし、前記第2禁止部は、前記第2比較器に前記直列回路の検出電圧より低い電圧を入力する。
【0019】
本態様にあっては、第1調光電圧を、光源の電流を調整するときの電圧より高くすることによって第1比較器の動作を禁止し、第1抵抗器及び第2抵抗器の直列回路の検出電圧より低い電圧を第2比較器に入力することによって第2比較器の動作を禁止する。これにより、付加回路なしに第1比較器の動作を停止することができ、第2比較器に過大な検出電圧が入力されないようにして第2比較器の動作を停止することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る点灯装置は、取得した調光信号に応じた相異なるデューティ比を有するPWM信号を生成する第1生成部及び第2生成部と、該第1生成部及び第2生成部それぞれが生成したPWM信号を積分して前記第1調光電圧及び前記第2調光電圧を生成する第1積分器及び第2積分器と、前記調光信号が示す調光度と、前記第1生成部が生成するPWM信号のデューティ比とを対応付けて記憶する記憶部とを更に備える。
【0021】
本態様にあっては、調光信号が示す調光度に応じて第1生成部及び第2生成部にてデューティが相異なるPWM信号を生成し、第1積分器及び第2積分器にて相異なるPWM信号を積分して第1調光電圧及び第2調光電圧を生成する構成に対して、調光信号が示す調光度と、第1生成部が生成するPWM信号のデューティとを対応付けて記憶部に記憶する。これにより、取得した調光信号に応じて第1生成部が生成するPWM信号のデューティを記憶部から読み出し、読み出したデューティを第1抵抗器の抵抗値及び前記直列回路の抵抗値の比に応じた倍数値にして、第2生成部が生成するPWM信号のデューティとすることができる。
【0022】
本発明の一態様に係る点灯装置は、前記第2抵抗器と並列的に接続されており、前記第2抵抗器に流れる電流を分流するダイオードを更に備える。
【0023】
本態様にあっては、第2抵抗器の電圧降下が増大したときに光源の電流の一部をダイオードに分流させる。これにより、第2抵抗器の発熱を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
上記によれば、深い調光と浅い調光とを連続的に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態1に係る点灯装置を含む点灯システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】調光信号のデューティとItgt/Inomとの関係を例示する説明図である。
【
図3】調光器からの調光信号及び積分回路に対するPWM信号の一例を示すタイミングチャートである。
【
図4】調光信号のデューティをマイコンが出力する信号のデューティに変換するための調光テーブルの構成例を示す説明図である。
【
図5】オペアンプの動作範囲を例示する説明図である。
【
図6】調光信号のデューティとマイコンの出力のデューティとの関係を示す説明図である。
【
図7】マイコンによる初期化処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】調光信号のデューティに応じて切り替えたオペアンプを用いて光源の電流を調整するマイコンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係る点灯装置を含む点灯システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る点灯装置1を含む点灯システムの構成例を示すブロック図である。点灯装置1は、調光器3から調光信号を時系列的に取得し、取得した調光信号に基づく電流を光源4に供給して点灯させる。調光器3は、例えば使用者が不図示のつまみを回転させることにより、光源4の光量を調整する度合い、即ち調光度を示す調光信号を点灯装置1に出力するものである。調光器3はつまみ式に限定されない。光源4は例えばLEDを含み、供給される電流の増減に応じて光量が増減する。
【0027】
光源4には、該光源4に流れる電流を検出するための抵抗器R1,R2が直列に接続されている。抵抗器R1(第1抵抗器に相当)は一端が共通電位(シグナルグラウンド:図では白抜きの逆三角形で示す)に接続されている。抵抗器R2(第2抵抗器に相当)は、一端が抵抗器R1の他端に接続され、他端が光源4の一端に接続されている。光源4の他端はDC/DCコンバータ16の出力に接続されている。抵抗器R1及びR2は、何れも複数の抵抗器を含んで構成されるものであってもよい。
【0028】
点灯装置1は、調光器3からフォトカプラ11を介して取得した調光信号のデューティ比(以下、単にデューティという)を検出し、検出したデューティに応じたPWM信号を出力するマイクロコンピュータ(以下マイコンという:第1生成部及び第2生成部に相当)10を更に備える。なお、フォトカプラ11は、PWM信号を伝達するための他の回路素子又は他の回路であってもよい(以下の他のフォトカプラについても同様)。
【0029】
点灯装置1は、また、マイコン10が出力する2系統のPWM信号を各別に積分する積分回路12及び22と、該積分回路12及び22それぞれの出力電圧が非反転入力端子に入力される演算増幅器(以下、オペアンプという)13及び23と、オペアンプ13及び23それぞれの出力にカソードが接続されたダイオードD1及びD2とを備える。ダイオードD1及びD2はアノード同士が接続されている。
【0030】
オペアンプ13の反転入力端子には、抵抗器R1の他端からの検出電圧が抵抗器R3を介して入力されている。オペアンプ23の反転入力端子には、抵抗器R2の他端からの検出電圧、即ち抵抗器R1,R2の直列回路の検出電圧(以下、抵抗器R1,R2の検出電圧という)が抵抗器R4を介して入力されている。オペアンプ23の反転入力端子には、また、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )であるトランジスタQ1のドレインが接続されている。トランジスタQ1のソースは共通電位に接続されている。
【0031】
点灯装置1は、更に、ダイオードD1及びD2のアノードの電圧をフォトカプラ14を介して入力するコンバータ用制御IC15と、該コンバータ用制御IC15の出力によって電圧の変換が制御される絶縁型のDC/DCコンバータ16とを備える。DC/DCコンバータ16の入力には、交流電源5の交流電圧を直流電圧に変換するPFC(Power Factor Controller )回路17の出力電圧が印加されている。
【0032】
上述の点灯回路1における接続関係において、マイコン10と、積分回路12及び22と、オペアンプ13及び23と、DC/DCコンバータ16の出力側とは、上記共通電位と同じ共通電位を有する。マイコン10と調光器3とは、フォトカプラ11によって共通電位が分離されている。オペアンプ13及び23と、コンバータ用制御IC15及びDC/DCコンバータ16の入力側とは、フォトカプラ14によって共通電位が分離されている。
【0033】
マイコン10は、CPU(Central Processing Unit )を含んで構成されている。CPUは、制御プログラム等の情報を記憶するROM(Read Only Memory )、一時的に発生した情報を記憶するRAM(Random Access Memory )、調光信号を取得してPWM信号等を出力するための入出力インタフェース、及び経過時間等を計時するタイマと互いにバス接続されている(何れも不図示)。ROMには、後述する調光テーブル101が記憶されている(記憶部に相当)。
【0034】
オペアンプ13(第1比較器に相当)は、積分回路12(第1積分器に相当)の出力電圧(第1調光電圧に相当)と抵抗器R1の検出電圧との差分を誤差電圧として増幅する。オペアンプ23(第2比較器に相当)は、積分回路22(第2積分器に相当)の出力電圧(第2調光電圧に相当)と抵抗器R1,R2の検出電圧との差分を誤差電圧として増幅する。オペアンプ13及び23は、マイコン10に制御されて、少なくとも一方が誤差増幅器として動作し、動作範囲を外れた場合はH(ハイ)レベルの電圧を出力する。
【0035】
抵抗器R1及びR2は、例えば抵抗値がそれぞれ0.2Ω及び10Ωである。この場合、抵抗器R2の抵抗値は、抵抗器R1の抵抗値の50倍である。換言すれば、抵抗器R1,R2の検出電圧は、抵抗器R1の検出電圧の51倍である。この倍率は51倍に限定されないが、倍率を大きくするほど、光源4に供給する微小な電流を精度よく調整することができる。
【0036】
トランジスタQ1は、オペアンプ23の反転入力端子に入力される電圧を0Vに低下させるものである。トランジスタQ1のゲートは、マイコン10の入出力インタフェースに接続されている。トランジスタQ1がオンした場合、オペアンプ23はHレベルの電圧を出力するため、この出力がフォトカプラ14に入力されることはない。オペアンプ13の反転入力端子と共通電位との間にも他のトランジスタを接続して、オペアンプ13の反転入力端子に入力される電圧を0Vに低下させることができるようにしてもよい。
【0037】
ダイオードD1及びD2は、オペアンプ13及び23が増幅した誤差電圧の何れかがL(ロウ)レベルであるときにアノードがLレベルとなる。オペアンプ13及び23は少なくとも一方が動作しており、両方がHレベルの電圧を出力し続けることがないから、ダイオードD1及びD2のアノードがHレベルの電圧に固定されることはない。換言すれば、ダイオードD1及びD2は、オペアンプ13及び23の少なくとも一方の出力電圧を、フォトカプラ14を介してコンバータ用制御IC15に入力する。
【0038】
コンバータ用制御IC15は、オペアンプ13及び23の少なくとも一方からフォトカプラ14を介して入力された誤差電圧の増幅電圧に応じてDC/DCコンバータ16の出力電圧を制御する。ダイオードD1及びD2、フォトカプラ14並びにコンバータ用制御IC15が調光部に相当する。
【0039】
DC/DCコンバータ16は、PFC回路17から印加された直流電圧をコンバータ用制御IC15に制御されて降圧し、降圧した直流電圧を抵抗器R1,R2の直列回路を介して光源4に印加することにより、光源4に直流電流を供給する。
【0040】
光源4に供給する電流(以下、光源4の電流という)を調整するための構成として、以下の(a)から(d)の4つの構成をとり得る。本実施形態1では、既に説明したように(a)の構成を採用するが、他の方法を採用してもよい。(a)の構成の場合、ダイオードD1及びD2に代えて負論理のOR回路(何れかの入力が1=Lであるときに出力が1=Lとなる回路)又は正論理のAND回路(両方の入力が1=Hであるときに出力が1=Hとなる回路)を用いてもよい。
【0041】
(a)
図1の通りオペアンプ13及び23それぞれの反転入力端子に抵抗器R1及び抵抗器R1,R2の検出電圧を入力し、
図1の通りダイオードD1及びD2のアノードを突き合わせし、フォトカプラ14の入力電圧が低下したときに光源4の電流を低減させる。
(b)
図1の通りオペアンプ13及び23それぞれの反転入力端子に抵抗器R1及び抵抗器R1,R2の検出電圧を入力し、
図1とは逆にダイオードD1及びD2のカソードを突き合わせし、フォトカプラ14の入力電圧が上昇したときに光源4の電流を増加させる。
(c)
図1とは逆にオペアンプ13及び23それぞれの反転入力端子と非反転入力端子とを入れ替え、
図1の通りダイオードD1及びD2のアノードを突き合わせし、フォトカプラ14の入力電圧が低下したときに光源4の電流を増加させる。
(d)
図1とは逆にオペアンプ13及び23それぞれの反転入力端子と非反転入力端子とを入れ替え、
図1とは逆にダイオードD1及びD2のカソードを突き合わせし、フォトカプラ14の入力電圧が上昇したときに光源4の電流を低減させる。
【0042】
上記の(a)の構成によれば、オペアンプ13に入力される抵抗器R1の検出電圧が積分回路12からの第1調光電圧より高い場合、又はオペアンプ23に入力される抵抗器R1,R2の検出電圧が積分回路22からの第2調光電圧より高い場合、オペアンプ13又は23の出力によってダイオードD1又はD2が導通する。その結果、DC/DCコンバータ16が出力する電圧が低下して、光源4に供給される電流が低減され、抵抗器R1及び抵抗器R1,R2の検出電圧が低下するようにフィードバックされる。なお、オペアンプ13及び23並びにダイオードD1及びD2の接続構成が本実施形態1とは異なる(d)の構成による場合であっても、同様のフィードバックがかかる。
【0043】
上述のフィードバックにより、抵抗器R1又は抵抗器R1,R2の直列回路に流れる電流が、第1調光電圧又は第2調光電圧に比例するように制御される。第1調光電圧及び第2調光電圧は、マイコン10が出力する2系統のPWM信号のそれぞれのデューティに比例するから、光源4に供給される電流は、マイコン10が積分回路12又は22に対して出力する2系統のPWM信号のそれぞれのデューティに比例するように調整される。
【0044】
調光信号は、光源4の調光度を、例えばデューティによって示す信号である。調光器3は、出力する調光信号のデューティの仕様として5%から90%までをカバーするものが多いため、本実施形態1では、5%から90%までの変化範囲内で調光信号のデューティの大小に応じて、光源4の電流を定格値から最小値まで調整する。即ち、調光信号のデューティの増加及び減少(以下増/減という)に応じて、光源4の電流を減少及び増加(以下、減/増という)させる。調光信号のデューティの増/減に応じて、光源4の電流を増/減させてもよい。
【0045】
光源4がLEDである場合、光源4に流れる電流を指数関数的に増/減させることにより、視覚的には、光源4の輝度が直線的に増/減する。そこで、デューティの変化に対して光源4に流れる電流の相対値を、片対数のグラフを用いて表すこととする。以下では、光源4の電流の定格値(定数)をInomとし、調整された光源4の電流をItgtとする。Itgtは、例えばInomの1倍から0.0002倍まで、即ち100%から0.02%まで連続的に調整される。
【0046】
図2は、調光信号のデューティとItgt/Inomとの関係を例示する説明図である。
図2の横軸は調光信号のデューティを表し、縦軸はItgt/Inomを常用対数の対数スケールで表す。図中の実線は、調光信号のデューティの増/減に応じて光源4の電流Itgtを減/増させる場合の特性を示すものであり、破線は、調光信号のデューティの増/減に応じて光源4の電流Itgtを増/減させる場合の特性を示すものである。
【0047】
調光信号のデューティをxとした場合、0.05から0.9までのxの範囲に対応する右下がりの実線の傾きKが以下の式(1)で表されるから、y=Itgt/Inomとデューティxとの関係は、例えば以下の式(2)及び(3)によって表される。但し、式(2)及び(3)は単なる例であって、yとxの関係が式(2)及び(3)とは異なる任意の関係式で表されるようにしてもよい。また、式(2)及び(3)を用いる場合であっても、例えば光源4の電流をInomの0.02%より更に小さい電流まで連続的に調整するために、xの係数を-4.35より小さくしてもよい。
【0048】
K=(log0.0002-log1)/(0.9-0.05)
=-4.35・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
logy=-K(x-0.05)+log1
=-4.35(x-0.05)・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
y=10-4.35(x-0.05) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
但し、
y=Itgt/Inom
0.05≦x≦0.9
【0049】
式(2)と同様に、
図2の右上がりの破線は、以下の式(4)によって表される。
【0050】
logy=-K(x-0.05)+log0.0002
=4.35(x-0.05)-3.7・・・・・・・・・・・・・・(4)
但し、
0.05≦x≦0.9
【0051】
ここでは、Itgt/Inomの大きさと、光源4の調光度の深さとは逆の関係にあるものとする。即ち、光源4の電流が大きいほど調光度が浅いと言い、光源4の電流が小さいほど調光度が深いという。従って、
図2の実線の特性によって調光する場合、調光信号のデューティが大きいほど光源4の電流の調光度が深くなり、調光信号のデューティが小さいほど光源4の電流の調光度が浅くなる。一方、
図2の破線の特性によって調光する場合、調光信号のデューティが大きいほど光源4の電流の調光度が浅くなり、調光信号のデューティが小さいほど光源4の電流の調光度が深くなる。
【0052】
以下では、
図2の実線に対応して式(2)及び(3)で表される特性に基づいて説明する。なお、調光信号のデューティが0.05未満の場合、Itgt/Inomは1に固定され、光源4には定格値Inomの電流が流れる。調光信号のデューティが0.9より大きい場合、いわゆるフェードアウトを行って、光源4に流れる電流を完全に0にするが、フェードアウトの詳細な説明は省略する。
【0053】
上述したように、光源4に供給される電流は、マイコン10が積分回路12に対して出力するPWM信号のデューティに比例する。マイコン10が積分回路12に対して出力するPWM信号のデューティが1の場合、光源4に供給される電流は最大値Imaxとなる。ここで、調光信号のデューティが0.05以下の場合に光源4に供給される電流は、最大値Imaxをディレーティングした定格値Inomとなるようにすることが好ましい。
【0054】
本実施形態1では、例えばImax=1.11Aとなるのに対して、Inom=1Aとする90%のディレーティングを行う。従って、光源4に式(2)及び(3)のyに対応する電流を供給するには、マイコン10が検出した調光信号のデューティを式(3)に代入してy(=Itgt/Inom)を算出し、算出したyの90%のデューティを有するPWM信号を積分回路12に対して出力すればよい。
【0055】
ここで、マイコン10が入出力するPWM信号について説明する。
図3は、調光器3からの調光信号及び積分回路12に対するPWM信号の一例を示すタイミングチャートである。
図3の横軸は時間(t)を表し、縦軸は信号のオン/オフ状態を表す。
図3のAは調光信号のデューティを示すものであり、
図3のBは積分回路12に対するPWM信号のデューティを示すものである。横軸の時間スケールは、
図3のAと
図3のBとで異なるが、ここでは見かけ上周期が同一であるように表す。調光信号は、周期がT1(例えば1ms)のPWM信号である。積分回路12に対する信号は、周期がT2(例えば0.1ms)のPWM信号である。周期T1及びT2のそれぞれは、1ms及び0.1msに限定されない。
【0056】
図3に示す例では、調光信号のデューティが0.15である。このときにマイコン10が積分回路12に対して出力するPWM信号のデューティを算出するには、式(3)の右辺にx=0.15を代入して、y=10
-0.435 =0.367と算出し、算出した値に0.9を乗じて0.33を得る(有効数字は2桁とする)。この0.33が、積分回路12に対するPWM信号のデューティとなる。マイコン10が調光信号を取得して調光信号のデューティを検出する毎に、積分回路12に対するPWM信号のデューティを算出してもよいが、これらのデューティの関係を予め算出して記憶しておくことが好ましい。
【0057】
図4は、調光信号のデューティをマイコン10が出力する信号のデューティに変換するための調光テーブル101の構成例を示す説明図である。調光テーブル101は、マイコン10が有するROMに記憶されている。調光テーブル101には、例えば1%から100%までの100通りの調光信号のデューティに対応する100個のデューティ(%値)が記憶されている。これらのデューティは、調光信号のデューティをxとして式(3)の右辺に代入し、算出されたyの値に90(%)を乗じて得た値を、調光信号のデューティの%値の順に並べたものである。調光テーブル101に記憶される値は、式(3)を用いて算出された値に限定されず、式(3)では表すことができないyとxの関係から導出された値であってもよい。
【0058】
図4に示すように、調光信号のデューティが5%以下の場合は5%のときと同じ値が記憶されており、90%以上の場合は90%のときと同じ値が記憶されている。調光信号のデューティが5%以下の場合、
図4のテーブルに記憶されたデューティの信号をマイコン10が出力することにより、
図4に示すInom(1A)と同じ大きさの電流Itgtが光源4に供給される。一方、調光信号のデューティが90%以上に増加する場合、マイコン10が出力する信号のデューティは、90%のときのデューティが暫く維持された後に、0%のデューティに向けて漸次低減される。これにより、フェードアウトが実現される。
【0059】
次に、オペアンプ13及び23の動作範囲について説明する。調光信号のデューティが比較的小さい場合、光源4の電流が比較的大きいため、オペアンプ13の反転入力端子に入力される抵抗器R1の検出電圧は比較的大きい。この場合、調光器3の電流は、オペアンプ13が増幅した大振幅の誤差電圧により相対的に高い精度で調整される。この間、オペアンプ23は、トランジスタQ1により反転入力端子に0Vの電圧が入力されて出力電圧がHレベルに維持されている。
【0060】
一方、調光信号のデューティが比較的大きい場合、光源4の電流が比較的小さいため、オペアンプ13の反転入力端子に入力される抵抗器R1の検出電圧は比較的小さい。この場合、調光器3の電流は、オペアンプ13が増幅した小振幅の誤差電圧により相対的に低い精度で調整されることとなる。
【0061】
そこで、本実施形態1では、光源4の電流が、例えば20mA以下となる場合、オペアンプ23を用いて光源4の電流を調整する。オペアンプ23に入力される抵抗器R1,R2の検出電圧は、オペアンプ13に入力される抵抗器R1の検出電圧と比較して51倍の大きさであるため、オペアンプ13を用いた場合と比較して数十倍の精度で光源4の電流を調整することができる。なお、同じ大きさの光源の電流を調整するのに、マイコン10が積分回路22に対して出力するPWM信号のデューティは、マイコン10が積分回路12に対して出力するPWM信号のデューティの51倍にする必要がある。この場合、積分回路22からの第2調光電圧は、積分回路12からの第1調光電圧の51倍になる。
【0062】
図5は、オペアンプ13及び23の動作範囲を例示する説明図である。
図5の横軸は調光信号のデューティを表し、縦軸はItgt/Inomを常用対数の対数スケールで表す。Inomが1Aであるから、縦軸のItgt/Inomの数値は光源4の電流(A)に対応する。
図5に示すように、光源4の電流が1Aから0.02Aまでの間は、オペアンプ13のみを用い、光源4の電流が0.02Aから0.0002A(0.2mA)までの間は、少なくともオペアンプ23を用いる。オペアンプ13及び23の動作範囲は重ならないようにしてもよいが、本実施形態1では、光源4の電流が0.02Aから0.015Aまでの間は、オペアンプ13及び23の両方を用いる。
【0063】
光源4の電流(A)をyとし、調光信号のデューティをxとした場合のyとxの関係は式(2)及び(3)で表されるから、光源4の電流が0.02A,0,015A,0.0002Aそれぞれのときの調光信号のデューティは0.44,0.47,0.9である。従って、調光信号のデューティの検出値が0から0.47の範囲内である場合はオペアンプ13を用い、調光信号のデューティの検出値が0.44以上(0.9から1までのフェードアウトの区間を含む)である場合はオペアンプ23を用いて光源4の電流を調整する。
【0064】
次に、マイコン10が積分回路12及び22それぞれに対して出力するPWM信号のデューティについて説明する。
図6は、調光信号のデューティとマイコン10の出力のデューティとの関係を示す説明図である。
図6の横軸は調光信号のデューティを表し、縦軸はマイコン10の出力のデューティを表す。
図6のAはマイコン10が積分回路12に対して出力するPWM信号のデューティを示すものである。
図6のBはマイコン10が積分回路22に対して出力するPWM信号のデューティを示すものである。
図6のAの縦軸の数値は、
図5の縦軸の数値に0.9を乗じた値に対応する。
図6のBの縦軸の数値は、
図5の縦軸の数値に0.9×51を乗じた値に対応する。例えば、
図5の縦軸の0.02及び0.0002は、
図6のBの縦軸の0.92及び0.0092に対応する。
【0065】
マイコン10は、調光信号のデューティを検出する都度、検出したデューティの範囲を判定すると共に、オペアンプ23を用いるか否かを判定する。マイコン10は、判定結果に応じてトランジスタQ1をオン/オフすると共に、マイコン10が積分回路12及び22それぞれに対して出力するPWM信号のデューティを、
図6に示す直線又は曲線に対応するように設定する。
【0066】
図6のAについて、検出した調光信号のデューティが0.47(第1閾値に相当)より小さい場合、マイコン10は、検出した0.01から0.47までのデューティに対応して調光テーブル101に記憶されている0.9から0.013までの値を、積分回路12に対するPWM信号のデューティとする。検出した調光信号のデューティが0.47以上である場合、マイコン10は、0.47のデューティに対応して調光テーブル101に記憶されている0.013の値を、積分回路12に対するPWM信号のデューティとする。このデューティは、検出した調光信号のデューティに対応して調光テーブル101に記憶されているデューティより大きいため、積分回路12の出力電圧が過大となって、オペアンプ13の出力がHレベルに固定される。
【0067】
図6のBについて、検出した調光信号のデューティが0.44(第2閾値に相当)より小さい場合、マイコン10は、トランジスタQ1をオンしてオペアンプ23の反転入力端子の電圧を0Vにする。これにより、オペアンプ23の出力がHレベルに固定される。マイコン10は、更に、0.44のデューティに対応して調光テーブル101に記憶されている0.018を51倍にした0.92の値を、積分回路22に対するPWM信号のデューティとする。検出した調光信号のデューティが0.44以上である場合、マイコン10は、トランジスタQ1をオフしてオペアンプ23を利用可能な状態にする。マイコン10は、更に、検出した0.44から0.9までのデューティに対応して調光テーブル101に記憶されている0.018から0.00018までの値を51倍にした0.92から0.0092までの値を、積分回路22に対するPWM信号のデューティとする。調光信号のデューティが0.9より大きい場合は、フェードインが行われる。
【0068】
以下では、上述したマイコン10の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図7は、マイコン10による初期化処理の手順を示すフローチャートである。
図8は、調光信号のデューティに応じて切り替えたオペアンプ13又は23を用いて光源4の電流を調整するマイコン10の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、電源投入等によるリセット時に起動される。
図8に示す処理は、例えば50ms周期で起動されるが、この周期に限定されるものではない。
【0069】
図7及び
図8における「第1閾値」及び「第2閾値」のそれぞれは、前述の例では0.47及び0.44である。「第1調光信号」及び「第2調光信号」のそれぞれは、マイコン10が積分回路12及び22に対して出力するPWM信号である。「第1調光デューティ」は、検出した調光信号のデューティに対応して調光テーブル101に記憶されているデューティである。「第2調光デューティ」は、「第1調光デューティ」の値を51倍にしたデューティである。「第1切替時デューティ」は、第1閾値である0.47に対応して調光テーブル101に記憶されているデューティである。「第2切替時デューティ」は、第2閾値である0.44に対応して調光テーブル101に記憶されているデューティを51倍にしたデューティである。
【0070】
図7の処理が起動された場合、マイコン10は、第1閾値(0.47)に対応して記憶されているデューティを調光テーブル101から読み出し(S11)、読み出したデューティを第1切替時デューティとして不図示のRAMに(以下同様)記憶する(S12)。次いで、マイコン10は、第2閾値(0.44)に対応して記憶されているデューティを調光テーブル101から読み出し(S13)、読み出したデューティを51倍にしたものを第2切替時デューティとして記憶して(S12)
図7の処理を終了する。第1切替時デューティ及び第2切替時デューティは、固定的なデューティである。
【0071】
図8の処理が起動された場合、マイコン10は、調光器3から調光信号を取り込んで調光信号のデューティを検出する(S21)。マイコン10は、検出したデューティに対応して記憶されているデューティを調光テーブル101から読み出し(S22)、読み出したデューティを第1調光デューティとして記憶する(S23)。次いで、マイコン10は、第1調光デューティを51倍にしたものを第2調光デューティとして記憶する(S24)。第1調光デューティ及び第2調光デューティは、調光度に応じて決定したデューティである。
【0072】
その後、マイコン10は、検出した調光信号のデューティが第2閾値(例えば0.44)より小さいか否かを判定し(S25)、デューティが第2閾値より小さい場合(S25:YES)、トランジスタQ1をオンする(S26:第2禁止部に相当)。次いで、マイコン10は、第1調光デューティを積分回路12に対する第1調光信号のデューティとする制御を行う(S27)。更に、マイコン10は、第2切替時デューティを積分回路22に対する第2調光信号のデューティとする制御を行って(S28)
図8の処理を終了する。
【0073】
ステップS26の処理は、オペアンプ23の反転入力端子に抵抗器R1,R2の検出電圧より低い電圧である0Vを入力する処理である。これにより、オペアンプ23の出力がHレベルに固定されて、オペアンプ23が動作範囲から外れる。この場合、オペアンプ23の反転入力端子の電圧は、必ずしも0Vにする必要はなく、オペアンプ23の出力をHレベルに維持できるような電圧にすればよい。
【0074】
ステップS25での判定により、検出した調光信号のデューティが第2閾値より小さくない場合(S25:NO)、マイコン10は、トランジスタQ1をオフする(S30)。これにより、オペアンプ23が動作範囲に入る。次いで、マイコン10は、検出した調光信号のデューティが第1閾値より小さいか否かを更に判定し(S31)、デューティが第1閾値(例えば0.47)より小さい場合(S31:YES)、第1調光デューティを第1調光信号のデューティとする制御を行う(S32)。更に、マイコン10は、第2調光デューティを第2調光信号のデューティとする制御を行って(S33)
図8の処理を終了する。第1調光信号及び第2調光信号は、積分回路12に対するPWM信号である。
【0075】
ステップS31での判定により、検出した調光信号のデューティが第1閾値より小さくない場合(S31:NO)、マイコン10は、検出した調光信号のデューティが0.9より小さいか否かを判定し(S234)、デューティが0.9より小さい場合(S34:YES)、第1切替時デューティを第1調光信号のデューティとする制御を行って(S35:第1禁止部に相当)ステップS33に処理を移す。
【0076】
ステップS35での処理は、第1調光信号のデューティを、検出した調光信号のデューティに応じた第1調光デューティより大きくする処理である(
図6のAにおける調光信号のデューティが0.47以上の場合を参照)。これにより、積分回路12が出力する第1調光電圧は、抵抗器R1の検出電圧より高くなり、オペアンプ13の出力がHレベルに固定されて、オペアンプ13が動作範囲から外れる。
【0077】
ステップS34での判定により、検出した調光信号のデューティが0.9より小さくない場合(S34:NO)、マイコン10は、フェードアウトの処理を行って(S36)
図8の処理を終了する。
【0078】
上述の
図8に示すフローチャートでは、検出した調光信号のデューティが第2閾値(0.44)から第1閾値(0.47)までの間にある場合、オペアンプ13及び23の両方を用いて光源4の電流を調整した。これにより、切り替え後に用いるオペアンプ及び積分回路の安定的な動作の再開に遅延が生じる場合は、切り替え前に用いていたオペアンプ及び積分回路の使用を一時的に継続することによって光源4の電流の調整に連続性を持たせることができる。但し、本実施形態1にあっては、切り替えの前後で積分回路12及び22に入力されるPWM信号のデューティに連続性があるようにしている(
図6参照)ので、上記の遅延が生じる可能性は小さい。このような遅延が無視できる場合は、第1閾値の判定を行わないようにしてもよい、具体的には、ステップS30の処理の後にステップS34の処理を行う。ステップS31及びS32の処理は不要となる。
【0079】
以上のように本実施形態1によれば、光源4の電流を抵抗器R1及び抵抗器R2の直列回路で検出し、調光度を示す調光信号に応じて積分回路12及び22それぞれにて第1調光電圧及び第2調光電圧を生成し、オペアンプ13にて第1調光電圧及び抵抗器R1の検出電圧を比較し、オペアンプ23にて第2調光電圧及び抵抗器R1,R2の直列回路の検出電圧を比較する。そして、オペアンプ13又はオペアンプ23の少なくとも一方の比較結果により光源4に供給する電流を調整する。このため、対応する調光度が異なるオペアンプ13及びオペアンプ23の何れか又は両方を用いて、光源4に供給する電流を調整することができる。従って、深い調光と浅い調光とを連続的に切り替えることが可能となる。
【0080】
また、本実施形態1によれば、積分回路12からの第1調光電圧と積分回路22からの第2調光電圧との比の大きさが、抵抗器R1の抵抗値と抵抗器R1,R2の抵抗値の比の大きさに対応するように、第1調光電圧及び第2調光電圧を生成する。従って、オペアンプ13を用いた場合と、オペアンプ23を用いた場合とで、光源4の電流を同等に調整することができる。
【0081】
更に、本実施形態1によれば、調光信号が示す調光度が第2閾値(例えば0.44)より浅くない場合、オペアンプ23を用い、調光度が第2閾値より浅くない第1閾値(例えば0.47)より深くない場合、オペアンプ13を用いて光源4の電流を調整する。従って、調光度が深くて光源4の電流が比較的小さい場合に、オペアンプ23を用いて光源4の電流を高精度に調整することができる。また、調光度が第1閾値と第2閾値との間にある場合は、オペアンプ13及び23の両方を用いて光源4の電流を調整することができる。
【0082】
更に、本実施形態1によれば、オペアンプ13及び23のそれぞれが比較する検出電圧が調光電圧より高い場合に光源4に供給する電流を低減する。従って、オペアンプ13及び23それぞれの2つの入力端子の極性(反転/非反転)に応じて、オペアンプ13及び23の出力の論理的なORをとる構成と、光源4の電流を増減する調整方向とが一意に定まる。例えば、前述の(a)の構成に対応する本実施形態1の場合、オペアンプ13及び23の出力を負論理のOR又は正論理のANDをとる構成が定まり、この論理出力によって光源4の電流を低減する構成が定まる。
【0083】
更に、本実施形態1によれば、積分回路12からの第1調光電圧を、光源4の電流を調整するときの電圧より高くすることによってオペアンプ13の動作を禁止し、抵抗器R1,R2の直列回路の検出電圧より低い電圧をオペアンプ23に入力することによってオペアンプ23の動作を禁止する。従って、付加回路なしにオペアンプ13の動作を停止することができ、オペアンプ23に過大な検出電圧が入力されないようにしてオペアンプ23の動作を停止することができる。
【0084】
更に、本実施形態1によれば、調光信号が示す調光度に応じてマイコン10にてデューティが相異なるPWM信号を生成し、積分回路12及び22にて相異なるPWM信号を積分して第1調光電圧及び第2調光電圧を生成する構成に対して、調光信号が示す調光度と、マイコン10が生成する一方のPWM信号のデューティとを対応付けて調光テーブル101に記憶する。従って、取得した調光信号に応じて積分回路12が生成するPWM信号のデューティを調光テーブル101から読み出し、読み出したデューティを抵抗器R1の抵抗値及び抵抗器R1,R2の直列回路の抵抗値の比に応じた倍数値(例えば51倍)にして、積分回路22が生成するPWM信号のデューティとすることができる。
【0085】
(実施形態2)
実施形態1は、光源4の電流の増加に応じて抵抗器R1,R2の両端電圧が上昇する形態であるのに対し、実施形態2は、抵抗器R2の両端電圧を一定以下の電圧にクランプする形態である。
図9は、実施形態2に係る点灯装置1bを含む点灯システムの構成例を示すブロック図である。
【0086】
点灯装置1bは、実施形態1に係る点灯装置1の構成を全て備えている。抵抗器R2の他端と光源4の一端との間には、温度ヒューズF1が直列に接続されている。抵抗器R2の一端と光源4の一端との間には、ダイオードD3が並列に接続されている。ダイオードD3は、カソードが抵抗器R2の一端に接続されている。温度ヒューズF1は、抵抗器R2と熱的に結合している。温度ヒューズF1は単なる導線に置き換えてもよい。その他、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図9に示す構成によれば、光源4の電流による抵抗器R2の電圧降下が、ダイオードD3の順方向電圧より大きい場合に、光源4の電流の一部がダイオードD3に分流する。このため、抵抗器R2の両端電圧は、ダイオードD3の順方向電圧にクランプされる。
【0088】
光源4の電流の一部がダイオードD3に分流している状態でダイオードD3が開放故障となった場合、抵抗器R2の電流が増加して表面温度が上昇する。その後、抵抗器R2と熱的に結合している温度ヒューズF1が溶断した場合、光源4の電流が遮断されるため、抵抗器R2の温度が低下する。
【0089】
以上のように本実施形態2によれば、抵抗器R2の電圧降下が増大したときに光源4の電流の一部をダイオードD3に分流させる。従って、抵抗器R2の発熱を低減することができる。
【0090】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1、1b 点灯装置
10 マイコン
101 調光テーブル
11、14 フォトカプラ
12、22 積分回路
13、23 オペアンプ
15 コンバータ用制御IC
16 DC/DCコンバータ
17 PFC回路
D1、D2、D3 ダイオード
F1 温度ヒューズ
R1、R2、R3、R4 抵抗器
Q1 トランジスタ
3 調光器
4 光源
5 交流電源