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<図1>
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図1
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図2
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図3
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図4A
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図4B
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図5A
  • 特許-濃縮装置及び濃縮装置の制御方法 図5B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】濃縮装置及び濃縮装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/10 20060101AFI20231207BHJP
   B01D 3/42 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B01D3/10
B01D3/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019238856
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107051
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 八州
(72)【発明者】
【氏名】王 化剛
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0144767(US,A1)
【文献】特開平11-033301(JP,A)
【文献】特開2001-104940(JP,A)
【文献】特開2006-175428(JP,A)
【文献】特開2000-126502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D1/00-8/00
B01L1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに含まれる除去対象の溶媒を蒸発させて、前記サンプルを濃縮する濃縮装置であって、
前記サンプルが導入されたサンプル容器を加温する加温器と、
前記サンプル容器内で蒸発した気体を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器を冷却する冷却器と、
前記サンプル容器内を減圧する減圧ポンプと、
前記加温器による加温温度、前記冷却器による冷却温度、及び前記減圧ポンプの駆動を少なくとも制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記加温温度から所定温度だけ減じた温度を目標沸点として設定し、前記溶媒の沸点が前記目標沸点となるように、前記減圧ポンプを制御して前記サンプル容器内の圧力を目標圧力まで減圧し、
前記サンプル容器内の圧力を前記目標圧力とし、且つ、前記加温器により前記サンプル容器を加温して、前記溶媒を蒸発させること
を特徴とする濃縮装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記加温温度が変化した場合には、変化後の前記加温温度に基づいて、前記目標沸点を再設定し、前記溶媒の沸点が前記再設定した目標沸点となるように、前記目標圧力を設定すること
を特徴とする請求項1に記載の濃縮装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加温器による加温温度と、前記冷却器による冷却温度との差分が、予め設定した差分閾値温度以上となるように、前記加温温度及び前記冷却温度の少なくとも一方を制御すること
を特徴とする請求項1または2に記載の濃縮装置。
【請求項4】
前記冷却器は、前記凝縮器を冷却するための冷却水の温度が前記溶媒の凝固点よりも高くなるように、前記冷却水の温度を制御すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の濃縮装置。
【請求項5】
サンプルに含まれる除去対象の溶媒を蒸発させて、前記サンプルを濃縮する濃縮装置の制御方法であって、
前記サンプルが導入されたサンプル容器を加温する加温器による加温温度を取得し、前記加温温度から所定温度を減じた温度を前記溶媒の目標沸点とするステップと、
前記サンプル容器の圧力が、前記溶媒の沸点を前記目標沸点とする圧力である目標圧力となるように減圧ポンプを制御するステップと、
前記サンプル容器内が前記目標圧力とされた状態で、前記サンプル容器を加温して、前記サンプルに含まれる前記溶媒を蒸発させるステップと、
を備えたことを特徴とする濃縮装置の制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮装置及び濃縮装置の制御方法に係り、特に突沸を防止し、効率良くサンプルを濃縮する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、サンプル内に含まれる特定の溶媒を除去するために、濃縮装置(エバポレータということもある)が用いられている。濃縮装置では、ナスフラスコ等のサンプル容器に濃縮対象となるサンプルを導入し、サンプル容器内を減圧した状態で、加温された水或いは油などの液体が充填された恒温液槽内に挿入し、サンプルを加温する。しばらく時間が経過すると、サンプル容器内に導入されたサンプルの温度が上昇し、除去対象の溶媒の沸点に達するとこの溶媒は蒸発するので、この溶媒をサンプルから除去することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来における濃縮装置では、サンプル容器を加温している際に溶媒の沸点温度に達すると、サンプル中に含まれる溶媒が突沸することがある。突沸が発生すると、その勢いでサンプルの内容物が外部に噴出してしまい、濃縮効率が低下するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-266803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来における濃縮装置では、サンプル容器を加温してサンプル中に含まれる溶媒を除去する際に、溶媒が突沸することがあり、濃縮の効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、溶媒の突沸を防止し、濃縮の効率を向上させることが可能な濃縮装置、及び濃縮装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明に係る濃縮装置は、サンプルに含まれる除去対象の溶媒を蒸発させて、前記サンプルを濃縮する濃縮装置であって、前記サンプルが導入されたサンプル容器を加温する加温器と、前記サンプル容器内で蒸発した気体を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器を冷却する冷却器と、前記サンプル容器内を減圧する減圧ポンプと、前記加温器による加温温度、前記冷却器による冷却温度、及び前記減圧ポンプの駆動を少なくとも制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記加温温度から所定温度だけ減じた温度を目標沸点として設定し、前記溶媒の沸点が前記目標沸点となるように、前記減圧ポンプを制御して前記サンプル容器内の圧力を目標圧力まで減圧し、前記サンプル容器内の圧力を前記目標圧力とし、且つ、前記加温器により前記サンプル容器を加温して、前記溶媒を蒸発させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る濃縮装置の制御方法は、サンプルに含まれる除去対象の溶媒を蒸発させて、前記サンプルを濃縮する濃縮装置の制御方法であって、前記サンプルが導入されたサンプル容器を加温する加温器による加温温度を取得し、前記加温温度から所定温度を減じた温度を前記溶媒の目標沸点とするステップと、前記サンプル容器の圧力が、前記溶媒の沸点を前記目標沸点とする圧力である目標圧力となるように減圧ポンプを制御するステップと、前記サンプル容器内が前記目標圧力とされた状態で、前記サンプル容器を加温して、前記サンプルに含まれる前記溶媒を蒸発させるステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶媒の突沸を防止し、濃縮の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る濃縮装置の構成を示す説明図である。
図2図2は、第1実施形態に係る濃縮装置の処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の第2、第3実施形態に係る濃縮装置の構成を示す説明図である。
図4A図4Aは、第2実施形態に係る濃縮装置の処理手順を示すフローチャートの第1の分図である。
図4B図4Bは、第2実施形態に係る濃縮装置の処理手順を示すフローチャートの第2の分図である。
図5A図5Aは、第3実施形態に係る濃縮装置の処理手順を示すフローチャートの第1の分図である。
図5B図5Bは、第3実施形態に係る濃縮装置の処理手順を示すフローチャートの第2の分図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る濃縮装置の構成を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係る濃縮装置101は、サンプル容器11と、恒温液槽12と、トラップ球13と、回転駆動部14と、凝縮器15と、回収液溜め部16と、昇降装置22と、減圧ポンプ17と、冷却水循環器18を備えている。更に、回転駆動部14、減圧ポンプ17、冷却水循環器18の駆動を制御し、且つ恒温液槽12の温度を制御する制御器31を備えている。
【0012】
サンプル容器11は、例えばナスフラスコ、丸底フラスコ、三角フラスコ等であり、内部に濃縮対象となるサンプルが導入される。また、サンプル内には、除去対象となる溶媒が含まれている。除去対象の溶媒として、例えば、酢酸エチル、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン等を挙げることができる。また、サンプルの内部には単一の溶媒、或いは複数の溶媒が含まれることがある。
【0013】
恒温液槽12(「ウォータバス」、「オイルバス」ということもある)は、内部に水、油等の液体が充填されており、電熱線などのヒータにより加温して液体を所望の温度に調整することができる。恒温液槽12の内部にサンプル容器11を挿入した状態で、恒温液槽12内の液体温度を調整することにより、サンプル容器11を加温し、ひいてはサンプル容器11内のサンプルを加温することができる。このため、サンプル中に含まれる除去対象の溶媒を蒸発(気化)させることができる。なお、恒温液槽12内の液体(水、油など)を加温する方式は、電熱線に限定されるものではなく、その他の方式を採用することも可能である。また、液体を使用せず、ヒータを用いて直接サンプル容器11を加温することも可能である。即ち、恒温液槽12は、サンプルが導入されたサンプル容器11を加温する加温器としての機能を備えている。
【0014】
恒温液槽12には、液体の温度を測定するための温度センサ12a(以下、「バス温度センサ12a」という)が設けられている。バス温度センサ12aの検出データは、制御器31に出力される。
【0015】
トラップ球13は、サンプル容器11内において突沸が発生した際に、突沸により放出された液体を蓄積する。
【0016】
回転駆動部14は、駆動用の減速モータ(図示省略)を備えており、サンプル容器11をその中心軸を回転軸として定速で回転させる。
【0017】
凝縮器15は、サンプル容器11の先端開口部に連通しており、該サンプル容器11内で蒸発した気体を凝縮させる。
【0018】
昇降装置22は、サンプル容器11を昇降させることにより、該サンプル容器11の恒温液槽内12への出し入れを操作する。
【0019】
冷却水循環器18(「チラー」ということもある)は、冷却水を蓄積する冷却水タンク19、及び冷却水タンク19内の冷却水を冷却する冷却装置(図示省略)を備えている。冷却水タンク19は、冷却水配管20を経由して凝縮器15内に螺旋状に設置された螺旋配管21に接続されている。冷却水タンク19には、該冷却水タンク19内の冷却水温度を測定するための温度センサ(以下、「チラー温度センサ19a」という)が設けられている。チラー温度センサ19aの検出信号は、制御器31に出力される。
【0020】
そして、冷却水循環器18は、冷却水タンク19に蓄積されている冷却水を冷却水配管20を経由して螺旋配管21を循環させ、凝縮器15内を冷却する。即ち、冷却水循環器18は、凝縮器15内の蒸気を冷却して液化させる冷却器としての機能を備えている。
【0021】
回収液溜め部16は、凝縮器15の下方に設けられて該凝縮器15と連通しており、凝縮器15で凝縮した液体を蓄積する。即ち、サンプル容器11で蒸発し、凝縮器15内に導入された気体(例えば、蒸気化した溶媒)が螺旋配管21を流れる冷却水にて冷却されて液化するので、この液化した液体(例えば、除去対象となる溶媒)を蓄積する。
【0022】
減圧ポンプ17は、制御器31の制御下で駆動し、凝縮器15内の圧力を減圧する。凝縮器15は、回転駆動部14、トラップ球13を経由し、サンプル容器11に封密的に連通しているので、凝縮器15の内部を減圧することにより、サンプル容器11内を減圧することができる。このため、サンプル容器11内に導入されている溶媒の沸点を所定の範囲内で任意に設定することが可能である。
【0023】
制御器31(制御部)は、回転駆動部14、減圧ポンプ17、冷却水循環器18の駆動を制御する。詳細には、濃縮装置101の作動時において、制御器31は、減圧ポンプ17を制御して凝縮器15内の圧力が所望の圧力(大気圧よりも低い圧力)となるように制御する。制御器31はまた、冷却水循環器18で循環させる冷却水の温度、及び循環水量を制御する。制御器31はまた、恒温液槽12内に充填されている液体の温度が所望の温度となるように制御する。制御器31はまた、ユーザが各種データの入力操作を行う入力部(図示省略)、及び各種の情報を表示する表示部(図示省略)を備えている。或いは、入力部と表示部を兼用したタッチセンサ(図示省略)を備えている。
制御器31は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0024】
そして、本実施形態では、サンプル容器11内に導入されているサンプルから、除去対象となる溶媒を除去してサンプルを濃縮する際に、溶媒が突沸することを防止して、効率よく且つ安定的にサンプルを濃縮することを可能とする。
【0025】
[第1実施形態の作用の説明]
次に、第1実施形態に係る濃縮装置101の作用について説明する。図2は、第1実施形態に係る濃縮装置101の処理手順を示すフローチャートである。なお、図2に示す処理のうち手動操作以外の各処理は、制御器31により実行される。
【0026】
初めに、図2のステップS11において、ユーザは、濃縮装置101を作動させる際の準備として、サンプル容器11内に濃縮するべきサンプルを導入する。また、このサンプルから除去する対象となる溶媒を選定する。除去対象の溶媒は前述した通り、例えば、酢酸エチル、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン等である。
【0027】
ステップS12において、ユーザは、制御器31の入力部において減圧ポンプ17の到達圧力P0、恒温液槽12内で加温可能な最高加温温度Td、及び冷却水循環器18で冷却可能な最低冷却温度Teを入力する。なお、減圧ポンプ17の到達圧力P0とは、減圧ポンプ17が減圧可能な最低限の圧力を指す。
【0028】
ステップS13において、制御器31は、バス温度センサ12aで検出される恒温液槽12内の液体温度(以下、「バス温度Tb」という)を読み込む。更に、チラー温度センサ19aで検出される冷却水の温度(以下、「チラー温度Tc」という)を読み込む。
【0029】
ステップS14において、制御器31は、バス温度Tbとチラー温度Tcとの差分が40℃(差分閾値温度)以上であるか否か、即ち、「Tb-Tc>40℃」であるか否かを判断する。サンプル容器11内で蒸発した溶媒を効率良く冷却して回収するためには、バス温度Tbとチラー温度Tcとの差分が大きいことが望ましく、本実施形態ではこの差分を40℃に設定している。ステップS14の処理では、この条件を満足しているか否かを判断する。
【0030】
「Tb-Tc>40℃」である場合には(S14;YES)、ステップS20に処理を進め、そうでなければ(S14;NO)、ステップS15に処理を進める。
【0031】
ステップS15において、制御器31は、バス温度Tbがチラー温度Tcよりも40℃以上高くなるように恒温液槽12のヒータを制御する。
【0032】
ステップS16において、制御器31は、バス温度TbがステップS12の処理で設定した最高加温温度Tdに達したか否かを判断する。最高加温温度Tdに達した場合には(S16;YES)、ステップS17に処理を進める。最高加温温度Tdに達しない場合には(S16;NO)、ステップS14に処理を戻す。
【0033】
ステップS17において、制御器31は、チラー温度Tcがバス温度Tbよりも40℃以上低くなるように冷却水循環器18を制御する。即ち、バス温度Tbが最高加温温度Tdに達しても「Tb-Tc>40℃」が達成されない場合には、チラー温度Tcを低下させる制御を行う。
【0034】
ステップS18において、制御器31は、チラー温度TcがステップS12の処理で設定した最低冷却温度Teに達したか否かを判断する。最低冷却温度Teに達した場合には(S18;YES)、ステップS19に処理を進める。最低冷却温度Teに達しない場合には(S18;NO)、ステップS14に処理を戻す。
【0035】
ステップS19において、制御器31は、表示部にてエラーメッセージを表示する。即ち、バス温度Tbを上昇させ、且つチラー温度Tcを低下させることにより、「Tb-Tc>40℃」が達成できない場合(S14でYES判定とならない場合)には、本処理を実行することができないので、表示部(図示省略)にエラーメッセージを表示して本処理を終了する。
【0036】
一方、ステップS14でYES判定とされた場合には、ステップS20において、制御器31は、バス温度Tbよりも所定温度(本実施形態では、20℃とする)だけ低い温度を、除去対象の溶媒(これを溶媒α1とする)の目標沸点Tとして設定する。即ち、「目標沸点T=Tb-20℃」として設定する。例えば、バス温度Tbが40℃である場合には、目標沸点T=20℃に設定する。
【0037】
ステップS21において、制御器31は、公知の演算方法を用いて、溶媒α1の目標沸点Tが20℃となる圧力を算出し、これを目標圧力P1とする。
【0038】
ステップS22において、制御器31は、目標圧力P1とステップS12の処理で設定された減圧ポンプ17の到達圧力P0を比較する。「P1>P0」である場合、即ち、減圧ポンプ17の能力で目標圧力P1まで減圧できる場合には(S22;YES)、ステップS24に処理を進め、そうでなければ(S22;NO)、ステップS23に処理を進める。
【0039】
ステップS23において、制御器31は、恒温液槽12のヒータを制御して、バス温度Tbを上昇させる。その後、ステップS13に処理を戻す。即ち、バス温度Tbが上昇すると、上述した「T=Tb-20℃」の関係から、目標沸点Tが上昇し、ひいては、目標圧力P1を高めることができる。その結果、目標圧力P1を減圧ポンプ17の到達圧力P0よりも高くすることができる。即ち、「P1>P0」とすることができる。
【0040】
ステップS24において、制御器31は、回転駆動部14を駆動させてサンプル容器11を定速で回転させる。更に、減圧ポンプ17を作動させて、サンプル容器11内の圧力が目標圧力P1となるように制御する。
【0041】
ステップS25において、制御器31は、サンプル容器11を恒温液槽12内に挿入して、サンプル容器11内のサンプルを加温する。サンプル容器11を恒温液槽12内に挿入する操作は、昇降装置22を制御することにより行うことができる。或いは、手動操作で挿入してもよい。
【0042】
恒温液槽12内の液体がバス温度Tbになるように加温されると、上述したように溶媒α1の沸点がバス温度Tbよりも20℃だけ低い温度となるように設定されているので、サンプル容器11内のサンプル中に含まれる溶媒α1を突沸させることなく、安定的に蒸発させて凝縮器15に送出することができる。
【0043】
即ち、サンプル容器11内に導入されているサンプルから、上述した除去対象の溶媒α1を除去することにより、サンプル容器11内のサンプルを濃縮することができる。また、凝縮器15に導入された蒸気は螺旋配管21を流れる冷却水により冷却されて凝縮され、回収液溜め部16に蓄積される。このため、溶媒α1を効率よく回収することができる。
【0044】
ステップS26において、制御器31は、バス温度センサ12aの検出データに基づき、バス温度Tbの温度の変動が、許容変動温度yの範囲内であるか否かを判定する。許容変動温度yの範囲内である場合には(S26;YES)、ステップS27に処理を進め、そうでなければ(S26;NO)、ステップS13に処理を戻す。
【0045】
即ち、バス温度Tbの変動が大きく、許容変動温度yの範囲を超えている場合には、ステップS13からの処理を繰り返して、バス温度Tbを再設定する。そして、溶媒α1の沸点が再設定した目標沸点となるように、目標圧力P1を再設定する。
【0046】
一方、バス温度Tbの温度変動が許容変動温度yの範囲内である場合には、溶媒α1は安定して蒸発しているものと判断し、ステップS27において、ユーザは、濃縮終了を目視により確認する。その後、本処理を終了する。こうして、サンプル容器11内に導入されたサンプルから、除去対象の溶媒α1を除去し、サンプルを濃縮することが可能となる。
【0047】
[第1実施形態の効果の説明]
このようにして、本発明の第1実施形態に係る濃縮装置101では、減圧ポンプ17によりサンプル容器11内の圧力を制御して、除去対象となる溶媒α1の沸点が、バス温度Tbよりも所定温度(例えば、20℃)だけ低い温度となるように設定している。従って、サンプル容器11が恒温液槽12内に挿入された際に、サンプルに含まれる溶媒α1が突沸することを防止することができる。このため、サンプル中の内容物が外部に放出されるなどの問題の発生を防止することができ、安定的にサンプルを濃縮することが可能となる。
【0048】
更に、凝縮器15の下方に、回収液溜め部16を設けており、溶媒α1の蒸気が冷却されて凝縮した際に、この溶媒α1を蓄積する。従って、サンプル中に含まれている溶媒を、効率よく回収することが可能となる。また、バス温度Tb(加温温度)の変化が大きい場合には、変化後のバス温度Tbに基づいて溶媒α1の沸点を再設定し、更に、目標圧量P1を再設定している。従って、バス温度Tbが変化した場合においても、この変化に追従して、安定的にサンプルを濃縮することが可能となる。
【0049】
また、恒温液槽12(加温器)のバス温度Tb(加温温度)と、冷却水循環器18(冷却器)のチラー温度Tc(冷却温度)との差分が、40℃(予め設定した差分閾値温度)以上となるように、バス温度Tb、及びチラー温度Tcの少なくとも一方を制御する。このため、バス温度Tbとチラー温度Tcとの差分を確実に広げることができ、溶媒α1を効率よく蒸発させ、且つ凝縮することが可能となる。
【0050】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、第2実施形態に係る濃縮装置102の構成を模式的に示す説明図である。図3に示す濃縮装置102は、図1に示した濃縮装置101と対比して、サンプル容器11の開口部近傍に蒸気温度センサ41を備えている点、及び蒸気温度センサ41の検出信号が制御器31に供給されている点で相違し、それ以外の構成は図1と同様である。従って、蒸気温度センサ41以外の構成説明を省略する。
【0051】
蒸気温度センサ41はサンプル容器11より放出される蒸気の温度を検出する。蒸気温度センサ41は、検出した温度データを制御器31に出力する。
【0052】
次に、図4A図4Bに示すフローチャートを参照して第2実施形態の作用について説明する。初めに、図4AのステップS51において、ユーザは、濃縮装置102を作動させる際の準備として、サンプル容器11内に濃縮するべきサンプルを導入する。また、このサンプル中から除去する対象となる溶媒(これを、「溶媒α1」とする)を選定する。
【0053】
ステップS52において、ユーザは、制御器31の入力部において減圧ポンプ17の到達圧力P0、恒温液槽12内で加温可能な最高加温温度Td、及び冷却水循環器18で冷却可能な最低冷却温度Teを入力する。
【0054】
ステップS53において、制御器31は、バス温度Tb及びチラー温度Tcを読み込む。
【0055】
ステップS54において、制御器31は、ステップS51の処理で選定した溶媒の凝固点Tmとチラー温度Tcを比較する。「Tc>Tm」である場合には(S54;YES)、ステップS56に処理を進め、そうでなければ(S54;NO)、ステップS55に処理を進める。
【0056】
ステップS55において、制御器31は、チラー温度Tcを再設定する。一例として、「Tc=Tm+5℃」に設定する。即ち、溶媒の凝固点Tmがチラー温度Tcよりも低い場合には、凝縮器15内において溶媒が凝固する可能性が高まるので、これを回避するためにチラー温度を凝固点Tmよりも高い温度に設定する。
【0057】
ステップS56において、制御器31は、バス温度Tbとチラー温度Tcとの差分が40℃(差分閾値温度)以上であるか否か、即ち、「Tb-Tc>40℃」であるか否かを判定する。サンプル容器11内で蒸発した溶媒を効率良く冷却して回収するためには、バス温度Tbとチラー温度Tcとの差分が大きいことが望ましく、本実施形態ではこの差分を40℃に設定している。ステップS56の処理では、この条件を満足しているか否かを判断する。
「Tb-Tc>40℃」である場合には(S56;YES)、ステップS62に処理を進め、そうでなければ(S56;NO)、ステップS57に処理を進める。
【0058】
ステップS57において、制御器31は、バス温度Tbがチラー温度Tcよりも40℃以上高くなるように恒温液槽12のヒータを制御する。
【0059】
ステップS58において、制御器31は、バス温度TbがステップS52の処理で設定した最高加温温度Tdに達したか否かを判断する。最高加温温度Tdに達した場合には(S58;YES)、ステップS59に処理を進める。最高加温温度Tdに達しない場合には(S58;NO)、ステップS56に処理を戻す。
【0060】
ステップS59において、制御器31は、チラー温度Tcがバス温度Tbよりも40℃以上低くなるように冷却水循環器18を制御する。即ち、バス温度Tbが最高加温温度Tdに達しても「Tb-Tc>40℃」が達成されない場合には、チラー温度Tcを低下させる制御を行う。
【0061】
ステップS60において、制御器31は、チラー温度TcがステップS52の処理で設定した最低冷却温度Teに達したか否かを判断する。最低冷却温度Teに達した場合には(S60;YES)、ステップS61に処理を進める。最低冷却温度Teに達しない場合には(S60;NO)、ステップS56に処理を戻す。
【0062】
ステップS61において、制御器31は、表示部にてエラーメッセージを表示する。即ち、バス温度Tbを上昇させ、且つチラー温度Tcを低下させることにより、「Tb-Tc>40℃」が達成できない場合(S56でYES判定とならない場合)には、本処理を実行することができないので、表示部(図示省略)にエラーメッセージを表示して本処理を終了する。
【0063】
一方、ステップS56でYES判定とされた場合には、ステップS62において、制御器31は、バス温度Tbよりも所定温度(例えば、20℃)だけ低い温度を、除去対象の溶媒(これを溶媒α1とする)の目標沸点Tとして設定する。即ち、「目標沸点T=Tb-20℃」として設定される。例えば、バス温度Tbが40℃である場合には、目標沸点T=20℃に設定する。
【0064】
ステップS63において、制御器31は、公知の演算方法を用いて、溶媒α1の目標沸点Tが20℃となる目標圧力P1を算出する。
【0065】
ステップS64において、目標圧力P1とステップS52の処理で設定された減圧ポンプ17の到達圧力P0を比較する。「P1>P0」である場合、即ち、減圧ポンプ17の能力で目標圧力P1まで減圧できる場合には(S64;YES)、図4BのステップS66に処理を進め、そうでなければ(S64;NO)、ステップS65に処理を進める。
【0066】
ステップS65において、制御器31は、恒温液槽12のヒータを制御して、バス温度Tbを上昇させる。その後、ステップS53に処理を戻す。即ち、バス温度Tbが上昇すると、上述した「T=Tb-20℃」の関係から、目標沸点Tが上昇し、ひいては、目標圧力P1を高めることができる。その結果、目標圧力P1を減圧ポンプ17の到達圧力P0よりも高くすることができる。即ち、「P1>P0」とすることができる。
【0067】
図4BのステップS66において、制御器31は、サンプル容器11を恒温液槽12内に挿入し、回転駆動部14を駆動させてサンプル容器11を定速で回転させる。更に、恒温液槽12のヒータを作動して恒温液槽12内の液体の加温を開始する。
【0068】
ステップS67において、制御器31は、減圧ポンプ17を作動させ、サンプル容器11内が目標圧力P1となるように減圧を開始する。
【0069】
ステップS68において、蒸気温度センサ41で検出される蒸気温度Taを取得し、該蒸気温度Taが、目標沸点Tよりも若干高い温度「T+x」(例えば、x=2℃)となると、溶媒α1の留去を開始する。
【0070】
ステップS69において、制御器31は、減圧ポンプ17を制御してサンプル容器11内を目標圧力P1を維持する。従って、サンプル容器11内のサンプルに含まれる溶媒α1が蒸発し、サンプルに含まれる除去対象の溶媒α1を除去することができる。
【0071】
上述したように、溶媒α1の沸点がバス温度Tbよりも20℃だけ低い温度となるように設定されているので、サンプルに含まれる溶媒α1を突沸させることなく、且つ安定的に蒸発させて凝縮器15に送出することができる。
【0072】
即ち、サンプル容器11内に導入されたサンプルから、上述した除去対象の溶媒α1を除去することにより、サンプル容器11内のサンプルを濃縮することができる。また、凝縮器15に導入された蒸気は螺旋配管21を流れる冷却水により冷却されて凝縮し、回収液溜め部16に蓄積される。このため、溶媒α1を回収することができる。
【0073】
ステップS70において、制御器31は、バス温度センサ12aの検出データに基づき、バス温度Tbの温度の変動が、許容変動温度yの範囲内であるか否かを判定する。許容変動温度yの範囲内である場合には(S70;YES)、ステップS71に処理を進め、そうでなければ(S70;NO)、ステップS69に処理を戻す。
【0074】
即ち、バス温度Tbの変動が大きく、許容変動温度yの範囲を超えている場合には、ステップS53からの処理からの処理を繰り返して、バス温度Tbを再度設定する。
【0075】
一方、バス温度Tbの温度変動が許容変動温度yの範囲内である場合には、溶媒α1は安定して蒸発しているものと判断し、ステップS71に処理を進める。
【0076】
ステップS71において、制御器31は、蒸気温度センサ41で検出される蒸気温度Taが、溶媒α1の目標沸点Tよりも若干低い温度「T-x」(例えば、x=2℃)となると、溶媒α1の留去を終了する。
【0077】
その後、ステップS72において、制御器31は、恒温液槽12の加温、減圧ポンプ17による減圧、回転駆動部14によるサンプル容器11の回転を停止し、本処理を終了する。こうして、サンプル容器11内に導入されたサンプルから、除去対象の溶媒α1を除去し、サンプルを濃縮することが可能となる。
【0078】
[第2実施形態の効果の説明]
このようにして、第2実施形態に係る濃縮装置102では、前述した第1実施形態と同様に、サンプル容器11内のサンプルを濃縮する際に、サンプルに含まれる溶媒α1が突沸することを防止することができる。従って、サンプル中の内容物が外部に放出されるなどの問題の発生を防止することが可能となる。
【0079】
更に、サンプル容器11より放出される蒸気の蒸気温度Taを検出する蒸気温度センサ41を設けており、該蒸気温度センサ41で実測される蒸気温度が目標沸点Tよりも若干高い温度「T+x」となったときに、溶媒α1の留去を開始する。また、蒸気温度が目標沸点Tよりも若干低い温度「T-x」となったときに溶媒α1の留去を終了する。このため、より高い効率でサンプル中の溶媒α1を溶媒を回収することが可能となる。
【0080】
また、冷却水循環器18より送り出す冷却水の温度が、溶媒α1の凝固点よりも高くなるように制御されるので、凝縮器15で回収される溶媒α1が凍結することを防止することが可能となる。
【0081】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。装置構成は、前述した図3と同一であるので構成説明を省略する。第3実施形態では、サンプル内に含まれる除去対象の溶媒が、複数存在する場合に各溶媒をサンプルから除去する。以下、図5A図5Bに示すフローチャートを参照して、第3実施形態に係る濃縮装置の処理手順について説明する。なお、図5A図5Bに示す例では、除去対象の溶媒が3種類である場合、即ち、サンプル中に含まれる3種類の溶媒α1、α2、α3を除去してサンプルを濃縮する例について説明する。
【0082】
なお、図5A図5Bに示すフローチャートの各ステップのうち、図4A図4Bに示したステップと同一のものについては、同一のステップ番号を付しており、変更しているステップは、サフィックス「a」を付すか、或いは異なるステップ番号を付している。
【0083】
初めに、図5AのステップS51aにおいて、ユーザは、濃縮装置を作動させる際の準備として、サンプル容器11内に濃縮するべきサンプルを導入する。また、このサンプルから除去する除去対象の溶媒を複数選定する。上述したように、第3実施形態では3種類の溶媒α1、α2、α3を選定する。
【0084】
ステップS52において、ユーザは、制御器31の入力部において減圧ポンプ17の到達圧力P0、恒温液槽12内で加温可能な最高加温温度Td、及び冷却水循環器18で冷却可能な最低冷却温度Teを入力する。
【0085】
ステップS53において、制御器31は、バス温度センサ12aで検出される恒温液槽12内の液体温度(バス温度Tb)を読み込む。更に、チラー温度センサ19aで検出される冷却水の温度(チラー温度Tc)を読み込む。
【0086】
ステップS531において、制御器31は、溶媒の種類を示すパラメータである「k」を「k=1」とする。
【0087】
ステップS54aにおいて、制御器31は、ステップS51の処理で選定した溶媒αkの凝固点Tmとチラー温度Tcを比較する。「Tc>Tm」であれば(S54a;YES)、ステップS56に処理を進め、そうでなければ(S54a;NO)、ステップS55に処理を進める。
【0088】
ステップS55~S61の処理は、図4Aにて説明した処理と同一であるので、説明を省略する。
【0089】
ステップS62aにおいて、制御器31は、バス温度Tbよりも所定温度(例えば、20℃)だけ低い温度を、溶媒αkの目標沸点Tとして設定する。即ち、「T=Tb-20℃」である。例えば、バス温度Tbが40℃である場合には、目標沸点T=20℃に設定する。
【0090】
ステップS63aにおいて、制御器31は、公知の演算方法を用いて、溶媒αkの目標沸点Tが20℃となる圧力Pkを算出する。
【0091】
ステップS64aにおいて、圧力PkとステップS52の処理で設定された減圧ポンプ17の到達圧力P0を比較する。「Pk>P0」である場合、即ち、減圧ポンプ17の能力で圧力Pkまで減圧できる場合には(S64a;YES)、図5BのステップS66に処理を進め、そうでなければ(S64a;NO)、ステップS65に処理を進める。
【0092】
ステップS65において、制御器31は、恒温液槽12のヒータを制御して、バス温度Tbを上昇させる。その後、ステップS53に処理を戻す。即ち、バス温度Tbが上昇すると、上述した「T=Tb-20℃」の関係から、目標沸点Tが上昇し、ひいては、圧力Pkを高めることができる。その結果、圧力Pkを減圧ポンプ17の到達圧力P0よりも高くすることができる。即ち、「Pk>P0」とすることができる。
【0093】
図5BのステップS66において、制御器31は、サンプル容器11を恒温液槽12内に挿入し、回転駆動部14を駆動させてサンプル容器11を定速で回転させる。更に、恒温液槽12のヒータを作動して恒温液槽12内の液体の加温を開始する。
【0094】
ステップS67aにおいて、制御器31は、減圧ポンプ17を作動させ、サンプル容器11内の圧力が圧力Pkとなるように減圧を開始する。
【0095】
ステップS68において、蒸気温度センサ41で検出される蒸気温度Taを取得し、該蒸気温度Taが、目標沸点Tよりも若干高い温度「T+x」(例えば、x=2℃)となると、溶媒αkの留去を開始する。
【0096】
ステップS69aにおいて、制御器31は、減圧ポンプ17を制御してサンプル容器11内を圧力Pkを維持する。従って、サンプル容器11内のサンプルに含まれる溶媒αkが蒸発し、サンプルに含まれる除去対象の溶媒である溶媒αkを除去することができる。
【0097】
上述したように、溶媒αkの沸点がバス温度Tbよりも20℃だけ低い温度となるように設定されているので、サンプル容器11内のサンプル中に含まれる溶媒αkを突沸させることなく、安定的に蒸発させて凝縮器15に送出することができる。
【0098】
即ち、サンプル容器11内に導入されているサンプルから、上述した除去対象の溶媒αkを除去することにより、サンプル容器11内の溶液を濃縮することができる。また、凝縮器15に導入された蒸気は螺旋配管21を流れる冷却水により冷却されて凝縮し、回収液溜め部16に蓄積される。このため、溶媒αkを回収することができる。
【0099】
ステップS70において、制御器31は、バス温度センサ12aの検出データに基づき、バス温度Tbの温度の変動が、許容変動温度yの範囲内であるか否かを判定する。許容変動温度yの範囲内である場合には(S70;YES)、ステップS71に処理を進め、そうでなければ(S70;NO)、ステップS53に処理を戻す。
【0100】
ステップS71において、制御器31は、蒸気温度センサ41で検出される蒸気温度Taが、溶媒αkの目標沸点Tよりも若干低い温度「T-x」(例えば、x=2℃)となると、溶媒α1の留去を終了する。
【0101】
ステップS711において、制御器31は、「k=3」であるか否かを判定する。「k=3」である場合には(S711;YES)、ステップS72に処理を進め、そうでなければ(S711;NO)、ステップS712に処理を進める。
【0102】
ステップS712において、制御器31は、「k」を「k+1」としてステップS54aに処理を戻す。即ち、3種類の溶媒α1、α2、α3のうち、溶媒α1の留去が終了した場合には、引き続き溶媒α2の留去を行う。そして、全ての溶媒α1、α2、α3の留去が終了した場合には、ステップS72に処理を進める。
【0103】
ステップS72において、制御器31は、恒温液槽12の加温、減圧ポンプ17による減圧、回転駆動部14によるサンプル容器11の回転を停止し、本処理を終了する。こうして、サンプル容器11内に導入された溶液中から、除去対象溶媒である複数の溶媒(溶媒α1~α3)を除去し、溶液を濃縮することが可能となる。
【0104】
[第3実施形態の効果の説明]
このようにして、第3実施形態に係る濃縮装置では、濃縮の対象となる溶液から複数の溶媒を留去する際に、それぞれの溶媒α1~α3について、沸点がバス温度Tbに対して20℃だけ低い温度となるように、圧力Pkを設定している。従って、各溶媒α1~α3を突沸することなく、且つ安定的の留去することが可能となる。
【0105】
また、前述した第2実施形態と同様に、サンプル容器11より放出される蒸気の蒸気温度Taを検出する蒸気温度センサ41を設けており、該蒸気温度センサ41で実測される蒸気温度が目標沸点Tよりも若干高い温度「T+x」となったときに、溶媒αk(k=1~3)の留去を開始する。また、蒸気温度が目標沸点Tよりも若干低い温度「T-x」となったときに溶媒α1の留去を終了する。このため、より高い回収率でサンプル中の溶媒α1を回収することが可能となる。
【0106】
なお、第3実施形態では、3種類の溶媒を留去する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2種類或いは4種類以上とすることも可能である。
【0107】
以上、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0108】
11 サンプル容器
12 恒温液槽
12a 温度センサ(バス温度センサ)
13 トラップ球
14 回転駆動部
15 凝縮器
16 回収液溜め部
17 減圧ポンプ
18 冷却水循環器
19 冷却水タンク
19a チラー温度センサ
20 冷却水配管
21 螺旋配管
22 昇降装置
31 制御器
41 蒸気温度センサ
101、102 濃縮装置
Tb バス温度(加温温度)
Tc チラー温度(冷却温度)
Td 最高加温温度
Te 最低冷却温度
Tm 凝固点
y 許容変動温度
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B