(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】配管切削装置、配管切削方法
(51)【国際特許分類】
F16L 55/18 20060101AFI20231207BHJP
F16L 1/028 20060101ALI20231207BHJP
F16L 55/26 20060101ALI20231207BHJP
F16L 55/30 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F16L55/18 B
F16L1/028 M
F16L55/26
F16L55/30
(21)【出願番号】P 2020034922
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桶川 智也
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰人
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-047539(JP,A)
【文献】特開昭63-053381(JP,A)
【文献】特開平10-118594(JP,A)
【文献】特開平10-118595(JP,A)
【文献】特開平01-250596(JP,A)
【文献】特開2009-203775(JP,A)
【文献】特開2010-070971(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0053867(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0220381(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3403732(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/18
F16L 1/028
F16L 55/26
F16L 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管内に通されている既設配管を、管軸方向の中心回りに回転して切削することにより除去する切削部と、
前記保護管および前記既設配管の外部に配置され、前記切削部に回転力を与える駆動部と、
前記切削部と前記駆動部とを、前記回転力が伝達可能に連結し、軸方向で可撓性を有する連結部と、を備え、
前記切削部は、周方向に並ぶ複数の切削刃部と、前記複数の切削刃部の間に設けられており軸方向に貫通する貫通部と、を有することを特徴とする配管切削装置。
【請求項2】
前記切削部の、前記連結部とは反対側に突出し、軸方向で可撓性を有するガイド部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の配管切削装置。
【請求項3】
前記切削刃部における刃先を含む回転方向の前端部は、前記刃先側が回転方向の後方に位置し、前記切削刃部における基端側が回転方向の前方に位置することを特徴とする、請求項1または2に記載の配管切削装置。
【請求項4】
前記切削刃部の外径寸法は、前記既設配管の外径寸法よりも大きく、前記保護管の内径寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の配管切削装置。
【請求項5】
前記切削部の、前記連結部とは反対側に位置するガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記切削部に近い位置の方が、前記切削部から遠い位置よりも大径であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の配管切削装置。
【請求項6】
前記切削部の、前記連結部とは反対側に位置するガイド部を備え、
前記ガイド部における外周部に、軸方向に貫通する溝部を有し、
前記溝部は、前記切削部における前記貫通部に連続することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の配管切削装置。
【請求項7】
請求項2、5、6のいずれかに記載の配管切削装置を用い、
前記既設配管に対して後方から前記切削部を挿入し、
前記既設配管に対して前方から後方に気流を通しつつ、前記切削部を前記保護管から抜けない範囲で前後動させつつ前記既設配管を切削する、配管切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を切削する配管切削装置、および、この配管切削装置を用いた配管切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、断面円形の既設配管(埋設樹脂管)を拡径する、切断刃を備えた拡径装置が開示されている。拡径装置は、その外周を既設配管の内径を広げる拡径面とされ、拡径装置の前側に、放射状に前記切断刃を複数個配置し、拡径装置の後方には、新配管(交換用樹脂管)の先端が固定された構成である。
【0003】
特許文献1に記載の構成では、切断刃で既設配管の内面に管軸方向に沿う拡径用切込みを形成し、拡径装置の拡径面により既設配管の内径を拡径し、拡径装置に後続する新配管を、拡径用切込みを広げて既設配管に導くことで、既設配管に新配管を挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、給湯配管等では、管状とされた断熱材等からなる保護管に配管が通されていることが多い。一方、特許文献1に記載の構成では、既設配管は拡径された状態で残存する。このため、保護管に通された既設配管に特許文献1の方法により新配管を挿入すると、拡開された既設配管が保護管を径内から圧迫することになる。特に配管の湾曲部で、保護管に無理がかかるため好ましくない。また、経年劣化した既設配管は完全に除去して廃棄したいとの要請もある。
【0006】
そこで本発明は、既設の保護管に対し新配管を挿入する際、既設配管を完全に除去し得る配管切削装置、および、この配管切削装置を用いた配管切削方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配管切削装置では、保護管内に通されている既設配管を、管軸方向の中心回りに回転して切削することにより除去する切削部と、前記保護管および前記既設配管の外部に配置され、前記切削部に回転力を与える駆動部と、前記切削部と前記駆動部とを、前記回転力が伝達可能に連結し、軸方向で可撓性を有する連結部と、を備え、前記切削部は、周方向に並ぶ複数の切削刃部と、前記複数の切削刃部の間に設けられており軸方向に貫通する貫通部と、を有することを特徴とする。
【0008】
これによると、切削部に形成された貫通部において軸方向に延びる空間を通り、切削部が既設配管を切削することで生じた切粉を、保護管および既設配管の外部に排出できる。
【0009】
また、前記切削部の、前記連結部とは反対側に突出し、軸方向で可撓性を有するガイド部を備えることもできる。
【0010】
これによると、ガイド部が湾曲した既設配管の内面に当たりガイド部が湾曲することで、切削部を既設配管の中心に位置決めしやすい。
【0011】
また、前記切削刃部における刃先を含む回転方向の前端部は、前記刃先側が回転方向の後方に位置し、前記切削刃部における基端側が回転方向の前方に位置することもできる。
【0012】
これによると、既設配管を切削して生じる切粉が細長く連続せず、細かい形状とできる。
【0013】
また、前記切削刃部の外径寸法は、前記既設配管の外径寸法よりも大きく、前記保護管の内径寸法よりも小さくてもよい。
【0014】
これによると、切削部により、保護管を残して既設配管を一回の施工で完全に除去できる。
【0015】
また、前記切削部の、前記連結部とは反対側に位置するガイド部を備え、前記ガイド部は、前記切削部に近い位置の方が、前記切削部から遠い位置よりも大径であることもできる。
【0016】
これによると、切削部に近い位置の方が大径であるガイド部により、切削部を既設配管の中心に位置決めすることが確実にできる。
【0017】
また、前記切削部の、前記連結部とは反対側に位置するガイド部を備え、前記ガイド部における外周部に、軸方向に貫通する溝部を有し、前記溝部は、前記切削部における前記貫通部に連続することもできる。
【0018】
これによると、溝部から切削部における貫通部に連続して気流を通すことができるので、この気流により切粉排出がしやすい。
【0019】
また、本発明の配管切削方法では、前記ガイド部を備えた前記配管切削装置を用い、前記既設配管に対して後方から前記切削部を挿入し、前記既設配管に対して前方から後方に気流を通しつつ、前記切削部を前記保護管から抜けない範囲で前後動させつつ前記既設配管を切削する、配管切削方法である。
【0020】
これによると、切削部を後方に移動させると、ガイド部の後部が既設配管の残存部の後端から抜け出して、ガイド部の径外に空間ができるため、その空間に切粉を通して効率的に切粉を切削部後方の保護管外に排出できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配管切削装置によれば、既設の保護管に対し新配管を挿入する際、既設配管を完全に除去し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態を表す住宅内の給水、給湯配管の概略図である。
【
図2】押し込み方式での既設配管切削工程の施工状態を表す断面図である。
【
図4】前記加工装置の切削部を構成する回転刃を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は背面図である。(d)(e)は比較対象とした回転刃(一部分)の左側面図である。
【
図5】同既設配管切削工程での湾曲部分の施工状態を表す断面図である。
【
図6】前記加工装置に取り付けられるガイド部を示し、(a)は左側面図、(b)は背面図である。
【
図7】引張り方式での既設配管切削工程の施工状態を表し、(a)は索体を出口から入口まで継手を挿通した状態の断面図、(b)は切削部を途中まで挿入した状態の断面図、(c)は切削部を出口まで挿通した状態の断面図である。
【
図8】前記加工装置に取り付けられる継手を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は背面図である。
【
図9】前記既設配管削除工程での湾曲部分の施工状態を表す断面図である。
【
図10】新配管挿入工程の施工状態を表し、(a)は中継部材を入口から入れる前の断面図、(b)は新配管を給湯路に挿入した状態の断面図である。
【
図11】前記中継部材に新配管を挿入した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る配管施工方法を、既設配管10を除去した保護管9に対しフレシキブルな新配管11を挿入する場合について、図面を参照して説明する。この施工方法は、例えば、給湯配管1または給水配管2の改良工法である。はじめに、一般的な家屋に用いられる給湯配管1または給水配管2の概略について説明する。
【0024】
図1に示すように、一般的に、家屋における給湯配管1または給水配管2は、床面3によって管軸方向Lの少なくとも途中部分が覆われている。管軸方向Lは、給湯配管1または給水配管2の軸中心に沿う方向である。また、管軸方向Lの入口4から出口5が、床面3から露出され、給湯配管1の後方端部である入口4は給湯機にヘッダー部材6を介して接続され、給湯配管1の前方端部である出口5は、例えば浴室の水栓7に接続されている。
【0025】
給湯配管1と給水配管2は同様の構成であるので、給湯配管1を給水配管2に兼用して説明すると、給湯配管1は、管状とされた、例えば発泡樹脂製の断熱材等からなる保護管9に、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、アルミ三層管等から構成された内部配管10を挿通して形成される。また、給湯配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ3a等に、管軸方向Lにおいて所定間隔で、強固に固定されている。
【0026】
本実施形態は、既設配管である内部配管10(以下、「既設配管10」とする)を取り換える配管施工方法に関連し、既設配管10を除去した上で、保護管9の内部に新配管11(
図10参照)を、管軸方向Lに沿って設置する。
【0027】
管軸方向Lとは、給湯配管1の軸方向に沿った方向であり、新配管11もまた、給湯配管1の管軸方向Lに沿って挿入される。新配管11は、新たな給湯配管1を構成する。新配管11は、既設配管10と同じく、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、アルミ三層管等により形成されており、軸方向で湾曲できるフレシキブルな配管である。また基本的に、新配管11は既設配管10と同じ外径および内径の配管である。既設配管10において入口4および出口5は、入口4を後方、出口5を前方として方向を特定する。なお、前記「入口」「出口」は、説明の便宜上定めたに過ぎない。よって、本実施形態とは逆に、給湯配管1の前方端部が入口4で、後方端部が出口5であってもよい。
【0028】
本実施形態に係る配管施工方法を具体的に説明すると、
(1)管軸方向Lの入口4から出口5までの既設配管10を、切削部12により切削することで除去する既設配管除去工程、
(2)既設配管10が除去された保護管9に、新配管11を、挿入具(この場合、
図10および
図11に示す配管挿入具64)により、出口5から引張って挿入する挿入工程、
を備えている。この施工方法では、保護管9および既設配管10は断面円形である。
【0029】
前述(1)の既設配管除去工程について、さらに詳述する。(1)の既設配管除去工程は、取外し工程と切削工程とを施工順に備えている。
【0030】
〔取外し工程〕
取外し工程は、
図1に二点鎖線で示すように、一本の給湯配管1につき、該給湯配管1のうち床面3に露出されている領域を、自由端とする工程である。
【0031】
取外し工程の施工方法は、ヘッダー部材6から給湯配管1の一端部(入口側端部)を外して入口4とし、水栓7から給湯配管1の他端部(出口側端部)を外して出口5とし、直線状および曲線状(例えば
図9の湾曲部分8)の領域を含む一本の保護管9と既設配管10とすることで、入口4および出口5を自由端とする。
【0032】
この取外し工程では、給湯配管1における途中部分は、前述のようにスラブ3aに強固に固定されたままであり、したがって直線状および曲線状の領域を含む給湯配管1(保護管9および既設配管10)が残存している。
【0033】
〔切削工程〕
切削工程は、
図1に示すように、給湯配管1において、既設配管10の入口4をスタートとして、既設配管10を全管厚分削る工程である。既設配管10を削るには、
図2および
図3に示すように、管軸方向Lの中心回りに回転方向Rで回転する切削部12を備えた配管切削装置13が用いられる。
【0034】
本実施形態の配管切削装置13は、保護管9内に通されている既設配管10を、管軸方向の中心回りに回転して切削することにより除去する切削部12と、前記保護管9および前記既設配管10の外部に配置され、前記切削部12に回転力を与える駆動部14と、前記切削部12と前記駆動部14とを、前記回転力が伝達可能に連結し、軸方向で可撓性を有する連結部16と、を備える。以下、詳しく説明する。
【0035】
切削工程で使用される配管切削装置13(「ボーリングバー」とも称する)の構成について述べる。
図2、
図3に示すように、配管切削装置13は、駆動部14の先端に着脱自在な把手15と、把手15の先端側に配置された切削部12と、把手15と切削部12とを連結する連結部16とを備えている。
【0036】
図2に示すように、駆動部14については一般的な回転式電動工具が用いられ、その本体17は、その先端に把手15を連結させて、切削部12を管軸方向Lが回転中心となるように回転させる。
【0037】
配管切削装置13における把手15は、駆動部14の先端形状に対し相対形状に形成され、駆動部14の先端に固定される。把手15は、管軸方向Lに沿うよう駆動部14の把持に耐え得る管軸方向Lの長さに形成されている。
【0038】
図3に示すように、配管切削装置13における切削部12は、エンドミル状であって、周方向に並ぶ複数の切削刃部121と、これら複数の切削刃部121の間に設けられており軸方向に貫通する貫通部としての連通溝122と、を有する。切削部12は、基端部が一方側ばね座22に取り付けられる。また、先端部には凹部123が形成されており、この凹部123に第1ガイド部18の基部181が嵌め込まれて取り付けられる。
【0039】
本実施形態の切削部12では、4つの切削刃部121が周方向に均等な間隔をおいて設けられている。各切削刃部121における
図4(b)に示す右側の突端が刃先124となっている。切削対象が配管(既設配管10)であるため、刃先124は切削部12の前端部における径外領域にだけ形成されている。径内領域は、第1ガイド部18または第2ガイド部33を取り付けるための凹部123が形成されている。
【0040】
切削部12は、
図4(a)に示す反時計回り(
図4(b)に示す下方向)である回転方向Rで回転する。回転する各切削刃部121における刃先124が既設配管10に当たることで、既設配管10が切削される。つまり、この切削部12は、前端部で既設配管10の切削を行う。切削刃部121の外径寸法は、既設配管10の外径寸法よりも大きく、保護管9の内径寸法よりも小さく設定されている。このように設定された切削部12により、既設の保護管9を残して既設配管10を、径方向に段階的に切削する複数回の施工を要さず、一回の施工で完全に除去できる。
【0041】
連通溝122は、周方向で隣り合う切削刃部121の間に設けられている。このため、本実施形態の切削部12では、4つの連通溝122も周方向に均等な間隔をおいて設けられている。連通溝122は、切削部12における先端(
図4(b)に示す右端)から基端(同左端)まで連通し、かつ、径外方向に開口した溝である。このように貫通部としての連通溝122を切削部12に形成したことにより、連通溝122において軸方向に延びる空間を通り、切削部12が既設配管10を切削することで生じた切粉を、保護管9および既設配管10の外部に排出できる。なお、この切粉の排出は、後述の気流発生手段により生じさせた気流F(
図2参照)に切粉を乗せることにより効果的になされる。
【0042】
連通溝122は、切削刃部121における先端側が回転方向Rの後方に位置し、基端側が回転方向Rの前方に位置する。このため、連通溝122の回転方向Rの後縁部である、切削刃部121における刃先124を含む回転方向Rの前端部125は、刃先124側が回転方向Rの後方に位置し、切削刃部121における基端側が回転方向Rの前方に位置する。切削刃部121における回転方向Rの前端部をこのような形状にすることで、既設配管10を切削して生じる切粉が細長く連続せず、例えば粉末状の細かい形状とできる。よって、連通溝122に切粉が引っ掛かりにくく、連通溝122を通してスムーズに切粉を排出できる。
【0043】
ちなみに、発明者が確認したところによると、切削刃部121における回転方向Rの前端部125が、例えば
図4(d)に示す前端部125dのように前後方向で水平な場合や、
図4(e)に示す前端部125eのように、刃先124e側が回転方向Rの前方に位置し、基端側が回転方向Rの後方に位置する場合では、切粉が細長く連続した、糸のような形状になってしまった。しかしこのような切粉の形状では、連通溝122に引っ掛かりが生じやすい。このため、スムーズに切粉を排出するためには、
図4(b)に示す本実施形態の形状とすることが好ましい。
【0044】
また、各切削刃部121の前面は、
図4(b)に示すように、回転方向Rの前方が前方に位置し、回転方向Rの後方が後方に位置する面を有した形状であって、後方で連通溝122の前端につながっている。このような前面形状により、切削部12の前方にある切粉が各切削刃部121の前面に当たると、切粉は前面に沿って後方に移動させられて、連通溝122へと誘導される。この切粉の誘導は、後述の気流発生手段により生じさせた気流F(
図2参照)に切粉を乗せることにより効果的になされる。
【0045】
切削部12の軸方向における後端部には、一方側ばね座22が設けられている。一方側ばね座22は、先端に設けられたねじ19aを、切削部12の径方向中心に形成されたねじ孔19bに螺合することにより固定されている。第1ガイド部18または第2ガイド部33を切削部12の軸方向における前方(先端側)に取り付ける場合、ねじ19aは、切削部12のねじ孔19bを貫通させ、各ガイド部18,33に設けられているねじ孔にも螺合される。一方側ばね座22は円形断面であり、その外径は、切削刃部121の外径よりも小さく設定されている。把手15における前部(先端部)には、他方側ばね座23が設けられている。他方側ばね座23は、把手15の先端を抉るように設けられている。他方側ばね座23は、円形断面でありその外径が切削部12の外径よりも小さく設定されている。把手15における後部(基端部の内部には軸受装置24が設けられている。軸受装置24は、該軸受装置24の外側に配置された支持装置25(軸受装置24の外殻に相当する)に対して、把手15を回転自在に支持させる。支持装置25は、作業者の手指によって支持されるものである。
【0046】
配管切削装置13の連結部16は、自然状態において直線状のねじりコイルばねから構成される。連結部16の先端は、一方側ばね座22に内嵌してかしめることで、連結部16の先端は一方側ばね座22に非回転に嵌合支持されている。連結部16の他端は、他方側ばね座23に内嵌してかしめることで、連結部16の他端は他方側ばね座23に非回転に嵌合支持されている。また、連結部16は、一方側ばね座22と他方側ばね座23との間で露出されてフリーであるから、一方側ばね座22と他方側ばね座23との間で可撓性を有する。なお、連結部16は、切削部12の外径よりも小径に形成されている。
【0047】
本実施形態では、形状の異なる第1ガイド部18と第2ガイド部33とが用いられる。第1ガイド部18は、以下の「押し込み方式」で用いられる。第2ガイド部33は、以下の「引張り方式」で用いられる。なお、「押し込み方式」、「引張り方式」は単独で用いることもできるし、併用する(例えば入口4側から押しつつ、出口5側から引く)こともできる。
【0048】
図2および
図6に示すように、第1ガイド部18は、切削部12の、連結部16とは反対側(出口5側)に突出して設けられる。第1ガイド部18は、基部181、可撓軸182、先端部183を有する。基部181は切削部12の凹部123に取り付けられる。基部181の外周部に、軸方向に貫通する溝部184を有する。この溝部184は、周方向に4か所形成されている。
図2に示すように、各溝部184は、切削部12における連通溝122に空間が連続する。このため、溝部184から連通溝122に連続して気流Fを通すことができるので、この気流Fにより切粉排出がしやすい。可撓軸182は、連結部16と同様、自然状態において直線状のねじりコイルばねから構成される。このため可撓軸182は、軸方向で可撓性を有する。また、先端部183は、可撓軸182の先端に連続していて、先細り形状(本実施形態では円錐状)とされている。
【0049】
このように第1ガイド部18が構成されたことにより、
図5に示すように、第1ガイド部18が湾曲した既設配管10の内面に当たった場合、第1ガイド部18が湾曲することで、切削部12を既設配管10の中心に位置決めするガイドを行いやすい。特に、切削部12と共に第1ガイド部18が回転する場合、可撓軸182は先端部183がぶれて首を振るような運動をする。この運動に伴い、既設配管10(直進部、湾曲部のいずれも)の内面に当たることで、切削部12の回転中心を既設配管10の中心に一致させることができる。また通常は、保護管9よりも既設配管10の方が硬質であるから、第1ガイド部18を保護管9ではなく既設配管10の内面に当てるようにすることで、切削部12のガイドを確実にできる。
【0050】
また、第1ガイド部18は、切削部12に取り付けられた状態で、切削部12に近い位置の方が、切削部12から遠い位置よりも大径とされている。このような形状の第1ガイド部18により、切削部12を既設配管10の中心に位置決めすることが確実にできる。
【0051】
次に、
図8に示すように、第2ガイド部33は、後述の索体31を支持する継手本体50と、ころがり軸受である軸受部53を備える。継手本体50は、前方に、索体31の先端取付部34が通され、先端取付部34を輪状とする、径方向の貫通孔54を有する索体支持部51を備え、後方に、切削部12に接続される切削部接続部52を備える。軸受部53は、索体支持部51と切削部接続部52との間に、相互が回転するように設けられており、索体支持部51が内輪となり、切削部接続部52が外輪となる。切削部接続部52は、径方向中心に形成された、第1ガイド部18におけるものと同様のねじ孔55を備え、切削部12に形成されたねじ19aに螺合する。
【0052】
第2ガイド部33では、切削部接続部52の外周部に、貫通孔54のある軸方向位置を起点として、軸方向(後方)に貫通する溝部56を有する(貫通孔54は周方向で180度ごとに設けられているので、90度ごとに設けられる溝部56は、貫通孔54に一致するものとしないものがある)。この溝部56は、周方向に4か所、索体支持部51と切削部接続部52とに亘って形成されている。
図7(b)(c)に示すように、各溝部56は、切削部12における連通溝122に空間が連続する。このため、溝部56から連通溝122に連続して気流F(
図7(b)参照)を通すことができるので、この気流Fにより切粉排出がしやすい。ただし、第2ガイド部33は、索体支持部51に対し、切削部接続部52が駆動部14の回転力を受けて回転するから、切削部接続部52の回転中に索体支持部51側の溝部56と切削部接続部52側の溝部56とが軸方向に一致した時に切粉排出がなされる。
【0053】
〔切削工程(押し込み方式)〕
このような構成の配管切削装置13を用いた切削工程のうち、配管切削装置13を入口4側から押し込む「押し込み方式」の施工方法について述べる。切削工程では、作業者は、駆動部14の先端に配管切削装置13の把手15(支持装置25)を把持することで、配管切削装置13を駆動部14に支持させ、既設配管10の入口4に、第1ガイド部18を挿入する。
【0054】
第1ガイド部18は、既設配管10の内径よりも小さく設定されているから、既設配管10の入口4に確実に挿入できる。
【0055】
このようにして、作業者は駆動部14の本体17を駆動させ、把手15および連結部16を介して切削部12を前方に押す。作業者が配管切削装置13全体を押すと、配管切削装置13の把手15は駆動部14に支持され、連結部16は、一方側ばね座22および他方側ばね座23に支持されているから、本体17の駆動により配管切削装置13全体が管軸方向Lを回転中心として回転し、管軸方向Lに沿って出口5側へ進む。切削部12が回転すると、
図2に示すように、第1ガイド部18によって管軸方向Lにガイドされ、既設配管10が全管厚分削られる。
【0056】
一方側ばね座22の外径は、既設配管10の内径よりも小さく設定されているから、配管切削装置13を押すあいだに、一方側ばね座22が既設配管10に衝突することもない。また、連結部16の外径は、一方側ばね座22および他方側ばね座23の外径よりも小径に形成されている。このため、配管切削装置13を押すあいだに、連結部16が既設配管10に衝突することもない。
【0057】
既設配管10を全長分切削し終わるか、または、入口4側の所定長さを切削した後は、駆動部14を後方に引いて、配管切削装置13を既設配管10の入口4から取外し、切削工程を終了する。
【0058】
〔切削工程(引張り方式)〕
次に、配管切削装置13を入口4側から出口5側に引張る「引張り方式」について説明する。ここで用いる配管切削装置27は、入口4から挿入される入口側装置28と、出口5から挿入される出口側装置29とを備える。
【0059】
図7(b)(c)に示すように、入口側装置28は、前述の「押し込み方式」において用いた配管切削装置13のうち、第1ガイド部18を外した状態と同じ構成とされている。出口側装置29は、索体31(ワイヤが用いられる)および第2ガイド部33を備える。索体31の外径は、既設配管10の内径に対して充分小さく形成されている。なお、索体31を牽引する装置として牽引部32を配置しており、
図7(c)に示すように、牽引部32としてウィンチが用いられている。牽引部32は、索体31を巻掛け自在に保持している。索体31の先端取付部34は、継手本体50の貫通孔54に通されて輪状とされた上、かしめリング等を用いてかしめられることで、先端取付部34と継手本体50とが一体化されている。
【0060】
切削工程(引張り方式)の施工方法について述べる。まず、作業者は、
図7に示すように、索体31を第2ガイド部33の先端取付部34に取り付けた出口側装置29を準備して、これを、
図7(a)で示すように、出口5から給湯配管1の入口4側へ向けて挿通する。これに関して、継手本体50の外径は、既設配管10の内径よりも小さく形成されているから、第2ガイド部33を給湯配管1の出口5から入口4に挿通することができる。
【0061】
また作業者は、入口側装置28の切削部12において、ねじ19aに第2ガイド部33を螺合させる。これにより、第2ガイド部33は、切削部12の、連結部16とは反対側(出口5側)に位置することになる。続いて、入口側装置28の連結部16において、一方側ばね座22側のねじ19aを切削部12のねじ孔19bに螺合させる。これにより、入口側装置28と出口側装置29とが一体化される。続いて作業者は、索体31を出口5から引張り、入口側装置28の切削部12および連結部16を、入口4側から保護管9に挿入させる。
【0062】
このようにして、既設配管10の入口4側に入口側装置28を準備した後は、出口5側に牽引部32を準備し、牽引部32により牽引される索体31の基端を巻掛ける。また、駆動部14の先端を把手15に取付ける。このようにして、牽引部32、駆動部14の駆動を行い、切削部12で既設配管10を全管厚分切削する。なお、作業者は、軸受装置24の支持装置25を把持することで、駆動部14を把持しやすい。
【0063】
駆動部14の本体17に連結部16を介して連結されている切削部12は、管軸方向Lを回転中心として回転をし、索体31を介して牽引部32により引かれる。さらに、把手15は駆動部14に支持され、連結部16は、一方側ばね座22および他方側ばね座23に、かしめによって支持され、他方側ばね座23と把手15における支持装置25の内部領域とは接合されているから、本体17の駆動により切削部12が、管軸方向Lを回転中心として回転する。
【0064】
なお、切削工程(引張り方式)の施工の際でも、切削工程(押し込み方式)と同じく、切削部12が入口4側から出口5側に押圧されてもよい。しかしながら、切削工程(引張り方式)では、切削部12を出口5へ向けて押すというよりも、出口5から引張るから、切削部12を移動させ易い。そして、牽引部32は、出口5側へ向けて前方(入口4側から出口5側)に延びる索体31を介して切削部12を牽引する。すなわち、切削部12を、管軸方向Lを回転中心として回転させて、出口5から引張って削るから、切削部12を出口5へ向けて押すよりも、切削部12を容易に出口側へ移動させ易く、しかも確実に既設配管10を削り取ることができる。
【0065】
特に、索体31は、切削部12の先端部を引張るので、索体31が進む方向に切削部12が向きをかえながら誘導される。このため、切削部12は、内径を確実に切削しながら、管軸方向Lに移動させることができる。
【0066】
ところで、切削部12の回転は、第2ガイド部33によって、牽引部32に伝達されることを防止している。すなわち、先端取付部34が、索体支持部51にかしめられて一体化されているが、索体支持部51と切削部接続部52との間には軸受部53が配置されていて、索体支持部51と切削部接続部52とは軸受部53の軸心(索体31の軸心)を中心に回転する。このため、駆動部14の駆動力は、連結部16、切削部12を駆動するが、軸受部53が転動することで、駆動部14の駆動力として索体31を回転させることはなく、索体31の回転には影響されない。
【0067】
切削部12が出口5から出た時点で、駆動部14の駆動を止め、牽引部32の駆動を止める。そして、第2ガイド部33を切削部12のねじ19aから外し、一方側ばね座22側に形成されたねじ19aを、切削部12のねじ孔19bを外して、入口側装置28を入口4側へ引張り、切削工程(引張り方式)を終了する。
【0068】
なお、杆本体47の管軸方向Lの長さは、施工しようとする給湯配管1の管軸方向Lの略長さ分であるから、施工しようとする既設配管10に、支持装置25を入口4から挿入する必要はない。
【0069】
ところで、一本の既設配管10(給湯配管1)の途中には、
図9に示すように湾曲部分8が存在することが一般的である。
【0070】
図9に、湾曲部分8での、配管切削装置27(入口側装置28、出口側装置29)の状況を示す。既設配管10に湾曲部分8があり、第2ガイド部33が索体31に引張られると、第2ガイド部33の継手本体50の外径は、既設配管10の内径よりも小さく形成されることから、第2ガイド部33を湾曲部分8に挿通し易い。また、連結部16は可撓性を有しているから、湾曲部分8の曲率に応じ、切削部12が第2ガイド部33の牽引に応じて撓むことができる。このため、切削部12の管軸方向Lを回転中心とする駆動は、駆動部14の本体17によって、安定して行うことができる。
【0071】
また、索体31で切削部12の先端を引張って誘導するため、切削部12は、湾曲部分8の湾曲に応じて、索体31に引かれるように向きを変えながら進む。このため、切削部12が湾曲部分8にあっても、円滑に進んで既設配管10を切削できる。よって、既設配管10の直線部分はもとより、既設配管10に湾曲部分8も除去される。
【0072】
また、切削工程においては、既設配管10を切削する際に、切削された既設配管10の塵芥である切粉を入口4から出口5、あるいは出口5から入口4に向けて除去するための、図示しない気流発生手段を設けている。気流発生手段は、既設配管10を切削した分による切粉を、生じさせた気流Fにより、入口4から出口5、あるいは出口5から入口4へ向けて吹き飛ばす機能を備える。本実施形態では、保護管9および既設配管10の内部空間に対し、押し込み方向の気流Fを発生させる気流発生手段が出口5側に設けられ、切粉を出口5から入口4に向けて除去するよう構成されている。なお、本実施形態とは逆に、保護管9および既設配管10の内部空間に対し、引き込み方向の気流Fを発生させる、吸引式の気流発生手段が入口4側に設けられていてもよい。切削工程では、既設配管10が切削されることで切粉が生じる。気流発生手段は、保護管9および未切削の既設配管10にある切粉が邪魔になって、その後の工程に支障をきたす場合に有効である。
【0073】
気流発生手段は、例えば圧縮機(コンプレッサなど)や送風機(ブロアーなど)を備えることで、保護管9および既設配管10の内部空間に、管軸方向の気流Fを生じさせることができる。したがって、保護管9および既設配管10の内部空間に空気を送り込んで、例えば出口5から入口4に向けて切粉を除去することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、作業者が切削部12を保護管9から抜けない範囲で前後動させつつ既設配管10を切削する。切削部12を前方に移動させると、既設配管10を切削する。一方、切削部12を後方に移動させると、第1ガイド部18または第2ガイド部33の後部が既設配管10の残存部(未切削部)の後端から抜け出して、各ガイド部の径外に空間ができるため、その空間に切粉を通して効率的に切粉を切削部12後方の保護管9外に排出できる。
【0075】
以上をまとめると、切削工程では、配管切削装置13を用い、既設配管10に対して後方から切削部12を挿入し、既設配管10に対して気流発生手段により前方から後方に気流Fを通しつつ、切削部12を保護管9から抜けない範囲で前後動させつつ既設配管10を切削する、配管切削方法が行われる。
【0076】
〔挿入工程〕
図10に示すように、挿入工程は、既設配管除去工程により既設配管10が除去された状態において、新配管11を、出口5から引張ることで挿入する工程である。この挿入工程には、配管挿入具64が用いられる。配管挿入具64は、保護管9に新配管11を挿入するように用いられる。新配管11は、前述のとおり、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、アルミ三層管等により形成されており、フレシキブルな配管である。
【0077】
図10および
図11に基づいて、配管挿入具64を詳述する。
図10に示すように、配管挿入具64は、挿入部65と、索体31を備える。索体31を牽引する装置として牽引部32を備える。索体31および牽引部32の構成を説明すると、索体31および牽引部32は、既設配管除去工程で用いたものと同様である。
【0078】
配管挿入具64の挿入部65は、新配管11の先端11aに接続され、新配管11の外径と同じか大径の継手である中継部材66と、中継部材66の後端部には、新配管11の先端11aが挿入されて新配管11の径外方向の膨らみを防止する保持部である押え部67とを備える。
【0079】
中継部材66は、先端側の前円筒体68と、前円筒体68の後側に配置される後円筒体69とを備える。また、中継部材66は、押え環74を備えている。前円筒体68は、管軸方向Lに沿う拡大片70を表面に備え、拡大片70は、円筒面71の周方向の所定間隔ごとに形成されている。拡大片70どうしの中間は、拡大片70より径の小さな円筒面71とされている。また、各拡大片70の前後は、円弧面に形成されている。拡大片70の外径は、保護管9の内径よりも小さい。前円筒体68の径方向中心には、後述する支持体65aのねじ65bを螺合するねじ孔40cが貫通されている。
【0080】
後円筒体69は、前円筒体68に比べて小径に形成されている。後円筒体69は、管状に形成されている。後円筒体69の内空部分は、ねじ孔40cに連通されている。後円筒体69は、複数の円筒片72を周方向に、且つ所定間隔置きに円周方向に並べて配置されている。各円筒片72の後端には、径方向外向きに突出する阻止片73が、円筒片72の周方向に亘って形成されている。この阻止片73は、管軸方向Lに沿って複数配置されている。
【0081】
中継部材66は、押え環74を備えている。後円筒体69と押え環74により、新配管11の先端11aが挿入されて新配管11の径外方向の膨らみを防止する前記押え部67が構成される。押え環74は円筒状の筒体(または半割の筒体)であり、押え環74の外径は、新配管11の先端11aを押えた際に、前円筒体68の拡大片70の外径と同一である。押え環74の内周と阻止片73の外周の係止で、新配管11の端部が保持される。
【0082】
図11に示すように、配管挿入具64は、支持体65aを有する。支持体65aは、索体31の先端取付部34を内嵌してかしめることで、支持体65aと先端取付部34とが一体化されている。この支持体65aの先端側に、外周が順次後方へ向けて大きくなる円錐台面65cが形成されている。円錐台面65cの最大径は、拡大片70よりもわずかに小径とされる。円錐台面65cの後方に、前円筒体68の径方向中心に配置したねじ孔40cに螺合するねじ65bが形成されている。
【0083】
挿入工程の施工方法について述べる。作業者は、出口5側に牽引部32を準備し、索体31を取付けた支持体65aを、出口5から入口4へ向けて挿通する。また、作業者は、入口4側に、新配管11の先端11aを中継部材66に係止したものを準備する。新配管11の先端11aは、後円筒体69に新配管11の内径を挿入し、押え環74により新配管11の先端11aを挿入する。
【0084】
そして、前円筒体68のねじ孔40cに、索体31の先端取付部34を取付けた支持体65aのうち、ねじ65bを螺合して、中継部材66と支持体65aとを連結する(
図10(a))。次に作業者は、牽引部32を駆動して、索体31を牽引することで、前円筒体68が保護管9の入口4から挿入される。このとき、円錐台面65cの外周面が、保護管9の内面に当たることにより、前円筒体68を円滑に挿入するガイドとなる。ここで、前円筒体68は拡大片70を有している。しかしながら、拡大片70は円筒面71に対して円周方向に間欠的に配置され、拡大片70の前後は円弧面に形成されている。このため、前円筒体68の保護管9への挿入は円滑に行われる。
【0085】
また、中継部材66は出口5へ向けて押すのではなく、牽引部32によって牽引されるから、中継部材66を出口5へ向けて押すよりも、中継部材66を出口5に向けて容易に移動させ易い。そして、保護管9に新配管11を挿入した時点で、新配管11に対する中継部材66を外し、また、前円筒体68のねじ孔40cと支持体65aのねじ65bとの螺合を外し、挿入工程の施工方法を終了する(
図10(b))。
【0086】
索体31で中継部材66の先端を引張るので、中継部材66は、先端から向きを変えるように誘導されるため、中継部材66の移動が容易である。
【0087】
本実施形態に係る施工方法では、既設配管除去工程で、管軸方向Lの入口4から出口5までの給湯配管1を切削部12により削り、挿入工程では、既設配管除去工程により既設配管10が除去されて内部が空になった保護管9に、新配管11を、出口5から引張って挿入する。
【0088】
この方法によれば、給湯配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ3a等に、管軸方向Lにおいて所定間隔で、強固に固定されている家屋において、例えば、取外し工程で給湯配管1の入口4をヘッダー部材6から外し、出口5を浴室の水栓7から外し、挿入工程では、新配管11を出口5から引張って挿入する。このため、給湯配管1が強固に固定されていても、家屋における床面をはがすことなく、工事の簡素化ができ、新配管11の施工が容易にできる。
【0089】
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても前記実施形態に限られるものではない。
【0090】
前記実施形態の取外し工程では、給湯配管1の入口4は給湯機にヘッダー部材6を介して接続され、出口5は浴室の水栓7に接続された場合を例示しているが、出口5はその他の水回り、例えば台所の給水配管および給湯配管において、前記施工方法、並びに装置を用いることもできる。また、既設配管10の湾曲部分8は、垂直方向の湾曲部分を有していても、水平方向の湾曲部分を有していても工事の簡素化ができ、新配管11の施工が容易にできる。さらに、前記実施形態では、給湯配管1には既設配管10に保護管9が外嵌されているが、保護管9の代わりに断熱機能を有さない保護材であってもよい。
【0091】
切削部12における貫通部は、前記実施形態では連通溝122とされていた。しかし、これに限定されず、切削部12の内部を貫通する貫通孔であってもよい。
【0092】
前記実施形態における連結部16、および、第1ガイド部18の可撓軸182は、ねじりコイルばねから構成されたが、管軸方向Lに延びる長尺の弾性部材とすることも可能である。
【0093】
前記実施形態の施工方法では、入口4から出口5が床面3から露出されて、床下に給湯配管1が設けられた場合を例示した。しかしながら家屋等の天井の裏面に設けた天井配管にも、前記施工方法、および施工方法に用いる装置が適用できる。
【0094】
切削工程に用いられる第2ガイド部33は、切削部接続部52の回転を索体31へ伝達しない構成であれば、その形態は特に限定されない。
【0095】
前記実施形態の、挿入工程で用いられる中継部材66には、拡大片70を形成したが、拡大片70を省略して、拡大片70の外径を有する円筒面とすることもできる。押え部67における阻止片73は、管軸方向Lに複数個所設けたがこの数に限定されず、また、阻止片73を設ける代わりに摩擦面とし、該摩擦面と押え環74とで新配管11の先端11aを押えつけることができる。
【0096】
前記実施形態では、除去した既設配管10と同一の外径、内径の新配管11を挿入した。しかしながら、除去した既設配管10と異なる外径、内径の新配管11を挿入することもできる。
【0097】
前記実施形態では、既設配管10について本施工方法並びに装置を例示した。しかしながら、下水、気体、油等が供給される配管についても、本施工方法並びに装置を用いることもできる。
【0098】
給湯配管1は、保護管9に、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、あるいはアルミ三層管等の既設配管10を挿通して形成された場合を例示したが、他の素材からなる硬質合成樹脂から形成されるものであってもよい。
【0099】
前記実施形態の切削工程では、単一の切削部12で切削する場合について説明したが、これに限らず、外径の小さい小切削部を先端側に、外径の大きい大切削部を先端側の切削部より後端側に設けて、各切削部により二段階で切削するようにしてもよい。また、外径の小さい小切削部を先端側に備えた配管切削装置13と、外径の大きい大切削部を先端側に備えた配管切削装置13とを別個に用意し、二つの配管切削装置13を順次使用してもよい。
【0100】
前記実施形態では、切削工程が、入口4側に駆動部14を配し、出口5側に牽引部32を配する場合について説明したが、これに限らず、出口5側に駆動部14と牽引部32の両方を配置して、切削部12を回転させつつ出口5側から移動させることもできる。
【0101】
前記実施形態では、挿入工程は、出口5側から引張る場合について説明したが、引張りに加えて押し込む場合であってもよい。また、新配管11を回転させながら挿入することも可能である。
【0102】
前記実施形態の配管切削装置13では、入口側装置28を出口5側へ引張る場合について説明したが、これに限らず、入口側装置28を入口4側へ引張る装置であってもよい。
【0103】
また、前記実施形態の気流発生手段は、配管切削装置13とは別に設けられていた。しかしこれに限らず、例えば切削部12と一体で回転するプロペラを設けたり、切削部12自体が回転により気流を発生させる形状としたりすることで、配管切削装置13が気流発生手段を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…給湯配管、2…給水配管、3…床面、3a…スラブ、4…入口、5…出口、6…ヘッダー部材、7…水栓、8…湾曲部分、9…保護管、10…内部配管・既設配管、11…新配管、11a…先端、12…切削部、13…配管切削装置(押し込み方式)、14…駆動部、15…把手、16…連結部、17…本体、18…第1ガイド部、19a…ねじ、19b…ねじ孔、22…一方側ばね座、23…他方側ばね座、24…軸受装置、25…支持装置、27…配管切削装置(引張り方式)、28…入口側装置、29…出口側装置、31…索体、32…牽引部、33…第2ガイド部、34…先端取付部、50…継手本体、51…索体支持部、52…切削部接続部、53…軸受部、54…貫通孔、55…ねじ孔、56…溝部、64…配管挿入具、65…挿入部、66…中継部材、67…押え部、68…前円筒体、69…後円筒体、70…拡大片、73…阻止片、74…押え環、121…切削刃部、122…貫通部・連通溝、123…凹部、124…刃先、125…回転方向の前端部、181…基部、182…可撓軸、183…先端部、184…溝部、F…気流、L…管軸方向、R…回転方向