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特許7398116歯科用インプラント体、歯科用アバットメントおよび歯科用上部構造体の相互の取付
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】歯科用インプラント体、歯科用アバットメントおよび歯科用上部構造体の相互の取付
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020557346
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019059878
(87)【国際公開番号】W WO2019201971
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】00496/18
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】501485227
【氏名又は名称】ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,イェルク
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-524522(JP,A)
【文献】特表2010-514704(JP,A)
【文献】特表2005-538761(JP,A)
【文献】特表2010-504118(JP,A)
【文献】特表2011-500230(JP,A)
【文献】特表2007-522847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0028835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
第1のアンダーカットを画定する第1の取付構造体を有するアバットメントと、
前記アバットメントに固定される歯科用上部構造体とを備え、
前記歯科用上部構造体は、前記第1の取付構造体に接触するように配置された熱可塑性インプラントを有し、前記熱可塑性インプラントの熱可塑性材料は、機械的振動により液化可能であり、かつ前記第1の取付構造体に対して流動可能であり、それにより、再固化後、前記歯科用上部構造体は、前記第1のアンダーカットによる嵌合接続によって前記アバットメントに固定されることが可能である、または、
前記歯科用上部構造体は、第2のアンダーカットを備えた第2の取付構造体を有し、前記アセンブリはさらに、熱可塑性材料を有する接続部品を備え、前記熱可塑性材料は、機械的振動により液化可能であり、かつ、前記第1の取付構造体および前記第2の取付構造体に対して流動可能であり、それにより、再固化後、前記歯科用上部構造体は、前記熱可塑性材料が流入した前記第1のアンダーカットおよび前記第2のアンダーカットによる嵌合接続によって前記アバットメントに固定される、アセンブリ。
【請求項2】
前記歯科用上部構造体は、クラウン、ブリッジ、義歯、顔用補綴物、および歯科矯正用アンカーからなる群より選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記熱可塑性インプラント、または前記熱可塑性材料を有する接続部品は、熱可塑性ピンである、または熱可塑性リングを含む、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記熱可塑性インプラント、または前記熱可塑性材料を有する接続部品は、熱可塑性ピンであり、前記アバットメントはチャネルを有し、前記歯科用上部構造体はポケットを有し、前記歯科用上部構造体を前記アバットメント上に配置した後に、前記チャネルによって前記ポケットにアクセスすることができ、前記熱可塑性ピンを前記ポケットに導入することができる、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ポケットは十字形に形成された空のスペースを含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の取付構造体は、十字形に形成された前記チャネルの周りにアンダーカットを有する、請求項4または5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記チャネルは、前記歯科用上部構造体の根尖側端部内に位置する、請求項4~6のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記チャネルは、舌側、頬側、または唇側に位置する、請求項4~7のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記熱可塑性インプラント、または前記熱可塑性材料を有する接続部品は、前記第1の取付構造体と前記第2の取付構造体との間に嵌められたカップである、請求項1~3のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記カップは、根尖側リングと、歯冠側リングと、前記根尖側リングと前記歯冠側リングとを接続するスティックとからなる、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記アバットメントおよび/または前記歯科用上部構造体は、少なくとも1つの鋸歯状面を有する溝を含み、前記スティックは前記溝に嵌合する、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記アバットメントはリセスを有し、前記熱可塑性インプラントの、または前記熱可塑性材料を有する接続部品の前記根尖側リングは前記リセスに嵌合する、請求項10または11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記熱可塑性インプラント、または前記熱可塑性材料を有する接続部品は、ヘッド領域を有するピンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記ヘッド領域はその冠側端部にエネルギ誘導構造体を有する、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記熱可塑性材料を有する接続部品は、前記アバットメントに固定される、請求項1~14のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記アバットメントは、前記熱可塑性インプラントの、または前記熱可塑性材料を有する接続部品の液化のための対向面を形成し、前記対向面は、溶融の開始のため、かつ、液化した前記熱可塑性材料の流れを導くためのエネルギ誘導構造体を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記熱可塑性インプラント、または前記熱可塑性材料を有する接続部品は、さらに、前記アバットメントの固定具を固定するのに適している、請求項1~16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか1項に記載のアセンブリと、超音波振動エネルギを熱可塑性材料に与えるためのツールと、中間部品とを備えたセットであって、前記中間部品は、前記歯科用上部構造体または前記アバットメントに適合した形状を有する根尖側端部と、前記ツールに結合するのに適した歯冠側端部とを有し、前記歯科用上部構造体または前記アバットメントは、個々の患者に固有のものとされる、セット。
【請求項19】
前記アバットメントの質量中心は、前記ツールによって定められる中心軸に対して位置合わせされる、請求項18に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、歯科用インプラントシステムおよび歯科用上部構造体の分野に属する。本発明はさらに、歯の修復のための補綴システムのさまざまな要素の固定に関し、特にアバットメントまたはインプラント体に対する上部構造体の固定に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
歯科用インプラントシステムは、ワンピース型歯科用インプラントシステムと、ツーピース型歯科用インプラントシステムとを含む。ワンピース型歯科用インプラントシステムに含まれるワンピース型歯科用インプラント体は、骨内部と、移行部と、上部構造体(人口歯(クラウン)または義歯)を取り付けるための装着構造体とを有する。ツーピース型歯科用インプラントシステムに含まれる歯科用インプラント体は、骨内部を有し、移行部を有する場合があり、アバットメントを固定できるようにするためのアバットメント装着構造体を有する。アバットメントは、歯科用インプラント体に固定可能でありかつ上部構造体を取り付けるための装着構造体を有する、中間部品である。ワンピース型歯科用インプラントシステムおよびツーピース型歯科用インプラントシステムの双方に長所と短所があるが、ツーピース型歯科用インプラントシステムの方がますます普及しつつある。
【0003】
従来技術によると、ツーピース型インプラントシステムのインプラント体に対するアバットメントの固定には、主としてねじ接続および接着接続という選択肢がある。アバットメントの装着構造体(ポストなど)またはワンピース型インプラントシステムの歯科用インプラント体の装着構造体(ポストなど)に対する上部構造体の固定は、接着接続の方が多い。
【0004】
WO2008/34276およびWO2008/128367は、骨の中に接合する2つの部品を含むさまざまなインプラントを、超音波振動で液化させることができる熱可塑性材料を用いて固定することに関する。歯科用インプラントシステムは開示されていない。
【0005】
FR2863478は、歯科用インプラント体を、またはアバットメントの取付ポストを囲む、ポリマーシースを記載している。このシースは、一旦埋め込まれた歯科用補綴要素を取り外し易くするのに適しているであろう。US4552532は、顎骨に固定される根本部を用いる歯科用インプラントシステムに関する。クラウンに加わる力を緩和するために、プラスチックのような材料からなる弾性部材が、歯科用インプラント体とアバットメントとの間、またはアバットメントをインプラントに固定するのに使用される固定材(ねじ)との間に設けられる。また、DE102013006829は、歯科用インプラント体のねじ山と、アバットメントのねじ山またはアバットメントねじとの間の、ポリマーインレーを記載している。US5122059は、ねじれ耐性を有するインプラントを得るために金属インプラントポスト上の固定ヘッド(アバットメント)を囲む、プラスチック材料からなる中間保持リングを開示している。EP0015599は、歯科用インプラント体内部の、たとえばPMAからなる軟質層を記載している。ポリマー層は、コアを囲んでおり、骨と同様の剛性を有する第3の層で覆われている。層状にすることで、支えている骨に引張り応力が生じ、骨の自立支持機構が有効になるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
接続材料を残さずに容易に取り外すことが可能な、アバットメントに対する上部構造体の固定を開示している周知の先行技術は存在しない。したがって、本発明の解決策は、機械エネルギによって生じる塑性変形を利用して取り外すことが可能な、アバットメントと上部構造体との間の接続を提供するであろう。本発明の解決策はさらに、アバットメントの追加の固定具を後退防止のために固定することを可能にする。
【0007】
発明の概要
本発明の目的は、アバットメントをインプラント体に固定するための、および/または上部構造体をアバットメントの装着構造体にもしくはワンピース型インプラントシステムのインプラント体の装着構造体に固定するための、経済的でありかつ信頼性が高い手法を提供することである。この固定手法は、たとえば、以下の課題、すなわち、
-インプラント体とアバットメントとの間および/または装着構造体と上部構造体との間に改善されたシールを提供すること、
-改善された減衰を提供すること、
-インプラント体における応力集中を低減すること、
-張力(最大約950N)、屈曲およびねじり力のすべてに耐えることができる接続を提供すること、
-少なくともいくつかの構成については可逆接続を提供すること、
のうちの1つ以上を解決することができる。
【0008】
本発明のある局面に従うと、
-第1の部品が、第1のアンダーカットを画定する第1の取付構造体を有し、
-第1の部品に固定される第2の部品が、第1の取付構造体と接するように配置された熱可塑性インプラントを有し、熱可塑性材料は、機械的振動により液化可能であり、かつ、第1の取付構造体に対して流動することが可能であり、したがって、再固化後、第2の部品は、第1のアンダーカットによる嵌合接続(positive fit connection)によって第1の部品に固定される、および/または
-第1の部品に固定される第2の部品が、第2のアンダーカットを有する第2の取付構造体を有し、さらに、熱可塑性材料を有する接続部品が設けられ、熱可塑性材料は、機械的振動により液化可能であり、かつ、第1および第2の取付構造体に対して流動することが可能であり、したがって、再固化後、第2の部品は、熱可塑性材料が流入した第1および第2のアンダーカットによる嵌合接続によって第1の部品に固定され、
第1および第2の部品は、
・インプラント体および/または
・アバットメントおよび/または
・上部構造体
のうちの2つである。
【0009】
後者の状態は、第1の部品がインプラント体であり第2の部品がアバットメントであるもしくはその逆であることを、または、第1の部品がインプラント体であり第2の部品が上部構造体であるもしくはその逆であることを、または、第1の部品がアバットメントであり第2の部品が上部構造体であるもしくはその逆であることを、示唆している。このコンセプトを3つの部品に適用することが可能である、すなわち、第1の部品をこの手法によって第2の部品に固定することが可能であり同時に第3の部品を同じ手法によって第2の部品に固定することが可能であってもよい。
【0010】
本発明は、上記手法および方法に従う、インプラントシステムと、
・インプラント体および/または
・アバットメントおよび/または
・上部構造体
のうちの少なくとも2つのセットとの双方を、カバーする。
【0011】
本発明はさらに、
・インプラント体および/または
・アバットメントおよび/または
・上部構造体および/または
・熱可塑性接続部品
のうちの少なくとも1つのセットを、アンカーツールとともにカバーし、アンカーツールは、たとえばソノトロードであり、インプラント体、アバットメント、上部構造体、および/または接続部品の熱可塑性材料を液化するために機械的振動エネルギをインプラント体、アバットメント、上部構造体および/または接続部品に結合するように構成されている。
【0012】
インプラントはさらに、ある手法によって第1の部品を第2の部品に取り付ける方法に関連し、これは、熱可塑性材料を機械的エネルギの投入により流動可能にし取付構造体に対して流動させることにより本明細書に記載のように上記部品を固定することを含み、第1および第2の部品は、
・インプラント体および/または
・アバットメントおよび/または
・上部構造体
のうちの2つである。
【0013】
本発明に係る手法は可逆接続を提供する、すなわち、それぞれの取付構造体に浸透した熱可塑性材料を、たとえばさらに機械的エネルギを投入またはその他のエネルギ(熱源またはレーザ等)を投入して再加熱することにより、ほとんど力を加えずに接続を解除することができるという意味での、可逆接続を提供する。実施形態において、当該材料の残留可塑変形性により、インプラントシステムの構成部品の構造にも組織にも損傷を与えることなく機械的に取り外すことができる。後者は特に、仮に固定した部品を、その後たとえば治癒過程後に、正式なアバットメント/正式な上部構造体等の正式な部品と交換する場合の、仮に固定する部品の接続に好都合であろう。
【0014】
本発明に係る手法は特に、断面に丸みがないシステムに好適である。言い換えると、それぞれの取付構造体は、軸方向においてアンダーカットを有するだけでなく、丸みがない断面を有することにより、ねじり移動に対して嵌合接続をもたらすことができる。
【0015】
本発明のさらに他の局面に従うと、アセンブリは、第1の部品と、第2の部品と、第2の部品を第1の部品に固定するための固定具、たとえば固定ねじとを含む。アセンブリはまた、緩まないように固定具を固定するために使用される熱可塑性接続部品を含む。特に、接続部品を用いることにより、固定具の近位方向の開口を熱可塑性材料で満たすことができ、それにより、固定具は後退(backout)が生じないように確実に固定され、かつ封止もされる。そのために、熱可塑性接続材料は、エネルギ、特に機械的エネルギの衝撃により、当該材料が固定具に対して流動するまで、少なくとも部分的に流動可能にされてもよく、固定具の一部を埋め込むことによりその緩みを防止することができる。また、この局面において、第1および第2の部品は、
・インプラント体および/または
・アバットメントおよび/または
・上部構造体
のうちの2つである。
【0016】
本発明は、特にアセンブリに関し、このアセンブリは、
第1のアンダーカットを画定する第1の取付構造体を有するアバットメントと、
上記アバットメントに固定される上部構造体とを備え、
上記上部構造体は、上記第1の取付構造体に接触するように配置された熱可塑性インプラントを有し、熱可塑性材料は、機械的振動により液化可能であり、かつ上記第1の取付構造体に対して流動可能であり、それにより、再固化後、上記上部構造体は、上記第1のアンダーカットによる嵌合接続によって上記アバットメントに固定される、または、
上記上部構造体は、第2のアンダーカットを備えた第2の取付構造体を有し、さらに、熱可塑性材料を有する接続部品が設けられ、上記熱可塑性材料は、機械的振動により液化可能であり、かつ、上記第1の取付構造体および上記第2の取付構造体に対して流動可能であり、それにより、再固化後、上記上部構造体は、上記熱可塑性材料が流入した上記第1のアンダーカットおよび上記第2のアンダーカットにより嵌合接続によって上記アバットメントに固定される。
【0017】
本明細書で使用される、「補綴インプラントアバットメント」とも呼ばれる「アバットメント」という用語は、歯科用インプラント体と上部構造体との間の接続要素を意味する。スリーピース型インプラントにおいて、アバットメントは、たとえばねじによる突合わせ接合でインプラント体に固定することができる。ツーピース型インプラントにおいて、アバットメントは、インプラント体に対してモールステーパ(morse tapered)または冷間溶接される。ワンピース型インプラントは、経粘膜アバットメントをインプラント体の一体部分として取り込んだものである。アバットメントは、チタン、サージカルステンレス鋼および金等の、さまざまな材料から作ることができる。
【0018】
本明細書で使用される「上部構造体」という用語は、歯科用補綴物を意味する。このような歯科用補綴物は、突出しているインプラントアバットメントの上に配置される。好ましくは、上部構造体は、クラウン、ブリッジ、義歯、顔用補綴物、または歯科矯正用アンカーからなるまたはこれらを含む群より選択される。上部構造体は、セラミック(酸化ジルコニウム等)、金属、金属と、セラミック、またはポリメチルメタクリレートアクリル(PMMA)もしくはPEEKのような高強度ポリマーもしくはガラスもしくはカーボン繊維強化PEEKのシェードパウダー(shaded powder)とを合わせたものから作られていてもよい。
【0019】
本明細書で使用される「近位」という用語は、超音波手術用器具の筐体に対する取付ポイントまたはこの器具のユーザに対する取付ポイントに最も近いことを意味する。本明細書で使用される「遠位」という用語は、超音波手術用器具の筐体に対する取付ポイントまたはこの器具のユーザに対する取付のポイントから遠い場所にあることを意味する。よって、遠位端および近位端は互いに反対側にある端部である。本明細書で使用される「根尖側」という用語は、歯(または修復物)の根冠または根尖に向かう方向を意味し、逆に「歯冠側」は、歯または歯の修復物のクラウンに向かう方向を意味する。本明細書で使用される「頬側」という用語は、歯の、頬または唇の内側に隣接する(またはその方向の)側を意味し、逆に(口の)「舌側」は、歯の、舌または口蓋に隣接する(またはその方向の)側を意味する。本明細書で使用される「頬側」は、すべての歯(前および後方)を意味し、したがって前歯の前側の面(またはその方向)を表す。
【0020】
本発明のある実施形態はアセンブリに関し、熱可塑性インプラントまたは熱可塑性材料を有する接続部品は、熱可塑性ピンである、または熱可塑性リングを含む。
【0021】
クラウン修復物の下にある歯の組織の治療、特に壊死したまたは過去に治療した歯髄の非外科的歯内治療を行えるようにするために、クラウン修復物を取り除くことが必要になる場合がある。いくつかの方法を用いることができ、選択は、通常、クラウン修復物の性質および品質によって決まる、すなわち、クラウン修復物を残すか取り換えるかによって決まる。本発明は、上部構造体たとえばクラウンと、アバットメントとを含むアセンブリを提供し、このアバットメントは、恒久的な固定後に上部構造体をアバットメントから容易に取り外すことを可能にする。上部構造体は、上部構造体とアバットメントとの間の嵌合接続を形成するために使用される熱可塑性材料に対して超音波エネルギを与えることで、取り外すことができる。熱可塑性材料は、アバットメントおよび上部構造体の上に残留物を残すことなく、かつこれらの部品に損傷を与えることなく、取り除くことができる。そのため、どちらの部品も再利用が可能である。
【0022】
熱可塑性インプラント、または、熱可塑性材料を有する接続部品が、リングであるまたはリングを含む場合、このリングを、アバットメントと上部構造体との間の空間の封止材として使用することができる。このアセンブリの装着完了後、このリングは、上部構造体およびアバットメントに対して(密な)フォーム・クロージャ(foam closure)を有するであろう。したがって、上部構造体およびアバットメントは、機械的エネルギを用いた液化後にリングの熱可塑性材料で充填されるアンダーカットを備えた取付構造体を有し得る。リングは、製造中にアバットメントまたは上部構造体に予め装着して接合しておいてもよく(熱可塑性インプラント)、または、アセンブリの別部品として提供されてもよい(熱可塑性材料を有する接続部品)。アセンブリの別部品である各接続部品は、装着(患者の口内へのインプラント)中にアバットメントと上部構造体との間に一体化させてから、溶融させてアバットメントおよび/または上部構造体に流し入れる必要がある。アバットメントまたは上部構造体に予め装着される熱可塑性インプラントは、対応する部品に接合する必要がある。したがって、超音波振動のような機械的エネルギを用いることにより、熱可塑性材料を液化させ、そうすると熱可塑性材料は、アンダーカットに、または、アバットメントおよび/または上部構造体の取付構造体内部の空のスペースに流入することができる。
【0023】
熱可塑性インプラント、または、熱可塑性材料を有する接続部品が、ピンである場合、このピンは、製造中にアバットメントまたは上部構造体に予め装着して接合しておいてもよく(熱可塑性インプラント)、または、アセンブリの別部品として提供されてもよい(熱可塑性材料を有する接続部品)。別部品としてのピンは、上部構造体をアバットメントに装着しているときにアバットメントと上部構造体との間に導入してもよく、または、上部構造体のアクセス孔を介して、アバットメントへの装着後に導入してもよい。
【0024】
したがって、本発明のある実施形態はアセンブリに関し、熱可塑性インプラント、または熱可塑性材料を有する接続部品は、熱可塑性ピンであり、アバットメントはチャネル(アクセス孔)を有し、上部構造体はポケットを有し、上部構造体をアバットメントの上に配置(第2の取付構造体を第1の取付構造体に接触するように配置することを意味する)した後に、チャネルによってポケットにアクセスすることができ、熱可塑性ピンをポケットに導入することができる。
【0025】
充填されるポケット、アンダーカットまたは空のスペースは、2つの自由度のロックを許容するように配置することができ、すなわち、上部構造体の2方向の移動(軸方向の張力および圧力ならびに回転は防止されるべきである。本発明のある実施形態はアセンブリに関し、ポケットは十字形に形成された空のスペースを含む、または、ポケットは十字形に形成される。ポケット、アンダーカット、または空のスペースは、ある角度を形成し互いに直交し得る2つの異なる軸の方向に延ばしてもよい。
【0026】
好ましくは、第1の取付構造体は、十字形に形成されたチャネルの周りにアンダーカットを有する。さらに、チャネルは上部構造体の根尖側端部に位置していてもよい。加えて、チャネルは舌側または頬側に位置していることが好ましく、舌側が好ましい。
【0027】
本発明の別の実施形態はアセンブリに関し、熱可塑性インプラント、または、熱可塑性材料を有する接続部品は、第1および第2の取付構造体の間に配置されるカップである。カップは、対称ではないが、切頭円錐形状を取り得るアバットメントの取付構造体にフィットする必要がある。これにより、熱可塑性材料をアバットメントおよび上部構造体に対して周方向に接触させて、アバットメントと上部構造体との間の空間を最小にすることができる。カップおよびその要素の厚さは0.2~1mmであってもよい。
【0028】
好ましくは、カップは、根尖側リングと、歯冠側リングと、根尖側リングと歯冠側リングとを接続するスティック(またはストライプ)とで構成される。スティックの高さは0.2~1mmであってもよい。歯冠側リングのみが熱可塑性材料を有することにより、アバットメントの上部(歯冠側端部)においてのみロックが生じるようにしてもよい。この場合、好ましくは、アバットメントまたは上部構造体は、歯冠側リングまたはこのリングの液化材料を収容するための溝を周囲に有する。根尖側リングは、アバットメントと上部構造体との間の空間を画定する支持要素として使用されてもよく、または、封止リングとして使用されてもよく、または、アバットメントのリセス上のカップを支持(位置決め)してもよい。
【0029】
スティックもまた熱可塑性材料で作られていてもよい。この場合、アバットメントおよび/または上部構造体は、スティックに対応する細長い窪みを有していてもよい(アセンブリが組み立てられるときにスティックは細長い窪みに嵌る)。これらの細長い窪みは、上部構造体の内側に、および/またはアバットメントの外側に位置していてもよい。これらの細長い窪みの深さは、スティックの高さの40%と60%の間であってもよい。細長い窪みの間隔は、0.4mmと2mmの間であってもよい。細長い窪みは、アンダーカットを有していてもよく、鋸歯状であってもよい。スティックの熱可塑性材料は、液化すると、アンダーカットまたは鋸歯状の構造の下の空のスペースに流れ込んで嵌合接続を形成する。
【0030】
したがって、本発明のある実施形態はアセンブリに関し、アバットメントおよび/または上部構造体は、少なくとも1つの鋸歯状面を有する細長い窪みを含み、スティックはこの細長い窪みに嵌る。別の実施形態はアセンブリに関し、アバットメントはリセスを有し、熱可塑性インプラントの、または、熱可塑性材料を有する接続部品の、根尖側リングは上記リセスに嵌る。好ましくは、リセスは周方向の溝である。これに代えて、アバットメントは、その上に根尖側リングを載せることができる棚部または肩部を有する。
【0031】
本発明のある実施形態は、アバットメントの最上部の上に上部構造体をロックまたは固定できるように設計されたアセンブリに関する。ある実施形態はアセンブリであり、熱可塑性インプラント、または、熱可塑性材料を有する接続部品は、(歯冠側)ヘッド領域を有するピンを含む。ヘッド領域は、上部構造体の取付構造体に固定するのに好適なものとすることができる。ピンの根尖側端部は、アバットメントの取付構造体に固定されるように設計することができる。本発明のある実施形態はアセンブリに関し、ヘッド領域は、その歯冠側端部にエネルギ誘導構造体を含む。エネルギ誘導構造体は、ヘッド領域上のエネルギ誘導リブとして設計されてもよい。エネルギ誘導リブは互いに平行に延びていてもよい。これに代えて、突起、エッジ、またはチップが、顕著なエネルギ誘導特性を有していてもよい。
【0032】
熱可塑性材料を有する接続部品は、(製造中に)アバットメントに固定されてもよい。発明者らは、接続部品またはピンと上部構造体との間の最初の接続面積が、接続部品またはピンとアバットメントとの間の最初の接続面積よりも大きいことが好都合であることを示すことが可能であろう。したがって、本発明のある実施形態はアセンブリに関し、アバットメントは、熱可塑性インプラントの、または熱可塑性材料を有する接続部品の、液化のための対向面を形成し、対向面は、溶融の開始のため、かつ、液化した熱可塑性材料の流れを導くためのエネルギ誘導構造体を有する。チップまたは鋭いエッジをエネルギ誘導構造体として使用してもよい。振動がアセンブリにたとえば上部構造体を介して結合される初期段階の間、接続部品の熱可塑性材料は、比較的鋭いエッジ等のエネルギ誘導構造体と接触しているので、熱可塑性材料はこのエネルギ誘導特性によって液化される。
【0033】
スリーピース型インプラントの場合、アバットメントは一般的にねじによる突合わせ接合でインプラント体に固定される。ねじは、歯科用トルクレンチで予め定められたトルクになるように締める必要がある。発生する1つの問題は、咀嚼中にねじが緩むことであり、咀嚼は、インプラントとアバットメントとの間の界面に反時計回りのトルクを生じさせてアバットメントのねじの緩みを促進し得ることが多い。
【0034】
本発明の別の局面はアセンブリに関し、熱可塑性インプラント、または、熱可塑性材料を有する接続部品は、さらに、アバットメントの固定具、たとえばねじを固定するのに適している。このアセンブリはさらに固定具および/またはインプラント体を含む。好ましくは、固定具、インプラント体、および、熱可塑性材料を有する接続部品は、熱可塑性材料が再固化後に、固定具の軸方向の(後退する)動き、インプラント体に対する固定具の回転、および/またはインプラント部に対する固定具の角度の変化、のうちの少なくとも1つを防止すべく、固定具を固定するように構成される。さらに、熱可塑性材料を、接続部品からの超音波振動を用いて分離させることができる。
【0035】
本発明の別の実施形態は、歯科用インプラント体と、アバットメントまたは上部構造体と、アバットメントまたは上部構造体をインプラント体に固定するための固定具、たとえば固定ねじとを含み、固定具、インプラント体および/またはアバットメント/上部構造体は、熱可塑性材料を含み、熱可塑性材料が再固化後に、固定具を、軸方向の(後退する)動きを防止すべく、固定するように構成される。アセンブリはまた、歯科用インプラントと、アバットメントまたは上部構造体と、アバットメントまたは上部構造体をインプラント体に固定するための固定具、たとえば固定ねじとを含み、また、熱可塑性接続部品を用いて固定具を緩まないように固定する。特に、接続部品を用いて、固定具の近位方向に位置する開口を、熱可塑性材料で充填することにより、固定具は、確実に後退を防止するように固定され、封止もされる。そのために、熱可塑性材料は、少なくとも部分的に、エネルギ、とくに機械的エネルギの衝撃により、熱可塑性材料が固定具に対して流れて固定具の一部を埋め込むことによって緩みが生じないようにするまで、流動可能にされてもよい。
【0036】
固定具はねじ山を含み得る。この場合、固定具とインプラント部品との間の相対移動は、固定具を、たとえば骨の中に、またはチューリップのようなインプラント部品の内ねじに、または別のインプラント部品、たとえば第2のインプラント部品の内ねじに、ねじ込むことによって生じる。このような実施形態において、接続部品は、緩む動きを防止することができ、このことは、固定具の軸方向の(後退する)移動を、たとえばストップを形成して軸方向の(後退する)移動を概ね防止することによって、および/または下記のような回転ロックによって、防止することを意味する。
【0037】
ある実施形態において、固定具およびインプラント体は、インプラント体、アバットメントに対する固定具の角度の変化を許容するように、または、インプラント体に対する固定具の角度の変化を防止するように、設計される。いずれの場合も、熱可塑性材料(場合によって接続部品)、固定具、およびインプラント体を、熱可塑性材料(場合によって接続部品)が再固化後に軸方向の(後退する)動きが生じないよう固定具を固定するように、設計することができる。インプラント体またはアバットメントに対する固定具の角度の変化を許容する実施形態において、熱可塑性材料(場合によって接続部品)、固定具、およびインプラント体を、任意で、熱可塑性材料(場合によって接続部品)が再固化後にインプラント体に対する固定具の角度の変化が生じないよう固定具を固定するように、設計することができる。
【0038】
特に、熱可塑性材料(場合によって接続部品)は、第1の状態および第2の状態に変形可能であってもよく、熱可塑性材料(場合によって接続部品)は、第1の状態において、固定具を軸方向の(後退する)動きが生じないように固定し、熱可塑性材料(場合によって接続部品)は、第2の状態において、固定具を軸方向の(後退する)動きが生じないようにかつインプラント体に対する固定具の角度の変動が生じないように、固定する。上記固定は、熱可塑性材料が直接または間接的に実現できる。たとえば、後者は、熱可塑性材料が、熱可塑性材料のみから構成されていない接続部品に属する場合である。
【0039】
このような実施形態には、医師が、インプラント体/アバットメントに対する固定具(たとえばねじ)の角度の変化を許容するか否かを判断できるという利点がある。
【0040】
固定具を固定する熱可塑性材料は、固定具に、アバットメントに、または、アバットメントをインプラント体に接続するまたは上部構造体をアバットメントに接続するために使用される接続部品に、属することができる。さらに他の可能性として、熱可塑性材料は、最初はソノトロードに属していてもよい。ある実施形態は、その歯冠側端部に、特に歯冠側端部の側部に熱可塑性材料を含む、アバットメントまたは上部構造体のための固定具を含む。別の実施形態は、最初はソノトロードに属する熱可塑性材料を用いて固定具を固定することに関し、アバットメントはアンダーカットを有し、熱可塑性材料はアンダーカットに流入して再固化後に固定具をアバットメントの中で固定することができる。アバットメントまたは上部構造体(固定構造体)の側部領域、特に、固定具のための開口の側部が、鋸歯状であってもよく、これは、開放された多孔または畝、ねじ山などであってもよく、これが、再固化後に熱可塑性材料が充填する軸方向のアンダーカットを形成し、それにより、固定具はアバットメントまたは上部構造体に固定される。このような構造体は、熱可塑性材料が固定具に属するかまたは別要素として提供される実施形態の選択肢でもある。固定具はさらに、側方においてアバットメントのアンダーカットに確実に流入させる材料ガイド突起を有していてもよい。
【0041】
固定具は固定具収容開口部内に位置していてもよく、固定具の軸は、固定具収容開口部を囲むアバットメント/上部構造体の遠位表面部分によって定められる法線に対する角度をなして延びており、このことは、固定具の軸が収容開口部の長手方向軸に対して平行ではないことを意味する。一群の実施形態において、熱可塑性材料で充填される固定構造体(空のスペース、アンダーカットなど)は、アバットメント、上部構造体の内部の固定具収容開口部の壁に配置されてもよく、固定具のヘッド部は、固定具のヘッド部の遠位端に配置された熱可塑性材料を固定構造体の内部に導くように構成することができる。
【0042】
アバットメントおよび/または上部構造体に対する固定具の向きの角度に関係なく、アバットメントまたは上部構造体の固定構造体に、液化した熱可塑性材料を固定具から流入させるチャネルがあってもよい。言い換えると、チャネルの形状は、液化した熱可塑性材料を、固定具軸とアバットメント上面またはアバットメントと上部構造体との間の接触面との間で取り得る角度の範囲全体にわたり、チャネルから固定構造体に流すことができるように、設計される。
【0043】
ある実施形態において、このチャネルの機能は、チャネルの底部が、少なくともチャネルそれぞれの開放端の領域において、固定構造体の近位端よりも遠位位置にあり、かつ、チャネルの遠位端を定めるエッジが、少なくとも部分的に、固定構造体の遠位端よりも近位位置にあることにより、実現される。
【0044】
特に、固定構造体の配置およびチャネルの設計は、チャネルの底部および固定構造体の近位端の相対位置と、チャネルのエッジおよび固定構造体の遠位端の相対位置とが、固定具軸とアバットメント上面またはアバットメントと上部構造体との間の接触面との間で取り得る角度の全範囲において、変わらないようにされる。
【0045】
固定具内部の熱可塑性要素は、複数のチャネルと係合するように設計された複数の突起を含み得る。しかしながら、これは、チャネルに適合させた特定の遠位形状を有しないリング状の熱可塑性要素またはキャップ状の熱可塑性要素であってもよい。
【0046】
機械的振動により発生する摩擦でポリマーを液化させることを含む、本発明の実施形態に係るおよび方法に係る装置に適した機械的振動または発振の周波数は、好ましくは2kHzと200kHzとの間(より好ましくは10kHzと100kHzとの間または20kHzと40kHzとの間)であり、振動エネルギは、アクティブ面1平方ミリメートル当たり0.2~20Wである。振動要素(ソノトロード)は、たとえばその接触面が振動要素の軸の方向において主に振動し(長手方向の振動)振幅が1μmと100μmとの間、好ましくはおよそ40~80μmとなるように設計される。回転または径方向の発振も可能である。
【0047】
装置の特定の実施形態において、アンカー材料の液化に必要な上記摩擦熱を発生させるために、機械的振動の代わりに回転運動を用いることも可能である。このような回転運動の速度は、好ましくは10,000~100,000rpmの範囲に含まれる。
【0048】
所望の液化のために熱エネルギを発生させるさらに他の方法は、インプラントする装置部品のうちの1つに電磁放射を結合することと、装置部品のうちの1つを電磁放射を吸収できるように設計することとを含み、このような吸収は、好ましくは液化させるアンカー材料の中またはその直近で生じる。好ましくは、可視または赤外周波数範囲の電磁放射が用いられ、好ましい放射源は対応するレーザである。装置部品のうちの1つを電気的に加熱することも可能である。
【0049】
本明細書において「たとえば機械的振動により液化可能な熱可塑性材料」、略して「液化可能な熱可塑性材料」または「液化可能材料」という表現は、少なくとも1つの熱可塑性成分を含む材料を説明するために使用され、この材料は、加熱されると、特に、摩擦によって加熱されると、すなわち一対の表面(接触面)のうちの一方に、互いに接触するように配置され、振動または回転するように相対的に移動したときに、液体になる(流動可能になる)。この振動の周波数は、2kHzと200kHzとの間、好ましくは20~40kHzであり、振幅は、1μmと100μmとの間、好ましくはおよそ40~80μmである。このような振動は、たとえば、歯科用途で知られている超音波装置によって生じさせる。
【0050】
本明細書において、一般的に、「液化不能」材料は、プロセス中に到達する温度では液化しない、したがって、特に固定具の熱可塑性材料が液化する温度では液化しない、材料である。このことは、概ねプロセス中に液化する1つの熱可塑性材料または複数の熱可塑性材料の液化温度を大幅に(たとえば少なくとも80℃)上回る温度である、プロセス中に到達しない温度では、液化不能材料は液化可能であるという可能性を、排除しない。液化温度は、結晶性ポリマーの場合、溶融温度である。非晶性熱可塑性物質の場合、液化温度は、ガラス転位温度よりも高い、十分に流動可能になる温度であり、「流れ温度」(押出成形が可能になる最低温度と定義されることがある)と呼ばれることがあり、たとえば、熱可塑性材料の粘度が低下して10Pa*sよりも低くなる(特に、実質的に繊維で強化されていないポリマーの実施形態では、10Pa*sよりも低くなる)温度である。
【0051】
たとえば、液化不能材料は、液化温度が液化可能材料の液化温度よりも大幅に高い、たとえば、溶融温度および/またはガラス転位温度よりも少なくとも50℃または80℃または100℃高い、金属、またはセラミック、または硬質プラスチック、たとえば、強化されたもしくは強化されていない熱硬化性ポリマーまたは強化されたもしくは強化されていない熱可塑性物質であってもよい。
【0052】
負荷に耐える接続を構成できるようにするために、熱可塑性材は、0.5GPaよりも高い、好ましくは1GPaよりも高い弾性係数を有し得る。0.5GPa以上の弾性係数は、液化可能材料が、超音波振動を、減衰がほとんどないので液化可能要素の内部液化が生じずしたがって不安定化が生じない状態で、伝達可能であることも、保証する。すなわち、液化は、液化可能材料がストップ面に対する液化界面にある場合にのみ生じる。可塑化温度は、好ましくは最大200℃、200℃と300℃との間、または300℃よりも高い。用途に応じて、液化可能熱可塑性材料は、吸収性でない場合がある。しかしながら、構成次第で、熱可塑性エラストマーも熱可塑性材料の選択肢である。これらは、たとえば患者が硬いものを噛んだときのピーク力を吸収できるという特性を有する。
【0053】
非分解性材料の具体的実施形態は、ポリエーテルケトン(PEEK Optima、グレード450および150、Invibio Ltd)、硬質熱可塑性PU、ポリエーテルイミド、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネートウレタン(特にDSMのBionate(登録商標)、とりわけBionate75DおよびBionate65Dであり、情報は、たとえばAutomation Creations, Inc.のwww.matweb.comを介して公的にアクセス可能なデータシートから得られる。ポリマーおよび用途の概要の表が、Wintermantelの150頁に示されており、具体例は、Wintermantelの161頁以降にある(PE、Hostalen Gur 812、Hoechst AG)、ページ164~(PET)169~(PA、すなわちPA6およびPA66)、171~(PTFE)、173~(PMMA)、180(PUR、表参照)、186~(PEEK)、189~(PSU)、191~(POM-ポリアセタール、商品名Delrin、TenacはProtecにより内蔵人工器官でも使用されている)。
【0054】
熱可塑性を有する液化可能材料は、さらに他の機能を果たす異種の相または化合物を含み得る。特に、熱可塑性材料は、混合された充填材、たとえば治療またはその他所望の効果を有し得る粒状充填材で強化することができる。熱可塑性材料はまた、その場で拡張または溶解する(ポアを形成する)成分(たとえばポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)、またはその場で放出される、治療効果たとえば治癒および再生促進を示す化合物(たとえば、成長因子、抗生物質、炎症抑制剤、または酸分解の有害作用を防止するリン酸ナトリウムまたは炭酸カルシウム等の緩衝材)を、含み得る。
【0055】
液化可能材料を、振動エネルギではなく電磁放射を用いてで液化させる場合、液化可能材料は、特定の周波数範囲(特に可視または赤外線周波数範囲)のこのような放射線を吸収可能な化合物(粒状または分子)、たとえば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸化チタン、雲母、飽和脂肪酸、多糖類、グルコース、またはその混合物を、局所的に含んでいてもよい。
【0056】
部品(場合によっては、熱可塑性材料が部品のうちの少なくとも1つに含まれる場合、熱可塑性材料以外)は、金属、たとえばチタンまたはチタン合金で作られていてもよい。これに代えて、部品は、酸化ジルコニウム等のセラミックからなるものであってもよい。代替材料は、金、ステンレス鋼のようなその他の金属、PEEK等の硬質プラスチックなどである。組み合わせることが可能であり、たとえば、金属のインプラント体とセラミックのアバットメントおよび/または上部構造体との組み合わせである。
【0057】
現在使用されている多くの上部構造体またはアバットメントは、患者ごとに設計されている。このことは、ソノトロードが超音波を伝達することができる共通の面がないことを意味する。上部構造体がたとえば接続部品のためのアクセス孔を含む実施形態のみが、共通のソノトロードで固定することができ、ソノトロードは、アクセス孔に嵌合し、超音波を接続部品に直接伝達することが可能である。
【0058】
したがって、本発明は、超音波振動エネルギを熱可塑性材料に与えるためのツールと、個々の患者に固有の上部構造体またはアバットメントと、中間部品とを含む、セットに関し、上記中間部品は、上部構造体またはアバットメントに適合した形状を有する根尖側端部と、ツールに結合するのに適した歯冠側端部とを有する。ツールは当該技術において周知のソノトロードであってもよい。振動エネルギを患者固有のアバットメントまたは上部構造体に伝達できるようにするために、ソノトロードを、中間部品とのセットとして使用してもよい。この中間部品は、歯冠側端部または近位端上においてソノトロードの遠位端に結合するのに適した構造、たとえば差し込み式接続部またはねじ接続部を有している必要がある。よって、中間部品の近位端は、ソノトロードに対する汎用的結合を可能にする接続要素(ピン、スリットねじまたはプラグなど)を有する。中間部品の根尖側端部または遠位端は、患者固有の上部構造体またはアバットメントの、表面のうちの少なくとも1つの領域にまたは歯冠側端部に適合している必要がある。このことは、中間部品の遠位端が、固定する上部構造体またはアバットメントの患者固有の輪郭の凹形状であってもよい、個々の界面を有することを、意味する。
【0059】
このような中間部品を製造するために、デジタル歯転写のデータまたは物理的な歯転写の寸法を用いることができる。中間部品は、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアを用いて設計してもよく、PEEKまたは熱硬化性樹脂(duromer)のような高温ポリマーで作られていてもよい。本発明のある実施形態は、上部構造体、アバットメント、または本明細書で規定されているアセンブリを含む、セットを意味する。本発明の別の実施形態はセットに関し、アバットメントの質量中心は、ツールが定める中心軸に対して位置合わせされる。
【0060】
本発明の別の局面は、歯科用上部構造体をアバットメントに取り付ける方法に関し、この方法は、
本発明に係るアセンブリを準備するステップと、
アセンブリの部品を、歯科用インプラント体の上に、機械的振動により液化可能な熱可塑性インプラントがまたは熱可塑性材料を有する接続部品が、第1の取付構造体にまたは第1および第2の取付構造体に接触するように、配置するステップと、
熱可塑性インプラントにまたは熱可塑性材料を有する接続部品に、液化に十分でありかつ液化された材料の流動に十分である条件の下で、機械的振動を与えるステップと、
液化された材料の再固化により、第1のアンダーカットにまたは第1および第2のアンダーカットそれぞれに対する嵌合接続を形成するステップとを含む。
【0061】
本発明の別の実施形態は方法に関し、再固化後に熱可塑性材料で充填される第1のアンダーカットまたは第1および第2のアンダーカットは、上部構造体およびアバットメントの相対的な移動を防止するように設計される。本発明のさらに他の実施形態は方法に関し、アバットメントを歯科用インプラント部品に固定するために用いられる、アバットメントの固定具は、液化した材料によって固定される。
【0062】
本発明は、上部構造体をアバットメントから取り外す方法をさらに含み、この方法は、上部構造体とアバットメントとの間に嵌合接続を形成するために用いられる熱可塑性材料に対して、超音波エネルギを、この熱可塑性材料が少なくとも部分的に液化して上部構造体をアバットメントから分離させるまで、与えるステップを含む。この方法は特に、上部構造体をアバットメントから取り外すことに関連し、上部構造体およびアバットメントは本発明に係るアセンブリの部品である、または、上部構造体は本発明の方法に従って取り付けられる。
【0063】
以下、本発明を実施する方法および実施形態を図面を参照しながら説明する。図面は概略図である。図面において、同一の参照番号は同一のまたは類似する要素を示す。図面は本発明の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】アバットメントおよび歯科用インプラント体のアセンブリを、インレーとしての熱可塑性材料からなる接続部品とともに示す図である。
図2】アバットメントおよび歯科用インプラント体のアセンブリを、インレーとしての熱可塑性材料からなる接続部品とともに示す図である。
図3】アバットメント、クラウン、およびソノトロードのアセンブリを、中間部品とともに示す図である。
図4】アバットメントおよび歯科用インプラントのアセンブリを、ピンとしての熱可塑性材料からなる接続部品とともに示す図である。
図5】アバットメントおよび歯科用インプラントの別のアセンブリを、ピンとしての熱可塑性材料からなる接続部品とともに示す図である。
図6】アバットメントと歯科用インプラントとの接続を示す図である。
図7】アバットメントおよび歯科用インプラントのアセンブリを、ピンとしての熱可塑性材料からなる接続部品とともに示す図である。
図8】アバットメントおよび歯科用インプラントのアセンブリを、ピンとしての熱可塑性材料からなる接続部品および封止リングとともに示す図である。
図9】アバットメントおよび歯科用インプラントの別のアセンブリを、歯冠側ヘッド部を有するピンとしての熱可塑性材料からなる接続部品とともに示す図である。
図10】アバットメントおよび歯科用インプラントのアセンブリを、インレーとしての熱可塑性材料からなる接続部品および封止リングとともに示す図である。
図11】アバットメントまたは上部構造体の取付構造体の形状を示す図である。
図12】アバットメントまたは上部構造体の取付構造体の、別の形状を示す図である。
図13】アバットメントまたは上部構造体の取付構造体のさらに他の形状を示す図である。
図14】アバットメントまたは上部構造体の取付構造体の形状を示す図である。
図15】アバットメント、クラウンおよびソノトロードのアセンブリを示す図である。
図16a】アバットメント上の熱可塑性材料の可能なコーティングを示す平面図Aである。
図16b】アバットメント上の熱可塑性材料の可能なコーティングを示す側面図Bである。
図17】クラウン等の上部構造体の内側の熱可塑性材料の可能なコーティングを示す図である。
図18】アバットメントと上部構造体との間に使用されるリングの形態の接続部品を示す図である。
図19】上部構造体をアバットメントに固定するために使用されるリングの形態の別の接続部品を示す図である。
図20】アバットメントまたは上部構造体の取付構造体の形状を示す図である。
図21】アバットメントまたは上部構造体の取付構造体の別の形状を示す図である。
図22】アバットメントと上部構造体との間に使用されるリングの形態の接続部品を示す図である。
図23】上部構造体をアバットメントに固定するために使用される固定具を固定する接続部品を示す図である。
図24】アバットメントと、クラウンと、クラウンのアクセス孔を用いて導入するピンの形態の接続部品とを含むアセンブリを示す図である。
図25図24の実施形態の断面の平面図を示す。
図26】アバットメントと歯科用インプラント体と接続部品とを含むアセンブリをソノトロードとともに示す図である。
図27】例として取付ポストの水平方向の断面を概略的に示す図である。
図28】上部構造体と、アバットメントと、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品とのアセンブリを示す図である。
図29】上部構造体と、アバットメントと、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品との別のアセンブリを示す図である。
図30】カップの形態の接続部品および嵌合アバットメント構造体を示す図である。
図31】カップの形態の別の接続部品および嵌合アバットメント構造体を示す図である。
図32】上部構造体と、アバットメントと、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品とのアセンブリを、封止リングとともに示す図である。
図33】上部構造体と、アバットメントと、ピンの形態の、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品とのアセンブリを示す図である。
図34】上部構造体と、アバットメントと、ピンの形態の、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品との別のアセンブリを示す図である。
図35図33の実施形態の断面A-A’の平面図を示す。
図36】アバットメントの接触領域を、エネルギ誘導構造体とともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図面において、一般的に参照番号1はインプラント体を示す。インプラント体は、骨組織に固定するための任意の好適なアンカー構造、たとえば外ねじ、または山と谷のパターンを有していてもよい。図面において、そのようなアンカー構造は概略的に示されているにすぎない。インプラント体は、ワンピース型インプラントシステムに属していてもよく、またはツーピース型インプラントシステムに属していてもよく、その場合はアバットメントが必要である。
【0066】
参照番号2はアバットメントを示す。
参照番号3は上部構造体、特に、クラウン、ブリッジまたは義歯を示す。
【0067】
概して、同一の参照番号は同一のまたは類似する要素を示す。
図1のアセンブリは、アバットメント2の多孔金属またはセラミック構造体21を含む。アセンブリは、製造中に既にインプラント体1の本体に取り付けられている熱可塑性材料のインレー11を有する。インプラント体の固定は、多孔構造体21を熱可塑性材料に対して押し当てつつ機械的振動をアバットメントに衝突させることにより、実現される。
【0068】
多孔構造体21を含むアバットメント2に加えてまたはそれに代えて、インプラント体1はこのような多孔構造体12(図2)を含んでいてもよく、および/または熱可塑性材料のインレー11はアバットメント2に属していてもよく(図2)、または熱可塑性材料は別個の中間アイテムとして設けられてもよい。多孔構造体は、インプラント体の取付構造体の表面のみにあってもよく、またはアバットメントにあってもよい。加えて、多孔構造体は、上部構造体をアバットメントに取り付けるのに適した、上部構造体の取付構造体のまたはアバットメントの取付構造体の表面の一部であってもよい。熱可塑性インレーの厚さは0.2~1mmであってもよい。
【0069】
図3に示されるように、使用されているソノトロード6は、(たとえばクラウンである、他の実施形態ではアバットメントへの)上部構造体3等の個々の患者のために特別に形成された要素に適した形状の遠位端または根尖側端部を有し得る。特に、アバットメント2の質量中心20は、ソノトロード6によって定められる中心軸に対して位置合わせされてもよい。
【0070】
これに代えて、ソノトロードは、個別に形成された要素の特定の形状に適合するようにされている、たとえば受注製造の、たとえば3Dプリントされた中間部品61を備えていてもよい。このような受注製造された中間部品61は、取り換える歯の形状を模倣したクラウン3(点線)の形状のような、相互に固定される部品のうちの1つが不規則な形状を有する場合に、特に好都合である。ソノトロード6の本体と中間部品との結合は、たとえばねじによるまたはその他の嵌合接続によるものであってもよいが、これに代えて、ソノトロード本体は、全体が結合されていなくてもよく中間部品上に打ち付けられてもよい。
【0071】
図4は、顎骨組織100にインプラントされたインプラント体1と、アバットメント2とを示す。インプラント体1は、たとえばねじ接続のツーピース型インプラントシステムの従来のインプラント体と同様に、ねじ山を有する取付開口部14の形態の取付構造体を有する。アバットメントは、たとえばアンダーカット(図4では図示せず)を有する貫通孔24を有する。固定のために、接続部品である熱可塑性ピン4が、位置合わせされた貫通孔24および取付開口部14に挿入され、機械的振動を、熱可塑性ピン4に対し、熱可塑性材料がアンダーカットに流入するまで衝突させ、再固化後、インプラント体1とアバットメント2とが相互に固定される。
【0072】
図5の変形例において、寸法が安定した材料、たとえば金属からなる、ねじ山が形成されたピン5等の固定具が、取付開口部14に固定され、開口部24への挿入、液化、および再固化後に、嵌合接続が、ピン5とアバットメント2と熱可塑性ピン4の熱可塑性材料との間に、形成される。これにより、屈曲に対するこの接続の安定性が高められる。加えて、ピン4の液化した材料は、ねじ山が形成されたピン5を、軸方向の(後退する)移動が生じないように固定する。
【0073】
図6は、たとえば、インプラント体1に対してアバットメント2を導くこと/中心に配置することを改善するための、ガイド構造体25の可能性を示す。接続する部品のうちの少なくとも1つからなるこのようなガイド構造体は、いずれかの実施形態の選択肢である。
【0074】
図7は、アバットメント2がインプラント体1の取付開口部と係合する取付ポスト26を有する実施形態を示す。アバットメントの孔24(貫通孔であってもよく、またはこの実施形態では根尖方向に向けて終端をなす長手方向の開口部であってもよい)は取付ポストに達し、取付ポスト26は、接続部品4(特に熱可塑性ピン、この実施形態では、最初は別々である複数の熱可塑性要素を使用してもよい)がエネルギ入力および根尖方向の押圧力を受けて流れ出すときに経由する複数の流出開口部を有する。インプラント体1は、取付開口部において、流出した熱可塑性材料を収容するための複数のアンダーカット18を有していてもよい。
【0075】
エネルギ入力および再固化後、接続部品4は、アンダーカット18および横ビーム部の内部において足部分を有し、それにより、接続部品4はアバットメント2をインプラント体1に固定する。
【0076】
この実施形態は、本発明の他の実施形態と同様、円対称の構造がなく、たとえばねじ山に対する接続とは異なり、接続のために必要な正多角形構造はどの場所にも不要であるという利点を有する。これにより自由度が高まる。
【0077】
(任意で、部品たとえばアバットメントに予め組付けられていてもよい、長手方向の開口部を有する)接続部品の液化される熱可塑性材料が液化し、(固定される部品のまたはそのような接続部品の一部としての)固体材料からなるポスト部分の中から、上記ポスト部分の長手方向開口部の流出開口部から押し出されてポスト部分の周りの部品と嵌合接続を形成する原理を、以下「インサイドアウト(inside-out)」原理と呼ぶ。
【0078】
図8の実施形態は、インサイドアウト原理に基づいており、場合によっては互いに独立した、以下の追加の特徴を有する。
【0079】
-アバットメント2の取付開口部24および適合する取付ポスト26は、比較的急峻な円錐27を有する。この円錐の開口角度は、中心に位置決めし軸方向の力を吸収するが必ずしもブロックしないようにする角度である(モールス円錐(Morse cone)ではない)。
【0080】
-たとえばリング形状の熱可塑性封止パッド41が、インプラント体1とアバットメント2との接続を封止する役割を果たす。封止パットの材料は、取付プロセス中に流動可能にされてもよい(熱可塑性材料)。これに代えて、封止パッドはエラストマー材料からなるものであってもよい。
【0081】
-開口部24は根尖側で終端をなし、開口部24の底部はエネルギ誘導構造体304を有する。
【0082】
図9において、アバットメントは、取付スリーブ28の形態の取付ポストを有する。インプラント取付開口部はアンダーカット18を有する。接続部品4はヘッド42を形成し、アバットメントの開口部24は肩部を形成し、ヘッドの根尖方向を向く部分はこの肩部に置くことができる。エネルギ入力および再固化後、接続部品4は、アンダーカット18内部に足部分を有し、それにより、接続部品はアバットメント2をインプラント体1に固定する。
【0083】
図4図9の実施形態において、エネルギ入力は、アバットメント2の開口部24に係合する、振動するソノトロードによって行うことができる。
【0084】
図10は、図1の実施形態と同様に、アバットメント2がアンダーカットを画定する取付構造体を有しインプラント体1またはインレーの形態の別個の接続部品が液化して取付構造体に流入可能な熱可塑性材料を有するという原理に基づく接続を示す。
【0085】
図10の取付構造体は、インプラントの取付開口部に係合する取付ポスト29に属する。インプラントの取付開口部の境界は熱可塑性インレー11によって示される。取付ポスト26は、深さ有効取付(depth effective attachment)に適しており、把持歯の間に窪みがある構造を含む。中心に位置決めするために、アバットメントおよびインプラント体は、センタリングコーンを、それぞれ把持歯の根尖側およびインレーの冠側において含み得る。
【0086】
図10はまた、アバットメント2がインプラント体1に押し込まれたときに生じる静圧効果として逆流した液化した熱可塑性材料部分のためのオーバーフロー部分51を示す。エネルギ入力および取付ポスト26のインプラント体1への導入中に、インレー11の少なくとも一部が液化し、液化した材料が、把持歯の下で流れてオーバーフロー部分51に入る。図10はさらに封止リング41を示す。
【0087】
図11は、アバットメント2の、または上部構造体3の、取付構造体の代替形状を示し、この取付構造体は、たとえば全周にわたって延在するアンカー突起52と、熱可塑性材料を収容して軸方向における嵌合接続をもたらす少なくとも1つのポケット53とを含む。
【0088】
図12は、特に横方向の力に対抗して機械的ロックの役割を果たす軸方向突起71と微細構造ゾーン72とを有する取付構造体のさらなる部分を示す。図13は、軸方向突起73の修正取付構造体を示し、この構造体は、少なくとも1つのマクロアンダーカット74を有し、熱可塑性材料の浸透後に軸方向の引張力に抗してさらなる安定性をもたらす。図14の取付構造体は図11のものと似ているが、アンカー突起51がさらに軸方向(ここでは根尖方向)に延在している。
【0089】
一般的に、インプラント体1とアバットメント2との間の接続について図1図2、および図4図14を参照しながら述べた取付構造体および原理は、上部構造体を、アバットメントに、または特にワンピース型インプラントシステムのインプラント体に取り付けるのにも適している。また、これらの図面に示される配置全体を逆にしてもよい、たとえば、図10図14の取付構造体は、インプラント体もしくは熱可塑性材料を有する別個の接続部品に対するアバットメントに属しているだけでなく、代わりに、アバットメントもしくは熱可塑性材料を有する別個の接続部品に対するインプラント体に属していてもよく、または、上部構造体もしくは熱可塑性材料を有する別個の接続部品に対するアバットメントに属していてもよい。
【0090】
図15は、上部構造体3およびアバットメント2(または機能的に同様のワンピース型インプラントシステムの冠部分)の配置を示す。アバットメント2は熱可塑性材料81からなるまたは熱可塑性材料81のコーティングを有するポストを含み、上部構造体3はポストが係合する取付開口部を含み、この開口部は、熱可塑性材料が流入するアンダーカット82を画定する取付構造を有する。
【0091】
図16は、アバットメントの熱可塑性材料81が、取付ポスト83の冠部分を完全にコーティングする代わりに、部分的にのみコーティングするものとして与えられることで、取付プロセスに必要なエネルギを減じることが可能であることを示す。
【0092】
逆の状況(図17)では、上部構造体3はコーティング(取付開口部の内部コーティング)として熱可塑性材料91を含み、アバットメントは、アンダーカットを備えた取付構造体を有し得る。どちらも、全体コーティングとするか部分コーティング91とするかは選択肢である。
【0093】
図18は、一方のアバットメント2/インプラント体と他方の上部構造体3との間のインレーの原理を開示し、このインレー151は、封止リングおよび/または保持リングである。エネルギ入力および再固化後、インレー151は、アンダーカットに侵入するフィンガー部分を有し、それにより、インレー151は上部構造体3をアバットメント2に固定する。
【0094】
図19は封止リングの原理を示す。封止リング151は、上部構造体3とアバットメント2(またはインプラント体)との間の界面の周り、たとえばその周囲の周りに延在する。上部構造体3およびアバットメント2のアセンブリは、少なくとも1つの、ミクロおよび/またはマクロ取付構造体93、152を画定し、かつオーバーフロー部分153を画定する。図19において、上部構造体3の取付構造体は、環状軸方向突起152を有する。突起152はミクロ穿孔を有していてもよく(図20)および/またはマクロアンダーカット構造154を有していてもよい(図21)。
【0095】
このような封止リングは、
-熱可塑性材料がアンダーカット構造体に浸透した後に得られる嵌合接続によって上部構造体をアバットメント(またはインプラント体)に固定する機能、および、
-上記構造体に浸透させることにより、細菌および不純物が入らないよう上部構造体とアバットメント(またはインプラント体)との間の界面を封止する機能、
という、2つの機能を有することができる。
【0096】
このような封止リングは、別個の接続部品として、または、アバットメント/インプラント体および/または上部構造体に属するものとして与えることができる。また、これは、インプラント体に対するアバットメントの取付の選択肢であってもよい。
【0097】
図22は保持リング11の選択肢を示す。この保持リングは、たとえば、アバットメント2/インプラント体に対するクラウン3のように、ある部品の別の部品に対する取り外し可能な接続のために与えられてもよい。
【0098】
接続のために、取付リングは、部品のうちの1つのわずかにアンダーカットされた構造体(第1の溝112)の中に入れられ、他方の部品(ここでは第2の溝113)が配置される。これらの工程において、保持リング111は、場合によっては保持リング111を一時的に軟化させるためのエネルギ入力により、わずかに機械的に変形する。エネルギ入力および再固化後、保持リング111はこれらの部品に対するポジティブロック嵌め(positive-locking fit)を有する。リングは、(製造中に)2つの部品のうちのいずれか一方に予め装着されてもよく、これら2つの部品双方の配置後に(超音波振動を用いた)エネルギ入力によって他方の部品に装着される。これに代えて、リング111は、部品(アバットメント2および上部構造体3)間に配置される別個の要素であってもよく、超音波振動によってこれらに融着される。取付リング111は、たとえば、弾性を有するポリウレタンからなるものであってもよく、前に装着した上部構造体に共通のこれら2つの部品間の広い隙間に適したものであってもよい。リング111はまた、下のギャップを有する恒久的に固定された上部構造体により適したPEEKで作られていてもよい。
【0099】
図23は本発明のさらに他の原理を示す。熱可塑性接続部品4は、直接、または、上部構造体3をアバットメント2/インプラント体にまたはアバットメントをインプラント体に装着するためだけでなく、たとえば従来の固定具を緩み防止のために装着するために使用される。より具体的には、示されている実施形態において一方の部品(上部構造体3)が他方の部品(アバットメント2またはインプラント体)にねじ121で固定される。接続部品は、ねじの近位方向のギャップを熱可塑性材料で充填するために用いられ、それにより、ねじは後退しないよう確実に固定され、かつ、封止される。
【0100】
固定のために、ねじを配置して締めた後で、接続部品4を上部構造体3の開口部を通して配置する。この開口部を通してねじ121にアクセスしねじ121を締めることができる。接続部品4に対し、少なくとも遠位部分が実質的に完全に液化してねじ頭を埋め込むまで、機械的エネルギを加える。このプロセス後に近位方向に突出する接続部品4の部分は、たとえば機械的に取り除いてもよい。
【0101】
図24は、上部構造体3が、たとえば同等に根尖位置においてアクセス孔131を有し、アバットメント2/インプラント体が、上部構造体3を配置するときにアクセス孔131を通してアクセス可能なポケット132を有する、さらに他の原理を示す。接続部品4の熱可塑性材料を、この材料が流動可能になり上部構造体3とアバットメント2/インプラント体との間の界面に沿って分布するまで、衝突する機械的エネルギでポケット132の中に押し込む。このアセンブリは、熱可塑性材料で充填し得る周方向の(そうでなければ延長された)空のスペースを含むものであってもよい。空のスペースは、アバットメントおよび/または上部構造体内の溝によって与えられてもよい。空のスペースのまたはアクセス孔およびポケットの内部の面は、連続領域を形成し、これが、部品のうちの少なくとも1つに対してミクロ構造を有するおよび/またはアンダーカットされることで、嵌合接続をなすことができる。任意で、部品(上部構造体、アバットメント/インプラント)のうちの少なくとも1つは、このスペースに沿って、熱可塑性材料に融着可能な熱可塑性材料を含み得る。
【0102】
図24に示されるように、機械的振動を、振動を受ける位置で偏向させるのに適した、装置/ソノトロード6を用いることが好都合な場合がある。患者の口内にクラウンを固定するのに使用されるピン4に振動エネルギを衝突させることができるようにするためには、第1の軸に沿って振動するように設定可能でありこのような振動を振動出力位置において第2の軸に沿う振動に伝える装置を使用するのが有用である場合があり、第1および第2の軸は互いの間に角度(90~110°)を形成する。このような装置は、たとえば、EP1991154に記載されている。
【0103】
図25は、図24の矢印で示されポケット132を通る面に沿う断面を示し、熱可塑性材料が流入し得る空のスペース133を示す。
【0104】
一般的に、本発明に従う手法は、必ずしも円対称ではない係合構造を有する接続部品に適している。これは、それ自体は円対称ではないが人間の歯またはその根の形状に近い形状を有するインプラント体のインプラントシステムにとって特に好都合であろう。図15図25の実施形態の原理は、インプラント体に対するアバットメントの取付にも適用可能である。
【0105】
図26は、インプラント体1に対するアバットメント2の接続に適用されるリング形状のインレーまたは接続部品4の原理を示す。この場合のソノトロード6は、アバットメント2の冠方向に面する肩部161に対して押すことができ、必ずしも受注製造された形状ではない。有効高さ(取付プロセス中に近位部品を遠位部品に対して前進させる高さ)は、1~2mmであってもよい。
【0106】
図27は、たとえば取付ポストの水平方向断面を極めて概略的に示し、この断面は、不規則な六角形状の六角形である。
【0107】
図28は、アバットメント2上に配置される上部構造体3と、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品4とのアセンブリを示す。接続部品4は、製造中にアバットメント2に取り付けられていてもよい。接続部品4は、その冠側端部において、ここでは尖頭形状のエネルギ誘導構造201を有し得る。上部構造体3の取付構造体は、再固化後に嵌合接続を形成する液化した熱可塑性材料で充填されるアンダーカット18を有する。
【0108】
図29は、アバットメント2上に配置される上部構造体3と、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品4との別のアセンブリを示す。加えて、上部構造体3の(部品4の導入のための)開口部に導入されてエネルギを接続部品4に与えるソノトロード6が示される。これに代えて、開口部がない上部構造体3に嵌合するソノトロードを用いてもよい。ソノトロード6は、上部構造体3の個々の形状に適合する根尖側端部を有する中間要素への接続部を有し得る。
【0109】
接続部品4は、ピンの形態の根尖側端部と、ここでは直方体の形態のエネルギ誘導構造201を有する冠側ヘッドとを有していてもよい。上部構造体3の取付構造体はアンダーカット200を有し、アバットメント2の取付構造体はアンダーカット203を有する。液化した熱可塑性材料はこれらのアンダーカットに流入して再固化後に嵌合接続を形成する。好ましくは、l、lおよびlを、エネルギ入力およぎ再固化後に上部構造体3とアバットメント2との間に細い隙間(<0.1mm)が確実に残るように(たとえば長さlおよび長さlが長さlよりも小さくなるように)選択される。上部構造体は固定する必要があるが、咀嚼中に作用する力の下で上部構造体3が振動できるように、上部構造体が嵌合することが好ましい。
【0110】
図30は、アバットメント2の取付構造体(下側の部品)と、全体が熱可塑性材料で作られていてもよい接続部品とを示し、この接続部品は、冠側リング300と、接続バー301と、根尖側リング302とを含む。この接続部品は、アバットメント2のテーパ状取付構造体の上に、カップのように置くことができる。冠側リング300はアバットメント2の最上部の上に載せることができ、接続バー301はアバットメントの細長い窪み304に嵌めることができ、根尖側リング302はアバットメント2の棚部分305に装着し得る。根尖側リング302はアバットメント2と上部構造体との間の封止リングとして機能し得る。
【0111】
ある実施形態において、アバットメントの細長い窪み304のうちの少なくとも1つは、鋸歯状の面(たとえば横方向の面または後方の壁)を有していてもよく、または、鋸歯303で構成されていてもよい。鋸歯は極めて小さな構造体であってもよい。それに加えてまたはそれに代えて、アバットメント2に固定する上部構造体(図示せず)が、接続バー301を嵌合させることができる、鋸歯または鋸歯状構造を有する細長い窪みを有していてもよい。接続バー301の熱可塑性材料が鋸歯に流入して嵌合接続を形成することができる。接続バー301の厚さは、0.2~1mm、好ましくは0.4~0.7mmmであってもよい。細長い窪み304の深さは、0.1~0.35mmであってもよい。好ましくは、細長い窪みの深さは、接続バー301の厚さの40~60%の間である。これにより、上部構造体を取り外した後に接続部品の熱可塑性材料が十分に残ることで、アバットメントと上部構造体との第2の嵌合接続が可能が保証される。
【0112】
細長い窪み304の幅は、0.2~1mm、好ましくは0.4~0.7mmmであってもよい。より近接して位置することが可能な、アバットメントまたは上部構造体のいくつかの細長い窪み304があってもよい。これにより、超音波振動によってまたは機械的に(上部構造体を外すてこにより)生じ得る、上部構造体を取り外す必要がある場合の熱可塑性材料への損傷が減じられる。
【0113】
図31は、図30と同様の実施形態を示す。接続部品の根尖側リング302が、アバットメント2の周方向溝340に嵌合することにより、アバットメント2と上部構造体(図示せず)との間のスペースを封止することができる。
【0114】
図30および図31に示されるアセンブリは、上部構造体とアバットメントとの間の隙間を最小にすることができるが、静止不定形システム(たとえばセラミック/チタン構造体上のセラミック構造体)における周方向の接触を可能にすることにより、高ピーク負荷を取り除くことができる。加えて、記載されている接続部品により、上部構造体を、2つ以上の同じ終端位置で固定できる。上部構造体またはアバットメントを再度研削する必要はない。その考えられる理由は、熱可塑性材料を(再固化後に)再度液化させて上部構造体を取り外すことができることにある。次に、新たな接続部品を用いて上部構造体を再び同じ終端位置を有するアバットメントに固定することができる。これに代えて、接続バーに、液化させて固化中に嵌合接続を形成する材料が十分に残っている場合は、「古い」接続部品を使用することもできる。
【0115】
図32は、図29に示されるものと同様の、上部構造体3とアバットメント2と接続部品4とのアセンブリを示す。示されているアセンブリはエネルギ入力後のものであり、したがって、接続部品4は部分的に液化され再固化されている。液化した熱可塑性材料はアバットメント2および上部構造体3のアンダーカットを充填しているので、長手方向の断面はアンビルの図形を想起させる。しかしながら、示されている断面に垂直な面における断面は、丸いもしくは不定形のものであってもよく、または多角形であってもよい。接続部品4に加えて、アセンブリは、上部構造体3および/またはアバットメント2に融着した後にこれら2つの部品間のスペースを封止する熱可塑性材料を含む封止リング302を含んでいてもよい。
【0116】
図33は、アバットメント2の上に置かれる上部構造体3と、熱可塑性材料からなるまたは熱可塑性材料を含む接続部品4との別のアセンブリを示す。上部構造体3は、好ましくは上部構造体の根尖側端部においてアクセス孔305を有し、アバットメント2は、上部構造体3がアバットメントの上に置かれた後でアクセスホール305を通してアクセス可能なポケットを有する。ピンの形態の接続部品4の熱可塑性材料をこのポケットに導入することができる。開口305により、さらに、熱可塑性材料が少なくとも部分的に液化し上部構造体3とアバットメント2との間の界面に沿って少なくとも1つのアンダーカット、ここではアバットメント2のアンダーカットによって形成される空のスペースに流れ込むまで、ツールを用いて機械的エネルギをピン306に衝突させることができる。連続したスペースを形成する、アンダーカット、アクセス孔および/またはポケットの内部の界面に沿う表面は、微細構造であってもよい。任意で、部品のうちの少なくとも1つ(上部構造体またはアバットメント)は、このスペースに沿って、ピン306の熱可塑性材料に溶着可能な熱可塑性材料を含んでいてもよい。
【0117】
図34は、図33のアセンブリと非常によく似たアセンブリを示す。この実施形態においても、上部構造体は、ピン306の液化した材料で充填し得るアンダーカットを有する。より多くの液化材料が必要な場合は、2つ以上のピンを導入しその後液化のために超音波エネルギを用いてもよい。加えて、図34は、アンダーカットが対称でなくてもよいことを示している。充填する空のスペースまたは各アンダーカットの形状は、2つの自由度、すなわち、軸方向の張力(および圧力)と回転とをロックできるように選択されてもよい。
【0118】
一例が図35に示される。図35は、図33のA-A’に沿う断面の図を示す。ピンの形態の接続部品4は、超音波振動の使用により液化され、熱可塑性材料は、上部構造体3とアバットメント2との界面において、少なくとも2つの方向307、308に突出する断面を有する、たとえば十字形を形成するように配置された空のスペースに、流入することができるようになっている。これにより、2つの自由度をロックすることができる。図36は、具体例として、アバットメント2の取付構造体が、尖端または鋭いエッジであってもよいエネルギ誘導構造体310を含み得ることを示している。これにより、接続部品4(たとえばピン)がどの場所で最初に液化するかを制御することができる。好ましくは、接続部品は、最初に、アバットメント2内の溝、チャネル、または長手方向のボアの底で液化し、その後に初めてピン4と上部構造体との間の界面で液化することができる。加えて、エネルギ誘導構造体310は、熱可塑性材料の流れを導くのに適切であってもよい(矢印参照)。エネルギ誘導構造体310を(ボア、溝またはチャネルの中央ではなく)非対称に配置することにより、液化した材料の異なる部分を、異なる方向に、または異なる大きさのアンダーカット/空のスペースに導くことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36