IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノボマー, インコーポレイテッドの特許一覧

特許7398124アクリル酸およびその前駆体のための生成系/生成プロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】アクリル酸およびその前駆体のための生成系/生成プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/09 20060101AFI20231207BHJP
   C07C 57/04 20060101ALI20231207BHJP
   C07C 51/12 20060101ALI20231207BHJP
   C08G 63/08 20060101ALI20231207BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
C07C51/09
C07C57/04
C07C51/12
C08G63/08
C07B61/00 300
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021133854
(22)【出願日】2021-08-19
(62)【分割の表示】P 2018505014の分割
【原出願日】2016-07-29
(65)【公開番号】P2021185167
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/199,918
(32)【優先日】2015-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サデシュ・エイチ・スークラジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・ジェイ・ファーマー
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-523421(JP,A)
【文献】特表2015-509497(JP,A)
【文献】国際公開第2013/185009(WO,A1)
【文献】特公昭46-003186(JP,B1)
【文献】国際公開第2014/008232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 51/09
C07C 57/04
C07C 51/12
C08G 63/08
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-プロピオラクトンの供給源からアクリル酸を生成するための方法であって、
一酸化炭素供給物、エチレンオキシド供給物、およびカルボニル化触媒を含む投入成分を、カルボニル化反応ゾーン内で接触させ、β-プロピオラクトン、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を含むBPL出口ストリームを生成するステップと、
精製されたBPL供給物ストリームを生成し、1つまたは複数の排除ストリーム中の前記β-プロピオラクトンの一部、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を排除するBPL精製ゾーンに、前記β-プロピオラクトン、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を供給するステップと、
前記精製されたBPL供給物ストリームの少なくとも一部を、ポリプロピオラクトン反応ゾーンに渡すステップと、
β-プロピオラクトンを含む前記精製されたBPL供給物ストリームを、ポリプロピオラクトンを含むポリプロピオラクトン出口ストリームを生成する少なくとも1つの重合反応器を有する前記ポリプロピオラクトン反応ゾーン中で、重合開始剤と接触させるステップと、
前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部を受け取り、アクリル酸を含むアクリル酸ストリームを生成する熱分解反応器を含むアクリル酸生成ゾーンに、当該ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部を渡すステップと、
未反応のエチレンオキシド、未反応の一酸化炭素、カルボニル化溶媒、および未反応のカルボニル化触媒の1つまたは複数をリサイクルするステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記投入成分を接触させるステップが、
前記カルボニル化反応ゾーン内に溶媒を加えるステップと、
前記BPL出口ストリームの少なくとも一部を、カルボニル化触媒リサイクルゾーンに渡し、前記一部を、i)少なくともいくらかのカルボニル化触媒が除去された前記BPL出口ストリームの一部を含むBPL分離ストリーム、ならびにii)β-プロピオラクトン、溶媒、エチレンオキシド、カルボニル化触媒、無水コハク酸、およびアセトアルデヒドを含む触媒リサイクルストリームに分離するステップと、
前記触媒リサイクルストリームの少なくとも一部を、前記カルボニル化反応ゾーンに渡すステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合開始剤が、第四級アンモニウム塩、カルボン酸のアルカリ金属塩、アクリル酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アクリル酸ホスホニウム、ホスホニウム塩、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、酢酸ホスホニウム、アクリル酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、アクリル酸トリメチルフェニルアンモニウム、酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、またはアクリル酸テトラフェニルホスホニウムからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ラジカル重合抑制剤を含み、該ラジカル重合抑制剤が、フェノチアジンを50~500ppmwの濃度で含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリプロピオラクトン反応器ゾーンが、第1の重合反応器および第2の重合反応器
を含み、前記第1の重合反応器が、ポリプロピオラクトン、β-プロピオラクトンおよび重合開始剤を含む中間混合物を生成し、前記中間混合物および追加の重合開始剤が、前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部を生成する前記第2の重合反応器に渡り、前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部が、ポリプロピオラクトンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
ポリプロピオラクトンが、エバポレーター、フラッシュタンクエバポレーター、拭取りフィルムエバポレーター、または蒸留装置の少なくとも1つにおいて、第2の反応ゾーンによって生成された前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの前記一部から分離される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリプロピオラクトン出口ストリームが、固体ポリプロピオラクトンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの重合反応ゾーンが、連続反応器、半バッチ反応器、連続流撹拌タンク反応器、ループ反応器、または栓流反応器のうちの少なくとも1つを含み、アクリル酸反応ゾーンが、溶融プロピオラクトンを受け取るための熱分解反応器を含み、前記熱分解反応器が、連続撹拌タンク反応器、栓流反応器、拭取りフィルムエバポレーター、移動床反応器、混練機反応器、および流動床反応器の形態である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記アクリル酸ストリームの少なくとも一部が、(i)少なくとも90%の純度を有するアクリル酸を含むアクリル酸ストリーム、および(ii)有機重量物ストリームに分離される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記BPL精製ゾーンが、前記排除ストリームの1つとしてEO排除ストリームを生成し、エチレンオキシドおよびEO排除物の少なくとも一部を含む前記EO排除ストリームが、前記カルボニル化反応ゾーンに渡される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記BPL精製ゾーンが、EO排除ストリームの1つとして溶媒回収ストリームを生成し、前記溶媒回収ストリームの少なくとも一部からの溶媒を含む前記溶媒回収ストリームが、前記カルボニル化反応ゾーンに渡される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
I)前記カルボニル化触媒リサイクルゾーンが、前記触媒リサイクルストリームを保持液として回収し、BPL分離ストリームを透過液として回収する1つまたは複数の膜系を含み、II)前記BPL精製ゾーンが、a.)前記BPL分離ストリームの少なくとも一部を受け取り、前記カルボニル化反応器に渡されるエチレンオキシドを含有するEOストリーム、ならびに溶媒およびβ-プロピオラクトンを含有する溶媒ボトムストリームを生成する、少なくとも1つの蒸留塔を含むEO回収セクションと、b.)前記溶媒ボトムストリームの少なくとも一部を受け取り、前記カルボニル化ゾーンに渡される溶媒を含む回収されたオーバーヘッド溶媒ストリーム、およびβ-プロピオラクトンを含むBPLボトムストリームを生成する少なくとも1つの蒸留塔を含む溶媒回収セクションと、c.)前記BPLボトムストリームを受け取り、ボトム排除ストリームを生成し、前記精製されたBPLをオーバーヘッドストリームとして生成する少なくとも1つの蒸留塔を含むBPL濃縮セクションとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記カルボニル化触媒が、コバルト-アルミニウム触媒;アルミニウムポルフィリン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニル、アルミニウムサレン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニル、アルミニウムサロフェン化合物と組み合わされたコバルト酸カ
ルボニル、およびAl(TPP)Co(CO)4)のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記カルボニル化触媒が、触媒の溶媒に少なくとも部分的に溶解され、前記溶媒が、エーテル、炭化水素、テトラヒドロフラン、ヘキサン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、スルホラン、N-メチルピロリドン、1,3ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ジエチレングリコールジブチルエーテル、イソソルビドエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、二塩基性エステル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ブタノン、シクロヘキサノン、トルエン、ジフルオロベンゼン、ジメトキシエタン、アセトン、およびメチルエチルケトンの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記カルボニル化反応ゾーンが、-20℃~160℃の温度および100psig~5000psigの圧力の反応器操作条件;連続反応器もしくは半バッチ反応器 連続流撹拌タンク反応器またはループ反応器からなる群から選択される少なくとも1つの反応器を含み、少なくとも90%の選択率でβ-プロピオラクトンを生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記BPL出口ストリームが、質量分率基準で、少なくとも0.1および最大で0.4のβ-プロピオラクトン;最大で0.9の溶媒;少なくとも0.005および最大で0.07のエチレンオキシド;0.0005~0.001の間の一酸化炭素;少なくとも0.0001および最大で0.005の触媒;少なくとも0.0001および最大で0.06のアセトアルデヒド;または少なくとも0.0001および最大で0.06の無水コハク酸を有する条件を満たす、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
BPL濃縮セクションが、真空塔を含み、前記精製されたBPLストリームが、少なくとも99%のβ-プロピオラクトン純度を有する真空塔オーバーヘッドストリームとして回収される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
エチレンオキシドおよび一酸化炭素からアクリル酸を生成するための方法であって、
一酸化炭素供給物、エチレンオキシド供給物、COオーバーヘッドストリームおよびBPLリサイクルストリームを、カルボニル化反応ゾーン内でカルボニル化触媒および溶媒と接触させ、β-プロピオラクトン、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、カルボニル化触媒、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を含むBPL出口ストリームを生成するステップと、
前記BPL出口ストリームの少なくとも一部を、CO/EO分離器に渡し、i.)エチレンオキシドおよび一酸化炭素を含むCO分離器オーバーヘッドストリーム、ならびにii.)β-プロピオラクトン、溶媒、カルボニル化触媒、アセトアルデヒド、無水コハク酸、およびエチレンオキシドを含むCO分離器ボトムストリームを回収するステップと、
前記CO分離器オーバーヘッドストリームの少なくとも一部を、前記カルボニル化反応ゾーンに渡すステップと、
前記CO分離器ボトムストリームの少なくとも一部を、カルボニル化触媒リサイクルゾーンの分離セクションに渡し、前記CO分離器ボトムストリームの前記少なくとも一部を、i)分離されたカルボニル化触媒、溶媒、およびβ-プロピオラクトンを含有する保持液を含むBPLリサイクルストリームと、ii)β-プロピオラクトン、溶媒、アセトアルデヒド、無水コハク酸、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を含有する透過液を含むBPL分離ストリームに分離するステップと、
前記BPLリサイクルストリームの少なくとも一部を、前記カルボニル化反応ゾーンに渡すステップと、
前記BPL分離ストリームを、溶媒を含む溶媒リサイクルストリームと、β-プロピオラクトンおよびカルボニル化触媒を含む精製されたBPLストリームに分離する少なくとも1つの分離ゾーンを含むBPL精製ゾーンに、前記BPL分離ストリームの少なくとも一部を渡すステップと、
前記精製されたBPLストリームの少なくとも一部を、重合開始剤と接触させ、ポリプロピオラクトンを含むポリプロピオラクトン出口ストリームを生成する少なくとも1つの重合反応器を有するポリプロピオラクトン反応ゾーンに、前記精製されたBPLストリームの前記少なくとも一部および前記重合開始剤を渡すステップと、
前記ポリプロピオラクトンの少なくとも一部を、ポリプロピオネート(polyproprionate)反応ゾーンに渡すステップと、
アクリル酸ストリームを生成する熱分解反応器を含むアクリル酸生成ゾーンに、前記ポリプロピオラクトンの少なくとも一部を渡すステップと、
分離器内の前記アクリル酸ストリームの少なくとも一部を、(i)少なくとも90%の純度を有するアクリル酸を含むアクリル酸ストリームと、(ii)有機重量物ストリームに分離するステップと、
未反応のエチレンオキシド、未反応の一酸化炭素、カルボニル化溶媒、および未反応のカルボニル化触媒の1つまたは複数をリサイクルするステップとを含む方法。
【請求項19】
前記アクリル酸ストリームが、99.5%よりも高いアクリル酸純度を有しており、氷アクリル酸を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの重合反応器が、少なくとも50%のポリプロピオラクトン変換率でポリプロピオラクトンを生成する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記カルボニル化反応器ゾーンが、30℃~160℃の間の温度および100psig~5000psigの間の圧力で操作され、前記少なくとも1つの蒸留塔が、大気圧またはそれ未満および120℃未満の温度で操作される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒リサイクルストリームが、溶媒、および15wt%未満のβ-プロピオラクトン、エチレンオキシド、一酸化炭素、アセトアルデヒドもしくは無水コハク酸、またはこれらの任意の組合せを含み、前記精製されたBPLストリームが、(i)β-プロピオラクトン、および(ii)1wt%未満の溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、アセトアルデヒドもしくは無水コハク酸、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項23】
エチレンオキシドおよび一酸化炭素からアクリル酸を生成するための方法であって、
一酸化炭素供給物、エチレンオキシド供給物、COオーバーヘッドストリームおよびBPLリサイクルストリームを、カルボニル化反応ゾーン内でカルボニル化触媒および溶媒と接触させ、β-プロピオラクトン、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、カルボニル化触媒、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を含むBPL出口ストリームを生成するステップと、
前記BPL出口ストリームの少なくとも一部を、CO分離器に渡し、i.)エチレンオキシドおよび一酸化炭素を含む前記COオーバーヘッドストリーム、ならびにii.)β-プロピオラクトン、溶媒、カルボニル化触媒、アセトアルデヒド、無水コハク酸、エチレンオキシドおよび一酸化炭素を含むCOボトムストリームを回収するステップと、
前記COオーバーヘッドストリームの少なくとも一部を、前記カルボニル化反応ゾーンに渡すステップと、
前記COボトムストリームの少なくとも一部を、カルボニル化触媒リサイクルゾーンの分離セクションに渡し、前記COボトムストリームの前記少なくとも一部を、i)分離されたカルボニル化触媒、溶媒およびβ-プロピオラクトンを含有する保持液を含むBPLリサイクルストリームと、ii)β-プロピオラクトン、溶媒、アセトアルデヒド、無水コハク酸、エチレンオキシド、一酸化炭素、およびカルボニル化触媒を含有する透過液を含むBPL分離ストリームに分離するステップと、
前記BPLリサイクルストリームの少なくとも一部を、前記カルボニル化反応ゾーンに渡すステップと、
前記BPL分離ストリームを、溶媒を含む溶媒リサイクルストリームと、β-プロピオラクトンを含む精製されたBPLストリームにさらに分離する少なくとも1つの蒸留塔を含むBPL精製ゾーンにおいて、前記BPL分離ストリームを精製するステップと、
前記精製されたBPLストリームの少なくとも一部を重合開始剤と接触させ、ポリプロピオラクトンを含むポリプロピオラクトン出口ストリームを生成する少なくとも1つの重合反応器を有するポリプロピオラクトン反応ゾーンに、前記精製されたBPLストリームの前記少なくとも一部および前記重合開始剤を渡すステップと、
前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部を受け取り、アクリル酸ストリームを生成する熱分解反応器を含むアクリル酸生成ゾーンに、前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの前記少なくとも一部を渡すステップと、
凝縮器内の前記アクリル酸ストリームの少なくとも一部を、(i)少なくとも90%の純度を有するアクリル酸を含むアクリル酸ストリームと、(ii)有機重量物ストリームに分離するステップと、
未反応の溶媒、未反応のエチレンオキシド、未反応の一酸化炭素、カルボニル化溶媒、および未反応のカルボニル化触媒の1つまたは複数をリサイクルするステップと
を含む方法。
【請求項24】
前記アクリル酸ストリームが、99.5%よりも高いアクリル酸純度を有しており、氷アクリル酸を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも90wt%のポリプロピオラクトンを含むように、そしてカチオン性カルボニル化触媒種およびアニオン性カルボニル化触媒種を含むイオン種ストリームを除去するように前記アクリル酸生成ゾーンに渡る前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの前記少なくとも一部を精製する樹脂塔を含むPPLイオン交換ゾーン含むポリプロピオラクトン精製ゾーンに、当該アクリル酸生成ゾーンに渡る前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの前記少なくとも一部が最初に渡り、前記アクリル酸生成ゾーンに渡る前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部が、前記ポリプロピオラクトン精製ゾーンから、ポリプロピオラクトン処理ゾーンに渡った後、前記アクリル酸生成ゾーンに渡り、前記ポリプロピオラクトン処理ゾーンが、前記アクリル酸生成ゾーンに渡る前記精製されたポリプロピオラクトン出口ストリームの前記少なくとも一部を、固体形態に変換する、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
a.)前記アクリル酸生成ゾーンに渡る前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの少なくとも一部が、前記ポリプロピオラクトン精製ゾーンから、PPL/BPL処理ゾーンに渡った後、前記アクリル酸生成ゾーンに渡り、前記PPL/BPL処理ゾーンが、i.)前記アクリル酸生成ゾーンに渡る前記ポリプロピオラクトン出口ストリームの前記少なくとも一部におけるβ-プロピオラクトンの濃度を増大するオーバーヘッドストリーム、およびii.)ポリプロピオラクトンを含むPPL/BPLボトムストリームを生成するための少なくとも1つの分離ゾーンを有しており、b.)樹脂塔を含む凝縮物イオン交換ゾーンが、前記有機重量物の少なくとも一部を受け取り、前記有機重量物を、重量物排出ストリームと、カチオン性カルボニル化触媒種およびアニオン性カルボニル化触媒種を含むイオン種ストリームに分離する、
請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
ポリプロピオラクトンを連続的に生成するための方法であって、
一酸化炭素供給物、エチレンオキシド供給物、および触媒リサイクルストリームを含む投入成分を、カルボニル化反応ゾーン内でカルボニル化触媒と接触させ、β-プロピオラクトン、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を含むBPL出口ストリームを生成するステップと、
精製されたBPL供給物ストリームを生成し、1つまたは複数の排除ストリーム中の前記β-プロピオラクトンの一部、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を排除するBPL精製ゾーンに、前記β-プロピオラクトン、エチレンオキシドおよびカルボニル化触媒を供給するステップと、
前記精製されたBPL供給物ストリームの少なくとも一部を、ポリプロピオラクトン反応ゾーンに渡すステップと、
β-プロピオラクトンを含む前記精製されたBPL供給物ストリームを、第1の反応器に連続的に供給するステップと、
重合開始剤を、前記第1の反応器に連続的に供給するステップと、
前記第1の反応器内で、ポリプロピオラクトンおよび未反応のβ-プロピオラクトンを含む第1の混合物を生成するステップと
(ここで、前記第1の反応器は、
β-プロピオラクトン供給源からβ-プロピオラクトンを受け取るためのβ-プロピオラクトン入口、
開始剤供給源から前記開始剤を受け取るための第1の開始剤入口、および
前記第1の混合物を排出するための第1の混合物出口
を含む)、
前記第1の混合物を、前記第1の反応器から第2の反応器に移すステップと、
ポリプロピオラクトンを含む第2の混合物を生成するステップと
(ここで、前記第2の反応器は、
前記第1の反応器から前記第1の混合物を受け取るための混合物入口、
前記開始剤供給源から前記追加の開始剤を受け取るための第2の開始剤入口、および
前記第2の混合物を排出するための第2の混合物出口
を含む)、
未反応の溶媒、未反応のエチレンオキシド、未反応の一酸化炭素、カルボニル化溶媒、および未反応のカルボニル化触媒の1つまたは複数をリサイクルするステップとを含む方法。
【請求項28】
前記第2の反応器に加えられる前記追加の開始剤が、前記第1の反応器に加えられる開始剤とは異なる、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から、アクリル酸、ならびにβ-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンを含めたその前駆体を生成するための系および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ポリプロピオラクトンは、多くの梱包および熱可塑性の用途で使用することができる生分解性ポリマーである。ポリプロピオラクトンは、アクリル酸の生成に有用な前駆体でもある。ポリプロピオラクトンは、ポリアクリル酸ベースの超吸収性ポリマー、洗浄剤の構築助剤、分散剤、凝集剤および増粘剤の生成のために需要が高い氷アクリル酸の前駆体として働くことができる。ポリプロピオラクトンの1つの利点は、氷アクリル酸の配送および保存と関連する安全性または質の問題なしに、安全に輸送し、長期間保存することができるということである。さらに、バイオマス由来の原料、石油由来の原料、またはこれらの組合せから生成され得る氷アクリル酸に、関心が集まっている。アクリル酸市場の大きさおよびアクリル酸の下流適用の重要性を考慮すると、アクリル酸およびその前駆体を生成するための工業系および方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の簡単な要旨
本明細書では、アクリル酸、ならびにβ-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンを含めたその前駆体を生成するための系およびプロセス、ならびにこのような生成系/生成プロセスを使用する方法が提供される。一部の態様では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセス、カルボニル化触媒リサイクル装置、β-プロピオラクトン精製系、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス、および氷アクリル酸生成系/生成プロセスを含む、エチレンオキシドおよび一酸化炭素からの氷アクリル酸の生成系/生成プロセスおよび生成プロセスが提供される。
【0004】
一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスは、一酸化炭素供給源、エチレンオキシド供給源、カルボニル化触媒供給源、溶媒供給源、およびカルボニル化反応器を含む。ある特定の変形形態では、カルボニル化反応器は、一酸化炭素供給源からの一酸化炭素、エチレンオキシド供給源からのエチレンオキシド、カルボニル化触媒供給源からのカルボニル化触媒、および溶媒供給源からの溶媒を受け取るための少なくとも1つの入口;ならびにβ-プロピオラクトン、溶媒、エチレンオキシド、カルボニル化触媒、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を含む第1のβ-プロピオラクトンストリームを排出するための出口を有する。
【0005】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル装置は、触媒の少なくとも一部を第1のβ-プロピオラクトンストリームから分離し、リサイクル触媒ストリームおよび第2のβ-プロピオラクトンストリームを生成するように構成される。一部の変形形態では、リサイクル触媒ストリームは、分離されたカルボニル化触媒を含む。一部の変形形態では、第2のβ-プロピオラクトンストリームは、β-プロピオラクトン、溶媒、エチレンオキシド、触媒、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を含む。他の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル装置は、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスから第1のβ-プロピオラクトンストリームを受け取るための入口;リサイクル触媒ストリームをカ
ルボニル化反応器に排出するためのリサイクル出口;および第2のβ-プロピオラクトンストリームを排出するためのβ-プロピオラクトン出口を有する。
【0006】
他の実施形態では、β-プロピオラクトン精製系は、エバポレーター、ストリッパー、および真空塔を含む。一部の変形形態では、エバポレーターは、カルボニル化触媒リサイクル装置から第2のβ-プロピオラクトンストリームを受け取り、第2のβ-プロピオラクトンストリームを、
(i)少なくとも75wt%の溶媒、(ii)20wt%未満のβ-プロピオラクトン、ならびに(iii)5wt%未満のエチレンオキシドおよびアセトアルデヒドを含む第1のオーバーヘッドストリームと、
(i)少なくとも75wt%のβ-プロピオラクトン、(ii)20wt%未満の溶媒、ならびに(iii)5wt%未満の触媒、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を含む第1のボトムストリーム
に分離するように構成される。
【0007】
一部の変形形態では、ストリッパーは、エバポレーターから第1のオーバーヘッドストリームを受け取り、第1のオーバーヘッドストリームを、
(i)少なくとも25wt%のエチレンオキシドおよびアセトアルデヒド、ならびに(ii)75wt%未満の溶媒を含む第2のオーバーヘッドストリームと、
溶媒を含むサイドストリームと、
β-プロピオラクトンを含む第2のボトムストリーム
に分離するように構成される。
【0008】
一部の変形形態では、真空塔は、エバポレーターからの第1のボトムストリーム、およびストリッパーからの第2のボトムストリームを受け取り、第1のボトムストリームおよび第2のボトムストリームを混合して、混合ボトムストリームを生成し、第1のボトムストリームおよび第2のボトムストリームを、溶媒を含む第3のオーバーヘッドストリームと、β-プロピオラクトンを含む第3のボトムストリームに分離するように構成される。
【0009】
一部の実施形態では、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、
重合開始剤または触媒供給源;
β-プロピオラクトン精製系からの第3のボトムストリーム、および重合開始剤または触媒供給源からの重合開始剤または触媒を受け取り、ポリプロピオラクトンおよびβ-プロピオラクトンを含むポリプロピオラクトンストリームを排出するための、少なくとも1つの重合反応器
を含む。
【0010】
他の実施形態では、氷アクリル酸生成系/生成プロセスは、熱分解反応器を含み、この熱分解反応器は、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスからポリプロピオラクトンストリームを受け取るための入口、および氷アクリル酸を含む氷アクリル酸ストリームを排出するための出口を有する。
【0011】
他の態様では、β-プロピオラクトン供給源、重合開始剤または触媒供給源、第1の重合反応器、および第2の重合反応器を含む、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスが提供される。
【0012】
一部の変形形態では、第1の重合反応器は、β-プロピオラクトン供給源からβ-プロピオラクトンを受け取るためのβ-プロピオラクトン入口、重合触媒供給源から触媒を受け取るための第1の触媒入口、および第1の混合物を排出するための第1の混合物出口を含む。一変形形態では、第1の混合物は、ポリプロピオラクトン、β-プロピオラクトン
、および重合触媒を含む。
【0013】
他の変形形態では、第2の重合反応器は、第1の重合反応器の後に位置し、第1の重合反応器から第1の混合物を受け取るための混合物入口、カルボニル化触媒供給源から追加の重合触媒を受け取るための第2の触媒入口、および第2の混合物を排出するための第2の混合物出口を含む。一変形形態では、第2の混合物は、ポリプロピオラクトン、β-プロピオラクトン、および重合触媒を含む。
【0014】
ある特定の態様では、β-プロピオラクトンおよび触媒を混合するように構成された混合ゾーン、ならびに混合ゾーンの後に位置する複数の冷却ゾーンを含む、β-プロピオラクトン重合装置が提供される。一部の変形形態では、β-プロピオラクトン重合装置は、反応長を有する。ある特定の変形形態では、その反応長の最初の25%で、β-プロピオラクトンの最大95%が開始剤または触媒の存在下で重合されて、ポリプロピオラクトンが形成される。
【0015】
他の態様では、ポリプロピオラクトンを連続的に生成するための方法であって、
β-プロピオラクトンを、第1の反応器に連続的に供給するステップと、
触媒を、第1の反応器に連続的に供給するステップと、
第1の反応器内で、ポリプロピオラクトン、未反応のβ-プロピオラクトン、および残留触媒を含む第1の混合物を生成するステップと、
第1の混合物を、第1の反応器から第2の反応器に移すステップと、
追加の触媒を、触媒供給源から第2の反応器に供給するステップと、
第2の反応器内で、ポリプロピオラクトン、未反応のβ-プロピオラクトン、および残留触媒を含む第2の混合物を生成するステップと
を含む方法が提供される。
【0016】
この方法の一部の変形形態では、第1の反応器は、β-プロピオラクトン供給源からβ-プロピオラクトンを受け取るためのβ-プロピオラクトン入口、触媒供給源から触媒を受け取るための第1の触媒入口、および第1の混合物を排出するための第1の混合物出口を有する。この方法の他の変形形態では、第2の反応器は、第1の反応器から第1の混合物を受け取るための混合物入口、触媒供給源から追加の触媒を受け取るための第2の触媒入口、および第2の混合物を排出するための第2の混合物出口を有する。
【0017】
さらに他の態様では、β-プロピオラクトン供給源、第1の反応器、および第2の反応器を含む、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスが提供される。一部の実施形態では、第1の反応器は、β-プロピオラクトン供給源からβ-プロピオラクトンを受け取るためのβ-プロピオラクトン入口、担持触媒床または担持触媒前駆体床、および第1の混合物を排出するための第1の混合物出口を有する。一変形形態では、第1の混合物は、ポリプロピオラクトンおよび未反応のβ-プロピオラクトンを含む。他の実施形態では、第2の反応器は、第1の反応器の後に位置する。一部の変形形態では、混合物入口は、第1の反応器からの第1の混合物、第2の担持触媒床または担持触媒前駆体床、および第2の混合物を排出するための第2の混合物出口を受け取るように構成される。一変形形態では、第2の混合物は、ポリプロピオラクトンおよび未反応のβ-プロピオラクトンを含む。
【0018】
さらに他の態様では、少なくとも95wt%のβ-プロピオラクトン、10ppm未満のコバルトまたはそのイオン、10ppm未満のアルミニウムまたはそのイオン、10ppm未満の酢酸、および10ppm未満のテトラヒドロフランを含む、輸送可能な固体ポリマー組成物が提供される。
【0019】
別の態様では、エバポレーター、第1の塔、および第2の塔を含む、β-プロピオラク
トン精製系が提供される。一部の実施形態では、エバポレーターは、β-プロピオラクトン、溶媒を含む供給物ストリームを受け取り、供給物ストリームを、(i)少なくとも75wt%の溶媒、および(ii)最大で20wt%のβ-プロピオラクトンを含む第1のオーバーヘッドストリームと、(i)少なくとも75wt%のβ-プロピオラクトン、および(ii)最大で20wt%の溶媒を含む第1のボトムストリームに分離するように構成される。
【0020】
一部の変形形態では、第1の塔は、エバポレーターから第1のオーバーヘッドストリームを受け取り、第1のオーバーヘッドストリームを、(i)少なくとも35wt%のエチレンオキシド、および(ii)最大で60wt%の溶媒を含む第2のオーバーヘッドストリームと、溶媒を含むサイドストリームと、少なくとも75wt%のβ-プロピオラクトンを含む第2のボトムストリームに分離するように構成される。
【0021】
他の変形形態では、第2の塔は、エバポレーターからの第1のボトムストリームおよび第1の塔からの第2のボトムストリームを受け取り、第1のボトムストリームおよび第2のボトムストリームを、少なくとも95wt%の溶媒を含む第3のオーバーヘッドストリームと、少なくとも95wt%のβ-プロピオラクトンを含む第3のボトムストリームに分離するように構成される。
【0022】
一態様では、少なくとも95wt%のβ-プロピオラクトン、10ppm未満のコバルトまたはそのイオン、10ppm未満のアルミニウムまたはそのイオン、10ppm未満の酢酸、および10ppm未満のテトラヒドロフランを含む、β-プロピオラクトン組成物が提供される。
【0023】
さらに他の態様では、一酸化炭素供給源、エチレンオキシド供給源、カルボニル化触媒供給源、溶媒供給源、リサイクルされた溶媒の保存タンク、反応器、および精製装置を含む、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスが提供される。一部の実施形態では、反応器は、一酸化炭素供給源からの一酸化炭素、エチレンオキシド供給源からのエチレンオキシド、カルボニル化触媒供給源からのカルボニル化触媒、ならびに溶媒供給源およびリサイクルされた溶媒の保存タンクからの溶媒を受け取るための少なくとも1つの入口;ならびにβ-プロピオラクトン、溶媒、未反応の一酸化炭素、未反応のエチレンオキシド、およびカルボニル化触媒を含む混合物を排出するための出口を有する。他の実施形態では、精製装置は、溶媒を混合物から分離し、分離された溶媒を、リサイクルされた溶媒のリザーバーに移すように構成される。
【0024】
一態様では、ポリプロピオラクトン供給源および反応器を含む、氷アクリル酸生成系/生成プロセスが提供される。一部の実施形態では、ポリプロピオラクトン供給源は、少なくとも95wt%のポリプロピオラクトン、10ppm未満のコバルトまたはそのイオン、10ppm未満のアルミニウムまたはそのイオン、10ppm未満の酢酸、および10ppm未満のテトラヒドロフランを含む。他の実施形態では、反応器は、ポリプロピオラクトン供給源からポリプロピオラクトンを受け取るように構成された入口、および氷アクリル酸を含む混合物を排出するように構成された出口を有する。
【0025】
さらに他の態様では、供給物の供給源、膜、第1のポンプ、および第2のポンプを含む、分離系が提供される。一部の実施形態では、膜は、供給物の供給源から、β-プロピオラクトン、触媒および溶媒を含む供給物ストリームを受け取るための入口;触媒および溶媒を含む触媒リサイクルストリームを排出するための触媒出口;ならびにβ-プロピオラクトンおよび溶媒を含むβ-プロピオラクトンストリームを排出するためのβ-プロピオラクトン出口を有する。他の実施形態では、第1のポンプは、供給物の供給源からの供給物ストリームを、膜にポンプ注入するように構成される。さらに他の実施形態では、第2
のポンプは、触媒リサイクルストリームを、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにポンプ注入するように構成される。
【0026】
本願は、以下の説明を添付の図と併せて参照することによって、最も良好に理解することができ、これらの図では、類似の部分が類似の数字によって参照され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、一酸化炭素およびエチレンオキシドからアクリル酸を生成するための系の概略図である。
【0028】
図2図2は、β-プロピオラクトンからポリプロピオラクトンを生成し、ポリプロピオラクトンから氷アクリル酸を生成するためのユニット操作の概略図である。
【0029】
図3図3は、β-プロピオラクトン生成物ストリームから残留カルボニル化触媒を単離するように構成された、膜を用いるカルボニル化触媒リサイクル系の概略図である。
【0030】
図4A図4Aは、直列の2つの連続的な撹拌タンク反応器を使用する、β-プロピオラクトンをポリプロピオラクトンに変換するための系の概略図である。
【0031】
図4B図4Bは、直列の2つのループ反応器を使用する、β-プロピオラクトンをポリプロピオラクトンに変換するための系の概略図である。
【0032】
図5図5は、複数の冷却ゾーンを有する栓流反応器を含む、β-プロピオラクトンをポリプロピオラクトンに変換するための系の概略図である。
【0033】
図6図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図7図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図8図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図9図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図10図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図11図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図12図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
図13図6~13は、β-プロピオラクトンおよびポリプロピオラクトンの生成を介して、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から氷アクリル酸を生成するための生成系/生成プロセスの様々なコンフィギュレーションを図示する。
【0034】
図14図14は、本明細書に記載されるアクリル酸生成系/生成プロセスの一実施形態を示す。
【0035】
図15図15は、本明細書に記載されるカルボニル化反応系の一実施形態を示す。
【0036】
図16図16は、本明細書に記載されるBPL精製系の一実施形態を示す。
【0037】
図17図17~20は、実施例1と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
図18図17~20は、実施例1と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
図19図17~20は、実施例1と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
図20図17~20は、実施例1と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
【0038】
図21図21~24は、実施例2と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
図22図21~24は、実施例2と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
図23図21~24は、実施例2と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
図24図21~24は、実施例2と関連するプロットであり、時間関数としてのPPLおよびbPLピーク吸光度のプロット;単離された固体のH NMR;単離された固体のTGA;ならびに単離された固体の120℃における溶融レオロジーデータを示す。
【0039】
図25図25~28は、実施例4と関連するプロットであり、アクリル酸の回収を示すH NMRプロットを示す。
図26図25~28は、実施例4と関連するプロットであり、アクリル酸の回収を示すH NMRプロットを示す。
図27図25~28は、実施例4と関連するプロットであり、アクリル酸の回収を示すH NMRプロットを示す。
図28図25~28は、実施例4と関連するプロットであり、アクリル酸の回収を示すH NMRプロットを示す。
【0040】
図29図29は、実施例5と関連するプロットであり、アクリル酸の回収を示すH NMRプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
以下の説明に、例示的な方法、パラメーター等を記載する。しかし、このような説明は、本開示の範囲を限定することを企図せず、例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
定義
【0042】
特定の官能基および化学用語の定義を、以下により詳細に記載する。化学元素は、元素周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、表紙
裏に従って同定され、特定の官能基は、一般に、その文献に記載の通り定義される。さらに、有機化学、ならびに特定の官能性部分および反応性の一般原則は、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999年;SmithおよびMarch、March's Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、20
01年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.
、New York、1989年;Carruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、第3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている
【0043】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、およびヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を指す。
【0044】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書で使用される場合、直鎖(すなわち、非分岐)、分岐、または環式(縮合、架橋、およびスピロ縮合多環式を含める)であってよく、完全に飽和していてよく、または1つもしくは複数の不飽和単位を含み得るが芳香族ではない、炭化水素部分を示す。別段の指定がない限り、脂肪族基は、1~30個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~12個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~8個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~6個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~5個の炭素原子を含み、一部の実施形態では、脂肪族基は、1~4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~3個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~2個の炭素原子を含む。適切な脂肪族基には、直鎖または分岐の、アルキル、アルケニル、およびアルキニル基、ならびにこれらの混成物、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
用語「ヘテロ脂肪族」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の炭素原子が、酸素、硫黄、窒素、リン、またはホウ素からなる群から選択される1個または複数の原子によって独立に置き換えられる脂肪族基を指す。一部の実施形態では、1個または2個の炭素原子は、酸素、硫黄、窒素、またはリンの1つまたは複数によって独立に置き換えられる。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換、分岐または非分岐、環式または非環式であってよく、ヘテロ脂肪族基には、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」または「複素環式」基が含まれる。
【0046】
用語「アクリレート(単数)」または「アクリレート(複数)」は、本明細書で使用される場合、アシルカルボニルに隣接しているビニル基を有する任意のアシル基を指す。この用語は、一置換、二置換および三置換ビニル基を包含する。アクリレートの例として、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、シンナメート(3-フェニルアクリレート)、クロトネート、チグレート、およびセネシオエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、相対的分子量が低い分子から実際にまたは概念的に誘導された複数の反復単位を含む構造である、相対的分子量が高い分子を指す。一部の実施形態では、ポリマーは、1つのモノマー種のみから構成される(例えば、ポリエチレンオキシド)。一部の実施形態では、ポリマーは、1つまたは複数のエポキシドのコポリマー、ターポリマー、ヘテロポリマー、ブロックコポリマー、またはテーパー構造のヘテロポリマーである。
【0048】
用語「不飽和」は、本明細書で使用される場合、ある部分が1つまたは複数の二重または三重結合を有することを意味する。
【0049】
単独で、またはより大きい部分の一部として使用される用語「脂環式」、「炭素環」、または「炭素環式」は、3~12の構成員を有する、本明細書に記載されるような飽和または部分的に不飽和の環式脂肪族の単環式、二環式、または多環式環系を指し、ここで、この脂肪族環系は、先に定義され、本明細書に記載される通り、任意選択で置換されている。脂環式基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、およびシクロオクタジエニルが含まれるが、限定されない。一部の実施形態では、シクロアルキルは、3~6個の炭素を有する。また、用語「脂環式」、「炭素環」または「炭素環式」には、1つまたは複数の芳香族または非芳香環に縮合している脂肪族環、例えばデカヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチルが含まれ、ここで、ラジカルまたは結合点は、脂肪族環上にある。一部の実施形態では、炭素環式基は、二環式である。一部の実施形態では、炭素環式基は、三環式である。一部の実施形態では、炭素環式基は、多環式である。
【0050】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、1~6個の間の炭素原子を含む脂肪族部分から、単一の水素原子を除去することによって誘導された、飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを指す。別段の指定がない限り、アルキル基は、1~12個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルキル基は、1~8個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルキル基は、1~5個の炭素原子を含み、一部の実施形態では、アルキル基は、1~4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、アルキル基は、1~2個の炭素原子を含む。アルキルラジカルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、sec-ペンチル、イソ-ペンチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ウンデシル、ドデシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族部分から、単一の水素原子を除去することによって誘導された一価の基を示す。別段の指定がない限り、アルケニル基は、2~12個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を含み、一部の実施形態では、アルケニル基は、2~
4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、アルケニル基は、2個の炭素原子を含む。アルケニル基には、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル等が含まれる。
【0052】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族部分から、単一の水素原子を除去することによって誘導された一価の基を指す。別段の指定がない限り、アルキニル基は、2~12個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルキニル基は、2~8個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルキニル基は、2~6個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルキニル基は、2~5個の炭素原子を含み、一部の実施形態では、アルキニル基は、2~4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、アルキニル基は、2~3個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、アルキニル基は、2個の炭素原子を含む。代表的なアルキニル基には、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、1-プロピニル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
用語「炭素環」および「炭素環式環」は、本明細書で使用される場合、環が炭素原子だけを含む単環式および多環式部分を指す。別段の指定がない限り、炭素環は、飽和、部分的に不飽和、または芳香族であってよく、3~20個の炭素原子を含む。代表的な炭素環(carbocyle)には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン
、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、ノルボルネン、フェニル、シクロヘキセン、ナフタレン、およびスピロ[4.5]デカンが含まれる。
【0054】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」などのようにより大きい部分の一部として使用される用語「アリール」は、系中の少なくとも1つの環が芳香族であり、系中の各環が3~12環員を含む、合計5~20環員を有する単環式および多環式環系を指す。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。一部の実施形態では、「アリール」は、1つまたは複数の置換基を担持し得る、これらに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、アントラシル等を含めた芳香環系を指す。また、本明細書で使用される通り、用語「アリール」の範囲内には、芳香環が1つまたは複数の追加の環に縮合している基、例えばベンゾフラニル、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル(naphthimidyl)、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチル等が含まれる。
【0055】
単独で、またはより大きい部分、例えば「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用される用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ-」は、5~14個の環原子、好ましくは5個、6個、9個または10個の環原子を有し、環式配列中に共有された6個、10個または14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素または硫黄を指し、ヘテロ原子には、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態が含まれる。ヘテロアリール基には、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニルおよびプテリジニルが含まれるが、限定されない。また、用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ-」には、本明細書で使用される場合、芳香族複素環が、1つまたは複数のアリール、脂環式、またはヘテロシクリル環に縮合している基が含まれ、ここで、ラジカルまたは結合点は、芳香族複素環上にある。非限定的な例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、
キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であってよい。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「複素芳香族」と交換可能に使用することができ、それらの用語のいずれも、任意選択で置換されている環を含む。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびヘテロアリール部分は、独立に任意選択で置換されている。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、および「複素環式環」は、交換可能に使用され、飽和または部分的に不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、先に定義されている1つまたは複数の、好ましくは1~4個のヘテロ原子を有する、安定な5~7員の単環式または7~14員の二環式複素環式部分を指す。用語「窒素」は、複素環の環原子に言及して使用される場合、置換されている窒素を含む。一例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有する飽和または部分的に不飽和の環では、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルの場合)、NH(ピロリジニルの場合)、またはNR(N置換ピロリジニルの場合)であってよい。
【0057】
複素環式環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基に結合することができ、それらの環原子のいずれも、任意選択で置換され得る。このような飽和または部分的に不飽和の複素環式ラジカルの例として、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルが挙げられるが、限定されない。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」、および「複素環式ラジカル」は、本明細書では交換可能に使用され、ヘテロシクリル環が、1つまたは複数のアリール、ヘテロアリール、または脂環式環に縮合している基、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロキノリニルも含み、ここで、ラジカルまたは結合点は、ヘテロシクリル環上にある。ヘテロシクリル基は、単環式または二環式であってよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリルによって置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびヘテロシクリル部分は、独立に任意選択で置換されている。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「部分的に不飽和」は、少なくとも1つの二重または三重結合を含む環部分を指す。用語「部分的に不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを企図するが、本明細書に定義されるアリールまたはヘテロアリール部分を含むことを企図しない。
【0059】
本明細書に記載される通り、化合物は、「任意選択で置換されている」部分を含むことができる。一般に、用語「置換されている」は、用語「任意選択で」が先行しているか否かに関わらず、指定の部分の1つまたは複数の水素が、適切な置換基で置き換えられていることを意味する。別段の指示がない限り、「任意選択で置換されている」基は、その基の置換可能な各位置において適切な置換基を有することができ、任意の所与の構造における1つより多くの位置が、特定の基から選択される1つより多くの置換基で置換され得る場合、その置換基は、位置毎に同じでも異なっていてもよい。想定される置換基の組合せには、安定なまたは化学的に可能な化合物を形成するものが含まれ得る。用語「安定な」は、本明細書で使用される場合、それらの生成、検出を可能にし、一部の実施形態では、
本明細書に開示される目的の1つまたは複数のためのそれらの回収、精製、および使用を可能にする条件に付されても、実質的に変わらない化合物を指す。
【0060】
本明細書のいくつかの化学構造では、置換基は、図示されている分子の環において結合を横切る結合に結合していることが示されている。これは、置換基の1つまたは複数が、任意の利用可能な位置において(通常、親構造の水素原子の代わりに)環に結合し得ることを意味する。このように置換されている環の原子が、2つの置換可能な位置を有する場合、2つの基が、同じ環原子上に存在し得る。1つより多くの置換基が存在する場合、それぞれは、他と独立に定義され、それぞれは、異なる構造を有することができる。環の結合を横切ることが示されている置換基が、-Rである場合、これは、環が先の段落に記載される通り、あたかも「任意選択で置換されている」とされるものと同じ意味を有する。
【0061】
「任意選択で置換されている」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、独立に、ハロゲン;-(CH0~4R°;-(CH0~4OR°;-O-(CH0~4C(O)OR°;-(CH0~4CH(OR°);-(CH0~4SR°;R°で置換され得る-(CH0~4Ph;R°で置換され得る-(CH0~4O(CH0~1Ph;R°で置換され得る-CH=CHPh;-NO;-CN;-N;-(CH0~4N(R°);-(CH0~4N(R°)C(O)R°;-N(R°)C(S)R°;-(CH0~4N(R°)C(O)NR°;-N(R°)C(S)NR°;-(CH0~4N(R°)C(O)OR°;-N(R°)N(R°)C(O)R°;-N(R°)N(R°)C(O)NR°;-N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH0~4C(O)R°;-C(S)R°;-(CH0~4C(O)OR°;-(CH0~4C(O)N(R°);-(CH0~4C(O)SR°;-(CH0~4C(O)OSiR°;-(CH0~4OC(O)R°;-OC(O)(CH0~4SR°、-SC(S)SR°;-(CH0~4SC(O)R°;-(CH0~4C(O)NR°;-C(S)NR°;-C(S)SR°;-SC(S)SR°、-(CH0~4OC(O)NR°;-C(O)N(OR°)R°;-C(O)C(O)R°;-C(O)CHC(O)R°;-C(NOR°)R°;-(CH0~4SSR°;-(CH0~4S(O)R°;-(CH0~4S(O)OR°;-(CH0~4OS(O)R°;-S(O)NR°;-(CH0~4S(O)R°;-N(R°)S(O)NR°;-N(R°)S(O)R°;-N(OR°)R°;-C(NH)NR°;-P(O)R°;-P(O)R°;-OP(O)R°;-OP(O)(OR°);SiR°;-(C1~4直鎖または分岐のアルキレン)O-N(R°);または-(C1~4直鎖または分岐のアルキレン)C(O)O-N(R°)であり、ここで、各R°は、以下に定義される通り置換されていてよく、独立に、水素、C1~8脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、またはアリールの環であるか、あるいは先の定義に関わらず、2つの独立に出現するR°は、それらの介在する原子(複数可)と一緒になって、以下に定義される通り置換され得る、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分的に不飽和、またはアリールの単環式もしくは多環式環を形成する。
【0062】
R°(または独立に出現する2つのR°が、それらの介在する原子と一緒になって形成された環)上の適切な一価の置換基は、独立に、ハロゲン、-(CH0~2、-(ハロR)、-(CH0~2OH、-(CH0~2OR、-(CH0~2CH(OR;-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH0~2C(O)R、-(CH0~2C(O)OH、-(CH0~2C(O)OR、-(CH0~4C(O)N(R°);-(CH0~2SR、-(CH0~2SH、-(CH0~2NH、-(CH0~2NHR、-(CH0~2NR
、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1~4直鎖または分岐のアルキレン)C(O)OR、または-SSRであり、ここで、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合は、1つもしくは複数のハロゲンだけで置換され、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環から独立に選択される。R°の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基には、=Oおよび=Sが含まれる。
【0063】
「任意選択で置換されている」基の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基には、以下の、=O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、-O(C(R ))2~3O-、または-S(C(R ))2~3S-が含まれ、ここで、それぞれ独立に出現するRは、水素、以下に定義される通り置換され得るC1~6脂肪族、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環から選択される。「任意選択で置換されている」基のビシナルの置換可能な炭素に結合している適切な二価の置換基には、-O(CR 2~3O-が含まれ、ここで、それぞれ独立に出現するRは、水素、以下に定義される通り置換され得るC1~6脂肪族、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環から選択される。
【0064】
の脂肪族基上の適切な置換基には、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR 、または-NOが含まれ、ここで、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」が先行している場合には、1つもしくは複数のハロゲンだけで置換されており、独立に、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環である。
【0065】
「任意選択で置換されている」基の置換可能な窒素上の適切な置換基には、-R、-NR 、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-S(O)、-S(O)NR 、-C(S)NR 、-C(NH)NR 、または-N(R)S(O)が含まれ、ここで、各Rは、独立に、水素、以下に定義される通り置換され得るC1~6脂肪族、非置換-OPh、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環であるか、あるいは先の定義に関わらず、独立に出現する2つのRは、それらの介在する原子(複数可)と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の3~12員の飽和、部分的に不飽和、またはアリールの単環式もしくは二環式環を形成する。
【0066】
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立に、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR 、または-NOであり、ここで、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」が先行している場合には、1つもしくは複数のハロゲンだけで置換されており、独立に、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環である。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「触媒」は、その存在が化学反応速度を増大する一方
、それ自体は消費されず、永続的な化学変化を受けない物質を指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、1つまたは複数の数値に先行する用語「約」は、その数値±5%を意味する。「約」が付された本明細書の値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(かつ記載する)ことを理解されたい。例えば、「約x」に言及する説明は、「x」自体の説明を含む。
【0069】
さらに、本明細書の2つの値またはパラメーター「の間」への言及は、それらの2つの値またはパラメーター自体を含む実施形態を含む(かつ記載する)ことを理解されたい。例えば、「x~yの間」に言及する説明は、「x」および「y」自体の説明を含む。
【0070】
本明細書に開示される質量分率は、100を掛けることによってwt%に変換することができる。
氷アクリル酸生成系/生成プロセス
【0071】
氷アクリル酸は、以下の一般反応スキームに従って、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から生成され得る。
【化1】
エチレンオキシド(「EO」)は、カルボニル化触媒の存在下で、例えば一酸化炭素(「CO」)とのカルボニル化反応を受けて、β-プロピオラクトン(「bPL」)を生成することができる。β-プロピオラクトンは、重合触媒の存在下で重合を受けて、ポリプロピオラクトン(「PPL」)を生成することができる。ポリプロピオラクトンは、熱分解を受けて、氷アクリル酸(「GAA」)を生成することができる。
【0072】
PPLは、(Iwabuchi, S.、Jaacks, V.、Galil, F.およびKern, W.(1973年
)、The thermal degradation of poly (oxycarbonylethylene) (poly-β-propiolactone). Makromol. Chem.、165巻:59~72頁)によって開示されている通り、2つの一次反応機構の一方によって熱分解を受け得る。所望の機構は、脱チャック反応と呼ばれ、鎖長「n」を有するPPLポリマーを、アクリル酸1分子に変換し、PPLポリマー鎖長をn-1に低減する。他の方法は、鎖の切断と呼ばれ、この鎖切断によって、鎖長nのPPLポリマーは、鎖長がn-2未満のPPLポリマーおよび鎖長が少なくとも2のPPLポリマーに変換される。
【0073】
生成物であるアクリル酸は、マイケル付加またはラジカル重合の2つの機構のいずれかを介する自家重合を受けやすい。マイケル付加では、ジ-アクリル酸エステルであり、鎖長が2のPPLと同一の、アクリル酸2分子の生成物を形成する。アクリル酸のマイケル付加の公知の抑制剤は存在していないが、熱分解条件下では、この反応は可逆的であり、アクリル酸2分子に分解して戻ることができる。アクリル酸のラジカル重合の生成物は、ポリアクリル酸を生成し、普通は、熱分解条件下でアクリル酸に変換して戻ることはない。これらに限定されるものではないが、フェノチアジン(PTZ)および4-メトキシフェノール(MEHQ)を含めた、アクリル酸のラジカル重合に対する多くの公知の抑制剤が存在する。多くの環境下では、ラジカル重合抑制剤(無希釈であるか、または適切な溶媒中)のストリームは、一次熱分解反応器にバッチ方式もしくは連続方式で添加されるか、または熱分解反応器内でのアクリル酸からポリアクリル酸への喪失を阻止するために、反応器に導入する前に、PPLストリームと混合される。
【0074】
PPLの熱分解は、解重合触媒の存在によって触媒され得る。解重合触媒(無希釈であるか、または適切な溶媒中)は、一次熱分解反応器にバッチ方式もしくは連続方式で添加することができ、または熱分解反応条件の過酷さを低減する(アクリル酸からポリアクリル酸への変換を低減する)ために、反応器に導入する前に、PPLストリームと混合され得る。最適には、bPL重合のために用いられる触媒は、解重合触媒としても同様に使用され得る。熱分解反応器は、PPL入口ストリームおよび熱分解反応器内の重合触媒種の濃度が、反応器条件およびストリーム組成の差異と共に、外見的に異なる機能をもたらす要因となるように設計することができる(以下参照)。
【0075】
本明細書では、エチレンオキシドおよび一酸化炭素から、氷アクリル酸を工業規模で生成するための系および方法が提供される。例えば、一部の態様では、本明細書に記載される系および方法は、25キロトン毎年(「KTA」)の規模で氷アクリル酸を生成するのに適している。一部の変形形態では、本明細書で提供される系は、連続プロセスで氷アクリル酸を生成し、さらにフィードバックループによってアクリル酸を絶えず生成するように構成される。
【0076】
さらに一部の変形形態では、本明細書で提供される系は、高純度の氷アクリル酸を生成するための様々な精製系をさらに含む。例えば、本明細書で提供される系は、残留カルボニル化触媒、カルボニル化溶媒、および副生成物(例えば、アセトアルデヒド、無水コハク酸、およびアクリル酸二量体)を除去して、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の純度の氷アクリル酸を達成するように構成することができる。
【0077】
他の変形形態では、本明細書で提供される系はまた、様々な出発材料およびポリ-プロピオラクトンなどの氷アクリル酸前駆体をリサイクルするように構成される。例えば、この系は、未反応のエチレンオキシド、未反応の一酸化炭素、カルボニル化溶媒、および触媒を単離するための1つまたは複数のリサイクル系を含み得る。
【0078】
さらに他の変形形態では、本明細書で提供される系はまた、生成された熱を管理し、統合するように構成される。β-プロピオラクトンを生成するためのカルボニル化反応およびポリプロピオラクトンを生成するための重合反応は、発熱性である。したがって、カルボニル化反応器および重合反応器などの発熱ユニット操作から生じた熱は、蒸留装置および熱分解反応器などの吸熱ユニット操作で冷却するために捕捉され、使用され得る。例えば、本明細書で提供される系および方法の一部の変形形態では、熱伝達装備(例えば、シェルおよびチューブ熱交換器、ならびに反応器冷却ジャケット)内で、プロセス流体と水/蒸気の間の温度勾配を介して蒸気を生じさせることができる。この蒸気は、発熱ユニット操作と吸熱ユニット操作の間の熱統合のために使用され得る。本明細書で提供される系および方法の他の変形形態では、他の適切な熱伝達流体が使用され得る。
【0079】
他の変形形態では、熱統合は、ある特定のユニット操作を組み合わせることによって達成することができる。例えば、熱統合は、単一ユニット操作内で、β-プロピオラクトンの重合と、蒸留塔からの溶媒(例えば、THF)の気化を組み合わせることによって達成することができる。このようなコンフィギュレーションでは、β-プロピオラクトン重合反応から放散された熱は、蒸留装置内の溶媒を気化するために直接使用され、このユニットの排出物によって、ポリプロピオラクトンが生成される。他の変形形態では、重合反応から放散された熱は、同じ生成場所の他の系に搬出することができる。
【0080】
図1を参照すると、一酸化炭素およびエチレンオキシドからアクリル酸を生成するための例示的な系が図示されている。図1の連続撹拌タンク反応器(CSTR)として図示さ
れている通り、一酸化炭素(CO)、カルボニル化触媒、エチレンオキシド(EO)およびカルボニル化溶媒が、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに供給される。このようなβ-プロピオラクトン生成系/生成プロセスは、典型的に、β-プロピオラクトンの液体生成物ストリームを生成するように構成される。このβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、図1にフラッシュタンクとして図示されているEO/CO分離器に供給され、そこで、未反応のエチレンオキシドおよび未反応の一酸化炭素が分離され、CSTRにおいて使用するためにリサイクルされ得る。次いで、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、EO/CO分離器から、図1にナノフィルタとして図示されているカルボニル化触媒リサイクル系に供給される。カルボニル化触媒リサイクル系は、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中に存在する残留カルボニル化触媒を分離するように構成され、こうして分離されたカルボニル化触媒は、CSTRにおいて使用するためにリサイクルされ得る。図1に図示されているナノフィルタは、ポリマー膜またはセラミック膜などの任意の適切な膜であってよく、典型的にβ-プロピオラクトン、カルボニル化溶媒、残留カルボニル化触媒、少量のエチレンオキシド、一酸化炭素および副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよび無水コハク酸)から構成された保持液(retentate)ストリーム、ならび
に典型的にβ-プロピオラクトン、カルボニル化溶媒、少量のエチレンオキシド、一酸化炭素、副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよび無水コハク酸)および微量のカルボニル化触媒から構成された透過液(permeate)ストリームを生成する。一部の実施形態では、微量は、1wt%未満、0.5wt%未満、0.01wt%未満、0.005wt%未満、0.001wt%未満、または0.0001wt%未満である。ある特定の実施形態では、微量は、使用される測定方法の検出閾値未満である。
【0081】
透過液は、図1に蒸留塔として図示されているβ-プロピオラクトン精製系に供給され、この精製系は、テトラヒドロフラン(THF)リサイクルストリームとして図示されている溶媒リサイクルストリームから、エチレンオキシド、一酸化炭素、および副生成物を分離するように構成される。図1の系では、カルボニル化溶媒としてTHFを使用することが図示されているが、他の変形形態では、他の適切な溶媒を使用できることを理解されたい。β-プロピオラクトン精製系から精製されたβ-プロピオラクトンストリームおよび重合触媒は、図1に栓流反応器として図示されているポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスに供給される。ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、ポリプロピオラクトン生成物ストリームを生成するように構成され、このストリームを熱分解反応器に供給して、氷アクリル酸を生成することができる。
【0082】
しかし、図1では例示的な氷アクリル酸生成系/生成プロセスが図示されているが、この生成系の変形形態が想定されることを理解されたい。例えば、CSTRは、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにおける反応器として図示されているが、他の反応器および反応器コンフィギュレーションを用いることができる。別の例では、β-プロピオラクトン精製系およびポリプロピオラクトン生成系には、それぞれ図1に蒸留塔および栓流反応器が図示されているが、他の分離装置、ならびに他の反応器および反応器コンフィギュレーションを用いることができる。
【0083】
さらに、本明細書に記載される系の他の例示的な実施形態では、図1に図示されている様々なユニット操作を組み合わせるか、または除外することができる。一部の変形形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスおよび膜ユニット操作は、組み合わせることができ(例えば膜反応器)、または重合および解重合は、組み合わせることができ(例えば、触媒蒸留または反応蒸留)、またはEO/CO分離器を除外することができる。
【0084】
さらに、本明細書に記載される系の他の例示的な実施形態では、追加のユニット操作を用いることができることを理解されたい。例えば一部の実施形態では、1つまたは複数のイオン交換樹脂をこの系に組み込んで、カルボニル化触媒の使用から生じ得る様々なカチ
オン性およびアニオン性触媒種を除去することが可能となり得る。他の実施形態では、この系で生成された熱を管理し、統合するために、この系に1つまたは複数の熱交換器を組み込むことができる。
【0085】
さらに他の実施形態では、実施のためのプロセスおよび/または系では、このプロセスおよび関係する任意の系を自動制御するための様々なセンサーおよび制御装備を用いることができる。例えば、このプロセスおよび関係する任意の系で使用される様々な反応器、特にβ-プロピオラクトン反応器には、反応器内のまたは反応器に入る水および酸素の量を検出するためのセンサーを用いることができる。このようなセンサーは、水および酸素の含量を事前に規定された量で維持するために、パラメーターを調整することができる制御装置に接続され得る。このようなセンサーは、カルボニル化触媒をモニタリングして、反応器内の水および酸素の量を検出することができ、カルボニル化触媒供給源からのカルボニル化触媒の量を制御し得る制御装置に接続することができる。さらに、または代替として、一酸化炭素供給源は、反応器内の水および酸素の量を検出するように構成されたセンサーを含むことができ、このようなセンサーは、一酸化炭素供給源からの一酸化炭素の量を制御し得る制御装置に接続することができる。さらに、または代替として、エチレンオキシド供給源は、反応器内の水および酸素の量を検出するように構成されたセンサーを含むことができ、このようなセンサーは、エチレンオキシド供給源からのエチレンオキシドの量を制御し得る制御装置に接続することができる。
【0086】
本明細書では、ポリプロピオラクトン(PPL)および氷アクリル酸(GAA)の市販製造用に構成された様々な系が提供される。一部のコンフィギュレーションでは、PPLおよびGAAは、同じ地理的場所で生成される。他のコンフィギュレーションでは、PPLは、ある場所で生成され、GAAが生成される第2の場所に配送される。
【0087】
このようなコンフィギュレーションの他の変形形態では、残留カルボニル化触媒(カチオン種およびアニオン種を含み得る)は、生成系/生成プロセスの様々な地点で除去することができる。例えば、ある特定のコンフィギュレーションでは、残留カルボニル化触媒を、熱分解の前にPPL生成物ストリームから除去して、GAAを生成することができる。他のコンフィギュレーションでは、残留カルボニル化触媒は、そうすることが望ましい場合、熱分解後に、蒸留または他の分離手段によって除去することができる。
【0088】
さらに他の変形形態では、β-プロピオラクトン(bPL)を重合して、bPLの完全な変換によってPPLを生成することができる。このような変形形態では、この系に、bPLを単離し、重合反応器にリサイクルするための追加の装置を必要としないかもしれない。他の変形形態では、bPLの変換は、完全ではない。未反応のbPLは、PPL生成物ストリームから分離することができ、回収されたbPLは、重合反応器に戻されてリサイクルされることができる。
【0089】
この系のコンフィギュレーションにおけるこれらの変形形態は、図6~13に関してさらに詳細に記載されている。図6には、PPL生成物ストリームおよびGAA生成物ストリームが同じ場所で生成され、カルボニル化触媒またはその成分の少なくとも一部が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去され、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスが、bPLのPPLへの完全な変換を達成するように構成されている、例示的な系が図示されている。
【0090】
カルボニル化触媒成分には、例えば、触媒の分解によって生成された化合物、触媒を生成するために使用された化合物、触媒の一部であった金属または金属イオン、触媒の一部であった任意の有機化合物、触媒の一部であった金属カルボニルまたは金属錯体が含まれ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒成分は、コバルト酸カルボニル、ア
ルミニウムサレン化合物、アルミニウムポルフィリン化合物、アルミニウムサロフェン化合物、コバルトもしくはコバルトイオン、またはアルミニウムもしくはアルミニウムイオン、またはこれらの任意の組合せである。
【0091】
BPL生成系/生成プロセス(図6では「カルボニル化」と表示されている)は、典型的に、一酸化炭素(CO)供給源、エチレンオキシド(EO)供給源、カルボニル化触媒供給源、溶媒供給源、およびカルボニル化反応器を含む。ある特定の変形形態では、カルボニル化反応器は、CO供給源、EO供給源、および溶媒供給源(図6ではまとめて「供給原料送達」と表示されている)から一酸化炭素(CO)、エチレンオキシド(EO)、および溶媒を受け取るように構成される。カルボニル化反応器は、カルボニル化触媒供給源(図6では「CO触媒送達」と表示されている)からカルボニル化触媒を受け取るようにさらに構成される。一酸化炭素、エチレンオキシド、カルボニル化溶媒、およびカルボニル化触媒は、任意の市販の供給源、または任意の商業的に利用可能な方法および当技術分野で公知の技術によって得ることができる。
【0092】
一部の変形形態では、CO、EO、および溶媒は、本質的に水および酸素を含まない。一変形形態では、溶媒供給源からの溶媒、EO供給源からのEO、およびCO供給源からのCOは、約500ppm未満、約250ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約10ppm未満、約2ppm未満、または1ppm未満の濃度の水および酸素を有する。
【0093】
任意の適切なカルボニル化溶媒を使用することができる。一部の実施形態では、カルボニル化溶媒は、テトラヒドロフラン、ヘキサン、またはこれらの組合せを含む。他の実施形態では、カルボニル化溶媒は、エーテル、炭化水素、またはこれらの組合せを含む。さらに他の実施形態では、カルボニル化溶媒は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、スルホラン、N-メチルピロリドン、1,3ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ジエチレングリコールジブチルエーテル、イソソルビドエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、二塩基性エステル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ブタノン、シクロヘキサノン、トルエン、ジフルオロベンゼン、ジメトキシエタン、アセトンもしくはメチルエチルケトン、またはこれらの任意の組合せを含む。一変形形態では、カルボニル化溶媒は、テトラヒドロフランを含む。
【0094】
本明細書で使用されるカルボニル化触媒は、現地でおよび/または現地外で作製され得る。一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、コバルト-アルミニウム触媒である。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムポルフィリン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニル、アルミニウムサレン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニル、またはアルミニウムサロフェン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。一変形形態では、カルボニル化触媒は、(Al(TPP)Co(CO))である。
【0095】
カルボニル化反応器は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)などの連続反応器であり得る。バッチ反応器、栓流反応器(PFR)、および半バッチ反応器などの本明細書に記載される他の反応器を用いることもできる。
【0096】
再び図6の例示的な系を参照すると、カルボニル化反応器は、本明細書に記載される任意の速度、温度、または圧力で、EO供給源からEOを受け取るように構成され得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約1000kg/時~25000kg/時で、EO供給源からEOを受け取る。一部の実施形態では、カルボニル化反
応器への入口は、約30kmol/時~約500kmol/時で、EO供給源からEOを受け取る。一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約10℃~約30℃の間の温度で、EO供給源からEOを受け取るように構成される。一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約20bar~約100barの間、より狭い範囲では50bar~70barの圧力で、EO供給源からEOを受け取るように構成される。
【0097】
再び図6の例示的な系を参照すると、カルボニル化反応器は、本明細書に記載される任意の速度、温度、または圧力で、CO供給源からCOを受け取るように構成され得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約10℃~約170℃の間、より狭い範囲では10℃~約70℃の間の温度で、CO供給源からCOを受け取るように構成される。一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約20bar~約100barの間、より狭い範囲では50~70barの圧力で、CO供給源からCOを受け取るように構成される。一部の実施形態では、COをカルボニル化反応器に供給するCO供給源は、新鮮な一酸化炭素の供給源(すなわち、主なCO供給物)、またはβ-プロピオラクトン生成系/生成プロセスからリサイクルされた一酸化炭素、またはこれらの組合せである。一部の実施形態では、新鮮なCOの供給源は、約1000kg/時のCO~約16000kg/時のCOの間を提供するように構成される。一部の実施形態では、新鮮なCOの供給源は、約30kmol/時のCO~約600kmol/時のCOの間を提供するように構成される。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスからリサイクルされたCOは、約100kg/時のCO~約3500kg/時のCOの間を提供することができる。一部の実施形態では、リサイクルされたCOの供給源は、約3kmol/時のCO~約150kmol/時のCOの間を提供するように構成される。
【0098】
再び図6の例示的な系を参照すると、カルボニル化反応器は、本明細書に記載される任意の速度、温度、または圧力で、溶媒を受け取るように構成され得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約10000kg/時~約130000kg/時の間の速度で、溶媒供給物から溶媒を受け取るように構成される。一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約150kmol/時~約1900kmol/時の間の速度で、溶媒供給物から溶媒を受け取るように構成される。一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約10℃~約160℃の間、より狭い範囲では10℃~約60℃の温度で、溶媒供給物から溶媒を受け取るように構成される。一部の実施形態では、カルボニル化反応器への入口は、約20bar~約100barの間、より狭い範囲では50bar~65barの圧力で、溶媒供給物から溶媒を受け取るように構成される。一部の実施形態では、溶媒をカルボニル化反応器に供給する溶媒供給物は、新鮮な溶媒の供給源からの溶媒、BPL精製系(例えば、BPL蒸留系)からリサイクルされた溶媒、および/またはカルボニル化触媒リサイクル系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中の溶媒を含み得る。
【0099】
一部の実施形態では、カルボニル化反応器内の圧力は、約900psigであり、温度は約70℃である。ある特定の変形形態では、反応器には、外部冷却器(熱交換器)が備えられる。一部の変形形態では、カルボニル化反応によって、99%よりも高いbPLの選択率が達成される。
【0100】
再び図6の例示的な系を参照すると、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化反応器の出口を出る。β-プロピオラクトン生成物ストリームは、bPL、溶媒、未反応のEOおよびCO、カルボニル化触媒、ならびに副生成物、例えばアセトアルデヒド副生成物(ACH)および無水コハク酸(SAH)を含む。β-プロピオラクトン生成物ストリームは、本明細書に記載される任意の濃度のbPL、溶媒、EO、COカルボニル化触媒、ACH、およびSAHを有することができる。例えば一部の実施形態では、
β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPLの間を含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約30kmol/時のbPL~約550kmol/時のbPLの間を含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLの質量分率は、約0.1~約0.4であり得る。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.1~約0.6、より狭い範囲では0.1~0.4であり得る。また、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、未反応のエチレンオキシド(約0.005~0.15、または最大で約0.1の質量分率の)、未反応の一酸化炭素(約0.0005~0.04、または最大で約0.02の質量分率の)、アセトアルデヒド(約0.0005~0.01、または最大で約0.02の質量分率の)、無水コハク酸(約0.0005~0.005、または最大で約0.01の質量分率の)、カルボニル化触媒(約40~640kg/時もしくは最大で約600kg/時、または約0.001~0.005もしくは最大で約0.004の質量分率の)、および残余溶媒を含めた他の成分を含み得る。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化触媒成分(約40~640kg/時もしくは最大で約600kg/時、または約0.001~0.005もしくは最大で約0.004の質量分率の)を含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスからのβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約40℃または50℃~約100℃の温度、および約1bar~約15bar、またはより狭い範囲では5barまでの圧力を有することができる。
【0101】
再び図6の例示的な系を参照すると、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化反応器の出口から排出され、エチレンオキシドおよび一酸化炭素の分離器(図6では「EO/CO」と表示されている)の入口に入る。一実施形態では、エチレンオキシドおよび一酸化炭素の分離器は、フラッシュタンクである。エチレンオキシドおよび一酸化炭素の大部分は、カルボニル化反応ストリームから回収され、リサイクルされたエチレンオキシドストリームおよびリサイクルされた一酸化炭素ストリームとしてカルボニル化反応器に戻されてリサイクルされることができ(図6では「リサイクル」と表示されている)、または処分のために送ることができる(図6では「フレア(Flare)」と表示され
ている)。一部の実施形態では、カルボニル化反応ストリーム中エチレンオキシドの少なくとも10%および一酸化炭素の80%が回収される。また、リサイクルされた一酸化炭素ストリームは、未反応のエチレンオキシド(最大で約250kg/時、または約0.05~約0.075の間の質量分率の)、二次反応生成物であるアセトアルデヒド(最大で約13kg/時、または約0.001~約0.009の質量分率の)、bPL(最大で約0.19kg/時の)、および残余溶媒(例えば、THF)を含み得る。
【0102】
再び図6の例示的な系を参照すると、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化触媒リサイクル系にポンプ注入される。一部の変形形態では、エチレンオキシドおよび一酸化炭素は、フレア以外の方法を使用して処分される。例えば一実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームから回収されたエチレンオキシドおよび一酸化炭素は、焼却を使用して処分される。
【0103】
再び図6の例示的な系を参照すると、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化触媒リサイクル系の入口に入る。カルボニル化触媒リサイクル系は、例えば、蒸留、液体-液体抽出、イオン性液体、ナノ濾過、イオン交換もしくは吸着、またはこれらの任意の組合せを含めた、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して、β-プロピオラクトン生成物ストリームからカルボニル化触媒の少なくとも一部を単離するように構成され得る。一部の変形形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、膜分離器を含む。ある特定の変形形態では、膜分離器は、ポリマー膜を含み、一方で他の変形形態では、膜分離器は、セラミック膜を含む。一部の変形形態では、触媒リサイクル系の膜は、90%~100%の間の触媒の排除を達成するように構成され、1よりも高い透過度を有する。
一部の実施形態では、膜は、90%よりも多い、92%よりも多い、95%よりも多い、98%よりも多い、または99%よりも多い触媒の排除を達成する。
【0104】
カルボニル化触媒リサイクル系は、bPL、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよびカルボニル化触媒)およびカルボニル化触媒を含むリサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム(図6では「保持液」と表示されている)、ならびにbPL、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよび無水コハク酸)および微量のカルボニル化触媒を含む単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム(図6では「透過液」と表示されている)を生成するように構成される。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、微量のカルボニル化触媒成分を含む。一部の実施形態では、微量は、1wt%未満、0.5wt%未満、0.01wt%未満、0.005wt%未満、0.001wt%未満、または0.0001wt%未満である。ある特定の実施形態では、微量は、使用される測定方法の検出閾値未満である。
【0105】
リサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、本明細書に開示される、任意の濃度のカルボニル化触媒、カルボニル化触媒成分、および溶媒を含み得る。例えば一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中のカルボニル化触媒の質量分率は、約0.005~約0.05である。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中のカルボニル化触媒成分の質量分率は、約0.0051~約0.05である。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中のカルボニル化触媒のモル分率は、約0.0005~約0.05である。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中のカルボニル化触媒成分のモル分率は、約0.0005~約0.05である。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中の溶媒の質量分率は、0.60~約0.99の間である。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中の溶媒のモル分率は、約0.60~約0.99の間である。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリームはまた、未反応の一酸化炭素(最大で約15kg/時、または最大で約0.001の質量分率の)、未反応のエチレンオキシド(最大で約330kg/時、または0.005~0.01の間の質量分率の)、二次反応生成物であるアセトアルデヒド(最大で約33kg/時、または最大で約0.001の質量分率の)、二次反応生成物である無水コハク酸(最大で約30kg/時、または最大で約0.001の質量分率の)、bPL(最大で約5450kg/時、または最大で約0.25の質量分率の)を含み得る。リサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、カルボニル化反応器に戻されてリサイクルされる。
【0106】
単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、本明細書に記載される任意の濃度のbPL、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよび無水コハク酸)、カルボニル化触媒、またはカルボニル化触媒成分を有することができる。例えば一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLを含む。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約30kmol/時のbPL~約450kmol/時のbPLを含む。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLの質量分率は、約0.1~0.4であり得、または単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.1~約0.4であり得る。また、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、未反応のエチレンオキシド(約0.005~0.1の質量分率の)、未反応の一酸化炭素(約0.0005~0.001、または最大で約0.002の質量分率の)、アセトアルデヒド(約0.0005~0.001、または最大で約0.002の質量分率の)、無水コハク酸(約0.0005~0.01、または最大で約0.02の質量分率の)、カルボニル化触媒
(約0~50kg/時、または最大で約20kg/時の)、カルボニル化触媒成分(約0~50kg/時、または最大で約20kg/時の)および残余溶媒を含めた他の成分を含み得る。一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系からの単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約20℃~約60℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約1~約5barの圧力を有することができる。
【0107】
再び図6の例示的な系を参照すると、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、BPL精製系(図6では「BPL蒸留」と表示されている)の入口に入ることができる。一変形形態では、BPL精製系は、回収された溶媒ストリーム、ならびに精製されたbPLおよび微量のカルボニル化触媒を含む生成ストリーム(図6では「BPL/残留触媒」と表示されている)を生成するように構成された、大気圧またはそれ未満で操作される1つまたは複数の蒸留塔を含む。その圧力は、bPLの分解を低減する温度を達成するようなやり方で選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数の蒸留塔は、約0.15baraの圧力および約80℃~約120℃の間の温度で操作される。一部の実施形態では、蒸留系は、エチレンオキシド、一酸化炭素、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を本質的に含まないリサイクルされた溶媒ストリームを生成するように構成される。
【0108】
再び図6の例示的な系を参照すると、回収された溶媒ストリームは、BPL精製系の出口を出、カルボニル化反応器に戻されて供給され得る。一部の変形形態では、HOおよびOの濃度は、カルボニル化反応器に供給される前に、リサイクルされた溶媒ストリーム中で低減される。回収された溶媒ストリームは、カルボニル化反応器に戻されて供給された場合、本明細書に記載される任意の濃度のHOおよびOを有することができる。例えば一部の実施形態では、HOおよびOの濃度は、カルボニル化反応器に戻されて供給された場合、約500ppm未満、約250ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約2ppm未満、または約1ppm未満である。
【0109】
再び図6の例示的な系を参照すると、精製されたbPLを含む生成ストリームは、BPL精製系の出口を出る。生成ストリームは、微量のカルボニル化触媒を含有し得るが、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を本質的に含まない。一部の実施形態では、生成ストリームは、約0.90~1.0の質量分率のbPLを含有する。一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.90~1.0である。一部の実施形態では、生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.015、または0~0.0015のモル分率の)、残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含む。一部の実施形態では、生成ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含む。
【0110】
生成ストリームは、ポリプロピオラクトン(polypriolactone)生成系/生成プロセス
の入口に入る。図6に図示されている例示的な系では、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、重合反応器(図6では「重合」と表示されている)を含む。ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力でストリームを受け取り、排出するように構成される。例えば一実施形態では、重合プロセスへの入口は、約2000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、約25kmol/時のbPL~約500kmol/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大
で約0.015、または0~約0.015のモル分率の)、残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口はまた、例えば、重合反応が均一重合反応である場合、重合触媒を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約80℃~120℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、蒸留プロセスを出る生成ストリームは、約0.05bar~約0.15barの圧力であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、少なくとも約0.05bar、少なくとも約1bar、または少なくとも約5bar、または約0.05bar~約20barの間の圧力であり得る。
【0111】
再び図6の例示的な系を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、連続方式で操作されるように構成され、生成ストリーム中のbPLのPPLへの完全な変換を達成する。PPL生成物ストリーム(図6では「PPL/残留触媒」と表示されている)は、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスの出口を出、PPLと微量のカルボニル化触媒を含む。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、微量のカルボニル化触媒成分を含む。
【0112】
一部の実施形態では、重合プロセスは、約2000kg/時のPPL~約35000kg/時のPPLを生成するように構成される。一部の実施形態では、重合プロセスは、約25kmol/時のPPL~約500kmol/時のPPLを生成するように構成される。
【0113】
一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。PPL生成物ストリームの残余物は、未反応のbPL(最大で約0.02、または0~0.02の間のモル分率の)、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.01、または0~0.01の間のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、約100℃~140℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001barの圧力であり得る。
【0114】
再び図6の例示的な系を参照すると、PPL生成物ストリームは、PPL精製系(図6では「IER」と表示されている)の入口に入る。PPL精製系は、PPL生成物ストリーム中のカルボニル化触媒の濃度を低減するように構成されたイオン交換樹脂(IER)を含み得る。カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種は、PPL精製系においてIERから回収され、カルボニル化反応器にリサイクルさせるのに利用可能な触媒を得るために再生され得るか、または処分され得る(図6では「再生/処分」と表示されている)。精製後のPPL生成物ストリームは、PPL精製系の出口を出、熱分解反応器の入口に入る。精製後のPPL生成物ストリームは、本明細書に記載される任意の濃度の化合物、温度、または圧力を有することができる。例えば一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリームは、約100℃~140℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001barの圧力であり得る。
【0115】
再び図6の例示的な系を参照すると、熱分解反応器は、精製後のPPLストリームをG
AA生成物ストリームに変換するように構成される。一部の実施形態では、熱分解反応器の温度は、140℃または160℃~300℃の間であり、圧力は、0.1bara~5baraの間である。
【0116】
微量の高沸点有機不純物(図6では「有機重量物(Heavies)」と表示されている)は
、GAAストリームから分離され、熱分解反応器の出口を出、処分のために焼却炉に送られる(図6では「焼却炉」と表示されている)。
【0117】
GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で、熱分解反応器の出口を出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約50℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5bar~約1.5barの圧力であり得る。
【0118】
図6に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)~約250KTAを生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAを生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0119】
図7は、PPL生成物ストリームおよびGAA生成物ストリームが同じ場所で生成され、カルボニル化触媒またはその成分の少なくとも一部が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去され、重合反応器内の生成ストリーム中のbPLのPPLへの変換が、不完全であり、bPLが重合反応器に戻されてリサイクルされる、例示的な生成系/生成プロセスを提供する。図7に示されている生成系/生成プロセスは、図6に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系のコンフィギュレーションを有する。
【0120】
再び図7の例示的な系を参照すると、精製されたbPLを含む生成ストリームは、BPL精製系の出口を出る。生成ストリームは、微量のカルボニル化触媒を含有し得るが、溶媒、エチレンオキシド、一酸化炭素、アセトアルデヒド、および無水コハク酸を本質的に含まない。一部の実施形態では、生成ストリームは、約0.90~1.0の質量分率のbPLを含有する。一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.90~1.0である。一部の実施形態では、生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.015のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含む。一部の実施形態では、生成ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含む。
【0121】
再び図7の例示的な系を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、重合反応器(図7では「重合」と表示されている)およびBPLリサイクル系(図7では「蒸留/WFE」と表示されている)を含む。ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される、生成ストリームの任意の速度、濃度、温度、または圧力でストリームを受け取り、排出するように構成され得る。例えば一実施形態では、重合プロセスへの入口は、約2000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、約25kmol/時のbPL~約5
00kmol/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.015、または0~0.015のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口はまた、例えば、重合反応が均一重合反応である場合、重合触媒を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約80~120℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約0.05bar~約20barの圧力であり得る。
【0122】
再び図7の例示的な系を参照すると、PPL生成系/生成プロセスは、連続方式で操作され、bPLをPPLに部分的に変換するように構成される。PPL生成系/生成プロセスは、様々なレベルでのbPLの変換を達成するように構成され得る。例えば一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が、PPLに変換される。一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLの約50%~約99%が、PPLに変換される。部分重合ストリームは、重合反応器の出口を出、BPLリサイクル系の入口に入る。BPLリサイクル系は、部分重合ストリームから未反応のbPLを分離し、bPLを重合反応器に戻してリサイクルする(図7では「bPL」と表示されている)ように構成される。一部の実施形態では、BPLリサイクル系は、1つまたは複数の蒸留塔を含み、一方で他の実施形態では、BPLリサイクル系は、1つまたは複数の拭取り(wiped)フィルムエバポレーター(WFE)を含む。PPL生成物ストリーム(図7
は「PPL/残留触媒」と表示されている)は、BPLリサイクル系の出口を出、PPLと微量のカルボニル化触媒を含む。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、PPLと微量のカルボニル化触媒成分を含む。一部の実施形態では、重合プロセスは、約2000kg/時のPPL~約35000kg/時のPPLを生成することができる。一部の実施形態では、重合プロセスは、約25kmol/時のPPL~約500kmol/時のPPLを生成することができる。
【0123】
一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。PPL生成物ストリームの残余物は、未反応のbPL(最大で約0.02、または0~0.02のモル分率の)、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.01、または0~0.01のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、約100℃~140℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001barの圧力であり得る。
【0124】
PPL生成物ストリームは、PPL精製系(図7では「IER」と表示されている)の入口に入る。一部の変形形態では、PPL精製系には、PPL生成物ストリーム中のカルボニル化触媒の濃度を低減するために、イオン交換樹脂(IER)を使用することができる。カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種は、PPL精製系においてIERから回収され、カルボニル化反応器にリサイクルさせるのに利用可能な触媒を得るために再生され得るか、または処分され得る(図7では「再生/処分」と表示されている)。精製後のPPL生成物ストリームは、PPL精製系の出口を出、熱分解反応器の入口に入る。
精製後のPPL生成物ストリームは、本明細書に記載される任意の濃度の化合物、温度、または圧力を有することができる。例えば一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリームは、約100℃~約140℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、精製後のPPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001barの圧力であり得る。
【0125】
再び図7の例示的な系を参照すると、氷アクリル酸生成系/生成プロセスは、精製後のPPLストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図7では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出され、処分のために焼却炉に送られる(図7では「焼却炉」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を出、凝縮され得、さらに処理され得、または保存され得る。GAA生成物ストリームは、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で、熱分解反応器の出口を出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5bar~約1.5barの圧力であり得る。
【0126】
図7に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)~約400KTAを生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0127】
図8には、PPL生成物ストリームおよびGAA生成物ストリームが同じ場所で生成され、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去されず、重合プロセスにおけるbPLのPPLへの変換が、重合プロセスへのbPLのリサイクルなしに完了し、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器によって生成された有機重量物から除去される、例示的な生成系/生成プロセスが図示されている。図8の生成系/生成プロセスは、図6に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系のコンフィギュレーションを有する。
【0128】
再び図8の例示的な系を参照すると、生成ストリームは、BPL精製系の出口を出、重合プロセスの入口に入る。図8に図示されている生成系/生成プロセスでは、重合プロセスは、重合反応器を含む(図8では「重合」と表示されている)。重合プロセスへの入口は、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力の生成ストリームを含み得る。例えば一実施形態では、重合プロセスへの入口は、約2000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、約25kmol/時のbPL~約500kmol/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.015、または0~0.015のモル分率の)、残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は
、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口はまた、例えば、重合反応が均一重合反応である場合、重合触媒を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約80℃~約120℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約0.05bar~約0.15barの圧力であり得る。
【0129】
再び図8の例示的な系を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、連続方式で操作され、生成ストリーム中のbPLをPPLに完全に変換するように構成される。PPL生成物ストリーム(図8では「PPL/残留触媒」と表示されている)は、重合プロセスの出口を出、PPLと微量のカルボニル化触媒を含む。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、PPLと微量のカルボニル化触媒成分を含む。
【0130】
一部の実施形態では、重合プロセスは、約2000kg/時のPPL~約35000kg/時のPPLを生成することができる。一部の実施形態では、重合プロセスは、約25kmol/時のPPL~約500kmol/時のPPLを生成することができる。
【0131】
一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。PPL生成物ストリームの残余物は、未反応のbPL(最大で約0.02、または0~0.02のモル分率の)、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.01、または0~0.01のモル分率の)、残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、約100℃~約140℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001barの圧力であり得る。
【0132】
再び図8の例示的な系を参照すると、PPL生成物ストリームは、熱分解反応器の入口に入る。熱分解反応器は、PPL生成物ストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図8では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出される。高沸点有機不純物のストリームは、一部の実施形態で使用され得る、有用となり得るイオン交換樹脂(IER)を含む精製系(図8では「IER」と表示されている)に入る。IERは、高沸点有機不純物のストリーム中のカルボニル化触媒の濃度を低減するように構成される。一部の実施形態では、高沸点有機不純物のストリーム中のカルボニル化触媒の濃度は、精製系に入る前は100ppm~1000ppmの間であり、精製系を出た後は50ppm未満、20ppm未満、または5ppm未満である。
【0133】
カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種は、IERから回収され、カルボニル化反応器にリサイクルさせるのに利用可能な触媒を得るために再生され得るか、または処分され得る(図8では「再生/処分」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5~約1.5barの圧力であり得る。
【0134】
図8に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)、または約25KTA~約400KTAの間を生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0135】
図9には、PPL生成物ストリームおよびGAA生成物ストリームが同じ場所で生成され、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去されず、重合プロセスにおけるbPLのPPLへの変換が、不完全であり、bPLが、重合プロセスに戻されてリサイクルされ、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器によって生成された有機重量物から除去される、例示的な生成系/生成プロセスが図示されている。図9の生成系/生成プロセスは、図6に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系のコンフィギュレーションを有する。
【0136】
再び図9の例示的な系を参照すると、精製されたbPLを含む生成ストリームは、BPL精製系の出口を出る。生成ストリームは、微量のカルボニル化触媒を含有するが、THF、EO、CO、ACH、およびSAHを本質的に含まない。生成ストリームは、その先に供給され、重合プロセスの入口に入る。重合プロセスは、重合反応器(図9では「重合」と表示されている)およびBPLリサイクル系(図9では「蒸留/WFE」と表示されている)を含む。重合プロセスへの入口は、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力の生成ストリームを含み得る。例えば一実施形態では、重合プロセスへの入口は、約2000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、約25kmol/時のbPL~約500kmol/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.015、または0~0.015のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口はまた、例えば、重合反応が均一重合反応である場合、重合触媒を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約80℃~120℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約0.05bar~約20barの圧力であり得る。
【0137】
再び図9の例示的な系を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、連続方式で操作され、生成ストリーム中のbPLをPPLに部分的に変換するように構成される。ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、様々なレベルでのbPLの変換を達成するように構成され得る。例えば一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が、PPLに変換される。一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLの約50%~約95%が、PPLに変換される。一部の実施形態では、生成ストリーム中のbPLの約50%~約99%が、PPLに変換される。部分重合ストリームは、重合反応器の出口を出、BPLリサイクル系の入口に入る。BPLリサイクル系は、部分重合ストリームから未反応のbPLを分離し、bPLを重合反応器に戻してリサイクルする(図9では「bPL」と表示されている)ように構成される。一部の実施形態では、BPLリサイクル系は、1つまたは複数の蒸留塔を含み、一方で他の実施
形態では、BPLリサイクル系は、1つまたは複数の拭取りフィルムエバポレーター(WFE)を含む。PPL生成物ストリーム(図9では「PPL/残留触媒」と表示されている)は、BPLリサイクル系の出口を出、PPLと微量のカルボニル化触媒を含む。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、PPLと微量のカルボニル化触媒成分を含む。一部の実施形態では、重合プロセスは、約2000kg/時のPPL~約35000kg/時のPPLを生成するように構成される。一部の実施形態では、重合プロセスは、約25kmol/時のPPL~約500kmol/時のPPLを生成するように構成される。
【0138】
一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、約0.90~1.0であり得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、約0.90~1.0であり得る。PPL生成物ストリームの残余物は、未反応のbPL(最大で約0.02、または0~0.02のモル分率の)、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.01、または0~0.01のモル分率の)、残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、約100℃~140℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001barの圧力であり得る。
【0139】
再び図9の例示的な系を参照すると、PPL生成物ストリームは、熱分解反応器の入口に入る。熱分解反応器は、PPL生成物ストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図9では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出される。高沸点有機不純物のストリームは、イオン交換樹脂(IER)を含む精製系(図9では「IER」と表示されている)に入る。IERは、高沸点有機不純物のストリーム中のカルボニル化触媒(またはその成分)の濃度を低減するように構成される。カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種は、IERから回収され、カルボニル化反応器にリサイクルさせるのに利用可能な触媒を得るために再生され得るか、または処分され得る(図9では「再生/処分」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5~約1.5barの圧力であり得る。
【0140】
図9に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)、または約25KTA~約400KTAの間を生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0141】
図10には、PPL生成物ストリームが第1の場所で生成され、次いで単離され、梱包され、GAA生成物ストリームが生成される第2の場所に配送され、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去され、重合反応器によって、生成ストリーム中のbPLのPPLへの完全な変換が達成され、bPLが、重合反応器に戻されてリサイクルされない、別の例示的な生成系/生成プロセスが図示
されている。図10の生成系/生成プロセスは、図6に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系、重合プロセス、PPL精製系、ならびにカルボニル化触媒成分の再生または処分のコンフィギュレーションを有する。
【0142】
再び図10の例示的な系を参照すると、精製後のPPL生成物ストリームは、PPL精製系の出口を出、当技術分野で公知の任意の手段によって、本質的に乾燥雰囲気中でペレット化され、押し出され、薄片化され、粉末化され、または造粒される。次いで、精製後の固体PPL生成物ストリームは、その先に供給されて梱包され、GAA生成系/生成プロセスの場所に配送されるように準備される。精製後の固体PPL生成物ストリームを配送するために使用される梱包は、固体PPLによる吸湿を最小限に抑えるように選択される。GAA生成系/生成プロセスの場所において、本質的に純粋な、本質的に乾燥した、精製後の固体PPL生成物ストリームは、湿気の導入を最小限に抑えるようなやり方で解梱され、次いで、固体または溶融形態で熱分解反応器の入口に供給される。熱分解反応器は、単離後のPPL生成物ストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図10では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出され、処分のために焼却炉に送られる(図10では「焼却炉」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5~約1.5barの圧力であり得る。
【0143】
図10に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)、または約25KTA~約400KTAの間を生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0144】
図11には、PPL生成物ストリームが第1の場所で生成され、次いで単離され、梱包され、GAA生成物ストリームが生成される第2の場所に配送され、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去され、重合反応器によって、生成ストリーム中のbPLのPPLへの不完全な変換が達成され、bPLが、重合反応器に戻されてリサイクルされる、例示的な生成系/生成プロセスが図示されている。図11の生成系/生成プロセスは、図7に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系、重合プロセス、PPL精製系、ならびにカルボニル化触媒成分の再生または処分のコンフィギュレーションを有する。
【0145】
再び図11の例示的な系を参照すると、精製後のPPL生成物ストリームは、PPL精製系の出口を出、当技術分野で公知の手段によって、本質的に乾燥雰囲気中でペレット化され、押し出され、薄片化され、粉末化され、または造粒される。次いで、精製後の固体PPL生成物ストリームは、その先に供給されて梱包され、GAA生成系/生成プロセスの場所に配送されるように準備される。精製後の固体PPL生成物ストリームを配送する
ために使用される梱包は、固体PPLによる吸湿を最小限に抑えるように選択される。GAA生成系/生成プロセスの場所において、本質的に純粋な、本質的に乾燥した、精製後の固体PPL生成物ストリームは、湿気の導入を最小限に抑えるようなやり方で解梱され、次いで、固体または溶融形態で熱分解反応器の入口に供給される。熱分解反応器は、単離後のPPL生成物ストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図11では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出され、処分のために焼却炉に送られる(図11では「焼却炉」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5~約1.5barの圧力であり得る。
【0146】
図11に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)、または約25KTA~約250KTAの間を生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0147】
図12には、PPL生成物ストリームが第1の場所で生成され、次いで単離され、梱包され、GAA生成物ストリームが生成される第2の場所に配送され、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去されず、重合反応器によって、生成ストリーム中のbPLのPPLへの完全な変換が達成され、bPLが、重合反応器に戻されてリサイクルされず、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器によって生成された有機重量物から除去される、別の例示的な生成系/生成プロセスが図示されている。図12の生成系/生成プロセスは、図8に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系、ならびに重合プロセスのコンフィギュレーションを有する。
【0148】
再び図12の例示的な系を参照すると、PPL生成物ストリームは、重合プロセスの出口を出、当技術分野で公知の手段によって、本質的に乾燥雰囲気中でペレット化され、押し出され、薄片化され、粉末化され、または造粒される。次いで、固体PPL生成物ストリームは、その先に供給されて梱包され、GAA生成系/生成プロセスの場所に配送されるように準備される。固体PPL生成物ストリームを配送するために使用される梱包は、固体PPLによる吸湿を最小限に抑えるように選択される。GAA生成系/生成プロセスの場所において、本質的に純粋な、本質的に乾燥した、固体PPL生成物ストリームは、湿気の導入を最小限に抑えるようなやり方で解梱され、次いで、固体または溶融形態で熱分解反応器の入口に供給される。熱分解反応器は、PPL生成物ストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図12では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出される。高沸点有機不純物のストリームは、用いることができる分離の一例であるイオン交換を含む精製系(図12では「IER」と表示されている)に入る。IERは、高沸点有機不純物のストリーム中のカルボニル化触媒(またはその成分)の濃度を低減するように構成される。カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種は、IERから回収され、カルボニル化反応器にリサイクルさせるのに利用可能な触媒を得るために再生され得るか、または処分され得る(図
12では「再生/処分」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で出ることができる。好ましい実施形態では、温度は、アクリル酸の自家重合の危険性を制限するように制御される。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5~約1.5barの圧力であり得る。
【0149】
図12に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)、または約25KTA~約400KTAの間を生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0150】
図13には、PPL生成物ストリームが第1の場所で生成され、次いで単離され、梱包され、GAA生成物ストリームが生成される第2の場所に配送され、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器に入る前にPPL生成物ストリームから除去されず、重合反応器によって、生成ストリーム中のbPLのPPLへの不完全な変換が達成され、bPLが、重合反応器に戻されてリサイクルされ、カルボニル化触媒またはその成分が、熱分解反応器によって生成された有機重量物から除去される、例示的な生成系/生成プロセスが図示されている。図13の生成系/生成プロセスは、図9に示されているものと同じカルボニル化反応器、CO触媒リサイクル、EO/COリサイクルおよびBPL精製系、ならびに重合プロセスのコンフィギュレーションを有する。
【0151】
再び図13の例示的な系を参照すると、PPL生成物ストリームは、重合プロセスの出口を出、当技術分野で公知の手段によって、本質的に乾燥雰囲気中でペレット化され、押し出され、薄片化され、粉末化され、または造粒される。次いで、固体PPL生成物ストリームは、その先に供給されて梱包され、GAA生成系/生成プロセスの場所に配送されるように準備される。固体PPL生成物ストリームを配送するために使用される梱包は、固体PPLによる吸湿を最小限に抑えるように選択される。GAA生成系/生成プロセスの場所において、本質的に純粋な、本質的に乾燥した、固体PPL生成物ストリームは、湿気の導入を最小限に抑えるようなやり方で解梱され、次いで、固体または溶融形態で熱分解反応器の入口に供給される。熱分解反応器は、PPL生成物ストリームをGAAストリームに変換するように構成される。微量の高沸点有機不純物(図13では「有機重量物」と表示されている)は、熱分解反応器の出口を介して排出される。高沸点有機不純物のストリームは、イオン交換樹脂(IER)を含む精製系(図13では「IER」と表示されている)に入る。IERは、高沸点有機不純物のストリーム中のカルボニル化触媒(またはその成分)の濃度を低減するように構成される。カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種は、IERから回収され、カルボニル化反応器にリサイクルさせるのに利用可能な触媒を得るために再生され得るか、または処分され得る(図13では「再生/処分」と表示されている)。GAA生成物ストリームは、保存またはさらなる処理のために熱分解反応器の出口を出る。GAA生成物ストリームは、本質的に純粋なGAAを含む。GAA生成物ストリームは、熱分解反応器の出口を、本明細書に記載される任意の速度、濃度、温度、または圧力で出ることができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態
では、GAA生成物ストリームは、約15℃~約60℃の間の温度を有することができる。一部の実施形態では、GAA生成物ストリームは、約0.5~約1.5barの圧力であり得る。
【0152】
図13に図示されている例示的な生成系/生成プロセスは、本明細書に記載される任意の速度でGAAを生成することができる。例えば一部の実施形態では、この系は、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)、少なくとも約100KTA、少なくとも約110KTA、少なくとも約120KTA、少なくとも約130KTA、少なくとも約140KTA、少なくとも約150KTA、少なくとも約160KTA、少なくとも約170KTA、少なくとも約180KTA、少なくとも約190KTA、少なくとも約200KTA、少なくとも約250KTA、少なくとも約300KTA、少なくとも約350KTA、少なくとも約400KTAを生成し、先の変形形態のいずれかと組み合わされ得る一部の変形形態では、最大約400KTAを生成する。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、または約2000kg/時のGAA~約35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約25kmol/時のGAA~約500kmol/時のGAAを生成することができる。
【0153】
図6~13には、ある特定のステップおよびユニット操作を含むプロセスのコンフィギュレーションが図示されているが、本明細書に記載される方法の他の実施形態では、このプロセスのコンフィギュレーションは、より少ないステップ、より多いステップ、より少ないユニット操作、またはより多いユニット操作を含むことを理解されたい。例えば一部の変形形態では、透過液ストリームを、BPL精製トレイン(train)の前に処理して、
微量のカルボニル化触媒の少なくとも一部を除去する。ある特定の変形形態では、イオン交換樹脂を用いて透過液から微量のカルボニル化触媒の少なくとも一部を除去することが可能となり得る。したがって、ある特定の実施形態では、図6~13のプロセスのコンフィギュレーションは、透過液がBPL精製トレインに入る前に、IERを使用して透過液から微量のカルボニル化触媒の少なくとも一部を除去する、追加のステップを含む。一部の実施形態では、図6~13に図示され、本明細書に記載される系は、BPL精製トレインの前にIERを用いる精製系を含む。他の実施形態では、この系は、BPL精製トレインの前に、IERを用いる精製系を含み、重合プロセスにおいて不均一重合触媒を使用する。一部の実施形態では、この系は、重合プロセスの後に精製系を有していない。
【0154】
アクリル酸およびその前駆体のための生成系/生成プロセスにおけるユニット操作のそれぞれを、以下にさらに詳細に記載する。
β-プロピオラクトン生成系/生成プロセス(すなわち、カルボニル化反応系)
【0155】
図14は、本明細書に開示される生成系/生成プロセスの例示的な実施形態を例示している。図14は、カルボニル化反応系1413(すなわち、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセス)、触媒単離系1415、BPL精製系1417、重合反応系1419、および熱分解系1421を含む。
【0156】
カルボニル化反応系では、エチレンオキシドは、以下の反応スキームに図示されている通り、カルボニル化反応によってβ-プロピオラクトンに変換され得る。
【化2】
【0157】
水および酸素は、カルボニル化触媒を損傷するおそれがある。カルボニル化反応系への供給物ストリーム(すなわち、EO、CO、溶媒、カルボニル化触媒)は、実質的に乾燥しており(すなわち、5ppm未満の含水量を有する)、酸素を含まない(すなわち、5ppm未満の酸素含量を有する)べきである。したがって、供給物ストリームおよび/または保存タンクおよび/または供給タンクは、ストリーム/タンクの組成を決定して、それらが十分に低い酸素および水の含量を有することを確実にするために、それらの上にセンサーを有することができる。一部の実施形態では、供給物ストリームは、カルボニル化反応系に供給されるストリーム中の水および酸素の含量を低減するために、吸着などによって精製することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスを実施する前に、チューブ、装置、および他の流路は、不活性ガスまたは一酸化炭素でパージして、生成系/生成プロセスにおける酸素または水への曝露を最小限に抑えることができる。
エチレンオキシド供給源
【0158】
図14は、カルボニル化反応系入口1409に、エチレンオキシドストリーム1406中の新鮮なエチレンオキシドを供給することができるエチレンオキシド供給源1402を含む。入口1409は、カルボニル化反応系への1つの入口であっても複数の入口であってもよい。エチレンオキシドは、ポンプまたは当業者に公知の任意の他の手段を使用して、液体として供給され得る。さらに、エチレンオキシド供給源は、不活性雰囲気下で維持することができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約1500kg/時、少なくとも約2000kg/時、少なくとも約2070kg/時、または少なくとも約2500kg/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約1000kg/時~約2500kg/時、少なくとも約1500kg/時~約2500kg/時、少なくとも約2000kg/時~約2500kg/時、または少なくとも約2070kg/時~約2500kg/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約1000kg/時~約25000kg/時、約1500kg/時~約25000kg/時、約2000kg/時~約25000kg/時、約2500kg/時~約25000kg/時、約5000kg/時~約25000kg/時、約7500kg/時~約25000kg/時、約10000kg/時~約25000kg/時、約12500kg/時~約25000kg/時、約15000kg/時~約25000kg/時、約17500kg/時~約25000kg/時、約20000kg/時~約25000kg/時、または約22500kg/時~約25000kg/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約1000kg/時、約1500kg/時、約2000kg/時、約2070kg/時、約2500kg/時、約3000kg/時、約3500kg/時、約4000kg/時、約4500kg/時、約5000kg/時、7500kg/時、約10000kg/時、約12500kg/時、約15000kg/時、約17500kg/時、約20000kg/時、約22500kg/時、または約25000kg/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約30kmol/時、少なくとも約35kmol/時、少なくとも約40kmol/時、少なくとも約47kmol/時、少なくとも約50kmol/時、少なくとも約100kmol/時、少なくとも約200kmol/時、少なくとも約300kmol/時、少なくとも約400kmol/時、または少なくとも約500kmol/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約30kmol/時~約500kmol/時、約35kmol/時~約500kmol/時、約40kmol/時~約500kmol/時、約47kmol/時~約500kmol/時、約50kmol/時~約500kmol/時、約100kmol/時~約500kmol/時、約200kmol/時~約500kmol/時、約300kmol/時~約500kmo
l/時、または約400kmol/時~約500kmol/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約30kmol/時、約35kmol/時、約40kmol/時、約47kmol/時、約50kmol/時、約70kmol/時、約80kmol/時 約90kmol/時、約100kmol/時、約150kmol/時、約200kmol/時、約250kmol/時、約300kmol/時、約350kmol/時、約400kmol/時、約450kmol/時、または約500kmol/時で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約10~30℃の間、約15~25℃の間、または約20℃の温度で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約50bar、約60~70bar、または少なくとも約65barの圧力で、エチレンオキシド供給源からエチレンオキシドを受け取ることができる。
カルボニル化触媒供給源
【0159】
当技術分野で公知の数々のカルボニル化触媒は、本発明の方法に適している(または適合させることができる)。例えば一部の実施形態では、カルボニル化方法は、米国特許第6,852,865号に記載されるものなどの金属カルボニル-ルイス酸触媒を利用する。他の実施形態では、カルボニル化ステップは、米国特許出願第10/820,958号および同第10/586,826号に開示されるカルボニル化触媒のうちの1つまたは複数を用いて実施される。他の実施形態では、カルボニル化ステップは、米国特許第5,310,948号、同第7,420,064号、および同第5,359,081号に開示される触媒のうちの1つまたは複数を用いて実施される。エポキシドのカルボニル化のための追加の触媒は、Chem. Commun.、2007年、657~674頁の総説に論じられている。上記参考文献のそれぞれの全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0160】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、金属カルボニル化合物を含む。典型的に、単一の金属カルボニル化合物が提供されるが、一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多い金属カルボニル化合物の混合物が提供される。したがって、提供される金属カルボニル化合物が、例えば中性金属カルボニル化合物を「含む」場合、提供されるその金属カルボニル化合物は、単一の中性金属カルボニル化合物であってもよく、1つもしくは複数の金属カルボニル化合物と組み合わされた中性金属カルボニル化合物であってもよいと理解される。好ましくは、提供される金属カルボニル化合物は、エポキシドを開環し、得られた金属炭素結合へのCOの挿入を容易にすることができる。この反応性を有する金属カルボニル化合物は、当技術分野で周知であり、実験室での実験法のために、ならびにヒドロホルミル化などの工業プロセスにおいて使用される。
【0161】
一部の実施形態では、提供される金属カルボニル化合物は、アニオン性金属カルボニル部分を含む。他の実施形態では、提供される金属カルボニル化合物は、中性金属カルボニル化合物を含む。一部の実施形態では、提供される金属カルボニル化合物は、金属カルボニル水素化物またはヒドリド金属カルボニル化合物を含む。一部の実施形態では、提供される金属カルボニル化合物は、1つまたは複数の反応成分と原位置で反応して、最初に提供された化合物とは異なる活性種を提供する触媒前駆体として作用する。このような触媒前駆体は、所与の反応における活性種が、確実性を伴っては知られていない場合があると認識されているように、具体的に包含される。したがって、このような反応種の原位置での同定は、それ自体、本開示の趣旨または教示から逸脱しない。
【0162】
一部の実施形態では、金属カルボニル化合物は、アニオン性金属カルボニル種を含む。一部の実施形態では、このようなアニオン性金属カルボニル種は、一般式[QM’(CO)y-を有し、ここで、Qは、任意の配位子であり、存在する必要はなく、M’
は、金属原子であり、dは、両端を含み0~8の間の整数であり、eは、両端を含み1~6の間の整数であり、wは、安定なアニオン性金属カルボニル錯体を提供するような数であり、yは、アニオン性金属カルボニル種の電荷である。一部の実施形態では、アニオン性金属カルボニルは、一般式[QM’(CO)y-を有し、ここで、Qは、任意の配位子であり、存在する必要はなく、M’は、金属原子であり、wは、安定なアニオン性金属カルボニルを提供するような数であり、yは、アニオン性金属カルボニルの電荷である。
【0163】
一部の実施形態では、アニオン性金属カルボニル種には、周期表の第5族、7族もしくは9族の金属の一価アニオン性カルボニル錯体、または周期表の第4族もしくは8族の金属の二価アニオン性カルボニル錯体が含まれる。一部の実施形態では、アニオン性金属カルボニル化合物は、コバルトまたはマンガンを含有する。一部の実施形態では、アニオン性金属カルボニル化合物は、ロジウムを含有する。適切なアニオン性金属カルボニル化合物には、[Co(CO)、[Ti(CO)2- [V(CO) [Rh(CO)、[Fe(CO)2- [Ru(CO)2-、[Os(CO)2- [Cr(CO)102- [Fe(CO)2- [Tc(CO) [Re(CO)および[Mn(CO)が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、アニオン性金属カルボニルは、[Co(CO)を含む。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多いアニオン性金属カルボニル錯体の混合物は、この方法で使用されるカルボニル化触媒中に存在し得る。
【0164】
[QM’(CO)y-に関する用語「安定なアニオン性金属カルボニルを提供するような」は、本明細書では、[QM’(CO)y-が、分析手段、例えばNMR、IR、X線結晶学、ラマン分光法および/または電子スピン共鳴(EPR)によって特徴付けることができ、適切なカチオンまたは原位置で形成された種の存在下で、触媒形態で単離できる種であることを意味するために使用される。安定な金属カルボニル錯体を形成することができる金属は、既知の配位能および多核錯体形成傾向を有し、これらが、存在し得る任意選択の配位子Qの数および特徴ならびにその錯体上の電荷と一緒になって、COが配位するのに利用可能な部位の数、したがってwの値を決定することを理解されたい。典型的に、このような化合物は、「18電子則」に従う。このような知識は、金属カルボニル化合物の合成および特徴付けに関する分野の当業者の理解の範囲内である。
【0165】
提供される金属カルボニル化合物がアニオン種である実施形態では、1つまたは複数のカチオンも必ず存在しなくてはならない。一部の変形形態では、このようなカチオンの正体に対して特に制限はない。一部の実施形態では、アニオン性金属カルボニル化合物と会合するカチオンは、本明細書に記載される別の分類の反応成分を含む。例えば一部の実施形態では、金属カルボニルアニオンは、カチオン性ルイス酸と会合する。他の実施形態では、提供されるアニオン性金属カルボニル化合物と会合するカチオンは、周期表の第1族または2族のものなどの単純な金属カチオン(例えば、Na、Li、K、Mg2+等)である。他の実施形態では、提供されるアニオン性金属カルボニル化合物と会合するカチオンは、嵩高い非求電子性カチオン、例えば「オニウム塩」(例えば、Bu、PPN、Ph PhAs等)である。他の実施形態では、金属カルボニルアニオンは、プロトン化窒素化合物と会合する(例えば、カチオンは、MeTBD-H、DMAP-H、DABCO-H、DBU-H等の化合物を含み得る)。一部の実施形態では、このようなプロトン化窒素化合物を含む化合物は、酸性ヒドリド金属カルボニル化合物と、塩基性窒素を含有する化合物の間の反応生成物(例えば、DBUおよびHCo(CO)の混合物)として提供される。
【0166】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法において利用される触媒は、中性金属カルボニル化合物を含む。一部の実施形態では、このような中性金属カルボニル化合物は
、一般式QM’(CO)w’を有し、ここで、Qは、任意の配位子であり、存在する必要はなく、M’は、金属原子であり、dは、両端を含み0~8の間の整数であり、eは、両端を含み1~6の間の整数であり、w’は、安定な中性金属カルボニル錯体を提供するような数である。一部の実施形態では、中性金属カルボニルは、一般式QM’(CO)w’を有する。一部の実施形態では、中性金属カルボニルは、一般式M’(CO)w’を有する。一部の実施形態では、中性金属カルボニルは、一般式QM’(CO)w’を有する。一部の実施形態では、中性金属カルボニルは、一般式M’(CO)w’を有する。適切な中性金属カルボニル化合物には、Ti(CO);V(CO)12;Cr(CO);Mo(CO);W(CO) Mn(CO)10、Tc(CO)10、およびRe(CO)10 Fe(CO)、Ru(CO)およびOs(CO) Ru(CO)12、およびOs(CO)12 Fe(CO)12およびFe(CO) Co(CO)12、Rh(CO)12、Rh(CO)16、およびIr(CO)12 Co(CO) Ni(CO)が含まれるが、これらに限定されない。
【0167】
M’(CO)w’に関する用語「安定な中性金属カルボニルを提供するような」は、本明細書では、QM’(CO)w’が、分析手段、例えばNMR、IR、X線結晶学、ラマン分光法および/または電子スピン共鳴(EPR)によって特徴付けることができ、純粋形態または原位置で形成された種で単離できる種であることを意味するために使用される。安定な金属カルボニル錯体を形成することができる金属は、既知の配位能および多核錯体形成傾向を有し、これらが、存在し得る任意選択の配位子Qの数および特徴ならびにその錯体上の電荷と一緒になって、COが配位するのに利用可能な部位の数、したがってwの値を決定することを理解されたい。典型的に、このような化合物は、「18電子則」に従う化学量論に従う。このような知識は、金属カルボニル化合物の合成および特徴付けに関する分野の当業者の理解の範囲内である。
【0168】
一部の実施形態では、配位子Qは、金属カルボニル化合物上に存在しない。他の実施形態では、1つまたは複数の配位子Qが、金属カルボニル化合物上に存在する。Qが存在する一部の実施形態では、Qは、出現する毎に、ホスフィン配位子、アミン配位子、シクロペンタジエニル配位子、複素環式配位子、ニトリル、フェノール、およびこれらのうちの2つまたはそれよりも多くのものの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、上記の金属カルボニル化合物のいずれかのCO配位子の1つまたは複数は、配位子Qで置き換えられる。一部の実施形態では、Qは、ホスフィン配位子である。一部の実施形態では、Qは、トリアリールホスフィンである。一部の実施形態では、Qは、トリアルキルホスフィンである。一部の実施形態では、Qは、亜リン酸塩配位子である。一部の実施形態では、Qは、任意選択で置換されているシクロペンタジエニル配位子である。一部の実施形態では、Qは、cpである。一部の実施形態では、Qは、cpである。一部の実施形態では、Qは、アミンまたは複素環である。
【0169】
一部の実施形態では、上記の方法において利用されるカルボニル化触媒は、ルイス酸成分をさらに含む。一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、アニオン性金属カルボニル錯体およびカチオン性ルイス酸成分を含む。一部の実施形態では、金属カルボニル錯体は、コバルト酸カルボニルを含み、ルイス酸共触媒は、金属中心カチオン性ルイス酸を含む。一部の実施形態では、含まれているルイス酸は、ホウ素化合物を含む。
【0170】
含まれているルイス酸が、ホウ素化合物を含む一部の実施形態では、ホウ素化合物は、トリアルキルホウ素化合物またはトリアリールホウ素化合物を含む。一部の実施形態では、含まれているホウ素化合物は、1つまたは複数のホウ素-ハロゲン結合を含む。含まれているホウ素化合物が、1つまたは複数のホウ素-ハロゲン結合を含む一部の実施形態では、化合物は、ジアルキルハロホウ素化合物(例えば、RBX)、ジハロモノアルキル化合物(例えば、RBX)、アリールハロホウ素化合物(例えば、ArBXまたはA
rBX)、またはトリハロホウ素化合物(例えば、BClまたはBBr)であり、ここで、各Rは、アルキル基であり、各Xは、ハロゲンであり、各Arは、芳香族基である。
【0171】
含まれているルイス酸が、金属中心カチオン性ルイス酸を含む一部の実施形態では、ルイス酸は、カチオン性金属錯体である。一部の実施形態では、カチオン性金属錯体は、その電荷が、1つまたは複数のアニオン性金属カルボニル部分によって、部分的にまたは完全に平衡化されている。適切なアニオン性金属カルボニル化合物には、上記のものが含まれる。一部の実施形態では、金属錯体の電荷を平衡化するこのようなアニオン性金属カルボニルが、1~17個存在する。一部の実施形態では、金属錯体の電荷を平衡化するこのようなアニオン性金属カルボニルが、1~9個存在する。一部の実施形態では、金属錯体の電荷を平衡化するこのようなアニオン性金属カルボニルが、1~5個存在する。一部の実施形態では、金属錯体の電荷を平衡化するこのようなアニオン性金属カルボニルが、1~3個存在する。
【0172】
本明細書に記載される系および方法において使用されるカルボニル化触媒が、カチオン性金属錯体を含む一部の実施形態では、金属錯体は、式[(Lz+を有し、ここで、
は、配位子であり、2つまたはそれよりも多いLが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく、
Mは、金属原子であり、2つのMが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく、
vは、両端を含み1~4の整数であり、
bは、両端を含み1~2の整数であり、
zは、0よりも大きい整数であり、金属錯体上のカチオン電荷を表す。
【0173】
一部の実施形態では、提供されるルイス酸は、構造Iに従い、
【化3】
式中、
【化4】
は、多座配位子であり、
Mは、多座配位子に配位している金属原子であり、
aは、金属原子の電荷であり、0~2の範囲であり、そして
一部の実施形態では、提供される金属錯体は、構造IIに従い、
【化5】
式中、aは、先に定義の通りであり(各aは、同じでも異なっていてもよい)、
は、第1の金属原子であり、
は、第2の金属原子であり、
【化6】
は、両方の金属原子を配位することができる多座配位子系を含む。
【0174】
明らかにするため、そして錯体IおよびIIならびに本明細書の他の構造の金属原子の正味電荷および全電荷の混同を回避するために、上記の錯体IおよびIIの金属原子上に示されている電荷(a)は、多座配位子の任意のアニオン性部位が満たされた後の、金属原子上の正味電荷を表す。例えば、式Iの錯体における金属原子がCr(III)であり、配位子がポルフィリン(電荷-2を有する四座配位子)である場合、クロム原子は、+1の正味電荷を有し、aは1となるであろう。
【0175】
適切な多座配位子には、ポルフィリン誘導体1、サレン誘導体2、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アンヌレン(tmtaa)誘導体3、フタロシアニネート誘導体4、Trost配位子5の誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体6、およびコロール誘導体7が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、多座配位子は、サレン誘導体である。他の実施形態では、多座配位子は、ポルフィリン誘導体である。他の実施形態では、多座配位子は、テトラフェニルポルフィリン誘導体である。他の実施形態では、多座配位子は、コロール誘導体である。
【化7】
式中、R、R、R1a、R2a、R3a、R4a、R1a’、R2a’、R3a’、およびMのそれぞれは、本明細書のクラスおよびサブクラスに定義され、記載される通りである。
【0176】
一部の実施形態では、本明細書に記載される系および方法において使用されるカルボニル化触媒で提供されるルイス酸は、金属-ポルフィナト錯体を含む。一部の実施形態では、部分
【化8】
は、構造
【化9】
を有し、式中、Mおよびaのそれぞれは、本明細書のクラスおよびサブクラスにおいて先に定義され、記載される通りであり、
は、出現する毎に独立に、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR ;または任意選択で置換されている基であり、この任意選択で置換されている基は、C1~20脂肪族;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20ヘテロ脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素、および硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;ならびに窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択され、ここで、2つまたはそれよりも多いR基は、一緒になって、1つまたは複数の任意選択で置換されている環を形成することができ、
各Rは、独立に、水素、任意選択で置換されている基であり、この任意選択で置換されている基は、アシル;カルバモイル、アリールアルキル;6~10員のアリール;C1~12脂肪族;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有するC1~12ヘテロ脂肪族;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式;酸素保護基;ならびに窒素保護基からなる群から選択され、同じ窒素原子上の2つのRは、この窒素原子と共に、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される0~2個の追加のヘテロ原子を有する、任意選択で置換されている4~7員の複素環式環を形成し、
各Rは、独立に、ヒドロキシル保護基またはRである。
【0177】
一部の実施形態では、部分
【化10】
は、構造
【化11】
を有し、式中、M、aおよびRは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りである。一部の実施形態では、部分
【化12】
は、構造
【化13】
を有し、式中、M、aおよびRは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りである。
【0178】
一部の実施形態では、本明細書に記載される系および方法において使用されるカルボニル化触媒に含まれるルイス酸は、金属サレネート錯体を含む。一部の実施形態では、部分
【化14】
は、構造
【化15】
を有し、式中、
Mおよびaは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りであり、
1a、R1a’、R2a、R2a’、R3a、およびR3a’は、独立に、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR ;または任意選択で置換されている基であり、この任意選択で置換されている基は、C1~20脂肪族;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20ヘテロ脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素、および硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;ならびに窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択され、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りであり、
(R2a’およびR3a’)、(R2aおよびR3a)、(R1aおよびR2a)、および(R1a’およびR2a’)のいずれも、任意選択で、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1つまたは複数の環を形成することができ、次いでその環は、1つまたは複数のR基で置換されていてよく、
4aは、
【化16】
からなる群から選択され、
は、出現する毎に独立に、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR ;または任意選択で置換されている基であり、この任意選択で置換されている基は、C1~20脂肪族;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20ヘテロ脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素、および硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;ならびに窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択され、
2つまたはそれよりも多いR基は、それらが結合している炭素原子および介在する任意の原子と一緒になって、1つまたは複数の環を形成することができ、
2つのR基が同じ炭素原子に結合している場合、それらは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3~8員のスピロ環式環、カルボニル、オキシム、ヒドラゾン、イミン、および任意選択で置換されているアルケンからなる群から選択される部分を形成することができ、
およびRは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りであり、
Yは、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-;ポリエーテル;C~C置換または非置換炭素環;およびC~C置換または非置換複素環からなる群から選択される二価のリンカーであり、
m’は、0であるか、または両端を含み1~4の整数であり、
qは、0であるか、または両端を含み1~4の整数であり、
xは、0、1、または2である。
【0179】
一部の実施形態では、提供されるルイス酸は、式Iaに示されているような金属サレン化合物を含み、
【化17】
式中、M、R、およびaのそれぞれは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りであり、
【化18】
は、サレン配位子のジアミン部分の2個の窒素原子を連結する、任意選択で置換されている部分であり、
【化19】
は、C~C14炭素環、C~C10アリール基、C~C14複素環、およびC~C10ヘテロアリール基;または任意選択で置換されているC2~20脂肪族基からなる群から選択され、1つまたは複数のメチレン単位は、任意選択で独立に、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-OC(O)O-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-C(=NOR)-または-N=N-によって置き換えられている。
【0180】
金属錯体が先の式Iaを有する一部の実施形態では、金属錯体のサリチルアルデヒド由来の部分を構成するフェニル環のうちの少なくとも1つは、独立に、
【化20】
からなる群から選択される。
【0181】
一部の実施形態では、提供されるルイス酸は、式VaまたはVbの一方に従う金属サレン化合物を含み、
【化21】
式中、M、a、R、R1a、R3a、R1a’、R3a’、および
【化22】
は、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りである。
【0182】
式VaまたはVbを有する金属錯体の一部の実施形態では、各R1aおよびR3aは、独立に、任意選択で置換されているC~C20脂肪族である。
【0183】
一部の実施形態では、部分
【化23】
は、任意選択で置換されている1,2-フェニル部分を含む。
【0184】
一部の実施形態では、本明細書に記載される系および方法において使用されるカルボニル化触媒に含まれるルイス酸は、金属-tmtaa錯体を含む。一部の実施形態では、部分
【化24】
は、構造
【化25】
を有し、式中、M、aおよびRは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りであり、
は、出現する毎に独立に、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR ;または任意選択で置換されている基であり、この任意選択で置換されている基は、C1~20脂肪族;窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20ヘテロ脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素、および硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;ならびに窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択される。
【0185】
一部の実施形態では、部分
【化26】
は、構造
【化27】
を有し、式中、M、a、RおよびRのそれぞれは、先に、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスに定義される通りである。
【0186】
本明細書に記載される系および方法において使用されるカルボニル化触媒が、ルイス酸金属錯体を含む一部の実施形態では、金属原子は、両端を含み周期表の第2族~13族から選択される。一部の実施形態では、Mは、周期表の第4族、6族、11族、12族および13族から選択される遷移金属である。一部の実施形態では、Mは、アルミニウム、クロム、チタン、インジウム、ガリウム、亜鉛 コバルト、または銅である。一部の実施形態では、Mは、アルミニウムである。他の実施形態では、Mは、クロムである。
【0187】
一部の実施形態では、Mは、+2の酸化状態を有する。一部の実施形態では、Mは、Zn(II)、Cu(II)、Mn(II)、Co(II)、Ru(II)、Fe(II)、Co(II)、Rh(II)、Ni(II)、Pd(II)またはMg(II)である。一部の実施形態では、Mは、Zn(II)である。一部の実施形態では、Mは、Cu(II)である。
【0188】
一部の実施形態では、Mは、+3の酸化状態を有する。一部の実施形態では、Mは、Al(III)、Cr(III)、Fe(III)、Co(III)、Ti(III) In(III)、Ga(III)またはMn(III)である。一部の実施形態では、Mは、Al(III)である。一部の実施形態では、Mは、Cr(III)である。
【0189】
一部の実施形態では、Mは、+4の酸化状態を有する。一部の実施形態では、Mは、Ti(IV)またはCr(IV)である。
【0190】
一部の実施形態では、MおよびMは、それぞれ独立に、両端を含み周期表の第2族~13族から選択される金属原子である。一部の実施形態では、Mは、周期表の第4族、6族、11族、12族および13族から選択される遷移金属である。一部の実施形態では、Mは、アルミニウム、クロム、チタン、インジウム、ガリウム、亜鉛 コバルト、または銅である。一部の実施形態では、Mは、アルミニウムである。他の実施形態では、Mは、クロムである。一部の実施形態では、MおよびMは、同じである。一部の実施形態では、MおよびMは、同じ金属であるが、異なる酸化状態を有する。一部の実施形態では、MおよびMは、異なる金属である。
【0191】
一部の実施形態では、MおよびMのうちの1つまたは複数は、+2の酸化状態を有する。一部の実施形態では、Mは、Zn(II)、Cu(II)、Mn(II)、Co(II)、Ru(II)、Fe(II)、Co(II)、Rh(II)、Ni(II)、Pd(II)またはMg(II)である。一部の実施形態では、Mは、Zn(II)で
ある。一部の実施形態では、Mは、Cu(II)である。一部の実施形態では、Mは、Zn(II)、Cu(II)、Mn(II)、Co(II)、Ru(II)、Fe(II)、Co(II)、Rh(II)、Ni(II)、Pd(II)またはMg(II)である。一部の実施形態では、Mは、Zn(II)である。一部の実施形態では、Mは、Cu(II)である。
【0192】
一部の実施形態では、MおよびMのうちの1つまたは複数は、+3の酸化状態を有する。一部の実施形態では、Mは、Al(III)、Cr(III)、Fe(III)、Co(III)、Ti(III) In(III)、Ga(III)またはMn(III)である。一部の実施形態では、Mは、Al(III)である。一部の実施形態では、Mは、Cr(III)である。一部の実施形態では、Mは、Al(III)、Cr(III)、Fe(III)、Co(III)、Ti(III) In(III)、Ga(III)またはMn(III)である。一部の実施形態では、Mは、Al(III)である。一部の実施形態では、Mは、Cr(III)である。
【0193】
一部の実施形態では、MおよびMのうちの1つまたは複数は、+4の酸化状態を有する。一部の実施形態では、Mは、Ti(IV)またはCr(IV)である。一部の実施形態では、Mは、Ti(IV)またはCr(IV)である。
【0194】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒の金属中心ルイス酸成分は、二価アニオン性四座配位子を含む。一部の実施形態では、二価アニオン性四座配位子は、ポルフィリン誘導体、サレン誘導体、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アンヌレン(tmtaa)誘導体、フタロシアニネート誘導体、およびTrost配位子の誘導体からなる群から選択される。
【0195】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムポルフィリン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、[(TPP)Al(THF)][Co(CO)]であり、ここで、TPPは、テトラフェニルポルフィリンを表し、THFは、テトラヒドロフランを表す。
【0196】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、クロムポルフィリン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。
【0197】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、クロムサレン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、クロムサロフェン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。
【0198】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムサレン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムサロフェン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。
【0199】
一部の実施形態では、1つまたは複数の中性二電子供与体は、M MまたはMに配位し、金属原子の配位原子価を満たす。一部の実施形態では、中性二電子供与体は、溶媒分子である。一部の実施形態では、中性二電子供与体は、エーテルである。一部の実施形態では、中性二電子供与体は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、二硫化炭素、またはピリジンである。一部の実施形態では、中性二電子供与体は、テトラヒドロフランである。一部の実施形態では、中性二電子供与体は、エポキシドである。一部の実施形態では、中性二電子供与体は、エステルまたはラクトンである。
【0200】
ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムポルフィリン化合物と組
み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、クロムポルフィリン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、クロムサレン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、クロムサロフェン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムサレン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒は、アルミニウムサロフェン化合物と組み合わされたコバルト酸カルボニルを含む。
二相性カルボニル化触媒
【0201】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、二相性である。したがって、ある特定の変形形態では、カルボニル化反応生成物混合物は、少なくとも2つの相を含み、ここで一方の相は、触媒相であり、第2の相は、生成物相であり、カルボニル化反応後に、カルボニル化触媒の大部分は、触媒相中に位置し、生成されたbPLの大部分は、生成物相中に位置する。例えば一部の実施形態では、50wt%~100wt%の間、60wt%~100wt%の間、70wt%~100wt%の間、80wt%~100wt%の間、90wt%~100wt%の間、または95wt%~100wt%の間のカルボニル化触媒が、触媒相中に位置する。一部の実施形態では、50wt%~100wt%の間、60wt%~100wt%の間、70wt%~100wt%の間、80wt%~100wt%の間、90wt%~100wt%の間、または95wt%~100wt%の間の生成されたbPLが、生成物相中に位置する。一部の実施形態では、二相性カルボニル化触媒は、本明細書に記載されるカルボニル化触媒のいずれかであり、ただしその触媒は、bPLと少なくとも部分的に不混和性であることを条件とする。他の実施形態では、カルボニル化触媒は、修飾された触媒を、bPLと少なくとも部分的に不混和性にするために、置換基を含有するように修飾された、本明細書に記載されるカルボニル化触媒のいずれかである。
【0202】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、ある特定条件下ではbPLと少なくとも部分的に不混和性であるが、他の条件下ではbPLと混和性である。例えば一部の変形形態では、二相性触媒は、ある温度では、カルボニル化生成物ストリーム中のbPLと完全に混和性であり、それよりも低い温度では、カルボニル化生成物ストリーム中のbPLと少なくとも部分的に不混和性である。他の変形形態では、二相性触媒は、あるpHでは、触媒をカルボニル化生成物ストリーム中のbPLと混和性にすることができ、異なるpHでは、少なくとも部分的に不混和性にすることができる、1つまたは複数のイオン化できる官能基を含む。したがって、一部の実施形態では、二相性触媒を、第1のpHでEOおよびCOと合わせてbPLを生成し、ここで二相性触媒は、bPLと混和性であり、次いで反応混合物のpHを変化させると、その結果、二相性触媒は、bPLと少なくとも部分的に不混和性となる。
モニタリングおよび代替触媒
【0203】
一態様では、生成系/生成プロセスは、エポキシドまたはラクトン原料の連続的なカルボニル化のために構成され、そのプロセスは、
エポキシドまたはラクトン原料を、カルボニル化反応容器内で、ルイス酸および金属カルボニルを含む触媒の存在下で一酸化炭素と反応させるステップと、
i)カルボニル化反応容器内のルイス酸またはその分解生成物の濃度、
ii)カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中のルイス酸またはその分解生成物の濃度、
iii)カルボニル化反応容器内の金属カルボニルまたはその分解生成物の濃度、
iv)カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中の金属カルボニルまたはその分解生成物の濃度、および
v)カルボニル化反応の速度
からなる群から選択される1つまたは複数のパラメーターを測定するステップと、
1つまたは複数のパラメーターの測定値を、1つまたは複数のパラメーターに関する所定の参照値と比較するステップとを含み、
パラメーターi)、iii)もしくはv)のいずれか1つの測定値が参照値未満である場合、またはパラメーターii)もしくはiv)のいずれか1つの測定値が参照値よりも高い場合、カルボニル化反応容器に、上記触媒とは異なり、ルイス酸、ルイス酸の前駆体、金属カルボニル、および金属カルボニルの前駆体からなる群から選択される種を含む、触媒代替成分が導入される。
【0204】
一部の実施形態では、測定される1つまたは複数のパラメーターの1つは、カルボニル化反応容器内のルイス酸またはその分解生成物の濃度である。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器内のルイス酸の濃度が測定される。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器内のルイス酸の分解生成物の濃度が測定される。
【0205】
一部の実施形態では、測定される1つまたは複数のパラメーターの1つは、カルボニル化反応容器内の金属カルボニルまたはその分解生成物の濃度である。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器内の金属カルボニルの濃度が測定される。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器内の金属カルボニルの分解生成物の濃度が測定される。
【0206】
一部の実施形態では、測定される1つまたは複数のパラメーターの1つは、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中のルイス酸またはその分解生成物の濃度である。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中のルイス酸の濃度が測定される。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中のルイス酸の分解生成物の濃度が測定される。
【0207】
一部の実施形態では、測定される1つまたは複数のパラメーターの1つは、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中の金属カルボニルまたはその分解生成物の濃度である。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中の金属カルボニルの濃度が測定される。一部の実施形態では、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中の金属カルボニルの分解生成物の濃度が測定される。
【0208】
一部の実施形態では、測定される1つまたは複数のパラメーターの1つは、カルボニル化反応の速度である。一部の実施形態では、カルボニル化反応の速度は、カルボニル化反応容器内のルボニル化生成物の濃度の変化によって、経時的に測定される。一部の実施形態では、カルボニル化反応の速度は、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中のカルボニル化生成物の濃度の変化によって、経時的に測定される。一部の実施形態では、カルボニル化生成物は、ベータ-プロピオラクトンである。一部の実施形態では、カルボニル化生成物は、ベータ-プロピオラクトン(bPL)である。一部の実施形態では、カルボニル化生成物は、無水コハク酸である。一部の実施形態では、カルボニル化生成物は、無水コハク酸(SA)である。
【0209】
一部の実施形態では、生成物ストリームは、ナノ濾過膜によってカルボニル化反応容器から分離される。一部の実施形態では、ナノ濾過膜は、エポキシドまたはラクトンカルボニル化生成物の分子量を超えるが、ルイス酸または金属カルボニルのいずれかの分子量未満の分子量を有する溶質を保持するその能力に基づいて選択される。一部の実施形態では、ナノ濾過膜は、エポキシドまたはラクトンカルボニル化生成物の分子量を超えるが、ルイス酸または金属カルボニルのいずれかの分子量未満の分子量を有する溶質を保持するように設計される。
【0210】
一部の実施形態では、触媒代替成分は、ルイス酸またはルイス酸の前駆体を含む。一部
の実施形態では、触媒代替成分は、ルイス酸を含む。一部の実施形態では、触媒代替成分は、ルイス酸の前駆体を含む。
【0211】
一部の実施形態では、触媒代替成分は、金属カルボニルまたは金属カルボニルの前駆体を含む。一部の実施形態では、触媒代替成分は、金属カルボニルを含む。一部の実施形態では、触媒代替成分は、金属カルボニルの前駆体を含む。
【0212】
1つより多くの触媒代替成分が添加される一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分のそれぞれは、カルボニル化反応容器に別個に添加される。1つより多くの触媒代替成分が添加される一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分のすべてが、カルボニル化反応容器に一緒に添加される。
【0213】
一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分のそれぞれは、カルボニル化反応容器に、溶媒を伴わずに、有機溶媒中の溶液として、またはスラリーとして、個々に添加される。一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分のそれぞれは、溶媒を伴わずにカルボニル化反応容器に添加される。一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分のそれぞれは、有機溶媒中の溶液としてカルボニル化反応容器に添加される。一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分のそれぞれは、スラリーとしてカルボニル化反応容器に添加される。
【0214】
1つより多くの触媒代替成分が添加される、ある特定の実施形態では、各触媒代替成分は、溶液に溶解され、それらの溶液は、例えばミキシングティーを使用するか、または合わされた溶液をスタティックミキサーに流し入れることによって、途中で合わされて容器に入れられる。
【0215】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分と同じまたは異なる時点で、新鮮な触媒も反応容器に添加され得る。
【0216】
ある特定の実施形態では、触媒代替成分は、COを含む雰囲気下で添加される。ある特定の実施形態では、COは、約1気圧~約400気圧の圧力で存在する。ある特定の実施形態では、触媒代替成分は、COを含む雰囲気下で、約1気圧~約100気圧の間、または約1気圧~約50気圧の間、または約10気圧~約20気圧の間、または約5気圧~約10気圧の間、または約1気圧~約5気圧の間の圧力で添加される。
【0217】
一部の実施形態では、カルボニル化反応容器に添加される所与の触媒代替成分の量は、ステップ(a)で測定されるパラメーターの1つに比例する。一部の実施形態では、所与の触媒代替成分の量は、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中の、測定されたパラメーターの濃度の変化に正比例する。
【0218】
一部の実施形態では、ステップ(a)で測定されたルイス酸またはその分解生成物の濃度が、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中で増大する場合、ステップ(a)で測定されたルイス酸またはその分解生成物の濃度の増大に比例する量のルイス酸が、カルボニル化反応容器に添加される。一部の実施形態では、ステップ(a)で測定されたルイス酸またはその分解生成物の濃度が、カルボニル化反応容器内で低下する場合、ステップ(a)で測定されたルイス酸またはその分解生成物の濃度の低下に比例する量のルイス酸またはルイス酸の前駆体が、カルボニル化反応容器に添加される。例えば、ルイス酸の濃度が5%低下した場合、カルボニル化反応容器に最初に充填されたルイス酸の量の約5%に等価な量のルイス酸またはルイス酸の前駆体が添加される。
【0219】
一部の実施形態では、ステップ(a)で測定されたカルボニル化反応の速度が低下する
場合、カルボニル化反応の速度の低下に比例する量のルイス酸またはルイス酸の前駆体が、カルボニル化反応容器に添加される。一部の実施形態では、ステップ(a)で測定されたカルボニル化反応の速度が低下する場合、カルボニル化反応の速度の低下に比例する量の金属カルボニルまたは金属カルボニルの前駆体が、カルボニル化反応容器に添加される。例えば、カルボニル化反応の速度が5%低下した場合、カルボニル化反応容器に最初に充填されたルイス酸または金属カルボニルの量の約5%に等価な量のルイス酸、ルイス酸の前駆体、金属カルボニルまたは金属カルボニルの前駆体が添加される。
【0220】
一部の実施形態では、ステップ(a)で測定された金属カルボニルの濃度が、カルボニル化反応容器から下流の生成物ストリーム中で増大する場合、ステップ(a)で測定された金属カルボニルの量の増大に比例する量の金属カルボニルまたは金属カルボニルの前駆体が、カルボニル化反応容器に添加される。一部の実施形態では、ステップ(a)で測定された金属カルボニルまたはその分解生成物の濃度が、カルボニル化反応容器内で低下する場合、ステップ(a)で測定された金属カルボニルまたはその分解生成物の量の低下に比例する量の金属カルボニルまたは金属カルボニルの前駆体が、カルボニル化反応容器に添加される。例えば、金属カルボニルの濃度が5%低下した場合、カルボニル化反応容器に最初に充填された金属カルボニルの量の約5%に等価な量の金属カルボニルまたは金属カルボニルの前駆体が添加される。
【0221】
図14は、カルボニル化触媒ストリーム1407中の新鮮なカルボニル化触媒を、カルボニル化反応系入口1409に供給することができる、カルボニル化触媒供給源1403を含む。カルボニル化触媒は、固体(おそらくCOまたは適切な不活性ガスで覆われる)として、またはヘキサンもしくはTHFなどの溶媒の溶液のいずれかで、カルボニル化触媒供給源に到達し得る。固体触媒である場合、固体は、開梱され、不活性条件(例えば、COまたは不活性ガス)下で1つまたは複数のホッパーに搭載され得る。1つまたは複数のホッパーからの固体は、ポンプ注入する前に計量して、適切な溶媒に入れることができる。一部の実施形態では、固体触媒(もしくは液体触媒)または触媒前駆体は、配送容器/コンテナから、溶媒と混合するために中間の不活性容器に分注され、次いでポンプ注入され得る。一部の実施形態では、触媒調製系および関連物は、触媒/前駆体が大気に曝露されないように選択される。カルボニル化触媒の溶液は、カルボニル化反応系に直接ポンプ注入するのに適し得る。一部の実施形態では、カルボニル化触媒供給物は、触媒の安定性を確保する一助にするために、CO圧力下でポンプ注入される。さらに、カルボニル化触媒供給源および供給物は、安定性を確保するために、周囲温度未満に冷却され得る。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約0.01~50kg/時の間、約0.01~40kg/時の間、約0.01~30kg/時の間、約0.01~20kg/時の間、約0.01~10kg/時の間、約0.2~5kg/時の間、約0.5~4kg/時の間、約1~3kg/時の間、約1~2kg/時の間、または約1.4kg/時で、カルボニル化触媒供給源からカルボニル化触媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約0.0001~10kmol/時の間、約0.0001~1kmol/時の間、約0.0001~0.1kmol/時の間、約0.0001~0.01kmol/時の間、約0.0005~0.001kmol/時の間、約0.0005~0.005kmol/時の間、または約0.001kmol/時、または約0.01kmol/時、または約0.1kmol/時で、カルボニル化触媒供給源からカルボニル化触媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、カルボニル化触媒供給源からのストリーム中のカルボニル化触媒の質量分率が、約0.001~0.1の間、約0.005~0.05、約0.01~0.05、または約0.02となり得るように、THFなどの溶媒中に存在し得る。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約10~30℃の間、約15~25℃の間、または約20℃の温度で、カルボニル化触媒供給源からカルボニル化触媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約50bar、約60~70bar
、または少なくとも約65barの圧力で、カルボニル化触媒供給源からカルボニル化触媒を受け取ることができる。
一酸化炭素供給源
【0222】
一酸化炭素は、エチレンオキシドをカルボニル化してβ-プロピオラクトンを生成するのに十分な量で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに供給される。一部の変形形態では、このことは、超大気圧(superatmospheric pressure)の一酸化炭素下で、カルボニル化反応を実施することによって達成され得る。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、約50psi(350kPa)~約5000psi(35MPa)の範囲の圧力で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに提供される。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、約50psi(350kPa)~約1000psi(7MPa)の圧力で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに提供される。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、約50psi(350kPa)~約500psi(3.5MPa)の圧力で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに提供される。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、約100psi(700kPa)~約400psi(2.8MPa)の圧力で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに提供される。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、約200psi(1.4MPa)の圧力で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに提供される。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、約200psi(1.4MPa)の分圧のCOを有する気圧下で、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスに提供される。一酸化炭素の超大気圧の圧力は、純粋な一酸化炭素の形態で、または一酸化炭素を含有するガス混合物を提供することによって、提供され得る。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、実質的に純粋な一酸化炭素の形態で提供され得る。他の実施形態では、一酸化炭素は、1つまたは複数の不活性ガスと混合された一酸化炭素の形態で提供され得る。他の実施形態では、一酸化炭素は、一酸化炭素および水素の混合物の形態で提供され得る。ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、一酸化炭素を含有する工業プロセスガス、例えば合成ガス、石炭ガス、木ガス等の形態で提供され得る。
【0223】
図14は、一酸化炭素をカルボニル化反応系入口1409に供給することができる、一酸化炭素供給源1411を含む。一部の実施形態では、一酸化炭素をカルボニル化反応系に供給する一酸化炭素供給源は、新鮮な一酸化炭素の供給源1401(すなわち、主なCO供給物)およびカルボニル化反応系からリサイクルされた一酸化炭素ストリーム1410を含み得る。一部の実施形態では、一酸化炭素供給源は、新鮮な一酸化炭素の供給源だけであってよい。一部の実施形態では、一酸化炭素供給源は、リサイクルされた一酸化炭素だけであってよい。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素ストリーム1405および/またはリサイクルされた一酸化炭素ストリームは、一酸化炭素圧縮機(すなわち、反応器の一酸化炭素入口ストリーム)から得られたストリームが、カルボニル化反応系に供給される前に、一酸化炭素圧縮機1401Aに供給され得る。一部の実施形態では、一酸化炭素圧縮機から得られたストリーム1411(すなわち、反応系の一酸化炭素入口ストリーム)は、一酸化炭素供給源であってよい。一酸化炭素供給源は、カルボニル化反応系の圧力またはそれよりも高い圧力に圧縮され、次いでカルボニル化系に供給され得る。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源(すなわち、主なCO供給物)およびリサイクルされた一酸化炭素は、別個の圧縮機で圧縮され得る。リサイクルされた一酸化炭素を、新鮮な一酸化炭素供給物(すなわち、主なCO供給物)とは別の反応系の圧力に圧縮する場合がある1つの理由は、危険な成分、例えば一酸化炭素リサイクルストリーム中に存在し得るエチレンオキシドおよびbPLによる、主な圧縮機(すなわち、新鮮な供給物の圧縮機)の汚染を回避することである。これらの潜在的に危険な成分の一部は、部分的に液化された成分として、圧縮機から廃棄物として除去され得る。一部の実施形態では、これらの潜在的に危険な成分はまた、カルボニル化反応系にリサイクルされ得る。一部の実施形態では、両方の圧縮機からの圧縮された一酸化炭素は、反応系の一酸化炭素入口ストリームとして、カルボニル化反応系に供給され得る。
【0224】
一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源は、少なくとも約1000kg/時のCO、少なくとも約1200kg/時のCO、少なくとも約1400kg/時のCO、少なくとも約1500kg/時のCO、少なくとも約1600kg/時のCO、少なくとも約2000kg/時のCO、少なくとも約4000kg/時のCO、少なくとも約5000kg/時のCO、少なくとも約10000kg/時のCO、少なくとも約12000kg/時のCO、少なくとも約14000kg/時のCO、少なくとも約15000kg/時のCO、または少なくとも約16000kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源は、少なくとも約30kmol/時のCO、少なくとも約40kmol/時のCO、少なくとも約50kmol/時のCO、少なくとも約55kmol/時のCO、または少なくとも約60kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源は、約1000kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約1200kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約1400kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約1500kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約1600kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約2000kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約4000kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約6000kg/時のCO~約16000kg/時のCO、約1000kg/時のCO~約16000kg/時のCO、または約1400kg/時のCO~約16000kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源は、約1000kg/時のCO、約1200kg/時のCO、約1400kg/時のCO、約1500kg/時のCO、約1600kg/時のCO、約1800kg/時のCO、約2000kg/時のCO、約2400kg/時のCO、約2600kg/時のCO、約2800kg/時のCO、約3000kg/時のCO、約3200kg/時のCO、約4000kg/時のCO、約6000kg/時のCO、約8000kg/時のCO、約10000kg/時のCO、約12000kg/時のCO、約14000kg/時のCO、または約16000kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源は、少なくとも約30kmol/時のCO、少なくとも約40kmol/時のCO、少なくとも約50kmol/時のCO、少なくとも約55kmol/時のCO、少なくとも約60kmol/時のCO、少なくとも約100kmol/時のCO、少なくとも約150kmol/時のCO、少なくとも約200kmol/時のCO、少なくとも約250kmol/時のCO、少なくとも約300kg/時のCO、少なくとも約350kmol/時のCO、少なくとも約400kmol/時のCO、少なくとも約500kmol/時のCO、少なくとも約550kmol/時のCO、または少なくとも約600kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源は、約30kmol/時のCO~約60kmol/時のCO、約40kmol/時のCO~約60kmol/時のCO、約50kmol/時のCO~約60kmol/時のCO、約30kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約40kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約50kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約55kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約100kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約200kg/時のCO~約600kmol/時のCO、約300kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約400kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約500kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約525kmol/時のCO~約600kmol/時のCO、約550kg/時のCO~約600kmol/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源からの新鮮な一酸化炭素は、いくらかの不純物を有する場合があり、したがって、吸着などの追加の精製ステップを必要とし得る。一部の実施形態では、新鮮な一酸化炭素の供給源からの流速は、カルボニル化反応のおよそ化学量論値、化学量論値よりも約5%高い値、化学量論値よりも約10%高い値、化学量論値よりも約15%高い値、または化学量論値よりも約20%高い値に設定される。
【0225】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系からリサイクルされた一酸化炭素は、少なくとも約100kg/時のCO、少なくとも約150kg/時のCO、少なくとも約200kg/時のCO、少なくとも約255kg/時のCO、少なくとも約300kg/時のCO、少なくとも約350kg/時のCO、少なくとも約500kg/時のCO、少なくとも約600kg/時のCO、少なくとも約800kg/時のCO、少なくとも約1000kg/時のCO、少なくとも約1250kg/時のCO、少なくとも約1500kg/時のCO、少なくとも約1750kg/時のCO、少なくとも約2000kg/時のCO、少なくとも約2500kg/時のCO、少なくとも約3000kg/時のCO、または少なくとも約3500kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系からリサイクルされた一酸化炭素は、約100kg/時のCO~約350kg/時のCO、約150kg/時のCO~約350kg/時のCO、約200kg/時のCO~約350kg/時のCO、約255kg/時のCO~約350kg/時のCO、約300kg/時のCO~約350kg/時のCO、約100kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約150kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約200kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約255kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約300kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約350kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約1000kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約1500kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約2000kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約2550kg/時のCO~約3500kg/時のCO、約3000kg/時のCO~約3500kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系からリサイクルされた一酸化炭素は、約100kg/時のCO、約150kg/時のCO、約200kg/時のCO、約255kg/時のCO、約300kg/時のCO、約350kg/時のCO、約500kg/時のCO、約750kg/時のCO、約1000kg/時のCO、約1250kg/時のCO、約1500kg/時のCO、約2000kg/時のCO、約2500kg/時のCO、約3000kg/時のCO、または約3500kg/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、リサイクルされた一酸化炭素の供給源は、少なくとも約3kmol/時のCO、少なくとも約5kmol/時のCO、少なくとも約7kmol/時のCO、少なくとも約9kmol/時のCO、少なくとも約10kmol/時のCO、少なくとも約15kmol/時のCO、少なくとも50kmol/時のCO、少なくとも100kmol/時のCO、または少なくとも150kmol/時のCOを提供することができる。一部の実施形態では、リサイクルされた一酸化炭素ストリーム中のCOの質量分率は、少なくとも約0.70、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、または少なくとも約0.85であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされた一酸化炭素ストリーム中のCOのモル分率は、少なくとも約0.70、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.896、少なくとも約0.9、または少なくとも約0.95であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされた一酸化炭素ストリーム中のCOのモル分率は、0.70~1.0、0.75~1.0、0.8~1.0、0.85~1.0、0.896~1.0、0.9~1.0、または0.95~1.0であり得る。また、カルボニル化反応系からリサイクルされた一酸化炭素ストリームは、未反応のエチレンオキシド(最大で約10kg/時、最大で15kg/時、最大で20kg/時、最大で25kg/時、最大で50kg/時、最大で75kg/時、最大で100kg/時、最大で150kg/時、最大で200kg/時もしくは最大で250kg/時、または約0.05~0.075の間、約0.055~0.07、約0.06~0.07、最大で約0.065、最大で約0.07もしくは最大で約0.075の質量分率の)、二次反応生成物であるアセトアルデヒド(最大で約0.5kg/時、最大で約1kg/時、最大で約1.3kg/時、最大で約2kg/時、最大で約4kg/時、最大で約6kg/時、最大で約10kg/時、最大で約13kg/時、または約0.001~0.009、約0.003~0.005もしくは最大約0.004、最大で約0.005もしくは最大で約0.009の質量分
率の)、bPL(最大で約0.005kg/時、最大で約0.01kg/時、最大で約0.015kg/時、最大で約0.019kg/時、最大で約0.05kg/時、最大で約0.1kg/時、最大で約0.15kg/時、または最大で約0.19kg/時の)、および残余溶媒(例えば、THF)を含み得る。
【0226】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約1250kg/時、少なくとも約1500kg/時、少なくとも約1600kg/時、少なくとも約1655kg/時、少なくとも約1700kg/時、少なくとも約4000kg/時、少なくとも約5000kg/時、少なくとも約700kg/時、少なくとも約8500kg/時、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約12500kg/時、少なくとも約15000kg/時、少なくとも約16000kg/時、少なくとも約16550kg/時、または少なくとも約17000kg/時で、一酸化炭素供給源から一酸化炭素を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約1000kg/時~約1700kg/時、約1250kg/時~約1700kg/時、約1500kg/時~約1700kg/時、約1600kg/時~約1700kg/時、約1655kg/時~約1700kg/時、1000kg/時~約17000kg/時、約1250kg/時~約17000kg/時、約1500kg/時~約17000kg/時、約1600kg/時~約17000kg/時、約1655kg/時~約17000kg/時、約1700kg/時~約17000kg/時、約2000kg/時~約17000kg/時、約3000kg/時~約17000kg/時、約4000kg/時~約17000kg/時、約6000kg/時~約17000kg/時、約8000kg/時~約17000kg/時、約1200kg/時~約17000kg/時、約1400kg/時~約17000kg/時、約1500kg/時~約17000kg/時、または約1600kg/時~約17000kg/時で、一酸化炭素供給源から一酸化炭素を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約1000kg/時、約1250kg/時、約1500kg/時、約1600kg/時、約1655kg/時、約1700kg/時、約2000kg/時、約1900kg/時、約2500kg/時、約3000kg/時、約4000kg/時、約6000kg/時、約8000kg/時、約10000kg/時、約12000kg/時、約13000kg/時、約14000kg/時、約15000kg/時、約16000kg/時、または約17000kg/時で、一酸化炭素供給源から一酸化炭素を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約35kmol/時、少なくとも約45kmol/時、少なくとも約50kmol/時、少なくとも約55kmol/時、または少なくとも約59kmol/時で、一酸化炭素供給源から一酸化炭素を受け取ることができる。既に論じた通り、一部の実施形態では、一酸化炭素供給源は、カルボニル化反応系からリサイクルされたいくらかの一酸化炭素を含み得る。したがって、一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口はまた、エチレンオキシド(約5~300kg/時、約10~200kg/時、約10~100kg/時、約10~50kg/時、約10~30kg/時、約10~20kg/時もしくは最大で約15kg/時、最大で約50kg/時、最大で約100kg/時、最大で約150kg/時、最大で約200kg/時、最大で約300kg/時、または約0.001~0.05、約0.005~0.02、または最大で約0.009、最大で約0.02もしくは最大で約0.05の質量分率の)、アセトアルデヒド(約0.25~15kg/時、約0.5~12.5kg/時、約0.25~10kg/時、約0.5~5kg/時、約0.25~1.5kg/時、約0.5~1.25kg/時もしくは最大で約0.9kg/時、最大で約1.5kg/時、最大で約3kg/時、最大で約6kg/時、最大で約12kg/時、最大で約15kg/時、または約0.001~0.05、約0.005~0.02もしくは最大で約0.009、最大で約0.02もしくは最大で約0.05の質量分率の)、および残余溶媒を、一酸化炭素供給源から受け取ることができる。一部の実施形態では、一酸化炭素供給源からのCOの質量分率は、少なくとも約0.9、少なくとも約0.95、少なくとも約0.985、また
は少なくとも約0.99であり得る。一部の実施形態では、一酸化炭素供給源からのCOのモル分率は、少なくとも約0.9、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.99、または少なくとも約0.995であり得る。一部の実施形態では、一酸化炭素供給源からのCOのモル分率は、0.9~1.0、0.95~1.0、0.98~1.0、0.99~1.0、または0.995~1.0であり得る。
【0227】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約10~170℃の間、約30~70℃の間、約40~60℃の間、約45~55℃の間、または約50℃の温度で、一酸化炭素供給源から一酸化炭素を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約50bar、約60~70bar、または少なくとも約65barの圧力で、一酸化炭素供給源から一酸化炭素を受け取ることができる。
溶媒供給源
【0228】
溶媒は、本明細書に記載される任意の溶媒、およびこのような溶媒の混合物から選択され得る。一部の変形形態では、溶媒は、有機溶媒である。ある特定の変形形態では、溶媒は、非プロトン性溶媒である。
【0229】
一部の実施形態では、溶媒には、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-イソ-ブチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジクロロメタンおよびヘキサン、ならびにこれらの任意の2つまたはそれよりも多くのものの混合物が含まれる。一般に、極性非プロトン性溶媒または炭化水素が、このステップに適している。
【0230】
さらに一変形形態では、β-ラクトンが共溶媒として利用され得る。他の変形形態では、溶媒には、エーテル、炭化水素および非プロトン性極性溶媒が含まれ得る。一部の実施形態では、溶媒には、テトラヒドロフラン(「THF」)、スルホラン、N-メチルピロリドン、1,3ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ジエチレングリコールジブチルエーテル、イソソルビドエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、二塩基性エステル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメトキシエタン、アセトン、およびメチルエチルケトンが含まれる。他の実施形態では、溶媒には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、スルホラン、N-メチルピロリドン、1,3ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ジエチレングリコールジブチルエーテル、イソソルビドエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、二塩基性エステル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ブタノン、シクロヘキサノン、トルエン、ジフルオロベンゼン、ジメトキシエタン、アセトン、およびメチルエチルケトンが含まれる。ある特定の変形形態では、溶媒は、極性供与溶媒である。一変形形態では、溶媒は、THFである。
【0231】
一部の実施形態では、触媒および/または溶媒ストリームは、供給物ストリームまたはカルボニル化反応系にリサイクルされる。一部の実施形態では、カルボニル化反応器または供給物ストリームにリサイクルされた反応生成物ストリームからの溶媒および/または触媒の部分は、約0%~約100%の範囲である。一部の実施形態では、カルボニル化反応器または供給物ストリームにリサイクルされた反応生成物ストリームからの溶媒および/または触媒の部分は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、または約0%である。一部の実施形態では、溶媒と比較して、異なる百分率の触媒がリサイクルされ、すなわち触媒または溶媒成
分のいずれかの割合は、等しくなくてもよい。
【0232】
再び図14に図示されている例示的な系を参照すると、一部の実施形態では、溶媒供給物1424は、溶媒をカルボニル化反応系入口1409に供給することができる。溶媒は、ポンプを使用してカルボニル化反応系に供給され得る。さらに、溶媒ストリーム、供給源、保存タンク等は、不活性雰囲気またはCO雰囲気下で維持され得る。一部の実施形態では、溶媒をカルボニル化反応系に供給する溶媒供給物は、新鮮な溶媒の供給源1404からの溶媒1408、BPL精製系からリサイクルされた溶媒1423、および/またはカルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム1412中の溶媒を含み得る。一部の実施形態では、BPL精製系からリサイクルされた溶媒は、補給用(make-up)溶媒リザーバー内に保存され得る。一部の実施形態では、溶媒をカルボニ
ル化反応系に供給する溶媒供給物は、補給用溶媒リザーバーからの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、溶媒は、その系からパージされ得る。一部の実施形態では、パージされた溶媒は、BPL精製系のリサイクルされた溶媒からの溶媒であり得る。一部の実施形態では、新鮮な溶媒の供給源からの溶媒はまた、BPL精製系からリサイクルされた溶媒を新鮮な溶媒で希釈するために、補給用溶媒リザーバーに保存される。一部の実施形態では、新鮮な溶媒は、カルボニル化反応系に入る前に、新鮮な溶媒の供給源から補給用溶媒リザーバーに供給される。一部の実施形態では、新鮮な溶媒の供給源、BPL精製系、およびカルボニル化触媒単離系からの溶媒は、カルボニル化触媒を阻害するおそれがある酸素および水を除去するために、吸着などの操作によって精製され得る。一部の実施形態では、カルボニル化反応系に入るすべてのストリーム中の酸素および/または水の量は、約500ppm未満、約250ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約2ppm未満、または約1ppm未満である。
【0233】
一部の実施形態では、新鮮な溶媒の供給源は、少なくとも約50kg/時の溶媒、少なくとも約100kg/時の溶媒、少なくとも約150kg/時の溶媒、少なくとも約188kg/時の溶媒、少なくとも約200kg/時の溶媒、少なくとも約250kg/時の溶媒、少なくとも約500kg/時の溶媒、少なくとも約1000kg/時の溶媒、少なくとも約1500kg/時の溶媒、少なくとも約1880kg/時の溶媒、少なくとも約2000kg/時の溶媒、または少なくとも約2500kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な溶媒の供給源は、約50kg/時~約250kg/時の溶媒、約100kg/時~約250kg/時の溶媒、約150kg/時~約250kg/時の溶媒、約188kg/時~約250kg/時の溶媒、約200kg/時~約250kg/時の溶媒、約50kg/時~約2500kg/時の溶媒、約100kg/時~約2500kg/時の溶媒、約150kg/時~約2500kg/時の溶媒、約188kg/時~約2500kg/時の溶媒、約200kg/時~約2500kg/時の溶媒、約250kg/時~約2500kg/時の溶媒、約500kg/時~約2500kg/時の溶媒、約1000kg/時~約2500kg/時の溶媒、約1500kg/時~約2500kg/時の溶媒、約1880kg/時~約2500kg/時の溶媒、約2000kg/時~約2500kg/時の溶媒、または約2250kg/時~約2500kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な溶媒の供給源は、約50kg/時の溶媒、約100kg/時の溶媒、約150kg/時の溶媒、約188kg/時の溶媒、約200kg/時の溶媒、約250kg/時の溶媒、約500kg/時の溶媒、約1000kg/時の溶媒、約1500kg/時の溶媒、約1880kg/時の溶媒、約2000kg/時の溶媒、または約2500kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、新鮮な溶媒の供給源は、少なくとも約1kmol/時の溶媒、少なくとも約2kmol/時の溶媒、少なくとも約2.6kmol/時の溶媒、少なくとも約3kmol/時の溶媒、少なくとも約50kmol/時の溶媒、少なくとも約100kmol/時の溶媒、少なくとも約150kmol/時の溶媒、少なくとも約250kmol/時の溶媒、
少なくとも約400kmol/時の溶媒、または少なくとも約500kmol/時の溶媒を提供することができる。
【0234】
一部の実施形態では、BPL精製系からリサイクルされた溶媒は、少なくとも約8000kg/時の溶媒、少なくとも約9000kg/時の溶媒、少なくとも約10000kg/時の溶媒、少なくとも約10444kg/時の溶媒、少なくとも約12000kg/時の溶媒、少なくとも約80000kg/時の溶媒、少なくとも約90000kg/時の溶媒、少なくとも約100000kg/時の溶媒、少なくとも約104440kg/時の溶媒、または少なくとも約120000kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、BPL精製系からリサイクルされた溶媒は、約8000kg/時~約12000kg/時の間の溶媒、約9000kg/時~約12000kg/時の間の溶媒、約10000kg/時~約12000kg/時の間の溶媒、約10444kg/時~約12000kg/時の間の溶媒、約8000kg/時~約120000kg/時の溶媒、約9000kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、約10000kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、約10444kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、約12000kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、約40000kg/時~約120000kg/時の溶媒、約60000kg/時~約120000kg/時の溶媒、約80000kg/時~約120000kg/時の溶媒、約90000kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、約100000kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、約104440kg/時~約120000kg/時の間の溶媒、または約120000kg/時~約120000kg/時の間の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、BPL精製系からリサイクルされた溶媒は、約8000kg/時の溶媒、約9000kg/時の溶媒、約10000kg/時の溶媒、約10444kg/時の溶媒、または約12000kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、BPL精製系からリサイクルされた溶媒は、少なくとも約100kmol/時の溶媒、少なくとも約120kmol/時の溶媒、少なくとも約140kmol/時の溶媒、少なくとも約145kmol/時の溶媒、少なくとも約150kmol/時の溶媒、少なくとも250kmol/時の溶媒、少なくとも350kmol/時の溶媒、または少なくとも500kmol/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、リサイクルされた溶媒ストリーム中の溶媒の質量分率は、少なくとも約0.85、少なくとも約0.90、少なくとも約0.95、または少なくとも約0.995であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされた溶媒ストリーム中の溶媒のモル分率は、少なくとも約0.85、少なくとも約0.90、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.99、または少なくとも約0.993であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされた溶媒ストリーム中の溶媒のモル分率は、0.85~1.0、0.90~1.0、0.95~1.0、0.98~1.0、0.99~1.0、または0.993~1.0であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされた溶媒ストリーム中の溶媒のモル分率は、約0.85、約0.90、約0.95、約0.98、約0.99、または約0.993であり得る。また、BPL精製系からリサイクルされた溶媒ストリームは、未反応の一酸化炭素(最大で約0.001kg/時、最大で約0.0025kg/時、最大で約0.005kg/時、最大で約0.01kg/時、最大で0.02kg/時、最大で約0.025kg/時、最大で約0.05kg/時、または最大で約0.01kg/時、または0~0.005kg/時の間、または0~0.05kg/時の間の) 未反応のエチレンオキシド(最大で約10kg/時、最大で約20kg/時、最大で約30kg/時、最大で約33kg/時、最大で約50kg/時、最大で約100kg/時、最大で約200kg/時もしくは最大で約330kg/時、または約0.001~0.005の間、約0.02~0.004もしくは最大で約0.003、最大で約0.004もしくは最大で約0.005の質量分率の)、二次反応生成物であるアセトアルデヒド(最大で約3kg/時、最大で約5kg/時、最大で約8.2kg/時、最大で約10kg/時、最大で約15kg/時、最大で30kg/時、最大で約50kg/時もしくは最大で約82kg/時、または最大で約0
.001の質量分率、または0~8.2kg/時の間の)、およびbPL(最大で約2kg/時、最大で約3kg/時、最大で約5kg/時、最大で約7kg/時、最大で約10kg/時、最大で約25kg/時、最大で約50kg/時もしくは最大で約70kg/時、または最大で約0.001の質量分率、または0~7kg/時の間もしくは0~70kg/時の間の)を含み得る。
【0235】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、少なくとも約1000kg/時の溶媒、少なくとも約1500kg/時の溶媒、少なくとも約1700kg/時の溶媒、少なくとも約1840kg/時の溶媒、少なくとも約2000kg/時の溶媒、少なくとも約5000kg/時の溶媒、少なくとも約10000kg/時の溶媒、少なくとも約15000kg/時の溶媒、少なくとも約17000kg/時の溶媒、少なくとも約18400kg/時の溶媒、または少なくとも約20000kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、約1000kg/時~約2000kg/時の溶媒、約1500kg/時~約2000kg/時の溶媒、約1700kg/時~約2000kg/時の溶媒、約1840kg/時~約2000kg/時の溶媒、約1000kg/時~約20000kg/時の溶媒、約1500kg/時~約20000kg/時の溶媒、約1700kg/時~約20000kg/時の溶媒、約1840kg/時~約20000kg/時の溶媒、約2000kg/時~約20000kg/時の溶媒、約5000kg/時~約20000kg/時の溶媒、約7500kg/時~約20000kg/時の溶媒、約12500kg/時~約20000kg/時の溶媒、約15000kg/時~約20000kg/時の溶媒、または約17500kg/時~約20000kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、約1000kg/時の溶媒、約1500kg/時の溶媒、約1700kg/時の溶媒、約1840kg/時の溶媒、約2000kg/時の溶媒、約2500kg/時の溶媒、約3000kg/時の溶媒、約5000kg/時の溶媒、約7000kg/時の溶媒、約10000kg/時の溶媒、約12500kg/時の溶媒、約15000kg/時の溶媒、または約20000kg/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、少なくとも約10kmol/時の溶媒、少なくとも約15kmol/時の溶媒、少なくとも約20kmol/時の溶媒、少なくとも約25kmol/時の溶媒、少なくとも約30kmol/時の溶媒、少なくとも約50kmol/時の溶媒、少なくとも約75kmol/時の溶媒、少なくとも約100kmol/時の溶媒、少なくとも約150kmol/時の溶媒、少なくとも約175kmol/時の溶媒、少なくとも約200kmol/時の溶媒、少なくとも約250kmol/時の溶媒、または少なくとも約300kmol/時の溶媒を提供することができる。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中の溶媒の質量分率は、少なくとも約0.60、少なくとも約0.65、少なくとも約070、または少なくとも約0.74であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中の溶媒のモル分率は、少なくとも約0.60、少なくとも約0.65、少なくとも約0.70、少なくとも約0.75、少なくとも約0.80、または少なくとも約0.85であり得る。一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームはまた、未反応の一酸化炭素(最大で約0.5kg/時、最大で約1kg/時、最大で約1.2kg/時、最大で約1.5kg/時、最大で5kg/時、最大で約10kg/時、最大で約12kg/時もしくは最大で約15kg/時、または最大で約0.001の質量分率の)、未反応のエチレンオキシド(最大で約10kg/時、最大で約20kg/時、最大で30kg/時、最大で33kg/時、最大で約100kg/時、最大で約200kg/時、最大で300kg/時もしくは最大で330kg/時、または約0.005~0.01の間、約0.01~0.05もしくは最大で約0.014もしくは最大で約0.10の質量分率の)、二次反応生成物であるアセトアルデヒド(最大で約1kg
/時、最大で約2kg/時、最大で約3.3kg/時、最大で10kg/時、最大で約20kg/時もしくは最大で約33kg/時、または最大で約0.01の質量分率の)、二次反応生成物である無水コハク酸(最大で約1kg/時、最大で約2kg/時、最大で約3kg/時、最大で10kg/時、最大で約20kg/時もしくは最大で約30kg/時、または最大で約0.01の質量分率の)、bPL(最大で約250kg/時、最大で約400kg/時、最大で約500kg/時、最大で約545kg/時、最大で約1000kg/時、最大で約2500kg/時、最大で約4000kg/時もしくは最大で約5450kg/時、または最大で約0.1、最大で約0.15、最大で約0.2、最大で約0.22もしくは最大で約0.23の質量分率の)、およびカルボニル化触媒またはその成分を含み得る。
【0236】
カルボニル化触媒成分には、例えば、触媒の分解によって生成された化合物、触媒を生成するために使用された化合物、触媒の一部であった金属または金属イオン、触媒の一部であった任意の有機化合物、触媒の一部であった金属カルボニルまたは金属錯体が含まれ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒成分は、コバルト酸カルボニル、アルミニウムサレン化合物、アルミニウムポルフィリン化合物、アルミニウムサロフェン化合物、コバルトもしくはコバルトイオン、またはアルミニウムもしくはアルミニウムイオン、またはこれらの任意の組合せである。
【0237】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、少なくとも約25kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約35kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約45kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約50kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約53kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約100kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約250kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約350kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約450kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約500kg/時のカルボニル化触媒、少なくとも約530kg/時のカルボニル化触媒を提供することができる。一部の実施形態では、カルボニル化触媒単離系からリサイクルされたカルボニル化触媒ストリームは、少なくとも約0.01kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.025kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.04kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.05kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.056kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.1kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.25kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.4kmol/時のカルボニル化触媒、少なくとも約0.5kmol/時のカルボニル化触媒、または少なくとも約0.56kmol/時のカルボニル化触媒を提供することができる。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中のカルボニル化触媒の質量分率は、少なくとも約0.002、少なくとも約0.015、少なくとも約0.02、または少なくとも約0.022であり得る。一部の実施形態では、リサイクルされたカルボニル化触媒ストリーム中のカルボニル化触媒のモル分率は、少なくとも約0.0002、少なくとも約0.0015、少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、少なくとも約0.004、または少なくとも約0.005であり得る。
【0238】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約11000kg/時、少なくとも約12000kg/時、少なくとも約12250kg/時、少なくとも約13000kg/時、少なくとも約25000kg/時、少なくとも約50000kg/時、少なくとも約100000kg/時、少なくとも約110000kg/時、少なくとも約120000kg/時、少なくとも約122500kg/時、または少なくとも約130000kg/時で、溶媒供給物1424から溶媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約150kmol/時、少なくとも約160kmol/時、少なくとも約170km
ol/時、少なくとも約180kmol/時、少なくとも約190kmol/時、少なくとも約500kmol/時、少なくとも約1000kmol/時、少なくとも約1500kmol/時、少なくとも約1600kmol/時、少なくとも約1700kmol/時、少なくとも約1800kmol/時、または少なくとも約1900kmol/時で、溶媒供給物から溶媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への溶媒供給物中の溶媒の量は、カルボニル化反応系における滞留時間が所定の時間であることを確実にするために、決定することができる。例えば、滞留時間は、約1~500分、約20~450分、約30~300分、約35~200分、または約40~80分であり得る。既に論じた通り、一部の実施形態では、カルボニル化反応系に導入された溶媒は、カルボニル化触媒単離系およびBPL精製系からリサイクルされたいくらかの溶媒を含み得る。したがって、一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口はまた、一酸化炭素(約0.1~10kg/時、約0.5~5kg/時、約0.1~10kg/時、約0.1~50kg/時、約0.1~100kg/時、約0.5~50kg/時、最大で約50kg/時、最大で約10kg/時、最大で約5kg/時、最大で約3kg/時、または最大で約1.3kg/時の)、エチレンオキシド(約40~80kg/時、約50~70kg/時、約40~150kg/時、約40~250kg/時、約50~500kg/時、約50~800kg/時、最大で約800kg/時、最大で約500kg/時、最大で約250kg/時、80kg/時、最大で約70kg/時もしくは最大で約66kg/時、または約0.001~0.01、約0.002~0.007もしくは最大で約0.01、最大で約0.005の質量分率の)、アセトアルデヒド(約1~200kg/時、約1~150kg/時、約1~100kg/時、約1~50kg/時、約1~20kg/時、約5~15kg/時もしくは最大で約200kg/時、最大で約150kg/時、最大で約100kg/時、最大で約50kg/時、最大で約20kg/時、最大で約15kg/時もしくは最大で約11kg/時、または最大で約0.001の質量分率の)、無水コハク酸(約1~100kg/時、約1~50kg/時、1~10kg/時、約1~5kg/時、または最大で約50kg/時、最大で約10kg/時、5kg/時、または最大で約3kg/時の)、bPL(最大で約2000kg/時、最大で約1500kg/時、最大で約1000kg/時、最大で約500kg/時、200kg/時、最大で約300kg/時、最大で約500kg/時、最大で約550kg/時もしくは最大で約600kg/時、または最大で0.1、最大で約0.075、最大で約0.05もしくは最大で約0.043の質量分率の)、およびカルボニル化触媒またはその成分を、溶媒供給物から受け取ることができる。一部の実施形態では、溶媒供給物からの溶媒の質量分率は、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、少なくとも約0.94、または少なくとも約0.95であり得る。一部の実施形態では、溶媒供給物からの溶媒のモル分率は、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、少なくとも約0.94、または少なくとも約0.95であり得る。
【0239】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約750kg/時、少なくとも約600kg/時、少なくとも約530kg/時、少なくとも約500kg/時、少なくとも約250kg/時、少なくとも約100kg/時、少なくとも約75kg/時、少なくとも約60kg/時、少なくとも約53kg/時、または少なくとも約50kg/時で、溶媒供給物からカルボニル化触媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約1kmol/時、少なくとも約0.8kmol/時、少なくとも約0.75kmol/時、少なくとも約0.56kmol/時、または少なくとも約0.5kmol/時、少なくとも約0.25kmol/時、少なくとも約0.1kmol/時、少なくとも約0.1kmol/時、少なくとも約0.075kmol/時、少なくとも約0.056kmol/時、または少なくとも約0.05kmol/時で、溶媒供給物からカルボニル化触媒を受け取ることができる。一部の実施形態では、溶媒供給物からのカルボニル化触媒の質量分率は、少なくとも約0.0002、少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、ま
たは少なくとも約0.004であり得る。
【0240】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、約10~100℃の間、約20~50℃の間、約25~45℃の間、約30~40℃の間、または約36.6℃の温度で、溶媒供給物を受け取ることができる。一部の実施形態では、カルボニル化反応系への入口は、少なくとも約50bar、約60~70bar、または少なくとも約65barの圧力で、溶媒供給物を受け取ることができる。
他の供給物の供給源
【0241】
β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスは、他の供給物の供給源をさらに含み得る。例えば、一変形形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスは、ルイス塩基添加剤の供給源をさらに含む。
【0242】
一部の実施形態では、ルイス塩基添加剤は、カルボニル化反応器に添加され得る。ある特定の実施形態では、このようなルイス塩基添加剤は、触媒を安定化するか、または触媒の失活を低減することができる。一部の実施形態では、ルイス塩基添加剤は、ホスフィン、アミン、グアニジン、アミジン、および窒素含有複素環からなる群から選択される。一部の実施形態では、ルイス塩基添加剤は、ヒンダードアミン塩基である。一部の実施形態では、ルイス塩基添加剤は、2,6-ルチジン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、トリヘキシルアミンおよびトリフェニルホスフィンである。
【0243】
また、図14に図示されている例示的な系は、カルボニル化生成物ストリーム1414、単離後のカルボニル化生成物ストリーム1416、BPL精製ストリーム1418、PPL生成物ストリーム1420、およびGAA生成物ストリーム1422を含む。
反応器
【0244】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系は、カルボニル化反応のための少なくとも1つの反応器を含み得る。一部の実施形態では、カルボニル化系は、カルボニル化反応のための直列および/または並列の複数の反応器を含み得る。一部の実施形態では、反応器(複数可)は、連続反応器(複数可)であり得る。適切な連続反応器の例として、チューブ状の反応器(すなわち、栓流タイプの反応器)、固定床反応器、流動床反応器、連続撹拌タンク反応器(「CSTR」)、熱交換器反応器(例えば、シェルおよびチューブタイプ反応器)、ループ反応器(例えば、Buss、ジェット等)、膜反応器、または当業者に公知の他の反応器が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、カルボニル化反応系は、1つまたは複数のCSTRを含む。カルボニル化反応系へのすべての入口および出口は、流速、組成(特に、水および/または酸素の含量)、温度、圧力、および当業者に公知の他の変数を決定することができるセンサーを含み得る。さらにセンサーは、センサーユニットによって決定されたプロセスの必要に基づいてそのプロセスを調整するために、様々なストリームを制御することができる制御ユニット(すなわち、供給制御装置)に接続され得る。このような制御ユニットは、系の質およびプロセス制御を調整することができる。
【0245】
一部の変形形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにおける反応器は、触媒、エチレンオキシドおよび一酸化炭素を、ある特定の比で受け取るように構成される。一部の実施形態では、触媒とエチレンオキシドの比は、反応が、経済的に、時間的に実行可能な方式で進行するように、他の反応条件に基づいて選択される。一部の実施形態では、触媒とエチレンオキシドの比は、モル基準で約1:10000である。一部の実施形態では、触媒とエチレンオキシドのモル比は、約1:5000であるか、約1:2500であるか、約1:2000であるか、約1:1500であるか、約1:1000であるか
、約1:750であるか、約1:500であるか、約1:250であるか、約1:200であるか、約1:150であるか、または約1:100である。一部の実施形態では、エチレンオキシドの濃度は、約0.1M~約5.0Mの間の範囲である。一部の実施形態では、エチレンオキシドの濃度は、約0.5M~約3.0Mの間の範囲である。
【0246】
ある特定の実施形態では、反応ストリーム中の一酸化炭素とエチレンオキシドのモル比は、約0.1:1~約100:1の範囲である。ある特定の実施形態では、反応ストリーム中の一酸化炭素とエチレンオキシドのモル比は、約50:1であるか、約20:1であるか、約10:1であるか、約5:1であるかもしくは約1:1であるか、またはこれらの比のいずれか2つを含めた範囲内である。一部の実施形態では、エチレンオキシドに対する一酸化炭素の比は、反応が、経済的に、時間的に実行可能な方式で進行するように、他の反応条件に基づいて選択される。
【0247】
一部の変形形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにおける反応器は、1つまたは複数の追加の成分をさらに受け取るように構成される。ある特定の実施形態では、追加の成分は、エチレンオキシドの化学反応に直接的に関与しない希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、このような希釈剤には、1つまたは複数の不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等)または揮発性有機分子、例えば炭化水素、エーテル等が含まれ得る。ある特定の実施形態では、反応ストリームは、水素、一酸化炭素または二酸化炭素、メタン、および工業的な一酸化炭素ストリームに一般に見出される他の化合物を含み得る。ある特定の実施形態では、このような追加の成分は、エチレンオキシドのβ-プロピオラクトンおよび様々な最終生成物への変換に関与するプロセスのうちの1つまたは複数において、直接的または間接的な化学的機能を有することができる。また、追加の反応物は、一酸化炭素および別のガスの混合物を含み得る。例えば上記の通り、ある特定の実施形態では、一酸化炭素は、水素との混合物(例えば、合成ガス)で提供される。
【0248】
カルボニル化反応は発熱性なので、使用される反応器は、反応塊の冷却のための外部循環ループを含み得る。一部の実施形態では、反応器はまた、冷却のための内部熱交換器を含み得る。例えば、シェルおよびチューブタイプ反応器の場合、反応物(reactors)は、反応器のチューブ部分を介して流れることができ、冷却媒体は、反応器のシェルを介して流れることができ、またはその逆も同じである。熱交換器系は、レイアウト、反応器の選択、ならびに反応器の物理的な場所に応じて変わり得る。反応器は、冷却/加熱するために、反応器外部に熱交換器を用いることができ、または反応器は、チューブおよびシェル反応器などの統合型熱交換器を有することができる。例えば、CSTRは、外部熱交換器を介して反応流体の一部をポンプ注入することによって熱を排除するためのレイアウトを利用することができ、または栓流タイプの反応器は、反応器と熱交換器を単一のユニットに組み合わせた統合型ユニットであってよい。追加の反応器/熱交換器系および熱管理系は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第3,128,163号、同第4,759,313号、同第8,246,915号に見出され得る。一部の実施形態では、熱は、反応器ジャケット内の冷却剤、1つもしくは複数の内部冷却コイル、低温供給装置および/もしくはリサイクルストリーム、ループ周囲にポンプを有する外部熱交換器(exchange)、ならびに/または当業者に公知の他の方法を使用することによって、CSTRから除去することができる。一部の実施形態では、熱は、反応器ジャケット内の冷却剤および/または内部冷却コイルを使用することによって、栓流タイプの反応器またはループ反応器(reaction)から除去することができる。さらに反応は、シェルおよびチューブ反応器のチューブ側またはシェル側で生じ得、他方の側は、冷却媒体を有することができる。さらに反応器は、様々な熱伝達領域ならびに/または熱伝達流体の温度および流れを有する複数の冷却ゾーンを有することができる。
【0249】
用いられる反応器のタイプおよび用いられる熱交換器のタイプ(外部のまたは統合型の
いずれか)は、様々な化学的考慮事項(例えば、反応変換、副生成物等)、生成された発熱度、および反応のための混合要件によって変わり得る。
【0250】
カルボニル化反応は、発熱反応であり、BPL精製系および熱分解は、エネルギーを必要とするので、カルボニル化反応系と、BPL精製系および/または熱分解系の間の成分の少なくともいくらかを統合することが可能である。例えば、蒸気または調温(tempered)水または他の適切な熱伝達媒体は、カルボニル化反応系の熱交換器内で生成され、例えば蒸留塔を加熱するためにBPL精製系に移すことができる。さらに、BPL精製系およびカルボニル化反応系は、カルボニル化反応から生成された熱が、BPL精製系(エバポレーターまたは蒸留塔内)で使用され得るように、単一の系またはユニットに統合され得る。蒸気は、熱交換器の反応流体と水/蒸気の間の温度勾配を介して、熱交換器(例えば、シェルおよびチューブ熱交換器、反応器の冷却ジャケット等)内で生じ得る。蒸気は、発熱ユニット(カルボニル化反応、重合反応)と吸熱ユニット(BPL精製系の塔/エバポレーターおよび熱分解反応)の間の熱統合のために使用され得る。一部の実施形態では、蒸気は、熱の管理および統合のためだけに使用され、生成プロセスに直接的に導入されない。
【0251】
既に記載した通り、水および酸素は、カルボニル化触媒を損傷するおそれがある。したがって、カルボニル化系への酸素および水の侵入も、最小限に抑えられるべきである。したがって、反応器の封止には、カルボニル化反応の反応物および生成物と適合性があるが大気透過性でない、磁気駆動、二重機械封止、および/または構築材料を利用することができる。一部の実施形態では、反応器の構築材料は、金属を含む。一部の実施形態では、金属は、ステンレス鋼であり得る。一部の実施形態では、金属は、炭素鋼であり得る。一部の実施形態では、金属は、金属合金、例えばニッケル合金であり得る。一部の実施形態では、金属は、適合性またはプロセス条件によって、例えば高い塩化物含量が指示される場合、または炭素鋼がEOの分解を触媒する場合に選択される。一部の実施形態では、重合反応系に至るまでのすべてが、炭素鋼を含み得る。ステンレス鋼を上回る炭素鋼の利益の1つは、その費用である。一部の実施形態では、金属は、ポリマー核形成部位を最小限に抑えるために、表面仕上げを有することができる。また、反応器の構築材料は、エラストマー封止を含み得る。一部の実施形態では、エラストマー封止は、カルボニル化反応の反応物および生成物と適合性があるが、大気透過性ではない。エラストマー封止の例として、Kalrez 6375、Chemraz 505、PTFEカプセル化Viton、およびPEEKが挙げられるが、これらに限定されない。カルボニル化反応系の外部部分の構築材料は、環境と適合性があり得、例えば、砂、塩水と適合性があり得、熱吸収性でなく、環境から装備を保護することができる。
【0252】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系は、重合反応系の前に、PPLおよびポリエチレンオキシドの形成を最小限に抑えるか、または軽減するように操作される。一部の実施形態では、カルボニル化反応系は、触媒の分解を回避するように操作される。
【0253】
一部の実施形態では、カルボニル化反応器(複数可)は、リサイクルされた一酸化炭素ストリームとしての未反応の一酸化炭素をカルボニル化反応系から分離するための還流凝縮器を備えた、下流フラッシュタンクを有することができる。既に記載した通り、リサイクルされた一酸化炭素ストリームは、CO圧縮機に送られ、かつ/または新鮮な一酸化炭素供給物と合わされた後、カルボニル化反応系に送り戻され得る。フラッシュタンクは、COの大部分を分離して、特にカルボニル化触媒単離系における下流でのその分離を回避することができる。一部の実施形態では、過剰のガスは、反応器自体から除去されるか、またはパージされ、したがってフラッシュタンクは必要ではない。
【0254】
一部の実施形態では、カルボニル化反応器(複数可)は、約40~100℃、約50~
90℃、約60~80℃、約65~75℃、または約70℃の温度で操作され得る。一部の実施形態では、反応温度は、約-20℃~約600℃の間の範囲であり得る。一部の実施形態では、反応温度は、約-20℃、約0℃、約20℃、約40℃、約60℃、約80℃、約100℃、約200℃、約300℃、約400℃、約500℃または約、約600℃である。一部の実施形態では、温度は、約40℃~約120℃の間の範囲である。一部の実施形態では、温度は、約60℃~約140℃の間の範囲である。一部の実施形態では、温度は、約40℃~約80℃の間の範囲である。一部の実施形態では、温度は、約50℃~約70℃の間の範囲である。一部の実施形態では、反応物、触媒および溶媒は、標準温度で反応器に供給され、次いで反応器内で加熱される。一部の実施形態では、反応物は、反応器に入る前に予熱される。
【0255】
一部の実施形態では、カルボニル化反応器(複数可)は、約600~1200psig、約700~1100psig、約800~1000psig、約850~950psig、または約900psigの圧力で操作され得る。一部の実施形態では、反応圧力は、約50psig~約5000psigの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、反応圧力は、約100psig、約200psig、約300psig、約400psig、約500psig、約600psig、約700psig、約800psig、約900psig、または約1000psigである。一部の実施形態では、その圧力は、約50psig~約2000psigの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約100psig~1000psigの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約200psig~約800psigの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約800psig~約1600psigの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約1500psig~約3500psigの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約3000psig~約5500psigの範囲である。一部の実施形態では、反応圧力は、一酸化炭素によって完全に供給される。例えば、一酸化炭素は、圧力を反応圧力に増大するために、高圧で反応器に添加される。一部の実施形態では、すべての反応物、溶媒および触媒は、反応圧力で反応器に供給される。
【0256】
一部の実施形態では、反応は、反応速度論およびまたは反応条件に基づいて、エチレンオキシドのカルボニル化生成物への完全な反応、ほぼ完全な反応、または可能な限り完全な反応を可能にするのに十分な時間にわたって維持される。一部の実施形態では、反応時間は、ステップ(a)におけるカルボニル化反応器内の滞留時間である。ある特定の実施形態では、滞留時間は、約12時間、約8時間、約6時間、約3時間、約2時間または約1時間である。ある特定の実施形態では、滞留時間は、約30分、約20分、約15分、約10分、約5分、約3分、約2分、または約1分である。ある特定の実施形態では、滞留時間は、1分未満である。
【0257】
カルボニル化反応系に関与する化学には、以下の3つの反応、(1)CO+EO→bPL、(2)EO→アセトアルデヒド、(3)bPL→無水コハク酸が含まれ得るが、これらに限定されない。3つの反応に関する変換率は、反応物の量、触媒の量、温度、圧力、流速等を含めた多くの因子に応じて変わり得る。しかし、第1の反応は、約0.2~0.999、約0.5~0.95、約0.6~0.9、約0.7~0.8、または約0.75のEO変換率を有することができる。第2の反応は、約0~0.1、約0.001~0.02、約0.002~0.01、または約0.005のEO変換率を有することができる。第3の反応は、約0.0002~0.02、約0.0005~0.01、約0.001~0.003、または約0.002のbPL変換率を有することができる。
【0258】
図15は、本明細書に開示されるカルボニル化反応系の例示的な実施形態を示す。カルボニル化反応系1513は、カルボニル化反応器1525のためのカルボニル化反応系入口1509を含み得る。既に記載した通り、その入口は、反応系への複数の入口または供
給口を構成することができる。さらに、カルボニル化反応系1513は、フラッシュタンク1526と凝縮器1527を含む。フラッシュタンク1526および凝縮器1527は、反応器生成物ストリームを、リサイクルされた一酸化炭素ストリーム1510とカルボニル化生成物ストリーム1514に分離する。
カルボニル化生成物ストリーム(すなわち、BPL生成物ストリーム)
【0259】
一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリームは、少なくとも約2000kg/時のbPL、少なくとも約2500kg/時のbPL、少なくとも約3000kg/時のbPL、少なくとも約3500kg/時のbPL、少なくとも約3638kg/時のbPL、少なくとも約4000kg/時のbPL、少なくとも約8000kg/時のbPL、少なくとも約12000kg/時のbPL、少なくとも約16000kg/時のbPL、少なくとも約20000kg/時のbPL、少なくとも約25000kg/時のbPL、少なくとも約30000kg/時のbPL、少なくとも約35000kg/時のbPL、少なくとも約36380kg/時のbPL、または少なくとも約40000kg/時のbPLを含む。一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL~約4000kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~約4000kg/時のbPL、約3000kg/時のbPL~約4000kg/時のbPL、約3500kg/時のbPL~約4000kg/時のbPL、約3638kg/時のbPL~約4000kg/時のbPL、約2000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約3000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約3500kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約3638kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約4000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約8000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約12000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約16000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約20000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約25000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、約30000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPL、または約35000kg/時のbPL~約40000kg/時のbPLを含む。
【0260】
一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリームは、少なくとも約30kmol/時のbPL、少なくとも約40kmol/時のbPL、少なくとも約45kmol/時のbPL、少なくとも約50kmol/時のbPL、少なくとも約55kmol/時のbPL、少なくとも約100kmol/時のbPL、少なくとも約200kmol/時のbPL、少なくとも約300kmol/時のbPL、少なくとも約400kmol/時のbPL、少なくとも約450kmol/時のbPL、少なくとも約500kmol/時のbPL、または少なくとも約550kmol/時のbPLを含む。一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリーム中のbPLの質量分率は、約0.1~0.4、約0.15~0.3、約0.18~0.25、約0.2~0.23、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、または少なくとも約0.224であり得る。一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.1~0.4、約0.15~0.3、約0.18~0.25、約0.21~0.23、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、または少なくとも約0.22であり得る。また、カルボニル化生成物ストリームは、未反応のエチレンオキシド(約0.005~0.05、約0.02~0.045、約0.04、最大で約0.014、最大で約0.02、または最大で約0.05の質量分率の)、未反応の一酸化炭素(約0.0005~0.01、最大で約0.01、または最大で約0.02の質量分率の)、アセトアルデヒド(約0.0005~0.001、最大で約0.001、または最大で約0.002の質量分率の)、無水コハク酸(約0.0005~0.001、最大で約0.001、または最大で約0.002の質量分率の)、カルボニル化触媒(約40~640kg/時、約45~600kg/時、約50~600kg/
時、約50~300kg/時、約50~100kg/時、約40~64kg/時、約45~60kg/時、約50~60kg/時、最大で54.8kg/時、最大で約60kg/時、最大で300kg/時もしくは最大で600kg/時、または約0.001~0.005、約0.002~0.004、最大で約0.003もしくは最大で約0.004の質量分率の)、および残余溶媒を含めた他の成分を含み得る。一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリームは、無水物の形成を防止するのに十分なエチレンオキシドを含み得る。
【0261】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系からのカルボニル化生成物ストリームは、約50~100℃、約60~90℃、約65~75℃、または約70℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、カルボニル化生成物ストリームは、約1~5bar、約2~4bar、または約3barの圧力を有することができる。
【0262】
一部の実施形態では、カルボニル化反応系は、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.8%の選択率を有する。一部の実施形態では、カルボニル化反応系は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の収率を有する。一部の実施形態では、bPLの選択率は、エチレンオキシド変換率に対するbPL収率の比であり、ここでbPL収率は、エチレンオキシドに対して測定される。他の実施形態では、bPLの選択率は、一酸化炭素変換率に対するbPL収率の比であり、ここでbPL収率は、一酸化炭素に対して測定される。
カルボニル化触媒リサイクル系
【0263】
再び図1を参照すると、カルボニル化触媒リサイクル系は、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中に存在するカルボニル化触媒の少なくとも一部またはその成分を回収するために用いることができる。こうして回収されたカルボニル化触媒は、リサイクルされ、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにおいて再使用され得る。
【0264】
カルボニル化触媒成分には、例えば、触媒の分解によって生成された化合物、触媒を生成するために使用された化合物、触媒の一部であった金属または金属イオン、触媒の一部であった任意の有機化合物、触媒の一部であった金属カルボニルまたは金属錯体が含まれ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒成分は、コバルト酸カルボニル、アルミニウムサレン化合物、アルミニウムポルフィリン化合物、アルミニウムサロフェン化合物、コバルトもしくはコバルトイオン、またはアルミニウムもしくはアルミニウムイオン、またはこれらの任意の組合せである。
【0265】
当技術分野で公知の任意の適切な方法および技術は、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中に存在するカルボニル化触媒の少なくとも一部を回収するために使用され得る。このような方法および技術には、例えば、ナノ濾過(図1に図示されている)、蒸留、液体-液体抽出、イオン性液体、およびイオン交換、または吸着が含まれ得る。本明細書に記載される方法および技術の組合せを用いることもできる。
ナノ濾過
【0266】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、ナノ濾過の使用を含む。例えば、ナノ濾過膜が使用され得る。一部の変形形態では、ナノ濾過膜は、有機溶媒に安定なナノ濾過膜である。任意のナノ濾過膜を、カルボニル化反応と適合性がある任意の有機溶媒または有機溶媒系と組み合わせて使用することができるが、ナノ濾過膜は、そのプロセスによって、所定レベルのラクトンの形成、および触媒-ラクトンの分離が達成されるように、1つまたは複数の有機溶媒と組み合わせて選択され得る。一部の変形形態では、ナノ濾過膜は、ポリマーナノ濾過膜であり、一方で他の変形形態では、ナノ濾過膜は、セラ
ミックナノ濾過膜である。
【0267】
一部の実施形態では、ナノ濾過膜は、ポリマー膜である。本明細書に記載される方法では、任意の適切なポリマー膜が使用され得る。例えば一部の変形形態では、ポリマー膜は、ポリイミド、ポリアミド-イミド、シリコーンでコーティングされたポリアミド複合物、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル支持体に担持されたポリジメチルシロキサンフィルム、シリコーン(silcone)、ポリホスファゼン、ポリフェニレンスルフィド
、ポリエーテルエーテルケトン、またはポリベンゾイミダゾールを含む。ある特定の変形形態では、ポリマー膜は、シリコーン骨格を有する。
【0268】
ある特定の変形形態では、ポリマー膜は、Membrane Extraction Technology Ltd(Wembley、英国)によって商標STARMEMで販売されているものおよびポリイミドから作製された一体化スキン構造の(integrally skinned)非対称膜を含めたポリイミド、ポリアミド-イミド、シリコーンでコーティン
グされたポリアミド複合物、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル支持体に担持されたポリジメチルシロキサンフィルム、シリコーン、ポリホスファゼン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリベンゾイミダゾールから選択される。一部の実施形態では、有機溶媒は、テトラヒドロフランであり、ナノ濾過膜は、Lenzing P84またはST ARMEM(登録商標)ポリイミド膜から作製された、一体化スキン構造の非対称ポリイミド膜である。一部の実施形態では、有機溶媒は、ジエチルエーテルであり、ナノ膜は、シリコーンでコーティングされたポリアミド複合体である。一部の実施形態では、ナノ濾過膜は、市販の膜である。他の実施形態では、ナノ濾過膜は、Lenzing P84から作製され、GMT Membrantechnik
GmbH(Rheinfelden、ドイツ)によって製造された、一体化スキン構造の非対称ポリイミド膜である。一部の他の実施形態では、ナノ濾過膜は、Membrane Extraction Technology Ltd(Wembley、英国)製のSTARMEM(登録商標)ポリイミド膜であり、ナノ濾過ステップは、50℃未満の温度および60bar未満の圧力で実施される。さらに他の実施形態では、ナノ濾過膜は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,887,380号に開示されているような、シリコーンでコーティングされた有機溶媒抵抗性ポリアミド複合体のナノ濾過膜である。
【0269】
他の変形形態では、ナノ濾過膜は、無機材料を含むセラミック膜である。
【0270】
様々なコンフィギュレーションのナノ濾過膜を、カルボニル化触媒リサイクル系において用いることができる。例えば一部の実施形態では、膜は、板枠式(plate-and-frame)
膜である。図3を参照すると、膜310を使用する例示的なカルボニル化触媒リサイクル系300が図示されている。供給物302は、例えば、β-プロピオラクトン、カルボニル化溶媒、少量のエチレンオキシドおよび一酸化炭素、カルボニル化触媒、ならびに副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよび無水コハク酸)を含み得る。供給物302は、ポンプ306および308を介して膜に移される。センサー304は、ポンプ306の前に位置して、供給物302が膜310を介してポンプ注入される速度を調節する。一部の変形形態では、センサー304は、紫外線(UV)センサーであり得る。他の適切なセンサーを用いることもできる。供給物302は、ポンプの設定点に従って変わる膜透過圧によって、膜310を通過する。一部の変形形態では、膜310は、図3に図示されている通り、板枠式膜である。しかし他の変形形態では、他の適切な膜が使用され得る。例えば他の変形形態では、カルボニル化触媒リサイクル系300の膜310は、渦巻き型の膜またはチューブ状の膜であってよく、このような代替コンフィギュレーションは、以下にさらに詳細に論じられる。
【0271】
再び図3を参照すると、膜310は、透過液ストリーム316および保持液ストリーム324を生成する。透過液ストリーム316は、例えば、β-プロピオラクトン、カルボニル化溶媒、少量のエチレンオキシドおよび一酸化炭素、副生成物(例えば、アセトアルデヒドおよび無水コハク酸)、ならびに微量のカルボニル化触媒を含み得る。さらに、透過液ストリーム316は、少なくとも0.5L/m時間bar、少なくとも0.6L/m時間bar、少なくとも0.7L/m時間bar、少なくとも0.8L/m時間bar、少なくとも0.9L/m時間bar、少なくとも1.0L/m時間bar、少なくとも1.1L/m時間bar、少なくとも1.2L/m時間bar、少なくとも1.3L/m時間bar、少なくとも1.4L/m時間bar、少なくとも1.5L/m時間bar、少なくとも1.6L/m時間bar、少なくとも1.7L/m時間bar、少なくとも1.8L/m時間bar、少なくとも1.9L/m時間bar、少なくとも2L/m時間bar、少なくとも2.5L/m時間bar、少なくとも3L/m時間bar、少なくとも3.5L/m時間barもしくは少なくとも4L/m時間bar、または0.5L/m時間bar~5L/m時間barの間もしくは3L/m時間bar~4.5L/m時間barの間もしくは0.5L/m時間bar~10L/m時間barの間もしくは3L/m時間bar~10L/m時間barの間の透過度を有することができる。一部の変形形態では、透過度(または膜透過度)は、特定の膜透過圧(TMP)で特定の表面積を透過する材料の体積流速を指す。一部の変形形態では、膜透過圧は、膜の保持液側と膜の透過液側の間の圧力差である。一部の実施形態では、この関係は、透過度=体積流速/(表面積×TMP)として表すことができる。一部の実施形態では、透過度は、既知のTMPで既知の表面積の膜試料を透過する材料の流速を測定することによって決定され得る。
【0272】
センサー312は、透過液ストリーム316の内容物を分析するために、膜310の後に位置する。一部の変形形態では、センサー312は、UVセンサーであり得る。他の適切なセンサーを用いることもできる。
【0273】
カルボニル化触媒リサイクル系300は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%、または100%の触媒の排除を達成するように構成される。一部の変形形態では、触媒排除は、膜を透過しない触媒と比較して膜を透過し、膜の保持液側に保持される、触媒の百分率(質量による)を指す。触媒排除は、例えば、膜供給物、透過液および保持液における触媒濃度を検出するための分析機器を使用することを含めた、当技術分野の任意の適切な方法によって決定され得る。
【0274】
再び図3を参照すると、圧力制御弁314は、センサー312の後に位置し、上流のフラッシュユニットにバイアスをかける。一部の実施形態では、圧力制御弁(PCV)314は、膜の性能に影響を及ぼし得る膜透過圧(TMP)を制御するために使用され得る。センサー312は、触媒排除を検出し、PCV314にフィードバックシグナルを提供して、系の性能のための調整を行うことができる。PCV314は、一部の実施形態では、上流フラッシュタンクの圧力を検出し、圧力が膜を横切って変化するときに、揮発種(例えば、一酸化炭素)が気化するのを防止することができる。膜を横切る気化またはフラッシュは、膜の耐久性に影響を及ぼし得る。
【0275】
保持液ストリーム324は、例えば、カルボニル化溶媒、β-プロピオラクトン、およびカルボニル化触媒を含み得る。ポンプ322は、保持液ストリーム324を、本明細書
に記載されるβ-プロピオラクトン生成系/生成プロセス(例えば、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスのカルボニル化反応器)に移すために使用され得る。一部の実施形態では、触媒は、保持液側の膜系を介して循環されるときに、失活し得る(例えば、酸素または水への曝露により)。ある特定の実施形態では、保持液ストリームの一部は、系内への失活した触媒の蓄積を回避するために、ある一定期間パージされる。弁320は、系およびブリード326をパージするように構成される。
【0276】
先に論じた通り、図3には、板枠式膜の使用が図示されているが、他の膜コンフィギュレーションを用いることもできる。例えば他の実施形態では、膜は、渦巻き型の膜である。さらなる他の実施形態では、膜は、チューブ状の膜である。さらに他の実施形態では、膜は、プリーツシート膜である。
【0277】
一変形形態では、膜は、板枠式コンフィギュレーションのポリマー膜である。別の変形形態では、膜は、渦巻き型コンフィギュレーションのポリマー膜である。さらに別の変形形態では、膜は、チューブ状コンフィギュレーションのセラミック膜である。
【0278】
図3には、1つの膜の使用が図示されているが、他の変形形態では、複数の膜を使用することができる。例えば、直列に接続された少なくとも2つの膜を使用することができる。一変形形態では、直列に接続された複数の板枠式膜を使用することができる。他の変形形態では、直列に接続された複数の渦巻き型の膜を使用することができる。他の変形形態では、板枠式膜は、渦巻き型の膜と直列に接続され得る。膜コンフィギュレーションは、直列、並列、または直列および並列の組合せであってよいことを理解されたい。例えば一部の実施形態では、膜は、「クリスマスツリー」コンフィギュレーションで構成される。
【0279】
一実施形態では、ナノ濾過膜は、シリコーン骨格、少なくとも99%のカルボニル化触媒排除率、および少なくとも1L/m時間barの透過度を有する、渦巻き型のポリマー膜である。
蒸留
【0280】
他の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、蒸留装置を含む。
【0281】
一部の変形形態では、蒸留装置は、多種溶媒系を使用して、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中に存在するカルボニル化触媒の少なくとも一部を回収する。例えば一変形形態では、第1の溶媒が166℃よりも高い沸点を有し、触媒の担体として働くことができ、第2の溶媒がカルボニル化反応を容易にするために選択される、二種溶媒系を使用することができる。
【0282】
他の変形形態では、蒸留は、β-プロピオラクトン生成物ストリームを加熱して、β-プロピオラクトンおよび/または溶媒の少なくとも一部を揮発させて、留出物を形成し、留出物を除去し、留出物を凝縮させることを含み得る。他の実施形態では、蒸留は、真空蒸留であり、ここで留出物は、β-プロピオラクトン生成物ストリームの圧力を低減することによって形成される。ある特定の実施形態では、真空蒸留によって、カルボニル化触媒の少なくとも一部を、より高温での触媒の分解なしに、β-プロピオラクトン生成物ストリームから除去することができる。他の変形形態では、蒸留は、β-プロピオラクトン生成物ストリームの温度を増大し、かつ圧力を低減することによって実施される。次いで、蒸留後に保持された混合物中に残ったカルボニル化触媒を、例えば、溶媒-溶媒抽出、ナノ濾過、イオン性液体、または吸着を含めた当技術分野で公知の任意の方法を使用して、カルボニル化反応における再使用のために単離することができる。
液体-液体抽出
【0283】
他の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、液体-液体抽出装置を含む。
【0284】
一部の変形形態では、液体-液体抽出装置では、触媒(または触媒の成分)が可溶性であるか、または少なくとも部分的に可溶性である抽出溶媒を用いる。他の変形形態では、抽出溶媒は、β-プロピオラクトンが可溶性であるか、または少なくとも部分的に可溶性であるが、カルボニル化触媒(またはカルボニル化触媒の1つもしくは複数の成分)を溶解する傾向がほとんどない抽出溶媒である。いずれの場合も、抽出溶媒の使用によって、二相が形成される。ある特定の実施形態では、抽出溶媒は、高極性溶媒、例えば水またはイオン性液体である。ある特定の実施形態では、抽出溶媒は、超臨界COである。ある特定の実施形態では、抽出溶媒は、水または水溶液である。ある特定の実施形態では、抽出溶媒は、イオン性液体である。溶媒がイオン性液体である、ある特定の実施形態では、イオン性液体は、式[Cat][X”]を有し、ここで[Cat]は、1つまたは複数の有機カチオン種を指し、[X”]は、1つまたは複数のアニオンを指す。ある特定の実施形態では、[Cat]は、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム(tetralkylammonium)、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾフラニウム、ベンゾチオフェニウム、ベン
ゾトリアゾリウム、ボロリウム、シンノリニウム、ジアザビシクロデセニウム、ジアザビシクロノネニウム、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタニウム、ジアザビシクロ-ウンデセニウム、ジチアゾリウム、フラニウム、グアニジニウム、イミダゾリウム、インダゾリウム、インドリニウム、インドリウム、モルホリニウム、オキサボロリウム、オキサホスホリウム、オキサジニウム、オキサゾリウム、イソ-オキサゾリウム、オキソチアゾリウム、ホスホリウム、ホスホニウム、フタラジニウム、ピペラジニウム、ピペリジニウム、ピラニウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピリダジニウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピロリジニウム、ピロリウム、キナゾリニウム、キノリニウム、イソ-キノリニウム、キノキサリニウム、キヌクリジニウム、セレナゾリウム、スルホニウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、イソ-チアジアゾリウム、チアジニウム、チアゾリウム、イソ-チアゾリウム、チオフェニウム、チウロニウム、トリアジニウム、トリアゾリウム、イソ-トリアゾリウム、ウロニウム、およびこれらの2つまたはそれよりも多い任意の組合せからなる群から選択される。本発明によれば、[X]は、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、スルホンイミドイオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、カルボン酸イオン、CN、NO 、NO 、BF およびPF から選択されるアニオンを含み得る。
【0285】
一部の実施形態では、抽出溶媒には、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、p-ジオキサン、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリジノンもしくはスルホラン、またはこれらの任意の組合せが含まれる。一実施形態では、抽出溶媒は、スルホランおよびヘキサンを含む。別の実施形態では、液体-液体抽出溶媒は、スルホラン、ヘキサン、およびジオキサンを含む。
沈殿
【0286】
ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、カルボニル化触媒を沈殿させるように構成される。カルボニル化触媒の沈殿は、任意の公知の方法および技術によって達成され得る。触媒を沈殿させるのに適した手段は、当業者に明らかであり、それらの手段には、触媒(またはその成分)の溶解度が低いβ-プロピオラクトン生成物ストリームに溶媒を添加すること、β-プロピオラクトン生成物ストリームを冷却すること、触媒(またはその成分)と相互作用する材料を添加して不溶性付加体を形成すること、β-プロピオラクトン生成物ストリームから溶媒、過剰の原料、または一酸化炭素を除去すること、およびこれらの任意の2つまたはそれよりも多くのものの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。β-プロピオラクトン生成物ストリームを処理して、カルボニル化触媒の一部を分離するステップが沈殿を伴う、ある特定の実施形態では、その沈殿ステ
ップは、触媒(または触媒の成分)の溶解度が低い溶媒を添加することを含む。ある特定の実施形態では、触媒を沈殿させるために、非極性溶媒、例えば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、または凝縮相COが添加される。ある特定の実施形態では、触媒または触媒成分を沈殿させるために、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン、高級アルカン、および2つまたはそれよりも多いアルカンの混合物から選択される溶媒が、β-プロピオラクトン生成物ストリームに添加される。ある特定の実施形態では、触媒または触媒成分を沈殿させるために、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、または他の置換ベンゼン化合物から選択される溶媒が、β-プロピオラクトン生成物ストリームに添加される。ある特定の実施形態では、触媒または触媒成分を沈殿させるために、超臨界COが、β-プロピオラクトン生成物ストリームに添加される。カルボニル化触媒が、ルイス酸金属錯体および金属カルボニル化合物の組合せを含み、非極性溶媒が、β-プロピオラクトン生成物ストリームに添加される、ある特定の実施形態では、これによって、ルイス酸金属錯体の沈殿が生じるが、β-プロピオラクトン生成物ストリームに触媒の金属カルボニル成分の少なくとも一部が残存する。触媒が沈殿する実施形態では、カルボニル化触媒を分離するステップは、典型的に、生成物ストリームから沈殿物を除去するさらなるステップを含み、このような単離ステップは、当技術分野で周知であり、このステップには、濾過、沈降、遠心分離、凝固、およびこれらのうちの2つまたはそれよりも多くのものの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。
吸着
【0287】
ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、カルボニル化触媒またはその成分を吸着することによって、カルボニル化触媒を分離するように構成される。一部の変形形態では、吸着は、カルボニル化触媒を含有する生成物ストリームを、固体吸着材料で処理することを必要とし得る。適切な固体吸着材料には、無機物質、活性炭、ポリマー、樹脂、またはこれらの2つもしくはそれよりも多い任意の組合せが含まれ得る。適切な無機吸着材料には、シリカゲル、ケイ酸塩鉱物、粘土、珪藻土、フーラー土、セラミック、ジルコニア、分子ふるい等が含まれ得る。適切なポリマーには、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリイソシアネート等が含まれ得る。このようなポリマーは、任意選択で、カルボニル化触媒または触媒成分を吸着するそれらの能力を増強するために、追加の化学的官能基を含み得る。このような官能基には、酸(例えば、スルホン酸またはカルボン酸)、配位基(例えば、アミン、チオール、ホスフィン、ニトリル、またはボロン基)、および/または塩基(例えば、アミン基または窒素複素環)が含まれ得る。ある特定の場合には、吸着材料(例えば、無機であろうとポリマー性であろうと)は、酸性、塩基性であるか、または触媒の親和性を増強するための化学的処理を受けたものである。カルボニル化触媒が、吸着によってカルボニル化触媒を含有する生成物ストリームから除去される実施形態では、吸着剤は、任意の従来の方法によって、生成物ストリームと接触させることができる。この接触には、カルボニル化触媒を含有する生成物ストリームを、吸着剤の固定床を介して流すこと、カルボニル化触媒を含有する生成物ストリームを、吸着剤の流動床を介して流すこと、カルボニル化触媒を含有する生成物ストリームを、吸着材料を含む布地、メッシュもしくは濾過板を介して流すこと、または吸着材料を用いてカルボニル化触媒を含有する生成物ストリームをスラリー化すること(典型的にその後、濾過、遠心分離、沈降等によって、吸着剤を生成物ストリームから除去する)が含まれるが、これらに限定されない。
【0288】
β-プロピオラクトン生成物ストリームが、吸着剤の塔を介して流れる実施形態では、ある塔から別の塔に流れを切り替えるために、複数のこのような塔を並列に提供することが望ましい場合がある。したがって、吸着剤の1つの塔が触媒で飽和すると、その塔を流路から切り離し、その流れを新鮮な塔に迂回させることができる。ある特定の実施形態で
は、塔が流路に位置しているときから、塔がその流路から切り離されるときまでの時間間隔は、本明細書に記載される方法に記載される「第1の時間間隔」に相当する。吸着剤が、β-プロピオラクトン生成物ストリームから触媒を除去するために使用される場合、本発明の方法は、典型的に吸着剤から触媒または触媒成分(複数可)を脱着するステップを含む。このような脱着方法は、当技術分野で周知であり、吸着剤および触媒の正体に応じて変わる。脱着は、触媒もしくは触媒成分を置き換える極性溶媒もしくは溶質で処理することを含むことができ、または吸着された触媒に試薬を添加して、触媒を再生するか、もしくは吸着固体にあまり接着しない種を形成する反応プロセスを含み得る。
イオン交換
【0289】
ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、カルボニル化触媒またはその成分のイオン交換によってカルボニル化触媒を分離するように構成され得る。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、β-プロピオラクトン生成物ストリームをイオン交換材料で処理することによって、カルボニル化触媒を分離するように構成される。イオン交換材料は、例えば、カチオン性、アニオン性、両性、ルイス塩基性、ルイス酸性であってよく、またはキレート基を含み得る。ある特定の実施形態では、イオン交換材料は、カチオン交換体であり得る。ある特定の実施形態では、カチオン交換材料上の官能基は、-SO、PO 2-、-COOH、-COH、-SH、-AsOもしくは-SeO、またはこれらのうちの2つもしくはそれよりも多くのものの組合せから選択され得る。ある特定の実施形態では、カチオン交換材料上の官能基は、-SOを含む。
【0290】
ある特定の実施形態では、イオン交換材料は、アニオン交換体であり得る。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-N(アルキル)、-N(CH、-N(CHOH、-N(CH、-P(アルキル)、-P(アリール)、-P(Cもしくは-P(Ph)、またはこれらのうちの2つもしくはそれよりも多くのものの組合せから選択され得る。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-N(アルキル)を含む。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-P(アルキル)を含む。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-P(アリール)を含む。
【0291】
ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、アニオン交換およびカチオン交換によって、カルボニル化触媒を分離するように構成される。カルボニル化触媒が、カチオン性ルイス酸およびアニオン性金属カルボニルの組合せを含むある特定の実施形態では、それぞれは別個に除去され、この方法は、β-プロピオラクトン生成物ストリームを、カチオン交換材料で処理してルイス酸を除去し、アニオン交換材料で処理して金属カルボニルを除去することを含む。ある特定の実施形態では、アニオン交換およびカチオン交換は、同時に実施される。ある特定の実施形態では、アニオン交換およびカチオン交換は、順次実施される。ある特定の実施形態では、アニオン交換が最初に実施され、その後、カチオン交換が実施される。ある特定の実施形態では、カチオン交換が最初に実施され、その後、アニオン交換が実施される。ある特定の実施形態では、有機イオン交換樹脂を含む分離ステップで使用されるイオン交換材料は、有用であることが分かり得る。有機イオン交換樹脂は、一般に、三次元構造であるマトリックスを有する。官能基は、その構造に結合することができ、またはポリマー鎖に直接的に組み込まれ得る。マトリックスは、相対的に短い連結によって互いに架橋された直線状ポリマー鎖から構築され得る。例えば様々な態様では、本開示は、ジビニルベンゼンで架橋されたスルホン化ポリスチレン
【化28】
から構成されたイオン交換材料の使用を含む。
【0292】
様々な態様では、イオン交換材料は、ビーズまたは他の支持基材全体にわたって分布した、ゲルまたはゲル樹脂の形態をとり得る。様々な態様では、イオン交換材料は、マクロ多孔性樹脂の形態をとり得、この樹脂は、二相、ポリマーから構成されたゲル領域、および巨視的な永久的孔からなる不均一構造を有する。本開示の様々な実施形態では、イオン交換材料は、巨大網状樹脂を含み、その上、この樹脂は、ゲル領域が複数のビーズマイクロ粒からなるマクロ多孔性の樹脂である。イオン交換材料は、多孔度および他の表面特性の変形形態を含めた、多種多様なモルホロジーおよび形態を含み得る。様々な態様では、材料は、ビーズ、ペレット、球、球状体、環、中空円筒、ブロック、繊維、メッシュ、膜、織物に形成され得るが、これらに限定されない。
【0293】
様々な態様では、ビーズサイズは、広く分布していてもよく、または非常に狭い、いわゆる単分散性の樹脂であってもよい。触媒がイオン交換によってβ-プロピオラクトン生成物ストリームから除去される実施形態では、イオン交換材料は、任意の従来の方法によって生成物ストリームと接触させることができる。この接触には、β-プロピオラクトン生成物ストリームを、固体イオン交換材料の固定床(すなわちビーズ、顆粒または他の粒子の形態の)を介して流すこと、β-プロピオラクトン生成物ストリームを、吸着剤の流動床を介して流すこと、β-プロピオラクトン生成物ストリームを、イオン交換材料を含む布地、メッシュもしくは濾過板を介して流すこと、またはイオン交換材料を用いてβ-プロピオラクトン生成物ストリームをスラリー化すること(典型的にその後、濾過、遠心分離、沈降等によって、イオン交換材料を生成物ストリームから除去する)が含まれるが、これらに限定されない。β-プロピオラクトン生成物ストリームが、イオン交換材料の充填塔を介して流される実施形態では、ある塔から別の塔に周期的に流れを切り替えるために、複数のこのような塔を並列に提供することが望ましい場合がある。したがって、イオン交換材料の1つの塔が触媒で飽和すると、その塔を流路から切り離し、その流れを新鮮な塔に迂回させることができる。ある特定の実施形態では、塔が流路に位置しているときから、塔がその流路から切り離されるときまでの時間間隔は、本明細書に記載される方法に記載される「第1の時間間隔」に相当する。
【0294】
イオン交換材料が、β-プロピオラクトン生成物ストリームから触媒を除去するために使用される場合、本発明の方法は、典型的にイオン交換材料から触媒または触媒成分(複数可)を除去するその後のステップを含む。このような除去方法は、当技術分野で周知であり、典型的に、そのアニオンまたはカチオンがイオン交換材料から触媒成分を置き換える強塩溶液と、イオン交換樹脂を接触させるステップを含む。この除去ステップの特異性は、吸着剤および触媒の正体に応じて変わり得るが、適切な方法は、当業者に公知である。
イオン性液体
【0295】
ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、イオン性液体を使用することによって、カルボニル化触媒を分離するように構成される。例えば一部の実施形態では。ある特定の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、イオン性液体を使用してカルボニル化触媒を分離して、イオン性液相およびβ-プロピオラクトン生成物ストリームを含む二相系を形成するように構成される。触媒(またはその成分)の少なくとも一
部は、イオン性液相中に抽出され、その結果、反応生成物相における触媒の濃度が低減される。次いで、カルボニル化触媒の少なくとも一部を含むイオン性液相は、除去され、カルボニル化触媒は、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用してイオン性液相から単離され、単離されたカルボニル化触媒は、カルボニル化反応器に戻されてリサイクルされる。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、ナノ濾過または沈殿を使用して、イオン性液相から単離される。時として、このような分離のためにイオン交換樹脂を使用することも可能であり得る。
【0296】
当技術分野で公知の任意の適切なイオン性液体を使用することができる。一部の実施形態では、イオン性液体の混合物が使用される。
構築材料
【0297】
カルボニル化触媒リサイクル系に適した構築材料には、例えば、使用される膜と適合性がある任意の材料を使用することができる。一部の変形形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、例えば、ポリマー核形成部位を低減または排除するために、不活性な金属表面を有する。
【0298】
他の変形形態では、カルボニル化触媒リサイクル系には、エチレンオキシド、一酸化炭素および/またはβ-プロピオラクトンと適合性があり、大気に対してほとんどまたは全く透過性がないエラストマー封止を使用することができる。その例として、Kalrez
6375、Chemraz 505、PTFEカプセル化Viton、およびPEEKを挙げることができる。
【0299】
さらに他の変形形態では、カルボニル化触媒リサイクル系の外部部分の構築材料は、例えば、砂および塩水を含めた環境と適合性があり得、熱吸収性でない。さらに、安全保護装置および安全操作パラメーターを用いることができる。例えば、カルボニル化触媒リサイクル系は、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスの前に、ポリプロピオラクトンの形成を軽減し、かつ/または触媒の分解を回避する(例えば、透過液側または保持液側にCO圧力を加えることによって)ように構成され得る。
カルボニル化触媒リサイクル系に入るβ-プロピオラクトン生成物ストリーム
【0300】
再び図1を参照すると、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスからのβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化触媒リサイクル系に移される。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、少なくとも約2000kg/時のbPL、少なくとも約2500kg/時のbPL、少なくとも約3000kg/時のbPL、少なくとも約3500kg/時のbPL、少なくとも約3638kg/時のbPL、少なくとも約4000kg/時のbPL、少なくとも約5000kg/時のbPL、少なくとも約1000kg/時のbPL、少なくとも約20000kg/時のbPL、少なくとも約35000kg/時のbPL、少なくとも約36380kg/時のbPL、または少なくとも約40000kg/時のbPLを含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL、約2500kg/時のbPL、約3000kg/時のbPL、約3500kg/時のbPL、約3638kg/時のbPL、約4000kg/時のbPL、約5000kg/時のbPL、約1000kg/時のbPL、約20000kg/時のbPL、約35000kg/時のbPL、約36380kg/時のbPL、または約40000kg/時のbPLを含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL~4000kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~4000kg/時のbPLの間、約3000kg/時のbPL~4000kg/時のbPLの間、約3500kg/時のbPL~4000kg/時のbPLの間、約3638kg/時のbPL~4000kg/時のbPLの間、約2000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約250
0kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約3000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約3500kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約3638kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約4000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約5000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約1000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約20000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約35000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、約36380kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間、または約40000kg/時のbPL~40000kg/時のbPLの間を含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、少なくとも約30kmol/時のbPL、少なくとも約40kmol/時のbPL、少なくとも約45kmol/時のbPL、少なくとも約50kmol/時のbPL、少なくとも約55kmol/時のbPL、少なくとも約100kmol/時のbPL、少なくとも約200kmol/時のbPL、少なくとも約300kmol/時のbPL、少なくとも約400kmol/時のbPL、少なくとも約450kmol/時のbPL、少なくとも約500kmol/時のbPL、または少なくとも約550kmol/時のbPLを含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLの質量分率は、約0.1~0.4、約0.15~0.3、約0.18~0.25、約0.2~0.23、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、または少なくとも約0.224であり得る。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.1~0.4、約0.15~0.3、約0.18~0.25、約0.21~0.23、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、または少なくとも約0.22であり得る。また、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、未反応のエチレンオキシド(約0.005~0.05、約0.01~0.045、約0.04、最大で約0.014、最大で約0.02、または最大で約0.05の質量分率の)、未反応の一酸化炭素(約0.0005~0.01、最大で約0.01、または最大で約0.02の質量分率の)、アセトアルデヒド(約0.0005~0.005、最大で約0.005、または最大で約0.01の質量分率の)、無水コハク酸(約0.0005~0.005、最大で約0.005、または最大で約0.001の質量分率の)、カルボニル化触媒(約40~640kg/時、300~640kg/時、40~300kg/時、40~64kg/時、約45~60kg/時、約50~60kg/時、最大で54.8kg/時、最大で60kg/時、最大で100kg/時、最大で300kg/時もしくは最大で約600kg/時、または約0.001~0.005、約0.002~0.004、最大で約0.003もしくは最大で約0.004の質量分率の)、および残余溶媒を含めた他の成分を含み得る。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化触媒成分(約40~640kg/時、300~640kg/時、40~300kg/時、40~64kg/時、約45~60kg/時、約50~60kg/時、最大で54.8kg/時、最大で60kg/時、最大で100kg/時、最大で300kg/時もしくは最大で約600kg/時、または約0.001~0.005、約0.002~0.004、最大で約0.003もしくは最大で約0.004の質量分率の)を含む。
【0301】
一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスからのβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約40~100℃、約50~90℃、約65~75℃、または約70℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約1~15bar、約2~10bar、または約7barの圧力を有することができる。
カルボニル化触媒リサイクル系を出るβ-プロピオラクトン生成物ストリーム
【0302】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系を出るβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、少なくとも約2000kg/時のbPL、少なくとも約2500kg/時のbPL、少なくとも約3000kg/時のbPL、少なくとも約3100kg/時の
bPL、少なくとも約3200kg/時のbPL、少なくとも約3500kg/時のbPL、少なくとも約3638kg/時のbPL、少なくとも約4000kg/時のbPL、少なくとも約5000kg/時のbPL、少なくとも約1000kg/時のbPL、少なくとも約20000kg/時のbPL、または少なくとも約35000kg/時のbPLを含む。一部の実施形態では、β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL、約2500kg/時のbPL、約3000kg/時のbPL、約3500kg/時のbPL、約3638kg/時のbPL、約4000kg/時のbPL、約5000kg/時のbPL、約1000kg/時のbPL、約20000kg/時のbPL、約35000kg/時のbPL、約36380kg/時のbPL、または約40000kg/時のbPLを含む。一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系を出るβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約2000kg/時のbPL~3500kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~3500kg/時のbPLの間、約3000kg/時のbPL~3500kg/時のbPLの間、約2000kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約3000kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約3500kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約3638kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約4000kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約5000kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、約1000kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間、または約20000kg/時のbPL~35000kg/時のbPLの間を含む。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、少なくとも約30kmol/時のbPL、少なくとも約35kmol/時のbPL、少なくとも約40kmol/時のbPL、少なくとも約43kmol/時のbPL、少なくとも約45kmol/時のbPL、少なくとも約100kmol/時のbPL、少なくとも約200kmol/時のbPL、少なくとも約300kmol/時のbPL、または少なくとも約350kmol/時のbPLを含む。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLの質量分率は、約0.1~0.4、約0.15~0.3、約0.18~0.25、約0.2~0.24、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、または少なくとも約0.225であり得る。一部の実施形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム中のbPLのモル分率は、約0.1~0.4、約0.15~0.3、約0.18~0.25、約0.21~0.23、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、または少なくとも約0.22であり得る。また、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、未反応のエチレンオキシド(約0.005~0.05、約0.01~0.04、約0.044、最大で約0.014、最大で約0.02、または最大で約0.05の質量分率の)、未反応の一酸化炭素(約0.0005~0.001、最大で約0.001、または最大で約0.002の質量分率の)、アセトアルデヒド(約0.0005~0.005、最大で約0.005、または最大で約0.01の質量分率の)、無水コハク酸(約0.0005~0.0051、最大で約0.005、または最大で約0.01の質量分率の)、カルボニル化触媒(約0~50kg/時、約0.5~20kg/時、約1~15kg/時、約0~5kg/時、約0.5~2kg/時、約1~1.5kg/時、最大で1.4kg/時、最大で約2kg/時、最大で10kg/時、または最大で20kg/時の)、および残余溶媒を含めた他の成分を含み得る。一部の変形形態では、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、カルボニル化触媒成分(約0~50kg/時、約0.5~20kg/時、約1~15kg/時、約0~5kg/時、約0.5~2kg/時、約1~1.5kg/時、最大で1.4kg/時、最大で約2kg/時、最大で10kg/時、または最大で20kg/時の)を含み得る。
【0303】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系を出るβ-プロピオラクトン生成物ストリームは、約20~60℃、約30~50℃、約35~45℃、または約40℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、カルボニル化触媒リサイクル系を出る
β-プロピオラクトン生成物ストリームは、約1~15bar、約2~10bar、または約7barの圧力を有することができる。
カルボニル化触媒の再生および蓄積
【0304】
カルボニル化触媒は、活性触媒以外としての形態で、触媒リサイクル系から回収され得る。したがって図3を参照すると、一部の変形形態では、保持液ストリーム324は、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにおいて使用するためのカルボニル化触媒を再生するために、1つまたは複数の追加のステップによるさらなる処理を必要とし得る。
【0305】
さらに、β-プロピオラクトン生成物ストリームから分離されたカルボニル化触媒(またはその成分)は、ある時間間隔の間蓄積し得る。蓄積した触媒(または成分)は、消耗された触媒バッチを形成し、そのバッチは、最終的にカルボニル化プロセスにおいて再使用される(全体または一部のいずれか)。触媒を再使用するためのプロセスは、触媒を単離したものと同じプロセスであっても、そうでなくてもよい。同様に、触媒は、同じプロセスのために、ただし別の日にまたは異なる反応器内で再使用することができる。このことは、分離された触媒が、反応プロセス内でストリームとして処理され、そのストリームが相対的に短い期間内に反応器に戻される方法とは対照的である。
【0306】
カルボニル化触媒が、アニオン性金属カルボニルと組み合わされたカチオン性ルイス酸を含む、ある特定の実施形態では、触媒のカチオン性ルイス酸部分は、金属カルボニルとの会合なしに、β-プロピオラクトン生成物ストリームから捕捉される。ある特定の実施形態では、カチオン性ルイス酸は、アニオン性金属カルボニル以外の対イオンを有する形態で蓄積する。このような実施形態では、この方法は、蓄積したルイス酸と会合した非金属カルボニルアニオンを金属カルボニルアニオンで交換するための条件下で、カチオン性ルイス酸の蓄積したバッチを処理するさらなるステップを含み得る。
【0307】
カルボニル化触媒が、アニオン性金属カルボニルと組み合わされたカチオン性ルイス酸を含む、ある特定の実施形態では、触媒の金属カルボニル部分は、ルイス酸との会合なしに、β-プロピオラクトン生成物ストリームから捕捉される。こうして蓄積した金属カルボニルは、アニオン性金属カルボニルとして捕捉することができ(例えば、アニオン交換によって)、または還元された金属種、金属塩、中性金属カルボニル、混合金属カルボニル錯体もしくはある他の形態などの別の形態で蓄積することができる。このような実施形態では、この方法は、蓄積した種を処理して、触媒活性のある金属カルボニル化合物を再生するためのさらなるステップを含み得る。無傷金属カルボニルアニオンが蓄積する場合(例えば、アニオン交換樹脂上に捕捉することによって)、このようなステップは、金属カルボニルアニオンを樹脂から遊離させるためのメタセシスを含み得る。これには、典型的に、別のアニオン(例えば、塩化ナトリウム)で樹脂を浸して、金属カルボニルを置き換えることが必要である。次いで、金属カルボニルを、そのナトリウム塩として得、公知の触媒合成手順に従って活性触媒を生成するために利用することができる。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載される系および方法は、蓄積した金属カルボニルアニオンを樹脂から遊離させるさらなるステップを含む。ある特定の実施形態では、このようなステップは、蓄積した金属カルボニルを適切なルイス酸と組み合わせることによって、蓄積した金属カルボニルアニオンを利用して活性触媒を再生する、さらなるステップを必要とする。
【0308】
ある特定の実施形態では、金属カルボニルは、無傷金属カルボニルアニオン以外としての形態で蓄積し得る。例えばCO不足雰囲気中では、金属カルボニルは、1つまたは複数のCO配位子を喪失して、多核性金属カルボニル種、塩、または元素形態の沈殿物を形成し得る。他の実施形態では、強力な配位子を利用して、1つまたは複数のCO配位子を置き換え、新しい錯体として金属カルボニルを捕捉する一助となり得る。このような種を利
用すると、CO圧力下で処理することによって、十分に定義された金属カルボニル化合物を再生し得ることが公知である。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載される系および方法は、β-プロピオラクトン生成物ストリームから蓄積した触媒的に不活性な材料から、触媒活性のある金属カルボニル種を再生するさらなるステップを含む。ある特定の実施形態では、このようなステップは、再使用に適した触媒活性のある金属カルボニルを再生するための条件下で、触媒活性のある金属カルボニル化合物に由来する蓄積した残留物を処理するさらなるステップを必要とする。ある特定の実施形態では、このようなステップは、高CO圧力下で、蓄積した残留物を処理するステップを含む。ある特定の実施形態では、この方法は、コバルトをジコバルトオクタカルボニルに変換するために高CO圧力条件下で、β-プロピオラクトン生成物ストリームから蓄積したコバルト含有残留物を処理するステップを含む。
【0309】
β-プロピオラクトン生成物ストリームから分離された触媒の蓄積が、別個の回収された触媒バッチ中の2つまたはそれよりも多い別個の触媒成分を回収するステップを含む、ある特定の実施形態では、活性なカルボニル化触媒を生成するために、回収された触媒成分を再び組み合わせる追加のステップが必要となり得る。ある場合には、回収された触媒成分は、直接的に組み合わせることができ、一方で他のステップでは、成分の1つまたは複数は、組み合わせるステップの前に、上述のような処理を必要とし得る。ある特定の実施形態では、このようなステップは、回収されたカチオン性ルイス酸を、コバルト酸カルボニルなどの回収された金属カルボニルアニオンと再び組み合わせるためのメタセシスを必要とする。
【0310】
バッチを蓄積させるのに必要な時間間隔は、蓄積方法、ならびに蓄積した触媒残留物を活性触媒に変換するのに必要な任意のプロセスの規模および経済性に依存して決まる。一部の実施形態では、触媒または残留物の蓄積のための時間間隔は、数時間から数日程度であるが、数週間になる場合がある。したがって、上記の方法のいずれかのある特定の実施形態では、第1の時間間隔は、約1時間~約200時間の範囲である。ある特定の実施形態では、第1の時間間隔は、約2時間~約8時間、約4時間~約16時間、約12時間~約24時間、または約16時間~約36時間である。ある特定の実施形態では、第1の時間間隔は、約1日~約20日、約1日~約3日、約2日~約5日、約5日~約10日、または約10日~約20日である。
【0311】
この時間中、蓄積した触媒(または触媒残留物)の量は、このプロセスの最終段階で増大するので、カルボニル化反応器には、枯渇している触媒のリザーバーから供給され得る。活性触媒を再製造するのに蓄積した触媒または触媒残留物を処理するために、追加の時間が必要となり得る。したがって、一部の変形形態では、触媒が蓄積した第1の時間間隔から、第1の時間間隔中に蓄積した触媒に由来する触媒を含有する触媒供給ストリームがカルボニル化反応器に供給されるその後の時間までには、第1の時間間隔の何倍かの時間が経過している。ある特定の実施形態では、第2の時間間隔(その間に、回収された触媒が反応器に供給される)、および第1の時間間隔(その間に、触媒が蓄積した)の間の時間の長さは、第1の時間間隔の長さの約1~約100倍程度である。換言すれば、第1の時間間隔が10時間である場合、蓄積ステップの完了後、約10時間~約2000時間の第2の時間間隔が生じる。ある特定の実施形態では、第2の時間間隔および第1の時間間隔の間の時間の長さは、第1の時間間隔の長さの約1~約10倍である。ある特定の実施形態では、第2の時間間隔および第1の時間間隔の間の時間の長さは、第1の時間間隔の長さの、約1~約3倍、約2~約5倍、約4~約10倍、約10~約50倍、約40~約80倍、または約50~約100倍である。ある特定の実施形態では、第2の時間間隔および第1の時間間隔の間の時間の長さは、第1の時間間隔の100倍よりも長い。
所定の速度における触媒の連続的な置換え
【0312】
ある特定の変形形態では、カルボニル化触媒リサイクル系は、カルボニル化反応器に、カルボニル化触媒(例えば、カルボニル化触媒供給源からの)とは異なる触媒代替成分を、連続的または間欠的に導入するように構成することができ、ルイス酸、ルイス酸の前駆体、金属カルボニル、および金属カルボニルの前駆体からなる群から選択される種を含み得る。
【0313】
一部の実施形態では、触媒代替成分は、ルイス酸を含む。一部の実施形態では、触媒代替成分は、ルイス酸の前駆体を含む。一部の実施形態では、触媒代替成分は、金属カルボニルを含む。一部の実施形態では、触媒代替成分は、金属カルボニルの前駆体を含む。
【0314】
一部の実施形態では、触媒代替成分は、カルボニル化反応の速度が、1時間にわたって10%未満変動する速度で導入される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、カルボニル化反応の速度が、1時間にわたって5%未満変動する速度で導入される。
【0315】
一部の実施形態では、触媒代替成分がカルボニル化反応器に添加される速度は、カルボニル化反応速度が低下することが観測された速度によって決定される。一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分がカルボニル化反応器に添加される速度は、カルボニル化反応速度が低下することが観測された速度に正比例する。
【0316】
一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分は、カルボニル化反応速度が低下することが観測される速度と同じ速度で、カルボニル化反応器に連続的に導入される。一部の実施形態では、1つまたは複数の触媒代替成分は、カルボニル化反応速度が低下することが観測された速度に一致する平均速度をもたらすために、カルボニル化反応器に間欠的に導入される。
【0317】
したがって、カルボニル化反応速度が、ある時間過程にわたって5%低下することが観測された場合、触媒代替成分は、カルボニル化反応器内に存在するルイス酸または金属カルボニルの初期量の5%が、同じ時間にわたって添加される速度で、連続的または間欠的に添加され得る。一部の実施形態では、触媒代替成分は、連続的に添加される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、1時間毎に添加される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、30分毎に添加される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、15分毎に添加される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、10分毎に添加される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、5分毎に添加される。一部の実施形態では、触媒代替成分は、1分毎に添加される。
【0318】
当業者は、1つまたは複数の触媒代替成分が添加される間隔が短くなるほど、観測される全体的なカルボニル化反応速度の変動が小さくなることを理解されよう。しかしこのことは、複数の添加を行う複雑性などの他の考慮事項に対して均衡を取らねばならないことを認識されたい。
BPL生成系/生成プロセスへのリサイクル
【0319】
一部の実施形態では、カルボニル化触媒および/または溶媒ストリームは、供給物ストリームまたはカルボニル化反応器にリサイクルされ得る。一部の実施形態では、カルボニル化反応器または供給物ストリームにリサイクルされたβ-プロピオラクトン生成物ストリームからの溶媒および/または触媒の部分は、約0%~約100%の範囲である。一部の実施形態では、カルボニル化反応器または供給物ストリームにリサイクルされたβ-プロピオラクトン生成物ストリームからの溶媒および/または触媒の部分は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、または約0%である。一部の実施形態では、溶媒と比較して、異なる百分率の触媒がリサイクルされ、すなわち触媒または溶媒成分のいずれかの割合は、等しくなくて
もよい。
BPL精製系(および溶媒リサイクル)
【0320】
触媒単離系の後、単離後のカルボニル化ストリーム(すなわち、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム)は、BPL精製系に供給され得る。BPL精製系は、重合反応系に入る前に、低融点の不純物からbPLを分離して、高純度のbPLが必要となり得るBPL精製ストリームに入れることができる。一部の実施形態では、BPL精製ストリームは、少なくとも約90wt%のbPL、少なくとも約95wt%のbPL、少なくとも約98wt%のbPL、少なくとも約99wt%のbPL、少なくとも約99.3wt%のbPL、少なくとも約99.5wt%のbPL、少なくとも約99.8wt%、または少なくとも約99.9wt%を有することができる。一部の実施形態では、BPL精製ストリームは、最大で約1wt%の溶媒、最大で約0.5wt%の溶媒、または最大で約0.1wt%の溶媒を有することができる。一部の実施形態では、BPL精製系は、溶媒リサイクルストリームも生じ得る。一部の実施形態では、BPL精製系は、溶媒、未反応のエチレンオキシド、未反応の一酸化炭素、二次反応生成物であるアセトアルデヒド、二次反応生成物である無水コハク酸、および触媒単離系で単離されなかったカルボニル化触媒またはその成分などの、単離後のカルボニル化ストリーム中のその他の成分から、bPLを分離することができる。単離後のカルボニル化ストリーム中のその他の成分からのbPLの分離は、当業者に公知の様々な方法によって達成され得る。
【0321】
カルボニル化触媒成分には、例えば、触媒の分解によって生成された化合物、触媒を生成するために使用された化合物、触媒の一部であった金属または金属イオン、触媒の一部であった任意の有機化合物、触媒の一部であった金属カルボニルまたは金属錯体が含まれ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒成分は、コバルト酸カルボニル、アルミニウムサレン化合物、アルミニウムポルフィリン化合物、アルミニウムサロフェン化合物、コバルトもしくはコバルトイオン、またはアルミニウムもしくはアルミニウムイオン、またはこれらの任意の組合せである。
【0322】
一部の実施形態では、BPL精製系の温度は、最大で約150℃、最大で約125℃、最大で約115℃、最大で約105℃、または最大で約100℃であり得る。bPLは、100℃よりも高い温度に曝露されると、bPLが潜在的に分解し得るか、または部分的に重合され得る。したがって、bPLは、約150℃、125℃、115℃、105℃、または100℃の温度に曝露されずに精製され得る。
【0323】
一部の実施形態では、分離は、カルボニル化生成物ストリームのベータ-プロピオラクトンとその他の成分、主に溶媒の間の沸点差を活用することによって実施される。一部の実施形態では、溶媒の沸点は、ベータ-プロピオラクトンの沸点よりも低い。一部の実施形態では、溶媒が、BPL精製供給物から、他のより軽い成分(例えば、エチレンオキシドおよびアセトアルデヒド)と共に揮発(例えば、蒸発)すると、bPL、他のより重い化合物(例えば、触媒および無水コハク酸)およびBPL精製供給物からのいくらかの残りの溶媒が残存する。一部の実施形態では、このことは、BPL精製供給物を減圧に曝露することを含む。一部の実施形態では、このことは、BPL精製供給物を高温に曝露することを含む。一部の実施形態では、このことは、BPL精製供給物を、減圧および高温の両方に曝露することを含む。
【0324】
一部の実施形態では、その圧力は、溶媒の沸点が、大気圧における沸点と比較して約5℃低下するように選択される。一部の実施形態では、その圧力は、溶媒の沸点が、大気圧における沸点と比較して約10℃低下するように選択される。一部の実施形態では、その圧力は、溶媒の沸点が、大気圧における沸点と比較して約20℃低下するように選択される。一部の実施形態では、その圧力は、溶媒の沸点が、大気圧における沸点と比較して約
50℃低下するように選択される。
【0325】
一部の実施形態では、高温は、選択された圧力において、溶媒の沸点よりも高いが、ベータ-プロピオラクトンの沸点よりも低い。一部の実施形態では、温度は、ベータ-プロピオラクトンの沸点より少なくとも約20℃低い。一部の実施形態では、温度は、ベータ-プロピオラクトンの沸点より少なくとも約30℃低い。一部の実施形態では、温度は、ベータ-プロピオラクトンの沸点より少なくとも約50℃低い。
【0326】
一部の実施形態では、減圧は、約1トール~約760トールの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約1トール~約400トールの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約5トール~約200トールの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約10トール~約100トールの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約20トール~約50トールの範囲である。一部の実施形態では、その圧力は、約50トール、約100トール、約150トール、約200トール、約250トール、約300トール、約400トール 約500トール、約600トールまたは約700トールである。
【0327】
一部の実施形態では、分離ステップは、約100トール未満の圧力および約120℃よりも高い温度で実施される。一部の実施形態では、分離ステップは、約50トール未満の圧力および約100℃よりも高い温度で実施される。一部の実施形態では、分離ステップは、約50トール未満の圧力および約50℃よりも高い温度で実施される。一部の実施形態では、分離ステップは、約50トール未満の圧力および約110℃よりも高い温度で実施される。一部の実施形態では、分離ステップは、約50トール未満の圧力および約90℃よりも高い温度で実施される。一部の実施形態では、分離ステップは、約20トール未満の圧力および約60℃よりも高い温度で実施される。一部の実施形態では、分離ステップは、約10トール未満の圧力および約50℃よりも高い温度で実施される。
【0328】
一部の実施形態では、分離は、それぞれのステップが独立な温度および圧力で操作される一連のステップで行うことができる。例えば一実施形態では、2つのステップを使用して、ベータ-プロピオラクトンをより有効に分離することができ、または別個の分離ステップを使用して、ある特定の反応副生成物を単離することができる。一部の実施形態では、溶媒の混合物が使用される場合、特定の溶媒を個々にまたは一群として除去し、ベータ-プロピオラクトンを有効に単離するために、複数の分離ステップが必要となり得る。
【0329】
ある特定の実施形態では、BPL精製供給物からのベータ-プロピオラクトンの分離は、二段階で実施される。一部の実施形態では、このプロセスは、ベータ-プロピオラクトン生成物の沸点よりも低い沸点を有するBPL精製供給物の1つまたは複数の成分を除去するための、予備的な分離ステップを含む。
【0330】
一部の実施形態では、予備的な分離ステップは、BPL精製供給物を、エチレンオキシド、溶媒、およびbPL(ならびに潜在的に一酸化炭素、アセトアルデヒド、および/またはbPL)を含むガスストリームと、ベータ-プロピオラクトン、カルボニル化触媒(ならびに潜在的に無水コハク酸および/または溶媒)を含む液体ストリームに分離することを含む。分離の第2のステップでは、液体ストリームは、ベータ-プロピオラクトンを含むベータ-プロピオラクトンストリームと、溶媒を含む溶媒ストリームと、潜在的に触媒および無水コハク酸パージストリームにさらに分離される。またガスストリームは、溶媒を含む溶媒ストリームと、溶媒およびエチレンオキシド(および潜在的にアセトアルデヒド)を含むライトガスストリームと、bPLおよび溶媒を含む液体bPLストリームに、さらに分離され得る。液体bPLストリームは、液体ストリームの分離の前に液体ストリームと一緒になり、第2の分離ステップへの合わされた供給物を形成することができる。一部の実施形態では、第2の分離ステップからの溶媒ストリームおよび/またはガスス
トリーム分離からの溶媒ストリームは、カルボニル化反応系または溶媒リザーバーに供給され得る溶媒リサイクルストリームを形成することができる。
【0331】
ベータ-プロピオラクトンの沸点よりも低い沸点を有する1つまたは複数の溶媒が存在する一部の実施形態では、より低い沸点の溶媒が、予備的な分離ステップにおいてBPL精製供給物から揮発(例えば蒸発)すると、BPL精製ストリーム中に、触媒、ベータ-プロピオラクトン、他の溶媒(もしあれば)および他の化合物を含む混合物が残存し得るが、次いでその混合物をさらに処理すると、ベータ-プロピオラクトンストリームが分離される。
【0332】
分離が二段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第1のステップは、反応ストリームを穏やかな減圧に曝露して、ガスストリームおよび液体ストリームを生成することを含む。分離が二段階で実施される、ある特定の実施形態では、ガスストリームは、カルボニル化ステップに戻され得る。
【0333】
ある特定の実施形態では、BPL精製供給物からのベータ-プロピオラクトンの分離は、三段階で実施される。分離の第1のステップでは、BPL精製供給物は、エチレンオキシド、溶媒、およびbPL(ならびに潜在的に一酸化炭素および/またはアセタールヒドリド)を含むガス状ストリームと、溶媒、ベータ-プロピオラクトン、およびカルボニル化触媒(および潜在的に無水コハク酸)を含む液体ストリームに分離される。分離の第2のステップでは、ガス状ストリームは、溶媒を含む溶媒サイドストリームと、エチレンオキシドおよび溶媒(ならびに潜在的に一酸化炭素および/またはアセトアルデヒド)を含むライトガスストリームと、溶媒およびbPLを含む第2の液体ストリームに分離される。分離の第3のステップでは、第2の液体ストリームおよび第1の液体ストリームは、合わされ、溶媒を含むガス状溶媒ストリームと、bPLを含む精製されたBPLストリームと、潜在的に触媒および無水コハク酸パージストリームに分離される。一部の実施形態では、溶媒サイドストリームおよび/またはガス状溶媒ストリームは、カルボニル化反応系において使用するために、溶媒リサイクルストリームとして使用され得るか、または溶媒保存タンク内に保存され得る。
【0334】
分離が三段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第1のステップは、BPL精製供給物を大気圧に曝露することを含む。分離が三段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第2のステップは、ガス状ストリームを大気圧に曝露することを含む。分離が三段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第3のステップは、ガス状ストリームを真空または減圧に曝露することを含む。ある特定の実施形態では、減圧は、約0.05~0.25baraの間である。ある特定の実施形態では、減圧は、約0.1~0.2baraの間または約0.15baraである。
【0335】
ある特定の実施形態では、BPL精製供給物からのベータ-プロピオラクトンの分離は、四段階で実施される。分離の第1のステップでは、BPL精製供給物は、エチレンオキシド、溶媒、およびbPL(ならびに潜在的に一酸化炭素および/またはアセタールヒドリド)を含むガス状ストリームと、溶媒、ベータ-プロピオラクトン、およびカルボニル化触媒(および潜在的に無水コハク酸)を含む液体ストリームに分離される。分離の第2のステップでは、ガス状ストリームは、溶媒を含む溶媒サイドストリームと、エチレンオキシドおよび溶媒(ならびに潜在的に一酸化炭素および/またはアセトアルデヒド)を含むライトガスストリームと、溶媒およびbPLを含む第2の液体ストリームに分離される。分離の第3のステップでは、第2の液体ストリームおよび第1の液体ストリームは、合わされ、溶媒を含むガス状溶媒ストリームと、bPLを含む精製されたBPLストリームと、潜在的に触媒および無水コハク酸パージストリームに分離される。分離の第4のステップでは、ライトガスストリームは、溶媒を含む第3の溶媒ストリームと、エチレンオキ
シド(ならびに潜在的に一酸化炭素および/またはアセトアルデヒド)を含む第2のライトガスストリームに分離される。一部の実施形態では、溶媒サイドストリーム、ガス状溶媒ストリーム、および/または第3の溶媒ストリームは、カルボニル化反応系において使用するために、溶媒リサイクルストリームとして使用され得るか、または溶媒保存タンク内に保存され得る。
【0336】
分離が四段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第1のステップは、BPL精製供給物を大気圧に曝露することを含む。分離が四段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第2のステップは、ガス状ストリームを大気圧に曝露することを含む。分離が四段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第3のステップは、合わされた液体ストリームを真空または減圧に曝露することを含む。ある特定の実施形態では、減圧は、約0.05~0.25baraの間である。ある特定の実施形態では、減圧は、約0.1~0.2baraの間または約0.15baraである。分離が四段階で実施される、ある特定の実施形態では、分離の第4のステップは、ライトガスストリームを大気圧に曝露することを含む。
【0337】
一部の実施形態では、BPL精製系は、単離後のカルボニル化ストリーム中のその他の成分からbPLを分離するための少なくとも1つの蒸留塔を含み得る。一部の実施形態では、BPL精製系は、少なくとも2つの蒸留塔を含む。一部の実施形態では、BPL精製系は、少なくとも3つの蒸留塔を含む。一部の実施形態では、蒸留塔の少なくとも1つは、ストリップ塔(すなわち、ストリッパー)である。一部の実施形態では、蒸留塔の少なくとも1つは、真空塔である。一部の実施形態では、BPL精製系は、初期エバポレーターを含むことができ、ここで単離後のカルボニル化ストリームは、最初にBPL精製系におけるエバポレーターに供給される。エバポレーターは、単離後のカルボニル化ストリーム中の溶媒とbPLの簡単な分離をすることができる。エバポレーターは、その後の蒸留塔への負荷を低減して、より小さくすることができる。一部の実施形態では、エバポレーターは、単離後のカルボニル化ストリーム中の溶媒を、およそ大気圧および約100℃で蒸発させることによって、その後の蒸留塔への負荷を低減して、より小さくすることができる。
【0338】
図16は、本明細書に開示されるBPL精製系の例示的な実施形態を示している。
供給物ストリーム
【0339】
図16に図示されている通り、例示的な系の一部の実施形態では、BPL精製系1617への供給物1616は、単離後のカルボニル化生成物ストリーム(すなわち、単離後のβ-プロピオラクトン生成物ストリーム)であり得る。他の実施形態では、BPL精製系への供給物は、カルボニル化生成物ストリームであり得る。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約11000kg/時、少なくとも約12000kg/時、少なくとも約13000kg/時、少なくとも約13777kg/時、少なくとも約20000kg/時、少なくとも約50000kg/時、少なくとも約100000kg/時、少なくとも約110000kg/時、少なくとも約120000kg/時、少なくとも約130000kg/時、または少なくとも約137770kg/時である。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、約10000kg/時、約11000kg/時、約12000kg/時、約13000kg/時、約13777kg/時、約20000kg/時、約50000kg/時、約100000kg/時、約110000kg/時、約120000kg/時、約130000kg/時、または約137770kg/時である。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、約10000kg/時~約13777kg/時の間、約11000kg/時~約13777kg/時の間、約12000kg/時~約13777kg/時の間、約13000kg/時~約13777kg/時の間、約10000kg/時~137770kg/時の
間、約11000kg/時~約137770kg/時の間、約12000kg/時~約137770kg/時の間、約13000kg/時~約137770kg/時の間、約13777kg/時~約137770kg/時の間、約20000kg/時~約137770kg/時の間、約50000kg/時~約137770kg/時の間、約100000kg/時~約137770kg/時の間、約110000kg/時~約137770kg/時の間、約120000kg/時~約137770kg/時の間、または約130000kg/時~約137770kg/時の間である。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、wt%で約10~30の間、約15~28、約18~25、約20~25、約22~23、約22.5、または少なくとも22.5のbPLを有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、wt%で60~90の間、約65~85、約70~80、約72~78、約74~76、約75、約75.8、または少なくとも約75の溶媒(例えば、THF)を有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、wt%で約0~0.2の間、約0.05~0.15、約0.1、または最大で約0.2のCOを有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、wt%で約0~0.2の間、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.1、または最大で約0.2のアセトアルデヒドを有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、wt%で約0~0.2の間、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.1、または最大で約0.2の無水コハク酸を有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、wt%で約0~3の間、約0.5~2、約1~2、約1.4、最大で約1.4、または最大で約2のEOを有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、微量のカルボニル化触媒を有する。一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、微量のカルボニル化触媒成分を有する。
エバポレーター
【0340】
一部の実施形態では、BPL精製系への供給物は、エバポレーター1628に供給され得る。一部の実施形態では、エバポレーターは、最大で約5bara、最大で約4bara、最大で約3bara、最大で約2bara、最大でおよそ大気圧(すなわち、1bara)、またはおよそ大気圧で操作され得る。一部の実施形態では、エバポレーターは、約80~120℃の間、約90~100℃の間、約95~105℃の間、約100℃、最大で約100℃、最大で約105℃、最大で約110℃、または最大で約120℃の温度で操作され得る。一部の実施形態では、エバポレーターは、フラッシュタンクである。再び図16を参照すると、例示的な系では、エバポレーター1628は、供給物を、オーバーヘッドストリーム1629とボトムストリーム1630に分離することができる。オーバーヘッドストリーム1629は、主にTHFと低沸点成分(例えば、CO、EO、アセトアルデヒド)および少量のbPLを含み得る。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1629は、少なくとも約9000kg/時、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約11000kg/時、少なくとも約11500kg/時、または少なくとも約12000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1629は、wt%で約75~95、約80~90、約85、約86.7、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、または少なくとも約90の溶媒(例えば、THF)を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1629は、wt%で約0~20、約5~20、約8~15、約10、約11.5、最大で約25、最大で約20、最大で約15、最大で約11.5、最大で約10、または最大で約5のbPLを有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1629は、wt%で約0~0.2、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.2、または最大で約0.1の一酸化炭素を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1629は、wt%で約0~5、約0.5~3、約1~2、約1.6、最大で5、最大で3、最大で2、最大で1.6のエチレンオキシドを有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1629は、wt%で約0~0.4、約0.1~0.3、約0.2、最大で約0.4、または最大で約0.2
のアセトアルデヒドを有することができる。
【0341】
一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、少なくとも約500kg/時、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約1500kg/時、少なくとも約2000kg/時、少なくとも約2200kg/時、少なくとも約3000kg/時、少なくとも約4000kg/時、少なくとも約5000kg/時、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約15000kg/時、少なくとも約20000kg/時、少なくとも約22000kg/時、少なくとも約30000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、約500kg/時~約3000kg/時の間、約1000kg/時~約3000kg/時の間、約1500kg/時~約3000kg/時の間、約2000kg/時~約3000kg/時の間、約2200kg/時~約3000kg/時の間、約500kg/時~約30000kg/時の間、約1000kg/時~約30000kg/時の間、約1500kg/時~約30000kg/時の間、約2000kg/時~約30000kg/時の間、約2200kg/時~約30000kg/時の間、約3000kg/時~約30000kg/時の間、約4000kg/時~約30000kg/時の間、約5000kg/時~約30000kg/時の間、約10000kg/時~約30000kg/時の間、約15000kg/時~約30000kg/時の間、約20000kg/時~約30000kg/時の間、約22000kg/時~約30000kg/時の間の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、wt%で約60~95、約65~90、約70~85、約75~85、約79.7、約80、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約79.7、少なくとも約85のbPLを有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、wt%で約5~40、約10~30、約15~25、約18~20、約19.2、約20、最大で40、最大で30、最大で25、最大で20、最大で19.2、最大で15、または最大で10の溶媒を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、wt%で約0~0.4、約0.1~0.3、約0.2、最大で約0.4、または最大で約0.2のエチレンオキシドを有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、wt%で約0~2、約0.2~1.6、約0.4~1.2、約0.6~1、約0.7~0.9、最大で約2、最大で約1、最大で約0.8の無水コハク酸を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、wt%で約0~0.2、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.2、または最大で約0.1のカルボニル化触媒を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1630は、wt%で約0~0.2、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.2、または最大で約0.1のカルボニル化触媒成分を有することができる。
溶媒精製塔
【0342】
再び図16を参照すると、図示されている例示的な系では、オーバーヘッドストリーム1629を、溶媒精製塔1631に送ることができる。溶媒精製塔は、蒸留塔であり得る。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、ストリップ塔またはストリッパーであり得る。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、最大で約5bara、最大で約4bara、最大で約3bara、最大で約2bara、最大でおよそ大気圧(すなわち、1bara)、またはおよそ大気圧で操作され得る。一部の実施形態では、エバポレーターは、最大で約100℃、最大で約105℃、最大で約110℃、または最大で約120℃の温度で操作され得る。一部の実施形態では、オーバーヘッドの温度は、約20~60℃、約30~50℃、約40~50℃、約44℃に維持される。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、bPLがいずれかの通気ストリームに入るのを防止することができる。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、段階1として凝縮器を有する、少なくとも12の段階を有することができる。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、サイドストリームを生じ得る内部冷却器を有することができる。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、サイドストリームの取出し部(with
drawal)の上に内部冷却器を有することができる。一部の実施形態では、内部冷却器は、塔の中央の段階間にあり得る。一部の実施形態では、内部冷却器は、溶媒精製塔の段階5と6の間にあり得る。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、オーバーヘッドストリーム1629を、オーバーヘッドストリーム1632、ボトムストリーム1634、およびサイドストリーム1633に分離することができる。オーバーヘッドストリーム1632は、低沸点成分(例えば、EO、CO、アセトアルデヒド)およびおよそ半分の溶媒を含み得る。ボトムストリーム1634は、主にbPLおよび溶媒を含み得る。一部の実施形態では、溶媒精製塔は、オーバーヘッドストリーム1629から、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、少なくとも98wt%、少なくとも99wt%、または少なくとも99.5wt%のbPLを、ボトムストリーム1634へと回収することができる。
【0343】
一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1632は、少なくとも200kg/時、少なくとも300kg/時、少なくとも400kg/時、少なくとも411kg/時、少なくとも500kg/時、少なくとも1000kg/時、少なくとも1500kg/時、少なくとも2000kg/時、少なくとも3000kg/時、少なくとも4000kg/時、少なくとも4110kg/時、または少なくとも5000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1632は、200kg/時~500kg/時の間、300kg/時~500kg/時の間、400kg/時~500kg/時の間、411kg/時~500kg/時の間、200kg/時~5000kg/時の間、300kg/時~5000kg/時の間、400kg/時~5000kg/時の間、411kg/時~5000kg/時の間の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1632は、wt%で約30~70、約40~60、約45~55、約50~55、約50、約53.9、最大で75、最大で65、最大で60、最大で55、最大で53.9、最大で50、最大で45の溶媒(例えば、THF)を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1632は、wt%で約20~60、約30~50、約35~45、約37~43、約40.6、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約40.6、少なくとも約45、または少なくとも約50のエチレンオキシドを有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1632は、wt%で約0~5、約0.5~3、約1~2、約1.5~2、約1.7、最大で約5、最大で約3、最大で約2、最大で約1.7、最大で約1の一酸化炭素を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1632は、wt%で約0~10、約1~7、約2~5、約3~4.5、約3.5~4、約3.8、最大で約10、最大で約7、最大で約5、最大で約4、最大で約3.8、最大で約3のアセトアルデヒドを有することができる。
【0344】
一部の実施形態では、ボトムストリーム1634は、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約1200kg/時、少なくとも約1400kg/時、少なくとも約1600kg/時、少なくとも約1643kg/時、少なくとも約1800kg/時、少なくとも約4000kg/時、少なくとも約7500kg/時、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約12000kg/時、少なくとも約14000kg/時、少なくとも約16000kg/時、少なくとも約16430kg/時、または少なくとも約18000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1634は、約1000kg/時、約1200kg/時、約1400kg/時、約1600kg/時、約1643kg/時、約1800kg/時、約4000kg/時、約7500kg/時、約10000kg/時、約12000kg/時、約14000kg/時、約16000kg/時、約16430kg/時、または約18000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1634は、1000kg/時~1800kg/時の間、1200kg/時~1800kg/時の間、1400kg/時~1800kg/時の間、1600kg/時~1800kg/時の間、1643kg/時~
1800kg/時の間、1000kg/時~18000kg/時の間、1200kg/時~18000kg/時の間、14000kg/時~18000kg/時の間、16000kg/時~18000kg/時の間、1643kg/時~18000kg/時の間、4000kg/時~18000kg/時の間、10000kg/時~18000kg/時の間、または16000kg/時~18000kg/時の間の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1634は、wt%で約60~95、約70~90、約75~85、約80、約80.4、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも80.4、少なくとも85、少なくとも90、または少なくとも95のbPLを有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1634は、wt%で約5~40、約10~30、約15~25、約20、約19.5、最大で40、最大で30、最大で25、最大で20、最大で19.5、最大で15、または最大で10の溶媒を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1634は、wt%で約0~0.4、約0.1~0.3、約0.2、最大で約0.4、または最大で約0.2のエチレンオキシドを有することができる。
【0345】
一部の実施形態では、サイドストリーム1633は、少なくとも約6000kg/時、少なくとも約7000kg/時、少なくとも約8000kg/時、少なくとも約9000kg/時、少なくとも約9500kg/時、少なくとも約9508kg/時、少なくとも約10000kg/時、少なくとも約20000kg/時、少なくとも約40000kg/時、少なくとも約60000kg/時、少なくとも約70000kg/時、少なくとも約80000kg/時、少なくとも約90000kg/時、少なくとも約95000kg/時、少なくとも約95080kg/時、または少なくとも約100000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633は、約6000kg/時、約7000kg/時、約8000kg/時、約9000kg/時、約9500kg/時、約9508kg/時、約10000kg/時、約20000kg/時、約40000kg/時、約60000kg/時、約70000kg/時、約80000kg/時、約90000kg/時、約95000kg/時、約95080kg/時、または約100000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633は、6000kg/時~10000kg/時の間、7000kg/時~10000kg/時の間、8000kg/時~10000kg/時の間、9000kg/時~10000kg/時の間、9500kg/時~10000kg/時の間、9508kg/時~10000kg/時の間、6000kg/時~100000kg/時の間、10000kg/時~100000kg/時の間、20000kg/時~100000kg/時の間、40000kg/時~100000kg/時の間、60000kg/時~100000kg/時の間、70000kg/時~100000kg/時の間、80000kg/時~100000kg/時の間、または90000kg/時~100000kg/時の間、の間の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633は、wt%で少なくとも95、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも99.7の溶媒を有することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633は、wt%で約0~0.4、約0.1~0.3、約0.2、最大で約0.4、または最大で約0.2のエチレンオキシドを有することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633は、wt%で約0~0.2、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.1、または最大で約0.2のbPLを有することができる。
BPL精製塔
【0346】
ボトムストリーム1630およびボトムストリーム1634は、合わせられてBPL精製塔1635に送ることができる。BPL精製塔は、蒸留塔であり得る。一部の実施形態では、BPL精製塔は、真空塔または減圧下で操作される塔であり得る。一部の実施形態では、BPL精製塔の操作圧力は、大気圧(1bara)未満、約0.5bara未満、約0.25bara未満 0.2bara未満、0.15bara未満、または約0.1
5baraであり得る。一部の実施形態では、BPL精製塔は、最大で約120℃、最大で約110℃、最大で約100℃、または約100℃に維持され得る再沸器を含み得る。一部の実施形態では、オーバーヘッドの温度は、約5~30℃、約10~20℃、約12~16℃、約14℃に維持される。
【0347】
一部の実施形態では、BPL精製塔は、合わされたボトムストリーム1630および1634を、オーバーヘッドストリーム1636およびボトムストリーム1618(すなわち、BPL精製ストリーム1618)に分離することができる。ボトムストリーム1618は、最小限の溶媒を含む、実質的に純粋なbPLであり得る。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618はまた、残留カルボニル化触媒および無水コハク酸などのいくらかの重量物成分を含み得る。カルボニル化触媒は、不揮発性であるとみなすことができ、BPL精製塔の廃液溜め(sump)に蓄積し得る。蓄積した触媒は、触媒のwt%が事前に規定された値(例えば、少なくとも1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、または5wt%)に達すると、廃液溜めをパージすることによって周期的に除去され得る。カルボニル化触媒とは対照的に、無水コハク酸は、いくらか揮発性を有することができ、廃液溜めに蓄積した場合には、再沸器内の沸騰温度の望ましくない上昇をもたらすおそれがある。一部の実施形態では、無水コハク酸も廃液溜めに蓄積する場合があり、蓄積した触媒がパージされ得るのと同じ方式でパージすることができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1636は、少なくとも約500kg/時、少なくとも約600kg/時、少なくとも約700kg/時、少なくとも約750kg/時 少なくとも約800kg/時、または少なくとも約850kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1636は、wt%で少なくとも約95、少なくとも約98、少なくとも約99、少なくとも約99.1、または少なくとも約99.5の溶媒を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1636は、wt%で約0~3、約0.2~2、約0.2~1.5、約0.5~1、約0.8、最大で約3、最大で約2、最大で約1、最大で約0.8、最大で約0.5のエチレンオキシドを有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1638は、wt%で約0~0.2、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.1、または最大で約0.2のアセトアルデヒドを有することができる。
【0348】
一部の実施形態では、ボトムストリーム1618は、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約2000kg/時、少なくとも約2500kg/時、少なくとも約3000kg/時、少なくとも約3100kg/時、少なくとも約3500kg/時、少なくとも約4000kg/時、少なくとも約5000kg/時、少なくとも約1000kg/時、少なくとも約20000kg/時、少なくとも約35000kg/時、少なくとも約36380kg/時、または少なくとも約40000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618は、約2000kg/時、約2500kg/時、約3000kg/時、約3500kg/時、約3638kg/時、約4000kg/時、約5000kg/時、約1000kg/時、約20000kg/時、約35000kg/時、約36380kg/時、または約40000kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618は、1000kg/時~4000kg/時の間、または1000kg/時~40000kg/時の間の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618は、wt%で少なくとも約95、少なくとも約98、少なくとも約99、少なくとも約99.3、または少なくとも約99.5のbPLを有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618は、wt%で約0~0.2、約0.05~0.15、約0.1、最大で約0.1、または最大で約0.2の溶媒を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618は、wt%で約0~3、約0.1~2、約0.2~1、約0.5~1、約0.6、最大で約3、最大で約2、最大で約1、最大で約0.6、最大で約0.5の無水コハク酸を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1618
は、微量のカルボニル化触媒を有することができる。一部の実施形態では、BPL精製塔は、ボトムストリーム1618中のカルボニル化触媒および/または無水コハク酸のためのパージを有することができる。一部の実施形態では、パージは、弁であり得る。
ライトガス塔
【0349】
オーバーヘッドストリーム1632は、ライトガス塔1637に送られて、オーバーヘッドストリーム1639とボトムストリーム1638に分離され得る。ライトガス塔は、蒸留塔であり得る。一部の実施形態では、ライトガス塔は、最大で約5bara、最大で約4bara、最大で約3bara、最大で約2bara、最大でおよそ大気圧(すなわち、1bara)、またはおよそ大気圧で操作され得る。一部の実施形態では、ライトガス塔は、部分凝縮器を含み得る。一部の実施形態では、部分凝縮器は、約0~20℃、約5~15℃、約10~15℃、約10~13℃の温度で操作される。一部の実施形態では、ライトガス塔の底部で維持される温度は、約20~70℃、約40~60℃、約45~55℃、または約50℃である。一部の実施形態では、ライトガス塔内で維持されるオーバーヘッドの温度は、約-10~10℃、約-5~5℃、約-2~3℃、または約1℃であり得る。オーバーヘッドストリーム1639は、大部分の、カルボニル化反応系において生成されたアセトアルデヒド、ならびに低沸点エチレンオキシドを含み得る。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、処分することができ(例えば、焼却炉、フレア等)、したがって、アセトアルデヒドは、生成系/生成プロセス全体に蓄積しない。
【0350】
一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、約50kg/時、約100kg/時、約150kg/時、約175kg/時、約200kg/時、約250kg/時、少なくとも500kg/時、少なくとも1000kg/時、少なくとも1500kg/時、少なくとも2000kg/時、または少なくとも2500kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、50kg/時~250kg/時の間、100kg/時~250kg/時の間、200kg/時~250kg/時の間、または50kg/時~2000kg/時の間の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、wt%で少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約89.5、少なくとも約90、または少なくとも約95のエチレンオキシドを有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、wt%で約0~15、約1~10、約2~8、約6.1、最大で約15、最大で約10、最大で約6.1、最大で約5、または最大で約2のアセトアルデヒドを有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、wt%で約0~12、約1~10、約2~6、約4.10、最大で約12、最大で約10、最大で約6、最大で約5、最大で約4.1、または最大で約2の一酸化炭素を有することができる。一部の実施形態では、オーバーヘッドストリーム1639は、wt%で約0~2、約0.1~1、約0.2~0.6、約0.4、最大で約2、最大で約1、最大で約0.5、最大で約0.4、または最大で約0.2の溶媒を有することができる。
【0351】
一部の実施形態では、ボトムストリーム1638は、約50kg/時、約150kg/時、約200kg/時、約235kg/時、約250kg/時、約300kg/時または約350kg/時の質量流速を有することができる。一部の実施形態では、ボトムストリーム1638は、wt%で少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約93.9、少なくとも約95、少なくとも約98、または少なくとも約99の溶媒を有する。一部の実施形態では、ボトムストリーム1638は、wt%で約0~12、約1~10、約2~6、約4、最大で約12、最大で約10、最大で約8、最大で約5、最大で約4、または最大で約2のエチレンオキシドを有する。一部の実施形態では、ボトムストリーム1638は、wt%で約0~10、約0.5~5、約
1~4、約1~3、約2.2、最大で約10、最大で約5、最大で約2.2、最大で約2、最大で約1のアセトアルデヒドを有する。
溶媒リサイクルストリーム
【0352】
一部の実施形態では、サイドストリーム1633、ボトムストリーム1638、オーバーヘッドストリーム1636またはこれらの組合せは、溶媒リサイクルストリーム1623を形成することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633、ボトムストリーム1638、およびオーバーヘッドストリーム1636は、合わされて、溶媒リサイクルストリーム1623を形成することができる。一部の実施形態では、サイドストリーム1633、ボトムストリーム1638、および/またはオーバーヘッドストリーム1636は、溶媒リサイクルタンクまたはストレージに送ることができる。一部の実施形態では、溶媒リサイクルストリームは、カルボニル化反応系に戻されて供給される。一部の実施形態では、カルボニル化反応系に供給された溶媒リサイクルストリームは、溶媒リサイクルタンクまたはストレージからのものである。一部の実施形態では、溶媒リサイクルタンクまたはストレージに入るおよび/またはそれから出る溶媒ストリームは、例えば、ストリームを吸収体に通過させて、ストリームから潜在的な酸素および/または湿気を除去することによって精製することができる。一部の実施形態では、溶媒リサイクルタンクまたはストレージは、保存タンク内の水および/または酸素の含量を決定するためのセンサーを備えることができる。
好ましい蒸留系
【0353】
好ましい実施形態では、蒸留下位系(sub-system)は、3つの蒸留塔、(1)軽量物(lights)除去塔、(2)THF溶媒回収塔、および(3)bPL精製塔からなる。
1.軽量物除去塔
【0354】
この塔の目的は、カルボニル化反応器に戻してリサイクルするためにエチレンオキシド(EO)を回収すること、ならびにアセトアルデヒド(ACH)などの低融点不純物を分離することである。この塔からの留出物ストリームは、THF、EO、ACHを含有するか、またはEOおよびACHだけを含有し得る。この塔(colomn)は、カルボニル化触媒回収ゾーンから透過液ストリームを受け取り、非常に好ましい形態では、以下のTHF(約75.2wt%)、bPL(約20.5wt%)、エチレンオキシド(約4.1wt%)、アセトアルデヒド(約0.07wt%)、無水コハク酸(約0.02wt%)、微量の低沸点および高沸点不純物の代表的(representativie)組成を有する成分を有し、微
量の残留カルボニル化触媒は、軽量物除去蒸留塔に供給される。蒸留塔は、約1.3baraの圧力で操作される(塔は、大気圧で、または大気圧をわずかに超える圧力で操作される)。再沸器の温度は、105℃またはそれ未満に維持される。THF(約93.4wt%)、EO(約6.5wt%)、ACH(0.1wt%)、および微量の低沸点不純物から本質的になる軽量物塔留出物ストリームは、カルボニル化反応器または任意選択のACH除去系に戻されて供給される。非常に好ましい形態の軽量物塔は、bPL(約54.9wt%)、THF(約45.0wt%)、無水コハク酸(約0.05wt%)、微量の低沸点および高沸点不純物、ならびに微量の残留カルボニル化触媒から本質的になるボトムストリームを生成し、この高沸点不純物は、その先のTHF溶媒回収塔(2)に供給される。
【0355】
一部の実施形態では、軽量物除去塔は、留出物ストリームがエチレンオキシドおよびアセトアルデヒドだけからなり、すべてのTHFが、ボトムストリームと共に塔を出るように操作され得る。軽量物除去塔がこのコンフィギュレーションで操作される場合、留出物は、EO(約98.8wt%)、ACH(約1.2wt%)、および微量の低沸点不純物から本質的になる。この塔コンフィギュレーションにおけるボトムストリームは、THF(約78.5wt%)、bPL(約21.5wt%)、SAH(約0.02wt%)、微
量の残留カルボニル化触媒、微量の低沸点および高沸点不純物から本質的になる。
【0356】
カルボニル化/蒸留系内へのアセトアルデヒドの蓄積は、留出物ストリームから少しパージすることによって回避することができ、または分子ふるい(非限定的な例は、分子ふるい3A、4A、5A、13X等である)などの吸収剤を使用して留出物ストリームから除去することができる。任意選択で、ACHは、蒸留または抽出蒸留を使用してEOから分離される。
2.THF溶媒回収塔
【0357】
この塔の目的は、カルボニル化反応器に戻されてリサイクルするために、THF溶媒を回収することである。bPLの沸点が高いことに起因して(大気圧で162℃)、この塔は、再沸器の温度を105℃未満に制限し、bPLの自家重合を回避するために、大気圧未満の圧力で操作される。この塔からの留出物ストリームは、本質的に純粋なTHFを含有し、この塔のボトムストリームは、bPL、SAH、残留カルボニル化触媒、および微量の高沸点不純物を含有する。
【0358】
THF、bPL、SAH、残留カルボニル化触媒、ならびに微量の低沸点および高沸点不純物を含有する軽量物塔ボトムストリームは、THF溶媒回収蒸留塔に供給される(このストリームの組成は、先のセクションに提示されている)。任意選択で、THF溶媒補給用ストリームを、この塔に供給することができ、これによって、補給用THFからO2、H2O、およびBHT抑制剤を除去することができる。
【0359】
蒸留塔は、約100トールの絶対圧力で操作され(塔は、真空下で操作される)、再沸器の温度は、105℃またはそれ未満に維持される。この塔は、塔への空気侵入を最小限に抑えて、下流ユニット操作において、リサイクルされたTHF溶媒ストリームからO2およびH2O汚染物質の除去を簡単にできるように設計される。
【0360】
本質的に純粋なTHF(99.9wt%よりも高い純度)と微量の低沸点および高沸点不純物からなる、この塔からの留出物ストリームは、カルボニル化反応器に戻されてリサイクルされる。このストリームは、任意選択でリサイクルされる前に、O2およびH2Oなどの汚染物質を除去するための精製系に通過させることができる。これらの不純物は、吸収、吸着、抽出蒸留、共沸蒸留等の当技術分野で公知の任意の手段によって除去され得る。
【0361】
ボトムストリームは、bPL(約99.8wt%)、SAH(約0.1wt%)、少量の残留カルボニル化触媒、ならびに微量の低沸点および高沸点不純物からなる。このストリームは、その先のbPL精製塔に供給される。
3.bPL精製塔
【0362】
この塔の目的は、その後のPPL(ポリ-プロピオラクトン)の生成のために、精製されたbPLを回収することである。bPLの沸点が高いことに起因して(大気圧で162℃)、この塔は、再沸器の温度を105℃未満に制限し、bPLの自家重合を回避するために、大気圧未満の圧力で操作される。この塔からの留出物ストリームは、本質的に純粋なbPLを含有する。この塔のボトムストリームは、残留bPL、SAH、残留カルボニル化触媒、および微量の高沸点不純物を含有する。精製されたbPLストリームは、その先の重合反応器に供給され、ボトムストリームは、処分のため、または残留bPLおよびSAHの回収のために送られる。bPL(約99.8wt%)、SAH(約0.1wt%)、残留カルボニル化触媒、ならびに微量の低沸点および高沸点不純物を含有する、THF回収塔からのボトムストリームは、bPL精製塔に供給される。
【0363】
bPL精製塔は、好ましい形態では、約60トールの絶対圧力で操作され(塔は、真空下で操作される)、再沸器の温度は、105℃またはそれ未満に維持される。本質的に純粋なbPL(99.9wt%よりも高い純度)と微量の低沸点および高沸点不純物からなる留出物ストリームは、その先のbPL重合反応器に供給される。
【0364】
この塔のボトムストリームは、bPL(約88.9wt%)、SAH(約9.7wt%)、カルボニル化触媒(約1.4wt%)、および微量の高沸点不純物からなる。このボトムストリーム中のbPLの量は、SAHの結晶化を、その融点119℃未満の温度で回避し、再沸器の温度を105℃未満に制限するように選択される。
ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス
【0365】
図2を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスと、β-プロピオラクトン精製系、イオン除去ユニット、および氷アクリル酸生成系/生成プロセスなどの他のユニット操作の関係が図示されている。
【0366】
β-プロピオラクトン精製系202は、β-プロピオラクトン生成物ストリームを、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス210に供給するように構成される。均一触媒送達系204は、均一重合触媒を、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス210の重合反応器に供給するように構成される。ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス210は、β-プロピオラクトンを重合してポリプロピオラクトンを生成するように構成される。選択された重合反応器のタイプおよびこのような反応器のコンフィギュレーション、ならびに操作条件(例えば、操作温度、操作圧力、および滞留時間)および使用される重合触媒の選択に応じて、β-プロピオラクトンの変換程度を制御することができる。一部の変形形態では、操作温度は、反応器の内容物の平均温度である。
【0367】
一部の変形形態では、β-プロピオラクトンのポリプロピオラクトンへの部分的な変換が達成され、bPLリサイクルユニット220は、未反応のβ-プロピオラクトンの少なくとも一部を、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス210にリサイクルするように構成される。他の変形形態では、β-プロピオラクトンの、ポリプロピオラクトンへの完全な変換が達成される。ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス210から生成されたポリプロピオラクトン生成物ストリームは、ポリプロピオラクトンから氷アクリル酸を生成するように構成される、氷アクリル酸生成系/生成プロセス250に供給される。イオン除去ユニット230および260は、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにおける上流カルボニル化反応(図2には図示されていない)から持ち越され得るカチオン性および/またはアニオン性カルボニル化触媒種を除去するために存在する。例えば、カルボニル化触媒がコバルト-アルミニウム化合物である場合、コバルト種およびアルミニウム種は、イオン除去ユニット230および260によって除去され得る。イオン除去ユニットによって単離されたイオン種は、ユニット270を使用して処分され得るか、またはユニット280内で再生されて、活性なカルボニル化触媒を生成することができ、この触媒は、β-プロピオラクトン生成系/生成プロセスにリサイクルされ得る。
【0368】
一部の変形形態では、ユニット240は、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセス210からポリプロピオラクトン生成物ストリーム(例えば、液体形態の)を受け取るように構成され、ポリプロピオラクトン生成物ストリームをペレット化し、押し出し、薄片化し、または造粒するように構成される。
【0369】
しかし図2は、これらのユニット操作の1つの例示的なコンフィギュレーションを提示していることを理解されたい。他の変形形態では、図2に図示されているユニット操作の1つまたは複数は、加え、組み合わせ、または取り除くことができ、ユニット操作の順序も変えることができる。
【0370】
再び図1を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、重合触媒の存在下でβ-プロピオラクトンを重合することによってポリプロピオラクトンを生成するように構成される。図1には、β-プロピオラクトンを重合してポリプロピオラクトンを生成するための単一の栓流反応器の使用が図示されているが、他の反応器タイプおよび反応器コンフィギュレーションを用いることができる。
【0371】
一部の実施形態では、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスは、β-プロピオラクトン、重合開始剤または触媒供給源、および少なくとも1つの重合反応器を含む。
BPL供給源
【0372】
再び図6~13を参照すると、ポリプロピオラクトン生成系/生成プロセスに入るbPLは、bPL精製トレインから精製されたbPL、または重合反応器からリサイクルされたbPL、またはこれらの組合せであり得る。
【0373】
一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、少なくとも約2000kg/時のbPL、少なくとも約2500kg/時のbPL、少なくとも約3000kg/時のbPL、少なくとも約3086kg/時のbPL、少なくとも約3500kg/時のbPL、少なくとも約3638kg/時のbPL、少なくとも約4000kg/時のbPL、少なくとも約5000kg/時のbPL、少なくとも約1000kg/時のbPL、少なくとも約20000kg/時のbPL、または少なくとも約35000kg/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、約2000kg/時のbPL、約2500kg/時のbPL、約3000kg/時のbPL、約3500kg/時のbPL、約3638kg/時のbPL、約4000kg/時のbPL、約5000kg/時のbPL、約1000kg/時のbPL、約20000kg/時のbPL、または約35000kg/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、約2000kg/時のbPL~約3500kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~約3500kg/時のbPLの間、約3000kg/時のbPL~約3500kg/時のbPLの間、約2000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLの間、約2500kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLの間、または約3000kg/時のbPL~約35000kg/時のbPLの間を含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口は、少なくとも約25kmol/時のbPL、少なくとも約30kmol/時のbPL、少なくとも約40kmol/時のbPL、少なくとも約42kmol/時のbPL、または少なくとも約50kmol/時のbPLを含み得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLの質量分率は、少なくとも約0.90、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.99、および少なくとも約0.993であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスへの入口におけるbPLのモル分率は、少なくとも約0.90、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.99、および少なくとも約0.995であり得る。重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.015、最大で約0.01、または最大で約0.004のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒(最大で約1000ppmの)を含み得る。一部の変形形態では、重合プロセスに入る生成ストリームの残余物は、カルボニル化触媒成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。
【0374】
一部の変形形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、カルボニル化触媒またはその成分などの他の化合物をさらに含む。例えば一部の実施形態では、生成ストリームは、カルボニル化触媒からのコバルトもしくはアルミニウム、またはこれらの組合せをさらに含む。
【0375】
カルボニル化触媒成分には、例えば、触媒の分解によって生成された化合物、触媒を生成するために使用された化合物、触媒の一部であった金属または金属イオン、触媒の一部であった任意の有機化合物、触媒の一部であった金属カルボニルまたは金属錯体が含まれ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒成分は、コバルト酸カルボニル、アルミニウムサレン化合物、アルミニウムポルフィリン化合物、アルミニウムサロフェン化合物、コバルトもしくはコバルトイオンまたはアルミニウムもしくはアルミニウムイオン、あるいはこれらの任意の組合せである。
【0376】
ある特定の変形形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、コバルトを含む。一部の実施形態では、コバルトは、Co-1、Co、Co、Co2+もしくはCo3+、またはこれらの組合せである。一部の実施形態では、生成ストリームは、0.001mM~1mMの間、0.001mM~0.5mM、0.001mM~0.05mMの間、0.005mM~0.02mMの間、または0.007mM~0.015mMの間のコバルト濃度を有する。
【0377】
ある特定の変形形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、アルミニウムを含む。一部の実施形態では、生成ストリーム中のアルミニウムの濃度は、0.001mM~1mMの間、0.001mM~0.5mM、0.001mM~0.05mMの間、0.005mM~0.02mMの間、または0.007mM~0.015mMの間である。ある特定の変形形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、1ppm未満のコバルトおよび1ppm未満のアルミニウムを含有する。
【0378】
一部の実施形態では、重合プロセスへの入口はまた、例えば、重合反応が均一重合反応である場合、重合触媒を含み得る。重合プロセスに入る生成ストリームは、BPL精製系(例えば、BPL蒸留系)からの重量物(すなわち、ボトム)ストリームであり得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、約30~120℃の間、約50~110℃の間、または約70℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、少なくとも約0.05bar、少なくとも約0.1bar、少なくとも約5bar、少なくとも約10bar、少なくとも約15bar、または少なくとも約20barの圧力であり得る。一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、0.05bar~20barの間、0.1bar~20barの間、5bar~15barの間、または10bar~20barの間である。
【0379】
一部の変形形態では、重合プロセスに入る重合開始剤(initiaor)供給量に対するbPL供給量のモル比は、500~20,000、1,000~10,000、2,000~9,000、3,000~8,000、5,000~7,000、1,000~110,000、5,000~110,000、25,000~110,000、50,000~110,000、または75,000~110,000である。一実施形態では、重合プロセスに入る重合触媒供給量に対するbPL供給量のモル比は、1,000~9,000である。
【0380】
一部の変形形態では、bPL精製プロセスからのbPLおよび重合プロセスからリサイクルされたbPLの両方が、重合プロセスに入る。ある特定の実施形態では、リサイクルされたbPLとbPL精製プロセスからのbPLの重量比は、0~0.01:0.99、0.4:0.6~0.1:0.9、0.5:0.5~0.15:0.85、0.35:0.65~0.1:0.9、または0.25:0.75~0.15:0.85である。
他の供給物の供給源
【0381】
重合プロセスは、他の供給物の供給源をさらに含み得る。例えば一変形形態では、重合系は、重合開始剤の供給源をさらに含み、反応器は、このような供給源から重合開始剤を
受け取るように構成される。一部の変形形態では、重合開始剤は、求核試薬である。
重合条件
【0382】
ある特定の実施形態では、bPLのPPLへの変換は、連続流型式で実施される。ある特定の実施形態では、bPLのPPLへの変換は、気相中、連続流型式で実施される。ある特定の実施形態では、bPLのPPLへの変換は、液相中、連続流型式で実施される。ある特定の実施形態では、bPLのPPLへの変換は、液相中、バッチまたは半バッチ型式で実施される。bPLのPPLへの変換は、様々な条件下で実施され得る。ある特定の実施形態では、反応は、bPLのPPLへの変換を容易にする1つまたは複数の触媒の存在下で実施され得る。
【0383】
一部の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームは、気体または液体である。重合プロセスにおけるbPLのPPLへの変換は、気相または液相のいずれで実施することもでき、無希釈で、またはキャリアガス、溶媒もしくは他の希釈剤の存在下で実施され得る。
【0384】
ある特定の変形形態では、重合反応器の操作温度は、ポリプロピオラクトンの熱分解温度またはそれ未満に維持される。一部の実施形態では、反応ゾーンの温度は、約150℃またはそれ未満に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約0℃~約200℃に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約25℃~約200℃に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約50℃~約150℃に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約70℃~約150℃に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約100℃~約150℃に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約0℃~約100℃に維持される。一部の実施形態では、重合反応器の操作温度は、約50℃~約100℃に維持される。一部の変形形態では、操作温度は、反応器の内容物の平均温度である。
【0385】
一部の変形形態では、重合反応器は、1秒~10時間、1秒~3時間、1分~2時間、1.5分~90分、2分~75分、2分~60分、2分~45分、3分~30分、または4分~15分の滞留時間でPPLを生成するように構成される。一実施形態では、反応混合物の滞留時間は、2分~90分である。ある特定の変形形態では、滞留時間は、容器(例えば、反応容器)内で材料が消耗される時間の長さを指す。滞留時間は、材料の体積流速、および材料を含む容器の活性容積(active volume)を特定することによって算出することができる。
【0386】
一部の変形形態では、重合反応器は、0.01bar~100bar、0.01bar~50bar、0.1bar~30bar、1bar~20bar、2bar~15bar、3bar~10bar、0.01bar~15bar、0.01bar~10bar、0.1bar~5bar、または0.1bar~2barの操作圧力でPPLを生成するように構成される。一部の実施形態では、重合反応器は、CSTRであり、反応器内の操作圧力は、0.1bar~5barである。他の実施形態では、重合反応器は、PFRであり、反応器内の操作圧力は、1bar~約20barである。さらに他の実施形態では、重合反応器は、ループ反応器であり、反応器内の操作圧力は、1bar~約20barである。
均一触媒および開始剤
【0387】
PPL生成系/生成プロセスに入るBPL生成物ストリームを、PPL生成物ストリームに変換するために、任意の適切な重合開始剤および/または触媒が使用され得る。一部の実施形態では、重合開始剤または触媒は、重合反応混合物と均一である。生成ストリームをPPL生成物ストリームに変換することができる任意の適切な均一重合開始剤または
触媒は、本明細書に記載される方法で使用され得る。
【0388】
本明細書に開示される方法の開環重合ステップに適した触媒は、例えば、Journal of
the American Chemical Society(2002年)、124巻(51号)、15239~15248頁 Macromolecules、24巻、20号、5732~5733頁、Journal of Polymer Science、Part A-1、9巻、10号、2775~2787頁;Inoue, S.、Y. Tomoi、T. TsurutaおよびJ. Furukawa;Macromolecules、26巻、20号、5533~5534頁;Macromolecules、23巻、13号、3206~3212頁;Polymer Preprints(1999年)、40巻(1号)、508~509頁;Macromolecules、21巻、9号、2657~2668頁;およびJournal of Organometallic Chemistry、341巻、1~3号、83~9頁、ならびに米国特許第3,678,069号、同第3,169,945号、同第6,133,402号、同第5,648,452号、同第6,316,590号、同第6,538,101号、および同第6,608,170号に開示されている。これらのそれぞれの全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0389】
重合プロセスは、これらに限定されるものではないが、中でもアミン、ポリアミン、ホスフィンを含めた重合開始剤をさらに含み得る。さらに、これに限定されるものではないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩を含めた様々な重合開始剤を、重合プロセスにおいて使用することができる。
【0390】
ある特定の実施形態では、適切な重合開始剤には、金属イオンまたは有機カチオンのカルボン酸塩が含まれる。
【0391】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、bPLを含有する生成ストリームと合わされる。ある特定の実施形態では、生成ストリーム中の重合開始剤とbPLのモル比は、約1:15000である。ある特定の実施形態では、重合開始剤(intiator):bPLのモル
比は、約1:100、1:10000、1:1000、1:20000またはこれらの比のいずれか2つを含めた範囲である。
【0392】
重合(触媒ではなく)開始剤がカルボン酸塩を含む、ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、bPLの重合が開始されると、生成されたポリマー鎖がアクリレート鎖末端を有するような構造を有する。ある特定の実施形態では、重合開始剤上のカルボン酸イオンは、重合プロセスで使用される連鎖移動剤のアニオン形態である。
【0393】
ある特定の実施形態では、重合開始剤のカルボン酸塩は、式(A)の化合物
【化29】
の塩(すなわち、アニオン形態)またはこれらの任意の2つもしくはそれよりも多くのものの混合物であり、式中、pは、0~9である。ある特定の実施形態では、pは、0~5である。ある特定の実施形態では、重合(触媒ではなく)開始剤のカルボン酸塩は、アクリル酸塩(すなわちp=0である式(A)の化合物)である。
【0394】
ある特定の実施形態では、重合開始剤のカルボン酸塩は、アクリル酸二量体
【化30】
の塩である。ある特定の実施形態では、重合(触媒ではなく)開始剤のカルボン酸塩は、アクリル酸三量体
【化31】
の塩である。
【0395】
重合開始剤がカルボン酸塩を含む、ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、C1~40カルボン酸のアニオン形態である。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、ポリカルボン酸(例えば2つまたはそれよりも多いカルボン酸基を有する化合物)の塩であり得る。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、C1~20カルボン酸のアニオンを含む。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、C1~12カルボン酸のアニオンを含む。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、C1~8カルボン酸のアニオンを含む。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、C1~4カルボン酸のアニオンを含む。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、任意選択で置換されている安息香酸のアニオンを含む。ある特定の実施形態では、このカルボン酸塩は、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、吉草酸塩、酪酸塩、C5~10脂肪族カルボン酸塩、およびC10~20脂肪族カルボン酸塩からなる群から選択される。
【0396】
記載の通り、ある特定の実施形態では、重合開始剤は、有機カチオンのカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、重合開始剤は、カチオンのカルボン酸塩を含み、ここで正電荷は、少なくとも部分的に、窒素、硫黄、またはリン原子上に位置する。ある特定の実施形態では、重合開始剤は、窒素カチオンのカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、重合開始剤は、アンモニウム、アミジニウム、グアニジニウム、窒素複素環のカチオン形態、ならびにこれらの2つまたはそれよりも多い任意の組合せからなる群から選択されるカチオンのカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、重合(触媒ではなく)開始剤は、リンカチオンのカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、重合(触媒ではなく)開始剤は、ホスホニウムおよびホスファゼニウムからなる群から選択されるカチオンのカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、重合(触媒ではなく)開始剤は、硫黄含有カチオンのカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、重合開始剤は、スルホニウム塩を含む。
【0397】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、プロトン化アミン
【化32】
のカルボン酸塩を含み、式中、
各RおよびRは、独立に、水素、あるいはC1~20脂肪族;C1~20ヘテロ脂肪族;3~8員の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式炭素環;7~14員の飽和もしくは部分的に不飽和の多環式炭素環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~14員の多環式ヘテロアリール環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の
飽和もしくは部分的に不飽和の単環式複素環式環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~5個のヘテロ原子を有する6~14員の飽和もしくは部分的に不飽和の多環式複素環;フェニル;または8~14員の多環式アリール環からなる群から選択される、任意選択で置換されているラジカルであり、RおよびRは、介在する原子と一緒になって、任意選択で1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含む1つまたは複数の任意選択で置換されている環を形成することができ、各Rは、独立に、水素、あるいはC1~20脂肪族;C1~20ヘテロ脂肪族;3~8員の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式炭素環;7~14員の飽和もしくは部分的に不飽和の多環式炭素環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~14員の多環式ヘテロアリール環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式複素環式環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~5個のヘテロ原子を有する6~14員の飽和もしくは部分的に不飽和の多環式複素環;フェニル;または8~14員の多環式アリール環からなる群から選択される、任意選択で置換されているラジカルであり、R基は、RまたはR基と共に、1つまたは複数の任意選択で置換されている環を形成することができる。
【0398】
重合開始剤がプロトン化アミンのカルボン酸塩を含む、ある特定の実施形態では、このプロトン化アミンは、
【化33】
からなる群から選択される。
【0399】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、第四級アンモニウム塩
【化34】
のカルボン酸塩を含み、式中、
各R、RおよびRは、先に記載されており、
各Rは、独立に、水素、あるいはC1~20脂肪族;C1~20ヘテロ脂肪族;3~8員の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式炭素環;7~14員の飽和もしくは部分的に不飽和の多環式炭素環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~14員の多環式ヘテロアリール環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式複素環式環;窒素、酸素もしくは硫黄から独立に選択される1~5個のヘテロ原子を有する6~14員の飽和もしくは部分的に不飽和の多環式複素環;フェニル;または8~14員の多環式アリール環からなる群から選択される、任意選択で置換されているラジカルであり、R基は、R、RまたはR基と共に、1つまたは複数の任意選択で置換されている環を形成することができる。
【0400】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、グアニジニウム基
【化35】
のカルボン酸塩を含み、
式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素またはC1~20脂肪族である。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素またはC1~12脂肪族である。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素またはC1~20ヘテロ脂肪族である。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素またはフェニルである。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素または8~10員のアリールである。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素または5~10員のヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、各RおよびRは、独立に、水素または3~7員の複素環式である。ある特定の実施形態では、RおよびRの1つまたは複数は、任意選択で置換されているC1~12脂肪族である。
【0401】
ある特定の実施形態では、任意の2つまたはそれよりも多いRまたはR基は、介在する原子と一緒になって、1つまたは複数の任意選択で置換されている炭素環式、複素環式、アリール、またはヘテロアリール環を形成する。ある特定の実施形態では、RおよびR基は、一緒になって、任意選択で置換されている5員または6員の環を形成する。ある特定の実施形態では、3つまたはそれよりも多いRおよび/またはR基は、一緒になって、任意選択で置換されている縮合環系を形成する。
【0402】
ある特定の実施形態では、RおよびR基は、介在する原子と一緒になって、
【化36】
から選択される化合物を形成し、式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りであり、環Gは、任意選択で置換されている5~7員の飽和または部分的に不飽和の複素環式環である。
【0403】
グアニジニウムカチオンが、
【化37】
と図示される場合、すべてのこのような共鳴形態は、本開示によって企図され、包含されることを理解されよう。例えば、このような基は、
【化38】
と図示することもできる。
【0404】
特定の実施形態では、グアニジニウムカチオンは、
【化39】
からなる群から選択される。
【0405】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、スルホニウム基またはアルソニウム基
【化40】
のカルボン酸塩を含み、式中、R、R、およびRのそれぞれは、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0406】
特定の実施形態では、アルソニウムカチオンは、
【化41】
からなる群から選択される。
【0407】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、任意選択で置換されている窒素含有複素環のカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、窒素含有複素環は、芳香族複素環である。ある特定の実施形態では、任意選択で置換されている窒素含有複素環は、ピリジン、イミダゾール、ピロリジン、ピラゾール、キノリン、チアゾール、ジチアゾール、オキサゾール、トリアゾール、ピラゾール(pyrazolem)、イソオキサゾール、イソチアゾール、
テトラゾール、ピラジン、チアジン、およびトリアジンからなる群から選択される。
【0408】
ある特定の実施形態では、窒素含有複素環は、四級化(quaternarized)窒素原子を含
む。ある特定の実施形態では、窒素含有複素環は、イミニウム部分、例えば
【化42】
を含む。ある特定の実施形態では、任意選択で置換されている窒素含有複素環は、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウム、ピラゾリウム、キノリニウム、チアゾリウム、ジチアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、イソオキサゾリウム、イソチアゾリウム、テトラゾリウム、ピラジニウム、チアジニウム、およびトリアジニウムからなる群から選択される。
【0409】
ある特定の実施形態では、窒素含有複素環は、環窒素原子を介して金属錯体に連結される。ある特定の実施形態では、結合がなされる環窒素は、それによって四級化され、ある特定の実施形態では、金属錯体との連結は、N-H結合に取って代わり、それによって窒素原子は中性のままとなる。ある特定の実施形態では、任意選択で置換されているN連結窒素含有複素環は、ピリジニウム誘導体である。ある特定の実施形態では、任意選択で置換されているN連結窒素含有複素環は、イミダゾリウム誘導体である。ある特定の実施形態では、任意選択で置換されているN連結窒素含有複素環は、チアゾリウム誘導体である。ある特定の実施形態では、任意選択で置換されているN連結窒素含有複素環は、ピリジニウム誘導体である。
【0410】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化43】
のカルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態では、環Aは、任意選択で置換されている5~10員のヘテロアリール基である。ある特定の実施形態では、環Aは、任意選択で置換されている6員のヘテロアリール基である。ある特定の実施形態では、環Aは、縮合複素環の環である。ある特定の実施形態では、環Aは、任意選択で置換されているピリジル基である。
【0411】
特定の実施形態では、窒素含有複素環式カチオンは、
【化44】
からなる群から選択される。
【0412】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化45】
のカルボン酸塩を含み、式中、各R、R、およびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0413】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化46】
のカルボン酸塩を含み、式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0414】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化47】
のカルボン酸塩を含み、式中、各R、R、およびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0415】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化48】
のカルボン酸塩を含み、式中、R、R、R、およびRのそれぞれは、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0416】
ある特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、C1~20脂肪族;C1~20ヘテロ脂肪族;フェニル、および8~10員のアリールからなる群から選択される、任意選択で置換されている基である。ある特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、任意選択で置換されているC1~20脂肪族である。ある特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、有する任意選択で置換されているC1~20ヘテロ脂肪族である。ある特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、任意選択で置換されているフェニルまたは8~10員のアリールである。ある特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、任意選択で置換されている5~10員のヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、RおよびRは、介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されているC~C14炭素環、任意選択で置換されているC~C14複素環、任意選択で置換されているC~C10アリール、および任意選択で置換されている5~10員のヘテロアリールからなる群から選択される、1つまたは複数の環を形成することができる。ある特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、任意選択で置換されているC1~6脂肪族である。ある特定の実施形態では、RおよびRは、出現する毎に独立に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはベンジルである。ある特定の実施形態では、RおよびRは、出現する毎に独立に、ペルフルオロである。ある特定の実施形態では、RおよびRは、出現する毎に独立に、-CFCFである。
【0417】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化49】
のカルボン酸塩を含み、式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0418】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化50】
のカルボン酸塩を含み、式中、各R、R、およびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0419】
ある特定の実施形態では、カチオンは、
【化51】
であり、式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0420】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化52】
のカルボン酸塩を含み、式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0421】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化53】
のカルボン酸塩を含み、式中、各R、R、およびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。
【0422】
ある特定の実施形態では、重合開始剤は、
【化54】
のカルボン酸塩を含み、式中、各RおよびRは、独立に、先に定義され、本明細書のクラスおよびサブクラスに記載される通りである。ある特定の実施形態では、適切な開始剤は、遷移金属化合物を含む。ある特定の実施形態では、適切な触媒は、酸触媒を含む。ある特定の実施形態では、触媒は、不均一触媒である。
【0423】
一部の実施形態では、均一重合開始剤は、第四級アンモニウム塩(例えば、アクリル酸テトラブチルアンモニウム(TBA)、酢酸TBA、アクリル酸トリメチルフェニルアンモニウム、または酢酸トリメチルフェニルアンモニウム)またはホスフィン(例えば、アクリル酸テトラフェニルホスホニウム)である。
【0424】
一部の実施形態では、触媒は、アクリル酸テトラブチルアンモニウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、塩化鉄、酢酸テトラブチルアンモニウム、アクリル酸トリメチルフェニルアンモニウム、酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、またはアクリル酸テトラフェニルホスホニウムである。
【0425】
図4Aを参照すると、第1の反応器(408)内の重合触媒および第2の反応器(410)内の追加の重合開始剤は、同じでも異なっていてもよい。例えば、両方の反応器内で同じ開始剤が使用される一部の実施形態では、開始剤の濃度は、各反応器内で同じではない。
【0426】
一部の実施形態では、均一重合開始剤は、液体として重合反応器に添加される。他の実施形態では、均一重合開始剤は、固体として添加され、次いで重合反応において均一となる。重合開始剤が液体として添加される一部の実施形態では、重合開始剤は、溶融物として、または任意の適切な溶媒に入れて、重合反応器に添加され得る。例えば一部の変形形態では、GAA、溶融PPLまたはbPLが、溶媒として使用される。
【0427】
一部の実施形態では、重合開始剤のための溶媒は、開始剤が可溶性であり、溶媒が生成物ポリマーを汚染せず、溶媒が乾燥状態であるように選択される。一部の変形形態では、重合開始剤溶媒は、GAA、溶融PPL、またはbPLである。ある特定の変形形態では、固体PPLは、重合反応器に添加され、液体になるまで室温よりも高い温度に加熱され、重合開始剤溶媒として使用される。他の実施形態では、bPLは、重合反応器に添加され、液体になるまで室温よりも低い温度に冷却され、重合開始剤溶媒として使用される。
【0428】
一部の変形形態では、固体または液体重合開始剤(溶融物として、または適切な溶媒中の溶液として)は、ある場所で調製され、次いで、重合反応器内で使用される第2の場所に配送される。他の実施形態では、固体または液体重合開始剤(溶融物として、または適切な溶媒中の溶液として)は、重合反応器の場所で調製される(例えば、湿気および/または酸素への曝露を低減するため)。
【0429】
固体または液体重合開始剤(溶融物として、または適切な溶媒中の溶液として)は、撹
拌保持タンクにポンプ注入され得るか、または重合反応器に直接ポンプ注入され得る。
【0430】
一部の変形形態では、液体開始剤および/または開始剤前駆体は、配送容器/コンテナから、適切な溶媒と混合するための中間の不活性容器に分注され、次いで開始剤溶液は、反応器またはプレミックスタンクに供給される。開始剤調製系および関連物は、開始剤または前駆体が周囲雰囲気と接触しないことを確実にするように選択され得る。
【0431】
一部の変形形態では、重合反応器は、PFRであり、固体または液体開始剤(溶融物として、または適切な溶媒中の溶液として)およびbPLは、小型撹拌タンクに供給され、次いで混合物は、PFRに供給される。他の実施形態では、bPLおよび液体触媒は、PFRの入口に設置されたプレミキサーに供給される。さらに別の実施形態では、PFRは、スタティックミキサーを有し、反応は、反応器のシェル側で生じ、固体または液体開始剤およびbPLは、反応器の入口に導入され、スタティックミキサー要素は、開始剤およびbPLを混合する。さらに別の実施形態では、PFRは、スタティックミキサーを有し、反応は、反応器のシェル側で生じ、固体または液体開始剤は、反応器の長さに沿って分布した、複数の場所にある計量ポンプ/フィーダーを使用して、PFRに導入される。
【0432】
一部の実施形態では、均一重合開始剤は、重合反応器の場所に、固体(例えば、固体Al(TPP)Et、固体アクリル酸ナトリウム、固体アクリル酸カリウム、固体酢酸ナトリウム、固体酢酸カリウム、または固体アクリル酸TBA)として送達され、固体開始剤は、不活性条件(COまたは不活性ガス)下で解梱され、ホッパーに搭載され、ホッパーからの固体は、重合反応器に直接的に供給され得るか、または反応器の前にbPLと混合され得るか、または重合反応器もしくは混合タンクにポンプ注入する前に計量して適切な溶媒に入れることができる。
不均一系
【0433】
重合プロセスに入る生成ストリームをPPL生成物ストリームに変換するための重合プロセスでは、任意の適切な重合触媒を使用することができる。一部の実施形態では、重合触媒は、重合反応混合物と不均一である。本明細書に記載される方法では、生成ストリーム中のbPLを重合してPPL生成物ストリームを生成することができる任意の適切な不均一重合触媒を使用することができる。
【0434】
一部の実施形態では、不均一重合触媒は、不均一支持体に担持された、先に記載される均一重合触媒のいずれかを含む。適切な不均一支持体には、例えば、非晶質支持体、層状支持体もしくは微孔性支持体、またはこれらの任意の組合せが含まれ得る。適切な非晶質支持体には、例えば、金属酸化物(例えば、アルミナまたはシリカ)もしくは炭素、またはこれらの任意の組合せが含まれ得る。適切な層状支持体には、例えば、粘土が含まれ得る。適切な微孔性支持体には、例えば、ゼオライト(例えば、分子ふるい)または架橋された官能化ポリマーが含まれ得る。他の適切な支持体には、例えば、ガラス表面、シリカ表面、プラスチック表面、ゼオライトを含む金属表面、金属的または化学的コーティングを含む表面、膜(例えば、ナイロン、ポリスルホン、シリカを含む)、マイクロビーズ(例えば、ラテックス、ポリスチレン、または他のポリマーを含む)、および多孔質ポリマーマトリックス(例えば、ポリアクリルアミド、多糖類、ポリメタクリレートを含む)が含まれ得る。
【0435】
一部の変形形態では、不均一重合触媒は、先に記載される均一重合触媒のいずれかのカルボン酸塩を含み、この場合、カルボン酸塩は不均一である。例えば、ある特定の実施形態では、重合触媒のカルボン酸塩は、式(D)の化合物であり、
【化55】
式中、pは、0~9であり、Rは、不揮発性部分である。用語「不揮発性部分」は、本明細書で使用される場合、カルボン酸塩が結合することができ、カルボン酸塩(例えば、p=0である場合)を熱分解条件に対して不揮発性にする部分または材料を指す。一部の実施形態では、不揮発性部分は、ガラス表面、シリカ表面、プラスチック表面、ゼオライトを含む金属表面、金属的または化学的コーティングを含む表面、膜(例えば、ナイロン、ポリスルホン、シリカを含む)、マイクロビーズ(例えば、ラテックス、ポリスチレン、または他のポリマーを含む)、および多孔質ポリマーマトリックス(例えば、ポリアクリルアミド、多糖類、ポリメタクリレートを含む)からなる群から選択される。一部の実施形態では、不揮発性部分は、100g/mol、200g/mol、500g/mol、または1000g/molを超える分子量を有する。一部の実施形態では、不揮発性部分は、固定または充填床系の一部である。一部の実施形態では、不揮発性部分は、ペレット(例えば、ゼオライト)を含む固定または充填床系の一部である。ある特定の実施形態では、pは、0~5である。ある特定の実施形態では、重合触媒のカルボン酸塩は、アクリル酸塩(すなわち、p=0である式(D)の化合物の)である。
【0436】
一部の実施形態では、不均一重合触媒は、固体担持第四級アンモニウム塩(例えば、アクリル酸テトラブチルアンモニウム(TBA)、酢酸TBA、アクリル酸トリメチルフェニルアンモニウム、または酢酸トリメチルフェニルアンモニウム)またはホスフィン(例えば、アクリル酸テトラフェニルホスホニウム)である。
【0437】
一部の実施形態では、触媒は、固体担持アクリル酸テトラブチルアンモニウム、塩化鉄、酢酸TBA、アクリル酸トリメチルフェニルアンモニウム、酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、またはアクリル酸テトラフェニルホスホニウムである。
【0438】
ある特定の実施形態では、重合プロセスに入る生成ストリームのPPL生成物ストリームへの変換は、固体カルボン酸塩触媒を利用し、その変換は、少なくとも部分的には気相中で実施される。ある特定の実施形態では、重合プロセスにおける固体カルボン酸塩触媒は、固体アクリル酸触媒を含む。ある特定の実施形態では、生成ストリームは、液体として重合プロセスに入り、固体カルボン酸塩触媒と接触して、PPL生成物ストリームを形成する。他の実施形態では、生成ストリームは、気体として重合プロセスに入り、固体カルボン酸塩触媒と接触して、PPL生成物ストリームを形成する。
【0439】
一部の変形形態では、重合触媒は、不均一触媒床である。このような不均一触媒床のために、任意の適切な樹脂を使用することができる。一実施形態では、重合触媒は、チューブ状の反応器に充填された不均一触媒床である。一部の実施形態では、重合反応器系は、複数の不均一触媒床を含み、ここで少なくとも1つの触媒床は、重合反応器内で使用され、少なくとも1つの触媒床は、重合反応器内で同時には使用されない。例えば、活発に使用されていない触媒床は、その後使用するために再生されていることができ、または活発に使用されている床の触媒が不足している場合の予備の触媒床として保存することができる。一実施形態では、重合反応器系は、3つの不均一触媒床を含み、ここで1つの触媒床は、重合反応器で使用され、1つの触媒床は、再生されており、1つの触媒床は、触媒不足の場合の予備として保存されている。
【0440】
一部の変形形態では、不均一重合触媒は、ある場所で調製され、次いで重合反応器において使用される第2の場所に配送される。他の実施形態では、不均一重合触媒は、重合反応器の場所で調製される(例えば、湿気および/または酸素への曝露を低減するため)。
溶媒
【0441】
一部の実施形態では、重合プロセスは、溶媒を含まない。他の実施形態では、重合プロセスは、実際、1つまたは複数の溶媒を含む。適切な溶媒には、炭化水素、エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、アミド、スルホン、ハロゲン化炭化水素等が含まれ得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、溶媒は、PPL生成物ストリームが、反応媒体に可溶性となるように選択される。
【0442】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、低極性から中程度の極性のルイス塩基を含む溶媒は、重合反応の性能を改善すると思われる。したがって、ある特定の実施形態では、重合溶媒は、ルイス塩基を含み、1,3-ジオキサン(20℃におけるε=比誘電率=13.6)よりも極性が低い。ある特定の実施形態では、重合溶媒は、ルイス塩基を含み、オルト-ジフルオロベンゼン(ε=13)よりも極性が低い。ある特定の実施形態では、重合溶媒は、ルイス塩基を含み、メタジフルオロベンゼン(ε=5)よりも極性が低い。ある特定の実施形態では、重合溶媒は、1,4-ジオキサン(ε=2.2)と実質的に同じ極性を有するルイス塩基を含む。一部の実施形態では、重合溶媒は、比誘電率によって測定される場合、カルボニル化溶媒よりも極性が低い。一部の実施形態では、重合溶媒は、20℃で約13.6未満、約13未満、または約5未満の比誘電率を有する。
【0443】
例えば、図4Aおよび4Bに図示されている重合プロセスを参照すると、反応器408および/または410は、溶媒を受け取るように構成され得る。例えば一変形形態では、重合プロセスは、溶媒を反応器408および410に供給するように構成された溶媒供給源をさらに含み得る。別の変形形態では、生成ストリーム402からのbPLを、溶媒と合わせて、反応器408に供給されるbPLを含有する生成ストリームを形成することができる。さらに別の変形形態では、重合触媒供給源404および/または406からの重合触媒を、溶媒と合わせて、反応器に供給される重合触媒ストリームを形成することができる。
重合反応器
【0444】
重合プロセスにおける1つまたは複数の重合反応器は、重合プロセスに入る生成ストリームからPPL生成物ストリームを生成するのに適した任意の重合反応器であり得る。例えば、重合反応器は、CSTR、ループ反応器もしくは栓流反応器、またはこれらの組合せであり得る。一部の実施形態では、重合プロセスは、単一の反応器を含み、一方で他の実施形態では、重合プロセスは、複数の反応器を含む。一部の変形形態では、bPLは、重合反応器内でPPLに完全に変換される。他の変形形態では、bPLは、重合反応器内でPPLに完全には変換されず、重合反応器を出るPPLストリームは、未反応のbPLを含む。ある特定の変形形態では、未反応のbPLを含むPPLストリームは、bPL/PPL分離器に向けられて、PPLからbPLが除去される。次いで、bPLは、例えば先の図7、9、11および13に記載される通り、重合反応器に戻されてリサイクルされ得る。
【0445】
ある特定の変形形態では、重合プロセスは、直列の2つの反応器を含み、この場合、精製されたbPLストリームは、第1の反応器に入り、不完全重合を受けて、PPLおよび未反応のbPLを含む第1の重合ストリームを生成し、第1の重合ストリームは、第1の反応器の出口を出、第2の反応器の入口に入って追加の重合を受ける。一部の変形形態では、追加の重合によって、bPLはPPLに完全に変換され、PPL生成物ストリームは、第2の重合反応器の出口を出る。
【0446】
他の変形形態では、追加の重合によって、bPLはPPLに不完全に変換され、第2の重合反応器の出口を出るPPL生成物ストリームは、PPLおよび未反応のbPLを含む
。ある特定の変形形態では、PPL生成物ストリームは、BPL/PPL分離器に入って、PPL生成物ストリームから未反応のbPLが除去される。ある特定の変形形態では、未反応のbPLは、重合プロセスに戻されてリサイクルされる。例えば一部の変形形態では、未反応のbPLは、第1の重合反応器もしくは第2の重合反応器、または第1および第2の重合反応器の両方にリサイクルされる。
【0447】
一部の実施形態では、重合プロセスは、一連の1つまたは複数の連続的なCSTR反応器を含み、その後にBPL/PPL分離器(例えば、真空下で操作される拭取りフィルムエバポレーター(WFE)またはフラッシュタンクエバポレーター)を含む。他の実施形態では、重合プロセスは、一連の1つまたは複数のループ反応器を含み、その後にBPL/PPL分離器(例えば、真空下で操作されるWFEまたはフラッシュタンクエバポレーター)を含む。さらに他の実施形態では、重合プロセスは、一連の1つまたは複数のCSTR反応器を直列に含み、その後に研磨栓流反応器(PFR)またはBPL/PPL分離器(真空下で操作される拭取りフィルムエバポレーターまたはフラッシュタンクエバポレーター)を含む。さらに他の実施形態では、重合プロセスは、一連の1つまたは複数のPFRを含み、その後に、任意選択でBPL/PPL分離器(例えば、真空下で操作されるWFEまたはフラッシュタンクエバポレーター)を含む。
【0448】
一部の実施形態では、重合プロセスは、2つよりも多い重合反応器を含む。例えば、ある特定の実施形態では、重合プロセスは、3つもしくはそれよりも多い重合反応器、4つもしくはそれよりも多い重合反応器、5つもしくはそれよりも多い重合反応器、6つもしくはそれよりも多い重合反応器、7つもしくはそれよりも多い重合反応器、または8つもしくはそれよりも多い重合反応器を含む。一部の変形形態では、反応器は、直列に配置され、一方で他の変形形態では、反応器は、並列に配置される。ある特定の変形形態では、反応器のいくつかは、直列に配置され、一方で他の反応器は、並列に配置される。
【0449】
図4Aおよび4Bは、直列に接続された2つの重合反応器、ならびに未反応のbPLを重合反応器に戻してリサイクルするための拭取りフィルムエバポレーター(WFE)を備えたPPL精製およびBPLリサイクル系を含む、例示的なPPL生成系/生成プロセスを図示している。図4Aを参照すると、重合プロセスは、bPLおよび触媒を、反応器408にそれぞれ供給するように構成された、bPL供給源402および重合触媒供給源404を含む。反応器408は、bPL供給源からbPLを受け取るためのbPL入口、および重合触媒供給源から重合触媒を受け取るための重合触媒入口を含む。一部の変形形態では、bPL入口は、3100kg/時の速度でbPL供給源からbPLを受け取るように構成され、第1の重合触媒入口は、0.1~5kg/時の速度で重合触媒供給源から重合触媒を受け取るように構成される。
【0450】
再び図4Aを参照すると、反応器408は、PPL、未反応のbPL、および残留カルボニル化触媒を含む混合物を、反応器410に排出するための混合物出口をさらに含む。反応器410は、反応器408の後に位置する第2の反応器であり、反応器408から混合物を受け取り、重合触媒供給源406から追加の重合触媒を受け取るように構成される。一部の変形形態では、第2の反応器の混合物入口は、4500kg/時の速度で第1の反応器から混合物を受け取るように構成され、第2の重合触媒入口は、0.1~4kg/時の速度で触媒供給源から追加の重合触媒を受け取るように構成される。
【0451】
再び図4Aを参照すると、反応器408は、PPL、未反応のbPL、および残留カルボニル化触媒を含む混合物を、エバポレーター412に排出するための混合物出口をさらに含む。一部の変形形態では、混合物出口は、4500kg/時の速度でこのような混合物を排出するように構成される。
【0452】
図4Bを参照すると、図示されている重合プロセスは、bPLおよび触媒を、反応器428にそれぞれ供給するように構成された、bPL供給源422および重合触媒供給源424を含む。反応器428は、bPL供給源からbPLを受け取るためのbPL入口、および重合触媒供給源から重合触媒を受け取るための重合触媒入口を含む。一部の変形形態では、bPL入口は、3100kg/時の速度でbPL供給源からbPLを受け取るように構成され、第1の触媒入口は、0.1~5kg/時の速度で触媒供給源から触媒を受け取るように構成される。
【0453】
再び図4Bを参照すると、反応器428は、PPL、未反応のbPL、および残留カルボニル化触媒を含む混合物を、反応器430に排出するための混合物出口をさらに含む。反応器430は、反応器428の後に位置する第2の反応器であり、反応器428から混合物を受け取り、重合触媒供給源426から追加の重合触媒を受け取るように構成される。ある変形形態では、第2の反応器の混合物入口は、4500kg/時の速度で第1の反応器から混合物を受け取るように構成され、第2の重合触媒入口は、0.1~4kg/時の速度で重合触媒供給源から追加の重合触媒を受け取るように構成される。
【0454】
一部の変形形態では、反応器410(図4A)および反応器430(図4B)から排出された混合物は、少なくとも95%wtのPPLから構成される。
【0455】
このような混合物は、第2の反応器からエバポレーターに排出され得る。エバポレーター412(図4A)および432(図4B)は、例えば、拭取りフィルムエバポレーター、薄フィルムエバポレーター、または落下フィルムエバポレーターであり得る。エバポレーターは、PPL生成物ストリームを生成するように構成される。
【0456】
一部の変形形態では、エバポレーターは、少なくとも98%、少なくとも98.5%、または少なくとも99%の純度を有するPPL生成物ストリームを生成するように構成される。他の変形形態では、エバポレーターは、0.6%wt未満のbPLを有するPPL生成物ストリームを生成するように構成される。一部の変形形態では、PPLストリームは、微量のカルボニル化触媒を有する。例えば、PPL生成物ストリームは、カルボニル化触媒からの0.1mMのコバルトを有することができる。一部の変形形態では、その後、微量のカルボニル化触媒は、図6、7、10および11に先に記載される通り、熱分解の前にIERによってPPL生成物ストリームから除去される。
【0457】
一部の変形形態では、重合プロセスは、1つまたは複数の熱交換器をさらに含む。図4Aを参照すると、bPL供給源402からのbPLを、このようなBPLストリームが反応器408に供給される前に、熱交換器414に通過させ得る。
【0458】
一般に、重合は、発熱反応であると理解されたい。したがって、他の変形形態では、反応器408および410(図4A)は、少なくとも1つの熱交換器との接続をさらに含み得る。図4Bを参照すると、反応器428および430(図4B)は、少なくとも1つの熱交換器との接続をさらに含み得る。
【0459】
重合プロセスの反応器は、例えば連続反応器または半バッチ反応器を含めた、任意の適切な反応器を含み得る。一変形形態では、図4Aを参照すると、反応器は、連続流撹拌タンク反応器であり得る。また反応器は、同じまたは異なる撹拌デバイスを含み得る。例えば一変形形態では、反応器408は、平坦ブレードなどの低速羽根車を含み得る。他の変形形態では、反応器410は、曲面ブレードなどの低せん断ミキサーを含み得る。
【0460】
反応器のそれぞれにおける混合デバイスの選択は、反応器内の混合物の粘度を含めた様々な因子に応じて変わり得ることを、当業者は認識する。例えば、第1の反応器内の混合
物は、1000cP未満の粘度を有することができる。粘度が1000cP未満である場合、低速羽根車が望ましい場合がある。別の例では、第2の反応器内の混合物は、2000cPよりも高い粘度を有することができる。粘度が2000cPよりも高い場合、低せん断ミキサーが望ましい場合がある。
【0461】
別の変形形態では、図4Bを参照すると、反応器は、ループ反応器であり得る。
【0462】
図4Aおよび4Bは、直列に構成された2つの反応器の使用を図示しているが、他のコンフィギュレーションが考慮されることを理解されたい。例えば、重合プロセスの他の例示的な変形形態では、3つの反応器を用いることができる。重合プロセスにおいて複数の反応器が使用される、さらに他の変形形態では、複数の反応器は、直列にまたは並列に配置され得る。
【0463】
図5は、BPL重合反応器を含むさらに別の例示的な重合プロセスを図示している。重合反応器500は、重合プロセスに入る生成ストリームおよび触媒を混合するように構成された混合ゾーン510、ならびにその混合ゾーンの後に位置した複数の冷却ゾーン520を含む。重合反応器500は、反応長502を有し、ここで、その反応長の最初の25%で、入ってくる生成ストリーム中のbPLの最大95%が触媒の存在下で重合されて、PPLが形成される。図5に図示されている系の一部の変形形態では、bPLは、PPLに完全に変換される。このような系は、例えば、図6、8、10および12について先に記載される通り、bPLのPPLへの完全な変換において使用され得る。
【0464】
重合反応器の一部の変形形態では、複数の冷却ゾーンは、少なくとも2つの冷却ゾーンを含む。一変形形態では、複数の冷却ゾーンは、2つの冷却ゾーンまたは3つの冷却ゾーンを含む。
【0465】
例えば、図5に図示されている重合反応器500は、3つの冷却ゾーン522、524および526を有する。一変形形態では、3つの冷却ゾーンは、反応長の最初の25%で、連続に接続されている。別の変形形態では、冷却ゾーン522は、3100kg/時の速度で、混合ゾーンからbPLおよび触媒の混合物を受け取るように構成され、冷却ゾーン524は、3100kg/時の速度で、bPL、触媒および冷却ゾーン522内で生成されたPPLの混合物を受け取るように構成され、冷却ゾーン526は、3100kg/時の速度で、bPL、触媒、冷却ゾーン522内で生成されたPPL、および冷却ゾーン524内で生成されたPPLの混合物を受け取るように構成される。
【0466】
ある特定の実施形態では、反応長の最初の25%は、シェルおよびチューブ熱交換器である。一変形形態では、シェルは、反応長502内を一定の温度に維持するために、熱伝達流体を循環するように構成され得る。別の変形形態では、チューブ熱交換器は、第1の反応ゾーン内で生成された熱を除去するように構成される。
【0467】
再び図5を参照すると、重合反応器500は、複数の冷却ゾーン520に接続された最終変換ゾーン528をさらに含む。一部の変形形態では、最終変換ゾーンは、3100kg/時の速度で、bPL、触媒、および複数の冷却ゾーン内で生成されたPPLの混合物を受け取るように構成される。一変形形態では、最終変換ゾーンは、冷却負荷を有していない。
【0468】
一変形形態では、重合反応器は、栓流反応器またはシェルおよびチューブ反応器である。
【0469】
本明細書に記載される方法で使用される1つまたは複数の重合反応器は、重合と適合性
がある任意の適切な材料から構築され得る。例えば、重合反応器は、ステンレス鋼もしくは高ニッケル合金、またはこれらの組合せから構築され得る。
【0470】
一部の実施形態では、重合プロセスは、複数の重合反応器を含み、重合触媒は、その一連中の第1の反応器だけに導入される。他の実施形態では、重合触媒は、その一連中の反応器のそれぞれに、別個に添加される。例えば、再び図4Aを参照すると、直列の2つのCSTRを含む重合プロセスが図示されており、ここで重合触媒は、第1のCSTRに導入され、重合触媒は、第2のCSTRに別個に導入される。他の実施形態では、単一の栓流反応器(PFR)が使用され、重合触媒は、反応器の先頭に導入され、一方で他の実施形態では、重合触媒は、PFRの長さに沿った複数の場所で別個に導入される。他の実施形態では、複数のPFRが使用され、重合触媒は、第1のPRFの先頭に導入される。他の実施形態では、重合触媒は、使用される各PFRの先頭に導入され、一方でさらに他の実施形態では、重合触媒は、各PFRの長さに沿った複数の場所で別個に導入される。
【0471】
重合反応器は、重合反応混合物を混合するための任意の適切な混合デバイスを含み得る。適切な混合デバイスには、例えば、アキシャルミキサー、ラジアルミキサー、ヘリカルブレード、高せん断ミキサー、またはスタティックミキサーが含まれ得る。適切な混合デバイスは、単一または複数のブレードを含むことができ、それらは最上部、最下部または側面に搭載され得る。重合反応器は、単一の混合デバイスまたは複数の混合デバイスを含み得る。一部の実施形態では、複数の重合反応器が使用され、各重合反応器は、同じタイプの混合デバイスを含む。他の実施形態では、各重合反応器は、異なるタイプの混合デバイスを含む。さらに他の実施形態では、いくつかの重合反応器は、同じ混合デバイスを含み、一方で他の重合反応器は、異なる混合デバイスを含む。
重合下位系の好ましい実施形態
【0472】
好ましい実施形態では、蒸留下位系は、(1)1つまたは複数の重合反応器、および(2)PPL精製/BPLリサイクル系からなる。
好ましいBPL重合反応器
【0473】
bPLの重合は、直列または並列で操作される1つまたは複数の反応器内で実施することができ、好ましい実施形態では、本質的に純粋なbPL(99.9wt%よりも高い純度)と微量の低沸点および高沸点不純物(非限定的な不純物は、THFおよび無水コハク酸である)からなる留出物ストリームは、bPL重合反応器に供給される。bPL供給物ストリームは、bPL精製塔オーバーヘッドの温度(50~100℃)で供給され得るか、または重合反応器に供給される前に、20~50℃に冷却され得る。
【0474】
bPLの重合条件の好ましい組合せには、重合開始剤の存在下で、80~150℃、好ましくは(preferrably)120~145℃の範囲の温度、大気圧未満または大気圧より
も高い圧力が含まれる。好ましい開始剤は、アクリル酸の第四級アミン塩およびアルカリ金属塩である。重合開始剤の非限定的な例は、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸テトラブチルアンモニウムである。重合開始剤とbPLのモル比は、1:20000~1:100、好ましくは1:15000~1:500、好ましくは1:10000~1:1000、最も好ましくは1:8000~1:1500である。
【0475】
このような好ましい実施形態では、固体重合開始剤は、反応器の前に新鮮なbPLストリームと混合され、高せん断ミキサーを使用して、bPLと開始剤との良好な混合を達成することができる。別の実施形態では、固体重合開始剤は、反応器の前にリサイクルされたbPLストリームと混合され、高せん断ミキサーを使用して、bPLと開始剤との良好な混合を達成することができる。別の実施形態では、重合反応器に直接供給される場合には重合反応器、任意選択で排出装置(educator)を使用して、固体開始剤を、反応器の入
口でbPL供給物のすべてまたは一部と有効に混合することができる。
【0476】
PPLを形成するためのbPLの重合中、連鎖移動剤として作用するアクリル酸は、原位置で形成され得る。一部の実施形態では、少量のアクリル酸を重合反応器に供給して、PPLの分子量を制御することができる。アクリル酸のラジカル重合を回避するために、フェノチアジン(PTZ)などのラジカル重合抑制剤を、重合反応器に供給することができる。反応器内のラジカル重合抑制剤の濃度は、50~500ppm(重量で)に維持され、好ましい抑制剤濃度は、150~250ppmの範囲である。
【0477】
複数の重合反応器が直列で操作される場合、bPLは、第1の反応器だけに供給することができ、またはbPL供給物は、直列の反応器間に分割され得る。複数の重合反応器が直列で操作されている場合、重合開始剤は、第1の反応器だけに供給することができ、または開始剤は、直列の反応器のそれぞれに供給され得る。
【0478】
好ましい実施形態の1つでは、bPLの重合は、直列で操作される1つまたは複数の連続撹拌タンク反応器(CSTR)内で実施され得る。重合反応は、発熱性であり、反応熱は、内部熱交換器またはジャケット、外部熱交換器(反応混合物は、外部熱交換器を介して循環され、冷却されたストリームが反応器に戻される)、蒸発冷却(反応器には、取り付けられた凝縮器が備えられており、bPLは、反応器から蒸発させられ、凝縮器内で凝縮され、冷却されたbPLストリームが反応器に戻される)などの当技術分野で公知の手段によって除去され得る。反応器は、大気圧、大気圧未満、大気圧よりも高い圧力で操作され得る。
【0479】
別の好ましい実施形態では、bPLの重合は、直列で操作される1つまたは複数のループ反応器内で実施され得る。反応器は、大気圧または大気圧よりも高い圧力で操作され得る。bPLおよびPPLを含有する反応混合物と接触している表面の温度は、PPLの沈殿を防止する温度に保たれる(PPL融点は、約70~80℃である)。
【0480】
別の好ましい実施形態では、bPLの重合は、1つまたは複数のCSTRまたはループ反応器、その後の1つまたは複数の栓流反応器(PFR)からなる反応器系内で実施される。bPLおよびPPLを含有する反応混合物と接触している表面の温度は、PPLの沈殿を防止する温度に保たれる(PPL融点は、約70~80℃である)。
【0481】
反応系を出るストリーム中のPPLの濃度(bPL変換率)は、40wt%よりも高く、好ましくは60wt%よりも高く、好ましくは75wt%よりも高い。bPLの変換率は、80%よりも高く、90%よりも高く、95%よりも高く、または99%よりも高い場合がある。bPL重合系を出るストリームは、その先のPPL精製およびbPLリサイクル系に供給される。一実施形態では、重合反応器生成物ストリームは、約80wt%のPPL、約20wt%のbPL、およびPPL分子に組み込まれた重合開始剤からなる。好ましいPPL精製/BPLリサイクル系
【0482】
PPL生成物および未反応のbPLからなる重合反応器の生成物は、その先のPPL精製およびbPLリサイクル系に供給される。好ましい実施形態では、bPLは、真空下で操作される1つもしくは複数のフラッシュエバポレーター、または真空下で操作される1つもしくは複数の拭取りフィルムエバポレーター(WFE)、またはこれらの組合せ内でPPLから分離され得る。この系内でのbPLの分解を回避するために、bPLと接触している表面の温度は、200℃未満、好ましくは180℃未満、最も好ましくは160℃未満に保たれる。回収されたbPLは、重合反応器に戻されて供給される。精製されたPPLは、0.5wt%未満のbPL、好ましくは0.25wt%未満のbPL、好ましくは0.1wt%未満のbPLを含有し、好ましくはPPL生成物中のbPLの濃度は、1
00ppm未満である。最も好ましくは、PPLは、アクリル酸を生成するためのその先の熱分解反応系に供給されるか、または保存もしくは配送のためにペレット化される。
BPLの変換率
【0483】
一部の変形形態では、5%~100%の間、10%~100%の間、20%~100%の間、30%~100%の間、40%~100%の間、50%~100%の間、60%~100%の間、70%~100%の間、80%~100%の間、90%~100の間、または95%~100%の間のbPLが、重合プロセスにおいてPPLに変換される。
【0484】
一部の変形形態では、bPLは、重合プロセスにおいてPPLに部分的に変換される。例えば一部の変形形態では、bPLのPPLへの完全な変換率は、75%またはそれよりも高く、bPLのPPLへの部分的な変換率は、75%未満である。他の変形形態では、bPLのPPLへの完全な変換率は、80%またはそれよりも高く、bPLのPPLへの部分的な変換率は、80%未満である。他の変形形態では、bPLのPPLへの完全な変換率は、85%またはそれよりも高く、bPLのPPLへの部分的な変換率は、85%未満である。さらに他の変形形態では、bPLのPPLへの完全な変換率は、90%またはそれよりも高く、bPLのPPLへの部分的な変換率は、90%未満である。さらに他の変形形態では、bPLのPPLへの完全な変換率は、95%またはそれよりも高く、bPLのPPLへの部分的な変換率は、95%未満である。一変形形態では、bPLのPPLへの完全な変換率は、99%またはそれよりも高く、bPLのPPLへの部分的な変換率は、99%未満である。
【0485】
他の変形形態では、部分的な変換率は、30%~90%の間、40%~90%の間、50%~90%の間、または60%~90%の間である。
【0486】
一部の変形形態では、重合プロセスは、複数の重合反応器を含み、各反応器内のbPLのPPLへの変換率は、5%~100%の間、10%~100%の間、20%~100%の間、30%~100%の間、40%~100%の間、50%~100%の間、60%~100%の間、70%~100%の間、80%~100%の間、90%~100の間であるか、または95%~100%の間のbPLが、PPLに変換される。
【0487】
一部の変形形態では、重合プロセスは、複数の重合反応器を含み、全重合プロセスにわたるbPLのPPLへの変換率は、5%~100%の間、10%~100%の間、20%~100%の間、30%~100%の間、40%~100%の間、50%~100%の間、60%~100%の間、70%~100%の間、80%~100%の間、90%~100の間であるか、または95%~100%の間のbPLが、PPLに変換される。
【0488】
一変形形態では、2つの反応器が直列で操作され、各反応器内のbPLのPPLへの変換率は、10%~100%の間である。
【0489】
図9~13に先に記載される通り、本明細書に記載されるPPLの生成方法の一部の実施形態では、bPLは、PPLに完全に変換される。他の実施形態では、bPLは、PPLに部分的に変換される。
BPLの変換率
【0490】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、bPLのPPLへの重合は、反応物の濃度が高く、生成物の濃度が低い場合、急速に進行する。反応が進行して、より多くの生成物を生成するにつれて、変換のための原動力は、低減される。この現象によって、完全な変換を実施する反応器は、部分的変換を実施する反応器よりも大きくなる。したがって、ある特定の実施形態では、重合条件および反応器サイズは、bPLのPPLへの変換が、部
分的となり(例えば、70%の変換率)、bPL/PPL分離デバイス(例えば、WFEまたは蒸留塔)を使用して、反応物を反応器の入口に戻してリサイクルするように選択される。いかなる理論にも拘泥するものではないが、このことにより、相対的に純粋な生成物を依然として作製しながら、相対的により大きい反応器の要件を回避することができる。さらに、未反応のbPLは除去され、それによって、PPLの取扱いがより容易になり得る。PPLが単離されない場合、bPLの除去によって、他の生成物が熱分解反応中に形成される可能性が低下する。
PPL生成物ストリーム
【0491】
一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のPPL、少なくとも約2500kg/時のPPL、少なくとも約3000kg/時のPPL、少なくとも約3050kg/時のPPL、または少なくとも約3500kg/時のPPL、少なくとも約3638kg/時のPPL、少なくとも約4000kg/時のPPL、少なくとも約5000kg/時のPPL、少なくとも約1000kg/時のPPL、少なくとも約20000kg/時のPPL、または少なくとも約35000kg/時のPPLを生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約2000kg/時のPPL、約2500kg/時のPPL、約3000kg/時のPPL、約3500kg/時のPPL、約3638kg/時のPPL、約4000kg/時のPPL、約5000kg/時のPPL、約1000kg/時のPPL、約20000kg/時のPPL、または約35000kg/時のPPLを生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、2000kg/時のPPL~3500kg/時のPPLの間、2500kg/時のPPL~3500kg/時のPPLの間、約3000kg/時のPPL~3500kg/時のPPLの間、2000kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、2500kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、3000kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、3500kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、3638kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、4000kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、5000kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、1000kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間、または20000kg/時のPPL~35000kg/時のPPLの間を生成することができる。
【0492】
一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約25kmol/時のPPL、少なくとも約30kmol/時のPPL、少なくとも約40kmol/時のPPL、少なくとも約42kmol/時のPPL、または少なくとも約50kmol/時のPPLを生成することができる。一部の実施形態では、重合後の生成系/生成プロセスにおけるPPL生成物ストリーム中のPPLの質量分率は、少なくとも約0.90、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.982、および少なくとも約0.99であり得る。一部の実施形態では、重合後の生成系/生成プロセスのPPL生成物ストリーム中のPPLのモル分率は、少なくとも約0.90、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.984、および少なくとも約0.99であり得る。PPL生成物ストリームの残余物は、未反応のbPL(最大で約0.02、最大で約0.015、または最大で約0.011のモル分率の)、無水コハク酸などの二次反応生成物(最大で約0.01、最大で約0.005、または最大で約0.004のモル分率の)および残りの溶媒(例えば、THF)および残りのカルボニル化触媒またはその成分(最大で約1000ppmの)を含み得る。次いで、PPL生成物ストリームは、熱分解処理を受けて、GAAを形成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスのPPL生成物ストリームは、約50~150℃の間、約110~150℃の間、または約145℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスのPPL生成物ストリームは、少なくとも約0.001bar、約0.001~1bar、または少なくとも約0.005barの圧力であり得る。
【0493】
ある特定の実施形態では、式(B)
【化56】
(式中、nは、10~約1,000の整数であり、Yは、-Hまたはカチオンのいずれかである)のPPL鎖を含む組成物を生成する(例えば、統合生成する)ための方法であって、
bPLを、式(C)の化合物
【化57】
またはその塩、またはこれらの任意の2つもしくはそれよりも多くのものの混合物(式中、pは、0~9である)からなる群から選択される連鎖移動剤の存在下で、重合するステップを含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、組成物は、PPLをさらに含む。
【0494】
ある特定の実施形態では、形成されたPPL組成物は、組成物中のポリマー鎖の少なくとも90%、95%、99%、99.5%、99.8または99.9%が、アクリレート末端基を有することを特徴とする。
【0495】
ある特定の実施形態では、形成されたPPL組成物は、組成物中のポリマー鎖の少なくとも90%、95%、99%、99.5%、99.8または99.9%が、式(B)を有することを特徴とする。
【0496】
ある特定の実施形態では、nは、ポリプロピオラクトン組成物において、平均で10~50の間、または50~100の間、または100~150の間、または150~250の間、または250~350の間、または350~500の間である。
【0497】
一部の実施形態では、本明細書に記載される系は、800g/mol~100000g/molの間、500g/mol~70000g/molの間、1000g/mol~60000g/molの間、または1500g/mol~40000g/molの間の平均分子量を有するポリプロピオラクトンを生成するように構成される。一部の実施形態では、分子量は、数平均分子量であり、一方で他の実施形態では、分子量は、重量平均分子量である。
【0498】
ある特定の実施形態では、PPL組成物は、10未満の多分散指数(PDI)を有することを特徴とする。
【0499】
ある特定の実施形態では、PPL組成物は、8未満、または5未満、または3未満、または2.5未満、または2.0未満のPDIを有することを特徴とする。
PPLからのコバルト/イオン除去
【0500】
一部の実施形態では、PPL生成物ストリームは、コバルトおよび/またはイオンの濃
度を低減するために処理される。コバルトは、コバルトイオンもしくは無電荷コバルト、またはこれらの組合せであり得る。イオンは、コバルトイオンまたは非コバルトイオンであり得る。
【0501】
ある特定の変形形態では、コバルトは、コバルトイオンである。コバルトは、カルボニル化触媒、コバルトを含む残留触媒成分もしくは残留触媒、またはこれらの組合せの分解から生じ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、分解して、Co-1、Co、Co、Co2+もしくはCo3+、またはこれらの組合せを生成する。したがって、一部の実施形態では、コバルトは、コバルトイオンであり、一方で他の実施形態では、コバルトは、コバルトイオンではない。
【0502】
一部の変形形態では、少なくともいくらかのイオンは、PPL生成物ストリームから除去される。一部の変形形態では、イオンは、金属イオンを含む。他の実施形態では、イオンは、非金属イオンを含む。さらに他の実施形態では、イオンは、金属イオンおよび非金属イオンの両方を含む。先に論じた通り、ある特定の変形形態では、イオンは、コバルトイオンを含む。イオンは、カルボニル化触媒、イオンを含む残留触媒成分、残留触媒もしくはカルボニル化反応の副生成物として生成されたイオン、またはこれらの組合せの分解から生じ得る。例えば一部の実施形態では、カルボニル化触媒は、分解して、Co-1、Co、Co2+、Co3+もしくはAl3+、またはこれらの組合せを生成する。他の実施形態では、カルボニル化反応の副生成物として生成されたイオンには、酢酸イオン(CHC(O)O)もしくはアクリル酸イオン(CH=CHC(O)O)、またはこれらの組合せが含まれる。
【0503】
ある特定の実施形態では、コバルトおよび/またはイオンの少なくとも一部を除去するためにPPL生成物ストリームを処理するステップは、イオン交換材料を使用する、コバルトおよび/またはイオンのイオン交換を含む。一部の実施形態では、イオン交換材料のためにイオン交換樹脂(resing)を使用することが可能となり得る。イオン交換材料は、カチオン性、アニオン性、両性、ルイス塩基性、ルイス酸性であり得るか、またはキレート基を含み得る。ある特定の実施形態では、イオン交換材料は、カチオン交換体であり得る。ある特定の実施形態では、カチオン交換材料上の官能基は、-SO、PO 2-、-COOH、-COH、-SH、-AsOもしくは-SeO、またはこれらのうちの2つもしくはそれよりも多くのものの組合せから選択され得る。ある特定の実施形態では、カチオン交換材料上の官能基は、-SOを含む。
【0504】
ある特定の実施形態では、イオン交換材料は、アニオン交換体であり得る。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-N(アルキル)、-N(CH、-N(CHOH、-N(CH、-P(アルキル)、-P(アリール)、-P(Cもしくは-P(Ph)、またはこれらのうちの2つもしくはそれよりも多くのものの組合せから選択され得る。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-N(アルキル)を含む。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-P(アルキル)を含む。ある特定の実施形態では、アニオン交換材料上の官能基は、-P(アリール)を含む。
【0505】
コバルトおよび/またはイオンを分離するためにPPL生成物ストリームを処理するステップが、イオン交換を含む、ある特定の実施形態では、このプロセスには、アニオン交換およびカチオン交換の両方が必要となる。ある特定の実施形態では、アニオンおよびカチオン交換は、同時に実施される。ある特定の実施形態では、アニオンおよびカチオン交換は、順次実施される。ある特定の実施形態では、アニオン交換が最初に実施され、その後、カチオン交換が実施される。ある特定の実施形態では、カチオン交換が最初に実施され、その後、アニオン交換が実施される。ある特定の実施形態では、有機イオン交換樹脂
は、有機イオン交換樹脂を含む分離ステップにおいて有用であることが分かり得る。このような樹脂の全般的な特徴および特性は、既に説明されているものと同じである。
【0506】
様々な態様では、ビーズサイズは、広く分布することができ、または非常に狭い、いわゆる単分散性の樹脂であり得る。触媒がイオン交換によってPPL生成物ストリームから除去される実施形態では、イオン交換材料は、任意の従来の方法によってPPL生成物ストリームと接触させることができる。この接触には、PPL生成物ストリームを、固体イオン交換材料の固定床(すなわちビーズ、顆粒または他の粒子の形態の)を介して流すこと、PPL生成物ストリームを、吸着剤の流動床を介して流すこと、PPL生成物ストリームを、イオン交換材料を含む布地、メッシュもしくは濾過板を介して流すこと、またはイオン交換材料を用いてPPL生成物ストリームをスラリー化すること(典型的にその後、濾過、遠心分離、沈降等によって、イオン交換材料をPPL生成物ストリームから除去する)が含まれるが、これらに限定されない。PPL生成物ストリームが、イオン交換材料の充填塔を介して流される実施形態では、ある塔から別の塔に周期的に流れを切り替えるようにして、複数のこのような塔を並列に提供することが望ましい場合がある。したがって、イオン交換材料の1つの塔が、PPL生成物ストリームから除去されたコバルトおよび/またはイオンで飽和すると、その塔を流路から切り離し、その流れを新鮮な塔に迂回させることができる。ある特定の実施形態では、塔が流路に位置しているときから、塔がその流路から切り離されるときまでの時間間隔は、本明細書に記載される方法に記載される「第1の時間間隔」に相当する。
【0507】
イオン交換材料が、PPL生成物ストリームからコバルトおよび/またはイオンを除去するために使用される場合、本発明の方法は、イオン交換材料からコバルトおよび/またはイオンを除去するその後のステップを含み得る。このような除去方法は、当技術分野で周知であり、典型的に、そのアニオンまたはカチオンがイオン交換材料から吸着成分を置き換える強塩溶液と、イオン交換樹脂を接触させることを含む。
【0508】
ある特定の変形形態では、コバルトは、Co-1、Co、Co、Co2+もしくはCo3+、またはこれらの組合せである。一部の実施形態では、コバルト除去前のPPL生成物ストリームは、0.001mM~5mMの間、0.01mM~3mMの間、0.01mM~2mMの間、0.01mM~1mMの間、0.05mM~0.5mMの間、0.05mM~0.2mMの間、または0.07mM~0.15mMの間のコバルト濃度を有する。一部の実施形態では、コバルト除去前の透過液のコバルト濃度は、約0.01mM、約0.03mM、約0.06mM、約0.09mM、約0.1mM、約0.13mM、約0.16mM、約0.19mM、約0.2mM、約0.23mM、約0.26mM、約0.29mM、または約0.3mMである。一実施形態では、コバルト除去前のPPLのコバルト濃度は、約0.1mMである。
【0509】
したがって、一部の実施形態では、イオン交換樹脂と接触させる前のPPL生成物ストリーム中のコバルトの濃度は、0.001mM~5mMの間、0.01mM~3mMの間、0.01mM~2mMの間、0.01mM~1mMの間、0.05mM~0.5mMの間、0.05mM~0.2mMの間、または0.07mM~0.15mMの間である。
【0510】
一部の実施形態では、イオン交換樹脂と接触させた後のPPL生成物ストリーム中のコバルトの濃度は、0.001mM~1mMの間、0.001mM~0.5mM、0.001mM~0.05mMの間、0.005mM~0.02mMの間、または0.007mM~0.015mMの間である。一変形形態では、イオン交換樹脂と接触させた後のPPL生成物ストリーム中のコバルトの濃度は、0.01mMである。
【0511】
一部の実施形態では、少なくともいくらかのアルミニウムは、PPL生成物ストリーム
から除去される。ある特定の変形形態では、アルミニウムは、Al3+である。一部の実施形態では、アルミニウムを除去する前のPPL生成物ストリームは、0.001mM~5mMの間、0.01mM~3mMの間、0.01mM~2mMの間、0.01mM~1mMの間、0.05mM~0.5mMの間、または0.09mM~0.2mMの間のアルミニウム濃度を有する。一部の実施形態では、アルミニウムを除去する前のPPL生成物ストリームは、約0.01mM、約0.03mM、約0.06mM、約0.09mM、約0.1mM、約0.13mM、約0.16mM、約0.19mM、約0.2mM、約0.23mM、約0.26mM、約0.29mM、または約0.3mMのアルミニウム濃度を有する。一実施形態では、アルミニウムを除去する前のPPL生成物ストリームのアルミニウム濃度は、約0.1mMである。
【0512】
したがって、一部の実施形態では、イオン交換樹脂と接触させる前のPPL生成物ストリーム中のアルミニウムの濃度は、0.001mM~5mMの間、0.01mM~3mMの間、0.01mM~2mMの間、0.01mM~1mMの間、0.05mM~0.5mMの間、0.05mM~0.2mMの間、または0.07mM~0.15mMの間である。
【0513】
一部の実施形態では、イオン交換樹脂と接触させた後のPPL生成物ストリーム中のアルミニウムの濃度は、0.001mM~1mMの間、0.001mM~0.5mM、0.001mM~0.05mMの間、0.005mM~0.02mMの間、または0.007mM~0.015mMの間である。一変形形態では、イオン交換樹脂と接触させた後のPPL生成物ストリーム中のアルミニウムの濃度は、0.01mMである。
固体PPL
【0514】
一部の実施形態では、本明細書に記載される生成系/生成プロセスは、PPL生成物ストリームを受け取り、固体PPLを生成するように構成されたPPLストリーム処理系をさらに含む。例えば一実施形態では、PPL生成物ストリームは、PPLストリーム処理系の少なくとも1つの入口に供給され、固体PPLは、PPLストリーム処理系の少なくとも1つの出口を出る。PPLストリーム処理系は、任意の適切な形態の固体PPLを生成するように構成され得る。例えば一部の実施形態では、PPLストリーム処理系は、ペレット形態、薄片形態、顆粒形態もしくは押出し形態、またはこれらの任意の組合せの固体PPLを生成するように構成される。したがって、固体PPL薄片、固体PPLペレット、固体PPL顆粒もしくは固体PPL押出物、またはこれらの任意の組合せ物が、PPLストリーム処理系の出口を出ることができる。PPLストリーム処理系には、1つまたは複数の薄片形成デバイス、ペレット化デバイス、押出しデバイスもしくは造粒デバイス、またはこれらの任意の組合せが含まれ得る。
地理的場所
【0515】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される生成系/生成プロセスは、第1の場所でPPL生成物ストリームを生成し、そのPPL生成物ストリームは、固体PPLを生成するために処理され、その固体PPLは、第2の場所でGAA生成物ストリームに変換される。一部の実施形態では、第1の場所および第2の場所は、少なくとも100マイル離れている。ある特定の実施形態では、第1の場所および第2の場所は、100~12,000マイルの間離れている。ある特定の実施形態では、第1の場所および第2の場所は、少なくとも250マイル、少なくとも500マイル、少なくとも1,000マイル、少なくとも2,000マイルまたは少なくとも3,000マイル離れている。ある特定の実施形態では、第1の場所および第2の場所は、約250~約1,000マイルの間離れており、約500~約2,000マイルの間離れており、約2,000~約5,000マイルの間離れており、または約5,000~約10,000マイルの間離れている。ある特定の実施形態では、第1の場所および第2の場所は、異なる国にある。ある特定の実施形態
では、第1の場所および第2の場所は、異なる大陸にある。
【0516】
ある特定の実施形態では、固体PPLは、第1の場所から第2の場所に輸送される。一部の実施形態では、固体PPLは、100マイルを超え、500マイルを超え、1,000マイルを超え、2,000マイルを超え、または5,000マイルを超える距離を輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、100~12,000マイルの間、約250~約1000マイルの間、約500~約2,000マイルの間、約2,000~約5,000マイルの間、または約5,000~約10,000マイルの間の距離を輸送される。一部の実施形態では、固体PPLは、第1の国から第2の国に輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、第1の大陸から第2の大陸に輸送される。
【0517】
ある特定の実施形態では、固体PPLは、北米から欧州に輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、北米からアジアに輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、米国から欧州に輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、米国からアジアに輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、中東からアジアに輸送される。ある特定の実施形態では、固体PPLは、中東から欧州に輸送される。固体PPLは、例えば、トラック、列車、タンカー、荷船もしくは船舶、またはこれらの任意の組合せを含めた任意の適切な手段によって輸送され得る。一部の実施形態では、固体PPLは、トラック、列車、タンカー、荷船、および船舶から選択される少なくとも2つの方法によって輸送される。他の実施形態では、固体PPLは、トラック、列車、タンカー、荷船、および船舶から選択される少なくとも3つの方法によって輸送される。
【0518】
一部の実施形態では、固体PPLは、ペレット、薄片、顆粒もしくは押出物、またはこれらの任意の組合せの形態である。一部の変形形態では、固体PPLは、本明細書に記載される通り、熱分解反応器を使用して、GAA生成物ストリームに変換される。一部の変形形態では、固体PPLは、熱分解反応器の入口に供給され、GAA生成物ストリームに変換される。他の実施形態では、固体PPLは、溶融PPLに変換され、溶融PPLは、本明細書に記載される通り、熱分解反応器の入口に供給され、GAA生成物ストリームに変換される。
アクリル酸生成系/生成プロセス
【0519】
ポリプロピオラクトン(PPL)は、一般に、以下のスキームに従って、アクリル酸(AA)に変換され得る。
【化58】
【0520】
ある特定の実施形態では、生成されたポリプロピオラクトンは、連続的に熱分解される(例えば、フェドバッチ反応器または他の連続流反応器の型式で)。ある特定の実施形態では、連続的な熱分解プロセスは、反応器の消費速度と一致する速度でアクリル酸を提供する、連続的な重合プロセスに連結される。
熱分解反応器
【0521】
一部の実施形態では、熱分解反応器は、流動床反応器である。不活性ガスは、不活性な固体熱伝達媒体(HTM)を流体化するために使用することができ、ポリプロピオラクトンは、反応器に供給される。一部の変形形態では、ポリプロピオラクトンは、例えばスプレーノズルを介して、溶融形態で反応器に供給され得る。溶融形態は、反応器内でのポリ
プロピオラクトンの分散を容易にする一助となり得る。
【0522】
反応器には、HTM固体を反応器に戻すサイクロンを備えることができる。不活性ガス、氷アクリル酸、およびより高沸点の不純物(例えば、無水コハク酸およびアクリル酸二量体)は、サイクロンから、不純物が分離される部分凝縮器に供給される。例えば、凝縮器を使用して、高沸点不純物を凝縮することができ、次いで、このような不純物を、残留廃棄物ストリームとして反応器からパージすることができる。
【0523】
氷アクリル酸と不活性ガスは、氷アクリル酸および不活性ガスが分離される第2の凝縮器に供給され得る。液体氷アクリル酸ストリームは、第2の凝縮器から排出され、不活性ガスは、別個のストリームとして排出され、このストリームは、熱伝達固体を流体化するために、反応器に戻され得る。氷アクリル酸ストリームは、凝縮/吸収し、次いで保存するために使用され得る。
【0524】
反応器からパージされた残留廃棄物ストリームは、例えば重合触媒および無水コハク酸から生じた、例えば高沸点有機物(または有機重量物)、ならびにカルボニル化触媒が熱分解反応器の前に分離されなかった場合には、カチオン性およびアニオン性カルボニル化触媒種を含み得る。一部の実施形態では、高沸点有機物(または有機重量物)は、アクリル酸ではない任意の化合物を含み得る。ある特定の実施形態では、高沸点有機物(または有機重量物)は、氷アクリル酸生成系/生成プロセスにおいてアクリル酸を凝縮した後に、ボトムストリーム中に残存する任意の化合物を含み得る。一部の実施形態では、高沸点有機物(または有機重量物)は、無水コハク酸、重合触媒、またはカルボニル化触媒もしくはその成分(例えば、カルボニル化触媒からの有機化合物)を含み得る。一部の実施形態では、高沸点有機物(または有機重量物)は、アクリル酸よりも高い沸点を有する。
【0525】
他の実施形態では、熱分解反応器は、移動床反応器である。ポリプロピオラクトンは、固体として移動床反応器に供給され、氷アクリル酸は、蒸気ストリームとして反応器を出、次いで凝縮される。
条件
【0526】
一部の変形形態では、熱分解反応器内の操作温度は、約150℃~約300℃、約150℃~約200℃、約150℃~約250℃、約175℃~約300℃、約200℃~約250℃、約225℃~約275℃、約250℃~約300℃、約200℃~約300℃、約200℃~約400℃、または約200℃~約500℃である。一部の変形形態では、操作温度は、反応器の内容物の平均温度である。
【0527】
一部の変形形態では、熱分解反応器内の操作圧力は、約0.01気圧~約500気圧(絶対)、約0.01気圧~約10気圧(絶対)、約0.01気圧~約50気圧(絶対)、約1気圧~約10気圧(絶対)、約1気圧~約50気圧(絶対)、約1気圧~約100気圧(絶対)、約10気圧~約50気圧(絶対)、約10気圧~約100気圧(絶対)、約50気圧~約100気圧(絶対)、約50気圧~約200気圧(絶対)、約100気圧~約200気圧(絶対)、約100気圧~約250気圧(絶対)、約200気圧~約300気圧(絶対)、約200気圧~約500気圧(絶対)、または約250気圧~約500気圧(絶対)である。
【0528】
特に好ましい実施形態では、bPL重合系からのPPLストリームは、100℃~320℃の間の温度、および1mmHg~5000mmHgの間の絶対圧力において、固相または液相のいずれかで一次熱分解反応器に入る。多くの方法の1つ、例えば、内部コイル、一次反応器からおよび一次反応器へのポンプアラウンドループを有する外部熱交換器、または反応器の壁面上のバッフル付きジャケットは、熱伝達投入を提供することができる
。あるいは、反応化学に著しく影響を及ぼさない高温の液体または気体は、所望の反応温度を維持するために導入され、下流で分離され得る。完全な変換のための滞留時間は、時間および温度に応じて、数秒から24時間またはそれを超えて変わり得る。また、反応器の内容物を混合することによって、質量および熱伝達を改善することができる。
【0529】
好ましくは、熱分解条件および配置によって、ポリアクリル酸へのPPLの喪失は最小限に抑えられる。ポリアクリル酸の生成を回避する代表的なやり方には、アクリル酸からポリアクリル酸への反応速度を、PPLからアクリル酸への反応速度に対して低減するために、必要な反応度を低減する解重合触媒の使用、高濃度のラジカル重合抑制剤の使用、および/または液相中のアクリル酸の濃度を最小限に抑える手段が含まれる。
【0530】
連続的なPPL熱分解設計(連続的な等しい質量が、一次反応器内におよび一次反応器から流れる)によって、液相中のアクリル酸の濃度を最小限に抑えることができ、それによって、アクリル酸からポリアクリル酸への反応速度は、PPLからアクリル酸への反応速度に対して低減される。一次反応器のヘッドスペースから蒸気を除去することによって、反応器のヘッドスペース内のアクリル酸の分圧およびその液体内容物が低下する。不活性ガスを、好ましくは連続的に散布することによって、反応器の液体内容物中のアクリル酸の濃度がさらに低下する。また、液体流出液ストリームおよび任意の他の不揮発性成分の取出しは、ポリアクリル酸の蓄積を管理するのに望ましい場合がある。これらを、第2の熱分解反応器、廃棄物処理、または反応蒸留に向かわせて、ストリーム中のかなりの量のPPLを、アクリル酸および短鎖PPLオリゴマーなどの揮発種に変換することができる。この蒸留操作からの蒸気流出液は、一次反応器に流し戻すことができ、または一次反応器からの蒸気流出液と混合することができる。
【0531】
様々な形態および数の適切な熱分解反応器からの蒸気流出液は、好ましくは、生成物ストレージに進む前に凝縮を受け;凝縮の前により高い沸点および/またはより低い沸点の不純物を除去するために、蒸留操作に気相で渡り;凝縮へと進み、次いでより高い沸点および/またはより低い沸点の不純物を除去するための蒸留に液相で進み、次いで凝縮へと進む。別の実施形態では、蒸気流出液は、内部で凝縮され、不揮発性の生成物から単離された後、保存前に蒸留によってさらに精製されるか、または生成物ストレージに直接向かう。任意の液相アクリル酸の温度を制限すると、ポリアクリル酸の収率が制限されることが公知である。好ましくは、ラジカル重合抑制剤は、すべての液相アクリル酸中で使用されるべきである。蒸留操作からのボトムは、最適には、さらなる熱分解のために一次熱分解反応器に戻されるべきであるが、処分することもできる。
【0532】
一部の変形形態では、熱分解プロセスは、酸素および水を含まない雰囲気下で操作される。例えば、ある特定の変形形態では、熱分解反応器内に存在する酸素の量は、1wt%未満、0.5wt%未満、0.01wt%未満、または0.001wt%未満である。ある特定の変形形態では、熱分解反応器内に存在する水の量は、1wt%未満、0.5wt%未満、0.01wt%未満、または0.001wt%未満である。
氷アクリル酸
【0533】
一部の変形形態では、本明細書に記載される系および方法に従って生成された氷アクリル酸は、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%もしくは少なくとも99.9%、または99%~99.95%の間、99.5%~99.95%の間、99.6%~99.95%の間、99.7%~99.95%の間もしくは99.8%~99.95%の間の純度を有する。
【0534】
他の変形形態では、本明細書に記載される系および方法に従って生成されたアクリル酸は、高分子量のポリアクリル酸を作製するのに適している。ある特定の変形形態では、本明細書に記載される系および方法に従って生成されたアクリル酸は、95%などのより低い純度を有する場合がある。したがって、一変形形態では、アクリル酸は、少なくとも95%の純度を有する。
【0535】
さらに他の変形形態では、氷アクリル酸は、
(i)10ppm未満、100ppm未満、500ppm未満、1ppb未満、10ppb未満もしくは100ppb未満のコバルトレベル、または
(ii)10ppm未満、100ppm未満、500ppm未満、1ppb未満、10ppb未満もしくは100ppb未満のアルミニウムレベル、または
(iii)1ppm未満、10ppm未満、100ppm未満、500ppm未満、1ppb未満もしくは10ppb未満のβ-プロピオラクトンレベル、
(iv)2000ppm未満、2500ppm未満もしくは5000ppm未満のアクリル酸二量体レベル、または
(v)10ppm未満、20ppm未満、50ppm未満もしくは100ppm未満の含水量
または(i)~(v)の任意の組合せ
を有する。
【0536】
氷アクリル酸を生成する公知の方法とは異なり、酢酸、フルフラールおよび他のフランは生成されず、したがって、生成された氷アクリル酸中には存在しない。
【0537】
氷アクリル酸は、使い捨ておむつ、用便しつけ用パンツ、成人用の尿漏れ防止下着および生理用ナプキンにおける超吸収性ポリマー(SAP)のためのポリアクリル酸を作製するために使用され得る。本明細書の系および方法に従って生成された氷アクリル酸中に存在する不純物レベルが低いことは、アクリル酸ポリマー(PAA)の高い重合度を容易にし、最終用途における副生成物からの有害作用を回避する一助となる。例えば、アクリル酸中のアルデヒド不純物は、重合を妨害し、重合化アクリル酸を変色させるおそれがある。無水マレイン酸不純物は、ポリマー特性にとって有害となり得る、望ましくないコポリマーを形成する。重合に関与しないカルボン酸、例えば飽和カルボン酸は、PAAもしくはSAPを含有する生成物の最終的な匂いに影響を及ぼし、かつ/またはそれらの使用を損なうおそれがある。例えば、酢酸またはプロピオン酸を含有するSAPからは、悪臭が生じるおそれがあり、ギ酸を含有するSAPからは、皮膚刺激が生じるおそれがある。石油ベースのアクリル酸からの不純物の低減または除去は、石油ベースの粗製アクリル酸の生成であろうと、石油ベースの氷アクリル酸の生成であろうと、費用がかかる。一般には、このような費用がかかる多段階の蒸留および/または抽出および/または結晶化ステップが用いられている(例えば、米国特許第5,705,688号および同第6,541,665号に記載されている通り)。
GAA生成系/生成プロセス
【0538】
一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、年間約8000時間の生成操作の間、少なくとも約25キロトン毎年(「KTA」)の氷アクリル酸(「GAA」)、少なくとも約160KTAのGAA、少なくとも約250KTAのGAA、または少なくとも約400KTAのGAAを生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約2000kg/時のGAA、少なくとも約2500kg/時のGAA、少なくとも約3000kg/時のGAA、少なくとも約3025kg/時のGAA、少なくとも約3500kg/時のGAA、少なくとも約3638kg/時のGAA、少なくとも約4000kg/時のGAA、少なくとも約5000kg/時のGAA、少なくとも約1000kg/時のGAA、少なくとも約20000kg/時のGAA、または少なく
とも約35000kg/時のGAAを生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、約2000kg/時のGAA、約2500kg/時のPPL、約3000kg/時のGAA、約3500kg/時のGAA、約3638kg/時のGAA、約4000kg/時のGAA、約5000kg/時のGAA、約1000kg/時のGAA、約20000kg/時のGAA、または約35000kg/時のGAAを生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、2000kg/時のGAA~3500kg/時のGAAの間、2500kg/時のGAA~3500kg/時のGAAの間、約3000kg/時のGAA~3500kg/時のGAAの間、2000kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、2500kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、3000kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、3500kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、3638kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、4000kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、5000kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、1000kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間、または20000kg/時のGAA~35000kg/時のGAAの間を生成することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスは、少なくとも約25kmol/時のGAA、少なくとも約30kmol/時のGAA、少なくとも約35kmol/時のGAA、少なくとも約40kmol/時のGAA、少なくとも約42kmol/時、または少なくとも約50kmol/時のGAAを生成することができる。GAA生成物ストリームの残余物は、無水コハク酸などの二次反応生成物およびTHFなどの残りの溶媒を含み得る。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスのGAA生成物ストリームは、約20~60℃の間、約30~50℃の間、または約40℃の温度を有することができる。一部の実施形態では、生成系/生成プロセスのGAA生成物ストリームは、少なくとも約0.5bar、約0.5~1.5bar、または少なくとも約1barの圧力であり得る。
【実施例
【0539】
重合例
(実施例1)
アクリル酸ナトリウムを開始剤として使用するbPLのバッチ重合
窒素下で、ATR-IRセンチネル(sentinel)を備えたParr反応器に、アクリル酸ナトリウム16.2mgを充填した。反応器を封止し、100℃に加熱した。50mLのステンレス容器内で、フェノチアジン11.8mgおよびベータ-プロピオラクトンの25gの混合物を、窒素下で添加した。容器を封止し、反応器に接続した。ベータ-プロピオラクトンおよびフェノチアジンの混合物を、アクリル酸ナトリウムを含む反応器に、50psiのCO圧力を用いて100℃で注入した。反応物を500rpmでかき混ぜ、インラインIRによってモニタリングした。1836cm-1におけるベータ-プロピオン酸塩ピークおよび1739cm-1におけるポリ(プロピオラクトン)ピークのプロットを、時間関数として図17に示す。温度が安定化した後、反応温度を145℃に設定した。反応を5時間実施すると、その時間までに反応が完了した。
【0540】
反応器内で形成されたポリマーを、CHCl3で抽出した。揮発性物質を、rotovapによって除去した。ポリマーを、高真空下でさらに乾燥させて、白色固体21.8gを得た。固体を、1H NMR、TGA、SEC、および溶融レオロジーによって分析した。単離された固体のSECは、Mn3710およびMw8740を示した。
(実施例2)
テトラ(ブチルアンモニウム)アクリレートを開始剤として使用するbPLのバッチ重合
【0541】
窒素下で、ATR-IRセンチネルを備えたParr反応器に、アクリル酸テトラブチルアンモニウム12.2mgを充填した。反応器を封止し、100℃に加熱した。50mLのステンレス容器内で、ベータ-プロピオラクトン25gを、窒素下で添加した。容器
を封止し、反応器に接続した。アクリル酸テトラブチルアンモニウムを含む反応器に、ベータ-プロピオラクトンを、50psiのCO圧力を用いて100℃で注入した。反応物を500rpmでかき混ぜ、インラインIRによってモニタリングした。1836cm-1におけるベータ-プロピオン酸塩ピークおよび1739cm-1におけるポリ(プロピオラクトン)ピークのプロットを、時間関数として図21に示す。温度が安定化した後、反応温度を140℃に設定した。bPLを添加して36分後に、反応は約89%の変換率に達し、水25mLを、100psiのCO圧力を用いて140℃で添加した。残っているベータ-プロピオラクトンを加水分解した後、ポリマーをCHClで抽出した。揮発性物質を、rotovapおよび高真空を使用して除去して、白色固体17.7gを得た。固体を、H NMR、TGAおよび溶融レオロジーによって分析した。
(実施例2)
栓流反応器配置を使用する重合生成
【0542】
OD1/2”×長さ24 3/4”および容積約60mLの2つのジャケット付きスタティックミキサー、三方向窒素/供給物入口ボール弁およびジャケット付き粘度計(372センサーを有するCambridge Viscosity ViscoPro 2000)を有する出口、タイプKの熱電対、ATIR IRプローブ(Mettler-Toledo DS AgX Comp(商標)およびReactIR(商標)15)、ならびに0~250psigの背圧調節器からなる栓流反応器を、140℃に加熱し、周囲圧力で窒素を用いてパージした。供給物混合物は、グローブボックス内で、磁気撹拌子を備えた1リットルの圧力/真空定格GL45ボトル中、アクリル酸ナトリウム0.1670g(製粉し、100メッシュのふるいにかけ、130℃において真空下で乾燥させた、0.001776mol)、フェノチアジン0.1536gおよびβ-プロピオラクトン670mL(約760g、10.6mol、-20℃に冷やした)を合わせることによって調製した。ボトルを、1つのポート上の浸漬管および二方向1/8”ボール弁、第2のポート上の1psiのクラッキング圧チェック弁を有する1/8”の二方向ボール弁、ならびに第3のポート上の1つのルアーロックフィッティングを有する1/8”の三方向ボール弁を備えた、3つのポートのGL45キャップで閉鎖した。混合物を短時間撹拌して、フェノチアジンを溶解させ、アクリル酸ナトリウムを懸濁させた。封止したボトルを、グローブボックスから取出し、栓流反応器に移し、磁気撹拌機の上の水/氷浴に浸漬させ、1/8”の3つの圧縮フィッティングによって、それぞれ供給ポンプ、通気ライン(2%硫酸を充填したスクラバーへの)および窒素ニードル弁に接続した。混合物を400rpmで撹拌して、アクリル酸ナトリウムを懸濁させておいた。二方向通気弁を開けた後、三方向の窒素/充填弁を、閉鎖から窒素に切り替え、窒素ニードル弁を調整して、スクラバー内に気泡の定常ストリームを生じさせた。次いで、供給弁を開けた後、供給ポンプ(Eldex Optos 2SM、0.01~10.00mL/分)のプライミング弁を開け、そのポンプを5.00mL/分の流速で作動させ、プライミングポートからスクラバーへの(Teflon(登録商標) FEP)ラインによって、すべての気泡が排出されたことが示されるまで、動作させた。次いで、ポンプを停止させ、流速を0.50mL/分に設定し、プライミング/供給の三方向ボール弁を供給に切り替え、反応器入口の三方向ボール弁を、窒素から供給に切り替え、ポンプを再び作動させた。
【0543】
4時間後、反応器出口の背圧調節器を、周囲圧力から200psigに調整し、粘度計およびReactIRの両方を作動させた。さらに1時間半後に、反応器を完全に加圧し、粘度計(70cP、120℃に補正)およびReactIR(約95%の変換率)読取り値は一定であったので、磁気撹拌した水300mLを入れた1リットルの収集ボトルに、生成物を収集した。さらに22.5時間後、供給物混合物がほぼ消耗されたので、20mL部のクロロホルムを、シリンジおよび窒素/充填の三方向ボール弁のルアーロックフィッティングを介して、供給物ボトルに添加した。供給物ボトルが、再びほぼ空になったら、別の20mLのクロロホルムを添加した。その充填物が消費されたら、さらに500
mLのクロロホルムを添加した。新鮮な受入れボトルを、反応器出口に置き、条件をさらに21時間維持し、このときに供給ポンプおよび循環浴を停止させた。
【0544】
第1の受入れボトルからの粗製生成物混合物を、追加の500mLの水と共に大型ブレンダーに移し、粒子>5mmが観測されなくなるまでブレンドし、固体を濾過によって収集し、風乾させ、次いで40℃で20時間真空乾燥させて、固体PPL生成物562.1グラムを得た。PPLのクロロホルム溶液および第2の受入れボトルからの水性の液体の混合物を分離し、クロロホルム相を水で洗浄し、乾燥させ、共沸蒸留によって300mLに濃縮し、2-プロパノール600mLで希釈した。得られた沈殿物を、濾過によって収集し、風乾させ、次いで、40℃において真空中で2時間乾燥させて、無色固体PPL生成物90.5グラムを得た。濾液から、50℃においてロータリーエバポレーターで揮発性物質を除去して、無色透明の油状物45.0gを得、それを冷却すると、液体と固体に分離した。
【0545】
1H NMR分析は、第1のレシーバーからの固体が、約1210g/molの分子量を有するPPL556グラムと、水中のbPLの加水分解から生じた少量(6グラム)の3-ヒドロキシプロピオン酸(3-HPA)(GPCの結果は、Mn=275、Mw=1530およびMn/Mw=5.56を示した)から構成されていたことを示唆した。第2のレシーバーから単離された固体は、2030g/molの分子量を有するPPL90グラム(GPCの結果は、Mn=328、Mw=1900、Mw/Mn=5.79)および3-HPA0.5グラムを含有していた。
重合例
(実施例4)
PPLのアクリル酸へのバッチ熱分解
【0546】
25mLのおよその内部容積の2つ口丸底ガラスフラスコ(反応フラスコ)からなる実験室規模のバッチ熱分解系を行った。反応フラスコに、内部熱電対を備え、フラスコの上部中央の開口に、ショートパス蒸留装置を備えた。ショートパス蒸留装置は、蒸気温度をモニタリングするための追加の熱電対を有するショートパス蒸留器(still)(Ace
Glass商品番号6554-06に類似)、その後の水冷凝縮器、および最後にドライアイス/アセトン冷却ドゥワー中、4本足の(four-armed)「ウシ型(cow)」生成物レ
シーバーからなっていた。反応フラスコを、布地加熱マントル内に嵌め込み、その動力を、反応フラスコ内部の熱電対からフィードバックを受け取る温度制御装置によって制御した。反応フラスコおよび蒸留装置の上部の周りを覆った電熱テープを用いて、追加の熱を提供した。反応フラスコの上部と蒸留装置の底部を絶縁した。布地加熱マントルを磁気撹拌板の上に設置し、PTFEでコーティングした撹拌棒を、反応フラスコに加えた。
【0547】
風袋引きした反応フラスコに、乾燥アクリル酸ナトリウム90mg、PTZ5mg、ならびにアクリル酸ナトリウム(bPL6,000molあたり1molの濃度)およびフェノチアジン(bPL中200ppmwの濃度)の存在下で無溶媒bPLの開環重合から生成されたPPL4.995gを充填した。さらに、風袋引きした生成物レシーバーに、PTZ5mg(生成物用の4本足に分散させた)を予め充填しておいた。系を組み立てた後、生成物レシーバーを、窒素および真空供給源に取り付け、空気を窒素で置き換えた。次に、反応器の内容物を、90℃に加熱して溶融させ、撹拌を開始した。この系を、真空下でおよそ700トールの絶対圧力にし、反応器の温度の設定値を210℃に設定した。反応フラスコ内で、数分以内に内部還流が観測された。熱反応器の内容物が最大210℃になるのに8~10分間かかった。反応器の内容物が210℃に達した時点を、t=0と定義する。反応器の内容物を、210℃で10分間保持すると、その時点で反応器フラスコは、ガラス状の暗色固体および撹拌棒を除いてほとんど空になった。
【0548】
後に、反応フラスコ内の残留材料を秤量すると、156mgであることが決定された。以下の4つの生成物試料を得た。試料129-098Aは、t=2分までに収集された材料を含有しており、129-098Bは、t=2分~t=8分の間に収集された材料を含有しており、129-098Cは、t=8分~t=9分の間の材料を含有しており、129-098Dは、t=9分~t=10分(熱源を遮断した)の間に収集された材料を含有していた。収集された生成物全体を秤量すると、4.7816gであった。次に、各試料を、ウシ型レシーバーからラベル付きのバイアルにピペット注入し、試料を、1H NMRに付した(図25~28参照)。NMR分析は、質量による平均アクリル酸含量が、129-098Aでは94.4%、129-098Bでは90.7%、129-098Cでは90.6%、および129-098Dでは92.5%であることを示唆している。残部は、ジ-アクリル酸エステルおよび微量の他のPPLオリゴマー(n>2)からなる。
重合例
(実施例4)
PPLのアクリル酸へのバッチ熱分解
【0549】
実験室規模のバッチ熱分解系は、50mLのおよその内部容積の2つ口丸底ガラスフラスコ(反応フラスコ)からなる。反応フラスコに、内部熱電対を備え、フラスコの上部中央の開口に、蒸留装置を備える。蒸留装置は、同軸上に直列に配向された2つのVigreux塔(それぞれAce Glass商品番号6578-04に類似)、その後の蒸気温度をモニタリングするための追加の熱電対を有するアダプター、その後の水冷凝縮器、および最後にドライアイス/アセトン冷却ドゥワー中、50mLの丸底生成物レシーバーからなった。反応フラスコを、布地加熱マントル内に嵌め込み、その動力を、反応フラスコ内部の熱電対からフィードバックを受け取る温度制御装置によって制御する。反応フラスコおよび蒸留装置の上部の周りを覆った電熱テープを用いて、追加の熱を提供した。反応フラスコの上部と蒸留装置の底部を絶縁する。布地加熱マントルを磁気撹拌板の上に設置し、PTFEでコーティングした撹拌棒を、反応フラスコに加える。
【0550】
風袋引きした反応フラスコに、乾燥アクリル酸ナトリウム1000mg、PTZ20mg、ならびにアクリル酸ナトリウム(bPL6,000molあたり1molの濃度)およびフェノチアジン(bPL中200ppmwの濃度)の存在下で無溶媒bPLの開環重合から生成されたPPL19.162gを充填した。さらに、風袋引きした生成物レシーバーに、PTZ5mgを予め充填しておいた。系を組み立てた後、生成物レシーバーを、窒素および真空供給源に取り付け、空気を窒素で置き換えた。次に、反応器の内容物を、90℃に加熱して溶融させ、撹拌を開始した。この系を、真空下でおよそ90トールの絶対圧力にし、反応器の温度の設定値を165℃に設定した。反応フラスコ内で、数分以内に内部還流が観測された。熱反応器の内容物が最大165℃になるのにおよそ10分かかった。反応器の内容物が165℃に達した時点を、t=0と定義する。反応器の内容物を、165℃で40分間保持すると、その時点で、反応器フラスコはまだ撹拌棒で容易に混合できた。
【0551】
後に、反応フラスコ内の残留材料を秤量すると、4.7186gであることが決定された。生成物試料129-108は、収集されたすべての生成物からなり、秤量すると14.6586gであった。次に、試料を1H NMRに付した(図29参照)。NMR分析は、129-108Distの平均アクリル酸含量が99.7%であることを示唆している。残部は、ジ-アクリル酸エステルおよび微量の他のPPLオリゴマー(n>2)からなる。
【0552】
本願は、本文および図においていくつかの数値範囲を開示している。本発明は、開示されている数値範囲全体を通して実施することができるので、開示されている数値範囲は、正確な範囲制限が逐語的に本明細書に記載されていなくても、開示されている数値範囲内
の任意の範囲または値を本来的に裏付ける。
【0553】
先の説明は、当業者が本発明を行い、使用できるように提示されるものであり、特定の用途およびその要件の文脈において提示される。当業者には、好ましい実施形態の様々な改変形態が容易に明らかとなり、本明細書に定義される一般原則は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および適用に適用され得る。したがって、本明細書に記載される系および方法は、示されている実施形態に限定されることを企図せず、本明細書に開示される原理および特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。最後に、本願で参照される特許および刊行物の開示全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29