IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中汽研新能源汽車検験中心(天津)有限公司の特許一覧

特許7398168燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器
<>
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図1
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図2
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図3
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図4
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図5
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図6
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図7
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図8
  • 特許-燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/88 20060101AFI20231207BHJP
   H01M 4/96 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01M4/88 C
H01M4/88 Z
H01M4/96 M
H01M4/96 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023115980
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】202210938336.7
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522401992
【氏名又は名称】中汽研新能源汽車検験中心(天津)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CATARC New Energy Vehicle Test Center (Tianjin) Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Xiongzi Road,Dongli District,Tianjin 300300,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】焦 道寛
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 冬
(72)【発明者】
【氏名】張 妍懿
(72)【発明者】
【氏名】王 暁兵
(72)【発明者】
【氏名】▲蘭▼ 昊
(72)【発明者】
【氏名】馬 明輝
(72)【発明者】
【氏名】楊 子栄
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 睿▲ディー▼
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-048936(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108898667(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 多層炭素繊維層で構成される燃料電池のガス拡散層の再構成方法であって、
ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、前記再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得し、
3次元座標系でランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得し、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標がそれぞれ(x,y,z)と(x,y,z)であり、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維を取得し、
前記第1の炭素繊維に基づいて、前記ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得し、
前記プリセットパラメータ値によって前記第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従って前記ガス拡散層を再構成すること、備え、
(b) 前記第1の炭素繊維に基づいて、前記ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得することは、具体的に、
前記第1の炭素繊維に基づいて、前記第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長を取得することと、
前記第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長に基づいて、前記第1の炭素繊維層のリアルタイムの総体積を取得することと、
前記第1の炭素繊維層のリアルタイム総体積に基づいて、前記第1の炭素繊維層の第1のリアルタイム孔隙率を取得することと、を含み、
炭素繊維の各層の第1の炭素繊維の長さLを取得し、
炭素繊維の孔隙率のリアルタイム判定に基づいて加算し、該層の炭素繊維のリアルタイム全長Lfsを取得し、繊維直径がD[i]であり、Lが炭素繊維層の長さであり、Wが炭素繊維層の幅であると、該層の炭素繊維のリアルタイム全体積Vは次の式で計算することと、
【数10】
該層のリアルタイムの孔隙率εは、次の式から取得できる。
【数11】
【数12】
式(3)に示す方法で第1の炭素繊維の長さを計算し、式(1)および(2)に従って現在のリアルタイム孔隙率の大きさを計算し、
(c) 前記プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従って前記ガス拡散層を再構成することは、具体的に、
前記第1のリアルタイム孔隙率を、前記再構成の具体的なニーズの前記炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合することと、
照合結果が両者のマッチングを示す場合、ガス拡散層の第2の炭素繊維層に自動的にジャンプして再構成し、3次元座標系でランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第2の炭素繊維層の位置ポイントを取得すること、又は前記照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、3次元座標系でランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを取得することと、
前記第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを接続して、前記ガス拡散層の第2の炭素繊維を取得することと、
前記第2の炭素繊維に基づいて、前記第1のリアルタイム孔隙率を更新して、前記ガス拡散層の第2のリアルタイム孔隙率を取得することと、
前記第2のリアルタイム孔隙率を、前記再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合し、前記照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、更新されたリアルタイム孔隙率と前記再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさがマッチングであるまで、取得された炭素繊維の上で、ランダム関数法を改めて使用し続け、前記ガス拡散層の炭素繊維層の位置ポイントを取得してリアルタイム孔隙率を更新することと、前記ガス拡散層の炭素繊維層の各層を再構成した後、炭素繊維層の各層のリアルタイム孔隙率が、前記再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさとマッチングする場合、ガス拡散層の再構成が完了することであり、
(d) 前記再構成構造パラメータは、少なくとも、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数が含まれ、
前記再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得することは、前記再構成の具体的なニーズに従って、前記炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、および前記ガス拡散層の炭素繊維の層の数をプリセット値に配置し、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、および前記ガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値を取得することを含み、
前記プリセットパラメータ値を取得した後、前記プリセットパラメータ値をプリセットの配列に格納することであり、
(e) 前記ランダム関数法を用いて、2つの第1の位置ポイント(x ,y ,z )、第2の位置ポイント(x ,y ,z )を生成する方法は、
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
ここで、Rand_x、Rand_zはそれぞれ、ランダム関数によって生成された座標を計算するために使用される値を表し、Rand_θはランダム関数によって生成されたラジアンを計算するために使用される値を表し(関数の定義領域内に制限する必要がある)、iは炭素繊維の層の数を表すこと、
を含むことを特徴とする燃料電池のガス拡散層の再構成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池のガス拡散層の再構成方法であって、
前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得することは、具体的に、
ランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層のポイントと第2の位置ポイントを生成することと、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標が、プリセットパラメータ値に関することと、を含むことを特徴とする燃料電池のガス拡散層の再構成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池のガス拡散層の再構成方法であって、
前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層を取得することは、具体的に、
3次元座標系における前記ガス拡散層の投影寸法範囲を事前に設定することと、
前記投影寸法範囲が、前記炭素繊維層の長さと幅に応じて設定されることと、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、第1の候補炭素繊維線を取得することと、
前記第1の候補炭素繊維線の前記投影寸法範囲を超える部分を除去して、第1の炭素繊維線を取得することと、
前記炭素繊維層の繊維径に応じて、前記第1の炭素繊維線を円柱状に膨張させ、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維を得ると、を含むことを特徴とする燃料電池のガス拡散層の再構成方法。
【請求項4】
(a) 多層炭素繊維層で構成される燃料電池のガス拡散層の再構成装置であって、
ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、前記再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得する前処理モジュールと、
3次元座標系でランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得し、前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標がそれぞれ(x,y,z)と(x,y,z)であるデータポイント取得モジュールと、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第1の炭素繊維を取得する膨張モジュールと、
前記第1の炭素繊維に基づいて、前記ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得する層分析モジュールと、
前記プリセットパラメータ値によって前記第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従って前記ガス拡散層を再構成する再構成モジュールと、
を備え、
(b) 前記膨張モジュールは、具体的には、
3次元座標系における前記ガス拡散層の投影寸法範囲を事前に設定することと、
前記投影寸法範囲が、炭素繊維層の長さと幅に応じて設定されることと、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、第1の候補炭素繊維線を取得することと、
前記第1の候補炭素繊維線の前記投影寸法範囲を超える部分を除去して、第1の炭素繊維線を取得することと、
前記炭素繊維層の繊維径に応じて、前記第1の炭素繊維線を円柱状に膨張させ、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維を得ると、を含み、
(c) 前記層分析モジュールは、具体的には、
前記第1の炭素繊維に基づいて、前記第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長を取得することと、
前記第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長に基づいて、前記第1の炭素繊維層のリアルタイムの総体積を取得することと、を含み、
炭素繊維の各層の第1の炭素繊維の長さLを取得し、
炭素繊維の孔隙率のリアルタイム判定に基づいて加算し、該層の炭素繊維のリアルタイム全長Lfsを取得し、繊維直径がD[i]であり、Lが炭素繊維層の長さであり、Wが炭素繊維層の幅であると、該層の炭素繊維のリアルタイム全体積Vは次の式で計算することと、
【数13】
該層のリアルタイムの孔隙率εは、次の式から取得できる。
【数14】
式(3)に示す方法で第1の炭素繊維の長さを計算し、式(1)および(2)に従って現在のリアルタイム孔隙率の大きさを計算し、
前記第1の炭素繊維層のリアルタイム総体積に基づいて、前記第1の炭素繊維層の第1のリアルタイム孔隙率を取得し、
(d) 前記再構成モジュールは、具体的には、
前記第1のリアルタイム孔隙率を、前記再構成の具体的なニーズの前記炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合することと、
前記照合結果が両者のマッチングを示す場合、前記ガス拡散層の第2の炭素繊維層に自動的にジャンプして再構成し、3次元座標系でランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第2の炭素繊維層の位置ポイントを取得すること、又は前記照合結果が両者の不マッチングを示す場合、3次元座標系でランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを取得することと、
前記第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを接続して、前記ガス拡散層の第2の炭素繊維を取得することと、
前記第2の炭素繊維に基づいて、前記第1のリアルタイム孔隙率を更新して、前記ガス拡散層の第2のリアルタイム孔隙率を取得することと、
前記第2のリアルタイム孔隙率を、前記再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合し、前記照合結果が両者の不マッチングを示す場合、更新されたリアルタイム孔隙率と前記再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさがマッチングであるまで、取得された炭素繊維の上で、ランダム関数法を改めて使用し続け、前記ガス拡散層の炭素繊維層の位置ポイントを取得してリアルタイム孔隙率を更新することと、
前記ガス拡散層の炭素繊維層の各層を再構成した後、炭素繊維層の各層のリアルタイム孔隙率が、前記再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさとマッチングする場合、前記ガス拡散層の再構成が完了することであり、
(e) 前記再構成構造パラメータは、少なくとも、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、および前記ガス拡散層の炭素繊維の層数が含まれ、
前記再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得することは、前記再構成の具体的なニーズに従って、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層の数をプリセット値に配置し、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値を取得することを含み、
前記プリセットパラメータ値を取得した後、前記プリセットパラメータ値をプリセットの配列に格納すること、
(f) 前記ランダム関数法を用いて、2つの第1の位置ポイント(x ,y ,z )、第2の位置ポイント(x ,y ,z )を生成する方法は、
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
ここで、Rand_x、Rand_zはそれぞれ、ランダム関数によって生成された座標を計算するために使用される値を表し、Rand_θはランダム関数によって生成されたラジアンを計算するために使用される値を表し(関数の定義領域内に制限する必要がある)、iは炭素繊維の層の数を表すこと、
を含むことを特徴とする燃料電池のガス拡散層の再構成装置。
【請求項5】
請求項に記載の燃料電池のガス拡散層の再構成装置であって
ータポイント取得モジュールは、具体的には、
ランダム関数法を使用して、前記ガス拡散層の第1の炭素繊維層のポイントと第2の位置ポイントを生成することと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標がそれぞれ(x,y,z)と(x,y,z)であることと、
前記第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標が、前記プリセットパラメータ値に関することと、を含むことを特徴とする燃料電池のガス拡散層の再構成装置。
【請求項6】
メモリと、プロセッサと、を備え、メモリを設置することによって、コンピュータ実行可能プログラムを格納し、プロセッサがメモリから前記コンピュータ実行可能プログラムの一部または全部を読み出して実行し、プロセッサが実行可能プログラムの一部または全部を実行することによって、請求項1―のいずれかに記載の燃料電池のガス拡散層の再構成方法を実現できる電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は燃料電池の分野に属し、具体的には燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、経済と社会のさらなる発展に伴い、人々の環境保護に対する意識が高まっており、無公害、グリーン、低炭素の社会を構築するための実際的なニーズが提唱されている。水素エネルギーは、環境に優しいなどの大きな利点により、非常に幅広い応用の可能性を秘めている。燃料電池自動車の開発を促進することは、水素エネルギーの利用において非常に重要なルートの1つである。プロトン交換膜燃料電池は、高効率、ゼロエミッション、移動部品なし、低騒音などの利点があり、次世代の自動車エンジンに最適と広く考えられている。ガス拡散層は、プロトン交換膜燃料電池のコアコンポーネントの1つとして、電極の支持(機械的特性)、反応物の拡散、電子の輸送、放熱、排水などの機能を備えている。その複雑な多孔質構造特性、緊密な水-熱-質量結合輸送プロセス、および高い製造プロセス要件により、ガス拡散層は、現在での燃料電池膜および電極の研究における困難である。
【0003】
ガス拡散層の正確かつ迅速な三次元再構成法の開発は、モデル研究にとって非常に重要である。既存の製品の性能を調査するだけでなく、ターゲット設計スキームの性能を予測することもできるため、研究開発コストを大幅に削減できので、関連する当業者にとって緊急の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それに対して、本願は、燃料電池のガス拡散層の再構成方法、装置、および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面では、本願の実施例は、多層炭素繊維層で構成される燃料電池のガス拡散層の再構成方法であって、
ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得し、
3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得し、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第1の炭素繊維を取得し、
第1の炭素繊維に基づいて、ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得し、
プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従ってガス拡散層を再構成する、
燃料電池のガス拡散層の再構成方法を提供する。
【0006】
上記の第1の側面の可能な実現では、方法には、
再構成構造パラメータは、少なくとも、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値が含まれ、
再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得することは、再構成の具体的なニーズに従って、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層の数をプリセット値に配置し、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値を取得することを含み、
プリセットパラメータ値を取得した後、プリセットパラメータ値をプリセットの配列に格納すること、をさらに含む。
【0007】
上記の第1の側面の可能な実現では、方法には、
ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得することは、具体的に、
ランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層のポイントと第2の位置ポイントを生成することと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標がそれぞれ(x,y,z)と(x,y,z)であることと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標が、プリセットパラメータ値に関することと、を含む。
【0008】
上記の第1の側面の可能な実現では、方法には、
ガス拡散層の第1の炭素繊維層を取得することは、具体的に、
3次元座標系におけるガス拡散層の投影寸法範囲を事前に設定することと、
投影寸法の範囲が、炭素繊維層の長さと幅に応じて設定されることと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、第1の候補炭素繊維線を取得することと、
第1の候補炭素繊維線の投影寸法の範囲を超える部分を除去して、第1の炭素繊維線を取得することと、
炭素繊維層の繊維径に応じて、第1の炭素繊維線を円柱状に膨張させ、ガス拡散層の第1の炭素繊維を得ると、を含む。
【0009】
上記の第1の側面の可能な実現では、方法には、
第1の炭素繊維に基づいて、ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得するは、具体的に、
第1の炭素繊維に基づいて、第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長を取得することと、
第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長に基づいて、第1の炭素繊維層のリアルタイムの総体積を取得することと、
第1の炭素繊維層のリアルタイム総体積に基づいて、第1の炭素繊維層の第1のリアルタイム孔隙率を取得することと、を含む。
【0010】
上記の第1の側面の可能な実現では、方法には、
プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従ってガス拡散層を再構成することは、具体的に、
第1のリアルタイム孔隙率を、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合することと、
照合結果が両者のマッチングを示す場合、ガス拡散層の第2の炭素繊維層に自動的にジャンプして再構成し、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第2の炭素繊維層の位置ポイントを取得することと、
照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを取得することと、
第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第2の炭素繊維を取得することと、
第2の炭素繊維に基づいて、第1のリアルタイム孔隙率を更新して、ガス拡散層の第2のリアルタイム孔隙率を取得することと、
第2のリアルタイム孔隙率を、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合し、照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、更新されたリアルタイム孔隙率と再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさがマッチングであるまで、取得された炭素繊維の上で、ランダム関数法を改めて使用し続け、ガス拡散層の炭素繊維層の位置ポイントを取得してリアルタイム孔隙率を更新することと、
ガス拡散層の炭素繊維層の各層を再構成した後、炭素繊維層の各層のリアルタイム孔隙率が、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさとマッチングする場合、ガス拡散層の再構成が完了することと、を含む。
【0011】
第2の側面に、本願の実施例は、多層炭素繊維層で構成される燃料電池のガス拡散層の再構成装置であって、
ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得する前処理モジュールと、
3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得するデータポイント取得モジュールと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第1の炭素繊維を取得する膨張モジュールと、
第1の炭素繊維に基づいて、ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得する層分析モジュールと、
プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従ってガス拡散層を再構成する再構成モジュールと、
を備える燃料電池のガス拡散層の再構成装置を提供する。
【0012】
上記の第2の側面の可能な実現では、装置には、
再構成構造パラメータが、少なくとも、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値が含まれ、
再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得することが、再構成の具体的なニーズに従って、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層の数をプリセット値に配置し、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値を取得することを含み、
プリセットパラメータ値を取得した後、プリセットパラメータ値をプリセットの配列に格納すること、をさらに含み、
データポイント取得モジュールは、具体的には、
ランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層のポイントと第2の位置ポイントを生成することと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標がそれぞれ(x,y,z)と(x,y,z)であることと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標が、プリセットパラメータ値に関することと、を含む。
【0013】
上記の第2の側面の可能な実現では、装置には、
膨張モジュールは、具体的には、
3次元座標系におけるガス拡散層の投影寸法範囲を事前に設定することと、
投影寸法の範囲が、炭素繊維層の長さと幅に応じて設定されることと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、第1の候補炭素繊維線を取得することと、
第1の候補炭素繊維線の投影寸法の範囲を超える部分を除去して、第1の炭素繊維線を取得することと、
炭素繊維層の繊維径に応じて、第1の炭素繊維線を円柱状に膨張させ、ガス拡散層の第1の炭素繊維を得ると、を含み、
層分析モジュールは、具体的には、
第1の炭素繊維に基づいて、第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長を取得することと、
第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長に基づいて、第1の炭素繊維層のリアルタイムの総体積を取得することと、
第1の炭素繊維層のリアルタイム総体積に基づいて、第1の炭素繊維層の第1のリアルタイム孔隙率を取得することと、を含み、
再構成モジュールは、具体的には、
第1のリアルタイム孔隙率を、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合することと、
照合結果が両者のマッチングを示す場合、ガス拡散層の第2の炭素繊維層に自動的にジャンプして再構成し、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第2の炭素繊維層の位置ポイントを取得することと、
照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを取得することと、
第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第2の炭素繊維を取得することと、
第2の炭素繊維に基づいて、第1のリアルタイム孔隙率を更新して、ガス拡散層の第2のリアルタイム孔隙率を取得することと、
第2のリアルタイム孔隙率を、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合し、照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、更新されたリアルタイム孔隙率と再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさがマッチングであるまで、取得された炭素繊維の上で、ランダム関数法を改めて使用し続け、ガス拡散層の炭素繊維層の位置ポイントを取得してリアルタイム孔隙率を更新することと、
ガス拡散層の炭素繊維層の各層を再構成した後、炭素繊維層の各層のリアルタイム孔隙率が、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさとマッチングする場合、ガス拡散層の再構成が完了することと、を含む。
【0014】
第3の側面では、本願の実施例は、メモリと、プロセッサと、を備え、メモリを設置することによって、コンピュータ実行可能プログラムを格納し、プロセッサがメモリからコンピュータ実行可能プログラムの一部または全部を読み出して実行し、プロセッサが実行可能プログラムの一部または全部を実行することによって、本願の燃料電池のガス拡散層の再構成方法を実現できる電子装置を提供する。
【0015】
従来の技術と比較して、本願の燃料電池のガス拡散層の再構成方法は、再構成モデルのコアパラメータが同じであることを確保する上で、時間/経済的コストが低く、パラメータが調整可能であり、サンプルの制限を取り除き、独自の設計を行うという利点がある。他のランダム再構成方法と比較して、プロセスの自動制御と統合再構成の利点がある。再重ね合わせを層ごとに手動で生成するという欠点が改善され、再構成方法は普遍的で強力であり、数値計算グリッドに依存しなくて生成を行う可能である。この方法は、カーボンペーパー型ガス拡散層の性能評価、最適化、予測などに広く使用でき、カーボンペーパー型ガス拡散層の設計と開発にとって重要な科学的意義と経済的価値がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本願の実施例に係る燃料電池ガス拡散層の再構成方法の動作フロー図である。
図2図2は、本願の実施例に係る燃料電池ガス拡散層のガス拡散層の実物模式図である。
図3図3は、本願の実施例の燃料電池ガス拡散層の再構成方法の実施例2の動作フロー図である。
図4図4は、本願の実施例に係る燃料電池ガス拡散層の再構成方法のガス拡散層の三次元構造図である。
図5図5は、本願の実施例の燃料電池ガス拡散層の再構成方法のガス拡散層孔隙率とX線技術で取得されたものとの比較結果の概略図である。
図6図6は、本願の実施例の燃料電池ガス拡散層の再構成方法の複数のタイプの孔隙率分布の概略図である。
図7図7は、本願の実施例に係る燃料電池ガス拡散層の再構成方法の複数種類の孔隙率分布を有するガス拡散層の三次元構造図である。
図8図8は、本願の実施例に係る燃料電池ガス拡散層の再構成装置の構造ブロック図である。
図9図9は、本願の実施例に係る電子機器のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本明細書で使用される「第1」、「第2」などの用語は、本明細書において様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素は、特に説明のない限り、これらの用語によって制限されないことを理解される。これらの用語は、第一の要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。本開示の例示的な実施例が図面に示されているが、本開示は、本明細書に記載された実施例によって制限されることなく、様々な形で実施され得ることが理解される。代わりに、これらの実施例は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0018】
既存のいくつかの再構成方法には、主にシミュレーション方法を使用したガス拡散層構造の最適化の設計と輸送特性の調査が含まれており、すべて3次元多孔質構造の再構成と再現が必要である。第一の方法は、X-CT技術(X-ray computed tomography)を使用して、非透明なエンティティを透過して内部構造の特徴を取得することである。第二の方法は、ランダム再構成法である。その原理は、既知のパラメータ特徴(繊維の直径など)を使用し、ターゲットパラメータの統計的特徴(孔隙率、厚さなど)と組み合わせて、ランダム再構成法によって多孔質構造を生成することである。このプロセスでは、すべての重要なパラメータをターゲットのニーズに従って調整できる。
【0019】
ただし、ガス拡散層は、異なる方向に特徴が異方性であるため、X-CT技術によって得られる幾何学的モデルの特徴もサンプルの特徴によって制限される。同時に、X-CTの時間と経済的コストによって制限されるため、X-CT法を使用して、ガス拡散層の性能に対する重要なパラメータの影響を調査することは理想的ではない。例えば、水と熱の輸送プロセスに対するさまざまな孔隙率と孔径の影響を研究するには、変換に大量のサンプルモデルが必要である。同時に、既存のランダム再構成方法の問題点は、ほとんどが生成とフィードバック制御のために計算グリッドに依存しているため、方法の適用性が低下することである。また、一部の方法では、層ごとに生成し、各層の孔隙率のサイズに基づいて、手動で積み重ねるため、再構成プロセスが面倒で非統合的に制御されることを引き起こす。
【0020】
本願のガス拡散層の再構成スキームは、既存の再構成スキームのさまざまな欠点をよりよく克服した。以下、本願の実施例を添付の図面と組み合わせてさらに詳細に説明する。
【0021】
図1の動作フロー図を参照して、本願の第1の実施例は、多層炭素繊維層で構成される燃料電池のガス拡散層の再構成方法を提供し、
ステップ1:ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得し、
ステップ2:3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得し、
ステップ3:第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第1の炭素繊維を取得し、
ステップ4:第1の炭素繊維に基づいて、ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得し、
ステップ5:プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従ってガス拡散層を再構成する
ことを含む。
【0022】
カーボンペーパー型ガス拡散層は、ランダムに分布した炭素繊維の交錯によって形成される。日本の東レで生産されたTGP-H-060カーボンペーパーは、燃料電池の分野で高い評価を得ており、広く使用されている。全体の孔隙率が78%、厚さが約190μmであることを特徴とし、図2に燃料電池ガス拡散層のガス拡散層の実物模式図を示す。
【0023】
本実施例では、図1に示す方法を用いて東レTGP-H-060カーボンペーパー型ガス拡散層をランダムに再構成し、図4のガス拡散層の三次元構造図に関連の表示を示した。
【0024】
具体的には、ステップ1で、
再構成構造パラメータは、少なくとも、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値が含まれ、
再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得することは、再構成の具体的なニーズに従って、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層の数をプリセット値に配置し、炭素繊維層の各層の長さ、幅、孔隙率のサイズ、繊維の直径、およびガス拡散層の炭素繊維の層数のプリセットパラメータ値を取得することを含み、
プリセットパラメータ値を取得した後、プリセットパラメータ値をプリセットの配列に格納すること、をさらに含む。
【0025】
この実施例では、炭素繊維層の各層の孔隙率の大きさは、配列Porous[]に順番に格納され、炭素繊維層の各層の繊維直径の大きさは、配列D[]に格納される。
【0026】
まず、本実施例で使用した燃料電池のガス拡散層の炭素繊維層数は24層で、各層の炭素繊維層の繊維径は同じですべて8μmであり、再構成寸法の大きさは800μm×800μm、すなわちL=800μm、W=800μmとした。
【0027】
次に、各層の炭素繊維層の孔隙率の大きさ分布は、図5のガス拡散層の孔隙率とX線技術で得られたものとの比較結果の模式図にX線技術で得られた孔隙率に従って設定される。つまり、炭素繊維の各層の直径の配列D[24]={8,8,8,8 …8,8}であり、炭素繊維層の各層の孔隙率の大きさを表す配列Porous[24]={0.94,0.81,0.64,0.59,0.61,0.69,0.75,0.75,0.77,0.82,0.84,0.81,0.82,0.80,0.75,0.74,0.73,0.65,0.57,0.56,0.66,0.79,0.94,0.96}である。
【0028】
具体的には、ステップ2で、
ランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層のポイントと第2の位置ポイントを生成することと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標がそれぞれ(x,y,z)と(x,y,z)であることと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントの座標が、プリセットパラメータ値に関することと、を含む。
【0029】
ここでは、ランダム関数法を用いて、2つの第1の位置ポイント(x,y,z)、第2の位置ポイント(x,y,z)を生成する。式は次のとおりである。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

ここで、Rand_x、Rand_zはそれぞれ、ランダム関数によって生成された座標を計算するために使用される値を表し、Rand_θはランダム関数によって生成されたラジアンを計算するために使用される値を表し(関数の定義領域内に制限する必要がある)、iは炭素繊維の層の数を表す。
【0030】
このスキームでは、ランダム関数法を使用して2つの位置ポイントとラジアンが生成される。このとき、ランダム関数によって生成される値の大きさは0から1の間の値である。
【0031】
同時に、ランダム関数を使用して位置ポイントを生成する場合、乱数が生成された値が毎回異なることを確認するために時間シードを追加する必要がある。そうしないと、ランダム関数によって生成される位置点は毎回変化しない。
【0032】
式(1-1)~(1-6)に示すように、ラジアンを組み合って生成した2つのランダムな位置ポイントを取得する。
【0033】
このスキームでは、ランダム関数法によって位置ポイントを生成するスキームにより、炭素繊維層の適応性が保証されるため、炭素繊維層の再構築は、多様なガス拡散層のニーズに応じて適応的に調整できる。乱数が生成されるたびに値が異なることを保証するために時間シードが追加され、炭素繊維再構築の基本データの信頼性をさらに向上させる。
【0034】
具体的には、ステップ3で、
3次元座標系におけるガス拡散層の投影寸法範囲を事前に設定することと、
投影寸法の範囲が、炭素繊維層の長さと幅に応じて設定されることと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、第1の候補炭素繊維線を取得することと、
第1の候補炭素繊維線の投影寸法の範囲を超える部分を除去して、第1の炭素繊維線を取得することと、
炭素繊維層の繊維径に応じて、第1の炭素繊維線を円柱状に膨張させ、ガス拡散層の第1の炭素繊維を得ると、を含む。
【0035】
ここで、このガス拡散層の法線投影寸法の範囲は、(0、0)~(L、W)である。
【0036】
本実施例では、炭素繊維の生成順序は、最下層から最上層まで厚さ方向(0μm~192μm)に層ごとに生成され、投影の範囲(0,0)~(800,800)が結合され、炭素繊維層全体の座標範囲は(0,0,0)μm~(800,800,192)μmであるため、生成された炭素繊維はこの範囲内の部分のみが残り、他は破棄される。
【0037】
本実施例では、生成された第1の位置ポイント点と第2の位置ポイントを接続し、ガス拡散層の長さ、広域を超える部分を捨て、その層の繊維径が位置する配列D[24]の対応する値を読み取り、炭素繊維層の繊維径に応じた円筒型膨張により炭素繊維を生成する。
【0038】
このスキームでは、炭素繊維の有効長を抽出することにより、炭素繊維抽出データを使用してガス拡散層を再構築する正確性が保証され、炭素繊維層の繊維直径に基づいて炭素繊維線が円筒形に膨張します。層の炭素繊維を取得し、製品要件の再構築の適合性を高めます。
【0039】
具体的には、ステップ4で、
第1の炭素繊維に基づいて、ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得するは、具体的に、
第1の炭素繊維に基づいて、第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長を取得することと、
第1の炭素繊維層の炭素繊維のリアルタイムの全長に基づいて、第1の炭素繊維層のリアルタイムの総体積を取得することと、
第1の炭素繊維層のリアルタイム総体積に基づいて、第1の炭素繊維層の第1のリアルタイム孔隙率を取得することと、を含む。
【0040】
リアルタイム孔隙率の計算方法は、炭素繊維の体積を除去した部分を層の総体積で割ることである。式は次のとおりである。
炭素繊維の各層の第1の炭素繊維の長さLを取得し、
炭素繊維の孔隙率のリアルタイム判定に基づいて加算し、該層の炭素繊維のリアルタイム全長Lfsを取得する。このとき、該層の炭素繊維のリアルタイム全体積Vは次の式で計算できる。
【数7】

該層のリアルタイムの孔隙率εは、次の式から取得できる。
【数8】

【数9】

(3-3)
【0041】
本実施例では、式(3-3)に示す方法で第1の炭素繊維の長さを計算し、式(3-1)および(3-2)に従って現在のリアルタイム孔隙率の大きさを計算する。
【0042】
このスキームは、炭素繊維の孔隙率のリアルタイム判定に基づいて加算し、この層の炭素繊維のリアルタイムの全長を取得するシナリオでは、炭素繊維層におけるさまざまな炭素繊維の特定の空間配置形態が考慮され、炭素繊維の位置ポイントに基づいて、複数のシナリオ配置を行い、対応の長さを取得するので、炭素繊維の長さ、体積、および孔隙率の結果の精度を最大限に保証し、その後の再構成モデルの最小偏差を保証する。
【0043】
具体的には、ステップ5で、
プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従ってガス拡散層を再構成することは、具体的に、
第1のリアルタイム孔隙率を、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合することと、
照合結果が両者のマッチングを示す場合、ガス拡散層の第2の炭素繊維層に自動的にジャンプして再構成し、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第2の炭素繊維層の位置ポイントを取得することと、
照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを取得することと、
第3の位置ポイントと第4の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第2の炭素繊維を取得することと、
第2の炭素繊維に基づいて、第1のリアルタイム孔隙率を更新して、ガス拡散層の第2のリアルタイム孔隙率を取得することと、
第2のリアルタイム孔隙率を、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさに照合し、照合結果が両者の不マッチングことを示す場合、更新されたリアルタイム孔隙率と再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさがマッチングであるまで、取得された炭素繊維の上で、ランダム関数法を改めて使用し続け、ガス拡散層の炭素繊維層の位置ポイントを取得してリアルタイム孔隙率を更新することと、
ガス拡散層の炭素繊維層の各層を再構成した後、炭素繊維層の各層のリアルタイム孔隙率が、再構成の具体的なニーズの炭素繊維層の孔隙率の大きさとマッチングする場合、ガス拡散層の再構成が完了することと、を含む。
【0044】
その中で、リアルタイムの炭素繊維層の孔隙率εを層の目標孔隙率Porous[i]と比較し、論理判断プログラムを使用して、層の目標孔隙率に達したときに次の層にジャンプして生成し、当該層の目標孔隙率Porous[i]と繊維直径D[i]をコールして制御する。
【0045】
この実施例では、得られたリアルタイムの孔隙率を孔隙率配列Porous[24]の大きさと比較して判定し、目標の孔隙率よりも小さい場合は満足するまで炭素繊維に再生し、すべての炭素繊維層が完成するまで、次の層にジャンプし、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の次の炭素繊維層の位置ポイントを取得することを繰り返す。
【0046】
このスキームは、従来の技術における層ごとを手動生成して再重ね合わせの欠点を改善し、自動孔隙率照合スキームを採用し、自動プロセスサイクル制御、統合再構成などの利点を持ち、このスキームの再構成方法は普遍的で強力である。数値計算グリッドに依存しなくて生成を行い、ガス拡散層の性能評価と最適化に広く使用できる。
【0047】
図4は、本発明の方法の実施例によって生成されるガス拡散層を示している。孔隙率に応じて、各層の炭素繊維の数も異なることがはっきりとわかる。図5は、本発明の方法とX線技術を使用して得られた孔隙率の比較を示しており、結果は高い適合性を示しており、本発明の方法の信頼性を反映している。本実施例では、各層の炭素繊維層の厚さを下から上に正規化すると、最下層の値は0、最上層の値は1になる。
【0048】
さらに、本発明の燃料電池のガス拡散層の再構成方法は、階段状の孔隙率構造など、さまざまな種類の孔隙率分布を持つガス拡散層の再構成にも適用できる。この構造は、ガス拡散層の最適設計の開発方向を表している。
【0049】
図6は、本願の実施例の燃料電池ガス拡散層の再構成方法の複数のタイプの孔隙率分布の概略図であり、この実施例では、孔隙率が均一に分布し、線形に沿って分布している複数のガス拡散層の再構成結果を示している。
【0050】
このとき、炭素繊維層の毎層の繊維径は8μm、サイズはL=200μm、W=200μm、ガス拡散層の炭素繊維層数は24層、炭素繊維層全体の座標範囲は(0,0,0)~(200,200,192)である。3つのガス拡散層の孔隙率は、最下層から最上層まで0.7を維持し、線形に増加し、線形に減少し、制御配列に反映されると、Porous[24]={0.7、0.7、0.7...0.7,0.7}、Porous[24]={0.5,0.517,0.535,0.552,0.57,0.587,0.604,0.622,0.639,0.657,0.674,0.691,0.709,0.726,0.743,0.761,0.778,0.796,0.813,0.83,0.848,0.865,0.883,0.9}、Porous[24]={0.9,0.883,0.865,0.848,0.83,0.813,0.796,0.778,0.743,0.726,0.709,0.691,0.674,0.657,0.552,0.535,0.517,0.5}である。図3に示す本願の実施例に係る燃料電池のガス拡散層の再構成方法の実施例2の動作フロー図に示す方法により再構成された3次元構造を図7に示し、左図は均一孔隙率の三次元構造図であり、右図は、階段状の孔隙率分布を持つガス拡散層の3次元構造図を示している。図から、階段状の孔隙率1タイプの炭素繊維の各層の数が下から上へと徐々に減少していることがはっきりとわかる。これは、プリセット目標と一致している。したがって、本発明の方法は、新しい設計のガス拡散層の性能のシミュレーション研究に使用できる。
【0051】
図8を参照して、本発明が保護を請求するガス拡散層が多層炭素繊維層で構成されている燃料電池のガス拡散層の再構成装置の構造ブロック図であり、
ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、再構成構造パラメータを前処理して配置し、プリセットパラメータ値を取得する前処理モジュールと、
3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の第1の炭素繊維層の第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを取得するデータポイント取得モジュールと、
第1の位置ポイントと第2の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の第1の炭素繊維を取得する膨張モジュールと、
第1の炭素繊維に基づいて、ガス拡散層の第1のリアルタイム孔隙率を取得する層分析モジュールと、
プリセットパラメータ値によって第1のリアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に従ってガス拡散層を再構成する再構成モジュールと、
を備える。
【0052】
図9を参照して、本発明が保護を請求する電子装置100は、メモリ101と、プロセッサ102とを備え、メモリを設置することによって、コンピュータ実行可能プログラムを格納し、プロセッサがメモリからコンピュータ実行可能プログラムの一部または全部を読み出して実行し、プロセッサが実行可能プログラムの一部または全部を実行することによって、本願の燃料電池のガス拡散層の再構成方法を実現できる。
【0053】
フローチャートは、本開示の実施例による方法のステップを説明するために本開示で使用される。なお、前後のステップは必ずしも順序通りに正確に行われるとは限らない。逆に、種々のステップを逆順に処理してもよいし、同時に処理してもよい。また、これらのプロセスに他の操作を追加することも可能である。
【0054】
当業者であれば、本開示で開示された内容にはさまざまな変更や改良が可能であることを理解することができる。たとえば、上記で説明したさまざまな装置またはコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって実現できる。
【0055】
当業者であれば、上述した方法のステップの全部または一部が、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアに命令して完了させてもよく、プログラムは、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよいことを理解するであろう。あるいは、上述の実施例のステップの全部または一部は、1つまたは複数の集積回路を使用して実現されてもよい。また、上記実施例における各モジュール/ユニットは、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールにより実現されてもよい。本開示は、ハードウェアおよびソフトウェアの特定の形態の組み合わせに限定されない。
【0056】
本明細書において使用される全ての用語は、特に断らない限り、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。また、通常の辞書に定義されているような用語は、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された、または極端に形式的な意味を適用して解釈されるべきではなく、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであることも理解されたい。
【0057】
以上が本発明の説明であり、これに限定されるものではない。本開示のいくつかの例示的な実施例を説明したが、当業者であれば、本開示の新規の教示および利点から逸脱することなく、例示的な実施例に多くの変更を加えることができることを容易に理解するであろう。したがって、このような修正は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。以上が本発明の説明であり、開示された特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、開示された実施形態および他の実施形態に対する変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを理解されたい。本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によって規定される
【0058】
本明細書の説明において、用語「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「特定の例」、または「いくつかの例」などの記載は、その実施例または例に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本願の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。なお、本明細書において、上記の用語の概略表現は、必ずしも同一の実施例又は例を示すものではない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料、または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において、適切な方法で組み合わせることができる。
【0059】
本発明の実施例を示し、説明したが、当業者は、本発明の原理と目的から逸脱することなく、これらの実施例にさまざまな変更、修正、置き換え、および変更を加えることができることを理解するであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲とその均等物によって制限されます。
【要約】      (修正有)
【課題】多層炭素繊維層で構成される燃料電池のガス拡散層の再構成方法を提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池ガス拡散層の再構成スキームは、ガス拡散層の多層炭素繊維層を自動的に再構成し、ガス拡散層の再構成構造パラメータを取得し、再構成構造パラメータを前処理してプリセットパラメータ値を取得し、3次元座標系でランダム関数法を使用して、ガス拡散層の炭素繊維層の複数の位置ポイントを取得し、複数の位置ポイントを接続して、ガス拡散層の炭素繊維を取得し、さらにガス拡散層のリアルタイム孔隙率を取得し、リアルタイム孔隙率を照合し、照合結果に応じてガス拡散層を再構成する。このスキームは、従来の技術における層ごとに手動生成して再重ね合わせの欠点を改善し、自動孔隙率マッチングスキームを採用し、自動プロセスサイクル制御、統合再構成などの利点を持つ。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9