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特許7398179シーラガン用ノズル、及びこのノズルを備えたシーラガン
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  • 特許-シーラガン用ノズル、及びこのノズルを備えたシーラガン 図1
  • 特許-シーラガン用ノズル、及びこのノズルを備えたシーラガン 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】シーラガン用ノズル、及びこのノズルを備えたシーラガン
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20231207BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019119663
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021003686
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 晃治
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-051470(JP,A)
【文献】特開2009-154073(JP,A)
【文献】特開平07-185397(JP,A)
【文献】特開平08-173885(JP,A)
【文献】特開2005-262167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにシーラを塗布可能なシーラガンの先端に取り付けられるシーラガン用ノズルであって、
ノズル本体と、
前記ノズル本体の内部に設けられ、前記シーラが流通する第一流路と、
前記ノズル本体の先端に設けられ、前記第一流路を通過した前記シーラが吐出される第一吐出口と、
前記ノズル本体の外部に設けられ、ガスが流通する第二流路と、
前記第二流路を通過した前記ガスが吐出される第二吐出口と、
前記ノズル本体の外側に配設され、前記ノズル本体の外周面との間に前記第二流路を形成するカバーノズルとを備え、
前記第二吐出口は環状をなし、前記シーラの吐出方向に直交する向きにかつ前記第一流路を通過中の前記シーラ又は前記第一吐出口から吐出された直後の前記シーラを取り囲むように前記ガスが吹き付けられることで前記第一流路を通過中の前記シーラ又は前記第一吐出口から吐出された直後の前記シーラを切断可能なように、前記第二吐出口の位置及び向きが設定されているシーラガン用ノズル。
【請求項2】
前記ガスがスリット状の形態で吹き付けられるように、前記第二吐出口の形状が設定されている請求項1に記載のシーラガン用ノズル。
【請求項3】
記カバーノズルは、前記第一吐出口が形成される前記ノズル本体の先端面を覆う先端カバー部を有し、
前記先端カバー部は、前記第一吐出口から吐出された前記シーラを通過可能な通過穴を有すると共に、前記ノズル本体の前記先端面との間に前記第二吐出口を形成する請求項1又は2に記載のシーラガン用ノズル。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のノズルと、このノズルが取り付けられる前記シーラのディスペンサと、モータとを備え、前記ディスペンサは回転容積式のねじポンプで構成され、このねじポンプのロータが前記モータにより制御可能とされるシーラガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラガン用ノズル、及びこのノズルを備えたシーラガンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体部品を構成するドアパネル、フードパネル等のように、インナパネルとアウタパネルとから構成されるパネル部材においては、インナパネルとアウタパネルとを組み合わせた状態で、アウタパネルの端部をインナパネル側に折り曲げることにより、両パネルの組み付けを図っている。
【0003】
上述のようにパネル同士の組付けを図る場合、両パネルの接触部には、防水性等の諸特性を改善する目的でシーラが塗布されることがある。ここで、生産性向上のためにはシーラ塗布作業の自動化を図ることが重要であり、自動化のためには、正確な位置に適量のシーラを塗布することが必要となる。また、適量のシーラを塗布するためには、シーラガンなどのシーラ塗布装置に対して優れた流量調整機能だけでなく高い液切れ性が求められる。
【0004】
ここで、特許文献1の図4には、基材被塗物である基材56の表面にシーラ等の液状体をノズル60から吐出して、当該液状体を線状に塗布することのできる吐出ガン51の一例が開示されている。この吐出ガン51は所定の弁機構を有するもので、制御装置54からの制御信号を受けて電磁弁53が開状態になると、エア供給源55からの操作エアを吐出ガン51のアクチュエータ部51aに供給する。これにより吐出ガン51のピストン57が、ばね58の押し圧力に抗して上方へ押し上げられて、吐出ガン51の弁機構を構成するニードル59(弁体)がピストン57と共に上方へ引き上げられ、弁機構は開いた状態となる。よって、この状態で液状体供給装置52から液状体を吐出ガン51の内部に供給することで、吐出ガン51のノズル60から液状体が吐出され、基材56の表面に液状体が線状に塗布される。一方、塗布を終了する場合、制御装置54からの制御信号により電磁弁53を閉状態に切り替えて、吐出ガン51のピストン57を押し上げていたエア圧を大気開放により下げる。これによりピストン57は、ばね58の力で押し下げられ、弁体となるニードル59がノズル60の入り口に押し当てられて、弁機構が閉じた状態となる。以上のメカニズムにより、吐出ガン51はノズル60からの液状体の吐出動作を停止する(特許文献1の段落0004~0006を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-197571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような弁機構を有するシーラガンであれば、弁機構を構成する弁体によりシーラの吐出口(につながる流路)が物理的に閉塞されるため、例えば弁体による閉塞部位をより吐出口に近い位置に設定することで液切れ性を改善することが可能と思われる。しかしながら、特許文献1に記載の如き構造をベースにした場合、ノズルの内部に弁体を収容可能なスペースが必要となると共に、弁体をはじめ弁体を駆動する複数のアクチュエータが必要となり、ノズル及びシーラガンの複雑化及び大型化を招く。これらノズル等の複雑化及び大型化は、ロボットによるシーラ塗布作業の自由度を低下させるだけでなく、設備コストの高騰にもつながるため、回避すべき問題である。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、シーラガン用ノズルの大型化を避けつつシーラの液切れ性を高めることで、高精度な定量塗布を低コストに実現可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決は、本発明に係るシーラガン用ノズルによって達成される。すなわち、このシーラガン用ノズルは、ワークにシーラを塗布可能なシーラガンの先端に取り付けられるシーラガン用ノズルであって、ノズル本体と、ノズル本体の内部に設けられ、シーラが流通する第一流路と、ノズル本体の先端に設けられ、第一流路を通過したシーラが吐出される第一吐出口と、ノズル本体の外部に設けられ、ガスが流通する第二流路と、第二流路を通過したガスが吐出される第二吐出口とを備え、ガスの吐出により第一流路を通過中のシーラ又は第一吐出口から吐出された直後のシーラを切断可能なように、第二吐出口の位置及び向きが設定されている点をもって特徴付けられる。
【0009】
このように、本発明に係るシーラガン用ノズルでは、シーラの流路(第一流路)を有するノズル本体、すなわち従来構造のノズル部分の外部にガスの流路(第二流路)を設けて、当該ガスの吐出により第一流路を通過中のシーラ又は第一吐出口から吐出された直後のシーラを切断可能なように、第二吐出口の位置及び向きを設定した。この構成によれば、ガスの吐出によりシーラをその吐出口近傍の所定位置で即時に切断することができるので、吐出口からのシーラの液ダレを効果的に抑制又は防止することができる。従って、このノズルを備えたシーラガンによれば、高精度なシーラの定量塗布を実施することが可能となる。また、ガスの流路及び吐出口をノズル本体の外部に設けることで、弁体をノズル本体の内部に収容して弁機構によりシーラの吐出口を閉塞する構造を採る場合と比べて、ノズルをコンパクトに製作できる。また、その構造も弁機構に比べて簡素化できるため、製作コストも低く抑えることができる。
【0010】
また、本発明に係るシーラガン用ノズルにおいて、シーラの吐出方向に直交する向きにガスが吹き付けられるように、第二吐出口の向きが設定されていてもよい。
【0011】
上述のように、ガスの吹き付け方向となる第二吐出口の向きを設定することによって、シーラに対して切断し易い角度でガスを吹き付けることができる。よって、シーラを確実に切断して、吐出口からのシーラの液ダレをより効果的に抑制又は防止することが可能となる。また、切断し易い向きにガスの吹き付け方向を設定することで、必要最小限の量のガスでシーラを切断できる。そのため、ガスの吹き付けによるシーラの飛散を最小限に抑えることができる。
【0012】
また、本発明に係るシーラガン用ノズルにおいて、ガスがスリット状の形態で吹き付けられるように、第二吐出口の形状が設定されていてもよい。
【0013】
上述のように第二吐出口を構成することによって、ガスをスリット状の形態でシーラに向けて吹き付けることができる。これにより、シーラをより切断し易くなるので、シーラをより確実に切断して、吐出口からのシーラの液ダレをさらに効果的に抑制又は防止することが可能となる。また、シーラを切断し易い形状にガスの吐出口を構成することによっても、必要最小限の量のガスでシーラを切断できる。そのため、このことによってもガスの吹き付けによるシーラの飛散を最小限に抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係るシーラガン用ノズルにおいて、ノズル本体の外側に配設され、ノズル本体の外周面との間にガスの第二流路を形成するカバーノズルをさらに備え、カバーノズルは、第一吐出口が形成されるノズル本体の先端面を覆う先端カバー部を有し、先端カバー部は、第一吐出口から吐出されたシーラを通過可能な通過穴を有すると共に、ノズル本体の先端面との間に第二吐出口を形成してもよい。
【0015】
上記構成のシーラガン用ノズルによれば、ノズル本体にカバーノズルを被せるだけで、ノズル本体とカバーノズルとの間にガスの流路(第二流路)及び吐出路(第二吐出路)を低コストに形成することができる。また、カバーノズルであれば、ノズル本体の形状及びサイズを大きく変えずに済むので、ノズル全体が大型化する心配もない。よって、シーラガンの動作自由度を低下させることなくシーラの液切り性を高めることができる。
【0016】
また、以上の説明に係るシーラガン用ノズルは、上述の通り、ノズルの大型化を避けつつシーラの液切れ性を高めることで、高精度な定量塗布を低コストに実現可能とするものであるから、例えばこのノズルと、当該ノズルが取り付けられるシーラのディスペンサとを備えるシーラガンとして好適に提供することが可能である。また、この際、ディスペンサを回転容積式のねじポンプで構成し、このねじポンプのロータをモータにより制御可能に構成することによって、上記ねじポンプが有する極めて優れた定量塗布性能を発揮しつつも、ディスペンサの駆動停止時におけるシーラの液ダレ特性を本発明に係るノズルの作用により改善して、塗布速度及び塗布品質の双方に優れたシーラ塗布作業の実現が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るシーラガン用ノズル、及びこのノズルを備えたシーラガンによれば、シーラガン用ノズルの大型化を避けつつシーラの液切れ性を高めることで、高精度な定量塗布を低コストに実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るシーラ吐出装置の全体構成を概念的に示す側面図である。
図2図1に示すシーラガンの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るシーラガン用ノズルとこのノズルを備えたシーラガン、及びこのシーラガンを備えたシーラ吐出装置の内容を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、シーラ吐出装置1は、図示しないワークに対してシーラSを塗布可能なシーラガン2と、シーラガン2にシーラSを供給可能なシーラ供給装置3と、シーラガン2の駆動を制御可能な制御装置4と、シーラガン2から吐出されるシーラSに向けてエアAを供給するためのエア供給装置5とを備える。ここで、シーラガン2が図示しない塗布ロボットの先端に取り付けられてワークに対するシーラSの塗布動作を行う場合、制御装置4は、ロボット制御盤で構成される。これにより、シーラガン2によるシーラSの吐出動作と塗布ロボットによるシーラガン2の移動とが同期した状態で制御可能となる。また、制御装置4とエア供給装置5とは電気的に接続されており、後述するエアAの吹き付け動作を、必要に応じてシーラガン2の移動及びシーラSの吐出動作と同期した状態で制御可能としている。もちろん、ロボット制御盤以外の制御設備で制御装置4を構成してもかまわない。
【0021】
シーラ供給装置3は、シーラSを貯留するシーラ貯留部6と、例えば所定の作動流体(例えば気体など)で駆動してシーラ貯留部6からシーラSを圧送するシーラポンプ7と、シーラポンプ7とシーラガン2との間に配設されるバルブ装置8とを有する。この場合、シーラポンプ7には、エアホースを介して工場の圧縮エア供給源が接続されると共に、バルブ装置8は制御装置4に電気的に接続される。そして、シーラポンプ7に圧縮エア供給源から圧縮エアが供給されて、シーラポンプ7はシーラ貯留部6からシーラSをシーラガン2に向けて圧送し、バルブ装置8の開閉状態が制御装置4により制御される。すなわち、シーラSの吐出動作を開始するときには、制御装置4によりバルブ装置8を開状態としてシーラポンプ7からシーラガン2へのシーラSの供給を可能な状態とする。そして、シーラSの吐出動作を停止するときには、制御装置4によりバルブ装置8を閉状態としてシーラポンプ7からシーラガン2へのシーラSの供給を停止した状態とする。
【0022】
シーラガン2は、シーラSのディスペンサ9と、ディスペンサ9から供給されたシーラSを吐出可能なノズル10と、ディスペンサ9の駆動装置としてのモータ11とを有する。ディスペンサ9には、シーラSの導入口(図示は省略)が設けられており、この導入口とバルブ装置8とを接続することで、バルブ装置8を介してシーラポンプ7から圧送されたシーラSがディスペンサ9内に導入可能とされる。また、モータ11に制御装置4が電気的に接続されると共に、後述するノズル10のエア導入口21(図2を参照)にエア供給装置5がエアホース12を介して接続される。
【0023】
ディスペンサ9は、その長手方向一端に取り付けたノズル10に向けて所定量のシーラSを供給可能に構成される。ここで、ディスペンサ9には任意の構成が適用可能であり、例えば無脈動及び定量圧送の点で優位なディスペンサとして、回転容積式のねじポンプ(より好ましくは一軸偏心ねじポンプ)が適用可能である。この場合、モータ11の回転数を制御装置4により制御することで、ディスペンサ9によるシーラSの供給速度を高精度に制御可能となり、モータ11の回転時間(連続駆動時間)を制御装置4により制御することで、ディスペンサ9によるシーラSの供給量を高精度に制御可能となる。
【0024】
ノズル10は、図2に示すように、ノズル本体13と、シーラSの流路である第一流路14と、シーラSの吐出口である第一吐出口15と、エアAの流路である第二流路16と、エアAの吐出口である第二吐出口17とを備える。ここで、第二流路16を流通するエアAが本発明に係るガスに相当する。
【0025】
ノズル本体13は、本実施形態では筒状の先細り形状をなしており、先細り側の端部(ディスペンサ9と反対側の端部)には第一吐出口15が設けられている。ノズル本体13の内部には第一流路14が設けられており、その長手方向一端側(図2の上側)がディスペンサ9と連通し、長手方向他端側(図2の下側)が第一吐出口15と連通している。
【0026】
第二流路16は、ノズル本体13の外部に設けられる。第二吐出口17は、第二流路16を通過するエアAの下流端、本実施形態では、ノズル本体13の先端に設けられた第一吐出口15の近傍に設けられている。ここで、第二吐出口17は、エアAの吐出により第一吐出口15から吐出された直後のシーラSを切断可能なように、その位置及び向きが設定される。
【0027】
ノズル10は、本実施形態では、ノズル本体13の外側に配設され、ノズル本体13の外周面との間に第二流路16を形成するカバーノズル18をさらに備える。このカバーノズル18は、ノズル本体13の先端面13aを覆う先端カバー部19を有する。この先端カバー部19は、第一吐出口15から吐出されたシーラSを通過可能な通過穴20を有すると共に、ノズル本体13の先端面13aとの間に第二吐出口17を形成する。
【0028】
また、カバーノズル18の外周には、半径方向に開口し第二流路16と連通するエア導入口21が設けられており、このエア導入口21にエアホース12が取り付けられることで、エア供給装置5から第二流路16に向けてエアAを供給可能としている。
【0029】
この場合、第二流路16は、ノズル本体13と同様、筒状の先細り形状をなし、その先細り側の端部で第二吐出口17と連通する。また、第二吐出口17は、全体としてスリット状で、かつ環状をなしている。そして、この第二吐出口17は、シーラSの吐出方向、すなわち第一吐出口15の向きに直交する向きにエアAが吹き付けられるように、その向きが設定されている。本実施形態では、ノズル本体13(ノズル10)の半径方向に延びるように第二吐出口17が形成されている。なお、図2に示すように、スリット状の第二吐出口17をノズル本体13とカバーノズル18との間に設ける場合、第二吐出口17の隙間(図2でいえばノズル10の中心線方向の寸法)は、少なくとも第二流路16の流路幅(流れ方向に直交する向きの隙間の寸法)よりも小さいことが望ましい。
【0030】
次に、上記構成のノズル10を用いたシーラSの塗布動作の説明を行う。
【0031】
まず、図示しない塗布ロボットによりシーラガン2を所定位置に移動させた状態で、制御装置4は、シーラガン2とシーラポンプ7との間に配設されるバルブ装置8に指令を送り、バルブ装置8を開状態とする(図1を参照)。これにより、シーラポンプ7からシーラSがディスペンサ9内に供給される。また、制御装置4は、シーラガン2のモータ11に指令を送り、モータ11を回転駆動させることで、モータ11の回転軸に連結されたディスペンサ9のロータが回転し、ディスペンサ9内に供給されたシーラSをノズル10側に送り出す。以上の動作により、シーラSがノズル10内の第一流路14を通過して第一吐出口15からノズル10外部へと吐出される(図2を参照)。この際、制御装置4は、エア供給装置5を停止状態に制御しているため、エア導入口21を介して第二流路16内にエアAが流入することはない。そのため、シーラSは、エアAの吹き付けを受けることなく第一吐出口15、そして第一吐出口15の前方に位置するカバーノズル18の通過穴20を通過して、ノズル10外に吐出される。これによりノズル10の前方に位置するワーク(図示は省略)に向けてシーラSが塗布される。このシーラSの吐出動作は、モータ11を回転駆動している間、継続して実施される。また、モータ11の回転速度及び回転時間を制御することにより、ワークへのシーラSの塗布速度及び塗布量がそれぞれ所定の値に制御され得る。
【0032】
そして、図示しないワークに対するシーラSの塗布動作を終了する場合、制御装置4はバルブ装置8を閉状態にすると共に、モータ11の回転を停止(又は逆回転)させる。これにより、シーラSのノズル10への供給は可及的即時に停止される。また、これらの動作と同期して、制御装置4は、エア供給装置5を駆動させて、エアAをノズル10のエア導入口21に向けて供給する。これにより、エアAはノズル10の第二流路16に流入し、その下流端に位置する第二吐出口17から吐出される。この際、第二吐出口17の向き及び位置は、エアAの吹き付けにより第一吐出口15から吐出された直後のシーラSを切断可能な向き及び位置に設定されているため、第二吐出口17から吐出されたエアAは、第一吐出口15から吐出された直後のシーラSを切断する。これにより、シーラSのこれ以降の滴下(液ダレ)が防止されるので、ワークの所定位置に所定量のシーラSが精度よく塗布される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るシーラガン用のノズル10では、シーラSの流路となる第一流路14を有するノズル本体13の外部にエアAの流路となる第二流路16を設けて、このエアAの吐出により第一吐出口15から吐出された直後のシーラSを切断可能なように、第二吐出口17の位置及び向きを設定した(図2を参照)。この構成のノズル10を備えたシーラガン2によれば、エアAの吐出によりシーラSを第一吐出口15近傍の所定位置で即時に切断することができるので、第一吐出口15からのシーラSの液ダレを効果的に抑制又は防止することができる。従って、このノズル10を備えたシーラガン2によれば、高精度なシーラSの定量塗布を実施することが可能となる。また、エアAの流路(第二流路16)及び吐出口(第二吐出口17)をノズル本体13の外部に設けることで、ノズル10をコンパクトに製作できる。また、その構造も弁機構に比べて簡素化できるため、製作コストも低く抑えることができる。
【0034】
また、本実施形態では、上述した構成のノズル10に、ディスペンサ9として回転容積式のねじポンプを適用し、かつこのねじポンプのロータをモータ11により回転制御可能としたシーラガン2を用いた。これにより、ディスペンサ9によるシーラSの供給速度及び供給量、すなわちワークへのシーラSの塗布速度及び塗布量を高精度に制御することができる。ここで、本発明に係るシーラガン用のノズル10によれば、ディスペンサ9によるシーラSの吐出動作を停止するのとタイミングを合わせてエアAの吹き付けにより吐出直後のシーラSを吐出直後の位置で切断することができる。よって、吐出動作を停止した直後の液ダレを効果的に抑制又は防止することができる。以上より、本実施形態に係るシーラガン2によれば、極めて優れた定量塗布を実施することが可能となる。ひいては、ステッチ塗布など、塗布速度と塗布品質を両立し得る塗布制御が要求される塗布態様にも容易に対応することが可能となる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係るシーラガン用ノズルとこのノズルを備えたシーラガン、及びこのシーラガンを備えたシーラ吐出装置は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、第二吐出口17がスリット状をなし、かつ環状をなす場合を例示したが、もちろん第二吐出口17はこれ以外の形態をとることも可能である。例えば図示は省略するが、スリット状をなす第二吐出口を、円周方向で断続的に配設した構成や、穴状をなす複数の第二吐出口を円周方向に並べて配設した構成など、第一吐出口15から吐出されるシーラSを切断可能な限りにおいて、任意の構成を採ることが可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、シーラSの吐出方向に直交するように第二吐出口17の向きを設定した場合を例示したが、もちろんこれ以外の向きに第二吐出口17を設定することも可能である。要は、第一吐出口15から吐出されるシーラSを切断可能な限りにおいて、例えば図示は省略するが、シーラSの吐出方向に対して鋭角で交差するように第二吐出口17の向きを設定してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、第一吐出口15から吐出された直後のシーラSを切断可能な位置に第二吐出口17を配設した場合を例示したが、もちろんこれ以外の位置に第二吐出口17を配設することも可能である。例えば図示は省略するが、エアAの吐出により第一流路14を通過中のシーラSを切断可能なように、第二吐出口17の位置及び向きを設定してもよい。
【0039】
また、以上の説明では、エアAをシーラSに吹き付けてシーラSを切断する場合を説明したが、もちろん切断用のガスはエアAには限られない。コスト面、安全面等で問題ないのであれば、窒素ガスなど他の公知のガスをシーラSの切断用に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 シーラ吐出装置
2 シーラガン
3 シーラ供給装置
4 制御装置
5 エア供給装置
6 シーラ貯留部
7 シーラポンプ
8 バルブ装置
9 ディスペンサ
10 ノズル
11 モータ
12 エアホース
13 ノズル本体
13a 先端面
14 第一流路
15 第一吐出口
16 第二流路
17 第二吐出口
18 カバーノズル
19 先端カバー部
20 通過穴
21 エア導入口
A エア
S シーラ
図1
図2