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特許7398188仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/02 20120101AFI20231207BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20231207BHJP
【FI】
G06Q20/02
G06Q20/06 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018164949
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020038467
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】509151946
【氏名又は名称】坪井 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】坪井 健
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】緑川 隆
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045300(JP,A)
【文献】特開2017-131325(JP,A)
【文献】特開2003-016305(JP,A)
【文献】特開2002-083128(JP,A)
【文献】特開2010-257029(JP,A)
【文献】特開2003-085371(JP,A)
【文献】特表2016-511873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想通貨を含むいずれかの通貨により一定期間ごとに料金を支払う契約であって不払いの場合の措置が取り決められている定期払いの契約を顧客と受領者とが交わした場合において、当該料金が支払われなかった場合の補償金を補償業者が受領者に支払う際に利用される保証・補償システムであって、
記憶部と、
支払実績記録手段と、
事故情報出力手段と、
補償情報出力手段と
を備えており、
記憶部には、
受領者との間で定期払い契約を結んでいる各顧客の情報を記録した顧客情報ファイルと、
各支払期日における各顧客による支払実績を記録した支払実績情報ファイルと
が記憶されており、
顧客情報ファイルに記録された各顧客の情報には、定期払い料金とは別に顧客が料金を支払って契約する未払いオプションの契約有無の情報が含まれており、
未払いオプションの契約は、定期払い契約において義務とはなっておらず、ある支払期日に支払いをしなかった場合に未払いオプションの契約がない場合には前記措置が直ちに講じられるのに対して未払いオプションの契約がある場合には直ちには前記措置が講じられないことを前提に顧客が未払いオプションの契約を望んだ場合に未払いオプションの契約有りを顧客情報ファイルに記録する未払いオプション契約記録手段が設けられており、
支払実績記録手段は、各支払期日における各顧客による支払実績を支払実績情報ファイルに記録する手段であり、
事故情報出力手段は、ある顧客がある支払期日に支払いをせずにその旨が支払実績情報ファイルに記録された際、当該支払期日よりも一つ前の支払期日における支払実績を記録した支払実績情報ファイルに照会し、当該一つ前の支払期日においても支払いが無い旨が記録されている場合、当該顧客についての未払いオプションの契約の有無を顧客情報ファイルに照会し、未払いオプション契約有りの場合に事故情報を出力する手段であり、
補償情報出力手段は、事故情報出力手段が事故情報を出力した場合に当該顧客について補償情報を出力する手段であり、
補償情報は、当該顧客が支払をしなかった当該一つ前の支払期日において支払われるべき料金の全部又は一部を補償業者が受領者に対して支払う旨の情報であることを特徴とする、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【請求項2】
前記受領者が運営するサーバである受領者サーバが設けられており、
前記支払実績記録手段は、受領者サーバと、受領者サーバに実装された支払実績記録プログラムとによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【請求項3】
前記顧客情報ファイルを記憶した記憶部は、前記受領者サーバに設けられていることを特徴とする請求項2記載の、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【請求項4】
前記補償業者が運営するサーバである補償業者サーバが設けられており、
前記支払実績記録手段は、補償業者サーバと、補償業者サーバに実装された支払実績記録プログラムとによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【請求項5】
前記顧客情報ファイルを記憶した記憶部は、前記補償業者サーバに設けられていることを特徴とする請求項4記載の、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【請求項6】
前記記憶部又は他の記憶部には、個人を特定する情報と、当該個人について過去の事故情報の出力の情報とを記録した事故履歴ファイルが記憶されており、
前記受領者が運営するサーバである受領者サーバが設けられており、
受領者サーバは、前記未払いオプションの料金としての補償料を表示して顧客の承諾を得るためのページを表示するサーバであり、
前記未払いオプションの料金としての補償料は、当該事故履歴ファイルに記録された内容に応じて異なる料金とされており、補償料について顧客の承諾を得るためのページは、当該事故履歴ファイルに記録された内容に応じて異なる料金が表示されるページであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【請求項7】
前記未払いオプションの料金としての補償料は、前記支払実績情報ファイルから取得された支払実績回数、又は前記定期払い契約に全支払い回数が含まれている場合に前記支払実績情報ファイルの内容に基づいて取得された残回数により異なる料金とされていて、前記顧客情報ファイルには、当該異なる料金の値が記録されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の保証・補償システム。
【請求項8】
前記定期払い料金は、商品又はサービスの提供の対価として支払われる料金であって、商品又はサービスの提供の対価として前記料金を支払う前記定期払いの契約をした旨の情報が記録されている会員情報ファイルが前記記憶部に記憶されており、
前記事故情報出力手段が事故情報を出力した場合、当該商品又はサービスの提供を停止するのに利用される手段である提供停止支援手段が設けられており、
提供停止支援手段は、会員情報ファイルを書き換えることにより商品又はサービスの提供を停止する手段であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、各種会員サービスにおける月会費や、クレジットカードのリボ払いなどのような定期払い料金について、不払いが発生した場合に補償を実現するための技術構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当事者間で定期的に料金を支払う旨の契約をした上でサービスや商品の提供がされることは、取引の形態として日常的なものである。例えば会員制のサービスを提供する事業者とユーザー(会員)との間では、月額料金が定められ、これを支払うことで会員向けのサービスが提供されている。商品販売でも、毎月定額の料金を支払うことで定期的に商品が届けられる提供方式が採られている場合が多い。また、信販の分野でも、クレジットカードによる支払いやリース料、各種返済支払い等、定期払いによる決済が行われている。さらに、不動産の賃貸やある種の権利料の支払い等についても、定期払いの手法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-220684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような定期払いの契約がされている場合において、顧客(この明細書において、定期払いの料金を支払う者を広く指す)は、決まった期日に料金を支払うことが求められるが、何からの事情で支払いがされない場合がある。何からの事情とは、単純に忘れてしまった場合もあるし、銀行口座からの自動引き落としの場合に残高不足に気がつかなかった場合もある。
【0005】
いずれにしても、ある期日に支払いがされない場合、受領者(この明細書において、定期払い契約において料金を受け取る側の者を広く指す)は、何らかの措置を取る。定期払い契約が会員サービスの提供に係るものである場合、受領者は会員サービス提供の事業主体ということになるが、支払いがされない場合、会員サービスの提供停止という措置を取る。信販の分野では、事故者リスト(いわゆるブラックリスト)に入れたり、契約に応じて遅延損害金の請求をしたりする。
【0006】
このような措置は、すぐさま取られる場合もあるが、一定の猶予期間が設けられる場合も多い。例えば各種会員サービスの場合、すぐさまサービス停止にはせず、例えば次回の期日まで待ち、それでも支払われない場合(2回分の支払いがされない場合)、サービス停止の措置を取る場合もある。
このような猶予措置を取る場合、猶予期間については、サービス等の提供は続けられる場合が多い。そして、猶予期間内に支払いがされなかった場合にサービス等の提供は中止される。
【0007】
この場合に問題となるのが、猶予期間内のサービス等の提供についての対価が受領者に入って来ない場合が多いということである。猶予期間内に支払いがされないと最終的に解約となり、以後のサービス等の提供はされないが、猶予期間内では無料にてサービス等の提供がされることなる。その後に支払いがされれば、対価が回収されたことになるが、されない場合、受領者の損失となる。
【0008】
このような不払いによる損失のリスクに備えるため、受領者がある種の保険に加入する場合がある。保険会社が不払い発生のリスクを算定し、それに基づいて受領者が保険会社に保険料を支払う。不払いが実際に発生した場合、定められた保険金を保険会社が受領者に対して支払う。
しかしながら、不払いをしたのは顧客であり、それに対する補償のために受領者が保険料を支払うのは合理的ではない。本来ならば、顧客が支払うべきである。
本願の発明は、このような検討に基づいて為されたものであり、定期払い料金の補償を顧客の側の負担で行われる合理的なシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この出願の請求項1記載の発明は、仮想通貨を含むいずれかの通貨により一定期間ごとに料金を支払う契約であって不払いの場合の措置が取り決められている定期払いの契約を顧客と受領者とが交わした場合において、当該料金が支払われなかった場合の補償金を補償業者が受領者に支払う際に利用される保証・補償システムであって、
記憶部と、
支払実績記録手段と、
事故情報出力手段と、
補償情報出力手段と
を備えており、
記憶部には、
受領者との間で定期払い契約を結んでいる各顧客の情報を記録した顧客情報ファイルと、
各支払期日における各顧客による支払実績を記録した支払実績情報ファイルと
が記憶されており、
顧客情報ファイルに記録された各顧客の情報には、定期払い料金とは別に顧客が料金を支払って契約する未払いオプションの契約有無の情報が含まれており、
未払いオプションの契約は、定期払い契約において義務とはなっておらず、ある支払期日に支払いをしなかった場合に未払いオプションの契約がない場合には前記措置が直ちに講じられるのに対して未払いオプションの契約がある場合には直ちには前記措置が講じられないことを前提に顧客が未払いオプションの契約を望んだ場合に未払いオプションの契約有りを顧客情報ファイルに記録する未払いオプション契約記録手段が設けられており、
支払実績記録手段は、各支払期日における各顧客による支払実績を支払実績情報ファイルに記録する手段であり、
事故情報出力手段は、ある顧客がある支払期日に支払いをせずにその旨が支払実績情報ファイルに記録された際、当該支払期日よりも一つ前の支払期日における支払実績を記録した支払実績情報ファイルに照会し、当該一つ前の支払期日においても支払いが無い旨が記録されている場合、当該顧客についての未払いオプションの契約の有無を顧客情報ファイルに照会し、未払いオプション契約有りの場合に事故情報を出力する手段であり、
補償情報出力手段は、事故情報出力手段が事故情報を出力した場合に当該顧客について補償情報を出力する手段であり、
補償情報は、当該顧客が支払をしなかった当該一つ前の支払期日において支払われるべき料金の全部又は一部を補償業者が受領者に対して支払う旨の情報であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記受領者が運営するサーバである受領者サーバが設けられており、
前記支払実績記録手段は、受領者サーバと、受領者サーバに実装された支払実績記録プログラムとによって構成されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記顧客情報ファイルを記憶した記憶部は、前記受領者サーバに設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記補償業者が運営するサーバである補償業者サーバが設けられており、
前記支払実績記録手段は、補償業者サーバと、補償業者サーバに実装された支払実績記録プログラムとによって構成されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項4の構成において、前記顧客情報ファイルを記憶した記憶部は、前記補償業者サーバに設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5いずれかの構成において、前記記憶部又は他の記憶部には、個人を特定する情報と、当該個人について過去の事故情報の出力の情報とを記録した事故履歴ファイルが記憶されており、
前記受領者が運営するサーバである受領者サーバが設けられており、
受領者サーバは、前記未払いオプションの料金としての補償料を表示して顧客の承諾を得るためのページを表示するサーバであり、
前記未払いオプションの料金としての補償料は、当該事故履歴ファイルに記録された内容に応じて異なる料金とされており、補償料について顧客の承諾を得るためのページは、当該事故履歴ファイルに記録された内容に応じて異なる料金が表示されるページである
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項1乃至6いずれかの構成において、前記未払いオプションの料金は、前記支払実績情報ファイルから取得された支払実績回数、又は前記定期払い契約に全支払い回数が含まれている場合に前記支払実績情報ファイルの内容に基づいて取得された残回数により異なる料金とされていて、前記顧客情報ファイルには、当該異なる料金の値が記録されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求項1乃至7いずれかの構成において、前記定期払い料金は、商品又はサービスの提供の対価として支払われる料金であって、商品又はサービスの提供の対価として前記料金を支払う前記定期払いの契約をした旨の情報が記録されている会員情報ファイルが前記記憶部に記憶されており、
前記事故情報出力手段が事故情報を出力した場合、当該商品又はサービスの提供を停止するのに利用される手段である提供停止支援手段が設けられており、
提供停止支援手段は、会員情報ファイルを書き換えることにより商品又はサービスの提供を停止する手段であるという構成を有する。
【発明の効果】
【0010】
以下に説明する通り、この出願の請求項1記載の発明によれば、不払いに対して補償業者から受領者に補償金が支払われるので、受領者は不払いについて顧客を優遇する契約を顧客との間で結ぶことができる。このため、顧客には、何らかの理由で不払いが発生した場合でも、不利な扱いがされないという安心感が生じる。
その一方、補償についての費用は顧客が負担するので、受領者においても特に損失はない。逆に、そのような優遇措置を用意しているということで、顧客に対する印象が良くなり、売り上げ増加にもつながる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、定期払い料金の支払いについて顧客が違和感を持つことがなく、また徴収代行費用のようなコストが受領者において発生する問題がないという効果が得られる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、個人情報の記録を受領者サーバ上の記憶部のみにとどめることができるので、個人情報の管理の煩雑さが増すことが避けられる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、各支払期日における支払い状況を補償業者が直接モニタする形になるので、受領者による不正を容易に防止することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、顧客情報ファイルが補償業者サーバの記憶部に記憶されるので、補償金支払いの対象であるか否かをより正確に判断することができる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、過去の事故情報の出力に応じて補償料の額が異なるものとされるので、事故情報出力の無い優良な顧客に対して安価な補償料としつつ、事故情報の出力がされないように各顧客に間接的に働きかけることもでき、補償にかかるコストが全体として合理的になり且つコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施形態に係る保証・補償システムの概略図である。
図2図1の保証・補償システムのより具体的な態様を示した概略図である。
図3】受領者サーバによって提供される会員登録ページの一例を示した概略図である。
図4】会員情報ファイルの構造の一例について示した概略図である。
図5】支払実績情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図6】事故情報出力プログラムの概略を示したフローチャートである。
図7】保証・補償システムの動作について概略的に示した図である。
図8】第二の実施形態の保証・補償システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。本願発明は、仮想通貨を含むいずれかの通貨による定期払い料金の保証・補償システムであるが、以下、保証・補償システムと略称する。
図1は、第一の実施形態に係る保証・補償システムの概略図である。図1に示す保証・補償システムは、記憶部1と、支払実績記録手段2と、事故情報出力手段3と、補償情報出力手段4とを備えている。記憶部1には、受領者との間で定期払い契約を結んでいる各顧客の情報を記録した顧客情報ファイル11と、各支払期日における各顧客による支払実績を記録した支払実績情報ファイル12とが記憶されている。各ファイル11,12は、データベースファイルである。
【0013】
尚、実施形態のシステムは、不払いの際に補償金が支払われる際に使用される際に使用されるという観点で「補償システム」であり、そのような補償金が支払われることが保証されているという意味で「保証システム」である。そのような意味で、「保証・補償システム」と称している。
また、定期払い料金の支払いは、各種通貨のうちいずれかの通貨で行われる。いわゆる法定通貨による支払いが典型的であるが、仮想通貨によって支払われる場合もある。また、外貨による支払い(外貨建ての支払い)の場合もあり得る。これらいずれかの通貨による定期払いについて、実施形態の保証・補償システムは使用され得る。
【0014】
支払実績記録手段2は、各支払期日における各顧客による支払実績を支払実績情報ファイル12に記録する手段である。
事故情報出力手段3は、支払実績情報ファイル12の内容を照会して一定の条件が満たされる場合に事故情報を出力する手段である。
補償情報出力手段4は、事故情報出力手段3が事故情報を出力した場合、補償情報を出力する手段である。
【0015】
このような保証・補償システムのより具体的な態様について、図2を参照して説明する。図2は、図1の保証・補償システムのより具体的な態様を示した概略図である。
この実施形態では、定期払い料金の不払いに対して補償を行う業者(以下、補償業者という。)が運営する補償業者サーバ5と、受領者が運営するサーバである受領者サーバ6とによって構成されている。支払実績記録手段2及び事故情報出力手段3は、受領者サーバ6によって実現されている。また、補償情報出力手段4は、補償業者サーバ5によって実現されている。
【0016】
この実施形態では、補償業者サーバ5も受領者サーバ6もインターネット100上のサーバである。但し、これらのサーバ5,6がイントラネット上のサーバである態様もあり得る。
尚、上記サーバ5,6の他、この実施形態では、顧客も端末(以下、顧客端末)7を操作して受領者サーバ6等にアクセスすることが想定されている。
記憶部1は、この実施形態では、受領者サーバ6が備えるものとなっている。即ち、記憶部1は、受領者サーバ6上のハードディスクのようなストレージで構成されている。但し、記憶部1が受領者サーバ6とは別の場所に設けられたストレージ(ストレージサーバ)であっても良い。
【0017】
実施形態の保証・補償システムは、定期払い料金の不払いに対する補償であればどんな用途にも使用可能であるが、以下の説明では、インターネット上の会員サービスを一例として採り上げる。例えば、プロバイダ(インターネット接続)サービス、インターネット経由の有料動画受信サービス、月額等で使用料を支払う有料ソフトウェア提供サービス、有料のデータベースにアクセスさせて各種情報(企業情報、信用情報等)を提供するサービス等が該当し得る。
【0018】
受領者は、このような会員サービス提供のためのサーバも運営している。このサーバは受領者サーバ6とは別のサーバであっても良いし、兼用していても良い。以下の説明では、兼用されているとする。
受領者サーバ6は、会員サービス提供に際して必要となる会員登録のためのウェブページを提供するものとなっている。図3は、受領者サーバ6によって提供される会員登録ページの一例を示した概略図である。
【0019】
図3に示すように、会員登録ページには、個人情報入力欄や入力情報確認ボタンに加え、未払いオプション選択欄61が設けられている。未払いオプションとは、会費が一定期間未払いになった場合でも、会員サービスが停止しないようにするオプションである。未払いオプションを選択するには、一定の追加料金の支払いが必要になっている。追加料金については、入会時に割り増しして支払うパターンでも良いし、定期払いの料金に上乗せして支払うパターンでも良い。この実施形態では、入会時に割り増しして支払うパターンとなっている。
【0020】
尚、会員登録ページには、会員サービスについての説明文(テキスト)に加え、未払いオプションについての説明文も表示されるようになっている。
受領者サーバ6には、不図示の会員登録プログラムが実装されている。図3に示す会員登録ページにおいて、入力情報確認ボタンには入力情報確認ページがリンクしており、ここに設けられた送信ボタンは、会員登録プログラムの実行ボタンとなっている。
【0021】
受領サーバ6の記憶部1には、会員情報ファイル601が記憶されている。会員登録プログラムは、会員登録ページで入力された各情報を、会員情報ファイル601に記録するプログラムである。会員情報ファイル601は、この実施形態における顧客情報ファイル11に相当している。
図4は、会員情報ファイル601の構造の一例について示した概略図である。図4に示すように、会員情報ファイル601の各レコードは、会員ID、氏名等の個人情報に加え、未払いオプションのフィールドを有している。会員登録プログラムは、会員登録ページで入力された各情報を会員情報ファイル601に記録する。この際、未払いオプションのフィールドには、会員登録ページで選択された値(有りは真値、無しは偽値)が記録される。
【0022】
顧客は、図2に示す顧客端末(スマホ、PC等)7を操作して会員登録ページを表示し、各情報を入力して会員登録する。会員登録がされると、当該会員に対して会員サービスが提供される。この際、顧客は、定期払いを行う。定期払いは、会員サービス提供の契約内容による。銀行口座からの自動引き落としの場合もあるし、クレジットカードによる自動決済の場合もある。この他、振込用紙によるコンビニエンスストア等での支払いの場合もある。
【0023】
このような定期払いは、支払実績記録手段2によって記録される。支払実績記録手段2を構成するものとして、受領者サーバ6には支払実績記録プログラム62が実装されている。
図2に示すように、受領者は、受領者サーバ6に対して特別の権限でアクセスし得る受領者管理端末600を設けている。支払実績記録プログラム62は、他のサーバからのアクセスにより実行され得る他、受領者管理端末600からのアクセスにより実行される。例えば、受領者管理端末600は、会費が入金される銀行口座に連動して動作するサーバ(金融機関のサーバ)にアクセスし、入金情報を取得する。この情報には、入金者を特定できる情報(会員ID、氏名等)が含まれている。この情報を、受領者管理端末600から受領者サーバ6に送り、支払実績記録プログラム62を実行して支払実績情報ファイル12に記録する。
【0024】
図5は、支払実績情報ファイル12の構造の一例を示した概略図である。支払実績情報ファイル12は、各支払期日について作成される。例えば、支払期日をファイル名に使用することでどの支払期日の情報かが特定できるようにする。図5に示すように、支払実績情報ファイル12は、会員ID、氏名、支払い有無等のフィールドから成るレコードを各会員について設けたデータベースファイルとなっている。
【0025】
次に、事故情報出力手段3について説明する。
受領者サーバ6には、事故情報出力手段3を構成するものとして、事故情報出力プログラム63が実装されている。事故情報出力プログラム63は、支払実績情報ファイル12の内容に従って事故情報を出力するプログラムとなっている。
図6は、事故情報出力プログラム63の概略を示したフローチャートである。事故情報出力プログラム63は、受領者と顧客との契約における各支払期日に応じて自動的に実行される。例えば、支払期日が各月末日であれば、毎月1日に自動的に行われる。
【0026】
図6に示すように、事故情報出力プログラム63は、実行日より前の直近の支払期日についての支払実績情報ファイル(以下、直近実績ファイルという。)12と、それによりも一つ前の支払期日の支払実績情報ファイル(以下、前回実績ファイルという。)12を開く。さらに、支払実績記録プログラム63は、会員情報ファイル601も開いておく。また、支払実績記録プログラム63は、事故情報を記録するためのファイルとして事故情報ファイル602を生成する。
【0027】
次に、事故情報出力プログラム63は、直近実績ファイル12の各レコード(各会員)について支払い有無のフィールドが偽値(支払い無し)のレコードを検索する。偽値のレコードがあったら、そのレコードの会員IDのフィールドの値を取得する。そして、前回実績ファイル12を当該会員IDで検索し、当該レコードの「支払い有無」のフィールドの値を取得する。そして、その値も偽値であれば、さらに会員情報ファイル601を当該会員IDで検索し、該当するレコードの未払いオプションのフィールドの値を取得する。この値が真値であれば、支払実績記録プログラム63は、当該会員IDを事故情報ファイル602に記録する。この際、支払期日を特定する期日IDを当該会員IDとともに記録する。
事故情報ファイル602の構造については図示を省略するが、会員IDや期日ID等が記録されたデータベースファイルである。直近実績ファイル12の各レコードについて上記処理を行うと、事故情報出力プログラム63は終了である。
【0028】
一方、補償情報出力手段4を構成するものとして、補償業者サーバ5に補償情報出力プログラム51が実装されている。補償情報出力プログラム51は、この実施形態では、事故情報ファイル602の内容に基づいて受領者に支払う補償金を算出して出力するコードを含んでいる。補償金の額については、受領者と補償業者との間で予め取り決められる。この額は、連続して二回不払いがあった場合に一人の会員につき補償業者が受領者に対して支払う額である。補償情報出力プログラム51は、事故情報ファイル602のレコードの件数に補償金の額(単価)を掛けて全体の補償金を算出する。
【0029】
また、受領者サーバ6には、補償業者に予め報告する未払いオプション有りの入会者の情報と補償業者に支払う補償料を取りまとめる取りまとめプログラムが実装されている。取りまとめプログラムも、定期的に自動実行されるプログラムであり、直近の例えば1ヶ月に新規に追加されたレコードについて未払いオプションが真値となっているレコードの会員ID及び氏名の各フィールドの値を取得し、新たに生成した別のデータベースファイル(以下、オプション申し込み情報ファイルという。)にコピーするプログラムである。そして、取りまとめプログラムは、未払いオプション有りの新規入会者の数に補償料の単価(一人の入会者が未払いオプションに対して支払った額)を掛け合わせて全体の補償料を算出する。
【0030】
次に、実施形態の保証・補償システムの全体の動作について、図7を参照して説明する。図7は、保証・補償システムの動作について概略的に示した図である。以下の説明は、定期払い料金補償方法の実施形態の説明でもある。
有料の会員サービスを提供している受領者は、補償業者との間で不払い補償についての契約を交わし、会員から徴収する補償料の取り決めをする。受領者は、会員登録ページにおいて、未払いオプション入力欄61を追加し、未払いオプションについての説明文も追加しておく。
【0031】
受領者からサービスの提供を受けようとする顧客は、会員登録ページで各情報を入力して申し込む。この際、未払いオプションについても希望する場合、未払いオプション有りの入力をして送信する。そして、受領者サーバ6の会員情報登録プログラムが、送信された各情報を会員情報ファイル601に記録する。受領者は、入会した顧客に対して会員サービスを提供する。
そして、取りまとめプログラムが定期的に実行され、未払いオプション有りの会員について会員ID等の情報が取りまとめられてオプション申し込み情報ファイルとして補償業者に送信され、集計された補償料が受領者から補償業者に支払われる。
【0032】
一方、受領者サーバ6上では、支払実績記録プログラム62が各支払期日に応じて実行される。支払実績記録プログラム62は、各会員IDについて支払実績を支払実績情報ファイル12に記録する。支払実績情報ファイル12は、各支払期日について作成され、直近の支払期日における支払実績を記録する。
そして、事故情報出力プログラム63も各支払期日に応じて実行される。事故情報出力プログラム63は、図7に示すように、直近の連続した2回の支払期日について料金が不払いであった会員IDについて、会員情報ファイル601を照会し、当該会員IDのレコードにおいて未払いオプションが真値である場合に当該会員IDを事故情報ファイル602に書き込む。このような処理を、全ての会員IDについて実行する。
事故情報出力プログラム63が実行された後、事故情報ファイル602は、補償業者サーバ5に送信される。この送信については、受領者サーバ6から補償業者サーバ5に自動的に行われる場合もあるし、受領者管理端末600にいったんダウンロードし、担当者が補償業者に送信(サーバへの送信、メール送信又は郵送等)する場合もある。
【0033】
補償業者は、送信された事故情報ファイル602の内容を確認し、補償金の支払いについて判断する。この判断は、補償情報出力プログラム51プログラムにより自動的に行われる場合もあるし、補償業者管理端末500上で担当者が行う場合もある。いずれにしても、送信された事故情報ファイル602にある会員IDが、入会時に未払いオプション有りとされたものであるかどうかを会員情報ファイル501を照会して判断する。そして、補償情報出力プログラム51は、送信された事故情報ファイル602にある会員IDのうち入会時に未払いオプション有りとされたものについて補償金の合計を算出し、補償情報の出力(補償金を支払う旨の出力)とする。補償情報の出力は、補償業者管理端末500から受領者管理端末600にメール等で送信され、その上で補償金が補償業者から受領者に支払われる。尚、事故情報ファイル602が受領者サーバ5から自動的に送信されたり、補償情報の出力が補償業者サーバ6から自動的に送信されたりする場合もある。
【0034】
尚、未払いオプションが偽値の場合、補償業者による補償の対象ではないので、ある支払期日において発生した不払いについては、受領者における通常の処理となる。この処理は、顧客と受領者との間の契約によるが、例えば不払いが発生した場合に直ちに会員サービスが停止する契約の場合、支払期日以降には会員サービスが提供されなくなる。
したがって、説明は省略したが、受領者サーバ6には、各支払期日において不払いがあった場合、その会員が未払いオプションを有りとしているかどうかを会員情報ファイル601から取得し、未払いオプションが無しの場合には直ちに会員サービスを停止するための出力をするプログラムが実装される場合が多い。
【0035】
また、未払いオプションが真値の場合、上記の通り1回分の支払いに係る料金が補償業者から受領者に支払われるが、その際の取り扱いも顧客と受領者との契約による。2回連続して不払いとなり、2回目の不払いについてはこの実施形態では補償業者による補償はないので、2回目の不払いの時点で会員サービス停止となる場合が多い。即ち、受領者サーバ6には、事故情報出力プログラム63が出力された場合、当該会員IDに係る会員に対して会員サービスを停止するためのプログラムが実装される場合が多い。
【0036】
このような実施形態の保証・補償システムによれば、連続した2回の支払期日において不払いとなった場合に最初の不払いに対して補償業者から受領者に補償金が支払われるので、受領者は、1回目の不払いについて会員サービスを停止しないような優遇契約を顧客との間で結ぶことができる。このため、顧客には、何らかの理由で不払いが発生した場合でも、1回目については会員サービスが停止されないという安心感が生じる。
その一方、補償についての費用は顧客が負担するので、受領者においても特に損失はない。逆に、そのような未払いオプションのサービスを用意しているということで、当該会員サービスの印象が良くなり、売り上げ増加にもつながる。
【0037】
このような不払いの補償サービスにおいて、受領者が補償業者に不正請求する場合も考えられるが、実施形態の保証・補償システムは、この点にも配慮している。
上記の通り、この実施形態では、未払いオプションの料金は受領者がいったん徴収し、それをとりまとめて受領者に支払うようになっている。この際、前述したように、未払いオプションを申し込んだ会員IDが補償業者も併せて通知されるようになっており、補償業者は補償金を支払う際、未払いオプションを申し込んだ会員であるかを確認できるようになっている。このため、受領者による不正請求がしにくい構成となっている。未払いオプションを申し込まなかった会員について2回目の不払いが生じた際、未払いオプションを申し込んだ会員だと偽って受領者が補償業者に補償を請求することがあり得るが、補償業者は未払いオプションを申し込んだか否かを会員IDで確認できるので、不正な請求について支払いを拒絶することができる。
【0038】
尚、未払いオプションを申し込んだ顧客が正常退会した際にその会員IDを借りることで不正な請求をすることもあり得る。つまり、未払いオプションを申し込んだ顧客が特に不払いはなく正常に退会した場合、その事実は補償業者には知らされないから、その正常退会した顧客の会員IDについて事故情報を出力し、2回連続して不払いであったと偽って受領者が補償業者に補償金を請求する不正があり得る。
この不正を防止するには、正常な退会も含めて全ての退会情報を受領者が補償業者に申告することが考えられるが、退会情報を偽って申告することも考えられるから、決め手にはならない。また、事故情報が出力された会員IDについて、補償業者が当該会員に問い合わせて確認することも考えられるが、この実施形態では、会員ID及び氏名のみが補償業者に通知され、他の個人情報は通知されないので、問い合わせることができない。
【0039】
次に、上記の点を考慮した第二の実施形態について説明する。図8は、第二の実施形態の保証・補償システムの概略図である。この実施形態では、上述した受領者による不正対策のため、補償業者が定期払い料金を徴収する仕組みを採用している。
具体的に説明すると、この実施形態では、支払実績記録プログラム52が補償業者サーバ5に実装されており、支払実績情報ファイル12は補償業者サーバ5の記憶部50に記憶されている。
【0040】
受領者のサービスを受けようとする顧客は、入会時の費用も含めて料金を補償業者の口座に支払うようになっている。支払実績記録プログラム52は、各会員による定期払い料金の支払実績を補償業者サーバ5上の支払実績情報ファイル12に記録する。
但し、支払実績情報ファイル12のコピーが受領者サーバ6に送信されるようになっており、同じ情報が受領者サーバ6経由で閲覧できるようになっている。具体的には、支払実績記録プログラム52は、補償業者サーバ5上の支払実績情報ファイル12に支払い情報を記録するとともに受領者サーバ6上の支払実績情報ファイル12にも記録するようプログラミングされる。もしくは、一定期間ごとに(例えば毎月)補償業者サーバ5上の支払実績情報ファイル12を受領者サーバ6上の支払実績情報ファイル12に上書きするプログラムが補償業者サーバ5又は受領者サーバ6に実装される。
【0041】
また、補償業者サーバ5には、各支払期日において支払われた料金をとりまとめて受領者に報告する徴収報告プログラム53が実装されている。徴収報告プログラム53は、各支払期日で支払われた会費(定期払い料金)の総額を計算して報告用ファイルに記録する。報告用ファイルは、徴収報告プログラム53により受領者サーバ6又は受領者管理端末600に送信されるか、又は補償業者における担当者がメール等で受領者管理端末600に送信する。そして、報告用ファイルに記録されている金額が、補償業者から受領者に送金される。
但し、入会時に未払いオプション有りとした顧客が支払った未払いオプションの料金(補償料)は、受領者に送られる金額から差し引かれる。未払いオプションの料金は、補償業者の収入となる。
【0042】
尚、会員登録については、受領者サーバ6上の会員登録プログラムにより行われ、会員情報は、受領者サーバ6上の会員情報ファイル601に記録される。但し、補償業者サーバ5の記憶部1にも、会員情報ファイル501が記録されている。補償業者サーバ5上の会員情報ファイル501も、受領者サーバ6上の会員情報ファイル601のミラーコピーである。会員登録プログラムは、受領者サーバ6上の会員情報ファイル601に加えて補償業者サーバ5上の会員情報ファイル501にも同様の情報を記録する。
【0043】
また、この実施形態では、事故情報出力プログラム54が補償業者サーバ5に実装されており、補償業者サーバ5の記憶部50には、事故情報ファイル502が記憶されている。事故情報ファイル502の構成自体は、第一の実施形態と同様である。即ち、連続して2回の支払期日において不払いであった場合、事故情報ファイル502に事故情報を出力する。
そして、補償業者サーバ5には同様に補償情報出力プログラム51が実装されており、事故情報ファイル502に記録された事故情報に応じて補償金が計算される。
【0044】
上記構成に係る第二の実施形態の保証・補償システムの動作について、概略的に説明する。
受領者から会員サービスの提供を受けようとする者は、受領者サーバ6が提供する会員登録ページで各情報を入力し、会員登録をする。これにより、受領者サーバ6上の会員情報ファイル601に個人情報が記録され、未払いオプションの有無についても記録される。そして、同じ情報が補償業者サーバ5上の会員情報ファイル501にも記録される。
【0045】
各会員は、各支払期日において補償業者の口座宛に料金の支払いをし、支払実績は、補償業者サーバ5上の支払実績記録プログラム52により支払実績情報ファイル12に記録される。この情報は、受領者サーバ6上の支払実績情報ファイル12にも記録される。
そして、連続して2回の不払いがあり、且つ当該会員が未払いオプション有りの会員であると、事故情報出力プログラム54が事故情報を事故情報ファイル502に記録する。そして、補償業者サーバ5上の補償情報出力プログラム51が定期的に実行され、事故情報ファイル502の記録内容に従って補償金が算出される。
【0046】
事故情報ファイル502の内容及び補償金の額は、補償業者サーバ5から送信されるか、又は補償業者管理用端末500にいったんダウンロードされてそこからメール等で受領者管理端末600に送信される。受領者内の担当者は、送信された事故情報ファイル502の内容を、受領者サーバ6上の各支払実績情報ファイル12及び会員情報ファイル601に基づいて事故情報を確認し、補償金を受領する。
尚、未払いオプション無しの会員について1回目の不払いが生じた場合の処理、及び2回目の不払いが生じた場合の処理については、第一の実施形態と同様である。受領者は、これらの不払いを受領者サーバ6上の各支払実績情報ファイル12で確認できるので、サービスの停止等の措置(顧客との契約に基づく措置)を取る。
【0047】
上記説明から解るように、この実施形態では、補償業者が会費徴収代行業者のような機能を果たしつつ、2回目の不払いが生じた際に補償金を受領者に支払うようにしている。この実施形態においても、連続した2回の支払いに対して補償金が支払われるので、1回目の不払いについて会員サービスを停止しないような優遇契約が結ばれ、1回目については会員サービスが停止されないという安心感が生じ得る。そして、補償についての費用は顧客が負担するので、受領者においても特に損失ははい。
【0048】
その上、この第二の実施形態では、各支払期日における支払い状況を補償業者が直接モニタする形になるので、受領者による不正を容易に防止することができる。正常に退会した顧客について二回の不払いがあったかのように受領者が補償業者に申告することは、この実施形態では不可能である。
また、受領者サーバ6上の会員情報ファイル601と同じ内容の会員情報ファイル501が補償業者サーバ5上の記憶部50に記憶されるので、未払いオプションの選択状況も含め、補償金支払いの対象であるか否かをより正確に判断することができる。
【0049】
但し、第二の実施形態では、補償業者に会費を支払う形になるので、顧客としては違和感が生じるかもしれない。また、補償業者が会費徴収についての費用を受領者に請求する場合もあり、その分では受領者にコストが生じてしまう。このような問題がない点では、第一の実施形態の方が優れている。
また、第二の実施形態では、補償業者サーバ5上の会員情報ファイル501と受領者サーバ6上の会員情報ファイル601との双方に会員の個人情報が記録される。したがって、その分だけ個人情報の取り扱いをより厳格にする必要があり、煩雑さが増す。一方、第一の実施形態では、未払いオプションの選択に関する情報(会員ID及び氏名)を受領者から補償業者に通知する必要があるが、それ以外の個人情報は通知する必要がないので、個人情報の取り扱いに関する煩雑さは軽減される。
【0050】
尚、上記各実施形態では、定期払いの料金はインターネット上の会員サービスの料金であったが、他の会員サービスであっても良い。例えばフィットネスクラブの会員サービス、学習塾のような教育関連のサービス、会員制の飲食店のサービスであったりし得る。また、定期払い料金は、サービスでなく商品(物販)の対価の場合もある。例えば雑誌等の定期購読の料金であったり、食材の宅配の料金であったりし得る。
【0051】
また、定期払い料金は、何らかの負債の返済に係るものであっても良い。即ち、クレジットカードによる支払いについて各実施形態の構成を適用でき、いわゆるリボ払いについて適用することも可能である。
尚、返済に係る定期払い料金の場合も、事故情報が出力された際の措置は受領者と顧客との契約による。例えば損害遅延金を課したり、一括返済を迫ったりするといった措置である。このような場合、未払いオプション有りとしている顧客は、1回目の不払いの時点ではこれらの措置は課されず、2回目の不払いの時点で課される。したがって、2回目の支払期日に1回目の分も含めて支払っておけば、損害遅延金が課されたり、一括返済を迫られたりすることがなくなる。このため、ついうっかり支払いを忘れてしまったり、クレジットカードの期限到来を見逃してしまったりといった、悪意のない未払いをしてしまった場合、制裁的な措置が課されることがなくなる。このため、顧客にとっては、心理的なゆとりを持って返済を行うことができる。
【0052】
そして、このような優遇措置は、受領者にとっては不利益となるが、それに対して補償金が支払われるし、そのコストは顧客の側が負担するので、このスキームを採用することに特に躊躇することはない。さらに、補償業者にとっても、リスク評価を適切に行って補償料を算出して徴収しておくことで、十分な利益を上げることができる。つまり、三方両得的な効果が得られる。
【0053】
尚、返済に係る定期払い料金の場合、補償金は、1回分の料金(返済金)の場合もあるし、損害遅延金に相当する額のみの場合もある。1回分の料金が高額な場合には補償金も高額となるが、その場合には当初に顧客から徴収する補償料をそれに合わせて高額としておけば良い。また、クレジットカードなどの場合には各回の支払い額が変動するが、補償金の支払い額に上限を設け、その額以上の不払いについては補償しない旨の契約がされる場合もある。
【0054】
また、補償金としては、1回分の料金だけではなく2回分又はそれ以上とする場合もある。例えば2回分の料金を補償する場合、連続して3回の期日に不払いとなった場合に事故情報を出力することになり、顧客としては、2回までの不払いについては解約等の措置が取られないという安心感が生じることになる。補償する回数が増えると、補償業者の負担が増えるので、その分だけ補償料を増額することもあり得る。また、未払いオプション有りの選択をする場合、何回分までの不払いが猶予されるかを選択できるようにしても良い。この場合、猶予の回数が多いほど補償料が高くなる設定とされ得る。
尚、補償金としては、1回分又はそれ以上の回数の料金のうちの一部を補償する額である場合もある。例えば1回分の会費の半分を補償する契約が補償会社と受領者との間で結ばれる場合もある。
【0055】
さらに、補償の条件や内容が同じでも、顧客によって補償料が異なる場合もあり得る。各実施形態の保証・補償システムは、連続して2回不払いであった場合に1回分の料金を補償するものであるが、顧客によっては最初から退会するので払うつもりがない場合もある。この場合、退会手続きを取らずに2回不払いとすると、最後の1回は無料でサービスなり商品なりの提供を受けられるということになる。最初からそのつもりでこのシステムを利用するのは悪用とも言えるが、それを繰り返すことを防止する方法として、そのような顧客が別の受領者(同じ受領者でも良い)との間で定期払い契約をする際に未払いオプションを選択しようとした場合、通常よりも補償料が高額となるように構成すると好適である。即ち、過去に事故情報を出力した顧客の情報をデータベース化しておき(いわゆるブラックリスト)、データベースにある顧客については通常よりも補償料が高額となるようにシステムを構成する。
【0056】
より具体的には、氏名と生年月日等(いわゆるマイナンバーでも良い)で個人を特定できるようにしておき、過去の事故情報の出力と個人の特定情報とを記録したファイル(以下、事故履歴ファイル)を作成して記憶部に記憶しておく。この記憶部は、補償業者サーバ5の記憶部50である場合が多いが、他のコンピュータ上の記憶部でも良い。そして、会員登録プログラムは、会員登録ページで入力された個人情報で事故履歴ファイルを検索し、過去に事故情報の出力があったかどうか判断する。無ければ、通常の未払いオプションの料金を会員登録ページに表示し、有れば、割り増しした未払いオプションの料金を表示するようプログラミングされる。そして、それら料金について同意してもらった状態で顧客に会員登録をしてもらうようにする。割り増しについては、過去の事故情報の出力数に応じて2段階又はそれ以上の段階での割り増しにしても良い。ウェブサイト以外での契約の場合には、契約を申し込んだ顧客についての事故履歴を事故履歴ファイルから取得して当該顧客に提示し、その上で未払いオプションの料金を提示して承諾してもらう。
このようにすると、過去に事故情報出力の無い優良な顧客については補償料を安価に抑えることができる。そして、事故情報が出力されるとその後の新たな契約で補償料が割り増しされることを事前にアナウンスする(例えば会員登録ページ等に記載する)ことで、事故情報の出力がされないように各顧客に間接的に働きかけることもできる。このため、補償にかかるコストが全体として合理的になり且つコストを低く抑えることができる。
【0057】
尚、補償料については、入会時(契約時)に一時払いするとして説明したが、相当数の回数に分割して支払う構成もあり得る。この場合は、最初の数回の料金には補償料が上乗せされた金額が支払われる構成とされ得る。そして、補償金の支払いはその回数分の支払いが終了した後とされる場合があり得る。保証・補償システムは、回数分の支払いが終了していない場合には未払いオプション無しの会員と同等であるとして事故情報出力プログラムがプログラミングされる。
【0058】
また、補償料は、定期払いの支払実績回数に応じた金額とされることもある。例えば、補償料が定期払いの料金に上乗せして毎回の定期払いの際に支払われる契約の場合、受領者サーバ6に補償料設定プログラムが実装される。補償料設定プログラムは、支払実績情報ファイル12にアクセスして特定の顧客の支払実績回数を取得し、それが一定の回数に達したかどうか判断し、達している場合、顧客情報ファイルに記録されている補償料の値を所定の減額された値に書き換えるようプログラミングされる。そして、例えば自動引き落としの場合、書き換えられた補償料の金額が引き落とされるよう金融機関のサーバに対して通知がされる。振込用紙による振込の場合、書き換えられた補償料の金額で振込用紙が作成され、当該顧客に送付される。
尚、上記の他、定期払いが商品又はサービスの提供に際して締結された分割払いの契約の場合のように、全支払回数が設定されている場合、残りの支払回数が支払実績情報ファイルの内容から取得できるので、補償料設定プログラムはこの残回数を取得し、それに基づいて補償料の書き換える(減額する)場合もある。
【0059】
また、各実施形態において、補償情報出力プログラムは補償金の額を集計するプログラムであったが、単に補償金が支払われる旨を出力するプログラムであっても良い。この場合も、どの顧客の不払いによって補償金が支払われるかを特定する情報(上記各実施形態では会員ID)とともに補償金の支払いを出力する。
尚、各実施形態において、支払実績情報ファイルは各支払期日についてそれぞれ作成さされたが、ある程度まとまった期間(例えば1年)内の複数の支払期日について一つの支払実績情報ファイルとされることもある。
【0060】
また、上記各実施形態において、事故情報出力手段が事故情報を出力した場合に動作する手段として、保証・補償システムは、商品又はサービスの提供を停止するのを支援する提供停止支援手段を好適に備え得る。定期払い料金が例えばネットサービス提供の対価である場合、提供停止支援手段は、ネットサービスにおけるログインプログラムが参照する会員情報ファイルを書き変えるプログラムであり得る。即ち、提供停止支援手段は、事故情報が出力された会員について当該会員の情報を会員情報ファイルから削除するプログラムを含むものとされる。
ネットサービス以外のサービスの場合でも、サービスの提供を受ける権利がある旨の情報の登録として会員登録がされる場合が多く、会員情報ファイルが作成されて記憶部に記憶される。したがって、提供停止支援手段は、この会員情報ファイルを書き変える手段とされる。
【0061】
また、定期払い料金が商品の提供の対価の場合であっても、補償支援システムは提供停止支援手段を備え得る。商品の提供の場合、当該商品は、正常に使用できくなるロック機構を備えると好適である。例えば、IOTの時代、多くの商品がインターネット経由の通信機能を実装すると予想される。したがって、商品がその機能を発揮できなくなる機能を内蔵し、それをインターネット経由で動作できるようにすることが考えられる。そして、例えば受領者サーバからの制御信号により使用不能とされるようにする。家電や各種電子製品のような電源を有する機器の場合、電源がオンされなくなる機能を実装し、それをインターネット経由で受領者サーバから動作させる。家電や電子製品ではない場合でも、何らかのロック機構を設け、それを遠隔操作することが可能である。例えば、机であれば引き出しにロック機構を設けて使えないようにすることが考えられる。
【0062】
さらに、商品が遠隔操作により無人移動可能な移動体である場合、保証・補償システムは回収手段を備えることができる。この典型的な例は、自動車である。将来的には自動運転の自動車が実用化され、無人運転も可能となると予想される。定期払いが自動車のリース料であったり、自動車代金の分割払いだったりすることがあり得るが、当該自動車についてロック機構が設けられる。ロック機構は、例えばキー操作をしてもエンジンがかからないようにする機構である。自動車は無人運転可能とされ、事故情報が出力されると、受領者サーバからインターネット経由で送られる制御信号により、所定の場所まで移動するよう無人運転される。所定の場所とは、その自動車を回収して保管する場所である。
【0063】
上述したインターネット経由で商品を使用不能にする構成は、定期払い料金の補償とは無関係に発明として成立し得る。即ち、定期払い料金の補償をしない場合でも、商品について料金を払わない場合に当該商品の使用を不能にできる構成は、料金の支払いを強制する手段として有効である。例えば、商品がリース又はレンタルで提供される場合が該当する。また、商品が分割払いで提供される場合も該当する。このような場合、料金不払いの場合に商品の使用を不能にできれば、不払いに対して特に効果的なペナルティとなり、不払いの防止に非常に有効である。尚、使用不能にした商品を宅配業者が回収する場合もあるから、回収手段としては、宅配業者に対して回収を依頼する送信を行うサーバの場合もあり得る。
【符号の説明】
【0064】
1 記憶部
2 支払実績記録手段
3 事故情報出力手段
4 補償情報出力手段
5 補償業者サーバ
50 記憶部
501 会員情報ファイル
51 補償情報出力プログラム
52 支払実績記録プログラム
54 事故情報出力プログラム
6 受領者サーバ
60 記憶部
601 会員情報ファイル
61 未払いオプション選択欄
62 支払実績記録プログラム
63 事故情報出力プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8