(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ビデオカメラを遠隔制御する方法およびビデオ監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/661 20230101AFI20231207BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231207BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
H04N23/661
H04N7/18 D
H04N23/60 300
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019209246
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フライボリ, ヤーン
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534607(JP,A)
【文献】特開2014-131106(JP,A)
【文献】特開2003-283701(JP,A)
【文献】国際公開第2008/127194(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/016059(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0277486(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/661
H04N 7/18
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドエリアネットワークWAN(16)を経由して、クライアント(22)から、ネットワーク化されたビデオカメラ(10)を遠隔制御する方法であって、前記方法は、
前記ビデオカメラ(10)向けの指示メッセージを、前記クライアント(22)から、前記クライアント(22)に配置された通信コントローラ(26)に送信することと、
前記クライアント(22)に配置された
前記通信コントローラ(26)において、前記指示メッセージがピアツーピア接続(406)を経由して前記ビデオカメラ(10)に送信される候補であるかどうかを判定することであって
、前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補ではない
指示メッセージは、フレームレート設定、アパーチャサイズ設定、およびゲイン設定の群のデータタイプのうちの少なくとも1つを含み、前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補である
指示メッセージは、ビデオデータ、画像データ、パン調整、チルト調整、およびズーム調整の群のデータタイプのうちの少なくとも1つを含む
、判定することと、を含み、
前記ピアツーピア接続(406)を経由して前記ビデオカメラ(10)に送信される候補ではないと判定された前記指示メッセージに応答して、該方法はさらに、
-前記クライアント(22)に配置された
前記通信コントロー
ラ(26)から前記WAN(16)を経由してカメラ制御サービス(40)に前記指示メッセージを送信することと、
-前記カメラ制御サービス(40)において前記指示メッセージの少なくとも一部を記録することと、
-前記カメラ制御サービス(40)において受信された前記指示メッセージを、前記WAN(16)を経由して前記カメラ制御サービス(40)から前記ビデオカメラ(10)に送信することと、を含み、
前記ピアツーピア接続(406)を経由して前記ビデオカメラ(10)に送信される候補であると判定された指示メッセージに
応答して、該方法はさらに、
-前記クライアント(22)に配置された
前記通信コントローラ(26)から前記ビデオカメラ(10)に配置された通信コントローラ(12)に、
前記WAN(16)上の2つの前記通信コントローラ間のピアツーピア接続(406)を経由して前記指示メッセージ
を送信することと、
-前記ビデオカメラ(10)に
おいて前記通信コントローラ(12)によって受信された前記指示メッセージを、前記ビデオカメラ(10)に
おいて通信コントローラ(12)から前記ビデオカメラ(10)に送信することと、を含み、
前記方法は、さらに、
前記ビデオカメラ(10)において、前記カメラ制御サービス(40)または前記ピアツーピア接続(406)のうちの1つを経由して前記指示メッセージを受信することと、
前記ビデオカメラ(10)において、前記指示メッセージ内の指示を実行することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記クライアント(22)に配置された前記通信コントローラ(26)は、前記クライアント(22)に直接接続され、前記クライアント(22)を前記WAN(16)に接続している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビデオカメラ(10)に配置された前記通信コントローラ(12)は、前記ビデオカメラ(10)に直接接続され、前記ビデオカメラ(10)を前記WAN(16)に接続している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビデオカメラ(10)へのアクセスを要求するアクセス要求を送信することであって、前記アクセス要求は前記WAN(16)を経由して前記クライアント(22)からユーザー認可サービス(38)に送信されるものである、アクセス要求を送信することと、
前記クライアント(22)が要求されたビデオカメラ(10)へのアクセスを認められているかどうかを、前記ユーザー認可サービス(38)において確認することと、
前記ビデオカメラ(10)のアクセスが認められていることに
応答して、前記ユーザー認可サービス(38)から前記クライアント(22)に配置された
前記通信コントローラ(26)に、前記クライアント(22)と前記ビデオカメラ(10)との間の通信用にカメラアクセスポート(44)をセットアップするように前記通信コントローラ(26)に指示する指示メッセージを送信することと、
前記ビデオカメラ(10)のアクセスが認められていることに
応答して、前記カメラアクセスポート(44)と、前記ビデオカメラ(10)に配置された前記通信コントローラ(12)内のカメラ制御ポート(46)との間のピアツーピア接続(406)のセットアップを開始することと、をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記クライアント(22)から前記ビデオカメラ(10)向けの指示メッセージを送信することは、前記クライアント(22)が、前記ビデオカメラ(10)向けの
前記指示メッセージを、前記カメラアクセスポート(44)を識別するIPアドレス宛てとす
ることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ビデオカメラ(10)
において受信した
前記指示メッセージがビデオ要求であることに応答して、以下のステップ
前記ビデオカメラ(10)から前記ビデオカメラ(10)に配置された前記通信コントローラ(12)にビデオデータメッセージを送信するステップと、
前記ビデオカメラ(10)に配置された前記通信コントローラ(12)において、各ビデオデータメッセージがピアツーピア接続(406)を経由して前記クライアント(22)に送信される候補であると決定するステップと、
前記ビデオカメラ(10)に配置された前記通信コントローラ(12)
において受信した各ビデオデータメッセージを、
前記ピアツーピア接続(406)を経由して前記クライアント(22)に配置された
前記通信コントローラ(26)に送信するステップと、
前記クライアント(22)に配置された前記通信コントローラ(26)
において受信された各ビデオデータメッセージを、さらなる処理のために前記クライアント(22)に送信するステップと、を実行することをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カメラ制御サービス(40)は、前記WAN(16)を経由してアクセス可能なサーバ
ーで実行されるプロセスである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ネットワーク化されたビデオ監視システムであって、
ビデオカメラ(10)に配置された通信コントローラ(12)を経由してワイドエリアネットワークWAN(16)に接続された前記ビデオカメラ(10)と、
前記WAN(16)を経由してアクセスされるビデオカメラからのビデオデータを管理するように構成され、クライアント(22)に配置された通信コントローラ(26)を経由して前記WAN(16)に接続された前記クライアント(22)と、
前記ビデオカメラ
(10)に送信され
た指示を記録するように構成され、前記WAN(16)に接続されたサーバーに実装されるカメラ制御サービス(40)と、を備え、
前記クライアント(22)に配置された通信コントローラ(26)は、
前記クライアント(22)から送信され、前記ビデオカメラ(10)に宛てられた指示メッセージが、ピアツーピア接続(406)を経由して前記
ビデオカメラ(10)に送信される候補であるかどうかを判定し
、前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補ではない指示メッセージは、フレームレート設定、アパーチャサイズ設定、およびゲイン設定の群のデータタイプのうちの少なくとも1つを含み、前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補である指示メッセージは、ビデオデータ、画像データ、パン調整、チルト調整、およびズーム調整の群のデータタイプのうちの少なくとも1つを含み、
前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補ではないと判定
された各指示メッセージを前記カメラ制御サービス(40)に送信し、
かつ
前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補であると判定された各指示メッセージを、前記ピアツーピア接続(406)を経由して前記ビデオカメラ(10)に送信する、
ように構成されている、ネットワーク化されたビデオ監視システム。
【請求項9】
前記ビデオカメラ(10)に配置された前記通信コントローラ(12)は、
前記ビデオカメラ(10)から前記クライアント(22)宛てに送信されたメッセージが前記ピアツーピア接続(406)を経由して前記クライアント(22)に送信される候補であるかどうかを判定し、
前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補ではないと判定
された各メッセージを前記カメラ制御サービス(40)に送信し、
かつ、
前記ピアツーピア接続(406)を経由して送信される候補であると判定した各メッセージを、前記ピアツーピア接続(406)を経由して前記クライアント(22)に送信する、
ように構成されている、請求項8に記載のネットワーク化されたビデオ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク化されたビデオカメラを遠隔制御する方法およびネットワーク化されたビデオ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視または調査用のネットワークおよびIPベースのカメラシステムは、ますます一般的になっている。これらのカメラシステムは、施設、生産プロセス、生産エリア、地理的エリア、交通、イベントなどを監視または調査するように手配できる。監視および/または調査システムのカメラの数が増加し、したがって、カメラの管理、カメラストリーム、ビデオレコードは常により難しくなる。システムの1つの支障は、多くのシステムに1つまたは少数のビデオ管理装置しかなく、これらが各カメラのIPアドレスに直接接続されていることである。これにより、ビデオシステムのビデオカメラの管理が非常に厳しくなり、また、必要な場所から簡単に管理を操作できない。
【0003】
セキュリティを損なうことなくビデオシステムをよりアクセスしやすくするために、クラウドベースのサービスが導入され、ユーザーがカメラシステムをリモートで処理、制御、監視できるようになった。クラウドベースのサービスは、一般的に、サービスに関連するネットワークトラフィックに対して課金している第三者によって管理されているサーバー上で実行される。合理的なデータ量と十分に根拠のある理由から、クラウドベースのシステムの自由を得るために費用をかける価値があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カメラシステムでは、多くの場合、非常に大量のデータがストリーミングされる。例えば、高解像度および高フレームレートの複数のカメラからのビデオデータ、および、ほとんどの場合、ビデオデータに関しては、データをストリーミングする唯一の理由は、特定のカメラからのライブビューを有効にすることである。クラウドベースのシステムを使用する別の欠点は、レイテンシの増加であろう。特に、これは、ユーザーがカメラの機能、例えば、カメラのパン、カメラのチルト、ズームインまたはズームアウトを制御したい場合に問題になる。それは、ユーザーによる制御が、カメラからの実質的に瞬時のフィードバックに依存するからである。
【0005】
したがって、クラウドベースのシステムの利点を活用し、欠点の影響を軽減するシステムが必要である。
【0006】
本発明の1つの目的は、改良されたビデオカメラシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、この目的は、通信ネットワークを経由して、クライアントから、ネットワーク化されたビデオカメラを遠隔制御する方法によって達成される。この方法は、ビデオカメラ向けの指示メッセージを、クライアントから、クライアントに配置された通信コントローラに送信することと、クライアントに配置された通信コントローラにおいて、指示メッセージがピアツーピア接続を経由してビデオカメラに送信される候補であるかどうかを判定することとを含む。
【0008】
ピアツーピア接続を経由してビデオカメラに送信される候補ではないと判定された指示メッセージに応答して、方法はさらに、クライアントに配置された通信コントローラから通信ネットワークを経由してカメラ制御サービスに指示メッセージを送信することと、カメラ制御サービスにおいて指示メッセージの少なくとも一部を記録することと、カメラ制御サービスにおいて受信された指示メッセージを、通信ネットワークを経由してカメラ制御サービスからビデオカメラに送信することと、を含む。
【0009】
ピアツーピア接続を経由してビデオカメラに送信される候補であると判定された指示メッセージに応じて、方法はさらに、クライアントに配置された通信コントローラからビデオカメラに配置された通信コントローラに、2つの通信コントローラ間のピアツーピア接続を経由して指示メッセージを通信ネットワーク経由で送信することと、ビデオカメラに配置された通信コントローラによって受信された指示メッセージを、ビデオカメラに配置された通信コントローラからビデオカメラに送信することと、を含む。
【0010】
さらに、この方法は、ビデオカメラにおいて、カメラ制御サービスまたはピアツーピア接続の1つを経由して指示メッセージを受信することと、
ビデオカメラにおいて、指示メッセージの指示を実行することと、を含む。
【0011】
送信されるメッセージに含まれる通信の種類を決定することの利点、および、通信の性質に依存することは、異なる通信パスを使用し、それによってクラウドベースのシステムまたは同様のシステムの利点を有効にし、さらに、ビデオカメラの制御における問題に関連する多大なコストとレイテンシとのリスクを低減する。多大なコストのリスクの低減は、サービスのデータトラフィックに関連するコストの発生し得るクラウドベースのサービスをバイパスするピアツーピア接続の結果である。さらに、ピアツーピア接続は、ほとんどの場合、ビデオカメラへの実質的により直接的な通信パスとなり、通信を管理するためのサービスは中間にはない。したがって、ほとんどの場合、ピアツーピア接続経由のレイテンシは、クラウドベースのサービスまたは同様のサービスを介したレイテンシよりもはるかに小さくなる。
【0012】
クライアントに配置された通信コントローラは、クライアントに直接接続されるようにしてもよく、それによって、クライアントを通信ネットワークに接続している。この特徴の利点は、クライアントからの通信におけるメッセージのタイプの決定が容易になることである。
【0013】
ビデオカメラに配置された通信コントローラは、ビデオカメラに直接接続され、ビデオカメラを通信ネットワークに接続している。この特徴の利点は、ビデオカメラからの通信におけるメッセージのタイプの決定が容易になることである。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、ビデオカメラへアクセスを要求するアクセス要求を送信することであって、アクセス要求は通信ネットワークを経由してクライアントからユーザー認証サービスに送信されるものである、アクセスを送信することと、クライアントが要求されたビデオカメラへのアクセスを認められているかどうかを、ユーザー許可サービスにおいて確認することと、ビデオカメラのアクセスが認められていることに応じて、ユーザー認証サービスからクライアントに配置された通信コントローラに,クライアントとビデオカメラ間の通信用にカメラアクセスポートをセットアップするように通信コントローラに指示する指示メッセージを送信することと、ビデオカメラのアクセスが認められていることに応じて、カメラアクセスポートと、ビデオカメラに配置された通信コントローラ内のカメラ制御ポートとの間のピアツーピア接続のセットアップを開始することと、をさらに含む。ネットワーク経由で認証プロセスにアクセスできるようにすることで、認証プロセスを一元化し、ビデオカメラシステム内のビデオカメラへの認証されたアクセスを容易にすることができる。さらに、アクセス要求に関連してピアツーピア接続をセットアップすることによって、タイムクリティカルな指示(例えば、パン、チルト、ズーム)を含む要求における、またはビデオ要求における遅延のリスクが減少する。それは、ユーザーがこれらのタイプの要求を行ったときにピアツーピア接続が確立される可能性は、要求が行われたときにセットアップが開始される場合よりもはるかに高いためである。さらに、ビデオカメラとクライアント間の通信用の通信コントローラ内のカメラアクセスポートをセットアップする利点は、クライアントがビデオカメラにアクセスするための1つの方法を知っていればよいため、すなわち、クライアントはビデオカメラであるかのようにポートにアクセスするため、クライアントでの通信要件を簡素化する。これによって、現在提示されているビデオシステムは、クライアント内の既存のビデオ管理システム、すなわち、通信のタイプおよび/または送信メッセージのタイプに基づいて選択可能な複数の通信パス用に特別に設計されていないビデオ管理システムを使用できる。
【0015】
さらに、クライアントからビデオカメラ向けの指示メッセージを送信することは、クライアントが、ビデオカメラ向けの指示メッセージを、カメラアクセスポートを識別するIPアドレス宛てとすることを含んでもよい。それによって、クライアントは、あたかもそれがカメラのアドレスであるかのようにこのIPアドレスと通信し、現在提示されているシステムの利点をさらに体験することができる。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、ビデオカメラで受信した指示メッセージが、以下のステップを実行するビデオ要求であることに応答して、
-ビデオカメラからビデオカメラに配置された通信コントローラにビデオデータメッセージを送信するステップと、
-ビデオカメラに配置された通信コントローラによって、各ビデオデータメッセージがピアツーピア接続を経由してクライアントに送信される候補であると決定するステップと、
-ビデオカメラに配置された通信コントローラで受信した各ビデオデータメッセージを、ピアツーピア接続を経由してクライアントに配置された通信コントローラに送信するステップと、
クライアントに配置された通信コントローラで受信された各ビデオデータメッセージを、さらなる処理のためにクライアントに送信するステップと、をさらに含む。
【0017】
クライアントだけでなくカメラにも通信コントローラを有する利点の1つは、既存のシステムに通信コントローラを追加し、通信コントローラがカメラ制御サービスとピアツーピア接続とへの通信パスを選択的に使用する機能と利点を提供できることである。さらに、このビデオシステムの利点を活用するために、ビデオカメラを適合または調整する必要はない。
【0018】
さらに、ピアツーピア接続を経由して送信される候補ではないメッセージは、フレームレート設定、アパーチャサイズ設定、およびゲイン設定の群のデータタイプのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ピアツーピア接続を経由して送信される候補であるメッセージは、ビデオデータ、画像データ、パン調整、チルト調整、およびズーム調整の群のデータタイプのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに、カメラ制御サービスは、通信ネットワークを経由してアクセス可能なサーバーで実行されるプロセスであってもよい。
【0019】
本発明の別の態様によれば、この目的は、以下のネットワーク化されたビデオ監視システムによって達成される。ネットワーク化されたビデオ監視システムは、
ビデオカメラに配置された通信コントローラを経由して通信ネットワークに接続されたビデオカメラと、
通信ネットワークを経由してアクセスされるビデオカメラからのビデオデータを管理するように配置され、クライアントに配置された通信コントローラを経由して通信ネットワークに接続されたクライアントと、
カメラに送信される指示を記録するように構成され、通信ネットワークに接続されたサーバーに実装されるカメラ制御サービスと、を備え、
クライアントに配置された通信コントローラは、クライアントから送信され、ビデオカメラに宛てられた指示メッセージが、ピアツーピア接続を経由してカメラに送信される候補であるかどうかを判定し、ピアツーピア接続を経由して送信される候補ではないと判定した各指示メッセージをカメラ制御サービスに送信し、ピアツーピア接続を経由して送信される候補であると判定した各指示メッセージを、ピアツーピア接続を経由してビデオカメラに送信する、ように構成されている。
【0020】
送信されるメッセージに含まれる通信の種類を決定することの利点、および、通信の性質に依存することは、異なる通信パスを使用し、それによってクラウドベースのシステムまたは同様のシステムの利点を有効にし、さらに、ビデオカメラの制御における問題に関連する多大なコストとレイテンシとのリスクを低減する。多大なコストのリスクの低減は、サービスのデータトラフィックに関連するコストの発生し得るクラウドベースのサービスをバイパスするピアツーピア接続の結果である。さらに、ピアツーピア接続は、ほとんどの場合、ビデオカメラへの実質的により直接的な通信パスとなり、通信を管理するためのサービスは中間にはない。したがって、ほとんどの場合、ピアツーピア接続経由のレイテンシは、クラウドベースのサービスまたは同様のサービスを介したレイテンシよりもはるかに小さくなる。クライアントだけでなくカメラにも通信コントローラを有する利点の1つは、既存のシステムに通信コントローラを追加し、通信コントローラがカメラ制御サービスとピアツーピア接続とへの通信パスを選択的に使用する機能と利点を提供できることである。さらに、このビデオシステムの利点を活用するために、ビデオカメラを適合または調整する必要はない。
【0021】
いくつかの実施形態では、ビデオカメラに配置された通信コントローラは、ビデオカメラからクライアント宛てに送信されたメッセージがピアツーピア接続を経由してクライアントに送信される候補であるかどうかを判定し、ピアツーピア接続を経由して送信される候補ではないと判定した各メッセージをカメラ制御サービスに送信し、および、ピアツーピア接続を経由して送信される候補であると判定した各メッセージを、ピアツーピア接続を経由してクライアントに送信する、ように構成されている。
【0022】
本発明のさらなる適用範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、この詳細な説明から本発明の範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかとなるため、詳細な説明および具体例は、本発明の好適な実施形態を示す一方で、単なる例示であることを理解されたい。そのため、そのようなデバイスおよび方法は変わり得るので、本発明は、説明されるデバイスの特定の構成部品、または説明される方法のステップに限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定するものでないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、文脈が別段に明白に規定しない限り、要素が1つまたは複数あることを意味していると意図されることに留意されたい。したがって、例えば、「センサー(a sensor)」または「前記センサー(the sensor)」への言及は、いくつかのセンサー等を含み得る。さらに、「含む(comprising」)という用語は、他の要素またはステップを除外しない。
【0023】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、現時点で好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。さらに、図において、同様の参照符号は、いくつかの図において同様のまたは対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明を実施するビデオカメラシステムのブロック図である。
【
図2】本発明を実施するビデオカメラシステムの別のブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、ビデオカメラへの通信を設定するクライアントのプロセスを示すフローチャートである。
【
図4a】特定のビデオカメラに様々なタイプのメッセージを送信するクライアントのプロセスを示すフローチャートである。
【
図4b】クライアントからのビデオ要求に応答するビデオカメラのプロセスを示すフローチャートである。
【
図5】ビデオカメラへの指示メッセージの送信を示す通信図である。
【
図6】クライアントからビデオカメラへのビデオ要求の送信と、ビデオカメラからクライアントへのビデオデータの返信を示す通信図である。
【
図7】ピアツーピア接続を失い、その後ピアツーピア接続を再確立する効果を示すという相違点を有する、
図6に関連して説明したビデオ要求の通信図である。
【
図8】物理的な通信経路の代わりに論理的な通信経路を強調する、本発明を実施するビデオシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、クライアントからビデオカメラを遠隔制御し、ビデオカメラによってキャプチャされたビデオを見るためのシステムおよび方法に関する。ここで
図1を参照すると、本発明の実施形態によるシステムは、ビデオカメラ10に配置された通信コントローラ12に接続されたビデオカメラ10を含むことができる。ビデオカメラは、ネットワークに接続された任意のビデオカメラ、例えば、調査カメラ、監視カメラ、立入禁止エリアへのアクセスを要求する人の画像をキャプチャするためにドアステーション内に配置されたカメラ等であってもよい。通信コントローラ12は、ビデオカメラ10の外部のデバイス、ビデオカメラ10に組み込まれたデバイス、あるいは、ビデオカメラ10の外部デバイス内で実行されるか、またはカメラ10内で実行されるソフトウェアコードであってもよい。ビデオカメラ10との通信は、通信コントローラ12を通過する。ビデオカメラ10は、通信コントローラ12を経由して、ローカル通信ネットワーク14、すなわち、ローカルエリアネットワーク(LAN)14に接続されている。次いで、LAN14は、ネットワークアドレス変換器(NAT)18および/またはファイアウォール20を経由して、より大きな通信ネットワーク16、すなわち、ワイドエリアネットワーク(WAN)16に接続されている。WAN16はインターネット17の一部である。
【0026】
さらに、システムは、カメラ管理ソフトウェア24、例えば、ビデオ管理システムを実行するクライアント22を含む。クライアント22は、クライアント22に配置された通信コントローラ26に接続される。通信コントローラ26は、クライアント22の外部デバイス、クライアント22に内蔵されたデバイス、あるいは、外部デバイス内で実行される、またはクライアント22内で実行されるソフトウェアコードであってもよい。クライアント22との通信は、通信コントローラ26を通過する。クライアント22は、通信コントローラ26を経由してローカル通信ネットワーク28、すなわちローカルエリアネットワーク(LAN)28に接続されている。次に、LAN28は、NAT30および/またはファイアウォール32を経由してWAN16に接続されている。クライアント22に配置された通信コントローラ26を含むLAN28に接続されるWANは、ビデオカメラ10に配置された通信コントローラ12を含むLAN14に接続されるものと同じWAN16であってもよいし、全く異なるWANであってもよい。しかしながら、WANが同じであるかどうかに関係なく、2つのLAN14、28は同じインターネット17に接続されている。
【0027】
インターネット17には、少なくとも数個のビデオカメラシステム関連サービス34が接続されている。これらのビデオカメラシステム関連サービス34は、ユーザー認証サービス36、ユーザー認可サービス38、およびカメラ制御サービス40を含む。ビデオカメラシステム関連サービス34は、クラウドサービスとして実施されてもよい。クラウドサービスとは、クラウドコンピューティングプロバイダー、例えば、アマゾンのサーバーからインターネットを経由して、オンデマンドでユーザーが利用できるサービスである。ビデオカメラシステム関連サービス34はまた、ビデオカメラシステム関連サービス専用のサーバー、例えば、調査会社のサーバー、ビデオが撮影されている施設の保有者のサーバー、ビデオカメラシステム設置会社のサーバー等上において実施されてもよい。
【0028】
ユーザー認証サービス36は、カメラを含むシステムにアクセスするユーザーまたはオペレータを認証して、彼らが本当に彼ら本人であることを確認するように構成される。次いで、ユーザー認可サービス38は、特定の操作の使用、特定のデバイスおよび/または機能へのアクセスなどを許可するように構成され、これらの操作、デバイス、および機能は、インターネットを経由してアクセス可能である。カメラ制御サービス40は、カメラ制御サービス40に登録されたビデオカメラへのアクセスを提供するように構成されている。提供されるアクセスは、カメラの構成、カメラの特別なパラメータの設定、カメラのためのパン、チルト、またはズームの要求、および、視聴または録画のためのビデオのストリーミングに関連する。カメラ制御サービス40は、また、登録された各カメラの構成および/またはパラメータへの変更を記録し、そのような変更を実行するようにカメラに指示するように構成される。したがって、カメラ制御サービス40は、登録されたカメラに指示およびデータを送信し、認可されたユーザーまたはオペレータ、およびそのクライアントからの指示を受信することができる。
【0029】
ここで
図1および3を参照すると、本発明の一実施形態によるプロセス100は、カメラ管理ソフトウェア24を実行するクライアント22を、通信コントローラ26上の論理ポート42を経由してネットワーク28、16に接続するステップS102を含む。この接続は、クライアントが通信コントローラ26に物理的に接続し、ネットワーク接続をチェックしているときに自動的に設立される。この論理ポート42は、ビデオカメラシステム関連サービス34の一般機能と、カメラ管理ソフトウェア24を実行するクライアント22との間の通信を管理するように構成される。通信コントローラ26上の管理ポート42にカメラ管理クライアント22を接続すると、クライアント22は、この管理ポート42を経由してユーザー認証サービス36に接続される(S104)。次に、認証サービス36は、クライアント22に自身を識別するように要求し、その際、例えば、クライアントのユーザーは、ユーザーIDと何らかのパスワードとを入力できる(S106)。
【0030】
認証が成功しない場合、ビデオカメラシステム関連サービス34の残りへのアクセスは与えられず、失敗した認証はクライアント22とユーザに伝えられる(S107)。認証が成功した場合、通信コントローラ26の管理ポート42と、クライアント22とビデオカメラシステム関連サービス34との間の接続のステータスと、が認証済みに設定される(S108)。また、通信コントローラ26の管理ポート42が認証され、ビデオカメラシステム関連サービス34への接続が認められているようにも理解できる。
【0031】
次に、クライアント22のオペレータまたはユーザーは、カメラアクセスの要求をビデオカメラシステム関連サービス34へ、特に認可サービス38へ送信することによって、ネットワーク化されたビデオカメラ10へのアクセスを要求する(S110)。認可サービス38は、認証された接続がビデオカメラ10へのアクセスを認められているかどうかをチェックする(S112)。認証された接続がビデオカメラ10へのアクセスを認可されていない場合、認可サービス38は対応する指示をクライアント22に返し、クライアント22はビデオカメラ10へのアクセスを拒否される(S114)。認証された接続がビデオカメラ10へのアクセスを認められている場合、ビデオカメラ10へのアクセスを提供するように構成された論理ポート44(以下カメラアクセスポート44と呼ぶ)およびその機能が、通信コントローラ26にセットアップされる(S118)。通信コントローラ26内のカメラアクセスポート44は、ビデオカメラ10のIPアドレスを表すようにセットアップされてもよい。複数のカメラを含み、クライアントが複数のカメラにアクセスしているビデオシステムでは、カメラアクセスポート44は、クライアントがアクセスを認められているビデオカメラごとに構成される。各カメラアクセスポートは、関連するカメラに固有である。
【0032】
例えば、カメラアクセスポート44のIPアドレスは、アクセスが要求されているカメラのアドレスであるとしてクライアント22に提供される。したがって、クライアントはカメラとの通信にこのアドレスを使用する。カメラとの通信は、IPプロトコル(例えばHTTP)のトップ上にあるプロトコルを使用して実行できる。カメラアクセスポート44がセットアップされるとき、直接接続(例えば、カメラ10の通信コントローラ12のカメラアクセスポート44とカメラ制御ポート46との間のピアツーピア接続)をセットアップするプロセスが、バックグラウンドで開始される(S120)。ピアツーピア接続は、特定の2つのデバイス間の直接接続として解釈される。この接続は、何らかの中間サーバーによって処理および受け渡しされない通信の観点において直接である。接続を経由して送信されるメッセージは、メッセージのペイロードがピアツーピア接続で接続された2つのデバイス以外のデバイスによって処理されることなく、ネットワークの複数のノードを経由してスイッチングおよびルーティングされる。上記の特定のケースでは、2つの通信コントローラ(12と26)の間、より具体的にはカメラアクセスポート44とカメラ制御ポート46との間においてピアツーピア接続が確立される。
【0033】
ピアツーピアトンネルのセットアップは、一般に「ホールパンチング」と呼ばれる操作が含まれ得る。「ホールパンチング」操作は、たとえばファイアウォールおよび/またはネットワークアドレス変換(NAT)を介した2つのネットワーク化されたデバイス間の直接接続を確立するために一般的に使用される技術であり、このような直接接続を確立するプロセスは、当業者によく知られている。
【0034】
したがって、「ホールパンチング」操作は、カメラの通信コントローラと、ビデオマネージャーを実行しているクライアントの通信コントローラとの間にピアツーピア接続をセットアップするように構成することができる。カメラアクセスポート44とカメラ制御ポート46との間に確立されるピアツーピア接続は、カメラ10とクライアント22との間の通信のための通信トンネルとして機能する任意の種類のセットアップであり得る。カメラアクセスポート44とカメラ制御ポート46との間の直接接続、すなわちピアツーピア接続は、他のカメラの操作および要求とは無関係に実行される。
【0035】
さらに、何らかの理由でピアツーピア接続が失われた場合、ピアツーピア接続をセットアップする操作が再開される。ピアツーピア接続をセットアップするそのような操作は、ピアツーピア接続がダウンしているという指示を、カメラ制御サービスが受信することに応答して、カメラ制御サービス40によって開始され得る。カメラアクセスポート44およびカメラ制御ポート46のそれぞれは、ピアツーピア接続が利用可能になったときに通知される。
【0036】
ここで再び
図1を参照すると、通信コントローラ26の管理ポート42およびカメラアクセスポート44は、通信コントローラ上で実行される通信プロトコル内の論理ポートである。ポートは、コンピュータ上の、本発明の場合は通信コントローラ26上のネットワークベースのアプリケーションを識別するアドレスである。本発明の実施形態では、管理ポート42は、ポートを表すIPアドレスとして、並びに、指示、要求、およびメッセージの転送用のHTTP APIとして実施されている。カメラアクセスポート44もまた、ポートを表すIPアドレスとして、並びに、指示、要求、およびメッセージを伝達するためのHTTP APIとして実施される。クライアント22の通信コントローラ26のカメラアクセスポート44は、ビデオカメラ10に宛てられたビデオのすべての指示メッセージおよび要求を処理するように構成される。さらに、カメラアクセスポート44は、ビデオカメラ10に宛てられたすべてのメッセージおよび要求をカメラ制御サービス40に送信するように構成されている。したがって、カメラ10に向けられ、クライアントから送信された指示メッセージは、カメラアクセスポート44に送られ、その後、カメラ制御サービス40に渡される。さらに、カメラアクセスポート44は、カメラ10に宛てられたトラフィックを、カメラ10へのロギングおよび転送のために対応するカメラ制御サービス40に送信するように構成されている。しかしながら、ビデオストリームまたはビデオ送信、およびピアツーピアに関連するトラフィックが、クライアント22の通信コントローラ26とカメラ10の通信コントローラ12との間に確立されている場合、ビデオに関連するトラフィックは、カメラ制御サービス40に送信される代わりにピアツーピア接続で送信される。データがピアツーピア接続を経由して送信されるか、ビデオカメラシステム関連サービス34のカメラ制御サービス40を経由して送信されるかの判定は、ストリーム内の各パケットに対して行われ得る。または、その判定は、通信セッション、すなわち、ビデオストリーム、指示送信、およびそれに関連する応答などに対応するレベルで行われ得る。ピアツーピア接続のセットアップについては、以下で説明する。
【0037】
ネットワーク14内のビデオカメラ10は、セットアップされるとき、通信コントローラ12とともにセットアップされる。カメラ10のセットアップ中に、通信コントローラ12内のカメラ制御ポート46がセットアップされ、ビデオカメラシステム関連サービス34内に含まれるカメラ制御サービス40と通信するように構成される。いくつかの実施形態によれば、カメラ10およびカメラ10の通信コントローラ12がビデオカメラシステム関連サービス34に接続されたとき、環境設定フェーズ中に、カメラ10の通信コントローラ12のカメラ制御ポート46がセットアップされる。カメラ制御ポート46は、カメラアクセスポート44に関連して上述したように、ポートを表すIPアドレスとして、並びに、指示、要求、およびメッセージの転送のためのHTTP APIとして実施され得る。カメラ制御ポート46は、カメラおよびカメラにアクセスするサービスによるアドレス指定のための特定のIPアドレスと、カメラとの間で指示、要求、およびメッセージをやり取りするためのHTTP APIとによって、セットアップされ得る。したがって、カメラ制御サービス40からの指示メッセージおよびビデオカメラ10からの確認メッセージは、カメラ制御ポート46を経由して通信される。
【0038】
いくつかの実施によれば、カメラ10と通信するクライアント22のプロセスは、以下のように説明され得る(
図1および4aを参照)。以下の説明は、カメラ10、通信コントローラ12、およびカメラ制御ポート46が既にセットアップされ、カメラ制御サービス40またはビデオカメラシステム関連サービス34と通信する準備ができているシステムに基づいている。
図3に関連して説明したように、カメラアクセスポート44のセットアップが完了したとき、クライアント22は、ビデオの要求も含む指示メッセージを、カメラアクセスポート44のAPIを経由してビデオカメラ10に送信することができる。
図4aでは、例えば、指示メッセージ、制御メッセージ、セットアップメッセージ、構成メッセージ、パン指示、チルト指示、ズーム指示、ビデオ要求などのメッセージを、クライアント22からビデオカメラ10に送信するプロセス(S150)が描かれている。オペレータまたはユーザーが制御またはビデオ要求のためにアクセスしたいカメラ10は、クライアント22のインターフェースで選択される(S152)。次に、カメラ用のメッセージが、例えばオペレータまたはユーザーからの入力に基づいて、クライアントで生成され(S154)、クライアント22の通信コントローラ26のカメラアクセスポート44に送信される(S156)。カメラアクセスポート44およびカメラアクセスポート44のAPIで、メッセージがチェックされ、メッセージがピアツーピア接続を経由して送信される候補であるかどうかが判定される(S158)。ピアツーピア接続を経由して送信される候補であるメッセージのタイプは、タイムクリティカルな指示メッセージ、例えば、パン、チルト、またはズーム指示であり、それらは、大きなレイテンシが導入されるとパフォーマンスが低下する可能性がある。ピアツーピア接続の恩恵を受ける他のタイプのメッセージは、ビデオデータまたは多くの帯域幅を必要とする他のデータを含むメッセージである。しかしながら、そのようなビデオメッセージがクライアント22からカメラ10に送信されることは、極めてまれである。
【0039】
メッセージがピアツーピア接続経由で送信される候補ではない場合、メッセージはカメラ制御サービス40に送信され(S160)、メッセージで参照される値、操作、および/または機能が記録される(S162)。次に、メッセージは、通信コントローラ12およびカメラ制御ポート46を経由してカメラ10に送信される(S164)。次に、メッセージがカメラで受信され、メッセージに記述されている値、操作、および/または機能が設定され、更新され、アクティブ化され、または実行される(S166)。
【0040】
メッセージがピアツーピア接続を経由して送信される候補である場合、カメラアクセスポート44は、カメラアクセスポート44と、要求されたカメラ10を表すカメラ制御ポート46との間に確立されたピアツーピア接続があるかどうかをチェックする(S168)。そのようなピアツーピア接続が確立されていない場合、メッセージはカメラ制御サービス40に送信される(S170)。次に、メッセージは、通信コントローラ12およびカメラ制御ポート46を経由してカメラ10に送信され(S164)、メッセージがピアツーピア通信の候補ではない場合と同様に、カメラは、メッセージに記載されている値、動作、および/または機能に作動する(S166)。後者の場合の通信は、2者間のピアツーピア接続がまだ確立されていないか、一時的に失われているため、ピアツーピア通信に関係のない通信に使用されるプロセスに戻る。したがって、優先通信チャネルが存在しない場合でも、メッセージはカメラに届く。
【0041】
しかしながら、メッセージがピアツーピア接続を経由して送信される候補であり、ピアツーピア接続が確立された場合(S168)、メッセージは通信コントローラ26およびカメラアクセスポート44からピアツーピア接続を経由して通信コントローラ12およびカメラ制御ポート46に送信され、次いでカメラに転送される(S172)。次に、カメラはメッセージで受信したデータを処理する(S166)。
【0042】
上記のプロセスによって、システムは、ネットワークレイテンシに敏感なメッセージ、または大きなデータペイロード(例えば、ビデオ)を表すメッセージを、インターネット上のビデオカメラシステム関連サービス34を介した迂回をすることなく、直接接続を経由して転送できる。そのようなシステムサービス34を介した迂回は、あらゆる通信にレイテンシを追加する可能性が高く、そのようなシステムサービス34を通過するデータ転送に関連するコストがある場合、ささいでない追加コストが大量のデータ(例えば、ビデオ)の転送に関連する。しかしながら、システムサービスの多くの利点は、システムサービス34を通過するメッセージと、直接接続、すなわちピアツーピア接続を経由して有利に送信されるメッセージとへの異なるタイプのメッセージの洞察に富んだ分離のために、なおも経験され得る。さらに、システムは、直接接続がまだ確立されていない場合、または直接接続に失敗した場合に、直接接続を経由して送信されることが好ましいメッセージを、サービスシステムを経由して送信できるようにする。このフェイルオーバー手順によって、本発明の実施形態によるシステムは堅牢になり、1つの接続の障害によるデータ損失が起こりにくくなる。
【0043】
ここで、カメラ10がクライアント22にメッセージを送信するプロセスを示す
図4bを参照する。図の例では、カメラが、データの、セットアップの、環境設定の、特定の操作等の要求を受信すると仮定する(S202)。しかしながら、カメラ内においてカメラによって開始されるメッセージタイプがある。次いで、カメラ10は、要求に応答してメッセージを生成し(S204)、通信コントローラ12のカメラ制御ポート46にメッセージを送信する(S206)。カメラ制御ポート46において、メッセージは、それがピアツーピア接続を介した送信の候補であるタイプのメッセージであるかどうかを調べるために、チェックされる(S208)。候補であるかどうかのメッセージのタイプの例は、本明細書で先に述べたとおりである。
【0044】
メッセージがピアツーピア送信の候補ではないと見なされた場合、メッセージはカメラ制御サービス40に送信され(S210)、ここでコンテンツ、例えば、メッセージの、値、パラメータ、確認等が記録される(S212)。次に、メッセージは、通信コントローラ26およびカメラアクセスポート44を経由してクライアント22に転送される(S214)。クライアント22では、メッセージが処理され、データは、受信されたメッセージのタイプおよび実際のペイロードに従って処理される(S216)。
【0045】
ステップS208でのチェック後にメッセージがピアツーピア送信の候補であると見なされる場合、制御ポートは、受信クライアント22への確立されたピアツーピア接続があるかどうかに応じて、2つの異なる経路を経由してメッセージを送信する(S218)。確立されたピアツーピア接続が存在しない場合、メッセージはカメラ制御サービス40に送信され(S220)、次いで、カメラ制御サービスは、通信コントローラ26およびカメラアクセスポート44を経由してクライアント22にメッセージを送信する(S214)。次に、クライアント22はメッセージを処理し、受信されたメッセージのタイプおよび実際のペイロードに従ってデータが処理される(S216)。
【0046】
他方、受信クライアント22への確立されたピアツーピア接続がある場合、メッセージは、ピアツーピア接続を経由し、通信コントローラ26およびカメラアクセスポート44を経由して、クライアント22に送信される(S222)。次に、クライアント22はメッセージを処理し、受信されたメッセージのタイプおよび実際のペイロードに従ってデータが処理される(S216)。
【0047】
次に、クライアントからカメラに送信される指示メッセージに関する通信図を示す
図5を参照する。
図4aに関連して説明したように、クライアント22によって生成され、カメラ10向けの指示メッセージ232が、カメラアクセスポート44に送信され、そこでそのメッセージがピアツーピア接続の候補である指示メッセージではないと判定される。そのような指示メッセージは、ビデオカメラの設定を変更するための指示を含み得る。変更される設定は、例えば、フレームレート設定、開口サイズ、ゲイン等であり得る。次に、通信コントローラ26のカメラアクセスポート44は、メッセージ234をカメラ制御サービス40に送信し、そこで指示メッセージからのデータが記録される。次に、指示メッセージ236は、通信コントローラ12のカメラ制御ポート46に渡され、通信コントローラ12は、指示メッセージ238をカメラ10に送信する。このようにして、カメラ制御サービスは、様々な場所における様々なクライアントからカメラへの容易なアクセスを可能にする。さらに、ビデオカメラシステム関連サービス34は、カメラシステム内の各カメラの認証および認可手順を管理し、カメラの設定を記録する。
【0048】
クライアント22からの指示メッセージがビデオ要求である場合、通信は
図6に示されるようになり得る。いくつかの実施形態においては、ビデオ要求はピアツーピア候補と見なされ、他の実施形態においては、要求はピアツーピア候補とは見なされない。ビデオ要求をピアツーピア候補にしたい場合の1つの例は、レイテンシが問題になる可能性がある場合である。
【0049】
図6の通信は、クライアント22がビデオ要求252をカメラアクセスポート44に送信することで開始される。カメラアクセスポートは、メッセージ、この場合ビデオ要求が、ピアツーピア候補と見なされるタイプのものであるかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、カメラアクセスポートは、ビデオ要求がピアツーピア候補と見なされると判定し、確立されたピアツーピア接続を経由してカメラ制御ポート46にビデオ要求254を送信する。代替実施形態では、ビデオ要求はピアツーピア候補とは見なされず、ビデオ要求255、256は、カメラ制御サービス40を経由してカメラ制御ポート46に送信される。カメラ制御ポート46は、ビデオ要求257をカメラ10に渡す。
【0050】
次に、カメラは、ビデオ要求を処理し、要求されたビデオデータをクライアントに宛てて応答する。次に、ビデオデータ258は、カメラ制御ポート46に送信される。次いで、カメラ制御ポート46は、カメラから送信されたメッセージ内のデータをビデオデータとして識別し、ビデオデータはピアツーピア候補と見なされるため、ビデオデータ260を、ピアツーピア接続を経由してアクセスポート44に送信する。次に、カメラアクセスポートは、ビデオデータ264をクライアントに渡す。
【0051】
ほとんどの場合、クライアントによって要求されたビデオには、単一のメッセージに対して多すぎる情報が含まれているか、または、要求が、要求時にキャプチャされていないデータが含まれているライブビデオデータであるので、他の理由がなくとも複数のメッセージにおいて送信する必要がある。そのため、
図6は、カメラからカメラ制御ポート46に送信されるさらに別のビデオデータメッセージ270を示しており、ビデオデータメッセージ272がカメラアクセスポート44に渡され、次いでビデオデータメッセージ274がクライアントに渡される。連続して送信されるビデオデータメッセージの数は、送信されるビデオデータ量と、各ビデオデータメッセージが伝送できるデータ量によって異なる。さらに、送信されるべきビデオデータ量は、カメラ10がビデオデータ(例えば、ライブビデオの状況での)を配信する時間によっても影響され得る。
【0052】
図6に関連して説明したシナリオでは、ピアツーピア接続が既に確立されているとみなされる。しかしながら、場合によっては、ピアツーピア接続がまだ確立されていないか、何らかの理由で中断されている可能性がある。そのようなシナリオが
図7に示されており、参照符号302によってピアツーピア接続が中断されていることが示されている。クライアント22からのビデオ要求304は、前のシナリオのように、カメラアクセスポート44に送られる。
【0053】
カメラアクセスポート44において、ビデオ要求がピアツーピア候補であると考えられる実施形態のカメラアクセスポート44であるとみなすと、カメラアクセスポート44は、要求されたカメラ10へのピアツーピア接続がないことを検出し、そのため、ビデオ要求306をカメラ制御サービス40に送信する。次いで、カメラ制御サービスはカメラ制御ポート46にビデオ要求308を渡し、次に、カメラ制御ポート46はビデオ要求310をカメラ10に送信する。
【0054】
ビデオ要求に応じて、カメラ10は、ビデオメッセージ312を生成し、カメラ制御ポート46に送信する。ピアツーピア接続がないという事実のため、ビデオデータを含むメッセージを、ピアツーピア接続経由で送信することはできない。カメラ制御ポート46はこれを認識し、ビデオデータメッセージ314をカメラ制御サービス40に送信する。カメラ制御サービス40は、ビデオデータ316を通信コントローラ26およびそのカメラアクセスポート44に渡す。ビデオデータ318は、次に、カメラアクセスポート44からクライアント22に送信され、そこで処理され、場合によっては表示される。連続したビデオデータメッセージの通信は、ピアツーピア接続が確立されない限り、ビデオデータ312、314、316、318を参照して説明したものと同一になる。
【0055】
参照符号320は、ピアツーピア接続の再確立または確立を示す。また、ピアツーピア接続の再確立の後にカメラから送信されたビデオデータ322は、以前のようにカメラ制御ポート46に送信される。しかしながら、次いで、カメラ制御ポート46は、ピアツーピア接続が確立されたことを認識し、ビデオデータ324をピアツーピア接続経由でカメラアクセスポート44に送信する。次に、ビデオデータ326は、処理のために、カメラアクセスポート44からクライアントに送信される。ピアツーピア接続の再確立後に送信されるビデオデータは、ピアツーピア接続が再び失われるか、データがなくなるまで、ビデオデータメッセージ322、324、および326に従って送信される。
【0056】
図8では、いくつかの実施形態によるシステムのデバイス間の接続のより通信に焦点を合わせた図が描かれている。
図1および2に関連して前述したように、システムは、カメラ10、通信コントローラ12、カメラ制御ポート46、クライアント22、通信コントローラ26、カメラアクセスポート44、およびビデオカメラシステム関連サービス34を含む。ビデオカメラシステム関連サービス34は、これらのサービス34がクラウドサービスとして、またはビデオカメラシステム関連サービス専用のサーバー上で実施できることを示すクラウドシンボル内に提供され、両方とも
図1に関連して説明される。
【0057】
各通信コントローラとビデオカメラシステム関連サービス34との間の通信経路402および404は、各通信コントローラのセットアップ中に確立され、また、システムがビデオカメラシステムの標準サービスに加えてビデオカメラシステムに関連する拡張サービスを提供できるようにする。
【0058】
ピアツーピア接続406は、クライアント22がカメラ10へのアクセスを要求した時点から可能な場合に確立される。ピアツーピア接続406は、2つの通信コントローラの間の、またはカメラ10とクライアント22との間の、それぞれにおける直接接続である。ピアツーピア接続406のセットアップは、前述のように、いわゆる「ホールパンチング」によって実現され得る。ホールパンチングのプロセスは、クライアント22がカメラ10へのアクセスを要求するとすぐに開始することができる。ピアツーピア接続406が確立されていない間、ビデオカメラシステム関連サービス34を経由してすべての通信が中継される。したがって、通信コントローラ12、26は、転送されるメッセージ内で検出された特定の通信に対して、クライアントとカメラの間の所望の経路、多くの場合、最適な経路に通信を向けるインテリジェントリレーとして機能する。
【0059】
ビデオカメラシステム関連サービスをクラウドサービスとして、またはビデオカメラシステム関連サービス専用のサーバーに実施する利点は、クラウドサービスまたはサーバーが単一のクライアントよりも高い処理能力を持つことである。さらに、セキュリティ機能、例えば認証手順および認可手順は、システム内で共有し得る。さらに、カメラのシステムへのアクセスが容易になる。しかしながら、このビデオカメラシステム関連サービス34は、クライアント22とカメラ10との間で(その逆も同様)送信されるデータトラフィックの追加処理を導入する。この余分な処理により、レイテンシが発生し、それによって、一部の操作(例えば、パン、チルト、ズーム)の品質が低下し、一部の操作の制御が非常に困難になる場合があり得る。さらに、クラウドサービスまたは専用サーバーの実施は、カメラとビデオカメラシステム関連サービス間およびクライアントとビデオカメラシステム関連サービス間で送受信されるデータトラフィックのコストに関連している場合があり得る。モーションビデオには大量のデータが必要であるため、ビデオカメラシステム関連サービスを経由して送信するのに非常に費用がかかるリスクがある。これらのケースおよび言及されていない他のケースでは、ネットワーク上のサービス機能よりも直接接続を経由してメッセージを送信する方が有利である。
【0060】
上記の説明は、クライアントが単一のビデオカメラを通信、アクセス、および制御する状況に焦点を当てている。しかしながら、クライアントは、複数のカメラの通信、アクセス、および制御を要求する場合があり得る。このような場合、カメラアクセスポートは各カメラのクライアントの通信コントローラ内に構成され、各カメラアクセスポートは、ビデオカメラの通信コントローラ内における、対応するビデオカメラのカメラ制御ポートと通信するように配置される。
【符号の説明】
【0061】
10 ネットワークビデオカメラ
12 ビデオカメラに配置された通信コントローラ
16 ワイドエリアネットワーク(WAN)
22 クライアント
26 クライアントに配置された通信コントローラ
38 ユーザー認可サービス
40 カメラ制御サービス
44 カメラアクセスポート
46 カメラ制御ポート
406 ピアツーピア接続