(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】管要素を給送するための装置、削岩リグ、およびドリル孔開口を支持する方法
(51)【国際特許分類】
E21B 23/00 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
E21B23/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019218519
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピッポーネン, ユハ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェリヴァアラ, ヨハンネス
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-292762(JP,A)
【文献】特開平09-303075(JP,A)
【文献】国際公開第2013/098459(WO,A1)
【文献】特表2002-541370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル孔(9)の内部に管状オブジェクトを給送するための装置(8)であって、装置(8)は、
幾つかの連続する管インサート(14)のための容量を有する細長い管要素ブランク(25)を支持するための支持デバイス(SD)と、
前記ドリル孔(9)の底部に向かって、制限された長手方向寸法だけ延在する保護セクションを提供するために、前記管要素ブランク(25)の前端部分をドリル孔(9)の内部で長手方向に移動させるための給送デバイス(26)と、
前記管インサート(14)を、前記管要素ブランク(25)から1つずつ取り外すための分離デバイス(S)と
を備え
、
前記支持デバイス(SD)は、ロッド様構成を有する少なくとも1つの管要素ブランク(25)のための支持を提供するための支持要素(30)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記分離デバイス(S)は、切削デバイス(27)であり、前記切削デバイス(27)は、前記管インサート(14)を、前記管要素ブランク(25)から所望の長さで切削するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管要素ブランク(25)は屈曲可能材料で作られ、
前記支持デバイス(SD)は回転リール(24)を備え、前記回転リール(24)上で、前記管要素ブランク(25)は巻回状態で格納され、
前記給送デバイス(26)は、所望の長さの前記管要素ブランク(25)を前記
回転リール(24)から繰り出しするように構成され、
前記分離デバイス(S)は、前記管インサート(14)を、前記管要素ブランク(25)から切削するように構成される切削デバイス(27)である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持デバイス(SD)は、非金属材料で作られた前記管要素ブランク(25)
を支持するように構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記分離デバイス(S)は、
最大長が1000mmである管インサート(14)を取り外すように構成され
ることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記給送デバイス(26)は、長手方向フィード移動を生成するための少なくとも1つの圧力媒体操作式シリンダーを備え、
装置(8)は、少なくとも1つの把持デバイスを備え、前記少なくとも1つの把持デバイスは、前記給送デバイス(26)に位置し、前記管要素ブランク(25)または前記取り外された管インサート(14)を把持するように構成される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
装置(8)の動作は少なくとも1つの制御ユニット(CU)によって自動的に制御されることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
削岩リグ(1)において、
可動キャリア(2)と、
少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、
前記掘削ブーム(3)の遠位端部分にある掘削ユニット(4)であって、フィードビーム(5)および前記フィードビーム(5)上で可動に支持される削岩機(6)を備える、掘削ユニット(4)と、
ドリル孔(9)の内部に管状オブジェクトを給送するための装置(8)とを備える、削岩リグ(1)であって、
前記管状オブジェクトは、幾つかの連続する管インサート(14)のための容量を有する管要素ブランク(25)からドリル孔(9)において分離される管インサート(14)であり、
装置(8)は、請求項1から
7のいずれか一項に記載の装置であり、前記ドリル孔(9)の口部部分を覆うだけのために前記管インサート(14)を挿入するように構成される
ことを特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項9】
装置(8)は、前記掘削ユニット(4)と接続して搭載されることを特徴とする、請求項
8に記載の削岩リグ(1)。
【請求項10】
装置(8)は、掘削ブーム(3)から離れた専用ブーム上に搭載されることを特徴とする、請求項
8に記載の削岩リグ(1)。
【請求項11】
ドリル孔(9)の口部開口(15)を支持する方法において、
前記ドリル孔(9)の内部に管インサート(14)を部分的に挿入し、前記管インサート(14)の前端を前記ドリル孔(9)の前記口部
開口(15)から制限された距離だけ延出させることを含む、方法であって、
前記管インサート(14)を長手方向に移動させるための給送デバイス(26)を備える装置(8)によって前記管インサート(14)を挿入すること、および、
幾つかの連続する管インサート(14)用の材料を含む管要素ブランク(25)から前記管インサート(14)を前記ドリル孔(9)において取り外すこと
を特徴と
し、
前記装置(8)は、前記管要素ブランク(25)を支持するための支持デバイス(SD)を備え、前記支持デバイス(SD)は、ロッド様構成を有する少なくとも1つの管要素ブランク(25)のための支持を提供するための支持要素(30)を備えることをさらに特徴とする、方法。
【請求項12】
所望の長さを有する管インサート(14)を、前記管要素ブランク(25)から切削することを特徴とする、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記管要素ブランク(25)の前端が前記ドリル孔(9)の内部に挿入された後に、前記管インサート(14)を取り外すことを特徴とする、請求項
11または
12に記載の方法。
【請求項14】
掘削パターンの幾つかのドリル孔(9)のための支持を配置するときに、前記管要素ブランク(25)を幾つかの個々の管インサート(14)に切削することを特徴とする、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリル孔の内部に管状要素を給送するために意図される装置に関係する。給送される管状要素の目的は、崩壊に抗するドリル孔開口のための、また、掘削切削物が直前に掘削した孔に入ることを防止するための支持を提供することである。
【0002】
本発明は、削岩リグおよび方法にさらに関係する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項のプリアンブルにおいてより具体的に規定される。
【背景技術】
【0004】
鉱山、建設現場において、また、他の作業エリアにおいて、異なるタイプの削岩リグが、岩盤表面に対してドリル孔を掘削するために使用される。削岩リグは1つまたは複数のブームを備え、削岩ユニットはドリル孔を掘削するためにブームの遠位端に配置される。通常、掘削された孔は、或るラウンドの全てのドリル孔が掘削された後に、爆発物を、掘削された孔の内部に挿入することによって装填される。しかしながら、掘削中に、掘削切削物が形成され、掘削切削物は、既に掘削された孔の開口を閉塞させる場合があり、またそうでなければ、装薬の給送を妨害する場合がある。今日、管状要素は、ドリル孔を保護するためにドリル孔口部の内部に手作業で搭載される。管要素を給送するための本解決策は、ゆっくりであり、身体的なオペレータの関与を必要とする。
【0005】
本発明の目的は、ドリル孔開口の内部に保護用管インサートを挿入するための新規でかつ改良された装置および方法を提供することである。さらなる目的は、述べた装置および方法を実装する新規でかつ改良された削岩リグを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明による装置は、第1の独立した装置の請求項の特徴付け機能によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による削岩リグは、第2の独立した装置の請求項の特徴付け機能によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、独立した方法の請求項の特徴付け機能およびステップによって特徴付けられる。
【0009】
開示される解決策の考えは、ドリル孔の内部に管状オブジェクトを部分的に給送するための装置、ならびに、開示されるフィード手段を備える削岩リグが導入されることである。装置は、幾つかの連続する管インサートのための潜在能力または容量を含む細長い管要素ブランクを支持するための支持デバイスを備える。管要素ブランクの前端は、給送デバイスによってドリル孔の内部で長手方向に移動する。それにより、ドリル孔は、ドリル孔の底部に向かって、制限された長手方向寸法だけ延在する保護セクションを提供される。装置は、上記管インサートを、管要素ブランクから1つずつ取り外すための分離デバイスをさらに備える。管インサートはドリル孔の外に部分的にあるままである。
【0010】
開示される解決策の利点は、オペレータが掘削サイトで手作業による搭載を行う必要がもはやないため、装置の使用が安全性を改善することである。搭載プロセスならびに全体の掘削フェーズは、同様に迅速化される。さらに、管インサートの給送は、ドリル孔の掘削フェーズ直後に実行することができ、それにより、ドリル孔開口は、絶えず保護される。
【0011】
開示される解決策のさらなる利点は、幾つかの別個の管インサートをハンドリングする代わりに、管要素ブランクが利用されると、管インサートのハンドリングが容易になることである。1つの単一の長手方向エンティティの管要素ブランクは、単純かつ頑健な支持および給送手段によってハンドリングすることができる。
【0012】
一実施形態によれば、開示される装置の分離デバイスは、管要素ブランクの前端部分がドリル孔に挿入された後に、遠位管インサートを取り外すように構成される。
【0013】
一実施形態によれば、管要素ブランクは、支持目的のためにそれなりに使用されるのではなく、幾つかの別個のピースに分割される。
【0014】
一実施形態によれば、開示される装置の分離デバイスは、給送デバイスによってドリル孔に給送される前に、管要素ブランクの前端部分から管インサートを取り外すように構成される。
【0015】
一実施形態によれば、管要素ブランクは、少なくとも5つの連続する管インサートのための材料を含む。しかしながら、含まれる連続する管インサートの数は、より多く、例えば、10~30であってよい。
【0016】
一実施形態によれば、開示される装置の分離デバイスは、切削デバイスであり、切削デバイスは、管要素ブランクから所望の長さを有する管インサートを切削するように構成される。この実施形態において、所望の長さを有する管インサートは、幾つかの連続する管インサートのための容量を有する管要素ブランクから切削され得る。
【0017】
一実施形態によれば、上記管要素ブランクは、穿孔、部分切削部、または溝などの、幾つかの予備成形された弱化部分を備え、それにより、管要素ブランクは、分離デバイスによって1つずつ分離することができる、幾つかの予め設計された管インサートまたは管要素セクションを備える。分離デバイスは、最も外の管インサートまたは要素セクションに長手方向力を方向付けるように構成することができ、最も外の管インサートまたは要素セクションは、その後、予め設計された弱化セクションにおいて分離されることになる。弱化セクションのおかげで、分離を、妥当な力で行うことができる。代替的に、分離デバイスは、最も外の管インサートまたは要素セクションに横方向力を方向付けて、そのセクションを取り外す。例えば、弱化セクションは、管要素ブランクの外側表面上に溝を備えることができる、または、弱化セクションは、幾つかの横方向貫通孔を備えることができる。装置は、必要とされる分離力を伝達するために、適した把持要素、顎部、および保持デバイスを備えることができる。
【0018】
一実施形態によれば、管要素ブランクは、結合要素または長手方向結合媒体によって互いに接続された、幾つかの予備成形された連続する管インサートまたは要素を備えることができる、または代替的に、予備成形されたインサートまたは要素は、部分的に一方のものを他のものの内部に入れて配置することができるため、ワンピースでハンドリングされ得る管インサートまたは要素ブランクを共に形成する。分離デバイスは、分離力を最も外の管インサートに方向付けることができ、第2の管インサートを不動に保持することができ、それにより、最も外の管インサートが取り外される。幾つかの別個の管インサートまたは要素は、互いに接続されると、ワンピースとして格納され、給送され、ハンドリングされ得る1つの単一ピースを共に形成する。
【0019】
一実施形態によれば、管要素ブランクは、屈曲可能材料で作られ、比較的長い場合がある。そのような管要素ブランクをハンドリングするために、開示される装置の支持デバイスは回転リールを備える。管要素ブランクを、リール上で、巻回状態で格納することができる。リールおよび巻回された管要素ブランクは、ほんのわずかな空間を占める。開示される装置の給送デバイスは、リールから管要素ブランクの所望の長さを巻き戻すように構成される。巻き戻し(unwinding)が繰り出し(reeling out)としても知られていることを述べておく。分離デバイスは、管インサートを、管要素ブランクから切削するように構成される切削デバイスであることができる。
【0020】
一実施形態によれば、開示される装置の切削デバイスはギロチンカッターである。ギロチンタイプ切削デバイスの動作は、管要素ブランクに対して横方向に可動の少なくとも1つの切削ブレードに基づく。
【0021】
一実施形態によれば、開示される装置の切削デバイスの動作は、回転研磨ディスクに基づく、または、円形ソーブレードなどの、他の切り屑除去機械の解決策を利用することによる。
【0022】
一実施形態によれば、管要素ブランクはホースである。
【0023】
一実施形態によれば、管要素ブランクは非金属材料で作られる。
【0024】
一実施形態によれば、管要素ブランクは弾性材料で作られる。
【0025】
一実施形態によれば、管要素ブランクは、プラスチック材料、ゴム材料、または他の軽量材料で作られる。さらなる代替法は、繊維強化プラスチック材料を使用することである。
【0026】
一実施形態によれば、管要素ブランクは、油圧または空気圧ホースである。圧力媒体システムのために意図されるホースは、屈曲可能であるが、依然として比較的頑丈であるため、掘削される孔へのホースの給送は容易である。
【0027】
一実施形態によれば、管要素ブランクは可撓性または弾性材料で作られる、または、管要素ブランクは屈曲可能構造構成を有する。後者の場合、管要素ブランクは、強固材料で作られるが、屈曲を可能にする構造または設計を提供される可撓性鋼管であることができる。
【0028】
一実施形態によれば、分離デバイスは、管インサートを取り外すように構成され、管インサートの最大長は1000mmである。そのため、搭載される管インサートは、部分的にだけドリル孔を覆う。
【0029】
一実施形態によれば、管インサートの典型的な長さは500mm未満である。
【0030】
一実施形態によれば、装置は、管インサートの長さが、特にドリル孔に応じて選択されることを可能にする。その後、オペレータまたは制御ユニットは、インサート管または管要素の長さをケースバイケースで選択することができ、分離デバイスを相応して制御することができる。崩壊する場合がある土層が存在する場合、より長い長さを選択することができ、主要な目的が、掘削切削物および表面上の他の緩い土がドリル孔に入ることを防止することであるとき、より短い管インサートまたは管要素の使用が適切である場合がある。
【0031】
一実施形態によれば、開示される装置の給送デバイスは、長手方向フィード移動を生成するために少なくとも1つの圧力媒体操作式シリンダーを備える。さらに、装置は、少なくとも1つの把持デバイスを備え、少なくとも1つの把持デバイスは、給送デバイスに位置し、管要素ブランクまたは取り外された管インサートを把持するように構成される。把持デバイスは、例えば、顎部、グリップ、保持デバイス、または可動支持表面を備える他の配置構成を備えることができる。
【0032】
一実施形態によれば、開示される装置の給送デバイスは、ドリル孔の長手方向に制限された口部部分のための保護セクションをドリル孔に提供するために、細長い管要素ブランクの前端部分をドリル孔の内部で長手方向に部分的に移動させるように構成される。
【0033】
一実施形態によれば、開示される装置の給送デバイスは、予め取り外された管インサートをドリル孔の内部で部分的に移動させるように構成される。
【0034】
一実施形態によれば、開示される装置の支持デバイスは、ロッド様構成を有する少なくとも1つの管要素ブランクのための支持を提供するために支持要素を備える。支持要素を、例えば、フィードビームの側部に搭載することができる。
【0035】
一実施形態によれば、開示されるロッド様管要素ブランクは、連続ピースであることができ、装置は、所望の長さを有する管インサートを形成するために切削デバイスを備えることができる。代替的に、ロッド様管要素ブランクは、幾つかの予備成形された弱化セクションを備えることができ、分離デバイスは、管インサートを取り外すためにブランクに分離力を方向付けるように構成される。
【0036】
一実施形態によれば、開示される装置の動作は、少なくとも1つの制御ユニットによって制御される。制御ユニットは、その目的のために設計されたコンピュータプログラム製品を実行するためのプロセッサを備えることができる。
【0037】
一実施形態によれば、開示される装置は、制御ユニットの制御下で自動的に制御される。
【0038】
一実施形態によれば、開示される装置の動作は半自動である。そして、動作は、オペレータと制御ユニットとの間の協働下で制御される。
【0039】
一実施形態によれば、上記制御ユニットは、掘削ブームを同様に制御することができる、または、掘削ブームを制御する別の制御ユニットと通信することができるため、装置は、少なくとも掘削位置と管挿入位置との間で移動することができる。
【0040】
一実施形態によれば、解決策は、ドリルおよび発破掘削(drill and blast excavation)法を実装するときの、ドリル孔を岩盤表面に掘削するために意図される削岩リグに関係する。リグは、可動キャリアおよび少なくとも1つの掘削ブームを備える。掘削ブームは掘削ユニットを備え、掘削ユニットは、フィードビームおよびフィードビーム上で可動に支持される削岩機を備える。リグは、掘削されるドリル孔の内部に管状オブジェクトを給送するための開示される装置をさらに備える。上記管インサートは、幾つかの連続する管インサートのための容量または潜在能力を有する管要素ブランクからドリル孔において分離される。装置は、ドリル孔の口部部分を覆うだけのために上記管インサートを挿入するように構成される。
【0041】
一実施形態によれば、開示される装置は、掘削ユニットと接続して搭載される。
【0042】
一実施形態によれば、開示される装置は、掘削ユニット上で支持されるため、管インサートを給送する期間の間、掘削中心上に割り出され得る。その後、管インサート給送は、たった今掘削されているドリル孔から掘削ブームを引き離すことなく実行することができる。
【0043】
一実施形態によれば、開示される装置を、フィードビームの側部に固定して支持することができる。その後、掘削ユニットは、掘削後に横方向に移動して、装置をドリル孔の口部に位置決めし、その後、管インサートの給送を行うことができる。掘削ブームおよび掘削ユニットの移動を制御することは、制御ユニットの制御下で自動的に実行することができる。そのため、いわゆるデータ制御を実装することができる。
【0044】
一実施形態によれば、開示される装置は、掘削ブームから離れた専用ブーム上に搭載される。
【0045】
一実施形態によれば、配置構成は、幾つかのドリル孔の掘削を実行する1つまたは複数の掘削ブームを備え、開示される装置を装備する別個の補助ブームは、別個のフェーズで管インサートを挿入するように構成される。そのため、削岩リグは、掘削および管挿入のための専用ブームを備えることができる。
【0046】
一実施形態によれば、開示される解決策は、ドリル孔の口部開口を支持する方法に関係する。方法は、掘削された孔の内部に比較的短い管要素または管インサートを部分的に挿入するように配置される。方法は、以下のステップおよび機能を含み、以下のステップおよび機能は、管インサートを長手方向に移動させるための給送デバイスを備える装置によって管インサートを挿入すること、および、幾つかの連続する管インサート用の材料を含む管要素ブランクから、管インサートケーシング管をドリル孔において取り外すことである。
【0047】
一実施形態によれば、開示される方法は、1つの単一ピースまたはエンティティとして管要素ブランクをハンドリングし格納することをさらに含む。
【0048】
一実施形態によれば、開示される方法は、所望の長さを有する管インサートを管要素ブランクから切削することをさらに含むことができる。
【0049】
一実施形態によれば、開示される方法は、管要素ブランクの前端がドリル孔の内部に挿入された後に、管インサートを取り外すことをさらに含むことができる。
【0050】
一実施形態によれば、開示される方法は、給送方策の前に、管インサートを取り外すことをさらに含むことができる。
【0051】
一実施形態によれば、開示される方法は、屈曲可能非金属管を細長い管要素ブランクとして使用することを含むことができる。管要素ブランクは、掘削パターンの幾つかのドリル孔のための支持を配置すると、幾つかの個々の管インサートになるよう切削される。
【0052】
一実施形態によれば、開示される解決策は、装填または他のドリル孔仕上げ方策が行われた後でかつそのラウンドの発破の前に、使用される管インサートを収集またはピックアップするための、手段、ステップ、および制御コードを備える。収集される管インサートは、場合によっては再使用することができる。装置または削岩ユニットは、管インサートを収集するための把持システムまたはマニピュレータおよび管インサート格納部を備えることができる。代替的に、収集システムは、掘削ブーム以外のブーム上に配置することができる。
【0053】
さらに、以下で、開示される管インサートおよびそれらの搭載プロセスが、オイルおよびガス解決策で使用されるケーシング管と明確に異なることを示す幾つかのさらなる関心事および機能が開示される。上記オイルおよびガス産業において、互いに接続され、ドリルの口部から底部まで延在し、ドリル孔の内部に全体が存在する幾つかの連続するケーシング管が利用される。
- 搭載される管インサートは、搭載された後に、ドリル孔から出て長手方向距離に延在する。その後、突出する管インサートは、掘削切削物、土、水、および他の流体材料が側方に流れ、ドリル孔に入ることを防止する。インサート管または管要素の外方に延在する部分は、ドリル孔を効果的に保護し得る隆起縁または表面を形成する。さらに、インサート管または管要素の突出部分は、ドリル孔のために装填方策を実行するオペレータがドリル孔の口部を発見することを改善する物理的ビジュアルマークとして同様に役立つ。
― 管インサートの両端は、接続要素が全くなく、かつ、任意の他の管または他のドリル孔要素に結合されない状態で自由である。
― 管インサートは、締結手段がない。そのため、管インサートは、岩盤表面、ドリル孔、または任意の他の物理的オブジェクトに締結されない。換言すれば、管インサートは緩い搭載原理を実装し、なぜならば、管インサートが、例えば、ドリル孔の口部部分に内部に挿入されるだけであり、その後、摩擦を利用して、その位置を自動的に維持するからである。
― 管インサートの長さは、ドリル孔の長さより短く、それにより、管インサートは、ドリル孔の口部からドリル孔の底部に向かって制限された距離だけ延在する。換言すれば、管インサートはドリル孔を部分的にだけ覆う。
- 管インサートは、その端に、内側または外側結合ねじ表面などの接続手段がない。これは、単に、管インサートが任意の他の管インサートまたはコンポーネントに接続されることを意図されないからである。換言すれば、管インサートは、スタンドアローンコンポーネントまたは独立コンポーネントである。
【0054】
上記で開示される実施形態は、組み合わされて、必要とされる上記機能のうちの機能を有する適した解決策を形成することができる。
【0055】
幾つかの実施形態が、添付図面においてより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】管インサートを給送するための装置を備える削岩リグの略側面図である。
【
図2a】本解決策に関係する3つの連続するフェーズのうちの1つのフェーズを示す略図であり、そのフェーズは掘削である。
【
図2b】本解決策に関係する3つの連続するフェーズのうちの1つのフェーズを示す略図であり、そのフェーズは管インサート給送である。
【
図2c】本解決策に関係する3つの連続するフェーズのうちの1つのフェーズを示す略図であり、そのフェーズは発破材料の装填である。
【
図3a】掘削ユニットの長手方向に見られる略図であり、開示される装置を掘削される孔に対して移動させる3つの異なる可能性のうちの1つの可能性を示す。
【
図3b】掘削ユニットの長手方向に見られる略図であり、開示される装置を掘削される孔に対して移動させる3つの異なる可能性のうちの1つの可能性を示す。
【
図3c】掘削ユニットの長手方向に見られる略図であり、開示される装置を掘削される孔に対して移動させる3つの異なる可能性のうちの1つの可能性を示す。
【
図4a】削岩ユニットおよび管インサートを給送するための側部搭載式装置の略上面図である。
【
図4b】ホース様管インサートを提供されたドリル孔開口を示す略側面図である。
【
図5】代替の削岩ユニットおよび管インサートを給送するための配置構成の略上面図である。
【
図6】ドリル孔開口を支持する幾つかの原理を示すダイアグラムである。
【
図7】管要素ブランクの幾つかの機能を示すダイアグラムである。
【
図8】管インサートが連続で均一な管要素ブランクから切削される配置構成の略図である。
【
図9】第1の管インサートに対する長手方向力の作用を受けることによって、管インサートが連続で均一な管要素ブランクから分離される配置構成の略図である。
【
図10】管インサートがロッド様管要素ブランクから切削される配置構成の略図である。
【
図11】第1の管インサートに対する長手方向力の作用を受けることによって、管インサートがロッド様管要素ブランクから分離される配置構成の略図である。
【
図12】ロッド様管要素ブランクのための支持を提供するために、開示される装置の支持システムが削岩ユニットの側部に搭載される配置構成の略上面図である。
【
図13】幾つかのロッド様管要素ブランクのための支持を提供するために、マガジンが削岩ユニットの側部に搭載される配置構成の略上面図である。
【
図14】切削手段によって取り外し可能である幾つかの管インサートのための潜在能力を含む細長いロッド様管要素ブランクの略図である。
【
図15】所定の分離ロケーションにおいて互いから分離可能である幾つかの管インサートのための潜在能力を含む細長いロッド様管要素ブランクの略図である。
【
図16】同心形状を有する幾つかの予備成形された管インサートを備える細長い管要素ブランクの略図であり、別個の管インサートが互いに接続され、連続する管インサートが互いの内部に部分的に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
明確にするために、図は、開示される解決策の幾つかの実施形態を単純な方式で示す。図において、同様の参照数字は同様の要素を特定する。
【0058】
図1は削岩リグ1を示す。削岩リグ1は、可動キャリア2およびキャリア2に接続された少なくとも1つのブーム3を備える。ブーム3の遠位端部分に、掘削ユニット4が存在する。掘削ユニット4は、フィードビーム5およびフィードビーム5上に支持される削岩機6を備えることができる。削岩機6は、工具7を回転させるための回転ユニットRを備えることができる。削岩機は、トップハンマータイプ機械であることができ、工具のドリルビットのために衝撃パルスを発生するための衝撃デバイスを備えることができる。削岩ユニット4は、管インサートを、掘削されるドリル孔に給送するための装置8をさらに備えることができる。装置8は、管インサートに関係する材料およびオブジェクトを、ハンドリングし、支持し、格納し、給送し、取り外すことが可能であることができる。これらの関心事は、上記で既に論じられており、以下のより詳述される図に関連して簡潔に論じられる。
【0059】
削岩リグ1ならびに関連するデバイスおよび装置が、制御ユニットの制御下でまたは制御ユニットの助けを借りて制御することができることをさらに述べておく。
【0060】
図2aは、最初に、ドリル孔9が岩盤表面に対して掘削されることを開示する。掘削中に、岩質材料は除去され、掘削切削物12は、ドリル孔9から外にフラッシングされる。掘削方向は参照Aで示され、逆方向はBとして示される。
【0061】
図2bは、管挿入13を開示し、管挿入13において、比較的短い長さを有する管インサート14が、掘削される孔9の内部に部分的に挿入される。その後、管インサート14は、ドリル孔9の口部部分または開口15を覆う。ドリル孔9の残りの部分は任意の管インサートと共にある。見られ得るように、管インサート14は、掘削切削物12がドリル孔開口15に入ることを防止する。さらに、管インサート14は、岩質材料がドリル孔9の上側部分において緩いまたは弱い16場合の崩壊に抗する支持をドリル孔開口15に提供することができる。管インサート14の部分L2は、ドリル孔9の外側にあるままであることができ、部分L1のみがドリル孔9の内部に挿入される。部分L2は、通常、挿入される部分L1より長い。しかしながら、参照数字17で示すように、状況は、必要性に応じて選択することができる。
【0062】
図2cは、装填フェーズ18を開示し、装填フェーズ18において、爆発物または装薬19が、管インサート14の中央開口20を通してドリル孔9の底部に対して挿入される。装薬を発破するためのワイヤリング21は、開口20を介して配置することができる。
【0063】
図3a~2cは、削岩ユニット4を示し、削岩ユニット4は全て、フィードビーム5、削岩機6を備えると共に、管インサートを給送するための装置8を備える。
【0064】
図3aにおいて、装置8は、支持要素22によってフィードビーム5の側部表面上に搭載される。ドリル孔が掘削された後、水平移送HT(:horizontal transfer)が実行されて、装置8のフィード中心FC(:feed center)を初期掘削中心DC(:drilling center)まで移動させ、それにより、管インサートのドリル孔の内部への給送を可能にする。
【0065】
図3bにおいて、装置8は、削岩機に対してフィードビーム5の反対側に搭載され、フィード中心FCは、垂直移送VT(:vertical transfer)によって掘削中心DCの位置まで移動する。
【0066】
図3cにおいて、回転移送RT(:rotation transfer)が利用されて、装置8をドリル孔に移動させる。削岩ユニット4は、転回継手23に対してシステムを転回させるように構成される転回アクチュエータを備える転回配置構成を備えることができる。
【0067】
図4aは、削岩ユニット4および管インサート14を給送するための側部搭載式装置8を開示する。装置8は、可撓性管要素ブランク25を格納しハンドリングするためにリール24を備え、可撓性管要素ブランク25を、給送デバイス26によってドリル孔9に給送することができる。フィードビーム5の前端部分において、管要素ブランク25の残りの部分から管インサート14を分離するための切削デバイス27が存在することができる。開示される解決策において、掘削ユニット4は、掘削後に、掘削中心DCから離れて移送される必要があるのではなく、代わりに、管挿入を、側部から実行することができる。掘削ユニット4は、管挿入プロセスを容易にするために或る距離の間、反転することができる。
【0068】
図4bは、ホース様管インサート14を提供されたドリル孔開口15を開示する。管インサート14は、所望の長さを有する圧力媒体ホースであることができる。
【0069】
図5は、
図4aに示す削岩ユニットと比較して代替の削岩ユニット4を開示する。この解決策において、掘削ユニット4は、フィードビーム5の一番前の端から距離Dのところにフロント工具支持体28を備える。そして、掘削工具7は、管インサート15給送を容易にするために方向Bに反転することができる。
【0070】
図6は、ドリル孔開口を支持する幾つかの原理を開示する。開示される関心事は、本文書において上記で既に論じられている。
【0071】
図7は、管要素ブランクの幾つかの機能を開示する。留意され得るように、実装される幾つかの代替法が存在する。
【0072】
図8は、装置8を開示し、装置8において、管インサートは、切削デバイス27によって連続で均一な管要素ブランク25から切削される。幾つかの代替の切削原理29が同様に導入される。
【0073】
図4a、
図5、および
図8において、切削デバイス27は分離デバイスSとして利用される。
【0074】
図9は、異なるタイプの分離デバイスSを備える装置8を開示する。この解決策において、管インサート14は、第1の管インサートに対する長手方向力の作用Fを受けることによって、連続で均一な管要素ブランク25から分離される。管要素ブランク25は、分離ポイントを規定するために弱化セクションWを備える。
【0075】
図10は、ロッド様管要素ブランク25から管インサート14を切削または共有するように構成される装置8を開示する。
【0076】
図11は、ロッド様管要素ブランク25から弱化部分Wにおいて管インサート14を分離するように構成される装置を開示する。分離デバイスは第1の管インサート14に対する長手方向力の作用を受ける。
【0077】
図12は、ロッド様管要素ブランク25のための支持を提供するために、フィードビーム5の側部に搭載される2つ以上の支持用突出部30を備えることができる支持システムまたはデバイスSDを備える装置8を開示する。グリップおよびホールドアームなどの他のタイプの支持デバイスを同様に実装することができる。
【0078】
図13は、幾つかのロッド様管要素ブランク25を格納し、そのための支持を提供するために、装置8がマガジンMを備えることができることを開示する。
【0079】
図4a、
図5、
図7、および
図8において、リール24が支持デバイスSDとして役立つことができることを述べておく。
【0080】
図14は、幾つかの管インサート14のための潜在能力を含む細長いロッド様管要素ブランク25を開示する。立証されるように、異なる長さを有する管インサート14a、14bを切削することができる。
【0081】
図15は、所定の分離ロケーションまたは弱化セクションWにおいて互いから分離可能である幾つかの管インサート14のための潜在能力を含む細長いロッド様管要素ブランク25を開示する。
【0082】
図16は、同心形状を有する幾つかの予備成形された管インサート14を備える細長い管要素ブランク25を開示し、別個の管インサート14が、それらの構造または形状によって互いに接続される。そして、連続する管インサート14は互いの内部に部分的に配置することができる。
【0083】
図面および関係する説明は、本発明の考えを示すことを意図されるだけである。その詳細において、本発明は、特許請求項の範囲内で変動する場合がある。