(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/245 20060101AFI20231207BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231207BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20231207BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231207BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231207BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231207BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20231207BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231207BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20231207BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A61K31/245
A61K47/22
A61K47/06
A61K9/10
A61P29/00
A61K8/41
A61K8/49
A61K8/31
A61K8/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019236394
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】井上 喬允
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-285852(JP,A)
【文献】特開2017-048144(JP,A)
【文献】特開2011-256292(JP,A)
【文献】特開2011-148716(JP,A)
【文献】特開2004-250330(JP,A)
【文献】特開2006-306734(JP,A)
【文献】特開2004-250423(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104224691(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 29/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 19/00-19/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウフェナマート、(B)N-メチル-2-ピロリドン、(C)液状炭化水素、及び(D)水を含有する外用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分1重量部当たり、前記(C)成分が0.1重量部以上含まれる、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
前記(C)成分1重量部当たり、前記(D)成分が10重量部以上含まれる、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
前記(D)成分の含有量が60重量%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項5】
界面活性剤の含有量が0.1重量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
(A)ウフェナマート、(C)液状炭化水素、及び(D)水を有する外用組成物において、(B)N-メチル-2-ピロリドンを配合する、外用組成物の分散化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウフェナマートを含有し、水相及び油相相互の混ざりやすさが向上した外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウフェナマートは、医薬品の非ステロイド系抗炎症剤として皮膚疾患の治療に用いられている。一方で、ウフェナマートは水難溶性の薬剤のため、水を含む外用医薬品等の製剤中に安定に配合することは困難であった。
【0003】
これに対して、ウフェナマートを外用組成物に安定に配合する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ウフェナマート及びHLBが8~15である乳化剤を含む油相中に水を加えて乳化させ、そのエマルジョン(乳化粒子)の平均粒子径が0.5μm以下の微細エマルジョンからなるO/W型乳化製剤により、ウフェナマートを含有する製剤の安定化を図ることが記載されている。また、特許文献2には、ウフェナマート、グリチルレチン酸又はそのエステル、リドカイン、油分、界面活性剤、水を配合することを特徴とするウフェナマート含有皮膚外用剤が優れた安定性を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-97859号公報
【文献】特開2012-136491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでのウフェナマート含有外用剤は、安定化効果が謳われていても、水相及び油相自体が本質的に混ざらないため、分散系を構築するには界面活性剤に頼らざるを得ない。事実、界面活性剤を用いない場合は、水相と油相とは非常に混ざりにくい。油性基剤には、乳化剤としての機能も知られているミリスチン酸イソプロピルが配合されることが多いが、ウフェナマート含有外用剤においては、油性基剤にミリスチン酸イソプロピルが配合されていても、水相と油相はやはり非常に混ざりにくい。特に、油性基剤に疎水性の高い炭化水素油が用いられている場合、水相と油相との混ざりにくさは格別顕著となる。
【0006】
ここで、もし、互いに混ざりやすい水相及び油相の組み合わせが見いだされれば、界面活性剤を用いなくても優れた分散系を構築することができるだけでなく、更に界面活性剤を用いれば、より一層優れた乳化安定性が得られると考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、ウフェナマートを含有し、且つ液状炭化水素を油性基剤として含みながらも、互いに混ざりやすい水相及び油相の組み合わせを含む外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ウフェナマートを含有し、且つ液状炭化水素を油性基剤として含む含水外用組成物について鋭意検討を行ったところ、N-メチル-2-ピロリドンを配合することで、界面活性剤を用いなくても優れた分散系を構築できることを予期せずして見出した。本発明は、この知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ウフェナマート、(B)N-メチル-2-ピロリドン、(C)液状炭化水素、及び(D)水を含有する外用組成物。
項2. 前記(A)成分1重量部当たり、前記(C)成分が0.1重量部以上含まれる、項1に記載の外用組成物。
項3. 前記(C)成分1重量部当たり、前記(D)成分が10重量部以上含まれる、項1又は2に記載の外用組成物。
項4. 前記(D)成分の含有量が60重量%以上である、項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
項5. 界面活性剤の含有量が0.1重量%以下である、項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
項6. (A)ウフェナマート、(C)液状炭化水素、及び(D)水を有する外用組成物において、(B)N-メチル-2-ピロリドンを配合する、外用組成物の分散化方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ウフェナマートを含有し、且つ液状炭化水素を油性基剤として含む外用組成物に用いる、互いに混ざりやすい水相及び油相の組み合わせを提供することができる。このため、本発明の外用組成物は、水相及び油相が混ざりやすく、優れた分散系を構築する(以下において、このような効果を、分散化効果とも記載する。)ことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.外用組成物
本発明の外用組成物は、(A)ウフェナマート(以下において、「(A)成分」とも記載する)、(B)N-メチル-2-ピロリドン(以下において、「(B)成分」とも記載する)、(C)液状炭化水素(以下において、「(C)成分」とも記載する)、及び(D)水(以下において、「(D)成分」とも記載する)を含有することを特徴とする。以下、本発明の外用組成物について詳述する。
【0012】
(A)ウフェナマート
本発明の外用組成物は、(A)成分としてウフェナマートを含む。ウフェナマートは、フルフェナム酸ブチルとも称され、水難溶性の非ステロイド性抗炎症薬として公知の成分である。ウフェナマートを含む外用組成物に用いられる水相及び油相は非常に混ざりにくいが、本発明の外用組成物は、水相及び油相が混ざりやすく、優れた分散系を構築することができる。
【0013】
本発明の外用組成物における(A)成分の含有量については特に限定されず、付与すべき効能などに応じて適宜設定されるが、例えば1~20重量%、好ましくは2~10重量%、更に好ましくは3~7重量%が挙げられる。
【0014】
(B)N-メチル-2-ピロリドン
本発明の外用組成物は、(B)成分としてN-メチル-2-ピロリドンを含む。ウフェナマートを含む外用組成物に用いられる水相及び油相は非常に混ざりにくいが、本発明の外用組成物は、N-メチル-2-ピロリドンを配合することで、水相及び油相が混ざりやすく、優れた分散系を構築することができる。
【0015】
本発明の外用組成物における(B)成分の含有量としては特に限定されず、付与すべき分散化効果に応じて適宜設定されるが、例えば0.1重量%以上が挙げられる。より一層好ましい分散化効果を得る観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上が挙げられる。(B)成分の含有量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下が挙げられる。
【0016】
本発明の外用組成物において、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の比率は、上記各成分の含有量によって定まるが、より一層好ましい分散化効果を得る観点から、(A)成分1重量部に対する(B)成分の含有量として、0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは1重量部以上が挙げられる。(A)成分1重量部に対する(B)成分の含有量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば2重量部以下、好ましくは1.6重量部以下、より好ましくは1.2重量部以下が挙げられる。
【0017】
(C)液状炭化水素
本発明の外用組成物は、(C)成分として液状炭化水素を含む。液状炭化水素とは、25℃で液状を呈する炭化水素油をいう。ウフェナマートを含む外用組成物に用いられる油相に液状炭化水素が含まれていると、水相及び油相は極めて混ざりにくいが、本発明の外用組成物では、水相及び油相が混ざりやすく、優れた分散系を構築することができる。
【0018】
液状炭化水素としては、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等が挙げられ、好ましくは流動パラフィンが挙げられる。
【0019】
本発明の外用組成物における(C)成分の含有量としては特に限定されず、製剤形態等に応じて適宜設定されるが、例えば1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上が挙げられる。(C)成分の含有量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下が挙げられる。
【0020】
本発明の外用組成物において、油相の基剤成分の総量に対する(C)成分の含有量としては特に限定されないが、油相の基剤成分全体の総量100重量部に対する(C)成分の含有量の比率として、例えば60重量部以上が挙げられる。本発明の外用組成物は分散化効果に優れているため、油相の基剤成分において(C)成分が多く占めていても、効果的に分散化効果を得ることができる。このような観点から、油相の基剤成分全体の総量100重量部に対する(C)成分の含有量の比率の好適な例として、好ましくは70重量部以上、より好ましくは80重量部以上、さらに好ましくは90重量部以上、一層好ましくは95重量部以上が挙げられる。
【0021】
(D)水
本発明の外用組成物は、(D)成分として水を含む。ウフェナマートを含む外用組成物に用いられる水相は油相と非常に混ざりにくいが、本発明の外用組成物は、水相が油相と混ざりやすく、優れた分散系を構築することができる。
【0022】
本発明の外用組成物における(D)成分の含有量としては特に限定されず、製剤形態等に応じて適宜設定されるが、例えば60重量%以上が挙げられる。本発明の外用組成物は分散化効果に優れているため、(D)成分の含有量が多くても、効果的に分散化効果を得ることができる。このような観点から、(D)成分の含有量の好適な例として、好ましくは65重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、一層好ましくは80重量%以上が挙げられる。
【0023】
(D)成分の含有量の範囲の上限としては特に限定されないが、より一層優れた分散化効果を得る観点から、93重量%以下、好ましくは89重量%以下、より好ましくは85重量%以下が挙げられる。
【0024】
本発明の外用組成物において、(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の比率は、上記各成分の含有量によって定まるが、例えば(C)成分1重量部に対する(D)成分の含有量として、例えば10重量部以上が挙げられる。本発明の外用組成物は分散化効果に優れているため、(D)成分の含有比率が高くても、効果的に分散化効果を得ることができる。このような観点から、(C)成分1重量部に対する(D)成分の含有量の好適な例として、好ましくは12重量部以上、より好ましくは14重量部以上、一層好ましくは16重量部以上が挙げられる。
【0025】
(C)成分1重量部に対する(D)成分の含有量の範囲の上限しては特に限定されないが、より一層優れた分散化効果を得る観点から、18重量部以下、好ましくは17.8重量部以下、より好ましくは17.4重量部以下が挙げられる。
【0026】
本発明の外用組成物において、油性基剤の総量に対する(D)成分の含有量の比率は、上記各成分の含有量によって定まるが、例えば油性基剤の総量1重量部に対する(D)成分の含有量として、例えば10重量部以上が挙げられる。本発明の外用組成物は分散化効果に優れているため、(D)成分の含有比率が高くても、効果的に分散化効果を得ることができる。このような観点から、油性基剤の総量1重量部に対する(D)成分の含有量の好適な例として、好ましくは12重量部以上、より好ましくは14重量部以上、一層好ましくは16重量部以上が挙げられる。
【0027】
油性基剤の総量1重量部に対する(D)成分の含有量の範囲の上限しては特に限定されないが、より一層優れた分散化効果を得る観点から、18重量部以下、好ましくは17.8重量部以下、より好ましくは17重量部以下が挙げられる。
【0028】
その他の成分
本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、(C)成分以外の油性基剤(以下において、他の油性基剤とも記載する)、界面活性剤、多価アルコール、増粘剤、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、キレート剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、着色料等が挙げられる。
【0029】
他の油性基剤としては薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、(C)成分以外の液状油(25℃において液状を呈する油)、固形油(25℃において液状を呈する油)、高級アルコール等が挙げられる。これらの油分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明の外用組成物は、分散化効果に優れているため、界面活性剤を含まなくても、効果的に分散化効果を得ることができるため、好適な例においては、界面活性剤を含まない。しかしながら、本発明の外用組成物は、更に界面活性剤を含むことも許容する。界面活性剤を含むことで、分散状態をより一層安定化させることができる。
【0031】
界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の外用組成物における界面活性剤の含有量としては特に限定されず、通常のウフェナマート外用組成物に含まれる程度の量で含むことができる。一方、本発明の外用組成物が分散化効果に優れているため、界面活性剤を含まなくても効果的に分散化効果を得ることができるため、界面活性剤の量を、通常のウフェナマート外用組成物に含まれる程度の量に比べて削減することができる。このような観点から、界面活性剤の含有量の好適な例としては、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、更に好ましくは0.001重量%以下、一層好ましくは0.0005重量%以下が挙げられる。
【0033】
更に、本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、必要に応じて含まれていてもよい。このような薬効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピバカイン、メピバカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩)、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D,E等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の外用組成物において、これらの薬効成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0034】
製剤形態・用途
本発明の外用組成物がとりうる製剤形態としては、水相と油相とを含んでいれば特に限定されず、例えば、水中油滴分散型(乳化型ではない)、油中水滴分散型(乳化型ではない)、水中油乳化型、及び油中水乳化型が挙げられる。本発明の外用組成物は、分散化効果に優れているため、水を多く含む製剤形態であっても、効果的に分散化効果を得ることができる。このような観点から、本発明の外用組成物がとりうる製剤形態の好ましい例としては、水中油滴分散型(乳化型ではない)、及び水中油乳化型が挙げられる。更に、本発明の外用組成物は、分散化効果に優れているため、界面活性剤を含まなくても効果的に分散化効果を得ることができる。このような観点から、本発明の外用組成物がとりうる製剤形態の好ましい例としては、水中油滴分散型(乳化型ではない)が挙げられる。
【0035】
本発明の外用組成物は、化粧料、外用医薬部外品、外用医薬品等の外用剤として使用することができる。本発明の外用組成物の製品形態については、特に制限されないが、例えば、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ゲル剤、油剤、リニメント剤、エアゾール剤等が挙げられる。
【0036】
製造方法
本発明の外用組成物は、製剤形態に応じて、公知の外用組成物の製剤化手法に従って製造することができる。例えば、本発明の外用組成物の製造方法としては、含有させる成分を水溶性成分と油性成分に分けて、水溶性成分を含む水相と、油性成分を含む油相とを調製し、これらを公知の分散手法により製剤化する方法が挙げられる。
【0037】
2.分散化方法
上述するように、N-メチル-2-ピロリドンは、ウフェナマート、液状炭化水素、及び水を有する外用組成物を分散化する。従って、本発明は、更に、(A)ウフェナマート、(C)液状炭化水素、及び(D)水を有する外用組成物において、(B)N-メチル-2-ピロリドンを配合する、外用組成物の分散化方法を提供する。
【0038】
本発明の分散化方法において、分散化とは、外用組成物に用いられる水相と油相とが、界面活性剤が配合されていない条件で撹拌し、放置後にも分散状態を維持することをいう。分散状態とは、少なくとも、ほとんど(わずかな分離を許容する意である)が分散状態であることをいい、好ましくは、分離が認められず目視可能な(直径0.1~1.0mm)液滴が分散している状態であることをいい、より好ましくは、分離が認められず目視できない微小な(直径0.1mm未満)液滴が分散している状態をいう。
【0039】
本発明の分散化方法において、使用する各成分の種類や含有量、外用組成物に配合される成分の種類や含有量、及び製剤形態等については、前記「1.外用組成物」の場合と同様である。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
試験例
表2に示す外用組成物(水中油滴分散液)を調製した。具体的には、ウフェナマートと流動パラフィンとを均一になるまで混和して油性液を得て、油性液に他の成分を添加して均一になるまで混和し、最後に合計が100重量%となるように精製水を添加し、均一になるまで攪拌した。
【0042】
調製した外用組成物を、室温条件下で10分間静置した後の分散状態を、以下の基準に基づいて評価した。以下の基準において、分離とは、分散していた液滴(油滴)の少なくとも一部が分散できなくなり底に沈む現象をいい、その中でも、液滴(油滴)の全てが底に沈む現象を完全に分離した状態という。また、各評価基準の代表写真を表1に示し、評価結果を表2に示す。
【0043】
◎:分離が認められず、目視できない微小な液滴(油滴)が分散している。
○:分離が認められず、目視可能な液滴(油滴)が分散している。
△:わずかな分離のみで、液滴(油滴)の分散状態が維持されている。
×:分離の程度が大きく、液滴(油滴)の分散状態がほとんど維持されていない。
××:完全に分離した。
【0044】
【0045】
【0046】
比較例1に示すように、ウフェナマートを含む外用組成物は、流動パラフィンの油相と水相とが混ざらない。これに対し、実施例1~4に示されるように、N-メチル-2-ピロリドンを配合することで、優れた分散性が得られた。なお、比較例2~6に示すように、N-メチル-2-ピロリドンと同様に、水溶性で極性が高い点で共通する成分である、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、又はグリセリンを配合した場合には、分散効果は得られなかった。つまり、実施例1~4で認められる分散効果は、N-メチル-2-ピロリドンに特有の効果であることがわかった。