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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/964 20060101AFI20231207BHJP
   E06B 3/968 20060101ALI20231207BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20231207BHJP
   E06B 1/28 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E06B3/964 B
E06B3/968 B
E06B1/70 A
E06B1/28
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019236915
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105290
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宇山 健
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 行宏
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-52144(JP,U)
【文献】実開昭56-22281(JP,U)
【文献】特開2015-190304(JP,A)
【文献】特開2016-44519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96 - 3/99
E06B 1/00 - 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の一対の横枠と、
連結具により一対の前記横枠に連結される樹脂製の一対の縦枠と、
前記横枠の端部と前記縦枠の端部とを連結するジョイントと、を備え、
一対の前記横枠および一対の前記縦枠は、同じ断面形状を有し、
前記横枠および前記縦枠は、障子と見付け方向に対向する位置において長手方向に延在する突条部をそれぞれ有し、
前記横枠および前記縦枠の前記突条部は、内側に第1タッピングホールをそれぞれ有し、
前記ジョイントは、前記横枠の前記第1タッピングホールに対応する位置に形成されたネジ孔と、前記縦枠の前記第1タッピングホールに対応する位置に形成されたネジ孔と、を有することを特徴とする建具。
【請求項2】
前記横枠および前記縦枠は、見込み方向に並ぶ複数のホロー部を有し、
複数の前記ホロー部のうち屋内側に位置するホロー部は、内側に第2タッピングホールを有することを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
一対の前記横枠は、上枠および下枠を含み、
記下枠の前記突条部には、障子を支持するレールが取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記突条部は、外面部に第1嵌合部を有し、
前記レールは、前記第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部を有することを特徴とする請求項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂成型品のサッシが開示されている。このサッシは、一対の縦枠と一対の横枠とを有し、それらの枠部材の端部を斜め45度に切り出して継ぎ目を溶着することで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-44519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるサッシは、一対の縦枠と一対の横枠を溶着する処理があるため、サッシを取り付ける家屋等の現場で組み立てることが困難である。
【0005】
本開示の目的の1つは、サッシの組み立てを容易にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の建具は、樹脂製の一対の横枠と、連結具により一対の横枠に連結される樹脂製の一対の縦枠と、を備える。一対の横枠および一対の縦枠は、同じ断面形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の建具の縦方向断面図である。
図2】実施例の建具の横方向断面図である。
図3】実施例の横枠および縦枠の連結部位を示す図である。
図4】第1変形例のサッシについて説明するための図である。
図5】第2変形例のサッシについて説明するための図である。
図6】第3変形例のサッシについて説明するための図である。
図7】下框の排水経路について説明するための図である。
図8図1に示すサッシおよび障子の部分拡大図であって、サッシおよび障子の縦方向断面を示す図である。
図9図9(a)は、上方から見たジョイントの斜視図であり、図9(b)は、下方から見たジョイントの斜視図である。
図10図10(a)は、ジョイントの上面図であり、図10(b)は、ジョイントの右側面図である。
図11図11(a)は、図3に示すサッシの連結部位のA-A断面図であり、図11(b)は、図3に示すサッシの連結部位のB-B断面図である。
図12】変形例のサッシの部分的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、実施例の建具1の縦方向断面図である。また、図2は、実施例の建具1の横方向断面図である。建具1は、サッシ10および障子12を備える。サッシ10は、障子12を支持する枠体として機能する。障子12は、サッシ10にスライド可能に取り付けられる。図1の例では障子12が2枚の態様を示すが、2枚に限られず、1枚や3枚以上であってよい。なお以下の説明では、障子12の面に垂直な方向を見込み方向といい、見込み方向に直交し、かつ鉛直方向に直交する方向を見付け方向という。
【0009】
障子12は、パネル20、上框22a、下框22b、第1縦框56、第2縦框58、戸車24、モヘア26および框芯材30を備える。
【0010】
パネル20は、ペアガラス、シングルガラス等によって構成され、見込み方向から見て矩形状である。パネル20は、四辺を上框22a、下框22b、第1縦框56および第2縦框58で囲われている。上框22a、下框22b、第1縦框56および第2縦框58は、樹脂材料で形成され、それぞれに金属材料からなる框芯材30を内蔵している。
【0011】
上框22aおよび下框22bは同形状であり、これらを区別しない場合「横框22」という。横框22は、上下に窪んだ窪み部23を有し、断面が略H字形状である。上框22aの下側の窪み部23と下框22bの上側の窪み部23にパネル20が嵌合する。上框22aの上側の窪み部23はサッシ10に係合する。つまり、横框22の内周側の窪み部23にパネル20が嵌合し、横框22の外周側の窪み部23がサッシ10に係合する。下框22bの下側の窪み部23には、レールに係合する戸車24が設けられる。戸車24は、障子12のスライドを容易にする。
【0012】
モヘア26は、横框22および第2縦框58にそれぞれ一対設けられ、横框22とサッシ10との隙間を塞ぐように設けられる。パネル20の縁が横框22の窪み部23に入り込んだ状態で、パネル20と横框22の隙間に第1フィン27aおよび第2フィン27bが設けられる。第1フィン27aおよび第2フィン27bは、横框22に固定され、横框22に沿って延在し、窪み部23の内側にて横框22からパネル20に向かって張り出す。第1フィン27aは、屋内側に位置し、2重構造であり、第2フィン27bは屋外側に位置し、1重構造である。屋内側の第1フィン27aを2重構造にすることで、屋内の気密性を高めることができる。
【0013】
サッシ10は、上枠32a、下枠32b(これらを区別しない場合「横枠32」という)、一対の縦枠52、複数のジョイント(不図示)、レール28および枠芯材34を備え、矩形の枠体である。
【0014】
一対の横枠32および一対の縦枠52は、押出成形により樹脂材料で形成され、いずれも同じ型から押し出されているため、同じ断面形状を有する。ここでの「同じ」とは、比較対象となる両枠部材が幾何学的に厳密に同じ形状のみでなく、寸法誤差等の誤差の分だけずれた形状も当然に含まれる。図1および図2に示す横枠32の縦断面および縦枠52の横断面、つまり長手方向に直交する方向の断面は、いずれも同じである。一対の横枠32の長さと一対の縦枠52の長さは障子12の大きさに応じて自由に設定可能であり、異なっていてもよい。例えば、横枠32と縦枠52は、端部で切欠成形等によって、中間部での断面の一部を欠いたような中間部での断面とは異なる断面形状であってよい。この断面に関する条件は、横枠32および縦枠52の中間部で少なくとも有していればよく、横枠32および縦枠52の端部で満たす必要はない。また、駆体へサッシ10を固定する片である横枠32の上または下にある突出片、もしくは、額縁へ固定するための横枠32の屋内側に突出するこれらの突出片については必要ない部分で切削などしてもよく、これらの突出片を除いた部分で横枠32および縦枠52の断面形状が同じことを示す。なお、これらの突出片を含めた断面形状が同じであってもよい。
【0015】
横枠32および縦枠52は、詳細は後述するがジョイントを介してネジにより連結される。これにより、サッシ10を組み立てる際に工場で溶着する工程を省くことができ、サッシ10を付ける現場で組み立てることが可能となる。そのため、現場に搬送しやすくなり、現場でサッシ10の長さ調整も可能となる。特に掃出しの引違いサッシのような枠部材が大きい場合には、現場で枠部材を連結することが可能なため運搬効率が向上する。
【0016】
レール28は、金属材料または下枠32bより硬度な樹脂材料で下枠32bと別体で形成され、下枠32bに固定され、障子12の戸車24に係合する。
【0017】
下枠32bは、基部42、一対の突条部44、第1枠ホロー部46a、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46c、第4枠ホロー部46d、内側壁部48a、外側壁部48b、第1タッピングホール50a、第2タッピングホール50bおよび第3タッピングホール50cを有する。なお、上枠32aおよび縦枠52は同形状であるため、説明を省略する。
【0018】
基部42は、屋内側から見込み方向に並ぶ第1枠ホロー部46a、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46cおよび第4枠ホロー部46dの4つに区切られており、全体として断面が矩形の中空形状である。最も屋内側の第1枠ホロー部46aは、雨水等が入らないように密閉した状態にされる。第2枠ホロー部46bには、略中央側に位置し、枠芯材34が挿入される。第3枠ホロー部46cは、突条部44の下方に位置する。
【0019】
一対の突条部44は、基部42から内周側に突出して形成され、断面矩形状で中空形状に形成される。一対の突条部44は、下枠32bの長手方向に沿って平行に延在する。下枠32bの突条部44は、レール28とスナップフィットで嵌合する。これにより、組付が容易となる。また、突条部44に貫通孔を形成することを避けられるため、突条部44の気密性の低下を抑えることができる。突条部44は、横框22の窪み部23に入り、第2縦框58の窪み部23に入ることが可能である。
【0020】
なお、上枠32aの突条部44は、上框22aの上側の窪みに入る。縦枠52の突条部44は、障子12の閉じ状態で、第2縦框58の窪みに入る。
【0021】
内側壁部48aは、基部42の屋内側の端部から内周側に突出し、外側壁部48bは、基部42の屋外側の端部から内周側に突出する。内側壁部48aは外側壁部48bより高く立設する。内側壁部48aは、基部42に溜まった水が屋内に流れ込むのを抑える。外側壁部48bの基端には傾斜壁部45が形成される。傾斜壁部45は、基部42から外側壁部48bに向かって延在し、外側壁部48bを支持する。傾斜壁部45により、断面が三角形状の中空が形成される。傾斜壁部45を形成することで、横枠32および縦枠52において屋外側の壁部の強度を高めることができる。
【0022】
横枠32と縦枠52をネジ止めするため、第1タッピングホール50a、第2タッピングホール50b、第3タッピングホール50cが形成されている。もちろん、これ以上に設けてよい。枠の長手方向に見て1つのタッピングホールから所定範囲はネジの軸力が及ぶため十分に固定でき、各タッピングホールは所定範囲以上に離して設けられる。
【0023】
第1タッピングホール50aおよび第2タッピングホール50bは、突条部44の内側に形成される。これにより、長手方向に見て一対の突条部44を含む広い範囲がシールされる。第1タッピングホール50aおよび第2タッピングホール50bは、突条部44の根元、すなわち基部42の内周面より内周側に離れた位置に形成される。これにより、突条部44の先端側を十分にシールできる。第1タッピングホール50aは、突条部44内の屋内側の壁面に連設し、第2タッピングホール50bは、突条部44内の屋外側の壁面に連設されており、第1タッピングホール50aおよび第2タッピングホール50bは、それぞれの突条部44内の範囲で見込み方向において最も離れるように配置される。
【0024】
第3タッピングホール50cは、第1枠ホロー部46aの内側に形成される。第1枠ホロー部46aは、最も屋内側に位置しており、第3タッピングホール50cにより屋内側の範囲をシールすることができる。これにより、横枠32および縦枠52の連結箇所から屋内に水が入る可能性を低減できる。第3タッピングホール50cは、上枠32aおよび縦枠52において、最も屋内側に位置する第1枠ホロー部46aの内側に形成される。
【0025】
タッピングホールの位置は、第1タッピングホール50a、第2タッピングホール50b、第3タッピングホール50cだけに限定されず、さらに別のホロー部や、枠芯材34などに設けられてもよい。
【0026】
図3は、横枠32および縦枠52の連結部位を示す。下枠32bおよび縦枠52は、ジョイント60を介して連結されている。サッシ10の四隅は、それぞれジョイント60により連結されている。縦枠52がジョイント60にネジ止めされ、下枠32bがジョイント60にネジ止めされることで、縦枠52および下枠32bがネジにより連結される。
【0027】
図4は、第1変形例のサッシ100について説明するための図である。図4に示すサッシ100の下枠132は、図1に示すサッシ10の下枠32bに比べて、タッピングホールの位置が異なる。
【0028】
下枠132は、基部142、一対の突条部144、第1枠ホロー部146a、第2枠ホロー部146b、第3枠ホロー部146c、第4枠ホロー部146d、内側壁部148a、外側壁部148b、第1タッピングホール150a、第2タッピングホール150bおよび第3タッピングホール150cを有する。また、下枠132の第2枠ホロー部146bには、第1枠芯材134が収容され、第4枠ホロー部146dには、第2枠芯材135が収容される。第4枠ホロー部146dは、屋外側の突条部144より屋外側に位置する。
【0029】
第1タッピングホール150aおよび第2タッピングホール150bは、一対の突条部144のそれぞれに設けられる。また、第3タッピングホール150cは、内側壁部148aの基端に設けられ、第1枠ホロー部146aに隣接する。
【0030】
第1枠芯材134および第2枠芯材135は、金属材料により成形される。第1枠芯材134は、皿部134aと、第4タッピングホール150dおよび第5タッピングホール150eとを有する。皿部134aは、第2枠ホロー部146bの上下壁に対して隙間を有する位置に設けられ、第1枠芯材134の屋外側に位置する。第4タッピングホール150dは、皿部134aの下側に設けられる。第5タッピングホール150eは、第1枠芯材134の屋内側に位置し、第1枠ホロー部146aに隣接する。
【0031】
第2枠芯材135は、第6タッピングホール150fを有する。第6タッピングホール150fは、下枠132の屋外側の側壁に近接して位置する。これにより、連結部位の屋外側のシールを十分にできる。このように、下枠132に収容される芯材にタッピングホールを設けることで、連結部位のシール性を向上できる。また、下枠132にだけ収容される芯材にタッピングホールを設けることで、下枠132および縦枠52の形状を共通化しつつ、下枠132と縦枠52を十分に固定できる。
【0032】
図5は、第2変形例のサッシ200について説明するための図である。図5に示すサッシ200の下枠232は、図4に示すサッシ100の下枠132に比べて、第3タッピングホール250cの位置が異なる。
【0033】
下枠232は、基部242、一対の突条部244、第1枠ホロー部246a、第2枠ホロー部246b、第3枠ホロー部246c、第4枠ホロー部246d、内側壁部248a、外側壁部248b、第1タッピングホール250a、第2タッピングホール250bおよび第3タッピングホール250cを有する。また、下枠232の第2枠ホロー部246bには、第1枠芯材234が収容され、第4枠ホロー部246dには、第2枠芯材235が収容される。
【0034】
第1タッピングホール250aおよび第2タッピングホール250bは、一対の突条部244のそれぞれに設けられる。第3タッピングホール250cは、内側壁部148aの基端の下側に設けられ、第1枠ホロー部246aの内側に形成される。第3タッピングホール250cは、第1枠ホロー部246aの上端に位置し、屋内側の壁面に連設される。
【0035】
第1枠芯材234は、皿部234aと、第4タッピングホール250dおよび第5タッピングホール250eとを有する。第2枠芯材235は、第6タッピングホール250fを有する。
【0036】
図6は、第3変形例のサッシ300について説明するための図である。図6に示すサッシ300の下枠332は、図4に示すサッシ100の下枠132に比べて、タッピングホールの位置が異なる。
【0037】
下枠332は、基部342、一対の突条部344、第1枠ホロー部346a、第2枠ホロー部346b、第3枠ホロー部346c、第4枠ホロー部346d、内側壁部348a、外側壁部348b、第1タッピングホール350a、第2タッピングホール350b、第3タッピングホール350c、第4タッピングホール350dおよび第5タッピングホール350eを有する。また、下枠332の第2枠ホロー部346bには、枠芯材334が収容される。
【0038】
第1タッピングホール350aおよび第2タッピングホール350bは、一対の突条部344のそれぞれに設けられる。第3タッピングホール350cは、内側壁部348aの基端に設けられ、第1枠ホロー部346aに隣接する。
【0039】
第4タッピングホール350dは、第1枠ホロー部346aの内側に形成され、第1枠ホロー部346aの下端に位置し、第2枠ホロー部346bに隣接する。第3タッピングホール350cおよび第4タッピングホール350dにより、屋内側のシール性を向上できる。第5タッピングホール350eは、第4枠ホロー部346dの内側で、第4枠ホロー部346dの上端に形成され、屋外側の壁面に隣接する。これにより、屋外側の連結部位のシール性を向上できる。
【0040】
枠芯材334は、皿部334aと、第6タッピングホール350fとを有する。第6タッピングホール350fは、皿部334aの下側、つまり皿部34aより外周側に設けられる。
【0041】
図2に戻る。屋外側の第1縦框56は、第1ホロー部56a、第2ホロー部56bおよび第3ホロー部56cを有する。第1ホロー部56aは、框芯材30を収容する。第2ホロー部56bは、第1縦框56の見付け方向側の側部に位置し、第3ホロー部56cは、第1縦框56の屋外側の側部に位置する。これにより、第2ホロー部56bおよび第3ホロー部56cが第1ホロー部56aを屋外から囲うように設けることができ、金属製の框芯材30を屋外から遠ざけることで、断熱性を向上できる。屋内側の第1縦框56にはロック部54が取り付けられる。
【0042】
図7は、下框22bの排水経路について説明するための図である。下框22bの基部42の上面には窓からの結露や雨水などが溜まる可能性がある。そこで、水を屋外に排水するように、下框22bおよび枠芯材34に排水孔が形成される。
【0043】
下框22bには、第1排水孔62a、第2排水孔62b、第3排水孔62c、第4排水孔62d、第5排水孔62e、第6排水孔62f、第7排水孔62g、第8排水孔62h、第9排水孔62iが形成され、枠芯材34には、第10排水孔62jが形成される。これらの各排水孔は、貫通しており、横枠32の長手方向に離間して複数形成される。
【0044】
屋内側の突条部44の基端部に、第1排水孔62aおよび第2排水孔62bが形成され、屋外側の突条部44の基端部に、第3排水孔62cおよび第4排水孔62dが形成される。第1排水孔62a、第2排水孔62b、第3排水孔62cおよび第4排水孔62dにより、基部42の上面に溜まった水が、突条部44に遮られずに、水平方向に自由に移動可能となる。
【0045】
第5排水孔62eは、第2枠ホロー部46bの上部に形成され、第6排水孔62fは、第4枠ホロー部46dの上部に形成される。第5排水孔62eおよび第6排水孔62fにより、基部42の上面に溜まった水をホロー部内に落とすことができる。
【0046】
第7排水孔62gおよび第8排水孔62hは、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46cおよび第4枠ホロー部46dを連通するよう、第3枠ホロー部46cの両側壁に形成される。
【0047】
第9排水孔62iは、第4枠ホロー部46dの屋外側の壁に形成され、第4枠ホロー部46dを屋外に開放する。基部42の上面に溜まった水は、第9排水孔62iから排水される。
【0048】
第10排水孔62jは、枠芯材34に形成され、第5排水孔62eから第2枠ホロー部46bに入った水が第7排水孔62gから出られるよう、第5排水孔62eおよび第7排水孔62gの排水経路の途中に形成される。
【0049】
第10排水孔62jは、枠芯材34の皿部34aに形成され、第5排水孔62eに鉛直方向に重なる領域に配置される。皿部34aは、第2枠ホロー部46bの屋外側に位置し、第2枠ホロー部46bの上端および下端から離間して位置する。皿部34aが第2枠ホロー部46bの上端から離れることで、皿部34aが第5排水孔62eを閉塞することを避けることができる。皿部34aが第2枠ホロー部46bの下端から離れ、皿部34aより外周側には枠芯材34が設けられないことで、第10排水孔62jから落ちた水の移動経路を確保できる。
【0050】
なお、第1枠ホロー部46aには、排水孔を形成しないようにする。これにより、第1枠ホロー部46aに水が入る可能性を抑え、屋内に水が漏れる可能性を低減できる。
【0051】
図8は、図1に示すサッシ10および障子12の部分拡大図であって、サッシ10および障子12の縦方向断面を示す。戸車24はレール28にスライド可能に係合している。
【0052】
レール28は、頭部28a、一対の弾性係止部28b、および台座部28cを有する。頭部28aは、台座部28cから立設し、戸車24に係合する。台座部28cは、突条部44の先端面に着座する。
【0053】
一対の弾性係止部28bは、台座部28cの両端から垂下するように屈曲し、内向きに突出する爪部28dを有する。一対の弾性係止部28bは、突条部44を取り付ける際に撓む。突条部44の両側面には、爪部28dに嵌合する溝部44aが形成される。爪部28dが溝部44aに入り込んで嵌合することで、レール28が突条部44に取り付けられる。
【0054】
このように、レール28を押し込むだけで爪嵌合により取り付けることができるため、取付作業が容易である。また、レール28が溝部44aに取り付けられることで突条部44に貫通孔を形成することなく取り付けられる。レール28の爪部28dが嵌合する形状は、溝部44aに限らず、突条部44に形成された凸部であってもよい。いずれにしても、突条部44の外面部に第1嵌合部が形成され、レール28には第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部が形成される。
【0055】
下框22bは、上板部36、爪部37、第1框ホロー部38a、第2框ホロー部38b、第1貫通孔40a、第2貫通孔40b、第3貫通孔40cを有する。下框22bの中央には框芯材30が収容されている。
【0056】
上板部36には、パネル20がブロック35を介して載置される。ブロック35は緩衝材で形成されてよく、一対の爪部37により固定される。一対の爪部は、互いに対向する方向に突出して形成され、ブロック35が上板部36から離れる動きを規制する。爪部37を形成することで、ブロック35を容易に取り付けることができる。
【0057】
第1框ホロー部38aおよび第2框ホロー部38bは、下框22bの屋外側に位置し、上下に連設される。上板部36に第1貫通孔40aが形成され、第1框ホロー部38aおよび第2框ホロー部38bの境界壁に第2貫通孔40bが形成され、第2框ホロー部38bの下端に第3貫通孔40cが形成される。第1貫通孔40a、第2貫通孔40bおよび第3貫通孔40cは、下框22bの長手方向に離間して複数形成される。
【0058】
上板部36と第1框ホロー部38aは、第1貫通孔40aにより連通され、第1框ホロー部38aおよび第2框ホロー部38bは、第2貫通孔40bにより連通され、第2框ホロー部38bは、第3貫通孔40cにより外部に連通する。これにより、パネル20から伝わって上板部36に落ちてきた水が、下框22bの屋外側のホロー部を通って排水される。これにより、排水経路を戸車24などが設けられた位置から離すことができ、戸車24などが水により劣化しづらくできる。また、下框22bの屋外側に排水経路を設けることで、排水経路より屋内側の気密性を向上できる。
【0059】
框芯材30は、下框22bの屋内側の側壁から離れて設けられ、下框22bにおける屋内側の断熱性が低下しないように構成されている。
【0060】
モヘア26は、板部26a、毛部26bおよび支持部26cを有する。支持部26cは、平板状に形成され、下框22bに固定され、板部26aおよび毛部26bを支持する。板部26aおよび毛部26bは、ともに支持部26cから張り出している。板部26aは、ゴム製の薄板であってよく、毛部26bより下端側に位置し、毛部26bの長さと略同一である。つまり、毛部26bが下端側に露出しないように、毛部26b全体の一方の側部を板部26aが覆っている。これにより、モヘア26の気密性を高めることできる。なお、上框22aは戸車24が設けられてないものの、下框22bと同形状である。
【0061】
図9(a)は、上方から見たジョイント60の斜視図であり、図9(b)は、下方から見たジョイント60の斜視図である。また、図10(a)は、ジョイント60の上面図であり、図10(b)は、ジョイントの右側面図である。
【0062】
ジョイント60は、本体部64、第1突出部66a、第2突出部66b、第1差込部68a、第2差込部68b、第3差込部68c、第4差込部68d、第1ネジ孔70a、第2ネジ孔70b、第3ネジ孔70c、第1ネジ孔72a、第2ネジ孔72b、第3ネジ孔72c、第1壁部74a、第2壁部74bおよびスリット76を有する。
【0063】
本体部64は、直方体状に形成される。第1突出部66aおよび第2突出部66bは、本体部64から立設するように形成され、組み立て時に突条部44に合わさる。
【0064】
第1差込部68a、第2差込部68b、第3差込部68cおよび第4差込部68dは、第1突出部66aの突出方向から直交する方向に本体部64から突出し、横枠32の第1枠ホロー部46a、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46cおよび第4枠ホロー部46dにそれぞれ差し込まれる。スリット76は、第1枠ホロー部46aに形成された第3タッピングホール50cを挿入可能にするために形成され、第1差込部68aを2つに分けるように形成される。
【0065】
図10(a)に示すように、第1ネジ孔70a、第2ネジ孔70b、第3ネジ孔70cは、縦枠52をジョイント60にネジ止めするために本体部64に形成され、第1タッピングホール50a、第2タッピングホール50bおよび第3タッピングホール50cにそれぞれ位置合わせされる。
【0066】
図10(b)に示すように、第1ネジ孔72a、第2ネジ孔72bおよび第3ネジ孔72cは、横枠32をジョイント60にネジ止めするために形成される。第1ネジ孔72aおよび第2ネジ孔72bは、第1突出部66aおよび第2突出部66bに形成され、第3ネジ孔72cは、本体部64の側面で、第1差込部68aの内側に形成される。
【0067】
第1壁部74aおよび第2壁部74bは、内側壁部48aおよび外側壁部48bの隙間を埋めるために形成され、本体部64の縁から立設する。
【0068】
図11(a)は、図3に示すサッシ10の連結部位のA-A断面図であり、図11(b)は、図3に示すサッシ10の連結部位のB-B断面図である。図11(a)に示すように、第1突出部66aおよび第2突出部66bと下枠32bの突条部44とが合わさっており、ネジが第1ネジ孔72aおよび第1タッピングホール50aに螺合し、別のネジが第2ネジ孔72bおよび第2タッピングホール50bに螺合している。
【0069】
縦枠52の突条部44の先端が第1突出部66aおよび第2突出部66bに当接または近接している。縦枠52の第1タッピングホール50a、第2タッピングホール50bおよび第3タッピングホール50cは、ネジにより第1ネジ孔70a、第2ネジ孔70b、第3ネジ孔70cとともに螺合されている。
【0070】
図11(b)には、第1差込部68a、第2差込部68b、第3差込部68cおよび第4差込部68dが、下枠32bの第1枠ホロー部46a、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46cおよび第4枠ホロー部46dにそれぞれ差し込まれている様子を示す。第3タッピングホール50cが第1差込部68aに形成されたスリット76を通ってジョイント60に当接している。各差込部により横枠32とジョイント60の連結状態を安定させることができる。
【0071】
なお、ジョイント60には、第1ネジ孔70a、第2ネジ孔70bおよび第3ネジ孔70cのネジを覆うカバー部材が取り付けられてよい。カバー部材は、ジョイント60の下面から側面に渡って設けられてよい。また、カバー部材は、屋内側と屋外側に分かれて設けられてよく、異なる色であってよい。
【0072】
図12は、変形例のサッシの分解図である。図12に示すサッシは、下枠32bの切断面80および縦枠52の切断面82が45度に傾斜しており、連結状態で密着するように構成されている。また、ジョイント160は、下枠32bおよび縦枠52に収容されて、連結状態で露出しないように設けられる。
【0073】
縦枠52および下枠32bのホロー部の境界壁はジョイント160を差し込むために切り欠かれる。とくに一対の突条部44、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46c、第4枠ホロー部46dが連通するように、切断面80,82から奥に向かって切り欠かれる。一方で、第1枠ホロー部46aおよび第2枠ホロー部46bを隔てる境界壁は切り欠かれない。これにより、屋内側の第1枠ホロー部46aに水が入りにくくできる。
【0074】
ジョイント160は、第1ブロック84、第2ブロック86、シール材88、第1連結金具90、第2連結金具92、第3連結金具94および第4連結金具96を有する。ジョイント160は、側面視にてL字状に形成され、直交する2つの柱を有する。それらの柱が下枠32bおよひ縦枠52にそれぞれ差し込まれる。
【0075】
第1ブロック84は、一対の突条部44、第2枠ホロー部46b、第3枠ホロー部46cおよび第4枠ホロー部46dに差し込まれる。第2ブロック86は、第1ブロック84と見付け方向に分離しており、第1枠ホロー部46aに差し込まれる。
【0076】
シール材88は、下枠32bおよび縦枠52の切断面80,82に密着する。第1連結金具90は、L字状に形成され、下枠32bおよび縦枠52の内側壁部48aに差し込まれる。
【0077】
第2連結金具92は第2ブロック86と下枠32bのネジ止めに用いられ、第1ネジ孔98aにネジを下枠32bとともに挿通される。第2ブロック86は、第2ネジ孔98bによって縦枠52にネジ止めされる。第3連結金具94および第4連結金具96は、第1ブロック84と下枠32bのネジ止めに用いられ、第3ネジ孔98c、第4ネジ孔98dおよび第5ネジ孔98eにネジを下枠32bともに挿通される。
【0078】
ネジ孔形成部84aおよびネジ孔形成部84bは、縦枠52の突条部44に挿入され、下枠32bの突条部44に形成された第1タッピングホール50aおよび第2タッピングホール50bに挿入するためのネジを挿入される。このように、ジョイント160を介して縦枠52および下枠32bが連結され、ジョイント160が露出しないように構成できる。いずれにしても、ジョイントは、横枠32および縦枠52のネジ止めに用いられ、横枠32の端部および縦枠52の端部に介在する。
【0079】
なお、図12に示すジョイント160は、第1ブロック84および第2ブロック86が分離している態様を示したが、この態様に限られず、一体であってもよい。ブロックが一体である場合には、第1枠ホロー部46aおよび第2枠ホロー部46bを隔てる境界壁も切り欠かれる。
【0080】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0081】
例えば、実施例では、下枠32bとレール28が別体である態様を示したが、この態様に限られず、一体であってもよい。また、障子12がスライドする態様の建具1を実施例としたが、この態様に限られない。例えば、辷り出し窓、開き窓、オープニング窓などの窓に用いてもよい。加えてジョイントと横枠32および縦枠52とをばらした状態で運搬可能であり、各枠部材の両端部のいずれか一方にジョイントを固定した状態で運搬することも可能である。
【0082】
また、実施例では、横枠32および縦枠52がネジにより連結される態様を示したが、この態様に限られない。例えば、横枠32および縦枠52は、リベットなど連結することが可能である。いずれにしても、横枠32および縦枠52は、ネジやリベットなどの連結具で連結される。
【符号の説明】
【0083】
10 サッシ、 12 障子、 20 パネル、 22a 上框、 22b 下框、 24 戸車、 26 モヘア、 28 レール、 30 框芯材、 32a 上枠、 32b 下枠、 34 枠芯材、 35 ブロック、 42 基部、 44 突条部、 44a 溝部、 46a 第1枠ホロー部、 46b 第2枠ホロー部、 46c 第3枠ホロー部、 46d 第4枠ホロー部、 48a 内側壁部、 48b 外側壁部、 50a 第1タッピングホール、 50b 第2タッピングホール、 50c 第3タッピングホール、 52 縦枠、 54 ロック部、 56 第1縦框、 58 第2縦框、 60 ジョイント。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12