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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20231207BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B60N2/68
A47C7/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020002485
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021109534
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林田 秀司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-107178(JP,A)
【文献】特開2021-059181(JP,A)
【文献】特開2019-209912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0113481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
A47C 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションとシートバックとヘッドレストを備えた車両用シートであって、
前記シートバックを構成するフレームは左側バックサイドフレームと右側バックサイドフレームと、前記左側バックサイドフレームの長手方向の一方の端部及び前記右側バックサイドフレームの前記長手方向の一方の端部と接続するアッパーパネルと、前記左側バックサイドフレームの長手方向の他方の端部及び前記右側バックサイドフレームの前記長手方向の他方の端部と接続するローアーパネルとを備え、
前記左側バックサイドフレームは、左メインフレーム部と、前記左メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた左第一折り曲げ部と、前記左メインフレーム部の短手方向の他端から内側に折り曲げられた左第二折り曲げ部を含み、
前記右側バックサイドフレームは、右メインフレーム部と、前記右メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた右第一折り曲げ部と、前記右メインフレーム部の前記短手方向の他端から前記内側に折り曲げられた右第二折り曲げ部とを含み、
前記アッパーパネルは、前記左第一折り曲げ部と溶接される左第一平面部と、前記左第二折り曲げ部と溶接される左第二平面部と、前記右第一折り曲げ部と溶接される右第一平面部と、前記右第二折り曲げ部と溶接される右第平面部とを備え、
前記左第一平面部と前記左第二平面部の平面に対して垂直な方向から見たときに、前記左第一平面部と前記左第二平面部とは互いに干渉しない位置に配置されているとともに、前記右第一平面部と前記右第二平面部の平面に対して垂直な方向から見たときに、前記右第一平面部と前記右第二平面部とは互いに干渉しない位置に配置されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1記載の車両用シートであって、
前記左第一平面部と左第二平面部の平面に対して前記垂直な方向から見たときに、前記左第二平面部は前記左第一平面部の両側で前記左第一平面部と干渉しない位置に配置されているとともに、前記右第一平面部と前記右第二平面部の平面に対して前記垂直な方向から見たときに、前記右第二平面部は前記右第一平面部の両側で前記右第一平面部と干渉しない位置に配置されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用シートであって、
前記アッパーパネルは、前記左側バックサイドフレームの前記一方の端部と前記右側バックサイドフレームの前記一方の端部とを接続する方向において前記左第一平面部の先端部分から前記第一平面部の先端部分までの長さが、前記左側バックサイドフレームの前記左第一折り曲げ部の先端部分と前記右側バックサイドフレームの前記右第一折り曲げ部の先端部分の間隔よりも長く形成されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項4】
シートクッションとシートバックとヘッドレストを備えた車両用シートであって、
前記シートバックを構成するフレームは左側バックサイドフレームと右側バックサイドフレームと、前記左側バックサイドフレームの長手方向の一方の端部及び前記右側バックサイドフレームの前記長手方向の一方の端部と接続するアッパーパネルと、前記左側バックサイドフレームの長手方向の他方の端部及び前記右側バックサイドフレームの前記長手方向の他方の端部と接続するローアーパネルとを備え、
前記左側バックサイドフレームは、左メインフレーム部と、前記左メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた左第一折り曲げ部と、前記左メインフレーム部の前記短手方向の他端から内側に折り曲げられた左第二折り曲げ部とを含み、
前記右側バックサイドフレームは、右メインフレーム部と、前記右メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた右第一折り曲げ部と、前記右メインフレーム部の前記短手方向の他端から内側に折り曲げられた右第二折り曲げ部とを含み、
前記左第一折り曲げ部の前記内側に折り曲げられた長さは前記左第二折り曲げ部の前記内側に折り曲げられた長さより短く、かつ、前記右第一折り曲げ部の前記内側に折り曲げられた長さは右第二折り曲げ部の前記内側に折り曲げられた長さより短くすることで、前記左第一折り曲げ部の先端と前記右第一折り曲げ部の先端の距離が、前記左第二折り曲げ部の先端から前記右第二折り曲げ部の先端までの距離よりも長くなっており、
前記ローアーパネルの長手方向の長さは、前記左第一折り曲げ部の先端と前記右第一折り曲げ部の先端との距離よりも短く、かつ、前記左第二折り曲げ部の先端から前記右第二折り曲げ部の先端までの距離よりも長くなっており、
前記アッパーパネル前記左第二折り曲げ部前記左第一折り曲げ部の側から組み付けて設置することが可能であるとともに、前記アッパーパネル前記右第二折り曲げ部前記右第一折り曲げ部の側から組み付けて設置することが可能であり
前記ローアーパネル前記左第二折り曲げ部前記左第一折り曲げ部の側から組み付けて設置することが可能であるとともに、前記ローアーパネル前記右第二折り曲げ部前記右第一折り曲げ部の側から組み付けて設置することが可能であることを特徴とする車両用シート。
【請求項5】
請求項4記載の車両用シートであって、
前記アッパーパネルと前記左第一折り曲げ部とが互いに重なり合った面において溶接されており、前記アッパーパネルと前記左第二折り曲げ部との前記溶接された前記重なり合った面に対して垂直な方向から見たときに、前記アッパーパネルと前記左第二折り曲げ部との前記溶接された部分は前記アッパーパネルと前記左第一折り曲げ部とが溶接された部分の両側で前記アッパーパネルと前記左第一折り曲げ部とが溶接された部分と干渉しない位置に配置されており、前記アッパーパネルと前記右第一折り曲げ部とが互いに重なり合った面において溶接されており、前記アッパーパネルと前記右第二折り曲げ部との前記溶接された前記重なり合った面に対して垂直な方向から見たときに、前記アッパーパネルと前記右第二折り曲げ部との前記溶接された部分は前記アッパーパネルと前記右第一折り曲げ部とが溶接された部分の両側で前記アッパーパネルと前記右第一折り曲げ部とが溶接された部分と干渉しない位置に配置されていることを特徴とする車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに係り、特に、組み立て性が良いフレーム構造を有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、金属製のフレームにポリウレタンなどで構成されるクッション材を装着し、その表面を表皮部材で覆った構成を有しているが、金属製のフレーム構成については、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているようなものがある。
【0003】
特許文献1には、第1のシートフレーム部材(34)と第2のシートフレーム部材(24)とを備えた自動車用のシートフレームにおいて、第2のシートフレーム部材(24)は、本体部分(32)と第1の柔軟な部材(70)とを備えており、その第1の柔軟な部材(70)は本体部分(32)から延びている。柔軟な部材(70)は、第1の位置(66)において第1のシートフレーム部材(34)に溶接されて、第2のシートフレーム部材(26)を第1のシートフレーム部材(34)に結合する構成が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、シートフレームにおいて、上枠材2に設けた係合部2bに左右の側枠材3,4の係合爪3b,4bをはめ込み、左右の側枠材3,4の上係合部3c,4cに上補強材6の係合爪6aをはめ込み、左右の側枠材3,4の下係合部3e,4eに下枠材5の係合爪5aをはめ込んで全体を略方形に枠組みできるように構成し、上記の各係合爪と係合部は、嵌合状態にしたうえで溶接にて固定し、上枠材2と上補強材6にわたってヘッドレストサポート取付部材7を取付ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2008-520356号公報
【文献】特開平11-216037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の図7に示されているような外周フレーム20の構成においては、上部の第一のクロス支持部材34の両側の端部を一対のサイド支持部材22,24の上端部にそれぞれ挿入するために、上部の第一のクロス支持部材34に対して一対のサイド支持部材22,24を横方向に押し込む動作が必要になる。
【0007】
このように、特許文献1に記載されている外周フレーム20の構成では、この外周フレーム20を組み立てる場合に、上部の第一のクロス支持部材34をセットする方向(上下方向)に対して、一対のサイド支持部材22,24を左右方向に移動させて第一のクロス支持部材34に押し込む動作が必要になり、一対のサイド支持部材22,24と第一のクロス支持部材34との組み立て性が悪く、組み立てを自動化する上でネックになる。
【0008】
また、特許文献2に記載されているシートバックフレーム1の構成では、上枠材2に設けた係合部2bに左右の側枠材3,4の係合爪3b、4bをはめ込むために、略コの字状に形成された側枠材3,4の端部で上枠材2の端部を包み込むように、左右の側枠材3,4を上枠材2に対してそれぞれ横方向に押し込む動作が必要になる。
【0009】
このように、特許文献2に記載されているシートバックフレーム1の構成においても、特許文献1の場合と同様に、このシートバックフレーム1を組み立てる場合に、上枠材2をセットする方向(上下方向)に対して、左右の側枠材3,4を左右方向に移動させて上枠材に押し込む動作が必要になり、左右の側枠材と上枠材との組み立て性が悪く、組み立てを自動化する上でネックになる。
【0010】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、左右の側枠材と上枠材との組み立て性を良くした金属製のフレームを備えた車両用シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した従来技術の課題を解決するために、本発明では、シートクッションとシートバックとヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、シートバックを構成するフレームは左側バックサイドフレームと右側バックサイドフレームと、左側バックサイドフレームの長手方向の一方の端部及び右側バックサイドフレームの長手方向の一方の端部と接続するアッパーパネルと、左側バックサイドフレームの長手方向の他方の端部及び右側バックサイドフレームの長手方向の他方の端部と接続するローアーパネルとを備えて構成し、左側バックサイドフレームは、左メインフレーム部と、この左メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた左第一折り曲げ部と、左メインフレーム部の短手方向の他端から内側に折り曲げられた左第二折り曲げ部とを含み、右側バックサイドフレームは、右メインフレーム部と、この右メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた右第一折り曲げ部と、右メインフレーム部の短手方向の他端から内側に折り曲げられた右第二折り曲げ部とを含み、アッパーパネルは、左第一折り曲げ部と溶接される左第一平面部と、左第二折り曲げ部と溶接される左第二平面部と、右第一折り曲げ部と溶接される右第一平面部と、二折り曲げ部と溶接される右第二平面部を備え、左第一平面部と左第二平面部の平面に対して垂直な方向から見たときに、左第一平面部と左第二平面部とは互いに干渉しない位置に配置されているとともに、右第一平面部と右第二平面部の平面に対して垂直な方向から見たときに、右第一平面部と右第二平面部とは互いに干渉しない位置に配置されている構成とした
【0012】
また、上記した従来技術の課題を解決するために、本発明では、シートクッションとシートバックとヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、シートバックを構成するフレームは左側バックサイドフレームと右側バックサイドフレームと、左側バックサイドフレームの長手方向の一方の端部及び右側バックサイドフレームの長手方向の一方の端部と接続するアッパーパネルと、左側バックサイドフレームの長手方向の他方の端部及び右側バックサイドフレームの長手方向の他方の端部と接続するローアーパネルとを備えて構成し、左側バックサイドフレームは、左メインフレーム部と、この左メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた左第一折り曲げ部と、左メインフレーム部の短手方向の他端から内側に折り曲げられた左第二折り曲げ部とを含み、右側バックサイドフレームは、右メインフレーム部と、右メインフレーム部の短手方向の一端から内側に折り曲げられた右第一折り曲げ部と、右メインフレーム部の短手方向の他端から内側に折り曲げられた右第二折り曲げ部とを含み、左第一折り曲げ部の長さは左第二折り曲げ部の長さより短く、かつ、右第一折り曲げ部の長さは右第二折り曲げ部の長さより短くすることで、左第一折り曲げ部の先端と右第一折り曲げ部の先端の距離が、左第二折り曲げ部の先端から右第二折り曲げ部の先端までの距離が長くなっており、ローアーパネルの長手方向の長さは、左第一折り曲げ部の先端と右第一折り曲げ部の先端の距離よりも短く、かつ、左第二折り曲げ部の先端から右第二折り曲げ部の先端までの距離より長くなっており、アッパーパネルと左第二折り曲げ部とが左第一折り曲げ部側から溶接されているとともに、アッパーパネルと右第二折り曲げ部とが右第一折り曲げ部側から溶接されており、ローアーパネルと左第二折り曲げ部とが左第一折り曲げ部側から溶接されているとともに、ローアーパネルと右第二折り曲げ部とが右第一折り曲げ部側から溶接されている構成とした


【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シートバック側フレームの左右のバックサイドフレームとアッパーパネルとの組み立て性が改善され、組み立て作業が容易な構造を有する左右のバックサイドフレームとアッパーパネルとを有する金属製のシートバック側フレームを備えた車両用シートを提供することができる。
【0014】
また、これにより、自動化に適した構成を有する金属製のシートバック側フレームを備えた車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る車両用シートの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る車両用シートのフレームの構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施例に係る車両用シートのシートバック側フレームの主な構成部品の形状を示す斜視図である。
図4】本発明の実施例に係る車両用シートのシートバック側フレームを図2のA方向から見た斜視図である。
図5】本発明の実施例に係る車両用シートのシートバック側フレームの左右のサイドフレームとアッパーパネルとを接続した状態の平面図である。
図6】本発明の実施例に係る車両用シートのシートバック側フレームの図4におけるC-C断面の矢視図である。
図7】本発明の実施例に係る車両用シートのシートバック側フレームの図4におけるD-D断面の矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、車両用シートに係り、特に、組み立て性が良いフレーム構造を有する車両用シートに関するものである。
【0017】
本発明においては、フレーム構造を構成する左右の側枠材と上枠材との組み立て時のセット方向を上下方向に統一するようにして、従来技術と比べて左右の側枠材と上枠材との組み立て性を向上させた。これにより、自動化に適した構成を有する金属製のフレームを備えた車両用シートを提供することができるようにした。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は原則として省略する。
【0019】
ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【実施例
【0020】
本実施例に係る車両用シート1の外観を図1に示す。
車両用シート1は、搭乗者が着座するシートクッション2と、着座した搭乗者の背を支持するシートバック3と、着座した搭乗者の頭部を支えるヘッドレスト4を備えて構成される。
【0021】
図2には、車両用シート1を構成する金属製のフレーム100の構成を示す。図1に示した車両用シート1は、この図2に示した金属性のフレーム100に、表面を表皮部材で覆ったウレタンなどで構成されるクッション材を装着したものである。
【0022】
図2に示した金属製のフレーム100は、シートクッション側フレーム20と、シートバック側フレーム30、スライドレール部40とを備えて構成されている。
【0023】
シートクッション側フレーム20は、着座した搭乗者から見たときに左側の左側サイドフレーム21と、着座した搭乗者から見たときに右側の右側サイドフレーム22、左側サイドフレーム21と右側サイドフレーム22とを前方で接続する接続プレート23、左側サイドフレーム21と右側サイドフレーム22とを後方で接続する接続パイプ24を備えている。
【0024】
シートバック側フレーム30は、左側バックサイドフレーム31と、右側バックサイドフレーム32、左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32とを上部で接続するアッパーパネル33、左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32とを下部で接続するローアーパネル34、シートクッション側フレーム20に対するシートバック側フレーム30の角度を調整するための角度調整部37、角度調整部37から延びて左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32との間を接続する接続パイプ38を備えている。
【0025】
スライドレール部40は、シートクッション側フレーム20を載せて前後にスライドするもので、図示していない車両の床面に固定される左右一対の固定レール41と、固定レール41に沿って前後にスライドする左右一対のスライドレール42、スライドレール42とシートクッション側フレーム20側の左側サイドフレーム21又は右側サイドフレーム22と前方で接続する前側リンク機構部43、スライドレール42とシートクッション側フレーム20側の左側サイドフレーム21又は右側サイドフレーム22と後方で接続する後側リンク機構部44、左右一対のスライドレールを連結する連結パイプ45を備えている。
【0026】
図3に、本実施例に係るシートバック側フレーム30における左側バックサイドフレーム31と、右側バックサイドフレーム32、アッパーパネル33、ローアーパネル34の構成を示す。左側バックサイドフレーム31と、右側バックサイドフレーム32とはほぼ対称な形状を有している。
【0027】
左側バックサイドフレーム31は、左メインフレーム部311と左上側折り曲げ部312、左下側折り曲げ部313を備えた形状を有しており、左上側折り曲げ部312と左下側折り曲げ部313とは、左メインフレーム部311の端部をそれぞれ内側に折り曲げて成形されている。
【0028】
左メインフレーム部311には、組み立て時に図示していない位置決めピンを挿入して位置を固定するための位置決め用穴3101乃至3104が形成されている。左メインフレーム部311の根元部分に形成された穴3110は、角度調整部37を装着するためのものである。
【0029】
左下側折り曲げ部313の先端部分付近には、アッパーパネル33と接合するための接合部3131、3132(図4参照)が形成されている。また、左上側折り曲げ部312の先端部分には、アッパーパネル33と接合するための接合部3121が形成されている。
【0030】
右側バックサイドフレーム32も、左側バックサイドフレーム31と同様に、右メインフレーム部321と右上側折り曲げ部322、右下側折り曲げ部323を備えた形状を有しており、右上側折り曲げ部322と右下側折り曲げ部323とは、右メインフレーム部321の端部をそれぞれ内側に折り曲げて成形されている。
【0031】
右メインフレーム部321にも、組み立て時に図示していない位置決めピンを挿入して位置を固定するための位置決め用穴3201乃至3204が形成されている。右メインフレーム部321の根元部分に形成された穴3210は、角度調整部37と接続する接続パイプ38を保持するためのものである。
【0032】
右メインフレーム部321の先端部分にも、左メインフレーム部311の先端部分と同様に、アッパーパネル33と接合するための接合部3221、3231、3232が形成されている。また、
右下側折り曲げ部323の先端部分付近には、アッパーパネル33と接合するための接合部3231、3232が形成されている。また、右上側折り曲げ部322の先端部分には、アッパーパネル33と接合するための接合部3221が形成されている。
【0033】
アッパーパネル33は、中央のアッパーメインフレーム部331に対して上部で内側に折り曲げられている上側折り曲げ部333と、中央のアッパーメインフレーム部331に対して下部で内側に折り曲げられている下側折り曲げ部332がそれぞれ折り曲げにより形成されている。
【0034】
アッパーメインフレーム部331には、組み立て時に図示していない位置決めピンを挿入して位置を固定するための位置決め用穴3301乃至3304が形成されている。アッパーメインフレーム部331の左側端部には、左側バックサイドフレーム31の左上側折り曲げ部312に形成した接合部3121と重なる左接合部3311が形成されている。また、アッパーメインフレーム部331の右側端部には、右側バックサイドフレーム32の右上側折り曲げ部322に形成した接合部3221と重なる右接合部3312が形成されている。
【0035】
また、アッパーパネル33の上側折り曲げ部333の左側端部には、左側バックサイドフレーム31の左下側折り曲げ部313に形成した接合部3131と重なる左接合部3331が形成されている。また、上側折り曲げ部333の右側端部には、右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323に形成した接合部3231と重なる右接合部3332(図4参照)が形成されている。
【0036】
さらに、アッパーパネル33の下側折り曲げ部332の左側端部には、左側バックサイドフレーム31の左下側折り曲げ部313に形成した接合部3132(図4参照)と重なる左接合部3321が形成されている。また、下側折り曲げ部332の右側端部には、右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323に形成した接合部3232と重なる右接合部3322が形成されている。
【0037】
ローアーパネル34には、組み立て時に図示していない位置決めピンを挿入して位置を固定するための位置決め用穴3401と3302が形成されている。また、ローアーパネル34の右側の端部342は、右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323に形成した接合部3233と重なる位置に形成されており、ローアーパネル34の左側の端部341は、右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323に形成した右下側折り曲げ部323に形成した接合部3233に対応する図示していない接合部と重なる位置に形成されている。
【0038】
図4には、図2において矢印Aの方向から右側バックサイドフレーム32とアッパーパネル33とが接続する部分を見たときの斜視図を、各部品の構成を簡略化して示す。右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323の接合部3232と3231には、アッパーパネル33の下側折り曲げ部332に形成した右接合部3322と上側折り曲げ部333に形成した右接合部3332がそれぞれ重なっており、右側バックサイドフレーム32の右上側折り曲げ部322の接合部3221にはアッパーパネル33のアッパーメインフレーム部331に形成した右側端部の右接合部3312が重なっている。
【0039】
これら重なり合った部分を溶接(例えばレーザ溶接)することにより、右側バックサイドフレーム32とアッパーパネル33とを接続して固定することができる。左側バックサイドフレーム31とアッパーパネル33とについても同様に重なり合った部分を溶接(例えばレーザ溶接)することにより左側バックサイドフレーム31とアッパーパネル33とを接続して固定することができる。
【0040】
図示は省略するが、図2において矢印Bの方向から左側バックサイドフレーム31とアッパーパネル33とが接続する部分を見たときの構成も、図4に示した構成と同様になっている。
【0041】
図5には、図4に示した構成に左側バックサイドフレーム31とアッパーパネル33との構成も含めて、その平面図を示す。図において、( )で示した数値は、下側で隠れている部分の部品番号を示している。
【0042】
図5からわかるように、上方から見たときに、右側バックサイドフレーム32とアッパーパネル33とが接続している部分のうち、アッパーパネル33の側の右接合部3322と3332とは、いずれもそれよりも上方の右側バックサイドフレーム32の右上側折り曲げ部322と重なっていない。これより、右側バックサイドフレーム32に対してアッパーパネル33を上方(図5の場合、紙面に垂直な方向:図3における矢印の方向)から組み付けることで、右接合部3322を接合部3232の上に,また、右接合部3332を接合部3231の上に設置することが可能であることがわかる。
【0043】
同様に、上方から見たときに、左側バックサイドフレーム31とアッパーパネル33とが接続する部分のうちアッパーパネル33の側の左接合部3321と3331とは、いずれもそれよりも上方の左側バックサイドフレーム31の左上側折り曲げ部312と重なっていない。これより、左側バックサイドフレーム31に対してアッパーパネル33を上方(図5の場合、紙面に垂直な方向:図3における矢印の方向)から組み付けることで、左接合部3321を接合部3132の上に,また、左接合部3331を接合部3131の上にセットすることが可能であることがわかる。
【0044】
一方、図3で説明したローアーパネル34は、接合部である端部342を右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323の接合部3233に重ね合わせ、接合部である端部341を左側バックサイドフレーム31の左下側折り曲げ部313の図示していない接合部(右下側折り曲げ部323の接合部3233に対応する位置)に重ね合わせた状態で溶接(例えばレーザ溶接)することにより、ローアーパネル34を左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32とに接続し、固定することができる。
【0045】
ここで、ローアーパネル34の長さ方向の寸法は、左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32と対抗させて設置した状態で、左側バックサイドフレーム31の左上折り曲げ部312と右側バックサイドフレーム32の右上折り曲げ部322との間隔よりも短く形成されている。これにより、左側バックサイドフレーム31の左上折り曲げ部312と右側バックサイドフレーム32の右上折り曲げ部322とに干渉することなく(接触することなく)、ローアーパネル34を上方から下降させるだけで、ローアーパネル34の両サイドの接合部である端部341と342とをそれぞれ右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323の接合部3233と左側バックサイドフレーム31の左下側折り曲げ部313の図示していない接合部とに重ねることができる。
【0046】
次に、図4におけるC-C断面の構成を図6に、D-D断面の構成を図7に示す。右側バックサイドフレーム32の右上側折り曲げ部322の接合部3221とアッパーパネル33の右接合部3312とは、図6に示した断面において接合されている。これに対して右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323の接合部3231とアッパーパネル33の右接合部3332とは、図6に示した断面よりも奥の部分、図7において左側の部分で接合されている。
【0047】
また、図7の断面においては、右側バックサイドフレーム32の右上側折り曲げ部322の接合部3221とアッパーパネル33の右接合部3312、及び右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323の接合部3231とアッパーパネル33の右接合部3332とが接合されるのに対して、右側バックサイドフレーム32の右下側折り曲げ部323の接合部3232とアッパーパネル33の右接合部3322とは図7に示した断面よりも奥の部分で接合されているのがわかる。
【0048】
以上説明したように、本実施例によれば、左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32とにアッパーパネル33を組みつけた状態を上方から見たときに、アッパーパネル33の左接合部3331と3321及び右接合部3332と3322とが左側バックサイドフレーム31の左上側折り曲げ部312及びと右側バックサイドフレーム32の右上側折り曲げ部322と干渉していないので、左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32とに対してアッパーパネル33を上方から設置することが可能になる。
【0049】
これにより、従来技術と比べてシートバック側フレーム30の組み立て動作を単純化することができ、シートバック側フレーム30の組み立てがし易くなる。また、シートバック側フレーム30の組み立てを自動化する場合において、組み立て動作を自動化に適した単純な動作にすることができるので、シートバック側フレーム30の組み立て工程を自動化しやすくなる。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用シート
2 シートクッション
3 シートバック
4 ヘッドレスト
20 シートクッション側フレーム
30 シートバック側フレーム
31 左側バックサイドフレーム
32 右側バックサイドフレーム
33 アッパーパネル
34 ローアーパネル
40 スライドレール部
100 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7