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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
F25D25/00 G
F25D25/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020018298
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021124252
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 崇司
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆人
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-023692(JP,U)
【文献】特開2015-200420(JP,A)
【文献】特開2019-039601(JP,A)
【文献】実開昭60-068390(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、
を備えており、
前記貯蔵部は、下段容器と、前記下段容器の上に重ねて設けられる上段容器と、を有しており、
前記上段容器は、第1係合部を有しており、
前記第1係合部は、前記下段容器と係合可能な第1状態と、前記第1状態とは異なる第2状態とに切り替え可能に構成されており、
前記貯蔵部が前記本体から引き出されたときに、
前記第1係合部が前記第1状態である場合には、前記第1係合部が前記下段容器と係合することにより、前記上段容器が前記下段容器とともに引き出され、
前記第1係合部が前記第2状態である場合には、前記第1状態よりも前記上段容器が前記下段容器とともに引き出されにくくなるように構成されており、
前記上段容器は、左右方向に位置する側面を有しており、
前記第1係合部は、前記側面に対して着脱可能に構成されており、
前記第1係合部を着脱することにより、前記第1状態と前記第2状態とが切り替えられるように構成されており、
前記上段容器の前記側面には、前記側面から外側に突出するとともに前記上段容器を支持するための支持部と、前記第2状態である場合に前記第1係合部を収納可能な収納部と、が設けられており、
前記支持部及び前記収納部は、前記前後方向に沿って配置されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1係合部は、前記側面の前方側に設けられている、請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記上段容器の前記側面に、前記第1係合部を着脱可能な取付部が設けられており、
前記取付部は、前記取付部の上面から下面まで貫通する貫通孔を備えており、
前記第1係合部は、前記貫通孔に挿通されることにより取り付けられるように構成されている、請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1係合部は、脚部と、前記脚部に設けられた係止部と、を備えており、
前記第1係合部は、前記脚部を前記貫通孔に挿通させたときに、前記係止部が前記取付部に係止するように構成されている、請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記係止部は、前記脚部から外側に延びており、
前記係止部の先端と前記脚部とを接続する傾斜部が設けられており、
前記脚部を前記貫通孔に挿通させるときに、前記傾斜部が前記貫通孔に当接することにより、前記脚部が内側に押圧されるように構成されている、請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1係合部は、前記脚部に接続されており、前記下段容器と係合するための頭部を備えており、
前記支持部と前記収納部は、前記前後方向に沿って隣接して配置されており、
前記収納部は前記第1係合部を挿通させるための孔部を有しており、
前記孔部の幅は、前記脚部及び前記係止部の幅よりも広く、前記頭部の幅よりも狭い、請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1係合部は、前記貫通孔への挿通方向における前記第1係合部の中心を対称面として、左右対称に構成されている、請求項3~6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記下段容器には、その側面から外側に突出する延出部が設けられており、
前記延出部には、第2係合部が設けられており、
前記第1状態では、前記第2係合部が前記第1係合部と係合することにより、前記上段容器が前記下段容器とともに引き出される、請求項1~のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
本体と、本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、を備える冷蔵庫が知られている。貯蔵部は、下段容器と下段容器の上に重ねて設けられる上段容器とを有している。この種の冷蔵庫では、貯蔵部を引き出したときに、下段容器とともに上段容器が引き出される形態や、下段容器のみが引き出され上段容器が本体内部に留まる形態が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-39601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、多段に重ねられた引き出し式の貯蔵部を備える冷蔵庫において、ユーザの利便性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する冷蔵庫は、本体と、前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、を備えている。前記貯蔵部は、下段容器と、前記下段容器の上に重ねて設けられる上段容器と、を有している。前記上段容器は、第1係合部を有している。前記第1係合部は、前記下段容器と係合可能な第1状態と、前記第1状態とは異なる第2状態とに切り替え可能に構成されている。前記貯蔵部が前記本体から引き出されたときに、前記第1係合部が前記第1状態である場合には、前記第1係合部が前記下段容器と係合することにより前記上段容器が前記下段容器とともに引き出され、前記第1係合部が前記第2状態である場合には、前記第1状態よりも前記上段容器が前記下段容器とともに引き出されにくくなるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例に係る冷蔵庫を示す正面図。
図2】実施例に係る冷蔵庫の前後方向に沿う断面図。
図3】実施例に係る冷蔵庫の貯蔵容器の斜視図。
図4】実施例に係る冷蔵庫の上段容器の要部斜視図(第2状態)。
図5図4のV-V線における断面図。
図6】実施例に係る切替部材の構成を示す斜視図。
図7】実施例に係る切替部材の構成を示す側面図。
図8】実施例に係る冷蔵庫の上段容器の要部斜視図(第1状態)。
図9】実施例に係る冷蔵庫の第1状態の閉扉した状態を示す側面図。
図10】実施例に係る冷蔵庫の第1状態の開扉した状態を示す側面図。
図11】実施例に係る冷蔵庫の第2状態の閉扉した状態を示す側面図。
図12】実施例に係る冷蔵庫の第2状態の閉扉する過程を示す側面図。
図13】実施例に係る冷蔵庫の第2状態の開扉した状態を示す側面図。
図14】実施例に係る冷蔵庫の切替部材を収納した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例)
図面を参照して、実施例の冷蔵庫10について説明する。図1及び図2に示すように、冷蔵庫10は、本体12を備えている。本体12は、外側側板からなる外箱と、内側側板からなる内箱を有している。外箱と内箱の間には、断熱材が配置されており、本体12は断熱性を有している。本体12の内部には、複数の貯蔵室が設けられている。以下では、冷蔵庫10の前後方向(奥行き方向)において、本体12の正面側を「前方」といい、本体12の裏面側を「後方」という。
【0008】
図1及び図2に示すように、本体12には、貯蔵室として、冷蔵室14、野菜室16、製氷室18、小冷凍室20、及び主冷凍室22が設けられている。冷蔵室14及び野菜室16は冷蔵温度帯の貯蔵室であり、製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22は冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0009】
冷蔵室14の前面には、冷蔵室14の前面開口部を開閉する左右の扉14a、14bが設けられている。左右の扉14a、14bは、観音開き式の扉であり、扉14aの左端部及び扉14bの右端部がヒンジ(不図示)により本体12に対して回動可能に取り付けられている。冷蔵室14には、前面開口部を介して貯蔵品が収容される。図2に示すように、冷蔵室14の下部には、チルド室24が設けられている。
【0010】
野菜室16、製氷室18、小冷凍室20、及び主冷凍室22の前面のそれぞれには、各前面開口部を開閉する引き出し式の扉16a、18a、20a、22aが設けられている。観音開き式の扉14a、14b、及び、引き出し式の扉16a、18a、20a、22aには、それぞれの内部に断熱材(例えば、ポリウレタン)が設けられており、断熱性を有している。各扉14a、14b、16a、18a、20a、22aの前面(外面)部分は、例えば透光性を有するガラス板によって構成された前面板(不図示)で覆われている。
【0011】
図2に示すように、主冷凍室22の後方には、圧縮機26等が配置された機械室25が設けられている。また、野菜室16の後方には、冷蔵室ファン30及び冷蔵室冷却器31が配置されている。ファンモータ(不図示)が駆動することにより冷蔵室ファン30が回転し、空気が冷蔵室14及び野菜室16に送られる。また、製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22の後方には、冷凍室ファン40及び冷凍室冷却器41が配置されている。ファンモータ(不図示)が駆動することにより冷凍室ファン40が回転し、空気が製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22に送られる。冷蔵室冷却器31及び冷凍室冷却器41は、圧縮機26から供給される冷媒によって冷却される。
【0012】
野菜室16には、貯蔵容器17が設けられている。小冷凍室20には、貯蔵容器21が設けられている。各扉16a、20aを前後方向に引き出すことにより、各貯蔵容器17、21が出し入れ可能に収容されている。主冷凍室22には、貯蔵容器23が設けられている。図2図5に示すように、主冷凍室22の貯蔵容器23は、下段容器50と、上段容器52を有している。下段容器50は、扉22aに固定されており、扉22aを前後方向に引き出すことにより、扉22aと一体となって移動する。以下、主冷凍室22の構成について、詳細に説明する。
【0013】
図3に示すように、下段容器50と上段容器52は、重ねて設けられている。上段容器52が、下段容器50上に重ねて設けられる。下段容器50は、前面50aと、後面(不図示)と、前面50a及び後面を接続する2つの側面50cと、底面50dを有している。
【0014】
下段容器50の前面50aの上部には、前面50aから前方に突出する延出部51aが設けられている。延出部51aは、前面50aの上端から前方に突出している。また、下段容器50の各側面50cの上部には、各側面50cから外側に突出する延出部51bが設けられている。延出部51bは、側面50cの上端から外側に突出している。延出部51a及び延出部51bは、前面50aと側面50cにより構成される角部において接続されている。延出部51bは、本体12の前後方向において、前方に位置する前部53aと、後方に位置する後部53bを有している。前部53aと後部53bは、段差部51cによって接続されている。前部53aは、前面50aの延出部51aと略同じ高さに位置している。後部53bは、段差部51cを介して前部53aよりも下側に設けられている。したがって、下段容器50は、前面50aの上端が、後面の上端よりも上側に位置している。後部53bには、上方に湾曲する凸部51dが設けられている。凸部51dは、後部53bの前方側に設けられている。
【0015】
図3に示すように、上段容器52は、前面52aと、後面52bと、前面52a及び後面52bを接続する2つの側面52cと、底面52dを有している。
【0016】
上段容器52の前面52aの上部には、前面52aから前方に突出する延出部54aが設けられている。延出部54aは、前面52aの上端から前方に突出している。また、上段容器52の前面52aは、その中央部において下方に湾曲している。当該湾曲部分は、手掛け部として機能する。すなわち、当該湾曲部分が設けられていることにより、ユーザによる上段容器52の操作(上段容器52の引き出し等)が容易となる。なお、下段容器50は、扉22aを前後方向に引き出すことにより、扉22aと一体となって移動するため、下段容器50には、上段容器52の手掛け部に相当する構成が設けられていない。
【0017】
図4に示すように、上段容器52の各側面52cには、側面52cから外側に突出する延出部56が設けられている。延出部56は、側面52cの下部から外側に突出している。延出部56は、本体12の前後方向において、側面52cの前方側に設けられている。延出部56は、その後方端部において、わずかに上下方向の幅が広くなっている。図3等に示すように、下段容器50上に上段容器52を重ねた状態では、延出部56は、下段容器50の延出部51bに当接しない。図4に示すように、延出部56の前方には、延出部56の上面から下面まで貫通する貫通孔72が設けられている。本実施例では、貫通孔72は矩形状を有している。本実施例の貫通孔72は、図5に示すように、延出部56の下面に設けられた開口62aの幅W1(本体12の前後方向の幅)が、延出部56の上面に設けられた開口62bの幅W2よりも広い。開口62a及び開口62bの本体12の左右方向における幅は、略等しい。
【0018】
また、下段容器50上に上段容器52が重ねられた状態では、図3に示すように、上段容器52の延出部56が、下段容器50の段差部51cに当接することにより、上段容器52の前方への移動が制限される。これにより、下段容器50上に設けられた上段容器52が、下段容器50よりも前方へ移動しないように構成されている。
【0019】
図3に示すように、上段容器52の側面52cには、2つの支持部55が設けられている。各支持部55は、側面52cの前方側と後方側にそれぞれ設けられている。各支持部55は、側面52cから外側に突出している。各支持部55は、側面52cの中間位置に設けられている。図示していないが、反対側の側面52cにも同様の支持部が2つ設けられている。図4に示すように、上段容器52の側面52cには、側面52cの上端と支持部55の外側端部とを接続する接続部59が設けられている。図4に示すように、1つの支持部55に対して3つの接続部59が設けられている。
【0020】
後に説明する図9等に示すように、上段容器52が下段容器50上に重ねられて主冷凍室22内に収容されると、各支持部55が、本体12の内面に設けられたレール70の上面に当接する。これにより、上段容器52がレール70上に支持される。レール70は、本体12の内箱の内面のうち、左右方向に位置する両側面を前後方向に延びており、上段容器52を支持するとともに、上段容器52を前後方向に案内するガイドとしても機能する。
【0021】
また、図3に示すように、上段容器52の側面52cには、2つの支持部55の間に位置するリブ57が設けられている。リブ57は、側面52cの前方側の後端に位置する1つの接続部59と、後方側の前端に位置する1つの接続部59とに接続されている。リブ57は、上段容器52を引き出す方向に加わる力に対して、上段容器52の強度を向上させるために設けられている。また、図4に示すように、上段容器52の側面52cには、前方側に位置する支持部55の前方に収納部60が設けられている。収納部60は、前方側の前端に位置する接続部59に接続されている。収納部60には、上下方向に貫通する孔部60aが形成されている。収納部60の主な機能については後述する。なお、収納部60は、リブ57と略同じ高さに設けられている。したがって、収納部60は、リブ57とともに上段容器52の強度を向上させる部材としても機能する。
【0022】
図4に示すように、上段容器52の底面52dには、底面52dから下方に突出する突出部58が設けられている。突出部58は、本体12の前後方向において、前面52a側に設けられている。なお、設けられる突出部58の数は特に限定されない。複数の突出部58が設けられてもよい。複数の突出部58を設ける場合には、当該複数の突出部58それぞれの前後方向における位置が同じであればよい。突出部58の機能については後述する。
【0023】
ここで、本実施例の冷蔵庫10は、扉22aを開扉したときに、下段容器50とともに上段容器52が引き出される態様(以下、第1状態という。)と、下段容器50が引き出されて上段容器52が主冷凍室22の内部に留まる態様(以下、第2状態という。)と、に切り替えることができる。冷蔵庫10は、この切り替えを可能にする切替部材100を備えている。
【0024】
図6に示すように、切替部材100は、本体12に対して着脱可能に構成されている。より詳細には、図8等に示すように、切替部材100は、上段容器52の延出部56の貫通孔72内に挿通させることにより、上段容器52に対して着脱可能に構成されている。切替部材100は、頭部102と、頭部102に接続されている2つの脚部104と、脚部104のそれぞれに接続されている2つの係止部106を有している。切替部材100は、例えば、樹脂等の弾性力を有する材料を用いて、頭部102、脚部104、係止部106を一体成型することにより形成することができる。以下、説明の便宜上、脚部104から頭部102に向かう方向を下側、頭部102から脚部104に向かう方向を上側、2つの脚部104が配列されている方向において、各脚部104が近接する方向を内側、各脚部104が離間する方向を外側として説明を続ける。
【0025】
頭部102は、下方に凸となる形状を有している。具体的には、頭部102は、切替部材100を延出部56に取り付けた状態における本体12の前後方向に沿う断面で見たときに、山形状の外縁を有している。各脚部104は、頭部102の上面に接続されている。各脚部104は、頭部102の上面からそれぞれ上方に延びている。各係止部106は、対応する脚部104からそれぞれ外側に向かって延びている。各係止部106は、各脚部104の上部に設けられている。
【0026】
切替部材100は、係止部106及び脚部104を接続する傾斜部108をさらに有している。傾斜部108は、脚部104と係止部106の外側端部とを接続している。図7に示すように、切替部材100は、図7に示す断面における左右方向の中心(破線200)を対称面として、左右対称に構成されている。
【0027】
2つの脚部104の間隔D1は、延出部56の上面に設けられた開口62bの幅W2(図5参照)と略等しい。すなわち、2つの脚部104は、貫通孔72を挿通可能な間隔で配置されている。また、一方の係止部106の外側端部から他方の係止部106の外側端部までの距離D2は、延出部56の下面に設けられた開口62aの幅W1よりも狭く、開口62bの幅W2よりも広い。また、頭部102の上面から係止部106までの距離D3は、延出部56の上面から下面までの距離と略等しい。
【0028】
切替部材100を延出部56に取り付けるときには、脚部104を貫通孔72に対して下側から押し込む。すると、2つの傾斜部108が開口62aを通過して開口62bに当接し、各脚部104が内側に押圧される。脚部104が内側へ押圧されることにより、2つの係止部106の外側端部間の距離D2が短くなる。これにより、係止部106が貫通孔72を通過して、係止部106が延出部56の上面側まで誘導される。係止部106が貫通孔72を通過すると、切替部材100の弾性力により元の状態(すなわち、図7に示す状態)に復元する。これにより、係止部106が延出部56の上面に係止し、切替部材100を延出部56に取り付けることができる。すなわち、傾斜部108は、係止部106を貫通孔72内へ挿通させるためのガイドリブとして機能する。このように、本実施例の切替部材100は、傾斜部108が設けられているために、延出部56の貫通孔72に対して容易に取り付けることができる。
【0029】
切替部材100を延出部56から取り外すときには、係止部106の外側端部間の距離D2が開口62bよりも短くなるまで各脚部104の上端を内側に押圧する。そして、切替部材100を下側に押し出すことによって、係止部106を開口62bの上側から下側に通過させる。これにより、切替部材100を容易に取り外すことができる。
【0030】
図9は、切替部材100が上段容器52の延出部56に取り付けられた状態(すなわち、第1状態)で、下段容器50上に上段容器52が重ねられて主冷凍室22内に収容された図を示している。第1状態では、切替部材100が取り付けられているため、図9に示すように、切替部材100の頭部102が下段容器50の凸部51dに係合する。このため、図10に示すように、扉22aを開扉したときに、下段容器50とともに上段容器52が連動して引き出される。したがって、扉22aを開扉したときに、上段容器52の内部に容易にアクセスすることが可能となる。このように、第1状態では、上段容器52の使用頻度が高いユーザにとって利便性が高い。
【0031】
図11は、切替部材100を延出部56から取り外した状態(すなわち、第2状態)で、下段容器50上に上段容器52が重ねられて主冷凍室22内に収容された図を示している。第2状態では、切替部材100が取り付けられていない。すなわち、第1状態と異なり、下段容器50の凸部51dに対して係合する部材が設けられておらず、上段容器52が下段容器50に接触していない。上段容器52は、2つの支持部55によってレール70上に支持されている。このため、図12に示すように、扉22aを開扉したときに、下段容器50とともに、上段容器52が連動して引き出されず、下段容器50のみが引き出される。上段容器52は、主冷凍室22の内部に留まり、レール70上に支持される。このため、扉22aを開扉したときに、下段容器50の内部に容易にアクセスすることが可能となる。このように、第2状態では、下段容器50の使用頻度が高いユーザにとって利便性が高い。
【0032】
ここで、本実施例では、上段容器52に突出部58が設けられている。このため、下段容器50を本体12に対して引き出す過程で、図12に示すように、上段容器52の突出部58が下段容器50の後面に当接する。すると、図13に示すように、上段容器52がレール70上をスライドし、上段容器52がわずかに引き出される。本実施例では、第2状態において下段容器50を全開したときに、上段容器52の延出部54aが、閉扉状態の扉22aの前面の位置(破線220で示す位置)よりもわずかに前方まで引き出されるように構成されている。したがって、ユーザは、上段容器52を操作しやすく、上段容器52の内部へも容易にアクセスすることができる。
【0033】
なお、上述したように、第2状態では、切替部材100が延出部56から取り外される。本実施例では、図14に示すように、取り外した切替部材100を収納部60に収納することができる。収納部60に設けられた孔部60aの前後方向の幅は、切替部材100の一方の係止部106の外側端部から他方の係止部106の外側端部までの距離D2よりも広く、頭部102の最大幅D4(図7参照)よりも狭い。したがって、切替部材100を孔部60a内に挿通させることにより、切替部材100が収納部60に保持される。このように、本実施例では、第2状態で(すなわち、切替部材100を取り外して)冷蔵庫10を使用する場合に、切替部材100が紛失することを防止することができる。
【0034】
上述した通り、本実施例では、切替部材100を着脱することにより、下段容器50とともに上段容器52が引き出される態様と、下段容器50のみが引き出される態様とに切り替えることができる。このように、本実施例の冷蔵庫10は、各ユーザの使用頻度に応じて、切替部材100を着脱する簡易な操作によって第1状態と第2状態とを容易に切り替えることができるため、利便性が高い。
【0035】
また、本実施例では、切替部材100が上段容器52の前方側に取り付けられる。すなわち、貫通孔72が延出部56の前方側に設けられている。このため、ユーザは、切替部材100の取り付け位置に容易にアクセスすることができ、切替部材100を簡易に着脱することができる。
【0036】
また、本実施例では、貫通孔72が延出部56の上下方向に貫通するように形成されている。すなわち、切替部材100が、貯蔵容器23の引き出し方向に対して垂直な方向に挿通される。このため、貯蔵容器23を引き出したときに、切替部材100が外れ難い。したがって、切替部材100を延出部56に取り付けたときに、切替部材100と下段容器50との係合状態を強固に維持することができる。
【0037】
また、本実施例では、切替部材100が中心(図7の破線200)を対称面として、左右対称に構成されている。すなわち、切替部材100は、図7に示す状態から前後を反転させた向きであっても延出部56に対して取り付けることができる。このため、ユーザは、切替部材100を取り付けるときに、前後方向の向きを気にする必要がなく、利便性が高い。
【0038】
(対応関係)
主冷凍室22の貯蔵容器23が「貯蔵部」の一例である。切替部材100が「第1係合部」の一例である。延出部56が「取付部」の一例である。下段容器50の凸部51dが「第2係合部」の一例である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0040】
上述した実施例では、切替部材100が着脱可能に構成されていた。すなわち、切替部材100が、本体12とは別体に構成されていた。しかしながら、本明細書に開示の技術では、第1状態と第2状態とが切り替え可能に構成されていればよく、第1状態と第2状態とを切り替えるための機構が、本体12と一体的に形成されてもよい。例えば、上段容器52に対して所定の操作を行うことにより、実施例で説明した切替部材100の頭部102と同様の形状を有する凸部を、上段容器52の底面52dから機械的に下方に突出させる機構を採用してもよい。すなわち、上段容器52の底面52dに当該凸部を出没させる機構により、第1状態と第2状態とを切り替え可能に構成してもよい。このような構成では、第1状態と第2状態とを切り替えるための部材を別途要さず、当該部材を保管する手間を省くことができる。
【0041】
また、上述した実施例では、第1状態(すなわち、切替部材100が取り付けられた状態)である場合に上段容器52が下段容器50とともに引き出され、第2状態(すなわち、切替部材100が取り外された状態)である場合に下段容器50のみが引き出される構成であった。しかしながら、切替部材100が第2状態である場合に、第1状態よりも上段容器52が引き出されにくくなるように構成されていればよい。例えば、第2状態では、第1状態よりも上段容器52が引き出される距離が短くなるように構成されていればよい。
【0042】
また、上述した実施例では、上段容器52の前方側(延出部56)に設けられた貫通孔72に下面から切替部材100を挿通させることにより第1状態と第2状態を切り替える構成であった。しかしながら、例えば、貫通孔72を上段容器52の後方側に設けてもよい。また、切替部材100を、上段容器52の前面52aや後面52bに対して着脱可能に構成してもよい。すなわち、第1状態と第2状態とを切り替え可能に構成されていれば、切替部材100を上段容器52の任意の位置に取り付けてよい。
【0043】
また、上述した実施例では、上段容器52の底面52dから突出する突出部58が、下段容器50の後面に当接することにより上段容器52が下段容器50とともに引き出される構成であった。しかしながら、下段容器50を引き出す過程で、下段容器50と上段容器52とが係合して、上段容器52が下段容器50とともに引き出される構成であればどのような構成であってもよい。例えば、下段容器50の後方側(例えば、側面50cの上部)に突出部を設けて、下段容器50を引き出す過程で、当該突出部が上段容器52の前面52aの下端に係合する構成を採用してもよい。なお、上述した実施例において、上段容器52は、突出部58を有していなくてもよい。
【0044】
また、本明細書に開示の技術は、主冷凍室22以外の引き出し式の貯蔵容器に採用してもよい。例えば、野菜室16の貯蔵容器17等を複数の容器により多段に構成して、本明細書に開示の技術を適用してもよい。また、上述した実施例では、貯蔵容器の一部が扉と一体となって引き出される貯蔵室(主冷凍室22)を例に挙げて説明した。しかしながら、扉の開閉と連動しない貯蔵容器を有する貯蔵室に対して本明細書に開示の技術を適用してもよい。例えば、冷蔵室14内に設けられたチルド室24(すなわち、扉14aの開閉と連動しない貯蔵室)の貯蔵容器を複数の容器により多段に構成して、本明細書に開示の技術を適用してもよい。
【0045】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
10:冷蔵庫、12:本体、14:冷蔵室、16:野菜室、18:製氷室、20:小冷凍室、22:主冷凍室、23:貯蔵容器、50:下段容器、50a:前面、50c:側面、50d:底面、51a、51b:延出部、51c:段差部、51d:凸部、52:上段容器、52a:前面、52b:後面、52c:側面、52d:底面、53a:前部、53b:後部、54a:延出部、55:支持部、56:延出部、57:リブ、58:突出部、59:接続部、60:収納部、60a:孔部、62a、62b:開口、70:レール、72:貫通孔、100:切替部材、102:頭部、104:脚部、106:係止部、108:傾斜部
図1
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