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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231207BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20231207BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20231207BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20231207BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20231207BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G02F1/1333 505
G09F9/30 349B
G09F9/33
G09F9/35
H01L33/62
G02F1/1368
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020020318
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021124698
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】横谷 有紀
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-008887(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195603(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0258265(US,A1)
【文献】特開2013-205435(JP,A)
【文献】特開2001-005033(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220267(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1333
1/1343-1/1345
1/135-1/1368
G09F9/30-9/46
H01L33/00
33/48-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
カラーフィルタ膜を含む第2基板と、を備え、
前記第1基板は、
1有機樹脂層と、
記第1有機樹脂層の上の第2有機樹脂層と、
前記第1有機樹脂層に設けられた第1開口および前記第2有機樹脂層に設けられた第2開口を含み前記第1有機樹脂層および前記第2有機樹脂層を貫通する第1開口部と、を含み、
前記第1開口部において、
前記第1開口および前記第2開口が重畳し、
前記第2開口の第2開口側面のみが露出されるように、前記第1開口の第1開口側面が前記第2有機樹脂層によって覆われ、
前記第1開口側面は、0°より大きく80°未満の第1テーパー角を有
前記第2開口側面は、80°以上90°未満の第2テーパー角を有
前記第1開口部は、表示領域の複数の画素の各々に設けられる表示装置。
【請求項2】
前記第1有機樹脂層の膜厚に対する前記第2有機樹脂層の膜厚の比は、0.2以上1.0以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1有機樹脂層の第1比誘電率は、前記第2有機樹脂層の第2比誘電率よりも小さい請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1有機樹脂層の第1比誘電率は、2.0以上3.5未満である請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2有機樹脂層の第2比誘電率は、3.5以上5.0未満である請求項3または請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1基板は、さらに、前記第1有機樹脂層に設けられた第3開口および前記第2有機樹脂層に設けられた第4開口を含み、前記第1有機樹脂層および前記第2有機樹脂層を貫通する第2開口部を含み、
前記第2開口部において、
前記第3開口および前記第4開口が重畳し、
前記第3開口の第3開口側面および前記第4開口の第4開口側面が露出されるように、前記第4開口側面の下端が前記第1有機樹脂層の上に設けられ、
前記第4開口側面は、0°より大きく80°未満の第3テーパー角を有
前記第3テーパー角は、前記第1テーパー角よりも小さく、
前記第2開口部は、周辺領域の端子に設けられる請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
さらに、前記第1有機樹脂層および前記第2有機樹脂層の上に液晶層を含む請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1基板は、さらに、LEDチップを含み、
前記LEDチップの上面が前記第2有機樹脂層から露出されるように、前記LEDチップの側面に前記第1有機樹脂層および前記第2有機樹脂層が設けられる請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想現実(Virtual Reality:VR)用途を目的として、例えば、1000ppiを超える超高精細で、かつ、リフレッシュレートが60Hzを超える高速駆動の表示装置の開発が進められている。超高精細の表示装置を実現するためには、配線間のピッチを縮小する必要がある。しかしながら、配線間のピッチを縮小すると、配線間または電極間の負荷容量の増大によって高速駆動が難しくなる。すなわち、超高精細と高速駆動はトレードオフの関係にある。そのため、配線間ピッチを縮小しながら負荷容量を低減した表示装置の設計が要求されている。
【0003】
また、表示装置に含まれる発光素子に着目すると、近年、複数の画素の各々に、微小なLEDチップを配置したマイクロLED表示装置の開発が進められている。マイクロLED表示装置は、有機EL表示装置と同様に自発光型表示装置であり、視認性に優れる。また、有機EL素子に比べて、LEDチップは、発光効率が高く、寿命も長い。そのため、マイクロLED表示装置は、有機EL表示装置に代わる次世代ディスプレイとして期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許公開10403799号明細書
【文献】特開2019-212694号公報
【文献】特開2016-14849号公報
【文献】特開2017-181928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題の1つは、高精細で、かつ、高速駆動の表示装置を提供することである。また、本発明の課題の1つは、高信頼性の表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、カラーフィルタ膜を含む第2基板と、を備え、第1基板は、開口が設けられた第1有機樹脂層と、開口を覆い、第1有機樹脂層の上の第2有機樹脂層と、開口と重畳し、第2有機樹脂層を貫通して設けられた第1開口部と、を含み、第1開口部において、第1有機樹脂層は、0°より大きく80°未満の第1テーパー角を有する第1開口側面を含み、第2有機樹脂層は、80°以上90°未満の第2テーパー角を有する第2開口側面を含み、第1開口側面は、第2開口側面に覆われている。
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1電極層と、第1電極層の上のLEDチップと、第1電極層を覆う第1有機樹脂層と、第1有機樹脂層の上の第2有機樹脂層と、を含み、LEDチップの側面の近傍において、第1有機樹脂層の端部は、第1凸形状を有し、第2有機樹脂層の端部は、第2凸形状を有し、第2凸形状の高さは、第1凸形状の高さよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示領域の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置に含まれるトランジスタの模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素における画素回路の回路図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素における積層構造を有する平坦化層の模式的な断面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素における積層構造を有する平坦化層の模式的な平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の端子の断面図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る表示装置の端子における積層構造を有する平坦化層の模式的な断面図である。
図7B】本発明の一実施形態に係る表示装置の端子における積層構造を有する平坦化層の模式的な平面図である。
図8A】本発明の一実施形態に係る表示装置の平坦化層の作製方法を説明する模式図である。
図8B】本発明の一実施形態に係る表示装置の平坦化層の作製方法を説明する模式図である。
図8C】本発明の一実施形態に係る表示装置の平坦化層の作製方法を説明する模式図である。
図8D】本発明の一実施形態に係る表示装置の平坦化層の作製方法を説明する模式図である。
図8E】本発明の一実施形態に係る表示装置の平坦化層の作製方法を説明する模式図である。
図8F】本発明の一実施形態に係る表示装置の平坦化層の作製方法を説明する模式図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示領域の断面図である。
図10A】本発明の一実施形態に係る表示装置において、LEDチップが実装された領域の拡大図である。
図10B】本発明の一実施形態に係る表示装置において、第3有機樹脂層の端部の近傍の拡大図である。
図10C】本発明の一実施形態に係る表示装置において、第4有機樹脂層の端部の近傍の拡大図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素における画素回路の回路図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置20において、LEDチップが実装された領域の拡大図である。
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示領域の断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示領域の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態において、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その技術的思想の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、図示の形状そのものが本発明の解釈を限定するものではない。また、図面において、明細書中で既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、別図であっても同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
ある一つの膜を加工して複数の構造体を形成した場合、各々の構造体は異なる機能、役割を有する場合があり、また各々の構造体はそれが形成される下地が異なる場合がある。しかしながらこれら複数の構造体は、同一の工程で同一層として形成された膜に由来するものであり、同一の材料を有する。従って、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0012】
ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接して、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0013】
本発明の各実施形態において、原則として、構造体が形成された基板を基準とし、基板から基板から構造体に向かう方向を「上」と表記し、また、図示する。ただし、構造体の形成方法の説明においては、形成する順序を基にして説明するため、上下関係が図面と逆になる場合もある。例えば、図面で第1部材の上に第2部材が設けられている場合であっても、第2部材の上に第1部材を形成するとして説明することがある。
【0014】
<第1実施形態>
[1.表示装置10]
図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の模式的な平面図である。
【0016】
図1に示すように、表示装置10は、表示領域10-1および周辺領域10-2を含む。周辺領域10-2は、表示領域10-1の外側に位置している。
【0017】
表示領域10-1と周辺領域10-2との境界は必ずしも明確ではないが、表示領域10-1は、画像または映像を表示することができる領域である。図1に示す表示領域10-1の形状は、長辺および短辺を有する矩形であるが、表示領域10-1の形状はこれに限られない。表示領域10-1の形状は、例えば、多角形、円形、または楕円など、表示装置10の大きさまたは形状に合わせた任意の形状とすることができる。
【0018】
表示領域10-1は、複数の画素110を含む。図1に示す複数の画素110はマトリクス状に配列されている。しかし、複数の画素110の配列はこれに限られない。複数の画素110は、例えば、千鳥状に配置することもできる。
【0019】
周辺領域10-2は、走査線駆動回路部120および端子部130を含む。図1に示す走査線駆動回路部120は、表示領域10-1の矩形の長辺方向に沿って設けられている。しかしながら、走査線駆動回路部120の位置はこれに限られない。走査線駆動回路部120は、例えば、表示領域10-1の矩形の短辺方向に沿って設けることもできる。
【0020】
図1に示す走査線駆動回路部120は、表示領域10-1の矩形の長辺側の2か所に設けられているが、矩形の長辺側の1か所に設けられていてもよい。また、走査線駆動回路部120は、表示領域10-1の矩形の短辺側に設けられていてもよい。
【0021】
表示装置10は、端子部130を用いて、外部から電源または信号を供給することができる。そのため、端子部130は、外部と電気的に接続することができる複数の端子140を含む。図1に示す複数の端子140は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)710と電気的に接続されている。また、ドライバIC700が、フレキシブルプリント回路基板710上に設けられている。
【0022】
端子部130は、表示装置10の端部に設けられている。映像信号および制御信号は、表示装置10の外部に設けられたコントローラ(図示せず)から、フレキシブルプリント回路基板710を介して表示装置10に供給される。また、映像信号および制御信号は、ドライバIC700を介して表示装置10用の信号に変換され、それぞれ、複数の画素110および走査線駆動回路部120に入力される。さらに、映像信号および制御信号だけでなく、走査線駆動回路部120、ドライバIC700、および複数の画素110を駆動するための電源が表示装置10に供給される。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の表示領域10-1の断面図である。具体的には、図2は、図1に示すA1-A2線に沿って切断した表示領域10-1の断面図である。
【0024】
図2に示すように、表示装置10は、第1基板202、遮光層204、第1絶縁層206、半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、第2導電層216、第4絶縁層218、第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、第1電極層228、第5絶縁層230、第2電極層232、液晶層234、第6絶縁層236、遮光膜238BM、赤色カラーフィルタ膜238R、緑色カラーフィルタ膜238G、青色カラーフィルタ膜238B、第7絶縁層240、および第2基板242を含む。
【0025】
図2には、複数の画素110として、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bが示されている。赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bの各々は、画素110を制御するトランジスタ300を含む。
【0026】
ここで、図3を参照して、トランジスタ300について説明する。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10に含まれるトランジスタ300の模式的な断面図である。図3に示すように、トランジスタ300は、半導体層300a、ゲート絶縁層300b、ゲート電極300c、層間絶縁層300d、ソース電極300e、およびドレイン電極300fを含む。ゲート絶縁層300bは、半導体層300aを覆うように設けられている。層間絶縁層300dは、ゲート電極300cを覆うように設けられている。ゲート絶縁層300bおよび層間絶縁層300dには開口部が設けられ、ソース電極300eおよびドレイン電極300fが、開口部を介して半導体層300aと電気的に接続される。
【0028】
図3に示すトランジスタ300は、トップゲート型トランジスタである。この場合、半導体層300a、ゲート絶縁層300b、ゲート電極300c、層間絶縁層300d、ならびにソース電極300eおよびドレイン電極300fのそれぞれは、半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、および第2導電層216で形成することができる。なお、表示装置10に含まれるトランジスタ300は、トップゲート型トランジスタに限られない。トランジスタ300として、ボトムゲート型トランジスタおよび上下のゲート電極で半導体層を挟んだデュアルゲート型トランジスタを用いることもできる。
【0029】
半導体層300aの材料として、例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン、IGZOなどの酸化物半導体、または窒化ガリウムなどの化合物半導体を用いることができる。半導体層300aは、チャネル形成領域だけでなく、ソース領域またはドレイン領域(高濃度不純物領域)を含むことができる。また、チャネル形成領域とソース領域またはドレイン領域との間に、低濃度不純物領域を含むこともできる。
【0030】
ゲート絶縁層300bの材料として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムを用いることができる。また、ゲート絶縁層300bは、単層または積層とすることができる。
【0031】
ゲート電極300cの材料として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、またはタングステン(W)などの金属、若しくはこれらの合金を用いることができる。また、ゲート電極300cは、単層または積層とすることができる。
【0032】
層間絶縁層300dの材料として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムを用いることができる。また、層間絶縁層300dは、単層または積層とすることができる。
【0033】
ソース電極300eおよびドレイン電極300fの材料として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、またはタングステン(W)などの金属、若しくはこれらの合金を用いることができる。また、ソース電極300eおよびドレイン電極300fは、単層または積層とすることができる。ゲート絶縁層300bおよび層間絶縁層300dには開口部が設けられる。ソース電極300eおよびドレイン電極300fは、ゲート絶縁層300bおよび層間絶縁層300dに設けられた開口部を介して、半導体層300aと電気的に接続される。
【0034】
さらに、図4を参照して、表示装置10の画素110の制御について説明する。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素110における画素回路の回路図である。複数の画素110の各々は、図4に示す画素回路を有する。画素回路は、トランジスタ300、ゲート配線(走査線)911、ソース配線(信号線)913、液晶素子310、および容量素子320を含む。トランジスタ300のゲート電極300cはゲート配線911と電気的に接続される。ソース電極300eはソース配線913と電気的に接続される。ドレイン電極300fは液晶素子310および容量素子320と電気的に接続される。なお、本実施形態では、説明の便宜上、300eをソース電極といい、300fをドレイン電極とするが、各々の電極のソースとしての機能とドレインとしての機能とが入れ替わってもよい。
【0036】
トランジスタ300は、ゲート配線911の信号によって、ソース電極300eとドレイン電極300fとの間の導通状態が制御される。したがって、各画素110に設けられたトランジスタ300によって、各画素110の液晶素子310のオン・オフを制御することができる。なお、トランジスタ300は、nchトランジスタであってもよく、pchトランジスタであってもよい。
【0037】
容量素子320は、液晶素子310と並列して設けられ、液晶素子310の電圧を保持することができる。図2においては、容量素子320は、第1電極層228(共通電極)と第2電極層232(画素電極)との間に形成される容量である。図示しないが、半導体層300aのソース領域またはドレイン領域と同一の工程で形成される導電層と、ゲート電極300cと同一の工程で形成される導電層との間に、ゲート絶縁層300bを挟んで容量素子320を形成することができる。また、ゲート電極300cと同一の工程で形成される導電層と、ソース電極300eまたはドレイン電極300fと同一の工程で形成される導電層との間に、層間絶縁層300dを挟んで容量素子320を形成することもできる。
【0038】
再び、図2に戻り、表示装置10について説明する。
【0039】
第1基板202は、第1基板202上に形成される各層を支持する支持基板として機能することができる。第1基板202としては、例えば、ガラス基板、石英基板、およびサファイア基板などの剛性基板を用いることができる。第1基板202を透明基板とすれば、表示領域10-1が透光性を有する表示装置10となる。また、第1基板202としては、例えば、ポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板などの可撓性基板を用いることができる。可撓性基板の耐熱性を向上させるために、可撓性基板に不純物が導入されていてもよい。第1基板202が透光性を必要としない場合には、第1基板202としては、シリコン基板、炭化シリコン基板、または化合物半導体基板などの半導体基板、もしくはステンレス基板などの導電性基板を用いることができる。
【0040】
遮光層204は、半導体層208のチャネル形成領域を遮光することができる。そのため、トランジスタ300の半導体層300aと重畳していることが好ましい。遮光層204の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、またはタングステン(W)などの金属、若しくはこれらの合金を用いることができる。また、遮光層204は、単層または積層とすることができる。
【0041】
第1絶縁層206は、遮光層204と半導体層208とを電気的に離間する層間絶縁層として機能することができる。第1絶縁層206の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムなどを用いることができる。また、第1絶縁層206は、単層または積層とすることができる。
【0042】
半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、および第2導電層216は、上述したように、トランジスタ300の各層を形成することができる。また、第1導電層212および第2導電層216は、ゲート配線911およびソース配線913の一部として形成することもできる。さらに、第2絶縁層210または第3絶縁層214は、容量素子320の誘電体とすることもできる。半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、および第2導電層216の材料は、それぞれ、半導体層300a、ゲート絶縁層300b、ゲート電極300c、層間絶縁層300d、ならびにソース電極300eおよびドレイン電極300fと同様の材料を用いることができる。
【0043】
第4絶縁層218は、トランジスタ300の保護層として機能することができる。第4絶縁層218の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムなどを用いることができる。また、第4絶縁層218は、単層または積層とすることができる。
【0044】
第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2は、いわゆる積層構造を有する平坦化層220である。すなわち、第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2は、トランジスタ300を覆い、トランジスタ300の段差を平坦にすることができる。第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2の材料としては、例えば、感光性アクリルまたは感光性ポリイミドなどの感光性有機材料を用いることができる。
【0045】
本実施形態では、第1有機樹脂層220-1上に、第1有機樹脂層220-1とは性質の異なる第2有機樹脂層220-2が設けられ、第1有機樹脂層220-1と第2有機樹脂層220-2との積層構造によって優れた機能を有する平坦化層220を提供することができる。第1有機樹脂層220-1と第2有機樹脂層220-2の積層構造およびその機能の詳細については後述する。
【0046】
第1電極層228は、液晶素子310の液晶を駆動するための共通電極として機能することができる。第1電極層228の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電性酸化物を用いることができる。
【0047】
第5絶縁層230は、第1電極層228と第2電極層232とを電気的に絶縁する層間絶縁層として機能することができる。また、第5絶縁層230は、平坦化層220の保護層として機能することができる。さらに、第5絶縁層230は、第1電極層228と第2電極層232との間で容量素子320を形成するための容量絶縁膜として機能することができる。
【0048】
第2電極層232は、液晶素子310の液晶を駆動するための画素電極として機能することができる。第2電極層232の材料として、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電性酸化物を用いることができる。なお、第2電極層232は、第1電極層228と重畳する領域において、232Aに示すように、櫛歯状に形成されている。
【0049】
第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、および第5絶縁層230には開口部が設けられる。図2では、開口部の側面に第5絶縁層230が設けられている。第5絶縁層230が開口部の側面を覆っていることが好ましいが、第5絶縁層230が開口部の側面に設けられなくてもよい。第2電極層232は、第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、および第5絶縁層230に設けられた開口部を介して、第2導電層216と電気的に接続される。
【0050】
液晶層234は、液晶を含む。液晶の材料は、ネマティック相、スメクティック相、コレステリック相、ディスコティック相などの配向を有する有機高分子材料を用いることができる。また、液晶層234は、液晶を配向させるための配向膜を含むことができる。配向膜は、第2電極層232上に形成される。配向膜の材料として、例えば、ポリイミドなどを用いることができる。
【0051】
図2に示す液晶素子310は、第1電極層228および第2電極層232を利用して液晶層234に電圧を印加する、いわゆる横電界駆動方式である。図2では、第1電極層228と第2電極層232とが第5絶縁層230を挟んで異なる層に形成されているが、第1電極層228と第2電極層232とを同じ層に形成することもできる。この場合においても、液晶素子310は、横電界駆動方式となる。また、液晶素子310は、第1電極層228と第2電極層232とで液晶層234を挟む構成とすることもできる。この場合、液晶素子310は、縦電界駆動方式となる。本実施形態の表示装置10では、横電界駆動方式または縦電界駆動方式のいずれの液晶素子310も適用することができる。
【0052】
第6絶縁層236は、遮光膜238BM、赤色カラーフィルタ膜238R、緑色カラーフィルタ膜238G、および青色カラーフィルタ膜238Bを保護する保護膜として機能することができる。第6絶縁層236の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、または感光性アクリルなどを用いることができる。また、第7絶縁層240は、単層または積層とすることができる。
【0053】
遮光膜238BMは、例えば、ブラックマトリクスである。遮光膜238BMは、画素110間を離間し、画素110間の領域を非透光性にすることができる。すなわち、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bは、遮光膜238BMによって離間されている。遮光膜238BMの材料としては、例えば、カーボン、金属酸化物、無機顔料、または有機顔料などの遮光性微粒子を含有する有機材料を用いることができる。
【0054】
赤色カラーフィルタ膜238R、緑色カラーフィルタ膜238G、および青色カラーフィルタ膜238Bは、それぞれ、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bに設けられている。また、緑色カラーフィルタ膜238G、および青色カラーフィルタ膜238Bは、遮光膜238BMによって離間されているが、遮光膜238BM上では、緑色カラーフィルタ膜238G、または青色カラーフィルタ膜238Bが重畳していてもよい。赤色カラーフィルタ膜238R、緑色カラーフィルタ膜238G、および青色カラーフィルタ膜238Bの材料としては、それぞれ、赤色カラーレジスト、緑色カラーレジスト、および青色カラーレジストを用いることができる。
【0055】
第7絶縁層240は、カラーレジストが劣化することを保護する保護膜として機能することができる。第7絶縁層240の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムなどを用いることができる。また、第7絶縁層240は、単層または積層とすることができる。
【0056】
第2基板242は、第2基板242上に形成される各層を支持することができる。また、第2基板242の材料としては、第1基板202と同様の材料を用いることができる。
【0057】
なお、図示しないが、表示装置10は、さらに、偏光板またはバックライトなどの一般的な液晶表示装置の構成要素を含むことができる。
【0058】
[2.画素110の平坦化層220]
図5Aおよび図5Bを参照して、画素110に適用される第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2を用いた積層構造を有する平坦化層220の構成について説明する。
【0059】
図5Aおよび図5Bは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素110における積層構造を有する平坦化層220の模式的な断面図および平面図である。
【0060】
図5Aに示すように、画素110の平坦化層220は、第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2を含む。第1有機樹脂層220-1は、第2導電層216上に設けられている。また、第2有機樹脂層220-2は、第1有機樹脂層220-1上に設けられている。なお、図5Aに示す平坦化層220は、説明の便宜上、第2導電層216上に設けられているが、画素110の平坦化層220は、第2導電層216以外の層の上に設けることもできる。
【0061】
平坦化層220は、第1有機樹脂層220-1と第2有機樹脂層220-2とに分けて形成されるため、第1有機樹脂層220-1の性質と第2有機樹脂層220-2の性質を併せ持つことができる。例えば、第1有機樹脂層220-1の第1比誘電率を、第2有機樹脂層220-2の第2比誘電率よりも小さくすることで、平坦化層220の比誘電率を調整することができる。また、第1有機樹脂層220-1の第1屈折率を、第2有機樹脂層220-2の第2屈折率よりも小さくすることで、平坦化層220の屈折率を調整することができる。また、第1有機樹脂層220-1の第1光透過率を、第2有機樹脂層220-2の第2光透過率よりも小さくすることで、平坦化層220の光透過率を調整することができる。なお、比誘電率、屈折率、および光透過率の大きさは、第1有機樹脂層220-1よりも第2有機樹脂層220-2が大きくてもよい。
【0062】
第1有機樹脂層220-1の熱安定性が低い場合、熱安定性が高い第2有機樹脂層220-2で第1有機樹脂層220-1を覆うことで、平坦化層220の耐熱性を改善することができる。また、第1有機樹脂層220-1の光安定性が低い場合、光安定性が高い第2有機樹脂層220-2で第1有機樹脂層220-1を覆うことで、平坦化層220の光安定性を改善することができる。
【0063】
画素110において、平坦化層220の膜厚は、例えば、1μm以上5μm以下であり、好ましくは2μm以上4μm以下である。
【0064】
第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2の各々の膜厚は、表示装置10で必要となる性質または機能に応じて決定することができる。例えば、第2有機樹脂層220-2の第2比誘電率が第1有機樹脂層220-1の第1比誘電率よりも大きい場合、第2有機樹脂層220-2の膜厚は第1有機樹脂層220-1の膜厚よりも小さくすることができる。典型的には、第1有機樹脂層220-1の膜厚に対する第2有機樹脂層の膜厚の比は、0.2以上1.0以下である。
【0065】
また、平坦化層220は、上述した平坦化層220の性質を有したまま、平坦化層に設けられた開口部のテーパー角を調整することもできる。以下では、平坦化層220の特徴の1つである開口部のテーパー角の調整について説明する。
【0066】
図5Aおよび図5Bに示すように、平坦化層220は、第2有機樹脂層220-2を貫通して設けられた開口部225を含む。具体的には、開口部225は、第1有機樹脂層220-1に設けられた開口を第2有機樹脂層220-2が覆い、第1有機樹脂層220-1に設けられた開口と重畳し、第2有機樹脂層220-2を貫通するように設けられている。なお、以下では、便宜上、開口部225が、第2有機樹脂層220-2の開口だけなく、第1有機樹脂層220-1の開口も含む場合があるものとして説明する。
【0067】
図5Bに示す開口部225の断面形状は円形であるが、開口部225の断面形状の構成はこれに限られない。開口部225の断面形状は、楕円形または矩形を含む多角形などであってもよい。
【0068】
第1有機樹脂層220-1の開口は、第1開口側面222-1を含む。また、第2有機樹脂層220-2の開口は、第2開口側面222-2を含む。開口部225において、第1開口側面222-1は、第2開口側面222-2に覆われている。第2開口側面222-2が第1開口側面222-1を覆うことで、第2有機樹脂層220-2をリフローするときに、第1有機樹脂層220-1が溶解して開口部225に流出することを防止することができる。
【0069】
ここで、第2導電層216の表面に対する第1有機樹脂層220-1の第1開口側面222-1の角度を第1テーパー角αとする。同様に、第2導電層216の表面に対する第2有機樹脂層220-2の第2開口側面222-2の角度を第2テーパー角βとする。第1テーパー角αは0°より大きく80°未満であり、第2テーパー角βは80°以上90°未満である。すなわち、第2テーパー角βは、第1テーパー角αよりも大きい。平坦化層220の開口部のテーパー角は、第2テーパー角βで決定されるが、第2テーパー角βが大きくなることで、平坦化層220の開口部を介する配線の電気的接続における面積を縮小することができる。そのため、配線間ピッチを縮小することができる。すなわち、表示装置10の高精細化が可能となる。
【0070】
感光性有機材料の比誘電率が大きいと、加工性に優れ、テーパー角を大きくすることができる。そのため、第2テーパー角βを第1テーパー角αよりも大きくするためには、第2有機樹脂層220-2の第2比誘電率が、第1有機樹脂層220-1の第1比誘電率よりも大きくなるように感光性有機材料を選択することが好ましい。例えば、第1有機樹脂層220-1の第1比誘電率は、2.0以上3.5未満であり、第2有機樹脂層220-2の第2比誘電率は、3.5以上5.0未満である。
【0071】
以上、本実施形態に係る表示装置10によれば、画素110の平坦化層220が、第1有機樹脂層220-1上に第2有機樹脂層220-2が設けられた積層構造を有する。平坦化層220は、性質的に優れた第1有機樹脂層220-1上に、加工性に優れた第2有機樹脂層220-2を積層する。そのため、平坦化層220の開口部225は、加工性に優れた第2有機樹脂層220-2によって制御することができ、配線間ピッチを縮小することができる。また、第2有機樹脂層の第2比誘電率よりも低い第1比誘電率を有する第1有機樹脂層を設けることにより、平坦化層220の比誘電率が低くなり、負荷容量が低減される。したがって、表示装置10は、高精細で、かつ、高速駆動が可能となる。
【0072】
[3.端子140の平坦化層220]
第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2を用いた積層構造を有する平坦化層は、表示領域10-1の画素110だけでなく、周辺領域10-2の端子140にも適用することができる。そこで、図6図7Bを参照して、端子140に適用される第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2を用いた積層構造を有する平坦化層220Aの構成について説明する。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の端子140の断面図である。
【0074】
図6に示すように、端子140は、第1基板202、第1絶縁層206、半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、第2導電層216、第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、第1電極層228、第5絶縁層230、および第2電極層232を含む。
【0075】
端子140では、平坦化層220に開口部225Aが設けられている。また、開口部225Aには、第1電極層228および第2電極層232が設けられている。第1電極層228と第2電極層232は電気的に接続され、端子140の電極として機能することができる。端子140における第1電極層228および第2電極層232は、第2導電層216に接続される。第2導電層216の一方は、第1導電層212に接続され、第1導電層212は表示領域10-1に向かって引き出される。第2導電層216の他方は、半導体層208に接続され、半導体層208は第1基板202の端部に向かって引き出される。
【0076】
ここで、図7Aおよび図7Bを参照して、端子140の平坦化層220を模式的に説明する。
【0077】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る表示装置10の端子140における積層構造を有する平坦化層220の模式的な断面図および平面図である。
【0078】
図7Aおよび図7Bに示すように、端子140の平坦化層220は、第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2を含む。第1有機樹脂層220-1は、第3絶縁層214上に設けられている。また、第2有機樹脂層220-2は、第1有機樹脂層220-1上に設けられている。なお、図7Aに示す平坦化層220は、説明の便宜上、第3絶縁層214上に設けられているが、端子140の平坦化層220は、第3絶縁層214以外の層の上に設けることもできる。
【0079】
図7Aおよび図7Bに示すように、平坦化層220は、第1有機樹脂層220-1および第2有機樹脂層220-2を貫通して設けられた開口部225Aを含む。開口部225Aは、第1有機樹脂層220-1に設けられた開口と、第2有機樹脂層220-2に設けられた開口とが組合わせられている。なお、第1有機樹脂層220-1の開口と第2有機樹脂層220-2の開口とは、完全に重畳している。
【0080】
第1有機樹脂層220-1の開口は、第1開口側面222A-1を含む。また、第2有機樹脂層220-2の開口は、第3開口側面222A-を含む。第1開口側面222A-1の下端は、第3絶縁層214と接する。一方、第3開口側面222A-の下端は、第1有機樹脂層220-1上にあり、第1有機樹脂層220-1と接する。
【0081】
ここで、第3絶縁層214の表面に対する第1有機樹脂層220-1の第1開口側面222-1の角度を第1テーパー角αとする。一方、第1有機樹脂層220-1の表面に対する第3開口側面222A-の角度を第3テーパー角γとする。第1テーパー角αおよび第3テーパー角γの各々は0°より大きく80°未満であるが、第3テーパー角γは第1テーパー角αよりも小さいことが好ましい。開口部225Aには、第1電極層228および第2電極層232が設けられるが、開口部225Aの側面の段差を小さくすることで、開口部225Aの側面に成膜された第1電極層228および第2電極層232のエッチングが可能となり、第1電極層228および第2電極層232のエッチング残りを防止することができる。また、開口部225Aの側面の段差が小さいため、開口部225AへのFPC圧着接続の際に、ACFに圧力が印加されやすい。
【0082】
以上、本実施形態に係る表示装置10によれば、端子140の平坦化層220が、第1有機樹脂層220-1上に第2有機樹脂層220-2が設けられた積層構造を有する。平坦化層220は、性質的に優れた第1有機樹脂層220-1上に、加工性に優れた第2有機樹脂層220-2を積層する。そのため、平坦化層220の開口部225Aは、加工性に優れた第2有機樹脂層220-2の第3テーパー角γを小さくなるように制御することで、端子140の電極の密着性を向上させ、外部と端子140との電気的接続を容易にする。
【0083】
<第2実施形態>
図8A図8Fを参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の平坦化層220の作製方法について説明する。
【0084】
図8A図8Fは、本発明の一実施形態に係る表示装置10の平坦化層220の作製方法を説明する模式図である。具体的には、図8A図8Fは、表示装置10の画素110および端子140で形成される平坦化層220を示す。なお、説明の便宜上、図8A図8Fでは、平坦化層220が、基板200上に形成されるものとして説明する。
【0085】
まず、基板200上に、感光性アクリルまたは感光性ポリイミドなどの感光性有機材料を塗布し、200℃以上250℃以下で加熱し、第1有機樹脂層220-1を形成する(図8A)。感光性有機材料は、スピンコート、インクジェット、またはスリットコートなどを用いて塗布することができる。また、感光性有機材料は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。以下では、感光性有機材料がポジ型であるとして説明する。
【0086】
次に、マスク810を用いて、第1有機樹脂層220-1を露光する(図8B)。マスク810は、透過部812および遮光部814を含む。露光機からの照射光は、透過部812を透過するが、遮光部814を透過しない。そのため、第1有機樹脂層220-1は、マスク810の透過部812と重畳する領域が露光される。
【0087】
次に、第1有機樹脂層220-1を現像すると、露光された領域に開口部224及び開口部224Aが形成される(図8C)。第1有機樹脂層220-1の現像において、露光された領域の近傍のサイドエッチングが進行するため、第1有機樹脂層220-1の開口部224では、第1テーパー角αを有する第1開口側面222-1が形成される。同様に、開口部224Aでも、第1テーパー角αを有する第1開口側面222A-1が形成される。第1有機樹脂層220-1は現像液に溶解しやすい材料であり、第1テーパー角αは、0°より大きく80°未満となる。
【0088】
また、第1有機樹脂層220-1は、200℃以上250℃以下でリフローしてもよい。
【0089】
次に、第1有機樹脂層220-1上に、第1有機樹脂層220-1とは異なる感光性有機材料を塗布し、210℃以上260℃以下で加熱し、第2有機樹脂層220-2を形成する(図8D)。
【0090】
次に、マスク820を用いて、第2有機樹脂層220-2を露光する(図8E)。マスク820は、透過部822、遮光部824、および半透過部826を含む。すなわち、マスク820は、いわゆるハーフトーンマスクである。露光機からの照射光は、透過部822だけでなく、半透過部826も透過する。しかしながら、半透過部826で透過した光の強度は、透過部822を透過した光の強度よりも小さい。そのため、第2有機樹脂層220-2において、マスク820の半透過部826と重畳する領域は、透過部822と重畳する領域よりも露光量が少ない。
【0091】
また、マスク820の半透過部826では、光透過率が変化していることが好ましい。光透過率を変化させることで、露光量が細かく調整されるため、感光性有機材料のテーパー角をより小さくすることが可能となる。半透過部826の光透過率は、例えば、図8Eに示すように、半透過部826の膜厚を変えることで、調整することができる。また、半透過部826の光透過率は、半透過部826に含まれる材料濃度を変化することでも、調整することができる。
【0092】
また、図8Eでは、マスク820として、ハーフトーンマスクを示したが、他の多階調マスク、例えば、グレートーンマスクを用いることもできる。
【0093】
次に、第2有機樹脂層220-2を現像すると、露光された領域に開口部225および開口部225Aが形成される(図8F)。第2有機樹脂層220-2の現像において、画素110の露光された領域の近傍のサイドエッチングが進行するため、第2有機樹脂層220-2の開口部225では、第2テーパー角βを有する第2開口側面222-2が形成される。第2有機樹脂層220-2は現像液に溶解しにくい材料であり、第2テーパー角βは、80°以上90°未満となる。
【0094】
一方、端子140の露光された領域では、透過部812と重畳する領域だけでなく、半透過部816と重畳する領域も露光されている。また、半透過部816と重畳する領域は、透過部812と重畳する領域よりも露光量が少ないため、半透過部816と重畳する領域は、透過部812と重畳する領域よりも現像されにくい。そのため、第2有機樹脂層220-2の開口部225Aでは、第3テーパー角γを有する第3開口側面222-3が形成される。第3テーパー角γは、マスク820の半透過部816で調整ができるため、第1テーパー角αよりも小さくてもよく、大きくてもよい。ただし、開口部225Aでは、第1電極層228および第2電極層232が設けられるため、開口部225Aの側面においても第1電極層228および第2電極層232のエッチングを可能にするため、開口部225Aの側面の段差を小さくすることが好ましい。そのため、第3テーパー角γは、第1テーパー角αよりも小さいことが好ましい。
【0095】
以上、本実施形態に係る表示装置10の平坦化層220の作製方法によれば、それぞれの構造が異なる画素110の開口部225と端子140の開口部225Aとを同時に形成することができる。具体的には、画素110では、大きな第2テーパー角βの第2開口側面222-2を有する開口部225が形成され、端子140では、第1テーパー角αの第1開口側面222-1および第3テーパー角γの第3開口側面222-3を有する開口部225Aが形成される。ただし、テーパー角の違いだけであれば、多階調マスクを用いて形成することも可能である。しかしながら、本実施形態に係る表示装置10の平坦化層220では、平坦化層220の性質も考慮することができる。例えば、比誘電率の大きい第2有機樹脂層220-2のみからなる平坦化層の場合、多階調マスクを用いて、画素110に高精細化するための大きなテーパー角を有する開口部、および端子140に小さいテーパー角を有する開口部を有する平坦化層を形成することができる。しかしながら、この平坦化層は、比誘電率が大きいため、負荷容量が大きく、表示装置は高速駆動ができない。一方、平坦化層220に比誘電率の小さい第1有機樹脂層220-1を含めることにより、平坦化層220の比誘電率が小さくなり、表示装置10は高速駆動が可能となる。しかも、上述したように、画素110は、大きな第2テーパー角βの開口部225を有するため、表示装置10は高精細が可能となる。
【0096】
したがって、本実施形態に係る表示装置10の平坦化層220の作製方法によれば、構造、性質、および機能が優れた平坦化層220を作製することができるため、性能が優れた表示装置10、例えば、高精細で、かつ高速駆動の表示装置10を作製することができる。
【0097】
<第3実施形態>
図9図11を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置20について説明する。以下では、表示装置20について、表示装置10と同じ構成は省略し、主に、表示装置10と異なる構成について説明する。
【0098】
図9は、本発明の一実施形態に係る表示装置20の表示領域の断面図である。
【0099】
図9に示すように、表示装置20は、第1基板202、遮光層204、第1絶縁層206、半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、第2導電層216、第4絶縁層218、第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、第5絶縁層230、第1電極層410、接続電極層412、赤色LEDチップ414R、緑色LEDチップ414G、青色LEDチップ414B、第3有機樹脂層420-1、第4有機樹脂層420-2、および第2電極層430を含む。
【0100】
図9には、複数の画素110として、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bが示されている。赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bの各々は、画素110を制御するトランジスタ300を含む。
【0101】
第1電極層410は、第1基板202側に設けられ、LEDチップ414と電気的に接続するための電極として機能することができる。第1電極層410は、トランジスタ300と電気的に接続している。第1電極層410の材料としては、例えば、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、またはタングステン(W)などの金属、若しくはこれらの合金を用いることができる。また、第1電極層410の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電性酸化物を用いることもできる。また、第1電極層410は、金属と透明導電性酸化物の積層構造であってもよい。さらに、第1電極層410は、複数の金属による積層構造であってもよい。
【0102】
接続電極層412は、LEDチップ414を第1電極層410に固定するとともに、LEDチップ414と第1電極層410とを電気的に接続することができる。接続電極層412は、例えば、銀ペーストまたはハンダなどの導電性接着剤である。また、接続電極層412として、異方性導電膜(ACF)を用いることもできる。
【0103】
赤色LEDチップ414R、緑色LEDチップ414G、および青色LEDチップ414Bのそれぞれは、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bに配置されている。赤色LEDチップ414R、緑色LEDチップ414G、および青色LEDチップ414Bからの発光を制御することにより、表示装置20はフルカラー表示を得ることができる。
【0104】
図9に示すLEDチップ414は、縦型LED構造(垂直電極構造)を有し、下方の第1電極層410と上方の第2電極層430と電気的に接続される。ただし、LEDチップ414の構成はこれに限られない。LEDチップ414は、横型LED構造(水平電極構造)を有していてもよい。なお、LEDチップ414は、第2電極層430側に発光する。
【0105】
第2電極層430は、平坦化層420上に設けられ、LEDチップ414と電気的に接続することができる。LEDチップ414からの発光は第2電極層430を通して取り出されるため、第2電極層430は光透過率の高い導電性材料であることが好ましい。第2電極層430の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電性酸化物を用いることができる。
【0106】
第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2は、いわゆる積層構造を有する平坦化層420である。すなわち、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2は、第1電極層410を覆い、第1電極層410と第2電極層430とを離間することができる。第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2の材料としては、例えば、感光性アクリルまたは感光性ポリイミドなどの感光性有機材料を用いることができる。
【0107】
本実施形態では、第3有機樹脂層420-1上に第3有機樹脂層420-1とは性質の異なる第4有機樹脂層420-2が設けられ、第3有機樹脂層420-1と第4有機樹脂層420-2との積層構造によって優れた機能を有する平坦化層420を提供することができる。
【0108】
ここで、図10A図10Cを参照して、第3有機樹脂層420-1と第4有機樹脂層420-2の積層構造およびその機能の詳細について説明する。
【0109】
図10Aは、本発明の一実施形態に係る表示装置20において、LEDチップ414が実装された領域の拡大図である。
【0110】
LEDチップ414は、接続電極層412を介して、第1電極層410上に実装されている。LEDチップ414の側面には平坦化層420が設けられているが、LEDチップ414の上面は露出されている。第2電極層430は、露出されたLEDチップ414の上面および平坦化層420の上に設けられている。
【0111】
平坦化層420は、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2を含む。第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2の各々の膜厚は、表示装置20で必要となる性質または機能に応じて決定することができる。例えば、第4有機樹脂層420-2の第4比誘電率が第3有機樹脂層420-1の第3比誘電率よりも小さい場合、第4有機樹脂層420-2の膜厚は第3有機樹脂層420-1の膜厚よりも小さくすることができる。典型的には、第3有機樹脂層420-1の膜厚に対する第4有機樹脂層420-2の膜厚の比は、0.2以上1.0以下である。
【0112】
また、例えば、第3有機樹脂層420-1の耐熱性が第4有機樹脂層420-2の耐熱性よりも優れている場合、第3有機樹脂層420-1と第4有機樹脂層420-2との界面が、LEDチップ414の活性層414aよりも上方(活性層414aよりも第2電極層430側)に位置することが好ましい。LEDチップ414での発熱の大部分は活性層414aで生じるため、耐熱性に優れた第3有機樹脂層420-1を活性層414aの近傍に配置することで、表示装置20の耐熱性を向上させることができる。また、第3有機樹脂層420-1の透湿性が第4有機樹脂層420-2の透湿性よりも優れている場合も、第3有機樹脂層420-1と第4有機樹脂層420-2との界面が、LEDチップ414の活性層414aよりも上方に位置することが好ましい。活性層414aへの水分の侵入を防止することができるため、表示装置20の信頼性を向上させることができる。
【0113】
感光性有機材料の比誘電率が大きいと、耐熱性および透湿性に優れる。そのため、第3有機樹脂層420-1の第3比誘電率が、第4有機樹脂層420-2の第4比誘電率よりも大きくなるように感光性有機材料を選択することが好ましい。例えば、第3有機樹脂層420-1の第3比誘電率は、3.5以上5.0未満であり、第4有機樹脂層420-2の第4比誘電率は、2.0以上3.5未満である。
【0114】
LEDチップ414は下面よりも上面が大きく、LEDチップ414の側面は、下面から上面に向かって傾斜している。すなわち、LEDチップ414の側面は、いわゆる逆テーパー形状を有する。逆テーパー形状を有するLEDチップ414間に、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2が形成される場合、LEDチップ414の側面の近傍において、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2の各々の端部は上方に向かって傾斜する凸形状を含む。第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2の各々の端部の凸形状は、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2をリフローした場合に生じるものである。
【0115】
図10Aに示すように、平坦化層420では、第3有機樹脂層420-1の端部の第1凸形状450-1の高さと第4有機樹脂層420-2の端部の第2凸形状450-2の高さとが異なるように形成されている。ここで、図10Bおよび図10Cを参照して、第1凸形状450-1の高さと第2凸形状の高さについて説明する。
【0116】
図10Bおよび図10Cは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る表示装置20において、第3有機樹脂層420-1の端部の近傍および第4有機樹脂層420-2の端部の近傍の拡大図である。
【0117】
図10Bに示すように、第1凸形状450-1の高さT1は、第3有機樹脂層420-1と第4有機樹脂層420-2とが接する境界面の平坦部(例えば、平坦部は、図9に示す第1基板202の表面と略平行であってもよい。)から、LEDチップ414と接する境界面の端部までの高さである。同様に、図10Cに示すように、第2凸形状450-2の高さT2は、第4有機樹脂層420-2と第2電極層430とが接する境界面の平坦部(例えば、平坦部は、図9に示す第1基板202の表面と略平行であってもよい。)から、LEDチップ414と接する境界面の端部までの高さである。
【0118】
表示装置20においては、第4有機樹脂層420-2の端部の第2凸形状450-2の高さT2が、第3有機樹脂層420-1の端部の第1凸形状450-1の高さT1よりも大きいことが好ましい。言い換えれると、第4有機樹脂層420-2の端部が、第3有機樹脂層420-1の端部よりも傾斜が急俊であることが好ましいということもできる。第4有機樹脂層420-2の端部の第2凸形状450-2が大きいと、LEDチップ414の上面端部の近傍において、LEDチップ414の上面と平坦化層420との段差が小さくなる。そのため、LEDチップ414の上面および平坦化層420の上に形成される第2電極層430の断線による不良が抑制され、表示装置20の信頼性を向上させることができる。
【0119】
また、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2リフローすることによって、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2は収縮する。収縮した第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2は、LEDチップ414を第1電極層410側に引っ張ることになるため、LEDチップ414と第1電極層410との密着性が向上する。
【0120】
ここで、図11を参照して、表示装置20の画素110の制御について説明する。
【0121】
図11は、本発明の一実施形態に係る表示装置20の画素110における画素回路の回路図である。
【0122】
図11に示すように、画素110の画素回路は、LEDチップ414、第1トランジスタ300-1、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、第4トランジスタ300-4、第5トランジスタ300-5、第1容量素子330、および第2容量素子340を含む。また、走査線921、信号線922、発光制御走査線923、電流供給線924、初期化走査線925、初期化線926、リセット走査線927、およびリセット線928を含む。
【0123】
第1トランジスタ300-1は、発光制御トランジスタである。第1トランジスタ300-1は、発光制御走査線923で開閉され、LEDチップ414および第5トランジスタ300-5へ電流を流すか否かの選択を行う。
【0124】
第2トランジスタ300-2は、選択トランジスタである。第2トランジスタ300-2は、走査線921で開閉され、信号線922で供給される電圧を第5トランジスタ300-5のゲートに印加する。
【0125】
第3トランジスタ300-3は、初期化トランジスタである。第3トランジスタ300-3は、初期化走査線925で開閉され、初期化線926で供給される電圧を用いて第5トランジスタ300-5のゲートを所定の電位に固定する。
【0126】
第4トランジスタ300-4は、リセットトランジスタである。第4トランジスタ300-4は、リセット走査線927で開閉され、リセット線928で供給される逆バイアス電圧をLEDチップ414に印加する。
【0127】
第5トランジスタ300-5は、駆動トランジスタである。第5トランジスタ300-5は、上述したように、第2トランジスタ300-2または第3トランジスタ300-3の動作に基づいてゲートの電位が決定され、当該ゲートの電位に基づいて決定される値の電流を、電流供給線924からLEDチップ414に供給する。
【0128】
電流供給線924は電源と電気的に接続されるが、電流供給線924に流れる電流が急激に変化すると、電流変化に伴う誘導電圧が発生し、電源の電圧が変動してしまう。そのため、一般的には、電流供給線924と接地線との間にデカップリングコンデンサを設けて電源の電圧を安定化する。
【0129】
一方、本実施形態に係る表示装置20の場合、平坦化層420に比誘電率の大きい第3有機樹脂層420-1を含むことができる。そのため、電流供給線924を第3有機樹脂層420-1で覆うことによって、デカップリング容量を大きし、電源を安定化することができる。
【0130】
以上、本実施形態に係る表示装置20によれば、LEDチップ414間の平坦化層が、第3有機樹脂層420-1上に第4有機樹脂層420-2が設けられた積層構造を有する。平坦化層420は、LEDチップ414の構造または形状に合わせて第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2を選択することができる。例えば、耐熱性の優れた第3有機樹脂層420-1上に、リフロー後の端部の凸形状が大きい第4有機樹脂層420-2を積層することにより、表示装置20の耐熱性および信頼性が向上する。特に、第3有機樹脂層420-1の第3比誘電率が、第4有機樹脂層420-2の第4比誘電率より大きく、第3有機樹脂層420-1の膜厚が、第4有機樹脂層420-2の膜厚よりも大きい場合に、その効果は大きい。
【0131】
<変形例1>
図12を参照して、表示装置20の変形例について説明する。以下では、上述した表示装置20と同様の構成については、説明を省略する。
【0132】
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置20において、LEDチップ414が実装された領域の拡大図である。
【0133】
図12に示す表示装置20では、LEDチップ414の側面に、第6絶縁層416が設けられている。第6絶縁層416は、LEDチップ414の保護層として機能することができる。第6絶縁層416の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムなどを用いることができる。また、第6絶縁層416は、単層または積層とすることができる。
【0134】
表示装置20における上記構成は、例えば、次のような工程で作製することができる。LEDチップ414の側面に第6絶縁層416を形成し、第6絶縁層416が形成されたLEDチップを接続電極層412に実装する。続いて、第3有機樹脂層420-1および第4有機樹脂層420-2を順次、塗布などにより形成する。
【0135】
変形例1に係る表示装置20では、LEDチップ414の側面に第6絶縁層416が設けられているため、活性層414aへの水分の侵入を防止することができ、表示装置20の信頼性をさらに向上させることができる。また、第6絶縁層416を設けることによって、LEDチップ414の上面端部の近傍において、LEDチップ414の上面と平坦化層420との段差を小さくすることができる。そのため、LEDチップ414の上面および平坦化層420の上に形成される第2電極層430の断線の断線による不良が抑制され、表示装置20の信頼性を向上させることができる。
【0136】
<変形例2>
図13を参照して、表示装置20の別の変形例について説明する。以下では、上述した表示装置20と同様の構成については、説明を省略する。
【0137】
図13は、本発明の一実施形態に係る表示装置20の表示領域の断面図である。
【0138】
図13に示すように、表示装置20は、第1基板202、遮光層204、第1絶縁層206、半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、第2導電層216、第4絶縁層218、第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、第5絶縁層230、第1電極層410、接続電極層412、紫外LEDチップ414U、第3有機樹脂層420-1、第4有機樹脂層420-2、第2電極層430、および変換層440、を含む。変換層440は、第2電極層430上に設けられている。
【0139】
図13には、複数の画素110として、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bが示されている。赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bの各々は、画素110を制御するトランジスタ300を含む。また、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bの各々は、紫外LEDチップ414Uおよび変換層440を含む。
【0140】
紫外LEDチップ414Uは、紫外光を出射する。紫外光の波長は、例えば、300nm以上380nm以下である。紫外LEDチップ414Uの紫外光の波長が上記範囲よりも小さいと、紫外光のエネルギーが大きいため、表示装置20に含まれる層または領域が紫外光によって損傷を受ける。また、紫外光の波長が上記範囲よりも大きいと、紫外光が蛍光体446に吸収されにくくなる。そのため、紫外光の波長は、上記範囲であることが好ましい。
【0141】
変換層440は、バンク442、バインダー樹脂444、および蛍光体446を含む。各画素110間は、バンク442によって離隔されている。赤色画素110Rは、バインダー樹脂444および赤色蛍光体446Rを含み、緑色画素110Gは、バインダー樹脂444および緑色蛍光体446Gを含み、青色画素110Bは、バインダー樹脂444および青色蛍光体446Bを含む。
【0142】
バンク442は、各画素110間を離隔することができればよく、黒色であることが好ましい。すなわち、バンク442は、ブラックマトリクスとして機能することができる。
【0143】
バインダー樹脂444は、透光性を有し、蛍光体446を分散することができる。バインダー樹脂444の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、またはポリイミド樹脂などの有機樹脂材料を用いることができる。また、バインダー樹脂444の材料としては、ガラスなどの無機材料を用いることもできる。
【0144】
赤色蛍光体446Rは、紫外LEDチップから出射された紫外光を吸収し、紫外光の波長を赤色光の波長に変換して光を出射することができる。緑色蛍光体446Gは、紫外LEDチップから出射された紫外光を吸収し、紫外光の波長を緑色光の波長に変換して光を出射することができる。緑色蛍光体446Gは、紫外LEDチップから出射された紫外光を吸収し、紫外光の波長を青色光の波長に変換して光を出射することができる。すなわち、赤色画素110Rでは、赤色蛍光体446Rによって変換された赤色光が出射され、緑色画素110Gでは、緑色蛍光体446Gによって変換された緑色光が出射され、青色画素110Bでは、青色蛍光体446Bによって変換された青色光が出射される。表示装置20では、変換層440によって変換された赤色光、緑色光、および青色光によってフルカラー表示が可能となる。
【0145】
赤色蛍光体446Rとしては、例えば、Eu3+イオンを含有する蛍光体(SrSiAlON13:EuまたはLaS:Euなど)を用いることができる。緑色蛍光体446Gとしては、例えば、Eu2+イオンまたはMn2+イオンを含有する蛍光体(SrSi13AlO2N21:Eu、(Ba,Sr,Mg)SiO:Eu,Mn、または3(Ba,Mg)O・8Al:Eu,Mn)を用いることができる。青色蛍光体446Bとしては、例えば、Eu2+イオンを含有する蛍光体(Sr10(POCl:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(POCl:Euなど)を用いることができる。
【0146】
赤色蛍光体446R、緑色蛍光体446G、および青色蛍光体446Bは、量子ドットであってもよい。量子ドットとしては、例えば、直径0.5nm以上20nm以下の大きさの半導体微粒子を用いることができる。
【0147】
変形例2に係る表示装置20では、紫外LEDチップ414Uを用いる。そのため、表示装置20の各層または領域が、紫外光によって損傷する可能性がある。特に、紫外LEDチップ414U間の平坦化層420は、紫外光の影響が顕著である。そのため、変形例2に係る表示装置20では、紫外光に影響を受けにくい感光性有機材料を第3有機樹脂層420-1に用いる。また、第3有機樹脂層420-1の膜厚は、第4有機樹脂層420-2の膜厚よりも大きいことが好ましい。このような構成にすることで、平坦化層420は、紫外光に強い第3有機樹脂層420-1の占める割合が高くなり、平坦化層420の信頼性が向上する。また、第4有機樹脂層420-2は、リフロー後の端部の凸形状が大きい感光性有機材料とすることで、第2電極層430の断線による不良を抑制することができるため、変形例2に係る表示装置20の信頼性が向上する。特に、第3有機樹脂層420-1の第3比誘電率が、第4有機樹脂層420-2の第4比誘電率より大きく、第3有機樹脂層420-1の膜厚が、第4有機樹脂層420-2の膜厚よりも大きい場合に、その効果は大きい。
【0148】
<変形例3>
図14を参照して、表示装置20の別の変形例について説明する。以下では、上述した表示装置20と同様の構成については、説明を省略する。
【0149】
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置20の表示領域の断面図である。
【0150】
図14に示すように、変形例3に係る表示装置20は、第1基板202、遮光層204、第1絶縁層206、半導体層208、第2絶縁層210、第1導電層212、第3絶縁層214、第2導電層216、第4絶縁層218、第1有機樹脂層220-1、第2有機樹脂層220-2、第5絶縁層230、第1電極層410、第2電極層432、接続電極層412、赤色LEDチップ418R、緑色LEDチップ418G、青色LEDチップ418B、第3有機樹脂層420-1、および第4有機樹脂層420-2を含む。第1電極層410および第2電極層432は、第5絶縁層230上に接して設けられている。
【0151】
図14には、複数の画素110として、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bが示されている。赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bの各々は、画素110を制御するトランジスタ300を含む。
【0152】
赤色LEDチップ418R、緑色LEDチップ418G、および青色LEDチップ418Bのそれぞれは、赤色画素110R、緑色画素110G、および青色画素110Bに配置されている。赤色LEDチップ414R、緑色LEDチップ414G、および青色LEDチップ414Bからの発光を制御することにより、表示装置20はフルカラー表示を得ることができる。
【0153】
変形例3に係る表示装置20では、LEDチップ418は、接続電極層412を介して、第1電極層410および第2電極層432の上に設けられている。LEDチップ418は、横型LED構造(水平電極構造)を有し、第1電極層410および第2電極層432の上に、いわゆるフリップチップ実装されている。この場合においても、LEDチップ418の活性層の近傍に耐熱性の優れた第3有機樹脂層420-1に設けることができる。そのため、変形例3に係る表示装置20の耐熱性および信頼性が向上する。特に、第3有機樹脂層420-1の第3比誘電率が、第4有機樹脂層420-2の第4比誘電率より大きく、第3有機樹脂層420-1の膜厚が、第4有機樹脂層420-2の膜厚よりも大きい場合に、その効果は大きい。
【0154】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0155】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0156】
10、20:表示装置、 10-1:表示領域、 10-2:周辺領域、 110:画素、 110R:赤色画素 、110G:緑色画素、 110B:青色画素、120:走査線駆動回路部 、130:端子部、 140:端子、 200:基板、 202:第1基板、 204:遮光層、 206:第1絶縁層、 208:半導体層、 210:第2絶縁層、 212:第1導電層、 214:第3絶縁層、 216:第2導電層、 218:第4絶縁層、 220、220A:平坦化層、 220-1:第1有機樹脂層、 220-2:第2有機樹脂層、 222-1、222A-1:第1開口側面、 222-2:第2開口側面、 222-3、222A-3:第3開口側面、 224、224A、225、225A:開口部、 228:第1電極層、 230:第5絶縁層、 232:第2電極層、 234:液晶層、 236:第6絶縁層、 238BM:遮光膜、 238R:赤色カラーフィルタ膜、 238G:緑色カラーフィルタ膜、 238B:青色カラーフィルタ膜、 240:第7絶縁層、 242:第2基板、 300:トランジスタ、 300-1:第1トランジスタ、 300-2:第2トランジスタ、 300-3:第3トランジスタ、 300-4:第4トランジスタ、 300-5:第5トランジスタ、 300a:半導体層、 300b:ゲート絶縁層、 300c:ゲート電極、 300d:層間絶縁層、 300e:ソース電極、 300f:ドレイン電極、 310:液晶素子、 320:容量素子、 330:第1容量素子、 340:第2容量素子、 410:第1電極層、 412:接続電極層、 414、418:LEDチップ、 414a:活性層、 414R、418R:赤色LEDチップ、 414G、418G:緑色LEDチップ、 414B、418B:青色LEDチップ、 414U:紫外LEDチップ、 416:第6絶縁層、 420:平坦化層、 420-1:第3有機樹脂層、 420-2:第4有機樹脂層、 430、432:第2電極層、 440:変換層、 442:バンク、 444:バインダー樹脂、 446:蛍光体、 446B:青色蛍光体、 446G:緑色蛍光体、 446R:赤色蛍光体、 450-1:第1凸形状、 450-2:第2凸形状、 700:ドライバIC、 710:フレキシブルプリント回路基板(FPC)、 810、820:マスク、 822:透過部、 824:遮光部、 826:半透過部、 911:ゲート配線(走査線)、 913:ソース配線(信号線)、 921:走査線、 922:信号線、 923:発光制御走査線、 924:電流供給線、 925:初期化走査線、 926:初期化線、 927:リセット走査線、 928:リセット線
図1
図2
図3
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図5B
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図9
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