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特許7398309表面実装機、及び、画像データの送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】表面実装機、及び、画像データの送信方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231207BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/08 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020054212
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021158139
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/139753(WO,A1)
【文献】特開2007-258679(JP,A)
【文献】特開2020-009842(JP,A)
【文献】特開2017-157766(JP,A)
【文献】特開2017-054945(JP,A)
【文献】特開2014-090076(JP,A)
【文献】特開2018-110189(JP,A)
【文献】特開昭61-270952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持して基板に搭載する表面実装機であって、
前記部品を保持する複数の部品保持部を昇降可能に支持するヘッド部と、
前記ヘッド部を前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、
前記部品を撮像して画像データを生成する撮像部であって、生成した前記画像データを処理する処理部を有する撮像部と、
制御部と、
を備え、
当該表面実装機が複数の前記部品保持部に前記部品を保持させて前記基板に搭載する動作において、
前記処理部は、
前記部品を1つずつ撮像する撮像処理と、
前記部品を撮像する毎に、生成した前記画像データに基づいて前記部品に関する所定の解析を行う解析処理と、
前記解析処理を実行する毎に、前記解析処理の解析結果を前記制御部に送信する結果送信処理と、
複数の前記部品保持部に保持された全ての前記部品が前記基板に搭載された後に、全ての前記画像データを前記制御部に送信する画像送信処理と、
を実行し、
前記制御部は、
前記解析結果に基づいて当該表面実装機の動作を制御する制御処理と、
前記処理部から受信した前記画像データを記憶部に記憶させる記憶処理と、
を実行する、表面実装機。
【請求項2】
請求項1に記載の表面実装機であって、
前記処理部と前記制御部との前記画像データの送信以外の通信を他の通信と定義したとき、前記処理部は、前記他の通信の空き時間が前記画像データの送信時間より長いときに前記画像データを送信する、表面実装機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の表面実装機であって、
前記撮像部は前記ヘッド部に設けられており、前記基板に前記部品を搭載する動作が行われた後、前記基板上の前記部品の搭載位置を撮像する、表面実装機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の表面実装機であって、
前記撮像部は前記ヘッド部に設けられており、前記部品保持部によって前記部品を保持する動作が行われる前に、部品供給位置にある前記部品を撮像する、表面実装機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記撮像部は当該表面実装機の基台に設けられており、前記部品保持部によって前記部品を保持する動作が行われた後、前記部品保持部に保持されている前記部品、又は、前記部品を保持していない前記部品保持部を下から撮像する、表面実装機。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の表面実装機であって、
前記撮像部は前記ヘッド部に設けられており、前記部品保持部によって前記部品を保持する動作が行われた後、前記部品保持部に保持されている前記部品を撮像する、表面実装機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記撮像部は複数の前記部品を順に撮像し、
前記制御部は、複数の前記部品について前記解析結果を受信した後、前記処理部に前記画像データの送信を要求し、
前記処理部は、前記制御部から前記画像データの送信を要求されると、複数の前記画像データを1画像データずつ順に送信する、表面実装機。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記撮像部は複数の前記部品を順に撮像し、
前記制御部は、複数の前記部品について前記解析結果を受信した後、前記処理部に前記画像データの送信を要求し、
前記処理部は、前記制御部から前記画像データの送信を要求されると、複数の前記画像データを1つの画像データとしてまとめて送信する、表面実装機。
【請求項9】
部品を保持して基板に搭載する表面実装機における画像データの送信方法であって、
前記表面実装機は、
前記部品を保持する複数の部品保持部を昇降可能に支持するヘッド部と、
前記ヘッド部を前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、
前記部品を撮像して画像データを生成する撮像部であって、生成した前記画像データを処理する処理部を有する撮像部と、
制御部と、
を備え、
当該送信方法は、前記表面実装機が複数の前記部品保持部に前記部品を保持させて前記基板に搭載する動作において、
前記処理部が、前記部品を1つずつ撮像する撮像ステップと、
前記処理部が、前記部品を撮像する毎に、生成した前記画像データに基づいて前記部品に関する所定の解析を行う解析ステップと、
前記処理部が、前記解析ステップを実行する毎に、前記解析ステップの解析結果を前記制御部に送信する結果送信ステップと、
前記制御部が、前記解析結果に基づいて前記表面実装機の動作を制御する制御ステップと、
前記処理部が、複数の前記部品保持部に保持された全ての前記部品が前記基板に搭載された後に、全ての前記画像データを前記制御部に送信する画像送信ステップと、
前記制御部が、前記処理部から受信した前記画像データを記憶部に記憶させる記憶ステップと、
を含む、画像データの送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、表面実装機、及び、画像データの送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を保持して基板に搭載する表面実装機において、部品を撮像して画像データを生成し、生成した画像データに基づいて所定の解析を行うものが知られている。近年、このような表面実装機に対するトレーサビリティ(追跡可能性)の要求が高くなっている。このため、解析に用いた画像データを記憶部に記憶する表面実装機も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載の電子部品装着装置は、回路基板上の部品装着位置を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像データを処理する処理装置と、処理装置により処理されたデータから電子部品の回路基板への装着状態を判定すると共に電子部品装着装置の動作を総括制御する制御装置とを備えている。
特許文献1に記載の撮像装置は、回路基板に電子部品が装着される前の装着前画像と、回路基板に電子部品が装着された後の装着後画像とを撮像する。電子部品の装着前の画像と装着後の画像とを取り込んだ処理装置は、両画像の差分画像を作成し、二値化処理などを行って判定画像を取得する。制御装置はこの判定画像を用いて判定処理を行い、電子部品の装着位置及び装着角度が許容範囲以内であるか否かを判定する。制御装置は、電子部品の装着位置及び装着角度が許容範囲を超えている場合は装着不良と判断し、装着不良となった電子部品を再度装着するリカバリー動作を行う。この装着状態の検査データは記憶装置に記憶され、装着不良の発生原因の究明等に活用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-8295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電子部品装着装置は、基板を1つ生産するのに要する時間であるタクトタイムを短縮する上で改善の余地があった。
本明細書では、画像データに基づいて部品に関する所定の解析を行う表面実装機において、トレーサビリティを向上させつつタクトタイムを短縮する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書で開示する表面実装機は、部品を保持して基板に搭載する表面実装機であって、前記部品を保持する部品保持部を昇降可能に支持するヘッド部と、前記ヘッド部を前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、前記部品を撮像して画像データを生成する撮像部であって、生成した前記画像データを処理する処理部を有する撮像部と、制御部と、を備え、前記処理部は、前記画像データに基づいて前記部品に関する所定の解析を行う解析処理と、前記解析処理の解析結果を前記制御部に送信する結果送信処理と、前記結果送信処理の後に、前記画像データを前記制御部に送信する画像送信処理と、を実行し、前記制御部は、前記解析結果に基づいて当該表面実装機の動作を制御する制御処理と、前記処理部から受信した前記画像データを記憶部に記憶させる記憶処理と、を実行する。
【0007】
前述した特許文献1に記載の電子部品装着装置は、撮像装置によって撮像された画像が処理装置に送信され、処理装置によって判定画像が取得される。そして、制御部は判定画像を用いて判定処理を行う。すなわち、当該電子部品装着装置では撮像装置によって撮像された画像が処理装置に送信された後に判定が行われる。しかしながら、通常、画像データはデータ量が多いので送信に時間がかかる。このため、撮像装置によって部品が撮像されてから制御部が判定結果を得るまでに時間がかかる。制御部は判定結果に基づいて表面実装機の動作を制御するので、判定結果を得るまでに時間がかかると表面実装機が動作を待機する待機時間が長くなる。このためタクトタイムが長くなる。
【0008】
これに対し、上記の表面実装機によると、撮像部(具体的には処理部)が画像データを解析する。撮像部はその解析結果を制御部に送信し、その後に制御部に画像データを送信する。解析結果は画像データに比べてデータ量が大幅に少ないのでデータの送信に要する時間が短い。このため、制御部が画像データを受信して解析する場合に比べ、制御部が早期に解析結果を得ることができる。このため表面実装機の待機時間を短縮できる。そして、上記の表面実装機によると、撮像部は解析結果を送信した後に制御部に画像データを送信するのでトレーサビリティを向上させることができる。よって上記の表面実装機によると、画像データに基づいて部品に関する所定の解析を行う表面実装機において、トレーサビリティを向上させつつタクトタイムを短縮できる。
上記の記憶処理は、表面実装機が備える記憶部に画像データを記憶させる処理に限定されるものではなく、画像データを記憶する記憶部を備える外部の装置に画像データを転送する処理であってもよい。
【0009】
(2)前記処理部と前記制御部との前記画像データの送信以外の通信を他の通信と定義したとき、前記処理部は、前記他の通信の空き時間が前記画像データの送信時間より長いときに前記画像データを送信してもよい。
【0010】
他の通信の空き時間が画像データの送信時間より短いときに画像データを送信すると、画像データの送信が完了する前に他の通信を行う必要が生じる。その場合、画像データの送信中であることから、画像データの送信が完了するまで他の通信が待たされることになり、表面実装機に待機時間が生じる。
【0011】
上記の表面実装機によると、処理部は他の通信の空き時間が画像データの送信時間より長いときに画像データを送信するので、他の通信が待たされることによって表面実装機に待機時間が生じる可能性を低減できる。これにより、トレーサビリティを向上させつつタクトタイムをより確実に短縮できる。
【0012】
(3)前記撮像部は前記ヘッド部に設けられており、前記基板に前記部品を搭載する動作が行われた後、前記基板上の前記部品の搭載位置を撮像してもよい。
【0013】
上記の表面実装機によると、前述した解析処理として、基板に部品が搭載されたか否かを判定する処理、基板に搭載された部品の位置ずれの有無を判定する処理などを行うことができる。そして、上記の表面実装機によると、基板に部品が搭載されなかった場合あるいは部品の位置ずれが生じた場合などに、記憶されている画像データを参照することによってその原因を究明できる可能性が高くなる。
前述した解析処理はこれらに限られるものではなく、上記の撮像部によって生成された画像データに基づいて解析する処理であれば任意の解析処理であってよい。
【0014】
(4)前記撮像部は前記ヘッド部に設けられており、前記部品保持部によって前記部品を保持する動作が行われる前に、部品供給位置にある前記部品を撮像してもよい。
【0015】
上記の表面実装機によると、前述した解析処理として、保持する部品の位置や角度を判定する処理などを行うことができる。そして、上記の表面実装機によると、基板に部品が搭載されなかった場合あるいは部品の位置ずれが生じた場合などに、記憶されている画像データを参照することによってその原因を究明できる可能性が高くなる。
前述した解析処理はこれに限られるものではなく、上記の撮像部によって生成された画像データに基づいて解析する処理であれば任意の解析処理であってよい。
【0016】
(5)前記撮像部は当該表面実装機の基台に設けられており、前記部品保持部によって前記部品を保持する動作が行われた後、前記部品保持部に保持されている前記部品、又は、前記部品を保持していない前記部品保持部を下から撮像してもよい。
【0017】
上記の表面実装機によると、前述した解析処理として、部品保持部に部品が保持されているか否かを判定する処理、部品保持部に対する部品の位置(部品が部品保持部の中心からどのくらいずれているか)や部品の回転角度を判定する処理、画像データによって表される部品の形状と部品の形状データとを比較して部品形状の良否を判定する処理などを行うことができる。そして、上記の表面実装機によると、部品保持部に部品が保持されていなかった場合、基板に搭載された部品に位置ずれが生じた場合、あるいは部品形状が不良であった場合などに、記憶されている画像データを参照することによってその原因を究明できる可能性が高くなる。
前述した解析処理はこれらに限られるものではなく、上記の撮像部によって生成された画像データに基づいて解析する処理であれば任意の解析処理であってよい。
【0018】
(6)前記撮像部は前記ヘッド部に設けられており、前記部品保持部によって前記部品を保持する動作が行われた後、前記部品保持部に保持されている前記部品を撮像してもよい。
【0019】
上記の表面実装機によると、前述した解析処理として、保持されている部品の厚み(縦方向の幅)を計測する処理などを行うことができる。計測した厚みは、部品の厚みの良否判定や、部品保持部を下降させて基板に部品を搭載するときの下降量の決定などに用いることができる。そして、上記の表面実装機によると、基板に部品が搭載されなかった場合などに、記憶されている画像データを参照することによってその原因を究明できる可能性が高くなる。
前述した解析処理はこれらに限られるものではなく、上記の撮像部によって生成された画像データに基づいて解析する処理であれば任意の解析処理であってよい。
【0020】
(7)前記撮像部は複数の前記部品を順に撮像し、前記制御部は、複数の前記部品について前記解析結果を受信した後、前記処理部に前記画像データの送信を要求し、前記処理部は、前記制御部から前記画像データの送信を要求されると、複数の前記画像データを1画像データずつ順に送信してもよい。
【0021】
複数の画像データを送信する場合、制御部が1の画像データ毎に撮像部に送信を要求する方法が考えられる。しかしながら、その場合は送信を要求する回数が増えるので効率が悪い。上記の表面実装機によると、一度の要求で複数の画像データを送信するので、画像データを効率よく送信できる。
【0022】
(8)前記撮像部は複数の前記部品を順に撮像し、前記制御部は、複数の前記部品について前記解析結果を受信した後、前記処理部に前記画像データの送信を要求し、前記処理部は、前記制御部から前記画像データの送信を要求されると、複数の前記画像データを1つの画像データとしてまとめて送信してもよい。
【0023】
複数の画像データを送信する場合、制御部が1の画像データ毎に撮像部に送信を要求する方法が考えられる。しかしながら、その場合は送信を要求する回数が増えるので効率が悪い。上記の表面実装機によると、一度の要求で複数の画像データを送信するので、画像データを効率よく送信できる。
【0024】
(9)部品を保持して基板に搭載する表面実装機における画像データの送信方法であって、前記表面実装機は、前記部品を保持する部品保持部を昇降可能に支持するヘッド部と、前記ヘッド部を前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、前記部品を撮像して画像データを生成する撮像部であって、生成した前記画像データを処理する処理部を有する撮像部と、制御部と、を備え、当該送信方法は、前記処理部が、前記画像データに基づいて前記部品に関する所定の解析を行う解析ステップと、前記処理部が、前記解析ステップの解析結果を前記制御部に送信する結果送信ステップと、前記制御部が、前記解析結果に基づいて当該表面実装機の動作を制御する制御ステップと、前記処理部が、前記結果送信ステップの後に、前記画像データを前記制御部に送信する画像送信ステップと、前記制御部が、前記処理部から受信した前記画像データを記憶部に記憶させる記憶ステップと、を含む。
【0025】
上記の画像データの送信方法によると、画像データに基づいて部品に関する所定の解析を行う表面実装機において、トレーサビリティを向上させつつタクトタイムを短縮できる。
【0026】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態1に係る表面実装機の上面図
図2】ロータリーヘッドの模式図
図3】基板撮像カメラの電気的構成を示すブロック図
図4】表面実装機の電気的構成を示すブロック図
図5】部品の搭載と画像データの記憶のフローチャート
図6】画像データの送信のシーケンスチャート
図7】実施形態2に係る部品撮像カメラの電気的構成を示すブロック図
図8】部品の吸着と画像データの記憶のフローチャート
図9】実施形態3に係る画像データの送信のシーケンスチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図6によって説明する。以降の説明では図1に示す左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、図2に示す上下方向をZ軸方向という。また、以降の説明では図1に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0029】
(1)表面実装機の全体構成
図1を参照して、実施形態1に係る表面実装機1の全体構成について説明する。表面実装機1はプリント基板P(以下、単に基板Pという)に電子部品などの部品Eを実装する装置である。表面実装機1は基台10、搬送コンベア11、図示しないバックアップ装置、4つのテープ部品供給装置12、ロータリーヘッド13(ヘッド部の一例)、ヘッド移動部14(移動部の一例)、部品撮像カメラ15、基板撮像カメラ16(撮像部の一例)などを備えている。表面実装機1は後述する制御部30(図4参照)や操作部37(図4参照)なども備えている。
【0030】
基台10は平面視長方形状をなしている。図1において二点鎖線で示す矩形枠Aは基板Pに部品Eを実装するときの作業位置(以下、作業位置Aという)を示している。
【0031】
搬送コンベア11は基板PをX軸方向の上流側から作業位置Aに搬入し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出する。搬送コンベア11はX軸方向に循環駆動する一対のコンベアベルト11A及び11B、それらのコンベアベルトを駆動するコンベア駆動モータ45(図4参照)などを備えている。後側のコンベアベルト11Aは前後方向に移動可能であり、基板Pの幅に応じて2つのコンベアベルト11Aと11Bとの間隔を調整できる。
図示しないバックアップ装置は作業位置Aの下方に配されている。バックアップ装置は作業位置Aに搬送された基板Pを作業位置Aに固定するとともに、基板Pを下から支持する。
【0032】
テープ部品供給装置12は搬送コンベア11のY軸方向の両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらのテープ部品供給装置12には複数のフィーダ17がX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ17は所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープが巻回されたリール、及び、リールから部品テープを引き出す電動式のテープ送出装置等を備えており、搬送コンベア11側の端部に設けられた部品供給位置12Aから部品Eを一つずつ供給する。
ここでは部品供給装置としてテープ部品供給装置12を例に説明するが、部品供給装置は部品Eが載置されているトレイを供給する所謂トレイフィーダであってもよいし、半導体ウェハを供給するものであってもよい。
【0033】
ロータリーヘッド13は円周上に等間隔に配されている複数(本実施形態では18)の実装ヘッド18(部品保持部の一例)を備えている。実装ヘッド18はテープ部品供給装置12によって供給された部品Eを吸着(保持の一例)及び解放するものである。実装ヘッド18はロータリーヘッド13に昇降可能に支持されている。ロータリーヘッド13の具体的な構成については後述する。
ここではヘッド部としてロータリーヘッド13を例に説明するが、ヘッド部は実装ヘッド18が一列に配列された所謂インライン型であってもよい。
【0034】
ヘッド移動部14はロータリーヘッド13を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向(基板の板面に平行な方向の一例)に移動させるものである。ヘッド移動部14はロータリーヘッド13をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム19、ビーム19をY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール20、ロータリーヘッド13をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ40、ビーム19をY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ41などを備えている。
【0035】
2つの部品撮像カメラ15はそれぞれX軸方向に並んだ2つのテープ部品供給装置12の間に設けられている。部品撮像カメラ15は実装ヘッド18に吸着されている部品E、又は、部品Eを吸着していない実装ヘッド18を下から撮像する。部品撮像カメラ15によって撮像された画像データは部品Eの吸着の有無の判定、実装ヘッド18に対する部品Eの位置や回転角度の判定、部品形状の良否判定などに用いられる。
【0036】
2つの基板撮像カメラ16はロータリーヘッド13に設けられている。基板撮像カメラ16は、実装ヘッド18を下降させて基板Pに部品Eを搭載する動作(以下、搭載動作という)が行われた後、基板P上の部品Eの搭載位置を含む範囲を撮像する。基板撮像カメラ16によって撮像された画像データは基板Pに部品Eが搭載されたか否かの判定などに用いられる。基板撮像カメラ16は基板Pに付されている図示しないフィデューシャルマークの撮像にも用いられる。フィデューシャルマークを撮像して生成された画像データは基板Pの位置や角度の認識などに用いられる。
【0037】
(1-1)ロータリーヘッド
図2に示すように、ロータリーヘッド13はヘッド本体部21、軸部22、複数の実装ヘッド18、図示しない2つのZ軸駆動装置、N軸サーボモータ43(図4参照)、R軸サーボモータ44(図4参照)などを備えている。ロータリーヘッド13は耐屈曲ケーブル23(所謂フレキシブルケーブル)を介して制御部30と接続されている。
【0038】
ヘッド本体部21はアーム状に形成されており、X軸方向に往復移動可能にビーム19に支持されている。軸部22は略円柱状であり、鉛直線周りに回転可能にヘッド本体部21に支持されている。
複数の実装ヘッド18は軸部22の回転軸線を中心とする円周上に等間隔に配されている。実装ヘッド18はノズルシャフト18Aと、ノズルシャフト18Aの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル18Bとを有している。吸着ノズル18Bにはノズルシャフト18Aを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル18Bは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
【0039】
図示しない2つのZ軸駆動装置はヘッド本体部21に固定されている。Z軸駆動装置は実装ヘッド18が配されている円周上に設定されている所定の押圧位置の上方に配されている。Z軸駆動装置は可動子が上下方向に移動するZ軸リニアモータ42(図4参照)を備えており、押圧位置に回転移動してきた実装ヘッド18をZ軸リニアモータ42によって下に向けて押圧する。N軸サーボモータ43(図4参照)は軸部22を鉛直線周りに回転駆動するモータである。R軸サーボモータ44(図4参照)は各実装ヘッド18をその実装ヘッド18の軸線周りに一斉に自転させるモータである。
【0040】
部品Eを吸着する場合、表面実装機1は吸着対象の部品Eが供給される部品供給位置12Aの上方にロータリーヘッド13の押圧位置が位置するようにロータリーヘッド13を移動させる。この移動と並行して、表面実装機1はその部品Eを吸着させる実装ヘッド18が押圧位置に位置するようにロータリーヘッド13の軸部22を回転させる。そして、表面実装機1はZ軸リニアモータ42を駆動して実装ヘッド18を下に向けて押圧する。これにより実装ヘッド18が下降して部品Eが吸着される。ここでは部品Eの吸着について説明したが、吸着した部品Eを基板Pに搭載するときも同様である。
【0041】
(1-2)基板撮像カメラ
図2に示すように、基板撮像カメラ16はステレオカメラであり、基板Pを斜め上方向から撮像する第1カメラ16Aと第2カメラ16Bとを有している。第1カメラ16Aは第2カメラ16Bよりも基板Pの板面とカメラの光軸とがなす角度が大きい。
【0042】
図3を参照して、基板撮像カメラ16の電気的構成について説明する。基板撮像カメラ16は第1カメラ16A、第2カメラ16B、FPGA(Field Programmable Gate Array)16C、RAM16D、及び、通信部16Eを備えている。FPGA16Cは処理部の一例である。基板撮像カメラ16はFPGA16Cに代えてマイクロコンピュータやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備えていてもよい。
【0043】
第1カメラ16Aは、基板Pを照明する光源24、受光素子が二次元配列されたエリアセンサ25、及び、A/Dコンバータ26を備えている。各受光素子は蓄積した電荷に応じた電圧をA/Dコンバータ26に印加する。A/Dコンバータ26は各受光素子から印加された電圧を0(黒)~255(白)のデジタルデータに変換してFPGA16Cに出力する。第2カメラ16Bについても同様である。
【0044】
FPGA16Cは制御部30の制御の下で第1カメラ16A及び第2カメラ16Bを制御する回路である。FPGA16Cは第1カメラ16A及び第2カメラ16Bから出力された画像データをRAM16Dに記憶し、制御部30から画像データの送信を要求されるとRAM16Dに記憶されている画像データを制御部30に送信する。詳しくは後述するが、FPGA16Cは、基板Pに部品Eが搭載されたか否かを、第1カメラ16A及び第2カメラ16Bから出力された画像データに基づいて判定し、その判定結果(解析結果の一例)を制御部30に送信する処理も行う。
【0045】
RAM16Dは画像データを記憶するためのメモリである。前述したように実装ヘッド18の数は18であり、基板撮像カメラ16は実装ヘッド18によって搭載動作が行われる毎に基板P上の部品Eの搭載位置を含む範囲を第1カメラ16A及び第2カメラ16Bによって撮像する。このため、生成される画像データの数は36(=18×2)である。RAM16Dはそれら36の画像データを同時に記憶可能な記憶容量を有している。
通信部16EはFPGA16Cが制御部30と通信するための回路である。通信部16Eは耐屈曲ケーブル23を介して制御部30の画像取り込みボード34(図4参照)に接続されている。
【0046】
(2)表面実装機の電気的構成
図4に示すように、表面実装機1は制御部30及び操作部37を備えている。制御部30は演算処理部31、モータ制御部32、記憶部33、画像取り込みボード34、外部入出力部35、フィーダ通信部36などを備えている。
【0047】
演算処理部31はCPU、ROM、RAMなどを備えており、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって表面実装機1の各部を制御する。
モータ制御部32は演算処理部31の制御の下でX軸サーボモータ40、Y軸サーボモータ41、Z軸リニアモータ42、N軸サーボモータ43、R軸サーボモータ44、コンベア駆動モータ45などの各モータの運転、停止及び回転速度を制御する。
【0048】
記憶部33は電源をオフにしてもデータが消えない書き換え可能な記憶装置(ハードディスク等)である。記憶部33には各種のプログラムやデータが記憶されている。各種のデータには、生産が予定されている基板Pの機種、各種の部品Eに関するデータ(部品Eの形状データなど)、各機種を生産する順序、機種ごとのデータ(生産枚数、基板Pの形状、実装される部品E、部品Eの実装順序、部品Eの実装座標、実装角度)などが含まれる。また、記憶部33には基板撮像カメラ16によって撮像された画像データが記憶される。
画像取り込みボード34は部品撮像カメラ15や基板撮像カメラ16から送信された画像データを受信し、受信した画像データを演算処理部31のRAMに記憶させる。RAMに記憶された画像データは演算処理部31によって記憶部33に記憶される。
【0049】
外部入出力部35はいわゆるインターフェースであり、表面実装機1の本体に設けられている各種センサ類46から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部35は演算処理部31から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類47(図示しない空気供給装置、バックアップ装置を含む)に対する動作制御を行うように構成されている。
フィーダ通信部36はフィーダ17に接続されており、フィーダ17を統括して制御する。
【0050】
操作部37は液晶ディスプレイなどの表示部と、タッチパネルなどの入力部とを備えている。作業者は操作部37を操作して表面実装機1に対する各種の設定や動作の指示などを行うことができる。
【0051】
(3)部品の搭載と画像データの記憶
図5を参照して、部品Eの搭載と画像データの記憶について説明する。図5に示す処理が開始される時点で各実装ヘッド18には既に部品Eが吸着されているものとする。
【0052】
S101では、制御部30は部品Eを吸着している実装ヘッド18を1つ選択し、選択した実装ヘッド18に搭載動作を行わせる。
S102では、制御部30は基板撮像カメラ16のFPGA16Cに撮像を指示する。FPGA16Cは撮像が指示されると第1カメラ16A及び第2カメラ16Bによって基板P上の部品Eの搭載位置を含む範囲を撮像し、第1カメラ16A及び第2カメラ16Bから出力された画像データをRAM16Dに記憶する。
【0053】
S103では、FPGA16CはRAM16Dに記憶した画像データを解析することにより、基板Pに部品Eが搭載されたか否かを判定する(解析処理の一例)。具体的には、FPGA16Cは第1カメラ16A及び第2カメラ16Bによって生成された画像データに基づいて部品Eの高さを計測する。FPGA16Cは計測した高さが所定の基準値以上である場合は部品Eが搭載されたと判定し、基準値未満である場合は部品Eが搭載されていないと判定する。
【0054】
S104では、FPGA16Cは判定結果(解析結果の一例)を制御部30に送信する(結果送信処理の一例)。
S105では、制御部30は基板Pに部品Eが搭載されたか否かを判定結果から判断する(制御処理の一例)。制御部30は、部品Eが搭載されなかった場合はS106に進み、搭載された場合はS107に進む。
【0055】
S106では、制御部30は所定のエラー処理を実行する。エラー処理は、搭載に失敗した部品Eと同じ部品Eをテープ部品供給装置12から吸着して再度搭載を試みる処理、表面実装機1の動作を停止し、警告を発してオペレータに報知する処理などである。エラー処理はこれらに限定されるものではなく、適宜に決定可能である。制御部30は、エラー処理を実行した場合は本処理を終了する。
【0056】
S107では、制御部30は全ての実装ヘッド18に部品Eの搭載動作を行わせたか否かを判断する。制御部30は、全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた場合はS108に進み、未だ搭載動作を行わせていない実装ヘッド18がある場合はS101に戻って処理を繰り返す。
【0057】
S108では、FPGA16Cは制御部30に画像データを送信する(画像送信処理の一例)。具体的には、FPGA16Cと制御部30との画像データの送信以外の通信のことを他の通信と定義したとき、制御部30は他の通信の空き時間が画像データの送信時間より長いときにFPGA16Cに画像データの送信を要求する。ここで他の通信とは、具体的には制御部30がFPGA16Cに部品Eの撮像を指示するための通信などである。実装ヘッド18の数が18であり、1の実装ヘッド18について2の画像データが生成されることから、全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた時点でRAM16Dには36の画像データが記憶されている。FPGA16Cは制御部30から画像データの送信を要求されると36の画像データを制御部30に送信する。
【0058】
より具体的には、表面実装機1は、全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた後、各実装ヘッド18に次の部品Eを吸着させるためにロータリーヘッド13をテープ部品供給装置12まで移動させる。表面実装機1はこの移動中に他の通信を行わない。このため他の通信に空き時間が生じる。最後に搭載された部品Eの搭載位置にもよるが、部品Eの搭載位置と部品供給位置12Aとにはある程度の距離があるので、他の通信の空き時間はある程度長い。
【0059】
上述した他の通信の空き時間や36の画像データの送信時間は実際に計測することによって取得できる。実施形態1では、実際に計測した結果、他の通信の空き時間は36の画像データの送信時間より長かったものとする。このため、制御部30は全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた後、例えば部品供給位置12Aに移動するためにロータリーヘッド13の移動を開始したタイミングでFPGA16Cに画像データの送信を要求する。画像データの送信を要求するタイミングは、全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた後、他の通信の空き時間の残り時間が36の画像データの送信時間よりも長い時点であればよく、必ずしもロータリーヘッド13の移動を開始したタイミングに限定されない。
FPGA16Cは、制御部30から画像データの送信を要求されるとRAM16Dに記憶されている36の画像データを制御部30に送信する。画像データの送信の詳細については後述する。
S109では、制御部30は受信した36の画像データを記憶部33に記憶させる(記憶処理の一例)。
【0060】
(4)画像データの送信の詳細
図6を参照して、上述したS108で実行される画像データの送信の詳細について説明する。制御部30は、全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた後、FPGA16Cに画像データの送信を要求する(S108_1A)。FPGA16Cは制御部30から画像データの送信を要求されると、RAM16Dに記憶されている複数の画像データを1つずつ順に画像取り込みボード34に送信する(S108_2A)。画像取り込みボード34は画像データの受信が完了すると制御部30に受信完了通知を送信する(S108_3A)。
【0061】
(4)実施形態の効果
実施形態1に係る表面実装機1によると、基板Pに部品Eが搭載されたか否かを基板撮像カメラ16のFPGA16Cが画像データを解析して判定する。そして、FPGA16Cはその判定結果を制御部30に送信し、その後に制御部30に画像データを送信する。判定結果は画像データに比べてデータ量が大幅に少ないのでデータの送信時間が短い。このため、制御部30が画像データを受信して判定する場合に比べ、制御部30が早期に判定結果を得ることができる。このため表面実装機1の待機時間を短縮できる。そして、表面実装機1によると、FPGA16Cは判定結果を送信した後に制御部30に画像データを送信するのでトレーサビリティを向上させることができる。よって表面実装機1によると、画像データに基づいて部品Eに関する所定の判定を行う表面実装機1において、トレーサビリティを向上させつつタクトタイムを短縮できる。
【0062】
表面実装機1によると、FPGA16Cは他の通信(画像データの送信以外の通信)の空き時間が画像データの送信時間より長いときに制御部30に画像データを送信するので、他の通信が待たされることによって表面実装機1に待機時間が生じる可能性を低減できる。これにより、トレーサビリティを向上させつつタクトタイムをより確実に短縮できる。
【0063】
表面実装機1によると、撮像部はロータリーヘッド13に設けられている基板撮像カメラ16であり、実装ヘッド18に部品Eの搭載動作を行わせた後、基板P上の部品Eの搭載位置を撮像する。表面実装機1によると、解析処理として、基板Pに部品Eが搭載されたか否かを判定する処理を行うことができる。
【0064】
表面実装機1によると、一度の要求で複数の画像データを送信するので、画像データを効率よく送信できる。
【0065】
<実施形態2>
前述した実施形態1では基板撮像カメラ16によって基板P上の部品Eの搭載位置を含む範囲を撮像して部品Eが搭載されたか否かを判定する場合を例に説明した。これに対し、実施形態2では実装ヘッド18に吸着されている部品Eを部品撮像カメラ15(撮像部の一例)によって下から撮像して画像データを生成し、生成した画像データを解析することにより、実装ヘッド18に対する部品Eの位置(部品Eが実装ヘッド18の中心からどのくらいずれているか)や部品Eの回転角度を判定する。
【0066】
(1)部品撮像カメラ
図7を参照して、部品撮像カメラ15の電気的構成について説明する。部品撮像カメラ15は第3カメラ15A、FPGA15B、RAM15C及び通信部15Dを備えている。第3カメラ15Aは、光源50、受光素子が1列に配列されたリニアセンサ51及びA/Dコンバータ52を有しており、リニアセンサ51の撮像面が上を向く姿勢で基台10に配されている。第3カメラ15Aはリニアセンサ51に替えてエリアセンサを備えていてもよい。
【0067】
(2)部品の吸着と画像データの記憶
図8を参照して、実施形態2に係る部品Eの吸着と画像データの記憶について説明する。図8に示す処理が開始される時点で各実装ヘッド18には部品Eが吸着されていないものとする。
【0068】
S201では、制御部30は部品Eを吸着していない実装ヘッド18を1つ選択し、選択した実装ヘッド18に吸着動作を行わせる。
S202では、制御部30は選択した実装ヘッド18が部品撮像カメラ15の上方に位置するようにロータリーヘッド13を移動させ、部品撮像カメラ15のFPGA15Bに撮像を指示する。FPGA15Bは撮像が指示されると実装ヘッド18に吸着されている部品Eを第3カメラ15Aによって下から撮像し、第3カメラ15Aから出力された画像データをRAM15Cに記憶する。
【0069】
S203では、FPGA15BはS202でRAM15Cに記憶した画像データを解析することにより、実装ヘッド18に対する部品Eの位置や部品Eの回転角度を判定する。
S204では、FPGA15Bは判定結果(解析結果の一例)を制御部30に送信する。制御部30に送信された判定結果は、基板Pに部品Eを搭載するときのロータリーヘッド13の移動位置(XY方向)や実装ヘッド18の自転角度(R方向)の補正情報として用いられる。具体的には、制御部30は、基板Pに部品Eを搭載するときに部品Eが正規の搭載位置に正規の回転角度で搭載されるよう、判定結果に基づいてロータリーヘッド13の移動位置や実装ヘッド18の自転角度を補正する。
【0070】
S205では、制御部30は全ての実装ヘッド18に部品Eの吸着動作を行わせたか否かを判断する。制御部30は、全ての実装ヘッド18に吸着動作を行わせた場合はS206に進み、未だ吸着動作を行わせていない実装ヘッド18がある場合はS201に戻って処理を繰り返す。
【0071】
S206では、FPGA15Bは制御部30に画像データを送信する。具体的には、制御部30は他の通信の空き時間が画像データの送信時間より長いときにFPGA16Cに画像データの送信を要求する。実装ヘッド18の数が18であり、1の実装ヘッド18について1の画像データが生成されることから、全ての実装ヘッド18に吸着動作を行わせた時点でRAM15Cには18の画像データが記憶されている。FPGA15Bは制御部30から画像データの送信を要求されると18の画像データを制御部30に送信する。
【0072】
より具体的には、表面実装機1は、全ての実装ヘッド18に吸着動作を行わせた後、最初に搭載する部品Eの搭載位置の上方にロータリーヘッド13の押圧位置が位置するようにロータリーヘッド13を移動させる。表面実装機1はこの移動中に他の通信を行わない。このため他の通信に空き時間が生じる。最初に搭載する部品Eの搭載位置にもよるが、部品供給位置12Aと部品Eの搭載位置とにはある程度の距離があるので、他の通信の空き時間はある程度長い。
【0073】
上述した他の通信の空き時間や18の画像データの送信時間は実際に計測することによって取得できる。実施形態2では、実際に計測した結果、他の通信の空き時間は18の画像データの送信時間より長かったものとする。このため、制御部30は全ての実装ヘッド18に吸着動作を行わせた後、例えば最初の搭載位置に移動するためにロータリーヘッド13の移動を開始したタイミングでFPGA15Bに画像データの送信を要求する。画像データの送信を要求するタイミングは、全ての実装ヘッド18に吸着動作を行わせた後、空き時間の残り時間が18の画像データの送信時間よりも長い時点であればよく、必ずしもロータリーヘッド13の移動を開始したタイミングに限定されない。
FPGA15Bは、制御部30から画像データの送信を要求されるとRAM15Cに記憶されている18の画像データを制御部30に送信する。画像データの送信の詳細は実施形態1と同じであるので説明は省略する。
【0074】
S207では、制御部30は受信した18の画像データを記憶部33に記憶させる。
【0075】
(3)実施形態の効果
実施形態2に係る表面実装機1によると、撮像部は表面実装機1の基台10に設けられている部品撮像カメラ15であり、実装ヘッド18に吸着動作を行わせた後、実装ヘッド18に吸着されている部品Eを下から撮像する。表面実装機1によると、解析処理として、実装ヘッド18に対する部品Eの位置や部品Eの回転角度を判定する処理を行うことができる。
【0076】
<実施形態3>
実施形態3は実施形態1又は実施形態2の変形例である。ここでは実施形態1の変形例として説明する。前述した実施形態1では、FPGA16Cは制御部30に複数の画像データを1つずつ順に送信する。これに対し、実施形態3に係るFPGA16Cは複数の画像データを1つの画像データにまとめ、まとめた1つの画像データを送信する。
【0077】
図9を参照して具体的に説明する。制御部30は、全ての実装ヘッド18に搭載動作を行わせた後、基板撮像カメラ16のFPGA16Cに画像データの送信を要求する(S108_1B)。FPGA16Cは制御部30から画像データの送信を要求されると、RAM16Dに記憶されている複数の画像データをまとめて1つの画像データとし、まとめた1つの画像データを画像取り込みボード34に送信する(S108_2B)。画像取り込みボード34は画像データの受信が完了すると制御部30に受信完了通知を送信する(S108_3B)。
【0078】
実施形態3に係る表面実装機1によると、一度の要求で複数の画像データを送信するので、画像データを効率よく送信できる。
【0079】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)上記実施形態1では全ての実装ヘッド18に部品Eの搭載動作を行わせた後、ロータリーヘッド13がテープ部品供給装置12まで移動する期間に基板撮像カメラ16から制御部30に画像データを送信する場合を例に説明した。しかしながら、画像データの送信は他の通信の空き時間が画像データの送信時間より長いときであればこれに限られない。
【0081】
具体的には、制御部30は1の実装ヘッド18に搭載動作を行わせた後、次に部品Eが搭載される搭載位置の上方にロータリーヘッド13の押圧位置が位置するようにロータリーヘッド13を移動させる。この移動中は他の通信が行われない空き時間である。この空き時間は直前の搭載位置と次の搭載位置との距離によって異なるが、距離がある程度離れている場合は1つの画像データの送信時間よりも通信の空き時間の方が長くなる場合もある。このため、実装ヘッド18によって搭載された部品Eの搭載位置を含む範囲を基板撮像カメラ16によって撮像して画像データを生成した後、ロータリーヘッド13が次の搭載位置に移動する期間にその画像データを送信してもよい。
【0082】
(2)上記実施形態1では基板撮像カメラ16によって基板P上の部品Eの搭載位置を含む範囲を撮像する場合を例に説明したが、テープ部品供給装置12の部品供給位置12Aを上から撮像してもよい。そして、撮像した画像を解析することにより、部品供給位置12Aにある部品Eの位置を判定してもよい。この場合、制御部30は実装ヘッドによってその部品Eを吸着するとき、部品Eの中心に実装ヘッド18が位置するよう、判定結果に基づいてロータリーヘッド13の移動位置を補正する。これにより部品Eの中心を吸着できる可能性が高くなり、吸着に失敗する可能性を低減できる。
【0083】
(3)上記実施形態2では全ての実装ヘッド18に部品Eの吸着動作を行わせた後、ロータリーヘッド13が最初の部品Eの搭載位置に移動する期間に部品撮像カメラ15から制御部30に画像データを送信する場合を例に説明した。しかしながら、画像データの送信は他の通信の空き時間が画像データの送信時間より長いときであればこれに限られない。
【0084】
具体的には、制御部30は1の実装ヘッド18に吸着動作を行わせた後、次に吸着する部品Eが供給される部品供給位置12Aの上方にロータリーヘッド13の押圧位置が位置するようにロータリーヘッド13を移動させる。この移動中は他の通信が行われない空き時間である。この空き時間は直前の部品供給位置12Aと次の部品供給位置12Aとの距離によって異なるが、距離がある程度離れている場合は1つの画像データの送信時間よりも他の通信の空き時間の方が長くなる場合もある。このため、1の実装ヘッド18に吸着された部品Eを部品撮像カメラ15によって撮像して画像データを生成した後、ロータリーヘッド13が次の部品供給位置12Aに移動する期間にその画像データを送信してもよい。
【0085】
(4)上記実施形態1では基板撮像カメラ16が第1カメラ16A及び第2カメラ16Bを備えており、それらのカメラによってステレオ撮像された画像データから部品Eの高さを計測する場合を例に説明した。しかしながら、高さを計測する方法はこれに限られない。例えば基板撮像カメラ16はカメラを1つだけ備えており、光切断法や位相シフト法などによって部品Eの高さを計測してもよい。
【0086】
(5)上記実施形態1では基板Pに部品Eが搭載されたか否かを部品Eの高さから判定する場合を例に説明したが、部品Eが搭載されたか否かを判定する方法はこれに限られない。例えば部品Eの搭載動作を行う前に部品Eの搭載位置を含む範囲を基板撮像カメラ16によって撮像して画像データを生成するとともに、搭載動作を行った後に部品Eの搭載位置を含む範囲を基板撮像カメラ16によって撮像して画像データを生成し、それらを比較することによって判定してもよい。
【0087】
(6)上記実施形態1では解析処理として基板Pに部品Eが搭載されたか否かを判定する処理を例に説明したが、解析処理はこれに限られない。例えば搭載した部品Eの位置ずれを検出する処理であってもよい。具体的には例えば、部品Eの形状データ、搭載位置座標、搭載角度などのデータを事前に制御部30から基板撮像カメラ16に送信しておいてもよい。そして、基板撮像カメラ16は画像データを解析して部品Eの形状、搭載位置、搭載角度などを認識し、受信したデータと比較することによって位置ずれを検出してもよい。
【0088】
(7)上記実施形態2では解析処理として実装ヘッド18に対する部品Eの位置や回転角度を認識する処理を例に説明したが、解析処理はこれに限られない。例えば、実装ヘッド18に部品Eが吸着されているか否かを判定する処理、画像データによって表される部品Eの形状と部品Eの形状データとを比較して部品形状の良否を判定する処理などであってもよい。
【0089】
(8)上記実施形態では撮像部として基板撮像カメラ16や部品撮像カメラ15を例に説明したが、撮像部はこれらに限られない。例えば、実装ヘッド18に吸着されている部品Eを水平方向から撮像するサイドビューカメラをロータリーヘッド13のヘッド本体部21に設け、サイドビューカメラによって撮像された画像データに基づいて部品Eの厚み(縦方向の幅)を計測する処理であってもよい。計測した厚みは、部品Eの良否判定や、実装ヘッド18を下降させて基板Pに部品Eを搭載するときの下降量の決定などに用いることができる。
【0090】
(9)上記実施形態では、基板撮像カメラ16は画像データの送信を要求されるとRAM16Dに記憶されている全ての画像データを送信する場合を例に説明した。これに対し、制御部30は1の画像データ毎に撮像部に送信を要求してもよい。そして、撮像部は制御部30から画像データの送信を要求されると1の画像データを送信してもよい。
【0091】
(10)上記実施形態では他の通信に画像データの送信時間より長い空き時間が生じたときに画像データを送信する場合を例に説明した。これに対し、他の通信の空き時間が画像データの送信時間より短いときに画像データを送信してもよい。その場合は画像データの送信中に他の通信を行う必要が生じる。画像データの送信中に他の通信を行う必要が生じた場合は画像データの送信を中断し、その後の他の通信の空き時間に画像データの送信を再開してもよい。
【0092】
(11)上記実施形態では、制御部30によって実行される記憶処理として、制御部30が撮像部から受信した画像データを表面実装機1が備える記憶部33に記憶させる場合を例に説明した。これに対し、画像データを記憶する記憶部を備える外部の装置と表面実装機1とが通信可能に接続されている場合は、記憶処理は、撮像部から受信した画像データを当該外部の装置に転送する処理であってもよい。そして、画像データを転送された外部の装置がその画像データを記憶部に記憶させてもよい。
【0093】
(12)上記実施形態では部品保持部として部品Eを吸着して保持する実装ヘッド18を例に説明したが、部品保持部は部品Eを挟んで保持する所謂チャッキングによって保持するものであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…表面実装機、10…基台、12A…部品供給位置、13…ロータリーヘッド(ヘッド部の一例)、14…ヘッド移動部(移動部の一例)、15…部品撮像カメラ(撮像部の一例)、15B…FPGA(処理部の一例)、16…基板撮像カメラ(撮像部の一例)、16C…FPGA(処理部の一例)、18…実装ヘッド(部品保持部の一例)、30…制御部、E…部品、P…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9