(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/40 20190101AFI20231207BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231207BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231207BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231207BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B60L58/40
B60L58/12
H02J7/00 P
H01M10/48 P
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2020064544
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良次
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161687(JP,A)
【文献】特開2018-019571(JP,A)
【文献】特開2016-015825(JP,A)
【文献】特開2017-103938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、
前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、
前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、
を備える移動体の制御装置であって、
前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出し、算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示装置に表示さ
せ、
第1のエネルギーを供給する第1の供給ステーションに前記移動体が到達するまでに第2のエネルギーを供給する第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かのユーザによる選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、
制御装置。
【請求項2】
前記表示装置に表示させた前記供給可能時間を前記ユーザが受け入れない指示を受け付けた場合、前記第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かの選択又は前記第2の供給ステーションで前記第2のエネルギーの供給を受ける回数の選択を再度受け付け、
前記ユーザによる再度の選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2の供給ステーションにおいて第2のエネルギーの供給を受ける供給時間又は第2のエネルギーの量を受け付け、
受け付けた前記供給時間又は前記第2のエネルギーの量と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、
請求項
1又は請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の貯蔵部に満たされた第1のエネルギーの量で前記移動体が移動できる距離は、前記第2の貯蔵部に満たされた第2のエネルギーの量で前記移動体が移動できる距離より長い、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、
前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、
前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、
を備える移動体に搭載されたコンピュータが、
前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出し、
算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示装置に表示さ
せ、
第1のエネルギーを供給する第1の供給ステーションに前記移動体が到達するまでに第2のエネルギーを供給する第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かのユーザによる選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、
制御方法。
【請求項6】
第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、
前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、
前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、
を備える移動体に搭載されたコンピュータに、
前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出させ、
算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示装置に表示さ
せ、
第1のエネルギーを供給する第1の供給ステーションに前記移動体が到達するまでに第2のエネルギーを供給する第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かのユーザによる選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池を備える四輪車及び二輪車などの移動体が普及している。移動体に蓄えられる電力及び移動体で発電される電力は、移動体が移動するときに動力源へ供給されるだけでなく、外部の電気機器へ供給されることもできる。商用電力の供給を受けることが困難な場所において、移動体を電力源として用いることによりユーザの利便性が向上する。このように移動体を電力源として利用する状況は、徐々に増えている。商用電力が供給されていない屋外、例えばキャンプ場において移動体を電力源として利用したり、災害時において商用電力の供給を受けられないときに移動体を電力源として利用したりすることが考えられる。
【0003】
移動体を電力源として利用した場合、移動体が移動できる距離が短くなる。電力源としての利用と移動距離とのバランスを図るために、一定以上の電力を動力源へ供給できる場合に電力源としての利用を許容する手法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の手法は、移動体に蓄えられた燃料で目的地までの移動が可能な場合において移動体が電力源として利用できるにすぎず、ユーザの利便性について改善の余地があった。
【0006】
前述の事情に鑑み、本発明は、外部の機器にエネルギーを供給する供給源として移動体を利用する際のユーザの利便性を改善できる制御装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る制御装置、制御方法及びプログラムは、以下の構成を採用してもよい。
(1):この発明の一態様に係る制御装置は、第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部(例えば後述する実施形態の水素タンク11)と、前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部(例えば後述する実施形態の充電式電池13)と、前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部(例えば後述する実施形態の供給部14)と、を備える移動体(例えば後述する実施形態の車両1)の制御装置(例えば後述する実施形態の制御部17)であって、前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部(例えば後述する実施形態の電動機15)へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出し、算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示装置(例えば後述する実施形態の表示部20)に表示させ、第1のエネルギーを供給する第1の供給ステーションに前記移動体が到達するまでに第2のエネルギーを供給する第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かのユーザによる選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、ものである。
【0009】
(2):上記(1)の態様において、制御装置は、前記表示装置に表示させた前記供給可能時間を前記ユーザが受け入れない指示を受け付けた場合、前記第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かの選択又は前記第2の供給ステーションで前記第2のエネルギーの供給を受ける回数の選択を再度受け付け、前記ユーザによる再度の選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、ものである。
【0010】
(3):上記(1)又は(2)の態様において、制御装置は、前記第2の供給ステーションにおいて第2のエネルギーの供給を受ける供給時間又は第2のエネルギーの量を受け付け、受け付けた前記供給時間又は前記第2のエネルギーの量と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、ものである。
【0012】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記第1の貯蔵部に満たされた第1のエネルギーの量で前記移動体が移動できる距離は、前記第2の貯蔵部に満たされた第2のエネルギーの量で前記移動体が移動できる距離より長い、ものである。
【0013】
(5):この発明の一態様に係る制御方法は、第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、を備える移動体に搭載されたコンピュータが、前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出し、算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示装置に表示させ、第1のエネルギーを供給する第1の供給ステーションに前記移動体が到達するまでに第2のエネルギーを供給する第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かのユーザによる選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、方法である。
【0014】
(6):この発明の一態様に係るプログラムは、第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、を備える移動体に搭載されたコンピュータに、前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出させ、算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示装置に表示させ、第1のエネルギーを供給する第1の供給ステーションに前記移動体が到達するまでに第2のエネルギーを供給する第2の供給ステーションで第2のエネルギーの供給を受けるか否かのユーザによる選択結果と、前記移動体を前記第1の供給ステーションへ移動させるために前記駆動部に供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる前記第2のエネルギーの量を算出する、ためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(6)によれば、部の機器にエネルギーを供給する供給源として移動体を利用する際のユーザの利便性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る車両の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態における制御部が行う制御処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図3】実施形態における制御部が行う制御処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図4】ユーザが充電ステーションに立ち寄る回数として0回を選択した場合の経路及び表示例を示す図である。
【
図5】ユーザが充電ステーションに立ち寄る回数として1回を選択した場合の経路及び表示例を示す図である。
【
図6】ユーザが充電ステーションに立ち寄る回数として2回を選択した場合の経路及び表示例を示す図である。
【
図7】変形例における制御部が行う制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る制御装置、制御方法及びプログラムの実施形態を説明する。実施形態では移動体の一態様として燃料電池自動車を例にして説明する。燃料電池自動車は、水素、炭化水素又はアルコールを燃料として用い、燃料に対する電気化学反応によって取り出された電力を電動機に供給して走行する車両である。また、実施形態では、燃料の一態様として水素を例にして説明する。
【0018】
[燃料電池自動車]
図1は、実施形態に係る車両1の構成例を示す図である。燃料電池自動車としての車両1は、水素タンク11、FC(Fuel Cell:燃料電池)スタック12、充電式電池13、供給部14、電動機15、外部接続端子16、制御部17、記憶部18、測位部19、表示部20及び入力部21を備える。
【0019】
水素タンク11は、第1のエネルギーとしての水素を蓄える。FCスタック12は、水素タンク11に蓄えられる水素と、空気中の酸素とを電気化学反応させて発電し、発電により電気エネルギー(電力)を生成する。充電式電池13は、外部又はFCスタック12から供給部14を介して供給される第2のエネルギーとしての電力を蓄える。また、充電式電池13は、蓄えた電力を供給部14へ供給する。
【0020】
供給部14は、FCスタック12及び充電式電池13のいずれか一方又は両方から供給される電力を、外部接続端子16を介して外部の機器としての負荷3に供給したり、電動機15に供給したりする。また、供給部14は、外部から供給される電力を充電式電池13に供給し、充電式電池13に電力を蓄えさせる。供給部14は、制御部17の制御に応じて、電力を供給する先を切り替える。
【0021】
駆動部としての電動機15は、供給部14から供給される電力にて車両1に備えられる車輪を駆動して、車両1が移動する動力を供給する。外部接続端子16は、車両1が外部の負荷3に電力を供給するとき、及び車両1が外部から電力の供給を受けるときに電線が接続される。
【0022】
制御装置としての制御部17は、水素タンク11、充電式電池13、記憶部18、測位部19及び入力部21から得られるデータに基づいて、供給部14を制御したり、表示部20に情報を表示させたりする。制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)などのハードウェアプロセッサと、一時記憶メモリと、記憶装置とを備える。制御部17において、ハードウェアプロセッサが、記憶装置に記憶された一つ又は複数のプログラムモジュールを実行することにより、供給部14及び表示部20の制御を行ってもよい。また、制御部17は、LSI(Large Scale Integration circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のハードウェアを用いた電子回路を用いて実現されてもよし、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。あるいは、車両1に搭載されているコンピュータが制御部17として動作してもよい。
【0023】
記憶部18は、制御部17による供給部14及び表示部20の制御で使用されるデータ、及び制御において生成されるデータを記憶する。測位部19は、車両1の位置を測定し、測定で得られた位置を制御部17に供給する。測位部19は、例えば、衛星測位システムの複数の人工衛星から発射される信号を受信し、受信した信号に基づいて車両1の位置を測定する。
【0024】
表示装置としての表示部20は、制御部17よる制御に応じて、情報を表示する。表示部20は、画像及び文字を表示して、情報をユーザに提示する。入力部21は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作を制御部17に供給する。入力部21として、タッチパネル、スイッチなどが用いられる。
【0025】
水素タンク11に満たされた水素量で車両1が移動できる距離は、充電式電池13に満たされた電力量で車両1が移動できる距離より長い。これは、充電式電池13に蓄えることができるエネルギー量よりも、水素タンク11に満たされた水素から取り出せるエネルギー量が大きいためである。また、充電ステーションで充電式電池13の充電に要する時間は、水素ステーションで水素タンク11に水素を補給するときに要する時間より長いことが多いため、充電ステーションで充電式電池13の充電回数を少なくする方がユーザにとって好ましい場合が多い。
【0026】
[制御装置(制御部17)による制御処理]
以下、制御部17が行う制御処理について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2及び
図3は、実施形態における制御部17が行う制御処理の一例を示すフローチャートである。制御処理が開始されると、制御部17は、目的地の入力を促す画像を表示部20に表示させ、入力部21が受け付けたユーザの操作で示される目的地を入力する(ステップS101)。目的地の入力を促す画面は、例えば、地図や目的地の住所又は地名を受け付ける画面などである。
【0027】
制御部17は、測位部19から車両1の現在位置を取得し、現在位置に基づいて最寄りの水素ステーションを確認する(ステップS102)。制御部17は、記憶部18に予め記憶されている水素ステーションの位置を含む地図データと車両1の現在位置とに基づいて、現在位置に最も近い水素ステーション、又は現在位置から一定距離内に位置するいずれか一つの水素ステーションを、最寄りの水素ステーションとして特定する。第1の供給ステーションとしての水素ステーションは、車両1の燃料としての水素を供給できる施設を有する。また、地図データには、第2の供給ステーションとしての充電ステーションの位置も含まれる。
【0028】
制御部17は、車両1の現在位置からステップS102で確認した最寄りの水素ステーションを経由した目的地までの経路を地図データにおいて特定し、特定した経路から一定距離に位置する一つ又は複数の充電ステーションを確認する(ステップS103)。
【0029】
制御部17は、ステップS101で入力された目的地へ移動するまで間に充電式電池13へ電力の供給を受けるために充電ステーションに立ち寄る回数をユーザに問い合わせる画面を表示部20に表示させ、入力部21が受け付けたユーザの操作で示される回数を入力する(ステップS104)。すなわち、制御部17は、充電式電池13への充電を行うために充電ステーションに立ち寄る回数を入力する。制御部17は、経由する充電ステーションの数が1以上であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0030】
ステップS104で入力された数が1以上でない場合、すなわち0回である場合(ステップS105:NO)、制御部17は、ステップS103において特定された経路と、水素タンク11に蓄えられている水素量と、充電式電池13に蓄えられている電力量とに基づいて、外部から水素及び電力の供給を受けることなく、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか否かを判定する(ステップS106)。すなわち、制御部17は、外部から水素及び電力の供給を受けることなく、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか経路が存在するか否かを判定する。制御部17は、経路を検出できた場合に、最寄りの水素ステーションへ到達できるという判定をし、経路を検出できない場合に、最寄りの水素ステーションへ到達できないという判定をする。また、車両1がある地点に到達できるか否かの判定は、同様に、消費可能な電力量に基づいた経路を検出できたか否かに応じて行われる。
【0031】
また、制御部17は、記憶部18に記憶されている、単位距離あたりの消費電力量[Wh/km]又は単位電力量あたりの移動距離[km/kWh]を用いて、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか否かを判定する。単位距離あたりの消費電力量[Wh/km]又は単位電力量あたりの移動距離[km/kWh]は、車両1の過去の走行履歴から算出されたものであってもよい。また、水素タンク11に蓄えられている水素量、及び充電式電池13に蓄えられている電力量は、例えば、水素タンク11及び充電式電池13それぞれに備えられたセンサから取得する。
【0032】
ステップS106で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できないという判定がなされた場合(ステップS107:NO)、制御部17は、ステップS104へ処理を戻し、充電式電池13への充電を行うために充電ステーションに立ち寄る回数の選択をユーザに再度問い合わせる。なお、制御部17は、ステップS104へ処理を戻す前に、直前のステップS104で入力された回数では車両1が最寄りの水素ステーションに到達できないことを示すメッセージを表示部20に表示させてもよい。
【0033】
ステップS106で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるという判定がなされた場合(ステップS107:YES)、制御部17は、ステップS103で特定した経路を表示部20に表示させる(ステップS108)。
【0034】
制御部17は、ステップS103で特定した経路に沿って車両1が移動する際に消費する電力量と、水素タンク11に蓄えられている水素量と、充電式電池13に蓄えられている電力量とに基づいて、外部の負荷3に供給可能な電力量を算出する(ステップS109)。負荷3に供給可能な電力量(E)は、水素タンク11に蓄えられている水素に対する電気化学反応によって得られる電力量(EH2)と、充電式電池13に蓄えられている電力量(EBAT)との和(EH2+EBAT)から、移動で消費される電力量(EMOV)を減算して得られる電力量である。なお、移動で消費される電力量(EMOV)のばらつきを考慮して一定の電力量(E0)と電力量(EMOV)とを和(EH2+EBAT)から減算して供給可能な電力量(E=EH2+EBAT-EMOV-E0)を算出してもよい。
【0035】
制御部17は、ステップS109で算出した、負荷3に供給可能な電力量(E)を表示部20に表示させる(ステップS110)。なお、制御部17は、電力量(E)に代えて、負荷3が一定の電力を消費する場合において電力を供給可能な時間を表示部20に表示させてもよい。あるいは、制御部17は、ユーザに負荷3として使用する電気機器を選択させ、選択された電気機器が消費する電力に応じた供給可能な時間を算出し、算出した時間を表示部20に表示させてもよい。電力量を表示されるよりも供給可能な時間が表示される方が、ユーザは負荷3の利用可能な時間を理解できるためより利便性が高くなる。
【0036】
制御部17は、ステップS110において表示部20に表示させた電力量又は供給可能な時間とともに、電力量又は供給可能な時間がユーザにとって許容できるか否かの判断を促すメッセージを表示部20に表示させ、入力部21により受け付けられるユーザの操作で示される判断結果を入力する(ステップS111)。
【0037】
ステップS110で表示された電力量又は供給可能な時間をユーザが許容できないという判断結果が入力された場合(ステップS112:NO)、制御部17は、ステップS104へ処理を戻し、充電式電池13への充電を行うために充電ステーションに立ち寄る回数の選択をユーザに再度問い合わせる。なお、制御部17は、ステップS104へ処理を戻す前に、充電ステーションに立ち寄る回数を増やすことを促すメッセージを表示部20に表示させてもよい。
【0038】
ステップS110で表示された電力量又は供給可能な時間をユーザが許容できるという判断結果が入力された場合(ステップS112:YES)、制御部17は、ステップS109で算出した電力量(E)を負荷3へ供給させる制御を供給部14に対して行い、負荷3への給電を開始させる(ステップS113)。給電の開始により、ユーザは、車両1を電力源として負荷3としての電気機器を利用できる。負荷3へ供給した電力量がステップS109で算出した電力量(E)に達するか、ユーザが給電の停止を指示すると、制御部17は、供給部14に電力の供給を終了させる(ステップS114)。
【0039】
ステップS101で入力された目的地への移動がユーザによる車両1の運転操作により開始されると(ステップS115)、制御部17は、ステップS103で特定した経路を表示部20に表示させるとともに、ステップS103で確認した一つ又は複数の充電ステーションの位置も表示部20に表示させる(ステップS116)。このような表示を表示部20に行わせることにより、水素ステーションを経由した目的地への経路をユーザに案内するとともに、経路近傍に位置する充電ステーションの位置をユーザに提示できる。
【0040】
制御部17は、最寄りの水素ステーションを経由した目的地までの経路と、測位部19から取得した車両1の現在位置と、水素タンク11に蓄えられている水素量と、充電式電池13に蓄えられている電力量とに基づいて、最寄りの水素ステーションで水素タンク11に水素を補給して、車両1が目的地に到達できるか否かを判定する(ステップS117)。制御部17は、最寄りの水素ステーションにおいて水素で水素タンク11を満たすことを前提として、車両1が目的地に到達できるか否かを判定する。あるいは、制御部17は、最寄りの水素ステーションにおいて水素タンク11に所定量に達するまで水素を補充することを前提にして、車両1が目的地に到達できるか否かを判定する。所定量は、例えば、水素タンク11の容量の半分であってもよいし、容量の80%であってもよい。
【0041】
ステップS117で車両1が目的地に到達できるという判定がなされた場合(ステップS118:YES)、制御部17は、ステップS120へ処理を進める。
【0042】
ステップS117で車両1が目的地に到達できないという判定がなされた場合(ステップS118:NO)、制御部17は、最寄りの充電ステーションまでの経路を表示部20に表示させ、最寄りの水素ステーションを経由した目的地までの経路を更新する(ステップS119)。最寄りの充電ステーションまでの経路を表示することにより、制御部17は、最寄りの充電ステーションで充電式電池13への充電をユーザに促す。なお、制御部17は、最寄りの充電ステーションまでの経路を表示部20に表示させるだけでなく、水素量及び電力量が不足していることを示すメッセージを表示部20に表示させてもよい。また、更新により得られる新たな経路は、最寄りの充電ステーションと最寄りの水素ステーションとを経由した目的地までの経路となる。
【0043】
制御部17は、ステップS119で表示部20に表示させる最寄りの充電ステーションとして、車両1の現在位置から最も近い充電ステーションを選択してもよいし、水素タンク11に蓄えられている水素量と充電式電池13に蓄えられている電力量とを用いて到達できる範囲内に位置する充電ステーションを選択してもよい。あるいは、制御部17は、水素タンク11に蓄えられている水素量と充電式電池13に蓄えられている電力量とを用いて到達できる範囲内に位置する複数の充電ステーションを表示部20に表示させ、最寄りの充電ステーションをユーザに選択させてもよい。
【0044】
制御部17は、測位部19から得られる車両1の現在位置に基づいて、車両1が目的地へ到達したか否かを判定する(ステップS120)。
【0045】
ステップS120で車両1が目的地へ到達していないという判定がなされた場合(ステップS121:NO)、制御部17は、ステップS117へ処理を戻し、車両が目的地へ到達するまでステップS117からステップS121までの動作を繰り返す。また、制御部17は、ステップS117からステップS121までの動作を一定の時間間隔で繰り返してもよいし、車両が一定距離を移動するごとに繰り返してもよい。
【0046】
ステップS120で車両1が目的地へ到達したという判定がなされた場合(ステップS121:YES)、制御部17は、制御処理を終了させる。
【0047】
ステップS104で入力された数が1以上である場合(ステップS105:YES)、制御部17は、測位部19から取得した車両1の現在位置に基づいて最寄りの充電ステーションを特定し、特定した最寄りの充電ステーションまでの経路を表示部20に表示させる(ステップS201)。制御部17は、記憶部18に予め記憶されている充電ステーションの位置を含む地図データと、車両1の現在位置とに基づいて、現在位置に最も近い充電ステーション、又は現在位置から一定距離内に位置するいずれか一つの充電ステーションを、最寄りの水素ステーションとして特定する。あるいは、制御部17は、現在位置から一定距離内の充電ステーションの位置を表示部20に表示させ、ユーザに最寄りの充電ステーションを選択させてもよい。
【0048】
制御部17は、測位部19から取得した車両1の現在位置と、記憶部18に記憶されている地図データと、水素タンク11に蓄えられている水素量と、充電式電池13に蓄えられている電力量とに基づいて、最寄りの充電ステーションで充電式電池13への充電を行った後に、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか否かを判定する(ステップS202)。制御部17は、最寄りの充電ステーションにおいて充電式電池13に所定の電力量を補給することを前提にして、車両1が最寄りの水素ステーションにできるか否かを判定する。所定の電力量として、ユーザが予め定めた充電時間で補給できる電力量を用いてもよいし、予め定められた電力量を用いてもよい。あるいは、制御部17は、充電ステーションで充電式電池13に補給する電力量、又は充電ステーションで充電式電池13に充電する供給時間を、入力部21が受け付けたユーザの操作から入力してもよい。
【0049】
ステップS202で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるという判定がなされた場合(ステップS203:YES)、制御部17は、ステップS206へ処理を進める。
【0050】
ステップS202で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できないという判定がなされた場合(ステップS203:NO)、制御部17は、ステップS104で入力された回数を上限として、充電式電池13への充電を行うために充電ステーションに立ち寄る回数を増やして、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか否かを判定する(ステップS204)。制御部17は、各充電ステーションにおいて充電式電池13に所定の電力量を補給することを前提にして、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか否かを判定する。
【0051】
ステップS204で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるという判定がなされた場合(ステップS205:YES)、制御部17は、ステップS202又はステップS204において検出された最寄りの水素ステーションまでの経路を含む目的地までの経路を検出し、充電式電池13への充電を行うために立ち寄る充電ステーション及び最寄りの水素ステーションへの経路を経由した目的地までの経路を表示部20に表示させる(ステップS206)。
【0052】
制御部17は、ステップS206において検出した経路に沿って車両1が最寄りの充電ステーションまで移動する際に消費する電力量と、水素タンク11に蓄えられている水素量と、充電式電池13に蓄えられている電力量とに基づいて、外部の負荷3に供給可能な電力量を算出する(ステップS207)。負荷3に供給可能な電力量(E’)は、水素タンク11に蓄えられている水素に対する電気化学反応によって得られる電力量(EH2)と、充電式電池13に蓄えられている電力量(EBAT)との和(EH2+EBAT)から、最寄りの充電ステーションまでの移動で消費される電力量(E’MOV)を減算して得られる電力量である。なお、ステップS109における算出と同様に、移動で消費される電力量(E’MOV)のばらつきを考慮して一定の電力量(E’0)と電力量(E’MOV)とを和(EH2+EBAT)から減算して供給可能な電力量(E’=EH2+EBAT-E’MOV-E’0)を算出してもよい。
【0053】
制御部17は、ステップS207で算出した、負荷3に供給可能な電力量(E’)を表示部20に表示させる(ステップS208)。なお、制御部17は、電力量(E’)に代えて、負荷3が一定の電力を消費する場合において電力を供給可能な時間を表示部20に表示させてもよい。あるいは、制御部17は、ユーザに負荷3として使用する電気機器を選択させ、選択された電気機器が消費する電力に応じた供給可能な時間を算出し、算出した時間を表示部20に表示させてもよい。
【0054】
制御部17は、ステップS207で算出した電力量(E’)を負荷3へ供給させる制御を供給部14に対して行い、負荷3への給電を開始させる(ステップS209)。給電の開始により、ユーザは、車両1を電力源として負荷3としての電気機器を利用できる。負荷3へ供給した電力量がステップS207で算出した電力量(E’)に達するか、ユーザが給電の停止を指示すると、制御部17は、供給部14に電力の供給を終了させる(ステップS210)。
【0055】
ステップS101で入力された目的地への移動がユーザによる車両1の運転操作により開始されると(ステップS211)、制御部17は、ステップS206において検出した経路に沿って、車両1が目的地へ到達できるか否かを判定する(ステップS212)。制御部17は、各充電ステーションにおいて充電式電池13に所定の電力量を補給すること、及び最寄りの水素ステーションにおいて水素で水素タンク11を満たすことを前提として、車両1が目的地に到達できるか否かを判定する。なお、制御部17は、最寄りの水素ステーションにおいて水素タンク11に所定量に達するまで水素を補充することを前提にして、車両1が目的地に到達できるか否かを判定してもよい。
【0056】
ステップS212で車両1が目的地に到達できるという判定がなされた場合(ステップS213:YES)、制御部17は、ステップS216へ処理を進める。
【0057】
ステップS212で車両1が目的地に到達できないという判定がなされた場合(ステップS213:NO)、制御部17は、現在の経路を、充電ステーションを経由する経路に変更する(ステップS214)。制御部17は、変更により得られた新たな経路を表示部20に表示させる(ステップS215)。制御部17は、新たな経路を表示部20に表示させるとともに、経路が変更されたことをユーザに通知するメッセージを表示部20に表示させてもよい。
【0058】
制御部17は、測位部19から得られる車両1の現在位置に基づいて、車両1が目的地へ到達したか否かを判定する(ステップS217)。
【0059】
ステップS216で車両1が目的地へ到達していないという判定がなされた場合(ステップS217:NO)、制御部17は、ステップS212へ処理を戻し、車両が目的地へ到達するまでステップS212からステップS217までの動作を繰り返す。また、制御部17は、ステップS212からステップS217までの動作を一定の時間間隔で繰り返してもよいし、車両が一定距離を移動するごとに繰り返してもよい。
【0060】
ステップS216で車両1が目的地へ到達したという判定がなされた場合(ステップS217:YES)、制御部17は、制御処理を終了させる。
【0061】
制御部17が、
図2及び
図3を参照して説明した制御処理を行うことにより、負荷3に電力を供給する電力源として車両1を利用する際に、負荷3に供給できる電力量及び供給可能な時間のいずれか一方又は両方を含む情報を表示部20に表示させる。制御部17がこのような情報を表示部20に表示させることにより、ユーザは、負荷3を利用できるか否かの判定結果だけでなく、負荷3を利用できる時間を知ることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0062】
また、制御部17が、ユーザの選択による充電ステーションに立ち寄る回数に基づいて、負荷3に供給できる電力量を算出するので、充電ステーションに立ち寄る回数と、負荷3を利用できる時間とのバランスをユーザが選択することができる。このように、ユーザの意図を反映して、負荷3に供給できる電力量が決定されるので、ユーザの利便性を更に向上させることができる。また、車両1を電力源として利用できるか否かの判定に、移動体が移動できる距離の減少に対するユーザの意図を反映することができ、ユーザの利便性を更に向上させることができる。
【0063】
また、制御部17は、車両1が目的地へ向けて移動している間も、車両1が目的地に到達するまでに必要な水素量及び電力量の残量があるか否かを判定し、水素量及び電力量の残量が不足している場合に充電ステーションでの充電をユーザに促す。制御部17がこのような動作を行うことにより、交通渋滞などにより水素及び電力の消費量が増加した場合であっても、目的地に到達できなくなることを防ぐことができる。制御部17は、車両1を電力源として利用したために目的地に到達できなくなることを防ぎ、ユーザの利便性を更に向上させることができる。
【0064】
図4、
図5及び
図6は、実施形態における充電ステーションに立ち寄る回数に応じた経路の例を示す図である。
図4は、ユーザが充電ステーションに立ち寄る回数として0回を選択した場合の経路及び表示例を示す図である。
図4に示す例では、ユーザが充電ステーションに立ち寄ることなく最寄りの水素ステーションを経由して目的地に到達することを希望している場合の経路が示されている。また、経路近傍に位置する充電ステーションの位置がユーザに提示される。
【0065】
図5は、ユーザが充電ステーションに立ち寄る回数として1回を選択した場合の経路及び表示例を示す図である。
図5に示す例では、ユーザが充電ステーションに1回立ち寄った後に最寄りの水素ステーションを経由して目的地に到達することを希望している場合の経路が示されている。
【0066】
図6は、ユーザが充電ステーションに立ち寄る回数として2回を選択した場合の経路及び表示例を示す図である。
図6に示す例では、ユーザが充電ステーションに1回又は2回立ち寄った後に最寄りの水素ステーションを経由して目的地に到達することを希望している場合の経路が示されている。充電ステーションに1回立ち寄った後に水素ステーションを経由して目的地に到達する経路Aと、充電ステーションに2回立ち寄った後に水素ステーションを経由して目的地に到達する経路Bとが示されている。このように複数の経路を取り得る場合、制御部17は、充電ステーションに立ち寄る回数が少なくなる経路を優先して選択してもよいし、複数の経路をユーザ提示してユーザに選択させてもよい。
【0067】
[変形例]
上述した制御処理では、制御部17が、ユーザにより選択された充電ステーションに立ち寄る回数、すなわちユーザが許容できる充電回数に基づいて、負荷3へ供給できる電力量を算出する。しかし、制御部17は、充電回数以外の他の制約に基づいた制御処理を行ってもよい。例えば、制御部17は、車両1を電力源として負荷3へ電力を供給する時間(以下、「給電予定時間」という。)に基づいて制御処理を行ってもよい。
【0068】
図7は、変形例における制御部17が行う制御処理の一例を示すフローチャートである。制御処理が開始されると、制御部17は、給電予定時間の入力を促すメッセージを表示部20に表示させ、入力部21が受け付けたユーザの操作で示される給電予定時間を入力する(ステップS301)。なお、制御部17は、ユーザが負荷3として利用する電気機器の単位時間あたりの消費電力[kWh]を選択させてもよい。
【0069】
制御部17は、目的地の入力を促す画像を表示部20に表示させ、入力部21が受け付けたユーザの操作で示される目的地を入力する(ステップS302)。
【0070】
制御部17は、測位部19から取得する車両1の現在位置と、記憶部18に記憶されている地図データと、水素タンク11に蓄えられている水素量と、充電式電池13に蓄えられている電力量と、負荷3に供給する電力量とに基づいて、充電ステーションに立ち寄ることなく車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、制御部17は、水素タンク11に蓄えられている水素に対する電気化学反応によって得られる電力量(EH2)と、充電式電池13に蓄えられている電力量(EBAT)との和(EH2+EBAT)が、移動で消費される電力量(EMOV)と負荷3に供給する電力量(E)との和(EMOV+E)より大きいか否かを判定する。電力量(EH2+EBAT)が電力量(EMOV+E)より大きい場合、制御部17は、車両1が最寄りの水素ステーションに到達できると判定する。なお、制御部17は、ステップS301で入力した給電予定時間に所定の消費電力を乗算して得られた乗算結果、又はステップS301で入力した給電予定時間にユーザが選択した消費電力を乗算して得られた乗算結果を、負荷3に供給する電力量として用いてもよい。
【0071】
ステップS303で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できるという判定がなされた場合(ステップS304:YES)、制御部17は、最寄りの水素ステーションを経由した目的地までの経路を検出し、検出した経路を表示部20に表示させる(ステップS305)。そして、制御部17は、ステップS209へ処理を進める。
【0072】
ステップS303で車両1が最寄りの水素ステーションに到達できないという判定がなされた場合(ステップS305:NO)、制御部17は、記憶部18に記憶されている地図データと車両1の現在位置とに基づいて、充電ステーションに立ち寄った後に最寄りの水素ステーションを経由した目的地までの経路を検出し、検出した経路を表示部20に表示させる(ステップS306)。制御部17は、経路の検出において、充電ステーションにおいて充電式電池13に所定の電力量を補給することを前提にした経路の探索を行う。
【0073】
制御部17は、表示部20に表示した経路がユーザにとって許容できるか否かの判断を促すメッセージを表示部20に表示させ、入力部21により受け付けられるユーザの操作で示される判断結果を入力する(ステップS307)。
【0074】
ステップS306で表示された経路をユーザが許容できないという判断結果が入力された場合(ステップS308:NO)、制御部17は、ステップS301へ処理を戻し、ユーザに給電予定時間の再度の入力を促す。なお、制御部17は、ステップS301へ処理を戻す前に、給電予定時間を短くすることを促すメッセージを表示部20に表示させてもよい。
【0075】
ステップS306で表示された経路をユーザが許容できるという判断結果が入力された場合(ステップS308:YES)、制御部17は、ステップS209へ処理を進める。ステップS209以降における制御部17の動作は、
図3を参照して説明したステップS209からステップS217までの各動作と同じであるので、重複した説明を省略する。
【0076】
図7に例示した制御処理を制御部17が行うことにより、車両1を電力源とすることでユーザが負荷3を利用する給電予定時間を優先して、目的地までの経路を選択することができる。このような制御処理より、ユーザの意図を反映した車両1の利用が可能となり、ユーザの利便性を更に向上させることができる。
【0077】
上述した実施形態は、以下のように表現することができる。
第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、
前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、
前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、
を備える移動体の制御装置であって、
プログラムモジュールを記憶した記憶装置又はメモリと、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが、前記プログラムモジュールを実行したときに、
前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる第2のエネルギーの量を算出し、
算出した前記第2のエネルギーの量に応じた供給可能時間を表示部に表示させる、
ように構成されている制御装置。
【0078】
また、上述した実施形態は、以下のように表現することもできる。
第1のエネルギーを蓄える第1の貯蔵部と、
前記第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーを蓄える第2の貯蔵部と、
前記第1の貯蔵部に蓄えられる第1のエネルギーを変換して得られる第2のエネルギーと、前記第2の貯蔵部に蓄えられる第2のエネルギーとのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、
を備える移動体の制御装置であって、
プログラムモジュールを記憶した記憶装置又はメモリと、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが、前記プログラムモジュールを実行したときに、
前記供給部から前記外部の機器へ第2のエネルギーを供給する給電予定時間を受け付け、
前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される第2のエネルギーの量と、前記第1の貯蔵部が蓄える第1のエネルギーの量と、前記第2の貯蔵部が蓄える第2のエネルギーの量と、前記給電予定時間から算出される前記外部の機器へ供給される第2のエネルギーの量とに基づいて、前記目的地までの経路を検出し、
検出した前記経路を表示装置に表示させる、
ように構成されている制御装置。
【0079】
また、上述した実施形態は、以下のように表現することもできる。
燃料を蓄える燃料タンクと、
電力を蓄える充電式電池と、
前記燃料タンクに蓄えられる燃料を変換して得られる電力と、前記充電式電池に蓄えられる電力とのいずれか一方又は両方を外部の機器へ供給する供給部と、
を備える移動体の制御装置であって、
前記移動体を目的地へ移動させるために駆動部へ前記供給部を介して供給される電力量と、前記燃料タンクが蓄える燃料の量と、前記充電式電池が蓄える電力量とに基づいて、前記供給部から前記外部の機器へ供給できる電力量を算出し、算出した前記電力量に応じた供給可能時間を表示装置に表示させる、
制御装置。
【0080】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、車両1が燃料電池自動車である例について説明したが、FCスタック12に代えて内燃機関を組み合わせた発電機を備える自動車を車両1として用いてもよい。この場合、車両1は、水素以外の燃料、例えばガソリン又は軽油を蓄える燃料タンク(第1の貯蔵部)を水素タンク11の代わりに備える。
【符号の説明】
【0081】
1…車両(移動体)、3…負荷(外部の機器)、11…水素タンク(第1の貯蔵部)、12…FCスタック、13…充電式電池(第2の貯蔵部)、14…供給部、15…電動機(駆動部)、16…外部接続端子、17…制御部(制御装置)、18…記憶部、19…測位部、20…表示部(表示装置)