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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/00 20060101AFI20231207BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E05B1/00 311M
E05B1/00 311H
E05C3/04 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020157438
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051132
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】久次米 稔之
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-028114(JP,A)
【文献】特開平11-324459(JP,A)
【文献】特開平08-068247(JP,A)
【文献】特開2000-073638(JP,A)
【文献】特開2012-031634(JP,A)
【文献】特開2005-223299(JP,A)
【文献】特開2007-070826(JP,A)
【文献】特開2002-081233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具に固定される台座と、
前記台座に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって前記建具を施解錠可能な操作部と、
前記台座全体を覆うカバー部材と、を有する開閉装置であって、
前記カバー部材は、第1カバー部材と、第2カバー部材と、からなり、
前記第1カバー部材及び第2カバー部材は、それぞれ接合面において互いに突き合わされ、前記カバー部材を正面視からみて、前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材との継ぎ目が正面を除く面に形成され、前記台座全体を内部に収容する開閉装置。
【請求項2】
前記第1カバー部材は、前記台座に取り付けられた状態で、前記台座と係合して前記台座を支持する凸部を有し、
前記カバー部材を正面視からみて、前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材との継ぎ目が前記建具が備える枠側に形成される、
請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の前記接合面はともに、前記台座を覆う側に向けて45°下り傾斜する、請求項1または2に記載の開閉装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の開閉装置の製造方法であって、
前記第1カバー部材をスライド取付によって前記台座に取り付けるスライド取付工程を有する、開閉装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓や戸等の建具に固定された台座部分を介したハンドルの回転操作により、建具の施錠および解錠が可能な、カムラッチハンドルを備える建具が使用されている。カムラッチハンドルは、台座部分が建具にビス等によって固定される構成が一般的である(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のカムラッチハンドルは、ビスの露出を防ぎ意匠性を向上させるため、台座本体とは別にビス部分を覆う2つのビスカバーを有する。
【0003】
カムラッチハンドルは大きな操作ハンドル部分を有し、開閉時に台座に比較的大きな荷重を載荷するため、台座本体部分は高い強度を有することが求められる。ビスカバー部分は、直接荷重が載荷されにくいため強度はそれほど求められない一方で、露等の水分による変形を防止するよう、耐水性を有することが好ましい。そのため、強度が必要な台座本体とビスカバーには別の材質が使用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-73638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカムラッチハンドルは、台座本体とビスカバーの継ぎ目が正面から視認できてしまう。また、台座本体とビスカバーに別の材質が使用されると、経年劣化によって各材質が変色した場合に、色の違いが目立ちやすく、意匠性を損ねやすい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建具に固定される台座と、前記台座に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって前記建具を施解錠可能な操作部と、前記台座全体を覆うカバー部材と、を有する開閉装置であって、前記カバー部材は、第1カバー部材と、第2カバー部材と、からなり、前記第1カバー部材及び第2カバー部材は、前記台座全体を内部に収容することを特徴とする開閉装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】第1実施形態に係る建具に取り付けられた開閉装置を示す図である。
図1B】解錠時の建具を示す図である。
図2】第1実施形態に係る開閉装置の正面図である。
図3A】第1実施形態に係る第1カバー部材の外面斜視図である。
図3B】第1実施形態に係る第1カバー部材の内面斜視図である。
図4】第1実施形態に係る第2カバー部材の斜視図である。
図5】第1実施形態に係る裏板部材と第2カバー部材を組み付けたものの裏面視図である。
図6】第1実施形態に係る第1カバー部材の取付前の台座を示す図である。
図7】第1実施形態に係る第1カバー部材のスライド取付を示す図である。
図8】第1実施形態に係る第1カバー部材組付後の台座の側面視図である。
図9】第1実施形態に係るストッパーの裏面視図である。
図10A】第2実施形態に係る第1カバー部材の外面斜視図である。
図10B】第2実施形態に係る第1カバー部材の内面斜視図である。
図11】第2実施形態に係る第1カバー部材の取付前の台座を示す図である。
図12】第2実施形態に係る第1カバー部材のスライド取付を示す図である。
図13】第2実施形態に係る第1カバー部材組付後の台座の側面視図である。
図14】第3実施形態に係るストッパーの裏面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1Aおよび図1Bに示すように、本実施形態の開閉装置2は建具1および建具枠3に取り付けられ、建具1を施解錠可能に構成される。建具1は例えば窓や戸であり、建具枠3は例えば窓枠や戸枠で構成される。開閉装置2の台座カバー21、台座22および操作部23は建具1に、ラッチ受け24は建具枠3に固定される。開閉装置2は、上述した台座カバー21、台座22、操作部23、ラッチ受け24の他に、台座22と操作部23を連結する連結部6を有している。
【0009】
操作部23は、操作ハンドル23aと、ラッチ受け24と係合して建具1を施錠するラッチ23bと、操作ハンドル23aとラッチ23bの中間に位置するとともに後述する回転軸部61に連結される中間部23cと、を有する。操作部23は、図1に示す状態から回転軸部61を軸に90°回転操作可能である。操作ハンドル23aは、施解錠操作を行うだけでなく、建具1を開閉するためのノブとしても使用される。
【0010】
図2の操作部23は、図1に示す状態から90°回転した状態である。操作部23は、建具1の施解錠操作や開閉操作に伴って荷重が繰り返し印加されるため、高い強度を有することが好ましい。操作部23は例えば、ガラス繊維を含んだナイロンによって構成されることが好ましい。
【0011】
本実施形態において建具1は外開きの障子であり、建具枠3よりも内側には侵入しない。建具1は外開きに構成されてもよいし、内開きに構成されてもよい。障子を閉めた状態で操作部23を図1に示す回転角度とすることで、ラッチ23bがラッチ受け24に挿入され、係合して建具1を外に開かないよう施錠する。ラッチ受け24は建具枠3に埋め込まれて取り付けられ、ラッチ23bが挿入される凹部を有する。
【0012】
ラッチ23bまたはラッチ受け24は、それぞれが対向する面同士の少なくとも一方に傾斜部分を有する。操作部23の回転動作とともにラッチ23bが傾斜部分を介してラッチ受け24に乗り上げ、ラッチ23bとラッチ受け24が係合することで建具1が施錠される。反対に、施錠状態から操作部23を回転させることで、ラッチ23bとラッチ受け24の係合が外れ、建具1は解錠される。
【0013】
台座カバー21は、第1カバー部材4と、第2カバー部材7と、から構成される。図3Aおよび図3Bに示すように、第1カバー部材4は略直方体の四面を構成する形状を有し、内部に台座22全体を収容可能である。図4から図6に示す第2カバー部材7は、略矩形板状に形成され、端部が第1カバー部材4と突き合わされるとともに、前記略直方体の一面を構成する。台座カバー21は、操作部23と同じ材質で構成されることが好ましい。色調が統一され、意匠性が向上するためである。
【0014】
すなわち台座カバー21は、第1カバー部材4と第2カバー部材7を合わせて前記略直方体の五面で、一面が建具1に固定された台座22全体を覆うように構成される。これにより、台座22はユーザに視認されることがなく、さらに図2に示すように建具1の正面視において台座カバー21は継ぎ目を有せず、単一の部品のみが視認されるため意匠性が向上する。建具1の正面視とは、操作部23を有する方向から建具1を見ることを表す。
【0015】
図3Aおよび図3Bに示すように第1カバー部材4は、凹部41と、接合面42と、凸部43と、第1係合部44と、ガイド凸部45と、第2係合部46と、を有する。第1カバー部材4は、台座22に着脱可能に取り付けられる。例えば複数種類の異なるデザインや表面仕上げを有するものが作成され、その中からユーザの趣向に応じて選択して使用されてもよい。
【0016】
図6に示すように台座22は、建具1にビス留め固定される金属製の裏板部材5で構成される。裏板部材5は、孔部51を介してビス留めされることで、建具1に固定される。また台座22は、2つの孔部51の間に介在してストッパー64等のストッパー機構を内部に収容する曲げ部53と、孔部51と曲げ部53の間に介在する凹部52を有する。
【0017】
凹部41には、第1カバー部材4を台座22に取り付けた状態で、連結部6の回転軸部61が挿入される。接合面42は、第2カバー部材7の接合面71と突き合わされる部分である。凸部43は、後出の図9に示すように、裏板部材5の曲げ部53の下端を支持するように取り付けられる。これにより、第1カバー部材4を取り付ける際の位置合わせが容易になるとともに、凸部43と曲げ部53が係合して、第1カバー部材4の浮き上がりを防止する。凸部43は、図5に示す裏板部材5の凹部52に挿入されて組み付けられる形状に構成されてもよい。
【0018】
第1カバー部材4の第1係合部44および第2係合部46は、後述する第2カバー部材7の第1係合部72および第2係合部75とそれぞれ係合して、2つのカバー部材4,7を一体化する。さらにガイド凸部45は、第2カバー部材7のガイド凹部73と嵌合して、両カバー部材4,7の熱伸び、収縮や衝撃に起因する位置ずれを防止する。
【0019】
連結部6は、回転軸部61と、後述のストッパー64とともに裏板部材5にカシメ固定され、回転軸部61を支持する軸首部62と、操作部23が取り付けられるハンドル取付部63と、裏板部材5の裏面に配置され、操作部23の回転角度を制限するストッパー64(不図示)と、第1カバー部材4が取り付けられた状態で凹部41の周縁部分が挿入される溝部65を有して構成される。
【0020】
第2カバー部材7は、略矩形板状に形成され、第1カバー部材4の先端の接合面42に突き合わされるとともに、第1カバー部材4とともに台座22全体を覆う部材である。第2カバー部材7は、第1カバー部材と同じ材質で構成されることが好ましい。部材が経年劣化しても色調が統一され、意匠性が向上するためである。
【0021】
第2カバー部材7は、裏板部材5や連結部6とは独立して構成されていてもよいし、一体に形成されていてもよい。例えば本実施形態の第2カバー部材7は、図8に示すように連結部6の軸首部62と一体に形成されており、裏板部材5には台座係合凸部74を介して組み付けられる。これにより、第2カバー部材7および軸首部62は裏板部材5に容易に取り付けが可能である。一体に形成された第2カバー部材7および軸首部62は裏板部材5に取り付けられたのち、軸首部62中央の軸孔部に回転軸部61が挿入されて固定される。さらに第1カバー部材4は、裏板部材5に取り付け済みの第2カバー部材7にスライド取付によって容易に取り付けが可能である。2つのカバー部材4,7は各々が裏板部材5に取り付けられるだけでなく、2つのカバー部材4,7同士も組み付けられており、より安定に取り付けられる。
【0022】
第2カバー部材7は接合面71において、第1カバー部材4の先端の接合面42と突き合わされる。第2カバー部材7の接合面71は直方体板の3辺に形成され、第1カバー部材4の接合面42は第2カバー部材7の接合面71に対応して、接合面42が勝ち側となるように形成される。2つのカバー部材4,7は第1係合部44,72および第2係合部46,75で係合することによって接合され、接合面42,71が突き合わされる。これにより、2つのカバー部材4,7の継ぎ目が側面に形成される。そのため、カバー部材4,7は正面から継ぎ目が視認されにくく、意匠性が向上する。
【0023】
第1カバー部材4は、図7に矢印で示す方向にスライドすることで台座22に着脱可能に取り付けられる。スライド取付が可能なことにより、製造時にカバー取り付け工程の自動化が容易に行える。第1係合部44および第2係合部46は、第2カバー部材7の第1係合部72および第2係合部75とそれぞれ係合して、2つのカバー部材4,7を一体化する。
【0024】
図8は、台座カバー21を第2カバー部材7側から見た側面視図である。第2カバー部材7の紙面奥側に、裏板部材5や、スライド取付により接合された第1カバー部材4が配置される。第1カバー部材4と第2カバー部材7の継ぎ目は、第2カバー部材7側にあり、建具1の正面視において視認されない。
【0025】
第1カバー部材4と第2カバー部材7を組み付けた状態において、凸部43は、図9に示すように裏板部材5の曲げ部53の下端と係合して支持する。図6に示すように、裏板部材5の曲げ部53は建具1にビス留めされる孔部51周辺部分よりも下端が高く構成される。すなわち、第1カバー部材4の凸部43は、建具1と曲げ部53の下端の間に挿入される。これにより、建具1の開閉操作に伴って載荷される荷重に対して裏板部材5を支持し、裏板部材5の変形を防止することができる。
【0026】
第1カバー部材4の凹部41周縁部は、軸首部62と裏板部材5との間に形成される溝部65に挿入されて固定される。これにより、第1カバー部材4は軸首部62と裏板部材5とに挟まれて上下方向に拘束されるため、取付の際に外れにくくなる。第1カバー部材4の上面には軸首部62によって下方に押さえつけられる力が加わるため、第2係合部46,75は安定に係合することができる。第2係合部46,75を係合させる際には、第1カバー部材4を前述の力に逆らうように曲げながら係合させることが好ましい。
【0027】
第2カバー部材7は、第1カバー部材との接合部付近において凹部76を有する。これにより、凹部76に例えばマイナスドライバー等を差し込んで力を加えることで、第1係合部44,72および第2係合部46,75における係合が外れ、両カバー部材4,7の着脱が容易に行える。
【0028】
第1カバー部材4と第2カバー部材7を組み付けた状態において、凸部43は、図9に示すように裏板部材5の曲げ部53の下端と係合して支持する。図6に示すように、裏板部材5の曲げ部53は建具1にビス留めされる孔部51周辺部分よりも下端が高く構成される。すなわち、第1カバー部材4の凸部43は、建具1と曲げ部53の下端の間に挿入される。これにより、建具1の開閉操作に伴って載荷される荷重に対して裏板部材5を支持し、裏板部材5の変形を防止することができるとともに、第1カバー部材4の浮き上がりを防止する。
【0029】
(開閉装置の組立方法)
次に、開閉装置2の組み立て方法について説明する。先ず、裏板部材5の凹部52に第2カバー部材7の台座係合凸部74を挿入するようにして係合させ、図7に示すように裏板部材5に第2カバー部材7を取り付ける。この時、裏板部材5および第2カバー部材7は、回転軸部61が挿入される軸孔の位置が一致するように構成される。
【0030】
次いで、回転軸部61の一端にハンドル取付部63をカシメ固定して両者を結合し、インサート成形によって操作ハンドル23aをハンドル取付部63に取り付ける。これにより、操作ハンドル23aと回転軸部61が一体化する。
【0031】
次いで、一端に操作ハンドル23aが取り付けられた回転軸部61を裏板部材5および第2カバー部材7の軸孔に挿入し、裏板部材5の裏面からストッパー64を回転軸部61の他端にカシメ固定する。
【0032】
最後に、建具1に裏板部材5をビス留めによって固定して台座22を形成し、第1カバー部材4をスライド取付によって台座22に取り付けることで、台座22全体が台座カバー21によって覆われる。これにより、開閉装置2が組み立てられる。
【0033】
以上、本実施形態の開閉装置2について説明した。開閉装置2によれば、以下の効果が奏される。
【0034】
本実施形態の開閉装置2は、建具1に固定される台座22と、台座22に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって建具1を施解錠可能な操作部23と、台座22全体を覆う台座カバー21と、を有する開閉装置2であって、台座カバー21は、第1カバー部材4と、第2カバー部材7と、からなり、第1カバー部材4及び第2カバー部材7は、台座22全体を内部に収容することを特徴とする。これにより、台座22はユーザに視認されることがなく、さらに建具1の正面視において台座カバー21は継ぎ目を有せず、単一の部品のみが視認されるため意匠性が向上する。
【0035】
第1カバー部材4は、前記台座に取り付けられた状態で、前記台座と係合して前記台座を支持する凸部を有する。これにより、第1カバー部材4を取り付ける際の位置合わせが容易になるとともに、裏板部材5の変形を防止することができる。
【0036】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態の開閉装置102(全体像不図示)は、第1実施形態の開閉装置2と比較して、第1カバー部材および第2カバー部材の接合面の形状が異なり、その他の構成は開閉装置2と同一である。
【0037】
第2実施形態に係る第1カバー部材104と第2カバー部材107は、図10および図11に示すように、互いに接合面が台座22を覆う側に向けて45°下り傾斜する傾斜面で構成される。すなわち、2つのカバー部材104,107は直角に突き合わされるとともに、継ぎ目が直角の頂点部分に形成される。そのため、カバー部材104,107は正面および側面のいずれの方向からも継ぎ目が視認されにくく、意匠性が向上する。
【0038】
第1カバー部材104は、図12に矢印で示す方向にスライドすることで台座22に着脱可能に取り付けられる。スライド取付が可能なことにより、製造時に組立の自動化が容易に行える。第1カバー部材104の第1係合部144は、第2カバー部材107の第1係合部172と係合して、2つのカバー部材104,107を一体化する。
【0039】
図13は、カバー部材121を第2カバー部材107側から見た側面視図である。第2カバー部材107の紙面奥側に、裏板部材5や、スライド取付により突き合わされた第1カバー部材104が配置される。第1カバー部材4と第2カバー部材7の継ぎ目は直角の頂点部分にあり、建具101の正面視のみならず側面視においても視認されない。
【0040】
2つのカバー部材4,7の傾斜面の傾斜角は、合計して90°であれば継ぎ目を角部に形成することができる。さらに両傾斜面の傾斜角は、同一の45°同士であることが好ましい。両部材の厚さを同一とすることができるためである。
【0041】
以上、本実施形態の開閉装置2について説明した。開閉装置2によれば、以下の効果が奏される。
【0042】
本実施形態の開閉装置102において、第1カバー部材104及び第2カバー部材107はそれぞれ、接合面142,171において互いに突き合わされ、第1カバー部材104及び第2カバー部材107の接合面142,171はともに、台座22を覆う側に向けて45°下り傾斜する傾斜面である。これにより、2つのカバー部材104,107は直角に突き合わされるとともに、継ぎ目が前記直角の頂点に形成される。そのため、カバー部材104,107は正面および側面のいずれの方向からも継ぎ目が視認されにくく、意匠性が向上する。
【0043】
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係る開閉装置202(全体像不図示)は、第1実施形態の開閉装置2と比較して、裏板部材205とストッパー264の構造に特徴を有する。
【0044】
図14は裏板部材205の裏面視図である。ストッパー264は、裏板部材205の裏面に配置されて、図14において紙面奥に延びる連結部206の回転軸部261と連結する板状の部材である。回転軸部261は両先端断面が矩形状であり、操作部23の中間部23cおよびストッパー264がともに有する矩形状の孔部に、それぞれ回転軸部261の矩形状の先端部分が挿入されて操作部23と台座222とが嵌合して連結される。ストッパー264は裏板部材205の側壁部253と接する平面部265と、側壁部253に接触しない曲面部266を有する。
【0045】
ストッパー264の作用について説明する。操作部23に回転方向の力が加えられると、矩形状の孔部で嵌合して連結する回転軸部261と噛み合い、回転軸部261に回転方向の力が伝えられる。同様に、回転軸部261からストッパー264に、回転方向の力が伝えられる。裏板部材205の側壁部253と接しているストッパー264は、回転方向によって平面部265が側壁部253から抵抗を受け、それ以上回転できなくなる。すなわち、ストッパー264が回転できない方向には、操作部23を回転させることができない。
【0046】
曲面部266は側壁部253に接触しないため、平面部265が側壁部253に接触しない限り、ストッパー264は回転が可能である。図14の状態では、回転軸部261の右上において、平面部265が側壁部253に接触しているため、ストッパー264は左回り方向に回転できない。反対に、ストッパー264は右回り方向には90°まで回転できる。ストッパー264が90°回転した場合には、回転軸部61の左上にて平面部265が側壁部253に接触することになる。すなわち、図14に示す構成のストッパー264を有する開閉装置202において、操作部23の回転可能な角度範囲は90°以内である。
【0047】
ここで、ユーザが操作部23を回転操作する際には、それ以上回転できなくなることを確認するまで回転操作を行うことが想定されるため、ストッパー264の平面部265には、操作部23の操作に伴って繰り返し荷重がかかることになる。裏板部材205やストッパー264の変形や破損を防ぐためには、十分な耐久性を有することが必要であると考えられる。昨今では断熱性の観点から金属製の框を小さく設計することもあり、併せて台座222を小型化することが求められているため、耐久性の向上も求められる。
【0048】
ストッパー264は、耐久性の観点から金属製であることが好ましい。さらに、荷重がかかる平面部265は、大きな面積を有することが好ましい。平面部265の面積が小さければ裏板部材205との側壁部253との接触面積が小さくなり、平面部265に高い圧力が印加されることになるため、変形が発生しやすいためである。
【0049】
本実施形態の裏板部材205の側壁部253は、図14に示すように一部に凹部254を有する。さらにストッパー264は、円盤の外周に2つの平面部265で形成される直角部分をそれぞれ有する2つの突起を有している。これにより、台座222の幅が小さい場合でもストッパー264を大きく形成して配置でき、孔部および回転軸部261の先端部分の径を大きく形成できるとともに、板厚を厚く形成することができ平面部265の面積が増大する。
【0050】
本実施形態の開閉装置は上記の態様に限定されない。例えば、上記実施形態のようなカムラッチハンドルではなく、グレモン錠やクレセント錠に適用されてもよい。また本開示の開閉装置は、例えば勝手口ドアやテラスドアなど、様々な建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,101,201…建具、2,102,202…開閉装置、21,121…台座カバー、22,222…台座、23…操作部、23a…操作ハンドル、23b…ラッチ、23c…中間部、24…ラッチ受け、3…建具枠、4,104…第1カバー部材、41,141…凹部、42,142…接合面、43,143…凸部、44,144…第1係合部(第1カバー部材)、45…ガイド凸部、46…第2係合部(第1カバー部材)、5,205…裏板、51,251…孔部、52…凹部、53…曲げ部、253…側壁部、254…凹部、6,206…連結部、61,261…回転軸部、62,262…軸首部、63,263…ハンドル取付部、64,264…ストッパー、65…溝部、265…平面部、266…曲面部、7,107…第2カバー部材、71,171…接合面、72,172…第1係合部(第2カバー部材)、73…ガイド凹部、74…台座係合凸部、75…第2係合部(第2カバー部材)、76…凹部
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
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図9
図10A
図10B
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図14