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特許7398353トラッキング情報分析システム、サーバ装置、トラッキング情報分析方法およびトラッキング情報分析プログラム
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  • 特許-トラッキング情報分析システム、サーバ装置、トラッキング情報分析方法およびトラッキング情報分析プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】トラッキング情報分析システム、サーバ装置、トラッキング情報分析方法およびトラッキング情報分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231207BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020163452
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055810
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397038266
【氏名又は名称】株式会社スカイコム
(74)【代理人】
【識別番号】100131853
【弁理士】
【氏名又は名称】澤邉 由美子
(72)【発明者】
【氏名】浅野 卓郎
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049420(JP,A)
【文献】特開2020-024573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDFファイルを閲覧する情報端末装置と、前記情報端末装置とネットワークを介して接続するサーバ装置と、を備えるトラッキング情報分析システムにおいて、
前記情報端末装置は、
前記PDFファイルを識別するリソースIDを前記サーバ装置に送信する第1送信手段、を備え、
前記サーバ装置は、
前記リソースIDに対応付けられた、前記PDFファイルにおける指定エリアと、前記指定エリアそれぞれを識別する指定エリアIDと、を記述するPDFファイルを記憶するPDFファイル記憶手段と、
前記PDFファイルを表示した画面に対する操作を示すトラッキング情報を記憶するトラッキング情報記憶手段と、
前記リソースIDを前記情報端末装置から受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段によって受信した前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得するPDFファイル取得手段と、
前記PDFファイル取得手段によって取得する前記PDFファイルを前記情報端末装置に送信する第2送信手段と、
前記情報端末装置は、
前記サーバ装置から送信された前記PDFファイルを表示する表示手段と、
前記PDFファイルを表示した画面に対する操作からトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成手段と、を備え、
前記第1送信手段が、前記トラッキング情報生成手段によって生成した前記トラッキング情報を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、
前記第1受信手段が、前記トラッキング情報を前記情報端末装置から受信し、
前記第1受信手段によって受信した前記トラッキング情報および前記PDFファイルに記述する前記指定エリアから、前記指定エリアごとの累積時間を算出する累積時間算出手段と、
前記PDFファイルの前記指定エリアごとの累積時間に基づいた、前記指定エリアに対するユーザの注目または確認の度合いを示す分析結果を生成する分析結果生成手段と、を備えることを特徴とするトラッキング情報分析システム。
【請求項2】
PDFファイルを表示する情報端末装置とネットワークを介して接続するサーバ装置において、
前記PDFファイルを識別するリソースIDに対応付けられた、前記PDFファイルにおける指定エリアと、前記指定エリアそれぞれを識別する指定エリアIDと、を記述するPDFファイルを記憶するPDFファイル記憶手段と、
前記PDFファイルを表示した画面に対する操作を示すトラッキング情報を記憶するトラッキング情報記憶手段と、
前記トラッキング情報記憶手段に記憶する前記トラッキング情報および前記PDFファイルに記述する前記指定エリアから、前記指定エリアごとの累積時間を算出する累積時間算出手段と、
前記PDFファイルの前記指定エリアごとの累積時間に基づいた、前記指定エリアに対するユーザの注目または確認の度合いを示す分析結果を生成する分析結果生成手段と、を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
前記分析結果生成手段は、前記指定エリアごとの前記累積時間の多少をヒートマップで示す分析結果を生成すること、を特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記PDFファイルは、前記指定エリアに対応付けたキーワードを記述し、
前記分析結果生成手段は、前記指定エリアごとの前記累積時間の多い順に、または、少ない順に、前記指定エリアに対応付けた前記キーワードを示す分析結果を生成すること、を特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記PDFファイルは、前記指定エリアに対応付けた所定の基準を記述し、
前記分析結果生成手段は、前記指定エリアごとの累積時間が、前記所定の基準を満たすか否かを示す分析結果を生成すること、を特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記リソースIDを前記情報端末装置から受信する受信手段と、
前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得するPDFファイル取得手段と、
前記PDFファイル取得手段によって取得した前記PDFファイルを前記情報端末装置に送信する送信手段と、を備え、
前記受信手段は、前記トラッキング情報を前記情報端末装置から受信し、受信した前記トラッキング情報を、前記リソースIDごとにトラッキング情報記憶手段に格納すること、を特徴とする請求項2~5のいずれか1つに記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記受信手段によって前記リソースIDを前記情報端末装置から受信した場合に、前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得し、取得した前記PDFファイルを前記情報端末装置と異なる他の情報端末装置に送信し、前記受信手段によって前記トラッキング情報を前記情報端末装置から受信した場合に、前記トラッキング情報を前記他の情報端末装置に送信すること、を特徴とする請求項6に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記リソースIDと、前記指定エリアと、前記指定エリアIDと、を前記情報端末装置から受信する受信手段と、
前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得するPDFファイル取得手段と、
前記PDFファイル取得手段によって取得した前記PDFファイルに、前記指定エリアと、前記指定エリアIDとを追記するPDFファイル追記手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項9】
PDFファイルを識別するリソースIDに対応付けられた、前記PDFファイルにおける指定エリアと、前記指定エリアそれぞれを識別する指定エリアIDと、を記述するPDFファイルを記憶するPDFファイル記憶手段と、前記PDFファイルを表示した画面に対する操作を示すトラッキング情報を記憶するトラッキング情報記憶手段と、を備えるコンピュータで実行するトラッキング情報分析方法であって、
前記コンピュータが、
前記トラッキング情報記憶手段に記憶する前記トラッキング情報および前記PDFファイルに記述する前記指定エリアから、前記指定エリアごとの累積時間を算出する累積時間算出ステップと、
前記PDFファイルの前記指定エリアごとの累積時間に基づいた、前記指定エリアに対するユーザの注目または確認の度合いを示す分析結果を生成する分析結果生成ステップと、
を含むことを特徴とするトラッキング情報分析方法。
【請求項10】
前記コンピュータが、
前記リソースIDを情報端末装置から受信する受信ステップと、
前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得するPDFファイル取得ステップと、
前記PDFファイル取得ステップによって取得した前記PDFファイルを送信する送信ステップと、を含み、
前記受信ステップは、前記トラッキング情報を受信し、受信した前記トラッキング情報を、前記リソースIDごとにトラッキング情報記憶手段に格納すること、を特徴とする請求項9に記載のトラッキング情報分析方法。
【請求項11】
前記コンピュータが、
前記送信ステップ、前記受信ステップによって前記リソースIDを受信した場合に、前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得し、取得した前記PDFファイルを、前記リソースIDを受信したコンピュータと異なる他のコンピュータに送信し、前記受信ステップによって前記トラッキング情報を受信した場合に、前記トラッキング情報を前記他のコンピュータに送信すること、を含むことを特徴とする請求項10に記載のトラッキング情報分析方法。
【請求項12】
前記コンピュータが、
前記リソースIDと、前記指定エリアと、前記指定エリアIDと、を情報端末装置から受信する受信ステップと、
前記リソースIDに対応付けられた前記PDFファイルを前記PDFファイル記憶手段から取得するPDFファイル取得ステップと、
前記PDFファイル取得ステップによって取得した前記PDFファイルに、前記指定エリアと、前記指定エリアIDとを追記するPDFファイル追記ステップと、を含むことを特徴とする請求項9に記載のトラッキング情報分析方法。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1つに記載したトラッキング情報分析方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッキング情報分析システム、サーバ装置、トラッキング情報分析方法およびトラッキング情報分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビジネス文書には、ユーザの操作する端末の使用環境に影響されることがなく、ページ単位での印刷また画面表示ができレイアウトが崩れないPDF(Portable Document Format)ファイルが広く利用されている。PDFファイルは、表計算や文書作成等のアプリケーションプログラムによって文書内容を記述した文書ファイルを作成し、作成した文書ファイルをPDF形式に変換して生成することが一般的である。
【0003】
このようにして生成したPDFファイルは、ビジネス文書としてさまざまな場面でユーザに提示される。しかし、カタログや各種資料、契約書等のPDFファイルをユーザに提示する場合、提供者はユーザが注目または確認してほしい内容に確実に目を通したかを把握することは難しかった。ウェブページについては、ウェブページの表示箇所に関する情報を所定の時間間隔で取得し、各表示箇所における閲覧時間をページの閲覧状況として出力する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-024573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載した技術は、ウェブページでの各表示箇所の閲覧情報を出力する技術であるため、PDFファイルを画面に表示した場合の閲覧状況を示すものではなく、PDFファイルの提供者等がユーザに注目または確認してほしいと意図した箇所を実際にユーザが閲覧したかどうかを判断することはできないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、PDFファイルに対する閲覧情報を提供するとともに、PDFファイルの提供者等がユーザに注目または確認してほしいと意図した箇所をユーザが閲覧したか否かを分析することができるトラッキング情報分析システム、サーバ装置、トラッキング情報分析方法およびトラッキング情報分析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、PDFファイルを識別するリソースIDに対応付けられた、PDFファイルにおける指定エリアと、指定エリアそれぞれを識別する指定エリアIDと、を記述するPDFファイルを記憶するPDFファイル記憶手段と、PDFファイルを表示した画面に対する操作を示すトラッキング情報を記憶するトラッキング情報記憶手段と、を備え、トラッキング情報記憶手段に記憶するトラッキング情報およびPDFファイルに記述する指定エリアから、指定エリアごとの累積時間を算出し、PDFファイルの指定エリアごとの累積時間の多少を示す分析結果を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述したように構成した本発明によれば、PDFファイルに対する閲覧情報を提供するとともに、PDFファイルの提供者等がユーザに注目または確認してほしいと意図した箇所をユーザが閲覧したか否かを分析することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例にかかるトラッキング情報分析システム10の構成を示すブロック図である。
図2】PDFファイル記憶部110に記憶するPDFファイルのデータ構成を示す説明図である。
図3】PDFファイルを表示する画面に対する操作とその操作に対応するトラッキング情報の一例を示す説明図である。
図4】サーバ装置100および情報端末装置200が実行するトラッキング情報収集処理手順を示すフローチャートである。
図5】サーバ装置100および情報端末装置300が実行するトラッキング情報分析処理手順を示すフローチャートである。
図6】サーバ装置100が実行するトラッキング情報分析処理手順を示すフローチャートである。
図7】サーバ装置100および情報端末装置300が実行するPDFファイル・指定エリア登録処理手順を示すフローチャートである。
図8】サーバ装置100、情報端末装置200、情報端末装置400が実行するプレビュー処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照し、本開示にかかる、いくつかの実施例を説明する。以下の説明は、本開示の実施の形態の例示であり、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施例にかかるトラッキング情報分析システム10の構成を示すブロック図である。トラッキング情報分析システム10は、サーバ装置100と、情報端末装置200と、情報端末装置300と、情報端末装置400と、を備える。サーバ装置100と情報端末装置200と情報端末装置300と情報端末装置400は、図1に示すように、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続する。ネットワークNは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)、移動体通信網等の任意の通信ネットワークおよびその組合せであり、その一部または全部が有線または無線であってもよい。
【0012】
サーバ装置100は、ネットワークNを介して受信するPDFファイルを管理するとともに、PDFファイルを表示する画面に対して行われた操作を示すトラッキング情報を受信し記憶する。サーバ装置100は、トラッキング情報とPDFファイルから分析結果を生成する。サーバ装置100は、1の情報端末装置から送信されたトラッキング情報を他の情報端末装置に送信することによって、1の情報端末装置で受付けたユーザの操作を他の情報端末装置で再現する。
【0013】
サーバ装置100は、図1に示すように、PDFファイル記憶部110、トラッキング情報記憶部120、送受信部101、ウェブページ生成部102、累積時間算出部103、分析結果生成部104、リソースID生成部105、PDFファイル追記部106、プレビュー情報取得部107等を備える。
【0014】
PDFファイル記憶部110は、PDFファイルを識別するリソースIDと、PDFファイルとを対応付けて記憶する。PDFファイルは、画面表示または印刷するページごとの内容を含むページコンテンツと、PDFファイルにおける指定エリアの領域、指定エリアそれぞれを識別する指定エリアID、その他の情報からなる指定エリア情報と、を記述する。PDFファイルにおける指定エリアの領域は、例えばPDFファイルを表示または印刷した場合の各ページの左上を原点とした場合における指定エリアの矩形の左上の座標と横幅と高さとして記述する。その他の情報としては、指定エリアの内容を示すキーワード等を記述する。PDFファイル記憶部110は、リソースIDとPDFファイルとを対応付けたデータベースとするほか、リソースIDをファルダ名とし、そのフォルダの下にPDFファイルを記憶する構成、その他の構成であってもよい。
【0015】
図2は、PDFファイル記憶部110に記憶するPDFファイルのデータ構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、PDFファイル21は、ページコンテンツ(1ページ)とページコンテンツ(2ページ)と指定エリア情報等を含む。ページコンテンツ(1ページ)とページコンテンツ(2ページ)は、可視領域に記述し、指定エリア情報は、不可視領域に記述する。
【0016】
画面表示例(または印刷例、以下画面表示例と示す)22は、ページコンテンツ(1ページ)の記述に対応した画面表示例であり、画面表示例23は、ページコンテンツ(2ページ)の記述に対応する画面表示例である。画面表示例22には、***資料の1ページでの注目してほしい内容または確認してほしい内容である“説明A”24を含み、画面表示例23には、***資料の2ページでの注目してほしい内容または確認してほしい内容である“説明B”25を含む。指定エリア情報26は、指定エリアそれぞれに関する情報を記述する。説明Aの指定エリア情報として、コンテンツのページ数“1”と、説明Aの指定エリアを識別する指定エリアID“tagA”と、PDFファイルにおける指定エリアの領域を示す情報と記述する。その他、図示しない、説明Aのキーワード等を記述する。図2に示す例では、JSON形式で記述しているが、他の形式で記述してもよい。説明Bについても同様である。指定エリアの領域は、PDFファイルの各ページに0~複数設定してよく、領域それぞれの一部が重なっても、1つの領域が他の領域にすべて含まれてもよい。
【0017】
トラッキング情報記憶部120は、PDFファイルを閲覧するユーザが操作する情報端末装置200で受付けた、PDFファイルを表示する画面に対する操作から生成するトラッキング情報を記憶する。図3は、PDFファイルに対する操作とその操作に対応するトラッキング情報の一例を示す説明図である。図3に示すように、ビューア全体領域(またはブラウザ全体領域、以下全体領域と示す)31上にPDFファイルのページ画像32が配置され、情報端末装置200の画面には、ビューア表示領域(またはブラウザ表示領域、以下表示領域と示す)33内のPDFファイルが表示される。
【0018】
図3に示す操作例では、ユーザが選択または指示した1ページと2ページからなるPDFファイルをPDFビューアまたはウェブブラウザを起動して表示し、ユーザによるPDFファイルの表示を開始してから終了するまでの操作(具体的には、スクロール、タップ、拡大、表示終了の操作)と、その操作に応じたトラッキング情報を時系列に示す。図3に示す操作では、説明を容易にするために、1秒ごとに操作を検出しトラッキング情報を生成しているが、実際には1ミリ秒ごとの操作からトラッキング情報を生成する。なお、ユーザの操作を検出する間隔は、1ミリ秒に限る必要はなく、より長くまたは短くしてもよく、PDFファイルの内容やユーザの操作するデバイス、ユーザ情報(年齢等の属性)等に応じて変えてもよい。また、操作を検出する間隔を1ミリ秒より長く取ることによって、トラッキング情報は間引きされる(または丸められる)ことになり、データ量を削減することができる。また、トラッキング情報の前提となる、PDFファイルの各ページに関するページ情報は、図3に示すようにトラッキング情報記憶部120に記憶する。ページ情報は、ページ番号と、全体領域31におけるページごとのサイズ情報(左上の座標と横幅と高さ)と、画面の倍率とを記憶する。
【0019】
送受信部101は、リソースIDを情報端末装置200から受信し、リソースIDに対応付けられたPDFファイルをPDFファイル記憶部110から取得し、情報端末装置200に送信する。送受信部101は、トラッキング情報を情報端末装置200から受信し、トラッキング情報記憶部120に格納する。
【0020】
送受信部101は、リソースIDおよび分析指示を情報端末装置300から受信し、分析結果を情報端末装置300に送信する。送受信部101は、PDFファイルを情報端末装置300から受信し、PDFファイル(またはPDFファイルを表示するウェブページ)を情報端末装置300に送信する。送受信部101は、PDFファイルにおける指定エリア情報を受信する。送受信部101は、PDFファイル(またはPDFファイルを表示するウェブページ)を情報端末装置400に送信し、トラッキング情報を情報端末装置400に送信する。
【0021】
ウェブページ生成部102は、PDFファイルを情報端末装置200で動作するウェブブラウザ上でウェブページとして表示する場合、PDFファイルを表示するウェブページを生成する。
【0022】
累積時間算出部103は、トラッキング情報記憶部120に記憶するトラッキング情報と指定エリア情報から、表示領域に指定エリアを表示した時間を積算し、指定エリアごとの累積時間を算出する。なお、累積時間は、指定エリアを実際に表示した時間を積算するだけではなく、ユーザによる操作を指定エリアの表示時間に換算して累積時間に加算してもよい。例えば、指定エリアの領域内の文字をタップすることやドラッグして文字列を選択すること、対象の領域を含む領域を拡大すること等のように指定エリアにユーザが注目または確認したことを示すトラッキング情報については、それらのトラッキング情報を表示時間に換算し、累積時間に加算してもよい。また、所定の操作を表示時間に換算する処理では、操作の種別によって重み付けしたうえで表示時間に換算してもよい。
【0023】
分析結果生成部104は、累積時間算出部103によって算出した指定エリアごとの累積時間に基づいて、指定エリアに対するユーザの注目または確認の度合いを示す分析結果を生成する。分析結果は、ユーザそれぞれのトラッキング情報からユーザごとに生成する。これにより、個々のユーザがPDFファイルのどの部分を注目または確認したかを示す分析結果を生成することができる。他の実施例として、分析結果生成部104は、特定の1人に限らず、複数のユーザから収集したトラッキング情報から分析結果を生成する。その場合、性別、年齢等のユーザ情報で分類したユーザ群のトラッキング情報を用いた分析結果を生成してもよい。
【0024】
リソースID生成部105は、分析対象のPDFファイルを受信した場合、トラッキング情報分析システム10において、PDFファイルを一意に識別できる情報であるリソースIDを生成する。リソースID生成部105は、リソースIDとPDFファイルとを対応付けてPDFファイル記憶部110に記憶する。また、リソースIDは、トラッキング情報分析システム10でPDFファイルを一意に識別できる情報であれば、ファイル名等であってもよい。なお、リソースIDとPDFファイルとを対応付けてPDFファイル記憶部100に記憶することに代えて、PDFファイルにリソースIDを追記してもよい。
【0025】
PDFファイル追記部106は、情報端末装置300から送信された指定エリア情報をPDFファイルに追記し、指定エリア情報を追記したPDFファイルをPDFファイル記憶部110に格納する。
【0026】
プレビュー情報取得部107は、PDFファイルにプレビュー情報を記述している場合には、PDFファイルからプレビュー情報を取得する。プレビュー情報とは、情報端末装置200で取得した操作を情報端末装置200と異なる装置で再現するために、トラッキング情報を送信する際の送信先(情報端末装置200と異なる装置)に関する情報である。
【0027】
次に、サーバ装置100とともに、トラッキング情報分析システム10を構成する情報端末装置200、情報端末装置300、情報端末装置400について説明する。情報端末装置200は、画面に表示されたPDFファイルに対するユーザの操作を受付けるコンピュータであり、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)、タブレット端末、スマートフォン等である。ここでは、説明を簡便にするため、図1では1の情報端末装置200として記載しているが、図1の情報端末装置200は、ユーザそれぞれが操作する、1または複数の情報端末装置200を意味する。情報端末装置200は、送受信部201、操作表示部202、トラッキング情報生成部203等を備える。
【0028】
送受信部201は、ネットワークNを介しサーバ装置100との間でデータを送受信する。送受信部201は、リソースIDをサーバ装置100に送信し、リソースIDに対応するPDFファイルをサーバ装置100から受信する。送受信部201は、トラッキング情報をサーバ装置100に送信する。
【0029】
操作表示部202は、ユーザによる操作等を受付け、操作等に対する結果を表示する。操作表示部202は、PDFビューアによってPDFファイル(またはウェブブラウザでPDFファイルを示すウェブページ)を表示する。なお、PDFビューアは、後述するトラッキング情報生成部203の機能を備え、画面に対するユーザの操作からトラッキング情報を生成してもよい。操作表示部202は、画面に表示されたPDFファイルに対する、ユーザによる操作を受付ける。操作表示部202は、例えばPCの場合は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等の表示装置やキーボード、マウス等であり、タブレット端末、スマートフォンの場合は、液晶ディスプレイとタッチセンサを重畳して構成するタッチパネル等である。
【0030】
トラッキング情報生成部203は、操作表示部202によって取得した(より具体的には、操作表示部202で動作するPDFビューアまたはウェブブラウザによって取得した)、PDFファイルを表示した画面に対するユーザの操作からトラッキング情報を生成する。なお、トラッキング情報生成部203の処理は、操作に関するデータをサーバ装置100に送信し、サーバ装置100で実行してもよい。
【0031】
情報端末装置300は、情報端末装置200のトラッキング情報の分析をサーバ装置100に要求し、分析結果を受信し表示するコンピュータであり、情報端末装置300は、情報端末装置200で表示するPDFファイルを提供するコンピュータである。情報端末装置300は、具体的にはPC、タブレット端末、スマートフォン等である。情報端末装置300は、送受信部301、操作表示部302等を備える。
【0032】
送受信部301は、ネットワークNを介しサーバ装置100との間でデータを送受信する。送受信部301は、リソースIDと分析指示をサーバ装置100に送信し、分析結果をサーバ装置100から受信する。送受信部301は、分析対象であるPDFファイルをサーバ装置100に送信し、PDFファイルを受信する。送受信部301は、指定エリア情報をサーバ装置100に送信する。
【0033】
操作表示部302は、ユーザによる操作等を受付け、操作等に対する結果を表示する。操作表示部302は、PDFビューアによってPDFファイル(またはウェブブラウザでPDFファイルを示すウェブページ)を表示し、指定エリア情報の入力を受付ける。操作表示部302のハードウェアは、上述した操作表示部202と同様である。
【0034】
情報端末装置400は、情報端末装置200のトラッキング情報を受信して情報端末装置200での操作を再現するコンピュータであり、PC、タブレット端末、スマートフォン等である。情報端末装置400は、送受信部401、操作表示部402等を備える。
【0035】
送受信部401は、ネットワークNを介しサーバ装置100との間でデータを送受信する。送受信部401は、PDFファイルをサーバ装置100から受信する。送受信部401は、トラッキング情報をサーバ装置100から受信する。
【0036】
操作表示部402は、PDFビューアによってPDFファイル(またはウェブブラウザでPDFファイルを示すウェブページ)を表示し、サーバ装置100から送信されたトラッキング情報によって情報端末装置200での操作を再現して表示する。操作表示部402のハードウェアは、上述した操作表示部202と同様である。
【0037】
上述したように構成されたトラッキング情報分析システム10で実行するトラッキング情報収集処理について説明する。図4は、サーバ装置100および情報端末装置200が実行するトラッキング情報収集処理手順を示すフローチャートである。
【0038】
情報処理装置200において、操作表示部202は、リソースIDの選択を受付ける(ステップS401)。ここで選択されるリソースIDは、例えばサーバ装置100が備えるPDFファイル記憶部110に記憶するPDFファイルを提示し、提示されたPDFファイルのファイル名やサムネイル等を指示することによってリソースIDを取得してよく、またメールやチャット等に記載されたPDFファイルのURLをクリックまたはタップすることによってリソースIDを取得してもよい。送受信部201は、リソースIDをサーバ装置100に送信する(ステップS402)。
【0039】
サーバ装置100の送受信部101は、リソースIDを情報処理装置200から受信する(ステップS403)。送受信部101は、リソースIDに対応付けられたPDFファイルをPDFファイル記憶部110から取得する(ステップS404)。送受信部101は、PDFファイルを情報端末装置200に送信する(ステップS405)。なお、このとき情報端末装置200でPDFファイルをウェブページで表示する場合は、ウェブページ生成部102がPDFファイルを表示するウェブページを生成し、送受信部101はウェブページを情報端末装置200に送信する。
【0040】
情報処理装置200の送受信部201は、PDFファイルをサーバ装置100から受信する(ステップS406)。操作表示部202は、PDFファイルをPDFビューアによって表示する(ステップS407)。サーバ装置200からウェブページが送信された場合は、ウェブブラウザによってウェブページであるPDFファイルを表示する。操作表示部202は、ユーザによるPDFファイルを表示した画面に対する操作を受付ける(ステップS408)。操作表示部202は、ユーザの操作に応じた画面を表示する(ステップS409)。トラッキング情報生成部203は、ユーザの操作からトラッキング情報を生成する(ステップS410)。
【0041】
例えば、図3に示した起動からスクロールの操作では、操作表示部202は、起動時にPDFファイルを画面に表示し、さらにスクロール操作に応じたPDFファイルを画面に表示する。トラッキング情報生成部203は、起動時に表示された画面に関する情報である“type=画面操作,x=0,y=0,w=150,h=120”(全体領域における、表示領域の左上の座標と横幅と高さ)、起動時からスクロールが操作されるまでの表示時間である“vTime=4000”(4秒)、その際の画面の倍率である“s=1”(100%)をトラッキング情報として生成する。また、タップ操作を行なった場合は、タップした位置をトラッキング情報とするとともに、タップ時の画面表示をトラッキング情報として生成する。タップ時の画面表示をトラッキング情報として生成することによって、他の操作と同様に、サーバ装置100の累積時間算出部103において指定エリアの表示時間を容易に算出することができる。
【0042】
送受信部201は、トラッキング情報をサーバ装置100に送信する(ステップS411)。操作表示部202は、ユーザによる操作が終了したか否かを判断する(ステップS412)。より具体的には、表示終了の指示を受付けたか否かを判断する。ユーザによる操作が終了したと判断した場合(ステップS412:Yes)、処理を終了する。ユーザによる操作が終了していないと判断した場合(ステップS412:No)、ステップS408に戻り、ユーザの操作に応じたトラッキング情報を生成する。
【0043】
サーバ装置100の送受信部101は、トラッキング情報を情報端末装置200から受信する(ステップS413)。送受信部101は、トラッキング情報をトラッキング情報記憶部120に格納する(ステップS414)。
【0044】
このように、スクロールやタップ、拡大等の操作から表示した画面に関する情報をトラッキング情報として生成し、時系列に記憶していくことによって、PDFファイルのどの部分がユーザの視野に入ったのかを記憶しておくことができる。
【0045】
また、全体領域におけるどの部分を表示したかを記憶するだけではなく、PDFファイル内の文字列や画像等に対する操作、例えば画面上でタップした座標やドラッグした文字列、ポインタが移動した座標等をトラッキング情報として記憶しておくことによって、ユーザが注目または確認したと考えられる操作を分析処理に使用することができる。
【0046】
また、情報端末装置200のリソースIDの選択を受付ける前に、サーバ装置100と情報端末装置200との間でのログイン処理を実行することによって、情報端末装置200を操作するユーザが特定され、ユーザ情報との紐付けが可能になる。これにより、ユーザ個人や同一のユーザ情報を有するユーザ群に対する分析が可能になる。
【0047】
次に、サーバ装置100および情報端末装置300で実行するトラッキング情報分析処理について説明する。図5は、サーバ装置100および情報端末装置300が実行するトラッキング情報分析処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
情報端末装置300の操作表示部302は、リソースIDと分析指示の入力を受付ける(ステップS501)。リソースIDと分析指示に加えて、個別のユーザの操作を分析する場合には、操作表示部302は、トラッキング情報分析の対象であるユーザを識別するユーザIDの入力を受付ける。また、ユーザ情報によって絞り込んだユーザ群に対する分析を行う場合、操作表示部302はユーザ情報を用いた検索条件の入力を受付ける。送受信部301は、リソースIDと分析指示をサーバ装置100に送信する(ステップS502)。さらに、個別のユーザの操作を分析する場合はユーザIDを送信し、所定のユーザ群を分析する場合は、ユーザ情報を用いた検索式を送信する。
【0049】
サーバ装置100の送受信部101は、リソースIDと分析指示を受信する(ステップS503)。送受信部101は、リソースIDに対応付けられたPDFファイルをPDFファイル記憶部110から取得する(ステップS504)。分析結果生成部104は、リソースID(およびユーザID)に応じたトラッキング情報をトラッキング情報記憶部120から取得する(ステップS505)。なお、トラッキング情報は、リソースIDと、ユーザIDとに対応付けてトラッキング情報記憶部120に記憶される。
【0050】
分析結果生成部104は、情報端末装置300から送信された分析指示に応じ、トラッキング情報とPDFファイルを用いて分析結果を生成する(ステップS506)。処理の詳細は、図6を用いて後述する。送受信部101は、分析結果を情報端末装置300に送信する(ステップS507)。
【0051】
情報端末装置300の送受信部301は、分析結果をサーバ装置100から受信する(ステップS508)。操作表示部302は、分析結果を画面に表示する(ステップS509)。
【0052】
上述したステップS506で実行するトラッキング情報分析処理について、詳細な処理を説明する。図6は、サーバ装置100が実行するトラッキング情報分析処理手順を示すフローチャートである。
【0053】
累積時間算出部103は、PDFファイルに記述する指定エリア情報を取得する(ステップS601)。累積時間算出部103は、トラッキング情報と指定エリア情報から指定エリアごとの累積時間を算出する(ステップS602)。より具体的には、累積時間算出部103は、トラッキング情報に含まれる表示領域に、指定エリアの領域が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には、トラッキング情報に含まれる表示時間を当該指定エリアの累積時間に加算する。なお、画面に表示されたPDFファイルの座標系と、PDFファイルに記述された座標系は、長さの単位等が異なる場合もあるが、どちらかの座標系に統一することによって、ズレを生じることなく、表示領域に指定エリアが含まれるか否かを判断することができる。分析結果生成部104は、指定エリアに対するユーザの注目または確認の度合いを示す分析結果を生成する(ステップS603)。
【0054】
分析結果の具体的な実施例は、(a)指定エリアごとの累積時間の多少を指定エリアに重ねる色の違いや色の濃淡で表わすヒートマップを生成する。(b)全閲覧時間と指定エリアごとの累積時間から指定エリアごとの閲覧率を算出する(c)指定エリア情報にキーワードを記述しておき、指定エリアのキーワードと累積時間とを対応付けて示す分析結果を生成する(d)(c)において、累積時間が多い順、少ない順、またはPDFファイルに出現した順に、キーワードと累積時間とを対応付けて示す分析結果を生成する(e)(d)において、累積時間を棒グラフ等のグラフで表した分析結果を生成する(f)指定エリア情報に所定の基準を記述しておき、指定エリアごとの累積時間が所定の基準(累積時間や閲覧率、タップ回数等、またはそれらの組合せ)を満たすか否かを示す分析結果を生成する等である。
【0055】
このように、トラッキング情報分析処理において、PDFファイルの提供者等が注目してほしい箇所または確認してほしい箇所として想定した指定エリアを、ユーザが実際に画面に表示した時間を累積時間として算出することによって、ユーザが指定エリアを注目または確認したか否かを判断することができる。ユーザがPDFファイルを閲覧した後であればいつでも分析結果を生成することができる。また、指定エリアごとの注目または確認の度合いを示すヒートマップを生成しPDFファイルに重畳して示すことによって、ユーザがどの指定エリアを注目または確認したかを容易に把握することができる。さらに、指定エリア情報に指定エリアの内容を示すキーワードを加え、分析結果にキーワードを用いることによって、ユーザの関心を簡便に集約することができる。
【0056】
また、ユーザ個人のトラッキング情報を分析する場合、分析結果によって特定のユーザがPDFファイルの指定エリアを注目または確認したことを示すことができ、ユーザ個人のPDFファイルの内容に対する興味や理解度を測ることができる。また、複数のユーザのトラッキング情報を分析した場合は、PDFファイルを提示したユーザの閲覧傾向を把握することができ、ユーザ情報で絞り込んだユーザ群のトラッキング情報の場合は、特定の属性を持つユーザの閲覧傾向を把握することができる。
【0057】
ユーザによる操作によって画面の大きさが変化しない、タップ等のトラッキング情報は、所定のルールで累積時間に換算したうえで累積時間に加算することによって、より確度高く、ユーザの関心を測ることができる。また、累積時間とは別にタップした座標等を示すヒートマップを生成し、異なる観点での分析結果を生成してもよい。
【0058】
上述した指定エリアではなく、画面に表示されたPDFファイルをメッシュ状に分割し、メッシュの各領域の累積時間を算出し、メッシュの領域ごとの累積時間に基づくヒートマップを生成してもよい。また、PDFファイルの各行の累積時間やPDFファイル閲覧の際の離脱座標等からPDFファイルのどの部分でユーザが閲覧することをやめたのかを示すヒートマップを生成してもよい。
【0059】
ユーザからの分析指示に応じた分析結果を生成する場合、その分析方法は、上述した個々の分析方法であっても、複数の分析方法を組合せたものであってもよい。その他に、コンテンツであるPDFファイルごとの総アクセス数の集計、月ごと、日にちごと、時間ごと、曜日ごとのアクセス数の集計や、ユーザ情報(年齢や世代、性別等)ごとの比率、コンテンツの人気ランキング、コンテンツ内の人気商品ランキング、その他の情報を分析結果としてもよい。
【0060】
次に、サーバ装置100および情報端末装置300で実行するPDFファイル・指定エリア登録処理について説明する。図7は、サーバ装置100および情報端末装置300が実行するPDFファイル・指定エリア登録処理手順を示すフローチャートである。なお、トラッキング情報分析処理を実行した情報端末装置300がPDFファイル・指定エリア登録処理も実行するよう便宜上記載しているが、PDFファイル・指定エリア登録処理とトラッキング情報分析処理は、同一の装置で実施しても異なる装置で実行してもよい。
【0061】
情報端末装置300の送受信部301は、PDFファイルをサーバ装置100に送信する(ステップS701)。ここで、PDFファイルは、トラッキング情報分析の対象となるPDFファイルであり、例えば、カタログや各種資料、契約書等の文書である。
【0062】
サーバ装置100の送受信部101は、PDFファイルを情報端末装置300から受信する(ステップS702)。リソースID生成部105は、PDFファイルを一意に識別するリソースIDを生成する(ステップS703)。リソースID生成部105は、リソースIDとPDFファイルとを対応付けてPDFファイル記憶部110に格納する(ステップS704)。送受信部101は、PDFファイルを送信する(ステップS705)。情報端末装置300において、PDFビューアによってPDFファイルを表示する場合は、PDFファイルを送信し、ウェブブラウザでPDFファイルを表示する場合は、ウェブページ生成部102によってPDFファイルを表示するウェブページを生成し、生成したウェブページを送信する。
【0063】
情報端末装置300の送受信部301は、PDFファイルをサーバ装置100から受信する(ステップS706)。操作表示部302は、PDFファイルを画面に表示する(ステップS707)。操作表示部302は、PDFファイルにおける指定エリア情報の入力を受付ける(ステップS708)。送受信部301は、指定エリア情報をサーバ装置100に送信する(ステップS709)。
【0064】
サーバ装置100の送受信部101は、指定エリア情報を情報端末装置300から受信する(ステップS710)。PDFファイル追記部106は、指定エリア情報をPDFファイルに追記する(ステップS711)。PDFファイル追記部106は、例えば図2に示すように、指定エリア情報をJSON形式でPDFファイルの不可視領域に追記する。PDFファイル追記部106は、指定エリア情報を追記したPDFファイルをPDFファイル記憶部110に格納する(ステップS712)。
【0065】
このように、画面表示や印刷において文字列や画像等の位置がずれないPDFファイルに対し指定エリア情報をPDFファイルに記述し、ユーザの操作から生成したトラッキング情報と組合せることによって、ユーザがPDFファイルのどの指定エリアを閲覧したのかを正確に把握することができる。
【0066】
指定エリア情報をPDFファイルに記述することによって、PDFファイルの提供者がユーザに認識させたい内容をPDFファイルと一体で管理することができ、指定エリア情報を記述したPDFファイルをPDFファイル記憶部110に記憶することによって、他のデータベースやファイル等とPDFファイルを連携させることなく、指定エリアに関する分析が可能になる。
【0067】
次に、1の情報端末装置200で受付けたトラッキング情報を、サーバ装置100を介して情報端末装置400に送信することで、情報端末装置200でのユーザによる操作を情報端末装置400で再現するプレビュー処理について説明する。図8は、サーバ装置100、情報端末装置200、情報端末装置400で実行するプレビュー処理手順を示すフローチャートである。なお、これから説明する情報端末装置200で実行する処理は、図4で説明した処理とほぼ同一である。
【0068】
情報端末装置200の操作表示部202は、PDFファイルを識別するリソースIDの指示を受付ける(ステップS801)。ここでのリソースIDの指示は、例えば、情報端末装置400を操作するユーザ(例えば、PDFファイルを用いて契約書や各種資料、申込書等を説明する説明者等)がメールやチャット等で送付したPDFファイルのURLをクリックまたはタップすることでリソースIDの指示を受付ける。送受信部201は、リソースIDをサーバ装置100に送信する(ステップS802)。
【0069】
サーバ装置100の送受信部101は、リソースIDを情報端末装置200から受信する(ステップS803)。送受信部101は、リソースIDに対応付けられたPDFファイルをPDFファイル記憶部110から取得する(ステップS804)。送受信部101は、PDFファイルを情報端末装置200に送信する(ステップS805)。このときPDFファイルをウェブページで表示する場合は、ウェブページ生成部102によってPDFファイルを表示するウェブページを生成し、送受信部101は、ウェブページを情報端末装置200に送信する。
【0070】
情報処理装置200の送受信部201は、PDFファイルをサーバ装置100から受信する(ステップS806)。操作表示部202は、PDFファイルをPDFビューアによって表示する(ステップS807)。サーバ装置100からウェブページが送信された場合は、ウェブブラウザによってウェブページでPDFファイルを表示する。
【0071】
サーバ装置100において、プレビュー情報取得部107は、リソースIDに対応付けられたPDFファイルからプレビュー情報を取得する(ステップS808)。ここでのプレビュー情報は、情報端末装置400に関する情報になる。送受信部101は、プレビュー情報に基づいて、PDFファイルを情報端末装置400に送信する(ステップS809)。
【0072】
情報端末装置400の送受信部401は、PDFファイルをサーバ装置100から受信する(ステップS810)。操作表示部402は、PDFファイルをPDFビューアによって表示する(ステップS811)。サーバ装置100からウェブページが送信された場合は、ウェブブラウザによってウェブページでPDFファイルを表示する。
【0073】
情報端末装置200の操作表示部202は、ユーザによる、PDFファイルを表示した画面に対する操作を受付ける(ステップS812)。操作表示部202は、ユーザの操作に応じた画面を表示する(ステップS813)。トラッキング情報生成部203は、ユーザの操作からトラッキング情報を生成する(ステップS814)。送受信部201は、トラッキング情報をサーバ装置100に送信する(ステップS815)。操作表示部202は、ユーザによる操作が終了したか否かを判断する(ステップS816)。より具体的には、表示終了の指示を受付けたか否かを判断する。ユーザによる操作が終了したと判断した場合(ステップS816:Yes)、処理を終了する。ユーザによる操作が終了していないと判断した場合(ステップS816:No)、ステップS812に戻る。
【0074】
サーバ装置100の送受信部101は、トラッキング情報を情報端末装置200から受信する(ステップS817)。送受信部101は、トラッキング情報を情報端末装置400に送信する(ステップS818)。送受信部101は、トラッキング情報をトラッキング情報記憶部120に格納する(ステップS819)。
【0075】
情報端末装置400の送受信部401は、トラッキング情報をサーバ装置100から受信する(ステップS820)。操作表示部402は、トラッキング情報に応じた画面に対する操作を表示する(ステップS821)。
【0076】
このように、サーバ装置100と情報端末装置200との間で送受信されたPDFファイルやトラッキング情報を、サーバ装置100を介して情報端末装置400に送信することによって、情報端末措置200で表示したPDFファイル、および情報端末装置200でのユーザによる操作を情報端末装置400で再現(プレビュー)することができる。これにより、情報端末装置200のユーザと情報端末装置400のユーザが情報端末装置200と情報端末装置400との間で音声通話やチャット、携帯電話等での音声通話を行なってPDFファイルに対する説明等を行なっている場合に、情報端末装置200のユーザがどの画面を見ているか、拡大や縮小、タップ、ドラッグ等の画面操作を行なっているかを情報端末装置400の画面で確認することができるため、情報端末装置400のユーザは、情報端末装置200のユーザによって表示された画面、ユーザによる操作を確認しながら説明等をすることができる。
【0077】
また、上述した、情報端末装置200のユーザの操作のプレビュー処理に加えまたは代えて、サーバ装置100は、情報端末装置200から送信されたトラッキング情報からトラッキング情報分析処理を実行し、分析結果を情報端末装置400に送信して情報端末装置400で表示することによって、その時々のユーザの注目箇所または確認箇所や注目または確認の度合いを可視化することができ、情報端末装置200のユーザの関心を確認することができる。また、ユーザの関心を確認することによって、説明が十分か不足かをその時点で判断することができる。
【0078】
上述した実施例では、情報端末装置200のユーザによる操作とほぼ同時に情報端末装置400でプレビューする場合について説明したが、トラッキング情報記憶部120に記憶するトラッキング情報を用いることによって、情報端末装置200のユーザの操作を随時プレビューすることができる。これにより、事後に情報端末装置200のユーザの操作を検証することができ、操作のプレビューとともにさまざまな分析結果を表示することができる。さらに、トラッキング情報と同期を取って音声データを録音しておくことにより、画面のプレビューとともに音声を再生することができ、音声を含めた検証をすることができる。
【0079】
なお、ステップS808でPDFファイルから取得したプレビュー情報は、PDFファイルに記述するだけでなく、リソースIDとプレビュー情報と対応付けて記憶するプレビュー情報記憶部(図示しない)に記憶しておき、プレビュー情報記憶部からリソースIDに対応付けられたプレビュー情報を取得してもよい。
【0080】
上述した実施例にかかるサーバ装置100、情報端末装置200、情報端末装置300、情報端末装置400のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含み、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置、通信制御装置等を備えた通常のコンピュータであり、ROMやRAM、HDD等に記憶されたプログラムをCPUが読み出し動作させることによって、上述した構成や機能を実現する。なお、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等の電子回路を用いてもよい。
【0081】
サーバ装置100、情報端末装置200、情報端末装置300、情報端末装置400で動作するプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納しておき、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供したり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD、USBメモリ、SDカード等のコンピュータで読取り可能な記録媒体に記録し提供してもよい。また、上述した機能や処理を実現するプログラムは、API(Application Programming Interface)としての提供やSaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという利用形態で提供してもよい。
【0082】
上述した実施例では、サーバ装置100、情報端末装置200、情報端末装置300、情報端末装置400を別々の装置として説明したが、サーバ装置100の一部の機能を複数の装置で実現してもよく、サーバ装置100、情報端末装置200、情報端末装置300、情報端末装置400のいずれかを組合せて構成してもよい。
【0083】
本開示は、上述した実施例そのままに限定されるものではなく、必ずしも物理的に図示のように構成されている必要はない。また、本開示は、実施例で説明した構成要素の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じ、任意の単位で機能的または物理的に分割、統合、入替、変形または削除して構成することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…トラッキング情報分析システム、100…サーバ装置、101…送受信部、102…ウェブページ生成部、103…累積時間算出部、104…分析結果生成部、105…リソースID生成部、106…PDFファイル追記部、107…プレビュー情報取得部、110…PDFファイル記憶部、120…トラッキング情報記憶部、200…情報端末装置、201…送受信部、202…操作表示部、203…トラッキング情報生成部、300…情報端末装置、301…送受信部、302…操作表示部、400…情報端末装置、401…送受信部、402…操作表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8