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特許7398369エラー状況を識別することができる磁場センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】エラー状況を識別することができる磁場センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
G01R33/09
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2020527049
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018055986
(87)【国際公開番号】W WO2019108316
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】15/825,879
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ラサル-バリエー,レミー
(72)【発明者】
【氏名】イーガン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド,ポール・エイ
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-194598(JP,A)
【文献】特開2012-73062(JP,A)
【文献】国際公開第2012/096212(WO,A1)
【文献】特開2007-298291(JP,A)
【文献】特開2005-49097(JP,A)
【文献】特開平4-83182(JP,A)
【文献】特表2008-516255(JP,A)
【文献】特開2003-179283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0108971(US,A1)
【文献】特表2011-501153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00-33/26
G01D 5/12-5/252
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場センサにおいてエラー状況(error condition)を決定する方法であって、
第1のフル(full)ブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するステップと、
第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するステップと、
前記第1のブリッジ信号を前記第2のブリッジ信号により除算することによりブリッジ分離(separation)信号を決定するステップと、
前記ブリッジ分離信号に基づく関数(function)の値をしきい値と比較するステップと、
前記比較するステップに応答して、前記エラー状況を指し示すエラー信号、または、前記エラー状況を指し示さないノーエラー信号を生成するステップと
を含み、
前記第1のフルブリッジ回路は、
外部磁場に応答するように構成された第1の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第1の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第1の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第2のフルブリッジ回路は、
前記外部磁場に応答するように構成された第2の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第2の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第2の2つのダミー磁気抵抗素子とを含む、方法。
【請求項2】
磁場センサにおいてエラー状況(error condition)を決定する方法であって、
第1のフル(full)ブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するステップと、
第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するステップと、
前記第1のブリッジ信号と前記第2のブリッジ信号との差を示すブリッジ分離(separation)信号を生成するステップと、
前記ブリッジ分離信号に基づく関数(function)の値をしきい値と比較するステップと、
前記比較するステップに応答して、前記エラー状況を指し示すエラー信号、または、前記エラー状況を指し示さないノーエラー信号を生成するステップと
を含み、
前記第1のフルブリッジ回路は、
外部磁場に応答するように構成された第1の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第1の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第1の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第2のフルブリッジ回路は、
前記外部磁場に応答するように構成された第2の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第2の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第2の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、前記第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなる、方法。
【請求項3】
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達するステップと
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の2つの磁気抵抗素子は、第1の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の2つの磁気抵抗素子は、第2の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、前記第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記関数の値を前記しきい値と比較するステップは、
前記ブリッジ分離信号の値マイナス1の絶対値を前記関数の値とし、前記絶対値が前記しきい値より大であることに応答して、前記エラー信号を生成するステップと、
前記絶対値が前記しきい値以下であることに応答して、前記ノーエラー信号を生成するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する力信号を生成するステップと、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達するステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ブリッジ分離信号を生成するステップは、前記第1のブリッジ信号から前記第2のブリッジ信号を減算するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記関数の値を前記しきい値と比較するステップは、
前記ブリッジ分離信号の値の絶対値を前記関数の値とし、前記絶対値が前記しきい値より大であることに応答して、前記エラー信号を生成するステップと、
前記絶対値が前記しきい値以下であることに応答して、前記ノーエラー信号を生成するステップと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のフルブリッジ回路と、
第2のフルブリッジ回路と
を備えるとともに、
前記第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信することと、
前記第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信することと、
前記第1のブリッジ信号を前記第2のブリッジ信号により除算することによりブリッジ分離信号を決定することと、
前記ブリッジ分離信号に基づく関数の値をしきい値と比較することと、
前記比較することに応答して、エラーを指し示すエラー信号、または、ノーエラーを指し示すノーエラー信号を生成することと
を行うように構成される、1つまたは複数の回路モジュール
を備え、
前記第1のフルブリッジ回路は、
外部磁場に応答するように構成された第1の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第1の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第1の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第2のフルブリッジ回路は、
前記外部磁場に応答するように構成された第2の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第2の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第2の2つのダミー磁気抵抗素子とを含む、磁場センサ。
【請求項13】
第1のフルブリッジ回路と、
第2のフルブリッジ回路と
を備えるとともに、
前記第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信することと、
前記第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信することと、
前記第1のブリッジ信号と前記第2のブリッジ信号との差を示すブリッジ分離信号を生成することと、
前記ブリッジ分離信号に基づく関数の値をしきい値と比較することと、
前記比較することに応答して、エラーを指し示すエラー信号、または、ノーエラーを指し示すノーエラー信号を生成することと
を行うように構成される、1つまたは複数の回路モジュール
を備え、
前記第1のフルブリッジ回路は、
外部磁場に応答するように構成された第1の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第1の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第1の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第2のフルブリッジ回路は、
前記外部磁場に応答するように構成された第2の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第2の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第2の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、前記第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなる、磁場センサ。
【請求項14】
前記1つまたは複数の回路モジュールは、
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達することと
を行うようにさらに構成される、請求項12または13に記載の磁場センサ。
【請求項15】
前記第1の2つの磁気抵抗素子は、第1の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える、請求項12または13に記載の磁場センサ。
【請求項16】
前記第2の2つの磁気抵抗素子は、第2の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える、請求項12または13に記載の磁場センサ。
【請求項17】
前記第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、前記第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなる、請求項12に記載の磁場センサ。
【請求項18】
前記1つまたは複数の回路モジュールは、
前記ブリッジ分離信号の値マイナス1の絶対値を前記関数の値とし、前記絶対値が前記しきい値より大であることに応答して、前記エラー信号を生成することと、
前記絶対値が前記しきい値以下であることに応答して、前記ノーエラー信号を生成することと
を行うようにさらに構成される、請求項12に記載の磁場センサ。
【請求項19】
前記1つまたは複数の回路モジュールは、
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達することと
を行うようにさらに構成される、請求項18に記載の磁場センサ。
【請求項20】
前記ブリッジ分離信号を生成することは、前記第1のブリッジ信号から前記第2のブリッジ信号を減算することを含む、請求項13に記載の磁場センサ。
【請求項21】
前記1つまたは複数の回路モジュールは、
前記ブリッジ分離信号の値の絶対値を前記関数の値とし、前記絶対値が前記しきい値より大であることに応答して、前記エラー信号を生成することと、
前記絶対値が前記しきい値以下であることに応答して、前記ノーエラー信号を生成することと
を行うようにさらに構成される、請求項13に記載の磁場センサ。
【請求項22】
前記1つまたは複数の回路モジュールは、
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達することと
を行うようにさらに構成される、請求項21に記載の磁場センサ。
【請求項23】
第1のフルブリッジ回路と、
第2のフルブリッジ回路と、
前記第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するための手段と、
前記第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するための手段と、
前記第1のブリッジ信号を前記第2のブリッジ信号により除算することによりブリッジ分離信号を決定するための手段と、
前記ブリッジ分離信号に基づく関数の値をしきい値と比較するための手段と、
前記比較することに応答して、エラーを指し示すエラー信号、または、ノーエラーを指し示すノーエラー信号を生成するための手段と
を備え、
前記第1のフルブリッジ回路は、
外部磁場に応答するように構成された第1の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第1の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第1の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第2のフルブリッジ回路は、
前記外部磁場に応答するように構成された第2の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第2の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第2の2つのダミー磁気抵抗素子とを含む、磁場センサ。
【請求項24】
第1のフルブリッジ回路と、
第2のフルブリッジ回路と、
前記第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するための手段と、
前記第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するための手段と、
前記第1のブリッジ信号と前記第2のブリッジ信号との差を示すブリッジ分離信号を生成するための手段と、
前記ブリッジ分離信号に基づく関数の値をしきい値と比較するための手段と、
前記比較することに応答して、エラーを指し示すエラー信号、または、ノーエラーを指し示すノーエラー信号を生成するための手段と
を備え、
前記第1のフルブリッジ回路は、
外部磁場に応答するように構成された第1の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第1の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第1の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第2のフルブリッジ回路は、
前記外部磁場に応答するように構成された第2の2つの磁気抵抗素子と、
前記外部磁場に応答しない、または、前記第2の2つの磁気抵抗素子の応答と比べると前記外部磁場にわずかに応答するように構成された第2の2つのダミー磁気抵抗素子とを含み、
前記第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、前記第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなる、磁場センサ。。
【請求項25】
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達する手段
をさらに備える、請求項23または24に記載の磁場センサ。
【請求項26】
前記第1の2つの磁気抵抗素子は、第1の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える、請求項23または24に記載の磁場センサ。
【請求項27】
前記第2の2つの磁気抵抗素子は、第2の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える、請求項23または24に記載の磁場センサ。
【請求項28】
前記第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、前記第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなる、請求項23に記載の磁場センサ。
【請求項29】
前記関数の値を前記しきい値と比較するための前記手段は、
前記ブリッジ分離信号の値マイナス1の絶対値を前記関数の値とし、前記絶対値が前記しきい値より大であることに応答して、前記エラー信号を生成するための手段と、
前記絶対値が前記しきい値以下であることに応答して、前記ノーエラー信号を生成するための手段と
を備える、請求項23に記載の磁場センサ。
【請求項30】
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達するための手段と
をさらに備える、請求項29に記載の磁場センサ。
【請求項31】
前記ブリッジ分離信号を生成するための前記手段は、前記第1のブリッジ信号から前記第2のブリッジ信号を減算することを含む、請求項24に記載の磁場センサ。
【請求項32】
前記関数の値を前記しきい値と比較するための前記手段は、
前記ブリッジ分離信号の値の絶対値を前記関数の値とし、前記絶対値が前記しきい値より大であることに応答して、前記エラー信号を生成するための手段と、
前記絶対値が前記しきい値以下であることに応答して、前記ノーエラー信号を生成するための手段と
を備える、請求項24に記載の磁場センサ。
【請求項33】
前記エラー信号に応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
前記ノーエラー信号に応答して、前記第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
前記出力信号を前記磁場センサの外側に伝達するための手段と
をさらに備える、請求項32に記載の磁場センサ。
【請求項34】
実行可能命令を記憶しているコンピュータ読み取り可能な不揮発性の記憶媒体であって、前記実行可能命令は、磁気センサ内のプロセッサにより実行されると、請求項に記載の方法を前記磁気センサに実施させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、磁場センサに関し、より詳細には、磁気抵抗素子を有しており、大きい外部磁場から結果的に生じるエラー状況を識別することができる磁場センサに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において使用される際、用語「磁場感知素子」は、磁場を感知することができる種々の電子素子を説明するために使用される。1つのそのような磁場感知素子は、磁気抵抗(MR)素子である。磁気抵抗素子は、磁気抵抗素子により遭遇される磁場との関係で変化する抵抗を有する。
【0003】
知られているように、異なるタイプの磁気抵抗素子、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、および、さらには磁気トンネル接合(MTJ)素子と呼ばれるトンネリング磁気抵抗(TMR)素子がある。
【0004】
これらの磁気抵抗素子のうち、GMRおよびTMR素子は、スピンエレクトロニクス(すなわち、電子スピン)によって動作し、その場合、抵抗は、非磁性層により分離される異なる磁性層の磁気配向に関係付けられる。スピンバルブ構成において、抵抗は、別の層、いわゆる「基準層」に相対的な、いわゆる「自由層」においての磁化の角度方向に関係付けられる。自由層および基準層は、下記で、より完全に説明される。
【0005】
磁気抵抗素子は、単一の素子として使用され得るものであり、または、代替的には、様々な構成、例えば、ハーフブリッジもしくはフル(ホイートストン)ブリッジで配置構成される、2つ以上の磁気抵抗素子として使用され得る。
【0006】
本明細書において使用される際、用語「磁場センサ」は、一般的には他の回路との組合せで、1つまたは複数の磁場感知素子を使用する回路を説明するために使用される。典型的な磁場センサにおいて、磁場感知素子および他の回路は、共通の基板、例えば半導体基板上で統合され得る。一部の実施形態において、磁場センサは、さらには、リードフレームおよびパッケージングを含み得る。
【0007】
磁場センサは、磁場の方向の角度を感知する角度センサ、電流搬送導体により搬送される電流により生成される磁場を感知する電流センサ、強磁性物体の近接度を感知する磁気スイッチ、磁場センサがバックバイアスまたは他の磁石との組合せで使用される場合の、通過する強磁性物品、例えばリング磁石または強磁性ターゲット(例えば、歯車の歯)の磁区を感知する回転検出器、および、磁場の磁場密度を感知する磁場センサを含むが、それらに制限されない、種々の用途において使用される。
【0008】
様々なパラメータが、磁場センサおよび磁場感知素子の性能について特性を描写する。磁場感知素子に関しては、パラメータは、磁場に応答しての磁場感知素子の出力信号の変化である感度、および、磁場センサの出力信号が磁場に対して線形に(すなわち、正比例で)変動する度合である線形性を含む。パラメータは、さらには、磁場センサがゼロ磁場に遭遇するときにゼロ磁場を指し示さない、磁場感知素子からの出力を示すオフセットを含む。パラメータは、さらには、磁場センサが大きい(コモンモード)外部磁場に遭遇するときの挙動の変化を示すコモンモード除去を含む。
【0009】
GMRおよびTMR素子は、例えばHall効果素子と比較して、相対的に高い感度を有することが知られている。TMR素子は、GMR素子より高い感度を有することが知られているが、低い周波数においての、より高いノイズという犠牲を払っている。
【0010】
GMRおよびTMRの両方の素子(磁気抵抗素子)は、しきい値レベルより上の磁場において飽和の影響を被ることが知られている。かくして、外部磁場の飽和レベルにおいて、磁気抵抗素子からの出力信号は、高い信頼性のものではない。
【0011】
かくして、磁気抵抗素子を使用する、および、磁気抵抗素子のうちの1つまたは複数が飽和の様態にあるときにエラー状況を識別することができる磁場センサを提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、磁気抵抗素子を使用する、および、磁気抵抗素子のうちの1つまたは複数が飽和の様態にあるときにエラー状況を識別することができる磁場センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様を理解することに有用な例によれば、磁場センサにおいてエラー状況を決定する方法は、第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するステップを含み得る。方法は、さらには、第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するステップを含み得る。方法は、さらには、第1のブリッジ信号および第2のブリッジ信号からブリッジ分離を決定するステップを含み得る。方法は、さらには、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するステップを含み得る。方法は、さらには、比較するステップに応答して、エラー状況を指し示す、または、エラー状況を指し示さないエラー信号を生成するステップを含み得る。
【0014】
一部の実施形態において、上記の方法は、任意の組合せで、後に続く態様のうちの1つまたは複数を含み得る。
一部の実施形態において、上記の方法は、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
出力信号を磁場センサ上のピンに伝達するステップと
をさらに含み得る。
【0015】
上記の方法の一部の実施形態において、第1のフルブリッジ回路は、
第1の磁場に応答的な(responsive)、第1の2つの磁気抵抗素子と、
第1の磁場に、実質的に、応答性が低い(less responsive)、または、応答的でない、第1の2つのダミー磁気抵抗素子と
を備える。
【0016】
上記の方法の一部の実施形態において、第1の2つの磁場感知素子は、第1の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える。
上記の方法の一部の実施形態において、第2のフルブリッジ回路は、
第2の磁場に応答的な、第2の2つの磁気抵抗素子と、
第2の磁場に、実質的に、応答性が低い、または、応答的でない、第2の2つのダミー磁気抵抗素子と
を備える。
【0017】
上記の方法の一部の実施形態において、第2の2つの磁場感知素子は、第2の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える。
上記の方法の一部の実施形態において、第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなり、複数の細いストリップの各々は、500ナノメートル未満の基板に平行な最も短い寸法を有する。
【0018】
一部の実施形態において、上記の方法は、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
出力信号を磁場センサの外側に伝達するステップと
をさらに含み得る。
【0019】
上記の方法の一部の実施形態において、ブリッジ分離を決定するステップは、第1のブリッジ信号を第2のブリッジ信号により除算するステップ、または、第2のブリッジ信号を第1のブリッジ信号により除算するステップを含む。
【0020】
上記の方法の一部の実施形態において、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するステップは、
ブリッジ分離マイナス1の絶対値がしきいより大であることに応答して、第1の状態を伴うエラー信号を生成するステップと、
ブリッジ分離マイナス1の絶対値がしきい以下であることに応答して、第1の状態とは異なる第2の状態を伴うエラー信号を生成するステップと
を含む。
【0021】
一部の実施形態において、上記の方法は、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
出力信号を磁場センサの外側に伝達するステップと
をさらに含み得る。
【0022】
上記の方法の一部の実施形態において、ブリッジ分離を決定するステップは、第1およ
び第2のブリッジ信号を減算するステップを含む。
上記の方法の一部の実施形態において、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するステップは、
ブリッジ分離の絶対値がしきいより大であることに応答して、第1の状態を伴うエラー信号を生成するステップと、
ブリッジ分離の絶対値がしきい以下であることに応答して、第1の状態とは異なる第2の状態を伴うエラー信号を生成するステップと
を含む。
【0023】
一部の実施形態において、上記の方法は、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するステップと、
出力信号を磁場センサの外側に伝達するステップと
をさらに含み得る。
【0024】
本発明の別の態様を理解することに有用な別の例によれば、磁場センサは、
第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信することと、
第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信することと、
第1のブリッジ信号および第2のブリッジ信号からブリッジ分離を決定することと、
ブリッジ分離の関数をしきいと比較することと、
比較することに応答して、エラーを指し示す、または、ノーエラーを指し示すエラー信号を生成することと
を行うように構成される、1つまたは複数の回路モジュールを含み得る。
【0025】
一部の実施形態において、上記の磁場センサは、任意の組合せで、後に続く態様のうちの1つまたは複数を含み得る。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、1つまたは複数の回路モジュールは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
出力信号を磁場センサ上のピンに伝達することと
を行うようにさらに構成される。
【0026】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第1のフルブリッジ回路は、
第1の磁場に応答的な、第1の2つの磁気抵抗素子と、
第1の磁場に、実質的に、応答性が低い、または、応答的でない、第1の2つのダミー磁気抵抗素子と
を備える。
【0027】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第1の2つの磁場感知素子は、第1の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第2のフルブリッジ回路は、
第2の磁場に応答的な、第2の2つの磁気抵抗素子と、
第2の磁場に、実質的に、応答性が低い、または、応答的でない、第2の2つのダミー磁気抵抗素子と
を備える。
【0028】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第2の2つの磁場感知素子は、第2の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなり、複数の細いストリップの各々は、500ナノメートル未満の基板に平行な最も短い寸法を有する。
【0029】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、1つまたは複数の回路モジュールは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
出力信号を磁場センサ上のピンに伝達することと
を行うようにさらに構成される。
【0030】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、ブリッジ分離を決定することは、第1のブリッジ信号を第2のブリッジ信号により除算すること、または、第2のブリッジ信号を第1のブリッジ信号により除算することを含む。
【0031】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、1つまたは複数の回路モジュールは、
ブリッジ分離マイナス1の絶対値がしきいより大であることに応答して、第1の状態を伴うエラー信号を生成することと、
ブリッジ分離マイナス1の絶対値がしきい以下であることに応答して、第1の状態とは異なる第2の状態を伴うエラー信号を生成することと
を行うようにさらに構成される。
【0032】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、1つまたは複数の回路モジュールは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
出力信号を磁場センサ上のピンに伝達することと
を行うようにさらに構成される。
【0033】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、ブリッジ分離を決定することは、第1および第2のブリッジ信号を減算することを含む。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、1つまたは複数の回路モジュールは、
ブリッジ分離の絶対値がしきいより大であることに応答して、第1の状態を伴うエラー信号を生成することと、
ブリッジ分離の絶対値がしきい以下であることに応答して、第1の状態とは異なる第2の状態を伴うエラー信号を生成することと
を行うようにさらに構成される。
【0034】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、1つまたは複数の回路モジュールは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成することと、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成することと、
出力信号を磁場センサ上のピンに伝達することと
を行うようにさらに構成される。
【0035】
本発明の別の態様を理解することに有用な別の例によれば、磁場センサは、第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するための手段を含み得る。磁場センサは、さらには、第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するための手段を含み得る。磁場センサは、さらには、第1のブリッジ信号および第2のブリッジ信号からブリッジ分離を決定するための手段を含み得る。磁場センサは、さらには、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するための手段を含み得る。磁場センサは、さらには、比較することに応答して、エラーを指し示す、または、ノーエラーを指し示すエラー信号を生成するための手段を含み得る。
【0036】
一部の実施形態において、上記の磁場センサは、任意の組合せで、後に続く態様のうちの1つまたは複数を含み得る。
一部の実施形態において、上記の磁場センサは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
出力信号を磁場センサ上のピンに伝達することと
をさらに含み得る。
【0037】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第1のフルブリッジ回路は、
第1の磁場に応答的な、第1の2つの磁気抵抗素子と、
第1の磁場に、実質的に、応答性が低い、または、応答的でない、第1の2つのダミー磁気抵抗素子と
を備える。
【0038】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第1の2つの磁場感知素子は、第1の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第2のフルブリッジ回路は、
第2の磁場に応答的な、第2の2つの磁気抵抗素子と、
第2の磁場に、実質的に、応答性が低い、または、応答的でない、第2の2つのダミー磁気抵抗素子と
を備える。
【0039】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第2の2つの磁場感知素子は、第2の2つの巨大磁気抵抗(GMR)素子を備える。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、第1の2つのダミー磁気抵抗素子、および、第2の2つのダミー磁気抵抗素子は、各々、並列に結合される複数の細いストリップの磁気抵抗素子層からなり、複数の細いストリップの各々は、500ナノメートル未満の基板に平行な最も短い寸法を有する。
【0040】
一部の実施形態において、上記の磁場センサは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
出力信号を磁場センサの外側に伝達するための手段と
をさらに含み得る。
【0041】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、ブリッジ分離を決定するための手段は、第1のブリッジ信号を第2のブリッジ信号により除算すること、または、第2のブリッジ信号を第1のブリッジ信号により除算することを含む。
【0042】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するための手段は、
ブリッジ分離マイナス1の絶対値がしきいより大であることに応答して、第1の状態を伴うエラー信号を生成するための手段と、
ブリッジ分離マイナス1の絶対値がしきい以下であることに応答して、第1の状態とは異なる第2の状態を伴うエラー信号を生成するための手段と
を備える。
【0043】
一部の実施形態において、上記の磁場センサは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
出力信号を磁場センサの外側に伝達するための手段と
をさらに含み得る。
【0044】
上記の磁場センサの一部の実施形態において、ブリッジ分離を決定するための手段は、第1のブリッジ信号および第2のブリッジ信号を減算することを含む。
上記の磁場センサの一部の実施形態において、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するための手段は、
ブリッジ分離の絶対値がしきいより大であることに応答して、第1の状態を伴うエラー信号を生成するための手段と、
ブリッジ分離の絶対値がしきい以下であることに応答して、第1の状態とは異なる第2の状態を伴うエラー信号を生成するための手段と
を備える。
【0045】
一部の実施形態において、上記の磁場センサは、
エラー信号がエラー状況を指し示すことに応答して、第1の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
エラー信号がエラー状況を指し示さないことに応答して、第1の信号特性とは異なる第2の信号特性を有する出力信号を生成するための手段と、
出力信号を磁場センサの外側に伝達するための手段と
をさらに含み得る。
【0046】
本発明の別の態様を理解することに有用な別の例、磁場センサ内に実行可能命令を記憶するための非一時的機械可読記憶媒体によれば、命令は、第1のフルブリッジ回路により生成された第1のブリッジ信号を受信するための命令を含み得る。命令は、さらには、第2のフルブリッジ回路により生成された第2のブリッジ信号を受信するための命令を含み得る。命令は、さらには、第1のブリッジ信号および第2のブリッジ信号からブリッジ分離を決定するための命令を含み得る。命令は、さらには、ブリッジ分離の関数をしきいと比較するための命令を含み得る。命令は、さらには、比較することに応答して、エラーを指し示す、または、ノーエラーを指し示すエラー信号を生成するための命令を含み得る。
【0047】
本発明の上述の特徴、および、本発明それ自体は、図面の、後に続く詳細な説明から、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】回転するように動作可能な歯車に近接する例示的なバックバイアス磁場センサを示すブロック線図である。
図2】回転するように動作可能なリング磁石に近接する例示的な磁場センサを示すブロック線図である。
図3】4つの磁気抵抗素子を有しており、動くように動作可能なターゲット物体に近接する、例示的な磁場センサを示すブロック線図である。
図4】フルブリッジ配置構成で結合される4つの磁気抵抗素子を示す概略線図である。
図5】2つのフルブリッジ配置構成で結合される4つの磁気抵抗素子を示す概略線図である。
図6図4のフルブリッジ配置構成から信号を受信する従来技術磁場センサを示すブロック線図である。
図7図4のフルブリッジ配置構成から信号を受信する別の従来技術磁場センサを示すブロック線図である。
図8図5の2つのフルブリッジ配置構成それぞれから2つの信号を受信する、ブリッジ分離決定モジュールと関数/しきい値モジュールとを有する、例示的な磁場センサを示すブロック線図である。
図9図5の2つのフルブリッジ配置構成それぞれから2つの信号を受信する、ブリッジ分離決定モジュールと関数/しきい値モジュールとを有する、別の例示的な磁場センサを示すブロック線図である。
図10図8および9の磁場センサにより使用される例示的な方法を示すフローチャートである。
図11図8および9の磁場センサにより使用される別の例示的な方法を示すフローチャートである。
図12図8および9の例示的な磁場センサにおいて使用される信号およびウィンドウを示す、ならびに、図10および11の方法を示すグラフである。
図13】非応答的(ダミー)磁気抵抗素子のブロック線図である。
図14図10の方法を生成するために使用され得るコンピュータのブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明を説明する前に、言及が、時折、本明細書において、個別の形状を有する(例えば、ヨーク形状の、または、ピラー形状の)GMRまたはTMR素子に対して行われるということが留意されるべきである。しかしながら、当業者は、本明細書において説明される技法は、種々のサイズおよび形状に適用可能であるということを察知するであろう。
【0050】
本明細書において使用される際、用語「磁場感知素子」は、磁場を感知することができる種々の異なるタイプの電子素子を説明するために使用される。磁気抵抗素子は、磁場感知素子の、ほんの1つのタイプである。
【0051】
知られているように、異なるタイプの磁気抵抗素子、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、および、さらには磁気トンネル接合(MTJ)素子と呼ばれるトンネリング磁気抵抗(TMR)素子がある。
【0052】
知られているように、金属系または金属性磁気抵抗素子(例えば、GMR、TMR、AMR)は、基板に平行な感度の軸を有する傾向がある。
本明細書において使用される際、用語「磁場センサ」は、一般的には他の回路との組合せで、磁場感知素子を使用する回路を説明するために使用される。磁場センサは、磁場の方向の角度を感知する角度センサ、電流搬送導体により搬送される電流により生成される磁場を感知する電流センサ、強磁性物体の近接度を感知する磁気スイッチ、磁場センサがバックバイアスまたは他の磁石との組合せで使用される場合の、通過する強磁性物品、例えばリング磁石または強磁性ターゲット(例えば、歯車の歯)の磁区を感知する回転検出器、および、磁場の磁場密度を感知する磁場センサを含むが、それらに制限されない、種々の用途において使用される。
【0053】
用語「平行」および「直交」は、本明細書において、様々な文脈において使用される。用語、平行および直交は、厳密な直交性または厳密な平行性を要するのではなく、代わりに、通常の製造公差が適用されるということが意図され、それらの公差は、用語が使用される文脈に依存するということが理解されるべきである。一部の実例において、用語「実質的に」は、用語「平行」または「直交」を修飾するために使用される。一般的に、用語「実質的に」の使用は、例えば+/-10度内の製造公差を超える角度を反映する。
【0054】
本明細書において使用される際、用語「プロセッサ」は、機能、動作、または、動作のシーケンスを遂行する電子回路を説明するために使用される。機能、動作、または、動作のシーケンスは、電子回路内へとハードコーディングされ、または、メモリデバイス内で保持される命令としてソフトコーディングされ得る。「プロセッサ」は、デジタル値を使用して、または、アナログ信号を使用して、機能、動作、または、動作のシーケンスを遂行することができる。
【0055】
一部の実施形態において、「プロセッサ」は、特定用途向け集積回路(ASIC)の形で実施され得るものであり、そのASICは、アナログASICまたはデジタルASICであり得る。一部の実施形態において、「プロセッサ」は、関連付けられるプログラムメモリを伴うマイクロプロセッサの形で実施され得る。一部の実施形態において、「プロセッサ」は、アナログまたはデジタルであり得るディスクリート電子回路の形で実施され得る。
【0056】
本明細書において使用される際、用語「モジュール」は、「プロセッサ」を説明するために使用される。
プロセッサは、プロセッサの機能、動作、または、動作のシーケンスの幾分かを遂行する、内部プロセッサまたは内部モジュールを内蔵し得る。同様に、モジュールは、モジュールの機能、動作、または、動作のシーケンスの幾分かを遂行する、内部プロセッサまたは内部モジュールを内蔵し得る。
【0057】
本明細書においての図において示される電子回路は、アナログブロックまたはデジタルブロックの形式で示されることがあるが、アナログブロックは、同じまたは同様の機能を遂行するデジタルブロックにより置換され得るものであり、デジタルブロックは、同じまたは同様の機能を遂行するアナログブロックにより置換され得るということが理解されるであろう。アナログ-デジタルまたはデジタル-アナログ変換は、図において明示的に示されないことがあるが、理解されるべきである。
【0058】
特に、いわゆる比較器は、入力信号がしきい値レベルより上または下であることを指し示す(または、1つの入力信号が別の入力信号より上もしくは下であることを指し示す)2状態出力信号を有するアナログ比較器からなり得ることが理解されるべきである。しかしながら、比較器は、さらには、入力信号がしきい値レベルより上もしくは下であることを指し示す(または、1つの入力信号が別の入力信号より上もしくは下であることを指し示す)少なくとも2つの状態それぞれ、または、デジタルしきいより上もしくは下のデジタル値(または、別のデジタル値)それぞれを伴う出力信号を有するデジタル回路からなることがある。
【0059】
本明細書において使用される際、用語「あらかじめ決定された」は、値または信号を指すときは、製造の時点で工場において、または、その後、外部手段、例えばプログラミングにより、セットまたは固定される、値または信号を指すために使用される。本明細書において使用される際、用語「決定される」は、値または信号を指すときは、製造の後、動作の間に回路により識別される、値または信号を指すために使用される。
【0060】
本明細書において使用される際、用語「能動電子構成要素」は、少なくとも1つのp-n接合を有する電子構成要素を説明するために使用される。トランジスタ、ダイオード、および論理ゲートは、能動電子構成要素の例である。対照的に、本明細書において使用される際、用語「受動電子構成要素」は、少なくとも1つのp-n接合を有さない電子構成要素を説明するために使用される。コンデンサおよび抵抗器は、受動電子構成要素の例である。
【0061】
本明細書において使用される際、用語「増幅器」は、1より大の、1未満の、または、1に等しい利得を伴う回路素子を説明するために使用される。
GMR素子が、本明細書においての例において使用されることがあるが、同じ概念が、図13において下記で示される個別の構造を除いて、TMR素子に適用される。
【0062】
図1を今から参照すると、磁場センサ100は、歯車の歯、例えば、歯車の歯122a、122b、122cを有する歯車122に応答的である。歯車122は、強磁性歯車、すなわち、強磁性歯を有する強磁性ターゲット物体、さらには強磁性物体であり、本明細書においてターゲット特徴部と呼称され得る。磁場センサ100は、主表面102aを伴う基板102を含み得る。
【0063】
磁場センサ100は、基板102の主表面102a上に配設される、磁場感知素子104、例えば磁気抵抗素子を含み得る。磁場感知素子104のさらなる詳細は、下記で説明される。しかしながら、ここでは、磁場感知素子104は、少なくとも2つの磁気抵抗素子を含み得るということを言うにとどめる。
【0064】
磁場感知素子104は、さらには基板102の主表面102a上に配設される電子回路114に結合され、または、その電子回路114の中にあり得る。
磁場センサ100は、さらには、磁石112を含み得る。磁石112は、全体的には磁場感知素子104の位置において軸108に沿って方向設定される、および、全体的には基板102の主表面102aに平行である、磁場を生成するように構成される。
【0065】
磁場感知素子104は、基板102の主表面102aに平行なそれぞれの最大応答軸を有する。一部の実施形態において、最大応答軸は、互いに平行である。一部の実施形態において、最大応答軸は、軸108に実質的に平行である。他の実施形態において、最大応答軸は、軸108と実質的に直交する。
【0066】
基板の主表面102aと直交する(すなわち、ページ内への)線は、磁石112と交差し、歯車122と交差しない。さらにまた、一部の実施形態において、磁場感知素子104は、磁場感知素子104の間の(すなわち、それらの磁場感知素子104を通過する)軸(例えば、108)が歯車122と交差しないような位置において配設される。一部の実施形態において、磁場感知素子104の間の(すなわち、それらの磁場感知素子104を通過する)軸(例えば、108)は、歯車122の動きの方向、例えば126に対する接線110に実質的に平行である。
【0067】
示される実施形態において、磁石112の北(N)極と南(S)極との間の線は、基板102の主表面102aに実質的に平行であり、磁場感知素子104、例えば2つの磁場感知素子の間の(すなわち、それらの磁場感知素子104を通過する)軸(例えば、108)と実質的に直交する。一部の実施形態において、磁石112の北極と南極との間の線は、歯車122と交差する。
【0068】
電子回路114は、出力信号(示されない)を生成するように構成される。例示の電子回路114が、図8および9と関連して下記で説明される。
出力信号は、歯車122が回転しているとき、歯車122の回転のスピードを指し示す。磁場センサ100は、歯検出機能を提供することができる。
【0069】
磁石112は、1つの均一の材料からなることがあり、中央コアを有さないことがある。しかしながら、他の実施形態において、磁石112は、中央コアを有することがある。そのような中央コアは、軸124とそろえられる軸を有し得る。
【0070】
磁場センサ100は、性能の悪化を伴わずに、示される位置の他に、方向116で次の位置へと360度回転させられ得る。しかしながら、中間の回転は、性能の悪化を結果的に生じさせ得る。
【0071】
磁場センサ100は、性能の実質的な悪化なしに、近似的に+/-20度まで、線124に沿ったどこかに回転の中心を伴い矢印118の方向で回転させられ得る。
図1の同類の要素が同類の参照名称を有する図2を今から参照すると、磁場センサ200は、図1の磁場センサ100の素子を含み得るが、磁石106を伴わない。磁場センサ200は、極、例えば202aを有するリング磁石202に応答的であり得る。
【0072】
図3を今から参照すると、磁場センサ300は、主表面302aを有する基板300を含み得る。磁気抵抗素子304、306、308、310が、表面302aの上、上方、または中に配設され得る。磁気抵抗素子304、306、308、310の中心は、直線314に沿って配設され得る。磁気抵抗素子304、306、308、310は、線314に平行なそれぞれの最大応答軸を各々が有する、第1の対の近接する磁気抵抗素子304、306、および、第2の対の近接する磁気抵抗素子308、310として配置構成され得る。第1の対の磁気抵抗素子304、306の中心は、第2の対の磁気抵抗素子308、310の中心から距離316だけ分離され得る。
【0073】
第1の対の磁気抵抗素子304、306は、第1のフルブリッジにおいて(図5において下記で示される)2つの固定抵抗器とともに結合され得るものであり、第2の対の磁気抵抗素子308、310は、第2のフルブリッジにおいて(図5において下記で示される)別の2つの固定抵抗器とともに結合され得る。2つのブリッジは、下記で図5と関連して下記で説明される2つのブリッジと同じまたは同様であり得る。
【0074】
上記の固定抵抗器は、好ましくは、4つの磁気抵抗素子304、306、308、310の温度係数と整合する温度係数を有する抵抗器である。そのような抵抗器を有することは、ブリッジ配置構成の温度に起因するDCオフセットドリフトを低減する、または消失させることができる。この最終目的に対して、固定抵抗器は、4つの磁気抵抗素子304、306、308、310と同様であるが、磁場に対して応答を有さない、もしくは、非常にわずかな応答を有する、非応答的磁気抵抗素子の一部分、または、それらの非応答的磁気抵抗素子のすべてとして製作され得る。非応答的磁気抵抗素子は、さらには、本明細書においてダミー磁気抵抗素子と呼称される。
【0075】
本明細書において使用される際、用語「非応答的」は、応答を有さないこと、または、通常の応答から大幅に低減される応答、すなわち、実質的に、より少ない応答を有することを説明するために使用され得る。
【0076】
一部の実施形態において、非応答的磁気抵抗素子は、2010年8月17日に発行された米国特許第7,777,607号においてのように、自由層を伴わずに製作され得るものであり、その米国特許は、本発明の譲受人に譲渡されており、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。一部の他の実施形態において、非応答的磁気抵抗素子は、磁気抵抗素子304、306、308、310と同じ層を有するように完全に製作され得るが、それらの非応答的磁気抵抗素子に対して、磁場への応答が、いくつかの手立てのうちの1つで損なわれ得る。例えば、磁気抵抗素子の応答は、a)非応答的磁気抵抗素子においてのイオン注入の手立てにより、b)エレクトロマイグレーションを結果的に生じさせるのに十分な大きい電流を、非応答的磁気抵抗素子を通して駆動することの手立てにより、または、c)図13と関連して下記で説明されるように並列に結合される、磁気抵抗素子304、306、308、310のヨークもしくはストリップより細い、複数の細いヨークもしくはストリップの磁気抵抗素子材料として非応答的磁気抵抗素子を形成することの手立てにより損なわれ得る。
【0077】
磁場センサは、さらには、磁気抵抗素子304、306、308、310に結合される、および、基板302の表面302aの上、下方、または中に配設される、電子回路312を含み得る。例示的な電子回路が、図8および9と関連して下記で説明される。
【0078】
磁場センサは、矢印320により表される2つの方向の1つ、または、それらの2つの方向の両方で動くように動作可能なターゲット物体318の運動のスピードを感知するように動作可能であり得る。
【0079】
一部の配置構成において、ターゲット物体318は、図1の歯車122と同類の強磁性歯車であり得るものであり、その事例において、歯車は、複数の歯318aと、複数の谷318bとを有し得る。
【0080】
他の配置構成において、ターゲット物体318は、図2のリグ磁石202と同類のリング磁石であり得るものであり、その事例において、リング磁石は、複数の北極318aと、複数の南極318bとを有し得る。
【0081】
歯または北極、および、谷または南極は、矢印322、324それぞれにより例示される幅を有し得る。一部の実施形態において、距離316は、幅322、324と同じであり得る。しかしながら、距離316は、幅322、324の2分の1から、幅322、324の1と2分の1の間であり得る。
【0082】
第1の対の磁気抵抗素子304、306、および、第2の対の磁気抵抗素子308、310が差動的に考慮されるとき、磁場センサは、第1および第2の対がターゲット物体318の特徴部の間のエッジ、例えば326にまたがるときに最大出力を有し得るということが察知されるべきである。かくして、磁場センサは、いわゆる「エッジ検出器」であり得る。
【0083】
図4を今から参照すると、フルブリッジ配置構成400は、図3の4つの磁気抵抗素子304、306、308、310それぞれと同じまたは同様であり得る、および、同様にA、B、C、Dと標示される、4つの磁気抵抗素子404、406、408、410を含み得る。フルブリッジ配置構成は、電圧源402と、基準電圧、例えば接地との間に結合され得る。フルブリッジ配置構成は、第1の対の磁気抵抗素子404、406と、第2の対の磁気抵抗素子408、410との間の差動関係性を有する、さらには信号VPと呼称される、差動信号412a、412bを提供する。
【0084】
フルブリッジ配置構成400は、対A、BまたはC、Bのうちの1つが飽和の様態にあるか、それとも両方の対がそうであるかを区別することができない。
図5を今から参照すると、第1および第2のフルブリッジ配置構成500a、500bそれぞれは、図3の4つの磁気抵抗素子304、306、308、310それぞれと同じまたは同様であり得る、および、同様にA、B、C、Dと標示される、4つの磁気抵抗素子504、506、508、510を含み得る。第1のフルブリッジ配置構成502aは、さらには第1および第2の固定抵抗器512、514それぞれを含み得るものであり、第2のフルブリッジ配置構成500bは、第3および第4の固定抵抗器518、520それぞれを含み得る。
【0085】
第1、第2、第3、および第4の固定抵抗器512、514、518、520それぞれは、温度補償される通常の抵抗器、または、図3と関連して上記で、および、図13と関連して下記で説明される非応答的磁気抵抗素子のいずれかであり得る。
【0086】
他の実施形態において、第1、第2、第3、および第4の固定抵抗器512、514、518、520は、それぞれの能動磁気抵抗素子により置換され得るが、4つの磁気抵抗素子504、506、508、510とは異なる方向に固定化され得るものであり、そのことは、それぞれの最大応答軸が、4つの磁気抵抗素子504、506、508、510の最大応答軸とは、例えばそれらの磁気抵抗素子504、506、508、510の最大応答軸に相対的に180度、異なる方向を向くことを結果的に生じさせる。
【0087】
第1のフルブリッジ配置構成500aは、第1の対の磁気抵抗素子504、506により、すなわち、図3の第1の対の磁気抵抗素子304、306により遭遇される磁場を指し示す、さらには信号V1と呼称される、第1の差動信号516a、516bを生成するように動作可能であり得る。第2のフルブリッジ配置構成500bは、第2の対の磁気抵抗素子508、510により、すなわち、図3の第2の対の磁気抵抗素子308、310により遭遇される磁場を指し示す、さらには信号V2と呼称される、第2の差動信号522a、522bを生成するように動作可能であり得る。
【0088】
第1の差動信号516a、516b、または、第2の差動信号522a、522bのどちらも、それぞれ、第1および第2の対の磁気抵抗素子により生成される信号の間の差を指し示さないということが理解されるべきである。しかしながら、第1および第2の差動信号516a、516bまたは522a、522bは、図3と関連して上記で説明されたエッジ検出器を生成するために、やはり差をとられ得る。
【0089】
図4のフルブリッジ配置構成400とは違い、フルブリッジ配置構成500a、500bは、対A、BまたはC、Bのうちの1つが飽和の様態にあるか、それとも両方の対がそうであるかを区別することができる。
【0090】
図6を今から参照すると、電子回路600は、図4において上記で示された信号VPを受信するための差動増幅器602(自動利得制御を伴う、または伴わない)を含み得るものであり、増幅された信号602aを生成するように動作可能であり得る。
【0091】
モジュール604は、増幅された信号602aを受信するために結合される比較器608を含み得る。モジュール604は、さらには、増幅された信号602aを受信するために結合される、しきい値またはピーク検出器606を含み得る。
【0092】
動作において、しきい値またはピーク検出器は、しきい値信号を生成し得る。しきい値またはピーク検出器606は、本明細書において、より完全には説明されない。様々なタイプのしきい値検出器およびピーク検出器が知られている。しきい値検出器は、増幅された信号602aのピークツーピーク値のパーセンテージとして、しきい値信号606aを生成し得るということを言うにとどめる。対照的に、ピーク検出器は、増幅された信号;602aの、正ピークより下の、および/または、負ピークより上の、あらかじめ決定された量として、しきい値信号606aを生成し得る。比較器608は、さらには、しきい値信号606aを受信するために結合され得る。
【0093】
比較器608は、2状態信号として比較信号608aを生成し得るものであり、その2状態信号に対して、周波数は、ターゲット物体の特徴部、例えば、歯車の歯または極が電子回路600のそばを通過するレートを指し示す。かくして、比較信号608aは、さらには、ターゲット物体の回転のスピードを指し示す。
【0094】
出力フォーマットモジュール610は、比較信号608aを受信し得るものであり、さらにはターゲット物体の回転のスピードを指し示すフォーマットされた信号610aを生成し得る。フォーマットされた信号610aは、SENT、I2C、PWM、または、任意のシリアルデジタルフォーマットを含むが、それらに制限されない、種々のフォーマットのうちの1つでのものであり得る。
【0095】
図7を今から参照すると、電子回路700は、図4において上記で示された信号VPを受信するための差動増幅器702(自動利得制御を伴う、または伴わない)を含み得るものであり、増幅された信号702aを生成するように動作可能であり得る。
【0096】
モジュール704は、増幅された信号702aを受信するために結合される比較器708を含み得る。比較器708は、さらには、しきい値信号706aを受信するために結合され得る。図6の電子回路600とは違い、しきい値信号706aは、固定しきい値モジュール706により生成される、固定された、および、あらかじめ決定された値を有し得る。
【0097】
比較器708は、2状態信号として比較信号708aを生成し得るものであり、その2状態信号に対して、周波数は、ターゲット物体の特徴部、例えば、歯車の歯または極が電子回路700のそばを通過するレートを指し示す。かくして、比較信号708aは、さらには、ターゲット物体の回転のスピードを指し示す。
【0098】
出力フォーマットモジュール710は、比較信号708aを受信し得るものであり、さらにはターゲット物体の回転のスピードを指し示すフォーマットされた信号710aを生成し得る。フォーマットされた信号710aは、SENT、I2C、PWM、または、任意のシリアルデジタルフォーマットを含むが、それらに制限されない、種々のフォーマットのうちの1つでのものであり得る。
【0099】
図6の同類の要素が同類の参照名称を有する図8を今から参照すると、図3の電子回路312と同類であり得る電子回路800は、図5において上記で示された信号V1を受信するための第1の差動増幅器802(自動利得制御を伴う、または伴わない)を含み得るものであり、さらには本明細書においてUleft信号と呼称される第1の増幅された信号802aを生成するように動作可能であり得る。第2の差動増幅器804(自動利得制御を伴う、または伴わない)は、図5において上記で示された信号V2を受信し得るものであり、さらには本明細書においてUright信号と呼称される第2の増幅された信号804aを生成するように動作可能であり得る。
【0100】
第3の差動増幅器806は、第1および第2の増幅された信号802a、804aを受信し得るものであり、第3の増幅された信号806aを生成するように動作可能であり得る。第3の増幅された信号806aは、信号V1とV2との間の差、または、信号UleftとUrightとの間の差、すなわちUleft-Urightを指し示し得るということが理解されるべきである。
【0101】
電子回路800は、さらには、第1および第2の増幅された信号802a、804aを受信するために結合され、第1の増幅された信号802aと第2の増幅された信号804aとの間の比を指し示す、さらには本明細書においてBR信号または値と呼称される、ブリッジ分離信号または値816aを生成するように動作可能なブリッジ分離決定モジュール816を含み得る。
【0102】
電子回路800は、さらには、ブリッジ分離信号816aを受信するために結合され、エラー/ノーエラー信号818aを生成するように動作可能な関数/しきい値モジュール818を含み得る。エラー/ノーエラー信号818aは、エラー状況を指し示す、または、ノーエラー状況を指し示す2状態信号であり得る。
【0103】
モジュール822は、図6のモジュール604と同じまたは同様であり得るものであり、第3の増幅された信号806aを受信するために結合され得る。モジュール604の全体的な動作は、図6と関連して上記で説明されている。ここでは、しかしながら、一部の実施形態において、モジュール822は、エラー/ノーエラー信号818aを受信するための入力ノードを含み得るものであり、エラー/ノーエラー信号818aがエラー状況を指し示すときに、モジュール822の動作を効果的に停止させることができる。
【0104】
モジュール822は、図6の比較信号608aと同じまたは同様であり得る比較信号820を生成するように動作可能であり得る。
出力フォーマットモジュール814は、図6の出力フォーマットモジュール610と同様であり得る。ここでは、しかしながら、出力フォーマットモジュール814は、エラー/ノーエラー信号818aを受信するための入力ノードを含み得る。エラー/ノーエラー信号818aの応答において、出力フォーマットモジュール814は、エラー状況を指し示すエラー/ノーエラー信号818aに応答して、フォーマットされた信号814aの挙動を変化させるように動作可能であり得る。例えば、一部の実施形態において、出力フォーマットモジュール814は、フォーマットされた信号814aが、エラー/ノーエラー信号818aがエラー状況を指し示すことに応答して非活動的になることを引き起こし得る。
【0105】
動作において、ブリッジ分離信号816aは、比形式、例えば、第1の増幅された信号802aおよび第2の増幅された信号804aの比を有し得る。信号V1またはV2が飽和の様態にないとき、すなわち、信号V1またはV2を生成する磁気抵抗素子が飽和の様態にないとき、ブリッジ分離信号816aが1に近いということが察知されるべきである。しかしながら、信号V1もしくはV2を生成するための磁気抵抗素子の1つ、または、それらの磁気抵抗素子の両方が飽和の様態にあるとき、ブリッジ分離信号816aは、1の値から外れる。
【0106】
信号V1またはV2のいずれかが飽和の様態にあるときはいつも、第3の増幅された信号806aは、正しくない信号であり得るものであり、電子回路800は、ターゲット物体の回転のスピードを指し示さない比較信号604aを生成し得るということが理解されるべきである。本質的には、第3の増幅された信号806aは、2つの対A、BおよびC、D(図5)の磁気抵抗素子により感知される共通磁場のコモンモード除去を失い得る。この状況(エラー状況)にあるとき、比較信号604aは、正しくない時間において、または、ターゲット物体が動いていないときでさえ、状態遷移を有し得る。
【0107】
エラー状況を引き起こす外部磁場は、ターゲット物体、例えばリング磁石により生成される磁場を超える外部磁場に起因して発生し得る。しかしながら、エラー状況は、さらには、部分的に、または総合的に、ターゲット物体に起因して、および、ターゲット物体が動いている、または動いていないときに発生し得る。エラー状況は、ターゲット物体のすべての回転において、または、ターゲット物体の一部の回転においてのみで発生し得る。
【0108】
一部の実施形態において、ブリッジ分離決定モジュール816は、ブリッジ比、BRを識別し得る。
BR=Uleft/Uright(またはUright/Uleft) (1)
上式において、BRは、さらにはブリッジ比、BRと呼称される、ブリッジ分離信号または値816aである。
【0109】
一部の実施形態において、関数/しきい値モジュール818は、関数、fを生成し得る。
f=|BR-1| (2)
上式において、バーティカルバーは絶対値を指し示す。
【0110】
ブリッジ比、BRが1の付近であるとき、関数、fは0の付近であるということは明らかであるはずである。信号V1またはV2を生成する磁気抵抗素子が飽和の様態にあるかどうかを識別するために、しきい値が、関数、fに適用され得る。
【0111】
f>P (3)
上式において、Pは、あらかじめ決定されたしきい値、または、しきいであり得る。
【0112】
一部の他の実施形態において、ブリッジ分離決定モジュール816は、ブリッジ差、BDを識別し得る。
BD=Uleft-Uright (4)
上式において、BDは、ブリッジ分離信号または値816a、すなわち、ブリッジ差信号、BDである。
【0113】
一部の実施形態において、関数/しきい値モジュール818は、関数、gを生成し得る。
g=|B| (5)
上式において、バーティカルバーは絶対値を指し示す。
【0114】
信号V1またはV2を生成する磁気抵抗素子が飽和の様態にあるかどうかを識別するために、しきい値Qが、関数、gに適用され得る。
g>Q (6)
上式において、Qは、上記のしきい値Pとは異なる、異なるあらかじめ決定されたしきい値、または、しきいであり得る。
【0115】
上記の関数およびしきい値は、図10および11と関連して下記で再び説明される。
図7の同類の要素が同類の参照名称を有する図9を今から参照すると、図3の電子回路312と同類であり得る電子回路900は、図5において上記で示された信号V1を受信するための第1の差動増幅器902(自動利得制御を伴う、または伴わない)を含み得るものであり、さらには本明細書においてUleft信号と呼称される第1の増幅された信号902aを生成するように動作可能であり得る。第2の差動増幅器904(自動利得制御を伴う、または伴わない)は、図5において上記で示された信号V2を受信し得るものであり、さらには本明細書においてUright信号と呼称される第2の増幅された信号904aを生成するように動作可能であり得る。
【0116】
第3の差動増幅器906は、第1および第2の増幅された信号902a、904aを受信し得るものであり、第3の増幅された信号906aを生成するように動作可能であり得る。第3の増幅された信号906aは、信号V1とV2との間の差、または、信号UleftとUrightとの間の差、すなわちUleft-Urightを指し示し得るということが理解されるべきである。
【0117】
電子回路900は、さらには、第1および第2の増幅された信号902a、904aを受信するために結合され、上記の式(1)または(4)による、第1の増幅された信号902aと第2の増幅された信号904aとの間の分離を指し示す、さらには本明細書においてブリッジ比、BR、信号もしくは値、または代替的には、ブリッジ差、BD、信号もしくは値と呼称される、ブリッジ分離信号または値916aを生成するように動作可能なブリッジ分離決定モジュール916を含み得る。
【0118】
電子回路900は、さらには、ブリッジ分離信号916aを受信するために結合され、エラー/ノーエラー信号918aを生成するように動作可能な関数/しきい値モジュール918を含み得る。エラー/ノーエラー信号918aは、エラー状況を指し示す、または、ノーエラー状況を指し示す2状態信号であり得る。
【0119】
モジュール922は、図7のモジュール704と同じまたは同様であり得るものであり、第3の増幅された信号906aを受信するために結合され得る。モジュール704の全体的な動作は、図7と関連して上記で説明されている。ここでは、しかしながら、一部の実施形態において、モジュール922は、エラー/ノーエラー信号918aを受信するための入力ノードを含み得るものであり、エラー/ノーエラー信号918aがエラー状況を指し示すときに、モジュール922の動作を効果的に停止させることができる。
【0120】
モジュール922は、図7の比較信号708aと同じまたは同様であり得る2状態比較信号920を生成するように動作可能であり得る。
出力フォーマットモジュール914は、図7の出力フォーマットモジュール710と同様であり得る。ここでは、しかしながら、出力フォーマットモジュール914は、エラー/ノーエラー信号918aを受信するための入力ノードを含み得る。エラー/ノーエラー信号918aの応答において、出力フォーマットモジュール914は、エラー状況を指し示すエラー/ノーエラー信号918aに応答して、フォーマットされた信号914aの挙動を変化させるように動作可能であり得る。例えば、一部の実施形態において、出力フォーマットモジュール914は、フォーマットされた信号914aが、エラー/ノーエラー信号918aがエラー状況を指し示すことに応答して非活動的になることを引き起こし得る。
【0121】
ブリッジ分離決定モジュール916の、および、関数/しきい値モジュール918の動作は、図8の同様のモジュール816、818と関連して上記で説明された動作と同じまたは同様であり得る。
【0122】
図10および11は、磁場センサ(図8および9)において実現されることになる、下記の思索される技法に対応するフローチャートを示すということが察知されるべきである。本明細書において「処理ブロック」と表象される矩形要素(図10において要素1002により典型的に表される)は、コンピュータソフトウェア命令、または、命令の群を表す。本明細書において「判断ブロック」と表象される菱形状の要素(図10において要素1008により典型的に表される)は、処理ブロックにより表されるコンピュータソフトウェア命令の実行に影響を及ぼす、コンピュータソフトウェア命令、または、命令の群を表す。
【0123】
代替的には、処理および判断ブロックは、デジタル信号プロセッサ回路または特定用途向け集積回路(ASIC)などの機能的に等価な回路により遂行されるステップを表す。フロー線図は、任意の個別のプログラミング言語の構文を図示しない。むしろ、フロー線図は、当業者が、個別の装置の要される処理を遂行するために、回路を製作するために、または、コンピュータソフトウェアを生成するために要する機能的情報を例示する。ループおよび変数の初期化、ならびに、一時変数の使用などの、多くのルーチンプログラム要素は示されないということが留意されるべきである。本明細書において別段に指示されない限り、説明されるブロックの個別のシーケンスは、単に例示的であり、本発明の趣旨から逸脱することなく変動させられ得るということが当業者により察知されるであろう。かくして、別段に説述されない限り、下記で説明されるブロックは、順序付けされないものであり、そのことは、可能であるとき、ステップは任意の好都合な、または望ましい順序で遂行され得るということを意味する。
【0124】
図10を今から参照すると、方法1000は、図8および9の磁場センサ800および900により使用され得る。
ブロック1002において、図8または9のブリッジ分離決定モジュール816または916のうちの1つは、図8または9の、左ブリッジ信号、Uleft、例えば、増幅された信号802a、または、増幅された信号902aを受信する。
【0125】
ブロック1004において、図8または9のブリッジ分離決定モジュール816または916のうちの1つは、図8または9の、右ブリッジ信号、Uright、例えば、増幅された信号804a、または、増幅された信号904aを受信する。
【0126】
ブロック1006において、図8または9のブリッジ分離決定モジュール816または916のうちの1つは、上記の式(1)によって、ブリッジ比、BRをUleft/Uright(またはUright/Uright)として決定し得る。
【0127】
ブロック1008において、図8または9の関数/しきい値モジュール818または918のうちの1つは、上記の式(2)によって、ブリッジ比を関数、f:f=|BR-1|において使用し得るものであり、上記の式(3)によって、関数をしきい値Pに、f>Pとして適用し得る。
【0128】
ブロック1008において、fがPより大であるならば、図8または9のエラー/ノーエラー信号818aまたは918aは、ブロック1010においてエラー状況にセットされ、プロセスはブロック1002に戻る。ブロック1008において、fがPより大でないならば、図8または9のエラー/ノーエラー信号818aまたは918aは、ブロック1012においてノーエラー状況にセットされ、プロセスはブロック1002に戻る。
【0129】
ブロック1010において生成されるエラー状況は、ターゲット物体のすべての回転に対して静的に、ターゲット物体が回転する際にランダムに断続的に、または、ターゲット物体が回転する際に周期的に発生し得る。すべての局面において、図8または9の磁場センサ800または900は、エラー状況の間、ターゲット物体の通過する特徴部のエッジを指し示すための、フォーマットされた信号814aまたは914aを生成すべきではない。かくして、エッジの誤った指し示しが回避され得る。
【0130】
図11を今から参照すると、方法1100は、図8および9の磁場センサ800および900により使用され得る。
ブロック1102において、図8または9のブリッジ分離決定モジュール816または916のうちの1つは、図8または9の、左ブリッジ信号、Uleft、例えば、増幅された信号802a、または、増幅された信号902aを受信する。
【0131】
ブロック1104において、図8または9のブリッジ分離決定モジュール816または916のうちの1つは、図8または9の、右ブリッジ信号、Uright、例えば、増幅された信号804a、または、増幅された信号904aを受信する。
【0132】
ブロック1106において、図8または9のブリッジ分離決定モジュール816または916のうちの1つは、上記の式(4)によって、ブリッジ差、BDをUleft/-Urightとして決定し得る。
【0133】
ブロック1108において、図8または9の関数/しきい値モジュール818または918のうちの1つは、上記の式(5)によって、ブリッジ差を関数、g:g=|BD|において使用し得るものであり、上記の式(6)によって、関数をしきい値Qに、g<Qとして適用し得る。
【0134】
ブロック1108において、gがQより大であるならば、図8または9のエラー/ノーエラー信号818aまたは918aは、ブロック1110においてエラー状況にセットされ、プロセスはブロック1102に戻る。ブロック1108において、gがQより大でないならば、図8または9のエラー/ノーエラー信号818aまたは918aは、ブロック1112においてノーエラー状況にセットされ、プロセスはブロック1102に戻る。
【0135】
ブロック1112において生成されるエラー状況は、ターゲット物体のすべての回転に対して静的に、ターゲット物体が回転する際にランダムに断続的に、または、ターゲット物体が回転する際に周期的に発生し得る。すべての局面において、図8または9の磁場センサ800または900は、エラー状況の間、ターゲット物体の通過する特徴部のエッジを指し示すための、フォーマットされた信号814aまたは914aを生成すべきではない。かくして、エッジの誤った指し示しが回避され得る。
【0136】
2つのプロセスが、図10および11と関連して説明されるが、Uleft信号とUright信号との間の分離を識別することができる他のプロセスが可能である。
図12を今から参照すると、グラフ1200は、任意の単位での、ターゲット物体、例えば図6の318の回転の角度の単位でのスケールを伴う水平軸と、任意の単位での、電圧でのスケールを伴う垂直軸とを有し得る。
【0137】
第1の信号1202は、図3の磁場センサ300が、図3の回転する、または動くターゲット物体318の存在下にあるときの、図8および9それぞれのUleft信号802a、902aと同じまたは同様であり得る。
【0138】
第2の信号1204は、図8および9それぞれのUright信号804a、904aと同じまたは同様であり得る。
信号1202、1204は、磁気抵抗素子304、306および308、310の対の間の距離316に起因する相対位相差を有する。
【0139】
信号1206は、Uleft信号1202とUright信号1204との間の差を指し示し、図8および9それぞれの信号806a、906aと同じまたは同様であり得る。
囲み1208、1210は、UleftおよびUright信号1202、1204の領域である。領域は、Uleft信号1202およびUright信号1204が、互いのあらかじめ決定された距離の中にあることを指し示す。例えば、上記の式(3)および(6)を確認されたい。
【0140】
囲み1212および1214は、囲み1208、1210それぞれと同じ角度幅であり、囲み1208、1210それぞれとそろう。
点1202a、1204aは、信号1202、1203それぞれの、ほんの1つの点を指し示す。式(1)による点1202a、1204aの値の比、または、式(4)による点1202a、1204aの値の差のいずれかが、図10または11それぞれのプロセスにおいて使用され得る。信号1202、1204上の後続の点(示されない)が、プロセスの間使用され得る。
【0141】
図10および11の方法の目的のために、ブリッジ信号UleftおよびUright(1202、1204)は、エラー状況の検出のために別個に考慮されるが、UleftおよびUright信号は、2状態比較信号820、920を生成するために、図8または9の第3の差動増幅器806、906により組み合わされる、信号1206を生成するために組み合わされるということが察知されるべきである。
【0142】
図8および9と関連して上記で説明されたように、モジュール822、922の中の比較器は、比較信号806a、906a(すなわち、信号1206)を、より多くのしきい値のうちの1つと比較して、2状態比較信号820、920を生成することができる。よって、囲み1212、1214は、比較信号820、920が、通常に状態を変化させることになる、および、エラー/ノーエラー信号818a、918aが、ノーエラー状況を指し示す状態を有する、信号1206の領域を指し示す。ブリッジ分離決定モジュール816、916および関数/しきい値モジュール818、918の動作、ならびに、図10のプロセス1000または図11のプロセス1100を使用することにより、一部の実施形態において、比較信号820、920は、信号1202、1204の任意のものが式(3)または(6)の状況に達するときに、状態を変化させることを可能とされない。換言すれば、点1202a、1204aが遠く隔たることを引き起こすエラー状況があるならば、エラー/ノーエラー信号818a、918aは、エラー状況を指し示す状態をとることになる。
【0143】
図13を今から参照し、図4と関連して上記で説明された非応答的磁気抵抗素子を参照すると、非応答的磁気抵抗素子1300は、複数の細いストリップの磁気抵抗素子層、例えばストリップ1310を含み得る。細いストリップは、駆動電流が、並列なすべてのストリップを通って流れるように、接触部1304、1306の間に結合され得る。従来のGMR素子において使用される、より太いストリップより高い抵抗を有する、細いストリップは、並列に結合されるとき、従来のGMR素子のものと同様の全抵抗および温度係数を有し得る。しかしながら、ストリップの細い性質に起因して、細いストリップの中の反磁場が、非応答的磁気抵抗素子1300の感度があればそれを低減し得るものであり、すなわち、非応答的磁気抵抗素子1300の自由層内の磁場が、外部磁場に応答して回転する能力を低減し得る。
【0144】
一部の実施形態において、細いストリップは、各々、上に細いストリップが形成される基板に平行な方向で、1ミクロン以下の幅(最も短い寸法)を有する。他の実施形態において、細いストリップは、各々、500ナノメートル以下の幅を有する。他の実施形態において、細いストリップは、各々、200ナノメートル以下の幅を有する。
【0145】
一部の実施形態において、非応答的磁気抵抗素子1300は、さらには、端部ストリップ1308と、端部ストリップ1314とを含み得る。端部ストリップ1308、1314は、非応答的磁気抵抗素子1300の、より良好なリソグラフィ処理を提供し得る。
【0146】
細いストリップは、伸長された長さを伴って高い信頼性で製造するのが困難であり得る。かくして、一部の実施形態において、各々が複数の細いストリップを伴う、複数の非応答的磁気抵抗素子1300は、ブリッジ、例えば図5のブリッジ500a、500bにおいて一体で使用される能動磁気抵抗素子の抵抗に近似的に等しい、所望される全抵抗を達成するために、直列に結合され得る。
【0147】
図4と関連して上記で説明されたように、他の技法、および、他の構造が、非応答的磁気抵抗素子を生成するために使用され得る。
図1を今から参照すると、例示的なコンピュータシステム100は、コンピュータバス106を含み得る。プロセッサ102および揮発性メモリ104が、コンピュータバス106に結合され得る。不揮発性メモリ108、例えばハードドライブまたはEEPROMは、各々がコンピュータバス106に結合される、コンピュータ命令110と、オペレーティングシステム112と、データメモリ114とを含み得る。
【0148】
図8および9の上記の磁場センサ800、900の一部の実施形態において、磁場センサの一部分、例えば、ブリッジ分離決定モジュール816、916、および/または、関数/しきい値モジュール818、918は、コンピュータ命令1内のソフトウェア命令の中に記憶され得る。
【0149】
本明細書において引用されるすべての参照文献は、ここに、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本発明の好まれる実施形態を説明したことで、これらの概念を組み込む他の実施形態が使用され得るということが、今や、当業者には明らかになるであろう。加うるに、本発明の一部分として含まれるソフトウェアが、コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品の形で実施され得る。例えば、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、乗って記憶されるコンピュータ可読プログラムコードセグメントを有する、ハードドライブデバイス、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、またはコンピュータディスケットなどの、コンピュータ可読メモリデバイスを含み得る。用語、コンピュータ可読記憶媒体は、一時的信号を含まない。本明細書において使用される際、用語「非一時的」は、データが一時記憶され得るコンピュータ可読記憶媒体を排除しない。対照的に、コンピュータ可読伝送媒体は、デジタルまたはアナログ信号として乗って搬送されるプログラムコードセグメントを有する、光学、有線、またはワイヤレスのいずれかの通信リンクを含み得る。よって、本発明は、説明される実施形態に制限されるべきではなく、むしろ、単に、添付される特許請求の範囲の趣旨および範囲により制限されるべきであるということが提言される。本明細書において引用されるすべての刊行物および参照文献は、明確に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0150】
本明細書において説明される実施形態の要素は、上記で具体的に論述されない他の実施形態を形成するために組み合わされ得る。単一の実施形態の文脈において説明される様々な要素は、さらには、別個に、または、任意の適した副組合せで提供され得る。本明細書において具体的に説明されない他の実施形態が、さらには、後に続く特許請求の範囲の、範囲の中にある。
図1
図2
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図7
図8
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図10
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図14