(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】キャビティを有する部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/04 20060101AFI20231207BHJP
H02K 3/22 20060101ALN20231207BHJP
H02K 15/04 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
H01F41/04 E
H02K3/22
H02K15/04 A
(21)【出願番号】P 2020538577
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2019050468
(87)【国際公開番号】W WO2019137972
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102018200505.2
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504174917
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュペヒト ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ホイザー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルヒャルト マルテ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェストマン フランツ-ヨーゼフ
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116964(JP,A)
【文献】米国特許第03946349(US,A)
【文献】実開昭54-141383(JP,U)
【文献】特開昭60-190317(JP,A)
【文献】特開2017-155271(JP,A)
【文献】特開2016-062701(JP,A)
【文献】特表2011-513589(JP,A)
【文献】特開2004-349140(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013010229(DE,A1)
【文献】特開2005-145012(JP,A)
【文献】特開平02-073311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H02K 3/22
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有する導電性部品(5)の製造方法であって、
導電性材料からなる荷重支持液密層(5)は、溶解可能な基板(1)に塗布され、
特に、前記荷重支持液密層(5)の厚さは、3μmより大きく、特に20μmより大きく、
前記荷重支持液密層(5)は、前記基板(1)が液密方法で前記荷重支持液密層(5)によって覆われ、その後、前記基板(1)が取り除かれ、少なくとも部分的に除去されるように、塗布され、
前記基板(1)は、前記荷重支持液密層(5)が塗布された後、前記荷重支持液密層(5)と共に曲げられることによって変形され、その後、前記基板は、少なくとも部分的に除去され
、
前記荷重支持液密層が塗布された後、前記基板(1)及び前記荷重支持液密層(5)を備える半製品は、コイル形状に変形され、その後、押圧され、利用可能な設置空間にコイル体を調整し、前記コイル体の巻線から巻線までの平面接触を達成すること、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記荷重支持液密層(5)は、20mm未満、特に5mm未満の厚さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は、ストランド形状設計を有し、前記荷重支持液密層(5)は、前記基板(1)の外側面に全ての側面で塗布され、その結果、前記基板の前記外側面は、液密方法で覆われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記荷重支持液密層(5)は、粒子を塗布することによって、前記基板(1)に塗布されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記基板(1)は、少なくとも部分的に導電性材料からなり、特に、金属若しくは導電性プラスチック材料からなり、又は、導電性粒子で満たされた電気絶縁材料からなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
導電性部材からなる前記基板の一部を除く前記基板(1)は、少なくとも部分的に電気絶縁材料、特に、プラスチック材料、ワックス、セラミック材料、又は、熱可塑性材料からなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板(1)は、前記荷重支持液密層が塗布される前に、特にマイクロ粒子若しくはナノ粒子の形状で、導電性プレコーティング物質、特に金属で、又は、特にグラファイト若しくはカーボンナノチューブ形状で、導電性プラスチック材料若しくはカーボンでプレコーティングされることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記荷重支持液密層(5)は、ガルバニック方法、特に、電気化学若しくは無電解方法、PVDコーティング方法、又は、CVDコーティング方法によって、前記基板(1)に塗布されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記荷重支持液密層(5)は、プラズマスプレープロセスによって、又は、前記基板を溶融金属に浸すことによって、前記基板(1)に塗布されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記荷重支持液密層(5)は、全ての側面で前記基板を液密方法で囲むように、前記基板(1)に塗布されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板(1)は、焼失、溶剤への溶解、機械破砕、化学分解、溶解、蒸発、又は、昇華によって、前記荷重支持液密層(5)から取り除かれ、少なくとも部分的に除去されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板は螺旋状基板であり、前記螺旋状基板は、前記荷重支持液密層が塗布される前、前記螺旋状基板の長手方向に作成され、拡張され、前記荷重支持液密層は、そこに設けられることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ストランド形状の導電体として設計された多数の前記導電性部品は、互いに、前記基板と共に捻じられ、表皮硬化の低減、特に、導電体/導電性部品の互いに対する絶縁を捻じりの前又は後に達成することを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板(1)は、前記基板の表面に接着し、前記基板(1)への前記荷重支持液密層(5)の堆積及び/又は接着を可能又は容易にする特性を有する材料でコーティングされた金型に注がれることを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学の分野に属し、導電性中空部品の製造に関する。本発明は、電気工学の分野に特に有利に適用可能である。重要な用途は、例えば、導電体及び特にコイルのような冷却された受動電気部品の製造である。このようなコイルは、例えば、インバータ給電気モーターの製造に使用され得る。このようなコイルの製造中に中空導体を使用することができる場合、効率的な冷却が可能である。これにより、非常に高い電流密度を達成することができる。しかしながら、本発明の使用は、例えば、駆動装置又は発電機に限定されるのではなく、本発明を高周波回路用のチョークコイルのような他の要素に使用することも可能である。中空導電性部品を使用する場合の特別な特徴は、そこで内部冷却を実施できることである。しかしながら、そのような部品は、特に小さいサイズ及び/又は薄い壁断面が達成される場合、製造が複雑である。複雑な形状において、このような部品の製造は、従来、付加的製造プロセス(3D印刷)によってのみ可能であった。
【背景技術】
【0002】
EP0091352B1から、ストレート金属半導体の製造方法が知られている。この方法では、基板が複数の金属層でコーティングされ、溶解され、その結果、残りのコーティングは導波管を形成する。
【0003】
EP0216421A1から、導光体の製造方法が知られている。この方法では、最初に、コアとして機能する基板がコーティングされ、その後、コーティングから除去される。この目的のために、プロセスにおいて、基板は、その長手方向に引き伸ばされ、それによって、横方向の基板の断面寸法を減少させる。
【0004】
EP0129453B1から、金属中空導体の製造方法が知られている。この方法では、最初にコアが真鍮層でコーティングされ、その後、銀層及び銅層でコーティングされ、その後、コア及び真鍮層が溶解される。
【0005】
US2004/0036569A1から、半導体ウエハ上又は中に中空導体を備える高周波モジュールの形成が知られている。
【0006】
DE3508794C2から、射出成形金型における射出成形体の製造が知られている。この製造では、金型がコーティングされ、コーティングが成形部品に移される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の背景に対して、本発明の目的は、キャビティを有する導電性部品の製造方法を創出することであり、これにより、複雑な形状を少ない労力及びコストで製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の本発明の特徴によって、導電性部品の製造方法によって達成される。請求項2~12は、本方法の有利な実施形態を表す。
【0009】
さらに、本発明は、本発明による方法において使用するための可溶性基板の製造方法に関する。
【0010】
したがって、本発明は、キャビティを有する導電性部品の製造方法に関する。
【0011】
この目的は、導電性材料からなる荷重支持流体密封層を可溶性基板に塗布することにより達成される。ここで、流体密封層は、特に3μmより大きく、特に20μmより大きい層厚を有し、基板が流体密封方法で層によって覆われ、その後、基板が溶解され、少なくとも部分的に除去されるように、塗布される。
【0012】
導電性材料を基板に塗布することによって、塗布される層の厚さ及び材料構造を広い範囲内で設計することができる。例えば、達成不可能であるか、又は、従来の金属鋳造プロセスを使用して非常に苦労してのみ達成可能な層厚を達成することが可能である。層を基板の表面に塗布することによって、簡単な塗布方法を使用して、アンダーカットを有する複雑な形状を達成することも可能である。そのような層で形成された部品におけるキャビティの幾何学設計は、基板の形状によって容易に行うことができる。この方法によって、作成される部品の閉じた外壁を形成する流体密封層が生成されることから、流体によってキャビティ内で効果的に冷却することができる。しかしながら、部品のキャビティの使用は、冷却に限定されず、キャビティ内に提供される流体によって、加熱、温度均一化、又は、材料輸送としての流体の伝導などのあらゆる種類の材料及び熱輸送を実施することも可能である。
【0013】
さらに、荷重支持流体密封層は、20mm未満、特に5mm未満の層厚で設けられても良い。
【0014】
特に、部品の薄い壁厚は、記載された方法によって良好に実施され得る。
【0015】
さらに、基板はストランド形状の設計を有してもよく、基板の外側面が流体密封方法で覆われるように、層は全ての側面で基板の外側面に塗布されてもよい。
【0016】
このようにして、ワイヤ状の中空部品を特に容易に製造するために、この方法を使用することができる。
【0017】
層を基板に塗布するために採用され得る異なる技術を使用して、薄層を所望の材料構造に形成することが可能である。その結果、部品のための必要な壁厚は、電流容量、流体密封、及び、機械的荷重支持量に関する要件によってのみ制限される。
【0018】
例えば、基板は、任意の断面を有するストランドとして設計され得る。コーティング方法を使用して、基板を全て側面で流体密封層によって覆うことができる。コーティングプロセスの前に、基板を最終コイル/螺旋の幾何学形状に配置することもでき、その後、コーティングすることもできる。予備幾何学形状は、巻き取りプロセスと同様に作成することもでき、弾性的に拡大又は拡張することも可能である。その結果、巻線は、互いに接触することはなく、コーティングされ得る。半製品を使用する成形プロセスによって、又は、熱溶解積層法(FDM)と同様のプロセスによって、予備幾何学形状を同様に作成することができる。この場合、基板材料は、ノズルによって、所望のコイルの形状又はおおよその形状に形成され、個々の巻線は互いに融合されない。さらに、このようにして形成された基板から作られたプレフォームは、すでに圧縮加工されているか、又は、後述の成形によって所望の最終輪郭に形成されていてもよい。その結果、単純な予備幾何学形状が基板に使用される場合、コイルの利用可能な設置スペースが高くなる。次いで、基板が溶解された後、管状部品が残る。基板の断面は、例えば、円形若しくは楕円形であってもよく、又は、長方形、正方形、三角形若しくは多角形であってもよい。例えば、部品がコイル形状に製造されるか、又は、さらに加工されると、多数の巻数を可能にする断面が適切な選択肢である。製造後、基板が除去される前又は基板が除去された後、例えば、曲げ又は巻き付けによって、部品をさらに成形することもできる。しかしながら、基板を既に意図された複雑な形状に製造することも可能である。その結果、後に使用される部品の3次元形状は、基板のコーティングによって既に事前に決定されている。
【0019】
ストランド形状の部品の製造中、コーティング装置によって基板を連続的に移動させ、そこで基板をコーティングすることによって、連続的な製造プロセスを提供することもできる。コーティング装置の通過後、コーティングされた基板は、基板が溶解される別の処理ステーションに入ってもよい。次のステーションでは、例えば、管状設計を有するストランド形状の本体を巻き取ることができる。
【0020】
本発明の一実施形態では、粒子を塗布することによって、荷重支持層を基板に塗布してもよい。このような粒子は、例えば、マイクロ粒子若しくはナノ粒子、又は、個々の原子、原子若しくは材料液滴のクラスタであってもよく、異なる方法を用いて基板の表面に適用される。これらの方法については、以下により詳細に説明する。
【0021】
本方法の一実施形態では、基板は、少なくとも部分的に、導電性材料、特に金属若しくは導電性プラスチック材料、又は、セラミック、ガラス、若しくはプラスチックなどの導電性粒子で充填された電気絶縁材料で作られていてもよい。
【0022】
基板の少なくとも部分的な導電性設計の結果として、ガルバニックメッキ法などのコーティング方法が可能であり、これを無電解方法で実施することができる。
【0023】
電流の生成、又は、基板への電圧の印加を必要とする他のコーティング方法は、基板の導電設計によって可能にすることができる。
【0024】
本発明による方法の一実施形態では、例えば、基板は、少なくとも部分的に、電気絶縁材料、特にプラスチック材料、ワックス、セラミック材料、又は、熱可塑性材料で作られてもよい。
【0025】
このようにして、基板を形成するために、一般的に容易に処理可能な材料から自由に選択することが可能である。
【0026】
この目的のために、荷重支持層が塗布される前、例えば、基板は、導電性プレコーティング物質、特にマイクロ粒子若しくはナノ粒子の形状の特に金属、又は、特にグラファイト若しくはカーボンナノチューブの形状の導電性プラスチック材料で予めコーティングされてもよい。
【0027】
このようなプレコーティングは、表面の導電性を確立する。その結果、全ての電気的又は電気的に補助されたコーティング方法が容易になるか又は可能になる。
【0028】
しかしながら、荷重支持層が塗布される前、基板は、必ずしも導電性ではないマイクロ粒子又はナノ粒子でコーティングされてもよい。このようにして、その後に塗布される荷重支持層の接着促進及び/又はそのような層の改善された成長を可能にすることができる。
【0029】
これは、また、電気的又は電気的に補助された方法以外の基板のためのコーティング方法を容易にする。
【0030】
適切なプレコーティングは、また、後述のステップにおいて、基板から生成された層の分離を容易にすることができる。
【0031】
また、荷重支持層が塗布される前、基板は、化学的にエッチングされてもよい。
【0032】
例えば、本発明によるコーティングのために、荷重支持層は、ガルバニック、特に電気化学的又は無電解方法によって、基板に塗布されてもよい。
【0033】
上述した方法の利点は、以下の通りである。
・様々な金属及び合金を使用可能である。
・異なる金属/合金を層状にできる。
・プロセスパラメータ時間、温度、電圧、電流、濃度等によって、層厚を制御することができる。
・化学的に純粋な金属の使用。
・無欠陥/低欠陥層の作成。
・複雑な構造のコーティング+均一コーティング(壁厚)。
【0034】
別の使用選択肢は、中空形状を破壊することなく、コーティングプロセス後に存在し、存在している内部に配置された基板と共に、中空導体を容易に形成できることである。結果として、複数の導体を転置/捻じる、次いで中空導体から基板を移動させることが可能になる。これにより、表皮効果による損失の少ない非常に高い周波数の導体が形成され、可能な内部冷却の結果として非常に高い電流密度が可能になる。
【0035】
代替として、荷重支持層は、PVDコーティングプロセスによって、基板に塗布されてもよい。
【0036】
このような物理蒸着(PVD)プロセスは、例えば、次の方法を含むことができる。後の堆積に伴う物質の熱蒸発、電子ビーム蒸発、レーザービーム蒸発、アーク蒸発、分子ビームエピタクシー。さらに、いわゆるスパッタリングは、出発材料がイオン衝撃によって噴霧され、気相に変換されるコーティング方法である。さらに、イオンビーム補助堆積、イオンプレーティング、及び、イオン化クラスタビーム堆積(ionized cluster beam deposition (ICBD))方法を用いることができる。
【0037】
原則的には、複数の層を連続的に塗布することも可能であり、これらの層は、後に、製造される中空部品の壁を形成することに留意されたい。例えば、第1の層は、導電性及び機械的安定性を保証し、一方、それに塗布された層は、流体密封性を保証すること、又は、その逆も考えられる。
【0038】
原理的には、荷重支持層は、CVDコーティングプロセスによって、基板に塗布されてもよい。
【0039】
化学蒸着(CVD)プロセスは、気相からの物質が基板に堆積され、そこで、それらが表面と化学的に反応する、又は、材料が表面に存在し、例えば、プレコーティングを行い、層を形成すると理解されるべきである。
【0040】
製造された部品の特別な形状を形成するために、例えば、荷重支持層は、全ての側面で基板を流体密封方法で取り囲むように基板に塗布されてもよい。
【0041】
全ての側面での流体密封性は、基板が実際に完全にコーティングによって囲まれ、密封されていることを意味すると理解されるべきである。しかしながら、特にストランド形状の基板の場合、基板の外側面は、流体密封方法で完全に密封され、一方、基板の少なくとも1つの端面又は複数の端面がコーティングされないままであってもよい。しかしながら、基板は、全ての側面で流体密封方法により最初にコーティングされ、その後、コーティングの一部は、その後の処理ステップで除去されることから、まず、基板を除去することによって、製造された部品にキャビティが形成され、流体を添加することによって、それを使用する。
【0042】
さらに、コーティング方法として、プラズマスプレープロセスによって、又は、基板を溶融金属に浸すことによって、荷重支持層を基板に塗布してもよい。
【0043】
原理的には、基板は、荷重支持導電層が塗布される前に変形される、又は、基板は、層が塗布された後に荷重支持導電層と共に変形されてもよい。これは、特に、基板が螺旋状又は螺旋の形状を有する場合に有益である。
【0044】
例えば、螺旋状又は螺旋形状の基板が作成され、導電性材料からなるコーティングが塗布される前、螺旋状/螺旋形状の長手方向に拡張され、特に拡張された形状において、導電性材料からなるコーティングが設けられてもよい。拡張された状態では、電気絶縁コーティングを、塗料、プラスチック材料、又は、金属酸化物からなる導電性コーティングに付加的に塗布することができる。その後、基板は、コーティングと共に、長手方向に圧縮されてもよく、又は、拡張が少なくとも部分的に弾性的に行われ、弾性基板の場合、基板の緩和によって螺旋の長手方向における少なくとも部分的に収縮した形状へ移行してもよい。このような手順は、例えば、非通電状態にある基板の個々の巻線間の距離が小さい場合、例えば、2mm未満又は1mm未満である場合に有益である。このようにして、隣接する巻線の電気接触を防止することができる。
【0045】
本方法の一実施形態では、例えば、荷重支持層が塗布された後、特に曲げられた後、基板は、荷重支持層と共に変形され、その後、基板は少なくとも部分的に除去されてもよい。変形の前、荷重支持導電層には、例えば、浸漬、噴霧、散布、スプレー若しくは粉末コーティングによって、又は、例えば反応物による化学処理による反応層、特に酸化物層を塗布することによって、電気的に絶縁するカバー層をさらに設けてもよい。
【0046】
部品を基板と共に変形させることによって、特に部品がストランド形状の中空導電体として設計される場合、例えば、曲げられている場合、部品の断面を特に安定した方法で維持することができる。
【0047】
また、コーティングが塗布された後、基板及びコーティングを備える半製品がコイル形状に変形され、その後、押圧され、利用可能な設置スペースにコイル本体を調整し、コイル本体の巻線の平面接触を達成する。
【0048】
さらに、ストランド形状の導体として設計された複数の導電性部品は、基板と共に互いに捻じられ(転置され)てもよく、表皮効果の低減を達成する。特に、導体/導電性部品の互いに対する絶縁が、捻じりの前又は後に行われる。
【0049】
荷重支持層から基板を除去するために、基板は、焼失、溶剤への溶解、機械破砕、化学分解、溶解、蒸発、又は、昇華によって、荷重支持層から分離され、少なくとも部分的に除去されてもよい。
【0050】
これは、後続のプロセスステップにおいて、基板が完全にコーティングされた後に又はコーティング処理後に連続的に部品が通過するプロセスステップにおいて、管などの連続部品の継続的な製造中に行われてもよい。また、基板は、部品の変形、例えば曲げの前又は後に除去され、最終形状を作成してもよい。
【0051】
上述の方法のうちの1つで使用するための基板を製造するための特別な方法では、基板は、型に注ぎ込まれてもよい。型は、基板の表面に接着し、基板上への荷重支持層の堆積及び/又は接着を可能にするか、又は、容易にするような特性を有する材料でコーティングされてもよい。
【0052】
原則として、上流の成形プロセスにおいて、単純又は複雑な形状でコアとして、基板を製造することもできる。成形技術からの既知の方法を使用することができる。記載されたタイプの基板に使用される金型のコーティングは、基板の表面にこのコーティングを転写することを可能にし、その後使用されるコーティング方法を容易にすることができる。
【0053】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1はストランド形状の基板を示す斜視図である。
【
図2】
図2はコーティングのプロセスを模式的に示している。
【
図3】
図3はコーティングされた基板を示す斜視図である。
【
図4】
図4は基板が除去された後に製造された部品を示す斜視図である。
【
図5】
図5は本発明による製造された管状部品の巻線を示している。
【
図6】
図6は基板の除去前に曲げられた部品を示している。
【
図7】
図7は拡張状態及び圧縮状態の螺旋状基板を示している。
【
図8】
図8は拡張状態及び圧縮状態の螺旋状基板を示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、本発明による方法の範囲内でコーティングされた円筒状のストランド形状の基板1を示す。基板1は、簡単な例であり、中空円筒状断面を有する中空巻線の製造に使用することができる。
【0056】
基板1は
図2に示されている。
図2において、矢印2、3、4は、粒子、例えば、原子、マイクロ粒子若しくはナノ粒子、又は、液滴が外側から基板1の表面に塗布されることを示している。この目的のために、基板は、任意に、導電性のプレコーティングを有し、例えば、電圧の印加を必要とする、又は、例えば、無電解ガルバニック堆積として機能するコーティング方法として使用することができる。
【0057】
図3は、塗布された荷重支持層5を備える基板1を示す。図は、模式的に示されており、層5の厚さ及び基板の直径に対する層厚の比率は、単なる一例として示されている。多くの場合、層/コーティング5の厚さは、基板1の直径よりも小さい。
【0058】
図4は、中空管5形状の最終製品を示す。
図4において、基板1は、液化、焼失、又は、他の方法での除去によって、層/コーティング5から分離されている。
【0059】
図5は、曲げられた管7からなる螺旋状コイル6を示す。
図5に示すように、これは、塗布された金属層を有する同様の形状の基板によって、曲げられた形状で製造され得る。しかしながら、拡張した直線状のストランド形状の基板を最初に使用し、それをコーティングし、それによって直線状の管を製造することも可能である。例えば、
図6に示すように、これは、コーティングされた基板と共に曲げられ得る。コーティングと共に基板を所望の形状にした後、基板を除去することができる。基板が存在する状態で製造された管状部品のこのような変形は、その中の基板によって支持される結果として、変形中に断面が維持され、管状部品の曲げを回避することができるという利点を有する。
図6は、任意に、点線形状であり、導電層5の絶縁コーティング8を示す。
【0060】
しかしながら、部品から基板を最初に取り除き、その後、中空部品を変形させることも考えられる。
【0061】
図7は、螺旋形状の基板を模式的に側面図で示す。
図7において、緩和状態では、個々の巻線9、10は、互いに近接して配置される。
図7は、コーティングプロセス前、引張力12、13によって螺旋の縦軸11に沿って基板が拡張されていることを示している。基板は、弾性材料、例えば、弾性重合体からなってもよい。
【0062】
図8は、コーティングプロセス後の螺旋を示す。
図8において、コーティングは、点線14によって模式的に示されている。コーティングは、導電性の荷重支持金属層から作ることができる。この金属層は、後に導電性部品を形成する。しかしながら、コーティングは、プラスチック材料、酸化物、又は、他の材料から作られた電気絶縁カバー層を備えてもよい。
図8は、長手方向における螺旋の圧縮状態を示す。
図8において、これは、引張力12、13が除去された後に、基板材料の緩和の結果として生じるか、又は、螺旋の長手方向における圧縮力15、16の適用によって能動的に達成される。
【0063】
以下、具体的な材料に基づいて2つの例示的な実施例について説明する。
【0064】
実施例1
成形によって複雑な構造を製造するのに適したワックスは、グラファイトと混合される。その結果、混合グラファイトの割合(例えば、1/1000 1/Ω*cm)によって制御できる混合物において導電率が達成される。抵抗は、基板に銅シースをガルバニック堆積するために十分小さくなるように選択される。ワックス状基板の表面構造は、グラファイトが混合される方法によっても影響され得る。基板の表面構造を構成することによって、例えば、特定の粗さ又は凹凸を設定することによって、この形状は、塗布層によって形成された部品の内面に転写される。その結果、中空部品を通る流体の流動挙動も決定することができる。
【0065】
硫酸銅溶液をガルバニック堆積に使用することができ、部品は陰分極される。堆積パラメータによって、銅シースの層厚は、数マイクロメートルから数ミリメートルまでの間の広い範囲で変えることができる。
【0066】
銅が堆積された後、基板のワックスは、120℃で溶解され、したがって、除去される。
【0067】
実施例2
基板の複雑な幾何学形状は、ワックス射出成形プロセス又は成形プロセスを使用して、最初にツールから製造することができる。射出成形プロセスの使用に加えて、代替的及び/又は追加的に切断プロセスも使用可能である。
【0068】
スパッタリングプロセスにおいて、このようにして形成された基板にプラチナ又はパラジウムの薄膜を設けることができ、基板の表面の導電率を生成する。その上に、基板を銅でガルバニコーティングすることができる。後続ステップにおいて、ワックス/基板を加熱によって部品から溶融させることができる。
【0069】
本発明は、内部中空空間及び複雑な形状を有する金属部品を製造することができる。この金属部品は、例えば、長手方向チャネル形状及び可変調整可能な壁厚を有する。金属コーティングは、最高純度の銅又はアルミニウムなどの純粋な金属を使用して実施することができる。その結果、最高の導電率レベルを達成することができる。このような材料は、とりわけ漏れにつながる可能性のある構造に損傷のリスクなしに、鋳造プロセス又は成形プロセスで容易に処理することができない。
【0070】
この方法によって、金属でコーティングされた工具をプロファイルワイヤーから製造することが可能であり、工具は、後続プロセスステップにおいて適切な寸法に切断され、コイルのような所望の幾何学形状に成形される。
【0071】
特に、内部冷却導電体の製造において、従来技術のコイル/巻線と比較して大幅に増加した電流密度を可能にするコイル又は巻線を製造することが可能である。これにより、例えば、増加したトルク密度を有する機械駆動を可能にすることができる。