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特許73983773D医用画像のジオメトリに従った、構造化された畳み込みを通したいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】3D医用画像のジオメトリに従った、構造化された畳み込みを通したいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセス
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/10 20170101AFI20231207BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20231207BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231207BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20231207BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20231207BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06T7/10
G06T1/00 290
G06T7/00 612
G06T7/00 350C
A61B6/03 360D
A61B6/03 360G
A61B6/03 360Q
A61B5/055 380
A61B8/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020538900
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019050542
(87)【国際公開番号】W WO2019137997
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】62/615,529
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515249134
【氏名又は名称】アンスティテュ・ドゥ・ルシェルシュ・シュール・レ・カンセール・ドゥ・ラパレイユ・ディジェスティフ-イ・エール・セ・ア・デ
(73)【特許権者】
【識別番号】520254196
【氏名又は名称】ビジブル・パシアン
(73)【特許権者】
【識別番号】520254200
【氏名又は名称】コンセルバトワール・ナショナル・デ・アーツ・エ・メティエ(セ・エヌ・ア・エム)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソレ,リュック
(72)【発明者】
【氏名】トム,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】オステトレ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】マレスコー,ジャック
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】Aliasghar Mortazi et al.,“Multi-Planar Deep Segmentation Networks for Cardiac Substructures from MRI and CT”,arXiv.org[online],2017年08月03日,pp.1-8
【文献】日朝祐太他,畳み込みニューラルネットワークを用いたCT画像からの股関節および大腿部の筋骨格領域自動抽出,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2017年10月30日,第117巻 第281号,pp.3-4
【文献】Seyed Sadegh MOHSENI SALEHI et al.,“Auto-Context Convolutional Neural Network (Auto-Net) for Brain Extraction in Magnetic Resonance Imaging”,IEEE Transactions on Medical Imaging,2017年11月,Vol. 36, No. 11,pp.2319-2330,DOI: 10.1109/TMI.2017.2721362
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 6/00 - 6/14
A61B 8/00 - 8/15
G06T 1/00
G06T 3/00 - 3/60
G06T 5/00 - 5/50
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N≧3であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワークすなわちCNNを結合し、画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できる構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを有する、全体的ソフトウェア手段または構成を用いることによる、対象物の3DのCTスキャン、MRIまたは超音波タイプの、ボクセルから構成される医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法であって、前記方法が、
N個の異なる再構築平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することにあり、各CNNが、1つの平面に属するボクセルの解析に割り振られていることと、
2つの連続する動作ステップの組み合わせであって、
第1のステップが、N個のセグメンテーションを行うことにあり、前記所与の平面の各々に属する全てのボクセルであって、2D医用画像のピクセルを形成する全てのボクセルにより形成される前記2D医用画像を、N個の提供されているCNNのうちそれぞれに専用のCNNを用いて、解析しセグメント化することにより、各セグメンテーションが、N個の異なる再構築平面のうちの1つに従って行われ、ならびに
第2のステップが、これらN個の互いに独立した2Dセグメンテーションの最後の結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一の3Dセグメンテーションに結合することにある、
2つの連続する動作ステップの組み合わせを主に含み、
自動セグメンテーション方法が、N個の逐次的な動作または画像処理ステップを行うことにあり、各ステップが、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化するCNNによって実施され、前記CNNの各CNNが、N個の異なるCNNの各々についての特定の再構築平面に従って、および、シーケンスにおける前のネットワークCNNi-1が存在する場合は、それによって提供される結果を用いることにより、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析することと
を特徴とする、自動セグメンテーション方法。
【請求項2】
N≧3であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワークすなわちCNNを結合し、画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できる構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを有する、全体的ソフトウェア手段または構成を用いることによる、対象物の3DのCTスキャン、MRIまたは超音波タイプの、ボクセルから構成される医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法であって、前記方法が、
N個の異なる再構築平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することにあり、各CNNが、1つの平面に属するボクセルの解析に割り振られていることと、
2つの連続する動作ステップの組み合わせであって、
第1のステップが、N個のセグメンテーションを行うことにあり、前記所与の平面の各々に属する全てのボクセルであって、2D医用画像のピクセルを形成する全てのボクセルにより形成される前記2D医用画像を、N個の提供されているCNNのうちそれぞれに専用のCNNを用いて、解析しセグメント化することにより、各セグメンテーションが、N個の異なる再構築平面のうちの1つに従って行われ、ならびに
第2のステップが、これらN個の互いに独立した2Dセグメンテーションの最後の結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一の3Dセグメンテーションに結合することにある、2つの連続する動作ステップの組み合わせを主に含み、
N個の平面が、矢状面(2)および前頭面または冠状面(3)、ならびに、矢状面および冠状面の交線を包含し、これらの平面に向かって前記線まわりに角度がシフトされた、横断面または軸平面(1)に垂直な少なくとも1つの他の平面を含むことと
を特徴とする、自動セグメンテーション方法。
【請求項3】
自動セグメンテーション方法が、単一のニューラルネットワークを提供することにあり、単一のニューラルネットワークが、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化する、有利には並列で動作する、N個の異なるCNNをその構造において統合していることと、各CNNが、異なる再構築平面に従って前記3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析することと、異なる2D解析およびセグメンテーションの結果が、前記ニューラルネットワークの一番終わりの構造における畳み込みを通して、構造化されたジオメトリと結合されることとを特徴とする、請求項1に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項4】
第1の動作ステップが、並列的または逐次的に動作するN個の異なるCNNにより実施され、これらCNNの各々が、互いに独立して、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化し、各CNNが、N個の異なるCNNの各々についての異なる再構築平面に従って、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析することを特徴とする、請求項1に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項5】
第1のステップのN個のセグメンテーションの結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一のセグメンテーションに結合することに専用の第2の動作ステップが、第1のステップのN個のセグメンテーションの間に全く同一のボクセルに割り当てられたN個のラベルの結合に対応するラベルを、画像ボリュームの各ボクセルに割り当てることにより実施されることを特徴とする、請求項1または4に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項6】
第1のステップのN個のセグメンテーションの結果を3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一のセグメンテーションに結合することに専用の第2の動作ステップが、第1のステップのN個のセグメンテーションの間に全く同一のボクセルに、およびそのボクセルの近傍のボクセルに割り当てられたN個のラベルの結合に対応するラベルを、画像ボリュームの各ボクセルに割り当てることにより実施されることを特徴とする、請求項1または4に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項7】
N≧3であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワークすなわちCNNを結合し、画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できる構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを有する、全体的ソフトウェア手段または構成を用いることによる、対象物の3DのCTスキャン、MRIまたは超音波タイプの、ボクセルから構成される医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法を行うためのシステムであって、前記方法が、
N個の異なる再構築平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することにあり、各CNNが、1つの平面に属するボクセルの解析に割り振られていることと、
2つの連続する動作ステップの組み合わせであって、
第1のステップが、N個のセグメンテーションを行うことにあり、前記所与の平面の各々に属する全てのボクセルであって、2D医用画像のピクセルを形成する全てのボクセルにより形成される前記2D医用画像を、N個の提供されているCNNのうちそれぞれに専用のCNNを用いて、解析しセグメント化することにより、各セグメンテーションが、N個の異なる再構築平面のうちの1つに従って行われ、ならびに
第2のステップが、これらN個の互いに独立した2Dセグメンテーションの最後の結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一の3Dセグメンテーションに結合することにある、2つの連続する動作ステップの組み合わせを主に含むことと
を特徴とし、
前記システムは、N≧3であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の逐次的または並列的な編成での協調動作を、構造化された構成においてホストし、可能とする少なくとも1つのコンピュータデバイスを含み、各CNNが、N個の異なる再構築平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することにより、すなわち、N個のセグメンテーションを行うことにより、処理される3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具のセグメンテーションを、自動的におよび他のCNNと独立して行うように適合されて構成されており、各セグメンテーションが、前記所与の平面の各々に属する全てのボクセルであって、2D医用画像のピクセルを形成する全てのボクセルにより形成される前記2D医用画像を、N個の提供されているCNNのうちそれぞれの専用のCNNを用いて、解析しセグメント化することにより、N個の異なる再構築平面のうちの1つに従って行われ、各CNNが、したがって、1つの平面に属するボクセルの解析に割り振られており、前記システムは、前記N個の異なるCNNにより行われた解析および2Dセグメンテーションの結果を結合する手段であって該結果を表示するための手段も含み、
N個の異なるCNNの各CNNが、N個の異なるCNNの各々についての特定の再構築平面に従って、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析し、前のネットワークCNNi-1が存在する場合は、それにより提供された結果を用いるように、前記N個の異なるCNNがシリアルアーキテクチャで構成されることを特徴とする、システム。
【請求項8】
N個の異なるCNNが単一のアルゴリズムフレームワーク内において、並列アーキテクチャで構成され、前記N個の異なるCNNの結果が、最終ステージで結合されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
対象物の3DのCTスキャン、MRIまたは超音波タイプの、ボクセルから構成される医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法であって、
前記方法は、
N>3であるN個の異なるCNNの畳み込みニューラルネットワークを結合する全体的ソフトウェア手段または構成を提供するステップと、
N個の異なる再構築平面に従って、3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析するステップであって、前記全体的ソフトウェア手段は、3D画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できるそのCNNの構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを示し、前記CNNの各1つは、前記N個の再構築平面のうちの1つの対応する再構築平面に属するボクセルの解析に割り当てられている、ステップとを含み、
前記方法はさらに、2つの連続する動作ステップの組み合わせであって、
N個のセグメンテーションプロシージャを行うステップであって、前記N個の再構築平面のうちの1つにそれぞれ属する3D画像の全てのボクセルであって、2D医用画像のピクセルを形成する3D画像の全てのボクセルにより形成される前記2D医用画像を、N個の提供されているCNNのうちそれぞれに専用のCNNを用いて、解析しセグメント化することにより、N個の2D医用画像のそれぞれにおいて見られる前記N個の2次元医用画像すべてについて、解剖学的および病理学的構造、または器具のセグメント化を達成するように、各セグメンテーションが、N個の異なる再構築平面のうちの1つに従って行われる、ステップと、
これらN個の互いに独立した2Dセグメンテーションの最後の結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一の3Dセグメンテーションに結合するステップと
を含み、
前記方法は、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造または器具を自動的にセグメント化する、有利には並列で動作する、N>3であるN個の異なるCNNをその構造において統合する単一のニューラルネットワークを提供するステップを含み、
各CNNは、異なる再構築平面に従って前記3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析し、異なる2D解析およびセグメンテーションの結果は、前記ニューラルネットワークの一番終わりの構造における畳み込みを通して、構造化ジオメトリと結合され、
第1のステップのN個のセグメンテーションの結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一のセグメンテーションに結合することに専用の第2の動作ステップは、第1のステップのN個のセグメンテーションの間に全く同一のボクセルと、そのボクセルに隣接するボクセルとに割り当てられたN個のラベルの結合に対応するラベルを、画像ボリュームの各ボクセルに割り当てることにより実施されること
を特徴とする、自動セグメンテーション方法。
【請求項10】
対象物の、ボクセルから構成される3D医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法であって、
前記方法は、
N>3であるN個の異なるCNNの畳み込みニューラルネットワークを結合する全体的ソフトウェア手段または構成であって、画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できる構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを有する全体的ソフトウェア手段または構成を提供するステップと
N個の異なる再構築軸または平面に従って、3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析するステップであって、
各CNNが、1つの軸または平面に属するボクセルの解析に割り振られている、ステップと、
を含み、
方法はさらに、3D画像のN個の再構築平面のそれぞれについて、所与の平面のボクセルによって形成される2D画像を、N>3であるN個の提供されたCNNのうちの専用のCNNを用いて、解析しセグメント化するステップであって、前記CNNが、前記3D画像ボリュームと同様に構造化されたステップと、前記異なるCNNによって行なわれた前記N個の解析の中間のまたは最後の結果を結合するステップとを含み、
前記方法はさらに、N個の逐次的な動作ステップまたは画像処理ステップを行うことをさらに含み、
各ステップは、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化するCNNによって実施され、
前記CNNの各CNNが、N個の異なるCNNの各々について特定の再構築平面に従って、および、シーケンスにおける前のネットワークCNNi-1が存在する場合は、それによって提供される結果を用いることにより、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析すること
を特徴とする、自動セグメンテーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理の分野、より詳細には画像の処理および解析、特に医用画像のセグメンテーションに関連し、3D医用画像のジオメトリまたは構造化に従った、構造化された畳み込みを通した、1つまたはいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、MRI、超音波、CTまたはSPECタイプの画像のような医用イメージングデバイスから作られる3次元画像は、3D画像の基本単位であるボクセルのセットから構成される。ボクセルは、2D画像の基本単位であるピクセルを3Dに拡張したものである。各ボクセルは、2D関数F(x,y)または3D関数F(x,y,z)の結果と考えることができるグレーレベルまたは濃さと関連付けられ、ここでx、yおよびzは空間座標を表す(図1参照)。
【0003】
3D画像において、ボクセルは、様々な軸または平面に従って、2Dにて見られ得る。医用画像における3つの主要な軸または平面は、軸平面、矢状面および前頭面である(図2)。しかし、異なる角度を付けることで、無数の軸または平面が作り出され得る。
【0004】
典型的には、2Dまたは3Dの医用画像は、臨床医が状態を評価するため、ならびに治療戦略を確定し計画するために描出する必要のある解剖学的および病理学的な構造物(器官、骨、組織、・・・)または人工的な要素(ステント、インプラント、器具、・・・)のセットを含む。この点において、器官および病変が画像内で識別される必要があり、これは、2D画像の各ピクセルまたは3D画像の各ボクセルをラベル付け(例えば色付け)することを意味する。このプロセスはセグメンテーションと呼ばれる。
【0005】
図3は、横断面図による3D医用画像セグメンテーションの各ステージを例として示す。
【0006】
セグメンテーションを行うための方法は数多く知られており、特に、アルゴリズム、とりわけAIアルゴリズムを利用する自動的な方法がある。
【0007】
これに関して、最先端の技術では、ニューラルネットワークの多数のバリエーションが用いられている。これらは全て標準的で非特定的なアーキテクチャに基づいており、その結果として、全般的に、不適当なリソースの浪費と効率および正確性の欠如とを招いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、上述の制限を克服することが意図された新規な方法および新規なシステムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、対象物の、ボクセルから構成される3D医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法に関し、
前記方法は、
N≧2であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワークすなわちCNNを結合し、画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できる構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを有する、全体的(global)ソフトウェア手段または構成を提供することと、
N個の異なる再構築軸または平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することと
にあり、各CNNが、1つの軸または平面に属するボクセルの解析に割り振られていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スキャナ、MRI、超音波、CTまたはSPECタイプの画像のような医用イメージングデバイスから作られる3次元画像は、3D画像の基本単位であるボクセルのセットから構成され、ボクセルは、2D画像の基本単位であるピクセルを3Dに拡張したものであり、各ボクセルは、2D関数F(x,y)または3D関数F(x,y,z)の結果と考えることができるグレーレベルまたは濃さと関連付けられ、ここでx、yおよびzは空間座標を表す、ことを示す図である。
図2】3D画像において、ボクセルは、様々な軸または平面に従って、2Dにて見られ得、医用画像における3つの主要な軸または平面は、軸平面、矢状面および前頭面のそれであることを示す図である。
図3】横断面図による3D医用画像セグメンテーションの各ステージを例として示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態による3D画像の様々な解析の軸または平面を統合する独自の全体的CNNアルゴリズムの模式的で記号的表現であり、各軸または平面に特定のCNNが割り振られている。
図5】CNNのシリアルなまたは逐次的な構成を示す、本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
図6】CNNの並列的な構成を示す、本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
図7】CNNの並列的な構成を有する本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
図8】CNNの並列的な構成を有する本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
非限定的な例として示され、添付の図面を参照して説明される、いくつかの好適な実施形態に関する下記の説明を用いて、本発明がよりよく理解されるであろう。
【0012】
図4は、本発明の第1の実施形態による3D画像の様々な解析の軸または平面を統合する独自の全体的CNNアルゴリズムの模式的で記号的表現であり、各軸または平面に特定のCNNが割り振られている。
【0013】
図5は、CNNのシリアルなまたは逐次的な構成を示す、本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
【0014】
図6は、CNNの並列的な構成を示す、本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
【0015】
図7および8は、CNNの並列的な構成を有する本発明の他の実施形態の模式的で記号的表現である。
【0016】
添付の図面の図4から8に示しているのは、対象物の、ボクセルから構成される3D医用画像において視認可能な解剖学的および病理学的構造物または器具などの特徴の自動セグメンテーション方法である。
【0017】
本発明によれば、前記方法は、N≧2であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワークすなわちCNNを結合し、画像ボリュームのジオメトリまたはアーキテクチャに適合され比較できる構造化されたジオメトリまたはアーキテクチャを有する、全体的ソフトウェア手段または構成を提供することと、N個の異なる再構築軸または平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することとにあり、各CNNが、1つの軸または平面に属するボクセルの解析に割り振られている。
【0018】
よって、本発明は、医用画像のジオメトリ、構造化およびコンテンツそのものを考慮した複数のCNNの構造化された編成および共同での協調動作を提供する。
【0019】
3D画像ボリュームのN個の異なる再構築軸または平面に従ってN個の異なるCNN(N≧2、好ましくはN≧3)を結合するこの特定の複合計算システム(場合によっては単一のフレームワークにグループ化される)が、2D画像を解析しセグメント化するための知られているCNNの使用を3D画像に拡張することを可能とする。
【0020】
典型的には、本発明の方法およびシステムにおいて用いられ得る、知られているCNNアルゴリズムとして、「U-Net」がある(例えば:「U-Net: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation」、O. Ronnebergerら;MICCAI 2015、Part III、LNCS 3951、pp 234-‘’241、Springer IPSを参照)。
【0021】
「U-Net」は、「ResNet」または「DenseNet」などの他の知られているアーキテクチャと共に実現されてよい。
【0022】
有利には、本発明の方法は、図4から8にも示すように、3D画像のN個の再構築平面の各々について、N個の提供されているCNNのうち専用のCNNを用いて、所与の平面のボクセルにより形成された2D画像を解析しセグメント化することと、前記異なるCNNにより行われた前記N個の解析の中間または最後の結果を結合することとにあってよく、前記CNNは、3D画像ボリュームと同様に構造化されている。
【0023】
解析のために3D画像ボリュームをセグメント化すること、および、これらの部分的解析の結果を単一の3D画像セグメンテーションにマージ(結合)することにより、本発明は、限定されたリソースを用いて、複合的なセグメンテーションプロシージャを実現すること、および、正確で何らかの形で照合された結果を迅速に供給することを可能とする。
【0024】
N個の解析およびセグメンテーションの結果の結合またはマージは:
- 各ボクセルについて、N個のネットワークの中間活性値(intermediate activation)を結合すること(図4を参照。いわゆる「特徴結合(feature combination)」)。結果として得られるマージされた情報は、次いで、画像の最終的なセグメンテーションを提供する全体的CNNにより入力データとして受け取られる;
- 例えば分類器の(加重)合計、乗算または当業者に知られている他の適合された予測アンサンブリングオペレーション(adapted prediction ensembling operation)によって、N個の異なるCNNの出力情報を結合すること(図7および8を参照。後段での融合またはマージ)
によって行われてよい。
【0025】
図4に示す本発明の第1の実施形態によれば、方法は、単一のニューラルネットワークを提供することにあり得、単一のニューラルネットワークは、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化する、有利には並列で動作する、N個の異なるCNNをその構造において統合する。各CNNは、異なる再構築平面または軸に従って前記3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析し、異なる2D解析およびセグメンテーションの結果は、前記ニューラルネットワークの一番終わりの構造における畳み込みを通して、構造化されたジオメトリと結合される。
【0026】
この場合、そのように形成された単一のメタCNNの内部構造そのものが、3D軸の画像解析と、異なる2D解析およびセグメンテーションから得られた情報の結合とを、統合する。
【0027】
もちろん、そのような多重並列2D処理の結果の結合を伴うこれらの処理は、単一のフレームワークに統合されるのではなく、N個の独立したCNNの並列構成によって管理され得る(図6)。
【0028】
図5に示す本発明の第2の代替的実施形態によれば、方法はまた、N個の逐次的な動作または画像処理ステップを行うことにあり得る。各ステップは、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化するCNNによって実施され、前記CNNの各CNNは、N個の異なるCNNの各々についての特定の再構築平面に従って、および、シーケンスにおける前のネットワークCNNi-1が存在する場合は、それによって提供される結果を用いることにより、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析する。
【0029】
この場合、CNNの2D逐次的処理スキームは、アルゴリズムフレームワークの全体的アーキテクチャにおいて、またはCNN構成の構造化されたジオメトリにおいて統合され、よって、シーケンスの情報の最終的な結合は、前記フレームワークまたは構成の構造に本質的に統合される。
【0030】
図6から8に示す本発明の好適な実施形態に関して、セグメンテーション方法は主に、2つの連続する動作ステップの組み合わせにある。第1のステップは、N個のセグメンテーションを行うことにあり、各セグメンテーションは、N個の異なる再構築軸または平面のうちの1つに従って行われ、第2のステップは、これらN個のセグメンテーションの結果を、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一のセグメンテーションに結合することにある。
【0031】
有利には、第1の動作ステップは、並列的または逐次的に動作するN個の異なるCNNにより実施され、これらCNNの各々は、互いに独立して、3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を自動的にセグメント化し、各CNNは、N個の異なるCNNの各々についての異なる再構築平面に従って、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析する。
【0032】
図7に示す本発明の第1の代替的実施例によれば、第1のステップのN個のセグメンテーションの結果を3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一のセグメンテーションに結合することに専用される第2の動作ステップは、第1のステップのN個のセグメンテーションの間に全く同一のボクセルに割り当てられたN個のラベルの結合に対応するラベルを、画像ボリュームの各ボクセルに割り当てることにより実施される。
【0033】
図8に示す本発明の第2の代替的実施例によれば、第1のステップのN個のセグメンテーションの結果を3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具の単一のセグメンテーションに結合することに専用される第2の動作ステップは、第1のステップのN個のセグメンテーションの間に全く同一のボクセルに、およびそのボクセルの近傍のボクセルに割り当てられたN個のラベルの結合に対応するラベルを、画像ボリュームの各ボクセルに割り当てることにより実施される。
【0034】
3D画像ボリュームにおいて、所与のボクセルの近傍のボクセルは、3つの異なるボクセルグループ、すなわち(図8に示すように):
- 考慮されるボクセルと面同士が接する6つのボクセルのグループ;
- 考慮されるボクセルと面同士または辺同士が接する18個のボクセルのグループ;
- 上記の18個のボクセルのグループ、および考慮されるボクセルの角の先端と一点で接する8つのさらなるボクセルを含む26個のボクセルのグループ
に関するものであってよい。
【0035】
図4から8に示すように、(本発明の方法を実行するときに用いられる)N個の再構築平面は、好ましくは、矢状面2および前頭面または冠状面3、ならびに、矢状面および冠状面の交線を包含し、これらの平面に向かって前記線まわりに角度がシフトされた、横断面または軸平面1に垂直な少なくとも1つの他の平面を含む。
【0036】
上記に加えてまたは替えて、N個の再構築平面は:
- 矢状面2または冠状面3に平行な平面、および/または、
- 複数の互いに平行な軸平面1
を含んでもよい。
【0037】
本発明はまた、図4から8に記号的に示すように、上述の自動セグメンテーション方法を行うためのシステムを包含する。
【0038】
前記システムは、N≧2であるN個の異なる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の、逐次的または並列的な編成での協調動作を、構造化された構成においてホストし、可能とする少なくとも1つのコンピュータデバイスを含むことを特徴とし、各CNNは、N個の異なる再構築軸または平面に従って3D画像の前記ボリュームを形成するボクセルを解析することにより、処理される3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具のセグメンテーションを、自動的に、および他のCNNと独立して行うように適合されて構成され、各CNNは、1つの軸または平面に属するボクセルの解析に割り振られている。
【0039】
好ましくは、前記システムはまた、前記N個の異なるCNNにより行われた解析およびセグメンテーションの結果を結合、および場合によっては表示するための手段を含む。
【0040】
第1の代替例によれば、N個の異なるCNNは、前記N個の異なるCNNの各CNNが、N個の異なるCNNの各々についての特定の再構築平面に従って、3D画像のボリュームを形成する全てのボクセルを解析し、前のネットワークCNNi-1が存在する場合は、それにより提供された結果を用いるように、シリアルアーキテクチャで構成されてよい(図5)。
【0041】
第2の代替例によれば、N個の異なるCNNは、場合によっては単一のアルゴリズムフレームワーク内において、並列アーキテクチャで構成されてよく、前記N個の異なるCNNの結果は、最終ステージで結合される(図4、6および8)。
【0042】
もちろん、本発明は、添付の図面において説明および表現されている少なくとも1つの実施形態に限定されるものではない。本発明の保護範囲を超えることなく、特に様々な要素の構成の観点からの、または技術的均等物の置き換えによる変形が、依然可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8