IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マレル・ポウルトリー・ベスローテン・フェンノートシャップの特許一覧

特許7398385屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法
<>
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図1
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図2
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図3a
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図3b
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図4
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図5a
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図5b
  • 特許-屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】屠畜製品を処理するためのシステム、及びそのようなシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20231207BHJP
   A22B 7/00 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A22B7/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020555121
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 NL2019050246
(87)【国際公開番号】W WO2019212335
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】2020848
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520386523
【氏名又は名称】マレル・ポウルトリー・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Poultry B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】フランシスクス・アルノルドゥス・アルベルトゥス・ファン・ベルケル
(72)【発明者】
【氏名】レネ・ヨハネス・テオドルス・ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】リシャルト・ヨーゼフ・デ・スフッテル
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-236869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0105001(US,A1)
【文献】米国特許第04756056(US,A)
【文献】米国特許第04597133(US,A)
【文献】米国特許第05672098(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第01205111(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C21/00-21/06
A22B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠畜製品、特に鶏等の家禽を処理するためのシステムであって、
前記システムの動作中に第1の中心軸を中心に回転する第1の循環要素と、
それぞれ前記屠畜製品のうちの1つを運ぶように構成され、前記第1の循環要素と協働して節点回転を行う第1の製品キャリアと、
動作中に、前記第1の中心軸と平行でありかつ離間した第2の中心軸を中心に回転する第2の循環要素と、
それぞれ前記屠畜製品のうちの1つを運ぶように構成され、前記第2の循環要素と協働して節点回転を行う第2の製品キャリアと、
前記第1の循環要素がある回転方向に回転すると、第2の循環要素が前記回転方向と反対方向に回転するようなやり方で、また、各ケースにおける当該回転中、1つの移送位置を、1つの第1の製品キャリア及び1つの第2の製品キャリアが互いに対して同じ時間間隔で通過するようなやり方で、固定トランスミッション比で前記第1及び第2の循環要素を互いに結合するように構成されたトランスミッション装置と、
を含み、
ここで、前記システムは、前記移送位置における回転中に、前記屠畜製品を1つの前記第1の製品キャリアから1つの前記第2の製品キャリアに移送するように構成され、
前記トランスミッション装置は、
前記第1の循環要素及び前記第2の循環要素にそれぞれ回転可能に連結された第1のギアホイール及び第2のギアホイールと、
第1のトランスミッションギアホイールと、
前記第1のトランスミッションギアホイールと噛み合い係合する第2のトランスミッションギアホイールと、
ここで、前記第1のギアホイールは、回転のために、前記第1のトランスミッションギアホイール及び前記第2のトランスミッションギアホイールを介して第2のギアホイールに結合され、
前記第1のギアホイールの角度位置が前記第2のギアホイールの角度位置に対して変化するようなやり方で、前記第1のトランスミッションギアホイール及び前記第2のトランスミッションギアホイールのうち少なくとも一方の重心を、前記噛み合い係合を維持したまま変位させるのに適合した変位装置と、を備える、
システム。
【請求項2】
前記第1の製品キャリアは、前記第1の循環要素に周方向に等間隔で取り付けられ、
前記システムは、前記第2の循環要素が等間隔で提供され、かつ前記第2の循環要素の周りに嵌められた無端可撓性搬送部材を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の無端可撓性搬送部材であって、前記第1の製品キャリアが等間隔で提供され、かつ前記第1の循環要素の周りに嵌められた、第1の無端可撓性搬送部材と、及び/又は、
第2の無端可撓性搬送部材であって、前記第2の製品キャリアが等間隔で提供され、かつ前記第2の循環要素の周りに嵌められた、第2の無端可撓性搬送部材と、
をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のギアホイール及び前記第2のギアホイールは、前記第1の中心軸及び前記第2の中心軸とそれぞれ一致する中心軸を有する、
請求項1~3のうちいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のトランスミッションギアホイールは、第3の中心軸に対して傾斜した歯を備え、前記第3の中心軸について回転可能であり、
前記第2のトランスミッションギアホイールもまた、第4の中心軸に対して傾斜した歯を備え、前記第1のトランスミッションギアホイールの傾斜した歯と噛み合い係合し、前記第4の中心軸について回転可能であり、
前記トランスミッション装置の前記変位装置は、第1及び第2のトランスミッションギアホイールの一方を、第1及び第2のトランスミッションギアホイールの他方に対して、第1及び第2のトランスミッションギアホイールの間の係合を維持しながら、その中心軸に対して平行に変位させるように構成される、
請求項1~4のうちいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
前記トランスミッション装置は、
前記第3の中心軸について回転可能であり、前記第1のトランスミッションギアホイールに回転不可能に連結され、かつ固定されたトランスミッション比で前記第1のトランスミッションギアホイールに結合される第3のトランスミッションギアホイールと、
前記第4の中心軸について回転可能であり、前記第2のトランスミッションギアホイールに回転不可能に連結され、かつ固定されたトランスミッション比で前記第2のトランスミッションギアホイールに結合される第4のトランスミッションギアホイールと、を備え、
前記変位装置は、前記第1のトランスミッションギアホイール及び前記第3のトランスミッションギアホイールを、若しくは前記第3のトランスミッションギアホイールに関して、第3の中心軸に平行に変位させ、並びに/又は、第2のトランスミッションギアホイール及び前記及び第4のトランスミッションギアホイールを、若しくは第4のトランスミッションギアホイールに関して、前記第4の中心軸に平行に変位させるように構成される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1、前記第2、前記第3、及び前記第4の中心軸は、すべて互いに平行に延在する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のトランスミッションギアホイールは、第3の中心軸について回転可能であり、前記第2のトランスミッションギアホイールは、前記第3の中心軸と平行かつ第3の中心軸から離れた第4の中心軸について回転可能であり、
前記トランスミッション装置の前記変位装置は、前記第1のトランスミッションギアホイール及び前記第2のトランスミッションギアホイールの間の係合を維持しつつ、前記第1のトランスミッションギアホイール及び前記第2のトランスミッションギアホイールを前記第3の中心軸及び前記第4の中心軸に直角な平面内で互いに変位させるように構成される、
請求項1~4のうちいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のギアホイールの前記変位の間、第1のトランスミッションギアホイールが、ある中心軸を中心に一定の第1の半径を有する円形の経路を辿り、
前記第2のギアホイールの前記変位の間、第2のトランスミッションギアホイールが、ある中心軸を中心に一定の第2の半径を有する円形の経路を辿る、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の製品キャリアは、前記第2の製品キャリアとは異なるタイプである、
請求項1~9のうちいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記屠畜製品を1つの第1の製品キャリアから1つの第2の製品キャリアに移送できるように、前記システムは移送手段を備え、
前記移送手段は、好ましくは前記移送手段の移送要素が前記屠畜製品に力をかけることで、前記回転の間、前記移送位置の位置において、第1の製品キャリアから第2の製品キャリアに屠畜製品が移送されることを可能にするように構成される、
請求項1~10のうちいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
第1及び/又は第2の循環要素のそれぞれの中心軸について回転を作用させるための駆動装置を備える、
請求項1~11のうちいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか1つに記載のシステムの製品キャリアの相互位置を調整するための方法であって、
前記変位装置を用いて、前記噛み合い係合を維持したまま、前記第2のギアホイールの角度位置に対して前記第1のギアホイールの角度位置が変化するようなやり方で、前記第1のトランスミッションギアホイール及び前記第2のトランスミッションギアホイールのうちの少なくとも1つの重心を変位させることを含む、
方法。
【請求項14】
前記第1及び第2の循環要素を回転させることと、
1つの第1の製品キャリア及び1つの第2の製品キャリアの相互位置を検出することと、
前記検出された相互位置が所定の範囲外にある場合、回転中に、前記相互位置が前記所定の範囲に再度入るように、前記変位させることを実行することと、
を含む、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
家禽、特に鶏のような屠畜製品を処理するシステムでは、生産能力を向上させるために、処理速度の高速化が常に求められている。このようなシステムは、通常、チェーン状の搬送部材を含み、この搬送部材には、屠畜製品を搬送する複数の製品キャリア(通常はフック)が取り付けられている(以下、単数であると特に記載されない限り、複数の製品キャリアを単に「製品キャリア」と呼ぶ)。この場合、屠畜製品は、連続的に処理ステーションを通過するように搬送される。処理される屠畜製品及び処理段階に応じて、屠畜製品を効率的に処理できるように、特定の製品キャリアを搬送する必要がある。
【0002】
このようなシステムは、通常、屠畜製品が、カルーセル等の第1の循環要素上の、フック等の1つの製品キャリアから、又はオプションで、このような第1の循環要素の周りに取り付けられた第1の搬送チェーン上の1つの製品キャリアから、第2の搬送チェーン上の、フック等の1つの製品キャリアへ、通常は異なるタイプのフックを用いて、移送される(すなわち横切って移動される)移送位置を含む。このようなシステムでは、これがクリティカルな点となる。移送動作中の製品キャリアの相互位置決めが十分に正確でないと、屠畜製品の移送の失敗率が高くなり、その結果、例えば屠畜製品が詰まってしまうなど、システムのダウンタイムが長くなる。さらに、この移送は、高い搬送速度又は処理速度においてさらにクリティカルとなる。
【0003】
実際には、このようなシステムの使用中には、特に、製品キャリアによって運ばれる屠畜製品の重量もまた変化する。これはまた、特に搬送部材の長さが非常に大きい(数キロメートルにもなり得る)ために、移送位置の位置における製品キャリアの相互の位置関係にもばらつきが生じる。上述した問題に関して、現在のシステムは改善され得る。
【0004】
また、移送位置における製品キャリアの相互位置決めの調整に関しても、現在のシステムを改善され得る。屠畜製品の移送の失敗率が高い、又は許容できないほど高くなるなど、位置決めの精度が不十分であることが判明した場合、位置決めに関するシステムの設定を変更するために、システムを停止する必要がある。その後、システムを再起動し、変更した設定が位置決めに好適な影響を与えているかどうかを確認できる。そうでない場合は、システムを再度停止する必要がある。この繰り返しのプロセスは、特に時間と手間がかかる。これにより、システムのダウンタイムは非常に長くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、上述した問題のうちの1つ以上に対する解決手段を提供する屠畜製品、特に家禽を処理するためのシステムを提供することである。本発明の目的は、信頼性を維持しつつ、より高い処理速度で動作することができる屠畜製品の処理システムを提供することである。本発明の目的は、より確実に屠畜製品を移送することができる屠畜製品処理システムを提供することである。本発明の目的は、製品キャリア間での屠畜製品の移送が、動作中に変化する屠畜製品の特性に大きく影響されない屠畜製品の処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的のうち1つ以上は、請求項1で定義されるように、本発明に係る、屠畜製品、特に鶏等の家禽を処理するためのシステムにより達成される。本システムは、
システムの動作中に第1の中心軸を中心に回転する第1の循環要素と、
それぞれ屠畜製品のうちの1つを運ぶように構成され、第1の循環要素と協働して節点回転を行う第1の製品キャリアと、
動作中に、第1の中心軸と平行でありかつ離間した第2の中心軸を中心に回転する第2の循環要素と、
それぞれ屠畜製品のうちの1つを運ぶように構成され、節点回転のために第2の循環要素と協働する第2の製品キャリアと、
を含む。
【0007】
本発明によると、本システムは、例えばギアホイール式トランスミッションを用いるか、又はギアベルト式トランスミッションを用いて、第1の循環要素がある回転方向に回転すると、第2の循環要素が当該回転方向と反対方向に回転するようなやり方で、また、各ケースにおける当該回転中、好ましくは第1の循環要素と第2の循環要素との間に位置する1つの移送位置を、1つの第1の製品キャリア及び1つの第2の製品キャリアが互いに対して同じ時間間隔で通過するようなやり方で、固定トランスミッション比で第1及び第2の循環要素を互いに結合するように構成されたトランスミッション装置を含む。このケースにおいて、本システムは、移送位置における回転中に、屠畜製品を1つの第1の製品キャリアから1つの第2の製品キャリアに(及び/又はその逆に)移送するように構成される。トランスミッション装置は、第1の循環要素及び第2の循環要素にそれぞれ回転可能に連結された第1のギアホイール及び第2のギアホイールを備える。さらに、トランスミッション装置は、第1のトランスミッションギアホイールと、第1のトランスミッションギアホイールと噛み合い係合する第2のトランスミッションギアホイールとを備える。第1のギアホイールは、回転のために、第1及び第2のトランスミッションギアホイールを介して第2のギアホイールに結合される。トランスミッション装置は、第1のギアホイールの角度位置が第2のギアホイールの角度位置に対して変化させ、結果として(上述の複数の第1の製品キャリアのうちの)1つの第1の製品キャリアの(上述の複数の第2の製品キャリアのうちの)1つの第2の製品キャリアに対する移送位置の位置における相互位置決め又はアライメントが変化するようなやり方で、第1のトランスミッションギアホイール及び第2のトランスミッションギアホイールのうち少なくとも一方の重心を、噛み合い係合を維持したまま(即ち第1のトランスミッションギアホイール及び第2のトランスミッションギアホイールの間で)変位させるのに適合した変位装置をさらに備える。
【0008】
通常、ギアホイールの重心は、ギアホイールの中心軸に位置し、従って、本明細書及び特許請求の範囲において「重心」という表現は、中心軸上の点を意味すると理解される。従って、そのような角度変位のケースにおいて、そのような重心(又は中心軸上の点)は変位しないため、そのような「重心の変位」は、第1のトランスミッションギアホイール及び第2のトランスミッションギアホイールのうちの少なくとも1つの、純粋な角度変位(又は純粋な回転)以外の変位を意味すると理解される。従って、上述の変位の間、各ギアホイールは、例えば中心軸に平行な直線の経路、又は(部分的に)湾曲した経路に沿って変換される。
【0009】
本発明に係るシステムの利点は、第2のギアホイールの角度位置に対する第1のギアホイールの角度位置、ひいては節点回転のために複数の製品キャリアが協働する循環要素の角度位置が効率的かつ正確に変更可能であり、加えて、トランスミッション装置を介して固定トランスミッション比で結合されているため、トランスミッション装置を用いることにより、移送位置の位置における1つの第1の製品キャリア及び1つの第2の製品キャリアの相互位置合わせ(又はアライメント)を、非常に高い精度で調整可能ということである。これにより、より高い処理速度においても、より低い故障率で、より確実に屠畜製品を移送できる。屠畜製品が1つの第2の製品キャリアに全く搬送されずにシステムから脱落するという完全な移送不良のリスクと、並びに、第1の製品キャリアから第2の製品キャリアに移送される間に、第2の製品キャリアに一本の脚だけが残ってしまった例えば家禽のような2本脚の屠畜製品の、即ちいわゆる「一本足」のリスクと、の両方のリスクは、正確さが不十分なアライメントの結果生じ、本発明に係るシステムを使用することで低減され得る。
【0010】
加えて、本トランスミッション装置により、システムの動作中、即ち循環要素が回転している間にも相互の位置合わせを変更することが可能となり、従って、第1の製品キャリア及び第2の製品キャリアは連続して移送位置を通過する。これが可能なのは、トランスミッションギアホイールが、その少なくとも1つのギアホイールの変位の間にも噛み合い係合したままであり、従って動作、即ち回転駆動可能であり続け得るためである。従って、重要な利点は、移送中の位置決めの変化の効果が、その実行中に即座に検出でき、結果として、非常に短い時間でより正確かつ信頼性の高い屠畜製品の移送を実現できるということである。加えて、例えば搬送部材等における許容範囲は、特に搬送部材が数キロメートル単位の長さを有する場合、実際に動作している間にのみ見えることがよくある。このような許容範囲は、特にシステムの停止中に十分に正確なアライメントができないことにつながるため、一般的には、システムの動作速度における許容範囲と同一ではない。さらに、搬送部材により搬送される屠畜製品の重量も影響する。本発明に係るシステムが運転中にアライメントを変更可能であることの結果として、許容範囲に及ぼされるそのような影響の欠点はない。本文脈において、調整、即ち2つの循環部材間の角度位置の変更を完全に自動化された方法で行うことも可能であり、例えば、トランスミッション装置に動作的に接続された目的に適した検出装置を用いて、並びに/又は、変位装置に動作的に接続されたシステムの制御装置に記憶された屠畜製品の重量に関する情報等の情報に基づいて、行うことができる。
【0011】
移送位置の位置における1つの第1の製品キャリア及び1つの第2の製品キャリアの相互位置決め又はアライメントに関して、これはまた、例えば第1の製品キャリアから第2の製品キャリアに移送される間に屠畜製品が移動する距離を含めて、屠畜製品が第1の製品キャリアから第2の製品キャリアに移送される方法に依存し得ることには注意するべきである。例えば、屠畜製品が第1の製品キャリアから、移送位置の位置における第1及び第2の製品キャリアの変位の方向に対して実質的に右方向(right angle)に力をかけられる場合、特に搬送速度が高いとき、屠畜製品が第1の製品キャリアから第2の製品キャリアに搬送されるのに要する時間を補償するために、第2の製品キャリアをわずかに後退させることが有利となり得る。
【0012】
ギアホイールの角度位置は、その中心軸に関するギアホイールの位置を指す。ギアホイールの回転、又は角度変位の結果、角度位置が変更される。
【0013】
好適な一実施形態において、第1の製品キャリアは、第1の循環要素に周方向に等間隔で取り付けられている。一実施形態において、第1の循環要素はカルーセルを備え得る。本システムはさらに、第2の循環要素が等間隔で提供され、かつ第2の循環要素の周りに嵌められた、無端可撓性搬送部材を含み得る。無端可撓性搬送部材は、連結されたチェーンを備えてよく、第2の循環要素はチェーンホイールを含み得る。このようなシステムでは、屠畜製品は、ある循環要素のカルーセル等の製品キャリアから、可撓性搬送部材上の製品キャリアへと移送され得る。このような製品キャリアは、位置が細かく決められ(determined to a great degree)、屠畜製品を安定して保持でき、このような製品キャリアから屠畜製品を移送することにより信頼性が高まる。
【0014】
代替の好適な実施形態において、本システムは、第1の製品キャリアが等間隔で提供されて第1の循環要素の周りに嵌められた第1の無端可撓性搬送部材、並びに/又は、第2の製品キャリアが等間隔で提供されて第2の循環要素の周りに嵌められた第2の無端可撓性搬送部材を含む。第1及び/又は第2の無端可撓性搬送部材は、連結されたチェーンを備え得る。第1及び/又は第2の循環要素は、それぞれチェーンホイールを備え得る。
【0015】
好ましくは、第1のギアホイール及び第2のギアホイールは、第1の中心軸及び第2の中心軸とそれぞれ一致する中心軸を有する。代替的に、第1のギアホイール及び第2のギアホイールは、回転のために、他のギアホイール又は少なくともトランスミッション装置を介して、第1及び第2の循環要素とそれぞれ結合され得る。
【0016】
好適な一実施形態において、第1のトランスミッションギアホイールは、傾斜した歯を備え、第3の中心軸について回転可能であり、第2のトランスミッションギアホイールもまた、傾斜した歯を備え、第1のトランスミッションギアホイールの傾斜した歯と噛み合い係合し、第4の中心軸について回転可能である。この場合、トランスミッション装置の変位装置は、第1及び第2のトランスミッションギアホイールの一方を、第1及び第2のトランスミッションギアホイールの他方に対して、第1及び第2のトランスミッションギアホイールの間の(噛み合い)係合を維持しながら、その中心軸に対して平行に変位させるように構成され得る。この場合、2つのトランスミッションギアホイールのうちの一方又は両方が変位を受け得る。この軸方向の相対変位の結果として、2つのトランスミッションギアホイール間の角度位置は、傾斜した歯付きにより、厳密に制御され決定された方法で変化する。歯付きが傾斜しているほど、角度位置の変化は大きくなる。この変位は、システムの動作中、即ちギアホイールが回転駆動されている時に、問題を引き起こすことなく行われ得る。
【0017】
このケースにおいて、トランスミッション装置は、第3の中心軸について回転可能であり、第1のトランスミッションギアホイールに回転不可能に連結され、かつ固定されたトランスミッション比で第1のトランスミッションギアホイールに結合される第3のトランスミッションギアホイールをさらに備え得る。さらに、トランスミッション装置は、第4の中心軸について回転可能であり、第2のトランスミッションギアホイールに回転不可能に連結され、固定されたトランスミッション比で第2のトランスミッションギアホイールに結合される第4のトランスミッションギアホイールを備え得る。この場合、変位装置は、第1及び第3のトランスミッションギアホイールを第3の中心軸に平行に変位させるように構成され、及び/又は、第2及び第4のトランスミッションギアホイールを第4の中心軸に平行に変位させるように構成され得る。代替的に、変位装置は、第3のトランスミッションギアホイールに関して、第1のトランスミッションギアホイールを第3の中心軸に平行に変位させるように構成され、及び/又は、第4のトランスミッションギアホイールに関して、第2のトランスミッションギアホイールを第4の中心軸に平行に変位させるように構成され得る。第3のトランスミッションギアホイールは、第1のトランスミッションギアホイールと噛み合い係合し得る。第4のトランスミッションギアホイールは、第2のトランスミッションギアホイールと噛み合い係合し得る。その結果、第1及び/又は第2のトランスミッションギアホイールの変位は、いわば、トランスミッション装置の残りの部分から孤立し得る。
【0018】
好ましくは、第1、第2、第3及び第4の中心軸は、すべて互いに平行に延在する。
【0019】
本発明に係るシステムの代替的な好適な一実施形態において、第1のトランスミッションギアホイールは、第3の中心軸について回転可能であり、第2のトランスミッションギアホイールは、第3の中心軸と平行かつ第3の中心軸から離れた第4の中心軸について回転可能である。この場合、トランスミッション装置の変位装置は、第1のトランスミッションギアホイール及び第2のトランスミッションギアホイールの間の係合を維持しつつ、第1のトランスミッションギアホイール及び第2のトランスミッションギアホイールを第3の中心軸及び第4の中心軸に直角な平面内で互いに変位させるように構成され得る。
【0020】
このケースにおいて、トランスミッション装置は、上述の第1のギアホイールの変位の間、第1のトランスミッションギアホイールが、ある中心軸(第1の中心軸であってよい)を中心に一定の第1の半径を有する円形の経路を辿り、従って第1のギアホイールの周りを展開し、並びに、上述の第2のギアホイールの変位の間、第2のトランスミッションギアホイールが、ある中心軸(第2の中心軸であってよい)を中心に一定の第2の半径を有する円形の経路を辿り、従って第2のギアホイールの周りを展開するように構成され得る。
【0021】
第1の製品キャリアは、第2の製品キャリアと同じタイプか、又は、好ましくは、第2の製品キャリアと異なるタイプであってもよい。一実施形態において、第1の製品キャリア及び/又は第2の製品キャリアは、そこから屠畜製品を吊り下げた状態で運ぶためのフックとして設計される。一実施形態において、第1の製品キャリアは屠殺フックとして設計され、第2の製品キャリアは冷却フックとして設計される。代替的に、第1の製品キャリアは、例えば冷却フックとして設計され得る。代替的に、第2の製品キャリアは、例えば部分フックとして設計され得る。
【0022】
移送位置は、第1の循環要素及び第2の循環要素の間、即ち、第1及び第2の製品キャリアがそれぞれの循環要素の周に沿った位置に配置され得る。代替的に、移送位置は、例えば、第1及び第2の循環要素のうちの1つに隣接し、即ち、第1又は第2の製品キャリアがそれぞれの循環要素の周に沿って配置される一方で、第1及び第2の循環要素のうちの他方とは無縁の、即ち、第1又は第2の製品キャリアがそれぞれの他方の循環要素の周に沿って配置されない位置に配置され得るが、例えば、チェーン等の無端可撓性搬送部材の場合、それぞれの他方の循環要素及びさらなる循環要素との間の直線トラックセクションに沿って、しかしそれぞれの他方の循環要素の近傍に、配置され得る。これは例えば、それぞれの他方の循環要素から最大50メートルの距離より内側、好ましくは5~40メートルの距離の内側、より好ましくは、それぞれの他方の循環要素から数十メートル、例えば20メートルの距離の内側であり得る。
【0023】
屠畜製品を1つの第1の製品キャリアから1つの第2の製品キャリアに移送できるように、本システムは、好ましくは、移送手段を備え得る。移送手段は、好ましくは移送手段の移送要素が屠畜製品を押すか叩いて屠畜製品に力をかけることで、上述の回転の間、移送位置の位置において、第1の製品キャリアから第2の製品キャリアに屠畜製品が移送されることを可能にするように構成される。
【0024】
さらに、本システムは、第1及び/又は第2の循環要素のそれぞれの中心軸について回転を作用させるための駆動装置を備え得る。駆動装置は、第1の循環要素を回転駆動するための、例えば電動機等の電気的手段といった駆動手段を備え得る。駆動装置は、第2の循環要素を回転駆動させるための、例えば電機モータ等の駆動手段をさらに備え得る。このケースにおいて、駆動手段の一方を用いて製品キャリアの変位速度に対応する一方の循環要素の回転速度を制御し、2つの駆動手段の他方を用いて所定の駆動トルクを発生させることにより、それを回転速度の制御に用いないことが有利である。例えば搬送チェーン等の第1及び/又は第2の無端可撓性搬送部材を用いるとき、駆動トルクは、1つ又は複数の搬送部材の引張力/張力と連動する。また、上述の駆動トルクは、トランスミッション装置の第1及び第2のトランスミッションギアホイールが動作中に受けるトルクに連動する。好ましくは、第2の循環要素を駆動する駆動は、所定の駆動トルクを発生させるように制御される。
【0025】
本発明は、本発明に係るシステムの製品キャリアの相互位置決めを調整するための方法にも関する。本方法は、第2のギアホイールの角度位置に対する第1のギアホイールの角度位置が変化するように、噛み合い係合を維持しながら、変位装置を用いて第1のトランスミッションギアホイール及び第2のトランスミッションギアホイールの少なくとも一方の重心を変位させることを含む。その結果、(上述の複数の第2の製品キャリアのうちの)1つの第2の製品キャリアに対する(上述の複数の第1の製品キャリアのうちの)1つの第1の製品キャリアの相互位置が、移送位置において変更される。
【0026】
一実施形態において、第1及び第2の循環要素が回転され、1つの第1の製品キャリア及び1つの第2の製品キャリアの相互位置が検出される。これは、直接又は間接に、例えば、第1及び第2の循環要素、又は第1及び第2のギアホイールのそれぞれの角度位置を検出することで起こり得る。検出された相互位置が所定の範囲の外にある場合、検出された相互位置が再び所定の範囲内に収まるように、回転中に変位ステップが実行される。
【0027】
上述の検出に追加又は代替で、本方法のある実施形態において、変位ステップは、本システムの制御装置に存在する情報に基づいて実行される。当該情報は例えば、処理される屠畜製品の重量等による、循環要素及び/又は搬送部材に加えられる荷重に関する情報を含む。従って、本方法の一実施形態において、変位ステップは(部分的に)、好ましくは手動で入力される屠畜製品の重量に基づいて、又はシステムの制御装置におけるシステム内の重量測定値に基づいて、実行され得る。相互位置決め及び屠畜製品の重量の間の関係が決定され、オプションで制御装置のメモリに入力され、当該関係に基づいて、例えば比較的軽い屠畜製品の処理の後に比較的重い屠畜製品が処理されている場合、屠畜製品の重量を(少なくとも部分的に)補償するために、変位ステップが手動で、又は自動的な方法で実行され得る。既に上述したように、特に長い無端可撓性搬送部材を用いる場合、屠畜製品の重量は、第1及び第2の製品キャリアの相互位置に影響を与え得る。また、移送速度に応じて、上述の、可能性のある、屠畜製品を1つの第1の製品キャリアから1つの第2の製品キャリアに移送するのに要する時間を補償するための複数の第2の製品キャリアの後退に関しても、影響を及ぼし得る。このようにして、例えば処理する屠畜製品が変更された場合にも、相互の位置決めの予備設定を既に行っておくということが可能となる。そして、必要に応じて、上述の検出に基づいて、アライメントが(単に)まだ所望の範囲内に入っていないことが判明した場合、手動で、又は自動化された方法で、再調整を行うことが可能である。
【0028】
本発明に係る方法の利点は、本発明に係るシステムの上述の利点と類似している。本発明に係るシステムの好適な実施形態は、上述したように、本発明に係る方法と類似して使用可能であり、また、その逆も同様である。
【0029】
以下の図式的な図面を参照して、本発明に係るシステムの好適な実施形態を説明することにより、本発明が以下説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】屠畜製品を処理するための、本発明に係るシステムの好適な実施例の一部を示す前面図
図2】本発明に係るシステムのトランスミッションデバイスの一部を示す非常に図式的な斜視図
図3a】2つの異なる位置における、図1のシステムのトランスミッション装置の一部を示す左側面図
図3b】2つの異なる位置における、図1のシステムのトランスミッション装置の一部を示す左側面図
図4】屠畜製品を処理するための、本発明に係るシステムのさらに好適な実施例の一部を示す正面図
図5a図1に示すシステムの詳細を示す斜視図
図5b図1に示すシステムの詳細を示す右側面図
図6】本発明に係るシステムのトランスミッション装置の一部を示す非常に図式的な上面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、鶏等の家禽又はその一部分等の屠畜製品を処理するためのシステム1の一部を示す。例示的に、図1は、鶏の一部である屠畜製品2を示す。システム1は、連結チェーン形状の第1の無端可撓性搬送部材4を有する。搬送部材4上において、フック形状の製品キャリア6が、例えば10~20cmの範囲の一定間隔を開けて連続して提供され、そのそれぞれが屠畜製品2を吊るした状態で搬送する。図1には、1個の製品キャリア6が示される。また、製品キャリア6及び搬送部材4の間の垂直方向の距離は、より小さい値が選択されてもよい。例えば電動モータを備える駆動装置(図面上で詳細には示されない)により、搬送部材4又はそれに作動的に連結されたシステムのコンポーネント(チェーンホイール等)は、屠畜製品2を搬送するフックが屠畜製品を処理するための搬送経路に沿って変位するように駆動され得る。通常、搬送経路に沿って、屠畜製品が搬送経路に沿って連続的に変位されている間に屠畜製品に処理ステップを実行するための様々な処理ステーションが配置されている。これらの処理ステップには、例えば、屠畜製品の冷却、蒸散、各種切断等の作業が含まれる。
【0032】
システム1は、システム1の動作中に、第1の中心軸10を中心に回転する第1の循環要素8をさらに有する。循環要素8は、ベアリング12,12’を介してシステム1のフレーム3に回転可能にとりつけられた、車軸11上に提供される。図1からの例において、第1の循環要素8は、連結チェーンとして設計された搬送部材4と協働するために外周に沿って歯付きが提供されたチェーンホイールである。搬送部材4は、第1の循環要素8の周囲に嵌め込まれている。従って、結果として、第1の製品キャリア6は、第1の循環要素8と協働して節点回転を行う。誘導装置は、第1の製品キャリアの位置決め精度を向上させるために、第1の循環要素に適合したトラック内で第1の製品キャリアを誘導し得る。
【0033】
また、システム1は、同様に連結チェーン形状の、第2の無端可撓性搬送部材14を有する。搬送部材14上において、屠畜製品2を吊り下げることができるフック形状の複数の第2の製品キャリア16が、一定間隔を開けて提供される。これらの第2の製品キャリア16は、第1の製品キャリア6とは異なるタイプのものである。製品キャリア16は、例えば、いわゆる冷却フックであってよく、製品キャリア6は屠畜フックであり得る。ただし、本発明の文脈において、製品キャリア6,16が同じ種類のものである可能性もある。
【0034】
さらに、システム1は、第2の循環要素18を備える。循環要素18は、システム1の動作中に、第1の中心軸10と平行かつ第1の中心軸10から離れた位置にある第2の中心軸20を中心に回転する。循環要素18は、第1の循環要素8の車軸11から一定の距離の点において、ベアリング22,22’を介してシステム1のフレーム3に回転可能に取り付けられた、車軸21上に提供される。図1からの例において、第2の循環要素18は、循環要素8と同様に、連結チェーンとして設計された搬送部材14と協働する歯付きが外周に設けられたチェーンホイールである。搬送部材14は、第2の循環要素18の周囲に嵌め込まれる。従って、結果として、第2の製品キャリア16は、第2の循環要素18と協働して節点回転を行う。2つの循環要素8,18は、製品キャリア6,16が循環要素8,18の間で、移送位置24の位置において一緒になる、即ち離間距離が最短になるように、互いに距離を開けて提供される。この距離は、屠畜製品2を1つの第1の製品キャリア6から1つの第2の製品キャリア16に、自動化された方法で搬送することが可能な距離である。
【0035】
1つの第1の製品キャリア6から1つの第2の製品キャリア16への屠畜製品2の移送を可能にするために、システム1は、図1に非常に図式化された形式で図示された移送手段26を有する。移送手段26は、移送位置24の位置において1つの第1の製品キャリア6から1つの第2の製品キャリア16に屠畜製品2を、2つの循環要素8,18の回転中に、各ケース(in each case)において自動化された手段で移送するように構成される。位置実施形態において、これは、移送手段26の移送要素28が屠畜製品2に力を及ぼすことで達成され得る。移送手段26の駆動は、第1の循環要素8の回転に適合した方法で移送手段の移動を可能にするために、例えばカムフォロアを介して、提供され得る。このような屠畜製品の移送は、当業者には既知である。
【0036】
さらに、システムは、第2の循環要素18を回転駆動するための駆動装置50を有する。この目的のため、例えば、ギアベルトトランスミッション52を介して車軸21に駆動的に接続された電動モータ51が提供される。2つの循環要素8,18は、それらの周囲に嵌め込まれた搬送部材4,14を直接又は間接に介して、1時間あたり15000~20000個の屠畜製品が移送されるようにそれぞれ駆動される。なお、本発明の文脈において、より低速又はより高速のいわゆるライン速度、例えば5000~15000の範囲のライン速度も可能である。第1の循環要素8は、駆動装置に関連付けられた電動モータによりアナログ的に駆動され得る。
【0037】
本発明に係るシステム1は、ギアホイールトランスミッションにより、固定トランスミッション比を用いて、第1及び第2の循環要素8,18を互いに結合するよう構成されたトランスミッション装置30をさらに有する。加えて、この結合は、第1の循環要素8がある回転方向、例えば時計回り方向に回転すると、第2の循環要素18が当該回転方向の反対方向、即ち反時計回り方向に回転するように、また、各ケースにおいて上述の回転の間に、1つの第1の製品キャリア6及び1つの第2の製品キャリア16が、第1及び第2の循環要素8,18の間に位置する移送位置24を、互いに同じ時間間隔で通過するような結合である。従って、図1において、移送位置24の位置において、製品キャリア6,16は、紙面手前方向に移動する。図1に示すように、少なくとも本実施例において、第2の循環要素18の有効径は、第1の循環要素8の有効径よりも小さい。従って、上述の同じ時間間隔を達成するためには、第2の循環要素18は、より高い回転速度で回転し、並びに/又は、連続する製品キャリア16の間隔が、連続する製品キャリア6の間隔よりも小さくなる。例えば循環要素同士の間の直径の比率等の他の比率、連続する第1又は第2の製品キャリア間の他の距離、並びに他の処理速度も、本発明の文脈内で実現可能である。
【0038】
トランスミッション装置30は、第1のギアホイール32及び第2のギアホイール34を有し、これらはそれぞれ、第1の循環要素8及び第2の循環要素18に回転可能に連結される。この目的のため、第1のギアホイール32は、第1の循環要素8に回転のために固定的に連結された中心軸10を中心に回転可能なように、軸11上に提供される。この目的のため、第2のギアホイール34は、第2の循環要素18に回転のために固定的に連結された中心軸20を中心に回転可能なように、軸21上に提供される。代替的に、第1及び/又は第2のギアホイールは、さらなるトランスミッション(例えばギアホイール)を介して第1及び第2の循環要素に連結されていてもよい。
【0039】
さらに、トランスミッション装置30は、第1のトランスミッションギアホイール36と、第1のトランスミッションギアホイール36と噛み合い係合する第2のトランスミッションギアホイール38とを備える。第1のトランスミッションギアホイール36は、傾斜した歯付き37を備え、第3の中心軸44を中心に回転可能である。図2も参照のこと。第2のトランスミッションギアホイール38も同様に、第1のトランスミッションギアホイール36の傾斜した歯付き37と噛み合い係合する傾斜した歯付き39を備え、第4の中心軸46を中心に回転可能である。第1のトランスミッションギアホイール10、第2のトランスミッションギアホイール20、第3のトランスミッションギアホイール34、及び第4のトランスミッションギアホイール46の中心軸は、すべて互いに平行に延在する。
【0040】
回転のために、第1のギアホイール32は、第1のトランスミッションギアホイール36及び第2のトランスミッションギアホイール38を介して、第2のギアホイール34に結合される。この目的のため、トランスミッション装置30はさらに、第3の中心軸44を中心に回転可能であり、第1のトランスミッションホイール36に非回転的に連結され、かつ第1のギアホイール32に固定トランスミッション比で結合される、第3のトランスミッションギアホイール40を有する。第1のトランスミッションギアホイール36及び第3のトランスミッションギアホイール40は、ベアリング50を介してフレーム3に取り付けられた係合軸48に嵌め込まれる。トランスミッション装置30は、第4の中心軸46について回転可能であり、第2のトランスミッションギアホイール38に非回転的に連結され、かつ固定されたトランスミッション比で第2のギアホイール34に結合される、第4のトランスミッションギアホイール42をさらに有する。回転のため、第2のトランスミッションギアホイール38及び第4のトランスミッションギアホイール42は、支持体54を介してフレームに取り付けられた係合軸52を中心に回転可能となるように、互いに結合される。
【0041】
トランスミッション装置30は、変位デバイス60も有する。変位デバイス60は、第2のトランスミッションギアホイール38及び第4のトランスミッションギアホイール42を噛合係合させたまま第4の中心軸46に平行に変位させ、その結果として第2のトランスミッションギアホイールの重心及び第4のトランスミッションギアホイール42の重心を変位させるように構成される。一実施形態において、第2及び第4のトランスミッションギアホイールは、ベアリングに搭載された車軸52が延在する節点中空車軸上に提供され得る。この節点中空車軸は、車軸52の上を軸方向にスライド可能である。図1図2図3a及び図3bに示すように、第2のトランスミッションギアホイール38及び第4のトランスミッションギアホイール42の厚さが、第1のトランスミッションギアホイール36及び第2のトランスミッションギアホイール34の厚さよりも大きくなるように選択されるという事実により、変位の間、第2のトランスミッションギアホイール38は第1のトランスミッションギアホイール36と係合したままであり、第4のトランスミッションギアホイール42は第2のトランスミッションギアホイール34と係合したままである。ギアホイールの厚さは、噛み合い係合を維持したまま所定の最大変位を達成できるように選択される。上述の変位は、例えば、スピンドル駆動部61を提供し、第2のトランスミッションギアホイール38及び第4のトランスミッションギアホイール42の組み立てを手動で、又は好ましくは自動化された方法で、効果的にかつ正確に垂直方向に(即ち中心軸46と平行に)変位させられるようにすることで達成され得る。本発明の文脈において、この垂直方向の変位を達成するための他の方法も可能である。例えば、カムフォロア機構又はスピンドルを用いた線形駆動、又は例えばピストン/シリンダ組立品を用いた油圧式又は空気圧式の方法等が挙げられる。
【0042】
第2のトランスミッションギアホイール38が変位した結果、第1のトランスミッションギアホイール36及び第2のトランスミッションギアホイール38が傾斜しているため、第2のトランスミッションギアホイール34の角度位置に対する第1のトランスミッションギアホイール32の角度位置が変化する。この効果は、図3A及び図3Bに示されている。第2のトランスミッションギアホイール38が第1のトランスミッションギアホイール36に対して中心軸44と平行に上方に移動されると、第2のトランスミッションギアホイール38は、係合した傾斜歯が互いに変位した結果、第1のトランスミッションギアホイール36に対して角度回転αを受ける。つまり、第2トランスミッションギアホイール38の角度位置は、第1トランスミッションギアホイール36に対して角度αだけ変化する。その結果、第1のギアホイール32に対する第2のギアホイール34の角度位置も変化し、第1の循環要素8に対する第2の循環要素18と、第2の製品キャリア16と第1の製品キャリア6とが、それぞれ協働して回転する。この場合、第1の循環要素8に対する第2の循環要素18の角度位置の変化の程度は、異なるギアホイール間の透過率に依存する。すなわち、循環要素8,18間の角度位置の変化は、角度αよりも小さくても、等しくても、大きくてもよい。
【0043】
図5において「F」の文字で示された2つの製品キャリア6,16の間に、システム1に望ましくないほど存在する可能性のあるアラインメント誤差、又は不正確なタイミングが存在し得る。その結果、屠畜製品が移送されない可能性があるか、少なくとも十分な動作信頼性で移送されない可能性があり、その結果、図5bに示すように、アライメント誤差が存在しないか、又は少なくとも低減された状況になるように、第2のトランスミッションギアホイール38及び第4のトランスミッションギアホイール42を上述のように変位させることによって修正され得る。システムの一実施形態において、アライメント誤差は、例えば、特に、搬送に必要な時間対製品キャリアの搬送速度に関連して、第2の製品キャリアの上述の経路にリンクされるように、意図的に追求されてもよい。噛み合い係合を維持しながら行われるという事実のために、システム1の動作中、すなわち、すべての上記ギアホイール32,34,36,38,40,42並びに第1の循環要素8及び第2の循環要素18の回転中、及び屠畜製品の処理中、例えば、第1の製品キャリア6から第2の製品キャリア16に連続して移送されるような屠畜製品の処理中に、この変位は困難なく行うことができる。第2のトランスミッションギアホイール38及び第4のトランスミッションギアホイール42のこの変位は、手動で、すなわち、変位装置60を手動で作動させたり、作動を解除したりすることによって行われてもよい。この変位は、自動化された方法で行われてもよく、例えば、自動化された調整、すなわち、2つの循環要素の角度位置の変化のために、トランスミッション装置30、より具体的には変位装置60に作動的に接続された検出装置を使用することによって行われてもよい。検出装置は、例えば、第1の循環要素16の角度位置を検出するための、例えば光学センサ又は誘電センサのような第1の検出器66と、第2の循環要素18の角度位置を検出するための、例えば再び光学センサ又は誘電センサのような第2の検出器68とを備えてもよい。この変位は、上で説明したように、屠畜製品の重量に関連する情報など、変位装置に作動的に接続されたシステムの制御装置に記憶された情報に基づいて、上記検出に追加又は代替的に、自動化された方法で行われてもよい。
【0044】
ちなみに、本発明の文脈において、第1のギアホイール32及び第2のギアホイール34は、それぞれ同じ車軸11,21に嵌合しないことも可能である。しかしながら、これらはまた、別の車軸に設けられ、その後、1つ以上のさらなるギアホイールを介して、固定されたトランスミッション比を介して車軸11,21に作動的に連結されることも可能である。
【0045】
図4は、鶏肉又はその一部などの屠畜製品を処理するためのさらなるシステム100の一部を示す。システム100は、トランスミッション装置30及び第2の循環要素18と、それらに協同する構成要素に関する限り、上述したシステム1と同一である。従って、対応する構成要素は同じ参照番号で示されている。異なるが、同一又は類似の機能を有する構成要素については、図4において、図1から対応する参照数字に100が足されている。
【0046】
システム100は、システム100の動作中に第1の中心軸110について回転する第1の循環要素108を有する。循環要素108は、ベアリング112、112'を介してシステム100のフレーム103に回転可能に取り付けられた車軸111上に提供される。図4からの例では、システム1とは対照的に、第1の循環要素108は、カルーセルからなり、その上に第1の製品キャリア106がその周縁に沿って一定の距離を隔てて設けられている。これらの製品キャリア106は、パネル状であり、製品キャリア106によって屠畜製品が運ばれるために、屠畜製品の1つ以上の部分が提供され得る自由端に1つ以上の凹部が設けられている。これは、例えば、図4に図示されているように、足首の位置でドラムスティックによって凹部に吊るされている鶏であり得る。動作中、屠畜製品は、例えばコンベアチェーンから製品キャリア106に搬送されてもよく、続けて、屠畜製品は、オプションで、カルーセル上で処理された後、第2の製品キャリア106に搬送される。
【0047】
システム100は、カルーセル上に、製品キャリア106ごとに1つずつ、複数の搬送手段126を備える。搬送手段の各々は、枢軸ピン129について枢動可能であるようにカルーセル上に提供され、製品キャリア106の真上に提供される突出部の形態の搬送要素128を有する。本システムは、カルーセル内に位置するプランジャ127を有し、これにより、移送位置24の位置に位置する移送手段が、移送要素128によって屠畜製品に及ぼされる力(本実施例では、図4に示すように、鶏の足関節に外向きに向けられた力)によって、屠畜製品が製品キャリア106から製品キャリア16に移されるように、外向きに枢動させることができる。プランジャ127は、このようにして、カルーセルの回転にギアリングされるように、カム駆動されてもよい。
【0048】
本発明に係るシステムのさらなる好適な実施形態において、第1の循環要素8,108及び第2の循環要素18,118、並びに製品キャリア、搬送部材及び搬送手段のようなそれと協働する上述の構成要素の構成に関しては、少なくともその原理に関しては、本発明に従った上述のシステム1,100と同一であってもよい。しかしながら、トランスミッション装置230は、トランスミッション装置30とは別の原理に従って設計されてもよい。この別の原理は、図6に高度に図式化された形式で図示されている。
【0049】
図6は、伝送装置230の4つのギアホイール232,234,236,238を示している。第1のギアホイール232は、前記ギアホイール32又は132に取って代わってもよく、中心軸10及び110と同様に、中心軸210について回転可能である。第2のギアホイール234は、上述のギアホイール34又は134を置き換えてもよく、中心軸20及び120と同様の中心軸220について回転可能である。第1のギアホイール232及び第2のギアホイール234は、ギアホイール32,132及び34,134に類似して、回転のみ可能であり、従って、異なる動きをすることはできない。伝送装置230はさらに、第3の中心軸244について回転可能な第1の伝送ギアホイール236と、第4の中心軸246について回転可能な第2のトランスミッションギアホイール238とを有する。この第1の伝達ギアホイール236及び第2の伝達ギアホイール238は、中心軸210、244、246及び220に対して直角に、又は図4からの図面の平面内で、トランスミッションギアホイール236,238の重心と一致する中心を中心として変位可能である。このために、連結ロッドが提供される。第1の連結ロッド270は、第1のギアホイール232の軸(中心軸210を有する)を、第1のトランスミッションギアホイール236の軸(中心軸244を有する)と連結する。その結果、第1のトランスミッションギアホイール236は、図6において一部をp1として示した円弧に従って変位し得る。この場合、ギアホイール232,236は、噛み合ったままである。第2のギアホイール234と第2のトランスミッションギアホイール238の車軸間の第2の連結ロッド272についても同様である。第2のトランスミッションギアホイール238は、このようにして、一部が図6に図示されている円弧p2に沿って変位し得る。2つのトランスミッションギアホイール236,238はまた、連結ロッド271によって互いに連結されている。連結ロッド270,271,272の機構の結果として、第1のトランスミッションギアホイール236及び第2のトランスミッションギアホイール238を、噛み合い係合を維持しながらギアホイールの平面内で変位させることが可能である。ギアホイールの直径及び中心軸210,220間の距離を適切に選択することによって、ギアホイール236を円弧状経路p1に従って変位させるとき、第2のギアホイール234に第1のギアホイール232とは異なる角度変位を及ぼすことが可能であり、その結果、第2のギアホイール234の角度位置が第1のギアホイール232の角度位置に対して、例えば図示された角度βだけ変化し得る。この場合、図示されたギアホイール及び図示された角度βの寸法は、純粋に例示であり、縮尺/比例する必要はないことに留意すべきである。
【0050】
上述の変位の目的のために、上記のトランスミッション装置230は、第1のトランスミッションギアホイール236と第2のトランスミッションギアホイール238との間の噛み合いを維持しつつ、第1のトランスミッションギアホイール236と第2のトランスミッションギアホイール238とを、第3の中心軸244及び第4の中心軸246の延在方向に対して垂直な平面内で、結合ロッド270の中心軸210についての枢動運動である変位を課すことによって、互いに変位させるように構成された変位装置260を有する。変位装置260は、例えば、リニアアクチュエータで構成されてもよい。第1のトランスミッションギアホイール236は上述の変位の間、経路p1に沿って、第1の中心軸の周りの一定の第1の半径を有する環状経路を辿り、第2のトランスミッションギアホイール238は上述の変位の間、経路p2に沿って、第2の中心軸220の周りの一定の第2の半径を有する環状経路を辿る。システム1,100の文脈で上述した変位装置60と類似して、変位装置260は、手動及び/又は自動で操作されてもよく、例えば、検出装置、例えばセンサ66,68のような、一定の透過率で循環要素又はそれに伴って回転するシステムの構成要素の角度位置を検出するための検出器を含んで構成されるような手段によって操作されてもよい。
【0051】
本発明によれば、図を参照して説明したシステム1、100、及び伝送装置230を備える本発明に係るシステムなどの本発明に係るシステムの製品キャリアの相互位置を調整するための方法が提供される。方法は、噛み合い係合を維持しながら変位装置60,260を用いて第1のギアホイール36,236及び第2のギアホイール38,238の少なくとも1つを変位させることを含み、この変位は、変位の結果として第1のギアホイール32,232の角度位置を第2のギアホイール34,234の角度位置に対して変化させ、この変位は、第1及び第2のギアホイールの少なくとも1つの重心が変位されるような変位である。これは、システムの動作中に行われてもよい。従って、方法はさらに、第1及び第2の循環要素が回転することを可能にすることを含む。
【0052】
目的のために構成された検出装置(例えば上述の検出装置)を用いて、第1及び第2の製品キャリアの相互位置が、直接又は第1及び第2の循環要素若しくは例えば第1及び第2のギアホイールの相互位置の検出を介して検出される。方法はさらに、検出された相互位置が所定の範囲外、例えば10mmより大きい場合、または、例えば-10mmから10mmの範囲内でそれに関連した角度位置差(すなわち位置偏差)がある場合、相互位置が再び所定の範囲内にあることを確実にするために、回転中に第1および/または第2のトランスミッションギアホイールを変位させるステップを実行することを含む。上述の検出装置は、上記の変位装置に作動的に接続されていてもよく、上記システムの制御装置は、上述の検出装置からの信号に基づいて上述の変位装置を作動させるように構成されている。
【0053】
上述の検出に追加又は代替的に、本方法の実施形態において、好ましくは、上述の変位ステップは、相互位置が再び所定の範囲内にあることを確実にするために、上記システムの制御装置に手動で入力される屠畜製品の重量に基づいて、または上記システム内の重量測定に基づいて実施される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6