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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】識別コード読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
G06K7/10 388
G06K7/10 428
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021019361
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122193
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 真
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-217014(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203945(WO,A1)
【文献】特開2019-185561(JP,A)
【文献】特開平05-031879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K7/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体または立方体に形成された箱に設けられた識別コードを読み取る識別コード読取装置であって、
前記識別コードを上から読み取る識別コード読取部と、
前記箱を下から支持する支持部と、
前記支持部を上下に動作させる支持部昇降機構と、
前記箱を把持して回転させる識別コード読取補助手段と、を備えており、
前記識別コード読取補助手段は、前記箱を挟み込んで把持する二組の把持部と、
対向する一組の前記把持部同士を互いに接近または離隔する方向に移動、および前記把持部の移動方向を回転軸方向として回転させる把持部制御手段と、を有し、
二組の前記把持部は、水平面上において直交するよう設けられており、
前記把持部制御手段は、各々の前記把持部を移動させて一組の前記把持部により前記箱を把持させ、前記支持部昇降機構により前記支持部を前記箱から離隔させた状態で前記箱を回転させており、一組の前記把持部により前記箱を把持、回転させて前記識別コード読取部により前記箱の上面の前記識別コードの読み取りを行い、どの面でも前記識別コードを読み取ることができなかった場合、もう一方の前記把持部により前記箱を把持、回転させて前記識別コード読取部により前記箱の上面の前記識別コードの読み取りを行うことを特徴とする識別コード読取装置。
【請求項2】
前記箱の高さ方向における中心部で、前記把持部が前記箱を把持するよう、前記支持部昇降機構による前記支持部の昇降動作を制御するセンタリング手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の識別コード読取装置。
【請求項3】
前記センタリング手段は、前記箱の上面の位置を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果と前記支持部昇降機構により得られる前記支持部の位置から前記箱の高さ方向における前記中心部を割り出す中心部割出手段を有することを特徴とする請求項2に記載の識別コード読取装置。
【請求項4】
前記把持部の先端に前記箱を吸着する吸着部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の識別コード読取装置。
【請求項5】
前記識別コード読取部により前記識別コードを読み取り後に、
前記把持部制御手段によって前記識別コードが所定の方向を向くよう前記箱を回転させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の識別コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体または立方体に形成された箱に設けられた識別コードを読み取る識別コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子等の様々な物品は、直方体または立方体に形成された箱(以下、箱)に包装されて商品として販売されている。そして、箱に包装されている物品の情報(たとえば、物品の種類など)は、箱に設けられた識別コード(たとえば、バーコード)に対して、レーザー光を光学的手段によって照射する識別コードリーダーにより読み取ることができるようになっている。
【0003】
近年、効率化や人件費削減などを目的として、様々な分野で識別コード読取の自動化が進められている。たとえば、様々な作業の自動化が進められている物流の分野においても、識別コード読取を自動化することが望まれている。物流における識別コード読取は、自動倉庫内の入出庫管理や棚卸作業の際に行われることが想定される。箱に設けられた識別コードの読み取りを自動で行うことにより、箱に包装された物品の種類を自動で識別することができ、その識別情報に基づいて物品の在庫等を自動で管理することができるようになる。これを実現するためには、箱に設けられた識別コードを確実に読み取る必要がある。しかし、箱に設けられた識別コードの位置が、物品の種類や箱の置き方によって異なるため、箱が識別コードリーダーを備える識別コード読取装置に搬入された時点で、識別コードが一定の位置にあるとは限られない。すなわち、識別コードが箱のどの面に位置しているかは定まっていない。そのため、一つの識別コードリーダーによって、識別コードを自動で読み取ることは困難であった。
【0004】
これに対して、識別コードリーダー(以下、識別コード読取部)を複数設け、これら複数の識別コード読取部により箱の上面と側面に向けてレーザー光を照射して識別コードを読み取る識別コード読取装置が提案されている。これにより、箱の上面または側面に設けられた識別コードを読み取ることができる(たとえば、下記特許文献1および下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開1991-271987号公報
【文献】特開2013-134512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記識別コード読取装置では、箱に設けられた識別コードを正確に読み取ることができない虞があった。
【0007】
具体的に説明する。上記識別コード読取装置は、箱に設けられた識別コードを読み取るために、複数の識別コード読取部により箱の上面と側面に向けてレーザー光の照射が行われている。これにより、箱の上面または側面に識別コードが位置していた場合、識別コードを読み取ることができるようになっている。しかし、上記識別コード読取装置では、箱の向きの調節が行われていないので、識別コードが箱の下面に位置していた場合、識別コードを読み取ることができないという問題があった。また、上記識別コード読取装置は、複数のレーザー光を照射しているので、レーザー光同士が干渉してノイズを生じさせる虞がある。これらにより、上記識別コード読取装置では、箱に設けられた識別コードを正確に読み取ることができない虞があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてされたものであり、従来と比較して直方体または立方体に形成された箱に設けられた識別コードを正確に読み取る識別コード読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の識別コード読取装置は、直方体または立方体に形成された箱に設けられた識別コードを読み取る識別コード読取装置であって、前記識別コードを上から読み取る識別コード読取部と、前記箱を下から支持する支持部と、前記支持部を上下に動作させる支持部昇降機構と、前記箱を把持して回転させる識別コード読取補助手段と、を備えており、前記識別コード読取補助手段は、前記箱を挟み込んで把持する二組の把持部と、対向する一組の前記把持部同士を互いに接近または離隔する方向に移動、および前記把持部の移動方向を回転軸方向として回転させる把持部制御手段と、を有し、二組の前記把持部は、水平面上において直交するよう設けられており、前記把持部制御手段は、各々の前記把持部を移動させて一組の前記把持部により前記箱を把持させ、前記支持部昇降機構により前記支持部を前記箱から離隔させた状態で前記箱を回転させており、一組の前記把持部により前記箱を把持、回転させて前記識別コード読取部により前記箱の上面の前記識別コードの読み取りを行い、どの面でも前記識別コードを読み取ることができなかった場合、もう一方の前記把持部により前記箱を把持、回転させて前記識別コード読取部により前記箱の上面の前記識別コードの読み取りを行うことを特徴としている。
【0010】
上記識別コード読取装置によれば、識別コードを有する箱の面が上面となるまで、把持部によって箱を回転させることができるので、箱に設けられた識別コードの最初の位置に関わらず、識別コードを正確に読み取ることが可能となる。また、識別コード読取部を複数用いることなく、一台の識別コード読取部により識別コードを読み取ることができるので、識別コード読取部を複数設けた場合に生じるノイズの影響を防ぐことが可能となる。
【0011】
また、前記箱の高さ方向における中心部で、前記把持部が前記箱を把持するよう、前記支持部昇降機構による前記支持部の昇降動作を制御するセンタリング手段を備える構成にしてもよい。
【0012】
この構成によれば、把持部は、箱の高さ方向における中心部で、箱を把持することができるので、安定した状態で箱を把持して回転させることができる。そのため、箱を回転させるときに生じる虞のある箱の位置ずれを防ぐことができるので、識別コードを正確に読み取ることが可能となる。
【0013】
また、前記センタリング手段は、前記箱の上面の位置を測定する測定部と、前記測定部による測定結果と前記支持部昇降機構により得られる前記支持部の位置から前記箱の高さ方向における前記中心部を割り出す中心部割出手段を有する構成にしてもよい。
【0014】
この構成によれば、把持部が、箱の高さ方向における中心部で箱を把持することが容易になる。
【0015】
また、前記把持部の先端に前記箱を吸着する吸着部が設けられている構成にしてもよい。
【0016】
この構成によれば、箱を吸着して把持することができるので、より安定した状態で箱を把持して回転させることが可能となる。
【0017】
また、前記識別コード読取部により前記識別コードを読み取り後に、前記把持部制御手段によって前記識別コードが所定の方向を向くよう前記箱を回転させる構成にしてもよい。
【0018】
この構成によれば、識別コードを読み取った後に、識別コードが所定の方向を向くよう調節することができるので、後工程における処理を容易にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の識別コード読取装置によれば、従来と比較して直方体または立方体に形成された箱に設けられた識別コードを正確に読み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態における識別コード読取装置を概略的に示すである。
図2】本発明の一実施形態に係る識別コード読取装置における第1の識別コード読取動作を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係る識別コード読取装置における第1の識別コード読取動作を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る識別コード読取装置における第2の識別コード読取動作を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態に係る識別コード読取装置における第2の識別コード読取動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態における識別コード読取装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX軸方向、Y軸方向と表現し、XY平面と垂直な方向(つまり、鉛直方向)をZ軸方向と表現する。
【0022】
図1は、一実施形態における識別コード読取装置100を概略的に示す図である、図2および図3は、一実施形態に係る識別コード読取装置100における第1の識別コード読取動作を説明するための図である。図4および図5は、一実施形態に係る識別コード読取装置100における第2の識別コード読取動作を説明するための図である。
【0023】
本実施形態における識別コード読取装置100は、図1に示すように箱Wに設けられた識別コードSを上から読み取る識別コード読取機構1と、箱Wを下から支持する箱支持機構2と、箱Wを把持して回転させる識別コード読取補助手段3とを備えている。また、箱Wに設けられた識別コードSを読み取る動作として、第1の識別コード読取動作と、第2の識別コード読取動作とを備えている。
【0024】
識別コード読取装置100は、識別コード読取機構1、箱支持機構2、および識別コード読取補助手段3のそれぞれを構成する各部を動作させることにより、箱Wに設けられた識別コードSを読み取るようになっている。なお、これら各部の動作は、図示しない制御部により制御される。この制御部は、たとえば、汎用のコンピュータ装置によって構成されている(以下、同様に扱う)。
【0025】
本実施形態における箱Wは、物品(たとえば、菓子)を包装するためのものであり、直方体または立方体に形成されている。箱Wを形成する材質は、特に限定しない。この箱Wが有するいずれかの面の所定位置に、後述する識別コードSが設けられるようになっている。なお、識別コードSが設けられる位置は、箱Wや箱Wにより包装される物品の種類によって異なっている。
【0026】
本実施形態における識別コードSは、後述する識別コード読取機構1により読み取られることで、箱Wの情報(たとえば、箱Wに包装されている物品の種類や数量)を識別させるためのものである。本実施形態における識別コードSは、バーコードであり、箱Wのいずれかの面の所定位置に設けられるようになっている。なお、識別コードSはバーコードに限られず、識別コード読取機構1により読み取られ、箱Wの情報を識別させることができるものであればよい。
【0027】
本実施形態における識別コード読取機構1は、箱Wに設けられた識別コードSを上から読み取るためのものである。識別コード読取機構1は、図1に示すように識別コードSを読み取る識別コード読取部11と、識別コード読取部11を支持するフレーム12により構成される。
【0028】
識別コード読取部11は、識別コードSを読み取るためのものである。本実施形態では、識別コード読取部11がバーコードを読み取る所謂バーコードリーダーであるものを例に説明する。なお、識別コード読取部11が読み取った識別コードSの情報は制御部に出力されるようになっている。
【0029】
識別コード読取部11は、光線を光学的手段により照射する光線照射部(不図示)と、反射した光線を捉える受光センサ(不図示)により構成される。この識別コード読取部11は、識別コードSに対して光線照射部から光線を照射し、反射した光線を受光センサによって捉えることで識別コードSを読み取るようになっている。ここでいう光線は、たとえば、レーザー光や照明光のことである。また、ここでいう受光センサは、たとえば、受光素子やCCDセンサのことである。また、識別コード読取部11は、光線照射部により箱Wの上面に光線を照射可能な位置で、フレーム12によって支持されるようになっている。すなわち、箱Wの上面に識別コードSが位置していた場合、識別コード読取部11により識別コードSを読み取ることができるようになっている。
【0030】
そして、識別コード読取部11が読み取った識別コードSの情報が制御部に出力される。制御部には、予め物品の情報が記憶されており、この記憶されている情報と識別コード読取部11が読み取った識別コードSの情報に基づいて箱Wの情報を識別するようになっている。
【0031】
また、識別コード読取部11による識別コードSの読み取りは、箱Wが識別コード読取補助手段3(詳細は後述する)に把持された状態で行われるようになっている。
【0032】
本実施形態における箱支持機構2は、箱Wを下から支持するためのものである。箱支持機構2は、図1に示すように箱Wを下から支持する支持部21と、支持部21を上下に動作(以下、昇降)させる支持部昇降機構22により構成されている。
【0033】
支持部21は、箱Wを下から支持するためのものであり、少なくとも箱Wを支持する面が水平に形成されている。これにより、安定した姿勢で箱Wを支持することができるようになっている。また、箱Wは支持部21上に順次移載されるようになっている。具体的には、箱Wは、図示しない移載ロボットにより支持部21上に一つずつ移載され、支持部21に支持されるようになっている。
【0034】
支持部昇降機構22は、支持部21を昇降させるためのものであり、Z軸シャフト23と、Z軸シャフト23を上下に変位させるZ軸アクチュエータ24により構成されている。なお、支持部21は、Z軸シャフト23の端部に取り付けられている。そのため、Z軸アクチュエータ24によりZ軸シャフト23を上下に変位させることで、支持部21を昇降させることができるようになっている。なお、Z軸アクチュエータ24は、たとえば、モータである。
【0035】
本実施形態における識別コード読取補助手段3は、箱Wを把持して回転させることで、識別コード読取部11による識別コードSの読み取りを補助するためのものである。識別コード読取補助手段3は、図1および図2(a)に示すように箱Wを挟み込んで把持する二組の把持部31と、対向する一組の把持部31同士を互いに接近または離隔する方向に移動、および把持部31の移動方向を回転軸方向として回転させる把持部制御手段32とを備えている。
【0036】
把持部31は、箱Wを挟み込んで把持するためのものであり、二組設けられている。これら把持部31は、一組の把持部31の把持面同士が箱Wを挟み込めるよう対向、かつ二組の把持部31が水平面上において直交するように配置されている。すなわち、図1に示すように把持部31aと把持部31b(図2(a)を参照)が対向し、把持部31cと把持部31dが対向している。
【0037】
把持部制御手段32は、対向する一組の把持部31同士を互いに接近または離隔する方向に移動、および把持部31の移動方向を回転軸方向として回転させるためのものである。把持部制御手段32は、各々の把持部31に設けられており、把持部31が先端に取り付けられたシャフト部33と、シャフト部33を移動、回転させるアクチュエータ34により構成される。アクチュエータ34は、たとえば、モータである。そして、アクチュエータ34によりシャフト部33を移動、回転させることで、把持部31により箱Wを把持させて、回転させるようになっている。
【0038】
具体的には、把持部31aと把持部31bは、互いが連動してY軸方向に移動し、また、互いが連動して同一速度かつ同じ方向から見て同一回転方向でY‐θ方向に回転するようになっている。一方、把持部31cと把持部31dは、互いが連動してX軸方向に移動し、また、互いが連動して同一速度かつ同じ方向から見て同一回転方向でX‐θ方向に回転するようになっている。そして、把持部31aと把持部31bにより箱Wを把持する場合、把持部31aと把持部31bが互いに接近するよう各々のシャフト部33をY‐θアクチュエータ34aとY‐θアクチュエータ34bによって移動させることで、図2(b)に示すように把持部31aと把持部31bにより箱Wを把持させる。この把持部31aと把持部31bが移動する方向を回転軸方向として、図3(a)に示すように各々のシャフト部33をY‐θアクチュエータ34aとY‐θアクチュエータ34bによって回転させることで、箱WをY‐θ方向に回転させるようになっている。
【0039】
一方、把持部31cと把持部31dにより箱Wを把持する場合、把持部31cと把持部31dが互いに接近するよう各々のシャフト部33をX‐θアクチュエータ34cとX‐θアクチュエータ34dによって移動させることで、図4(c)に示すように把持部31cと把持部31dにより箱Wを把持させる。この把持部31cと把持部31dが移動する方向を回転軸方向として、図5(a)に示すように各々のシャフト部33をX‐θアクチュエータ34cとX‐θアクチュエータ34dによって回転させることで、箱WをX‐θ方向に回転させるようになっている。
【0040】
ここで、識別コード読取装置100の動作について図2図3図4、および図5を参照して説明する。
【0041】
まず、図2(a)に示すように箱Wを支持部21により支持する。次いで、把持部制御手段32により把持部31aと把持部31bを互いが接近する方向に移動させ、図2(b)に示すように箱Wを把持させる。そして、把持部31aと把持部31bにより箱Wが把持された状態で、図2(c)に示すように支持部昇降機構22により支持部21を少なくとも箱Wが回転できる位置まで下降させる。
【0042】
次いで、図3(a)に示すように把持部制御手段32により把持部31aと把持部31bを回転させることで、箱WをY‐θ方向に回転させる。この箱Wが回転している間に、箱Wの上面になる面に対して識別コード読取部11による読み取りを行う。すなわち、箱Wの回転と識別コード読取部11による読み取りを繰り返し行うようになっている。具体的には、箱WをY‐θ方向に90°回転させ、この回転により箱Wの上面になった面に対して識別コード読取部11による読み取りを行うという動作を最大4回繰り返して行うようになっている。
【0043】
ここで、識別コード読取部11により箱Wに設けられた識別コードを読み取ることができた場合、識別コードSの読み取り動作を完了する。たとえば、図2(a)に示すように識別コードSが箱Wの面Cにある場合、図2(c)に示すように把持部31a側から見て反時計回りに90°箱Wを回転させることで、図3(a)に示すように箱Wの面Cが上面になり、識別コードSの読み取りが行われる。そして、把持部31aと把持部31bの回転を停止し、図3(b)に示すように支持部昇降機構22により支持部21を上昇させ、箱Wを支持部21に支持させて、図3(c)に示すように把持部31aと把持部31bを互いに離隔する方向に移動させて箱Wから離隔させる。
【0044】
また、識別コードSが箱Wの面Cではなく、図4(a)に示すように箱Wの面Bにあった場合、把持部31aと把持部31bにより箱WをY‐θ方向に360°回転させたとしても、箱Wの面Bが上面にならず、識別コードSを読み取ることができない。この場合、把持部31aと把持部31bの回転を停止し、図4(a)に示すように箱Wを把持した状態で待機させ、後述する第2の識別コード読取動作に進める。ここまでの識別コード読取装置100の動作を第1の識別コード読取動作とする。なお、第1の識別コード読取動作で、箱Wを把持して回転させる把持部31は、把持部31cと把持部31dであってもよい。
【0045】
次に、第2の識別コード読取動作について説明する。
【0046】
まず、把持部31aと把持部31bの回転が停止され、図4(a)に示すように箱Wを把持して待機している状態で、把持部制御手段32により把持部31cと把持部31dを互いに接近する方向に移動させ、図4(b)に示すように箱Wを把持させる。そして、把持部31cと把持部31dにより箱Wが把持された状態で、図4(c)に示すように把持部31aと把持部31bを互いに離隔する方向に移動させて箱Wから離隔させる。すなわち、箱Wを把持部31aと把持部31bから把持部31cと把持部31dに持ち替える。
【0047】
次いで、図5(a)に示すように把持部制御手段32により把持部31cと把持部31dを回転させることで、箱WをX‐θ方向に回転させる。この箱Wが回転している間に、箱Wの上面になる面に対して識別コード読取部11による読み取りを行う。すなわち、箱Wの回転と識別コード読取部11による読み取りを繰り返し行うようになっている。具体的には、箱WをX‐θ方向に90°回転させ、この回転により箱Wの上面になった面に対して識別コード読取部11による読み取りを行うという動作を最大4回繰り返して行うようになっている。
【0048】
ここで、識別コードSの読み取り動作を完了する。たとえば、図4(a)に示すように識別コードSが箱Wの面Bにある場合、図4(c)に示すように把持部31c側から見て時計回りに90°箱Wを回転させることで、図5(a)に示すように箱Wの面Bが上面になり、識別コードSの読み取りが行われる。そして、把持部31cと把持部31dの回転を停止し、図5(b)に示すように支持部昇降機構22により支持部21を上昇させ、箱Wを支持部21に支持させて、図5(c)に示すように把持部31cと把持部31dを箱Wから離隔させる。なお、第2の識別コード読取動作で、箱Wを把持して回転させる把持部31は、把持部31aと把持部31bであってもよい(第1の識別コード読取動作が把持部31cと把持部31dであった場合)。
【0049】
上記のように、識別コード読取装置100が、第1の識別コード読取動作、または第1の識別コード読取動作および第2の識別コード読取動作をすることによって、箱Wに設けられた識別コードSの最初の位置に関わらず、識別コードSを読み取ることが可能となる。すなわち、識別コードSを有する箱Wの面が上面となるまで、把持部31によって箱Wを回転させることができるので、箱Wが支持部21に支持された最初の状態における識別コードSの位置に関わらず、識別コードSを正確に読み取ることが可能となる。また、識別コード読取部11を複数用いることなく、一台の識別コード読取部により識別コードSを読み取ることができるので、識別コード読取部11を複数設けた場合に生じる虞のある光線同士の干渉によるノイズの影響を防ぐことが可能となる。すなわち、従来のものよりも正確に識別コードSを読み取ることができるようになっている。また、複数の識別コード読取部11を必要としないことに加えて、識別コード読取部11による識別コードSの読み取りを補助する機構も複雑な機構により構成されたものではないので、従来よりも保守が容易、かつコストを削減することが可能となる。
【0050】
また、識別コード読取装置100は、センタリング手段4を備えているとよい。このセンタリング手段は、箱Wの高さ方向における中心部で、把持部31により箱Wを把持させるためのものである。本実施形態におけるセンタリング手段4は、図1に示すように上面の位置を測定する測定部41と、箱Wの高さ方向における中心部を割り出す中心部割出手段(不図示)により構成されている。
【0051】
測定部41は、変位センサであり、支持部21に支持された箱Wの上面の位置を測定するようになっている。この測定部41により測定された箱Wの上面の位置情報は、中心部割出手段に出力される。
【0052】
中心部割出手段は、制御部のことであり、支持部昇降機構22により支持部21の位置情報を得ることができるようになっている。すなわち、測定部41により得られた箱Wの上面の位置情報と、支持部昇降機構22により得られた支持部21の位置情報から箱Wの高さ方向における中心部を割り出すようになっている。これにより、箱Wの高さ方向における中心部を容易に割り出すことができる。
【0053】
そして、割り出した箱Wの高さ方向における中心部で、把持部31により箱Wを把持できるよう支持部昇降機構22によって支持部21を昇降させる。これにより、把持部31は、箱Wの高さ方向における中心部で箱Wを把持することができるので、安定した状態で箱Wを把持して回転させることができる。そのため、箱Wを回転させたときに生じる虞のある箱Wの位置ずれを防ぐことができるので、識別コードSを正確に読み取ることが可能となる。また、箱Wの高さ方向における中心部を画像処理などの複雑な処理を必要とせずに割り出すことができるので、安定した状態で把持部31が箱Wを把持するまでにかかる時間を削減することができる。したがって、箱Wに設けられた識別コードSの読み取りを高速化することが可能となる。
【0054】
また、識別コード読取装置100は、一組の把持部31が箱Wを把持する場合において、各々の把持部31に生じる負荷を測定する負荷測定手段(不図示)を備えているとよい。本実施形態における負荷測定手段は、センサであってもよいし、アクチュエータ34の一つの機能であってもよい。そして、負荷測定手段による測定結果が一組の把持部31において所定量で均一になるように把持部制御手段32によって把持部31の移動が制御されるようになっている。これにより、負荷が所定量で均一になるよう調節された一組の把持部31により箱Wを把持することができるので、安定した状態で箱Wを把持することが可能となる。
【0055】
また、箱Wが支持部21に配置され、支持される際に箱Wが傾いていた場合においても、把持部31の負荷が把持部31により安定した状態で箱Wを把持可能な所定量で均一な状態になるまで、把持部31の移動とともに箱Wが移動させられるようになっている。これにより、把持部31が箱Wを押し込み、箱Wの傾きが調節される。したがって、箱Wが傾いていたとしても、安定した状態で把持部31により箱Wを把持することが可能となる。なお、これらの動作は、箱Wが支持部21に支持された状態で行われる。
【0056】
ここで、本実施形態では、一組の把持部31が水平方向に連動して移動するため、把持部31は箱Wの高さ方向と直交する水平方向における箱Wの中心部で箱Wを把持することができるようになる。具体的には、一組の把持部31(把持部31aと把持部31b)の負荷が均一になるまで、連動して移動する把持部31により箱Wを押し込み、把持部31の移動とともに箱Wを移動させる。これにより、把持部31cと把持部31dが箱WのY軸方向における中心部で箱Wを把持可能な位置まで箱WがY軸方向に移動するようになっている。
【0057】
そして、もう一組の把持部31(把持部31cと把持部31d)の負荷が均一になるまで、連動して移動する把持部31により箱Wを押し込み、把持部31の移動とともに箱Wを移動させる。これにより、把持部31aと把持部31bが箱WのX軸方向における中心部で箱Wを把持可能な位置まで箱WがX軸方向に移動するようになっている。すなわち、把持部31aと把持部31bは箱WのX軸方向における中心部で箱Wを把持することができ、把持部31cと把持部31dは箱WのY軸方向における中心部で箱Wを把持することができるようになっている。これにより、より安定した状態で箱Wを把持することができる。したがって、箱Wを回転させたときに生じる虞のある箱Wの位置ずれを防ぐことができるので、識別コードSを正確に読み取ることが可能となる。また、箱Wの水平方向における中心部を画像処理などの複雑な処理を必要とせずに割り出すことができるので、把持部31が安定した状態で箱Wを把持するまでにかかる時間を削減することができる。したがって、箱Wに設けられた識別コードSの読み取りを高速化することが可能となる。なお、これらの動作は、箱Wが支持部21に支持された状態で行われる。
【0058】
また、各々の把持部31には、箱Wを吸着する吸着部35が設けられているとよい。吸着部35は、所謂吸着パッドのことであり、各々の把持部31の先端に設けられている。そのため、把持部31により箱Wを把持する際に、吸着部35によって箱Wを吸着することができるようになっている。これにより、より安定した状態で箱Wを把持することができる。したがって、箱Wを回転させたときに生じる虞のある箱の位置ずれを防ぐことができるので、識別コードSを正確に読み取ることが可能となる。
【0059】
また、識別コード読取部11により識別コードSを読み取り後に、把持部制御手段32によって把持部31の回転を制御し、識別コードSが所定の方向を向くよう箱Wを回転させてもよい。ここでいう、所定の方向とは、識別コード読取の後工程において箱Wへの処理が容易になるような方向に箱Wの所定の面が向くように調節するための基準となる方向のことである。この基準となる方向は、予め制御部に記憶されている。たとえば、後工程が箱Wに包装された物品を箱Wの上面から取り出す工程であり、箱Wの識別コードSを有する面側の内部に保護紙があった場合、箱Wの識別コードSを有する面が下面となるよう、制御部に基準となる方向が記憶されている。
【0060】
具体的な動作を説明する。第1の識別コード読取動作時に識別コードSを読み取ることができた場合、図3(a)に示すように把持部31aと把持部31bが箱Wを把持している状態で、箱Wの識別コードSを有する面(面C)が下面になるよう箱Wを回転させ、その状態を保ったまま支持部21に支持させる。一方、第2の識別コード読取動作時に識別コードを読み取ることができた場合、図5(a)に示すように把持部31cと把持部31dが箱Wを把持している状態で、箱Wの識別コードを有する面(面B)が下面になるよう箱Wを回転させ、その状態を保ったまま支持部21に支持させる。これにより、識別コード読取部11により識別コードSを読み取った後に、識別コードSが所定の方向を向くよう調節することができるので、後工程における処理を容易にすることが可能となる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述したが、各実施形態における構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の追加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。たとえば、本実施形態では、識別コード読取部11がバーコードリーダーであることを例に説明したが、それに限られない。たとえば、カメラであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 識別コード読取装置
1 識別コード読取機構
11 識別コード読取部
12 フレーム
2 箱支持機構
21 支持部
22 支持部昇降機構
23 Z軸シャフト
24 Z軸アクチュエータ
3 識別コード読取補助手段
31 把持部
31a 把持部
31b 把持部
31c 把持部
31d 把持部
32 把持部制御手段
33 シャフト
34 アクチュエータ
34a Y‐θアクチュエータ
34b Y‐θアクチュエータ
34c X‐θアクチュエータ
34d X‐θアクチュエータ
35 吸着部
4 センタリング手段
41 測定部
W 箱
S 識別コード
図1
図2
図3
図4
図5