(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 9/10 20200101AFI20231207BHJP
B62J 37/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B62J9/10
B62J37/00 B
(21)【出願番号】P 2021160746
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石上 公一
(72)【発明者】
【氏名】西田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】小山 信也
(72)【発明者】
【氏名】中村 国一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸祐
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-038281(JP,A)
【文献】特開2019-043242(JP,A)
【文献】特開2011-031752(JP,A)
【文献】特開2013-071583(JP,A)
【文献】特開2015-155246(JP,A)
【文献】特開2018-103873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00- 9/40,
11/00-11/26,
23/00,37/00
B62K 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(11)と、燃料タンク(29)で生じる蒸発燃料を吸着するキャニスター(53)と、前記キャニスター(53)を収納する収納ケース(50)とを備える鞍乗り型車両において、
前記車体フレーム(11)は、ヘッドパイプ(18)と、前記ヘッドパイプ(18)から後方に延びるフロントフレーム(19)とを備え、
前記フロントフレーム(19)を車幅方向外側から覆うサイドカバー(42)が設けられ、
前記収納ケース(50)は、前記サイドカバー(42)と前記フロントフレーム(19)との間に配置され、
前記収納ケース(50)は、前記燃料タンク(29)に対し下方から重なる重なり部(68a)を備え、前記キャニスター(53)の少なくとも一部は、前記重なり部(68a)に配置され
、
前記ヘッドパイプ(18)の後方に前記燃料タンク(29)が配置され、
前記収納ケース(50)は、車両側面視で、前記ヘッドパイプ(18)と前記燃料タンク(29)との間に配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記フロントフレーム(19)は、前記ヘッドパイプ(18)から後方に延びるメインフレーム(31)と、前記メインフレーム(31)の下方で前記ヘッドパイプ(18)から後下方に延びるダウンフレーム(33)とを備え、
前記ダウンフレーム(33)は、車幅の中央に1本で設けられ、
前記収納ケース(50)は、前記ダウンフレーム(33)に車幅方向外側から重なることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記収納ケース(50)は、前記キャニスター(53)を、前方、上方、下方、及び車幅方向内側から覆う箱状であることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記収納ケース(50)は、前記キャニスター(53)を車幅方向外側から覆うことを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記収納ケース(50)は、樹脂製であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記ヘッドパイプ(18)の後方に前記燃料タンク(29)が配置され、
前記収納ケース(50)は、車両側面視で、前記ヘッドパイプ(18)と前記燃料タンク(29)との間に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記キャニスター(53)とは別の第2の燃料系部品(54)が前記収納ケース(50)に収納されることを特徴とする請求項1から
6のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記第2の燃料系部品(54)は、前記キャニスター(53)から排出される燃料の流れを制御する弁(54)であることを特徴とする請求項
7記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記キャニスター(53)は、車幅方向において前記第2の燃料系部品(54)よりも大型の部品であり、
前記第2の燃料系部品(54)は、前記キャニスター(53)の上方に配置されることを特徴とする請求項
7または
8記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記収納ケース(50)は、前記収納ケース(50)内の空気を排出する排気口(78)を備えることを特徴とする請求項1から
9のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項11】
前記収納ケース(50)は、前記収納ケース(50)内に走行風を取り入れる吸気口(280)を前記排気口(78)よりも前方に備えることを特徴とする請求項1
0記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンクで生じる蒸発燃料を吸着するキャニスターを収納ケースに収納した鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のようにキャニスターを収納ケースに収納することで、キャニスターを熱や汚れから保護できるが、キャニスターを収納可能な収納ケースは大型になるため、収納ケースをコンパクトに配置できることが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両において、キャニスターを収納する収納ケースをコンパクトに配置できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、車体フレームと、燃料タンクで生じる蒸発燃料を吸着するキャニスターと、前記キャニスターを収納する収納ケースとを備える鞍乗り型車両において、前記車体フレームは、ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方に延びるフロントフレームとを備え、前記フロントフレームを車幅方向外側から覆うサイドカバーが設けられ、前記収納ケースは、前記サイドカバーと前記フロントフレームとの間に配置され、前記収納ケースは、前記燃料タンクに対し下方から重なる重なり部を備え、前記キャニスターの少なくとも一部は、前記重なり部に配置され、前記ヘッドパイプの後方に前記燃料タンクが配置され、前記収納ケースは、車両側面視で、前記ヘッドパイプと前記燃料タンクとの間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
鞍乗り型車両において、キャニスターを収納する収納ケースをコンパクトに配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図4】車体カバーを取り外した状態における鞍乗り型車両の前部の左側面図である。
【
図5】
図4の状態において、収納ケース及び燃料タンクを上方から見た図である。
【
図6】収納ケースを車幅方向外側から見た斜視図である。
【
図7】カバー部を取り外して収納ケースの内部を露出させた状態を示す左側面図である。
【
図8】第2の実施の形態において、車体フレーム及び収納ケースを前方から見た正面図である。
【
図9】第3の実施の形態において、キャニスターの収納状態を示す斜視図である。
【
図10】第4の実施の形態において、収納ケース及び収納ケースに収納される部品を示す左側面図である。
【
図11】収納ケースを前方且つ左側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
図2は、車体フレーム11の左側面図である。
図3は、車体フレーム11を前方から見た正面図である。
図3には、燃料タンク29、及び、後述の収納ケース50も図示されている。
図1~
図3を参照し、フロントフレーム19は、車幅の中央に位置するヘッドパイプ18から後下がりに後方に延びる左右一対のメインフレーム31と、メインフレーム31の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム32と、ヘッドパイプ18から下方に延びるダウンフレーム33と、ダウンフレーム33の下端部から下方及び後方に延びてピボットフレーム32の下端部に接続される左右一対のロアフレーム34と、ダウンフレーム33とメインフレーム31の前部とを前後方向に接続する左右一対の補強フレーム35とを備える。
【0016】
リアフレーム20は、メインフレーム31の後部から後方に延びる左右一対のシートフレーム36と、ピボットフレーム32から後上方に延びてシートフレーム36に接続される左右一対のサブフレーム37とを備える。
【0017】
詳細には、各メインフレーム31の前部は、ヘッドパイプ18から後下方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。
ピボット軸22は、ピボットフレーム32に支持される。
ダウンフレーム33は、ヘッドパイプ18の後面部においてメインフレーム31の下方の部分から後下方に延びる。ダウンフレーム33は、車幅の中央で上下に延在する1本のパイプ状である。
【0018】
ロアフレーム34は、ダウンフレーム33の下端部33aから車幅方向外側に分岐して下方に延びる左右一対の上側ダウンフレーム34aと、上側ダウンフレーム34aの下端部から後方に延びてピボットフレーム32の下端部に接続される左右一対の下側ダウンフレーム34bとを備える。
【0019】
パワーユニット12は、車両側面視で、メインフレーム31とロアフレーム34との間、且つ、ダウンフレーム33とピボットフレーム32との間に配置され、フロントフレーム19に支持される。
燃料タンク29は、メインフレーム31の上方において、ヘッドパイプ18とシート17との間に配置される。燃料タンク29は、左右のメインフレーム31に上方から重なり、メインフレーム31に支持される。
ヘッドライト38は、ヘッドパイプ18の前方に配置される。
【0020】
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11及び燃料タンク29等によって構成される車体を覆う車体カバー40を備える。車体カバー40は、ヘッドライト38の左右の側方を前方から覆う左右一対のフロントカバー41と、フロントカバー41の後方で車体の前部を車幅方向外側から覆う左右一対のサイドカバー42と、サイドカバー42の後方で車体を車幅方向外側及び上方から覆うタンクカバー43と、サイドカバー42の後方且つタンクカバー43の下方で車体を車幅方向外側から覆う左右一対のカバー44とを、車体の前部に備える。
【0021】
サイドカバー42は、車両側面視で、パワーユニット12の前上方、且つ、ハンドル21の下方に配置される。また、サイドカバー42は、車両側面視で、燃料タンク29の前方、且つ、前輪13の後上方に配置される。
サイドカバー42は、ヘッドライト38、フロントカバー41、ヘッドパイプ18、フロントフレーム19の前部、及びフロントフォーク14の上部を車幅方向外側から覆う板状のカバーである。
【0022】
詳細には、サイドカバー42は、ヘッドパイプ18に対し前方側に配置される第1サイドカバー45と、第1サイドカバー45対し後方に配置される第2サイドカバー46とを備える。
サイドカバー42は、それぞれ個別に形成される第1サイドカバー45及び第2サイドカバー46を接続することで設けられる。
【0023】
図1を参照し、左右の一方側(左側)のサイドカバー42とフロントフレーム19との間には、部品を収納する収納ケース50が設けられる。
【0024】
図4は、車体カバー40を取り外した状態における鞍乗り型車両10の前部の左側面図である。
図4では、フロントフォーク14及びハンドル21等は不図示である。
図5は、
図4の状態において、収納ケース50及び燃料タンク29を上方から見た図である。
図6は、収納ケース50を車幅方向外側から見た斜視図である。
図7は、後述のカバー部61を取り外して収納ケース50の内部を露出させた状態を示す左側面図である。
【0025】
図3~
図7を参照し、収納ケース50は、車両側面視において、車両前後方向よりも上下方向に長い箱状の容器である。また、
図3のように車両正面視では、収納ケース50の下部は、収納ケース50の上部よりも車幅方向に大きく形成されている。
【0026】
収納ケース50内には、電装品及び燃料系部品等の複数の部品が収納される。
収納ケース50内には、電装品として、ECU(Electronic Controll Unit)51、及び、リレー52が収納される。
また、収納ケース50内には、燃料系部品として、キャニスター53、及び、弁54(第2の燃料系部品)が収納される。
【0027】
収納ケース50は、車幅方向外側に開放する箱状のケース本体部60と、ケース本体部60を車幅方向外側から覆うカバー部61とを備える。ケース本体部60及びカバー部61は樹脂製である。
ケース本体部60は、ケース本体部60における車幅方向内側の壁部を構成する内側壁部62と、ケース本体部60の前面を構成する前壁部63と、ケース本体部60の後面を構成する後壁部64と、ケース本体部60の上面を構成する上壁部65と、ケース本体部60の下面を構成する下壁部66とを備える。
前壁部63、後壁部64、上壁部65、及び下壁部66は、車両側面視における内側壁部62の周縁部から車幅方向外側に延出する。内側壁部62は、収納ケース50における車幅方向内側の壁部を構成する。
【0028】
内側壁部62の上部には、車幅方向に対し略直交する向きで上下に延びる支持面部67が設けられる。支持面部67は略平坦な面である。
内側壁部62の下部には、支持面部67に対して車幅方向内側に膨出する内側膨出部68が設けられる。内側膨出部68が設けられることで、ケース本体部60の下部の収納空間は、ケース本体部60の上部の収納空間よりも車幅方向に大きくなっている。
【0029】
ケース本体部60の後部の下端部には、下壁部66から下方に延出する外気ホースガイド部69が設けられる。
ケース本体部60は、後壁部64の下部から後方に延出するガイド部70を備える。
また、ケース本体部60は、上壁部65の後部から上方に延出するハーネスガイド部71を備える。
【0030】
カバー部61は、内側壁部62に車幅方向外側から対向するカバー側壁部72と、カバー側壁部72の周縁部の略全周から車幅方向内側に延出するカバー周壁部73とを備える。
カバー部61は、車両側面視で、ケース本体部60よりも小さく、ケース本体部60の一部のみを覆う。詳細には、カバー部61は、ケース本体部60の上部、及び、ケース本体部60の下部の前部を車幅方向外側から覆う。
【0031】
カバー部61は、ケース本体部60に取り付けられた状態では、カバー周壁部73の上部が上壁部65に車幅方向外側から合わさるとともに、カバー周壁部73の前部が前壁部63に車幅方向外側から合わさる。
カバー部61は、ケース本体部60に着脱自在である。なお、カバー部61は、例えばカバー部61の前縁部に設けられるヒンジ部を介してケース本体部60に対し開閉自在に設けられても良い。
カバー側壁部72の外側面には、車幅方向外側に突出するホース固定部72aが設けられる。ホース固定部72aは、カバー部61の前部、且つ、カバー部61の上下の中間部に設けられる。
【0032】
ECU51は、収納ケース50内の上部において、ケース本体部60の支持面部67に固定される。ECU51は、支持面部67と略平行に配置される板状部材である。ECU51は、ECU51の外側面を押さえるバンド状の固定部材67aを介して支持面部67に固定される。ECU51は、パワーユニット12等の鞍乗り型車両10の各部を制御する電子制御ユニットである。
リレー52は、車両側面視でECU51よりも小型の箱状部材である。リレー52は、支持面部67に固定され、ECU51の前下方に配置される。
【0033】
電装系のハーネス55は、後方から後壁部64を通過して収納ケース50内に入る。ハーネス55は、収納ケース50内で分岐し、ECU51及びリレー52に接続される。
ECU51は、ハーネス55が接続される第1端子部51aを下端部に備える。ECU51は、ハーネス55を介してパワーユニット12及びバッテリー(不図示)等に接続される。
リレー52は、ハーネス55が接続される第2端子部52aを下端部に備える。リレー52は、リレー52を介してバッテリー(不図示)等に接続される。
【0034】
キャニスター53は、燃料タンク29で生じる蒸発燃料を吸着する。キャニスター53は、両端部が閉じた筒状容器53a内に、蒸発燃料を吸着する吸着材(不図示)を収納したものである。吸着材は例えば活性炭である。
キャニスター53は、筒状容器53aの軸線53bが車両前後方向に指向する向きで配置される。
キャニスター53は、収納ケース50内の下部において、内側膨出部68内に収納される。
キャニスター53は、ECU51及びリレー52に対し下方に配置される。
【0035】
キャニスター53には、燃料が通るホース74が接続される。ホース74は、燃料タンク29とキャニスター53とを接続する第1ホース75と、キャニスター53と吸気通路部39(
図4)とを接続する第2ホース76とを備える。
また、キャニスター53には、キャニスター53内を外気に連通させる外気ホース77が接続される。
【0036】
吸気通路部39は、シリンダー部24の後面の吸気ポートに接続される管状である。エアクリーナー(不図示)によって外気から取り込まれた吸気は、吸気通路部39を通ってシリンダー部24に流入する。キャニスター53は、吸気通路部39を介してシリンダー部24に接続されている。
弁54は、第2ホース76の途中に設けられる。弁54は、第2ホース76を通ってキャニスター53から吸気通路部39に流れる蒸発燃料の流量を調節する。弁54の開閉は、ECU51により、パワーユニット12の運転状態に応じて制御される。
【0037】
弁54は、ケース本体部60の支持面部67の後部に、例えば締結によって固定される。弁54は、キャニスター53よりも小型の部品である。
弁54は、キャニスター53に対し後方且つ上方に配置される。また、弁54は、ECU51に対し後方且つ下方に配置される。
【0038】
燃料タンク29内で蒸発する燃料は、第1ホース75を通ってキャニスター53内に流れ、キャニスター53の内の吸着材に一旦吸着される。弁54が開かれると、第2ホース76を介してキャニスター53と吸気通路部39とが連通し、吸気の負圧によって、キャニスター53内の蒸発燃料は、第2ホース76及び吸気通路部39を通ってシリンダー部24に流れ、シリンダー部24で燃焼する。また、キャニスター53内の負圧によって、外気ホース77からキャニスター53内に外気が導入され、この外気によって、吸着されている蒸発燃料は吸着材から離脱する。
【0039】
キャニスター53の前面には、第1ホース75の一端が接続される第1ホース接続部53cと、第2ホース76の一端が接続される第2ホース接続部53dとが設けられる。
第1ホース75の他端は燃料タンク29に接続される。第2ホース76の他端は吸気通路部39に接続される。
キャニスター53の後面には、外気ホース77の一端が接続される外気ホース接続部53eが設けられる。外気ホース77の他端は、外側に開口する。
【0040】
図4及び
図7を参照し、ECU51、リレー52、キャニスター53、及び、弁54は、収納ケース50においてケース本体部60内に収納されている。
カバー部61は、ECU51、リレー52、及び、キャニスター53を車幅方向外側から覆う。キャニスター53の前部はカバー部61によって覆われているが、キャニスター53の後部は、カバー部61によって覆われておらず、ケース本体部60内から車幅方向外側に露出する。
また、弁54は、カバー部61に対し後方側に位置する。弁54は、前端部がカバー部61によって覆われるが、弁54の大部分はケース本体部60内から車幅方向外側に露出する。
【0041】
第1ホース75は、燃料タンク29からカバー部61の外側方を通って下方に延び、第1ホース接続部53cに接続される。第1ホース接続部53cは、カバー部61の下方に位置しており、ケース本体部60内から車幅方向外側に露出する。
第1ホース75は、第1ホース接続部53cの上方で、カバー部61のホース固定部72aに固定されている。
【0042】
第2ホース接続部53dは、第1ホース接続部53cの上方に位置し、カバー部61の下端部によって車幅方向外側から覆われている。
第2ホース76は、第2ホース接続部53dから上方に延出する上方延出部76aと、上方延出部76aから後方に延出する後方延出部76bと、後方延出部76bから下方に屈曲する屈曲部76cと、屈曲部76cから後方且つ下方に延びて吸気通路部39に接続される下方延出部76dとを備える。
【0043】
上方延出部76a、後方延出部76b、及び屈曲部76cは、ケース本体部60内に配索される。
第2ホース76の後方延出部76bは、上下方向においてECU51とキャニスター53との間を通って後方に延びる。また、後方延出部76bは、車幅方向においてハーネス55と支持面部67との間を通って後方に延びる。ハーネス55の一部は、後方延出部76bに車幅方向外側から重なる。すなわち、後方延出部76bは、ケース本体部60内においてハーネス55よりも車幅方向内側に配索されている。これにより、第2ホース76とハーネス55との接触を抑制でき、第2ホース76及びハーネス55を効率良く配索できる。また、ハーネス55が第2ホース76に対し車幅方向外側に配置されるため、第1端子部51aに対しハーネス55を着脱する際に、第2ホース76を着脱する必要が無く、ハーネス55のメンテナンスが容易である。
【0044】
カバー部61は、第2ホース接続部53d、第2ホース76の前部、第1端子部51a、及び第2端子部52aを車幅方向外側から覆う。これにより、第2ホース接続部53d、第2ホース76の前部、第1端子部51a、及び第2端子部52aは、カバー部61によって車幅方向外側から保護される。例えば、洗車の際に、第1端子部51a及び第2端子部52a等に水がかかることが抑制される。
【0045】
ケース本体部60のガイド部70は、第2ホース76の屈曲部76cをガイドする。
ガイド部70は、後壁部64から後方に延びて屈曲部76cを車幅方向内側から覆う内壁部70aと、内壁部70aから車幅方向外側に延出するガイド壁部70bとを備える。
ガイド壁部70bは、屈曲部76cに沿うように円弧状に形成されるリブ状である。ガイド壁部70bは、屈曲部76cの外周に当接して屈曲部76cを下方にガイドする。屈曲部76cは、ガイド部70によってガイドされる被ガイド部である。
【0046】
また、ガイド部70は、内壁部70aから屈曲部76cに対し車幅方向外側に延出するハーネス当接部70cを備える。
ハーネス当接部70cは、ガイド壁部70bの下方に設けられる。
ハーネス55は、ガイド部70の前方から第2ホース76と略平行に第2ホース76の下方を後方に延び、下方延出部76dの外側方を通って後方に延出する。ハーネス55は、車両側面視で、下方延出部76dに車幅方向外側から重なる。
ハーネス当接部70cは、屈曲部76cの後方で、ハーネス55に車幅方向内側から当接し、ハーネス55を受ける。これにより、ガイド部70の近傍においてハーネス55が車幅方向内側に移動することが抑制され、ハーネス55と第2ホース76の下方延出部76dとの接触が抑制される。
【0047】
ハーネス55は、ハーネス55において収納ケース50の後方の部分から分岐して前上方に延出する上方延出ハーネス部55aを備える。
上方延出ハーネス部55aは、収納ケース50の後部の上面に沿うように前上方に延び、収納ケース50のハーネスガイド部71によってガイド及び支持される。
【0048】
ケース本体部60の外気ホースガイド部69は、外気ホース77をガイドする。
外気ホース77は、キャニスター53の外気ホース接続部53eから下方に延びる。外気ホース接続部53e及び外気ホース77は、カバー部61によって車幅方向外側から覆われておらず、ケース本体部60内から車幅方向外側に露出する。
【0049】
外気ホースガイド部69は、外気ホース77の下方に位置する。外気ホースガイド部69は、下壁部66に対し車幅方向外側に延出する。
外気ホースガイド部69は、外気ホースガイド部69の下端部を下方から覆う下面部69aと、外気ホースガイド部69の下端部を前方から覆う前面部69bと、外気ホースガイド部69の下端部を後方から覆う後面部69cとを備える。
【0050】
下面部69aは、下方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように傾斜する斜面部であり、外気ホースガイド部69の下端部を車幅方向外側及び下方から覆う。外気ホースガイド部69の下端部は、下方且つ車幅方向内側に開放している。
外気ホース77の下端部は、下面部69a、前面部69b、及び後面部69cによって区画される開口から外気ホースガイド部69内に入り、下面部69aに当接する。
下面部69aは、外気ホース77の下端部に当接することで、外気ホース77の下端部を下面部69aの斜面に沿って車幅方向内側且つ下方にガイドする。
外気ホース77は、外気ホースガイド部69にガイドされて、車幅方向内側且つ下方に延びて開口するため、外気ホース77の下端の開口から液体等が外気ホース77に入り難い。このため、例えば、洗車時等に外気ホース77に水が入ることが抑制される。
【0051】
収納ケース50は、パワーユニット12及び燃料タンク29の近傍で、フロントフレーム19に対し車幅方向外側に配置される。収納ケース50は、フロントフレーム19に対し左右の一方側(左側)の外側方に配置され、車両側面視で、フロントフレーム19に車幅方向外側から重なる。
また、収納ケース50は、パワーユニット12及び燃料タンク29に対し車幅方向外側に配置される。
【0052】
収納ケース50は、車両側面視で、ヘッドパイプ18の後方、且つ、燃料タンク29及びシリンダー部24の前方に配置される。
詳細には、収納ケース50の上部は、車両側面視で、ヘッドパイプ18と燃料タンク29との間に配置される。収納ケース50の上部の後部は、燃料タンク29の前端部に車幅方向外側から重なる。
収納ケース50の下部は、車両側面視で、ヘッドパイプ18とシリンダー部24との間に配置される。
【0053】
収納ケース50は、車両側面視において、ダウンフレーム33、及び、メインフレーム31の前部に、車幅方向外側から重なるように配置される。また、収納ケース50は、上側ダウンフレーム34aの上端部に対し上方に配置される。
車幅の中央に1本で設けられるダウンフレーム33の外側方に収納ケース50を配置するため、収納ケース50を車幅方向に大きくでき、収納ケース50の容量を大きく確保できる。
また、収納ケース50の下方では、上側ダウンフレーム34aが左右一対で設けられるため、フロントフレーム19の剛性を高く確保できる。
【0054】
収納ケース50が、パワーユニット12及び燃料タンク29の近傍で、ダウンフレーム33及びメインフレーム31に対し車幅方向外側に配置されるため、パワーユニット12及び燃料タンク29の配置の自由度が高い。
このため、燃料タンク29の形状及び配置の自由度が高くなり、燃料タンク29の容量を大きく確保し易い。また、パワーユニット12を高い位置に配置し易くなり、パワーユニット12の最低地上高を大きく確保できる。例えば、燃料タンク29とパワーユニット12との間に収納ケース50を挟むように設ける場合、上下方向のスペースに余裕が無くなり、パワーユニット12及び燃料タンク29の配置の自由度が低下する。
【0055】
収納ケース50は、シリンダー部24に対し上方に配置される。
収納ケース50の下部は、車両側面視で、シリンダー部24に重なる高さ位置に配置される。
キャニスター53は、収納ケース50の下部に収納される。これにより、キャニスター53がシリンダー部24に近くなるため、キャニスター53を、第2ホース76を介して吸気通路部39に接続し易い。
また、ECU51及びリレー52は、収納ケース50内においてキャニスター53の上方に配置される。このため、ECU51及びリレー52がシリンダー部24から遠くなり、ECU51及びリレー52に対するシリンダー部24の熱影響を低減できる。
また、収納ケース50は樹脂製であるため、遮熱効果が高い。このため、収納ケース50内の部品に対するシリンダー部24の熱影響を低減できる。
【0056】
図3、
図5及び
図7を参照し、ケース本体部60の内側膨出部68の後部は、平面視において燃料タンク29の前部に対し下方から重なる重なり部68a(
図5)である。
重なり部68aは、燃料タンク29の車幅方向の外側面に対し車幅方向内側に入り込んだ部分であり、燃料タンク29の真下のスペースを利用して設けられる。
キャニスター53の少なくとも一部(後部)は、重なり部68a内に配置される。このため、ECU51よりも車幅方向に大型の部品であるキャニスター53を、燃料タンク29の真下のスペースを有効利用してコンパクトに配置できる。
ECU51及びリレー52は、キャニスター53よりも車幅方向に小型の部品であるため、キャニスター53の上方にコンパクトに収納できる。
キャニスター53は、ECU51及びリレー52に対し、下方且つ車幅方向内側に配置される。
【0057】
また、キャニスター53は、弁54よりも車幅方向に大型の部品である。弁54は、キャニスター53よりも車幅方向に小型の部品であるため、重なり部68aに配置されるキャニスター53の上方にコンパクトに収納できる。
【0058】
収納ケース50は、サイドカバー42とフロントフレーム19との間に配置されており、サイドカバー42とフロントフレーム19との間のスペースを利用して設けられる。このため、収納ケース50をコンパクトに配置できる。
また、車両側面視で、収納ケース50の大部分は、サイドカバー42によって車幅方向外側から覆われて隠れる。このため、収納ケース50が視認されることが抑制され、鞍乗り型車両10の外観性が良い。カバー44も収納ケース50の一部を覆う。
【0059】
収納ケース50がサイドカバー42によって覆われるため、例えば洗車時等に、水が収納ケース50に入ることを効果的に抑制できる。
収納ケース50がサイドカバー42の内側に配置される構成であっても、収納ケース50にカバー部61を設けることで、収納ケース50内への水や汚れの侵入を効果的に抑制できる。また、カバー部61が設けられることで、サイドカバー42によってケース本体部60を覆う必要性が低くなるため、サイドカバー42の形状の自由度が向上する。
【0060】
収納ケース50は、内側壁部62、前壁部63、後壁部64、上壁部65、下壁部66、及びカバー部61によって、ECU51、リレー52、及びキャニスター53を、前方、後方、上方、下方、車幅方向内側、及び車幅方向外側から覆う箱状である。このため、ECU51、リレー52、及びキャニスター53を水や汚れ等から効果的に保護できる。
なお、収納ケース50は、例えば、キャニスター53を後方からほとんど覆わずに、キャニスター53を前方、上方、下方、車幅方向内側、及び車幅方向外側から覆う箱状に形成されても良い。
【0061】
車両側面視でケース本体部60の後壁部64とカバー部61の後縁部とが前後方向に離間することで形成される隙間は、排気口78である。収納ケース50内の空気は、排気口78から後方に排出される。収納ケース50内の空気は、収納ケース50内に流入する走行風も含む。
【0062】
収納ケース50は、ケース本体部60の支持面部67の後部に車幅方向外側から挿通される固定具79によって、メインフレーム31に締結される。固定具79は、カバー部61によって覆われておらず、ケース本体部60内から車幅方向外側に露出する。
また、収納ケース50は、他の固定部(不図示)によっても、フロントフレーム19に固定される。
キャニスター53、弁54、ECU51、及びリレー52は、収納ケース50に纏めて取り付けられてから、収納ケース50と一体に車体フレーム11に組み付けられることができる。このため、組み付け作業の効率が良い。
【0063】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、燃料タンク29で生じる蒸発燃料を吸着するキャニスター53と、キャニスター53を収納する収納ケース50とを備え、車体フレーム11は、ヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18から後方に延びるフロントフレーム19とを備え、フロントフレーム19を車幅方向外側から覆うサイドカバー42が設けられ、収納ケース50は、サイドカバー42とフロントフレーム19との間に配置される。
この構成によれば、キャニスター53を収納する収納ケース50を、サイドカバー42とフロントフレーム19との間の空間を利用して配置できるため、収納ケース50をコンパクトに配置できる。
【0064】
また、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後方に延びるメインフレーム31と、メインフレーム31の下方でヘッドパイプ18から後下方に延びるダウンフレーム33とを備え、ダウンフレーム33は、車幅の中央に1本で設けられ、収納ケース50は、ダウンフレーム33に車幅方向外側から重なる。
この構成によれば、ダウンフレーム33が車幅の中央に1本で設けられるため、ダウンフレーム33とサイドカバー42との間の空間を大きく確保できる。このため、ダウンフレーム33とサイドカバー42との間に収納ケース50をコンパクトに配置できる。
【0065】
また、収納ケース50は、キャニスター53を、前方、上方、下方、車幅方向内側、及び車幅方向外側から覆う箱状である。
この構成によれば、キャニスター53を箱状の収納ケース50によって前方、上方、下方、車幅方向内側、及び車幅方向外側から効果的に保護できる。
【0066】
さらに、収納ケース50は、樹脂製である。
この構成によれば、収納ケース50が樹脂製であるため、外側の熱からキャニスター53を効果的に保護できる。
【0067】
また、ヘッドパイプ18の後方に燃料タンク29が配置され、収納ケース50は、車両側面視で、ヘッドパイプ18と燃料タンク29との間に配置される。
この構成によれば、サイドカバー42の内側においてヘッドパイプ18と燃料タンク29との間の空間を利用して、収納ケース50をコンパクトに配置できる。
【0068】
また、燃料タンク29の燃料を使用する内燃機関であるパワーユニット12は、ヘッドパイプ18に対し後方且つ燃料タンク29の下方に配置され、収納ケース50は、車両側面視で、ヘッドパイプ18とパワーユニット12との間に配置される。
この構成によれば、サイドカバー42の内側においてヘッドパイプ18とパワーユニット12との間の空間を利用して、収納ケース50をコンパクトに配置できる。また、パワーユニット12と収納ケース50との距離を確保でき、キャニスター53をパワーユニット12の熱から保護できる。
【0069】
さらに、キャニスター53とは別の第2の燃料系部品である弁54が収納ケース50に収納される。
この構成によれば、弁54を収納ケース50によって保護できる。また、キャニスター53及び弁54を収納ケース50に纏めて取り付けてから収納ケース50を車体フレーム11に組み付けでき、組み付け作業の効率が良い。
【0070】
また、第2の燃料系部品は、キャニスター53から排出される燃料の流れを制御する弁54である。
この構成によれば、弁54を収納ケース50によって効果的に保護できる。また、互いに関係性の高いキャニスター53及び弁54を収納ケース50に纏めて取り付けできる。
【0071】
さらに、キャニスター53は、車幅方向において弁54よりも大型の部品であり、収納ケース50は、燃料タンク29に対し下方から重なる重なり部68aを備え、キャニスター53の少なくとも一部は、重なり部68aに配置され、弁54は、キャニスター53の上方に配置される。
この構成によれば、燃料タンク29の真下の重なり部68aを利用して、車幅方向に大型のキャニスター53をコンパクトに配置できる。弁54は、キャニスター53よりも車幅方向に小型であるため、キャニスター53の上方にコンパクトに配置できる。
【0072】
また、収納ケース50は、収納ケース50内の空気を排出する排気口78を備える。
この構成によれば、収納ケース50内の空気を排気口78から排出でき、キャニスター53を効率良く冷却できる。
【0073】
また、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両10は、内燃機関であるパワーユニット12と、パワーユニット12の上方に配置される燃料タンク29と、パワーユニット12を支持する車体フレーム11と、電装品としてのECU51及びリレー52と燃料系部品であるキャニスター53とを収納する収納ケース50とを備える。収納ケース50は、パワーユニット12及び燃料タンク29の近傍で車体フレーム11の外側方に配置される。
この構成によれば、ECU51、リレー52、及びキャニスター53を収納する収納ケース50が、パワーユニット12及び燃料タンク29の近傍で車体フレーム11の外側方に配置されるため、収納ケース50がパワーユニット12及び燃料タンク29の配置の妨げになることを抑制できる。このため、燃料タンク29及びパワーユニット12の配置及び構造の自由度を向上できる。
【0074】
また、収納ケース50の少なくとも一部は、パワーユニット12のシリンダー部24に対し上方に配置され、収納ケース50の少なくとも一部は、側面視においてシリンダー部24に重なる高さ位置に配置され、ECU51及びリレー52は、収納ケース50内で、キャニスター53よりも上方に配置される。
この構成によれば、シリンダー部24に対し上方に配置される収納ケース50内で、ECU51及びリレー52がキャニスター53よりも上方に配置されるため、ECU51及びリレー52をパワーユニット12から離して配置ででき、ECU51及びリレー52に対するパワーユニット12の熱影響を低減できる。また、キャニスター53をパワーユニット12の近くに配置でき、キャニスター53をパワーユニット12に接続し易い。
なお、ECU51及びリレー52を電装品として見た場合において、この電装品の少なくとも一部が、キャニスター53よりも上方に配置されていれば良い。
【0075】
また、収納ケース50は、燃料タンク29に対し下方から重なる重なり部68aを備え、キャニスター53の少なくとも一部は、重なり部68aに配置される。
この構成によれば、燃料タンク29の真下の重なり部68aを利用して、キャニスター53をコンパクトに配置できる。
【0076】
さらに、キャニスター53は、ECU51及びリレー52よりも車幅方向内側に配置される。
この構成によれば、キャニスター53をECU51及びリレー52よりも車幅方向内側に配置し、キャニスター53とECU51及びリレー52とは上下にずれて配置されるため、キャニスター53、ECU51、及びリレー52を車幅方向にコンパクトに配置できる。
【0077】
また、キャニスター53には、燃料が通るホース74が接続され、収納ケース50内において、ホース74の少なくとも一部は、ECU51及びリレー52に接続されたハーネス55よりも車幅方向内側に配索されている。
この構成によれば、キャニスター53に接続されるホース74とハーネス55とを車幅方向に離すことができ、ホース74及びハーネス55を効率良く配索できる。
【0078】
また、収納ケース50は、ホース74の被ガイド部である屈曲部76cをガイドするガイド部70を備え、ガイド部70は、屈曲部76cに対し車幅方向外側に延出してハーネス55を受けるハーネス当接部70cを備える。
この構成によれば、収納ケース50が備えるガイド部70によって、ホース74の屈曲部76cを所望の方向にガイドできる。また、ガイド部70が備えるハーネス当接部70cによって、ハーネス55とホース74との当接を避けることができる。
【0079】
さらに、収納ケース50は、車幅方向外側に開放する箱状のケース本体部60と、ケース本体部60を車幅方向外側から覆うカバー部61とを備え、カバー部61は、ホース74とキャニスター53との接続部である第2ホース接続部53dと、ハーネス55が接続される第1端子部51a及び第2端子部52aとを、車幅方向外側から覆う。
この構成によれば、カバー部61によって、第2ホース接続部53d、第1端子部51a、及び第2端子部52aを効果的に保護できる。
【0080】
また、ホース74は、燃料タンク29とキャニスター53とを接続する第1ホース75を備え、カバー部61は、第1ホース75が固定されるホース固定部72aを備える。
この構成によれば、カバー部61を利用して第1ホース75を固定できる。
【0081】
また、燃料系部品は、燃料タンク29で生じる蒸発燃料を吸着するキャニスター53である。
この構成によれば、収納ケース50に収納されるキャニスター53を、パワーユニット12及び燃料タンク29の近傍にコンパクトに配置できる。
【0082】
また、キャニスター53は、キャニスター53内を外気に連通させる外気ホース77が接続され、収納ケース50は、外気ホース77をガイドする外気ホースガイド部69を備える。
この構成によれば、外気ホース77を、収納ケース50が備える外気ホースガイド部69によって所望の方向にガイドできる。
【0083】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、カバー部61は、第2ホース接続部53d、第1端子部51a、及び第2端子部52aを車幅方向外側から覆うものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。カバー部61は、第2ホース接続部53d、第1端子部51a、及び第2端子部52aを車幅方向外側及び前方の少なくとも一方から覆っていれば良い。
また、上記実施の形態では、燃料系部品としてキャニスター53を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、収納ケース50に収納される燃料系部品は、燃料タンク29の燃料をパワーユニット12に送る燃料ポンプであっても良い。
また、上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の鞍乗り型車両、及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
【0084】
[第2の実施の形態]
以下、
図8を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第2の実施の形態は、収納ケース50に吸気口280が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。
【0085】
図8は、第2の実施の形態において、車体フレーム11及び収納ケース50を前方から見た正面図である。
ケース本体部60の前壁部63には、前壁部63を貫通する吸気口280が設けられる。
吸気口280は、正面視において、吸気口280の少なくとも一部がキャニスター53に前方から重なる位置に設けられる。
鞍乗り型車両10の走行風は、吸気口280から収納ケース50内に流入する。収納ケース50内の走行風及び空気は、排気口78から後方に排出される。このため、キャニスター53及びECU51等の部品を走行風によって効果的に冷却できる。
【0086】
第2の実施の形態によれば、収納ケース50は、収納ケース50内に走行風を取り入れる吸気口280を排気口78よりも前方に備える。
この構成によれば、吸気口280から収納ケース50内に入って排気口78から排出される走行風によって、キャニスター53を効率良く冷却できる。
【0087】
[第3の実施の形態]
以下、
図9を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第3の実施の形態は、キャニスター353は、上記実施の形態とは異なる向きで収納ケース50に収納される。
【0088】
図9は、第3の実施の形態において、キャニスター353の収納状態を示す斜視図である。
キャニスター353は、キャニスター53と同様に構成されるものであるが、区別のため符号353を付して説明する。
キャニスター353は、キャニスター53を前後方向に逆にして配置したものである。このため、第1ホース接続部53c及び第2ホース接続部53dは、キャニスター353の後面に位置する。
第1ホース75に対応する第1ホース375は、第1ホース接続部53cに接続される。第2ホース76に対応する第2ホース376は、第2ホース接続部53dに接続される。
【0089】
第1ホース375は、内側壁部62に設けられた開口62aから収納ケース50の外側の車幅方向内側に延びる。
第2ホース376は、第2ホース接続部53dからケース本体部60内を上方に延び、その後、後方に延出して収納ケース50の後方に出る。
ハーネス55は、収納ケース50の内側において、第2ホース376に対し車幅方向外側に配置されている。ハーネス55の一部は、第2ホース376に車幅方向外側から重なる。
【0090】
[第4の実施の形態]
以下、
図10及び
図11を参照して、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第4の実施の形態は、収納ケース450が、上記実施の形態のカバー部61を有さない点等が、上記実施の形態と異なる。
【0091】
図10は、第4の実施の形態において、収納ケース450及び収納ケース450に収納される部品を示す左側面図である。
図11は、収納ケース450を前方且つ左側から見た斜視図である。
収納ケース450は、車幅方向外側に開放する箱状である。収納ケース450は、上記実施の形態の収納ケース50に替えて、収納ケース50と同じ位置に配置される。
【0092】
収納ケース450は、収納ケース450における車幅方向内側の壁部を構成する内側壁部462と、収納ケース450の前面を構成する前壁部463と、収納ケース450の後面を構成する後壁部464と、収納ケース450の上面を構成する上壁部465と、収納ケース450の下面を構成する下壁部466とを備える。
前壁部463、後壁部464、上壁部465、及び下壁部466は、車両側面視における内側壁部462の周縁部から車幅方向外側に延出する。
【0093】
収納ケース450の下部には、内側壁部462の上部に対して車幅方向内側に膨出する内側膨出部468が設けられる。
収納ケース450内には、ECU51、リレー52、キャニスター53、及び、弁54が配置される。
キャニスター53は、内側膨出部468内に配置される。ECU51、リレー52、及び弁54は、キャニスター53の上方に配置される。
【0094】
前壁部463には、前壁部463を貫通する吸気口480が複数設けられる。
収納ケース450の外側面は、全体的に車幅方向外側に開放する開放部481である。
収納ケース450の後端部には、後壁部464の車幅方向外側の端縁が前壁部463の車幅方向外側の端縁よりも車幅方向内側に位置することで、後方に開放する排気口478が設けられる。
【0095】
走行風(空気)は吸気口480から入り、開放部481及び排気口478から排出される。このため、収納ケース450内の熱を効果的に排出できる。
第4の実施の形態では、収納ケース450は、キャニスター53を、前方、上方、下方、及び車幅方向内側から覆う箱状である。
この構成によれば、キャニスター53を箱状の収納ケース450によって、前方、上方、下方、及び車幅方向内側から効果的に保護できる。
なお、収納ケース450は、例えば、キャニスター53を後方からほとんど覆わずに、キャニスター53を前方、上方、下方、及び車幅方向内側から覆う箱状に形成されても良い。
【0096】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0097】
(構成1)車体フレームと、燃料タンクで生じる蒸発燃料を吸着するキャニスターと、前記キャニスターを収納する収納ケースとを備える鞍乗り型車両において、前記車体フレームは、ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから後方に延びるフロントフレームとを備え、前記フロントフレームを車幅方向外側から覆うサイドカバーが設けられ、前記収納ケースは、前記サイドカバーと前記フロントフレームとの間に配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、キャニスターを収納する収納ケースを、サイドカバーとフロントフレームとの間の空間を利用して配置できるため、収納ケースをコンパクトに配置できる。
【0098】
(構成2)前記フロントフレームは、前記ヘッドパイプから後方に延びるメインフレームと、前記メインフレームの下方で前記ヘッドパイプから後下方に延びるダウンフレームとを備え、前記ダウンフレームは、車幅の中央に1本で設けられ、前記収納ケースは、前記ダウンフレームに車幅方向外側から重なることを特徴とする構成1記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ダウンフレームが車幅の中央に1本で設けられるため、ダウンフレームとサイドカバーとの間の空間を大きく確保できる。このため、ダウンフレームとサイドカバーとの間に収納ケースをコンパクトに配置できる。
【0099】
(構成3)前記収納ケースは、前記キャニスターを、前方、上方、下方、及び車幅方向内側から覆う箱状であることを特徴とする構成1または2記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、キャニスターを箱状の収納ケースによって、前方、上方、下方、及び車幅方向内側から効果的に保護できる。
【0100】
(構成4)前記収納ケース(50)は、前記キャニスター(53)を車幅方向外側から覆うことを特徴とする構成3記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、キャニスターを箱状の収納ケースによって、前方、上方、下方、車幅方向内側、及び車幅方向外側から効果的に保護できる。
【0101】
(構成5)前記収納ケースは、樹脂製であることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、収納ケースが樹脂製であるため、外側の熱からキャニスターを効果的に保護できる。
【0102】
(構成6)前記ヘッドパイプの後方に前記燃料タンクが配置され、前記収納ケースは、車両側面視で、前記ヘッドパイプと前記燃料タンクとの間に配置されることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、サイドカバーの内側においてヘッドパイプと燃料タンクとの間の空間を利用して、収納ケースをコンパクトに配置できる。
【0103】
(構成7)前記燃料タンクの燃料を使用する内燃機関は、前記ヘッドパイプに対し後方且つ前記燃料タンクの下方に配置され、前記収納ケースは、車両側面視で、前記ヘッドパイプと前記内燃機関との間に配置されることを特徴とする構成6記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、サイドカバーの内側においてヘッドパイプと内燃機関との間の空間を利用して、収納ケースをコンパクトに配置できる。また、内燃機関と収納ケースとの距離を確保でき、キャニスターを内燃機関の熱から保護できる。
【0104】
(構成8)前記キャニスターとは別の第2の燃料系部品が前記収納ケースに収納されることを特徴とする構成1から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2の燃料系部品を収納ケースによって保護できる。また、キャニスター及び第2の燃料系部品を収納ケースに纏めて取り付けてから収納ケースを車体側に組み付けでき、組み付け作業の効率が良い。
【0105】
(構成9)前記第2の燃料系部品は、前記キャニスターから排出される燃料の流れを制御する弁であることを特徴とする構成8記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、弁を収納ケースによって効果的に保護できる。また、互いに関係性の高いキャニスター及び弁を収納ケースに纏めて取り付けできる。
【0106】
(構成10)前記キャニスターは、車幅方向において前記第2の燃料系部品よりも大型の部品であり、前記収納ケースは、前記燃料タンクに対し下方から重なる重なり部を備え、前記キャニスターの少なくとも一部は、前記重なり部に配置され、前記第2の燃料系部品は、前記キャニスターの上方に配置されることを特徴とする構成7または8記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、燃料タンクの真下の重なり部を利用して、車幅方向に大型のキャニスターをコンパクトに配置できる。第2の燃料系部品は、キャニスターよりも車幅方向に小型であるため、キャニスターの上方にコンパクトに配置できる。
【0107】
(構成11)前記収納ケースは、前記収納ケース内の空気を排出する排気口を備えることを特徴とする構成1から10のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、収納ケース内の空気を排気口から排出でき、キャニスターを効率良く冷却できる。
【0108】
(構成12)前記収納ケースは、前記収納ケース内に走行風を取り入れる吸気口を前記排気口よりも前方に備えることを特徴とする構成11記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、吸気口から収納ケース内に入って排気口から排出される走行風によって、キャニスターを効率良く冷却できる。
【符号の説明】
【0109】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
12 パワーユニット(内燃機関)
18 ヘッドパイプ
19 フロントフレーム
29 燃料タンク
31 メインフレーム
33 ダウンフレーム
42 サイドカバー
50 収納ケース
53 キャニスター
54 弁(第2の燃料系部品)
68a 重なり部
78 排気口
280 吸気口