(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】熱回収装置及び熱回収方法
(51)【国際特許分類】
F23L 15/00 20060101AFI20231207BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20231207BHJP
F28D 1/06 20060101ALI20231207BHJP
F28D 7/10 20060101ALI20231207BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20231207BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F23L15/00 A
F23K5/00 303
F28D1/06 Z
F28D7/10 Z
F28D7/02
F27D17/00 101A
F27D17/00 101D
(21)【出願番号】P 2021209597
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202011604773.2
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】クー・ユイチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ファンカンペン・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ワン・クオシュアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・アイリー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ・ウェンピャオ
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-300019(JP,A)
【文献】特開平11-166398(JP,A)
【文献】特開2005-083667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00
F23K 5/00
F28D 1/06
F28D 7/10
F28D 7/02
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温流体輸送管路と、
前記高温流体輸送管路の内部に挿入される熱交換体を有する少なくとも1つの熱交換装置と、
を含み、
前記熱交換装置は、前記高温流体輸送管路内に完全に位置する前記熱交換体と、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路であって、それらの全ては、前記高温流体輸送管路のケーシングから延出する、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路と
、を含み、
前記熱交換体は、熱交換パネルと、前記熱交換パネルによって囲まれる熱交換キャビティ
と、前記熱交換キャビティ内に設置される受熱流体コイルと、を含み、
設置孔は、前記高温流体輸送管路の前記ケーシングに提供され、前記熱交換装置の前記熱交換体は、前記設置孔を通して前記高温流体輸送管路の内部に挿入され、前記熱交換装置と前記設置孔との間の隙間は、封止用耐火材を使用して封止され、及び支持構造は、前記熱交換装置を支持する目的のために前記高温流体輸送管路の外側に更に含まれ
、
前記受熱流体入口管路は、受熱流体入口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの入口と順次連通し、及び前記受熱流体出口管路は、受熱流体出口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの出口と順次連通し、
前記補助流体入口管路及び前記補助流体出口管路は、前記熱交換キャビティと連通することを特徴とする、熱回収装置。
【請求項2】
前記封止用耐火材は、セラミック繊維、ガラス繊維及び耐火モルタルの1つ又はそれらの2つ以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱回収装置。
【請求項3】
前記高温流体輸送管路の前記ケーシングの材料は、耐火レンガを含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱回収装置。
【請求項4】
高温流体輸送管路と、
前記高温流体輸送管路の内部に挿入される熱交換体を有する少なくとも1つの熱交換装置と、
を含み、
前記熱交換装置は、前記高温流体輸送管路内に完全に位置する熱交換体と、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路であって、全て前記高温流体輸送管路のケーシングから延出する受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路と
、を含み、
前記熱交換体は、熱交換パネルと、前記熱交換パネルによって囲まれる熱交換キャビティ
と、前記熱交換キャビティ内に設置される受熱流体コイルと、を含み、
前記補助流体入口管路及び前記補助流体出口管路は、前記熱交換キャビティと連通し、及びガス成分分析器は、前記熱交換キャビティへの受熱流体の漏出がないことを確実にする目的のために前記補助流体出口管路に提供され
、
前記受熱流体入口管路は、受熱流体入口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの入口と順次連通し、及び前記受熱流体出口管路は、受熱流体出口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの出口と順次連通することを特徴とする、熱回収装置。
【請求項5】
前記受熱流体出口管路及び/又は受熱流体出口分配器に配設される温度センサを更に含むことによって特徴付けられる、請求項
1又は4に記載の熱回収装置。
【請求項6】
前記熱交換パネル、前記受熱流体コイル並びに受熱流体及び補助流体のための前記出口/入口管路の材料は、ステンレス鋼又はアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項
1又は4に記載の熱回収装置。
【請求項7】
輸送管路内の高温流体を使用して受熱流体を加熱する方法であって、
a)熱交換装置を提供することと、
b)受熱流体及び補助流体を提供することと、
を含み、
前記熱交換装置は、前記輸送管路内に完全に位置する熱交換体と、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路であって、全て前記輸送管路のケーシングから延出する受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路と
、を含み、
前記熱交換体は、熱交換パネルと、前記熱交換パネルによって囲まれる熱交換キャビティ
と、前記熱交換キャビティ内に設置される受熱流体コイルと、を含み、
設置孔は、前記輸送管路の前記ケーシングに提供され、前記熱交換装置の前記熱交換体は、前記設置孔を通して前記輸送管路の内部に挿入され、前記熱交換装置と前記設置孔との間の隙間は、封止用耐火材を使用して封止され、及び支持構造は、前記熱交換装置を支持する目的のために前記輸送管路の外側に更に含まれ、
前記受熱流体入口管路は、受熱流体入口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの入口と順次連通し、及び前記受熱流体出口管路は、受熱流体出口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの出口と順次連通し、
前記補助流体入口管路及び前記補助流体出口管路は、前記熱交換キャビティと連通し、
前記受熱流体は、前記受熱流体コイル内において流れ、前記補助流体は、前記熱交換キャビティ内において流れるか又は静止し、及び前記受熱流体は、前記補助流体による熱伝導及び前記熱交換パネルによる熱輻射を通して前記高温流体によって加熱される、
によって特徴付けられる方法。
【請求項8】
輸送管路内の高温流体を使用して受熱流体を加熱する方法であって、
a)熱交換装置を提供することと、
b)受熱流体及び補助流体を提供すること、
を含み、
前記熱交換装置は、前記輸送管路内に完全に位置する熱交換体と、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路であって、全て前記輸送管路のケーシングから延出する受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路と
、を含み、
前記熱交換体は、熱交換パネルと、前記熱交換パネルによって囲まれる熱交換キャビティ
と、前記熱交換キャビティ内に設置される受熱流体コイルと、を含み、
前記補助流体入口管路及び前記補助流体出口管路は、前記熱交換キャビティと連通し、及びガス成分分析器は、前記熱交換キャビティへの受熱流体の漏出がないことを確実にする目的のために前記補助流体出口管路に提供され、
前記受熱流体入口管路は、受熱流体入口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの入口と順次連通し、及び前記受熱流体出口管路は、受熱流体出口分配器及び前記熱交換キャビティの内部に位置する前記受熱流体コイルの出口と順次連通し、
前記受熱流体は、前記受熱流体コイル内において流れ、前記補助流体は、前記熱交換キャビティ内において流れるか又は静止し、及び前記受熱流体は、前記補助流体による熱伝導及び前記熱交換パネルによる熱輻射を通して前記高温流体によって加熱される、
によって特徴付けられる方法。
【請求項9】
前記高温流体は、燃焼及び/又は熱分解によって生成される燃焼排気ガスを含むことを特徴とする、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項10】
前記補助流体は、空気、N
2及びCO
2の1つ又はそれらの2つ以上の組み合わせを含み、及び前記受熱流体は、O
2、天然ガス又は他の燃料ガスを含むことを特徴とする、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項11】
前記燃焼排気ガスの温度範囲は、500~1200℃であり、及び前記受熱流体の温度範囲は、300~600℃であることを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記受熱流体の流速の範囲は、5~100m/sであり、及び前記補助流体の流速の範囲は、0~50m/sであることを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温流体の熱回収分野に関し、特に燃料及び/又は酸素富化ガスを加熱する目的のためのガラス溶融炉の高温燃焼排気ガスからの熱の回収に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護、省エネルギー、土地保全及びコスト削減は、現代の産業開発における関心事である。冶金、ガラス溶融及び工業化学生産等の様々な技術プロセスは、大量のエネルギーを消費する必要があり、同時に大量の熱エネルギーを含む生成物又は副産物を生じる。例えば、燃焼中に発生する燃焼排気ガス又は蒸気、天然ガス改質によって発生する合成ガス及び蒸気等の全ては、大量の熱エネルギーを含む高温流体である。これらの高温流体中の熱エネルギーを回収することができなければ、結果としてエネルギー及び生産効率が大幅に無駄となる。
【0003】
パネルガラスの製造を例にとると、従来技術では多くの窯が酸素富化燃焼によって動作し、これは、燃焼が燃料と空気との間(空気燃焼)でもはや行われず、代わりに燃料と、空気よりも酸素濃度の高い酸素富化ガスとの間で行われることを意味する。燃焼生成物からの排気ガス、即ち燃焼排気ガスを燃料及び/又は酸素富化ガスの予熱に用いることにより、燃焼排気ガスに含まれるエネルギーの一部を回収することができ、またかかる燃焼のエネルギー効率を増加させることもできる。酸素富化燃焼の場合、燃焼排気ガスに含まれるエネルギーは、消費されるエネルギーの30%を占める。
【0004】
(特許文献1)は、間接熱交換器を開示している。熱交換領域において、高温の燃焼排気ガスは、まず、気密装置内に収容された不活性ガスを加熱し、次いで、高温の不活性ガスは、別の気密装置内に位置する燃焼ガスを更に加熱する。この設計は、工場の既存の燃焼排気ガス管路の外側に新しい熱交換領域の追加を必要とし、占有される空間量が増加するため、投資コストが増加し、そのため、この設計は、実際にはあまり適用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することであり、工場内の既存の水平に配置された高温流体管路、例えば燃焼排気ガス管路を改良して、熱交換装置を管路と一体化するようにし、それにより熱エネルギーを最大限に回収し、空間を節約し、コスト投入を削減する技術的効果を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、高温流体輸送管路であって、少なくとも1つの熱交換装置の熱交換体は、高温流体輸送管路の内部に挿入される、高温流体輸送管路を提供する。
【0008】
熱交換装置は、輸送管路内に完全に位置する熱交換体と、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路であって、それらの全ては、輸送管路のケーシングから延出する、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路とを含み、熱交換体は、熱交換パネルによって囲まれる熱交換キャビティを含み、及び受熱流体コイルは、熱交換キャビティ内に設置される。
【0009】
任意選択的に、受熱流体入口管路は、受熱流体入口分配器及び熱交換キャビティの内部に位置する受熱流体コイルの入口と順次連通し、及び受熱流体出口管路は、受熱流体出口分配器及び熱交換キャビティの内部に位置する受熱流体コイルの出口と順次連通する。任意選択的に、受熱流体入口及び出口分配器は、それぞれ一次及び二次分配器を含む。任意選択的に、温度センサは、受熱流体出口管路及び/又は受熱流体出口分配器に提供される。
【0010】
補助流体入口管路及び補助流体出口管路は、熱交換キャビティと連通する。ガス成分分析器は、熱交換キャビティ内の受熱流体の漏出がないことを確実にする目的のために補助流体出口に提供される。
【0011】
設置を容易にするため、設置孔は、輸送管路のケーシングに提供され、熱交換装置の熱交換体は、設置孔を通して輸送管路の内部に挿入され、熱交換装置と設置孔との間の隙間は、封止用耐火材を使用して封止され、及び支持構造は、熱交換装置を支持する目的のために輸送管路の外側に更に含まれる。封止用耐火材は、セラミック繊維、ガラス繊維及び耐火モルタルの1つ又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0012】
任意選択的に、熱交換パネル、受熱流体コイル並びに受熱流体及び補助流体のための出口/入口管路の材料は、ステンレス鋼又はアルミニウムを含む。輸送管路のケーシングの材料は、耐火レンガを含む。
【0013】
任意選択的に、高温流体輸送管路において、受熱流体は、受熱流体コイル内において流れ、補助流体は、熱交換キャビティ内において流れるか又は静止し、及び受熱流体は、補助流体による熱伝導及び熱交換パネルによる熱輻射を通して高温流体によって加熱される。
【0014】
任意選択的に、高温流体輸送管路において、高温流体は、燃焼及び/又は熱分解によって生成される燃焼排気ガスを含み、補助流体は、空気、N2及びCO2の1つ又はそれらの2つ以上の組み合わせを含み、及び受熱流体は、O2、天然ガス又は他の燃料ガスを含む。
【0015】
別の態様において、本発明は、請求項1に記載の高温流体輸送管路に適する熱交換装置において、輸送管路内に完全に位置する熱交換体と、受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路であって、全て輸送管路のケーシングから延出する受熱流体入口管路、受熱流体出口管路、補助流体入口管路及び補助流体出口管路とを含み、熱交換体は、熱交換パネルによって囲まれる熱交換キャビティを含み、及び受熱流体コイルは、熱交換キャビティ内に設置されることを特徴とする熱交換装置を更に開示する。
【0016】
任意選択的に、熱交換装置において、受熱流体入口管路は、受熱流体入口分配器及び熱交換キャビティの内部に位置する受熱流体コイルの入口と順次連通し、及び受熱流体出口管路は、受熱流体出口分配器及び熱交換キャビティの内部に位置する受熱流体コイルの出口と順次連通する。任意選択的に、受熱流体入口及び出口分配器は、それぞれ一次及び二次分配器を含む。任意選択的に、温度センサは、受熱流体出口管路及び/又は受熱流体出口分配器に提供される。
【0017】
任意選択的に、熱交換装置において、補助流体入口管路及び補助流体出口管路は、熱交換キャビティと連通する。ガス成分分析器は、熱交換キャビティ内の受熱流体の漏出がないことを確実にする目的のために補助流体出口に提供される。
【0018】
任意選択的に、熱交換パネル、受熱流体コイル並びに受熱流体及び補助流体のための出口/入口管路の材料は、ステンレス鋼又はアルミニウムを含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、熱交換方法において、上で説明したような熱交換装置は、受熱流体が受熱流体コイル内において流れ、補助流体が熱交換キャビティ内において流れるか又は静止し、及び受熱流体が補助流体による熱伝導及び熱交換パネルによる熱輻射を介して高温流体によって加熱されるように提供されることを特徴とする熱交換方法を更に開示する。
【0020】
任意選択的に、高温流体は、燃焼及び/又は熱分解によって生成される燃焼排気ガスを含む。補助流体は、空気、N2、CO2及び水蒸気の1つ又はそれらの2つ以上の組み合わせを含み、及び受熱流体は、O2、天然ガス又は別の燃料ガスを含む。
【0021】
任意選択的に、燃焼排気ガスの温度範囲は、500~1200℃であり、及び受熱流体の温度範囲は、300~600℃である。受熱流体の流速の範囲は、5~100m/s、好ましくは20~60m/sであり、及び補助流体の流速の範囲は、0~50m/s、好ましくは20~30m/sである。
【0022】
本発明の技術的解決法を用いることにより、幾つかの有益な技術的効果が得られる。
【0023】
第1に、本発明における熱交換装置の設計は、既存の輸送管路の変更及び新規装置の設置を極めて便利にし、コストを低減しながら熱交換面積を増加させることができ、従って熱交換効率を向上させることができる。
【0024】
第2に、複数の熱交換装置を並列に設置することができ、複数の熱交換装置は、同じ種類の受熱流体又は異なる種類の受熱流体を加熱することができる。
【0025】
第3に、熱交換装置は、間接加熱方式を採用し、補助流体、温度センサ及びガス成分分析器等を用いることにより、熱交換装置の安全性及び制御性が向上する。
【0026】
本開示における図面は、本発明の趣旨を理解及び説明することができるように本発明を例示する役割を果たすものに過ぎず、決して本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明による実施形態であり、同一の参照符号は、2つの図において対応する部分を表す。
【
図2】
図2は、高温流体輸送管路に設置した後の熱交換装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面の符号:1 - 熱交換体、2 - 受熱流体入口管路、3 - 受熱流体出口管路、4 - 補助流体入口管路、5 - 補助流体出口管路、6 - 熱交換パネル、7 - 熱交換キャビティ、8 - 受熱流体コイル、9 - 温度センサ、10 - 一次受熱流体入口分配器、11 - 一次受熱流体出口分配器、12 - 補助流体入口分配器、13 - 補助流体出口分配器、14 - 二次受熱流体入口分配器、15 - 二次受熱流体出口分配器、16 - 補助流体入口分岐管、17 - 補助流体出口分岐管、18 - ガス成分分析器、20 - 設置孔、21 - 耐火レンガ、22 - 輸送管路ケーシング、23 - 封止用耐火材、25 - 高温流体輸送管路。
【0029】
本発明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「垂直」、「平行」、「頂部」、「底部」、「内」及び「外」等の用語が示す配向又は位置関係は、図面に示す配向又は位置関係に基づき、水平面を基準とすることを理解されたい。
【0030】
特に明記のない限り、本明細書中に表す「1つ」に類似する修飾語は、量の定義を示すものではなく、互いに区別される技術的特徴を説明するものである。同様に、本明細書中において数字の前に表す「約」及び「略」に類似する修飾語は、一般に数字自体を含み、その具体的な意味は、文脈の意味と併せて理解されたい。特定の定量化処置の用語によって修正されない限り、本明細書中の名詞は、単数形及び複数形の両方を含むものとして見なされるべきであり、即ち、技術的解決法は、関連する技術的特徴の単一のものを含む可能性があるが、複数の技術的特徴を含む可能性もある。
【0031】
本発明において、特に明確に指定及び定義されない限り、「設置される」、「共に接続される」、「接続される」、「連通する」及び「固定される」等の用語は、広い意味で理解すべきであり、例えば固定された様式で接続されることを意味する可能性があるが、取り外し可能に接続されるか又は単一部品を形成することを意味する可能性もあり、機械的に接続されることを意味する可能性があり、直接共に接続されることを意味する可能性があるが、中間媒体を介して間接的に接続されることを意味する可能性もあり、また2つの要素間の内部連通又は2つの要素間の相互作用関係を意味する可能性がある。当業者は、具体的な状況に応じて、本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
本発明における高温流体は、気体及び液体を含む様々な形態及び組成を有し得、且つ単一の成分又は混合物であり得る。高温とは、その温度が、加熱される流体の温度よりも高いことを意味し、100~1500℃の変動範囲を有する。高温流体が燃焼排気ガス等の気体である場合、それを輸送するための管路は、一般に耐火レンガで形成され、高温流体が液体である場合、それを輸送するための管路のケーシングは、金属で形成されることが多い。本発明は、略水平に配置される様々な高温流体輸送管路の改良に適している。変形形態のプロセスにおいて、中心軸を通る水平面よりも上方に位置する管路の一部に設置孔が提供され、本発明の熱交換装置の熱交換体が設置孔を通して輸送管路の内部に挿入される。
【0033】
図1に示すように、本発明の熱交換装置は、高温流体輸送管路25内に完全に延在する熱交換体1を含み、熱交換体1の外面全体は、熱を伝導することに適した熱交換パネル6によって形成され、熱交換パネル6は、密閉熱交換キャビティ7を囲み、受熱流体コイル8は、熱交換キャビティ7内に設置される。受熱流体コイル8は、熱交換パネル6と直接接触しない。受熱流体コイル8は、螺旋状に巻き付けるか又は前後に折り重ねることができる。
図1において、熱交換体1は、中空の環状構造を有し、高温流体は、熱交換体1の周縁に沿って熱交換パネル6に当接するだけでなく、中央の空間を通過して熱交換パネル6に熱を伝達することができる。受熱流体コイル8は、環状構造体の中心軸を中軸として、環状体同士を互いに対して可能な限り密接に嵌合させて熱交換キャビティ7内に螺旋状に巻き付けられる。この設計は、大きい熱交換面積及び高い熱交換効率という利点を有する。熱交換体1の上部には、二次受熱流体入口分配器14、二次受熱流体出口分配器15、補助流体入口分岐管16及び補助流体出口分岐管17が別々に接続される。二次分配器及び分岐管の大部分は、高温流体輸送管路25のケーシング22から延出し、フランジ及びねじ等の構造を介して他の管路、分配器等に接続される。
【0034】
上述した各種部品は、一体成形又は溶接等の方法によって製造され、一体に取り付けられる。詳細には、設置孔20を、略水平に配置される高温流体輸送管路25の上部に提供し、耐火レンガ21から形成される高温燃焼排気ガス管路であれば、その上部の耐火レンガ21の一部を除去する。熱交換体1を設置孔20から高温流体輸送管路25の内部に挿入し、設置孔の隙間にセラミック繊維、ガラス繊維又は耐火モルタル等の封止用耐火材23を詰めて封止する。これらの材料は、熱分離を提供し、熱交換体1のずれを制限する役割も果たす。二次受熱流体入口分配器14の一端は、フランジを介して一次受熱流体入口分配器10及び受熱流体入口管路2に接続され、二次受熱流体出口分配器15の一端は、フランジを介して一次受熱流体出口分配器11及び受熱流体出口管路3に接続される。補助流体入口分岐管16は、補助流体入口分配器12及び補助流体入口管路4に接続され、補助流体出口分岐管17は、補助流体出口分配器13及び補助流体出口管路5に接続される。高温流体輸送管路から延出する部分は、ブランケット断熱材、スポンジ断熱材又はゴム断熱材(図示せず)等の材料で巻装して放熱を低減し、支持構造(図示せず)によって安定させる。支持構造は、高温流体輸送管路25又は床に固定することができる。
【0035】
温度センサ9は、任意選択的に、受熱流体出口管路3又は受熱流体出口分配器(15又は11)に設置される。熱交換装置の外側には、受熱流体入口管路2及び受熱流体出口管路3に接続される受熱流体送出システム(図示せず)も含まれる。システムは、特に、受熱流体コントローラと、受熱流体の流量を調整することができる弁とを含む。受熱流体コントローラは、温度センサ9から受熱流体出口温度を受信することができ、これに基づいて受熱流体の流量(又は流速)、温度及び圧力等を調整することができる。
【0036】
熱交換装置の外側には、補助流体入口管路4及び補助流体出口管路5に接続される補助流体送出システムも含まれる。システムは、特に、補助流体コントローラと、補助流体の流量を調整することができる弁(図示せず)とを含む。補助流体は、受熱流体コイル8の外側の空間において熱交換キャビティ7内部を流れる。補助流体コントローラは、温度センサ9から受熱流体出口温度を受信することもでき、これに基づいて補助流体の流量(又は流速)、温度及び圧力等を調整することができる。
【0037】
本発明の熱交換装置は、間接熱交換方式を採用する。輸送管路内の高温流体は、まず、伝導、輻射及び対流等により熱交換パネル6を加熱し、次いで、熱交換パネル6は、それと接触する補助流体を伝導及び輻射等により加熱する。被加熱補助流体は、受熱流体コイル8の周囲を流れるか又は静止することで、コイル内の受熱流体に熱を更に伝える。受熱流体が、例えばO2、CH4等の反応性、腐食性又は他に危険な物質を高温で含む場合、間接熱交換を用いることにより、熱交換プロセスの安全性が大幅に向上する。これは、不活性の空気、蒸気、N2又はCO2等を補助流体として選択することができ、不活性雰囲気中で加熱されても熱交換パネル6が腐食、経年劣化又は他の損傷を受ける可能性が低く、従って漏出等の安全上の事故が発生しないためである。ステンレス鋼、アルミニウム又はセラミック繊維及び他の適切な材料が熱交換パネル及び加熱されるコイルの材料として選択され得る。
【0038】
本発明の熱交換装置の各部分のための材料の選択(成分組成、厚さ、強度及び仕上げ等を含む)は、それと接触する流体の性質並びに動作中の温度及び圧力等の条件に依存する。例えば、熱交換パネル6は、優れた熱伝導特性を有する必要があり、広い範囲での急激な温度変化に耐えることができる。受熱流体コイル8の管壁は、良好な熱伝導特性を有する必要があるだけではなく、使用中に到達する可能性のある温度範囲内で受熱流体と反応してはならない。受熱流体がO2又は酸素富化ガス(即ち空気中のO2の含有量よりも高い、任意選択的に50%よりも高い、更に80%よりも高い酸素含有量を有する混合ガス)である場合、それと接触する材料は、高温酸素雰囲気中で燃焼してはならず、腐食及び酸化に対して耐性があるものでなければならない。
【0039】
熱交換装置の熱交換効率及び受熱流体出口の温度は、様々な方法で調整することができる。管路内の高温流体の温度及び流速が略同じままである場合、補助流体の流量及び流速が増加すると、加熱された後の補助流体の温度が低下し、それに応じて受熱流体の温度も低下する。補助流体が気体である場合、その圧力を増加させることによりその密度が増加し、それによって熱伝達効率が増加する。同様に、他の条件が変わらない限り、受熱流体の流速又は流量が増加すると、その出口温度も低下する。
【0040】
被加熱条件下での受熱流体コイル8の腐食又は経年劣化による漏出を防止するために、ガス成分分析器18が補助流体出口管路5に提供され、特定されたガス成分が補助流体の成分と同じではなく、受熱流体含有量が増加した場合、これは、受熱流体コイルが損傷を受けたか又は漏出が発生したことを示す。この場合、熱交換装置の使用を直ちに停止し、メンテナンスを行うことが推奨される。
【0041】
一実施形態において、燃焼によって生成された燃焼排気ガスは、輸送管路に通され、燃焼排気ガスの主成分は、二酸化炭素、水、一酸化炭素、二酸化硫黄及び窒素酸化物等であり、500~1200℃の温度変動の範囲を有し、受熱流体は、O2であり、空気は、補助流体として選択される。受熱流体及び補助流体の流量、流速及び圧力等は、それぞれの送出システム内のコントローラによってそれぞれ制御される。受熱流体の流量の変動の範囲は、5~100m/s、好ましくは20~60m/sであり、補助流体の流量の変動の範囲は、0~50m/s、好ましくは20~30m/sである。加熱によりO2が到達できる温度の変動の範囲は、300~600℃であると予想される。
【0042】
本発明は、説明した例示の実施例及び実施形態に限定されず、本文に基づいて当業者によってなされる様々な均等な修正形態及び置換形態は、本願の特許請求の範囲によって定義される範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0043】
1 熱交換体
2 受熱流体入口管路
3 受熱流体出口管路
4 補助流体入口管路
5 補助流体出口管路
6 熱交換パネル
7 熱交換キャビティ
8 受熱流体コイル
9 温度センサ
10 一次受熱流体入口分配器
11 一次受熱流体出口分配器
12 補助流体入口分配器
13 補助流体出口分配器
14 二次受熱流体入口分配器
15 二次受熱流体出口分配器
16 補助流体入口分岐管
17 補助流体出口分岐管
18 ガス成分分析器
20 設置孔
21 耐火レンガ
22 輸送管路ケーシング
23 封止用耐火材
25 高温流体輸送管路