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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】方向性電磁鋼板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 8/12 20060101AFI20231207BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20231207BHJP
   C22C 38/34 20060101ALI20231207BHJP
   C22C 38/60 20060101ALI20231207BHJP
   H01F 1/147 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C21D8/12 D
C22C38/00 303U
C22C38/34
C22C38/60
H01F1/147 175
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021517632
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 KR2019012474
(87)【国際公開番号】W WO2020067724
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0115266
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴ,ギョン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ヒョン ドン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン-ウ
【審査官】鈴木 葉子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0071968(KR,A)
【文献】特開平05-078743(JP,A)
【文献】特表2016-505706(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035345(WO,A1)
【文献】特開平07-062440(JP,A)
【文献】特開平02-274813(JP,A)
【文献】特開平04-329831(JP,A)
【文献】特開平10-183312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0311629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 8/12, 9/46
C22C 38/00-38/60
H01F 1/12- 1/38, 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、Si:2.5~4.0%、C:0.03~0.09%、Al:0.015~0.040%、Mn:0.04~0.15%、N:0.001~0.006%、S:0.01%以下、およびCr:0.03~0.15%含み、残部はFeおよびその他不可避に混入する不純物からなるスラブを1280℃以下に加熱する段階、
加熱したスラブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、
前記熱延板を冷間圧延して冷延板を製造する段階、
前記冷延板を1次再結晶焼鈍する段階、および
前記1次再結晶焼鈍が完了した冷延板を2次再結晶焼鈍する段階を含み、
前記1次再結晶焼鈍する段階は、前段工程および後段工程を含み、
前記1次再結晶焼鈍する段階での浸窒ガスの総投入量(B)に対する前記前段工程での浸窒ガスの投入量(A)が、下記式1を満足し、
前記1次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式2を満足し、
前記2次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式4を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
〔式1〕
0.05≦[A]/[B]≦[t]
(式1中、浸窒ガスの投入量の単位は、Nm/hrであり、[t]は、冷延板の厚さ(mm)を示す。)
〔式2〕
1≦[G1/4t]-[G1/2t]≦3
(式2中、[G1/4t]は、鋼板全厚の1/4地点で測定した平均結晶粒径(μm)を意味し、[G1/2t]は、鋼板全厚の1/2地点で測定した平均結晶粒径(μm)を意味する。)
〔式4〕
[D]/[D]<0.1
(式4中、[D]は、粒径が5mm以下の結晶粒の個数を示し、[D]は、粒径が5mm超過の結晶粒の個数を示す。)
【請求項2】
前記スラブは、Niを0.1重量%以下でさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
前記スラブは、SnおよびSbを合量で0.03~0.15重量%、およびP:0.01~0.05重量%さらに含むことを特徴とする請求項又は請求項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記浸窒ガスは、アンモニアおよびアミンのうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項5】
前記前段工程の実行時間は、10~80秒であり、前記後段工程の実行時間は、30~100秒であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記前段工程および前記後段工程は、800~900℃の温度で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記前段工程および前記後段工程は、酸化能(PH2O/PH2)が0.5~0.7の雰囲気で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記1次再結晶焼鈍後の鋼板は、窒素を0.015~0.025重量%含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記1次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式3を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
〔式3〕
0.003≦[Ntot]-[N1/4t~3/4t]≦0.01
(式3中、[Ntot]は、鋼板全体での窒素含有量(重量%)を意味し、[N1/4t~3/4t]は、鋼板全厚の1/4~3/4地点での窒素含有量(重量%)を意味する。)
【請求項10】
重量%で、Si:2.5~4.0%、C:0.005%以下、Al:0.015~0.040%、Mn:0.04~0.15%、N:0.003%以下、S:0.01%以下、およびCr:0.03~0.15%含み、残部Feおよびその他不可避に混入する不純物からなり、
下記式4を満足することを特徴とする方向性電磁鋼板。
〔式4〕
[D]/[D]<0.1
(式4中、[D]は、粒径が5mm以下の結晶粒の個数を示し、[D]は、粒径が 5mm超過の結晶粒の個数を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性電磁鋼板およびその製造方法に係り、より詳しくは、粒径が小さい結晶粒の個数と粒径が大きい結晶粒の個数の比率を制御して磁性特性を向上させた方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は、変圧器、電動機、発電機およびその他の電子機器などの静止機器の鉄心材料として用いられる。方向性電磁鋼板の最終製品は、結晶粒の方位が(110)[001]方向(または{110}<001>方向)に配向された集合組織を有し、圧延方向に極めて優れた磁気的特性を有する。このため、変圧器、電動機、発電機およびその他の電子機器などの鉄心材料として使用される。エネルギー損失を低減するためには鉄損が少ないことが要求され、発電機器の小型化のためには磁束密度が高いことが要求される。
【0003】
方向性電磁鋼板の鉄損は、履歴損、渦電流損に分けられ、このうち、渦電流損を減少するためには、固有の比抵抗を増加させること、製品の板厚を低減することなどの努力が必要である。製品の板厚を低減する方向に難圧延製品の方向性電磁鋼板を極薄物に圧延しなければならないという難関もあるが、最高級規格の極薄物製品を作るうえの最難関でかつ克服すべき問題は、方向性電磁鋼板の2次再結晶組織であるゴス方位の集積度を非常に強く維持することである。
【0004】
極薄物製品を作るうえで圧延における問題点をみると、低温加熱法と1回の鋼冷間圧延工程を経由する方向性電磁鋼板の製造において、通常、最適な圧下率は90%前後であることが知られている。これによれば、0.20mm以下の極薄物製品を製造するためには、90%の冷間圧延率を確保するためには、熱延板の厚さを2.0mm以下の厚さに熱間圧延することが必要である。熱間圧延の厚さが薄くなるほど高圧下率が必要であり、熱間圧延温度の維持、edge scabなどの熱間圧延板のエッジ部や、コイルのトップ、テール部の形状などの理由から生産性が低下する。
【0005】
これは、製品の磁性特性に直結する問題で極薄物製品における最高級磁性特性を確保しにくくする問題であり、本発明において克服すべき問題である。析出物の流失を克服するための方法として、2次再結晶焼鈍過程中にNガスの分率を高めて析出物の流失を防止する方法が提案されたが、製品板の表面に窒素放出口のような欠陥を誘発させる問題がある。
これを解決するために、同時脱炭浸窒方法を用いた経済的な製造方法が提案された。同時脱炭浸窒方法で脱炭板を製造するにあたり、表面の結晶粒径と中心層の結晶粒径との差が存在することを明示し、これを一定の範囲に制御する必要があることを提案した。
【0006】
また、これを解決するために、Sb、P、Snのような偏析元素を含むことで磁性を画期的に改善する技術も提案された。偏析元素をさらに追加して、極薄物製品の製造時に析出物の流失を補完する補助インヒビターとして偏析元素を活用したが、過剰添加時、極薄圧延が難しくなる問題点があり、偏析元素の過剰添加時、酸化層が不均一で薄くなってベースコーティングの特性が劣位になり析出物の流失をさらに引き起こす副作用があって磁性を安定的に確保できなかった。
また、これを解決するために、極薄物製品の製造時、1次再結晶焼鈍工程において前段部の酸化能と窒化処理を調節する方法も提案された。しかし、極薄物製品を製造するに際しては、析出物の流失の影響が非常に大きくなる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とするところは、方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することにある。より詳しくは、粒径が小さい結晶粒の個数と粒径が大きい結晶粒の個数の比率を制御して磁性特性を向上させる方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、スラブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、熱延板を冷間圧延して冷延板を製造する段階、冷延板を1次再結晶焼鈍する段階、および1次再結晶焼鈍が完了した冷延板を2次再結晶焼鈍する段階を含み、1次再結晶焼鈍する段階は、前段工程および後段工程を含み、1次再結晶焼鈍する段階での浸窒ガスの総投入量(B)に対する前段工程での浸窒ガスの投入量(A)が、下記式1を満足することを特徴とする。
〔式1〕
0.05≦[A]/[B]≦[t]
(式1中、浸窒ガスの投入量の単位は、Nm/hrであり、[t]は、冷延板の厚さ(mm)を示す。
【0009】
スラブは、Cr:0.03~0.15重量%を含むことがよい。
スラブは、Ni:0.1重量%以下をさらに含むことができる。
スラブは、SnおよびSbを合量で0.03~0.15重量%、およびP:0.01~0.05重量%さらに含むことが好ましい。
【0010】
スラブは、重量%で、Si:2.5~4.0%、C:0.03~0.09%、Al:0.015~0.040%、Mn:0.04~0.15%、N:0.001~0.006%、S:0.01%以下、およびCr:0.03~0.15%含み、残部はFeおよびその他不可避に混入する不純物からなることを特徴とする。
【0011】
熱延板を製造する段階の前に、スラブを1280℃以下に加熱する段階をさらに含むことができる。
浸窒ガスは、アンモニアおよびアミンのうちの1種以上を含むことがよい。
前段工程の実行時間は、10~80秒であり、後段工程の実行時間は、30~100秒であることが好ましい。
前段工程および後段工程は、800~900℃の温度で行われることがよい。
【0012】
前段工程および後段工程は、酸化能(PH2O/PH2)が0.5~0.7の雰囲気で行われることがよい。
1次再結晶焼鈍後の鋼板は、窒素を0.015~0.025重量%含むことができる。
1次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式2を満足することが好ましい。
〔式2〕
1≦[G1/4t]-[G1/2t]≦3
(式2中、[G1/4t]は、鋼板全厚の1/4地点で測定した平均結晶粒径(μm)を意味し、[G1/2t]は、鋼板全厚の1/2地点で測定した平均結晶粒径(μm)を意味する。)
【0013】
1次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式3を満足できる。
〔式3〕
0.003≦[Ntot]-[N1/4t~3/4t]≦0.01
(式3中、[Ntot]は、鋼板全体での窒素含有量(重量%)を意味し、[N1/4t~3/4t]は、鋼板全厚の1/4~3/4地点での窒素含有量(重量%)を意味する。)
【0014】
本発明の一実施例による方向性電磁鋼板は、下記式4を満足することが好ましい。
〔式4〕
[D]/[D]≦0.1
(式4中、[D]は、粒径が5mm以下の結晶粒の個数を示し、
[D]は、粒径が5mm超過の結晶粒の個数を示す。)
鋼板は、Crを0.03~0.15重量%含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、本発明の方向性電磁鋼板は、製造過程中、1次再結晶焼鈍段階で浸窒工程を2段階に区分して行うことによって、磁性を向上させることができる。
本発明の方向性電磁鋼板は、1次再結晶焼鈍後の鋼板に対して全厚範囲にわたって結晶粒の粒径を均一に制御し、厚さによる浸窒量を制御して、磁性を向上させることができる。
本発明の方向性電磁鋼板は、粒径が小さい結晶粒の個数と粒径が大きい結晶粒の個数の比率を制御して磁性特性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1、第2および第3などの用語は、多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これらの用語は、ある部分、成分、領域、層またはセクションを、他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下に述べる第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及されてもよい。
ここで使用される専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるわけではない。
【0017】
ある部分が他の部分の「上に」あると言及する場合、これはまさに他の部分の上にあるか、その間に他の部分が伴ってもよい。対照的に、ある部分が他の部分の「真上に」あると言及する場合、その間に他の部分が介在しない。
他に定義しないが、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。通常使用される辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味で解釈されない。
【0018】
また、特に言及しない限り、%は重量%を意味し、1ppmは0.0001重量%である。
本発明の一実施例において、追加元素をさらに含むとの意味は、追加元素の追加量だけ、残部の鉄(Fe)を代替して含むことを意味する。
以下、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0019】
本発明の一実施例による方向性電磁鋼板の製造方法は、スラブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、熱延板を冷間圧延して冷延板を製造する段階、冷延板を1次再結晶焼鈍する段階、および1次再結晶焼鈍が完了した冷延板を2次再結晶焼鈍する段階を含む。
以下、各段階毎に詳しく説明する。
【0020】
まず、スラブを熱間圧延して熱延板を製造する。
本発明の一実施例では、1次再結晶焼鈍工程での浸窒ガスの流量、1次再結晶焼鈍後の結晶粒、浸窒量特性、2次再結晶焼鈍後の大きさによる結晶粒比率に特徴があるものであり、合金組成は、一般に知られた方向性電磁鋼板における合金組成を使用することも可能である
補充的に、スラブの合金成分について説明する。
スラブは、Crを0.03~0.15重量%含むことができる。
【0021】
Cr:0.03~0.15重量%
クロム(Cr)は、酸化形成を促進する元素である。Crを適正量添加すると、表層部の緻密な酸化層形成を抑制し、深さ方向に微細な酸化層が形成されることを助ける。Crを添加することによって、脱炭および浸窒が遅れて1次再結晶粒が不均一になる現像を克服し、均一性に優れた1次再結晶粒を形成し、磁性および表面を改善させる効果を追加することができる。Cr含有量を適正量で添加すると、内部酸化層がより深く形成され、浸窒および脱炭速度が速くなるので、1次再結晶粒の大きさ調節および均一性の確保が難しい点を克服することができる。また、2次再結晶焼鈍工程中に形成されるベースコーティングが剛健に形成できるようにする。Cr含有量が下限値に達しない場合、得られる効果はわずかであり、一方、上限値を超える場合、酸化層が過度に形成されてその効果が減少する。具体的には、Crは0.05~0.1重量%含むことが好ましい。
【0022】
スラブは、Niを0.1重量%以下をさらに含むことができる。
Ni:0.1重量%以下
ニッケル(Ni)は、Cと同様に、オーステナイト形成元素で、熱間圧延、熱延後の熱処理工程のオーステナイト相変態を活性化して、組織の微細化効果をもたらす。特に、サブ表層部のゴス結晶粒の形成を促進する効果があって、1次再結晶粒でのゴス分率を増加させ、1次再結晶粒の大きさの均一性が良くなることで、最終製品の磁束密度を上昇させる効果を与える。また、Niを追加添加して、Crと同様にベースコーティングを剛健に形成できるようにする。Crと共に同時に添加することでその効果を増すことができる。具体的には、0.005~0.05重量%含むことが好ましい。
【0023】
スラブは、SnおよびSbを合量で0.03~0.15重量%、およびP:0.01~0.05重量%さらに含むことができる。
SnおよびSbの合量:0.03~0.15重量%
スズ(Sn)およびアンチモン(Sb)は、結晶粒界偏析元素として結晶粒界の移動を妨げる元素であるため、結晶成長抑制剤として知られている。また、1次再結晶集合組織においてゴス方位の結晶粒分率を増加させることによって、2次再結晶集合組織に成長するゴス方位の核が多くなるので、2次再結晶微細組織の大きさが減少する。結晶粒の大きさが小さくなるほど渦電流損が小さくなるため、最終製品の鉄損が減少する。SnおよびSbの合量が少なすぎると、添加効果が得られない。その合量が多すぎると、結晶粒成長抑制力が過度になり、相対的に結晶粒の成長駆動力を増加させるために1次再結晶微細組織の結晶粒の大きさを縮小させなければならないので、脱炭焼鈍を低い温度で実施しなければならず、これによって酸化層を適切に制御できず良好な表面を確保することができない。具体的には、Snを0.02~0.08およびSbを0.01~0.08重量%含むことが好ましい。
【0024】
P:0.01~0.05重量%
リン(P)は、Sn、Sbと類似の効果を示す元素であって、結晶粒界に偏析して結晶粒界の移動を妨げ、同時に結晶粒成長を抑制する補助的な役割が可能である。また、微細組織の側面から{110}<001>集合組織を改善する効果がある。Pの含有量が少なすぎると、添加効果が得られなくなり、過度に多く添加すると、脆性が増加して圧延性が大きく劣化する虞がある。具体的には、Pを0.015~0.03重量%含むことが好ましい。
【0025】
スラブは、重量%で、Si:2.5~4.0%、C:0.03~0.09%、Al:0.015~0.040%、Mn:0.04~0.15%、N:0.001~0.006%、S:0.01%以下、およびCr:0.03~0.15%含み、残部Feおよびその他不可避に混入する不純物からなる。
【0026】
Si:2.5~4.0重量%
シリコン(Si)は、方向性電磁鋼板素材の比抵抗を増加させて鉄心損失(core loss)つまり、鉄損を低くする役割を果たす。Si含有量が低すぎる場合、比抵抗が減少して鉄損が大きくなる虞がある。Siを過剰含有時には、鋼の脆性が増加し、靭性が減少して圧延過程中の板破断発生率が増加し、冷間圧延操業に負荷が生じ、冷間圧延中のパスエージングに必要な板温に達しなくなり、2次再結晶の形成が不安定になる。したがって、上記の範囲にSiを含むことがよい。さらに具体的には、3.3~3.7重量%含むことが好ましい。
【0027】
C:0.03~0.09重量%
炭素(C)は、オーステナイト相の形成を誘導する元素である。C含有量の増加により、熱間圧延工程中にフェライト-オーステナイト相変態が活性化される。また、C含有量の増加により、熱間圧延工程中に形成される長く延伸された熱延帯組織が増加して、熱延板焼鈍工程中のフェライト粒成長を抑制する。また、C含有量が増加することによって、フェライト組織に比べて強度が高い延伸された熱延帯組織の増加と冷延開始組織である熱延板焼鈍組織の初期粒子の微細化によって冷間圧延後の集合組織が改善、特に、ゴス分率が増加する。これは、熱延板焼鈍後の鋼板内に存在する残留Cによって冷間圧延中のパスエージング効果が大きくなって、1次再結晶粒内のゴス分率を増加させるものと考えられる。したがって、C含有量が大きいほど有利であるが、後の脱炭焼鈍時の脱炭焼鈍時間が長くなり、生産性を低下させる。加熱初期の脱炭が十分でなければ、1次再結晶結晶粒を不均一に作って2次再結晶を不安定にする。したがって、スラブ内のC含有量を上記のように調節することがよい。具体的には、スラブは、Cを0.04~0.07重量%含むことが好ましい。
前述のように、方向性電磁鋼板の製造工程中、脱炭焼鈍工程時にCが一部除去され、最終的に製造された方向性電磁鋼板内のC含有量は0.005重量%以下になる。
【0028】
Al:0.015~0.04重量%
アルミニウム(Al)は、(Al、Si、Mn)NおよびAlN形態の窒化物を形成して、強力な結晶粒成長抑制の役割を果たす。その含有量が少なすぎる場合には、形成される析出物の個数と体積分率が低くて結晶粒成長抑制効果が十分得られない虞がある。Al含有量が高すぎると、析出物が粗大に成長して結晶粒成長抑制効果が低下する。したがって、上記の範囲にAlを含むことがよい。具体的には、Alは0.02~0.035重量%添加することが好ましい。
【0029】
Mn:0.04~0.15重量%
マンガン(Mn)は、Sと反応して硫化物を形成する元素である。Mnが少なすぎる場合には、熱延中に微細なMnSが不均一に析出して磁性特性を劣位にする虞がある。
Mnは、Siと同様に、比抵抗を増加させて鉄損を減少させる効果がある。また、Siと共に窒素と反応して(Al、Si、Mn)Nの析出物を形成することによって、1次再結晶粒の成長を抑制して2次再結晶を促すのに重要な元素である。しかし、過剰添加時には、鋼板の表面にFeSiO以外に(Fe、Mn)およびMn酸化物が多量形成されて、2次再結晶焼鈍中に形成されるベースコーティングの形成を妨げて表面品質を低下させ、1次再結晶焼鈍工程でフェライトとオーステナイトとの間の相変態の不均一を誘発するため、1次再結晶粒の大きさが不均一になり、その結果、2次再結晶が不安定になる。そのため、上記の範囲にMnを含むことがよい。具体的には、0.07~0.13重量%含むことが好ましい。
【0030】
N:0.001~0.006重量%
窒素(N)は、Alなどと反応して結晶粒を微細化させる元素である。これらの元素が適切に分布する場合には、上記のように、冷間圧延後の組織を適切に微細にして適切な1次再結晶粒度を確保するのに役立つが、その含有量が過剰であれば、1次再結晶粒が過度に微細化され、その結果、微細な結晶粒によって2次再結晶時に結晶粒成長をもたらす駆動力が大きくなって、所望しない方位の結晶粒まで成長するので、好ましくない。また、Nは、多量含有されると、2次再結晶開始温度が高くなって磁気特性を劣化させる。
本発明の一実施例において、1次再結晶焼鈍過程中に浸窒が起こり、また、2次再結晶焼鈍過程で一部の窒素が除去される。最終的に残存するN含有量は0.003重量%以下になる。
【0031】
S:0.01重量%以下
硫黄(S)は、熱間圧延時に固溶温度が高くて偏析が激しい元素であって、できるだけ含有されないようにすることが好ましいが、製鋼時に含有される不可避不純物の一種である。また、Sは、MnSを形成して1次再結晶粒の大きさに影響を与えるので、Sの含有量は0.01重量%以下に制限することが好ましい。さらに具体的には、Sの含有量は0.008重量%以下であることがより好ましい。
【0032】
不純物元素
上記の元素以外にも、Zr、Vなどの不可避に混入する不純物が含まれる。Zr、Vなどは、強力な炭窒化物形成元素であるため、できるだけ添加されないことが好ましく、それぞれ0.01重量%以下に含有されるようにすることがよい。
【0033】
熱延板を製造する段階の前に、スラブを1280℃以下に加熱する段階をさらに含むことができる。この段階により析出物を部分溶体化することができる。また、スラブの柱状晶組織が粗大に成長することが防止されて、後続の熱間圧延工程で板の幅方向にクラックが発生するのを防止することが可能であり、実歩留まりが向上する。スラブの加熱温度が高すぎると、スラブの表面部の溶融によって加熱炉を補修し加熱炉の寿命が短縮される虞がある。具体的には、1130~1230℃でスラブを加熱することが好ましい。
【0034】
熱延板を製造する段階で、熱間圧延によって厚さ1.5~3.0mmの熱延板を製造することができる。
また、熱延板を製造した後、熱延板を熱延板焼鈍する段階をさらに含むことができる。熱延板焼鈍する段階は、950~1,100℃の温度まで加熱した後、850~1,000℃の温度に均熱してから冷却する過程によって行うことができる。
【0035】
次に、熱延板を冷間圧延して冷延板を製造する。
冷間圧延は、1回の鋼冷間圧延により行われるか、または複数のパスにより行われる。圧延中に1回以上200~300℃の温度で温間圧延によりパスエージング効果を与え、最終厚さ0.1~0.3mmに製造できる。冷間圧延された冷延板は、1次再結晶焼鈍過程で脱炭と変形された組織の再結晶および浸窒ガスを通した浸窒処理を行う。
【0036】
次に、冷延板を1次再結晶焼鈍する。
本発明の一実施例では、1次再結晶焼鈍する段階を前段工程および後段工程に分けて行う。前段および後段工程では浸窒ガスの投入量を異ならせる。
この時、前段工程および後段工程は、1次再結晶焼鈍段階内の昇温段階および均熱段階中の均熱段階内で行われる。
【0037】
前段工程および後段工程は、別途の均熱台でそれぞれ行われるか、前段および後段への浸窒ガスの流れを妨げる遮蔽膜が設けられた均熱台で行われる。
前段工程および後段工程で浸窒ガスを適切に投与することによって、表層の結晶粒を適切に成長させ、鋼板の内部に浸窒が円滑に行われるようにして、窮極的に磁性が向上する。
【0038】
具体的には、浸窒ガスの総投入量(B)に対する前段工程での浸窒ガスの投入量(A)が、下記式1を満足する。
〔式1〕
0.05≦[A]/[B]≦[t]
(式1中、浸窒ガスの投入量の単位は、Nm/hrであり、[t]は、冷延板の厚さ(mm)を示す。)
【0039】
前段工程での浸窒ガスの投入量が少なすぎると、窒素が鋼板の内部に侵入せず、表層にのみ存在して、磁性を劣位にする原因になる。逆に、前段工程での浸窒ガスの投入量が過度に多くなると、鋼板の表層部の結晶粒成長が大きく抑制されて、磁性を劣位にする原因になる。
さらに具体的には、前段工程での浸窒ガスの投入量は、0.05~3Nm/hr、後段工程での浸窒ガスの投入量は、1~10Nm/hrであることが好ましい。
【0040】
浸窒ガスは、1次再結晶焼鈍工程での温度で窒素が分解して、鋼板の内部に侵入できるガスであれば制限なく使用可能である。具体的には、浸窒ガスは、アンモニアおよびアミンのうちの1種以上を含むことができる。
前段工程の実行時間は、10~80秒であり、後段工程の実行時間は、30~100秒出ることが好ましい。
【0041】
1次再結晶焼鈍段階の均熱温度、つまり、前段工程および後段工程は、800~900℃の温度で行われる。温度が低すぎると、1次再結晶が行われなかったり、浸窒が円滑に行われないことがある。温度が高すぎると、1次再結晶が過度に大きく成長して、磁性を劣位にする原因になる虞がある。
1次再結晶焼鈍段階で脱炭がさらに行われる。脱炭は、前段工程および後段工程の前、後、またはこれと同時に行われる。前段工程および後段工程と同時に行われる場合、前段工程および後段工程は、酸化能(PH2O/PH2)が0.5~0.7の雰囲気で行われる。脱炭によって、鋼板は、炭素を0.005重量%以下、さらに具体的には、0.003重量%以下で含むこと好ましい。
【0042】
前記の1次再結晶焼鈍する段階の後、鋼板は、窒素を0.015~0.025重量%含むことができる。後述のように、鋼板の厚さに応じて異なる窒素含有量を有し、前記範囲は、全厚に対する平均窒素含有量を意味する。
1次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式2を満足できる。
〔式2〕
1≦[G1/4t]-[G1/2t]≦3
(式2中、[G1/4t]は、鋼板全厚の1/4地点で測定した平均結晶粒径(μm)を意味し、[G1/2t]は、鋼板全厚の1/2地点で測定した平均結晶粒径(μm)を意味する。)
【0043】
表層部の結晶粒(G1/4t)が大きく成長する時、5mm超過の2次再結晶が少なく形成され、非常に不均一な2次再結晶組織が形成されて磁性が劣化する虞がある。逆に、表層部の結晶粒(G1/4t)が過度に小さく成長する時、5mm以下の微細2次再結晶が多量形成され、方位の集積度が劣位な2次再結晶粒が多数形成されて磁性が劣化する虞がある。さらに具体的には、式2の値は1.2~2.7であることが好ましい。この時、結晶粒径は、圧延面(ND面)と平行な面に対して測定した結晶粒径を意味する。
【0044】
1次再結晶焼鈍後の鋼板は、下記式3を満足できる。
〔式3〕
0.003≦[Ntot]-[N1/4t~3/4t]≦0.01
(式3中、[Ntot]は、鋼板全体での窒素含有量(重量%)を意味し、[N1/4t~3/4t]は、鋼板全厚の1/4~3/4地点での窒素含有量(重量%)を意味する。)
鋼板内部の窒素含有量がすくなすぎる場合、つまり、式3の値が大きすぎる場合、内部の結晶粒成長抑制力が不十分であり、表層部の窒素放出口のような欠陥が多量発生し、5mm以下の微細2次再結晶が多量形成され、磁性が劣化する虞がある。鋼板内部の窒素含有量が多すぎる場合、つまり、式3の値が小さすぎる場合、2次再結晶焼鈍過程中に表層部の結晶粒成長抑制力が不十分であったり、内部の結晶粒成長抑制力の過剰になるいう理由から磁性が劣化すり虞がある。
【0045】
次に、1次再結晶焼鈍が完了した冷延板を2次再結晶焼鈍する。2次再結晶焼鈍の目的は、大きくみると、2次再結晶による{110}<001>集合組織の形成、脱炭時に形成された酸化層とMgOの反応によるガラス質被膜の形成により絶縁性付与、磁気特性を阻害する不純物の除去にある。2次再結晶焼鈍の方法としては、2次再結晶が起こる前の昇温区間では、窒素と水素との混合ガスの中に維持して粒子成長抑制剤である窒化物を保護することによって2次再結晶がうまく発達するようにし、2次再結晶の完了後には100%水素雰囲気で長時間維持して不純物を除去するようにする。
【0046】
本発明の一実施例による方向性電磁鋼板は、粒径が小さい結晶粒の個数と粒径が大きい結晶粒の個数の比率を制御して磁性特性を向上させる。具体的には、本発明の一実施例による方向性電磁鋼板は、下記式4を満足することが好ましい。
〔式4〕
[D]/[D]≦0.1
(式4中、[D]は、粒径が5mm以下の結晶粒の個数を示し、[D]は、粒径が5mm超過の結晶粒の個数を示す。)
【0047】
式4の値が大きすぎると、結晶粒径が不均一で磁性のばらつきが大きくなり、磁性が劣化する。
具体的には、式4の値は、0.09以下であることが好ましい。
本発明の一実施例による方向性電磁鋼板の合金組成は、C、Nを除けば、前記のスラブの合金組成と同一であるので、重複する説明は省略する。
具体的には、方向性電磁鋼板は、Crを0.03~0.15重量%含むことが好ましい。
【0048】
方向性電磁鋼板は、Niを0.1重量%以下でさらに含むことができる。
方向性電磁鋼板は、SnおよびSbを合量で0.03~0.15重量%、およびP:0.01~0.05重量%さらに含むことができる。
方向性電磁鋼板は、重量%で、Si:2.5~4.0%、C:0.005%以下、Al:0.015~0.040%、Mn:0.04~0.15%、N:0.003%以下、S:0.01%以下、およびCr:0.03~0.15%含み、残部Feおよびその他不可避に混入する不純物からなることができる。
【0049】
方向性電磁鋼板の1.7Tesla、50Hzの条件での鉄損(W17/50)は、0.80W/kg以下であることがよい。さらに具体的には、鉄損(W17/50)は、0.60~0.75W/kgであることがよい。この時、厚さ基準は、0.18mmである。方向性電磁鋼板の800A/mの磁場下で誘導される磁束密度(B8)は、1.92T以上であることが好ましい。具体的には、1.93~1.95Tであることがより好ましい。
【0050】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0051】
実施例
Si:3.15重量%、C0.045重量%、P:0.02重量%、Sn0.05重量%、Mn0.1重量%、S0.005重量%、solAl0.03重量%、N0.004重量%、Cr:0.08重量%、残りの成分は残部Feとその他不可避に含まれる不純物からなるスラブを製造した。この後、1180℃の温度で210分加熱した後、熱間圧延して1.8mmの厚さの熱延板を製造した。
熱延板は、1050℃まで加熱した後、950℃で90秒間維持した後、760℃まで炉冷後、100℃沸騰水に急冷して酸洗した後、0.18mmの厚さに1回鋼冷間圧延した。
【0052】
冷間圧延された板は、約850℃の温度で、湿った水素(酸化度約0.6)と窒素およびアンモニアの混合ガス雰囲気中で、炭素含有量が30ppm以下、窒素含有量が200ppmとなるように同時脱炭、窒化焼鈍熱処理した。この時、前段工程での浸窒ガスの投入量および後段工程での浸窒ガスの投入量を下記表1のように調節し、前段工程を50秒、後段工程を70秒行った。
また、1次再結晶焼鈍完了した鋼板について結晶粒径および窒素含有量を分析して、下記表1にまとめた。
【0053】
この鋼板に焼鈍分離剤のMgOを塗布してコイル状に最終焼鈍した。最終焼鈍は、1200℃までは25v%窒素および75v%水素の混合雰囲気中とし、1200℃到達後には100v%水素雰囲気で10時間以上維持した後に炉冷した。それぞれの条件に対して測定した磁気特性と組織特性は表1に示した。
磁性は、Single sheet測定法を利用して、1.7Tesla、50Hzの条件で鉄損を測定し、800A/mの磁場下で誘導される磁束密度の大きさ(Tesla)を測定した。表中の各磁束密度および鉄損値は、条件別の平均を示したものである。
【0054】
【表1】
【0055】
表1から確認できるように、1次再結晶焼鈍過程で浸窒ガスを制御した発明材1~4は、表層の結晶粒が適切に成長し、鋼板の内部に浸窒が適切に行われて、5mm未満の2次再結晶の形成が抑制され、磁性に優れていることを確認できる。
これに対し、前段工程で浸窒ガスを多量投与した比較材1は、表層の結晶粒が過度に小さく形成されて、微細2次再結晶が多量形成され、磁性も劣化していた。
また、前段工程で浸窒ガスを過度に少なく投与した比較材2は、鋼板の内部に窒素含有量が過度に少なくて、微細2次再結晶が多量形成され、磁性も劣化していた。
【0056】
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施可能であることを理解するであろう。そのため、上記の実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。