(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】静止型混合器
(51)【国際特許分類】
B01F 25/40 20220101AFI20231207BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20231207BHJP
【FI】
B01F25/40
B01F23/40
(21)【出願番号】P 2021526507
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 GB2019053213
(87)【国際公開番号】W WO2020099865
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-25
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508236033
【氏名又は名称】フジフィルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ ・ユーケイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ハイス,チャールズ
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/047393(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0110845(US,A1)
【文献】米国特許第02740616(US,A)
【文献】特開2016-073899(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047168(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/047167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00 - 25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を混合するための静止型混合装置であって、連続して配置される複数のチャンバーを含み、前記複数のチャンバーのうち1番目のチャンバーが
液体入口を含み、前記複数のチャンバーのうち最後のチャンバーが
液体出口を含み、前記複数のチャンバーのうち前記最後のチャンバー以外の各チャンバーは、後続のチャンバーと流体接続しており、前記流体接続は、流れの方向に沿って分散配置された複数のオリフィスを含み
、後続の各オリフィスの、前記
液体入口に最も近い端部は、先行するオリフィスの、前記
液体入口から最も遠い端部に部分的に重なり、前記先行するオリフィスから前記流れの方向に沿ってオフセットされて
おり、前記静止型混合装置は、さらに、
前記液体入口に対して前記静止型混合装置の反対側の端部に位置付けられた気体出口を含む、静止型混合装置。
【請求項2】
各チャンバーが同心状にあ
る、請求項1に記載の静止型混合装置。
【請求項3】
各チャンバーが円形断面を有する、請求項2に記載の静止型混合装置。
【請求項4】
前記1番目のチャンバーが最も内側のチャンバーであり、前記最後のチャンバーが最も外側のチャンバーである、請求項1に記載の静止型混合装置。
【請求項5】
偶数個のチャンバ
ーを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の静止型混合装置。
【請求項6】
4つのチャンバーを含む、請求項5に記載の静止型混合装置。
【請求項7】
2つのチャンバーを分離するチャンバー壁内の任意の追加のチャンバー出口を含む全てのオリフィスを組み合わせた面積は、前記液体入口の面積よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の静止型混合装置。
【請求項8】
前記
液体入口および
液体出口が、前記静止型混合装置の底部に位置付けられる、請求項1から
7のいずれか一項に記載の静止型混合装置。
【請求項9】
所与のチャンバーに関する長手方向に沿って、後続の各オリフィスの前記
液体入口に最も近い端部および先行するオリフィスの前記
液体入口から最も遠い端部は、それらが前記チャンバーのチャンバー軸に直交する同じ断面の部分を形成するように位置合わせされる、請求項1から
8のいずれか一項に記載の静止型混合装置。
【請求項10】
前記
液体入口が、前記静止型混合装置の底部に位置付けられ、後続のチャンバーに流体接続された全ての奇数番目のチャンバーの壁のオリフィスの面積が、前記静止型混合装置の前記入口端部から離れる前記チャンバーの方向に沿って増大する、請求項1から
9のいずれかに記載の静止型混合装置。
【請求項11】
偶数個のチャンバーを含み、後続のチャンバーに流体接続された全ての奇数番目のチャンバーの壁の長手方向に沿った1番目のオリフィスが、前記
液体出口に向けられないように位置合わせされる、請求項1から
10のいずれか一項に記載の静止型混合装置。
【請求項12】
後続のチャンバーに流体接続された全ての奇数番目のチャンバーの壁の長手方向に沿った1番目のオリフィスが、前記
液体出口の中心の方向から180度であるように位置合わせされる、請求項
11に記載の静止型混合装置。
【請求項13】
前記
液体入口および前記
液体出口が前記静止型混合装置の底部に位置付けられ、偶数番目のチャンバーと後続の奇数番目のチャンバーとの間のチャンバー壁が、前記チャンバーの前記
液体入口端部の前記底部において、等しい断面積の2つの最初のオリフィスを有し、前記2つの最初のオリフィスの中心点が、互いに180度で位置合わせされる、請求項1から
12のいずれか一項に記載の静止型混合装置。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の静止型混合装置を通して
液体を通過させるステップを含む、2種以上の
液体を混合するための方法。
【請求項15】
前記
液体が水性溶液であり、前記方法がバイオプロセス操作におけるステップを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、生体分子を生成するための方法に含まれる、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の静止型混合装置を含む、バイオプロセス操作を実施するための装置。
【請求項18】
生体分子を生成するための方法であって、請求項
17に記載の装置を用いるバイオプロセス操作で前記生体分子を処理するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静止型混合器に関し、より詳細には、液体、特に水性液体用の混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
静止型混合器(換言すれば、スタティックミキサー)、特にインライン式静止型混合器の多くのデザインが、2種以上の液体を混合するために提案されており、これらの液体は、US4222671に開示されるように、流路内で同時に合わされ次いで混合される。その他の例には、例えばUS6629775に開示されるような装置が含まれ、この装置では、混合器に進入する流れが、種々の長さの流路を有する部分流に分割され、これらの部分流を再度1つにする。その他の例には、US20060285433に開示される装置が含まれ、この装置では、回旋状の流路が混合を誘発させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存の混合器のデザインは、デバイス内の流路容積の全てを占有する混合液体により動作し、したがって混合器内の液体本体全体の滞留時間は、流量、断面積、および混合器の長さに依存する。これらのデバイスは、同時にではなく経時的に静止型混合器に送達される液体を混合する際に、しばしば効果がない。さらに、これらのデバイスには、存在する場合には液-気境界をデバイス内で維持する能力がなく、気泡が入口液体流の1つまたは複数に導入されたときに液体の通気を促進させる傾向になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、流体、好ましくは液体を混合するための静止型混合装置(「混合器」)であって、連続して配置される複数のチャンバーを含み、上記連続配置の1番目のチャンバーは流体入口を含み、上記連続配置の最後のチャンバーは流体出口を含み、上記連続配置の最後のチャンバー以外の各チャンバーは後続のチャンバーと流体接続しており、上記流体接続は、流れの方向に沿って分散配置された複数のオリフィスを含み、流体入口に対して後続の各オリフィスの、流体入口に最も近い端部(換言すれば、点または位置)は、先行するオリフィスの、流体入口から最も遠い端部に部分的に重なり、先行するオリフィスから流れの方向に沿ってオフセットされている、静止型混合装置が提供される。
【0005】
好ましくは、各チャンバーは同心状であり、最も好ましくは円形断面のものである。チャンバーは、好ましくは長手軸に沿って細長く、平行なチャンバー壁を有し、均一な断面積のものである。最も好ましくは、1番目のチャンバーは最も内側のチャンバーであり、最後のチャンバーは最も外側にある。
【0006】
好ましくは、混合器は偶数のチャンバーを含み、最も好ましくは偶数の同心状のチャンバーを含む。多くの実施形態では、4つのチャンバーが好ましい。
好ましくは混合器は、同心状に配置される管を含み、流体入口および流体出口は、同心状に配置される管の同じ端部に位置付けられている。一部の非常に好ましい実施形態では、気体出口が、流体入口および流体出口に対して混合器の反対側の端部に位置付けられる。最も好ましくは、流体入口および流体出口は混合器の底部(換言すれば、基部)に位置付けられ、気体出口は混合器の最上部に位置付けられる。
【0007】
一部の実施形態において、所与のチャンバーに関する長手方向に沿って、後続の各オリフィスの、流体入口に最も近い端部および先行するオリフィスの、流体入口から最も遠い端部は、チャンバーの軸に直交する同じ断面の部分を形成するように位置合わせされる。好ましくは、所与のチャンバーに関する長手方向に沿って、後続の各オリフィスの流体入口に最も近い端部および先行するオリフィスの流体入口から最も遠い端部は、後続のオリフィスの長さの約50%まで、好ましくは約1%超、例えば後続のオリフィスの長さの5から25%まで重なる。後続の各オリフィスの開始および終わりの重なりは、液/気境界が混合器の各チャンバーの内部および各チャンバーにわたって同じレベル(換言すれば、高さ)にあることを確実にすることにより、混合器が泡トラップとして機能することも可能にする。多くの実施形態では、第1の分割器(換言すれば、仕切り)のオリフィスの面積の合計が、内側チャンバーの断面積の5から20倍の間、好ましくは10から15倍の間であり、好ましくは、2つのチャンバー間にある分割器のオリフィスの面積の合計は、全ての分割器に関して等しい。一部の好ましい実施形態では、偶数番目のチャンバーの外壁が、流体入口と同じ混合器の端部に位置付けられた追加のチャンバー出口も含む(オリフィスの面積の計算には含まれない)。追加の各チャンバー出口の幅は、チャンバー壁の周囲の全長のしばしば25%まで、好ましくは15から20%であり、一般に、全ての追加のチャンバー出口の全幅は、チャンバー壁の周囲の長さの50%まで、好ましくは30から40%である。最も好ましくは、2つの追加のチャンバー出口は、チャンバーの互いに反対側に位置付けられて存在する。多くの実施形態では、追加のチャンバー出口の高さは、チャンバーの底部から1番目のオリフィスまでの距離の100%から140%、例えば110%から130%になるようにしばしば選択される。混合器により背圧が発生するのを防止するために、オリフィスに各チャンバーの任意の追加のチャンバー出口を加えた全面積は、入口の面積以上になるように選択される。
【0008】
チャンバーは、流体入口、流体出口、その他のチャンバーとの流体接続部、および存在する場合には任意選択の気体出口とは別に、封止される。
流体入口が混合器の底部に位置付けられるとき、後続のチャンバーに流体接続された全ての奇数番目のチャンバーの壁にあるそれぞれのオリフィスの面積は、混合器の入口端部から離れるチャンバーの方向に沿って増大することが好ましい。好ましくは、チャンバーの流体入口端部からの1番目のオリフィスの距離は、これらのチャンバーに関する1番目のオリフィスの長さに等しい。
【0009】
一部の実施形態では、流体入口および流体出口からそれらのそれぞれのチャンバーの端部までの距離は、チャンバーの全長の1/10以内である。好ましい実施形態では、流体入口および出口は、それらのそれぞれのチャンバーの端部にある。
【0010】
多くの非常に好ましい実施形態において、特に流体入口および流体出口が混合器の底部に位置付けられる場合、偶数番目のチャンバーと後続の奇数番目のチャンバーとの間のチャンバー壁は、チャンバーの流体入口端部の底部において、等しい面積の2つの追加のチャンバー出口を有し、その組み合わされた面積は、有利には流体入口の面積の10から50%の間、好ましくは20から35%、最も好ましくは25から30%である。2つの追加のチャンバー出口の中心点は、有利には互いに180度(即ち、反対側)であり、これら追加のチャンバー出口の上方の後続のオリフィスの中心点に対して90度である。これらの追加のチャンバー出口の長さは、好ましくは、先行する奇数番目のチャンバー壁内の、チャンバーの流体入口端部の終わりからの、1番目のオリフィスの距離の長さに等しい。偶数番目のチャンバーの壁における全ての後続のオリフィスは、好ましくは、奇数番目のチャンバー壁のオリフィスと同じように増大した長さと、チャンバーの流体入口端部からの距離とを有する。特に好ましい実施形態では、2つのチャンバーを分離するチャンバー壁内の任意の追加のチャンバー出口を含む全てのオリフィスを組み合わせた面積は、流体入口の面積よりも大きい。
【0011】
一部の実施形態では、オリフィスの全ては同じ幅であり、さらなるそのような実施形態では、奇数番目のチャンバーのオリフィスに関して、各オリフィスの長さはチャンバー壁に沿った流れ方向と共に増大し、好ましくは後続の各オリフィスに関して固定量だけ増大し、偶数番目のチャンバーのオリフィスでは、各オリフィスの長さは、チャンバー壁に沿った流れ方向と共に減少し、好ましくは後続の各オリフィスに関して固定量だけ減少する。その他の実施形態では、オリフィスの全ては、幅および長さが全て等しい。
【0012】
好ましくは、オリフィスのオフセットによって、流れの方向に沿って螺旋パターンが形成される。最も好ましくは、全てのチャンバーに関するオリフィスのオフセットによって、流れ方向に沿って多重の、特に二重の螺旋パターンを含む、同一の螺旋パターンが形成される。混合器を通るおよび先行するオリフィスを通る中心線からの、後続のオリフィスに関するオフセット角は、好ましくは単一または二重螺旋の場合は90度に、三重螺旋の場合は120度になるように選択される。これらの好ましい実施形態では、オリフィスは、不連続螺旋パターンを作製する。
【0013】
オリフィスは、多くの異なる形状のものであってもよく、一般には、円形、スタジアム形(換言すれば、長円形、馬蹄形または半円形)、または矩形の1つまたは複数である。最も好ましくは、オリフィスは全てスタジアム形である。
【0014】
最も好ましくは、4つのチャンバーなど偶数個のチャンバーを含む混合器の場合、後続のチャンバーに流体接続する全ての奇数番目のチャンバー壁の壁内で長手方向に沿った1番目のオリフィスは、流体出口の方に向けられないように位置合わせされる。多くの場合、単一螺旋を持つ実施形態では、上記1番目のオリフィスは、流体出口の中心の方向から180度になるように、二重螺旋の場合は両方のオフセットが90度になるように、三重螺旋の場合は、流体出口に対して1つのオフセットが180度になり2つが60度になるように位置合わせされる。一部の実施形態では、オリフィスの同じパターンが、後続のチャンバーに流体接続する各チャンバーの壁内で用いられ、偶数番目のチャンバーのオリフィスは、流体入口端部から等距離にあるオリフィスが、先行する奇数番目のチャンバーの壁の対応するオリフィスに対して180度になるように位置合わせされる。この結果、流体の本体は混合器内を通る主たる蛇行経路を辿るので、奇数番目のチャンバー壁と偶数番目のチャンバー壁との間で位相を異にする、オリフィスと壁の交互のパターンが得られる。
【0015】
ある特定の実施形態において流体が液体である場合、混合デバイス内の流体レベル(換言すれば、高さ)は、封止された混合デバイス内に含まれる圧縮性気体に対して作用する、混合デバイス内に流れを供給するデバイスまたは方法から誘導される入口流体の圧力によって決定されることになる。その他の実施形態において流体が液体である場合、混合デバイス内の液体レベルは、液体レベル変化を感知し、例えば気体出口を開放または閉鎖することによって混合デバイスを通気または加圧することにより、混合器内の気体の圧力、好ましくは混合器のヘッドスペースの圧力を調節することによって決定されることになる。
【0016】
好ましい実施形態では、混合器は、混合器の容積の100%未満、例えば最大95%、特に最大80%、および多くの実施形態では混合器の容積の10から75%である混合器内の液体の割合で作動し、この割合は一般に、液体流量によって、および圧縮性気体、一般には空気を含む混合器の容積のバランスによって、決定される。そのような条件下、増大した流量は液体の体積を増大させかつ気体を圧縮するので、混合器内の液体の滞留時間は、流量とは無関係である。
【0017】
流体入口、チャンバー、および出口、特に流体入口の容積および面積は、最大所望流量によって決定されることになることが理解され、例えば本発明をもたらす研究では、15mm直径の流体入口および1Lの全容量の混合器が、最大1000L/時の流量に適することが見出された。
【0018】
一部の実施形態では、Lを単位とする混合器チャンバー全容積は、L/時を単位とする最大所望供給流量の0.0015倍以下になるように、好ましくはL/時を単位とする最大所望供給流量の最大0.001倍になるように選択される。
【0019】
一部の実施形態では、最も外側のチャンバーの幅と、混合デバイスのチャンバーの高さとの比は、通常は1:3から1:9の間であり、好ましくは1:5から1:8の間である。多くの好ましい実施形態では、最も外側のチャンバーの幅とチャンバーの高さとの比は、1:3から1:6の間、より詳細には約1:5である。
【0020】
多くの実施形態では、後続の各チャンバーの断面積は、先行するチャンバーの断面積よりも大きい。4つのチャンバーによる一部の好ましい実施形態では、しばしば2番目のチャンバーの断面積が、1番目のチャンバーの断面積の2から4倍の間、好ましくは約2.5から3.25倍の間であり、3番目のチャンバーの断面積は、しばしば2番目のチャンバーの断面積よりも1.2から2倍の間であり、4番目のチャンバーの断面積は、しばしば3番目のチャンバーの断面積よりも少なくとも4倍、例えば5から15倍の間、好ましくは5から10倍の間である。
【0021】
ある特定の実施形態では、1番目のチャンバーの断面積は1.5から2.5cm2であり、2番目のチャンバーの断面積は4.5から6.2cm2であり、3番目のチャンバーの断面積は7.4から9cm2であり、4番目のチャンバーの断面積は37から50cm2であり、ある特定の非常に特異的な実施形態では、混合器の全容積は2.5から3Lになるように選択される。
【0022】
本発明の混合器に関する構造の材料は、混合される流体に適合するように選択され、例えばステンレス鋼などの金属、ポリプロピレン、ポリスルホン、およびポリカーボネートなどのポリマーを含んでいてもよい。ある特定の好ましい実施形態では、混合器は、使い捨て可能な流路の部分を形成する。
【0023】
本発明の混合器で混合することができる流体は、好ましくは液体であり、好ましくは種々の化学的および/または物理的性質を有する2種以上の液体である。最も好ましくは、液体は水性溶液であり、またはアルコールおよびグリコールなどの水混和性有機溶媒を含む水性混合物である。多くの実施形態では、液体は、水性緩衝剤および/または塩溶液を含み、好ましくは、1つまたは複数の生体分子を任意選択で含有するバイオプロセス溶液である。
【0024】
多くの非常に好ましい実施形態では、混合される液体は、逐次的に入口に到達する、種々の化学的または物理的性質を有する液体の、一定分量を含む。入口に到達する一定分量の順序は、一般に、入口に至る流路へ液体を供給する、1つまたは複数の流れ制御器の動作によって決定される。好ましくは2、3、4、5、6、7、または8種またはそれよりも多くの、最も好ましくは2、3、または4種の液体が、所定の順序で入口に提供される。
【0025】
多くの実施形態において、本発明の混合器は、混合器を通過する前に液体の性質および/または組成のばらつきを均し、混合器を通過した後に、実質的に均一な液体を生成する働きをする。実質的に一定の組成を有する混合物を生成することに加え、時間と共に混合器に進入する一定分量の割合が変動することによって、混合器を通過した後に、実質的に均一で滑らかな組成勾配または滑らかな液体組成曲線の生成を可能にすることができることが理解されよう。
【0026】
本発明による混合器は、有利には、バイオプロセス操作を実施するための装置で用いられ、そのような装置は、本発明の別の態様を形成する。バイオプロセス操作を実現するためのデバイスによって実施することができるバイオプロセス操作は、クロマトグラフィー、ウイルス不活性化、濾過、リフォールディング、限外濾過、ダイアフィルトレーション、精密濾過、インラインコンディショニング、およびリフォールディングを含む。多くの実施形態では、インライン式混合器は、ポンプの下流およびバイオプロセス操作を実現するためのデバイスの上流に位置付けられる。
【0027】
本発明の装置を使用して実施することができるクロマトグラフィー操作は、親和性クロマトグラフィー、イオン交換(陰イオンおよび陽イオン交換のいずれかまたは両方)クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相クロマトグラフィー、拡張床クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、膜クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を含む。多くの実施形態において、タンパク質A親和性クロマトグラフィーは、単位操作の少なくとも1つを含む。クロマトグラフィー操作を実施するためのデバイスは、膜、繊維モノリス、またはカラムなどの適切なクロマトグラフィー装置を含む。クロマトグラフィー単位操作の数および順序は、標的生体分子の性質に従って選択される。
【0028】
本発明の装置を使用して実施することができるウイルス不活性化単位操作は、一般に、ウイルスを不活性化するのに十分な滞留時間の条件下で、標的生体分子を含む液体を貯留することができる、貯留槽を含む。ある特定の実施形態では、デバイスの出口および入口は、再循環ループを生成するように流体接続することができる。1つのそのような実施形態では、装置は、「デバイス」入口と「デバイス」出口との間に流体接続された槽またはバッグと共に設定され、装置出口の1つは、マルチインレット流れ制御器入口の1つに流体接続される。液体供給材料入口に流体接続するデバイス「入口」と「出口」との間の槽またはバッグは、流れを与える手段、典型的にはポンプによって充填され、またはその他のマルチインレット流れ制御器入口の少なくとも1つを通して少なくとも1種のその他の液体で調整される。ある特定の実施形態では、槽またはバッグは、混合槽またはバッグである。プロセス液は、マルチインレット流れ制御器の入口を通して槽またはバッグに再循環され、マルチインレット流れ制御器の入口に戻り、マルチインレット流れ制御器上の少なくとも1つのその他の入口に流体接続された少なくとも1種の追加の液体によって、標的物質を含む溶液が調整される。
【0029】
実施することができる濾過単位操作は、ウイルス濾過、深層濾過、および絶対濾過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、および精密濾過を含む。多くの実施形態において、濾過単位操作は、デバイス入口とデバイス出口との間にフィルターモジュールを含む。フィルターモジュールは、マルチインレット流れ制御器入口に取り付けられた少なくとも2つの液体フィードを使用してフラッシュされかつ追跡され、標的分子を含む溶液は、供給材料入口に流体接続される。フィルターを通した液体の処理は、マルチインレット流れ制御器出口および供給材料入口の下流でフィルターモジュールの上流に、流体接続されたおよび位置決めされた、流れを与える手段を通して実現される。フィルターモジュールは、一般に、バイオプロセスの分野で周知の構成を用いる。
【0030】
ウイルス濾過、深層濾過、および絶対濾過は、当技術分野で周知の単位操作であり、バイオプロセスの分野で周知のフィルターデバイスを一般に用いる本発明の装置を使用して実施することができる。多くの実施形態において、1つまたは複数のフィルターデバイスは、特定の単位操作を実行するために、デバイス入口と出口との間に配置される。その他の実施形態では、フィルターデバイスは装置出口の下流に位置決めされ、これはある特定の実施形態では、この装置によってクロマトグラフィー、ウイルス不活性化、TFF、ウイルス濾過、または深層濾過などの主な単位操作と、その後の二次濾過操作とを行うことが可能になる。
【0031】
本発明の装置を使用して実施することができる十字流濾過(「TFF」)単位操作は、従来の再循環TFFおよび単回通過TFFを含む。ある特定の実施形態では、装置の出口および入口は、再循環ループを発生させるように流体接続することができ、その例は、再循環十字流濾過である。一実施形態では、当技術分野で公知のように、装置は、デバイス入口とデバイス出口との間に平膜、中空糸、またはスパイラル型膜のいずれかを含むTFFモジュールと共に設定され、TFFモジュールからの保持液は、装置出口の1つから、少なくとも1つの入口および1つの出口を含む槽またはバッグの、流体接続された入口へと導かれる。槽またはバッグの出口は、液体供給材料入口に流体接続される。槽またはバッグは、槽またはバッグの第2の入口に流体接続することによって供給材料または液体を槽またはバッグに供給する補助手段を使用して、一定レベルに維持される。別の実施形態では、装置は、デバイス入口とデバイス出口との間に平膜、中空糸、またはスパイラル型膜のいずれかを含むTFFモジュールと共に設定され、TFFモジュールからの保持液は、装置出口の1つからマルチインレット流れ制御器弁の入口の1つへと流体接続して戻される。ある特定の実施形態では、装置出口からその入口までの再循環ループは、ブレーク(break)槽またはバッグを含む。標的物質または液体を含む溶液は、流れを与える手段、典型的にはポンプによって、液体供給材料入口を通して再循環ループに引き込まれる。保持液は、TFFモジュールを通して、好ましくはマルチインレット流れ制御器入口の1つを通して再循環される。マルチインレット流れ制御器は、保持液と少なくとも1種のその他の液体とを混合するのに用いられてもよい。再循環TFFの操作は、当技術分野で周知であり、クロスフロー速度および膜透過圧力の設定を通して制御される。
【0032】
ある特定の実施形態では、例えばWO2017/118835に記載される単回通過TFFの場合のように、単回通過TFFを「デバイス」入口と「デバイス」出口との間に平膜、中空糸、またはスパイラル型膜のいずれかを含むTFFモジュールと共に構成することができる。
【0033】
一部の実施形態では、単回通過および再循環TFFの混成を用いることができ、TFFモジュールの下流で可変流弁を使用して生成した保持液は、フィード槽に戻される。
本発明による混合器は、特にバイオプロセス操作で使用される、緩衝溶液を調製するための装置に用いられてもよい。生体分子を生成するための方法、特に生体分子中の1種または複数の不純物の割合を低減させるための方法は、本発明の態様を形成する。
【0034】
本発明の混合器がバイオプロセス操作で用いられる場合、処理することができる生体分子には、例えば、pDNA;細胞療法剤、ワクチン、例えばウイルスワクチン、遺伝子療法生成物、糖、封入体、特にポリペプチドを含む封入体;および特に組換えポリペプチドが含まれる。
【0035】
pDNAは、超螺旋、直鎖、および開環(即ち、ニックまたは弛緩型)アイソフォームなど、複数の形態の1つまたは複数であってもよい。超螺旋pDNAアイソフォームは、共有結合により閉環した環状であり、pDNAは、宿主酵素系の作用によって宿主細胞内で負の超螺旋をとる。開環アイソフォームでは、pDNA二重鎖の1本の鎖が、1つまたは複数の場所で破断されている。
【0036】
pDNAを生成するための方法は、当技術分野で周知である。pDNAは、天然であっても人工であってもよく、例えば、外来DNAインサートを有するクローニングベクターである。多くの実施形態において、pDNAは、1キロベースから50キロベースの範囲のサイズである。例えば、発現した干渉RNAをコードするpDNAは、典型的には3キロベースから4キロベースの範囲のサイズである。
【0037】
ポリペプチド、特に組換えポリペプチドは、サイトカイン、成長因子、抗体、抗体断片、免疫グロブリン様ポリペプチド、酵素、ワクチン、ペプチドホルモン、ケモカイン、受容体、受容体断片、キナーゼ、ホスファターゼ、イソメラーゼ、ヒドロリアーゼ(hydrolyase)、転写因子、および融合ポリペプチドを含めた、治療用タンパク質およびペプチドを含む。
【0038】
抗体は、前述のいずれかの多価および/または多特異的形態を含めた、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および生物活性を有する抗体断片を含む。
天然に生ずる抗体は、典型的には、4本のポリペプチド鎖であって、ジスルフィド結合によって相互に接続された2つの同一の重(H)鎖および2つの同一の軽(L)鎖を含む。各重鎖は、可変領域(VH)および定常領域(CH)を含み、CH領域はその天然形態において3つのドメインCH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、可変領域(VL)と、1つのドメインCLを含む定常領域を含む。
【0039】
VHおよびVL領域は、相補決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域と、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存的な領域が散在する領域とに、さらに細分することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRとFRとで構成され、下記の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で、アミノ末端からカルボキシ末端まで配置される。
【0040】
発現することができる抗体断片は、インタクトな抗体の一部を含み、上記部分は所望の生物活性を有する。抗体断片は、一般に、少なくとも1つの抗原結合部位を含む。抗体断片の例には:(i)VL、CL、VH、およびCH1ドメインを有するFab断片;(ii)Fab派生体、例えばCH1ドメインのC末端で1つまたは複数のシステイン残基を有するFab’断片であって、2つのFab派生体の間のジスルフィド架橋によって2価の断片を形成することができるもの;(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFd断片;(iv)Fd派生体、例えばCH1ドメインのC末端に1つまたは複数のシステイン残基を有するFd派生体;(v)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを有するFv断片;(vi)VLおよびVHドメインが共有結合した一本鎖Fv(scFv)抗体などの一本鎖抗体分子;(vii)定常領域ドメインがあるまたはない、別の可変ドメイン(VHまたはVLドメインポリペプチド)に結合した、定常領域ドメインがないVHまたはVLドメインポリペプチド(例えば、VH-VH、VH-VL、またはVL-VL)(viii)ドメイン抗体断片、例えばVHドメインまたはVLドメインからなる断片、およびVHまたはVLドメインのいずれかの抗原結合断片、例えば単離されたCDR領域;(ix)同じポリペプチド鎖に、2つの抗原結合部位、例えば軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、いわゆる「二重特異性抗体」;および(x)相補的軽鎖ポリペプチドと一緒になって1対の抗原結合領域を形成する、1対のタンデムFdセグメントを含む、いわゆる直鎖状抗体が含まれる。
【0041】
封入体は、最も一般的にはポリペプチドを、特に組換えポリペプチドを含む、大腸菌などの細菌細胞の細胞質中に形成された不溶性凝集体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2】
図1に示される混合器のチャンバーを軸に直交する断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を、
図1および2を参照することにより例示する。
図1は、本発明による混合器の断面を示す。混合器は、好ましくは円形である端板1および2と、好ましくは円筒状である側壁3とから形成されたハウジングを含む。流体入口4は、流体を加圧下で、好ましくは端板1および2の中心に位置付けられた第1のチャンバー5に流入させる。第1のチャンバー5の壁6は、好ましくは円筒状であり、側壁3と同心状にある。壁は、流れの方向に沿って分散配置された一連のオリフィス7を含み、後続の各オリフィスの流体入口に最も近い端部は、少なくとも先行するオリフィスの流体入口から最も遠い端部と部分的に重なり合い、先行するオリフィスから、流れの方向に沿ってオフセットされている。オリフィス7は、流路の一部を、好ましくは円筒状であり側壁3と同心状にある第2のチャンバー8に流入させる。第2のチャンバーは、第1のチャンバーの壁6によって形成された内壁、および外壁9を含む。第2のチャンバーの外壁9は、流れの方向に沿って分散配置された一連のオリフィス10を含み、後続の各オリフィスの端板1に最も近い端部は、少なくとも先行するオリフィスの端板1から最も遠い端部と部分的に重なり合い、端板1で終わる、複数の追加のチャンバー出口11を含む。オリフィス10および11は、流路の一部を、好ましくは円筒状でありかつ側壁3と同心状にある第3のチャンバー12に流入させる。第3のチャンバーは、第2のチャンバーの外壁9によって形成された内壁、および外壁13を含む。第3のチャンバー12の外壁は、流れの方向に沿って分散配置された一連のオリフィス14を含み、後続の各オリフィスの「開始」は、先行するオリフィスの少なくとも「終わり」に部分的に重なり合い、先行するオリフィスから流れの方向に沿ってオフセットされている。オリフィス14は、流路の一部を、第3のチャンバーの外壁13によって形成された内壁と側壁3とを含む、第4のチャンバー15に流入させる。第4のチャンバーは、端板1に位置付けられた出口16と、出口16とは反対側の端部に位置付けられた気体放出弁17も含む。使用中、混合器は、好ましくは、底部の端板1および最上部の端板2を備えたチャンバー5、8、12、および15の軸に沿って縦方向に向けられる。使用中、流体の主な流れは、第1および第3のチャンバー5および12で端板1から離れ、第2および第4のチャンバー8および15で端板1に向かう。
【0044】
図2は、
図1に示される混合器のチャンバー5、8、12、および15の軸に直交する断面を示し、チャンバー5、8、12、および15の同心状の配置構成と、上記チャンバーの壁6、9、13、および3を示す。明瞭にするために、断面は、チャンバーの壁のいずれにもオリフィスが存在しない断面として示す。
【0045】
本発明を、以下の実施例によって限定することなく例示する。
【実施例1】
【0046】
略称:
L リットル
L/時 時間当たりのリットル
min 分
mm ミリメートル
s 秒
TC トライクローバークランプ
1M塩化ナトリウム溶液および希釈用の水を、実験研究で使用した。混合チャンバーは、同時係属出願WO2019/158906に記載されるようにバイオプロセスシステムで試験した。塩化ナトリウム溶液を第1の入口に接続し、水を最終入口に接続し、システムがいずれかの入口を交互に選択できるようにした。入口は、実験の持続期間中、一定分量の塩化ナトリウムを1秒間および水を3秒間、繰り返し投与することにより水または塩化ナトリウム/水の混合物のいずれかを選択するように制御される四方弁を経てポンプに接続した。ポンプの下流で、伝導率センサが、混合チャンバーに進入する前の液体の伝導率をモニタした。混合チャンバーの下流の第2の伝導率センサは、液体の最終伝導率をモニタした。
【0047】
この実験で用いられる混合装置は、SpectrumLabs(現在はRepligen、USA)K06中空糸ハウジング(内径63mm、7.62cm(3インチ)TC端、長さ460mmであって2つの35mm直径ポートを各端部から22.5mmに備えるもの)であり、7.62cm(3インチ)のTCブランキングプレートが最上部をキャップし、7.62cm(3インチ)のTCベースプレートが中心に15mm直径の入口を備えたものを、使用した。混合装置の内側を、長さ460mmおよび増大する直径を持つ3本の円形管によって4つのセクションに分割した。混合装置の入口に底部を経て接続された内管は、15mmの内径および2.5mmの壁厚を有していた。中間の管は、32mmの内径および2.5mmの壁厚を有していた。最終の外管は、50mmの内径および2.5mmの壁厚を有していた。これは混合チャンバーに関して1.06Lの全内容積をもたらした。各管は、底部の10mm上方から時計回りの方向に進んでスタジアム形オリフィスの螺旋を含有しており、次のオリフィスの開始は、先行するオリフィスに則して、したがって先行するオリフィスと僅かに重なり合っているが、管に沿って見た場合に90度オフセットされていた。各オリフィスの長さは、最終オリフィスが42mmの長さになるように、2mm増大した。内側および外側のオリフィスは、幅が4mmであり、各管のより短い底部オリフィスが底部の35mm直径のポートから180度離れた方向に向くように位置合わせされた。中間の管に螺旋を作製するオリフィスは、3mmの幅を有しており、追加の2つの開口部が、管の底部に切り込まれた。これら2つの開口部の中間点は、最も短い底部の3mm幅のオリフィスに対して90度にあり、それぞれは、10mmの高さおよび25mmの幅であった。中間の管は、最も短い底部オリフィスが、底部の35mm直径のポートに向かって面するように位置合わせされた。
【0048】
実験は、底部から150mmまで液体で事前に充填されたチャンバーで開始した。ポンプ速度は、その最大出力の20%に設定し、その結果、225L/時の平均流量が得られ、チャンバーを水で2分間フラッシュした後に、塩化ナトリウムを、記述される1:4の比で水中に5分間投与した。伝導率データを、3分から実験に記録して、チャンバーを塩化ナトリウム混合物に交換し、次いで平衡にした。実施例1の結果を、
図3および表1に示す。
【実施例2】
【0049】
実施例1の方法を、ポンプ速度をその最大出力の35%に設定することで平均流量を395L/時にした状態で、繰り返した。実施例2の結果を、
図4および表1に示す。
【実施例3】
【0050】
実施例1の方法を、ポンプ速度をその最大出力の50%に設定することで平均流量を560L/時にした状態で、繰り返した。
実施例3の結果を、
図5および表1に示す。
【0051】
【実施例4】
【0052】
実施例1で記述した混合チャンバーおよび流路を使用して、伝導率勾配を、0.23M塩化ナトリウム溶液および水で発生させた。4秒のデューティーサイクルおよび最大出力の10%または20%に設定されたポンプ速度を使用して、2つの勾配を流した。各勾配は、0から100%の塩化ナトリウムを15分間流すことによって発生させた。実際に、これには水および塩化ナトリウムの入口の間で、4秒ごとに、弁の開口時間の比を計算する必要があった。例えば、最初に水の弁を4秒間全て開放し、1分で、塩化ナトリウムの弁を0.27秒間開放し、水の弁を3.73秒間開放し、10分まで、塩化ナトリウムの弁を2.68秒間開放し、水の弁を1.33秒間開放した。勾配の終わりに、塩化ナトリウムの弁を4秒間全て開放した。両方の勾配の流れの伝導率を、混合チャンバーの後に測定し、
図6にプロットした。
【0053】
実施例は、本発明の混合器が、特定の期間内で流路内に経時的に送達される液体の混合を、可能にすることを実証する。ほとんどの場合、液体の比率は、混合チャンバー内の液体体積以下の全液体体積内で加えられる。連続操作の場合、デューティーサイクルは、混合器内への2種以上の液体の繰り返される経時的送達を可能にするのに使用される。
【0054】
本発明の混合器では、流量の範囲に関して混合器内の驚くほど小さいホールドアップ体積が、用いられた。さらに、混合器の容積は、混合される液体の体積と比較して、驚くほど非常に小さい。
【0055】
本発明の混合器は、2種以上の液体の混合を誘発するように装置を作用させることができ、同時に、液体流から気泡を捕捉し保持するように作用させることもできる。