(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】タッチセンサー式組紐コード
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231207BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/041 422
G06F3/041 650
G06F3/044 122
(21)【出願番号】P 2021552658
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 US2019020650
(87)【国際公開番号】W WO2020180296
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗彦
(72)【発明者】
【氏名】プピレフ,アイバン
(72)【発明者】
【氏名】原田 晶三
(72)【発明者】
【氏名】福原 志保
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10047459(US,B1)
【文献】特表2012-529844(JP,A)
【文献】特開2011-102457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0258562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0357405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクティブコードであって、
前記インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、前記インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備え、前記外覆は、前記第1の長手部分において、複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含み、前記導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記タッチセンサー領域において静電容量式接触ポイントを形成し、
前記タッチセンサー領域は、選択的に定められ、前記インタラクティブコードは、さらに、
少なくとも前記導電線セットと前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分に備える、インタラクティブコード。
【請求項2】
前記第1の長手部分では、前記導電線セットは、前記複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線とレース編組される、請求項1に記載のインタラクティブコード。
【請求項3】
前記導電線セットは、前記複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線とレース編組されて、前記第1の長手部分に1つ以上のトレーションレースパターンを形成する、請求項1または2に記載のインタラクティブコード。
【請求項4】
前記インタラクティブコードの前記第1の長手部分および前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分の前記外覆の編組の見た目は、均一である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項5】
インタラクティブコードであって、
前記インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、前記インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備え、前記外覆は、前記第1の長手部分において、複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含み、前記導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記タッチセンサー領域において静電容量式接触ポイントを形成し、前記インタラクティブコードは、さらに、
少なくとも前記導電線セットと前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分に備え、
前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分では、前記複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線は、1つ以上の追加の非導電線と編組される
、インタラクティブコード。
【請求項6】
前記1つ以上の追加の非導電線の数は、前記導電線セットに含まれる導電線の数に等しい、請求項5に記載のインタラクティブコード。
【請求項7】
インタラクティブコードであって、
前記インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、前記インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備え、前記外覆は、前記第1の長手部分において、複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含み、前記導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記タッチセンサー領域において静電容量式接触ポイントを形成し、前記インタラクティブコードは、さらに、
少なくとも前記導電線セットと前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分に備え、
前記インタラクティブコードの前記第1の長手部分では、前記内部コアは、前記複数の非導電線のサブセットを含み、前記複数の非導電線のサブセットは、前記第1の長手部分にある前記複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線を含まない
、インタラクティブコード。
【請求項8】
前記複数の非導電線は、前記第2の長手部分の前記外覆の一部である第1の非導電線を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項9】
前記第2の長手部分では、前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線によって、前記導電線セットと外部からの接触とが分離される、請求項1~8のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項10】
前記導電線セットは、送信用導電糸と、受信用導電糸とを含み、
前記複数の非導電線のサブセットは、前記第2の長手部分にある前記インタラクティブコードの前記内部コア内において前記受信用導電糸から前記送信用導電糸を分離させる、請求項1~9のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項11】
インタラクティブコードであって、
前記インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、前記インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備え、前記外覆は、前記第1の長手部分において、複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含み、前記導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記タッチセンサー領域において静電容量式接触ポイントを形成し、前記インタラクティブコードは、さらに、
少なくとも前記導電線セットと前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分に備え、
前記導電線セットは、送信用導電糸と、受信用導電糸とを含み、
前記複数の非導電線のサブセットは、前記第2の長手部分にある前記インタラクティブコードの前記内部コア内において前記受信用導電糸から前記送信用導電糸を分離させ、
前記送信用導電糸は、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分にある前記内部コア内に第1の房を形成し、
前記受信用導電糸は、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分にある前記内部コア内に第2の房を形成し、
前記複数の非導電線のサブセットによって、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分では、前記送信用導電糸は前記受信用導電糸から分離されている
、インタラクティブコード。
【請求項12】
インタラクティブコードであって、
前記インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、前記インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備え、前記外覆は、前記第1の長手部分において、複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含み、前記導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記タッチセンサー領域において静電容量式接触ポイントを形成し、前記インタラクティブコードは、さらに、
少なくとも前記導電線セットと前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分に備え、
前記導電線セットは、送信用導電糸と、受信用導電糸とを含み、
前記複数の非導電線のサブセットは、前記第2の長手部分にある前記インタラクティブコードの前記内部コア内において前記受信用導電糸から前記送信用導電糸を分離させ、
前記送信用導電糸は、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分にある前記内部コア内に第1の房を形成し、
前記第2の長手部分にある前記受信用導電糸の各々は、前記インタラクティブコードの周方向においてその他の受信用導電糸から分離されており、
前記第2の長手部分では、前記受信用導電糸は、前記インタラクティブコードの径方向において前記送信用導電糸から分離されている
、インタラクティブコード。
【請求項13】
前記送信用導電糸は、前記第2の長手部分にある前記インタラクティブコードの中心に配置される、請求項12に記載のインタラクティブコード。
【請求項14】
インタラクティブコードであって、
前記インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、前記インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備え、前記外覆は、前記第1の長手部分において、複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含み、前記導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記タッチセンサー領域において静電容量式接触ポイントを形成し、前記インタラクティブコードは、さらに、
少なくとも前記導電線セットと前記複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、前記インタラクティブコードの前記第2の長手部分に備え、
前記導電線セットは、送信用導電糸と、受信用導電糸とを含み、
前記インタラクティブコードの前記第1の長手部分の1つ以上の位置では、各送信用導電糸は、少なくとも1つの受信用導電糸によってその他の送信用導電糸から周方向において分離されている
、インタラクティブコード。
【請求項15】
前記送信用導電糸は、前記タッチセンサー領域において第1の周方向に前記インタラクティブコードに編組されており、
前記受信用導電糸は、前記タッチセンサー領域において第2の周方向に前記インタラクティブコードに編組されている、請求項10~14のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項16】
前記複数の交点は、前記インタラクティブコードの長手方向に沿った非反復的な符号化されたパターンで形成される、請求項1~15のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項17】
前記非反復的な符号化されたパターンは、1次元符号を含む、請求項16に記載のインタラクティブコード。
【請求項18】
前記非反復的な符号化されたパターンは、2次元符号を含む、請求項16に記載のインタラクティブコード。
【請求項19】
前記導電線セットは、導電糸のセットであり、
前記複数の非導電線は、複数の非導電糸である、請求項1~18のいずれか1項に記載のインタラクティブコード。
【請求項20】
インタラクティブ繊維であって、
前記インタラクティブ繊維の第1の長手部分に、第2導電線セットと複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線とに編組された第1導電線セットを含む多次元静電容量型タッチセンサーを備え、前記第1導電線セットおよび前記第2導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、前記多次元静電容量型タッチセンサーの静電容量式接触ポイント形成し、
前記インタラクティブ繊維の第2の長手部分では、前記第1導電線セットは、編組されておらず、横方向に前記第2導電線セットから分離され、前記インタラクティブ繊維の非タッチセンサー部分が形成される、インタラクティブ繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、全体的に、タッチセンサーを備えるインタラクティブオブジェクトに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
音楽プレーヤのイヤホンまたはヘッドホン、携帯電話の使用などを含むデバイスでは、コードのインラインコントロールが一般的である。また、同様のインラインコントロールは、時計、電気スタンド、ラジオ、扇風機など、家電および照明用のコードなどでも使われている。一般に、このようなインラインコントロールは、コードに取り付けられた時代遅れのハードウェアボタンを利用しており、このハードウェアボタンは、長い間コードを使用すると破損する可能性がある。また、従来のインラインコントロールには、発汗や皮膚に起因する侵入という問題があり、これは、内部の制御装置の腐食および電気的短絡につながり得る。さらには、インラインコントロールのハードウェア設計は、インターフェース全体の表現の豊かさを限定してしまっていて、そのせいで制御装置の量が増えるとさらにハードウェアが必要になり、サイズおよびコストの増大につながる。
【0003】
したがって、デバイスを制御するための適切なインターフェースを提供できるコードが依然として必要とされている。これに加えて、このような物を効率よくかつ効果的に製造できる製造工程が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示の実施の形態の態様および利点の一部は、下記の説明に記載されている、または、当該説明から知ってもよいし、実施の形態を実施することによって知ってもよい。
【0005】
本開示の1つの例示的な態様は、インタラクティブコードを対象とする。インタラクティブコードは、インタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域を有し、インタラクティブコードの第2の長手部分に非タッチセンサー領域を有する外覆を備える。この外覆は、第1の長手部分の複数の非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組された導電線セットを含む。導電線セットは複数の交点を規定し、各交点は、タッチセンサー領域に静電容量式接触ポイントを形成する。インタラクティブコードは、少なくとも当該導電線セットと、複数の非導電線のうち少なくとも1つの非導電線とを含む内部コアを、インタラクティブコードの第2の長手部分に含む。
【0006】
本開示のその他の例示的な態様は、インタラクティブコードを含むインタラクティブオブジェクトおよびその製造工程のためのシステム、装置、コンピュータプログラムプロダクト(有形で非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体などであるが、非一時的な形で必ずしも格納される必要のない、通信ネットワークでダウンロード可能なソフトウェアなどでもある)、ユーザインターフェース、記憶装置、および電子機器を対象とする。
【0007】
様々な実施の形態のこれらのおよびその他の特徴、態様および利点については、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することによりさらに理解できるであろう。本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書とあわせて本開示の実施の形態を例示しており、関連する原理を説明する役割を果たす。
【0008】
本明細書において、当業者を対象とする実施の形態の詳細な説明を記載する。当該明細書は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の例示的な実施の形態に係るインタラクティブコードを備えたコンピューティング環境の例を示す図である。
【
図2】本開示の例示的な実施の形態に係るインタラクティブコードを備えたコンピューティング環境の例を示す図である。
【
図3】本開示の例示的な実施の形態に係るインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図4】本開示の例示的な実施の形態に係る、インタラクティブコードと、取り外し可能な電子モジュールとを備える例示的なシステムのブロック図である。
【
図5】本開示の例示的な実施の形態に係る導電糸の例を示す図である。
【
図6】本開示の例示的な実施の形態に係る、タッチセンサー領域と、非タッチセンサー領域とを含むインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図7】本開示の例示的な実施の形態に係る、外覆と、内部コアとを備えるインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図8】本開示の例示的な実施の形態に係る、送信用線と受信用線とが互いに反対方向に編組されたインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図9】本開示の例示的な実施の形態に係るインタラクティブコードの例示的な製造方法を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の例示的な実施の形態に係る、内部コアのさらなる詳細を表すインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図11】本開示の例示的な実施の形態に係る、内部コアのさらなる詳細を表すインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図12】本開示の例示的な実施の形態に係る、非タッチセンサー領域とタッチセンサー領域とを備えるインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図13】本開示の例示的な実施の形態に係る、非反復的な組紐パターンを含むインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図14】本開示の例示的な実施の形態に係るインタラクティブコードに対するタッチ入力に基づいて機能をトリガする例示的な方法を示す例示的なフローチャートである。
【
図15】本開示の例示的な実施の形態に係る、視覚要素に対応付けられた機能にマッピングされた1つ以上の導電線から形成された視覚要素を含むインタラクティブコードの例を示す図である。
【
図16】本開示の例示的な実施の形態に係る、インタラクティブコードと、検知回路とを備える例示的なコンピューティングシステムのブロック図である。
【
図17】本明細書において説明するような任意の種類のコンピューティングデバイスを実現するために使用することができる例示的なコンピューティングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
ここで、実施の形態について詳細に説明する。実施の形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。本開示の限定としてではなく、実施の形態の例示として各実施例を提供する。実際には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく様々な変更および変形を実施の形態に加えてもよいことは、当業者にとって明らかになるであろう。たとえば、一実施の形態の一部として図示または説明する特徴を別の実施の形態とともに用いてさらに別の実施の形態をもたらすことができる。よって、本開示の態様がこのような変更および変形を対象として含むことが意図されている。
【0011】
全体的に、本開示は、ユーザ入力を検出するように構成された導電線を有する1つ以上の選択的なタッチセンサー領域と、導電線がユーザ入力を検出しないように構成される1つ以上の非タッチセンサー領域とを含むインタラクティブコードを対象とする。1つ以上の編組工程を使用して、非タッチセンサー領域において導電線を絶縁しながら、タッチセンサー領域(複数可)において導電線を選択的に露出させることができる。一例として、インタラクティブコードは、タッチ入力を処理して、ワイヤレスにまたは有線接続でインタラクティブコードに連結できる様々なリモートデバイスにおける機能またはインタラクティブコードにおける機能を開始するために使用できるタッチデータを生成できる。たとえば、インタラクティブコードは、スピーカーの音量を調節する、モバイル機器上での映画の再生を操作する、電話に出るためなどのユーザインターフェースを提供してもよい。
【0012】
例示的な実施の形態によると、複数の可撓性導電線および複数の可撓性非導電線からインタラクティブコードを形成することができる。可撓性導電線は、導電糸(編み糸とも称する)、導電性繊維、光ファイバーフィラメント、可撓性金属線などを含んでもよい。可撓性非導電線は、非導電糸またはその他の可撓性繊維、フィラメント、導電線を少なくとも一部分離する編み糸を含んでもよい。インタラクティブコードの第1の長手部分の少なくとも一部は、導電線のうち1つ以上の導電線から形成することができる。当該1つ以上の導電線は、非導電線のうち1つ以上の非導電線と編組されて、タッチセンサー領域を形成する。インタラクティブコードの第1の長手部分は、インタラクティブコードの長手方向の長さに沿った部分である。長手方向は、インタラクティブコードの中心を通る軸の方向を指す。第1の長手部分において編組された導電線は、複数の静電容量式接触ポイントを規定する。複数の静電容量式接触ポイントでは、インタラクティブコードの外面において導電線または導電線の交点が露出している。インタラクティブコードは、静電結合による外部からの接触を複数の導電線が検出しないようにする非タッチセンサー領域を含み得る。たとえば、インタラクティブコードは、外覆によって囲まれた内部コアを含み得る。第2の長手部分にある内部コア内に導電線を配置して、非タッチセンサー領域を形成することができる。
【0013】
このように、インタラクティブコードのタッチセンサー領域を選択的に形成することができる。結果として得られるインタラクティブコードは、インタラクティブコードの全長に沿って延在する一定の反復的なパターンを含む既存の編組構造よりも改良されているであろう。選択的なタッチセンサー領域を有するインタラクティブコードは、ユーザまたは金属製の物など、コードと接触し得る外部の物からの不注意による入力を回避するために特に有用であろう。一例として、シャツのフードの引きひもとしてインタラクティブコードを提供することができる。インタラクティブコードをシャツに連結させる穴から延在するインタラクティブコードの端部に選択的なタッチセンサー領域を形成することができる。インタラクティブコードは、シャツを着たときにユーザの首の周りに延在する襟の領域に、インタラクティブコードがシャツを通って延在する非タッチセンサー領域を含み得る。このように、インタラクティブコードは、ユーザによってアクセスされるよう意図された部分に1つ以上のタッチセンサー領域を含み、意図しない入力が回避されるその他の部分に1つ以上の非タッチセンサー領域を含んでもよい。
【0014】
上述したような静電容量型タッチセンサーを介して行われるタッチ入力は、様々なアプリケーションおよび機能を含んでもよい。一例として、タッチセンサーをボタンとして使用して、タッチセンサーの位置での簡単なタッチ入力を検出してもよい。いくつかの例では、一次元配列の導電糸を用いてボタン式の入力を検出できるタッチセンサーを実装してもよい。または、一次元配列の導電糸を用いて、一次元のスワイプ入力(たとえば、糸同士の空隙に相当する1方向の動き)を検出してもよい。いくつかの例では、多次元(たとえば、2次元)配列の導電糸用いて、導電糸からなる格子内の具体的なタッチ位置を含む、トラックパッド入力を検出できるタッチセンサーを実装してもよい。二次元配列の導電糸を含む多次元の静電容量型タッチセンサーを用いて、様々なジェスチャ入力、認証入力、定義済みのキーストローク、動き、ユーザ固有の自然な挙動などを検出してもよい。訓練データを用いて機械学習済みモデルを訓練することに基づいて、1つ以上の機械学習済みモデルを用いてユーザ入力を検出してもよい。これに加えて、タッチセンサーは、指の距離によって生じる容量変化からアナログ入力および疑似力覚入力を検出するように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの態様によると、1つ以上のワイヤレスおよび/または有線のインターフェースを用いて、外部のコンピューティングデバイス(たとえば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップなど)をインタラクティブコードに通信可能に連結することができる。コンピューティングデバイス上にジェスチャ管理部を実装して、ジェスチャとコンピューティングデバイスの機能とのマッピングを格納することができる。インタラクティブコードにおいてジェスチャを検出したことに応答して、当該ジェスチャにマッピングされた機能を開始することができる。いくつかの例では、静電容量型タッチセンサーに対するジェスチャの相対的な位置に基づいてジェスチャに選択的に応答するようにインタラクティブコードを構成することができる。
【0016】
いくつかの実施態様によると、インタラクティブコードは、インタラクティブコードの1つ以上のタッチセンサー領域の範囲を選択的に定めるようにそれぞれ異なる糸パターンで制御可能に編組された、複数の導電線および複数の非導電線を含んでもよい。一例として、タッチセンサー領域に対応するインタラクティブコードの第1の長手部分において導電線のうち1つ以上の導電線を第1非導電線サブセットと編組することによって、外覆を形成してもよい。インタラクティブコードの内部コアは、第2非導電線サブセットを第1の長手部分に含んでもよい。第2非導電線サブセットは、編組されてもよく、編組されなくてもよい。非タッチセンサー領域に相当するインタラクティブコードの第2の長手部分にある内部コア内に、複数の導電線を配置してもよい。内部コア内では、導電線を様々に分離して非タッチセンサー領域を作ることができる。たとえば、送信用導電線セットと受信用導電線セットとの分離距離を、内部コア内で制御することができる。送信用と受信用とのペア間の分離が大きいと、これらのペアのベースライン相互容量を減らすことができる。これは、非タッチセンサー領域での指のタッチによる送信用線と受信用線とのペアの相互容量の変化を低減することを助けることができる。このように、インタラクティブコードは、偽陽性タッチに対するロバスト性を与えることができる。第2の長手部分の外覆は、第1非導電線サブセットと、複数の非導電線のうち1つ以上の追加の非導電線とを編組することによって形成することができる。たとえば、第2非導電線サブセットのうち1つ以上を第2の長手部分の外覆まで配線して、第1非導電線サブセットと編組することができる。
【0017】
いくつかの実施態様によると、第1の長手部分および第2の長手部分におけるインタラクティブコードの外覆の編組の見た目は、均一であってもよい。たとえば、第1導電糸サブセットを第1非導電糸サブセットと編組してタッチセンサー領域を形成することによって、第1の長手部分を形成してもよい。第1非導電糸サブセットを第2非導電糸サブセットと編組することによって、第2の長手部分を形成してもよい。第1の長手部分および第2の長手部分における編組の見た目が同じになるように、第2サブセットに含まれる非導電糸の数を第1サブセットに含まれる導電糸の数と等しくしてもよい。
【0018】
導電線を制御可能に編組してインタラクティブコードのタッチセンサー領域を選択的に形成するために、様々な編組工程を利用することができる。一例として、いくつかの例示的な実施の形態では、レース編組工程を用いることができる。より特定的には、複数の個々に制御可能なボビン上に複数の可撓性を有する線(たとえば、導電糸および非導電糸)が設けられるボビン-レース編組工程(トーションレース編組工程とも称される)を用いることができる。コンピュータ制御された工程を適用してボビンを制御することによって、複数の異なる編組パターンを用いて複数の可撓性を有する線を編組し、静電容量型タッチセンサーのタッチセンサー領域を選択的に形成することができる。たとえば、第1の編組パターンを適用して、1つ以上の導電線を1つ以上の非導電線と編組してインタラクティブコードの第1の長手部分に外覆を形成することによってタッチセンサー領域を形成することができる。第2の編組パターンを適用して、非導電線のみを編組してインタラクティブコードの第2の長手部分に外覆を形成することによって非タッチセンサー領域を形成してもよい。第2の編組パターンは、インタラクティブコードの内部コアに導電線を配置してもよい。内部コア内では、導電線は編組されもよく、編組されなくてもよい。非タッチセンサー領域に外覆を形成するように編組された非導電線によって、内部コア内の導電線と外部からの接触との間に分離距離が設けられる。第2の長手部分に外覆を形成して非タッチセンサー領域を設けるために使用された非導電線の総数に等しい、第1の長手部分に外覆を形成するために使用された非導電線と導電線との総数を利用することによって、編組の見た目を均一にすることができる。
【0019】
いくつかの実施態様によると、いわゆる「S」糸と「Z」糸とを用いて導電糸を互いに反対の周方向に編組することによって、外覆上にタッチパッドを形成することができる。1つ以上のS糸からなる第1群を、インタラクティブコードに第1の周方向(たとえば、時計回りに)に巻き付けることができ、1つ以上のZ糸からなる第2群を、タッチセンサーを含むインタラクティブコードの長手部分において、インタラクティブコードに第2の周方向(たとえば、反時計回りに)に巻き付けることができる。よって、S導電糸とZ導電糸とが互いに交差できることになり、インタラクティブコードの外覆上にタッチパッドの均等物を作ることができる。これらの糸は、静電容量型タッチセンサーを形成することができる。S糸の群またはZ糸の群のうち一方が静電容量型センサの送信部として構成され、S糸の群またはZ糸の群のうち他方が静電容量型センサの受信部として構成される相互容量センシング技術を用いることができる。Z糸とS糸とのペアの交点またはその近傍にユーザの指が触れると、送信用導電糸と受信用導電糸とのペアを含む相互容量センサから当該タッチの位置を検出することができる。いくつかの例では、タッチによって送信用線と受信用線とのペアの距離が小さくなることにより、線間の相互容量が増加する。
【0020】
相互容量式センシング技術が用いられるいくつかの実施態様では、非タッチセンサー領域に対応する1つ以上の長手部分にあるインタラクティブコードの内部コア内に、S導電糸およびZ導電糸を配置することができる。非導電糸のうち1つ以上によって、外部からの接触によって生じる静電結合の変化を低減させることができる。たとえば、1つ以上の非導電糸を編組して、1つ以上の長手部分に外覆を形成することができる。内部コア内では、送信用導電糸の第1群を受信用導電糸の第2群から分離させることができる。たとえば、内部コア内に、導電糸の第1の房として、送信用導電糸の第1群を一列に並べることができる。内部コア内に、導電糸の第2の房として、受信用導電糸の第2群を一列に並べることができる。非タッチセンサー領域に対応する1つ以上の長手部分にある内部コア内で、送信用導電糸の第1群を受信用導電糸の第2群から分離させることができる。導電糸の第1群と第2群との間に1つ以上の非導電糸を配置して、当該2つの房を分離させることができる。異なる群同士を分離させることによって、送信部/受信部のペアのベースライン相互容量を低減することができる。ベースライン相互容量を低減することによって、非タッチセンサー領域を作ることができる。
【0021】
別の例では、房として導電糸の一方の群(たとえば、送信用線)を内部コア内でグループ化することができる。たとえば、インタラクティブコード内の内部コアの中心に当該群を1つに集めて房とすることができる。インタラクティブコードの径方向において、導電糸の他方の群(たとえば、受信用線)を導電糸の第1群から離すことができる。たとえば、第2の導電糸の群は、インタラクティブコードの周方向において各導電糸が第2群のその他の導電糸から離れるように、内部コアの外側部分に形成することができる。周方向において、第2群の各導電糸の間に1つ以上の非導電糸を配置することができる。内部コア内に、房として、1つ以上の追加の非導電糸を第2の導電糸の群と導電糸の第1群との間に配置することができる。
【0022】
いくつかの実施態様によると、非反復的なパターンの静電容量式接触ポイントを形成して、インタラクティブコードの外覆上に符号化されたパターンを設けることができる。一例として、送信用導電糸セットをインタラクティブコードに第1の方向に巻き付けて、受信用導電糸セットをインタラクティブコードに第2の方向に巻き付けることができる。送信用導電糸のうちの1つと受信用導電糸のうちの1つとの交点においてタッチを検出することができる。より特定的には、いくつかの例では、送信用導電糸の各々に対するタッチを個々に検出することができる。導電糸の交点のパターンを変えることによって、符号化されたパターンを作ることができる。対応する送信用糸/受信用糸のペアが交差するパターンを変えて符号化されたパターンを作ることができる。たとえば、糸を編組して、非反復的なパターンを外覆に形成してもよい。一例として、非反復的なパターンの交点を含む、4本の送信用糸と4本の受信用糸とからなるペアを用いて、シーケンスを形成してもよい。4つの交点の各シーケンスは、シーケンスにおける交点上をユーザがスワイプするおよび/または1度に4つの交点をタッチすることによって個々に検出することができる。いくつかの例では、このパターンを使って、ユーザのタッチの位置を検出することができる。たとえば、各シーケンスの位置は、位置とパターンのテーブルまたはマッピングに格納されてもよい。次に、特定のシーケンスの検出をインタラクティブコード上の位置にマッピングすることができる。
【0023】
いくつかの実施態様によると、インタラクティブコードの導電糸のうち1つ以上の導電糸は、色など、導電糸をその他の導電糸または非導電線から区別する視覚的な外観を有することができる。色付けされた導電糸を用いてインタラクティブコードの外面上に視覚要素を生成することができる。いくつかの例では、視覚要素は、インタラクティブコードおよび/またはコンピューティングデバイスの機能に対応することができ、または、インタラクティブコードの使用方法に関する指示またはガイダンスをユーザに提供することができる。一例として、アルファベットの文字に対応する視覚要素をインタラクティブコードが生成できるように導電糸を編組することができる。視覚要素を作るために用いられる導電糸を、キーボードによるタイプ入力など、アルファベットの文字に関連する入力を行う機能にマッピングすることができる。別の例では、視覚要素は、どこにテキスト入力を行うかについての表示をユーザに与えてもよい。いくつかの例では、前述したような符号化されたシーケンスまたはパターンを視覚要素とともに用いてもよい。たとえば、1つ以上の導電糸を使用して、コントローラが一意に検出することができる静電容量式接触ポイントの特定のパターンを作ることができる。この静電容量式接触ポイントのパターンは、視覚要素を作りながら形成することができる。視覚要素に対して行われた入力によって、符号化されたパターンが作動する。
【0024】
いくつかの例示的な実施態様によると、インタラクティブコードは、インタラクティブコード、またはインタラクティブコードが取り付けられている物(たとえば、衣服、硬い物)に組み込まれた内蔵電子モジュールを備え得る。インタラクティブコードは、内蔵電子モジュールに直接取り付けられたり、1つ以上のコネクタ部品を介して内蔵電子モジュールに取り付けられたりすることができる。内蔵電子モジュールは、インタラクティブコードに電力および/または制御信号を提供することができる。いくつかの実施の形態では、内蔵電子モジュールは、オンボード電源を備えなくてもよい。代わりに、取り外し可能な電子モジュールが内蔵電子モジュールに電力を供給することができる。
【0025】
いくつかの例では、内蔵電子モジュールは、インタラクティブコードに制御信号および/または電力を提供するように構成された1つ以上のドライバなど、第1の電子部品サブセットを備え得る。いくつかの実施の形態では、第2の電子部品サブセット(たとえば、マイクロプロセッサ、電源、またはネットワークインターフェース)を備える取り外し可能な電子モジュールを、通信インターフェースを介してインタラクティブオブジェクトに取り外し可能に連結することができる。通信インターフェースにより、取り外し可能な電子モジュールがインタラクティブコードに連結されたときに内蔵電子モジュールと取り外し可能な電子モジュールとの通信が可能になる。
【0026】
開示の技術に係るシステムおよび方法によって、複数の技術的効果および利益がもたらされる。通常のインタラクティブオブジェクト内での導電線の組込みは、大量の入力ジェスチャまたはタッチセンサー領域の選択的配置を容易にしないであろう。たとえば、導電糸を用いた従来のインタラクティブコードは、インタラクティブコードの外面全体に沿った一定の反復的なパターンで形成されるであろう。このようなデザインには、かなりの欠点と制限がある。たとえば、反復的なパターンの使用では、相当数のジェスチャを解釈することができない。たとえば、インタラクティブコード内のタッチの特定の位置を検出することは可能ではない。導電線のいずれの部分でもタッチは検出されるであろうが、タッチの位置は特定できないであろう。これに加えて、導電糸は、通常、インタラクティブコードの外側の長さ全体に沿って延在する。このように、タッチセンサー領域を選択的に形成することは可能ではない。したがって、インタラクティブコードによって所望ではない位置において不注意による入力が受信される可能性がある。
【0027】
本開示の技術の実施の形態は、特に、入力ジェスチャ候補の数を増やすこと、およびタッチセンサー領域を選択的に形成することについて複数の技術的効果および利益をもたらす。一例として、導電線が選択的に形成されてインタラクティブコードの外面上で露出される編組技術を利用することができる。このように、タッチセンサー領域の選択的な形成を実現することができる。これにより、衣服などの物にインタラクティブコードを組み込むことを容易にすることができる。たとえば、靴紐または引きひも上にタッチセンサー領域のための特定の位置を形成することができる。これにより、インタラクティブコードに沿ったその他の位置での、ユーザまたは外部の物による望まない不注意による入力の検出を回避することができる。また、特定の作動シーケンスを検出できるようにする編組技術を利用することによって非反復的な符号化されたパターンを提供することができ、検出できる入力ジェスチャ候補の数を増やすことができる。
【0028】
図1は、例示的な実施の形態に係るインタラクティブコードを用いた技術、およびインタラクティブコードを備える物が実装され得る例示的な環境100を示す図である。環境100は、インタラクティブコード102を含む。インタラクティブコード102は、この特定の実施例では、フードシャツまたはその他の着用できる衣服の引きひもとして図示されている。より特定的には、インタラクティブコード102は、衣服174のフード172の周りに延在する引きひもとして形成されている。インタラクティブコード102は、ユーザ入力を検出するように構成された導電線を含む1つ以上のタッチセンサー領域130と、1つ以上の非タッチセンサー領域135とを含む。非タッチセンサー領域135では、導電線は、静電容量式センシングによるタッチ入力を検出するように構成されていない。例示的なコンピューティング環境100では、インタラクティブコード102は、2つのタッチセンサー領域130と、1つの非タッチセンサー領域135とを含む。なお、インタラクティブコード102には、任意の数のタッチセンサー領域130および/または非タッチセンサー領域135が含まれてもよい。インタラクティブコード102は、当該インタラクティブコードがフードの襟元から延在するタッチセンサー領域130を含むことができ、インタラクティブコード102が衣服のフードの首の開口部に巻き付けられた非タッチセンサー領域135を含むことができる。このように、ユーザの首または肌のその他の部分が首部分の周りに延在するインタラクティブコードに接触することによる不注意による入力を回避することができる。
【0029】
なお、インタラクティブコード102を衣服またはアクセサリのコードまたはひもとして説明してもよいが、家電用コード(たとえば、電気スタンドまたは扇風機)、USBコード、SATAコード、データ転送コード、電源コード、ヘッドセットコード、またはその他の種類のコードなど、様々な異なる種類の用途にインタラクティブコード102を利用してもよい。いくつかの例では、インタラクティブコード102は、スタンドアロンデバイスであってもよい。たとえば、インタラクティブコード102は、インタラクティブコードにおいて受信した入力を示すデータを、携帯電話、パーソナルコンピュータ、またはクラウドコンピューティングデバイスなど、1つ以上のリモートコンピューティングのエンドポイントに送信させることを可能にする通信インターフェースを備えてもよい。いくつかの実施態様では、インタラクティブコード102は、インタラクティブオブジェクト内に組み込まれてもよい。たとえば、インタラクティブコードは、シャツ(たとえば、フードシャツ)またはズボンの引きひも、靴紐などを形成してもよい。
【0030】
インタラクティブコード102は、ユーザが、インタラクティブコード102が組み込まれた衣服174などインタラクティブオブジェクトを制御することを可能にしたり、ネットワーク119を介して多種多様なその他のコンピューティングデバイス106を制御したりすることを可能にする。コンピューティングデバイス106は、様々な非限定的な例示的なデバイス:サーバ106-1、スマートウォッチ106-2、タブレット端末106-3、デスクトップ106-4、カメラ106-5、スマートフォン106-6、およびコンピューティングメガネ106-7を用いて例示されているが、ホームオートメーションシステムおよび制御システム、サウンドシステムまたはエンターテインメントシステム、家電機器、セキュリティシステム、ネットブック、ならびに電子書籍リーダーなど、その他のデバイスが用いられてもよい。なお、コンピューティングデバイス106は、ウェアラブル(たとえば、コンピューティングメガネおよびスマートウォッチ)、非ウェアラブルであるが、持ち運び可能(たとえば、ラップトップおよびタブレット端末)、またはどちらかと言えば固定(たとえば、デスクトップおよびサーバ)されていてもよい。
【0031】
ネットワーク119は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット、インターネット、ピアツーピアネットワーク、ポイントツーポイントネットワーク、メッシュネットワークなど、多くの種類のワイヤレスまたは一部ワイヤレスの通信ネットワークのうち、1つ以上を含む。
【0032】
インタラクティブコード102は、タッチデータまたはその他のセンサデータをネットワーク119を通じて送信することによってコンピューティングデバイス106とやり取りすることができる。コンピューティングデバイス106は、タッチデータを用いてコンピューティングデバイス106を制御する、またはコンピューティングデバイス106においてアプリケーションを制御する。例として、衣服174において組み込まれたインタラクティブコード102がユーザのポケットにあるユーザのスマートフォン106-6、ユーザの自宅にあるデスクトップ106-4、ユーザの手首のスマートウォッチ106-2、または自動調温装置、照明、音楽など、ユーザの家にある様々なその他の家電を制御するように構成され得る場合を考える。たとえば、ユーザは、ユーザの衣服174に組み込まれたインタラクティブコード102上で上または下にスワイプして、テレビの音量を上げたり下げたり、ユーザの家にある自動調温装置によって制御される温度を上げたり下げたり、または、ユーザの家にある照明をオンオフしたりすることができる。なお、インタラクティブコード102によって任意の種類のタッチ、タップ、スワイプ、ホールド、またはストロークジェスチャが認識されてもよい。
【0033】
図2は、インタラクティブコード102が実装され得る追加の例示的な環境150を示す図である。環境150では、インタラクティブコード102は、電気スタンド162の電源コードとして実装されている。この例では、インタラクティブコード102は、電気スタンドをオンオフするために使用できるタッチ入力を受信するように構成されてもよく、および/または、電気スタンドの明るさを調整するように構成されてもよい。この例では、インタラクティブコードは、電気スタンド162に隣接するインタラクティブコード102の一部に1つのタッチセンサー領域130を含み、タッチセンサー領域130から反対側の端部まで延在する1つの非タッチセンサー領域135を含む。その他の例では、インタラクティブコード102は、コンピューティングデバイス106間でデータ(たとえば、メディアファイル)を転送するように構成されたデータ転送コードとして構成されてもよい。インタラクティブコード102は、デバイス間のデータの転送を開始または停止するために使用できるタッチ入力を受信するように構成されてもよい。インタラクティブコード102は、任意の数のタッチセンサー領域および非タッチセンサー領域を含んでもよい。
【0034】
図3に表された領域160の切取図に示すように、インタラクティブコード102は、内部コア105を囲む外覆104を含む。この例では、外覆104は、静電容量式センシングを用いてタッチ入力を検知するように構成される。そうするために、外覆104は、1つ以上の非導電線110と編組されて外覆104を形成する1つ以上の導電線112を含む。一般に、導電糸などの導電線112は、可撓性を有する線に相当するが、人による入力に応答して静電容量を変えるワイヤを含む。たとえば、ユーザの手の指が導電糸に近づくと、指によって導電糸の静電容量が変化する。
【0035】
外覆104がタッチ入力を検知することを可能にするために、外覆は、1つ以上の静電容量式接触ポイント108を有して造られる。静電容量式接触ポイント108は、静電容量式接触ポイント108にユーザの指が触れるまたは近づくと導電線112の静電容量を変化させる外覆104上の位置に対応する。1つ以上の実施態様では、外覆104の編組パターンにより、静電容量式接触ポイント108において導電線112が露出している。
図1では、たとえば、静電容量式接触ポイント108において導電線112が露出しているが、そうでない場合は見えないようになっている。
【0036】
1つ以上の編組工程を用いて、非タッチセンサー領域において導電線を絶縁しながら、タッチセンサー領域(複数可)において導電線を選択的に露出させて静電容量式接触ポイント108を規定することができる。インタラクティブコード102のタッチセンサー領域の選択的な形成を容易にするために、タッチセンサー領域が要求されている導電線112を選択的に配置するためにインタラクティブコード102を形成する際に、複数の編組パターンを適用してもよい。
【0037】
タッチセンサー領域130を形成するインタラクティブコードの長さに沿った長手部分では、導電線112のうち1つ以上が非導電線110のうち1つ以上と編組されてタッチセンサー領域が形成される。第1の長手部分において導電線を編組して、導電線または導電線の交点がインタラクティブコードの外覆104において露出される複数の静電容量式接触ポイント108を規定する。インタラクティブコードは、複数の導電線が静電容量の変化によるタッチ入力を検出しない非タッチセンサー領域135を含み得る。たとえば、導電線を内部コア105内に配置して、外覆を形成するために使用される非導電線110で囲うことができる。たとえば、導電線のうち1つ以上を互いから分離するために、追加の非導電線110を内部コア105内に形成してもよい。図示しないが、いくつかの実施の形態では、内部コア105は、追加のワイヤまたはケーブルを含んでもよい。たとえば、ヘッドセットに音声を伝達するように構成されるケーブルが内部コア105内に含まれてもよい。その他の例では、電力、データ、またはその他の電気信号を転送するように内部コア内のケーブルを実装することができる。
【0038】
インタラクティブコード102の静電容量式接触ポイント108に対するタッチ入力を検知するための機能、および、タッチ入力に基づいて様々な機能をトリガするための機能をコントローラが提供してもよい。インタラクティブコード内のリモートコンピューティングデバイス106および/もしくは電子機器、またはインタラクティブコードが組み込まれた物がコントローラを含んでもよい。たとえば、コントローラは、静電容量式接触ポイント108に対するタッチ入力に応答して、モバイルコンピューティングデバイスの音声を再生したり、音声を停止したり、新しい音声ファイルにスキップしたり、音声の音量を調整したりするように構成することができる。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な命令として実装されたジェスチャ管理部を備えてもよい。コンピューティングデバイス106においてコントローラを実装することができるが、別の実施態様では、コントローラは、インタラクティブコード102内に組み込まれてよく、または、電源が入れられたヘッドホン、電気スタンド、時計など、別のデバイスを有して実装されてもよい。
【0039】
さらに詳細には、インタラクティブコード102と複数の電子モジュールとを備える例示的なシステム175を示す
図4について考える。システム175では、可撓性を有する物(たとえば、シャツ、帽子、もしくはハンドバッグ)または硬い物(たとえば、プラスチックカップもしくはスマートフォンケース)として実装され得る物120にインタラクティブコード102が組み込まれている。さらに別の例では、インタラクティブコード102自体がインタラクティブオブジェクト120を形成してもよい。
【0040】
インタラクティブコード102は、ユーザの手の1つ以上の指がタッチセンサー領域のインタラクティブコード102にタッチするとユーザからのタッチ入力を検知するように構成される。インタラクティブコード102は、ユーザからのシングルタッチ、マルチタッチ、および/または手全体でのタッチ入力を検知するように構成されてもよい。タッチ入力の検出を可能にするために、インタラクティブコード102は、記載したように1つ以上の導電線(たとえば、図示しない導電性繊維、糸、または光ファイバーフィラメント)から形成できる静電容量式接触ポイント108を含む。なお、例示的な実施の形態では、静電容量式接触ポイント108は、インタラクティブコード102の可撓性を変化させない。このため、インタラクティブコード102をインタラクティブオブジェクト120内に容易に組み込むことが可能になる。
【0041】
インタラクティブオブジェクト120は、内蔵電子モジュール180を備える。内蔵電子モジュール180は、インタラクティブオブジェクト120内に埋設されており、静電容量式接触ポイント108を形成する導電線に直接連結されている。内蔵電子モジュール180は、通信インターフェース184を介して取り外し可能な電子モジュール190に通信可能に連結することができる。内蔵電子モジュール180は、インタラクティブオブジェクト120の第1の電子部品サブセットを含み、取り外し可能な電子モジュール190は、インタラクティブオブジェクト120の第2の異なる電子部品サブセットを含む。本明細書において説明するように、内蔵電子モジュール180は、物理的に恒久的にインタラクティブオブジェクト120内に埋設されてもよく、取り外し可能な電子モジュール190は、インタラクティブオブジェクト120に取り外し可能に連結されてもよい。
【0042】
システム175では、内蔵電子モジュール180内に含まれる電子部品は、インタラクティブコード102を形成するために編組された導電線112に連結される検出回路182を備える。たとえば、フレキシブルPCB、クレーピング、導電性接着剤を用いた接着、はんだ付けなどを利用して導電糸からのワイヤが検知回路182に接続されてもよい。一実施の形態では、検知回路182は、特定の要求を示すように予めプログラムされた導電糸に対するユーザが入力したタッチ入力を検出するように構成することができる。一実施の形態では、導電糸が格子またはその他のパターンを形成する場合、検知回路182は、導電線112に対するタッチ入力の位置、および当該タッチ入力の動きも検出するように構成することができる。たとえば、ユーザの指など、物が導電線112に触れると、検知回路182が導電線の格子または配列上の静電容量の変化を検出することによってこのタッチの位置を特定することができる。次に、タッチ入力を用いて、コンピューティングデバイス106を制御するために使用できるタッチデータを生成してもよい。たとえば、1本の指によるタッチ(たとえば、タッチ、タップ、およびホールド)、複数本の指によるタッチ(たとえば、2本の指によるタッチ、2本の指によるタップ、2本の指によるホールド、およびピンチ)、1本の指によるスワイプおよび複数本の指によるスワイプ(たとえば、上にスワイプ、下にスワイプ、左にスワイプ、右にスワイプ)、および手全体でのインタラクション(たとえば、ユーザの手全体でコードに触れる、ユーザの手全体でコードを覆う、ユーザの手全体で生地を押す、手のひらによるタッチ、生地に触れながらユーザの手を回す、ひねる、または回転させる)など、タッチ入力を用いて様々なジェスチャを判断することができる。
【0043】
通信インターフェース184は、内蔵電子モジュール180と取り外し可能な電子モジュール190との間の電力およびデータ(たとえば、検出回路182によって検出されるタッチ入力)の転送を可能にする。いくつかの実施態様では、通信インターフェース184は、コネクタープラグとコネクタ差し込み口とを備えるコネクタとして実装されてもよい。コネクタープラグは、取り外し可能な電子モジュール190において実装されてもよく、コネクタ差し込み口に接続されるように構成される。コネクタ差し込み口は、インタラクティブオブジェクト120において実装されてもよい。
【0044】
システム175では、取り外し可能な電子モジュール190は、マイクロプロセッサ192と、電源194と、ネットワークインターフェース196とを備える。電源194は、通信インターフェース184を介して検知回路182に連結されて検知回路182に電力を提供してタッチ入力の検出を可能にしてもよく、小型バッテリとして実装されてもよい。1つ以上の実施態様では、通信インターフェース184は、取り外し可能な電子モジュール190をインタラクティブオブジェクト120の内蔵電子モジュール180に接続するように構成されるコネクタとして実装されてもよい。内蔵電子モジュール180の検出回路182によってタッチ入力が検出されると、待機している通信インターフェースを介して、タッチ入力を表すデータが取り外し可能な電子モジュール190のマイクロプロセッサ192に伝達されてもよい。次に、マイクロプロセッサ192がタッチ入力されたデータを分析して、1つ以上の制御信号を生成してもよい。その後、当該制御信号は、ネットワークインターフェース196を介してコンピューティングデバイス106(たとえば、スマートフォン)に伝達されて、コンピューティングデバイス106に特定の機能を開始させてもよい。一般に、ネットワークインターフェース196は、有線ネットワーク、ワイヤレスネットワーク、または光ネットワークでコンピューティングデバイス106にタッチデータなどのデータを伝達するように構成される。一例として、限定としてではなく、ネットワークインターフェース216は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)(たとえば、Bluetooth(登録商標))、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット、インターネット、ピアツーピアネットワーク、ポイントツーポイントネットワーク、メッシュネットワークなど(たとえば、ネットワークを通じて)でデータを伝達してもよい。
【0045】
例示的な実施の形態では、取り外し可能な電子モジュールは、インタラクティブコードまたはインタラクティブコードが取り付けられている別の物(たとえば、衣服)の上にある剛性部材に取り外し可能に搭載することができる。コネクタは、取り外し可能な電子モジュールに物理的に電気的に連結するための接続装置を含み得る。内蔵電子モジュールは、このコネクタと通信中であり得る。内蔵電子モジュールは、コネクタに接続されると取り外し可能な電子モジュールと通信するように構成することができる。取り外し可能な電子モジュールのコントローラは、情報を受信し、内蔵電子モジュールにコマンドを送ることができる。通信インターフェース184は、コネクタが取り外し可能な電子モジュールに連結されると内蔵電子モジュールとコントローラとの通信を可能にするように構成される。たとえば、通信インターフェースは、取り外し可能な電子モジュールと一体化したネットワークインターフェースを含んでもよい。また、取り外し可能な電子モジュールは、再充電可能な電源を含んでもよい。取り外し可能な電子モジュールは、電源を充電するために、インタラクティブコードから取り外すことができる。電源が充電されると、取り外し可能な電子モジュールは、インタラクティブコード内に戻されて、コネクタに電気的に連結することができる。
【0046】
内蔵電子モジュール180および取り外し可能な電子モジュール190は、特定の電子部品を備えるように例示および説明されているが、当然のことながら、これらのモジュールは、多種多様に異なって構成されてもよい。たとえば、場合によっては、内蔵電子モジュール180内に含まれると説明された電子部品は、少なくとも一部が取り外し可能な電子モジュール90において実装されてもよく、取り外し可能な電子モジュール90において実装されると説明された電子部品は、少なくとも一部が内蔵電子モジュール180内に含まれてもよい。さらには、内蔵電子モジュール180および取り外し可能な電子モジュール90は、センサ、光源(たとえば、LEDのもの)、ディスプレイ、スピーカーなど、
図4に示された電子部品以外の電子部品を含んでもよい。
【0047】
図5は、1つ以上の実施の形態に係る、導電線の実施例177を示す図である。実施例177では、導電線112は、導電糸である。導電糸は、1つ以上の可撓性糸118と組み合わされる導電ワイヤ116を含む。可撓性糸118を導電ワイヤ116と撚り合わせる、可撓性糸118に導電ワイヤ116を巻き付ける、可撓性糸118を編組または織って導電ワイヤ116を覆う覆いを形成することなどによって、多種多様な異なる方法で、導電ワイヤ116を可撓性糸118と組み合わせてもよい。銅、銀、金、アルミニウム、または、導電性ポリマーがコーティングされたその他の材料など、多種多様な異なる導電性材料を用いて導電ワイヤ116を実現してもよい。可撓性糸118は、コットン、ウール、シルク、ナイロン、ポリエステルなどとして実現されてもよい。
【0048】
導電ワイヤ116を可撓性糸118と組み合わせることによって、導電線112は、可撓性と伸縮性とを有するようになり、これにより、導電線112を1つ以上の非導電線110(たとえば、コットン、シルク、またはポリエステル)で容易に織って外覆104を形成することが可能になる。これに代えて、少なくともいくつかの実施態様では、導電線112のみを用いて外覆104を形成することができる。
【0049】
図6は、本開示の例示的な実施の形態に係る、インタラクティブコード102の実施例202を示す図である。実施例202では、インタラクティブコード102は、非タッチセンサー領域235に隣接するタッチセンサー領域230を含む。インタラクティブコード202は、その長さに沿った長手方向211を規定する。インタラクティブコード102は、複数の導電糸212として実装された複数の導電線を含む。インタラクティブコード102は、複数の非導電糸210として実装された複数の非導電線を含む。導電糸212は、2つ以上の糸パターンを用いて非導電糸210と選択的に編組されて、インタラクティブコード102のタッチセンサー領域230の範囲を選択的に定める。1つ以上の第1の編組パターンを用いて、対応するタッチセンサー領域230をインタラクティブコードの第1の長手部分に形成してもよい。タッチセンサー領域230において、導電糸212をコードの外覆204において選択的に露出させることで、静電容量式接触ポイントからのタッチ入力の検出が容易になる。1つ以上の第2の編組パターンを用いて、非タッチセンサー領域235をインタラクティブコードの第2の長手部分102に形成することができる。
【0050】
タッチセンサー領域に対応するインタラクティブコードの第1の長手部分230において導電糸212を第1非導電糸サブセット210と編組することによって、外覆204が形成されてもよい。インタラクティブコードの内部コア(図示せず)は、第1の長手部分に第2非導電線サブセットを含んでもよい。また、オプションで、内部コアは、露出していない追加の導電線をタッチセンサー領域に含んでもよい。第2非導電線サブセットは、非タッチセンサー領域にある内部コア内で編組されてもよいし、編組されなくてもよい。非タッチセンサー領域235に相当するインタラクティブコードの第2の長手部分では、導電糸が静電結合によるタッチを検出しないように非導電糸のうち1つ以上の非導電糸によって分離されるように複数の導電糸212を内部コア内に配置することができる。
【0051】
第2の長手部分の外覆は、第1非導電糸サブセットと1つ以上の追加の非導電糸とを編組することによって形成することができる。たとえば、第2非導電糸サブセットのうち1つ以上を第2の長手部分の外覆まで配線して、第1非導電糸サブセットと編組することができる。このように、複数の編組パターンを使用してタッチセンサー領域を選択的に形成しながら、インタラクティブコードの編組の見た目は均一であってもよい。たとえば、タッチセンサー領域230および非タッチセンサー領域235の両方において編組パターンが均一に見えるよう、第1非導電糸サブセットと編組される追加の非導電糸の数を、導電糸の数と等しくすることができる。なお、
図6に示す個々の導電糸の色付けまたはパターンは、任意である。たとえば、インタラクティブコードが全体を通して均一の色付けされた見た目を有するよう、非導電糸と同じ色の糸で導電糸を形成してもよい。
【0052】
タッチセンサー領域230内では、外覆204の編組パターンによって、外覆204に沿った静電容量式接触ポイント208で導電糸212が露出している。編組パターンにより、覆い204のその他の領域では、導電糸212は覆われて見えないようになっている。静電容量式接触ポイント208のいずれに対するタッチ入力も、対応する導電糸(複数可)212の静電容量を変化させる。この変化は、検知回路182によって検出されてもよい。しかしながら、非導電糸210によって形成された外覆204のその他の領域に対するタッチ入力は、入力として検出される導電糸212の静電容量を変化(または大幅に変化)させない。非タッチセンサー領域235内のタッチが入力として登録されないよう、非タッチセンサー領域235では、導電糸を内部コア(図示せず)内に形成することができる。
【0053】
図6の拡大
図232に示すように、複数の導電糸212は、相互容量センシング技術を用いた静電容量型センサを形成する異なる種類の糸電極を含むことができる。たとえば、導電糸の第1群は、送信用糸212-1(T)と、212-2(T)と、212-3(T)と、212-4(T)とを形成することができ、導電糸の第2群は、受信用糸212-1(R)と、212-2(R)と、212-3(R)と、212-4(R)とを形成することができる。送信用糸は、静電容量型センサの送信部として動作する一方で、受信用糸は、静電容量型センサの受信部として動作する。タッチセンサーは、静電容量式接触ポイント208を形成する、外覆において露出した導体の行列を有する格子として構成することができる。相互容量センシング技術では、送信用糸は、駆動線として構成されて電流を通し、受信用糸は、センシング線として構成されて格子の各交点に本来形成されるノードにおいて静電容量を検出する。
【0054】
たとえば、静電容量式接触ポイント208を含む外覆204の表面またはその近くに物があると、局所的な静電界を変化させる可能性があり、これにより、その位置における相互容量が減少する。格子上のすべての個々のノードにおける静電容量の変化をこのように検出して、その他の軸における電圧を計測することによって物が「どこに」位置するのかを特定してもよい。たとえば、静電容量式接触ポイントまたはその近くに触れることによって、送信用線と受信用線とのペアの距離が小さくなり、これらの送信用線および受信用線のうち1つ以上の線において検出可能な静電容量の変化が生じる。
【0055】
図6の例では、いわゆる「S」糸と「Z」糸とを用いて導電糸を互いに反対の周方向に編組することによって、外覆204が形成されている。1つ以上のS糸からなる第1群を、インタラクティブコードに第1の周方向(たとえば、時計回りに)に巻き付けることができ、1つ以上のZ糸からなる第2群を、タッチセンサーを含むインタラクティブコードの長手部分において、インタラクティブコードに第2の周方向(たとえば、反時計回りに)に巻き付けることができる。この特定の例では、4本のS糸からなるセットを利用して、送信用糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、および212-4(T)を形成し、4本のZ糸からなるセットを利用して、受信用糸212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、および212-4(R)を形成する。S送信用糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、および212-4(T)は、時計回り方向に周方向に巻き付けられている。Z受信用糸212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、および212-4(R)は、反時計回り方向に周方向に巻き付けられている。なお、別の実施の形態では、送信用糸は、Z糸として、反時計回り方向に周方向に巻き付けられてもよく、受信用糸は、S糸として、時計回り方向に周方向に巻き付けられてもよい。また、4本の送信用糸と4本の受信用糸とを使用することは、一例にすぎないことを留意されたい。任意の数の導電糸を用いてもよい。
【0056】
S導電糸とZ導電糸とは、互いに交差して静電容量式接触ポイント208を形成する。いくつかの例では、インタラクティブコード102の外覆の上にタッチパッドの均等物を作ることができる。S糸の群またはZ糸の群のうち一方が静電容量型センサの送信部として構成され、S糸の群またはZ糸の群のうち他方が静電容量型センサの受信部として構成される相互容量センシング技術を用いることができる。Z糸とS糸とのペアの交点またはその近傍にユーザの指が触れると、送信用導電糸と受信用導電糸とのペアを含む相互容量センサから当該タッチの位置を検出することができる。コントローラ117は、このような例では、どの送信用糸および/または受信用糸が触れられたかを検出することによってタッチ入力の位置を検出するように構成され得る。たとえば、コントローラは、第1の送信用導電糸(たとえば、212-1(T))に対するタッチを、第2の送信用導電糸212-2(T)、第3の送信用導電糸212-3(T)、または第4の送信用導電糸212-(T)に対するタッチと区別することができる。同様に、コントローラは、第1の受信用糸(たとえば、212-1(R))に対するタッチを、第2の受信用糸212-2(R)、第3の受信用糸212-4(R)、または第4の受信用糸212-4(R)に対するタッチと区別することができる。この例では、S糸とZ糸とのそれぞれ異なるペアに基づいて16個の異なる種類の静電容量式接触ポイントが形成され得る。以下に説明するが、いくつかの例では、追加の検出可能な入力を行うために非反復的な編組パターンを用いることができる。たとえば、編組パターンを変えて、コントローラ117が検出できる静電容量式接触ポイントの複数の異なるシーケンスを提供することができる。
【0057】
これに加えておよび/またはこれに代えて、内蔵電子モジュールまたはその他の回路のデバイスピンまたは接触パッドに取り付けるために、編組パターンを用いて導電糸を露出させることができる。たとえば、特定の編組パターンを用いてインタラクティブコードの表面に導電糸を持ってきてもよい。この表面では、導電糸にアクセスして当該導電糸を様々な電子機器に取り付けることができる。コネクタ化を容易にするために導電糸を表面に一列に並べることができる。
【0058】
図7は、インタラクティブコード102の追加の実施例252を示す図であり、タッチセンサー領域230にある外覆204と、非タッチセンサー領域235にある内部コア205とを表している。タッチセンサー領域230では、導電糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)、212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、および212-4(R)を第1非導電糸サブセット210と編組して、タッチセンサー領域230において外覆204を形成している。タッチセンサー領域230では、外覆上に導電糸を選択的に露出させて、静電容量型タッチセンサーの静電容量式接触ポイント208を形成している。第1の編組パターンを用いて、導電糸の一部を露出させるようにタッチセンサー領域230に外覆を形成してもよい。
【0059】
非タッチセンサー領域235では、導電糸は、インタラクティブコード102の内部コア205まで配線されている。図示の便宜上外覆が示されていない切り抜き図には、内部コア205が示されている。図示するように、各導電糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)、212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、および212-4(R)が内部コア内に配置されている。これに加えて、いくつかの非導電糸が内部コア内に配置されて、内部コア内の個々の導電糸を互いに分離させている。図示しないが、均一の編組パターンの見た目が実現されるように第1非導電糸サブセットを追加の非導電糸サブセットと編組することによって外覆204を非タッチセンサー領域235に形成することができる。
【0060】
導電糸を制御可能に編組してインタラクティブコード102のタッチセンサー領域230を選択的に形成するために、様々な編組工程を利用することができる。いくつかの実施の形態では、ボビン-レース編組工程(トーションレース編組工程とも称される)など、レース編組工程を用いることができる。ボビン-レース編組工程では、複数の個々に制御可能なボビン上に複数の可撓性を有する線(たとえば、導電糸および非導電糸)を設けることができる。コンピュータ制御された工程を適用してボビンを制御することによって、複数の異なる編組パターンを用いて複数の可撓性糸を編組し、静電容量型タッチセンサーのタッチセンサー領域を選択的に形成することができる。たとえば、第1の編組パターンを適用して、1つ以上の導電糸212を1つ以上の非導電糸210と編組してインタラクティブコードの第1の長手部分にタッチセンサー領域230の外覆204を形成することによってタッチセンサー領域230を形成することができる。第2の編組パターンを適用して、非導電糸210のみを編組してインタラクティブコードの第2の長手部分に外覆204を形成することによって非タッチセンサー領域235を形成してもよい。第2の編組パターンは、インタラクティブコードの内部コア205に導電糸を配置してもよい。内部コア205では、導電糸は編組されもよく、編組されなくてもよい。非タッチセンサー領域に外覆204を形成するように編組された非導電糸によって、導電糸212と外部からの接触との間に分離距離が設けられる。第2の長手部分に外覆204を形成して非タッチセンサー領域235を設けるために使用された非導電糸210の総数に等しい、第1の長手部分に外覆を形成するために使用された非導電糸210と導電糸212との総数を利用することによって編組の見た目を均一にすることができる。
【0061】
なお、導電糸の編組パターンは、タッチセンサー領域内で変えることができ、またはタッチセンサー領域ごとに変えることができる。
図5に戻ると、212-4(T)、212-3(T)、212-2(T)、212-1(T)という第1の反復糸順序(インタラクティブコード102の長手方向左から右に)を用いて送信用導電糸が形成されている。212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)という第2の反復糸順序で受信用導電糸が形成されている。これらを合わせて、導電糸を編組する順序が第1の編組パターンを規定している。
【0062】
図6には、第2の編組パターンが示されている。212-1(T)、212-3(T)、212-2(T)、212-4(T)という第3の反復糸順序で送信用導電糸が形成されている。212-1(R)、212-4(R)、212-2(R)、212-3(R)という第4の反復糸順序で受信用導電糸が形成されている。これらを合わせて、送信用糸および受信用糸を編組する順序が第2の編組パターンを規定している。
【0063】
図8は、タッチセンサー領域230を含むインタラクティブコード102の第3の実施例262を示す図である。実施例262では、インタラクティブコード102は、少なくとも1つの実質的に平らまたは平坦な面を含む。複数の編組パターンを使用してこのようなインタラクティブコードを形成して選択的なタッチセンサー領域を実現することができ、また、タッチ入力を検出するための非反復的なパターンを規定することができる。
図8では、第3の編組パターンが示されている。この例では、212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)という第5の反復糸パターンを用いて送信用導電糸が形成されている。212-4(R)、212-3(R)、212-2(R)、212-1(R)という第6の反復糸パターンを用いて受信用導電糸が形成されている。これらを合わせて、送信用導電糸および受信用導電糸を編組する順番が第3の編組パターンを規定している。
【0064】
例示的な実施の形態に係るタッチセンサー領域(複数可)が選択的に形成されたインタラクティブコードを形成するための様々な手法について説明する。
図9は、例示的な実施の形態に係る静電容量型タッチセンサーを形成するタッチセンサー領域を含むインタラクティブコードを製造する例示的な方法500を表すフローチャートである。
図9では、図示および記載の便宜上、特定の順番で実行されるステップを表しているが、
図9の方法500および本明細書に記載のその他の方法(たとえば、
図14の方法800)は、特に図示された順番または配置に限定されない。本明細書に開示されている方法の様々なステップは、本開示の範囲を逸脱することなく様々に省略したり、並び替えたり、組み合わせたり、および/または改造したりすることができる。
【0065】
方法500の1つ以上の部分は、たとえば、
図17に示したようなコンピューティングシステム1002の1つ以上のコンピューティングデバイスなど、1つ以上のコンピューティングデバイスによって実装することができる。方法500の1つ以上の部分は、本明細書に記載のデバイスのハードウェアコンポーネント上のアルゴリズムとして実装し、たとえば、ボビン-レース編組機械など、レース編組機械を制御することができる。例示的な実施の形態では、方法500は、コンピューティングシステム(たとえば、1002)の1つ以上のコンピューティングデバイスを用いて実現される編組制御システムによって実行されてもよい。
【0066】
(502)では、レース編組機械の複数のボビン上に複数の可撓性導電線を設けることができる。導電線は、導電糸、繊維、編み糸、光ファイバー、およびその他の導電性材料であってもよい。たとえば、導電糸など、導電線を使用して、タッチ入力を検出するように構成された静電容量型タッチセンサーを形成することができる。
【0067】
(504)では、レース編組機械の第2の複数のボビン上に複数の可撓性非導電線を設ける。非導電線は、非導電糸、繊維、編み糸、または実質的に非導電性を有するその他の適した可撓性素材を含んでもよい。なお、いくつかの例では、(502)および(504)における動作は、1人以上の人間のオペレータまたは機械によって実行されてもよい。
【0068】
(506)では、インタラクティブコードのコードパラメータのセットを取得する。たとえば、1つ以上のファイル、命令、またはその他の適したコンピュータ読み取り可能な入力を用いて、レース編組機械の1つ以上の編組パターンを規定するコードパラメータのセットを提供してもよい。コードパラメータは、レース編組機械を制御するためにレース編組制御システムによって使用されてもよい。いくつかの例では、コードパラメータのセットが、インタラクティブコードを形成するための複数の組紐コードパターンを規定する。たとえば、コードパラメータのセットは、インタラクティブコードのタッチセンサー領域を形成するための1つ以上の第1のパターンと、インタラクティブコードの非タッチセンサー領域を形成するための1つ以上の第2のパターンとを含んでもよい。
【0069】
(508)では、インタラクティブコードのタッチセンサー領域を形成するかどうかを決定する。たとえば、レース編組制御システムは、インタラクティブコードの第1の長手部分のコード編組パターンにアクセスして、タッチセンサー領域であるかどうかを判断してもよい。
【0070】
インタラクティブコードのタッチセンサー領域を形成すると決定した場合、方法(500)は、(510)に進む。(510)では、インタラクティブコードの長手部分の第1の組紐コードパターンを取得する。510で取得された第1の組紐コードパターンは、コードパラメータのセット内に含まれていてもよい。
【0071】
(512)では、1つ以上の導電線を第1非導電線サブセットと編組してインタラクティブコードの第1の長手部分に外覆を形成する。(514)では、第2非導電線サブセットをインタラクティブコードの内部コア内に配置する。なお、(512)および(514)の動作は、同時に行うことができる。たとえば、レース編組機械は、1つ以上の第2非導電線サブセットを内部コア内に配置しながら1つ以上の導電線を第1非導電線サブセットと編組してもよい。いくつかの例では、第2非導電線サブセットを内部コア内に編組することができる。その他の例では、第2非導電線サブセットは、内部コア内に編組されない。たとえば、第2サブセットに含まれる非導電線は、外覆に囲まれた内部コア内に互いに平行に長手方向に延在してもよい。
【0072】
(516)では、糸の順番をオプションで変更して、非反復的な組紐コードパターンを形成する。たとえば、レース編組システムは、コードパラメータから、導電糸の順序を変えて長手部分を形成することによって、非反復的な編組パターンを長手部分に含めると判断してもよい。一例として、複数の導電糸を第1の順序で編組して静電容量式接触ポイントの第1シーケンスを形成し、導電糸セットを第2の順序で編組して静電容量式接触ポイントの第2シーケンスを形成することによって非反復的な編組パターンが設けられてもよい。別の例では、第1の編組順序は、第1導電糸サブセットを含んでもよく、第2の順序は、第2導電糸サブセットを含んでもよい。たとえば、第2導電糸サブセットは、第1導電糸サブセットと、追加の導電糸とを含んでもよい。
【0073】
長手部分の組紐コードパターンが完了した後、方法(500)は、(518)に進む。(518)では、インタラクティブコードの追加の長手部分を形成するかどうかを決定する。追加の長手部分を形成する場合、方法(500)は、(508)に進み、次の長手部分がタッチセンサー領域であるか非タッチセンサー領域であるかを決定する。
【0074】
(508)において非タッチセンサー領域を編組すると決定した場合、方法(500)は、(522)に進む。(522)では、非タッチセンサー領域の長手部分の組紐コードパターンを取得する。(524)では、1つ以上の非導電線を編組してインタラクティブコードの外覆を長手部分に形成して非タッチセンサー領域を設ける。(526)では、インタラクティブコードの複数の導電糸を内部コア内に配置する。(528)では、絶縁層として1つ以上の非導電糸を内部コア内に配置する。なお、いくつかの例では、(524)、(526)、および(528)の動作は、同時に行うことができる。たとえば、(524)において1つ以上の非導電線を編組して外覆を形成しながら、レース編組機械は、(526)において導電線を内部コア内に配置し、(528)において1つ以上の非導電線を内部コア内に配置してもよい。
【0075】
いくつかの実施態様によると、インタラクティブコードの個々の長手部分の編組パターンを変更してタッチセンサー領域と非タッチセンサー領域とを形成しながら、編組の見た目を均一にしてもよい。たとえば、(512)において、1つ以上の導電糸を第1の非導電糸の数と編組して外覆を形成することができる。(524)において、第2の数の非導電糸を編組して外覆を形成することができる。第2の数の非導電糸は、第1の非導電糸の数と、(512)において第1の非導電糸の数と編組された1つ以上の導電糸の数との合計と等しくすることができる。このように、導電糸の数および非導電糸の数を変えながら一定数の糸を用いて外覆を形成することができる。
【0076】
インタラクティブコードの追加の長手部分を編組しない場合、方法(500)は、(520)に続く。いくつかの例では、方法(500)は、内蔵電子モジュールを個々の導電性フィラメントなどに取り付けるなどによってインタラクティブコードを完了するためのさらなる動作を実行することによって、継続し得る。
【0077】
いくつかの実施態様では、インタラクティブコードの送信用(たとえば、S糸)の導電糸および受信用(たとえば、Z糸)の導電糸を、非タッチセンサー領域に対応する1つ以上の長手部分にある内部コア内に配置することができる。
図10は、タッチセンサー領域230と非タッチセンサー領域235とを含むインタラクティブコード102の実施例602を表す図である。
図10は、タッチセンサー領域230および非タッチセンサー領域235をそれぞれ表す断面
図604および606を表す。
【0078】
非タッチセンサー領域235では、1つ以上の長手部分にある外覆204内に形成された1つ以上の非導電糸210によって、導電糸212を外部からの接触から隔てることができる。内部コア205内では、追加の非導電糸を用いて送信用導電糸を受信用導電糸から分離させることができる。分離させることによって、送信部/受信部ペアのベースライン相互容量を減らすことができる。たとえば、内部コア205内で送信用導電糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)をまとめて導電糸の第1の房にグループ化することができる。内部コア205内で受信用導電糸212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)を導電糸の第2の房としてグループ化することができる。非タッチセンサー領域に対応する1つ以上の長手部分にある内部コア内で、送信用導電糸を受信用導電糸から分離させることができる。内部コア内で、1つ以上の追加の非導電糸210を送信用導電糸と受信用導電糸との間に配置して、当該2つの房をインタラクティブコード102の径方向612に分離させることができる。
【0079】
図11は、別の例示的な実施の形態に係る、タッチセンサー領域230と非タッチセンサー領域235とを含むインタラクティブコード102の実施例622を表す図である。
図11は、タッチセンサー領域230および非タッチセンサー領域235をそれぞれ表す断面
図624および626を表す。
【0080】
図10と同様に、非導電糸210を編組して外覆204が形成されている。内部コア205内では、径方向および周方向の導電糸の空隙によって、送信用導電糸を受信用導電糸から分離させることができる。たとえば、内部コア205内で送信用導電糸をまとめて導電糸の第1の房としてグループ化することができる。いくつかの例では、インタラクティブコード内の内部コアの中心に送信用導電糸を1つに集めて房とすることができる。インタラクティブコードの径方向612に受信用導電糸212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)を送信用導電糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)から離すことができる。たとえば、インタラクティブコードの周方向610に各々が他から分離した状態で受信用導電糸を内部コア205の外側部分に形成することができる。受信用導電糸の間に1つ以上の非導電糸を周方向に配置することができる。1つ以上の追加の非導電糸を、受信用導電糸と送信用導電糸の房との間に配置することができる。送信用糸と受信用糸とを分離させることによって、送信部と受信部とのペアのベースライン相互容量を減らすことができる。このような分離は、外部からの接触による当該ペアの相互容量の変化を低減することに役立つ。
【0081】
図12は、タッチセンサー領域230と非タッチセンサー領域235とを含むインタラクティブコード102の別の実施例652を表す図である。実施例652は、タッチセンサー領域230および非タッチセンサー領域235が形成される実質的に平坦または平らな部分を有するインタラクティブコード102を示す。この例では、送信用糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)からなるセットを、受信用糸212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)からなるセットと編組して各糸の種類の複数の交点に複数の静電容量式接触ポイントを形成することによってタッチセンサー領域230が形成されている。外覆204内で送信用糸セットを受信用糸セットから分離させることによって、非タッチセンサー領域235が形成されている。図示したように、受信用糸の各々は、インタラクティブコードの外覆102の下部(図面に対して)まで配線されており、送信用糸の各々は、インタラクティブコードの外覆102の上部まで配線されている。1つ以上の非導電糸(図示せず)によって送信用糸セットを受信用糸セットから分離させてもよい。このように、非タッチセンサー領域235が形成されるよう、導電糸セット間を絶縁させることができる。
【0082】
いくつかの実施態様によると、インタラクティブコードの外覆上に、非反復的なパターンの静電容量式接触ポイントを形成することができる。非反復的なパターンの静電容量式接触ポイントには、例示的な実施態様に係る様々な使用方法があり得る。たとえば、非反復的な編組パターンにより、インタラクティブコードを用いて追加の離散入力が検出してもよい。その他の例では、非反復的な編組パターンを用いて、インタラクティブコードに対するタッチのより正確な位置を特定してもよい。これに加えて、非反復的な編組パターンを用いて、認証を行ってもよい。たとえば、ユーザがインタラクティブコードの長手方向のリンクに沿ってスワイプするまたは別の入力を行うことによって決定され得る符号を非反復的な編組パターンが提供してもよい。
【0083】
図13は、非反復的な編組パターンを有するインタラクティブコード102の実施例702を表す図である。複数の導電糸を複数の非導電糸(図示せず)と編組することによってインタラクティブコード102の外覆204が形成されている。この例では、導電糸は、非反復的な編組パターンを用いて1つのタッチセンサー領域内で編組され、静電容量式接触ポイントから構成される個々に検出可能なシーケンスを形成している。
【0084】
一例として、前述したように、第1の方向に4本の送信用導電糸をインタラクティブコードに巻き付けることができ、第2の方向に4本の受信用導電糸をインタラクティブコードに巻き付けることができる。導電糸の編組パターンを変えることによって符号化されたパターンを作ることができる。
【0085】
たとえば、4本の送信用導電糸の各々は、送信用導電糸212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)であり得る。4本の受信用導電糸は、受信用導電糸212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)であり得る。対応する送信用導電糸212-1(T)および受信用導電糸212-1(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「A」とラベル付けされ、送信用導電糸212-2(T)および受信用導電糸212-2(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「B」とラベル付けされ、送信用導電糸212-3(T)および受信用導電糸212-3(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「C」とラベル付けされ、送信用導電糸212-4(T)および受信用導電糸212-4(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「D」とラベル付けされている。送信用導電糸212-1(R)および受信用導電糸212-2(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「E」とラベル付けされている。送信用導電糸212-2(T)および受信用導電糸212-3(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「F」とラベル付けされ、送信用導電糸212-3(T)および受信用導電糸212-4(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「G」とラベル付けされ、送信用導電糸212-4(T)および受信用導電糸212-1(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「H」とラベル付けされている。送信用導電糸212-1(T)および受信用導電糸212-3(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「I」とラベル付けされている。送信用導電糸212-2(T)および受信用導電糸212-4(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「J」とラベル付けされている。送信用導電糸212-3(T)および受信用導電糸212-1(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「K」とラベル付けされている。送信用導電糸212-4(T)および受信用導電糸212-1(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「L」とラベル付けされている。送信用導電糸212-1(T)および受信用導電糸212-4(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「M」とラベル付けされている。送信用導電糸212-2(T)および受信用導電糸212-1(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「N」とラベル付けされている。送信用導電糸212-3(T)および受信用導電糸212-2(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「O」とラベル付けされている。送信用導電糸212-4(T)および受信用導電糸212-3(R)によって形成された静電容量式接触ポイントは、「P」とラベル付けされている。
【0086】
編組工程により静電容量式接触ポイントが形成されるパターンを変えて、符号化されたパターンを作ることができる。たとえば、糸を編組して非反復的なパターンを外覆に形成してもよい。実施例702では、4本の送信用糸と4本の受信用糸とのペアを用いて非反復的なパターンの静電容量式接触ポイントを形成し、複数の符号化されたシーケンスを形成することができる。第1のシーケンスSeq1は、静電容量式接触ポイントA、B、C、Dを含む。図示したように、これは、212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)の順番に送信用導電糸セットを編組し、212-1(R)、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)の順番に受信用導電糸セットを編組することによって形成することができる。
【0087】
静電容量式接触ポイントA、B、C、Dの各々に順番にまたは同時にユーザがタッチすることは、第1のシーケンスSeq1を示し得る。いくつかの例では、コントローラは、第1のシーケンスSeq1にマッピングされた第1の機能を、特定のシーケンスに割り当てられた機能を示すテーブルまたはその他のデータストアから特定することができる。たとえば、第1のシーケンスSeq1は、コンピューティングデバイスの第1の機能にマッピングされ得る。いくつかの例では、コントローラは、タッチ入力が与えられた位置に対応するインタラクティブコードの位置を特定することができる。
【0088】
第2のシーケンスSeq2は、静電容量式接触ポイントE、F、G、Hを含む。図示したように、これは、212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)の順番に送信用導電糸セットを編組し、212-2(R)、212-3(R)、212-4(R)、212-1(R)の順番に受信用導電糸セットを編組することによって形成することができる。静電容量式接触ポイントE、F、G、Hの各々に順番にまたは同時にユーザがタッチすることは、第2のシーケンスSeq2を示し得る。いくつかの例では、コントローラは、第2のシーケンスSeq2に割り当てられた第2の機能を機能マッピングから特定することができる。たとえば、第2のシーケンスSeq2は、コンピューティングデバイス106の第2の機能にマッピングされ得る。いくつかの例では、コントローラは、タッチ入力が与えられた位置に対応するインタラクティブコードの位置を特定することができる。
【0089】
第3のシーケンスSeq2は、静電容量式接触ポイントI、J、K、Lを含む。図示したように、これは、212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)の順番に送信用導電糸セットを編組し、212-3(R)、212-4(R)、212-1(R)、212-2(R)の順番に受信用導電糸セットを編組することによって形成することができる。静電容量式接触ポイントI、J、K、Lの各々に順番にまたは同時にユーザがタッチすることは、第2のシーケンスSeq3を示し得る。いくつかの例では、コントローラは、第3のシーケンスSeq3にマッピングされた第3の機能を、特定のシーケンスに割り当てられた機能を示すテーブルまたはその他のデータストアから特定することができる。たとえば、第3のシーケンスSeq3は、コンピューティングデバイスの第3の機能にマッピングされ得る。いくつかの例では、コントローラは、タッチ入力が与えられた位置に対応するインタラクティブコードの位置を特定することができる。
【0090】
第4のシーケンスSeq4は、静電容量式接触ポイントM、N、O、Pを含む。図示したように、これは、212-1(T)、212-2(T)、212-3(T)、212-4(T)の順番に送信用導電糸セットを編組し、212-1(R)、212-4(R)、212-3(R)、212-2(R)の順番に受信用導電糸セットを編組することによって形成することができる。静電容量式接触ポイントM、N、O、Pの各々に順番にまたは同時にユーザがタッチすることは、第2のシーケンスSeq4を示し得る。いくつかの例では、コントローラは、第4のシーケンスSeq4にマッピングされた第4の機能を、特定のシーケンスに割り当てられた機能を示すテーブルまたはその他のデータストアから特定することができる。たとえば、第4のシーケンスSeq4は、コンピューティングデバイスの第4の機能にマッピングされ得る。いくつかの例では、コントローラは、タッチ入力が与えられた位置に対応するインタラクティブコードの位置を特定することができる。
【0091】
図13は、1次元符号を形成する非反復的な符号化されたパターンの一例を示す図である。別の例では、横方向および長手方向の非反復的な符号化されたパターンを利用することによって、2次元符号など、多次元符号を形成することができる。
【0092】
図14は、本開示の技術の1つ以上の実施の形態に係るインタラクティブコードを用いてジェスチャを検出することに基づいて、コンピューティングデバイスにおいて機能を開始する例示的な方法800を表すフローチャートである。方法800の1つ以上の部分は、たとえば、
図15に示すようなコンピューティングシステム1002の1つ以上のコンピューティングデバイスなど、1つ以上のコンピューティングデバイスによって実装することができる。方法800の1つ以上の部分は、本明細書に記載のデバイスのハードウェアコンポーネント上のアルゴリズムとして実装されて、たとえば、タッチ入力を検出してタッチ入力シーケンスおよび当該タッチ入力シーケンスに対応付けられた機能を判断することができる。例示的な実施の形態では、方法800は、コンピューティングシステムの1つ以上のコンピューティングデバイス106を用いて実装されるジェスチャ管理部によって実行されてもよい。これに加えておよび/またはこれに代えて、方法800は、インタラクティブコードの内蔵電子モジュール内の検知回路と、取り外し可能な電子モジュールまたは外部のコンピューティングデバイスで実現されるジェスチャ管理部との組合せによって実行されてもよい。
【0093】
(802)では、インタラクティブコードの複数の静電容量式接触ポイントのうち1つ以上の接触ポイントに対するタッチ入力を検出する。(804)では、(802)で受信したタッチ入力に基づいて、当該複数の静電容量式接触ポイントに対する入力タッチシーケンスを特定する。なお、入力タッチシーケンスは、より大きな入力パターン内で検出することができる。たとえば、ユーザは、インタラクティブコードの長さだけ下にスワイプして、複数の静電容量式接触ポイントに対する入力を行ってもよい。タッチされたことが検出された当該複数の静電容量式接触ポイントのサブセットから入力シーケンスが検出されてもよい。
【0094】
(806)では、1つ以上の機能への入力シーケンスのマッピングにアクセスする。たとえば、テーブルまたはその他のデータストアが、当該入力シーケンスの指示と、入力シーケンスに応答して外部のコンピューティングデバイスまたは取り外し可能な電子モジュールによってトリガされる対応する機能とを格納してもよい。いくつかの例では、この機能は、認証機能であってもよい。その他の例では、この機能は、コンピューティングデバイスまたはコンピューティングデバイスのアプリケーションに関連する機能であってもよい。
【0095】
(808)では、マッピングに基づいて、入力シーケンスに対応付けられた1つ以上の機能を特定する。(810)では、リモートコンピューティングデバイスまたは取り外し可能な電子モジュールにおいて機能を開始する。
【0096】
いくつかの例では、色付けされたまたはその他の目視で区別可能な導電糸を使用してインタラクティブコードの外面上に視覚要素を生成することができる。いくつかの例では、視覚要素は、インタラクティブコードおよび/もしくはコンピューティングデバイスの機能に対応することができたり、または、インタラクティブコードの使い方についての指示もしくはガイダンスをユーザに提供したりすることができる。
【0097】
図15は、静電容量型タッチ入力位置に対応する視覚要素を形成するように編組される1つ以上の導電線を含むインタラクティブコード102の実施例752を表す図である。たとえば、4本の送信用導電糸と4本の受信用導電糸とを選択的に編組して、インタラクティブコード102のタッチセンサー領域を形成することができる。インタラクティブコードの第1の長手部分102において第1の送信用導電糸212-1(T)を第1の受信用導電糸212-
1(R)と編組して、視覚要素754(たとえば、「A」という文字)を形成することができる。第1の送信用導電糸と第1の受信用導電糸とを編組することによって、1つ以上の静電容量式接触ポイントを形成することができる。第1の送信用導電糸および第1の受信用導電糸は、導電糸をその他の導電糸または非導電糸と区別する、色などの視覚的な外観を有することができる。視覚要素754に対応するインタラクティブコードの長手部分において検出されるタッチ入力は、割り当てられた機能をコンピューティングデバイスにおいて開始してもよい(たとえば、「A」という文字のテキスト入力)。
【0098】
インタラクティブコードの第2の長手部分102において第2の送信用導電糸212-2(T)を第2の受信用導電糸212-2(R)と編組して、視覚要素756(たとえば、「B」という文字)を形成することができる。第2の送信用導電糸と第2の受信用導電糸とを編組することによって、1つ以上の静電容量式接触ポイントを形成することができる。第2の送信用導電糸および第2の受信用導電糸は、導電糸をその他の導電糸または非導電糸と区別する、色などの視覚的な外観を有することができる。視覚要素756に対応するインタラクティブコードの長手部分において検出されるタッチ入力は、割り当てられた機能をコンピューティングデバイスにおいて開始してもよい(たとえば、「B」という文字のテキスト入力)。
【0099】
インタラクティブコード102の第3の長手部分では、第3の送信用導電糸212-3(T)を第3の受信用導電糸212-3(R)と編組して、視覚要素758(たとえば、「C」という文字)を形成することができる。第3の送信用導電糸と第3の受信用導電糸とを編組することによって、1つ以上の静電容量式接触ポイントを形成することができる。第3の送信用導電糸および第3の受信用導電糸は、導電糸をその他の導電糸または非導電糸と区別する、色などの視覚的な外観を有することができる。視覚要素758に対応するインタラクティブコードの長手部分において検出されるタッチ入力は、割り当てられた機能をコンピューティングデバイスにおいて開始してもよい(たとえば、「C」という文字のテキスト入力)。
【0100】
インタラクティブコード102の第4の長手部分では、第4の送信用導電糸212-4(T)を第4の受信用導電糸212-4(R)と編組して、視覚要素760(たとえば、「D」という文字)を形成することができる。第4の送信用導電糸と第4の受信用導電糸とを編組することによって、1つ以上の静電容量式接触ポイントを形成することができる。第4の送信用導電糸および第4の受信用導電糸は、導電糸をその他の導電糸または非導電糸と区別する、色などの視覚的な外観を有することができる。視覚要素760に対応するインタラクティブコードの長手部分において検出されるタッチ入力は、割り当てられた機能をコンピューティングデバイスにおいて開始してもよい(たとえば、「B」という文字のテキスト入力)。
【0101】
なお、視覚要素に追加の技術を利用してもよい。たとえば、送信用導電糸と受信用導電糸(たとえば、送信用糸212-1(T)と受信用糸212-2(R))との追加のペアから静電容量式接触ポイントを形成することによって、追加の視覚要素を形成してもよい。別の例では、視覚要素は、静電容量式接触ポイントのシーケンスに対応してもよい。たとえば、
図15を参照すると、視覚要素754は、
図13に示すSeq1など、静電容量式接触ポイントのシーケンスによって形成されてもよい。
【0102】
図16は、例示的な実施の形態に係るインタラクティブコード102と、検知回路182とを備えるコンピューティングシステム802の例を示す図である。コンピューティングシステム802では、導電糸812は、デバイスピン810を用いて検知回路に連結されており、接触パッドとも呼ばれる。2つの導電糸812が1つのデバイスピンを共有するダイプレックス(diplex)アーキテクチャが使用されている。このアーキテクチャにより、所与の数の導電糸に対するデバイスピンの数を減らすことができる。
【0103】
コンピューティングシステム802では、導電糸812-1は、第1のデバイスピン810-1に接続される。導電糸812-6もデバイスピン810-1に接続される。導電糸812-2および導電糸812-8は、第2のデバイスピン810-2に接続される。導電糸812-3および導電糸812-10は、第3のデバイスピン810-3に接続される。導電糸812-4および導電糸812-7は、第4のデバイスピン810-4に接続される。導電糸812-5および導電糸812-9は、第5のデバイスピン810-5に接続される。
【0104】
いくつかの例に係ると、このようなアーキテクチャを用いて、ひもの長さに沿った長手方向に、二重に符号化されたタッチスライダーセンサー要素を作ることができる。より特定的には、導電糸(センサー)の数がデバイスピンの数よりも多いセンサーアセンブリを使用して、長手方向にインタラクティブコードの長さに沿って入力されたスライド入力ジェスチャを検出することができる。この例では、検知回路182は、コードの長さに沿った長手方向815のスライド入力ジェスチャを検出することができる。たとえば、スライド入力ジェスチャは、812-1、812-2、812-3、812-4、812-5、812-6、812-7、812-8、812-9、812-10の順番でユーザの指導電糸に触れるまたは近づくことを含んでもよい。これに応答して、検知回路は、810-1、810-2、810-3、810-4、810-5、810-1、810-4、810-2、810-5、810-3の順番にデバイスピン810における入力を検出する。この順番で検出することに応答して、検知回路182は、インタラクティブコードの長手方向815に入力スライドジェスチャが入力されたと判断できる。トーションレース組紐パターンなど、レース組紐パターンを用いて、デバイスピン810に取り付けるための導電糸を構成してもよい。
【0105】
図17は、任意の種類のクライアント、サーバ、および/または本明細書に記載のコンピューティングデバイスを実装し得る例示的なコンピューティングシステム1002の様々な構成要素を示す図である。実施の形態では、有線および/もしくはワイヤレスのウェアラブルデバイス、システムオンチップ(SoC)、ならびに/もしくは別の種類のデバイスもしくはその一部、のうちの1つまたはそれらの組合せとしてコンピューティングシステム1002を実装することができる。また、ユーザ、ソフトウェア、ファームウェア、および/もしくはデバイスの組合せを含む論理デバイスをデバイスが記述するようにデバイスを操作するユーザ(たとえば、人)ならびに/またはエンティティにコンピューティングシステム1002が対応付けられてもよい。
【0106】
コンピューティングシステム1002は、データ1008(たとえば、受信したデータ、受信中のデータ、同報送信される予定のデータ、および当該データのデータパケット)の有線および/またはワイヤレス通信を可能にする通信インターフェース1014を備える。データ1008は、デバイスの設定、デバイスに格納されたメディアコンテンツ、および/もしくはデバイスのユーザに関する情報を含み得る。コンピューティングシステム1002上に格納されるメディアコンテンツは、任意の種類の音声データ、映像データ、および/または画像データを含み得る。コンピューティングシステム1002は、人間の発話、インタラクティブコード102が生成するタッチデータ、ユーザが選択可能な(明示的または暗示的な)入力、メッセージ、音楽、テレビジョンメディアコンテンツ、記録映像コンテンツ、および任意のコンテンツおよび/もしくはデータソースから受信したその他の種類の音声、映像、および/もしくは画像データなど、任意の種類のデータ、メディアコンテンツ、ならびに/または入力が受信可能な1つ以上のデータ入力部を備える。
【0107】
通信インターフェースは、シリアルインターフェースおよび/またはパラレルインターフェース、無線インターフェース、任意の種類のネットワークインターフェース、モデムのうちの1つ以上として実装でき、ならびにその他の種類の通信インターフェースとして実装できる。通信インターフェースは、その他の電子装置、コンピューティングデバイス、および通信デバイスがコンピューティングシステム1002とデータを通信する通信ネットワークと、コンピューティングシステム1002との間の接続および/または通信リンクを提供する。
【0108】
コンピューティングシステム1002は、1つ以上のプロセッサ1004(たとえば、マイクロプロセッサ、コントローラなどのうちのいずれか)を備える。当該1つ以上のプロセッサ1004は、コンピューティングシステム1002の動作を制御するための様々なコンピュータ実行可能な命令、およびそのための技術またはインタラクティブコードを含めることができる技術を可能にするための様々なコンピュータ実行可能な命令を処理する。これに代えて、または、これに加えて、コンピューティングシステム1002は、ハードウェア、ファームウェア、もしくは処理回路および制御回路と接続されて実現される固定論理回路のうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを使って実装できる。図示しないが、コンピューティングシステム1002は、デバイス内のさまざまな構成要素を連結するシステムバスまたはデータ転送システムを備えることができる。システムバスは、メモリバスもしくはメモリコントローラ、周辺バス、ユニバーサルシリアルバス、および/もしくはさまざまなバスアーキテクチャのうちのいずれかを利用したプロセッサもしくはローカルバスなど、異なるバス構造のうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0109】
また、コンピューティングシステム1002は、永続的および/または非一時的なデータ記憶(つまり、単なる信号の送信とは異なる)を可能にする1つ以上の記憶装置など、コンピュータ読み取り可能な媒体を含み得るメモリ1006を備えることもできる。メモリ1006として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性メモリ(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどのうちのいずれか1つ以上)、およびディスク記憶装置などが挙げられる。ディスク記憶装置は、ハードディスクドライブ、書き込み可能および/もしくは書き換え可能なコンパクトディスク(CD)、任意の種類のデジタル多用途ディスク(DVD)など、任意の種類の磁気記憶装置または光記憶装置として実装されてもよい。また、メモリ1006は、コンピューティングシステム1002の大容量記憶媒体デバイスを含んでもよい。
【0110】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、デバイスデータ、およびコンピュータ読み取り可能な命令1010を格納するためのデータストレージメカニズムを提供する。コンピュータ読み取り可能な命令1010は、様々なデバイスアプリケーション、ならびにコンピューティングシステム1002の動作態様に関するその他の種類の情報および/またはデータを実装することができる。たとえば、コンピュータ読み取り可能な媒体とあわせてコンピュータアプリケーションとしてオペレーティングシステムを保持して、プロセッサ1004上で実行することができる。デバイスアプリケーションは、任意の形態の制御アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、信号処理/制御モジュール、特定デバイス用のプログラム、特定のデバイスのためのハードウェア抽象化レイヤなど、デバイスマネージャを備えてもよい。
【0111】
また、メモリ1006は、ジェスチャ管理部1012を備えてもよい。ジェスチャ管理部1012は、インタラクティブコード102が受信するタッチ入力(たとえば、ジェスチャ)によってコンピューティングデバイス106および/またはアプリケーションに対応付けられた様々な機能を起動するのに有効なアプリケーションおよびインタラクティブコード102とやり取り可能である。ジェスチャ管理部1012は、物120の近くにあるコンピューティングデバイス106において実装されてもよく、物120から離れたコンピューティングデバイス106において実装されてもよい。ジェスチャ管理部1012は、コントローラ117の一例である。
【0112】
本明細書に記載の技術では、サーバ、データベース、ソフトウェアアプリケーション、およびその他のコンピュータベースのシステム、ならびに実行される動作およびこのようなシステムと送受信される情報について説明した。コンピュータベースのシステムの本来の柔軟性がタスクおよび機能の多種多様な可能な限りの構成、組合せ、および構成要素間での分割をすることを、当業者は認識するであろう。たとえば、本明細書に記載したサーバープロセスは、1つのサーバを用いて実現されてもよく、組合せて動作する複数のサーバを用いて実現されてもよい。データベースおよびアプリケーションは、1つのシステム上で実装されてもよく、複数のシステム間で分散されてもよい。分散された構成要素は、逐次動作してもよく、並列で動作してもよい。
【0113】
本主題について、その具体的な例示的な実施の形態で詳細を説明したが、当業者は、上記を理解すると、このような実施の形態の代替例、変形例、および均等物を容易に製造するであろうことが分かる。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく一例であり、当業者に容易に明らかであるように、主題の開示は、このような変更、変形および/または追加を本主題に含めることを除外しない。