(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20231207BHJP
B60R 1/27 20220101ALI20231207BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20231207BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20231207BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231207BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B60W50/14
B60R1/27
B60R99/00 322
B60R99/00 351
B60W30/06
G08G1/16 C
H04N7/18 J
(21)【出願番号】P 2022039042
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 達朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尭子
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-026200(JP,A)
【文献】特開2008-205928(JP,A)
【文献】特開2012-040883(JP,A)
【文献】特開2014-137761(JP,A)
【文献】特表2018-525266(JP,A)
【文献】特開2020-042441(JP,A)
【文献】特開2021-097283(JP,A)
【文献】特開2021-123277(JP,A)
【文献】特開2022-049711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60R 1/27
B60R 99/00
B60W 33/06
B60W 50/14
G08G 1/16
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の制御装置において、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザ
により選択された障害物位置の指定を受け付け、前記障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることが可能であり、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記第1障害物アイコンは、前記第1外界認識画像の視点で所定の仮想物体を見た画像であり、
前記第2障害物アイコンは、前記第2外界認識画像の視点で前記仮想物体を見た画像であり、
前記第1障害物アイコン及び前記第2障害物アイコンは、前記移動体の周辺における同一の位置を指し示す画像である、
制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記第1外界認識画像は、前記移動体の周辺を上空から見た俯瞰画像であり、
前記第1障害物アイコンは、前記仮想物体を上空から見た画像であり、
前記第2外界認識画像は、前記移動体の周辺を側方から見た3次元画像であり、
前記第2障害物アイコンは、前記仮想物体を側方から見た画像である、
制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記表示制御部は、前記ユーザからの所定の入力に基づいて、前記第1外界認識画像及び前記第2外界認識画像の表示を切り替える、
制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記障害物位置に基づいて前記移動体を目標駐車位置に駐車させるための駐車制御を行う駐車制御部を備える、
制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の制御装置であって、
前記駐車制御部は、前記障害物位置の候補を前記ユーザに通知し、前記障害物位置の候補の中から前記ユーザにより選択された前記障害物位置の指定を受け付ける、
制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記表示制御部は、前記移動体の移動に伴う前記外界認識画像の変化に応じて前記障害物アイコンの重畳位置を変化させる、
制御装置。
【請求項8】
移動体の制御装置が、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得し、
前記移動体のユーザ
により選択された障害物位置の指定を受け付け、前記障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させ、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることを可能とし、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
制御方法。
【請求項9】
移動体の制御装置のプロセッサに、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得し、
前記移動体のユーザ
により選択された障害物位置の指定を受け付け、前記障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させ、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることを可能とし、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
従来、駐車スペースに車両を自動駐車させる際に、車両外界の様子をマルチビュー画像で表示装置に表示する技術が知られている。また、車両の外界画像を表示装置に表示する際に、車両周辺に存在する障害物を車両の外界画像中に仮想アイコンとして表示する技術が知られている。特許文献1には、前もって割り出された自動駐車軌道に対して、使用者のタップ操作或いはスライド操作などの手動入力によって障害物を付加及び削除することができ、手動操作により調整された後の自動駐車軌道を割り出して車両を駐車させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/028849号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、センサ等では検出できなかった障害物をユーザが認識した場合に、手動操作入力によって付加することが可能なその障害物を考慮した自動駐車軌道を算出することが可能である。しかしながら、特許文献1には、車両外界の画像をマルチビュー画像で表示する場合における障害物の表示に関しては記載されていない。したがって、運転支援技術においては車両の外界画像中に表示する障害物の表示の仕方に関して従来技術には改良の余地がある。
【0006】
本発明は、車両周辺の障害物を車両の外界認識画像の視点に応じて表示することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
移動体の制御装置において、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザにより選択された障害物位置の指定を受け付け、前記障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることが可能であり、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
制御装置である。
【0008】
本発明は、
移動体の制御装置が、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得し、
前記移動体のユーザにより選択された障害物位置の指定を受け付け、前記障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させ、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることを可能とし、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
制御方法である。
【0009】
本発明は、
移動体の制御装置のプロセッサに、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得し、
前記移動体のユーザにより選択された障害物位置の指定を受け付け、前記障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させ、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることを可能とし、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
処理を実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両周辺の障害物を車両の外界認識画像の視点に応じて表示することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の制御装置を搭載した車両の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す車両の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】外界認識画像の表示制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】俯瞰画像に表示される俯瞰障害物アイコンの一例を示す図である。
【
図6】3次元画像に表示される3次元障害物アイコンの一例を示す図である。
【
図7】外界認識画像の表示制御の変形例を示すフローチャートである。
【
図8】俯瞰画像と3次元画像で構成される結合画像の一例を示す図である。
【
図9】俯瞰画像に表示される俯瞰障害物アイコンの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の制御装置、制御方法、及び制御プログラムの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単かつ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、
図1及び
図2に示す車両10の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両10の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
<本発明の制御装置を搭載した車両10>
図1は、本発明の制御装置を搭載した車両10の側面図である。
図2は、
図1に示した車両10の上面図である。車両10は、本発明の移動体の一例である。
【0014】
車両10は、駆動源(図示略)と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪と、を有する自動車である。本実施形態では、車両10は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両10の駆動源は、例えば電動機である。なお、車両10の駆動源は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両10の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、双方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0015】
車両10は、さらにサイドミラー11L,11Rを備える。サイドミラー11L,11Rは、車両10の前席ドアの外側に設けられた、運転者が後方及び後側方を確認するためのミラー(バックミラー)である。サイドミラー11L,11Rは、それぞれ垂直方向に延びる回転軸によって車両10の本体に固定されており、この回転軸を中心に回転することにより開閉可能である。
【0016】
車両10は、さらに前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rを備える。前方カメラ12Frは、車両10の前方に設けられ、車両10の前方を撮像するデジタルカメラである。後方カメラ12Rrは、車両10の後方に設けられ、車両10の後方を撮像するデジタルカメラである。左側方カメラ12Lは、車両10の左のサイドミラー11Lに設けられ、車両10の左側方を撮像するデジタルカメラである。右側方カメラ12Rは、車両10の右のサイドミラー11Rに設けられ、車両10の右側方を撮像するデジタルカメラである。
【0017】
<車両10の内部構成>
図3は、
図1に示した車両10の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、車両10は、センサ群16と、ナビゲーション装置18と、制御ECU(Electronic Control Unit)20と、EPS(Electric Power Steering)システム22と、通信部24と、を有する。車両10は、さらに駆動力制御システム26と、制動力制御システム28と、を有する。
【0018】
センサ群16は、制御ECU20による制御に用いられる各種の検出値を取得する。センサ群16には、前方カメラ12Frと、後方カメラ12Rrと、左側方カメラ12Lと、右側方カメラ12Rとが含まれる。また、センサ群16には、前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとが含まれる。また、センサ群16には、車輪センサ34a,34bと、車速センサ36と、操作検出部38とが含まれる。なお、センサ群16にはレーダを含めてもよい。
【0019】
前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、車両10の周辺を撮像することにより、車両10の周辺を認識するための認識データ(例えば、外界認識画像)を取得する。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによってそれぞれ撮像される周辺の画像は、前方画像、後方画像、左側方画像、及び右側方画像と称される。左側方画像と右側方画像とによって構成される画像を側方画像と称してもよい。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rの各撮像データを合成することにより生成される外界認識画像を車両10の俯瞰画像と称してもよい。
【0020】
前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとは、車両10の周辺に音波を発射すると共に、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群32aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群32aを構成するソナーは、車両10の左斜め前方、前方左側、前方右側及び右斜め前方にそれぞれ設けられている。後方ソナー群32bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群32bを構成するソナーは、車両10の左斜め後方、後方左側、後方右側及び右斜め後方にそれぞれ設けられている。左側方ソナー群32cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群32cを構成するソナーは、車両10の左側部前方及び左側部後方にそれぞれ設けられている。右側方ソナー群32dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群32dを構成するソナーは、車両10の右側部前方及び右側部後方にそれぞれ設けられている。
【0021】
車輪センサ34a,34bは、車両10の車輪の回転角度を検出する。車輪センサ34a,34bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ34a,34bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ34a,34bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられる。車輪の回転角度に基づいて、車両10の移動距離が算出される。車輪センサ34aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ34bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0022】
車速センサ36は、車両10の車体の速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御ECU20に出力する。車速センサ36は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0023】
操作検出部38は、操作入力部14を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御ECU20に出力する。操作入力部14には、例えばサイドミラー11L,11Rの開閉状態を切り替えるサイドミラースイッチや、シフトレバー(セレクトレバーやセレクタ)など各種のユーザインタフェースが含まれる。
【0024】
ナビゲーション装置18は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて車両10の現在位置を検出すると共に、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置18は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0025】
ナビゲーション装置18には、タッチパネル42と、スピーカ44とが備えられている。タッチパネル42は、制御ECU20の入力装置及び表示装置として機能する。スピーカ44は、車両10の搭乗者に対して各種の案内情報を音声で出力する。
【0026】
タッチパネル42は、制御ECU20に対する各種の指令を入力することができるように構成されている。例えば、ユーザは、タッチパネル42を介して、車両10の駐車支援に関する指令を入力することが可能である。また、タッチパネル42は、制御ECU20の制御内容に関する各種の画面を表示するように構成されている。例えば、タッチパネル42には、車両10の駐車支援に関する画面が表示される。具体的には、タッチパネル42には、車両10の駐車支援を要求する駐車支援ボタンが表示される。駐車支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による駐車を要求する自動駐車ボタンや、運転者の操作で駐車する際の補助を要求する駐車補助ボタンが含まれる。また、タッチパネル42には、車両10の周辺を認識する外界認識画像が表示される。なお、タッチパネル42以外の構成要素、例えばHUD(Head-Up Display)、スマートフォン、タブレット端末等を入力装置又は表示装置として用いるようにしてもよい。
【0027】
なお、「駐車」は、例えば「パーキング」と同義である。例えば、「駐車」は、乗員の乗り降りを伴う停止であり、交通信号等での一時的な停止は除く。また、「駐車位置」とは移動体を停止させる位置、すなわちパーキングする位置のことである。
【0028】
制御ECU20は、入出力部50と、演算部52と、記憶部54とを有する。演算部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。演算部52は、記憶部54に記憶されているプログラムに基づいて各部を制御することにより各種の制御を行う。また、演算部52は、入出力部50を介して、制御ECU20に接続される各部との間で信号を入出力する。
【0029】
演算部52は、外界認識画像を認識する外界認識部55と、車両10の自動駐車を制御するための駐車制御部56と、外界認識画像を表示制御する表示制御部57と、を有する。演算部52は、本発明の制御装置の一例である。
【0030】
外界認識部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rによって撮像された車両10の周辺の認識結果を表す外界認識画像を各カメラから取得する。
【0031】
駐車制御部56は、ステアリング110の操作を駐車制御部56の制御によって自動で行う自動操舵による車両10の駐車支援を行う。自動操舵の支援では、アクセルペダル(図示せず)、ブレーキペダル(図示せず)及び操作入力部14の操作が自動で行われる。また、駐車制御部56は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び操作入力部14の操作を運転者が行って車両10を手動駐車させる際の補助支援を行う。
【0032】
例えば、駐車制御部56は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データと、ユーザにより指定された所定の駐車位置(以下、「目標駐車位置」ともいう)と、目標駐車位置の周辺に存在する対象物であって、ユーザにより障害物であると指定された対象物の位置(以下、「障害物位置」ともいう)とに基づいて、車両10を目標駐車位置に駐車させる自動駐車の制御を行う。
【0033】
ユーザにより障害物であると指定された対象物とは、現実的には自動駐車の障害とはならない対象物、すなわち駐車制御部56では障害物として検出されない対象物ではあるが、ユーザにとっては障害物として含めてほしい対象物である。ユーザにとって障害物として含めてほしい対象物とは、例えば、自動駐車時に車両10を通過させたくない対象物のことをいう。具体的には、車両10を通過させたくない対象物とは、車両10の自動駐車の移動経路中に存在する「水溜まり」、「ゴミ」、「自生する植物」等である。さらに、ユーザにより指定される障害物には、例えば、子供が居る場所を中心として設定される領域であって、現実的には自動駐車の障害にならないと判定される半径R1の範囲よりも広い半径R2(R1<R2)の領域を含めてもよい。
【0034】
駐車制御部56は、ユーザによって指定される障害物位置を受け付ける。障害物位置の指定は、例えば、タッチパネル42に対するユーザの入力操作によって指定される。駐車制御部56は、目標駐車位置とその目標駐車位置に対して指定された障害物位置とを対応させて記憶部54に登録する。
【0035】
また、駐車制御部56は、目標駐車位置における障害物位置の候補をユーザに通知し、その障害物位置の候補の中からユーザにより選択される障害物位置の指定を受け付ける。目標駐車位置における障害物位置の候補とは、目標駐車位置において障害物になるであろうと予想され得る対象物の位置、すなわち目標駐車位置から一意に決まる障害物の位置の候補のことをいう。駐車制御部56は、障害物位置の候補のうち、ユーザにより選択された障害物位置の候補とユーザにより選択されていない障害物位置の候補とを異なる態様(例えば、異なる色や異なる透明度)で表示してユーザに通知する。
【0036】
表示制御部57は、車両10のカメラによって取得された撮像データに基づいて車両10の外界認識画像を生成する。具体的には、表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された各撮像データを合成して合成画像を生成し、この合成画像を上空から見た様子を示す車両10及び車両10の周辺の俯瞰画像を生成する。俯瞰画像は、本発明の第1外界認識画像の一例である。
【0037】
また、表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された各撮像データの合成画像を3次元的に再構成する画像処理を施し、車両10及び車両10の周辺を回転させて例えば側方や斜め上方などから見た様子を仮想的に示す3次元画像を生成する。3次元画像は、本発明の第2外界認識画像の一例である。第1外界認識画像と第2外界認識画像とは、視点の異なる外界認識画像である。
【0038】
表示制御部57は、生成した外界認識画像を車両10の表示装置に表示させる。具体的には、表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの各撮像データを合成することにより生成された車両10の俯瞰画像及び3次元画像をタッチパネル42に表示させる。
【0039】
表示制御部57は、車両10のユーザからの入力に基づく障害物位置を示す障害物アイコンを外界認識画像(俯瞰画像及び3次元画像)に重畳してタッチパネル42に表示する。表示制御部57は、俯瞰画像には俯瞰画像の視点で所定の仮想物体を見た障害物アイコン(以下、俯瞰障害物アイコンともいう)の画像を重畳し、3次元画像には3次元画像の視点で所定の仮想物体を見た障害物アイコン(以下、3次元障害物アイコンともいう)の画像を重畳して表示する。俯瞰障害物アイコン及び3次元障害物アイコンは、車両10の周辺における同一の障害物の位置を指し示す画像である。俯瞰障害物アイコンは仮想物体を上空から見た画像であり、3次元障害物アイコンは仮想物体を側方や斜め上方などから見た画像である。俯瞰障害物アイコンの画像及び3次元障害物アイコンの画像は、予め作成された障害物画像として記憶部54に保存されている。障害物画像は、例えば、パイロンを模した画像であってもよい。俯瞰障害物アイコンは、本発明の第1障害物アイコンの一例である。3次元障害物アイコンは、本発明の第2障害物アイコンの一例である。
【0040】
表示制御部57は、ユーザからの所定の入力、例えば、タッチパネル42からの操作入力、スイッチのオン操作等に基づいて、タッチパネル42に表示する俯瞰画像及び3次元画像の表示を切り替える。俯瞰画像及び3次元画像の表示切り替えは、例えば、車両10の移動速度、あるいはギヤのシフト位置等に基づいてもよい。また、表示制御部57は、車両10の移動に伴って変化する外界認識画像に応じて、その外界認識画像に重畳して表示する障害物アイコンの重畳位置を変化させる。
【0041】
EPSシステム22は、舵角センサ100と、トルクセンサ102と、EPSモータ104と、レゾルバ106と、EPS ECU108と、を有する。舵角センサ100は、ステアリング110の舵角θstを検出する。トルクセンサ102は、ステアリング110に加わるトルクTQを検出する。
【0042】
EPSモータ104は、ステアリング110に連結されたステアリングコラム112に対して駆動力又は反力を付与することにより、乗員によるステアリング110の操作支援や駐車支援時の自動操舵を可能とする。レゾルバ106は、EPSモータ104の回転角度θmを検出する。EPS ECU108は、EPSシステム22の全体の制御を司る。EPS ECU108には、入出力部(図示せず)と、演算部(図示せず)と、記憶部(図示せず)とが備えられている。
【0043】
通信部24は、他の通信装置120との間で無線通信を行うことを可能とするものである。他の通信装置120とは、基地局や、他車両の通信装置や、車両10の搭乗者が所持するスマートフォン等の情報端末などである。
【0044】
駆動力制御システム26には、駆動ECU130が備えられている。駆動力制御システム26は、車両10の駆動力制御を実行する。駆動ECU130は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のエンジン等を制御することによって、車両10の駆動力を制御する。
【0045】
制動力制御システム28には、制動ECU132が備えられている。制動力制御システム28は、車両10の制動力制御を実行する。制動ECU132は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両10の制動力を制御する。
【0046】
<演算部52による外界認識画像の表示制御>
次に、演算部52による外界認識画像の表示制御の一例を
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0047】
例えば、車両10を運転するユーザが駐車場の近くまで来て車両10を自動駐車させるために、タッチパネル42上の自動駐車ボタン(図示省略)をタップ操作したとする。自動駐車ボタンがタップ操作されると、タッチパネル42上には、車両10の周辺を表す外界認識画像が表示されるが、その際に、外界認識画像を俯瞰画像として表示するか又は3次元画像として表示するかを選択することが可能な選択画面が表示される。その選択画面において、ユーザによりいずれかの外界認識画像が選択されると、演算部52は、
図4に示す処理を開始する。
【0048】
先ず、演算部52の表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像される車両10周辺の撮像データを取得する(ステップS11)。
【0049】
次に、表示制御部57は、タッチパネル42に表示する外界認識画像として、俯瞰画像を表示するか否か、すなわち上記選択画面においてユーザにより俯瞰画像が選択されたか否か判定する(ステップS12)。
【0050】
ステップS12において、俯瞰画像が選択されている場合(ステップS12:Yes)には、表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された各撮像データに基づいて、車両10の周辺の俯瞰画像を生成する(ステップS13)。
【0051】
次に、表示制御部57は、俯瞰画像用の障害物アイコンである俯瞰障害物アイコンの画像を記憶部54から取得する(ステップS14)。
【0052】
次に、表示制御部57は、ステップS13において生成した俯瞰画像における、ユーザからの操作入力に基づいて指定される所定の位置に、ステップS14において取得した俯瞰障害物アイコンを重畳させる(ステップS15)。俯瞰障害物アイコンは、上述したように、ユーザによって指定される障害物位置を示す画像であり、仮想物体を上空から見た画像として表示される。
【0053】
次に、表示制御部57は、俯瞰障害物アイコンを重畳した俯瞰画像をタッチパネル42に表示する(ステップS16)。表示制御部57は、自動駐車が継続されている間、ステップS11に戻って各処理を繰り返す。表示制御部57は、自動駐車における車両10の移動に応じて変化する俯瞰画像をタッチパネル42に表示する。表示制御部57は、車両10の移動に伴う俯瞰画像の変化に応じて、俯瞰障害物アイコンの重畳位置を変化させる。
【0054】
一方、ステップS12において、俯瞰画像が選択されていない場合(ステップS12:No)には、表示制御部57は、タッチパネル42に表示する外界認識画像として、3次元画像を表示するか否か、すなわち上記選択画面においてユーザにより3次元画像が選択されたか否か判定する(ステップS17)。
【0055】
ステップS17において、3次元画像が選択されていない場合(ステップS17:No)には、表示制御部57は、ステップS11に戻って各処理を繰り返す。
【0056】
ステップS17において、3次元画像が選択されている場合(ステップS17:Yes)には、表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された各撮像データに基づいて、車両10の周辺の3次元画像を生成する(ステップS18)。表示制御部57は、生成する3次元画像の方向を、例えば、ユーザの操作に基づいて、変化させることができるようにしてもよい。表示制御部57は、3次元画像を車両10の前方、後方、右方、及び左方等から見る画像として生成してもよい。
【0057】
次に、表示制御部57は、3次元画像用の障害物アイコンである3次元障害物アイコンの画像を記憶部54から取得する(ステップS19)。
【0058】
次に、表示制御部57は、ステップS18において生成した3次元画像における、ユーザからの操作入力に基づいて指定される所定の位置に、ステップS19において取得した3次元障害物アイコンを重畳させる(ステップS20)。3次元障害物アイコンは、上述したように、ユーザによって指定される障害物位置を示す画像であり、仮想物体を例えば側方から見た画像として表示される。
【0059】
次に、表示制御部57は、3次元障害物アイコンを重畳した3次元画像をタッチパネル42に表示する(ステップS21)。表示制御部57は、自動駐車が継続されている間、ステップS11に戻って各処理を繰り返す。表示制御部57は、自動駐車における車両10の移動に応じて変化する3次元画像をタッチパネル42に表示する。表示制御部57は、車両10の移動に伴う3次元画像の変化に応じて、3次元障害物アイコンの重畳位置を変化させる。
【0060】
なお、タッチパネル42に表示する外界認識画像の態様は、ユーザの操作によって俯瞰画像と3次元画像とに切り替えることが可能である。ユーザによる外界認識画像の切替操作があった場合、表示制御部57は、ステップS12及びステップS17において、切替操作で選択された外界認識画像が俯瞰画像であるか3次元画像であるかを判定し、判定した外界認識画像を各ステップの処理に従ってタッチパネル42に表示する。
【0061】
<外界認識画像に表示される障害物アイコン>
次に、外界認識画像(俯瞰画像及び3次元画像)に表示される障害物アイコンについて
図5及び
図6を参照して説明する。
【0062】
図5は、俯瞰画像61に表示される俯瞰障害物アイコン68の一例を示す図である。
図5に示すように、タッチパネル42に表示されている俯瞰画像61は、ユーザが自宅の駐車場62の目標駐車位置66に車両10を自動駐車する状況の画像を示している。自宅の駐車場62は、ユーザの住居(建築物)63と、複数の植栽(障害物)64a~64cとの間に設けられている。なお、俯瞰画像61に表示される車両は、車両10を上方から見た様子を示す画像であり、予め生成(撮像)されて記憶部54等に記憶されている車両画像65である。
【0063】
俯瞰画像61において、ユーザの画面操作により、ユーザが指定する障害物位置に俯瞰障害物アイコン68を配置させることができる。例えば、俯瞰障害物アイコン68は、俯瞰画像61の上隅に表示されている障害物マーカー67をスワイプ操作することにより、任意の位置に配置することが可能である。図に示す例では、俯瞰障害物アイコン68は、目標駐車位置66寄りの建築物63の前に配置されている。俯瞰障害物アイコン68は、パイロンを模した画像で表示されている。俯瞰障害物アイコン68は、パイロンを上空から見た画像として表示されている。なお俯瞰障害物アイコン68は複数配置してもよい。
【0064】
また、俯瞰画像61には、配置された俯瞰障害物アイコン68の位置を移動させることが可能な操作パネル69が表示されている。操作パネル69にはカーソルが表示されており、配置された俯瞰障害物アイコン68をタッチして選択した後に、操作パネル69のカーソルにより任意の矢印方向へ移動させることができる。また、操作パネル69には、俯瞰障害物アイコン68の配置を決定する決定ボタン69aと、俯瞰障害物アイコン68の配置を取り消すリセットボタン69bと、俯瞰障害物アイコン68の配置を中止する中止ボタン69cが表示されている。俯瞰画像61は、
図4に示す表示制御のステップS16の処理で表示される俯瞰画像に相当する画像である。
【0065】
図6は、3次元画像71に表示される3次元障害物アイコン72の一例を示す図である。
図6に示すように、3次元画像71は、
図5の俯瞰画像61に示される車両10の周辺を車両10の左後側方から見た3次元画像である。3次元画像71における3次元障害物アイコン72は、パイロンを側方から見た画像として表示されている。3次元障害物アイコン72は、
図5に示す俯瞰障害物アイコン68と同様に、目標駐車位置66寄りの建築物63の前に配置されている。3次元画像71における障害物位置(3次元障害物アイコン72の位置)の設定には、例えば、俯瞰画像61において障害物位置(俯瞰障害物アイコン68の位置)がユーザの指定により設定されている場合には、その俯瞰画像61における指定位置が反映される。なお、3次元画像71においても、障害物マーカー67及び操作パネル69を表示して、3次元障害物アイコン72の配置、移動、決定等を行えるようにしてもよい。また、本例のように「パイロン付近は走行しません」「周囲を直接確認してください」等の通知メッセージ73を3次元画像71上に表示してもよい。3次元画像71は、
図4に示す表示制御のステップS21の処理で表示される3次元画像に相当する画像である。
【0066】
以上説明したように、演算部52の表示制御部57は、外界認識画像として、例えば車両10の周辺を上空から見た俯瞰画像及び車両10の周辺を側方から見た3次元画像のように、視点が異なる画像をタッチパネル42に表示させることが可能である。そして、表示制御部57は、車両10のユーザからの入力に基づいて指定される同一の障害物位置を示す障害物アイコンとして、俯瞰画像には所定の仮想物体を上空から見た俯瞰障害物アイコンの画像を重畳し、3次元画像には所定の仮想物体を側方から見た俯瞰障害物アイコンの画像を重畳する。これにより、俯瞰画像には俯瞰画像の視点に応じた俯瞰障害物アイコンが表示され、3次元画像には3次元画像の視点に応じた3次元障害物アイコンが表示されるため、各画像において表示される障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0067】
また、表示制御部57は、例えば、ユーザからのタッチパネル42の操作入力に基づいて、タッチパネル42上の俯瞰画像及び3次元画像の表示を切り替える。これにより、ユーザによって選択される外界認識画像ごとにその外界認識画像の視点に応じた障害物アイコンを表示でき、各画像において表示される障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0068】
<外界認識画像の表示制御の変形例>
次に、演算部52による外界認識画像の表示制御の変形例について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、外界認識画像の表示制御の変形例を示すフローチャートである。
図8は、俯瞰画像と3次元画像で構成される結合画像の一例を示す図である。
【0069】
演算部52は、上述した
図4の処理の場合と同様に、タッチパネル42上の自動駐車ボタンがタップ操作された後に、外界認識画像の選択操作が行われると
図7に示す処理を開始する。
【0070】
先ず、演算部52の表示制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像される車両10周辺の撮像データを取得する(ステップS31)。
【0071】
次に、表示制御部57は、ステップS31において取得された各撮像データに基づいて、車両10の周辺の俯瞰画像を生成する(ステップS32)。俯瞰画像は、例えば、
図5で説明した俯瞰画像61である。
【0072】
次に、表示制御部57は、ステップS33において俯瞰画像用の俯瞰障害物アイコンを取得し、ステップS34において俯瞰画像に俯瞰障害物アイコンを重畳するが、これらの処理内容は、
図4におけるステップS14及びステップS15の処理内容と同様である。
【0073】
次に、表示制御部57は、ステップS31において取得された各撮像データに基づいて、車両10の周辺の3次元画像を生成する(ステップS35)。3次元画像は、例えば、
図6で説明した3次元画像71である。
【0074】
次に、表示制御部57は、ステップS36において3次元画像用の3次元障害物アイコンを取得し、ステップS37において3次元画像に3次元障害物アイコンを重畳するが、これらの処理内容は、
図4におけるステップS19及びステップS20の処理内容と同様である。
【0075】
次に、表示制御部57は、ステップS34で生成した俯瞰障害物アイコンが重畳される俯瞰画像と、ステップS37で生成した3次元障害物アイコンが重畳される3次元画像とを並べて表示する結合画像を生成する(ステップS38)。
【0076】
次に、表示制御部57は、ステップS38で生成した結合画像をタッチパネル42に表示する(ステップS39)。
【0077】
例えば、
図8に示すように、変形例の外界認識画像は、俯瞰画像61と3次元画像71とを横方向へ並べた結合画像81としてタッチパネル42に表示される。俯瞰画像61は、
図5で説明した俯瞰画像であり、上空から見たパイロンの画像が俯瞰障害物アイコン68として重畳されている。また、3次元画像71は、
図6で説明した3次元画像であり、側方から見たパイロンが3次元障害物アイコン72として重畳されている。
【0078】
表示制御部57は、自動駐車が継続されている間、ステップS31に戻って各処理を繰り返す。表示制御部57は、自動駐車における車両10の移動に応じて変化する俯瞰画像と3次元画像を含む結合画像をタッチパネル42に表示する。表示制御部57は、車両10の移動に伴う俯瞰画像及び3次元画像の変化に応じて、それぞれの画像に重畳される俯瞰障害物アイコンの重畳位置及び3次元障害物アイコンの重畳位置を変化させる。
【0079】
以上説明したように、変形例における演算部52の表示制御部57は、外界認識画像として、例えば車両10の周辺を上空から見た俯瞰画像と車両10の周辺を側方から見た3次元画像のように、視点が異なる画像をタッチパネル42に並べて表示させることが可能である。そして、表示制御部57は、車両10のユーザからの入力に基づいて指定される同一の障害物位置を示す障害物アイコンとして、俯瞰画像には所定の仮想物体を上空から見た俯瞰障害物アイコンの画像を重畳し、3次元画像には所定の仮想物体を側方から見た俯瞰障害物アイコンの画像を重畳する。これにより、並んで表示される俯瞰画像と3次元画像には、それぞれの画像の視点に応じた障害物アイコン(俯瞰障害物アイコンと3次元障害物アイコン)が重畳されているので、各画像において表示される障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0080】
<演算部52による自動駐車制御の変形例>
次に、演算部52の駐車制御部56による自動駐車制御の変形例について、
図9を参照して説明する。
図9は、俯瞰画像61に表示される俯瞰障害物アイコン88a,88bを示す図である。
【0081】
変形例の自動駐車制御において、駐車制御部56は、
図9に示すように、障害物位置の候補として透明な俯瞰障害物アイコン88a,88bを予め俯瞰画像61上に表示してユーザに通知する。障害物位置の候補とは、障害物としてユーザにより指定されるであろう対象物の位置のことであり、駐車制御部56側で予想して表示する障害物の位置のことである。具体的には、駐車制御部56は、ユーザであれば目標駐車位置66寄りの建築物63の前に俯瞰障害物アイコンを配置するであろうと予想し、透明な俯瞰障害物アイコン88aを候補として表示する。また、駐車制御部56は、ユーザであれば目標駐車位置66に対向する敷地際に俯瞰障害物アイコンを配置するであろうと予想し、透明なバー状の俯瞰障害物アイコン88bを候補として表示する。
【0082】
駐車制御部56は、表示した俯瞰障害物アイコン88a,88bがユーザによってタップされると、タップされた俯瞰障害物アイコンの位置をユーザ指定の障害物位置として受け付ける。駐車制御部56は、タップされた俯瞰障害物アイコンの表示状態を、透明から非透明の状態へと変化させて表示する。なお、俯瞰画像61に表示される操作パネル69を用いて俯瞰障害物アイコンを移動させる操作方法は上述した場合と同様である。例えば、
図9に示すバー状の俯瞰障害物アイコン88bは、操作パネル69の曲線矢印カーソルにより回転移動させることも可能である。
【0083】
以上説明したように、変形例における演算部52の駐車制御部56は、障害物位置の候補(俯瞰障害物アイコン88a,88b)をタッチパネル42に表示してユーザに通知し、表示した障害物位置の候補の中からユーザにより選択された障害物位置の指定を受け付ける。これにより、候補として表示される俯瞰障害物アイコン88a,88bをタップするだけで障害物位置を指定することができるので、指定操作が容易となり障害物位置の設定時の負担を軽減できる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態では、第1外界認識画像として車両10の周辺を上空から見た俯瞰画像を表示し、第2外界認識画像として車両10の周辺を側方から見た3次元画像を表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1外界認識画像として3次元画像を表示し、第2外界認識画像として第1外界認識画像の3次元画像とは視点を変えた3次元画像を表示するようにしてもよい。すなわち、視点の相違する3次元画像をタッチパネル42上に切り替えて表示するようにしてもよいし、並べて表示するようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、制御装置として車両10の演算部52について説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置は、スマートフォンやタブレット端末等の情報端末であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、表示制御部57が俯瞰画像及び3次元画像を車両10のタッチパネル42に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、表示制御部57は、通信部24を介して、車両10の搭乗者が所持する情報端末(例えばスマートフォン等)の表示画面上に俯瞰画像及び3次元画像を表示するようにしてもよい。
【0088】
なお、前述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本制御プログラムを実行するコンピュータは、制御装置に含まれるものであってもよいし、制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0089】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0090】
(1) 移動体(車両10)の制御装置(演算部52)において、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得する外界認識部(外界認識部55)と、
前記移動体のユーザからの入力に基づく障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置(タッチパネル42)に表示させる表示制御部(表示制御部57)と、を備え、
前記表示制御部は、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像(俯瞰画像61)及び第2外界認識画像(3次元画像71)を前記表示装置に表示させることが可能であり、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコン(俯瞰障害物アイコン68)を重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコン(3次元障害物アイコン72)を重畳する、
制御装置。
【0091】
(1)によれば、外界認識画像の視点に応じた障害物アイコンが表示されるため、障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0092】
(2) (1)に記載の制御装置であって、
前記第1障害物アイコンは、前記第1外界認識画像の視点で所定の仮想物体を見た画像であり、
前記第2障害物アイコンは、前記第2外界認識画像の視点で前記仮想物体を見た画像であり、
前記第1障害物アイコン及び前記第2障害物アイコンは、前記移動体の周辺における同一の位置を指し示す画像である、
制御装置。
【0093】
(2)によれば、各外界認識画像の視点で所定の仮想物体を見た第1障害物アイコンの画像と第2障害物アイコンの画像は同一の位置を指し示す画像であるため、障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0094】
(3) (2)に記載の制御装置であって、
前記第1外界認識画像は、前記移動体の周辺を上空から見た俯瞰画像であり、
前記第1障害物アイコンは、前記仮想物体を上空から見た画像であり、
前記第2外界認識画像は、前記移動体の周辺を側方から見た3次元画像であり、
前記第2障害物アイコンは、前記仮想物体を側方から見た画像である、
制御装置。
【0095】
(3)によれば、周辺を上空から見た俯瞰画像には仮想物体を上空から見た障害物アイコンが重畳され、周辺を側方から見た3次元画像には仮想物体を側方から見た障害物アイコンが重畳されるので、障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0096】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記表示制御部は、前記ユーザからの所定の入力に基づいて、前記第1外界認識画像及び前記第2外界認識画像の表示を切り替える、
制御装置。
【0097】
(4)によれば、ユーザによって選択される外界認識画像ごとにその外界認識画像の視点に応じた障害物アイコンを表示することができる。
【0098】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記障害物位置に基づいて前記移動体を目標駐車位置に駐車させるための駐車制御を行う駐車制御部(駐車制御部56)を備える、
制御装置。
【0099】
(5)によれば、車両を通過させたくない障害物位置を考慮した駐車制御を実行することができる。
【0100】
(6) (5)に記載の制御装置であって、
前記駐車制御部は、前記障害物位置の候補を前記ユーザに通知し、前記障害物位置の候補の中から前記ユーザにより選択された前記障害物位置の指定を受け付ける、
制御装置。
【0101】
(6)によれば、候補として表示される障害物位置の中からユーザが任意の障害物位置を選択することができるので、障害物位置の指定操作が容易となり障害物位置の設定時の負担を軽減できる。
【0102】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記表示制御部は、前記移動体の移動に伴う前記外界認識画像の変化に応じて前記障害物アイコンの重畳位置を変化させる、
制御装置。
【0103】
(7)によれば、車両の移動に伴う外界認識画像の変化に応じて障害物アイコンの重畳位置も変化するので、障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0104】
(8) 移動体の制御装置が、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得し、
前記移動体のユーザからの入力に基づく障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させ、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることを可能とし、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
制御方法。
【0105】
(8)によれば、外界認識画像の視点に応じた障害物アイコンが表示されるため、障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【0106】
(9) 移動体の制御装置のプロセッサに、
前記移動体の周辺の認識結果を表す外界認識画像を取得し、
前記移動体のユーザからの入力に基づく障害物位置を示す障害物アイコンを前記外界認識画像に重畳して表示装置に表示させ、
前記外界認識画像として、視点が異なる第1外界認識画像及び第2外界認識画像を前記表示装置に表示させることを可能とし、
前記障害物アイコンとして、前記第1外界認識画像には第1障害物アイコンを重畳し、前記第2外界認識画像には前記第1障害物アイコンと異なる第2障害物アイコンを重畳する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【0107】
(9)によれば、外界認識画像の視点に応じた障害物アイコンが表示されるため、障害物アイコンの違和感を抑制することができる。
【符号の説明】
【0108】
10 車両(移動体)
42 タッチパネル(表示装置)
52 演算部(制御装置)
55 外界認識部
56 駐車制御部
57 表示制御部
61 俯瞰画像(第1外界認識画像)
71 3次元画像(第2外界認識画像)
68 俯瞰障害物アイコン(第1障害物アイコン)
72 3次元障害物アイコン(第2障害物アイコン)