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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】釣魚トレイ
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/20 20060101AFI20231207BHJP
   A01K 63/02 20060101ALI20231207BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A01K97/20 501
A01K63/02 A
B65D85/50 150
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022048505
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2017236627の分割
【原出願日】2017-12-11
(65)【公開番号】P2022082629
(43)【公開日】2022-06-02
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(73)【特許権者】
【識別番号】591172157
【氏名又は名称】信菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】東山 貴一
(72)【発明者】
【氏名】生野 智也
(72)【発明者】
【氏名】寺田 岳文
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 佑太
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-058200(JP,U)
【文献】特表2011-509223(JP,A)
【文献】特開2019-103411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/20
A01K 63/02
A23B 4/00 -5/22
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねることができる釣魚トレイであって、
釣魚が載置される載置面を形成する基板部及び前記基板部の対向する側縁に立設され、前記側縁から隆起した一対の側板部を有するトレイ本体と、
前記トレイ本体の一端縁に設けられた第1段丘部材と、
前記トレイ本体の一端縁と対向する他端縁に設けられ、前記第1段丘部材と異なる色が付された第2段丘部材と、
前記第1段丘部材の内壁の中央部に形成され、外側に向かって凹んだ第1湾処部と、
前記第2段丘部材の内壁の短辺方向の隅部に形成され、外側に向かって凹んだ一対の第2湾処部と、を備え、
前記第1湾処部は上下に重なり合うことができる形状に成形され、且つ前記第2湾処部は上下に重なり合うことができる形状に成形されている、
釣魚トレイ。
【請求項2】
前記第1湾処部及び第2湾処部の内奥部に排水孔が形成されている、請求項1に記載の釣魚トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イカその他の釣魚を保冷輸送するためのトレイの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
釣魚は、保冷された状態で輸送されなければならない。一般に、釣魚は、クーラーボックスに氷と共に収容されることによって保冷され、輸送される。ところで、複数の釣魚がクーラーボックス内に無造作に収容されると、庫内で釣魚同士が押し付け合い、鮮魚として劣化する。そのため、仕切り板によって庫内がシステマティックに区画され、複数の釣魚が整列して収納されるクーラーボックスが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-100069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、釣魚が庫内で氷に直接触れてしまうと、釣魚の表面が変色する。また、氷が溶けることにより生じた水に釣魚が浸れば、身がふやけてしまう。かかる不都合は、特に釣魚がイカである場合に顕著であり、釣魚を劣化させず且つ鮮度も落とさずに輸送することは、釣人にとって容易ではなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、氷等の保冷材及び水分との直接接触を回避して複数の釣魚を整列配置し、良好な保冷輸送を可能にする釣魚トレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る釣魚トレイは、釣魚が載置される載置面を形成する基板部及び当該基板部の対向する側縁に立設され、当該側縁から隆起した一対の側板部を有するトレイ本体と、上記基板部が嵌め込まれる真直溝及び上記一対の側板部が嵌め込まれる一対の屈曲溝を有し、上記基板部及び側板部が上記真直溝及び屈曲溝と嵌合した状態で当該トレイ本体の両端縁に着脱自在に設けられ、上記トレイ本体と協働して釣魚を収容する収容室を区画する一対の段丘部材とを備える。一方の段丘部材の内壁に外側に向かって凹んだ第1湾処部が形成され、他方の段丘部材の内壁に外側に向かって凹んだ第2湾処部が形成されており、上記第1湾処部及び第2湾処部の内奥部に排水孔が形成されている。
【0007】
この構成によれば、基板部の両端縁に一対の段丘部材が設けられることにより、当該段丘部材の内壁並びに上記基板部及び側板部により、収容室が形成される。釣魚は、基板部の載置面上に載置されることにより、上記載置面から脱落することなく上記収容室内に安定的に配置される。クーラーボックス内に配置された氷その他の保冷材から水が発生したとしても、当該水は、上記一対の段丘部材に形成された第1湾処部及び第2湾処部へ流れ、排水孔から外部へ排出される。したがって、釣魚に過剰な水分が付着することがない。段丘部材がトレイ本体とは別部材であるので、段丘部材がトレイ本体の端部に嵌め込まれるだけで、簡単に釣魚トレイが組み立てられる。段丘部材は、トレイ本体側にたとえばネジにより締結されてもよい。この場合、段丘部材は確実にトレイ本体に固定され、簡単に取り外される。しかも、トレイ本体のサイズが変更された場合であっても、段丘部材の互換性が維持される。したがって、クーラーボックスの容量に合致した様々なサイズの釣魚トレイが簡単に製造される。
【0008】
(2) 上記基板部は、上記載置面の中央部に頂が形成されるように湾曲されているのが好ましい。
【0009】
この構成では、基板部上の水分は、速やかに基板部と側板部との境界の方へ、あるいは段丘部材側へ流れる。したがって、釣魚に余分な水分が付着することが確実に防止される。
【0010】
(3) 上記第1湾処部及び第2湾処部は、上記排水孔に向かって傾斜する案内面を有するのが好ましい。
【0011】
この構成では、第1湾処部及び第2湾処部に流れた水分は、案内面に案内されてより速やかに排出される。
【0012】
(4) 上記一方の段丘部材の第1湾処部の外底面に突起が形成され、上記他方の段丘部材の上面に上記突起が係合可能な係合孔が設けられているのが好ましい。
【0013】
この構成では、前述のように一の釣魚トレイの上に、向きを変えた他の釣魚トレイが積み重ねられる場合、すなわち、下段の釣魚トレイの第2湾処部の上に上段の釣魚トレイの第1湾処部が配置される場合に、上記突起が上記係合孔に嵌め合わされる。これにより、積み重ねられた釣魚トレイ同士が位置決めされ、安定して積み上げられる。
【0014】
(5) 上記段丘部材の端縁中央に切欠部が設けられているのが好ましい。
【0015】
この構成では、釣人の指が上記切欠部に接触することにより、釣人は、当該釣魚トレイの中央を容易に把握することができ、安定的に持つことができる。また、釣人が複数の釣魚トレイを積み重ねる場合、下段の釣魚トレイに設けられた切欠部に対して上段の釣魚トレイに設けられた切欠部を簡単に位置合わせすることができるので、釣魚トレイの積み上げ作業が容易になる。
【0016】
(6) 上記真直溝及び屈曲溝は、上記トレイ本体の端縁が嵌め込まれる嵌合凹部を形成しているのが好ましい。
【0017】
(7) 上記一方の段丘部材及び他方の段丘部材にそれぞれ異なる色が付されているのが好ましい。
【0018】
この構成では、釣人が釣魚トレイを積み重ねる場合、同色同士を隣り合わせにすれば各釣魚トレイは密着して重ね合わされ、異なる色同士を隣り合わせにすれば、隙間を空けて積み重ねられる。したがって、複数の釣魚トレイを収納する作業、又は複数の釣魚を収容する作業の双方を簡単に行うことができる。
【0019】
(8) 上記トレイ本体は、屈曲された単一の金属板からなるのが好ましい。
【0020】
この構成では、トレイ本体の熱伝導率が高く、釣魚の保冷効果が高くなる。
【0021】
(9) 上記一対の段丘部材は、把手を形成しているのが好ましい。上記第1湾処部は、一方の段丘部材の内壁の中央部に配置され、上記第2湾処部は、他方の段丘部材の内壁の両隅部に配置されているのが好ましい。
【0022】
この構成では、釣人は、一対の段丘部材を把手として使用することができる。したがって、釣人は、当該釣魚トレイを容易にハンドリングすることができ、たとえばクーラーボックスの庫内に容易に収容することができる。
【0023】
上記第1湾処部は、一方の段丘部材の内壁の中央部が外側に向かって凹むことにより形成され、上記第2湾処部は、他方の段丘部材の内壁の両隅部が外側に向かって凹むことにより形成される。
【0024】
一の釣魚トレイの上に他の釣魚トレイが積み重ねられる場合、一方の段丘部材同士及び他方の段丘部材同士が隣り合うように配置されれば、下段の釣魚トレイの第1湾処部の上に上段の釣魚トレイの第1湾処部が重なり、且つ下段の釣魚トレイの第2湾処部の上に上段の釣魚トレイの第2湾処部が重なることになる。下段の釣魚トレイの第1湾処部は上段の釣魚トレイの第1湾処部ど同一形状であり、下段の釣魚トレイの第2湾処部は上段の釣魚トレイの第2湾処部と同一形状であるから、両釣魚トレイは、上下に嵌め合わされ、密に重なり合うことができる。したがって、複数の釣魚トレイは、コンパクトに収納され得る。
【0025】
また、一の釣魚トレイの上に、向きを変えた他の釣魚トレイが積み重ねられる場合、すなわち、下段の釣魚トレイの第2湾処部の上に上段の釣魚トレイの第1湾処部が配置される場合は、両者の形状が異なるために嵌合することができず、一方の段丘部材の上に他方の段丘部材が載置された状態となる。このため、両釣魚トレイは上下方向に段丘部材の高さ寸法に対応する隙間を形成して重なり合う。したがって、釣魚が配置された状態で複数の釣魚トレイが積み重ねられても、釣魚同士の接触、釣魚と釣魚トレイとの接触あるいは釣魚と氷その他の保冷材との接触が回避されるし、しかも、クーラーボックスの庫内のスペースを効率的に活用して多数の釣魚が収容される。
【0026】
(10)上記段丘部材は、樹脂からなるのが好ましい。
【0027】
この構成では、複雑な段丘部材が簡単且つ安価に成形される。したがって、釣魚トレイの製造コストが抑えられる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、釣魚トレイに載置された釣魚は、氷等の保冷材や水分との直接接触が回避されるので、たとえばクーラーボックスの庫内に釣魚トレイが配置されれば、釣魚の劣化や鮮度の低下が防止され、良好な保冷輸送が可能となる。しかも、釣魚トレイは積み重ねが可能であるから、複数の釣魚は、庫内で効率的に整列配置される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る釣魚トレイ10の外観斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るトレイ本体11の斜視図である。
図3図3は、図2におけるIII-III断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る第1段丘部材12の斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る第2段丘部材13の斜視図である。
図6図6は、図4におけるVI-VI断面図である。
図7図7は、図5におけるVII-VII断面図である。
図8図8は、図4における要部拡大図である。
図9図9は、図5の要部拡大図である。
図10図10は第1段丘部材12の裏面側斜視図である。
図11図11は、第2段丘部材13の裏面側斜視図である。
図12図12は、図4におけるXII-矢視図である。
図13図13は、図5におけるXIII-矢視図である。
図14図14は、第1の変形例にかかるトレイ本体71の断面図である。
図15図15は、第2の変形例にかかる第1段丘部材82、第2段丘部材83の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されながら説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係る釣魚トレイの一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0031】
1.概略構成と特徴点
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る釣魚トレイ10の外観斜視図である。
【0033】
釣魚トレイ10は、釣人が釣った魚(釣魚)を載置面32上で保持するものである。この釣魚トレイ10は、たとえばクーラーボックス内に配置されることにより、複数の釣魚が庫内で整列した状態で保存される。釣魚トレイ10は、トレイ本体11と、このトレイ本体11の一端側及び他端側にそれぞれ設けられた第1段丘部材12(特許請求の範囲に記載された「一方の段丘部材」に相当)及び第2段丘部材13(特許請求の範囲に記載された「他方の段丘部材」に相当)とを有する。
【0034】
本実施形態に係る釣魚トレイ10の特徴とするところは、トレイ本体11内の余分な水分が第1段丘部材12及び第2段丘部材13から排出されるようになっている点、釣魚がトレイ本体11上に載置された状態で、複数の釣魚トレイ10が上下方向37に積み重ねられるようになっている点である。これにより、釣魚トレイ10がたとえばクーラーボックスその他の保冷庫に収容された場合、釣魚の劣化が防止されつつ、鮮度を保って搬送されるようになっている。
【0035】
2.トレイ本体
【0036】
図2は、トレイ本体11の斜視図である。図3図2におけるIII-III断面図である。
【0037】
これらの図が示すように、トレイ本体11は、基板部14及び当該基板部14の側縁15、16(特許請求の範囲に記載された「一対の側縁」に相当)に連続する側板部17、18を有する。トレイ本体11は、金属(本実施形態ではステンレス鋼又はアルミニウム合金)からなり、基板部14及び側板部17、18は一体的に形成されている。すなわち、トレイ本体14は、単一の金属板21が屈曲されることにより成形されている。トレイ本体14の肉厚は、0.4mm~2.0mmである。
【0038】
この金属板21は、所定部位22、23において上方に折り曲げられている。この所定部位22、23が基板部14の側縁15、16を形成している。当該所定部位22、23と、当該金属板21の一端縁24及び他端縁25(特許請求の範囲に記載された「両端縁」に相当)とにより、上記基板部14が区画されている。釣魚は、この基板部14の上面、すなわち上記載置面32上に載置される。基板部14の外形形状は、本実施形態では矩形であるが、特に限定されない。本実施形態では、基板部14の短辺方向19(上記側縁15、16が対向する方向)の寸法Aは240mm、長辺方向20(短辺方向19に直交する方向)の寸法Bは、510mmに設定されている。もっとも、寸法A及び寸法Bは特に限定されるものではなく、釣魚トレイ10が収容される保冷庫のサイズに合わせて適宜設計変更され得る。
【0039】
金属板21の折り曲げられた部分26、27が上記側板部17、18を形成している。図3が示すように、側板部17、18は、基板部14に対して短辺方向19について対称に配置されている。側板部17、18の高さ寸法Cは、本実施形態では35mmに設定されているが、30mm~80mmの範囲で適宜設定され得る。本実施形態では、側板部17、18の上縁部28が屈曲されて折り返されている。このように上縁部28が折り返されることによる作用効果は後述される。もっとも、この上縁部28が折り返されていなくてもよい。
【0040】
3.段丘部材
【0041】
図4は、第1段丘部材12の斜視図である。図5は、第2段丘部材13の斜視図である。図6は、図4におけるVI-VI断面図、図7は、図5におけるVII-VII断面図である。図8は、図4における要部拡大図、図9は、図5の要部拡大図である。図10は第1段丘部材12の裏面側斜視図、図11は、第2段丘部材13の裏面側斜視図である。
【0042】
図4及び図5が示すように、第1段丘部材12及び第2段丘部材13は、本実施形態では樹脂(典型的にはポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC))からなり、金型を用いて成形されている。図6及び図7が示すように、第1段丘部材12及び第2段丘部材13は、薄肉の樹脂により形成されている。これらが樹脂により構成されることによる作用効果は後述される。もっとも、第1段丘部材12及び第2段丘部材13が金属から構成されてもよい。
【0043】
図1が示すように、第1段丘部材12及び第2段丘部材13は、トレイ本体11の両端縁24、25に取り付けられ、それぞれ、トレイ本体11の一端縁24及び他端縁25(図2参照)から外側に向かって張り出している。釣人は、第1段丘部材12及び第2段丘部材13の天板部29(特許請求の範囲に記載された「段丘部材の上面」に相当)に指を掛けることができ、これにより、第1段丘部材12及び第2段丘部材13は、当該釣魚トレイ10の把手として機能する。各段丘部材12、13がトレイ本体11に取り付けられることにより、第1段丘部材12、第2段丘部材13及びトレイ本体11が協働して収容室33が区画される。この収容室33は、上方が開放され、基板部14の載置面32を底面とする空間からなる。釣魚は、この収容室33内に安定的に収容される。
【0044】
図12は、図4におけるXII-矢視図であり、図13は、図5におけるXIII-矢視図である。
【0045】
図4図6)、図5図7)及び図12図13)が示すように、第1段丘部材12及び第2段丘部材13のそれぞれの下縁部に嵌合凹部34が設けられている。各嵌合凹部34は、スリット状の溝からなり、真直溝35(図6図7図12図13参照)及び一対の屈曲溝36(図8図10参照)を有する。嵌合凹部34の形状は、トレイ本体11の断面形状に対応している(図3図12図13参照)。したがって、トレイ本体11の一端縁24及び他端縁25(図2参照)は、上記嵌合凹部34に長辺方向20に沿って嵌め込まれている。
【0046】
図1が示すように、トレイ本体11の一端縁24(図2参照)は、ネジ38を介して第1段丘部材12の下縁部に締結されている。図4が示すように、第1段丘部材12の下縁部に5つのネジ螺合部39が設けられている。各ネジ螺合部39は、開口40を有し、この開口40と連通するナット41が形成されている(図6参照)。ネジ38(図1参照)は、上記開口40から挿通され、上記嵌合凹部34に嵌め込まれた基板部14を貫通してナット41にねじ込まれる。なお、第2段丘部材13も同様にして基板部14に締結されている。したがって、ネジ38が着脱されることにより、第1段丘部材12及び第2段丘部材13が容易にトレイ本体11に対して着脱される。
【0047】
図4及び図1が示すように、第1段丘部材12の内壁42に第1湾処部43が形成されている。この第1湾処部43は、上記内壁42の中央部に配置されており、トレイ本体11の外側(長辺方向20の外向き)に向かって凹んでいる。すなわち、第1湾処部43の内壁44は、上記内壁42の中央部が長辺方向20の外側にスライドされた状態である。この第1湾処部43の内底部45(特許請求の範囲に記載された「内奥部」に相当)に排水孔46が設けられている(図8参照)。本実施形態では、この排水孔46は、短辺方向19に延びる細長の孔であり、当該第1湾処部43を貫通している。本実施形態では、2つの排水孔46が設けられているが、排水孔46の形状や数は特に限定されるものではない。ただし、排水孔46は、第1湾処部43の内奥部に形成されているのが好ましい。
【0048】
図4及び図6が示すように、第1段丘部材12の下縁部に案内面48が形成されている(図8参照)。この案内面48は、排水孔46に向かって傾斜し、当該排水孔46と連通している。本実施形態では、排水孔46に対応して2つの案内面48が形成されているが、排水孔46の数及び位置に対応して案内面48が形成される。図4図8が示すように、案内面48は漏斗状に形成されており、水分を収集して排水孔46に導くことができる。
【0049】
図9及び図6が示すように、第1段丘部材12の外底面49に突起50(特許請求の範囲に記載された「一方の段丘部材の第1湾処部の外底面に設けられた突起」に相当)が設けられている。この突起50は、短辺方向19に沿って所定のピッチP1で並設されている。本実施形態では2つの突起50が設けられているが、3つ以上の突起50が設けられていてもよい。この突起50が設けられることによる作用効果については後述される。図1及び図4が示すように、第1段丘部材12の天板部29に2つの係合孔51が設けられている。この係合孔51は、天板部29を上下方向37に貫通している。係合孔51は、短辺方向19に所定の間隔S1を空けて配置されている。係合孔51の周縁部は面取加工が施されている。もっとも、かかる面取加工は省略されてもよい。
【0050】
図1が示すように、トレイ本体11の他端縁25(図2参照)は、ネジ38を介して第2段丘部材13の下縁部に締結されている。図5及び図7が示すように、第2段丘部材13の下縁部に5つのネジ螺合部39が設けられている。前述のように、各ネジ螺合部39の構造は、第1段丘部材12に設けられたネジ螺合部39と同様である。すなわち、ネジ螺合部39は、開口40を有し、この開口40と連通するナット41が形成されている(図7図9参照)。ネジ38(図1参照)は、上記開口40から挿通され、上記嵌合凹部34に嵌め込まれた基板部14を貫通してナット41にねじ込まれる。
【0051】
図5図9及び図1が示すように、第2段丘部材13の内壁52に一対の第2湾処部53が形成されている。この第2湾処部53は、上記内壁52の短辺方向19の隅部に設けられている。すなわち、第2湾処部53は、内壁52の中央部47の両側に配置されており、トレイ本体11の外側(長辺方向20の外向き)に向かって凹んでいる。換言すれば、第2湾処部53の内壁54は、上記内壁52の隅部が長辺方向20の外側にスライドされた状態である。内壁52の中央部47の幅寸法Mは、上記第1湾処部43の短辺方向19の長さ(図4参照)に対応している。
【0052】
各第2湾処部53の内底部55(特許請求の範囲に記載された「内奥部」に相当)に排水孔56が設けられている。この排水孔56は、上記排水孔46(図4参照)と同様に、短辺方向19に延びる細長の孔であり、当該第2湾処部53を貫通している。本実施形態では、各第2湾処部53にそれぞれ単一の排水孔56が設けられているが、排水孔56の形状や数は特に限定されるものではない。ただし、排水孔56は、第2湾処部53の内奥部に形成されているのが好ましい。本実施形態では、第1湾処部43及び第2湾処部53が前述の構造であるが、かかる構造に限定されるものではない。
【0053】
図5図7及び図9が示すように、第2段丘部材13の下縁部に案内面58が形成されている。案内面58は、第1段丘部材12の案内面48(図4参照)と同様に、排水孔56に向かって傾斜している。図5図9が示すように、案内面58は漏斗状に形成されており、水分を収集して排水孔46に導くことができる。
【0054】
図11及び図7が示すように、第2段丘部材13の外底面49に突起60が設けられている。この突起60は、上記突起50(図6図10参照)と同様の形状であり、短辺方向19に沿って所定のピッチP2で並設されている。本実施形態では2つの突起60が設けられているが、3つ以上の突起60が設けられていてもよい。図1及び図5が示すように、第2段丘部材13の天板部29に2つの係合孔61(特許請求の範囲に記載された「上記突起が係合可能な係合孔」に相当)が設けられている。この係合孔61は、上記係合孔51(図4参照)と同様の形状であり、天板部29を上下方向37に貫通している。係合孔61は、短辺方向19に所定の間隔S2を空けて配置されている。係合孔61の周縁部は、上記係合孔51と同様に面取加工が施されている。もっとも、かかる面取加工は省略されてもよい。
【0055】
上記ピッチP1(図10参照)は間隔S2(図5参照)に対応し、上記ピッチP2(図11参照)は間隔S1(図4参照)に対応している。
【0056】
4.作用効果
【0057】
釣人は、釣魚を釣魚トレイ10の収容室33(図1参照)に安定的に配置することができる。釣人は、第1及び第2段丘部材12、13を把手として使用し、釣魚トレイ10をたとえばクーラーボックスの庫内に容易に収容することができる。一般に、庫内に氷その他の保冷材も収容される。釣魚は釣魚トレイ10に収容されているから、保冷材と直接に接触することがない。仮に保冷材から水が発生し、釣魚トレイ10の収容室33に侵入したとしても、この水は、第1段丘部材12及び第2段丘部材13の第1湾処部43及び第2湾処部53へ流れ、排水孔46、56から外部へ排出される。したがって、釣魚に過剰な水分が付着することがなく、釣魚の劣化が防止される。
【0058】
一の釣魚トレイ10の上に他の釣魚トレイ10が積み重ねられる(図1参照)。すなわち、他の釣魚トレイ10が長辺方向20に反転され、一の釣魚トレイ10の上に重ねられる。このとき、第2段丘部材13が第1段丘部材12の上に配置される。第1段丘部材12の形状は第2段丘部材13の形状と異なるので、第1湾処部43の外底面49(図6参照)が第2段丘部材13の天板部29の上に当接する。これにより、両釣魚トレイ10は各段丘部材12、13の高さ寸法に対応する隙間を形成して上下に重なり合う。したがって、複数の釣魚が整列してクーラーボックス内に配置され、しかも、釣魚同士の接触、釣魚と釣魚トレイとの接触、あるいは釣魚と保冷材との接触が回避される。
【0059】
加えて、他の釣魚トレイ10内に発生した水は、上記排水孔46、56を通じて外部へ排出されるが、この排水孔46、56は前述の位置に配置されているから、他の釣魚トレイ10から排出された水が一の釣魚トレイ10の収容室33内に侵入することがなく、確実に第1湾処部43あるいは第2湾処部53に落下する。その結果、多数の釣魚がクーラーボックス内に収容されたとしても、水による釣魚の劣化が防止される。
【0060】
本実施形態では、図4及び図5が示すように、案内面48、58が設けられているから、第1湾処部12及び第2湾処部13に流れた水分は、案内面48、58に案内されて速やかに排水孔46、56から排出される。
【0061】
なお、第1段丘部材12同士及び第2段丘13同士が上下に重なるように複数の釣魚トレイ10が積み重ねられると、第1湾処部43同士及び第2湾処部53同士が重なり合うので、両釣魚トレイ10は、上下に嵌め合わされ、密に重なり合うことができる。したがって、複数の釣魚トレイがコンパクトに収納され得る。
【0062】
本実施形態では、前述のように複数の釣魚トレイ10が互いに反転して積み重ねられる場合、下段の釣魚トレイ10の第2湾処部53の上に上段の釣魚トレイ10の第1湾処部43が当接するが、上記突起50(図6参照)が上記係合孔61に嵌め合わされ、上記突起60(図7参照)が上記係合孔51に嵌め合わされる。これにより、積み重ねられた釣魚トレイ10同士が位置決めされ、安定して積み上げられる。
【0063】
本実施形態では、第1段丘部材12、第2段丘部材13が樹脂により成形されるので、トレイ本体11とは別部材として構成される。また、各段丘部材12、13が複雑な形状であっても、簡単且つ安価に成形され、釣魚トレイ10の製造コストが抑えられる。各段丘部材12、13は、トレイ本体11の端部に嵌め込まれるだけで(図1参照)、簡単に釣魚トレイ10が組み立てられる。本実施形態では、各段丘部材12、13は、トレイ本体11側にネジ38により締結されているので、トレイ本体11に対して簡単に着脱される。したがって、トレイ本体11のサイズ(上記寸法B)が変更された場合であっても、各段丘部材12、13の互換性が維持される。その結果、クーラーボックスの容量に合致した様々なサイズの釣魚トレイ10が簡単に製造されるという利点がある。
【0064】
本実施形態では、トレイ本体11が単一の金属板21からなるので、トレイ本体11の熱伝導率が高く、釣魚の保冷効果が高くなるという利点がある。
【0065】
本実施形態では、トレイ本体11の側板部17、18の上縁部28が外側に折り返されているので、トレイ本体11の剛性が向上し、釣人にとって釣魚トレイ10のハンドリングがより容易になる。
【0066】
5.変形例
【0067】
図14は、本実施形態の第1の変形例にかかるトレイ本体71の断面図である。
【0068】
本変形例に係るトレイ本体71が上記実施形態に係るトレイ本体11と異なるところは、トレイ本体11の基板部14がほぼ平坦な部材であるのに対し、トレイ本体71の基板部74は、載置面32が上方に凸となる曲面に形成されている点である。すなわち、上記載置面32の中央部に頂70が形成されており、当該載置面32は、側縁15、16に向かって下方に傾斜している。
【0069】
この変形例によれば、基板部74上の水分は、速やかに基板部74と側板部17、18との境界の方へ、あるいは第1段丘部材12側、第2段丘部材13側へ流れる。したがって、余分な水分が釣魚に付着することが確実に防止される。
【0070】
図15は、本実施形態の第2の変形例にかかる第1段丘部材82、第2段丘部材83の構造を示す斜視図である。
【0071】
本変形例に係る第1段丘部材82、第2段丘部材83が上記実施形態に係る第1段丘部材12、第2段丘部材13と異なるところは、第1段丘部材82、第2段丘部材83に切欠部84が設けられている点である。この切欠部84は、天板部29の端縁中央に設けられており、本変形例では、円弧状に切り欠かれている。
【0072】
この変形例では、釣人の指が切欠部84に接触することにより、釣人は、釣魚トレイ10の中央を容易に把握することができ、安定的に持つことができる。また、前述のように複数の釣魚トレイ10が積み重ねられる場合、釣人は、下段の釣魚トレイ10に設けられた切欠部84に対して上段の釣魚トレイ10に設けられた切欠部84を簡単に位置合わせすることができる。その結果、釣魚トレイ10の積み上げ作業が容易になる。
【0073】
また、第1段丘部材12及び第2段丘部材13にそれぞれ異なる色が付されていてもよい。この場合、天板部29のみの色が変更されてもよいし、カラーテープ等が付着されてもよい。このように、第1段丘部材12及び第2段丘部材13に異なる色が付されることにより、釣人が釣魚トレイ10を積み重ねる場合に、同色同士を隣り合わせにすれば各釣魚トレイ10は密着して重ね合わされ、異なる色同士を隣り合わせにすれば、上下に隙間を空けて積み重ねられる。したがって、釣魚トレイの積み重ね作業がより円滑に行えるという利点がある。
【符号の説明】
【0074】
10・・・釣魚トレイ
11・・・トレイ本体
12・・・第1段丘部材
13・・・第2段丘部材
14・・・基板部
15・・・側縁
16・・・側縁
17・・・側板部
18・・・側板部
21・・・金属板
22・・・所定部位
23・・・所定部位
24・・・一端縁
25・・・他端縁
26・・・折り曲げられた部分
27・・・折り曲げられた部分
28・・・上縁部
29・・・天板部
32・・・載置面
33・・・収容室
34・・・嵌合凹部
37・・・上下方向
38・・・ネジ
42・・・内壁
43・・・第1湾処部
44・・・内壁
45・・・内底部
46・・・排水孔
47・・・中央部
48・・・案内面
49・・・外底面
50・・・突起
51・・・係合孔
52・・・内壁
53・・・第2湾処部
56・・・排水孔
60・・・突起
61・・・係合孔
70・・・頂
71・・・トレイ本体
82・・・第1段丘部材
83・・・第2湾処部材
84・・・切欠部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15