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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】浴室用車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20231207BHJP
   A61G 5/08 20060101ALI20231207BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20231207BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A61H33/00 310K
A61G5/08 702
A61G5/12 701
A61G5/10 717
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022065860
(22)【出願日】2022-04-12
(65)【公開番号】P2023156166
(43)【公開日】2023-10-24
【審査請求日】2022-04-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102234
【氏名又は名称】ウチヱ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】内山 稔章
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05188383(US,A)
【文献】登録実用新案第3215892(JP,U)
【文献】英国特許出願公告第01140204(GB,A)
【文献】特開2011-010850(JP,A)
【文献】特開平06-209976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/08
A61H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を隔てて相平行する一対のハンドルパイプ1-1(背もたれパイプ)の下部に、相平行する一対のボトムパイプ1-2の水平部後端部を連結し、前記ハンドルパイプ1-1の垂直部に後端部を固着され、かつ前端側端部を前記ボトムパイプ1-2との間に垂直に配置した左右一対のフロントパイプ2にて水平に支持された左右一対のシートパイプ1-3を有し、前記シートパイプ1-3、座面シート3、座面シート3の中央部から幅方向に屈曲可能に接続された座面シート受け3-1a、シートパイプ1-3の前端部に回動自在に枢着された非屈曲形の左右一対の座面シート受け3-1b、前記座面シート受け3-1bに固定された、対向面がほぼU字形状に形成された凹部3-11aを有する幅方向に二つ折り構造のシート部材を有し、さらに2本のパイプをX形にクロスさせかつ該クロス部を回動自在に枢着した2組のクロスパイプ1-4を前記シートパイプ1-3の間に縦向きに配置するとともに、各クロスパイプの下端部を前記ボトムパイプ1-2の水平部にリンクを介して回動可能に連結し、同クロスパイプの上部を前記シートパイプ1-3にブラケットを介して回動可能に連結し、前記シートパイプ1-3、ハンドルパイプ1-1およびボトムパイプ1-2を幅方向に開閉可能に設けるとともに、中央部から幅方向に上向きに折りたたみ可能な左右一対の二つ折り構造であって、水平状態時には中央部に尻洗浄用のU字形状の貫通孔3-2が形成されるごとく左右のシート対向面が凹形に形成されている座面シート3を備え、かつ前記座面シート3は基端部を前記シートパイプ1-3に回動可能に枢着されて、前記シートパイプ1-3およびハンドルパイプ1-1の開閉動作と同時に中央部から幅方向に上向きに回動して起き上がり左右二つに折りたたまれる構造となしていることを特徴とする浴室用車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に高齢者や身体の不自由な方の浴室用椅子としてより好適な折り畳み式の浴室用車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
特に介護を必要とする高齢者や身体障害者用の浴室用椅子としては、例えば、シートパイプに4本の脚が取り付けられ、脚と一体のハンドルパイプ(背もたれパイプ)に支持パイプにて支持された手摺が固着され、シートパイプに座面シートが取り付けられた構造となしたものや、前記脚にキャスターを取付けて移動式としたもの、あるいは座ったままで自由に回転できる機能を備えたもの等が知られている。しかし、固定式や移動式あるいは回転式の浴室用椅子は、不使用時において収納、保管する場合や適当な場所に置く場合に比較的スペースをとるなど、取扱いの面で不便であった。
【0003】
そこで、前記した浴室用椅子の難点を解消するために、本出願人は椅子本体をワンタッチ操作で簡単に折りたためる構造とすることにより、不使用時には狭いスペースに立てて置くことができ、かつ収納、保管にも広いスペースを必要としない浴室用折りたたみ式椅子を先に提案した(特許文献1参照)。この浴室用折りたたみ式椅子は、椅子本体が前後方向に折りたためる構造となしたもので、折りたたんだ場合には椅子本体の前後方向幅が大幅に縮まり持ち運びに便利であるのみならず、狭いスペースに立てて置くことができ、かつ収納、保管にも広いスペースを必要としない利点があり、又、折りたたみ機構にクロスパイプ方式を採用しているので、構造がコンパクトでかつ脚の開閉もワンタッチ操作で簡易迅速に行うことができ、さらに、肘掛けが背もたれに連動する跳ね上げ式となっているので、椅子への乗り降りが容易でかつ楽にできる上、椅子の背面側に跳ね上げて立てておくことができるので、手足や背中などを洗滌する際にも邪魔にならず便利であるという特徴を有している。
【0004】
一方、椅子本体を前後方向に折りたたむ方式に替えて幅方向に折りたたむ方式の浴室用折りたたみ式車椅子も知られている。この椅子本体を幅方向に折りたたむ方式の浴室用折りたたみ式車椅子には、中央部に尻洗浄用の貫通孔が設けられた平板状の座面シートを椅子本体に着脱式となしたものと、椅子本体に一体的に取付けられたものとの二種類が知られている。このうち、座面シートが着脱式となした浴室用折りたたみ式車椅子の場合は、座面シートが屈曲できない固形材料の一枚物で作られていることから椅子本体と同様に折りたたむことができないため、座面シートは着脱方式となっており、椅子不使用時には椅子本体から取り外して収納し、椅子使用時には椅子本体を開脚した状態で座面部に載置して使用する方式となっている。これに対し、座面シートが椅子本体に一体的に取付けられた浴室用折りたたみ式車椅子の場合は、座面シートが布製のような屈曲可能な材質のもので作られているため、座面シートを椅子本体と同様に折りたたむことできるという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3106591号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記の椅子本体を幅方向に折りたたむ方式の浴室用折りたたみ式車椅子の場合、椅子本体の開閉をワンタッチ操作で簡易迅速に行うことができるも、車椅子使用時には椅子本体を開脚した状態で座面部に座面シートを載置して使用し、車椅子不使用時には座面シートを車椅子本体から取り外して収納する方式となっているため、座面シートの着脱に手間がかかるのみならず、取り外した座面シートの収納場所や置き場所にも苦慮するという欠点がある。又、布製のような屈曲可能な材質のもので作られた薄い座面シートが車椅子本体に一体的に取付けられた浴室用折りたたみ式車椅子の場合は、前記別体の座面シートを用いた浴室用折りたたみ式車椅子の欠点はないものの、座面シート自体が薄くかつシート中央部に尻洗浄用の貫通孔が設けられているために、前記着脱式の座面シートに比べ強度的に弱くかつシート自体の耐久性も劣るという欠点がある。
【0007】
本発明は前記した従来の幅方向に折りたたむ方式の浴室用車椅子の欠点を解消すべくなされたものであり、中央部に尻洗浄用の貫通孔が形成される二分割構造の座面シートが椅子本体に一体的に取付けられ、かつ座面シートと椅子本体をワンタッチ操作で同時に幅方向に折りたたみ可能となすとともに、車椅子全体をコンパクトに折りたたむことができる浴室用車椅子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る浴室用車椅子は、所定の間隔を隔てて相平行する一対のハンドルパイプ1-1(背もたれパイプ)の下部に、相平行する一対のボトムパイプ1-2の水平部後端部を連結し、前記ハンドルパイプ1-1の垂直部に後端部を固着され、かつ前端側端部を前記ボトムパイプ1-2との間に垂直に配置した左右一対のフロントパイプ(座面支持パイプ)2にて水平に支持された左右一対のシートパイプ1-3を有し、前記シートパイプ1-3、座面シート3、座面シート3の中央部から幅方向に屈曲可能に接続された座面シート受け3-1a、シートパイプ1-3の前端部に回動自在に枢着された非屈曲形の左右一対の座面シート受け3-1b、前記座面シート受け3-1bに固定された、対向面がほぼU字形状に形成された凹部3-11aを有する幅方向に二つ折り構造のシート部材を有し、さらに2本のパイプをX形にクロスさせかつ該クロス部を回動自在に枢着した2組のクロスパイプ1-4を前記シートパイプ1-3の間に縦向きに配置するとともに、各クロスパイプの下端部を前記ボトムパイプ1-2の水平部にリンクを介して回動可能に連結し、同クロスパイプの上部を前記シートパイプ1-3にブラケットを介して回動可能に連結し、前記シートパイプ1-3、ハンドルパイプ1-1およびボトムパイプ1-2を幅方向に開閉可能に設けるとともに、中央部から幅方向に上向きに折りたたみ可能な左右一対の二つ折り構造であって、水平状態時には中央部に尻洗浄用のU字形状の貫通孔3-2が形成されるごとく左右のシート対向面が凹形に形成されている座面シート3を備え、かつ前記座面シート3は基端部を前記シートパイプ1-3に回動可能に枢着されて、前記シートパイプ1-3およびハンドルパイプ1-1の開閉動作と同時に中央部から幅方向に上向きに回動して起き上がり左右二つに折りたたまれる構造となしていることを特徴とするものである。
【0009】
この発明において、左右一対の幅方向二つ折り構造の座面シートは、水平状態時(使用中)には中央部にU字形状の貫通孔、即ち尻洗浄用の貫通孔が形成されるように対向面が凹形に形成されている。又、ボトムタイプの前端部には着脱式ステップパイプが設けられる。
さらに、この浴室用車椅子は、左右一対の座面支持パイプに後輪制動方式のハンドブレーキを備え、その後輪制動方式のハンドブレーキとしては、前記左右一対の座面支持パイプに取付けられたブレーキ操作レバーを立てることにより、該ブレーキ操作レバーに接続された後輪ブレーキバーにより後輪が押圧されてブレーキがかかり、他方、車椅子を乗り降りする際には、ブレーキ操作レバーが邪魔にならないように該レバーを折りたためる仕組みとなしている。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記のごとく、中央部に尻洗浄用の貫通孔が形成される二分割構造の座面シートが椅子本体に一体的に取付けられ、かつ座面シートと椅子本体をワンタッチ操作で同時に幅方向および上向きにコンパクトに折りたたみ可能となしているので、着脱式の座面シートを用いる従来の折りたたみ式車椅子に比べ椅子本体の組立てや座面シートの着脱等の手間を要せず、又、座面シートの収納場所や置き場所にも苦慮する必要がなく、浴室用車椅子の片付けや持ち運び、収納にも便利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る浴室用車椅子の実施の形態の一例を示す開脚状態の斜視図である。
図2】同上浴室用車椅子の開脚途中の状態の脚体部を一部省略して示す斜視図である。
図3】同上浴室用車椅子の開脚状態を示す正面図である。
図4】同上浴室用車椅子の折りたたみ状態(閉脚)を示す正面図である。
図5】同上浴室用車椅子の後輪制動方式のハンドブレーキの一例を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図5に示す浴室用椅子において、1は脚体、1-1はハンドルパイプ(背もたれパイプ)、1-2はボトムパイプ、1-3はシートパイプ、1-4はクロスパイプ、1-4aはリンク、1-4bと1-4cはブラケット、2はフロントパイプ、3は座面シート、3-1はシート部材、3-1a、3-1bは座面シート受け、4は前輪、4-1は前輪ステップガイド、4-2はステップパイプ、4-3はステップ、5は後輪、5-1は後輪軸受、6は後輪制動用ハンドブレーキ、7は跳ね上げ式ひじ掛け、8は背もたれシートである。
【0013】
本発明に係る浴室用車椅子は、相平行する左右一対のハンドルパイプ1-1、前記ハンドルパイプ1-1下端部に後端部が接続された左右一対のボトムパイプ1-2、前記ボトムパイプ1-2の上方に該ボトムパイプと相平行するごとく後端部をハンドルパイプ1-1に接続した左右一対のシートパイプ1-3、2本のパイプをX形にクロスさせかつ該クロス部を回動自在に枢着した2組のクロスパイプ1-4、前記ボトムパイプ1-2とシートパイプ1-3間に垂直に配設したフロントパイプ2とで椅子本体が構成され、該椅子本体の前記シートパイプ1-3に、幅方向に二つ折り構造の座面シート3を有する構造となしている。
【0014】
幅方向に二つ折り構造の座面シートは、ハンドルパイプ1-1側端部がシートパイプ1-3に回動自在に枢着され、かつ中央部から幅方向に屈曲可能に連結ピン3-1cにて接続された左右一対の座面シート受け3-1aと、シートパイプ1-3の前端側に回動自在に枢着された非屈曲形の左右一対の座面シート受け3-1bに固定された、対向面がほぼU字形状に形成された凹部3-11aを有する幅方向に二つ折り構造のシート部材3-1を有する構造となしている。この左右一対の幅方向に二つ折り構造の座面シート3は、椅子使用時には水平状態が保持されて中央部に前方が開いたU字形状の貫通孔、即ち尻洗浄用の貫通孔3-2が形成され、椅子不使用時にはシートパイプ1-3を支点に上向きにのみ回動して折りたたまれる仕組みとなっている。
【0015】
ハンドルパイプ1-1とボトムパイプ1-2は、ボトムパイプ1-2の後端部に固着した後輪軸受付きブラケットb1を介して接続され、さらにハンドルパイプ1-1に固着したブラケットb2を介してシートパイプ1-3が横設されている。又、2組のクロスパイプ1-4は、それぞれ2本のパイプをX形にクロスさせかつ該クロス部を結合ピンp1にて回動自在に結合されており、該クロスパイプ1-4の下端部は、ボトムパイプ1-2にそれぞれ回動可能に外嵌したリンク1-4a付きブラケット1-4bを介して連結され、該クロスパイプ1-4の上端部はブラケット1-4cを介してシートパイプ1-3に連結されている。すなわち、椅子本体は2組のクロスパイプ1-4の作用により左右のハンドルパイプ1-1およびボトムパイプ1-2を幅方向に開閉可能に設けるとともに、各シートパイプ1-3に一端を回動自在に枢着された座面シート受け3-1a、3-1bに二つ折り構造の座面シート3を固着して座面が形成される構造となしたもので、左右のハンドルパイプ1-1を開くと座面シート3が水平に開いて1枚状のシートからなる座面が形成され、ハンドルパイプ1-1を閉じるとシート状の座面が中央部から上向きに起き上がり左右二つに折りたたまれて幅方向に閉じられる仕組みとなしている。
【0016】
前記ボトムパイプ1-2の先端部および後端部には、それぞれ前輪4および後輪5が取付けられている。前輪4は左右のステップガイド4-1の先端部に一体に装着したキャスター4aを介して回転自在に取付けられ、大輪のハンドリム付き後輪5はボトムパイプ1-2に固着した後輪軸受付きブラケットb1に軸着されている。さらに、前記前輪ステップガイド4-1にはその先端部にステップパイプ4-2が凹凸嵌合方式にて着脱可能にかつ回転自在に取付けられ、ステップパイプ4-2の先端部にステップ4-3が着脱可能に装着されている。
【0017】
また、後輪制動用ハンドブレーキ6は、椅子本体の側面でレバー操作により後輪を制動する方式を採用したもので、その後輪制動用ハンドブレーキ6の構造は、図1図3図5に示すように、椅子本体の構成部材の一つであるフロントパイプ2の側面に固着した台板6-1と、該台板6-1に下部をネジピン6-3にて前後方向に回動可能に軸着したほぼ直角形状のL形部材6-2と、該L形部材6-2の下部先端側にネジピン6-7にて台板6-1に前後方向に回動可能に軸着した可動リンク6-4と、前記L形部材6-2と可動リンク6-4とをつなぐ接続リンク6-5と、前記可動リンク6-4の下部に水平に突設した棒状のブレーキバー6-6と、前記直角形状のL形部材6-2の上端部に前後方向に折りたたみ可能に枢着したブレーキ操作レバー6-8とから構成され、また、前記ブレーキ操作レバー6-8は乗り降りの際に邪魔にならないように、前方にも倒せるように当該レバーの中央部に長さ方向に形成した凹溝6-9の部分にL形部材6-2の上部が軸ピン6-10にて前後方向にも回動可能に枢着されている。
すなわち、この後輪制動用ハンドブレーキ6は、ブレーキ操作レバー6-8を立てるとブレーキバー6-6による後輪制動力が解除されて移動可能となり、またブレーキ操作レバー6-8を立てた状態で前方に力を加えると、ブレーキバー6-6により後輪制動力が働いてブレーキがかかり、ブレーキ操作レバー6-8を前方に倒して折りたたむと該ブレーキ操作レバー6-8が邪魔にならずに乗り降りできるようになっている。
【0018】
跳ね上げ式ひじ掛け7は、後端をハンドルパイプ1-1に上下方向に回動自在にかつほぼ水平に支持されるごとく取着されている。また、背もたれシート8は、ハンドルパイプ1-1に着脱可能に取付けられている。なお、跳ね上げ式ひじ掛け7や背もたれシート8はここに示したものに限定するものではなく、各種のものを用いることができる。
【0019】
上記構造の浴室用車椅子において、開脚した状態は図1図2に示すごとく、幅方向の間隔は左右一対のシートパイプ1-3間と左右一対のボトムパイプ1-2間に配した2組のクロスパイプ1-4の作用により保持される。このとき、各シートパイプ1-3に一端を回動自在に枢着された二つ折り構造の座面シート3は、左右一対の座面シート受け3-1a、3-1bにより水平に保持され、中央部には尻洗浄用のU字形状の貫通孔3-2が形成される。
【0020】
また、浴室用車椅子を折りたたむ場合は、左右のハンドルパイプ1-1を閉じると二つ折り構造の座面シート3が下側から上側に押し上げられることにより2組のクロスパイプ1-4の作用でワンタッチ動作で簡単に幅方向に折りたたむことができる。すなわち、座面シート3を下側から上側に押し上げると、2組のクロスパイプ1-4が下方へ移動することにより座面シート3が中央部から上向きに起き上がり左右二つに折りたたまれて幅方向に閉じられ、図4に示すごとくハンドルパイプ1-1及びボトムパイプ1-2を相重なる位置まで閉じると、シートパイプ1-3はさらに上方に移動した状態となる。
【0021】
折りたたんだ状態にある浴室用車椅子を使用する場合は、折りたたみ時と逆の動作、すなわちハンドルパイプ1-1及びボトムパイプ1-2を幅方向に開くことによって2組のクロスパイプ1-4が幅方向に開かれて開脚する。そして、シートパイプ1-3に固定された座面シート受け3-1a、3-1bが水平に保持されて、中央部に尻洗浄用のU字形状の貫通孔3-2が形成されることによって開脚完了となる。
【0022】
なお、車椅子使用時には、跳ね上げ式ひじ掛け7を水平に保持した状態で使用し、またステップパイプ4-2の先端部に着脱可能に装着されているステップ4-3も必要に応じて使用し、不使用時あるいは収納時には本体から外しておくこともできる。
【0023】
本発明は上記のごとく、開脚時には中央部に尻洗浄用のU字形状の貫通孔が形成される二分割構造の座面シートか椅子本体に一体的に取付けられ、かつ閉脚時には座面シートと椅子本体がワンタッチ操作で簡易迅速に幅方向に折りたたまれる構造となしているので、携帯、持ち運びに便利であるのみならず、座面シートは椅子本体に一体的に取付けられているため座面シートの着脱手段が省かれるとともに、取り外した座面シートの収納場所や置き場所にも苦慮する必要がなくなる。さらに、二分割構造の座面シートには、容易に屈曲できない所望厚さの固形材料製のものを用いることができるので、強度的にも強くかつ耐久性にも優れたものを用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 脚体
1-1 ハンドルパイプ
1-2 ボトムパイプ
1-3 シートパイプ
1-4 クロスパイプ
1-4a リンク
1-4b、1-4c、b2 ブラケット
2 フロントパイプ
3 座面シート
3-1 シート部材
3-1a、3-1b 座面シート受け
3-1c 連結ピン
3-11a 凹部
3-2 貫通孔
4 前輪
4-1 前輪ステップガイド
4-2 ステップパイプ
4-3 ステップ
4a キャスター
5 後輪
5-1 後輪軸受
6 後輪制動用ハンドブレーキ
6-1 台板
6-2 L形部材
6-3、6-7 ネジピン
6-4 可動リンク
6-5 接続リンク
6-6 ブレーキバー
6-8 ブレーキ操作レバー
6-9 凹溝
6-10 軸ピン
7 跳ね上げ式ひじ掛け
8 背もたれシート
p1 結合ピン
b1 後輪軸受付きブラケット
図1
図2
図3
図4
図5