(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】スポイラ構造
(51)【国際特許分類】
B62D 37/02 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B62D37/02 E
(21)【出願番号】P 2022161895
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2021024271の分割
【原出願日】2021-02-18
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】安保 慧
(72)【発明者】
【氏名】安藤 謙一
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-305452(JP,A)
【文献】実開昭59-182474(JP,U)
【文献】実公平08-002062(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に装着されるベース部と、
前記ベース部に対して、車両前側の前側位置から車両後側の後側位置まで移動する可動整流部と、を備え、
前記車体の上面から低い位置に前記ベース部の上面が設けられ、
前記前側位置に移動した前記可動整流部の前端が、前記ベース部の上面に配置されるとともに前記車体の上面に連続し、
前記後側位置における前記可動整流部の後端の高さ位置は、前記前側位置における前記可動整流部の後端の高さ位置よりも低くなるとともに、
前記ベース部の後縁には、該ベース部の上面から低くなるように段差が凹設され、前記後側位置に移動した前記可動整流部の前端が前記段差に配置されるとともに前記ベース部の上面に連続することを特徴とするスポイラ構造。
【請求項2】
前記後側位置における前記可動整流部は、後端が前端より低くなるように傾斜することを特徴とする請求項1記載のスポイラ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポイラ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リアスポイラに相当するエルロンの後端が通常位置から上下に移動するものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のスポイラ構造では、スポイラが後方へ移動する開示はなく、リアスポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることは出来ない。したがって、更なる改良の余地があった。
この発明は、スポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることができるスポイラ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスポイラ構造は、車体に装着されるベース部と、ベース部に対して、車両前側の前側位置から車両後側の後側位置まで移動する可動整流部と、を備える。車体の上面から低い位置にベース部の上面が設けられ、前側位置に移動した可動整流部の前端が、ベース部の上面に配置されるとともに車体の上面に連続し、後側位置における可動整流部の後端の高さ位置は、前側位置における可動整流部の後端の高さ位置よりも低くなるとともに、ベース部の後縁には、ベース部の上面から低くなるように段差が凹設され、後側位置に移動した可動整流部の前端が段差に配置されるとともにベース部の上面に連続する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることができるスポイラ構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態のスポイラ構造で、車体のルーフ後縁に設けられたリアスポイラの可動整流部が前側位置にある状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のスポイラ構造で、可動整流部が中間位置にある状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態のスポイラ構造で、可動整流部が後側位置にある状態を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態のスポイラ構造で、車両前側の前側位置から中間位置を通って車両後側の後側位置まで可動整流部を移動させるリンク機構を説明する模式的な側面図である。
【
図5】本実施形態の変形例のスポイラ構造で、可動整流部の後端に後端灯体部を有する車両後部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。方向を説明する際には、特に示さない限り、基本的に運転者から見た前後,左右あるいは上下に基づいて説明する。また、「車幅方向」は「左右方向」と同義である。
【0009】
本実施形態のスポイラ構造の構成について説明する。
図1に示すように本実施形態の車両1には、車体2上部にルーフ部3が設けられている。ルーフ部3の後縁3aには、車幅方向略全域にリアスポイラ5が装着されている。
リアスポイラ5は、車体2に装着されるベース部6と、可動整流部7とを有している。可動整流部7は、ベース部6に対して、
図1に示す車両前側の前側位置(A)から
図2に示す中間位置(B)を通って、
図3に示す車両後側の後側位置(C)まで移動する。
ここで中間位置(B)は、前側位置(A)と後側位置(C)の真ん中(中央)位置に限定されるものではない。たとえば、可動整流部7の後述する後端7aが上方に移動する位置を前側位置(A)と後側位置(C)の真ん中より前側に設定したり、あるいは真ん中位置よりも後側に設定する等、中間位置(B)は、前側位置(A)と後側位置(C)との間に設けれるものであればどこに設けられていてもよい。
また、ベース部6および可動整流部7の間には、可動整流部7を移動させるリンク機構8(
図4参照)が設けられている。本実施形態のリンク機構8は、車幅方向に所定寸法離間されて左,右一対設けられている。
【0010】
図4に示すように、ベース部6は、車体2のルーフ部3の後縁3aに設けられている。
本実施形態のベース部6は、車体2のルーフ部3の後縁3aに離間して設けられる前側回動ベース部6aと、後側回動ベース部6bとを有している。また、ベース部6は、前,後側回動ベース部6a,6bを覆う中空ボックス状のケース6cと、ケース6c上面に設けられて後方に傾斜する平面を有する固定スポイラ6dとを有している。
固定スポイラ6dは、移動および角度が可変することなくルーフ部3の後縁3aから一段低い位置に後方に向かうにつれて下降する所定の傾斜角度が与えられて配置されている。固定スポイラ6dの後端には、固定スポイラ6dの上面から一段低くなるように段差3bが凹設されている。
【0011】
可動整流部7は、車幅方向横長に形成された左右対称の翼形状で、前端7bと後端7aとの間の外側に上面7cが形成されている。上面7cは、反対側に位置する下面とともにまたは、単独で凸状または凹状の湾曲面となるように形成されている。
図4に示すように、可動整流部7は、前側位置(A)から中間位置(B)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが上方に移動する。また、可動整流部7は、中間位置(B)から後側位置(C)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが下方に移動する。
さらに、後側位置(C)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Chは、前側位置(A)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Ahよりも低くなるように設定されている。
なお、可動整流部7は、前側位置(A)及び後側位置(C)に配置された状態で、前端7bよりも後端7aが低くなっている。可動整流部7は、中間位置(B)に配置された状態で、前端7bよりも後端7aが高くなっている。
可動整流部7は、後側位置(C)に配置された状態で、前端7bが段差3bに配置されるとともに、上面7cが固定スポイラ6dの上面と面一になる。
【0012】
本実施形態のリンク機構8は、車体2を固定部とした自由度1の四節リンク機構であり、左,右一対設けられている。
図4では、一方のリンク機構8について説明し、他方のリンク機構8については、左右略対称であるため、説明を省略する。
リンク機構8は、直棒状の第一リンク11と、直棒状の第二リンク12と、第一リンク11および第二リンク12を動かす回動アクチュエータ13とを有している。また、リンク機構8は、回動アクチュエータ13の回転駆動力を第一リンク11に伝達する回動アーム14を有している。
本実施形態では、第一リンク11の長さ寸法L1は、第二リンク12の長さ寸法L2よりも大きい。
また、回動アーム14は、ほぼ同寸法の一対の連結ロッドを折畳可能に連結している。連結ロッドの基端の一方は、回動アクチュエータ13の回転出力軸に基端側を連結している。さらに、連結ロッドの先端の他方は、第一リンク11の長手方向中間位置に回動可能に接続されている。
【0013】
そして、第一リンク11の下端は、前側回動ベース部6aに回動自在に接続されている。これにより、第一リンク11は、前側回動ベース部6aに連結されている箇所を回動中心として、上端を車両前後方向に揺動可能としている。第一リンク11の上端は、可動整流部7の前後方向中間部よりも前側に回動自在に接続されている。
【0014】
また、後側回動ベース部6bは、車体2のルーフ部3の後縁3aに、設けられている。後側回動ベース部6bは、前側回動ベース部6aよりも車両後方に所定寸法離間して、かつ一段高い位置に固定されている。
さらに、第二リンク12の下端は、後側回動ベース部6bに回動自在に接続されている。これにより、第二リンク12は、後側回動ベース部6bに連結されている箇所を回動中心として、上端を車両前後方向に揺動可能としている。第二リンク12の上端は、可動整流部7の前後方向中間部において回動自在に接続されている。
第二リンク12は、第一リンク11よりも短いが、後側回動ベース部6bが前側回動ベース部6aよりも高い位置に配置されている。そのため、中間位置(B)において、第二リンク12の先端は、第一リンク11の先端よりも高い位置となる。これにより、可動整流部7は、中間位置(B)において後端7aに向かうほど高くなるように傾斜し、ダウンフォースを得られる。
【0015】
本実施形態では、少なくとも一方のリンク機構8に回動アクチュエータ13が設けられている。回動アクチュエータ13は、図示しない電動モータと、電動モータの回転駆動により出力軸を減速駆動させる伝達ギヤ機構と、出力軸に接続される回動アーム14等とを有している。そして、回動アーム14は、電動モータの回転駆動により一方向(車両後方)に向けて回動する。
このため、可動整流部7が前側位置(A)から中間位置(B)を通って後側位置(C)まで車両後方へ向けて移動するのに伴い、可動整流部7の後端7aが上方に移動(高さAhから高さBh)してから下方に移動(高さBhから高さCh)する。
第二リンク12は、第一リンク11よりも短いため、第一リンク11よりも回動する角度が大きい。そのため、後側位置(C)において、第二リンク12の先端は、第一リンク11の先端よりも低い位置まで回動する。これにより、可動整流部7は、後側位置(C)において後端7aが前端7bよりも低くなるように傾斜する。
【0016】
また、回動アーム14は、電動モータの逆回転の駆動により逆方向(車両前方)に向けて回動する。
可動整流部7は、後側位置(C)から中間位置(B)を通って前側位置(A)まで車両前方へ向けて移動する。可動整流部7は移動に伴い、後端7aが上方に移動(高さChから高さBh)してから下方に移動(高さBhから高さAh)する。
【0017】
このように、回動アクチュエータ13の回転駆動力は、回動アーム14を介して、第一リンク11および第二リンク12を揺動させる。これによりリンク機構8は、一つの回動アクチュエータ13を用いて可動整流部7を前側位置(A)、中間位置(B)、および後側位置(C)まで一連の動作で移動させることができる。
【0018】
図1に示すように、前側位置(A)では、ルーフ部3の後縁3aに位置する段差部位と可動整流部7とが当接する。この状態で、可動整流部7の上面7cは、ルーフ部3の後縁3aの上面3cと面一となり車両前後方向で連続する。
このため、円滑にルーフ部3の上面3cからつながる流線形状とすることができ、より空気抵抗を低減させることができる。
本実施形態では、
図4に示すように、前側位置(A)でベース部6のケース6c上面に形成された固定スポイラ6dに沿うようにケース6c上面の凹部に可動整流部7が対向状態で係合する。
このため、上方へ凸設されている部分が減少してさらに空気抵抗が低減されるとともに、外観品質を向上させることができる。
また、ケース6c上面の凹部に可動整流部7が係合する。この際、可動整流部7は、少なくとも前端7bをルーフ部3の後縁3aに当接させる。これにより、前側位置(A)における可動整流部7の取付安定性をさらに向上させることができる。
【0019】
また、
図2に示すように、中間位置(B)では、可動整流部7の後端7aは、上を向いている。このため、中間位置(B)では、ルーフ部3の上面3cの上部を流れる空気をより効率的に可動整流部7に当てることができ、操縦安定性を向上させることができる。
本実施形態の可動整流部7は、左,右一対のリンク機構8,8によりそれぞれ二本づつの第一リンク11および第二リンク12にて支持されている。
したがって、
図4中一点鎖線に示す中間位置(B)に示すように、固定スポイラ6dの上面から上方へ離間して後端7aが上を向くように移動しても可動整流部7は、安定して所望の姿勢を維持することができる。
【0020】
可動整流部7が二点鎖線に示す後側位置(C)となると、固定スポイラ6dの後端に形成された段差3bに可動整流部7が係合して、固定スポイラ6dの上面から可動整流部7の後端7aまでつながる流線形状となる。これにより、さらに空気抵抗を低減させることができる。
【0021】
図4に示すように、ベース部6のケース6c後端部には、灯体部10が設けられている。
本実施形態の可動整流部7の後端7aは、後側位置(C)に位置している状態であっても、灯体部10よりも上方に配置されている。
【0022】
図5は、本実施形態の変形例のスポイラ構造を示すものである。
図5に示すように、変形例のスポイラ構造では、可動整流部17の後端17aで車幅方向中間には、後端灯体部20を有している。
【0023】
上述してきたように、本実施形態のスポイラ構造は、車体2に装着されるベース部6と、可動整流部7とを備える。ベース部6に対して、可動整流部7は、車両1前側の前側位置(A)から中間位置(B)を通って車両後側の後側位置(C)まで移動する。
可動整流部7は、前側位置(A)から中間位置(B)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが上方に移動する。
また、可動整流部7は、中間位置(B)から後側位置(C)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが下方に移動する。
そして、後側位置(C)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Chは、前側位置(A)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Ahよりも低くなる。
【0024】
このように構成された本実施形態のスポイラ構造では、スポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることができる。
詳しくは、
図1に示すように可動整流部7は、前側位置(A)で外観品質を良好なものとすることが出来る。
また、可動整流部7は、前側位置(A)から車両後方へ移動することにより、中間位置(B)で可動整流部7の後端7aが上方向に移動してスポイラ表面積を増大させることができる。これにより、整流効果を得てダウンフォースによって操縦安定性を向上させることができる。
さらに、後側位置(C)では、可動整流部7の後端7aが下方向に移動して、前側位置(A)における可動整流部7の後端7aの位置よりも下方に後端7aを位置させることができる。これにより、スポイラ表面積を増大させつつスポイラの空気抵抗を減少させることができる。
このように、デザイン性を保ちつつ、操縦安定性を向上させて空気抵抗を低減させることができる。
【0025】
また、
図4に示すように、可動整流部7は、ベース部6との間にリンク機構8を有している。リンク機構8は、可動整流部7を前側位置(A)、中間位置(B)、および後側位置(C)まで一連の動作で移動させる。
リンク機構8は、単純な構造で可動可能である。このため、故障などの不具合を低減できるとともに製造コストを抑えることができる。さらに、可動整流部7の可動に用いるモータ等の回動アクチュエータ13も一つでよい。このため、この点においても故障などの不具合を低減できるとともに製造コストを抑えることができる。
【0026】
リンク機構8は、一方向に回動することによって、可動整流部7が前側位置(A)から中間位置(B)を通って後側位置(C)まで移動するのに伴い、可動整流部7の後端7aが上方に移動してから下方に移動する。
このように、可動整流部7は、車両前後方向に可動させる一つのリンク機構8によって可動整流部7の後端7aを上下方向に回動(円運動)させる。これにより、リンク機構8を一方向に回動させることで可動整流部7全体の前後移動と、可動整流部7の後端7aの上下移動とを行なうことができる。
【0027】
また、ベース部6は、車体2のルーフ部3の後縁3aに設けられている。前側位置(A)では、可動整流部7がルーフ部3の上を流れる空気を整流することができる。また、後側位置(C)では、可動整流部7の後端7aが下方を向いている。この状態では、スポイラは、ルーフ部3から連続して理想的な流線形状を得ることができる。したがって、空気抵抗を低減させることができる。
【0028】
さらに、可動整流部7の前端7bは、前側位置(A)でベース部6と当接すると共に、車体2のルーフ部3の後縁3aと車両前後方向で連続する。
このため、可動整流部7の後端7aが上方を向いている場合、ルーフ部3の上部を流れる空気をさらに効率的に当てることができ、操縦安定性を向上させることができる。
また、可動整流部7の後端7aが下を向いている場合、スポイラをルーフ部3の段差3bからつながる流線形状とすることにより、さらに空気抵抗を低減させることができる。
たとえば、後側位置(C)では、
図4に示すように、固定スポイラ6dの後端に形成された段差3bに可動整流部7が係合して、固定スポイラ6dの上面から可動整流部7の後端7aまでつながる流線形状となる。これにより、スポイラの表面積を増大させてさらに空気抵抗を低減させることができる。
【0029】
そして、
図4に示すように、ベース部6は、灯体部10を有している。可動整流部7は、後側位置(C)で灯体部10より上方に配置される。
このため、灯体部10がベース部と一体化している場合でも、灯体部10が可動整流部7の移動によって干渉しない。このため、操縦安定性を向上させつつ、空気抵抗を低減させる形状となるように可動整流部7の可動範囲を増大させることが可能である。
【0030】
また、後側位置(C)において、可動整流部7の後端7aは、灯体部10よりも上方に配置されている。
このため、後側位置(C)では、可動整流部7の後端7aが下方に移動していても、車両後方からの灯体部10の視認性が損なわれない。
【0031】
さらに、
図5に示すように、可動整流部17は、後端17aに後端灯体部20を有している。
本実施形態の変型例の車両1では、後端灯体部20が可動整流部7と一体化している。このため、可動整流部7の後端17aが上下方向に移動しても車両後方から後端灯体部20を視認することができる。
上述してきたように、本実施形態のスポイラ構造では、スポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることができる。これにより、車両1の走行状況や環境に最適な空力制御を実現することができるといった実用上有益な作用効果を発揮する。
【0032】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、たとえば、以下のようなものである。
【0033】
本実施形態では、車体2を固定部とした自由度1の四節リンク機構からなるリンク機構8が左,右一対設けられている。しかしながら特にこれに限らない。例えば、車幅方向の中間部位に一個設けられていてもよく、左右に間隔をおいて3個以上の複数個設けられていてもよい。
また、すべてのリンク機構8に回動アクチュエータ13が設けられていなくてもよい。たとえば、一個のリンク機構8にのみ回動アクチュエータ13を設けるように構成してもよく、回動アクチュエータ13が設けられていなくてもよい。
【0034】
本実施形態では、リンク機構8に二本の第一リンク11および第二リンク12が設けられているが特に四節リンク機構に限らない。たとえば、一本または三本以上のリンクまたは支持バー等を組合せてリンク機構を構成してもよく、リンク機構を構成する部材の形状、数量および材質が特に限定されるものではない。
【0035】
さらに、可動整流部7の形状についても、本実施形態に限定されるものではない。例えば、可動整流部7の形状は、平坦面であってもよく、平坦面と湾曲面とを組合わせた複合面であってもよい。また、可動整流部7は、車幅方向に複数に分割されていて、個別に前後または上下に移動可能であってもよい。そして、上下に二枚等複数の翼が重ねられているものであってもよい。
すなわち、可動整流部7は、前側位置(A)から中間位置(B)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが上方に移動する。また、可動整流部7は、中間位置(B)から後側位置(C)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが下方に移動する。このようなものであれば、ルーフ部3、リアスポイラ5、ベース部6の固定スポイラ6d、可動整流部7を含めてスポイラ構造の形状、数量および材質が特に本実施形態のスポイラ構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
2 車体
3 ルーフ部
3a 後縁
6 ベース部
7 可動整流部
7a 後端
(A) 前側位置
(B) 中間位置
(C) 後側位置