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特許7398565金属-セラミック基板を生産する方法及びそのような方法によって生産された金属-セラミック基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】金属-セラミック基板を生産する方法及びそのような方法によって生産された金属-セラミック基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/38 20060101AFI20231207BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H05K3/38 B
H05K1/03 630J
H05K1/03 630H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022537702
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020084467
(87)【国際公開番号】W WO2021122034
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102019135097.2
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルカー、ティロ
(72)【発明者】
【氏名】ブリッティング、シュテファン
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-049589(JP,A)
【文献】特開平07-307538(JP,A)
【文献】特開昭60-108377(JP,A)
【文献】特開2017-065935(JP,A)
【文献】特開平05-163078(JP,A)
【文献】国際公開第2008/149818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/38
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向(S)に沿って重ねて配置されている少なくとも1つのセラミック層(10)と少なくとも1つの金属層(20)とを有する金属-セラミック基板(1)を生産する方法であって、
-前記少なくとも1つのセラミック層(10)を設けることと、
-前記少なくとも1つのセラミック層(10)上に、活性金属層(31)と湿潤金属層(32)とを含むインターフェイスメタライゼーション(15)を形成することと、
-特に、直接金属接合プロセス又は活性はんだ付けプロセスによって前記インターフェイスメタライゼーション(15)に前記少なくとも1つの金属層(20)を接合し、前記金属-セラミック基板(1)を形成することと、を含み、
前記インターフェイスメタライゼーション(15)を形成するために、前記活性金属層(31)及び前記湿潤金属層(32)の少なくとも一方はエネルギー入力(40)に曝される、方法。
【請求項2】
-少なくともセクション毎に、前記少なくとも1つのセラミック層(10)上に前記活性金属層(31)を最初に配置することと、特に、
-少なくともセクション毎に、前記活性金属層(31)上に前記湿潤金属層(32)を次に配置することと、を更に含み、前記活性金属層(31)は、前記最初に配置することと前記次に配置することとの間に、更なるエネルギー入力(40’)に曝される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最初に配置すること及び前記次に配置することの少なくとも一方は、堆積プロセス、特に物理気相蒸着プロセスによって実現される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
はんだ材料(35)は、前記少なくとも1つの金属層(20)と前記インターフェイスメタライゼーション(15)との間に配置され、前記活性金属層(31)及び前記湿潤金属層(32)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの金属層(20)と前記インターフェイスメタライゼーション(15)との間に前記はんだ材料(35)を配置した後に一時的に前記エネルギー入力(40)に曝される、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
光がエネルギー入力(40)及び更なるエネルギー入力(40)の少なくとも一方として使用される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
光フラッシュが使用され、前記活性金属層(31)及び前記湿潤金属層(32)の少なくとも一方に対する前記光フラッシュの前記エネルギー入力(40)は、少なくとも5kWである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
焼結がエネルギー入力(40)及び更なるエネルギー入力(40’)の少なくとも一方として使用される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記活性金属層(31)は第1の厚み(D1)を有し、前記湿潤金属層(32)は第2の厚み(D2)を有し、前記第1の厚み(D1)及び前記第2の厚み(D2)の少なくとも一方は、0よりも大きく5000nm以下の値をとる、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
キャリア基板を生産する方法であって、
-少なくとも1つの絶縁層を設けることと、
-前記少なくとも1つの絶縁層(10)上に、活性金属層(31)及び湿潤金属層(32)を含むインターフェイスメタライゼーション(15)を形成することと、
-特に、直接金属接合プロセス又は活性はんだ付けプロセスによって前記インターフェイスメタライゼーション(15)に前記少なくとも1つの金属層(20)を接合し、前記キャリア基板を形成することと、を含み、
前記インターフェイスメタライゼーション(15)を形成するために、前記活性金属層(31)及び前記湿潤金属層(32)の少なくとも一方はエネルギー入力(40)に曝される、方法。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法によって生産された金属-セラミック基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属-セラミック基板を生産する方法及びそのような方法によって生産された金属-セラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
金属-セラミック基板は、例えばプリント回路基板又は回路基板として、先行技術、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3から十分に周知である。典型的には、電気構成要素の接続領域及び導体トラックは金属-セラミック基板の部品面に配置されており、電気構成要素と導体トラックは相互接続されて電気回路を形成することができる。金属-セラミック基板の必須の構成要素は、好ましくはセラミック製の絶縁層及び絶縁層に接合された少なくとも1つの金属層である。その比較的高い絶縁強度のために、セラミック製の絶縁層はパワーエレクトロニクスにおいて特に有利であることが判明している。したがって、金属層を構造化することによって、導電性トラック及び/又は電気構成要素の接続領域が実現され得る。
【0003】
そのような金属-セラミック基板を設けることの必須要件は、金属層とセラミック層との間の永久接合である。いわゆる直接接合プロセス、すなわち、DCB(Direct Copper Bonding:直接銅接合)又はDAB(Direct Aluminum Bonding:直接アルミニウム接合)プロセスに加えて、はんだ材料を介してセラミック層に金属層を接合することが先行技術から周知である。例えば、リン含有箔状はんだは特許文献4から周知であり、これにより、対応する接合が得られ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102013104739号明細書
【文献】独国特許発明第19927046号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009033029号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3041042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この先行技術に基づいて、本発明の目的は、改良された、セラミック層に金属層を接合する方法を提供することであり、当該方法は、特に、生産中の熱機械的応力に関して及び接合されるセラミック層に対するその接合範囲に関して改良されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の金属-セラミック基板を生産する方法及び請求項10に記載のそのような方法によって生産される金属-セラミック基板によって達成される。従属請求項並びに明細書及び添付の図から更なる利点及び特性が得られる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、積層方向に沿って重ねて配置されている少なくとも1つのセラミック層と少なくとも1つの金属層とを有する金属-セラミック基板を生産する方法であって、
-少なくとも1つのセラミック層を設けることと、
-少なくとも1つのセラミック層上にインターフェイスメタライゼーションを形成することであって、インターフェイスメタライゼーションは活性金属層と好ましくは湿潤金属層とを含む、ことと、
-特に、DCB若しくはDABプロセス等の直接金属接合プロセス又は活性はんだ付けプロセスによってインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの金属層を接合し、金属-セラミック基板を形成することと、を含み、
インターフェイスメタライゼーションを形成するために、活性金属層及び/又は湿潤金属層はエネルギー入力に曝される、方法が提供される。
【0008】
先行技術から周知の方法と比較すると、本発明による方法は、少なくとも1つのセラミック層上、好ましくは少なくとも1つのセラミック層の上側及び/又は下側に形成されたインターフェイスメタライゼーションを使用する。このようなインターフェイスメタライゼーションは、特に、例えば、従来技術によるDCB又はDABプロセスによる接合が不可能な場合でも金属層の接合が可能になるという理由で有利なことが判明している。これは、特に窒化セラミックス、特に窒化ケイ素及び窒化アルミニウムに当てはまる。計画されたはんだ付け、特に活性はんだ付けの場合、インターフェイスメタライゼーションはまた、特に、はんだ付けプロセスにおける溶解温度が800℃未満、好ましくは700℃未満、より好ましくは600℃未満のはんだ材料も使用できるという点で、はんだ材料のより柔軟な選択を可能にする。その結果、行われるはんだ付けプロセスは、より低いプロセス温度で行われ、このことは更に、金属-セラミック基板中に生じていたはずの熱機械的応力に関して良い影響をもたらす。
【0009】
特に、これらは、一致する構造化により、プリント回路基板(PCB)として使用されるような金属-セラミック基板である。例えば、当該方法は、大きなカードを形成するために使用され、その後、分離プロセスにおいて、いくつかの個々の金属-セラミック基板が大きなカードから形成される。例えば、構造化は、インターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの金属層を接合後に、好ましくはエッチング及び/又はミリングプロセスによって行われる。パターニングにより、対応する導体トラック及び/又は接続を提供することができる。当業者には、少なくとも1つのセラミック層の上側の少なくとも1つの金属層に加えて、裏側メタライゼーションとして機能する少なくとも1つの更なる金属層が反対側に設けられるようになっていることが好ましい。例えば、少なくとも1つの更なる金属層は、特に、形状及び/又は厚み及び/又は材料に関して、更なる金属層に対応する。
【0010】
特に、活性金属層と湿潤金属層は、それらの材料の選択に関して異なる。例えば、活性金属層の材料はTi、Zr、Hf、Cr、Nb及び/又はVであり、湿潤金属層の材料はCu、Ag、Ni、In及び/又は類似の金属である。特に、プロセスガス雰囲気中でエネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力の適用によって活性金属層が少なくとも1つのセラミック層に接合される場合、酸化銅が湿潤金属層として使用されることも考えられる。更に、積層方向から見て、湿潤金属層が活性金属層に直接隣接することが想定される。更に、上側の湿潤金属層及び/又は活性金属層は、少なくとも1つのセラミック層又は少なくとも1つの更なるセラミック層の下側の湿潤金属層及び/又は活性金属層と異なることが考えられる。
【0011】
更に、金属-セラミック基板は、少なくとも1つのセラミック層の上側に接合された少なくとも1つの金属層を含み、少なくとも1つの金属層及び少なくとも1つのセラミック層は、主伸張平面に沿って延び、主伸張平面に対して垂直に延びる積層方向に沿って重ねて配置されている。考えられる少なくとも1つの金属層の材料は、銅、アルミニウム、モリブデン及び/又はそれらの合金、並びにCuW、CuMo、CuAl、AlCu及び/又はCuCu等の積層体、特に、第1の銅層と第2の銅層とを有し、第1の銅層中の粒径が第2の銅層と異なる銅サンドイッチ構造である。少なくとも1つの金属層は表面改質されていることが更に好ましい。考えられる表面改質は、例えば、貴金属、特に銀及び/若しくは金若しくはENIG(electroless nickel immersion gold)(「無電解ニッケル浸漬金」)による封止、又はクラック形成及び/若しくは膨張を抑制するための第1及び/若しくは第2のメタライゼーション層のエッジ封止である。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つのセラミック層は、Al、Si、AlN、HPSXセラミック(すなわち、xパーセントのZrOを含むAlマトリックスを有するセラミック、例えば、9%ZrOを含むAl=HPS9、又は25%ZrOを含むAl=HPS25)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の90%超)、TSZ(tetragonally stabilized zirconia:正方晶安定化ジルコニア)、又はセラミックの材料としてのZTAを含む。この状況において、様々な所望の性質を組み合わせるためにそれぞれ材料組成の点で異なるいくつかのセラミック層が重ねて配置され、互いに接合されて絶縁層を形成する複合及び/又はハイブリッドセラミックとして少なくとも1つのセラミック層が設計されることも考えられる。好ましくは、最低可能熱抵抗のために可能な限り熱伝導性の高いセラミックが使用される。
【0013】
更に、少なくとも1つのセラミック層に加えて少なくとも1つの更なるセラミック層が提供されることが考えられ、金属中間層が少なくとも1つのセラミック層と少なくとも1つの更なるセラミック層との間に配置され、金属中間層は、好ましくは、1.4mmよりも厚い並びに/又は少なくとも1つのセラミック層及び少なくとも1つの更なるセラミック層よりも厚い。その場合、例えば、少なくとも1つの金属層は少なくとも1つのセラミック層に接合され、裏側メタライゼーションとして設けられた金属層は少なくとも1つの更なるセラミック層に接合されている。
【0014】
その場合、好ましくは、少なくとも1つの金属層は、AMB(active metal brazing:活性金属ろう付け)プロセス及び/又はDCBプロセスによって少なくとも1つのセラミック層に接合される。
【0015】
当業者であれば、「DCBプロセス」(直接銅接合技術)又は「DABプロセス」(直接アルミニウム接合技術)は、例えば、それらの表面側に層又はコーティング(融合層)を有する金属及び/若しくは銅シート又は金属及び/若しくは銅箔を使用して、金属層又はシート(例えば、銅シート若しくは箔又はアルミニウムシート若しくは箔)を互いに及び/又はセラミックス若しくはセラミック層に接合するために使用されるプロセスであると理解している。例えば、米国特許第3744120号明細書又は独国特許発明第2319854号明細書に記載されているこのプロセスでは、この層又はコーティング(融合層)は、金属(例えば銅)の溶解温度未満の溶解温度で共晶を形成するため、セラミック上に箔を置き、全ての層を加熱することによって、実質的に融合層及び/又は酸化膜の領域内のみの金属及び/又は銅が溶解することにより、これらは互いに接合され得る。
【0016】
特に、DCBプロセスはしたがって、例えば、以下の工程段階を有する。
・均一な酸化銅層が形成されるように銅箔を酸化させること。
・セラミック層上に銅箔を置くこと。
【0017】
・約1025~1083℃、例えば約1071℃のプロセス温度に複合材を加熱すること。
・室温に冷却すること。
【0018】
例えば、金属層又は金属箔、特にまた、銅層又は銅箔をセラミック材料と接合するための活性はんだ付けプロセスとは、特にまた、金属-セラミック基板を生産するために使用されるプロセスを意味し、銅、銀及び/又は金等の主成分に加えて活性金属も包含する硬ろうを使用して、金属箔、例えば銅箔と、セラミック基板、例えば窒化アルミニウムセラミックとの間に約650~1000℃の温度で接合が生成される。この活性金属(例えば、群Hf、Ti、Zr、Nb、Ceのうちの少なくとも1つの元素)は、化学反応によってはんだとセラミックとの間に接続を確立し、はんだと金属との間の接続は金属硬ろう接続である。代替的に、接合のために厚膜プロセスも考えられる。
【0019】
更に、当該方法は、少なくともセクション毎に(zumindest abschnittsweise)、少なくとも1つのセラミック層上に活性金属層を最初に配置することと、少なくともセクション毎に、活性金属層上に湿潤金属層を次に配置することとを含み、活性金属層は、好ましくは、最初に配置することと次に配置することとの間に、更なるエネルギー入力に曝されるようになっている。このようにして、湿潤金属層を次に配置することの前に、活性金属層の溶解は既に行われている。代替的に、例えば、この更なるエネルギー入力は省略され、最初に配置すること及び次に配置することが完了した後に、インターフェイスメタライゼーションを形成するためのエネルギー入力が行われることが考えられる。これにより更なるエネルギー入力を省略することが可能になり、それによって当該方法は迅速になる。
【0020】
更なるエネルギー入力が使用される場合、最初に配置することの後(及び次に配置することの前)に、活性金属層を溶解するための比較的小さな更なるエネルギー入力を既に使用することができる。それにより、少なくとも1つのセラミック層への活性金属層の接合時のエネルギー入力を低減することができる。なぜなら、最初に配置すること及び次に配置することの後に行われるエネルギー入力は湿潤金属層を貫通する必要がないからである。特に、比較的厚い湿潤金属層、すなわち300nm超の第2の厚みを有する湿潤金属層が設けられている場合、更なるエネルギー入力の使用(すなわち、最初に配置することの後)が有利であることが判明している。金属-セラミック基板が生産プロセス中により低い負荷、特に熱負荷に曝されるため、更なるエネルギー入力の低減及び/又はエネルギー入力の低減は、更に、有利であることが判明している。
【0021】
好ましくは、最初に配置すること及び/又は次に配置することは、堆積プロセスによって、特に物理気相蒸着プロセスによって実現されるようになっている。例えば、これには、PVDスパッタリング及び/又は反応性スパッタリングを伴う。このようにして、比較的薄い活性金属層及び/又は湿潤金属層が特に実現され得る。このことは更に、少なくとも1つのセラミック層に少なくとも活性金属層を接合するために必要なエネルギー入力に良い影響をもたらす。更に、好ましくは、例えば、対応するマスキングを用いて、堆積プロセスの範囲内においてインターフェイスメタライゼーション並びに/又は少なくとも活性金属層及び/又は湿潤金属層の構造化が実施されるようになっている。好ましくは少なくとも1つの金属層における計画された構造化に対応するインターフェイスメタライゼーションにおけるこのような構造化は、計画された構造化の領域内で少なくとも1つのセラミック層に少なくとも1つの金属層が接合することを有利に阻止し、それにより、最終構造化のために提供されるエッチング工程、いわゆる「第2のエッチング」(すなわち、少なくとも1つの金属層の個々の金属セクション間の分離トレンチを実現するエッチング工程)が簡略化され得る。更に、活性金属層及び/又は湿潤金属層がガルバニック的に及び/又は電気化学的に実現されると考えられる。
【0022】
本発明の更なる実施形態によれば、はんだ材料は、少なくとも1つの金属層とインターフェイスメタライゼーションとの間に配置され、活性金属層及び/又は湿潤金属層は、少なくとも1つの金属層とインターフェイスメタライゼーション及び/又は湿潤金属層との間にはんだ材料を配置した後に一時的にエネルギー入力に曝されるようになっている。このように、特に、全ての個々の層は最初に上下に積み重ねられ、接続プロセスは最終エネルギー入力によって同時にトリガーされるのみであるため、金属-セラミック基板は比較的迅速に生産され得る。特に、湿潤金属層と少なくとも1つの金属層との間に配置されるはんだ材料として箔状はんだを使用すると有利であることが判明している。その場合、活性金属層及び/又は湿潤金属層は、箔状はんだの一部として、すなわち、共通の箔状はんだとして形成され得る。更に、はんだ材料は、1μm~100μm、好ましくは1.5~50μm、より好ましくは2μm~20μmの層厚みを有するようになっていることが好ましい。特に、エネルギー入力は、活性金属層及び湿潤金属層のみならずはんだ材料、好ましくは箔状はんだも溶解させるようになっている。好ましくは、エネルギー入力は、はんだ材料も溶解するような規模にされている。特に、エネルギー入力は、活性金属層、湿潤金属層、はんだ材料、及び少なくとも1つの金属層が積層方向に沿って少なくとも1つのセラミック層上に積み重ねられた直後に行われる。
【0023】
例えば、はんだ材料は、銀ベース又は銅ベースのはんだ材料である。銀ベースのはんだ材料においては、銀が主成分、すなわち最大重量パーセントの成分であり、銅ベースのはんだ材料においては、銅が主成分である。銀ベースのはんだ材料の例は、AgCu、特に、AgCu28、AgCuIn、AgCuSn、及びAgCuGaである。銅ベースの母材の例は、銅CuSn、CuIn、CuGa、CuInSn、CuInMb、CuGaSnである。NiCrMn、Sn、SnSb、又はSnCuをはんだ材料として使用することも考えられる。
【0024】
好ましくは、光がエネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力として使用されるようになっている。例えば、光は、少なくとも一時的に、特に正確に、活性金属層及び/又は湿潤金属層の溶解に至るために、活性金属層及び/又は湿潤金属層上に1つ以上の通路で案内されるレーザ光であり得る。例えば、レーザは、数ピコ秒又はナノ秒のパルス持続時間を有するパルスを発生させるCOレーザ及び/又は超短パルスレーザ等のパルスレーザである。
【0025】
好ましくは、光フラッシュが使用されるようになっており、活性金属層及び/又は湿潤金属層に対する光フラッシュのエネルギー入力は、好ましくは少なくとも5kW、より好ましくは少なくとも8kW、更により好ましくは10kW~15kWである。特に、エネルギー入力は、活性金属層及び/又は湿潤金属層の全面積に0.6ms~20msにわたって光フラッシュを当てるいわゆる「フラッシュライトアニーリング」の枠組み内において行われる。このようにして、活性金属層及び/又は湿潤金属層は、全面積にわたって、例えば、800℃の短期的な(理論上の)加熱の形態の短い熱衝撃に曝される。好ましくは、エネルギー密度が0.01J/cm~100J/cm、好ましくは0.5J/cm~15J/cm及び/又はパルス持続時間が0.2ms~20msの光フラッシュが使用される。そのような光フラッシュによる処理は、少なくとも1つの金属層及び/又は少なくとも1つの更なる金属層の実際の接合の前の準備工程の一部として、記載のインターフェイスメタライゼーションの形成を可能にすることが見出されている。例えば、対応する光フラッシュによるエネルギー入力は、活性金属中に以下の反応を生じさせる。
【0026】
Si+Ti→TiN+TiSi
代替的に及び/又は追加的に、エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力は、焼結及び/又はテンパリングを含むようになっており、すなわち、好ましくは、活性金属層及び/又は湿潤金属層は特に不活性条件下で加熱又は加温される。加熱は真空中又は不活性ガス雰囲気中で行われると考えられる。エネルギー入力は誘導効果によって誘導されることも考えられる。活性金属層及び/又は湿潤金属層は、エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力中に、加圧される、すなわち、互いに押し付けられることも考えられる。
【0027】
更に、活性金属層は第1の厚みを有し、湿潤金属層は第2の厚みを有し、第1の厚み及び/又は第2の厚みは、0nm~5,000nm、好ましくは50nm~2500nm、より好ましくは100nm~1,000nmの値をとるようになっていることが好ましい。特に、第1の厚み及び/又は第2の厚み、特に、第1の厚みと第2の厚みの合計は、少なくとも1つの金属層の第3の厚みよりも小さいようになっている。好ましくは、第1の厚みと第2の厚みの合計の比率は、0.1未満、好ましくは0.05未満、より好ましくは0.02未満の値をとる。したがって、比較的薄い活性金属層及び湿潤金属層が提供され、所望のインターフェイスメタライゼーションの設計を可能にする。
【0028】
特に、第1の厚みは第2の厚みに実質的に等しいと想定される。代替的に、第2の厚みに対する第1の厚みの比率は、0.1~0.6、好ましくは0.15~0.4、より好ましくは0.25~0.35の値をとること又は第1の厚みに対する第2の厚みの比率は、0.1~2.0、好ましくは0.2~1.5、より好ましくは0.3~1.0の値をとることが考えられる。更に、活性金属層すなわち第1の厚みは、少なくとも100nmの厚さであることが特に好ましい。同様に大きな第1の厚みは、少なくとも1つの金属層と少なくとも1つのセラミック層との間の材料接合の成功を実現するために十分な活性金属がセラミックと金属との間の界面に提供されることを確実にする。特に、活性金属層、湿潤金属層、及びはんだ材料の同時溶解の場合、エネルギー入力として「フラッシュライトアニーリング」、テンパリング、誘導加熱、及び/又はパルスレーザ光による処理を使用すると有利であることが判明している。活性金属層、湿潤金属層及び/又ははんだ材料に対して同時に又は時間遅延を伴って作用する異なるタイプのエネルギー入力を使用すると有利である。
【0029】
好ましくは、インターフェイスメタライゼーションを形成するために、すなわちエネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力中に、プロセスガスが使用されるようになっている。すなわち、活性金属層及び/又は湿潤金属層は、エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力中にプロセスガスに曝される。対応するプロセスガスの例は、アルゴン、酸素、及び/又は窒素である。プロセスガス、特に窒素又は酸素の使用により、金属層、特に活性金属層及び湿潤金属層に、それぞれ、大気中で保存する場合に安定な更なる酸化物及び/又は窒化物を形成させることができる。誘導性の熱入力の使用は、はんだ材料及び/又は更なる金属層及び/又は少なくとも1つの金属層が湿潤金属層上に配置された後にエネルギー入力が行われる場合に特に好ましい。
【0030】
更に、少なくとも1つの金属層及び/又は少なくとも更なる金属層は、連続的に、すなわちシート又は箔の形態で形成されると考えられる。
本発明の別の目的は、キャリア基板を生産する方法であって、
-少なくとも1つの絶縁層を設けることと、
-少なくとも1つの絶縁層上にインターフェイスメタライゼーションを形成することであって、インターフェイスメタライゼーションは、活性金属層及び湿潤金属層を含む、ことと、
-特に、DCB若しくはDABプロセス等の直接金属接合プロセス又は活性はんだ付けプロセスによってインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの金属層を接合し、支持基板を形成することと、を含み、
インターフェイスメタライゼーションを形成するために、活性金属層及び/又は湿潤金属層はエネルギー入力に曝される、方法を提供することである。金属-セラミック基板を生産する方法に関して記載されている全ての特徴及び利点は、同様に、キャリア基板を生産する方法に移し替えることができる。例えば、キャリア基板は、ガラス及び/又はプラスチック、特に耐高温プラスチックで作製されている。活性金属層と湿潤金属層とはんだ材料とを積み重ねてキャリア基板を形成すると特に有利である。
【0031】
本発明の更なる目的は、本発明による方法によって生産された金属-セラミック基板である。方法に関して記載されている全ての利点及び特徴は、同様に、金属-セラミック基板に移し替えることができ、その逆もまた然りである。
【0032】
更なる利点及び特徴は、添付の図を参照し、本発明による対象の好ましい実施形態の以下の説明からもたらされる。その場合、個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1の好適な実施形態による金属-セラミック基板を概略的に示す図である。
図2】本発明の第2の好適な実施形態による金属-セラミック基板を生産する方法を概略的に示す図である。
図3】本発明の第3の好適な実施形態による金属-セラミック基板を生産する方法を概略的に示す図である。
図4】本発明の第4の好適な実施形態による金属-セラミック基板を生産する方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の第1の好適な実施形態による金属-セラミック基板1を概略的に示す。このような金属-セラミック基板1は、金属-セラミック基板1に接続され得る電子及び/又は電気構成要素のためのキャリアとしての、すなわちプリント回路基板(PCB)としての役割を果たすことが好ましい。このような金属-セラミック基板1の必須の構成要素は、主伸張平面HSEに沿って延びる少なくとも1つのセラミック層10及び少なくとも1つのセラミック層10に接合された少なくとも1つの金属層20である。少なくとも1つのセラミック層10は、セラミックを含む少なくとも1種の材料で作製されている。この場合、少なくとも1つの金属層20と少なくとも1つのセラミック層10は、主伸張平面HSEに対して垂直に延びる積層方向Sに沿って重ねて配置されており、生産済みの状態において、少なくとも所定の領域において接合表面を介して互いに実質的に接合されている。好ましくは、少なくとも1つの金属層20は、したがって、導体トラック又は電気構成要素の接続点を形成するように構造化されている。例えば、この構造化物は、少なくとも1つの金属層20にエッチングされる。しかしながら、これに先だって、少なくとも1つの金属層20と少なくとも1つのセラミック層10との間に永久接合、特に材料接合が形成されなければならない。
【0035】
少なくとも1つの金属層20を少なくとも1つのセラミック層10に永久的に接合するために、例えば、DCB若しくはDAB接合プロセス又は活性はんだ付けプロセス(AMBプロセス)で金属-セラミック基板1を生産するためのシステムは炉を含み、炉内で少なくとも1つのセラミック層10と少なくとも1つの金属層20とのスタック構成を加熱することで接合を実現する。例えば、少なくとも1つの金属層20は銅製の少なくとも1つの金属層20であり、少なくとも1つの金属層20と少なくとも1つのセラミック層10はDCB(直接銅接合)接合プロセスを使用して互いに接合される。代替的に、少なくとも1つの金属層は、活性はんだ付けプロセス又は厚膜プロセスを使用して少なくとも1つのセラミック層に接合され得る。
【0036】
図1に示される金属-セラミック基板1の実施形態例では、少なくとも1つの金属層20に加えて、少なくとも1つの更なる金属層20’が少なくとも1つのセラミック層10の反対側に設けられている。特に、少なくとも1つの更なる金属層20’は金属-セラミック基板1の裏側メタライゼーションとしての役割を果たす。
【0037】
特に、少なくとも1つの金属層20及び少なくとも1つの更なる金属層20’はそれぞれ、インターフェイスメタライゼーション15を介して少なくとも1つのセラミック層10の上側及び/又は下側に接合されるようになっている。インターフェイスメタライゼーション15の使用は、例えば、はんだ付けプロセスの状況において、典型的に金属層20をセラミック層10に直接接合することができるはんだ材料のはんだ付け温度よりも低いはんだ付け温度のはんだ材料も使用できるという利点を有する。その結果、接合プロセス中の熱応力を低減することができる。換言すると、インターフェイスメタライゼーション15は、少なくとも1つの金属層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’を接合するためのアダプタとしての役割を果たし、特に、少なくとも1つのセラミック層10の特定の特性を考慮に入れる必要はない。特に、これはまた、少なくとも1つの金属層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’が、DCB及び/若しくはDABプロセス又は方法の適用が典型的に不適当な少なくとも1つのセラミック層10に接合される場合に有利であることが判明している。例えば、そのようなインターフェイスメタライゼーション15は、窒化セラミック、特に窒化ケイ素セラミック層に接合され得、これにより更に、直接金属接合プロセス、例えばDCB又はDABプロセスを使用して接合されたインターフェイスメタライゼーション15を介した少なくとも1つの金属層20又は少なくとも1つの更なる金属層20’の接合を可能にする。この場合、インターフェイスメタライゼーション15は、特に少なくとも1つのセラミック層10の上側及び/又は下側に、いずれの場合においても、活性金属層31及び湿潤金属層32を含む。特に、活性金属層31は少なくとも1つのセラミック層10の上側及び/又は下側に直接隣接し、湿潤金属層32は、少なくとも1つのセラミック層10上に配置された活性金属層31上に配置されている及び/又は活性金属層31に直接隣接する。例えば、インターフェイスメタライゼーション15は、活性金属層31と湿潤金属層32とを含む2層層システムから形成される。この点に関して、上側のインターフェイスメタライゼーション15内の活性金属層31及び湿潤金属層32は、少なくとも1つのセラミック層15の下側のインターフェイスメタライゼーション15に設けられた活性金属層31及び湿潤金属層32と異なると考えられる。
【0038】
更に、インターフェイスメタライゼーション15は、少なくとも1つのセラミック層10の上部側及び/又は裏部側の表面の少なくとも40%、好ましくは60%、より好ましくは80%超にわたって延びるようになっている。
【0039】
更に、好ましくは、活性金属層31には第1の厚みD1が割り当てられ、湿潤金属層32には第2の厚みD2が割り当てられ、少なくとも1つの金属層20又は少なくとも1つの更なる金属層20’には第3の厚みD3が割り当てられるようになっている。その場合、第1の厚みD1及び/又は第2の厚みD1は、0nm~5,000nm、好ましくは50nm~2,500nm、より好ましくは100nm~1,000nmの値をとる。更に、第3の厚みD3に対する第1の厚みD1と第2の厚みD2の合計の比率は、0.1未満、好ましくは0.05未満、より好ましくは0.02未満の値をとることが特に好ましい。換言すると、インターフェイスメタライゼーション層15は、少なくとも1つの金属層20の第3の厚みD3と比較するとかなり薄い。その結果、例えば、1mm超、好ましくは1.5mm超、より好ましくは1.5mm~3mmの第3の厚みD3を実現することも可能である。このような大きな第3の厚みD3は、例えば、少なくとも1つの金属層20に接合された電気構成要素における直接の熱放散を有利に支持する。
【0040】
図2は、本発明の例示的実施形態による金属-セラミック基板1を製造する方法を示す。特に、図2は、インターフェイスメタライゼーション15の形成につながる少なくとも1つのセラミック層10の調製を示す。特に、物理気相蒸着等の好ましくは堆積プロセスによって少なくとも1つのセラミック層10の上部側及び/又は裏部側及び/又は下面に少なくとも1つのセラミック層10を設けた後、少なくとも1つのセラミック層10上における活性金属層31の最初の配置が平坦な状態で行われるようになっている。特に、活性金属層31は、少なくとも1つのセラミック層10を40%超、好ましくは60%超、より好ましくは80%超被覆する。更に、当該方法では、最初に配置することの一部として適用された活性金属層31の少なくとも所定のセクションに湿潤金属層32が再度適用されるようになっている。その場合、湿潤金属層32は、活性金属層31を全面にわたって及び/又は90%以下のみ、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下被覆することができる。その場合、例えば、少なくとも1つのセラミック層10の上側の湿潤金属層32は、少なくとも1つのセラミック層10の下側の湿潤金属層32と特に材料に関して異なり得る。好ましくは、湿潤金属層32は、最初の配置又は最初に配置することの一部として少なくとも1つのセラミック層10に適用された活性金属層31の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは80%超を被覆する。インターフェイスメタライゼーション15が少なくとも1つのセラミック層10に接合される材料接合を形成するために、エネルギー入力40が活性金属層31及び/又は湿潤金属層32に作用するようになっている。
【0041】
換言すると、活性金属層31及び湿潤金属層32はエネルギー入力40に曝され、エネルギー入力40の結果、湿潤金属層32及び/又は活性金属層31が溶解し、その結果、溶解中に活性金属層31の活性金属が少なくとも1つのセラミック層10のセラミックと反応し、材料接合を形成する。異なる金属材料でできた2つの金属層、すなわち活性金属層31及び湿潤金属層32の形成により、溶解温度は各々の出発金属の溶解温度を下回り、特にまた、比較的薄い第1の厚みD1又は第2の厚みD2によって支持されて、インターフェイスメタライゼーション15の形成のためのエネルギー入力中における熱負荷が減少する。図2に示される実施形態例では、活性金属層31と湿潤金属層32が重ねて配置された後のエネルギー入力40に加えて、活性金属層31に限って又は活性金属層31のみに向けられた更なるエネルギー入力40’も行われる。この目的のために、活性金属層31を最初に配置することの後及び湿潤金属層32を次に配置することの前に、更なるエネルギー入力40’が行われ、これは、少なくとも1つのセラミック層10への活性金属層31の予接合につながる。
【0042】
例えば、エネルギー入力40及び/又は更なるエネルギー入力40’は、光によるエネルギー入力である。レーザ光の使用に加えて、光フラッシュが使用されることが特に好ましい。特に、インターフェイスメタライゼーション15の形成は、少なくとも1つのセラミック層10上に配置された活性金属層31及び/又は湿潤金属層32の広い領域にわたって、すなわち、適用された活性金属層31及び/又は湿潤金属層32の表面の50%超、より好ましくは80%超にわたって、比較的短時間、すなわち1ms~50msの時間にわたって光のフラッシュを当てるいわゆる「フラッシュライトアニーリング」プロセスを使用して行われる。好ましくは、使用される光のパワーは、少なくとも5kWの値、好ましくは少なくとも8kW、より好ましくは10kW~15kWの値に相当する。その場合、個々の光パルスは、0.01J/cm~100J/cmのエネルギー密度を有し得る。代替的に、エネルギー入力40及び/又は更なるエネルギー入力40’は特に真空中におけるテンパリングによって行われることが考えられる。更に、これがプロセス雰囲気下及び/又はプロセスガスを添加して行われる場合、活性金属層31及び/又は湿潤金属層32はエネルギー入力40及び/又は更なるエネルギー入力40’に曝されることが特に好ましい。プロセスガスの例は、アルゴン、酸素及び/又は窒素である。
【0043】
最初に配置すること及び/又は次に配置することは、例えば、PVDスパッタリング及び/又は反応性スパッタリング等のスパッタリングプロセスによって実行される。
図3では、本発明の第2の例示的実施形態による金属-セラミック基板1を生産する方法が示される。図3の実施形態例では更なるエネルギー入力40’が省略されているという点で、図3の実施形態例は図1の実施形態例と異なる。したがって、最初に配置すること及び次に配置することは、この場合最初に行われ、活性金属層31及び湿潤金属層32の最初の配置及び次の配置の完了後にのみ、少なくとも1つのセラミック層10と活性金属層31と湿潤金属層32とを含むアセンブリがエネルギー入力40に曝される。図2及び図3では、エネルギー入力40は、少なくとも1つのセラミック層10と湿潤金属層32と活性金属層31とのアセンブリの頂面に向けられるように示されている。当業者には、特に、更なるメタライゼーション20’の接続及びこの目的で少なくとも1つのセラミック層10の下面に提供されるインターフェイスメタライゼーション15の形成のために、エネルギー入力40は、アセンブリの上側及び下面上の両方で起こり得ることは理解される。同じエネルギー入力又は異なるエネルギー入力が上部側及び下面に適用されると考えられる。
【0044】
更に、最初に配置すること及び/又は次に配置することは、活性金属層31及び/又は湿潤金属層32が少なくとも1つのセラミック層10の上側及び/又は下側に構造化物を有するように行われることが考えられる。好ましくは、活性金属層31及び/又は湿潤金属層32に組み込まれる構造化物は、製造済み金属-セラミック基板1内において少なくとも1つの金属層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’に関して設けられるものに相当する。この状況において、当業者であれば、特に、構造化物とは、少なくとも1つのセラミック層10の上側及び/又は下側に好ましくは延びる凹部であることは理解する。例えば、そのような構造化物の測定は、意図した構造化物に特に対応するマスキングが行われるという点で、最初に配置すること及び/又は次に配置することの堆積プロセスの前に行われる。これにより、構造化物が計画される領域に活性金属及び/又は湿潤金属が配置されることを阻止する。活性金属層31及び/又は湿潤金属層32、特に、インターフェイスメタライゼーション15のこのような構造化は特に有利であることが判明している。なぜなら、このことは、最終エッチングプロセス、いわゆる「第2のエッチング」において、少なくとも1つのセラミック層10と少なくとも1つのメタライゼーション層20との間の境界領域内の材料接合部をエッチング除去する(これは一般に、製造プロセスにおいて特に困難であることが判明している)必要がないことを意味するからである。
【0045】
図4に、本発明の第3の好適な実施形態による金属-セラミック基板1を製造する方法が示される。図4に示される実施形態例では、金属層20及び/又は更なる金属層が予め、前もって及び/又は調製のために組み立てられた集合体の一部となるまでエネルギー入力40は実施されない。この目的のために、活性金属層31を最初に配置すること及び湿潤金属層32を次に配置することの後、はんだ材料35が、好ましくは箔状はんだとして、湿潤金属層32上に配置される。少なくとも1つの金属層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’が、その後、はんだ材料35上に配置される。少なくとも1つのセラミック層10と活性金属層31と湿潤金属層32とはんだ材料35と少なくとも1つの金属層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’とを含むこのアセンブリは、インターフェイスメタライゼーション15が少なくとも1つのセラミック層10の上側及び/又は下側に同時に形成され、少なくとも1つのメタライゼーション層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’の接合をできるだけ同時に実現するためにはんだ材料35が同時に溶解するように、最終的にエネルギー入力40に曝される。インターフェイスメタライゼーション層15を同時に形成し、金属層20及び/又は少なくとも1つの更なる金属層20’を接合することによって、特に、比較的低いはんだ付け温度を有するはんだ材料35が使用され得る、金属-セラミック基板1を生産するための比較的速い生産プロセスを提供することができる。その結果、製造される金属-セラミック基板1に対する熱負荷が可能な限り低く維持され、これにより更に、熱機械的負荷又は応力を可能な限り低く維持することを可能にする。熱機械的負荷又は応力は、さもなければ、最終的に製造済みの金属-セラミック基板1の耐用年数を損なわせるおそれのある製造済みの金属-セラミック基板中の応力につながる。更に、要求されるエネルギーが、より高温が要求されるはんだ付けプロセスに比べて減少する。好ましくは、この場合のエネルギー入力は、光フラッシュ、レーザパルス、誘導効果及び/又は加熱による。
【符号の説明】
【0046】
1 金属-セラミック基板
10 セラミック層
15 インターフェイスメタライゼーション
20 金属層
20’ 更なる金属層
31 活性金属層
32 湿潤金属層
35 はんだ材料
40 エネルギー入力
40’ 更なるエネルギー入力
HSE 主伸張平面
S 積層方向
D1 第1の厚み
D2 第2の厚み
D3 第3の厚み
図1
図2
図3
図4