(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】燃料タンク用の流路面積制御弁
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20231207BHJP
F02M 25/08 20060101ALI20231207BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20231207BHJP
F16K 1/36 20060101ALI20231207BHJP
F16K 31/524 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F02M37/00 311K
F02M25/08 E
F02M37/00 301H
F16K1/00 F
F16K1/36 G
F16K31/524 B
(21)【出願番号】P 2022557456
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2021038110
(87)【国際公開番号】W WO2022085569
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2020175591
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮前 仁志
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-174184(JP,A)
【文献】特開2010-078365(JP,A)
【文献】特開2000-213660(JP,A)
【文献】特開平09-100935(JP,A)
【文献】国際公開第2015/002063(WO,A1)
【文献】特開平10-160034(JP,A)
【文献】実開昭58-142457(JP,U)
【文献】特開2011-241929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00
F02M 25/08
F16K 1/00
F16K 1/36
F16K 31/524
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、
前記第2空間側に配置され、前記開口部に挿脱される弁頭を有するニードル弁と、
前記ニードル弁を移動させて、前記開口部に対する前記弁頭の挿入位置を変化させる駆動部とを有しており、
前記開口部は、前記仕切壁に複数設けられており、
複数の開口部に対応して、複数のニードル弁を有しており、
前記駆動部は、複数のニードル弁の弁頭を、複数の開口部に対して一つずつ順番に挿入位置を変化させるように前記ニードル弁を移動させることを特徴とする燃料タンク用の流路面積制御弁。
【請求項2】
仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、
前記第2空間側に配置され、太さが複数段で変化して前記開口部に挿脱される弁頭を有するニードル弁と、
前記ニードル弁を移動させて、前記開口部に対する前記弁頭の挿入位置を変化させる駆動部とを有しており、
前記駆動部は、
前記ハウジングに回転可能に支持され、外周に階段状のカム面が形成され、駆動手段によって回転する回転体と、
前記ニードル弁を支持し、前記カム面を昇降可能なカム突起を有するニードルブラケットとを有しており、
前記回転体の回転により、前記カム面が前記カム突起を押圧することで、前記ニードルブラケットを昇降動作させることを特徴とする燃料タンク用の流路面積制御弁。
【請求項3】
前記開口部は、前記仕切壁に複数設けられており、
複数の開口部に対応して、複数のニードル弁を有しており、
前記駆動部は、複数のニードル弁の弁頭を、複数の開口部に対して、一つずつ順番に挿入位置を変えるように、前記ニードル弁を移動させるように構成されており、
前記駆動部は、複数のニードル弁をそれぞれ支持する、複数のニードルブラケットを有しており、
複数のニードルブラケットのカム突起が、前記回転体のカム面に、一つずつ順番に押圧される請求項
2記載の燃料タンク用の流路面積制御弁。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記仕切壁に対向する位置に、弾性材料からなる隔壁が配置されており、
前記ニードル弁は、前記ニードルブラケットとの間で前記隔壁を挟み込んだ状態で支持される請求項
2又は
3記載の燃料タンク用の流路面積制御弁。
【請求項5】
前記ニードル
ブラケットは、付勢手段によって、前記ニードル弁の弁頭が前記開口部に挿入される方向に、かつ、前記カム突起が前記カム面に押圧される方向に付勢される請求項
2~4のいずれか1つに記載の燃料タンク用の流路面積制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部の流路面積を制御可能な、燃料タンク用の流路面積制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクには、弁圧力調整弁やカットバルブ等の、各種弁装置が取付けられている。これらの弁装置は、開口部を形成した仕切壁を有するハウジングと、開口部に接離する弁体とを備えている。また、このような弁装置において、開口部の流路面積を制御することが望まれている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、L字通路を内部に形成したバルブ収容筒と、バルブ収容筒内に摺動自在に支持され、バルブ収容筒内の流路の上流側に付与された流体圧を受ける弁体と、この弁体を流路の上流方向へ向けて付勢するバネ手段とを備えた、二段切替弁が記載されている。前記弁体は、通気穴を有する小径筒と、小径筒外周から下流側に向けて略円錐状に広がるのテーパ壁部分と、小径筒外周から上流側に向けて斜め上方に広がるように延出した複数の脚部と、複数の脚部に連結した上流ガイドとを有している。
【0004】
そして、バルブ収容筒の上流側の流体圧力が上昇した場合には、バネ手段のバネ力に抗して弁体が下流側へ移動して、弁体の下流側端部が、L字流路内のリングシートに着座する。その結果、タンク内から流入した流体は小径筒内のみを通過して、キャニスタ側へと流通する(特許文献1の
図3左欄参照)。
【0005】
一方、バルブ収容筒の上流側の流体圧力が下降した場合には、バネ手段のバネ力により弁体が上流側へ移動して、弁体の下流側端部が、リングシートから離反する。その結果、流体は、小径筒内を通過すると共に、複数の脚部間の隙間を通過して、キャニスタ側へと流通する(特許文献1の
図3右欄参照)。
【0006】
上記のように、特許文献1の二段切替弁においては、弁体の下流側への移動時に、L字通路内の流路面積が小さく、弁体の上流側への移動時に、L字通路内の流路面積が大きくなり、弁体が移動することによってL字通路内の流路面積が変化するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の二段切替弁では、弁体自体の形状によって、L字通路内の流路面積を切替えているが、流路面積が小さい場合と大きい場合との、二段階しか切替えることができない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、開口部の流路面積を複数段階で制御することができる、燃料タンク用の流路面積制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る燃料タンク用の流路面積制御弁は、仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、前記第2空間側に配置され、太さが複数段で変化して前記開口部に挿脱される弁頭を有するニードル弁と、前記ニードル弁を移動させて、前記開口部に対する前記弁頭の挿入位置を変化させる駆動部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動部でニードル弁を移動させることで、開口部に対する弁頭の挿入位置を変化させ、開口部の流路面積を複数段階で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る燃料タンク用の流路面積制御弁の、一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】同流路面積制御弁を構成する駆動部の、分解斜視図である。
【
図3】同流路面積制御弁において、一部を断面とした断面斜視図である。
【
図4】同流路面積制御弁において、ブラケットに回転体やニードルブラケット等を組付けた状態の斜視図である。
【
図5】同流路面積制御弁におけるハウジングを構成するフレームの斜視図である。
【
図6】同流路面積制御弁において、ハウジングを構成するフレームの窓部からカバーを外した状態の斜視図である。
【
図7】同流路面積制御弁において、ハウジングを構成するフレームの窓部にカバーを装着した状態の斜視図である。
【
図8】同流路面積制御弁において、
図9(A)の駆動部の動作に対応した要部拡大断面図である。
【
図9】同流路面積制御弁における駆動部を示しており、(A)は同駆動部の第1動作状態を示す拡大斜視図、(B)は同駆動部の第2動作状態を示す拡大斜視図である。
【
図10】(A)は駆動部の第3動作状態を示す拡大斜視図、(B)は駆動部の第4動作状態を示す拡大斜視図である。
【
図11】(A)は駆動部の第5動作状態を示す拡大斜視図、(B)は駆動部の第6動作状態を示す拡大斜視図である。
【
図12】同流路面積制御弁において、
図9(B)の駆動部の動作に対応した要部拡大断面図である。
【
図13】同流路面積制御弁において、
図10(A)の駆動部の動作に対応した要部拡大断面図である。
【
図14】同流路面積制御弁において、
図10(B)の駆動部の動作に対応した要部拡大断面図である。
【
図15】同流路面積制御弁において、
図11(A)の駆動部の動作に対応した要部拡大断面図である。
【
図16】同流路面積制御弁において、
図11(B)の駆動部の動作に対応した要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(燃料タンク用の流路面積制御弁の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る燃料タンク用の流路面積制御弁の、一実施形態について説明する。
【0014】
図1~3に示すように、この実施形態における燃料タンク用の流路面積制御弁10(以下、単に「制御弁10」ともいう)は、一対の開口部23,24を有するハウジング11と、開口部23,24に挿脱される弁頭90,91を有する一対のニードル弁80,81と、ニードル弁80,81を移動させる駆動部(カム面160を有する回転体150及びカム突起130を有するニードルブラケット100)とを有している。
【0015】
図1に示すように、この実施形態におけるハウジング11は、長尺箱状をなしたボディ20と、該ボディ20の上方開口部に装着される長尺筒状をなしたフレーム40と、ボディ20及びフレーム40の間に挟持される隔壁50と、前記ボディ20の下方開口に装着されるリッド60と、前記フレーム40の上方開口に装着されるブラケット70とを有している。なお、ボディ20とリッド60との間に、図示しない燃料タンクの内部に連通する第1室R1が形成され、ボディ20と隔壁50との間に、燃料タンクの外部に連通する第2空間R2が形成されるようになっている(
図3参照)。また、隔壁50とブラケット70との間にも、第3空間R2が形成されるようになっている(
図3参照)。
【0016】
図1に示すように、前記ボディ20は、互いに平行に配置された一対の長辺及びこれらに直交する一対の短辺からなる、一方向に長く延びる細長筒状をなした周壁21を有している。この周壁21の内側であって、同周壁21の高さ方向所定位置には、略長板をなした仕切壁22が配置されている。
【0017】
仕切壁22の長手方向一端部側には、円形状の第1開口部23が形成されており、長手方向他端部側には、円形状の第2開口部24が形成されており、これらの開口部23,24の間には、円形状の第3開口部25が形成されている(
図3参照)。第1開口部23及び第2開口部24に、ニードル弁80,81の、弁頭90,91が挿脱されるようになっている。また、
図16に示すように、第1開口部23,24は、第1室R1側の一端から第2室R2側に向けて、一定内径でもって仕切壁22の厚さ方向に沿って延びているが、第2室R2側の内周縁部は、第2室R2側に向けて次第に拡径するように傾斜したシール部23a,24aをなしている。なお、仕切壁22の長手方向他端部は、所定深さの凹部22aを介して周壁21内周に連結されている。また、第1開口部23の内径は、第2開口部24の内径よりも大きく形成されている。更に第3開口部25の内径は、第1開口部23の内径よりも大きく形成されている。
【0018】
なお、ニードル弁の弁頭が挿脱される開口部としては、円形状のみならず、例えば、三角形や、四角形、五角形、六角形等の多角形状、楕円形状、小判形状、半円形状、それらを適宜組み合わせた異形孔状等であってもよい。また、同開口部は、1個でも3個以上であってもよい。
【0019】
また、周壁21の上方開口部及び下方開口部の外周縁部からは、フランジ部26,27がそれぞれ張り出している。更に
図3に示すように、周壁21の長手方向他端部側には、通口29aが形成されており、この通口29aの表側周縁からは接続管29が突設されている。この接続管29には、燃料タンクの外部に配置されるキャニスターやフィラーチューブ等に連結された、図示しない配管が接続されており、燃料タンク外と連通するようになっている。
【0020】
また、仕切壁22の表側(フレーム40に向く側)であって、前記第1開口部23及び前記第2開口部24の外周からは、略円筒状をなしたニードル弁支持部30,30が突設されている(
図1参照)。各ニードル弁支持部30の内周には、所定間隙を設けたガイド部31が、周方向に対向した位置に設けられている。一方、
図8に示すように、仕切壁22の裏側(リッド60に向く側)であって、前記第3開口部25の外周からは、環状をなした弁支持部32が突設されている。
【0021】
図5に示すように、前記フレーム40は、前記ボディ20の周壁21に適合するように、互いに平行に配置された一対の長辺及びこれらに直交する一対の短辺からなる、一方向に長く延びる細長筒状をなした周壁41を有している。この周壁41の、一方の長辺には、長孔状をなした窓部41aが形成されている。
図6及び
図7に示すように、この窓部41aには、カバー42が着脱可能に装着されるようになっている。カバー42は、略長板状をなしており、その長手方向両端の裏側周縁からは、一対の装着爪42a,42aがカバー42の面方向に対して垂直に延設されている(
図6参照)。これらの装着爪42a,42aが、窓部41aの上方周縁部の内側に係止することで、窓部41aにカバー42が装着される(
図7参照)。
【0022】
また、周壁41の一対の短辺側には、コ字状スリットを介して撓み可能な係止爪41bがそれぞれ形成されている。更に、周壁41の、ボディ20側の外周縁部からは、前記ボディ20のフランジ部26に適合する形状をなしたフランジ部43が張り出している。また、
図3及び
図8に示すように、周壁41の内側であって、ボディ20寄りの位置には、底壁44が配置されている。更に
図5に示すように、底壁44の長手方向両端部には、略四角孔状をなしたニードルブラケット挿通部45,45が形成されており、これらの挿通部45,45の間には、略四角孔状をなした回転体受け挿通部46が形成されている。
【0023】
前記隔壁50は、ゴムやラバー等の弾性材料から形成されたものであって、長尺箱状の略ボディ20及び長尺筒状のフレーム40に適合するように、一方向に長く延びる形状をなした本体51を有している。この本体51の外周縁部からは、フランジ部52が張り出している。また、本体51の長手方向両端部であって、その天井面からは、上方が開口し下方が凹んだ凹部53,53が形成されている。各凹部53の底部54には、鍵穴状をなしたニードル弁係止孔55がそれぞれ形成されている。なお、隔壁50を構成する各部分は、全て一体形成されている。
【0024】
そして、隔壁50のフランジ部52を、ボディ20のフランジ部26上に載置すると共に、フレーム40のフランジ部43で挟持した後、フランジ部26及びフランジ部43どうしを溶着や接着剤等で互いに固着することで、隔壁50がボディ20及びフレーム40の間に挟み込まれた状態で、ボディ20の上方開口部に隔壁50を介してフレーム40が装着される。その結果、隔壁50が仕切壁22に対向する位置に配置されて、この隔壁50と、ボディ20の周壁21及び仕切壁22とで囲まれることによって、前記第2空間R2が画成されるようになっている。
【0025】
前記リッド60は、長尺箱状のフレーム40に適合するように、一方向に長く延びる略長板状をなした本体61を有している。本体61の長手方向一端部寄りの位置には、通口62aが形成されており、この通口62aの表側周縁からは接続管62が突設されている。この接続管62には、燃料タンクの内部に連通する図示しない配管が接続されるようになっており、燃料タンク内と連通するようになっている。また、本体61の裏面側(内面側)であって、前記通口62aに対して位置ずれした箇所からは、円筒状をなした弁支持部63が突設されている。
【0026】
そして、リッド60の本体61の周縁部61aを、ボディ20のフランジ部27に当接させて、両部分を溶着や接着剤等で互いに固着することで、ボディ20の下方開口部にリッド60が装着される。その結果、リッド60と、ボディ20の周壁21及び仕切壁22とで囲まれ、燃料タンクの内部に連通する前記第1空間R1が画成される。
【0027】
また、
図3に示すように、第1空間R1内には、弁65が昇降配置されている。この弁65は、上方に天井板が配置され下方が開口した筒状をなしている。この弁65の上方部分が、前記ボディ20の弁支持部32内に挿入され、下方部分内周に弁支持部63が挿入されて、昇降ガイドされる。また、弁65と本体61との間には、弁付勢バネ66が介装されており、第3開口部25に向けて弁65が付勢される。その結果、第3開口部25の裏側周縁に弁65が当接して、常時は第3開口部25が閉塞される。そして、第2室R2側の圧力が上昇して、弁付勢バネ66の付勢力に打ち勝つと、弁65が第3開口部25の裏側周縁から開いて、第2空間R2側の気体が第1空間R1側へと排出される。
【0028】
前記ブラケット70は、上方が開口した箱状をなした駆動手段収容部71と、該駆動手段収容部71の上方開口部に装着される蓋体72と、駆動手段収容部71の下方側に連設されたフレーム連結部73とを有している。駆動手段収容部71内には、回転体150を回転させるための、モーター等の駆動手段77(
図3参照)が収容される。また、駆動手段収容部71の側壁には、駆動手段77に電気を供給する図示しないプラグが差し込まれる、差し込み孔71aが形成されている。
【0029】
前記フレーム連結部73は、フレーム40の周壁41の上方開口部に適合するように、一方向に長く延びる形状をなしており、その長手方向両端部には、一対の側壁74,74が設けられている。各側壁74には、係止孔74aが形成されている。また、
図3に示すように、フレーム連結部73の背面壁75の内面からは、一対のガイド突条75a,75aが高さ方向に沿って延びている。更に、前記背面壁75の底部側であって長手方向中央位置からは、回転体150を回転支持するための、回転体支持部76が設けられている。また、
図4に示すように、フレーム連結部73の、一対の側壁74,74の間には、下方に向けてバネ支持壁78,78が垂設されている。このバネ支持壁78は、ニードルブラケット付勢バネS1の他端部(上端部)を支持する。
【0030】
そして、前記フレーム連結部73を、フレーム40の周壁41の上方開口部から挿入して、各係止孔74aに、フレーム側の各係止爪41bがそれぞれ係止することで、フレーム40の周壁41の上方開口部に、ブラケット70が装着される。これによって、隔壁50とブラケット70との間に、第3空間R2が形成される(
図3参照)。
【0031】
なお、以上説明したハウジングの形状や構造としては、仕切壁を介して第1空間及び第2空間を設けたものであれば、特に限定されない。
【0032】
次に、ニードル弁80,81について、
図2、
図3、及び
図8等を参照して説明する。
【0033】
このニードル弁80,81は、ボディ20と隔壁50との間に形成された第2空間R2の内部に昇降可能に配置される。この実施形態のニードル弁80,81は、円板状をなした基部83と、この基部83の一端面側中央から延出した円柱状をなした延出部84とを有している。また、基部83の他端面側中央からは、延出部84と同心状に突部85aが突出しており、この突部85aの突出方向先端には、突部85aの軸方向に対して直交した係止部85が連設されている。この係止部85は、隔壁50のニードル弁係止孔55及びニードルブラケット100,100のニードル弁係止孔114に挿通可能で、且つ、ニードル弁80,81を回転させることで、ニードル弁係止孔114に係止可能となっている。
【0034】
また、延出部84の外周であって周方向に対向する2箇所は、ニードル弁80,81の軸方向に沿って薄肉板状に延びたガイドリブ86,86が設けられている。各ガイドリブ86は、ボディ20のニードル支持部30ガイド部31の間隙に挿入されて、ニードル弁80,81の、第2空間R2内での昇降移動がガイドされる。
【0035】
更に、延出部84の延出方向先端部の外周には、ゴムやラバー等の樹脂材料からなるシール部87が装着されている。このシール部87の外周は、ニードル弁先端に向けて次第に縮径する傾斜面をなしており、第1開口部23のシール部23aや、第2開口部24のシール部24aに当接して、開口部23,24の第2室R2側の開口を閉塞するようになっている。
【0036】
そして、ニードル弁80,81の延出部84,84の延出方向先端部の端面からは、太さが複数段で変化して、開口部23,24に挿脱される弁頭90,91が突設されている。なお、本発明における「太さ」とは、弁頭を軸方向から見たときの断面積の大きさを意味する。また、本発明における「太さが複数段で変化して前記開口部に挿脱される弁頭」とは、それぞれ太さが異なる複数の頭部が、同心状且つ軸方向に連設される構成を意味する。
【0037】
より具体的には、ニードル弁80側の弁頭90は、延出部84の先端面から、第1開口部23の内径よりもやや小さい一定外径で且つ所定高さ(ニードル弁の軸方向に沿った長さ)で突出した第1頭部92と、該第1頭部92の外径よりも小さい一定外径で且つ第1頭部92よりも低い高さで、第1頭部92の先端面から段部93aを介して突出した第2頭部93と、該第2頭部93の外径よりも小さい一定外径で且つ第2頭部92よりも低い高さで、第2頭部93の先端面から段部94aを介して突出した第3頭部94とからなる。
【0038】
すなわち、上記弁頭90は、それぞれ一定外径で且つ一定高さで設けられた円形突起状をなした、第1頭部92、第2頭部93、第3頭部94が、同心状をなすように軸方向に連設された多段突起連設形状(ここでは3段の突部が連設された形状)をなしている。
【0039】
一方、ニードル弁81側の弁頭91は、延出部84の先端面から、第2開口部24の内径よりもやや小さい一定外径で且つ所定高さで突出した第4頭部95と、該第4頭部95の外径よりも小さい一定外径で且つ第4頭部95よりも低い高さで、第4頭部95の先端面から段部96aを介して突出した第5頭部96と、第5頭部96の外径よりも小さい一定外径で且つ第5頭部96よりも低い高さで、第5頭部96の先端面から段部97aを介して突出した第6頭部97とからなる。
【0040】
すなわち、上記弁頭91は、それぞれ一定外径で且つ一定高さで設けられた円形突起状をなした、第4頭部95、第5頭部96、第6頭部97が、同心状をなすように軸方向に連設された多段突起連設形状(ここでは3段の突部が連設された形状)をなしている。
【0041】
上記のように、いずれの弁頭90,91も、ニードル弁基端側の外径(外周の最大寸法)が大きく、ニードル弁先端側に向かって段階的に外径が小さくなった、複数の頭部を有しており、太さが複数段で変化した形状となっている。
【0042】
そして、ニードル弁80側の弁頭90は、第1開口部23に挿脱されて、かつ、後述する駆動部によって、第1開口部23に対する挿入位置が変化するようになっている。その結果、第1開口部23の流路面積に対する、弁頭90の占める割合が変動するので、第1開口部23の流路面積を可変させることが可能となっている。すなわち、第1頭部92が第1開口部23に位置したときに、第1開口部23の流路面積が最も小さくなり、第2頭部93が第1開口部23に位置したときは、第1頭部92が第1開口部23に位置したときよりも第1開口部23の流路面積が大きくなり、第3頭部93が第1開口部23に位置したときに、第2頭部92が第1開口部23に位置したときよりも第1開口部23の流路面積が大きくなり、弁頭90全体が第1開口部23から抜け出たときに、第1開口部23の流路面積が最も大きくなる。
【0043】
一方、ニードル弁81側の弁頭91は、第2開口部24に挿脱されて、かつ、後述する駆動部によって、第2開口部24に対する挿入位置が変化するようになっている。それによって、第2開口部24の流路面積に対する、弁頭91の占める割合が変動するので、第2開口部24の流路面積を可変させることが可能となっている。すなわち、第4頭部95が第2開口部24に位置したときに、第2開口部24の流路面積が最も小さく(
図14参照)、第5頭部96が第2開口部24に位置したときに、第4頭部95が第2開口部24に位置したときよりも第2開口部24の流路面積が大きくなり、第6頭部97が第2開口部24に位置したときに、第5頭部96が第2開口部24に位置したときよりも第2開口部24の流路面積が大きくなり、弁頭91全体が第2開口部24から抜け出たときに、第2開口部24の流路面積が最も大きくなる。
【0044】
なお、開口部23,24の流路面積は、開口部23,24の開口面積から、弁頭90,91の、開口部23,24に位置する部分における断面積を減算することで得られる。
【0045】
また、この実施形態における弁頭90,91は、円形孔状をなした第1開口部23及び第2開口部24に対応して、外周が円形状をなした頭部を複数段で連設した形状となっているが、弁頭の形状はこの形状に限定されるものではない。例えば、断面が円形状で、外周が基端から先端に向けて次第に縮径したテーパ面状をなした円錐台形の頭部を、ニードル弁の軸方向に複数段連設させたり、断面が円形状で外周が曲面状をなした頭部を、ニードル弁の軸方向に複数段連設させたり、断面が角形状をなした頭部を、ニードル弁の軸方向に複数段連設させたりしてもよい。また、弁頭を構成する頭部の連設個数は、2段や、4段以上であってもよい。更に、この実施形態では、弁頭90,91は、共に3段の頭部を有しているが、複数のニードル弁のうち、所定のニードル弁の弁頭の頭部段数を、他のニードル弁の弁頭の頭部段数に対して増減させてもよい。また、ニードル弁の弁頭以外の形状や構造も、上記実施形態における形状や構造に限定されるものではない。更に、ニードル弁の個数は、1個でも3個以上であってもよく、仕切壁に形成した開口部の個数に応じて適宜変更することができる。
【0046】
上記形状をなしたニードル弁80,81は、駆動部によって、開口部23,24に対する弁頭90,91の挿入位置を変化させるように構成されている。この実施形態の駆動部は、ハウジング11に回転可能に支持され、外周に階段状のカム面160が形成され、駆動手段によって回転する回転体150と、一対のニードル弁80,81を支持し、カム面160を昇降可能なカム突起130を有する一対のニードルブラケット100,100とを有しており、回転体150の回転により、カム面160がカム突起130を押圧することで、ニードルブラケット100,100を昇降動作させるように構成されている。また、この実施形態における駆動部は、一対のニードル弁80,81の、弁頭90,91を、一対の開口部23,24に対して一つずつ順番に挿入位置を変化させるように、ニードル弁80,81を移動させるように構成されている。更に、この実施形態では、一対のニードルブラケット100,100の、カム突起130,130が、回転体150のカム面160に、一つずつ順番に押圧されるように構成されている。
【0047】
上記のニードル弁80,81は、ニードルブラケット100,100に装着されるようになっている。これらのニードルブラケット100,100は、隔壁50とブラケット70との間に形成された第3空間R2の内部に配置される(
図3参照)。
【0048】
図2に示すように、ニードルブラケット100は、左右互い違いの形状をなしたブラケット本体110,111と、該ブラケット本体110,111に装着されるカム支持部材120と、該カム支持部材120にスライド可能に支持されるカム突起130とを有している。
【0049】
ブラケット本体110側にニードル弁80が装着され、ブラケット本体111側にニードル弁81が装着される。また、
図2に示すように、ブラケット本体110,111は、一側方及び正面側が開口した枠状をなした、カム装着部112と、正面側が開口した箱状をなしたニードル弁装着部113とを有している。更に、カム装着部112の底部112a側であって、開口した一側方とは反対側には、下方に向けて凹状をなした爪嵌合凹部112bが形成されている。なお、カム装着部112は、その正面側開口の開口向きが、フレーム40の窓部41aの開口向きと同じ向きとなるように、フレーム40内に配置される。
【0050】
ニードル弁装着部113は、隔壁50の凹部53に収容配置されると共に、その底部113aには、鍵穴状をなしたニードル弁係止孔114が形成されている。そして、ニードル弁装着部113を、フレーム40のニードルブラケット挿通部45を通して、隔壁50の凹部53に収容した後、隔壁50のニードル弁係止孔55の裏側から、ニードル弁80,81の係止部85を位置合わせし、同係止部85を、ニードル弁係止孔55及びニードル弁係止孔114に挿通させる。その後、ニードル弁80,81を回転させることで、係止部85がニードル弁係止孔114の表側周縁に係止するので、隔壁50の凹部53の底部54が、ニードル弁装着部113の底部113aとニードル弁80,81の基部83とで挟まれた状態で、ニードルブラケット100にニードル弁80,81が装着されるようになっている。
【0051】
また、
図3に示すように、ブラケット本体110,111は、フレーム40の側壁74及びガイド突条75aの間に配置されて、第3空間R2内で昇降可能にガイドされるようになっている。
【0052】
更に
図2に示すように、カム装着部112の底部112aの正面側からは、バネ支持部115が突出している。このバネ支持部115の天井面側には、凹状をなしたバネ支持凹部115aが形成されている。このバネ支持凹部115aに、ニードルブラケット付勢バネS1の一端部が支持されるようになっている。また、ニードルブラケット付勢バネS1の他端部は、ブラケット70のバネ支持壁78に支持されている(
図4参照)。その結果、フラケット本体110,111は、ニードル弁装着部113が、ボディ20の仕切壁22に近接する方向に付勢される。したがって、ニードル弁80,81は、ニードルブラケット付勢バネS1及びニードルブラケット100を介して、弁頭90,91が、開口部23,24に対して挿入量が多くなる方向に付勢される(
図8の矢印F2参照)。
【0053】
更に
図2に示すように、カム支持部材120は、先端部側が開口し基端部側が閉塞して所定長さで延びる四角箱状をなしており、その内部にカム収容部122が形成されている。カム収容部122には、カム突起付勢バネS2を介してカム突起130がスライド可能に収容される。また、カム支持部材120の基端部側の底部からは、嵌合爪123が突設されている。更に、カム支持部材120の天井壁には、長孔状をなした係止孔124が形成されている。このカム支持部材120は、カム装着部112の正面側開口から差し込んで、その嵌合爪123をカム装着部112の爪嵌合凹部112bに嵌合させることで、カム装着部112に装着される。この際、フレーム40の窓部41aを通じて、カム装着部112の正面側開口から、カム支持部材120を差し込み可能となっている。
【0054】
また、カム突起130は、基端部側が開口し、その反対の先端部131側が閉塞して、所定長さで延びる筒状をなしており、その内部にバネ収容部132が形成されている。バネ収容部132には、カム突起付勢バネS2が収容される。また、カム突起130の天井壁の基端部側には、スリットを介して撓み可能な係止爪133が形成されている。そして、バネ収容部132にカム突起付勢バネS2を収容したカム突起130を、カム支持部材120のカム収容部122の先端開口から挿入して、係止爪133をカム支持部材120の係止孔124に挿入する。その結果、カム突起130が、カム支持部材120の先端開口部からの突出量が変化するように、カム支持部材120に対してスライド可能に支持され且つ抜け止め可能に保持される。なお、カム突起130のスライド方向は、ハウジング11の長手方向X(
図1参照)に沿った方向となっている。
【0055】
また、カム突起付勢バネS2によって、カム突起130は、カム支持部材120の先端開口部から突出する方向(
図2の矢印F1参照)に付勢されるようになっている。その結果、
図9~11に示すように、カム突起130の先端部131は、回転体150が回転した場合に、カム支持部材120の先端開口部からの突出量が適宜増減して、後述する回転体150の外周155、抉り部157の外周157a、回転軸152の外周、側方突部156の外周のいずれかに常時圧接するようになっている。
【0056】
また、第3空間R2内に配置されるカム突起130の、フレーム40の底壁44側に向く底部側には、丸みを帯びた曲面状をなした頂部135a、及び、該頂部135aから天井壁側に向けて次第に広がる一対の傾斜面135b,135bからなる押圧面135が設けられている。この実施形態では、カム突起130をスライド保持するカム支持部材120は、ブラケット本体110,111のカム装着部112に装着され、かつ、ブラケット本体110,111が、ニードルブラケット付勢バネS1を介して、
図8の矢印F2方向に付勢されるようになってるので、カム突起130の押圧面135が、回転体150のカム面160に向けて付勢されるようになっている。
【0057】
上記一対のニードルブラケット100,100の、カム突起130,130は、回転体150のカム面160によって押圧されるようになっている。
【0058】
図3、
図8、及び
図9~11を参照すると、この実施形態の回転体150は、所定厚さの略円盤状をなした本体151と、この本体151の天井面151aの径方向中央から所定長さで突出した回転軸152と、本体151の底面151bの径方向中央から突出した支持軸153と、外周155に形成された階段状のカム面160とを有している。
【0059】
前記回転軸152は、モーター等の駆動手段77の駆動軸77a(
図1参照)に連結されており、同駆動軸が駆動することで、回転体150を所定方向(
図3,
図9の矢印F3参照)に回転させるようになっている。なお、この回転体150の回転方向は、矢印F3に示す一方向となっている(逆回転はしない)。また、前記支持軸153は、ブラケット70の回転体支持部76に回転可能に支持されるようになっている。
【0060】
更に、本体151の外周155は円形状をなしているが、この外周155には、周方向に沿って所定範囲で抉られてなる抉り部157が設けられており、この抉り部157に、階段状のカム面160が形成されている。
【0061】
この実施形態のカム面160は、回転体150の底面151b側から、回転体150の回転方向F3とは反対方向に向けて、階段状に高くなる形状をなしている。
【0062】
具体的には、このカム面160は、
(1)本体151の天井面151aから離反した位置に設けられ、一定高さの平坦面状で周方向に沿って延びる底面161と、
(2)底面161の周方向先端(回転方向F3とは反対方向側の端部を意味する、以下の各面の説明でも同様)から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第1傾斜面162と、
(3)第1傾斜面162の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、一定高さの平坦面状をなすように延びる第1平坦面163と、
(4)第1平坦面163の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第2傾斜面164と、
(5)第2傾斜面164の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、一定高さの平坦面状をなすように延びる第2平坦面165と、
(6)第2平坦面165の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第3傾斜面166と、
(7)第3傾斜面166の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、一定高さの平坦面状をなすように延びる第3平坦面167と、
(8)第3平坦面167の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第4傾斜面168とを有しており、
最終的に第4傾斜面168の周方向先端が本体151の天井面151aに連結されて構成されている。
【0063】
以上のように、この実施形態のカム面160は、回転体150の回転方向F2とは反対方向に向けた周方向に沿って、底面161、第1傾斜面162、第1平坦面163、第2傾斜面164、第2平坦面165、第3傾斜面166、第3平坦面167、第4傾斜面168が順番に形成されており、平坦面と斜面とが交互に連続して形成された階段状をなしている。
【0064】
なお、この実施形態のカム面160は、底面161及び天井面151aを含めて5段の階段形状をなしているが(底面161、第1平坦面163、第2平坦面165、第3平坦面167、天井面151a)、3段や、4段、或いは、6段以上の階段形状としてもよく、その形状や構造は特に限定されない。また、駆動部としては、ニードル弁を移動させて、開口部に対する弁頭の挿入位置を変化させることが可能であれば、どのような形状や構造であってもよい。
【0065】
なお、
図4には、便宜上、フレーム40や隔壁50が省略されているが、図示しないフレーム40やブラケット70に、回転体150や、ニードル弁80,81を装着したニードルブラケット100,100等の各種部材を組付けて、
図4に示すような組付体(サブアッシー体)を形成した後、この組付体を、ボディ20等に組付けることで、制御弁10全体を組立てることができる。
【0066】
(作用効果)
次に、上記構造からなる制御弁10の動作及び作用効果について説明する。
【0067】
上述した回転体150は次のようにして、ニードルブラケット100を昇降動作させるようになっている。
図8~16を併せて参照して説明する。この実施形態では、回転体150は、駆動手段によって20°ごとに回転するようになっており、それに伴ってニードル弁80,81が昇降動作する。なお、
図8~16は、便宜上、40°ごとの回転状態を示している。また、
図8は
図9(A)に対応しており、
図12は
図9(B)に対応しており、
図13は
図10(A)に対応しており、
図14は
図10(B)に対応しており、
図15は
図11(A)に対応しており、
図16は
図11(B)に対応している。更に
図9~11において、図中右側に、ニードル弁80側のカム突起130が示されており、図中左側に、ニードル弁81側のカム突起130が示されている。
【0068】
図8には、第1開口部23に対するニードル弁80の弁頭90の挿入量が最大で、かつ、第2開口部24に対するニードル弁81の弁頭90の挿入量も最大の場合が示されている。この場合、第1開口部23のシール部23aに、ニードル弁80のシール部87が当接して、第1開口部23が閉塞されていると共に、第2開口部24のシール部24aに、ニードル弁81のシール部87が当接して、第2開口部24が閉塞されている。なお、第2開口部24の閉塞状態は、回転体150が回転するまで維持される(
図12~14参照)。また、この状態では、
図9(A)に示すように、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が、回転体150の抉り部157の外周157aに圧接されると共に、同カム突起130の押圧面135が、カム面160の底面161に圧接されており、また、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が回転体150の外周155に圧接されている。
【0069】
この状態で回転体150がF3方向に20°回転すると、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が抉り部157の外周157aに押圧され、かつ、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が回転体150の外周155に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第1傾斜面162に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁80が上昇し、その後、カム面160の第1平坦面163が、カム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁80の上昇が停止する。その結果、ニードル弁80のシール部87が、第1開口部23のシール部23aから離れて、第1開口部23が開口すると共に、第1開口部23に第1頭部92が位置して、第1開口部23の流路面積が最小となる。
【0070】
その後、
図9(B)に示すように、回転体150がF3方向に20°回転すると(合計40°の回転)、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が抉り部157の外周157aに押圧され、かつ、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が回転体150の外周155に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第2傾斜面164に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁80が上昇し、その後、カム面160の第2平坦面165が、カム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁80の上昇が停止する。その結果、
図12に示すように、第1開口部23に第2頭部93が位置して、第1開口部23の流路面積が大きくなる。
【0071】
その後、回転体150がF3方向に20°回転すると(合計60°の回転)、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が抉り部157の外周157aに押圧され、かつ、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が回転体150の外周155に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第3傾斜面166に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁80が上昇し、その後、カム面160の第3平坦面167が、カム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁80の上昇が停止する。その結果、第1開口部23に第3頭部94が位置して、第1開口部23の流路面積が更に大きくなる。
【0072】
その後、
図10(A)に示すように、回転体150がF3方向に20°回転すると(合計80°の回転)、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が側方突部156の外周に押圧され、かつ、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が回転体150の外周155に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第4傾斜面168に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁80が上昇し、その後、カム突起130が本体151の天井面151a上に乗り上がって、同天井面151aがカム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁80の上昇が停止する。その結果、
図13に示すように、第1開口部23から弁頭91が完全に抜け出て(第1開口部23の全開状態)、第1開口部23の流路面積が最大となる。
【0073】
その後、回転体150がF3方向に回転すると、天井面151aにカム突起130が乗り上がって、その押圧面135が押圧された状態が維持されて、ニードル弁80の高さが保持されて、第1開口部23の全開状態が維持される。なお、第1開口部23の全開状態は、回転体150が360°回転して、ニードル弁80側のカム突起130が再び抉り部157内に入り込むまでは維持される。そして、
図10(B)に示すように、回転体150がF3方向に100°回転すると(合計180°の回転)、ニードル弁80側のカム突起130が回転軸152の外周に押圧され、かつ、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が、抉り部157内に入り込んで、その外周157aに押圧されつつ、回転体150が回転していく。この場合は、ニードル弁81はまだ上昇せず、第2開口部24のシール部24aに、ニードル弁81のシール部87が当接して、第2開口部24が閉塞された状態に維持される(
図14参照)。
【0074】
この状態で回転体150がF3方向に20°回転すると(合計200°の回転)、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が抉り部157の外周157aに押圧され、かつ、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が回転軸152の外周に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第1傾斜面162に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁81が上昇し、その後、カム面160の第1平坦面163が、カム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁81の上昇が停止する。その結果、ニードル弁81のシール部87が、第2開口部24のシール部24aから離れて、第2開口部24が開口すると共に、第2開口部24に第4頭部95が位置して、第2開口部24の流路面積が最小となる。
【0075】
その後、
図11(A)に示すように、回転体150がF3方向に20°回転すると(合計220°の回転)、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が抉り部157の外周157aに押圧され、かつ、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が回転軸152の外周に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第2傾斜面164に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁81が上昇し、その後、カム面160の第2平坦面165が、カム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁81の上昇が停止する。その結果、
図15に示すように、第2開口部24に第5頭部96が位置して、第2開口部24の流路面積が大きくなる。
【0076】
その後、回転体150がF3方向に20°回転すると(合計240°の回転)、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が抉り部157の外周157aに押圧され、かつ、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が回転軸152の外周に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第3傾斜面166に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁81が上昇し、その後、カム面160の第3平坦面167が、カム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁81の上昇が停止する。その結果、第2開口部24に第6頭部97が位置して、第2開口部24の流路面積が更に大きくなる。
【0077】
その後、
図11(B)に示すように、回転体150がF3方向に20°回転すると(合計260°の回転)、ニードル弁81側のカム突起130の先端部131が側方突部156の外周に押圧され、かつ、ニードル弁80側のカム突起130の先端部131が回転軸152の外周155に押圧されつつ、回転体150が回転していく。それと共に、カム面160の第4傾斜面168に、カム突起130の押圧面135が押圧されて、ニードルブラケット付勢バネS1の付勢力に抗して、ニードルブラケット100を介してニードル弁81が上昇し、その後、カム突起130が本体151の天井面151a上に乗り上がって、同天井面151aがカム突起130の押圧面135を押圧すると、ニードル弁81の上昇が停止する。その結果、
図16に示すように、第2開口部24から弁頭91が完全に抜け出て(第2開口部24の全開状態)、第2開口部24の流路面積が最大となる。
【0078】
なお、更に回転体150が回転し、合計360°回転すると、ニードル弁80側のカム突起130が再び抉り部157内に入り込んで、
図9(B)の状態となる。この場合には、ニードルブラケット100,100を介してニードル弁80,81が付勢されて、両開口部23,24に、ニードル弁80,81の、弁頭90,91が最大限挿入されて、
図8に示すように両開口部23,24が共に全閉状態となる。以降、回転体150が回転すると、
図9(B)、
図10(A)、
図10(B)、
図11(A)、
図11(B)の動作が繰り返されて、両開口部23,24に対する、ニードル弁80,81の、弁頭90,91の挿入位置関係は
図12~
図16に示すようになる。
【0079】
上記のように、この実施形態においては、上記のような階段状のカム面160を設けて、このカム面160によって、一対のニードルブラケット100,100を介して、一対のニードル弁80,81を昇降動作させることで、両開口部23,24の流路面積を、以下の(1)~(9)の複数段階で制御可能となっている。
【0080】
すなわち、
(1)第1開口部23及び第2開口部24の全閉状態(両開口部23,24の合計流路面積は0)、
(2)第2開口部24の全閉状態を維持しつつ、第1開口部23の流路面積を1段階大きくした状態(第1開口部23の流路面積が最小で、両開口部23,24の合計流路面積は最小)、
(3)第2開口部24の全閉状態を維持しつつ、第1開口部23の流路面積を2段階大きくした状態、(第1開口部23の流路面積が上記(2)より大きく、両開口部23,24の合計流路面積は(2)より大きい)、
(4)第2開口部24の全閉状態を維持しつつ、第1開口部23の流路面積を3段階大きくした状態(第1開口部23の流路面積が上記(3)より大きく、両開口部23,24の合計流路面積は(3)より大きい)、
(5)第2開口部24の全閉状態を維持しつつ、第1開口部23が全開状態(第1開口部の流路面積が最大となり、両開口部23,24の合計流路面積は(4)より大きい)、
(6)第1開口部23の全開状態が維持されつつ、第2開口部24の流路面積を1段階大きくした状態(第2開口部24の流路面積が最小で、両開口部23,24の合計流路面積は(5)より大きい)、
(7)第1開口部23の全開状態を維持しつつ、第2開口部24の流路面積を2段階大きくした状態(第2開口部24の流路面積が上記(6)より大きく、両開口部23,24の合計流路面積は(6)より大きい)、
(8)第1開口部23の全開状態を維持しつつ、第2開口部24の流路面積を3段階大きくした状態(第2開口部24の流路面積が上記(7)より大きく、両開口部23,24の合計流路面積は(7)より大きい)、
(9)第1開口部23及び第2開口部24の全開状態(両開口部23,24の流路面積が最大)となる。
【0081】
そして、この制御弁10においては、
図9~11に示すように、駆動部によって回転体150を矢印F3方向に所定角度ずつ回転させることによって、
図3及び
図12~16に示すように、ニードルブラケット100,100を介して、一対のニードル弁80,81を昇降動作させて、開口部23,24に対する弁頭90,91の挿入位置を変化させることができる。その結果、上述したように、両開口部23,24の流路面積を、弁頭外周の段の数に応じて適宜可変させることができ、両開口部23,24の流路面積を複数段階で制御することができる。
【0082】
また、この実施形態においては、開口部は仕切壁22に複数設けられており(ここでは開口部23,24)、複数の開口部23,24に対応して、複数のニードル弁80,81を有しており、駆動部は、複数のニードル弁80,81の、弁頭90,91を、複数の開口部23,24に対して一つずつ順番に挿入位置を変化させるように、ニードル弁80,81を移動させるように構成されている。
【0083】
この態様によれば、駆動部は、複数のニードル弁80,81の、弁頭90,91を、複数の開口部23,24に対して一つずつ順番に挿入位置を変化させるように、ニードル弁80,81を移動させるので(
図3及び
図12~16参照)、開口部23,24の流路面積をより多段階で制御することができる。
【0084】
更に、この実施形態においては、
図2、
図3、及び
図8~16に示すように、駆動部は、ハウジング11に回転可能に支持され、外周に階段状のカム面160が形成され、駆動手段によって回転する回転体150と、一対のニードル弁80,81を支持し、カム面160を昇降可能なカム突起130を有する一対のニードルブラケット100,100とを有しており、回転体150の回転により、カム面160がカム突起130を押圧することで、ニードルブラケット100,100を昇降動作させるように構成されている。
【0085】
この態様によれば、回転体150の回転により、カム面160がカム突起130を押圧することで、ニードルブラケット100を昇降動作させるので、例えば、ボールネジによる昇降動作等と比べて、応答性を高めることができ、ニードルブラケット100を迅速に昇降動作させることが可能となり、ひいてはニードル弁80,81を迅速に昇降させることができる。
【0086】
また、この実施形態においては、
図2、
図3、及び
図8~15に示すように、駆動部は、複数のニードル弁80,81をそれぞれ支持する、複数のニードルブラケット100,100を有しており、複数のニードルブラケット100,100の、カム突起130,130が、回転体150のカム面160に、一つずつ順番に押圧されるように構成されている。
【0087】
この態様によれば、複数のニードルブラケット100,100の、カム突起130,130が、回転体150のカム面160に、一つずつ順番に押圧されるようになっているので、1つの回転体150で、複数のニードル弁80,81を順番に昇降動作させることができ、駆動部の構造の簡素化を図れ、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0088】
更に、この実施形態においては、
図3や
図8に示すように、ハウジング11には、仕切壁22に対向する位置に、弾性材料からなる隔壁50が配置されており、ニードル弁80,81は、ニードルブラケット100との間で隔壁50を挟み込んだ状態で支持されるようになっている。
【0089】
この態様によれば、ニードル弁80,81は、ニードルブラケット100との間で隔壁50を挟み込んだ状態で支持されるので、ニードル弁80,81とニードルブラケット100との間を、弾性材料からなる隔壁50でシールすることができ、第2空間R2の密閉性を保持することができる。また、隔壁50は弾性材料からなるので、ニードル弁80,81が昇降動作する際に、ダイヤフラムのように適宜伸び縮みするため、シール性を維持しつつニードル弁80,81を昇降動作させることができる。
【0090】
また、この実施形態においては、ニードルフラケット100は、付勢手段(ここではニードルブラケット付勢バネS1を意味する)によって、ニードル弁80,81の、弁頭90,91が開口部23,24に挿入される方向に、かつ、カム突起130がカム面160に押圧される方向に付勢されるように構成されている。
【0091】
この態様によれば、ニードルフラケット100は、付勢手段によって、ニードル弁80,81の、弁頭90,91が開口部23,24に挿入される方向に付勢されるので、ニードル弁80,81を、燃料タンク内の圧力上昇時に開口部を開いて燃料蒸気を逃がすリリーフ弁として機能させることができる。また、ニードルフラケット100は、付勢手段によって、カム突起130がカム面160に押圧される方向に付勢されるので、回転体150の回転動作によるニードル弁80,81の昇降動作が安定してなされる。
【0092】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10 流路面積制御弁(制御弁)
11 ハウジング
20 ボディ
23 第1開口部
24 第2開口部
40 フレーム
50 隔壁
60 リッド
70 ブラケット
80,81 ニードル弁
90,91 弁頭
100 ニードルブラケット
110,111 ブラケット本体
120 カム支持部材
130 カム突起
150 回転体
160 カム面
S1 ニードルブラケット付勢バネ
S2 カム突起付勢バネ