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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】香り発生システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/70 20180101AFI20231208BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20231208BHJP
   F24F 1/0355 20190101ALI20231208BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20231208BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20231208BHJP
   F24F 120/14 20180101ALN20231208BHJP
【FI】
F24F11/70
A61L9/01 Q
F24F1/0355
F24F11/64
F24F11/89
F24F120:14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019157589
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036176
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭人
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100605(JP,A)
【文献】特開2011-242096(JP,A)
【文献】特開2009-250589(JP,A)
【文献】特開2009-019860(JP,A)
【文献】国際公開第2015/170414(WO,A1)
【文献】特開2001-133013(JP,A)
【文献】特開2000-146235(JP,A)
【文献】特開平03-049765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/70
A61L 9/01
F24F 1/0355
F24F 11/64
F24F 11/89
F24F 120/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の玄関口を含む周辺画像を生成する撮像装置と、前記建物内の複数の部屋のそれぞれに設置されて香りを発生させる香り発生装置と、前記香り発生装置の動作を制御する制御部と、を有して構成される香り発生システムであって、
複数の前記香り発生装置のそれぞれは、人感センサを有しており、
前記制御部は、前記撮像装置により生成された周辺画像に人物が含まれ且つ前記人物が行動パターン情報を有する場合、前記人物を特定するとともに、特定した前記人物の前記行動パターン情報に基づいて特定した前記人物の移動先となる部屋を特定し、特定した前記人物が特定した前記部屋に入るまでに、特定した前記部屋に設置された前記香り発生装置から香りを発生させ
前記制御部は、前記撮像装置により生成された周辺画像に人物が含まれ且つ前記人物が前記行動パターン情報を有しない場合、複数の前記部屋の何れの部屋においても前記人感センサが反応しないときは複数の前記香り発生装置の何れの香り発生装置からも香りを発生させず、複数の前記部屋の何れかの部屋で前記人感センサが反応したときは前記人感センサが反応した部屋の前記香り発生装置から香りを発生させることを特徴とする香り発生システム。
【請求項2】
前記制御部は、特定した前記部屋に設置された前記香り発生装置から香りを発生させた後、特定した前記部屋とは異なる部屋で前記人感センサが反応した場合、前記人感センサが反応した部屋の前記香り発生装置から香りを発生させるとともに、特定した前記部屋の前記香り発生装置の香り発生を停止させることを特徴とする請求項1に記載の香り発生システム。
【請求項3】
前記行動パターン情報は、特定した人物が前記玄関口を通って移動した部屋への移動頻度に関する情報であり、
前記制御部は、前記人感センサの反応情報に基づいて前記行動パターン情報を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の香り発生システム。
【請求項4】
複数の前記香り発生装置のそれぞれは、第1香りと、前記第1香りとは異なる第2香り
とを切り替える切替部を備え、
前記制御部は、特定した前記人物が、第1人物の場合に、前記香り発生装置から前記第1香りを発生させ、前記第1人物とは異なる第2人物の場合に、前記香り発生装置から前記第2香りを発生させるように、特定した前記部屋に設置された前記香り発生装置の前記切替部を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の香り発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香り発生システムに関し、特に人物を検知した場合に香りの送風を行う香り発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の対象空間に人が侵入した場合にその空間に香りを供給する香り供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来の香り供給装置について図6を参照しながら説明する。図6は、従来の香り供給装置の概略図である。
【0004】
従来の香り供給装置100は、建物内の部屋101に人物が侵入するのを感知するセンサ102と、吹出口103から香りを導入するダクト104と、香りを噴霧する香り発生装置105と、ダクト104内に空気流を発生させる送風機106と、センサ102からの検知データに基づいて香り発生装置105及び送風機106をそれぞれ制御するコントローラ107とから構成されている。
【0005】
香り供給装置100は、以下のように動作する。人物が部屋101に入ってくるとセンサ102がこれを検知し、コントローラ107へ検知信号を送る。コントローラ107は、この検知信号に基づき、香り発生装置105と送風機106にそれぞれ制御信号を送る。これにより、香り発生装置105はダクト104内に香りを噴霧し、送風機106はダクト104内に空気流を発生させる。ダクト104内に噴霧された香りは、空気流によりガス化され、吹出口103から香り付加空気として部屋101に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平3-114467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の香り供給装置100では、人物が検知されてから香りの提供を開始するため、部屋101全体に香りが充満するには時間を要する。そのため、香り供給装置100が香りの提供を開始してからしばらくの間は、人物が香り供給装置100の吹出口103の周辺にいれば香りを感じられるが、部屋101内で吹出口103から離れた場所に移動した場合に香りを十分に感じられないことが考えられる。従来の香り供給装置100を住宅建物に設置し、帰宅した人物に対して香りを提供しようとする場合、部屋101に香りが充満されていないことにより、帰宅した人物は部屋に入っても継続して香りを感じられないという課題がある。
【0008】
そこで本発明は、人物が帰宅してから、移動先となる部屋に入るまでに部屋全体に香りを充満させることが可能な香り発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る香り発生システムは、建物の玄関口を含む周辺画像を生成する撮像装置と、建物内の複数の部屋のそれぞれに設置されて香りを発生させる香り発生装置と、香り発生装置の動作を制御する制御部とを有して構成される。制御部は、撮像装置により生成された周辺画像に人物が含まれる場合、人物を特定するととも
に、特定した人物の行動パターン情報に基づいて特定した人物の移動先となる部屋を特定する。そして、特定した人物が特定した部屋に入るまでに、特定した部屋に設置された香り発生装置から香りを発生させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人物が帰宅してから、移動先となる部屋に入るまでに部屋全体に香りを充満させることが可能な香り発生システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る香り発生システムの概要図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る香り発生装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る香り発生システムにおける制御部の構成を示すブロック図である。
図4図4は、図3の制御部を構成する記憶部に記憶されたテーブルのデータ構造を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る香り発生システムの処理動作を示すフローチャート図である。
図6図6は、従来の香り供給装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る香り発生システムは、建物の玄関口を含む周辺画像を生成する撮像装置と、建物内の複数の部屋のそれぞれに設置されて香りを発生させる香り発生装置と、香り発生装置の動作を制御する制御部とを有して構成される。制御部は、撮像装置により生成された周辺画像に人物が含まれる場合、人物を特定するとともに、特定した人物の行動パターン情報に基づいて特定した人物の移動先となる部屋を特定する。そして、特定した人物が特定した部屋に入るまでに、特定した部屋に設置された香り発生装置から香りを発生させる。
【0013】
こうした構成によれば、人物が帰宅してから、人物の移動先となる部屋に入るまでに、香りを発生させることができるため、人物の入室前に部屋全体に香りを充満させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の香り発生システムでは、複数の香り発生装置のそれぞれは、人感センサを有している。そして、制御部は、特定した部屋とは異なる部屋で人感センサが反応した場合、人感センサが反応した部屋の香り発生装置から香りを発生させるとともに、特定した部屋の香り発生装置の香り発生を停止させるようにしてもよい。このようにすることで、特定した人物が特定した部屋とは異なる部屋へ移動した場合でも人物に香りを提供でき、特定した人物の移動先となる部屋で香りを感じることができないという状況を防ぐことができるとともに、特定した人物が移動しなかった特定した部屋での不必要な香料の使用を抑えることができる。
【0015】
また、本発明の香り発生システムでは、行動パターン情報は、特定した人物が玄関口を通って移動した部屋への移動頻度に関する情報であり、制御部は、人感センサの反応情報に基づいて行動パターン情報を更新することが好ましい。このようにすることで、行動パターン情報が更新されるごとに移動先となる部屋の特定精度が向上するため、特定した人物に対してより効果的に香りを提供することができる。
【0016】
また、本発明の香り発生システムでは、複数の香り発生装置のそれぞれは、第1香りと、第1香りとは異なる第2香りとを切り替える切替部を備える。そして、制御部は、特定した人物が、第1人物の場合に、香り発生装置から第1香りを発生させ、第1人物とは異
なる第2人物の場合に、香り発生装置から第2香りを発生させるように、特定した部屋に設置された香り発生装置の切替部を制御するようにしてもよい。このようにすることで、人物ごとに異なる香りを提供することができるため、それぞれの人物の嗜好に合った香りを提供できる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
まず、図1図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る香り発生システム11の概略について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る香り発生システム11の概要図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る香り発生装置15の斜視図である。
【0019】
香り発生システム11は、建物(住宅)内に設置され、人物が玄関口で検出された場合に、人物の移動先となる部屋に予め香りを発生させるシステムである。
【0020】
図1に示すように、香り発生システム11は、玄関12に設置される撮像装置13と、複数の部屋14のそれぞれに設置される香り発生装置15と、複数の香り発生装置15の動作を制御する制御部16と、を有して構成される。なお、制御部16は、撮像装置13と香り発生装置15との間で、無線または有線により通信可能に接続されている。
【0021】
撮像装置13は、玄関12の天井に設置され、玄関ドアが開く動作(例えば、ドア開閉センサによる閉状態から開状態への変化)に連動して起動し、玄関12を繰り返し撮像するカメラである。撮像装置13は、玄関12の玄関口を含む領域の周辺画像を繰り返し生成し、制御部16に出力する。
【0022】
香り発生装置15は、複数の部屋14のそれぞれに配置され、配置された部屋14内に香りを発生させる装置である。なお、香り発生装置15は、通信ユニットを内蔵して構成され、無線により後述する制御部16との間で通信可能に接続されている。
【0023】
図2に示すように、香り発生装置15は、筐体が略球形状のボール型ファン18と、ボール型ファン18を載せて設置できる設置台座19とより構成される。
【0024】
ボール型ファン18は、環形状の吹出口24から吹き出す高圧空気(吹出気流25)と、吹出口24から吹き出す空気に誘引されて内環側に位置する誘引空気吹出口20から吹き出す誘引空気(誘引気流21)とを用いて送風を行う。また、ボール型ファン18は、人感センサ22を有しており、香り発生装置15が設置された部屋14への入室者を検知できるように構成されている。
【0025】
設置台座19は、ボール型ファン18の筐体の外表面を環状に接触して支持し、支持する際にボール型ファン18の誘引空気吸込口23の一つが設置台座19の支持面(設置台座19の外縁に沿って環状に構成される面)と重なるように構成されている。また、設置台座19は、その内部に香り導入部(図示せず)を備える。香り導入部による香りの導入には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは詳細な説明を省略するが、例えば、供給カートリッジから導入される香料のガス化あるいは放電によるイオン化によって香料を放出させて導入する。香り導入部より放出された香料は、設置台座19と連通するボール型ファン18の誘引空気吸込口23の一つから吸い込まれ、誘引気流21とともに放出される。香り導入部は、第1香りの供給カートリッジと第1香りとは異なる第2香りの供給カートリッジを有し、第1香りと第2香りを切り替えて導入する切替部を有している。
【0026】
制御部16は、複数の部屋14のそれぞれに設置された香り発生装置15の動作を制御
する。そして、制御部16は、撮像装置13により生成された周辺画像に人物17が含まれる場合、人物17を特定するとともに、特定した人物17の行動パターン情報に基づいて特定した人物17の移動先となる部屋14を特定する。そして、特定した人物17が特定した部屋14に入るまでに、特定した部屋14に設置された香り発生装置15から香りを発生させるように制御する。
【0027】
次に、図3図4を参照して、香り発生システム11の制御部16について詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る香り発生システム11における制御部16の構成を示すブロック図である。図4は、図3の制御部16を構成する記憶部16bに記憶されたテーブルのデータ構造を示す図である。
【0028】
図3に示すように、制御部16は、入力部16aと、記憶部16bと、計時部16cと、処理部16dと、出力部16eとを備える。
【0029】
入力部16aは、操作パネル26からの香り発生システム11の動作開始指示または動作停止指示に関する第一情報と、撮像装置13からの周辺画像に関する第二情報と、香り発生装置15の人感センサ22からの人物検知に関する第三情報を受け付ける。入力部16aは、受け付けた第一情報~第三情報を処理部16dに出力する。
【0030】
記憶部16bは、複数の部屋14における香り発生装置15の動作を制御するために用いるテーブル情報を記憶する。記憶部16bは、記憶したテーブル情報を第四情報として処理部16dに出力する。
【0031】
ここで、テーブル情報は、図4に示すように、玄関12においてそれぞれの人物17(人物A、人物B、・・・人物Z)を検知した場合に、それぞれの人物17ごとにそれぞれの移動先となる部屋14(部屋A、部屋B、・・・部屋Z)への移動頻度に関する情報(行動パターン情報)である。本実施の形態では、移動頻度に関する情報を、人物17の各部屋14への累計の移動回数としている。また、テーブル情報には、それぞれの人物17を特定するための人物画像(画像A、画像B、・・・画像Z)に関する情報に加え、それぞれの人物17ごとの嗜好に合った香り(香りA、香りB、・・・香りZ)に関する情報も含まれている。
【0032】
計時部16cは、現在時刻に関する情報を第五情報として処理部16dに出力する。
【0033】
処理部16dは、入力部16aからの第一情報~第三情報と、記憶部16bからの第四情報と、計時部16cからの第五情報とを受け付ける。処理部16dは、受け付けた第一情報~第五情報を用いて、香り発生システム11が動作している場合には、a)玄関12で検出された人物17の特定、及び人物17に対応する香り種類の特定、b)特定した人物17の移動先となる部屋14の特定を行い、その結果として香り発生装置15の制御情報を特定する。処理部16dは、特定した制御情報を出力部16eに出力する。なお、人物17及び部屋14の特定方法については後述する。
【0034】
出力部16eは、処理部16dからの制御情報を受け付ける。出力部16eは、複数の香り発生装置15のそれぞれと電気的に接続される。そして、出力部16eは、受け付けた制御情報に基づいて、移動先となる部屋14に設置された香り発生装置15での香り発生動作を制御する信号(制御信号)を出力する。
【0035】
そして、移動先となる部屋14に設置された香り発生装置15は、出力部16eからの信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて発生させる香り発生動作の制御を実行する。
【0036】
以上のようにして、制御部16は、香り発生装置15における香り発生動作の制御を実行させる。
【0037】
次に、制御部16における人物17の特定方法について、人物Aと人物Bの二人の場合を例示して説明する。
【0038】
制御部16は、パターンマッチング(テンプレートマッチング)等の公知の手法により、撮像装置13より生成された周辺画像内に含まれる人物を検出し、言い換えれば、撮像対象空間内の人物を検出する。本実施の形態では、制御部16は、パターンマッチングのパターンとして、第1人物(人物A)の頭部または顔を示すパターン(第1パターン画像(画像A))と第1人物とは異なる第2人物(人物B)の頭部または顔を示すパターン(第2パターン画像(画像B))を記憶する。制御部16は、周辺画像の中に第1パターン画像または第2パターン画像が含まれる場合、そのことをパターンマッチングにより検出する。このようにして、制御部16は、玄関12で検出された人物17を特定する。この時、制御部16は、検出された人物17(第1人物または第2人物)に応じて香りの種類(香りAまたは香りB)も併せて特定する。
【0039】
次に、制御部16における部屋14の特定方法について説明する。
【0040】
制御部16は、特定した人物17の行動パターン情報(図4参照)に基づいて、特定した人物17の移動先となる部屋14を特定する。本実施の形態では、制御部16は、特定した人物17に対して、帰宅時に玄関12からの移動先となる部屋14のうち、最も移動回数の多い部屋を移動先の部屋14として特定する。なお、移動回数が同じであり、且つ、移動先の部屋14の候補が複数あった場合には、直近に移動した部屋を移動先の部屋14として特定すればよい。
【0041】
次に、図5を参照して、香り発生システム11による香り発生動作における処理手順について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る香り発生システムの処理動作を示すフローチャート図である。
【0042】
制御部16は、図5に示すように、システムの電源がオン(または操作パネル26からの香り発生システム11の動作開始指示の入力)となると、撮像装置13に玄関12を含む領域の周辺画像を生成させ(ステップS01)、撮像装置13から周辺画像(第二情報)を取得する。制御部16は、撮像装置13が生成した周辺画像の中に人物17が含まれるか否かを検出し、人物17が含まれない場合(ステップS02のNo)、ステップS01に戻り、撮像装置13に周辺画像の生成を継続させる。一方、周辺画像の中に人物17が含まれる場合(ステップS02のYes)、周辺画像の人物17が行動パターン情報を有する人物か否かを判定する(ステップS03)。
【0043】
周辺画像の人物17が行動パターン情報を持たない人物である場合(ステップS03のNo)、ステップS07のサブルーチンAへ進む。サブルーチンAの動作については後で詳しく説明する。一方、周辺画像の人物17が行動パターン情報のある人物(例えば、人物A)である場合(ステップS03のYes)、制御部16は、人物17に対して送風する香りの種類(例えば、香りA)を特定する(ステップS04)。香りの種類は、図4に示すように、あらかじめ人物17ごとに設定したものを記憶している。
【0044】
次に、特定した人物17の行動パターン情報から、移動先となる部屋14(例えば、部屋A)を特定し(ステップS05)、特定した部屋14の香り発生装置15(例えば、香り発生装置15a)からステップ04で決定した種類の香りを発生させる(ステップS06)。そして、制御部16は、サブルーチンAを開始する(ステップS07)。
【0045】
サブルーチンAが開始すると、部屋数分のループを開始し(ステップS08)、制御部16は、それぞれの部屋14の香り発生装置15の人感センサ22が反応しているかを調べ、入室者の有無を検出する(ステップS09)。i番目の部屋14iにおいて入室者が検出されない場合(ステップS09のNo)、次の部屋の入室者検出判定に移り、すべての部屋を入室者検出判定が終了したら(ステップS10)、ステップS08に戻り、再度各部屋の入室者検出判定を行う。
【0046】
次に、部屋14iにおいて入室者が検出される場合(ステップS09のYes)、ループを終了し、制御部16は、入室者を検知した部屋14iの香り発生装置15iが香りを発生させているかを判定する(ステップS11)。香りを発生させている場合(ステップS11のYes)、すなわち人物17の移動先の部屋14iが特定した部屋14(例えば、部屋A)と一致する場合、香りの発生を継続させて、サブルーチンAを終了する。一方、入室者を検知した部屋iの香り発生装置15iが香りを発生させていない場合(ステップS11のNo)、すなわち人物17の移動先の部屋14iが特定されなかった部屋14(例えば、部屋B)と一致する場合、制御部16は、入室者を検知した部屋14iの香り発生装置15iからの香りの発生を開始し(ステップS12)、特定した部屋Aに設置された香り発生装置15aからの香り発生を停止させる(ステップS13)。そして、制御部16は、サブルーチンAを終了する。このように、サブルーチンAでは、制御部16は、それぞれの部屋の入室者を検知し、入室者がある部屋で香りが発生している場合には香りの発生を継続し、入室者がいない部屋で香りが発生している場合には香りの発生を停止させる。
【0047】
次に、サブルーチンAが終了したら、それぞれの部屋14の人感センサ22の反応情報をもとに、人物17の行動パターン情報を更新する(ステップS14)。そして、システムの電源がオフ(または操作パネル26からの香り発生システム11の動作停止指示の入力)になるなどの終了判定を満たした場合は(ステップS15のYes)、システムの動作を終了させる。終了判定を満たさなかった場合は(ステップS15のNo)、ステップS01に戻り、周辺画像の生成を再開させる。
【0048】
以上のようにして、制御部16は、帰宅した人物17(人物A)を検知して移動先となる部屋14(部屋A)を特定し、特定した部屋14(部屋A)の香り発生装置15(香り発生装置15a)から、特定した人物17(人物A)が移動するまでに、香りを発生させるように制御する。そして、制御部16は、それぞれの部屋14の人感センサ22の反応情報をもとに実際に移動した部屋14iを特定し、部屋14iで香りを発生させていなかった場合には、部屋14iに設置された香り発生装置15iから香りを発生させ、香りを発生させていた部屋14(部屋A)で香りの発生を停止させる。最後に、制御部16は、人感センサ22の反応情報をもとに記憶部16bに記憶された人物の行動パターン情報を更新する。
【0049】
以上、本実施の形態1に係る香り発生システム11によれば、以下の効果を享受することができる。
【0050】
(1)制御部16は、撮像装置13により生成された周辺画像に人物17が含まれる場合、人物17を特定するとともに、特定した人物17の行動パターン情報に基づいて人物17の移動先となる部屋14を特定する。そして、特定した人物17が特定した部屋14に入るまでに、特定した部屋14に設置された香り発生装置15から香りを発生させるようにした。このようにすることで、人物17が帰宅してから、人物17の移動先となる部屋14に入るまでに、香りを発生させることができるため、人物17の入室前に部屋全体に香りを充満させることが可能となる。
【0051】
(2)制御部16は、特定した部屋14とは異なる部屋14で人感センサ22が反応した場合、人感センサ22が反応した部屋14の香り発生装置15から香りを発生させるとともに、特定した部屋14の香り発生装置15の香り発生を停止させるようにした。これにより、特定した人物17が特定した部屋14とは異なる部屋14へ移動した場合でも人物17に香りを提供でき、特定した人物17の移動先となる部屋14で香りを感じることができないという状況を防ぐことができるとともに、特定した人物17が移動しなかった特定した部屋14での不必要な香料の使用を抑えることができる。
【0052】
(3)記憶部16bに記憶される行動パターン情報(テーブル情報)は、特定した人物17が玄関12を通って移動した部屋14への移動頻度に関する情報であり、制御部16は、人感センサ22の反応情報に基づいて行動パターン情報を更新するようにした。これにより、行動パターン情報が更新されるごとに移動する部屋14の特定精度が向上するため、人物17に対してより効果的に香りを提供することができる。
【0053】
(4)複数の香り発生装置15のそれぞれは、第1香りと、第1香りとは異なる第2香りとを切り替える切替部を備え、制御部16は、特定した人物17が、第1人物(例えば、人物A)の場合に、香り発生装置15から第1香り(例えば、香りA)を発生させ、第1人物とは異なる第2人物(例えば、人物B)の場合に、香り発生装置15から第2香り(香りB)を発生させるように、特定した部屋14に設置された香り発生装置15の切替部を制御するようにした。これにより、人物17ごとに異なる香りを提供することができるため、それぞれの人物17の嗜好に合った香りを提供できる。
【0054】
以上、本開示に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0055】
本実施の形態、制御部16の記憶部16bが、検出した人物17の行動情報パターンを有していなかった場合には、従来のように、それぞれの部屋14に設置された香り発生装置15の人感センサ22の反応によって、香り発生装置15から香りを発生させるようにしてもよい。これにより、制御部16は、特定した人物17の移動先となった部屋14で香りを感じることができないという状況を防ぐことができる。また、この際、制御部16は、検出した人物17の、反応情報の得られた部屋14への移動回数を1加算して行動パターン情報を更新するようにする。これにより、制御部16は、1度目の来訪時に行動パターン情報を記憶するため、2度目以降の来訪時は、行動パターン情報に基づいて1部屋のみで香りを発生させるようにすることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、人物17の移動頻度に関する情報を人物17の各部屋14への累計の移動回数としたが、これに限られない。例えば、移動頻度に関する情報を、過去数十回(あるいは所定期間内)のそれぞれの部屋へ移動した割合としてもよい。このように最近の移動情報を用いることで、特定した人物の移動先となる部屋をよりよい精度で特定できることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る香り発生システムは、人物が帰宅してから移動先となる部屋に入るまでに部屋全体に香りを充満させることが可能であるため、人物を検知した場合に香りの送風を行うのに使用される香り発生システム等として有用である。
【符号の説明】
【0058】
11 香り発生システム
12 玄関
13 撮像装置
14 部屋
14i 部屋
15 香り発生装置
15a 香り発生装置
15i 香り発生装置
16 制御部
16a 入力部
16b 記憶部
16c 計時部
16d 処理部
16e 出力部
17 人物
18 ボール型ファン
19 設置台座
20 誘引空気吹出口
21 誘引気流
22 人感センサ
23 誘引空気吸込口
24 吹出口
25 吹出気流
26 操作パネル
100 香り供給装置
101 部屋
102 センサ
103 吹出口
104 ダクト
105 香り発生装置
106 送風機
107 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6