(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】遮断回路診断装置
(51)【国際特許分類】
H02P 27/08 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
H02P27/08
(21)【出願番号】P 2020525340
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2019018654
(87)【国際公開番号】W WO2019239753
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2018114678
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】岸田 英之
(72)【発明者】
【氏名】岸部 太郎
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/063892(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/013722(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御するモータ制御モジュールと、前記モータ制御モジュールに着脱自在な外部安全モジュールとを備える遮断回路診断装置であって、
前記モータ制御モジュールは、
パルス幅変調制御により前記モータへ印加する電圧を制御するインバータ回路と、前記インバータ回路のパワー素子を駆動する駆動回路とを有するモータ駆動部と、
前記駆動回路への電力供給を遮断する遮断回路と、
前記遮断回路による前記遮断を制御するための第1信号を生成する第1診断パルス生成器を有し、前記第1信号に応じて前記駆動回路への電力供給が遮断されているか否かを検出する第1遮断回路診断部と、
前記モータ制御モジュールに前記外部安全モジュールが装着されているか否かを判定する外部安全モジュール接続有無判定部と、
前記判定が否定的な場合に、前記遮断回路へ前記第1信号を供給させる機能切替部と、を備え、
前記外部安全モジュールは、
前記遮断回路による前記遮断を制御するための第2信号を生成する第2診断パルス生成器を有し、前記第2信号に応じて前記駆動回路への電力供給が遮断されているか否かを検出する第2遮断回路診断部を備え、
前記外部安全モジュール接続有無判定部での前記判定が肯定的な場合に、前記遮断回路へ前記第2信号を供給する、
遮断回路診断装置。
【請求項2】
前記モータ制御モジュールは、前記第1信号の異常、及び前記第2信号の異常を検出する遮断回路診断監視部をさらに備える、
請求項1に記載の遮断回路診断装置。
【請求項3】
モータを制御するモータ制御モジュールと、前記モータ制御モジュールに着脱自在な外部安全モジュールとを備える遮断回路診断装置であって、
前記モータ制御モジュールは、
パルス幅変調制御により前記モータへ印加する電圧を制御するインバータ回路と、前記インバータ回路のパワー素子を駆動する駆動回路とを有するモータ駆動部と、
前記駆動回路への電力供給を遮断する遮断回路と、
前記遮断回路による前記遮断を制御するための第1信号を生成する第1診断パルス生成器を有し、前記第1信号に応じて前記駆動回路への電力供給が遮断されているか否かを検出する第1遮断回路診断部と、を備え、
前記外部安全モジュールは、
前記遮断回路による前記遮断を制御するための第2信号を生成する第2診断パルス生成器を有し、前記第2信号に応じて前記駆動回路への電力供給が遮断されているか否かを検出する第2遮断回路診断部を備え、
前記モータ制御モジュールは、
更に、前記モータ制御モジュールに前記外部安全モジュールが装着されていない場合に
、前記遮断回路へ前記第1信号を供給させる機能切替部を備える遮断回路診断装置において、
前記外部安全モジュールは、
前記モータへの動作指令が予め定められた許容範囲を逸脱する場合に、前記遮断回路に、前記駆動回路への電力供給を遮断させる第1非常停止信号を出力する安全監視部をさらに備え
、
前記モータ制御モジュールに前記外部安全モジュールが装着されている場合に、前記遮断回路へ前記第2信号を供給する、
遮断回路診断装置。
【請求項4】
前記モータ制御モジュールは、前記第1信号の異常、及び前記第2信号の異常を検出する遮断回路診断監視部をさらに備える
、
請求項
3に記載の遮断回路診断装置。
【請求項5】
前記遮断回路診断監視部は、前記第1信号の異常を検出した場合、又は前記第2信号の異常を検出した場合に、前記遮断回路に、前記駆動回路への電力供給を遮断させる第2非常停止信号を出力する
、
請求項
2に記載の遮断回路診断装置。
【請求項6】
前記外部安全モジュール接続有無判定部は、
前記モータ制御モジュールに前記外部安全モジュールが装着されている場合に前記外部安全モジュールから送信される接続通知信号を受信し、前記接続通知信号の受信の有無に基づいて前記判定を行う接続通知受信部と、
前記モータ制御モジュールに前記外部安全モジュールが装着されている場合に前記外部安全モジュールと通信可能となり、前記外部安全モジュールとの通信の有無に基づいて前記判定を行う通信インターフェィス部と、の少なくとも一方を備える
、
請求項
1に記載の遮断回路診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータへの電力の通電を遮断する遮断回路を診断する遮断回路診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産工場の製造ラインにおいて人及び物の安全を確保するために、センサーからの異常信号を検出することで製造ラインの稼動を停止することがある。この方法では、製造ラインの稼動が停止することにより生産性が低下する反面があった。これに対し、モータ制御を行うシステムに組み込まれた安全モジュールがモータ制御における位置・速度・トルクなどの値を監視し、あらかじめ決められた閾値に応じて停止するか、または許容できる範囲内での稼動を続けるなどの方法が実施されている。安全モジュールがモータの停止が必要であると判断した場合に、安全モジュールがモータ制御モジュール内部の遮断回路を使ってモータへの通電を遮断するが、この遮断回路が正常に動作することの診断が求められる。
【0003】
遮断回路を診断する方法として、遮断回路へ診断用パルスを入力し、そのフィードバック信号を確認することで診断する技術が提案されている(例えば、特許文献1の
図5を参照)。
図5は、従来の遮断回路診断装置のブロック構成図である。
【0004】
しかしながら、従来の遮断回路の診断回路の構成では、遮断回路と、遮断回路の診断回路とが同じモジュール内にあるため、遮断回路の経路全体を診断することができない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様に係る遮断回路診断装置は、モータを制御するモータ制御モジュールと、モータ制御モジュールに着脱自在な外部安全モジュールとを備える。モータ制御モジュールは、PWM制御(パルス幅変調制御)によりモータへ印加する電圧を制御するインバータ回路と、インバータ回路のパワー素子を駆動する駆動回路とを有するモータ駆動部と、駆動回路への電力供給を遮断する遮断回路と、遮断回路による遮断を制御するための第1信号を生成する第1診断パルス生成器を有し、第1信号に応じて駆動回路への電力供給が遮断されているか否かを検出する第1遮断回路診断部と、を備える。外部安全モジュールは、遮断回路による遮断を制御するための第2信号を生成する第2診断パルス生成器を有し、第2信号に応じて駆動回路への電力供給が遮断されているか否かを検出する第2遮断回路診断部を備える。外部安全モジュールは、モータ制御モジュールに外部安全モジュールが装着されている場合に、遮断回路へ第2信号を供給する。モータ制御モジュールは、更に、モータ制御モジュールに外部安全モジュールが装着されていない場合に、遮断回路へ第1信号を供給させる機能切替部を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る遮断回路診断装置によると、遮断回路のモジュールと異なるモジュール内の回路を利用して、遮断回路の経路全体を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る遮断回路診断装置のブロック構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る遮断回路診断装置のモータ駆動部、遮断回路、第1遮断回路診断部、及び第2遮断回路診断部の構成図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る遮断回路診断装置の第1遮断回路診断部又は第2遮断回路診断部から出力される診断パルス信号と診断パルス信号に呼応して遮断回路から出力されるフィードバック信号とのタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る遮断回路診断装置のブロック構成図である。
【
図5】
図5は、従来の遮断回路診断装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一態様に係る遮断回路診断装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0011】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る遮断回路診断装置について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る遮断回路診断装置100のブロック構成図である。
図2は、実施の形態1に係る遮断回路診断装置のモータ駆動部4、遮断回路6、第1遮断回路診断部7a、及び第2遮断回路診断部7bの構成図である。
【0013】
図1に示されるように、遮断回路診断装置100は、モータ制御モジュール2と外部安全モジュール15とを備える。
【0014】
モータ1は、例えば、3相正弦波を印加することで回転する誘導電動機、または、ロータに磁石を配置した3相ブラシレスモータである。
【0015】
モータ制御モジュール2は、インターフェィス部(I/F部)3と、モータ駆動部4と、遮断回路6と、第1遮断回路診断部7aと、遮断回路診断監視部8と、機能切替部10と、外部安全モジュール接続有無判定部11とを備える。モータ制御モジュール2は、モータ1を制御する。
【0016】
外部安全モジュール15は、モータ制御モジュール2に着脱自在に構成される。外部安全モジュール15は、第2遮断回路診断部7bと、安全監視部14と、接続通知出力部12bと、通信インターフェィス部(通信I/F部)13bとを備える。
【0017】
インターフェィス部3は、外部装置(例えば、モータコントローラ)から入力されたモータ制御の指令信号を指令値に変換し、モータ駆動部4に指令値を出力する。
【0018】
モータ駆動部4は、インターフェィス部3から入力された指令値に応じてモータ1をPWM(Pulse Width Modulation)で制御する。モータ駆動部4は、PWM制御によりモータ1へ印加する電圧を制御するインバータ回路16(
図2参照)と、インバータ回路のパワー素子を駆動する駆動回路20(
図2参照)とを備える。モータ駆動部4については、後ほど
図2を用いて、より詳細に説明する。
【0019】
遮断回路6は、駆動回路20への電力供給を遮断する。遮断回路6は、非常停止信号(ここでは、非常停止信号が非常停止信号5a、非常停止信号5b、非常停止信号5cの3系統であるとして説明するが、4系統以上の構成であっても構わない)が入力された場合に、駆動回路20への電力供給を遮断する。ここで、非常停止信号5aは、モータ制御モジュール2の外部装置から出力される信号である。非常停止信号5bは、後述の安全監視部14から出力される信号である。非常停止信号5cは、後述の遮断回路診断監視部8から出力される信号である。遮断回路6は、後述の第1信号、及び第2信号に応じて、駆動回路20への電力供給の遮断を制御する。遮断回路6については、後ほど
図2を用いてより詳細に説明する。
【0020】
第1遮断回路診断部7aは、遮断回路6による駆動回路20への電力供給の遮断を制御する第1信号を生成する第1診断パルス生成器17aを有する。第1遮断回路診断部7aは、第1信号に応じて駆動回路20への電力供給が遮断されているか否かを検出する。
【0021】
第2遮断回路診断部7bは、遮断回路6による駆動回路20への電力供給の遮断を制御する第2信号を生成する第2診断パルス生成器17bを有する。第2遮断回路診断部7bは、第2信号に応じて駆動回路20への電力供給が遮断されているか否かを検出する。
【0022】
以下、第1信号と第2信号とを意図的に区別する必要がない場合には、第1信号と第2信号とを総称して、診断パルス信号と呼ぶこともある。
【0023】
遮断回路診断監視部8は、第1信号の異常、及び第2信号の異常を検出する。遮断回路診断監視部8は、第1信号の異常を検出した場合、又は第2信号の異常を検出した場合に、遮断回路6に、駆動回路20への電力供給を遮断させる非常停止信号5cを出力する。
【0024】
外部安全モジュール接続有無判定部11は、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かを判定する。外部安全モジュール接続有無判定部11は接続通知受信部12aと通信インターフェィス部(通信I/F部)13aとを備える。接続通知受信部12aは、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に外部安全モジュール15から送信される接続通知信号を受信し、接続通知信号の受信の有無に基づいて、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かを判定する。通信インターフェィス部13aは、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に外部安全モジュール15と通信可能となり、外部安全モジュール15との通信の有無に基づいて、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かを判定する。
【0025】
なお、接続通知受信部12aは、例えば、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かを2値以上の値で表現する信号を出力するとしてもよい。
【0026】
ここでは、外部安全モジュール接続有無判定部11は、接続通知受信部12aと通信インターフェィス部13aとの双方を備えるとして説明する。しかし、外部安全モジュール接続有無判定部11は、接続通知受信部12aと通信インターフェィス部13aとの少なくとも一方を備える構成であっても構わない。
【0027】
第2信号は、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に、遮断回路6へ供給される。第1信号は、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されていない場合に、遮断回路6へ供給される。より具体的には、機能切替部10は、外部安全モジュール接続有無判定部11による、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かの判定に基づいて、当該判定が否定的な場合に、診断実行制御信号9aを出力することで、遮断回路6へ第1信号を出力させる。そして外部安全モジュール15は、外部安全モジュール接続有無判定部11による、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かの判定に基づいて、当該判定が肯定的な場合に、第2遮断回路診断部7bへ診断実行制御信号9bを供給する
ことで、遮断回路6へ第2信号を出力させる。
【0028】
接続通知出力部12bは、接続通知信号を出力する。接続通知出力部12bは、例えば、接続通知信号を、定期的に出力してもよい。接続通知信号は、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に、接続通知受信部12aによって受信される。
【0029】
通信インターフェィス部13bは、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に、通信インターフェィス部13aと通信可能となる。
【0030】
安全監視部14は、モータ1の動作指令が予め定められた許容範囲を逸脱する場合に、遮断回路6に、駆動回路20への電力供給を遮断させる非常停止信号5bを出力する。安全監視部14は、例えば、外部から入力された位置・速度・トルクなどの値を監視し、監視対象が予め定められた許容範囲を逸脱する場合に非常停止信号を出力する。
【0031】
次に、
図2を用いて、モータ駆動部4、遮断回路6、第1遮断回路診断部7a、及び第2遮断回路診断部7bについて、より詳細に説明する。
【0032】
図2に示されるように、インバータ回路16は、ここでは3相のインバータ回路であり、6つのパワー素子を有する。インバータ回路16は、主電源電圧のプラス側(P側)に接続されてP側駆動回路20aで制御されるP側パワー素子18aと、主電源電圧のマイナス側(N側)に接続されてN側駆動回路20bで制御されるN側パワー素子18bとで構成される。
【0033】
遮断回路6は、サブ遮断回路19aと、サブ遮断回路19bと、サブ遮断回路19cと、サブ遮断回路19dとを備える。
【0034】
図3は、実施の形態1に係る遮断回路診断装置の第1遮断回路診断部7a又は第2遮断回路診断部7bから出力される診断パルス信号(
図3中のP_A_EXU、P_B_EXU、N_A_EXU、N_B_EXU)と、診断パルス信号に呼応して遮断回路6から出力されるフィードバック信号(
図3中のP_A_FB、P_B_FB、N_A_FB、N_B_FB)とのタイミングチャートである。
【0035】
図3に示されるように、第1診断パルス生成器17a及び第2診断パルス生成器17bは、診断パルス信号が、それぞれ異なるタイミングでパルス状となるように、診断パルス信号を出力する。このように、第1診断パルス生成器17aと第2診断パルス生成器17bとは、サブ遮断回路19aとサブ遮断回路19bとに対して同時にパルス状とならないように、各診断パルス信号を出力する。また、第1診断パルス生成器17aと第2診断パルス生成器17bとは、サブ遮断回路19cとサブ遮断回路19dとに対して同時にパルス状とならないように、診断パルス信号を出力する。
【0036】
駆動回路20への電力供給は、サブ遮断回路19aと、サブ遮断回路19bとの組み合わせ、又は、サブ遮断回路19cと、サブ遮断回路19dとの組合せの少なくともいずれか一つの組合せの遮断回路に対して、診断パルス信号と同じ極性の信号が同時に出力されることで遮断される。
【0037】
第1遮断回路診断部7a、及び第2遮断回路診断部7bは、出力した診断パルス信号に呼応して遮断回路6から出力されるフィードバック信号を受信することで、診断パルス信号に応じて駆動回路20への電力供給が遮断されているか否かを検出する。
【0038】
例えば、第1診断パルス生成器17a又は第2診断パルス生成器17bがサブ遮断回路19aに対してパルス状の診断パルス信号を出力した場合に、第1遮断回路診断部7a又は第2遮断回路診断部7bは、サブ遮断回路19aから出力される動作電源が0Vになったか、又はP側駆動回路20aの動作電圧を下回ったことを示すフィードバック信号を受信する。第1遮断回路診断部7a又は第2遮断回路診断部7bは、この結果によりサブ遮断回路19aが正常に動作していることを確認し、次にサブ遮断回路19bに対して同様の動作を実施する。この一連の動作において、第1診断パルス生成器17a又は第2診断パルス生成器17bがサブ遮断回路19aに診断パルス信号を出力した場合において、第1遮断回路診断部7a又は第2遮断回路診断部7bが、サブ遮断回路19aから出力される動作電源がP側駆動回路20aの動作可能範囲であることを示すフィードバック信号を受信するときには、第1遮断回路診断部7a又は第2遮断回路診断部7bは、遮断回路6が異常であると判定し、サブ遮断回路19a~19dに遮断信号を出力し、駆動回路20への電力供給を停止させる。
【0039】
以上のように、本実施の形態の遮断回路診断装置100は、モータ1を制御するモータ制御モジュール2と、モータ制御モジュール2に着脱自在な外部安全モジュール15とを備える。モータ制御モジュール2は、PWM制御によりモータ1へ印加する電圧を制御するインバータ回路16と、インバータ回路16のパワー素子を駆動する駆動回路20とを有するモータ駆動部4と、駆動回路20への電力供給を遮断する遮断回路6と、遮断回路6による遮断を制御するための第1信号を生成する第1診断パルス生成器17aを有し、第1信号に応じて駆動回路20への電力供給が遮断されているか否かを検出する第1遮断回路診断部7aと、を備える。外部安全モジュール15は、遮断回路6による遮断を制御するための第2信号を生成する第2診断パルス生成器17bを有し、第2信号に応じて駆動回路20への電力供給が遮断されているか否かを検出する第2遮断回路診断部7bを備える。モータ制御モジュール2は、更に、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に、遮断回路6へ第2信号を供給させ、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されていない場合に、遮断回路6へ第1信号を供給させる機能切替部を備える。
【0040】
これにより、遮断回路6のモジュールと異なるモジュール内の回路を利用して、遮断回路6の経路全体を診断することができる。
【0041】
また、モータ制御モジュール2は、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されているか否かを判定する外部安全モジュール接続有無判定部11をさらに備えてもよい。機能切替部10は、外部安全モジュール接続有無判定部11による判定に基づいて、判定が肯定的な場合に、遮断回路6へ第2信号を供給させ、判定が否定的な場合に、遮断回路6へ第1信号を供給させるとしてもよい。
【0042】
これにより、遮断回路診断装置100は、外部安全モジュール15の着脱状態に依らずに、遮断回路6の診断を継続することができるようになる。
【0043】
また、外部安全モジュール15は、モータ1への動作指令が予め定められた許容範囲を逸脱する場合に、遮断回路6に、駆動回路20への電力供給を遮断させる第1非常停止信号を出力する安全監視部14をさらに備えてもよい。
【0044】
これにより、遮断回路診断装置100は、モータ1への動作指令が異常である場合に、モータ1を停止させることができる。
【0045】
また、モータ制御モジュール2は、第1信号の異常、及び第2信号の異常を検出する遮断回路診断監視部8をさらに備えてもよい。
【0046】
これにより、遮断回路診断装置100は、第1信号、又は第2信号に異常がある場合に、モータ1を停止させることができるようになる。
【0047】
また、遮断回路診断監視部8は、第1信号の異常を検出した場合、又は第2信号の異常を検出した場合に、遮断回路6に、駆動回路20への電力供給を遮断させる第2非常停止信号を出力するとしてもよい。
【0048】
これにより、遮断回路診断装置100は、第1信号、又は第2信号に異常がある場合に、駆動回路20への電力供給を遮断することができるようになる。
【0049】
また、外部安全モジュール接続有無判定部11は、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に外部安全モジュール15から送信される接続通知信号を受信し、接続通知信号の受信の有無に基づいて判定を行う接続通知受信部12aと、モータ制御モジュール2に外部安全モジュール15が装着されている場合に外部安全モジュール15と通信可能となり、外部安全モジュールとの通信の有無に基づいて判定を行う通信インターフェィス部13bと、の少なくとも一方を備えてもよい。
【0050】
これにより、遮断回路診断装置100は、外部安全モジュール15の着脱状態に依らずに、遮断回路6の診断を継続することができるようになる。
【0051】
(実施の形態2)
図4を用いて実施の形態2について説明する。
図4は、実施の形態2に係る遮断回路診断装置のブロック構成図である。実施の形態2が実施の形態1と異なるのは、第1遮断回路診断部7aと第2遮断回路診断部7bから出力される診断パルス信号の経路が分離されている点である。実施の形態2について以下に説明する。
【0052】
実施の形態1では、第1遮断回路診断部7aと第2遮断回路診断部7bのどちらから出力された診断パルス信号か判別が付かない。実施の形態2における遮断回路診断監視部8は外部安全モジュール15内の第2遮断回路診断部7bから出力された診断パルス信号だけを監視する。これにより、外部安全モジュール15内の第2遮断回路診断部7bの動作に異常があることが特定できる。よって、異常の原因を切り分けることができる。また、外部安全モジュール15がモータ制御モジュール2に装着されている場合に、外部安全モジュール15内の第2遮断回路診断部7bが診断動作せずにモータ制御モジュール2内の第1遮断回路診断部7aが誤って診断動作をした場合の誤動作を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、モータを利用する装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 モータ
2 モータ制御モジュール
3 インターフェィス部
4 モータ駆動部
6 遮断回路
7a 第1遮断回路診断部
7b 第2遮断回路診断部
8 遮断回路診断監視部
10 機能切替部
11 外部安全モジュール接続有無判定部
12a 接続通知受信部
12b 接続通知出力部
13a 通信インターフェィス部
13b 通信インターフェィス部
14 安全監視部
15 外部安全モジュール
16 インバータ回路
17a 第1診断パルス生成器
17b 第2診断パルス生成器
18a P側パワー素子
18b N側パワー素子
20 駆動回路
100 遮断回路診断装置