(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】レーザ加工ヘッド及びレーザ加工システム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20231208BHJP
【FI】
B23K26/00 M
(21)【出願番号】P 2023510927
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2022012127
(87)【国際公開番号】W WO2022209929
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021063548
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】大口 恒之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-18086(JP,A)
【文献】特開2012-148299(JP,A)
【文献】特開2007-283318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる第1レーザ光及び第2レーザ光を組み合わせてワークに照射するレーザ加工ヘッドであって、
前記第2レーザ光を前記第1レーザ光に交差する方向に曲げるベンドミラーと、
前記第1レーザ光の大部分を前記ワーク側に透過するとともに前記第2レーザ光の大部分を前記ワーク側に反射するダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーと前記ワークとの間において、前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光各々を集光して前記ワークに照射するワーク側集光レンズと、
前記ダイクロイックミラーにより反射した前記第1レーザ光の残部及び前記ダイクロイックミラーを透過した前記第2レーザ光の残部各々を受光する光検出器と、
前記ダイクロイックミラーと前記光検出器との間において、前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光各々を集光して前記光検出器に照射する検出側集光レンズと、
前記ワーク側の像面における前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光の少なくとも一方の集光状態であるワーク側集光状態を調整する調整手段と、
を備え、
前記光検出器は、該光検出器側の像面における前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光の前記少なくとも一方の集光状態であって前記ワーク側集光状態に対応する検出側集光状態を検出しており、
前記ワーク側集光状態は、前記検出側集光状態に基づいて前記調整手段によって調整される、レーザ加工ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
前記ワーク側集光状態は、前記ワーク側の像面における前記第1レーザ光の集光位置であるワーク側第1集光位置と、前記ワーク側の像面における前記第2レーザ光の集光位置であるワーク側第2集光位置と、を含み、
前記検出側集光状態は、前記光検出器側の像面における前記第1レーザ光の集光位置であって前記ワーク側第1集光位置に対応する検出側第1集光位置と、前記光検出器側の像面における前記第2レーザ光の集光位置であって前記ワーク側第2集光位置に対応する検出側第2集光位置と、を含み、
前記調整手段は、前記ベンドミラーの傾きを変化させることにより前記ワーク側第2集光位置及び前記検出側第2集光位置を互いに対応するように移動させるミラー側アクチュエータを含み、
前記ワーク側第1集光位置と前記ワーク側第2集光位置との位置関係は、前記検出側第1集光位置と前記検出側第2集光位置との位置関係に基づいて前記ミラー側アクチュエータによって調整される、レーザ加工ヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
前記ワーク側第2集光位置が、前記ワーク側第1集光位置に一致するように調整される、レーザ加工ヘッド。
【請求項4】
請求項2に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
前記第1レーザ光は、近赤外光であり、
前記第2レーザ光は、青色光又は緑色光であり、
前記ワーク側第2集光位置が、前記ワーク側第1集光位置よりもレーザ加工方向における前側に位置するように調整される、レーザ加工ヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
前記第1レーザ光をコリメートする第1コリメートレンズを備え、
前記ワーク側集光状態は、前記ワーク側の像面における前記第1レーザ光のスポット径であるワーク側第1スポット径を含み、
前記検出側集光状態は、前記光検出器側の像面における前記第1レーザ光のスポット径であって前記ワーク側第1スポット径に対応する検出側第1スポット径を含み、
前記調整手段は、前記第1コリメートレンズを光軸方向に移動させることにより前記ワーク側第1スポット径及び前記検出側第1スポット径を互いに対応するように拡縮する第1レンズ側アクチュエータを含み、
前記ワーク側第1スポット径は、前記検出側第1スポット径に基づいて前記第1レンズ側アクチュエータによって調整される、レーザ加工ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
前記第2レーザ光をコリメートする第2コリメートレンズを備え、
前記ワーク側集光状態は、前記ワーク側の像面における前記第2レーザ光のスポット径であるワーク側第2スポット径を含み、
前記検出側集光状態は、前記光検出器側の像面における前記第2レーザ光のスポット径であって前記ワーク側第2スポット径に対応する検出側第2スポット径を含み、
前記調整手段は、前記第2コリメートレンズを光軸方向に移動させることにより前記ワーク側第2スポット径及び前記検出側第2スポット径を互いに対応するように拡縮する第2レンズ側アクチュエータを含み、
前記ワーク側第2スポット径は、前記検出側第2スポット径に基づいて前記第2レンズ側アクチュエータによって調整される、レーザ加工ヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のレーザ加工ヘッドと、
前記第1レーザ光を出射する第1レーザ発振器と、
前記第2レーザ光を出射する第2レーザ発振器と、
前記第1レーザ光を前記第1レーザ発振器から前記レーザ加工ヘッドへ伝送する第1光ファイバと、
前記第2レーザ光を前記第2レーザ発振器から前記レーザ加工ヘッドへ伝送する第2光ファイバと、を備える、レーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工ヘッド及びレーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工システムは、ワークの切断、溶接、穴開け等のレーザ加工を行う。レーザ加工システムにおいて、レーザ加工ヘッドは、レーザ発振器から出射されて光ファイバを介して導かれたレーザ光を、ワークに照射する。レーザ加工ヘッドには、レーザ光を集光してワークに照射するための集光光学系が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1に係るレーザ加工機(レーザ加工ヘッド)は、光ファイバから出射されたレーザ発振器からのレーザ光をコリメートするコリメートレンズと、コリメートされたレーザ光をワークに対して集光照射する集光レンズと、を備える。コリメートレンズ及び集光レンズは、光軸方向に移動可能に設けられている。コリメートレンズと集光レンズとの間には、コリメートレンズで平行光束に矯正されたレーザ光の光軸を直角に偏向するベンドミラーが設けられている。コリメートレンズと集光レンズとを光軸方向へ移動させることによって、集光レンズにおける集光直径が変換可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、例えば近赤外と青色のような互いに波長の異なる2種類のレーザ光を用いた、ハイブリットレーザ加工システムが知られている。ハイブリットレーザ加工システムは、互いに波長の異なる2種類のレーザ光をレーザ加工ヘッドで同一光軸上に組み合わせて、当該組み合せた2種類のレーザ光各々をワークに集光照射する。ハイブリットレーザ加工システムは、2種類のレーザ光の長所を活かしたり、短所を補完し合ったりすることができるので、1種類のレーザ光のみを用いた従来のレーザ加工システムに比較して、多くの利点を有する。
【0006】
このようなハイブリットレーザ加工システムでは、ワークに照射される各レーザ光の集光位置やスポット径等の集光状態を検出して、各集光状態を所望の状態に微調整する必要がある。例えば、各レーザ光の集光位置を検出して、各集光位置を、互いに一致させたり、あるいは所定の間隔でずらしたりする。また、例えば、各レーザ光のスポット径を検出して、各スポット径を所定のサイズに拡縮する。
【0007】
従来のハイブリットレーザ加工システムでは、ワークに照射される各レーザ光の集光状態をレーザ加工中にリアルタイムで検出することが困難であったため、各集光状態を調整するためには、レーザ加工を一度中断する等の必要があり、面倒であった。
【0008】
本開示は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハイブリットレーザ加工おいて、ワークに照射される各レーザ光の集光状態を、リアルタイムで検出及び調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るレーザ加工ヘッドは、互いに異なる第1レーザ光及び第2レーザ光を組み合わせてワークに照射するレーザ加工ヘッドであって、上記第2レーザ光を上記第1レーザ光に交差する方向に曲げるベンドミラーと、上記第1レーザ光の大部分を上記ワーク側に透過するとともに上記第2レーザ光の大部分を上記ワーク側に反射するダイクロイックミラーと、上記ダイクロイックミラーと上記ワークとの間において、上記第1レーザ光及び上記第2レーザ光各々を集光して上記ワークに照射するワーク側集光レンズと、上記ダイクロイックミラーにより反射した上記第1レーザ光の残部及び上記ダイクロイックミラーを透過した上記第2レーザ光の残部各々を受光する光検出器と、上記ダイクロイックミラーと上記光検出器との間において、上記第1レーザ光及び上記第2レーザ光各々を集光して上記光検出器に照射する検出側集光レンズと、上記ワーク側の像面における上記第1レーザ光及び上記第2レーザ光の少なくとも一方の集光状態であるワーク側集光状態を調整する調整手段と、を備え、上記光検出器は、上記光検出器側の像面における上記第1レーザ光及び上記第2レーザ光の上記少なくとも一方の集光状態であって上記ワーク側集光状態に対応する検出側集光状態を検出しており、上記ワーク側集光状態は、上記検出側集光状態に基づいて上記調整手段によって調整される。
【0010】
本開示に係るレーザ加工システムは、上記レーザ加工ヘッドと、上記第1レーザ光を出射する第1レーザ発振器と、上記第2レーザ光を出射する第2レーザ発振器と、上記第1レーザ光を上記第1レーザ発振器から上記レーザ加工ヘッドへ伝送する第1光ファイバと、上記第2レーザ光を上記第2レーザ発振器から上記レーザ加工ヘッドへ伝送する第2光ファイバと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ハイブリットレーザ加工おいて、ワークに照射される各レーザ光の集光状態を、リアルタイムで検出及び調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るレーザ加工システムを模式的に示す。
【
図2】
図2は、レーザ加工ヘッドの内部構造を模式的に示す概略構成図であって、第1レーザ光の集光位置と第2レーザ光の集光位置とが互いに一致した場合を示す。
【
図3】
図3は、
図2のIII矢視において、ワーク側の像面における各レーザ光の集光状態を示す。
【
図4】
図4は、
図2のIV矢視において、イメージセンサ側の像面における各レーザ光の集光状態を示す図である。
【
図5】
図5は、レーザ加工ヘッドの内部構造を模式的に示す
図2相当図であって、第1レーザ光の集光位置と第2レーザ光の集光位置とが互いにずれた場合を示す。
【
図6】
図6は、
図5のVI矢視において、ワーク側の像面における各レーザ光の集光状態を示す
図3相当図である。
【
図7】
図7は、
図2のVII矢視において、イメージセンサ側の像面における各レーザ光の集光状態を示す
図4相当図である。
【
図8】
図8は、レーザ加工ヘッドの内部構造を模式的に示す
図2相当図であって、第2レーザ光がデフォーカスされた場合を示す。
【
図9】
図9は、
図8のIX矢視において、ワーク側の像面における各レーザ光の集光状態を示す
図3相当図である。
【
図10】
図10は、
図8のX矢視において、イメージセンサ側の像面における各レーザ光の集光状態を示す
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0014】
(レーザ加工システム)
図1は、本実施形態に係るレーザ加工システム(レーザ加工装置)1を示す。レーザ加工システム1は、互いに波長の異なる2種類のレーザ光を用いたハイブリットレーザ加工システムであり、ワークWの切断、溶接、穴開け等のレーザ加工を行う。
【0015】
レーザ加工システム1は、レーザ加工ヘッド(レーザ照射ヘッド)10と、第1レーザ発振器2及び第2レーザ発振器3と、第1光ファイバ4及び第2光ファイバ5と、マニピュレータ6と、制御装置7と、を備える。
【0016】
第1レーザ発振器2は、第1レーザ光Aを出射(発振)する。第2レーザ発振器3は、第2レーザ光Bを出射(発振)する。第1レーザ光Aと第2レーザ光Bとは、互いに波長が異なる。第1レーザ光Aは、近赤外光であり、その波長が900nm~1200nm程度である。第2レーザ光Bは、青色光であり、その波長が400nm~450nm程度である。一般に、レーザ加工には近赤外光が適用されるが、銅への吸収率が良い等との理由から、近年、青色光もレーザ加工に適用されつつある。
【0017】
第1光ファイバ4は、第1レーザ光Aを、第1レーザ発振器2からレーザ加工ヘッド10へ伝送する。第2光ファイバ5は、第2レーザ光Bを、第2レーザ発振器3からレーザ加工ヘッド10へ伝送する。
【0018】
レーザ加工ヘッド10は、第1レーザ光A及び第2レーザ光Bを、同一光軸上に組み合わせて、当該組み合わせた第1レーザ光A及び第2レーザ光B各々を、ワークWの表面W1に照射する。レーザ加工ヘッド10の詳細については、後述する。
【0019】
マニピュレータ6は、先端にレーザ加工ヘッド10が取り付けられ、レーザ加工ヘッド10を移動させる。制御装置7は、マニピュレータ6の動作及び各レーザ発振器2,3によるレーザ光A,Bの発振を制御する。制御装置7は、レーザ加工ヘッド10の内部における後述するアクチュエータの動作を制御してもよい。
【0020】
(レーザ加工ヘッド)
図2は、レーザ加工ヘッド10の内部構造を示す。なお、
図2におけるX,Y,Zは直交座標系における各方向を示し、X,Yが前後左右の水平方向、Zが上下方向(鉛直方向)である。また、各レーザ光A,Bの光軸(各レーザ光A,Bにおける光束の代表となる仮想的な光線)の延びる方向を、「光軸方向」という。光軸方向は、直交座標系X,Y,Zにおいて常に一定ではなく、各レーザ光A,Bの進行に応じて変化し得る。
【0021】
レーザ加工ヘッド10は、筐体11の内部に設けられた集光光学系によって、第1レーザ光A及び第2レーザ光B各々を集光してワークWに照射する。レーザ加工ヘッド10は、集光光学系として、第1コリメートレンズ20と、第2コリメートレンズ21と、ベンドミラー30と、ダイクロイックミラー40と、ワーク側集光レンズ50と、光検出器としてのイメージセンサ60と、検出側集光レンズ70と、アパーチャー71と、調整手段の一部としてのミラー側アクチュエータ80と、調整手段の一部としての第1レンズ側アクチュエータ81と、調整手段の一部としての第2レンズ側アクチュエータ82と、を備える。
【0022】
筐体11内の入射部12には、第1光ファイバ4からの第1レーザ光A及び第2光ファイバ5からの第2レーザ光Bが、互いに並行に、Z方向に入射する。入射部12において、第1レーザ光A及び第2レーザ光Bは、互いに並行に、Z方向に直進する。
【0023】
第1コリメートレンズ20は、第1レーザ光Aを、コリメート(平行光化)する。第2コリメートレンズ21は、第2レーザ光Bを、コリメート(平行光化)する。各レーザ光A,Bは、各コリメートレンズ20,21によって略平行光となる。
【0024】
ベンドミラー30は、第1レーザ光Aの光軸に並行な第2レーザ光Bの光軸を、第1レーザ光Aの光軸に交差する方向に、具体的には直交する方向(Y方向)に、曲げる。
【0025】
ダイクロイックミラー40は、特定の波長領域の光の大部分を透過し、それ以外の波長領域の光の大部分を反射するミラーである。本実施形態では、ダイクロイックミラー40は、裏面41側から入射した第1レーザ光Aの大部分を表面42側に略真直ぐに透過するとともに、表面42側から入射した第2レーザ光Bの大部分を表面42側に略直角に反射する。一方、ダイクロイックミラー40は、裏面41側から入射した第1レーザ光Aの残部を裏面41側に略直角に反射するとともに、表面42側から入射した第2レーザ光Bの残部を裏面41側に略真直ぐに透過する。
【0026】
ダイクロイックミラー40を透過した第1レーザ光Aの大部分及びダイクロイックミラー40により反射した第2レーザ光Bの大部分の光軸方向進行側には、レーザ加工ヘッド10の照射部(照射口)13を介して、ワークWが配置されている。すなわち、ダイクロイックミラー40は、第1レーザ光Aの大部分をワークW側に透過するとともに、第2レーザ光Bの大部分をワークW側に反射する。
【0027】
各レーザ光A,Bの大部分とは、例えば、エネルギー換算で、ダイクロイックミラー40に入射する前の各レーザ光A,Bの95%~99.9%程度である。各レーザ光A,Bの残部とは、例えば、エネルギー換算で、ダイクロイックミラー40に入射する前の各レーザ光A,Bの0.1%~5%程度である。
【0028】
ワーク側集光レンズ50は、光軸方向において、ダイクロイックミラー40とワークWとの間に、配置されている。ワーク側集光レンズ50は、第1レーザ光A及び第2レーザ光B各々を集光する。そして、ワーク側集光レンズ50は、集光した第1レーザ光A及び第2レーザ光B各々を、照射部13を介して、ワークWの表面W1に照射する。ワーク側集光レンズ50は、色収差補正機能を有してもよい。ワーク側集光レンズ50によって照射される各レーザ光A,Bの光軸方向は、Z方向に略一致する。
【0029】
イメージセンサ60は、その受光面61に結像させた光の明暗を電荷の量に光電変換し、それを読み出して電気信号に変換する撮像素子である。イメージセンサ60は、ダイクロイックミラー40の裏面41側に、配置されている。具体的には、イメージセンサ60は、ダイクロイックミラー40により反射した第1レーザ光Aの残部及びダイクロイックミラー40を透過した第2レーザ光Bの残部の光軸方向進行側に、配置されている。すなわち、イメージセンサ60は、ダイクロイックミラー40により反射した第1レーザ光Aの残部及びダイクロイックミラー40を透過した第2レーザ光Bの残部各々を、受光面61で受光する。
【0030】
検出側集光レンズ70及びアパーチャー71は、光軸方向において、ダイクロイックミラー40とイメージセンサ60との間に、配置されている。検出側集光レンズ70は、光軸方向において、アパーチャー71よりもイメージセンサ60側に位置する。検出側集光レンズ70は、第1レーザ光A及び第2レーザ光B各々を集光する。そして、検出側集光レンズ70は、集光した第1レーザ光A及び第2レーザ光B各々を、イメージセンサ60の受光面61に照射する。検出側集光レンズ70は、色収差補正機能を有してもよい。アパーチャー71は、各レーザ光A,Bにおける余分な光束を遮断して、瞳径を小さくする。検出側集光レンズ70によって照射される各レーザ光A,Bの光軸方向は、Y方向に略一致する。
【0031】
ミラー側アクチュエータ80は、ベンドミラー30の傾きを、変化させる。ミラー側アクチュエータ80は、例えば、モータやピエゾ素子等で構成されている。ミラー側アクチュエータ80によるベンドミラー30の傾き変化によって、ベンドミラー30により曲げられる第2レーザ光Bの光軸の向きが、変化する。これにより、第2レーザ光Bの後述する集光位置が変化する。
【0032】
第1レンズ側アクチュエータ81は、第1コリメートレンズ20を、光軸方向(Z方向)に移動させる。第1レンズ側アクチュエータ81は、例えば、モータやピエゾ素子等で構成されている。第2レンズ側アクチュエータ82は、第2コリメートレンズ21を、光軸方向(Z方向)に移動させる。第2レンズ側アクチュエータ82は、例えば、モータやピエゾ素子等で構成されている。各レンズ側アクチュエータ81,82による各コリメートレンズ20,21の光軸方向(Z方向)における移動によって、各レーザ光A,Bの後述するスポット径が変化する。
【0033】
なお、各レンズ側アクチュエータ81,82によって各コリメートレンズ20,21を光軸方向(Z方向)に移動させる際、各コリメートレンズ20,21は、必ずしも光軸方向(Z方向)に真直ぐに移動するのではなく、光軸方向に直交する水平方向(X方向及びY方向)に多少動いたり、多少傾いたりすることがある。
【0034】
(各レーザ光の集光状態)
本実施形態に係るレーザ加工ヘッド10は、ワークW側の像面における第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの集光状態を、イメージセンサ60によって間接的に検出可能としたことを、特徴とする。なお、「集光状態」とは、集光位置、スポット径、ボケ量等の種々の集光態様を包括したものである。
【0035】
以下、各レーザ光A,Bの集光状態について、
図2~4を参照しながら説明する。
図3は、ワークW側の像面における第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの集光状態であるワーク側集光状態Siを、示す。
図4は、イメージセンサ60側の像面おける第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの集光状態である検出側集光状態Sjを、示す。「ワークW側の像面」とは、ワークW側における光軸方向(Z方向)に直交する面(X,Y平面)であり、例えばワークWの表面W1をいう。「イメージセンサ60側の像面」とは、イメージセンサ60側における光軸方向に直交する面であり、例えばイメージセンサ60の受光面61をいう。
図3,4における色の濃淡は、各レーザ光A、Bのエネルギー量を示しており、各レーザ光A,Bの色(波長)とは関係ない。
【0036】
先ず、ワーク側集光状態Siについて、
図2,3を参照しながら説明する。実際のワーク側集光状態Siは、例えば、ワークWを除いて、代わりにイメージセンサを配置し、当該イメージセンサによって各レーザ光A,Bを直接検出することによって確認できる。
【0037】
ワーク側集光状態Siは、ワークWの表面W1(ワークW側の像面)における第1レーザ光Aの集光位置であるワーク側第1集光位置Paiと、ワークWの表面W1(ワークW側の像面)における第2レーザ光Bの集光位置であるワーク側第2集光位置Pbiと、を含む。
【0038】
また、ワーク側集光状態Siは、ワークWの表面W1(ワークW側の像面)における第1レーザ光Aのスポット径であるワーク側第1スポット径Daiと、ワークWの表面W1(ワークW側の像面)における第2レーザ光Bのスポット径であるワーク側第2スポット径Dbiと、を含む。なお、本実施形態において、「スポット径」は、任意の像面(例えば、ワークWの表面W1やイメージセンサ60の受光面61)におけるレーザ光の直径を意味し、必ずしも、レーザ光の集光点における直径に限定されない。
【0039】
次に、検出側集光状態Sjについて、
図2,4を参照しながら説明する。検出側集光状態Sjは、イメージセンサ60によって、検出される。
【0040】
検出側集光状態Sjは、イメージセンサ60の受光面61(イメージセンサ60側の像面)における第1レーザ光Aの集光位置である検出側第1集光位置Pajと、イメージセンサ60の受光面61(イメージセンサ60側の像面)における第2レーザ光Bの集光位置である検出側第2集光位置Pbjと、を含む。
【0041】
また、検出側集光状態Sjは、イメージセンサ60の受光面61(イメージセンサ60側の像面)における第1レーザ光Aのスポット径である検出側第1スポット径Dajと、イメージセンサ60の受光面61(イメージセンサ60側の像面)における第2レーザ光Bのスポット径である検出側第2スポット径Dbjと、を含む。
【0042】
図2~4に示すように、検出側集光状態Sjは、ワーク側集光状態Siに対応する。具体的には、検出側第1集光位置Pajは、ワーク側第1集光位置Paiに対応する。検出側第2集光位置Pbjは、ワーク側第2集光位置Pbi対応する。検出側第1スポット径Dajは、ワーク側第1スポット径Daiに対応する。検出側第2スポット径Dbjは、ワーク側第2スポット径Dbiに対応する。例えば、ワーク側第1集光位置Paiが移動すれば、これに対応して、検出側第1集光位置Pajも移動する。ワーク側第2集光位置Pbiが移動すれば、これに対応して、検出側第2集光位置Pbjも移動する。ワーク側第1スポット径Daiが拡縮すれば、これに対応して、検出側第1スポット径Dajも拡縮する。ワーク側第2スポット径Dbiが拡縮すれば、これに対応して、検出側第2スポット径Dbjも拡縮する。
【0043】
イメージセンサ60で検出側集光状態Sjを検出することによって、ワーク側集光状態Siを、間接的にリアルタイムで(同時に)、検出することができる。
【0044】
(集光状態の調整)
ワーク側集光状態Siは、検出側集光状態Sjに基づいて、調整手段(ミラー側アクチュエータ80、第1レンズ側アクチュエータ81,第2レンズ側アクチュエータ82)によって、調整される。
【0045】
(集光位置の調整)
先ず、各レーザ光A,Bの集光位置の調整方法について、説明する。
図2~4は、第1レーザ光Aの集光位置と第2レーザ光Bの集光位置とが互いに一致した場合を示す。すなわち、
図2,3に示すように、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとは、水平方向(X、Y方向)において、互いに一致している。これに対応して、
図2,4に示すように、検出側第1集光位置Pajと検出側第2集光位置Pbjとは、互いに一致している。
【0046】
図5~7は、第1レーザ光Aの集光位置と第2レーザ光Bの集光位置とが互いにずれた場合を示す。すなわち、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとは、水平方向のうちのY方向において、互いにずれている。これに対応して、検出側第1集光位置Pajと検出側第2集光位置Pbjとは、互いにずれている。
【0047】
図2,5に示すように、ミラー側アクチュエータ80によりベンドミラー30の傾きを変化させることによって、ワーク側第2集光位置Pbiと検出側第2集光位置Pbjとが、互いに対応するように移動する。すなわち、ワーク側第2集光位置Pbiが移動した分だけ、検出側第2集光位置Pbjも移動する。
【0048】
ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの位置関係(例えば差分Hi)は、検出側第1集光位置Pajと検出側第2集光位置Pbjとの位置関係(例えば差分Hj)に基づいて、ミラー側アクチュエータ80によりベンドミラー30の傾きを変化させることによって、調整される。
【0049】
例えば、ワーク側第2集光位置Pbiがワーク側第1集光位置Paiに一致しない状態(
図5,6参照)から、ワーク側第2集光位置Pbiをワーク側第1集光位置Paiに一致させたい場合(
図2,3参照)、検出側第1集光位置Pajと検出側第2集光位置Pbjとの差分Hjに基づいて(
図5,7参照)、ベンドミラー30の傾きにフィードバックする。すなわち、イメージセンサ60で差分Hjを観察しながら、ミラー側アクチュエータ80によりベンドミラー30の傾きを変化させて、差分Hjがゼロになるように、検出側第2集光位置Pbjを検出側第1集光位置Pajに一致させる(
図2,4参照)。これにより、ワーク側第2集光位置Pbiが、ワーク側第1集光位置Paiに一致するように(ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの差分Hiがゼロになるように)、調整される(
図2,3参照)。
【0050】
同様に、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとが互いに一致した状態(
図2,3参照)から、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの差分Hiを敢えて積極的に設けたい場合(
図5,6参照)も、検出側第1集光位置Pajと検出側第2集光位置Pbjとの差分Hjに基づいて、ベンドミラー30の傾きにフィードバックする。すなわち、イメージセンサ60で差分Hjを観察しながら、ミラー側アクチュエータ80によりベンドミラー30の傾きを変化させて、差分Hjが所定の値になるように、検出側第1集光位置Pajに対して検出側第2集光位置Pbjを移動させる(
図5,7参照)。これにより、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの差分Hiが、所定の値に調整される(
図5,6参照)。
【0051】
さらに、
図5,6に示すように、ワーク側第2集光位置Pbiが、ワーク側第1集光位置Paiよりも、レーザ加工方向F(レーザ加工ヘッド10のワークWに対する移動方向)における前側(進行側)に位置するように、調整されてもよい。
【0052】
(スポット径の調整)
次に、各レーザ光A,Bのスポット径の調整方法について、説明する。
図2~4は、第1レーザ光A及び第2レーザ光Bのいずれもデフォーカス(集光位置の光軸方向における像面からのずれ)されていない場合を示す。この場合、
図2,3に示すように、ワーク側第2集光位置Pbiは、光軸方向において、ワークWの表面W1上に位置している。これに対応して、
図2,4に示すように、検出側第2集光位置Pbiは、光軸方向において、イメージセンサ60の受光面61上に位置している。この場合、
図2,3に示すように、ワーク側第1スポット径Dai及びワーク側第2スポット径Dbiは、いずれも小さい。これに対応して、
図2,4に示すように、検出側第1スポット径Daj及び検出側第2スポット径Dbjは、いずれも小さい。
【0053】
図8~10は、第2レーザ光Bがデフォーカスされた場合を示す。この場合、
図8,9に示すように、ワーク側第2集光位置Pbiは、光軸方向において、ワークWの表面W1からずれて、ワーク側集光レンズ50側に寄っている。これに対応して、
図8,10に示すように、検出側第2集光位置Pbiは、光軸方向において、イメージセンサ60の受光面61からずれて、検出側集光レンズ70側に寄っている。そして、
図8,9に示すように、ワーク側第2スポット径Dbiが大きくなっている。これに対応して、
図8,10に示すように、検出側第2スポット径Dbjが大きくなっている。
【0054】
図2,8に示すように、第2レンズ側アクチュエータ82により第2コリメートレンズ21を光軸方向(Z方向)に移動させることによって、ワーク側第2スポット径Dbiと検出側第2スポット径Dbjとが、互いに対応するように拡縮する。すなわち、ワーク側第2スポット径Dbiが拡大すると、検出側第2スポット径Dbjも拡大する。ワーク側第2スポット径Dbiが縮小すると、検出側第2スポット径Dbjも縮小する。
【0055】
ワーク側第2スポット径Paiは、検出側第2スポット径Dbjに基づいて、第2レンズ側アクチュエータ82により第2コリメートレンズ21を光軸方向(Z方向)に移動させることによって、調整される。
【0056】
例えば、第2レーザ光Bがデフォーカスされた状態(
図8~10参照)から、第2レーザ光Bがデフォーカスされていない状態(
図2~4参照)に移行したい場合、検出側第2スポット径Dbjに基づいて、第2コリメートレンズ21の光軸方向(Z方向)における位置にフィードバックする。すなわち、イメージセンサ60で検出側第2スポット径Dbjを観察しながら(
図8,10参照)、第2レンズ側アクチュエータ82により第2コリメートレンズ21を光軸方向(Z方向)に移動させて(
図2,8参照)、検出側第2スポット径Dbjを小さくする(
図2,4参照)。これにより、第2レーザ光Bのデフォーカス状態が是正され、ワーク側第2スポット径Dbiが、小さくなる(
図2,3参照)。
【0057】
図示しないが、第1レンズ側アクチュエータ81により第1コリメートレンズ20を光軸方向(Z方向)に移動させることによって、ワーク側第1スポット径Daiと検出側第1スポット径Dajとが、互いに対応するように拡縮する。そして、ワーク側第1スポット径Daiは、検出側第1スポット径Dajに基づいて、第1レンズ側アクチュエータ81により第1コリメートレンズ20を光軸方向(Z方向)に移動させることによって、調整される。
【0058】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、イメージセンサ60は、ダイクロイックミラー40により反射した第1レーザ光Aの残部及びダイクロイックミラー40を透過した第2レーザ光Bの残部各々を、受光する。これにより、ワーク側集光状態Siに対応する検出側集光状態Sjを、イメージセンサ60によって検出することができる。すなわち、イメージセンサ60は、検出側集光状態Sjを検出することによって、ワーク側集光状態Siを、間接的にリアルタイムで検出することができる。
【0059】
そして、ワーク側集光状態Siを、検出側集光状態Sjに基づいて、調整手段(ミラー側アクチュエータ80、第1レンズ側アクチュエータ81、第2レンズ側アクチュエータ82)によって、リアルタイムで調整することができる。
【0060】
以上の通り、ハイブリットレーザ加工おいて、ワークWに照射される各レーザ光A,Bの集光状態Siを、リアルタイムで検出及び調整することができる。
【0061】
具体的には、イメージセンサ60は、検出側第1集光位置Paj及び検出側第2集光位置Pbjを検出することによって、ワーク側第1集光位置Pai及びワーク側第2集光位置Pbiを、間接的にリアルタイムで検出することができる。
【0062】
そして、ワーク側第2集光位置Pbiを、検出側第2集光位置Pbjに基づいて、ミラー側アクチュエータ80によりベンドミラー30の傾きを変化させることによって、移動させることができる。これにより、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの位置関係(差分Hi)を、検出側第1集光位置Pajと検出側第2集光位置Pbjとの位置関係(差分Hj)に基づいて、リアルタイムで調整することができる。
【0063】
例えば、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの位置ずれ(Hi>0、
図5,6参照)を、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとが互いに一致するように(Hi=0、
図3参照)、是正することができる。これにより、第1レーザ光Aと第2レーザ光Bとを、同一光軸上に揃えることができる。
【0064】
特に、各コリメートレンズ20,21を光軸方向(Z方向)に移動させる際に、各コリメートレンズ20,21が、光軸方向に直交する水平方向(X方向及びY方向)に、意図せず、動いたり傾いたりしてしまうことがある。この場合、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとが、意図せず、互いにずれてしまうことがある。本実施形態に係るレーザ加工ヘッド10は、このような意図しない位置ずれを是正するのに、非常に有効である。
【0065】
また、
図5,6に示すように、ワーク側第1集光位置Paiとワーク側第2集光位置Pbiとの差分Hi(>0)を敢えて意図的に設けるとともに、さらに、ワーク側第2集光位置Pbiを、ワーク側第1集光位置Paiよりも、レーザ加工方向Fにおける前側に、意図的に位置付けることができる。これにより、ワークWが例えば銅である場合に、銅への吸収率の高い青色光からなる第2レーザ光Bを、近赤外光からなる第1レーザ光Aよりも早く、ワークWに照射することができる。すなわち、青色光によるプリヒート(予備加熱)を行うことができる。
【0066】
イメージセンサ60は、検出側第1スポット径Dajを検出することによって、ワーク側第1スポット径Daiを、間接的にリアルタイムで検出することができる。そして、ワーク側第1スポット径Daiを、検出側第1スポット径Dajに基づいて、第1レンズ側アクチュエータ81により第1コリメートレンズ20を光軸方向(Z方向)に移動させることによって、拡縮させることができる。これにより、ワーク側第1スポット径Daiを、検出側第1スポット径Dajに基づいて、リアルタイムで調整することができる。ワーク側第1スポット径Daiが小さくなるように調整することによって、第1レーザ光Aのデフォーカスを是正することができる。
【0067】
同様に、イメージセンサ60は、検出側第2スポット径Dbjを検出することによって、ワーク側第2スポット径Dbiを、間接的にリアルタイムで検出することができる。そして、ワーク側第2スポット径Dbiを、検出側第2スポット径Dbjに基づいて、第2レンズ側アクチュエータ82により第2コリメートレンズ21を光軸方向(Z方向)に移動させることによって、拡縮させることができる。これにより、ワーク側第2スポット径Dbiを、検出側第2スポット径Dbjに基づいて、リアルタイムで調整することができる。ワーク側第2スポット径Dbiが小さくなるように調整することによって、第2レーザ光Bのデフォーカスを是正することができる。
【0068】
(その他の実施形態)
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0069】
第2レーザ光Bがデフォーカスされた場合について、ワーク側第2集光位置Pbiが、光軸方向において、ワークWの表面W1からずれて、ワーク側集光レンズ50側に寄った場合を例示したが(
図8~10参照)、これに限定されない。ワーク側第2集光位置Pbiが、光軸方向において、ワークWの表面W1からずれて、ワーク側集光レンズ50から離れる側(ワークWの内部側)に寄ってもよい。この場合、検出側第2集光位置Pbjは、光軸方向において、イメージセンサ60の受光面61からずれて、検出側集光レンズ70から離れる側(イメージセンサ60の内部側)に寄るようになる。第1レーザ光Aについても、同様である。
【0070】
ワーク側集光状態Si及び検出側集光状態Sjは、各レーザ光A,Bのボケ量を、含んでもよい。
【0071】
調整手段として、ダイクロイックミラー40の傾きを調整するアクチュエータを、含んでもよい。
【0072】
ワーク側集光状態Siは、ワークW側の像面における第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの両方の集光状態を含む必要はなく、第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの少なくとも一方の集光状態(例えばスポット径)を含めばよい。これに対応して、検出側集光状態Sjは、イメージセンサ60側の像面における第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの両方の集光状態を含む必要はなく、第1レーザ光A及び第2レーザ光Bの少なくとも一方の集光状態(例えばスポット径)を含めばよい。
【0073】
本実施形態では、第1レーザ光Aを近赤外光、第2レーザ光Bを青色光としたが、これに限定されない。第2レーザ光Bは、銅への吸収率という観点から、青色光の代わりに、緑色光(波長:450nm~550nm程度)としてもよい。また、第1レーザ光Aを青色光又は緑色光、第2レーザ光Bを近赤外光としてもよい。また、青色光又は緑色光、及び近赤外光以外を用いてもよい。第1レーザ光Aと第2レーザ光Bとは、互いに波長が同じでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示は、レーザ加工ヘッド及びレーザ加工システムに適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0075】
F レーザ加工方向
W ワーク
W1 表面(像面)
Si ワーク側集光状態
Sj 検出側集光状態
A 第1レーザ光
Pai ワーク側第1集光位置
Dai ワーク側第1スポット径
Paj 検出側第1集光位置
Daj 検出側第1スポット径
B 第2レーザ光
Pbi ワーク側第2集光位置
Dbi ワーク側第2スポット径
Pbj 検出側第2集光位置
Dbj 検出側第2スポット径
Hi 差分(位置関係)
Hj 差分(位置関係)
1 レーザ加工システム
2 第1レーザ発振器
3 第2レーザ発振器
4 第1光ファイバ
5 第2光ファイバ
10 レーザ加工ヘッド
20 第1コリメートレンズ
21 第2コリメートレンズ
30 ベンドミラー
40 ダイクロイックミラー
50 ワーク側集光レンズ
60 イメージセンサ(光検出器)
61 受光面
70 検出側集光レンズ
80 ミラー側アクチュエータ(調整手段)
81 第1レンズ側アクチュエータ(調整手段)
82 第2レンズ側アクチュエータ(調整手段)