(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】プロジェクタ、及び、プロジェクタの制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
H04N5/74 D
(21)【出願番号】P 2019181828
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋史
(72)【発明者】
【氏名】山内 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 友未
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-047758(JP,A)
【文献】特開2014-063138(JP,A)
【文献】特開2003-224772(JP,A)
【文献】特開2009-025689(JP,A)
【文献】特開2006-084577(JP,A)
【文献】特開2001-312256(JP,A)
【文献】特開2000-284742(JP,A)
【文献】特開2005-303394(JP,A)
【文献】特開平06-178240(JP,A)
【文献】国際公開第2008/032792(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
G03B 21/00
G09G 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が発する光を変調することにより映像として出射する映像素子と、
前記映像素子によって出射される映像の切り替えが指示されたことを契機に、前記光源が発する光の明るさを第一の明るさから徐々に低下させた後、第二の明るさに到達したタイミングで即座に前記第一の明るさまで増加させる制御を行う制御部とを備え、
前記映像素子は、
前記タイミング以前は第一映像を出射し、
前記タイミング以降は、前記第一映像と異なる第二映像を出射する
プロジェクタ。
【請求項2】
コンピュータによって実行される、プロジェクタの制御方法であって、
前記プロジェクタは、
光源と、
前記光源が発する光を変調することにより映像として出射する映像素子とを備え、
前記制御方法は、前記映像素子によって出射される映像の切り替えが指示されたことを契機に、前記光源が発する光の明るさを第一の明るさから徐々に低下させた後、第二の明るさに到達したタイミングで即座に前記第一の明るさまで増加させる制御を行い、
前記映像素子は、
前記タイミング以前は第一映像を出射し、
前記タイミング以降は、前記第一映像と異なる第二映像を出射する
プロジェクタの制御方法。
【請求項3】
請求項
2に記載のプロジェクタの制御方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を投影するプロジェクタ、及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの所望の映像を投影することができるプロジェクタが知られている。特許文献1には、天井等に設置可能であり、設置後に、光を投射する方向を調整可能なプロジェクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、映像を切り替えるときにユーザが感じる違和感を低減することができるプロジェクタ、及び、プロジェクタの制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るプロジェクタは、光源と、前記光源が発する光を変調することにより映像として出射する映像素子と、前記映像素子によって出射される映像の切り替えが指示されたことを契機に、前記光源が発する光の明るさを低下させる減光制御を行う制御部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係るプロジェクタの制御方法は、コンピュータによって実行される、プロジェクタの制御方法であって、前記プロジェクタは、光源と、前記光源が発する光を変調することにより映像として出射する映像素子とを備え、前記制御方法は、前記映像素子によって出射される映像の切り替えが指示されたことを契機に、前記光源が発する光の明るさを低下させる減光制御を行う。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記プロジェクタの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係るプロジェクタ、及び、プロジェクタの制御方法は、映像を切り替えるときにユーザが感じる違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る映像投影システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る映像投影システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例1のフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例1のタイムチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例2のフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例2のタイムチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例3のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例3のタイムチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例4のタイムチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例4の変形例のタイムチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例5のフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る映像投影システムの動作例5のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
また、以下の実施の形態では、画素は、当該画素の輝度値が大きいほど明るくなり、当該画素の輝度値が小さいほど暗くなるものとして説明が行われる。つまり、以下の実施の形態では、画素の輝度値を増加させると、当該画素の色は白に近づき、画素の輝度値を減少させると当該画素の色は黒に近づくものとして説明が行われる。輝度値は、例えば、0から255の256段階(つまり、8ビット)の数字で示されるが、輝度値の具体的な数値は特に限定されない。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る映像投影システムの概略構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る映像投影システムの概略構成を示す図である。
図2は、実施の形態に係る照明システムの機能構成を示すブロック図である。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、実施の形態に係る映像投影システム100は、プロジェクタ10と、ユーザインタフェース装置20とを備える。まず、プロジェクタ10について説明する。
【0015】
プロジェクタ10は、空間50の天井に埋め込まれる、埋め込み型(言い換えれば、ダウンライト型の)プロジェクタである。空間50は、例えば、部屋などの閉空間である。プロジェクタ10が投影する映像は、例えば、木の陰影(木漏れ日)などの自然物を模したモノクローム映像(言い換えれば、グレースケール映像)である。このような映像は、例えば、空間50の演出に用いられる。ユーザは、ユーザインタフェース装置20を操作することにより、複数種類の映像を切り替えることができる。なお、ここでの映像は、動画像を意味するが、静止画像であってもよい。
【0016】
プロジェクタ10は、具体的には、電源部11と、光源駆動部12と、光源13と、映像素子14と、投影レンズ15と、通信部16と、制御部17と、記憶部18とを備える。
【0017】
電源部11は、プロジェクタ10の外部の交流電源30から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路である。
【0018】
光源駆動部12は、電源部11から供給される電力を用いて光源13の明るさを調整するための回路である。光源駆動部12は、制御部17から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0019】
光源13は、白色光を発する光源である。光源13は、具体的には、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)によって実現される。光源13は、半導体レーザ、有機EL(Electro Luminescence)、または、無機EL等によって実現されてもよい。
【0020】
映像素子14は、光源13が発する光を変調することにより映像として出射する。映像素子14は、具体的には、透過型液晶パネルなどの光透過型の映像素子であるが、マイクロミラーアレイまたは反射型液晶パネルなどの反射型の映像素子であってもよい。
【0021】
投影レンズ15は、映像素子14によって出射される映像を床面などの投影面に投射する光学素子である。
【0022】
通信部16は、プロジェクタ10がユーザインタフェース装置20と通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。通信部16は、例えば、電波通信または光通信などの無線通信を行うが、有線通信を行ってもよい。通信部16が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0023】
制御部17は、光源13(より詳細には、光源駆動部12)、及び、映像素子14の制御を行う制御装置である。制御部17は、電源部11から供給される電力によって動作する。制御部17は、具体的には、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0024】
記憶部18には、プロジェクタ10が投影する複数種類の映像(言い換えれば、複数のコンテンツ)それぞれの映像信号が記憶される。複数種類の映像は、例えば、互いに被写体が異なる映像であり、この中には後述の第一映像及び第二映像が含まれる。ここでの複数種類の映像のそれぞれは、ユーザがユーザインタフェース装置20を操作することにより意図的に投影することができる映像を意味し、プロジェクタ10が起動されたときに表示されるメーカロゴの映像、及び、黒画像など、ユーザの意図に関係なく不可避的に投影される映像は含まれない。また、複数種類の映像のそれぞれは、例えば、一般的な映像よりもコントラスト比が低い演出用の映像であり、演出用の映像のコントラスト比は、例えば、100:1以下である。なお、コントラスト比は、映像の最も暗い部分(黒)を1としたときに、最も明るい部分(白)の明るさがその何倍であるかを示す物理量である。
【0025】
また、記憶部18には、制御部17によって実行されるプロジェクタ10の制御プログラムなども記憶される。記憶部18は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。
【0026】
次に、ユーザインタフェース装置20について説明する。ユーザインタフェース装置20は、ユーザの操作を受け付け、受け付けられた操作に応じてプロジェクタ10を動作させるためのリモートコントローラである。ユーザインタフェース装置20は、スマートフォンまたはタブレット端末などの汎用の携帯端末にアプリケーションプログラムがインストールされることによって実現されるが、プロジェクタ10の専用のリモートコントローラであってもよい。
【0027】
[動作例1]
空間50の演出用に映像を投影しているときにユーザの指示に基づいて映像を切り替えるような場合、ユーザが違和感を感じないように自然に映像を切り替える必要がある。以下、このような課題を鑑みた映像投影システム100の動作例1について説明する。
図3は、映像投影システム100の動作例1のフローチャートである。
図4は、映像投影システム100の動作例1のタイムチャートである。
【0028】
まず、プロジェクタ10は、第一映像を投影面に投影する(S11)。プロジェクタ10の制御部17は、具体的には、光源駆動部12に制御信号を出力することにより、光源駆動部12を介して光源13を第一の明るさで発光させる。これと並行して、制御部17は、第一映像の映像信号を記憶部18から読み出して映像素子14に出力することにより、映像素子14に第一映像を出射させる。第一の明るさは、例えば、100%の明るさであるが特に限定されない。
【0029】
この状態で、ユーザがユーザインタフェース装置20に対して第一映像を第二映像に切り替える操作(言い換えれば、映像の切り替え指示)を行うと、通信部16は、ユーザインタフェース装置20から第二映像への映像の切り替えを指示するシーン切替信号を取得(言い換えれば、受信)する(S12)。制御部17は、シーン切替信号が取得されたこと(言い換えれば、ユーザによって切り替え指示が行われたこと)を契機に、光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる減光制御を行う(S13)。制御部17は、具体的には、光源駆動部12に制御信号を出力することにより、光源駆動部12を介して光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる。
【0030】
なお、映像の切り替えがユーザのユーザインタフェース装置20に対する操作に応じて行われることは必須ではない。例えば、プロジェクタ10は、あらかじめ定められた映像の投影スケジュールにしたがって映像を切り替えてもよい。この場合、制御部17は、記憶部18に記憶されたスケジュール情報(上記投影スケジュールを示す情報)に基づいて第一映像を第二映像に切り替える。つまり、ユーザではなくスケジュール情報によって映像の切り替えが指示される場合もある。
【0031】
図4に示されるように、減光制御において、制御部17は、光源13が発する光の明るさを線形に低下させることで、第一の明るさを所定期間T1の経過後に第二の明るさに到達させる。所定期間T1は、0よりも大きい期間であり、例えば、10秒以下の期間(3秒など)である。第二の明るさは、例えば、0%(つまり、光源13が消灯している状態)であるが、第一の明るさよりも暗い明るさであればよい。なお、制御部17は、光源13が発する光の明るさを非線形に低下させてもよい。制御部17は、光源13が発する光の明るさをいわゆるAカーブ特性(2.3乗特性)にしたがって低下させてもよいし、指数関数にしたがって低下させてもよい。
【0032】
減光制御中には、映像素子14からは第一映像が出射される。つまり、減光制御中には、第一映像がフェードアウトするような演出が行われる。制御部17は、光源13の明るさが第二の明るさに到達すると、光源13の明るさを第一の明るさに戻し、かつ、映像素子14から出射される映像を第一映像から第二映像に切り替える。つまり、プロジェクタ10は、第二映像を投影面に投影する(S14)。
【0033】
制御部17は、具体的には、光源駆動部12に制御信号を出力することにより、光源駆動部12を介して光源13を第一の明るさで発光させる。これと並行して、制御部17は、第二映像の映像信号を記憶部18から読み出して映像素子14に出力することにより、映像素子14に第二映像を出射させる。なお、ステップS14では、光源13の明るさは、第一の明るさと異なる第三の明るさであって第二の明るさよりも明るい第三の明るさであってもよい。
【0034】
以上説明したように、動作例1において、プロジェクタ10は、映像の切り替えが指示されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる減光制御を行う。プロジェクタ10は、減光制御中に第一映像を投影し、減光制御が終わった後に第二映像を投影する。このようなプロジェクタ10は、第一映像をフェードアウトさせた後に第二映像を投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。言い換えれば、プロジェクタ10は、単に映像を切り替える場合よりもシームレスな映像の切り替えを実現することができる。
【0035】
なお、制御部17は、同様の減光制御を、映像素子14を制御することによって行うこともできる。しかしながら、映像素子14の映像信号のダイナミックレンジ(言い換えれば、階調数)に制限があるため、光源13を制御するほうがスムーズに映像の明るさを暗くすることができる。
【0036】
[動作例2]
動作例2では、第二映像のフェードインにより、ユーザが感じる違和感を低減する動作例について説明する。
図5は、映像投影システム100の動作例2のフローチャートである。
図6は、映像投影システム100の動作例2のタイムチャートである。なお、動作例2の説明においては、動作例1で既出の事項については、説明が省略または簡略化される。
【0037】
まず、プロジェクタ10は、第一映像を第一の明るさで投影面に投影する(S21)。第一の明るさは、例えば、100%の明るさであるが特に限定されない。この状態で、通信部16は、ユーザインタフェース装置20から第二映像への映像の切り替えを指示するシーン切替信号を取得(受信)する(S22)。制御部17は、シーン切替信号が取得されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを即座に第二の明るさに低下させる減光制御を行う(S23)。第二の明るさは、例えば、0%(つまり、光源13が消灯している状態)であるが、第一の明るさよりも暗い明るさであればよい。
【0038】
さらに、制御部17は、減光制御の直後に、映像素子14に第二映像を出射させる。つまり、プロジェクタ10は、第二映像を投影面に投影する(S24)。これと並行して、制御部17は、減光制御の直後に、光源13が発する光の明るさを徐々に増加させる増光制御を行う(S25)。制御部17は、具体的には、光源駆動部12に制御信号を出力することにより、光源駆動部12を介して光源13が発する光の明るさを徐々に増加させる。なお、制御部17は、光源13が発する光の明るさを非線形に増加させてもよい。制御部17は、光源13が発する光の明るさをいわゆるAカーブ特性(2.3乗特性)にしたがって増加させてもよいし、指数関数にしたがって増加させてもよい。
【0039】
図6に示されるように、増光制御において、制御部17は、光源13が発する光の明るさを線形に増加させることで、第二の明るさを所定期間T2の経過後に第一の明るさに到達させる。所定期間T2は、0よりも大きい期間であり、例えば、10秒以下の期間(3秒など)である。これにより、増光制御中には、第二映像がフェードインするような演出が行われる。なお、制御部17は、光源13の明るさが第一の明るさに到達すると、光源13の明るさの制御を停止する。以降は第一の明るさの第二映像の投影が継続される。
【0040】
以上説明したように、動作例2において、プロジェクタ10は、映像の切り替えが指示されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを即座に低下させる減光制御を行い、減光制御の直後に、光源13が発する光の明るさを徐々に増加させる増光制御を行う。プロジェクタ10は、減光制御中に第一映像を投影し、増光制御中には第二映像を投影する。このようなプロジェクタ10は、第一映像の投影中に光源13が発する光をいったん暗くしてから第二映像をフェードインすることで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0041】
[動作例3]
動作例1のような光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる減光制御は、動作例2の増光制御と組み合わされてもよい。以下、このような映像投影システム100の動作例3について説明する。
図7は、映像投影システム100の動作例3のフローチャートである。
図8は、映像投影システム100の動作例3のタイムチャートである。なお、動作例3の説明においては、動作例1及び動作例2で既出の事項については、説明が省略または簡略化される。
【0042】
まず、プロジェクタ10は、第一映像を第一の明るさで投影面に投影する(S31)。第一の明るさは、例えば、100%の明るさであるが特に限定されない。この状態で、通信部16は、ユーザインタフェース装置20から第二映像への映像の切り替えを指示するシーン切替信号を取得(受信)する(S32)。制御部17は、シーン切替信号が取得されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる減光制御を行う(S33)。
【0043】
図8に示されるように、減光制御において、制御部17は、光源13が発する光の明るさを線形(あるいは、非線形)に低下させることで、第一の明るさを所定期間T1の経過後に第二の明るさに到達させる。所定期間T1は、0よりも大きい期間であり、例えば、10秒以下の期間(3秒など)である。第二の明るさは、例えば、0%(つまり、光源13が消灯している状態)であるが、第一の明るさよりも暗い明るさであればよい。
【0044】
減光制御中には、映像素子14からは第一映像が出射される。つまり、減光制御中には、第一映像がフェードアウトするような演出が行われる。制御部17は、光源13の明るさが第二の明るさに到達すると、映像素子14から出射される映像を第一映像から第二映像に切り替える。つまり、プロジェクタ10は、第二映像を投影面に投影する(S34)。
【0045】
これと並行して、制御部17は、光源13が発する光の明るさを徐々に増加させる増光制御を行う(S35)。
図8に示されるように、増光制御において、制御部17は、光源13が発する光の明るさを線形(あるいは、非線形)に増加させることで、第二の明るさを所定期間T2の経過後に第一の明るさに到達させる。所定期間T2は、0よりも大きい期間であり、例えば、10秒以下の期間(3秒など)である。これにより、増光制御中には、第二映像がフェードインするような演出が行われる。なお、制御部17は、光源13の明るさが第一の明るさに到達すると、光源13の明るさの制御を停止する。以降は第一の明るさの第二映像の投影が継続される。
【0046】
以上説明したように、動作例3において、プロジェクタ10は、映像の切り替えが指示されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる減光制御を行い、減光制御の直後に、光源13が発する光の明るさを徐々に増加させる増光制御を行う。プロジェクタ10は、減光制御中に第一映像を投影し、増光制御中には第二映像を投影する。このようなプロジェクタ10は、第一映像をフェードアウトさせてから第二映像をフェードインすることで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0047】
[動作例4]
動作例3では、映像素子14は、減光制御中に第一映像を出射し、増光制御中に第二映像を出射したが、減光制御中及び増光制御中に第一映像及び第二映像を合成した第三映像を出射してもよい。
図9は、映像投影システム100の動作例4のタイムチャートである。なお、動作例4の説明においては、動作例1~3で既出の事項については、説明が省略または簡略化される。
【0048】
動作例4において、制御部17は、第一映像及び第二映像を合成して第三映像を生成する。第三映像の各画素の輝度値p3x,y(t)は、第一映像の画素の輝度値をp1x,y(t)、第一映像の合成割合をa(t)、第二映像の画素の輝度値をp2x,y(t)、第二映像の合成割合をb(t)とすると、以下の式で表現される。なお、tは、時刻(例えば、t=0、1、2・・などのフレーム番号)を示し、xは、画素の横方向の位置であり、yは、画素の縦方向の位置である。合成割合は、言い換えれば、映像を合成する際の重み係数である。輝度値は、言い換えれば、画素値である。
【0049】
p3x,y(t)=a(t)×p1x,y(t)+b(t)×p2x,y(t)
【0050】
ここで、第一映像の合成割合a(t)、及び、第二映像の合成割合b(t)は、a(t)+b(t)=1を満たす。
図9に示されるように、減光制御中、及び、増光制御中が行われる所定期間T3において、第一映像の合成割合a(t)は、時間の経過とともに減少し、第二映像の合成割合b(t)は、時間の経過とともに増加する。
【0051】
図9の例では、第一映像の合成割合a(t)は、時間の経過とともに線形に減少するが、非線形に減少してもよい。第一映像の合成割合a(t)は、例えば、いわゆるAカーブ特性(2.3乗特性)にしたがって減少してもよいし、指数関数にしたがって減少してもよい。同様に、第二映像の合成割合b(t)は、時間の経過とともに線形に増加するが、非線形に増加してもよい。例えば、所定期間T3における第一映像の合成割合a(t)の初期値は1であり、最終値は0であるが、第一映像の合成割合a(t)の初期値、及び、最終値は特に限定されない。第二映像の合成割合b(t)についても同様である。
【0052】
このように、動作例4では、プロジェクタ10は、減光制御中、及び、増光制御中に、第一映像及び第二映像を合成した第三映像を出射する。第三映像は、言い換えれば、第一映像及び第二映像に関連した映像である。第三映像における、第一映像の合成割合a(t)は、時間の経過とともに徐々に低下する。このようなプロジェクタ10は、投影される映像自体を第一映像から第二映像に徐々に近づけることで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0053】
なお、動作例4では、映像の切り替え時に光源13が発する光の明るさが制御されることは必須ではなく、映像の切り替え時に光源13が発する光の明るさは一定であってもよい。
図10は、映像投影システム100の動作例4の変形例のタイムチャートである。
【0054】
また、動作例4は、動作例3において減光制御及び増光制御中に第三映像が投影される例であるが、動作例1において減光制御中に第三映像が投影されてもよいし、動作例2において増光制御中に第三映像が投影されてもよい。
【0055】
また、動作例4において、所定期間T3において合成割合が経時変化することは必須ではなく、所定期間T3における合成割合は一定(例えば、a(t)=b(t)=0.5)であってもよい。
【0056】
[動作例5]
以下、映像投影システム100の動作例5について説明する。
図11は、映像投影システム100の動作例5のフローチャートである。
図12は、映像投影システム100の動作例5のタイムチャートである。なお、動作例5の説明においては、動作例1~4で既出の事項については、説明が省略または簡略化される。
【0057】
まず、プロジェクタ10は、第一映像を第一の明るさで投影面に投影する(S51)。第一の明るさは、例えば、100%の明るさであるが特に限定されない。この状態で、通信部16は、ユーザインタフェース装置20から第二映像への映像の切り替えを指示するシーン切替信号を取得(受信)する(S52)。制御部17は、シーン切替信号が取得されたことを契機に、即座に光源13の発光を停止させる減光制御を行う(S53)。
【0058】
制御部17は、減光制御が完了してから所定期間T4の経過後に、光源13の明るさを第一の明るさに戻し(つまり、光源13を点灯し)、かつ、映像素子14から出射される映像を第一映像から第二映像に切り替える。つまり、プロジェクタ10は、第二映像を投影面に投影する(S54)。所定期間T4は、0よりも大きい期間であり、例えば、10秒以下の期間(3秒など)である。
【0059】
以上説明したように、動作例5において、プロジェクタ10は、映像の切り替えが指示されたことを契機に、光源13の発光を即座に停止させ、所定期間T4の経過後に、光源13を発光させ、かつ、切り替え先の映像を投影する。このようなプロジェクタ10は、所定期間T4の間、映像の表示を停止した上で第二映像を投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0060】
[効果等]
以上説明したように、プロジェクタ10は、光源13と、光源13が発する光を変調することにより映像として出射する映像素子14と、映像素子14によって出射される映像の切り替えが指示されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを低下させる減光制御を行う制御部17とを備える。
【0061】
このようなプロジェクタ10は、光源13が発する光の明るさを低下させてから切り替え先の映像を投影することで、光源13の明るさを変更せずに単に映像を切り替える場合よりも、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。言い換えれば、プロジェクタ10は、単に映像を切り替える場合よりもシームレスな映像の切り替えを実現することができる。
【0062】
また、動作例1では、制御部17は、減光制御として、光源13が発する光の明るさを徐々に低下させる。
【0063】
このようなプロジェクタ10は、光源13が発する光の明るさをフェードアウトさせた後に切り替え先の映像を投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0064】
また、動作例1では、上記切り替えが指示されたことにより、映像素子14によって出射される映像は、第一映像から第二映像に切り替えられ、映像素子14は、減光制御中に第一映像を出射する。
【0065】
このようなプロジェクタ10は、第一映像をフェードアウトさせた後に第二映像を投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0066】
また、動作例4では、上記切り替えが指示されたことにより、映像素子14によって出射される映像は、第一映像から第二映像に切り替えられ、映像素子14は、減光制御中に、第一映像及び第二映像を合成した第三映像を出射する。
【0067】
このようなプロジェクタ10は、第一映像、第一映像及び第二映像を合成した第三映像、及び、第二映像をこの順に投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0068】
また、動作例2では、制御部17は、減光制御の直後に、光源13が発する光の明るさを徐々に増加させる増光制御を行う。
【0069】
このようなプロジェクタ10は、光源13が発する光の明るさを暗くした後、光源13が発する光の明るさをフェードインさせることで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0070】
また、動作例2では、上記切り替えが指示されたことにより、映像素子14によって出射される映像は、第一映像から第二映像に切り替えられ、映像素子14は、増光制御中に第二映像を出射する。
【0071】
このようなプロジェクタ10は、光源13が発する光の明るさを暗くした後、第二映像をフェードインさせることで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0072】
また、動作例4では、上記切り替えが指示されたことにより、映像素子14によって出射される映像は、第一映像から第二映像に切り替えられ、映像素子14は、増光制御中に、第一映像及び第二映像を合成した第三映像を出射する。
【0073】
このようなプロジェクタ10は、第一映像、第一映像及び第二映像を合成した第三映像、及び、第二映像をこの順に投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0074】
また、動作例4では、第三映像における第一映像の合成割合は、徐々に低下する。
【0075】
このようなプロジェクタ10は、投影される映像自体を第一映像から第二映像に徐々に近づけることで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0076】
また、動作例5では、制御部17は、減光制御により光源13の発光を停止させてから所定期間T4の経過後に光源13を発光させ、かつ、切り替え先の映像を映像素子14に出射させる。
【0077】
このようなプロジェクタ10は、所定期間T4の間、映像の表示を停止した上で切り替え先の映像を投影することで、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。
【0078】
また、制御部17などのコンピュータによって実行される、プロジェクタ10の制御方法は、映像素子14によって出射される映像の切り替えが指示されたことを契機に、光源13が発する光の明るさを低下させる減光制御を行う。
【0079】
このようなプロジェクタ10の制御方法は、光源13が発する光の明るさを低下させてから切り替え先の映像を投影することで、光源13の明るさを変更せずに単に映像を切り替える場合よりも、映像の切り替えによりユーザが感じる違和感を低減することができる。言い換えれば、プロジェクタ10の制御方法は、単に映像を切り替える場合よりもシームレスな映像の切り替えを実現することができる。
【0080】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、プロジェクタは、演出用の映像を投影したが、演出用ではない一般的な映像を投影してもよい。例えば、上記実施の形態では、プロジェクタはモノクローム(言い換えれば、グレースケール)の映像を投影すると説明されたが、カラーの映像を投影してもよい。また、上記実施の形態では、プロジェクタは、天井埋め込み型のプロジェクタであったが、机上に設置される一般的なプロジェクタであってもよい。このように、本発明は、一般的なプロジェクタにも適用することができる。
【0082】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0084】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0085】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0086】
例えば、本発明は、上記実施の形態の映像投影システムまたはユーザインタフェース装置として実現されてもよい。本発明は、プロジェクタの制御方法として実現されてもよい。本発明は、プロジェクタの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0087】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10 プロジェクタ
13 光源
14 映像素子
17 制御部