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特許7398652部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231208BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H05K13/02 C
H05K13/04 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020058377
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158263
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】小山 利幸
(72)【発明者】
【氏名】今福 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】長江 和男
(72)【発明者】
【氏名】長澤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】張 文海
(72)【発明者】
【氏名】陳 湧▲シン▼
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-217594(JP,A)
【文献】特開2002-280795(JP,A)
【文献】特開2001-36294(JP,A)
【文献】特開2002-353695(JP,A)
【文献】特開平6-120696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をそれぞれ保持可能な複数のパレットと、
前記複数のパレットを並べた状態で無端状に回転させて、部品を受け取る部品受取位置、部品を受け渡す部品受渡位置、部品の有無を検出する部品検出位置の順に、各パレットを移動させるパレット駆動部と、
前記部品受渡位置にて前記パレットから部品を受け取り、受け取った部品を基板に実装する実装ユニットと、
前記部品検出位置にて前記パレットの部品の有無を検出する部品検出センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記部品検出センサによって前記パレットの部品が検出された場合、前記部品が検出された前記パレットを前記部品検出位置から予め定めた所定位置まで移動して停止するように、前記パレット駆動部を制御する、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定位置に停止した前記パレットを前記部品検出位置に向けて戻すように前記パレット駆動部を制御する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記部品検出位置から前記所定位置まで移動される際の前記パレットの回転方向と、前記所定位置から前記部品検出位置に向けて戻される際の前記パレットの回転方向とは逆方向である、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記複数のパレット、前記パレット駆動部、前記実装ユニットおよび前記部品検出センサを収容する筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記部品受取位置から前記部品受渡位置までの間に面する位置に開閉カバーを備え、
前記所定位置は、前記開閉カバーに面する位置である、請求項1から3のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記所定位置は、前記部品受渡位置である、請求項1から3のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記部品受渡位置に停止した前記パレットの部品を取るように前記実装ユニットを制御する、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記実装ユニットが保持する部品の少なくとも一部を廃棄するための廃棄ユニットをさらに備え、
前記制御部は、前記パレットから取った部品を前記廃棄ユニットへ廃棄するように前記実装ユニットを制御する、請求項6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
パレット駆動部により、部品をそれぞれ保持可能な複数のパレットを並べた状態で無端状に回転させて、部品を受け取る部品受取位置、部品を受け渡す部品受渡位置、部品の有無を検出する部品検出位置の順に、各パレットを移動させるステップと、
実装ユニットにより、前記部品受渡位置にて前記パレットから部品を受け取り、受け取った部品を基板に実装するステップと、
部品検出センサにより、前記部品検出位置にて前記パレットの部品の有無を検出するステップと、
前記部品検出センサによって前記パレットの部品が検出された場合、前記パレット駆動部により、前記部品が検出された前記パレットを前記部品検出位置から予め定めた所定位置まで移動して停止させるステップと、
を含む、部品実装基板の製造方法。
【請求項9】
さらに、
前記パレット駆動部により、前記所定位置に停止した前記パレットを前記部品検出位置に向けて戻すステップを含む、請求項8に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項10】
前記部品検出位置から前記所定位置まで移動される際の前記パレットの回転方向と、前記所定位置から前記部品検出位置に向けて戻される際の前記パレットの回転方向とは逆方向である、請求項9に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項11】
前記複数のパレット、前記パレット駆動部、前記実装ユニットおよび前記部品検出センサを収容する筐体が設けられ、
前記筐体には、前記部品受取位置から前記部品受渡位置までの間に面する位置に開閉カバーが設けられており、
前記所定位置は、前記開閉カバーに面する位置である、請求項8から10のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項12】
前記所定位置は、前記部品受渡位置である、請求項8から10のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項13】
さらに、
前記実装ユニットにより、前記部品受渡位置に停止した前記パレットの部品を取るステップを含む、請求項12に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項14】
前記実装ユニットが保持する部品の少なくとも一部を廃棄するための廃棄ユニットが設けられており、
さらに、
前記実装ユニットにより、前記パレットから取った部品を前記廃棄ユニットへ廃棄するステップを含む、請求項13に記載の部品実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジアル部品やアキシャル部品等の部品は、部品実装装置によって基板に実装される(例えば特許文献1参照)。基板に部品が実装されて、部品実装基板が作られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-51300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装装置において、基板に部品が正常に挿入されない挿入エラーが生じた場合、部品実装装置の運転が停止される。オペレータは残った部品を適切な位置まで移動させて部品を除去する等の復旧作業を手動で行う。復旧作業を手動で行うために運転再開までに相当な時間を要する場合があり、部品実装装置の稼働率が下がるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、稼働率を向上させることができる部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の部品実装装置は、部品をそれぞれ保持可能な複数のパレットと、前記複数のパレットを並べた状態で無端状に回転させて、部品を受け取る部品受取位置、部品を受け渡す部品受渡位置、部品の有無を検出する部品検出位置の順に、各パレットを移動させるパレット駆動部と、前記部品受渡位置にて前記パレットから部品を受け取り、受け取った部品を基板に実装する実装ユニットと、前記部品検出位置にて前記パレットの部品の有無を検出する部品検出センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記部品検出センサによって前記パレットの部品が検出された場合、前記部品が検出された前記パレットを前記部品検出位置から予め定めた所定位置まで移動して停止するように、前記パレット駆動部を制御する。
【0007】
また、本発明の部品実装基板の製造方法は、パレット駆動部により、部品をそれぞれ保持可能な複数のパレットを並べた状態で無端状に回転させて、部品を受け取る部品受取位置、部品を受け渡す部品受渡位置、部品の有無を検出する部品検出位置の順に、各パレットを移動させるステップと、実装ユニットにより、前記部品受渡位置にて前記パレットから部品を受け取り、受け取った部品を基板に実装するステップと、部品検出センサにより、前記部品検出位置にて前記パレットの部品の有無を検出するステップと、前記部品検出センサによって前記パレットの部品が検出された場合、前記パレット駆動部により、前記部品が検出された前記パレットを前記部品検出位置から予め定めた所定位置まで移動して停止させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品実装装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の部品実装装置の概略斜視図
図2】実施の形態1の部品実装装置の概略平面図
図3A】実施の形態1の通常運転時における移載ヘッドおよび挿入ヘッドの動作順序を示す概略図
図3B】実施の形態1の通常運転時における移載ヘッドおよび挿入ヘッドの動作順序を示す概略図
図3C】実施の形態1の通常運転時における移載ヘッドおよび挿入ヘッドの動作順序を示す概略図
図4】実施の形態1の部品挿入エラーに関する部品実装装置の動作例を示すフローチャート
図5A図4に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレットの動きを示す概略平面図
図5B図4に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレットの動きを示す概略平面図
図5C図4に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレットの動きを示す概略平面図
図6】実施の形態2の部品実装装置の概略斜視図
図7】実施の形態2の部品挿入エラーに関する部品実装装置の動作例を示すフローチャート
図8A図7に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレットの動きを示す概略平面図
図8B図7に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレットの動きを示す概略平面図
図8C図7に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレットの動きを示す概略平面図
図9A】実施の形態2の部品挿入エラー時における移載ヘッドの動作順序を示す概略図
図9B】実施の形態2の部品挿入エラー時における移載ヘッドの動作順序を示す概略図
図9C】実施の形態2の部品挿入エラー時における移載ヘッドの動作順序を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、部品をそれぞれ保持可能な複数のパレットと、前記複数のパレットを並べた状態で無端状に回転させて、部品を受け取る部品受取位置、部品を受け渡す部品受渡位置、部品の有無を検出する部品検出位置の順に、各パレットを移動させるパレット駆動部と、前記部品受渡位置にて前記パレットから部品を受け取り、受け取った部品を基板に実装する実装ユニットと、前記部品検出位置にて前記パレットの部品の有無を検出する部品検出センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記部品検出センサによって前記パレットの部品が検出された場合、前記部品が検出された前記パレットを前記部品検出位置から予め定めた所定位置まで移動して停止するように、前記パレット駆動部を制御する、部品実装装置を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記制御部は、前記所定位置に停止した前記パレットを前記部品検出位置に向けて戻すように前記パレット駆動部を制御する、第1態様に記載の部品実装装置を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記部品検出位置から前記所定位置まで移動される際の前記パレットの回転方向と、前記所定位置から前記部品検出位置に向けて戻される際の前記パレットの回転方向とは逆方向である、第2態様に記載の部品実装装置を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、前記複数のパレット、前記パレット駆動部、前記実装ユニットおよび前記部品検出センサを収容する筐体をさらに備え、前記筐体は、前記部品受取位置から前記部品受渡位置までの間に面する位置に開閉カバーを備え、前記所定位置は、前記開閉カバーに面する位置である、第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、前記所定位置は、前記部品受渡位置である、第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、前記制御部は、前記部品受渡位置に停止した前記パレットの部品を取るように前記実装ユニットを制御する、第5態様に記載の部品実装装置を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、前記実装ユニットが保持する部品の少なくとも一部を廃棄するための廃棄ユニットをさらに備え、前記制御部は、前記パレットから取った部品を前記廃棄ユニットへ廃棄するように前記実装ユニットを制御する、第6態様に記載の部品実装装置を提供する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、パレット駆動部により、部品をそれぞれ保持可能な複数のパレットを並べた状態で無端状に回転させて、部品を受け取る部品受取位置、部品を受け渡す部品受渡位置、部品の有無を検出する部品検出位置の順に、各パレットを移動させるステップと、実装ユニットにより、前記部品受渡位置にて前記パレットから部品を受け取り、受け取った部品を基板に実装するステップと、部品検出センサにより、前記部品検出位置にて前記パレットの部品の有無を検出するステップと、前記部品検出センサによって前記パレットの部品が検出された場合、前記パレット駆動部により、前記部品が検出された前記パレットを前記部品検出位置から予め定めた所定位置まで移動して停止させるステップと、を含む、部品実装基板の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の第9態様によれば、さらに、前記パレット駆動部により、前記所定位置に停止した前記パレットを前記部品検出位置に向けて戻すステップを含む、第8態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の第10態様によれば、前記部品検出位置から前記所定位置まで移動される際の前記パレットの回転方向と、前記所定位置から前記部品検出位置に向けて戻される際の前記パレットの回転方向とは逆方向である、第9態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の第11態様によれば、前記複数のパレット、前記パレット駆動部、前記実装ユニットおよび前記部品検出センサを収容する筐体が設けられ、前記筐体には、前記部品受取位置から前記部品受渡位置までの間に面する位置に開閉カバーが設けられており、前記所定位置は、前記開閉カバーに面する位置である、第8態様から第10態様のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の第12態様によれば、前記所定位置は、前記部品受渡位置である、第8態様から第10態様のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の第13態様によれば、さらに、前記実装ユニットにより、前記部品受渡位置に停止した前記パレットの部品を取るステップを含む、第12態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
【0023】
本発明の第14態様によれば、前記実装ユニットが保持する部品の少なくとも一部を廃棄するための廃棄ユニットが設けられており、さらに、前記実装ユニットにより、前記パレットから取った部品を前記廃棄ユニットへ廃棄するステップを含む、第13態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。
【0024】
以下、本発明に係る部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法の例示的な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
【0025】
(実施の形態1)
まず、図1図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る部品実装装置について説明する。
【0026】
図1は、実施の形態1に係る部品実装装置1の概略斜視図であり、図2は、部品実装装置1の概略平面図である。
【0027】
図1図2に示す部品実装装置1は、2本のリードを備えたリード付きの部品2を基板3に装着・実装する装置である。部品2が実装された基板3は「部品実装基板」となる。
【0028】
以下、水平面内で直交する方向をX方向およびY方向、水平面に対して垂直な方向、すなわち鉛直方向をZ方向とする。
【0029】
部品実装装置1は、基板保持テーブル4と、実装ユニット6と、複数のパレット8と、パレット駆動部10と、部品供給部12と、部品検出センサ14と、筐体16(図2)と、制御部18とを備える。図1では筐体16の図示を省略しており、図2では部品2の図示を省略している。
【0030】
基板保持テーブル4は、上面に基板3を位置決めして保持するテーブルである。実施の形態1の基板保持テーブル4はXY方向に移動可能であり、Z方向には移動しない。
【0031】
実装ユニット6は、基板保持テーブル4によって位置決めされた基板3に部品2を実装するユニットである。実施の形態1の実装ユニット6は、移載ヘッド20と、挿入ヘッド22とを備える。
【0032】
移載ヘッド20および挿入ヘッド22はそれぞれ、部品2を保持可能な一対の開閉爪を有する部材である。移載ヘッド20および挿入ヘッド22はそれぞれ回転方向R1、R2に回転可能に構成されており、図1において点線で示した位置と実線で示した位置との間を相互に移動する。
【0033】
パレット8は、部品2を保持する部品保持部である。パレット8は複数設けられており、パレット8のそれぞれに部品2のリードを保持可能な保持部9(図1)が設けられている。1つのパレット8に1つの部品2を保持可能である。
【0034】
図1図2に示すように、複数のパレット8は環状に一列に並べられた状態で接続されており、パレット駆動部10によって回転方向X1(順回転方向)に一体的に回転駆動される。複数のパレット8は無端状に搬送され、各パレット8が同じ経路を繰り返し通過する。
【0035】
実施の形態1におけるパレット駆動部10は、複数のパレット8の内側に設けられた複数のプーリである。パレット駆動部10はサーボモータ(図示せず)で駆動されるため、順回転方向と逆回転方向のいずれにも回転駆動可能である。
【0036】
部品供給部12は、パレット8に部品2を供給する部材である。部品供給部12は例えばテープフィーダであり、アキシャル部品やラジアル部品等の電子部品をパレット8に部品2として供給する。部品供給部12からパレット8に供給される部品2はパレット8の保持部9によって保持される。実施の形態1ではアキシャル部品を部品2として例示しているが、ラジアル部品等、他の種類の部品であってもよい。
【0037】
部品供給部12は複数設けられており、それぞれの部品供給部12が同種の部品2を有する。図1では紙面右端の部品供給部12が有する部品2を図示しているが、他の部品供給部12も同様に部品2を有する。
【0038】
部品検出センサ14は、ある位置におけるパレット8の部品2の有無を検出するセンサである。部品検出センサ14は光反射型センサなど、部品2の有無を検出できるものであれば任意の方式のセンサであってもよい。
【0039】
図2に示す筐体16は、部品実装装置1の各種構成部材を収容する部材である。筐体16は少なくとも、基板保持テーブル4、実装ユニット6、複数のパレット8、パレット駆動部10および部品検出センサ14を収容する。部品供給部12は、筐体16に設けられた開口部23を介してパレット8に部品2を供給可能な状態で筐体16に接続される。
【0040】
筐体16は、部品供給部12が接続される箇所と同じ列に開閉カバー24を有する。開閉カバー24は筐体16の一部を開閉可能なカバーであり、開閉カバー24を除く位置では、筐体16の外部から内部にアクセスすることができない。開閉カバー24は部品実装装置1の運転時には通常閉じられており、開閉カバー24を開くと、筐体16の外部から内部のパレット8にアクセス可能となる。開閉カバー24を設けることで、筐体16の外部からパレット8にアクセス可能な場所を制限することができる。
【0041】
図示を省略しているが、開閉カバー24が開けられたことを検知するための安全スイッチが設けられている。安全スイッチによって開閉カバー24が開けられたことが検知されると、部品実装装置1の運転が停止されるように制御される。
【0042】
制御部18は、部品実装装置1の各種構成要素を制御する部材である。制御部18は例えばマイクロコンピュータを有して構成される。制御部18は少なくとも、基板保持テーブル4、実装ユニット6、パレット駆動部10、部品供給装置12および部品検出センサ14に電気的に接続されている。
【0043】
ここで、移載ヘッド20および挿入ヘッド22の動作例について、図3A図3Cを用いて説明する。図3A図3Cは、通常運転時における移載ヘッド20および挿入ヘッド22の動作順序を示す概略図である。
【0044】
図3Aに示すように、移載ヘッド20は、パレット8の保持部9に保持されている部品2に対して開閉爪を開いた状態で近付いてから開閉爪を閉じることで、部品2の本体部を掴み、パレット8から部品2を受け取る。部品2を受け取った移載ヘッド20は、図3Bに示すように回転方向R3に回転し、挿入ヘッド22が部品2を受け取り可能な位置まで回転移動する。
【0045】
実施の形態1の挿入ヘッド22はXY方向には移動せず、Z方向にのみ上下動可能である。移載ヘッド20と挿入ヘッド22の間には、移載ヘッド20が保持する部品2を挿入ヘッド22へ向けて横方向にスライドさせるスライド機構を設けてもよい。
【0046】
移載ヘッド20から部品2を受け取った挿入ヘッド22は、図3Cに示すように回転方向R4に回転し、Z1方向に下降する。挿入ヘッド22が下降することにより、挿入ヘッド22に保持された部品2のリードが基板3に挿入される。これにより、基板3に部品2を実装した部品実装基板が作られる。
【0047】
図2に示したように、複数のパレット8が回転方向X1に無端状に回転されると、各パレット8は、部品受取位置A1、パレットアクセス位置A2、部品受渡位置A3、部品検出位置A4の順に通過するように移動する。
【0048】
部品受取位置A1は、パレット8が部品供給部12から部品2を受け取る位置である。実施の形態1における部品受取位置A1は、複数の部品供給部12に面する位置であり、例えばパレット8の移動量で8ピッチ分に相当する。部品受取位置A1の下流側に位置するパレットアクセス位置A2は、部品実装装置1の作業者がパレット8にアクセス可能な位置である。実施の形態1におけるパレットアクセス位置A2は、開閉カバー24に面する位置であり、例えばパレット8の移動量で2ピッチ分に相当する。パレットアクセス位置A2の下流側に位置する部品受渡位置A3は、パレット8から実装ユニット6に部品2を受け渡す位置である。実施の形態1における部品受渡位置A3は、例えばパレット8の移動量で1ピッチ分に相当する。部品受渡位置A3の下流側に位置する部品検出位置A4は、部品検出センサ14がパレット8の部品2の有無を検出する位置である。実施の形態1における部品検出位置A4は、例えばパレット8の移動量で1ピッチ分に相当する。
【0049】
位置A1、A2、A3、A4が占めるパレットピッチ数は図2に示す例に限らず、部品実装装置1や基板3の仕様等に応じて適宜、変更してもよい。
【0050】
パレットアクセス位置A2は、パレット8の回転方向X1に沿って部品受取位置A1から部品受渡位置A3までの間の位置であれば、任意の位置に設けてもよい。部品受取位置A1から部品受渡位置A3までの間に配置することで、部品受取位置A1で部品供給部12からパレット8へ供給された部品2を、部品受渡位置A3で実装ユニット6へ受け渡す前に作業者が目視およびアクセスすることができる。
【0051】
部品検出位置A4は、パレット8の回転方向X1に沿って部品受渡位置A3から部品受取位置A1までの間の位置であれば、任意の位置に設けてもよい。部品受渡位置A3から部品受取位置A1までの間に配置することで、部品受渡位置A3でパレット8から実装ユニット6へ受け渡した部品2がパレット8に残っていないか否かを、部品受取位置A1で新たな部品2を部品供給部12から受け取る前に確認することができる。
【0052】
上述した構成を有する部品実装装置1の動作例について以下で説明する。以下の動作は、制御部18によって実行される。
【0053】
制御部18はまず、パレット駆動部10を駆動して、複数のパレット8を順回転方向である回転方向X1に回転させる。複数のパレット8は一列に並べられた状態で無端状に回転され、1ピッチ移動するごとに僅かな停止時間を設けながら回転方向X1に沿って間欠的に移動する。
【0054】
複数のパレット8を間欠的に移動させながら、部品受取位置A1に停止したパレット8に対して必要な部品2を部品供給部12から供給する。複数の部品供給部12のどの部品供給部12からどのパレット8に部品2を受け渡すかの情報は、予め組まれた生産スケジュールに基づいて制御部18に記憶されている。
【0055】
制御部18はさらに、部品受渡位置A3に停止したパレット8の部品2を受け取るように実装ユニット6を駆動する。具体的な動作については、図3A図3Cを用いて説明した通りである。移載ヘッド20を用いてパレット8の部品2を受け取るとともに、移載ヘッド20から挿入ヘッド22に部品2を受け渡し、部品2を受け取った挿入ヘッド22を下降させることで、部品2のリードを基板3の挿入孔に挿入する。これにより、部品2を基板3に実装した部品実装基板が製造される。
【0056】
制御部18はさらに、部品検出位置A4に停止したパレット8における部品2の有無を部品検出センサ14により検出する。当該検出は部品検出位置A4に停止したパレット8に対して個別に行われる。部品検出センサ14が部品2を検出しない場合は、部品受渡位置A3でパレット8から実装ユニット6へ部品2が正常に受け渡されていると想定し、部品実装装置1の運転を継続する。一方で、部品検出センサ14が部品2を検出した場合、部品受渡位置A3でパレット8から実装ユニット6へ部品2が正常に受け渡されていないと想定し、部品挿入エラーとなる。部品挿入エラーが生じた場合、実施の形態1の制御部18は、以下で説明する部品挿入エラーに対する復旧運転を行う。
【0057】
具体的には、制御部18は部品挿入エラーが生じた場合、部品実装装置1の運転をすぐに停止するのではなく、部品2が検出されたパレット8を予め定めた所定位置まで自動で送るように制御する。所定位置に停止したパレット8の部品2を作業者が確認して、部品2を取り除く等の復旧作業を行うことができる。部品挿入エラー時にパレット8の送り量を手動で決定する場合に比べて、復旧作業にかかる時間を短縮することができ、部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。具体的な動作については、図4図5A図5Cを用いて説明する。
【0058】
図4は、部品挿入エラーに関する部品実装装置1の動作例を示すフローチャートである。図5A図5Cは、図4に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレット8の動きを示す概略平面図である。
【0059】
図4に示すように、制御部18は、部品検出センサ14を用いて、部品検出位置A4に停止したパレット8の部品2を検出する(S1)。
【0060】
ステップS1の検出結果に基づいて、制御部18は、部品検出位置A4に停止したパレット8に部品2が有るか否かを判断する(S2)。
【0061】
部品2がないと判断した場合(S2でNO)、制御部18は、パレット8を1ピッチ送り、部品2を供給し、部品2を挿入する(S3)。具体的には、パレット駆動部10を用いてパレット8を回転方向X1に1ピッチ送り、部品供給部12を用いて部品受取位置A1で部品2をパレット8に供給し、実装ユニット6を用いて部品2を基板3に実装する。
【0062】
制御部18はステップS3を実行すると、全部品の挿入が完了したか否かを判断する(S4)。具体的には、制御部18は、ステップS3の実行によって基板3に挿入された部品2の情報を蓄積するとともに、蓄積した情報と、予め記憶されている実装対象の部品2の数や種類に関する情報とに基づいて、全部品の挿入が完了したか否かを判断する。
【0063】
全部品の挿入が完了したと判断した場合(S4でYES)、部品実装装置1の運転を終了する。一方で、全部品の挿入が完了していないと判断した場合(S4でNO)、制御部18はステップS1を再度実行する。
【0064】
ステップS1の検出結果に基づいて、パレット8に部品2があると判断した場合(S2でYES)、部品挿入エラーとなり、制御部18は一連のステップS5~S8を実行する。
【0065】
制御部18は、部品2が検出されたパレット8を部品検出位置A4からパレットアクセス位置A2まで移動させる(S5)。具体的には、図5Aに示すように、パレット駆動部10を駆動して、複数のパレット8を順回転方向である回転方向X1に回転させる。ステップS5におけるパレット8の送り量は、部品検出位置A4からパレットアクセス位置A2までのパレットピッチ数として制御部18に予め記憶されている。部品検出位置A4に停止していたパレット8A(図5Aでハッチング表示。「部品残りパレット」)は、図5Bに示すようにパレットアクセス位置A2まで移動して停止される。
【0066】
制御部18は、生産を停止して通知する(S6)。具体的には、部品実装装置1の運転を停止するとともに、ブザー等の音声やエラー画面の表示等によって、作業者に部品挿入エラーを通知する。
【0067】
部品2が検出されたパレット8Aをパレットアクセス位置A2まで移動して停止させることで、開閉カバー24を開けば、作業者がパレット8Aを目視して部品2を確認することができ、部品2を取り除く等の対処を行うことができる。このように、部品2が検出されたパレット8Aを予め定めた所定位置であるパレットアクセス位置A2まで自動で送ることで、パレット8の送りピッチ数を作業者が手動で決定する場合に比べて、部品挿入エラーの復旧作業にかかる時間を短縮することができる。これにより、部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。
【0068】
図5Bに示す例では、2ピッチ分のパレットアクセス位置A2のうち、回転方向X1の上流側の位置にパレット8Aを停止させているが、下流側の位置に停止させてもよい。
【0069】
制御部18は、生産を再開する(S7)。具体的には、復旧作業を終えた作業者が制御部18に接続されたインタフェース(図示せず)を介して入力を行い、当該入力に応じて、制御部18は部品実装装置1を運転状態に復帰させる。
【0070】
制御部18は、パレット8Aをパレットアクセス位置A2から部品検出位置A4まで移動させる(S8)。具体的には、図5Bに示すように、パレット駆動部10を駆動して、複数のパレット8を回転方向X1とは逆向きの回転方向X2(逆回転方向)に回転させる。ステップS8におけるパレット8の送り量(逆回転)は、ステップS5におけるパレット8の送り量(順回転)と同じに設定されている。パレットアクセス位置A2に停止していたパレット8Aは、図5Cに示すように部品検出位置A4まで戻されて停止する。
【0071】
部品2が取り除かれたパレット8Aを元の部品検出位置A4まで戻すことで、部品挿入エラー時の状態に戻すことができ、予め組まれた生産スケジュールを再開することができる。
【0072】
また、ステップS8におけるパレット8Aの回転方向X2をステップS5におけるパレット8Aの回転方向X1の逆向きとすることで、パレット8Aの戻り時間を短縮することができる。
【0073】
ステップS8を実行すると、制御部18は、ステップS1を再度実行する。
【0074】
上述したように、実施の形態1の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、制御部18は、部品検出センサ14によってパレット8Aの部品2が検出された場合、部品2が検出されたパレット8Aを部品検出位置A4から予め定めた所定位置としてのパレットアクセス位置A2まで移動して停止するように、パレット駆動部10を制御する。
【0075】
このような構成および方法によれば、パレット8Aを予め定めた所定位置まで移動して停止させることで、作業者が部品2を目視で確認して部品2を取り除く等、部品挿入エラーに対して速やかに対処することができる。パレット8を手動で送る場合と比較して、部品挿入エラーの復旧作業にかかる時間を短縮することができ、部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。
【0076】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、制御部18は、所定位置としてのパレットアクセス位置A2に停止したパレット8Aを部品検出位置A4に向けて戻すようにパレット駆動部10を制御する。
【0077】
このような構成および方法によれば、パレット8Aを部品検出位置A4に向けて戻すことで、部品挿入エラー時の元の状態から生産を再開することが可能となり、予め組んでいる生産スケジュールを継続することができる。
【0078】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、部品検出位置A4からパレットアクセス位置A2まで移動される際のパレット8の回転方向X1と、パレットアクセス位置A2から部品検出位置A4に向けて戻される際のパレット8の回転方向X2は逆方向である。
【0079】
このような構成および方法によれば、パレット8を逆回転させることでパレット8の戻りにかかる時間を短縮することができる。
【0080】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、筐体16をさらに備え、筐体16は、実装ユニット6、複数のパレット8、パレット駆動部10および部品検出センサ14を収容する。筐体16は、部品受取位置A1から部品受渡位置A3までの間に面する位置に開閉カバー24を備え、パレット8Aを停止させる所定位置は、開閉カバー24に面するパレットアクセス位置A2である。
【0081】
このような構成および方法によれば、開閉カバー24を設けることで、作業者が部品実装装置1の内部にアクセス可能な場所を制限することができ、安全性を向上させることができる。また開閉カバー24に面する位置までパレット8Aを送ることで、作業者が開閉カバー24を開けば、パレット8Aの部品2を目視で確認することができる。
【0082】
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2の部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0083】
実施の形態2では、部品2を廃棄するための廃棄ユニットを設けている点、および部品挿入エラー時に廃棄ユニットへ部品2を廃棄する点が、実施の形態1と異なる。
【0084】
図6は、実施の形態2の部品実装装置100の概略斜視図である。
【0085】
図6に示すように、部品実装装置100は、実施の形態1と同様の構成要素に加えて、廃棄ユニット102をさらに備える。廃棄ユニット102は、実装ユニット6の移載ヘッド20が保持する部品2を廃棄するためのユニットである。
【0086】
部品2がアキシャル部品である場合、基板3への実装に備えて部品2のリードが切断される。リードの切断によってリード屑が生じ、廃棄ユニット102は当該リード屑を廃棄するためのユニットとして設けられている。廃棄ユニット102はさらに、後述するように部品挿入エラーが生じたときに、パレット8Aに残った部品自体を廃棄するためにも用いられる。すなわち、廃棄ユニット102は、部品2として特にアキシャル部品の「少なくとも一部」を廃棄するためのユニットである。
【0087】
実施の形態2の廃棄ユニット102は、移載ヘッド20の下方に設けられている。移載ヘッド20が保持している部品2およびその一部を落下させることで、廃棄ユニット102へ廃棄可能である。
【0088】
廃棄ユニット102は、部品2およびその少なくとも一部を廃棄可能であれば任意の構成を用いてもよい。廃棄ユニット102は例えば、上方が開口した箱状の部材や、吸引源に接続された吸引口を有する吸引部材であってもよい。
【0089】
上述した構成を有する実施の形態2の部品実装装置100は、実施の形態1と同様に、部品挿入エラーが生じた場合、部品実装装置100の運転をすぐに停止するのではなく、部品2が検出されたパレット8Aを予め定めた所定位置まで自動で送るように制御する。実施の形態2における所定位置は、実施の形態1の所定位置であるパレットアクセス位置A2とは異なり、部品受渡位置A3に設定されている。
【0090】
図7は、部品挿入エラーに関する部品実装装置100の動作例を示すフローチャートである。図8A図8Cは、図7に示すフローチャートに沿って動作した場合のパレット8の動きを示す概略平面図である。
【0091】
図7に示すように、制御部18は、実施の形態1と同様のステップS1~S4を実行する。ステップS1~S4の動作内容は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
ステップS1の検出結果に基づいて、パレット8Aに部品2があると判断した場合(S2でYES)、部品挿入エラーとなり、制御部18は一連のステップS10~S12を実行する。
【0093】
具体的には、制御部18は、パレット8Aを部品検出位置A4から部品受渡位置A3まで移動させる(S10)。具体的には、図8Aに示すように、パレット駆動部10を駆動して、複数のパレット8を逆回転方向である回転方向X2に回転させる。ステップS10におけるパレット8の送り量は、部品検出位置A4から部品受渡位置A3までのピッチ数として制御部18に予め記憶されている。部品検出位置A4に停止していたパレット8Aは、図8Bに示すように部品受渡位置A3まで移動して停止される。
【0094】
パレット8Aを部品受渡位置A3まで移動して停止させることで、パレット8Aの部品2に対して実装ユニット6の移載ヘッド20がアクセス可能となる。
【0095】
制御部18は、移載ヘッド20を用いて、パレット8Aから部品2を取り出し、廃棄ユニット102へ部品2を廃棄する(S11)。
【0096】
ステップS11における移載ヘッド20の動作例について、図9A図9Cを用いて説明する。図9A図9Cは、部品挿入エラー時における移載ヘッド20の動作順序を示す概略図である。
【0097】
図9Aに示すように、移載ヘッド20は、パレット8の保持部9に保持されている部品2に対して開閉爪を開いた状態で近付いてから開閉爪を閉じることで、部品2の本体部を掴み、部品2を受け取る。部品2を受け取った移載ヘッド20は、図9Bに示すように回転方向R3に回転する。回転した移載ヘッド20は保持した部品2を挿入ヘッド22に受け渡すことなく、開閉爪を開くことで部品2を下方に落下させる。下方に落下した部品2は廃棄ユニット102に収容される。廃棄ユニット102に収容された部品2はその後、部品実装装置1の筐体16の外部に送られて廃棄される。
【0098】
このように実装ユニット6を用いて部品2を廃棄ユニット102へ廃棄することで、パレット8Aに残っている部品2を自動で廃棄することができる。部品2を手動で取り除く場合に比べて、部品挿入エラーの復旧作業にかかる時間を短縮することができ、部品実装装置100の稼働率を向上させることができる。
【0099】
制御部18は、パレット8Aを部品受渡位置A3から部品検出位置A4まで移動させる(S12)。具体的には、図8Bに示すように、パレット駆動部10を駆動して、複数のパレット8を回転方向X2とは逆方向の回転方向X1(順回転方向)に回転させる。ステップS12におけるパレット8の送り量(順回転)は、ステップS10におけるパレット8の送り量(逆回転)と同じ設定されており、部品受渡位置A3に停止していたパレット8Aは、図8Cに示すように部品検出位置A4まで戻されて停止する。
【0100】
実施の形態1と同様に、パレット8Aを部品検出位置A4まで戻すことで、部品挿入エラー時の元の状態から生産を再開することができ、予め組んでいる生産スケジュールを継続することができる。
【0101】
ステップS12を実行すると、制御部18は、ステップS1を再度実行する。
【0102】
上記の通り、実施の形態2では、部品挿入エラー時にパレットアクセス位置A2ではなく部品受渡位置A3へパレット8Aを送り、移載ヘッド20を用いてパレット8Aの部品2を取り出して、廃棄ユニット102へ廃棄する。作業者はパレット8Aの部品2を手動で取り除く必要がなく、部品実装装置100の自動運転だけで部品2の廃棄まで行うことができる。これにより、部品挿入エラーの復旧作業にかかる時間をさらに短縮することがで、部品実装装置1の稼働率を向上させることができる。
【0103】
実施の形態2の部品実装装置100および部品実装基板の製造方法によれば、部品挿入エラー時にパレット8Aを移動して停止させる所定位置は、部品受渡位置A3である。このような構成および方法によれば、パレット8Aの部品2を実装ユニット6で取る等の対処が可能となる。
【0104】
また、実施の形態2の部品実装装置100および部品実装基板の製造方法によれば、制御部18は、部品受渡位置A3に停止したパレット8Aの部品2を取るように実装ユニット6を制御する。このような構成および方法によれば、実装ユニット6を用いてパレット8Aから部品2を自動で取ることができる。
【0105】
また、実施の形態2の部品実装装置100および部品実装基板の製造方法によれば、実装ユニット6が保持する部品2の少なくとも一部を廃棄するための廃棄ユニット102をさらに備える。制御部18は、パレット8Aから取った部品2を廃棄ユニット102へ廃棄するように実装ユニット6を制御する。このような構成および方法によれば、パレット8Aから取った部品2を自動で廃棄することができる。
【0106】
以上、上述の実施の形態1、2を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態1、2に限定されない。例えば、実施の形態1、2では、所定位置まで移動させたパレット8Aを部品検出位置A4まで戻す場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、部品検出位置A4から回転方向X2に数ピッチずれた位置にパレット8Aを戻し、その後生産スケジュールに従ってパレット8を間欠的に回転方向X1に向けて回転させながらパレット8Aを部品検出位置A4に戻すようにしてもよい。言い換えれば、所定位置まで移動させたパレット8Aを、元の位置である部品検出位置A4に「向けて」移動させればよい。
【0107】
また実施の形態2では、ステップS11において、移載ヘッド20によりパレット8Aから部品2を取り出して廃棄ユニット102へ廃棄する場合について説明したが、このような場合に限らない。パレット8Aに保持されている部品2の姿勢や形状によっては移載ヘッド20が部品2の取得に失敗することが想定される。このような場合、移載ヘッド20が部品2の取得に失敗したことを検知し、当該検知に応じて、実施の形態1と同様にパレット8Aをパレットアクセス位置A2まで移動させて、作業者がパレット8Aの部品2を手動で取るようにしてもよい。あるいは、移載ヘッド20の部品取得失敗の検知に応じて、部品実装装置100の運転を停止してもよい。
【0108】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0109】
なお、前記様々な実施の形態および変形例のうちの任意の実施の形態あるいは変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 部品実装装置
2 部品
3 基板
4 基板保持テーブル
6 実装ユニット
8 パレット
8A パレット(部品残りパレット)
9 保持部
10 パレット駆動部
12 部品供給部
14 部品検出センサ
16 筐体
18 制御部
20 移載ヘッド
22 挿入ヘッド
23 開口部
24 開閉カバー
100 部品実装装置
102 廃棄ユニット
A1 部品受取位置
A2 パレットアクセス位置
A3 部品受渡位置
A4 部品検出位置
R1、R2、R3、R4 回転方向
X1 回転方向(順回転方向)
X2 回転方向(逆回転方向)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C