IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-測距システム及び測距方法 図1
  • 特許-測距システム及び測距方法 図2
  • 特許-測距システム及び測距方法 図3
  • 特許-測距システム及び測距方法 図4
  • 特許-測距システム及び測距方法 図5
  • 特許-測距システム及び測距方法 図6
  • 特許-測距システム及び測距方法 図7
  • 特許-測距システム及び測距方法 図8
  • 特許-測距システム及び測距方法 図9
  • 特許-測距システム及び測距方法 図10
  • 特許-測距システム及び測距方法 図11
  • 特許-測距システム及び測距方法 図12
  • 特許-測距システム及び測距方法 図13
  • 特許-測距システム及び測距方法 図14
  • 特許-測距システム及び測距方法 図15
  • 特許-測距システム及び測距方法 図16
  • 特許-測距システム及び測距方法 図17
  • 特許-測距システム及び測距方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】測距システム及び測距方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20231208BHJP
   B25J 5/00 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J5/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020525536
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2019022792
(87)【国際公開番号】W WO2019240051
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018110999
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰資
(72)【発明者】
【氏名】荒井 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健二
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0298579(US,A1)
【文献】特開2010-208002(JP,A)
【文献】特開2018-55429(JP,A)
【文献】特開2014-140920(JP,A)
【文献】特開2012-236244(JP,A)
【文献】特開平11-149315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1距離センサと、
前記第1距離センサより検知範囲が狭く、かつ、解像度が高い第2距離センサと、
画像処理装置とを含み、
前記画像処理装置は、
前記第1距離センサで得られた第1センサ結果に基づき、可動式機械の位置を検出する機械検知部と、
前記機械検知部で検知された前記可動式機械の位置が、前記第2距離センサの前記検知範囲に含まれるように、前記第2距離センサの前記検知範囲を制御するセンサ制御部と、
前記第2距離センサで得られた第2センサ結果に基づき、前記可動式機械を制御する制御部とを備える
測距システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2センサ結果に基づき、前記可動式機械と人との第1距離を検知し、前記第1距離が予め定められた第1の値未満になった場合、前記可動式機械の動作を変更する
請求項1記載の測距システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1距離が前記第1の値未満になった場合、(i)前記可動式機械を停止する、(ii)前記可動式機械を減速する、又は、(iii)前記可動式機械の可動範囲を変更する
請求項2記載の測距システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1センサ結果及び前記第2センサ結果に基づき、前記第1距離を検知する
請求項2又は3記載の測距システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1センサ結果の信頼度と、前記第2センサ結果の信頼度とに基づき、前記第1センサ結果及び前記第2センサ結果の一方を選択し、選択したセンサ結果に基づき、前記第1距離を検知する
請求項4記載の測距システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1センサ結果に基づき、前記可動式機械と前記人との第2距離を検知し、前記第1距離及び前記第2距離に基づき、前記可動式機械の動作を変更する
請求項2又は3記載の測距システム。
【請求項7】
前記制御部は、複数のフレームの第2センサ結果に基づき、前記人の移動方向を予測し、前記第1距離と、予測した前記人の移動方向とに基づき、前記可動式機械の動作を変更する
請求項2又は3記載の測距システム。
【請求項8】
前記制御部は、複数のフレームの第2センサ結果に基づき、前記可動式機械の移動方向を予測し、前記第1距離と、予測した前記可動式機械の移動方向とに基づき、前記可動式機械の動作を変更する
請求項2又は3記載の測距システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記可動式機械の制御情報に基づき、前記第1距離を補正し、補正後の前記第1距離に基づき、前記可動式機械の動作を変更する
請求項2又は3記載の測距システム。
【請求項10】
前記画像処理装置は、さらに、
前記第1センサ結果に基づき、動体の位置を検出する動体検知部を備え、
前記センサ制御部は、検知された前記可動式機械の位置と、検知された前記動体の位置とに基づき、前記第2距離センサの検知位置を制御する
請求項1記載の測距システム。
【請求項11】
前記機械検知部は、前記第1センサ結果に基づき、移動可能である前記可動式機械の位置を検出する
請求項1~10のいずれか1項に記載の測距システム。
【請求項12】
前記測距システムは、さらに、
前記可動式機械からの距離が前記第1の値未満の範囲に光を照射するライトを含む
請求項2記載の測距システム。
【請求項13】
前記ライトは、
前記第1距離センサの検知範囲内に、動体が進入した場合に、前記範囲に光を照射する
請求項12記載の測距システム。
【請求項14】
第1距離センサで得られた第1センサ結果に基づき、可動式機械の位置を検出する機械検知ステップと、
前記機械検知ステップで検知された前記可動式機械の位置、前記第1距離センサより検知範囲が狭く、かつ、解像度が高い第2距離センサの検知範囲に含まれるように、前記第2距離センサの前記検知範囲を制御するセンサ制御ステップと、
前記第2距離センサで得られた第2センサ結果に基づき、前記可動式機械を制御する制御ステップとを含む
測距方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測距システム及び測距方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットアーム等の可動式機械に対する人間の安全性を確保するために、可動式機械に人間が近づいた場合、可動式機械を停止させる等の制御を行うシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5283622号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムでは、初期設定時、又は、可動式機械が移動した際に、センサ等の調整処理が必要となる。
【0005】
そこで、本開示は、調整処理を簡略化できる測距システム又は測距方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る測距システムは、第1距離センサと、前記第1距離センサより検知範囲が狭く、かつ、解像度が高い第2距離センサと、画像処理装置とを含み、前記画像処理装置は、前記第1距離センサで得られた第1センサ結果に基づき、可動式機械の位置を検出する機械検知部と、前記機械検知部で検知された前記可動式機械の位置が、前記第2距離センサの前記検知範囲に含まれるように、前記第2距離センサの前記検知範囲を制御するセンサ制御部と、前記第2距離センサで得られた第2センサ結果に基づき、前記可動式機械を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、調整処理を簡略化できる測距システム又は測距方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1に係る測距システムの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る測距システムのブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る測距システムにおける調整処理のフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1に係る測距システムにおける安全判定処理のフローチャートである。
図5図5は、実施の形態2に係る測距システムのブロック図である。
図6図6は、実施の形態2に係る測距システムにおける安全判定処理のフローチャートである。
図7図7は、実施の形態3に係る測距システムのブロック図である。
図8図8は、実施の形態3に係る測距システムにおける安全判定処理のフローチャートである。
図9図9は、実施の形態4に係る測距システムのブロック図である。
図10図10は、実施の形態4に係る測距システムにおける安全判定処理のフローチャートである。
図11図11は、実施の形態5に係る測距システムの構成を模式的に示す図である。
図12図12は、実施の形態5に係る測距システムにおける各エリアを示す図である。
図13図13は、実施の形態5に係る測距システムのブロック図である。
図14図14は、実施の形態5に係る測距システムにおける調整処理のフローチャートである。
図15図15は、実施の形態6に係る測距システムのブロック図である。
図16図16は、実施の形態6に係る測距システムの概略構成を示す図である。
図17図17は、実施の形態6に係る測距システムによる設置モード時の動作を示すフローチャートである。
図18図18は、実施の形態6に係る測距システムによる通常モード時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様に係る測距システムは、第1距離センサと、前記第1距離センサより検知範囲が狭く、かつ、解像度が高い第2距離センサと、画像処理装置とを含み、前記画像処理装置は、前記第1距離センサで得られた第1センサ結果に基づき、可動式機械の位置を検出する機械検知部と、検知された前記可動式機械の位置を検知するように前記第2距離センサの検知位置を制御するセンサ制御部と、前記第2距離センサで得られた第2センサ結果に基づき、前記可動式機械を制御する制御部とを備える。
【0010】
これによれば、当該測距システムは、第1距離センサのセンサ結果を用いて、第2距離センサの検知位置を自動的に調整できる。よって、例えば、初期設定時、又は、可動式機械が移動した際に行う調整処理を簡略化できる。
【0011】
例えば、前記制御部は、前記第2センサ結果に基づき、前記可動式機械と人との第1距離を検知し、前記第1距離が予め定められた第1の値未満になった場合、前記可動式機械の動作を変更してもよい。
【0012】
これによれば、当該測距システムは、人が可動式機械に近づいた際に、可動式機械を制御することで人の安全性を向上できる。
【0013】
例えば、前記制御部は、前記第1距離が前記第1の値未満になった場合、(i)前記可動式機械を停止する、(ii)前記可動式機械を減速する、又は、(iii)前記可動式機械の可動範囲を変更してもよい。
【0014】
これによれば、当該測距システムは、人が可動式機械に近づいた際の人の安全性を向上できる。
【0015】
例えば、前記制御部は、前記第1センサ結果及び前記第2センサ結果に基づき、前記第1距離を検知してもよい。
【0016】
これによれば、可動式機械及び人の検知精度を向上できる。
【0017】
例えば、前記制御部は、前記第1センサ結果の信頼度と、前記第2センサ結果の信頼度とに基づき、前記第1センサ結果及び前記第2センサ結果の一方を選択し、選択したセンサ結果に基づき、前記第1距離を検知してもよい。
【0018】
例えば、前記制御部は、前記第1センサ結果に基づき、前記可動式機械と前記人との第2距離を検知し、前記第1距離及び前記第2距離に基づき、前記可動式機械の動作を変更してもよい。
【0019】
これによれば、判定の精度を向上できる。
【0020】
例えば、前記制御部は、複数のフレームの第2センサ結果に基づき、前記人の移動方向を予測し、前記第1距離と、予測した前記人の移動方向とに基づき、前記可動式機械の動作を変更してもよい。
【0021】
これによれば、判定の精度を向上できる。
【0022】
例えば、前記制御部は、複数のフレームの第2センサ結果に基づき、前記可動式機械の移動方向を予測し、前記第1距離と、予測した前記可動式機械の移動方向とに基づき、前記可動式機械の動作を変更してもよい。
【0023】
これによれば、判定の精度を向上できる。
【0024】
例えば、前記制御部は、前記可動式機械の制御情報に基づき、前記第1距離を補正し、補正後の前記第1距離に基づき、前記可動式機械の動作を変更してもよい。
【0025】
これによれば、判定の精度を向上できる。
【0026】
例えば、前記画像処理装置は、さらに、前記第1センサ結果に基づき、動体の位置を検出する動体検知部を備え、前記センサ制御部は、検知された前記可動式機械の位置と、検知された前記動体の位置とに基づき、前記第2距離センサの検知位置を制御してもよい。
【0027】
これによれば、人の位置に応じて第2距離センサの検知位置を制御できるので人を早期に検知できる。
【0028】
例えば、前記機械検知部は、前記第1センサ結果に基づき、移動可能である前記可動式機械の位置を検出してもよい。
【0029】
例えば、前記測距システムは、さらに、前記可動式機械からの距離が前記第1の値未満の範囲に光を照射するライトを含んでもよい。
【0030】
これによれば、人が可動式機械に近づいた際に検知される領域を可視化できる。これにより、例えば、第1距離センサ又は第2距離センサの調整を容易化できる。
【0031】
例えば、前記ライトは、前記第1センサの検知範囲内に、動体が進入した場合に、前記範囲に光を照射してもよい。
【0032】
これによれば、例えば、人が可動式機械に近づくことを抑制できるので、可動式機械の稼働率が低下することを抑制できる。
【0033】
本開示の一態様に係る測距方法は、第1距離センサで得られた第1センサ結果に基づき、可動式機械の位置を検出する機械検知ステップと、検知された前記可動式機械の位置を検知するように、前記第1距離センサより検知範囲が狭く、かつ、解像度が高い第2距離センサの検知位置を制御するセンサ制御ステップと、前記第2距離センサで得られた第2センサ結果に基づき、前記可動式機械を制御する制御ステップとを含む。
【0034】
これによれば、当該測距方法は、第1距離センサのセンサ結果を用いて、第2距離センサの検知位置を自動的に調整できる。よって、例えば、初期設定時、又は、可動式機械が移動した際に行う調整処理を簡略化できる。
【0035】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0036】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る測距システムは、検知範囲の広い第1距離センサのセンサ結果を用いて、高精度ではあるが検知範囲が狭い第2距離センサの検知位置を自動的に調整する。これにより、可動式機械が移動した際に行う調整処理を簡略化できる。
【0038】
まず、本実施の形態に係る測距システム100の概略構成を説明する。図1は、測距システム100の概略構成を示す図である。測距システム100は、可動式機械101、第1距離センサ102及び第2距離センサ103を含む。
【0039】
可動式機械101は、ロボットアーム等のロボットである。また、可動式機械101は、移動可能である。例えば、可動式機械101は、台車部を有し、人104が可動式機械101を押すことで当該可動式機械101が移動する。なお、可動式機械101は、移動機構を有し、直接又は遠隔操作等に応じて自立移動してもよい。
【0040】
第1距離センサ102及び第2距離センサ103は、検知範囲内の対象物の距離を検知するセンサであり、例えば、固定設置されている。また、第2距離センサ103は、第1距離センサ102に比べ、検知範囲が狭いが、精度が高い。ここで、精度とは、例えば、解像度であり、具体的には、空間解像度、及び時間解像度(フレームレート)の少なくとも一方を意味する。また、空間解像度とは、距離方向の解像度(分解能)、及び平面方向の解像度の少なくとも一方を意味する。
【0041】
第1距離センサ102は、例えば、三次元LiDAR(Light Detection and Ranging)センサである。第2距離センサ103は、例えば、TOF(Time Of Flight)センサである。また、第2距離センサ103は、雲台107と、雲台107の上に設置されたセンサ部108と備え、雲台107によりパン、チルト及びズーム動作が可能である。これにより、第2距離センサ103は検知範囲を変更可能である。
【0042】
なお、第1距離センサ102及び第2距離センサ103のセンサ種別はこの組み合わせに限定されず、第1距離センサ102は第2距離センサ103に比べ検知範囲が広く、かつ、第2距離センサ103は、第1距離センサ102に比べ、精度が高いセンサであればよい。
【0043】
また、測距システム100は、人104が可動式機械101に接近したことを検知する。例えば、測距システム100は、高精度な第2距離センサ103のセンサ結果を用いて、人104が、可動式機械101を含む制限エリア105内に侵入したかを検知する。人104が制限エリア105に検知した場合、測距システム100は、可動式機械101の動作を制限する、又は停止する。これにより、人104の安全性を向上できる。
【0044】
一方で、第2距離センサ103は検知範囲が狭いため、可動式機械101が移動した場合、可動式機械101が第2距離センサ103の検知範囲からはずれてしまう場合がある。このような場合には、第2距離センサ103の検知範囲を調整する必要がある。
【0045】
本実施の形態では、広範囲を検知可能な第1距離センサ102のセンサ結果を用いて、第2距離センサ103の検知範囲を調整する。これにより、上記調整を自動的に行うことか可能となる。
【0046】
以下、この測距システム100の詳細について説明する。図2は、測距システム100のブロック図である。図2に示すように、測距システム100は、さらに、機械制御部106と、画像処理装置110とを備える。
【0047】
画像処理装置110は、距離画像生成部111と、機械検知部112と、センサ制御部113と、距離画像生成部114と、安全検知部115とを備える。
【0048】
距離画像生成部111は、第1距離センサ102で得られた第1センサ結果131から第1距離画像132を生成する。機械検知部112は、第1距離画像132に基づき、可動式機械101の位置(三次元位置)を検知する。
【0049】
センサ制御部113は、機械検知部112で検知された可動式機械101の位置に基づき、第2距離センサ103の検知位置(検知範囲)を制御する。具体的には、センサ制御部113は、検知された可動式機械101の位置を検知するように第2距離センサ103の検知位置を制御する。例えば、センサ制御部113は、可動式機械101の位置が、第2距離センサ103の検知範囲に含まれるように第2距離センサ103を制御する。
【0050】
距離画像生成部114は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133から第2距離画像134を生成する。
【0051】
安全検知部115は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133に基づき、機械制御部106を介して可動式機械101を制御する。具体的には、安全検知部115は、第2センサ結果133に基づき、可動式機械101と人104との第1距離を検知し、第1距離が予め定められた第1の値未満になった場合、可動式機械101の動作を変更する。例えば、安全検知部115は、第1距離が第1の値未満になった場合、(i)可動式機械101を停止する、(ii)可動式機械101を減速する、又は、(iii)可動式機械101の可動範囲を変更する(狭くする)。ここで第1の値とは、可動式機械101と人104とが衝突又は接触するのを予防するために必要な距離である。
【0052】
この安全検知部115は、機械検知部121と、人検知部122と、安全判定部123とを備える。機械検知部121は、第2距離画像134を用いて可動式機械101の位置(三次元位置)を検知する。人検知部122は、第2距離画像134を用いて人104の位置(三次元位置)を検知する。
【0053】
安全判定部123は、検知された可動式機械101の位置及び人104の位置に基づき安全性を判定する。具体的には、安全判定部123は、可動式機械101の位置及び人104の位置に基づき、可動式機械101と人104との第1距離を検知する。安全判定部123は、検知された第1距離が予め定められた第1の値未満である場合、安全でないと判定する。また、安全判定部123は、安全でないと判定した場合、機械制御部106を介して、可動式機械101の動作を制御する。
【0054】
以下、測距システム100の動作を説明する。測距システム100の動作は、第1距離センサ102の第1センサ結果131に基づき第2距離センサ103の検知位置を変更する調整処理と、調整後の第2距離センサ103の第2センサ結果133に基づき安全性を判定する安全判定処理とを含む。
【0055】
まず、調整処理について説明する。図3は、本実施の形態に係る調整処理のフローチャートである。なお、図3に示す処理は、所定の間隔で定期的に行われてもよいし、任意のトリガに基づき行われてもよい。任意のトリガとは、操作者による操作、又は、可動式機械101の移動の検知等である。
【0056】
まず、画像処理装置110は、第1距離センサ102で得られた第1センサ結果131を取得する(S101)。次に、距離画像生成部111は、第1センサ結果131を用いて第1距離画像132を生成する(S102)。次に、機械検知部112は、第1距離画像132に基づき、可動式機械101の位置を検知する(S103)。例えば、可動式機械101の特定部分にマーキングがされており、機械検知部112は、当該マーキングを検知し、検知した三次元位置を可動式機械101の位置とする。
【0057】
次に、センサ制御部113は、機械検知部112で検知された可動式機械101の位置に基づき、第2距離センサ103の検知位置(検知範囲)を制御する(S104)。具体的には、センサ制御部113は、検知された可動式機械101の位置を検知するように第2距離センサ103の雲台107を制御する。
【0058】
以上により、測距システム100は、可動式機械101が移動した場合に、移動先の位置を検知するように第2距離センサ103の向きを変更できる。これにより、調整処理を簡略化できる。具体的には、ユーザは、第2距離センサ103の付け直し、又は向きの変更を行うことなく、安全性検知を継続して行うことができる。
【0059】
次に、調整後の第2距離センサ103の第2センサ結果133に基づき安全性を判定する安全判定処理について説明する。図4は、本実施の形態に係る安全判定処理のフローチャートである。
【0060】
まず、画像処理装置110は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133を取得する(S111)。次に、距離画像生成部114は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133から第2距離画像134を生成する(S112)。
【0061】
次に、人検知部122は、第2距離画像134を用いて人104の位置を検知する(S113)。なお、距離画像から人の位置を検知する方法としては、任意の公知技術を用いることができる。
【0062】
次に、機械検知部121は、第2距離画像134を用いて可動式機械101の位置を検知する(S114)。例えば、機械検知部121は、機械検知部112と同様の方法を用いる。つまり、可動式機械101の特定部分にマーキングがされており、機械検知部121は、当該マーキングを検知し、検知した三次元位置を可動式機械101の位置とする。
【0063】
なお、ステップS113とステップS114との処理順は任意でよく、一部又は全てが並列に行われてもよい。
【0064】
次に、安全判定部123は、検知された可動式機械101の位置及び人104の位置に基づき安全性を判定する(S115)。具体的には、安全判定部123は、可動式機械101の位置及び人104の位置に基づき、可動式機械101と人104との第1距離を検知する。安全判定部123は、検知された第1距離が予め定められた第1の値未満である場合、安全でないと判定する。安全判定部123は、可動式機械101と人104との第1距離が予め定められた第1の値以上である場合、安全であると判定する。
【0065】
安全判定部123は、安全でないと判定した場合(S115でNo)、機械制御部106を介して、可動式機械101の動作を制御する(S116)。具体的には、安全検知部115は、(i)可動式機械101を停止する、(ii)可動式機械101を減速する、又は、(iii)可動式機械101の可動範囲を変更する(狭くする)。一方、安全判定部123は、安全であると判定した場合(S115でYes)、可動式機械101の動作を制御せず、処理を終了する。
【0066】
なお、ここでは、安全であるか否かの2段階の判定を行っているが、3段階以上の判定が行われてもよい。つまり、安全判定部123は、可動式機械101と人104との距離が近いほど安全性が低いと判定してもよい。この場合、安全判定部123は、例えば、人104が可動式機械101に近づいた場合には、可動式機械101を減速し、さらに近づいた場合に可動式機械101を停止する。または、安全判定部123は、人104が可動式機械101に近づくほど、可動式機械101を減速してもよいし、可動範囲を狭くしてもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0067】
以上により、人104が可動式機械101に近づいたことを検知することで、安全性を向上できる。また、高精度の第2距離センサ103の第2センサ結果133を用いることで、この検知を高精度に行うことができる。
【0068】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1の変形例について説明する。なお、以下の実施の形態では、先の実施の形態との相違点を主に説明し、重複する説明は省略する場合がある。
【0069】
図5は、本実施の形態に係る測距システム100Aの構成を示すブロック図である。この測距システム100Aは、画像処理装置110Aが備える安全検知部115Aの機能が、図2に示す安全検知部115と異なる。具体的には、安全検知部115Aは、さらに、距離画像補正部124を備える。
【0070】
安全検知部115Aは、第1センサ結果131及び第2センサ結果133に基づき、可動式機械101と人104との第1距離を検知する。例えば、安全検知部115Aは、第1センサ結果131の信頼度と、第2センサ結果133の信頼度とに基づき、第1センサ結果131及び第2センサ結果133の一方を選択し、選択したセンサ結果に基づき、第1距離を検知する。
【0071】
具体的には、距離画像補正部124は、第1距離画像132及び第2距離画像134から第3距離画像135を生成する。
【0072】
図6は、本実施の形態に係る安全判定処理のフローチャートである。まず、画像処理装置110Aは、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133を取得する(S111)。次に、距離画像生成部114は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133から第2距離画像134を生成する(S112)。また、画像処理装置110Aは、第1距離センサ102で得られた第1センサ結果131を取得する(S121)。次に、距離画像生成部111は、第1距離センサで得られた第1センサ結果131から第1距離画像132を生成する(S122)。
【0073】
なお、ステップS111及びS112の組と、ステップS121及びS122の組との処理順は任意でよく、一部又は全てが並列に行われてもよい。
【0074】
次に、距離画像補正部124は、第1距離画像132及び第2距離画像134から第3距離画像135を生成する(S123)。具体的には、距離画像補正部124は、第1距離画像132及び第2距離画像134の画素毎に信頼度の高い画像の画素を選択することで第3距離画像135を生成する。ここで、信頼度とは、例えば、静止物体のフレーム間の画素値(距離)のばらつきであり、ばらつきが小さいほど信頼度が高い。または、信頼度は、隣接画素間の画素値の差であり、差が小さいほど信頼度が高い。または、信頼度はこれらの組み合わせに基づく値であってもよい。また、第1距離画像132よりも第2距離画像134のほうが高精度であるため、第2距離画像134がより選択されやすいように各画素の信頼度が設定されてもよい。また、距離画像補正部124は、第1距離画像132及び第2距離画像134の一方の画素値を選択するのではなく、両方の画素値を用いて第3距離画像135の画素値を生成してもよい。例えば、距離画像補正部124は、信頼度に基づく重み付け加算平均により第3距離画像135の画素値を算出してもよい。
【0075】
次に、人検知部122は、第3距離画像135を用いて人104の位置を検知する(S113A)。次に、機械検知部121は、第3距離画像135を用いて可動式機械101の位置を検知する(S114A)。なお、これらの処理は、使用する距離画像が第2距離画像134から第3距離画像135に変更されている点を除き、図4に示すステップS113及びS114と同様である。なお、ステップS113AとステップS114Aとの処理順は任意でよく、一部又は全てが並列に行われてもよい。
【0076】
次に、安全判定部123は、検知された可動式機械101の位置及び人104の位置に基づき安全性を判定する(S115)。なお、以降の処理は、図4と同様である。
【0077】
以上のより、本実施の形態では、第2距離センサ103の第2センサ結果133に加え、第1距離センサ102の第1センサ結果131を用いることで、安全性の判定の精度を向上できる。
【0078】
(実施の形態3)
図7は、本実施の形態に係る測距システム100Bの構成を示すブロック図である。測距システム100Bでは、画像処理装置110Bは、さらに、動体検知部116を備える。また、安全検知部115Bが備える安全判定部123Bの機能が、図2に示す安全判定部123と異なる。
【0079】
安全検知部115Bは、さらに、第1センサ結果131に基づき、可動式機械101と人104との第2距離を検知する。安全検知部115Bは、第2センサ結果133に基づく第1距離と、第1センサ結果131に基づく第2距離とに基づき、可動式機械101の動作を変更する。
【0080】
具体的には、動体検知部116は、第1距離画像132に基づき、動体(人)の位置(三次元位置)を検知する。
【0081】
安全判定部123Bは、機械検知部121及び人検知部122で検知された可動式機械101及び人104の位置に加え、機械検知部112及び動体検知部116で検知された可動式機械101及び人104の位置を用いて安全性を判定する。
【0082】
図8は、本実施の形態に係る安全判定処理のフローチャートである。図8に示すステップS111~S115の処理は、図4に示すステップS111~S115の処理と同様である。つまり、画像処理装置110Bは、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133を取得する(S111)。次に、距離画像生成部114は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133から第2距離画像134を生成する(S112)。次に、人検知部122は、第2距離画像134を用いて人104の位置を検知する(S113)。また、機械検知部121は、第2距離画像134を用いて可動式機械101の位置を検知する(S114)。次に、安全判定部123Bは、検知された可動式機械101の位置及び人104の位置に基づき安全性を判定する(S115)。例えば、安全判定部123Bは、可動式機械101と人104との第1距離が予め定められた第1の値未満である場合、安全でないと判定する。安全判定部123Bは、可動式機械101と人104との第1距離が予め定められた第1の値以上である場合、安全であると判定する。
【0083】
また、画像処理装置110Bは、第1距離センサ102で得られた第1センサ結果131を取得する(S131)。次に、距離画像生成部111は、第1距離センサで得られた第1センサ結果131から第1距離画像132を生成する(S132)。
【0084】
次に、動体検知部116は、第1距離画像132を用いて動体(人)の位置を検知する(S133)。また、機械検知部112は、第1距離画像132を用いて可動式機械101の位置を検知する(S134)。次に、安全判定部123Bは、検知された可動式機械101の位置及び動体(人104)の位置に基づき安全性を判定する(S135)。なお、この判定の具体例は、例えば、ステップS115と同様である。例えば、安全判定部123Bは、可動式機械101と動体(人104)との第2距離が予め定められた第2の値未満である場合、安全でないと判定する。安全判定部123Bは、可動式機械101と動体(人104)との第2距離が予め定められた第2の値以上である場合、安全であると判定する。なお、第2の値は、ステップS115で用いられた第1の値と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0085】
次に、安全判定部123Bは、ステップS115とステップS135との両方で安全であると判定されたかを判定する(S136)。安全判定部123Bは、ステップS115とステップS135との少なくとも一方で安全でないと判定した場合(S136でNo)、機械制御部106を介して、可動式機械101の動作を制御する(S116)。なお、この処理の詳細は、例えば実施の形態1と同様である。一方、安全判定部123Bは、ステップS115とステップS135との両方で安全であると判定した場合(S136でYes)、可動式機械101の動作を制御せず、処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、第2センサ結果133に加え、第1センサ結果131を用いて安全性の判定を行う。これにより、当該判定の精度を向上できる。また、2つのセンサ結果に基づく2つの判定の少なくとも一方において安全でないと判定された場合に、可動式機械101の動作を制限することで安全性を向上できる。
【0087】
なお、上記説明では、第2センサ結果133に基づく判定と、第1センサ結果131に基づく判定との両方で安全と判定された場合に、安全と判定する例を述べたが、安全判定部123Bは、第2センサ結果133に基づく、可動式機械101と人104との第1距離と、第1センサ結果131に基づく、可動式機械101と動体(人104)との第2距離とのうち、短いほうを選択し、選択した距離が予め定められた値以上である場合に安全であると判定し、そうでない場合に安全でないと判定してもよい。また、安全判定部123Bは、第1距離と第2距離との一方を選択するのではなく、第1距離と第2距離とを演算(例えば重み付け加算平均等)することで判定に用いる第3距離を算出してもよい。
【0088】
また、安全性として3段階以上の判定が行われる場合には、安全判定部123Bは、より安全性が低い判定結果に基づき、可動式機械101の動作を制御してもよい。
【0089】
(実施の形態4)
図9は、本実施の形態に係る測距システム100Cの構成を示すブロック図である。測距システム100Cでは、画像処理装置110Cは、さらに、機械状態判定部117を備える。また、安全検知部115Cは、さらに、フレームメモリ125と、機械移動予測部126と、人移動予測部127とを備える。また、安全判定部123Cの機能が、図2に示す安全判定部123と異なる。
【0090】
安全検知部115Cは、さらに、複数のフレームの第2センサ結果133に基づき、人の移動方向を予測する。安全検知部115Cは、可動式機械101と人104との第1距離と、予測した人の移動方向とに基づき、可動式機械101の動作を変更する。
【0091】
また、安全検知部115Cは、複数のフレームの第2センサ結果133に基づき、可動式機械101の移動方向を予測する。安全検知部115Cは、可動式機械101と人104との第1距離と、予測した可動式機械101の移動方向とに基づき、可動式機械101の動作を変更する。
【0092】
また、安全検知部115Cは、可動式機械101の制御情報に基づき、可動式機械101と人104との第1距離を補正し、補正後の第1距離に基づき可動式機械101の動作を変更する。
【0093】
具体的には、機械状態判定部117は、可動式機械101の現在の制御状態を示す制御情報を取得する。機械検知部121は、検知した可動式機械101の位置を、機械状態判定部117で取得した制御情報に基づき補正する。より具体的には、機械状態判定部117は、可動式機械101の制御状態の各々に対応する可動式機械101の位置を示す設定情報を保持している。例えば、この設定情報は、各制御状態における可動式機械101の各部分の位置を示す。また、上述したように、第2距離画像134に基づき検知した可動式機械101の位置は、例えば、マーキングされた可動式機械101の特定部分の位置である。よって、機械検知部121は、制御情報を用いることで、特定部分の位置を基準として各部分の位置を算出できる。例えば、機械検知部121は、最も外側となる可動式機械101の位置を補正後の位置として算出する。
【0094】
フレームメモリ125は、複数フレーム分の第2距離画像134を保持する。機械移動予測部126は、複数フレームの第2距離画像134に基づき、可動式機械101の移動方向を予測する。なお、機械移動予測部126は、さらに、機械状態判定部117で得られた制御状態に基づき可動式機械101の移動方向を予測又は補正してもよい。人移動予測部127は、複数フレームの第2距離画像134に基づき、人104の移動方向を予測する。
【0095】
安全判定部123Cは、機械検知部121で得られた可動式機械101の位置、人検知部122で得られた人104の位置、機械移動予測部126で得られた可動式機械101の移動方向、及び、人移動予測部127で得られた人104の移動方向に基づき安全性を判定する。
【0096】
図10は、本実施の形態に係る安全判定処理のフローチャートである。まず、画像処理装置110Cは、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133を取得する(S111)。次に、距離画像生成部114は、第2距離センサ103で得られた第2センサ結果133から第2距離画像134を生成する(S112)。次に、フレームメモリ125は、生成された第2距離画像134を保存する(S141)。
【0097】
次に、機械状態判定部117は、可動式機械101の制御情報を取得し、取得した制御情報に基づき可動式機械101の制御状態を判定する(S142)。
【0098】
次に、人検知部122は、第2距離画像134を用いて人104の位置を検知する(S113)。また、機械検知部121は、第2距離画像134を用いて可動式機械101の位置を検知する(S114C)。このとき、機械検知部121は、ステップS142で判定された制御状態に基づき、検知した可動式機械101の位置を補正する。
【0099】
次に、人移動予測部127は、フレームメモリ125に保存されている複数フレームの第2距離画像134に基づき、人104の移動方向を予測する(S143)。具体的には、人移動予測部127は、複数フレーム間の第2距離画像134の差分に基づき、人104の移動方向及び移動速度を予測する。
【0100】
次に、機械移動予測部126は、複数フレームの第2距離画像134に基づき、可動式機械101の移動方向を予測する(S144)。具体的には、機械移動予測部126は、複数フレーム間の第2距離画像134の差分に基づき、可動式機械101の移動方向及び移動速度を予測する。
【0101】
なお、ステップS142~S144の処理順序は一例であり、一部の処理の順序を入れ替えてもよいし、一部の処理が並列に行われてもよい。
【0102】
次に、安全判定部123Cは、機械検知部121で得られた可動式機械101の位置、人検知部122で得られた人104の位置、機械移動予測部126で得られた可動式機械101の移動方向及び移動速度、並びに、人移動予測部127で得られた人104の移動方向及び移動速度に基づき安全性を判定する(S115C)。
【0103】
具体的には、安全判定部123Cは、可動式機械101と人104との第1距離が予め定められた第1の値未満である場合、安全でないと判定する。安全判定部123Bは、可動式機械101と人104との第1距離が予め定められた第1の値以上である場合、安全であると判定する。
【0104】
また、安全判定部123Cは、可動式機械101及び人の移動方向及び移動速度を加味した判定を行う。具体的には、可動式機械101の移動方向が人104に向かう方向である場合、安全でないと判定されやすくなり、可動式機械101の移動方向が人104から離れる方向である場合、安全であると判定されやすくなる。例えば、安全判定部123Cは、可動式機械101の移動方向が人104に向かう方向である場合、第1の値を小さくし、可動式機械101の移動方向が人104から離れる方向である場合、第1の値を大きくする。また、可動式機械101の移動速度が大きいほどこの第1の値の変化量を大きくする。
【0105】
また、人104の移動方向が可動式機械101に向かう方向である場合、安全でないと判定されやすくなり、人104の移動方向が可動式機械101から離れる方向である場合、安全であると判定されやすくなる。例えば、安全判定部123Cは、人104の移動方向が可動式機械101に向かう方向である場合、第1の値を小さくし、人104の移動方向が可動式機械101から離れる方向である場合、第1の値を大きくする。また、人104の移動速度が大きいほどこの第1の値の変化量を大きくする。
【0106】
ステップS115Cで安全でないと判定された場合(S115CでNo)、安全判定部123Cは、機械制御部106を介して、可動式機械101の動作を制御する(S116)。なお、この処理の詳細は、例えば実施の形態1と同様である。
【0107】
以上のように、本実施の形態では、人104及び可動式機械101の移動方向及び移動速度を加味して安全性を判定することで、安全性判定の精度を向上できる。これにより、安全性を向上できる。また、不要に可動式機械101の動作が制限されることを予測できるので作業効率を向上できる。
【0108】
なお、上記説明では移動方向及び移動速度の両方が用いられる例を述べたが、移動方向のみが用いられてもよい。
【0109】
(実施の形態5)
上記実施の形態では、可動式機械101が移動可能であり、可動式機械101が移動した際に調整処理が行われる場合を説明した。本実施の形態では、固定された可動式機械101Dにおいて初期設定を行う場合について説明する。
【0110】
図11は、本実施の形態に係る測距システム100Dの概略構成を示す図である。測距システム100Dは、固定設置されている可動式機械101D、第1距離センサ102及び第2距離センサ103を含む。
【0111】
図12は、測距システム100Dの動作を説明するための図であり、安全性判定に用いられる各エリアを示す図である。図12に示す監視エリアは、第1距離センサ102の検知範囲であり、第1距離センサ102により監視エリア内の人104の位置が検知される。図12に示す制限エリア内に人104が侵入した場合、可動式機械101Dの動作が制限される。例えば、可動式機械101Dの減速、又は、可動範囲の制限が行われる。また、図12に示す停止エリア内に人104が侵入した場合、可動式機械101Dが停止する。制限エリア及び停止エリアは、第2距離センサ103の検知範囲に含まれる。
【0112】
図13は、本実施の形態に係る測距システム100Dの構成を示すブロック図である。測距システム100Dでは、画像処理装置110Dは、さらに、動体検知部116を備える。また、センサ制御部113Dの機能が、図2に示すセンサ制御部113と異なる。
【0113】
動体検知部116は、第1距離画像132に基づき、動体(人)の位置(三次元位置)を検知する。センサ制御部113Dは、検知された可動式機械101の位置と、検知された動体の位置とに基づき、第2距離センサ103の検知位置を制御する。
【0114】
測距システム100Dは、実施の形態1に係る測距システム100と同様に、調整処理(図3)及び安全性判定処理(図4)を行う。なお、本実施の形態では、可動式機械101Dは固定設定されているため、初期設定時に図3に示す調整処理が行われる。これにより、初期設定時において、第2距離センサ103の方向等を正確に設定しなくても自動的に第2距離センサ103の検知範囲が調整される。よって、初期設定時の調整処理を簡略化できる。
【0115】
また、本実施の形態では、さらに、図14に示す調整処理が行われる。以下、この調整処理について説明する。図14に示す処理は、例えば、所定の間隔で定期的に行われる。
【0116】
まず、画像処理装置110Dは、第1距離センサ102で得られた第1センサ結果131を取得する(S151)。次に、距離画像生成部111は、第1距離センサで得られた第1センサ結果131から第1距離画像132を生成する(S152)。次に、動体検知部116は、第1距離画像132を用いて動体(人)の位置を検知する(S153)。
【0117】
次に、センサ制御部113Dは、動体検知部116で検知された動体の位置に基づき、第2距離センサ103の検知位置(検知範囲)を制御する(S154)。具体的には、センサ制御部113Dは、検知された動体の位置が、第2距離センサ103の現在の検知範囲に含まれるかを判定する。センサ制御部113Dは、検知された動体の位置が、第2距離センサ103の現在の検知範囲に含まれる場合、第2距離センサ103の検知範囲を変更せず、処理を終了する。一方、センサ制御部113Dは、検知された動体の位置が、第2距離センサ103の現在の検知範囲に含まれない場合、第2距離センサ103の検知範囲を、検知された動体の方向にずらす。または、センサ制御部113Dは、第2距離センサ103の検知範囲に、検知された動体の位置と、可動式機械101Dとが含まれるように第2距離センサ103を制御する。例えば、センサ制御部113Dは、第2距離センサ103の雲台107を制御する。
【0118】
以上により、本実施の形態では、第1距離センサ102の第1センサ結果131を用いて動体(人104)の存在する方向に第2距離センサ103の検知範囲を動的にずらすことができる。これにより、人104の可動式機械101Dへの接近を早期に検知できる。
【0119】
また、本実施の形態では、既存のシステムに距離センサを後付けして安全性を向上する場合において、距離センサの厳密な位置合わせ及び調整が不要なり、簡単な設置で安全性検知機能の追加を実現できる。また、第1距離センサ102と第2距離センサ103とを組み合わせることで、広範囲の人の存在検知と、高精度なジェスチャー検知を行うことができる。これにより、制限エリア及び停止エリアを最適化できるので、可動式機械101Dによる生産性を向上できる。
【0120】
なお、ここでは固定設置されている可動式機械101Dを用いる場合を例に説明したが、移動可能な可動式機械101を用いる場合においても同様の処理を行ってもよい。
【0121】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5に係る測距システム100Dの変形例について説明する。なお、以下では実施の形態5との相違点を主に説明し、重複する説明は省略する。
【0122】
本実施の形態では、可動式機械101Dの周辺を検知するためのセンサ(第1距離センサ102及び第2距離センサ103)を設置する際に、通常は見えない制限エリア及び停止エリアを簡単な方法で可視化する。これにより、ユーザは、センサを容易に設置できる。
【0123】
また、センサの稼働中に制限エリア及び停止エリアの可視化を行うことで、人が制限エリア及び停止エリアに侵入することを未然に防止できる。
【0124】
図15は、本実施の形態に係る測距システム100Eの構成を示すブロック図である。測距システム100Eは、さらに、ライト161A及び161Bと、出音部162とを備える。画像処理装置110Eは、さらに、モード制御部163と、ライト制御部164と、出音制御部165とを備える。
【0125】
図16は、本実施の形態に係る測距システム100Eの概略構成を示す図である。図16に示すように、ライト161Aは、制限エリアに光を照射する。ライト161Bは停止エリアに光を照射する。
【0126】
出音部162は、ブザー又はスピーカ等であり、警告音又は警告メッセージを出音する。
【0127】
モード制御部163は、センサ(第1距離センサ102及び第2距離センサ103)の調整を行うための設置モードと、上述したように人の可動式機械101Dへの近接を検知する通常モードとを切り替える。例えば、モード制御部163は、ユーザの操作に基づき、設置モードと通常モードとを切り替える。
【0128】
ライト制御部164は、ライト161A及び161Bのオン及びオフの切り替え、並びに、光の照射範囲の制御を行う。出音制御部165は、出音部162による警告音等の出音を制御する。
【0129】
図17は、測距システム100Eによる設置モード時の動作を示すフローチャートである。設定モードでは、ライト161A及びライト161Bとがオンされる(S161)。この時、図16に示すように、ライト161A及びライト161Bは、制限エリア及び停止エリアに光を照射する。ここで、制限エリア及び停止エリアは、可動式機械101Dからの距離が第1の値未満の範囲である。また、第1の値とは、上述したように、安全性の判定に用いられる閾値であり、可動式機械と人との第1距離が第1の値未満になった場合に、安全でないと判定される。
【0130】
また、ライト161A及びライト161Bは、互いに異なる色の光を照射してもよい。つまり、制限エリアと停止エリアとには異なる色の光が照射されてもよい。
【0131】
この状態において、ユーザは、第1距離センサ102及び第2距離センサ103の設置角度及び方向等の調整を行う(S162)。なお、この調整は、ユーザの入力操作に基づき、画像処理装置110Eにより行われてもよい。
【0132】
調整が完了すると、ライト制御部164は、ライト161A及び161Bのオフする(S163)。また、モード制御部163は、動作モードを設置モードから通常モードに切り替える(S164)。なお、調整が完了したか否かは、例えば、ユーザ操作に基づき判定される。
【0133】
なお、ユーザが、照射エリアを参照しながら、センサを調整する例を述べたが、ライト161A及び161Bの照射範囲が調整され、調整された照射範囲に応じて制限エリア及び停止エリアが設定されてもよい。
【0134】
また、ライト161A及びライト161Bは、第1距離センサ102又は第2距離センサ103に内蔵されていてもよい。
【0135】
図18は、測距システム100Eによる通常モード時の動作を示すフローチャートである。
【0136】
まず、画像処理装置110Eは、監視エリアに動体(例えば人104)が進入したか否かを判定する(S171)。例えば、この検知は動体検知部116による検知結果が用いられる。また、監視エリアは、第1距離センサ102の検知範囲である。なお、監視エリアは、第1距離センサ102の検知範囲と必ずしも一致する必要はなく、第1距離センサ102の検知範囲の一部の領域であってもよい。
【0137】
監視エリアに動体が進入した場合(S171でYes)、ライト制御部164は、ライト161A及び161Bをオンする(S172)。また、出音制御部165は、出音部162が警告音等を出力するように制御する(S173)。
【0138】
なお、動体が制限エリア又は停止エリアに進入した場合の動作は、実施の形態5等と同様である。つまり、動体が制限エリアに進入した場合には、可動式機械101Dの動作が制限され、動体が停止エリアに進入した場合には、可動式機械101Dが停止される。
【0139】
以上により、可動式機械101Dの周辺を検知するためのセンサ(第1距離センサ102及び第2距離センサ103)を設置する際に、通常は見えない制限エリア及び停止エリアを可視化できる。これにより、ユーザは、センサを容易に設置できる。
【0140】
また、センサの稼働中に制限エリア及び停止エリアの可視化を行うことで、人が制限エリア及び停止エリアに侵入することを未然に防止できる。これにより、可動式機械101Dの稼働率低下を抑制できる。
【0141】
なお、ここでは実施の形態5の構成に対して、構成を加える例を説明したが、他の実施の形態の構成に対して同様の手法を適用してもよい。
【0142】
また、上記説明では、制限エリアと停止エリアとに異なるライトから光を照射する例を述べたが、制限エリア及び停止エリアを含む領域に対して単一のライトから光を照射してもよい。また、制限エリア及び停止エリアの一方に対してのみ光を照射してもよい。
【0143】
また、上記説明では、監視エリアに動体が進入した場合に、光の照射が行われるが、常に光の照射が行われてもよい。または、制限エリアに動体が進入した場合に、光の照射又は警告音の出力等が行われてもよい。
【0144】
以上、本開示の実施の形態に係る測距システムについて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0145】
例えば、上記実施の形態では、一つの可動式機械101を制御する場合の動作を説明したが、測距システムは複数の可動式機械101を含んでもよい。この場合、一つの可動式機械101に対して一つの第1距離センサ102と第2距離センサ103とが設けられてもよいし、複数の可動式機械101に対して共通の一つの第1距離センサ102を用いるとともに、一つの可動式機械101に対して一つの第2距離センサ103を設けてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態に係る測距システムに含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0147】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0148】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0149】
また、本開示は、測距システムに含まれる装置として実現されてもよい。また、本開示は、測距システム、又は測距システムに含まれる装置により実行される測距方法又は制御方法等の各種方法として実現されてもよい。
【0150】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0151】
また、測距システムに含まれる各装置の構成は一例であり、一つの装置で実行される複数の処理を複数の装置で分割して処理してもよいし、複数の装置で実行される複数の処理を単一の装置で実行してもよい。
【0152】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0153】
以上、一つまたは複数の態様に係る測距システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本開示は、測距システムに適用でき、例えば、産業用ロボット等を用いるシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0155】
100、100A、100B、100C、100D、100E 測距システム
101、101D 可動式機械
102 第1距離センサ
103 第2距離センサ
104 人
105 制限エリア
106 機械制御部
107 雲台
108 センサ部
110、110A、110B、110C、110D、110E 画像処理装置
111、114 距離画像生成部
112、121 機械検知部
113、113D センサ制御部
115、115A、115B、115C 安全検知部
116 動体検知部
117 機械状態判定部
122 人検知部
123、123B、123C 安全判定部
124 距離画像補正部
125 フレームメモリ
126 機械移動予測部
127 人移動予測部
131 第1センサ結果
132 第1距離画像
133 第2センサ結果
134 第2距離画像
135 第3距離画像
161A、161B ライト
162 出音部
163 モード制御部
164 ライト制御部
165 出音制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18