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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】表示システム、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 412
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021537657
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2020027708
(87)【国際公開番号】W WO2021024744
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019145168
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】平井 敦士
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-132445(JP,A)
【文献】特開2015-87895(JP,A)
【文献】特開2016-4280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、
前記駆動回路と前記タッチ検出回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、前記複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置され、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記タッチ検出回路は、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出し、
前記タッチ検出回路は、前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更し、
前記タッチ検出回路は、
前記ノイズが非検出の場合、前記複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチを検出し、
前記ノイズが検出された場合、前記複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出を実行し、かつ、前記複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出を非実行とする、
ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さと等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、
前記駆動回路と前記タッチ検出回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記タッチ検出回路は、前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更し、
前記ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い、
ことを特徴とする表示システム。
【請求項4】
前記ノイズが検出された場合のタッチ検出期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合のタッチ検出期間の長さと等しく、
前記ノイズが非検出の場合、前記タッチ検出回路は、それぞれのタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、タッチ検出期間ごとにタッチを検出し、
前記ノイズが検出された場合、前記タッチ検出回路は、所定数の複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記ノイズが検出された場合のタッチ検出期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合のタッチ検出期間の長さより長く、
前記タッチ検出回路は、それぞれのタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、タッチ検出期間ごとにタッチを検出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数の1/n(nは1より大きい実数)倍に変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間のn倍に変更する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の表示システム。
【請求項7】
前記ノイズが非検出の場合の前記タッチ駆動信号の周波数は、第1周波数であり、
前記ノイズが検出された場合の前記タッチ駆動信号の周波数は、第2周波数であり、
前記制御回路は、前記タッチ駆動信号の周波数を前記第2周波数に変更した場合、所定期間が経過すると当該タッチ駆動信号の周波数を当該第1周波数に戻し、当該第1周波数のノイズが非検出であれば、当該タッチ駆動信号の周波数を当該第1周波数に決定し、検出時間を前記ノイズが非検出の場合の検出時間に決定する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の表示システム。
【請求項8】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、
前記駆動回路と前記タッチ検出回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、前記複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置され、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記タッチ検出回路は、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出し、
前記タッチ検出回路は、前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更し、
前記タッチ検出回路は、
前記ノイズが非検出の場合、前記複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチを検出し、
前記ノイズが検出された場合、前記複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出を実行し、かつ、前記複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出を非実行とする、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項9】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、
前記駆動回路と前記タッチ検出回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記タッチ検出回路は、前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更し、
前記ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項10】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置の制御方法であって、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、前記複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置され、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給するステップと、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップであって、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、ステップと、
前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出するステップと、
前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更するステップと、
を備え
前記物体のタッチを検出するステップにおいて、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチが検出され、
前記ノイズが非検出の場合、前記物体のタッチを検出するステップにおいて、前記複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチが検出され、
前記ノイズが検出された場合、前記物体のタッチを検出するステップにおいて、前記複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出が実行され、かつ、前記複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出が非実行とされる、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置の制御方法であって、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給するステップと、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップであって、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、ステップと、
前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出するステップと、
前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更するステップと、
を備え、
前記ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ検出機能を有する表示システム、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザのタッチ位置を検出するためのタッチセンサが表示パネル内に組み込まれたインセル型の表示装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。この表示装置では、液晶表示パネルの画素に共通電圧を供給するための共通電極を複数に分割して、これらの共通電極をタッチセンサ電極としても利用する。画像表示期間において共通電圧が複数の共通電極に供給され、タッチ検出期間においてタッチ検出用のタッチ駆動信号が複数の共通電極に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/123813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インセル型の表示装置において、更なる改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の表示システムは、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、1以上のタッチ検出期間に複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、駆動回路とタッチ検出回路を制御する制御回路と、を備える。表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置される。表示装置における単位フレーム期間に表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、タッチ検出回路は、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出し、タッチ検出回路は、タッチ検出信号にもとづいてタッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、制御回路は、ノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。タッチ検出回路は、ノイズが非検出の場合、複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチを検出し、ノイズが検出された場合、複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出を実行し、かつ、複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出を非実行とする。
本開示の別の態様も、表示システムである。このシステムは、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、1以上のタッチ検出期間に複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、駆動回路とタッチ検出回路を制御する制御回路と、を備える。表示装置における単位フレーム期間に表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置される。タッチ検出回路は、タッチ検出信号にもとづいてタッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、制御回路は、ノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い。
【0006】
本開示の別の態様は、制御装置である。この装置は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、1以上のタッチ検出期間に複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、駆動回路とタッチ検出回路を制御する制御回路と、を備える。表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置される。表示装置における単位フレーム期間に表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、タッチ検出回路は、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出し、タッチ検出回路は、タッチ検出信号にもとづいてタッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、制御回路は、ノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。タッチ検出回路は、ノイズが非検出の場合、複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチを検出し、ノイズが検出された場合、複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出を実行し、かつ、複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出を非実行とする。
本開示のさらに別の態様も、制御装置である。この装置は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、1以上のタッチ検出期間に複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、駆動回路とタッチ検出回路を制御する制御回路と、を備える。表示装置における単位フレーム期間に表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置される。タッチ検出回路は、タッチ検出信号にもとづいてタッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、制御回路は、ノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、制御方法である。この方法は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置の制御方法であって、表示装置における単位フレーム期間に表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置され、複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給するステップと、1以上のタッチ検出期間に複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するステップであって、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、ステップと、タッチ検出信号にもとづいてタッチ駆動信号の周波数のノイズを検出するステップと、ノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更するステップと、を備える。物体のタッチを検出するステップにおいて、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチが検出される。ノイズが非検出の場合、物体のタッチを検出するステップにおいて、複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチが検出され、ノイズが検出された場合、物体のタッチを検出するステップにおいて、複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出が実行され、かつ、複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出が非実行とされる。
本開示のさらに別の態様も、制御方法である。この方法は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置の制御方法であって、表示装置における単位フレーム期間に表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給するステップと、1以上のタッチ検出期間に複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するステップであって、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、ステップと、タッチ検出信号にもとづいてタッチ駆動信号の周波数のノイズを検出するステップと、ノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更するステップと、を備える。ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様により、更なる改善を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
図2図1の表示装置の回路構成を概略的に示す図である。
図3図2の共通電極の配置を示す上面図である。
図4図1の表示装置の縦断面図である。
図5図1の表示装置の動作を説明する図である。
図6図6(a)は、図1の表示装置におけるノイズが非検出の場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図であり、図6(b)は、図1の表示装置におけるノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図7】第2の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号TX形を示す図である。
図8】第3の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図9】第4の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図10】第5の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図11】第6の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図12】第7の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図13】第8の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図14】第9の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図15】第9の実施の形態に係る表示システムのノイズ検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
実施の形態を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。インセル型のタッチディスプレイでは、共通電極より観察者側には電極が存在しないため、共通電極より観察者側にタッチセンサ電極が配置されたアウトセル型の表示装置よりも、周囲の無線信号などによる外来ノイズが共通電極に到達しやすい。共通電極に到達した外来ノイズの周波数がタッチ駆動信号の周波数と等しい場合、タッチが誤検出される可能性がある。そこで、タッチ駆動信号の周波数の外来ノイズが検出された場合、いわゆる周波数ホッピングの制御を行い、タッチ駆動信号の周波数を変更することで、誤検出を抑制できる。
【0011】
インセル型のタッチディスプレイでは、1つの単位フレーム期間を複数の表示期間と複数のタッチ検出期間に時分割する。そのため、タッチ検出期間の長さは制限され、タッチ駆動信号の周波数を低下させると、1つのタッチ検出期間におけるタッチ駆動信号のパルス数が減ることで、タッチ検出感度が低下する可能性があるという課題を本発明者は発見した。この課題を解決するために、本開示に係る表示システムは以下のように構成される。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る表示システム1のブロック図である。表示システム1は、自動車などの車両に搭載された車載の表示システム1である一例について説明するが、用途は特に限定されず、携帯機器などに用いてもよい。
【0013】
表示システム1は、ホスト10と、タッチディスプレイ20とを備える。ホスト10は、ラジオ、カーナビゲーション、Bluetooth(登録商標)通信などの各種機能を実行するとともに、タッチディスプレイ20を制御する。ホスト10は、制御装置12を備える。
【0014】
制御装置12は、たとえばCPUであり、ホストCPUとも呼ばれる。制御装置12は、画像データDDと制御データCDをタッチディスプレイ20に供給し、これらのデータをもとにタッチディスプレイ20を制御する。
【0015】
タッチディスプレイ20は、表示装置22と、制御装置24とを備える。表示装置22は、たとえば、カーナビゲーション画面などが表示される車室内のセンターディスプレイなどとして利用される。
【0016】
表示装置22は、インセル型のIPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であり、タッチ位置を検出可能である。表示装置22の構成は、例えば、以下に説明する周知の構成となっている。
【0017】
図2は、図1の表示装置22の回路構成を概略的に示す。図2は、各構成要素の概略的な配置も示す。表示装置22は、行方向に延びる複数のゲート線G1,G2,・・・と、列方向に延びる複数のソース線S1,S2,・・・と、複数の画素スイッチング素子30と、複数の画素電極32と、複数の共通電極34とを備える。各画素スイッチング素子30は、薄膜トランジスタであり、ゲート線とソース線の交点付近に画素に対応して設けられる。各画素スイッチング素子30において、ゲートにはゲート線が接続され、ソースにはソース線が接続され、ドレインには画素電極32が接続される。1つの共通電極34に対して、複数の画素スイッチング素子30と複数の画素電極32が配置される。画素電極32と共通電極34との間の電界により液晶層が制御される。共通電極34は、画像表示およびタッチ検出に共用される。そのため、電極の層数を削減して、表示装置22を薄く構成できる。共通電極34は、センサ電極と呼ぶこともできる。
【0018】
図3は、図2の共通電極34の配置を示す上面図である。複数の共通電極34は、マトリクス状に配置される。各共通電極34は、信号線36で制御装置24に接続される。
【0019】
表示装置22は、自己容量方式によりタッチ位置を検出する。表示装置22の表示面に指が近づくと、共通電極34と指の間に静電容量が発生する。静電容量が発生すると共通電極34における寄生容量が増加し、共通電極34にタッチ駆動信号を供給するときの電流が増加する。この電流の変動量にもとづいてタッチ位置が検出される。
【0020】
図4は、図1の表示装置22の縦断面図である。表示装置22は、厚さ方向に沿って順に重ねて配置されるバックライトユニット40、下偏光板42、薄膜トランジスタ基板(以下、TFT基板と呼ぶ)44、液晶層52、カラーフィルタ基板54、上偏光板56、接合層58、および、保護層60を備える。
【0021】
以下の説明では、表示装置22の厚さ方向のうち、TFT基板44に対して保護層60が位置する側を前面側とし、その逆を背面側とする。
【0022】
表示装置22は、バックライトユニット40から出射された光を用いて、画像光を前面側、即ち観察者側に出射する。
【0023】
TFT基板44は、ガラス基板46、ガラス基板46の前面側に配置された複数のゲート電極48、複数のソース電極50、および、複数の共通電極34を有する。図示は省略するが、TFT基板44は、図2の複数のゲート線G1,G2,・・・、複数のソース線S1,S2,・・・、複数の画素電極32および複数の画素スイッチング素子30も有する。TFT基板44の前面側に配置された液晶層52は、画素電極32と共通電極34との間に発生する横方向の電界により制御される。
【0024】
接合層58は、透光性を有し、上偏光板56と保護層60とを接合する。接合層58は、例えば、OCR(Optically Clear Resin)などの液状の透明樹脂、または、OCA(Optically Clear Adhesive)などの透明粘着シートが硬化したものである。
【0025】
保護層60は、表示装置22を保護するための透光性を有する層であり、ガラス基板またはプラスチック基板などで構成される。保護層60は、カバーレンズなどとも呼ばれる。
【0026】
図1に戻る。制御装置24は、たとえばICとして構成され、ホスト10からの制御データCDと画像データDDにしたがって表示装置22を制御する。制御装置24は、制御回路70と、第1駆動回路72と、第2駆動回路74と、タッチ検出回路76とを備える。
【0027】
制御回路70は、たとえばマイコンで構成され、第1駆動回路72と第2駆動回路74の信号生成タイミング、タッチ検出回路76のタッチ検出タイミングなどを制御する。
【0028】
制御回路70は、単位フレーム期間(1フレーム期間)に、表示画像の1フレームが表示装置22に描画され、かつ、1画面のタッチ検出が少なくとも1回実行されるよう、第1駆動回路72、第2駆動回路74およびタッチ検出回路76を制御する。単位フレーム期間は、垂直同期期間とも呼べる。単位フレーム期間の詳細は後述する。
【0029】
第1駆動回路72は、制御回路70の制御にしたがい、基準クロック信号を生成する。第1駆動回路72は、制御回路70の制御にしたがい、ホスト10からの画像データDDにもとづいて、生成された基準クロック信号に同期したソース信号SSを生成する。第1駆動回路72は、制御回路70の制御にしたがい、生成された基準クロック信号に同期したゲート信号GSを生成する。
【0030】
第1駆動回路72は、ソース信号SSを表示装置22の複数のソース線に順次供給し、ゲート信号GSを表示装置22の複数のゲート線に順次供給する。
【0031】
第1駆動回路72は、基準クロック信号を第2駆動回路74に供給する。第2駆動回路74は、制御回路70の制御にしたがい、予め定められた固定電圧である基準電圧VCOM、および、基準クロック信号に同期したタッチ駆動信号TXを生成する。なお、タッチ駆動信号TXは、矩形波でもよいし、正弦波でもよい。第2駆動回路74は、図3の信号線36を介して、基準電圧VCOMまたはタッチ駆動信号TXを表示装置22の全体の複数の共通電極34に供給する。
【0032】
タッチ検出回路76は、表示装置22への物体のタッチを検出する。タッチ検出回路76は、制御回路70の制御にしたがい、各共通電極34にタッチ駆動信号TXが供給されたときの当該共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに基づいて、当該共通電極34に対応する位置への物体のタッチを検出する。
【0033】
タッチ検出回路76は、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXを積分し、タッチ駆動信号TXのパルスのタイミングごとに積分値と基準値との差を検出値として導出する。1つのタッチ検出期間に1つの共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに関して、1つのタッチ検出期間のタッチ駆動信号TXのパルスの数と等しい数の検出値が得られる。それぞれの検出値は、共通電極34の静電容量と基準静電容量との差分値を表す。物体のタッチによる共通電極34の静電容量の変化量が大きいほど、検出値は大きくなる。タッチがなく、共通電極34の静電容量の変化量がゼロであれば、検出値はゼロである。タッチ検出回路76は、共通電極34から受信したタッチ検出信号RXごとに、1以上のタッチ検出期間の複数の検出値の総和を導出する。
【0034】
タッチ検出回路76は、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、所定のタッチ検出閾値を比較し、検出値の総和がタッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。これは、タッチが検出されたことに相当する。タッチ検出回路76は、タッチ有りと判定した共通電極34の位置にもとづいて、画面内におけるタッチ位置を検出する。タッチ検出回路76は、検出したタッチ位置の情報を制御回路70に出力する。
【0035】
制御回路70は、タッチ検出回路76からのタッチ位置の情報にもとづいてタッチ位置の座標データTDを導出し、1画面分のタッチ検出が終了した場合、導出された座標データTDを含むタッチレポートをホスト10の制御装置12に出力する。制御装置12は、座標データTDに応じて各種処理を実行する。
【0036】
表示システム1は、外来ノイズの量に応じて周波数ホッピングの制御を行う。周波数ホッピングには、周知の技術を利用できる。たとえばタッチ検出回路76は、予め定められた数の単位フレーム期間ごとに、1画面分のタッチ位置の検出結果にもとづいてタッチ駆動信号TXの周波数のノイズを検出する。タッチ駆動信号TXの周波数のノイズが複数の共通電極34に到達した場合、それらの共通電極34に関する複数の検出値が大きくなり、画面内の複数の位置でタッチ有りと判定されうる。タッチ検出回路76は、1画面分のタッチ位置の検出結果において所定数以上のタッチ位置が所定の分布で検出された場合などに、ノイズ有りと判定する。これは、タッチ駆動信号TXの周波数のノイズが検出されたことに相当する。タッチ検出回路76は、ノイズが検出された場合、ノイズ検出情報を制御回路70に供給する。
【0037】
制御回路70は、表示システム1の起動時、タッチ駆動信号TXの周波数を予め定められた第1周波数に決定する。第1周波数は、ノイズが非検出の場合のタッチ駆動信号TXの周波数に相当する。制御回路70は、第1周波数のときにノイズ検出情報が供給された場合、つまりノイズが検出された場合、タッチ駆動信号TXの周波数を第1周波数より低い予め定められた第2周波数に変更する。第2駆動回路74は、制御回路70の制御にしたがい、第2周波数のタッチ駆動信号TXを共通電極34に供給する。これにより、外来ノイズによるタッチ検出精度や感度の低下を抑制できる。
【0038】
制御回路70は、第2周波数のときにノイズが検出された場合、タッチ駆動信号TXの周波数を第1周波数に変更する。
【0039】
なお、制御回路70は、第2周波数のときにノイズが検出された場合、タッチ駆動信号TXの周波数を予め定められた第3周波数に変更してもよい。第3周波数は、第2周波数より低くてもよいし、第1周波数と第2周波数の間の周波数でもよいし、第1周波数より高くてもよい。この場合、制御回路70は、第3周波数のときにノイズが検出されると、タッチ駆動信号TXの周波数を第1周波数に変更してもよい。変更する周波数の数は、タッチ検出期間の長さ、タッチ検出回路76の性能などに応じて適宜決定できる。
【0040】
制御装置12、制御回路70の構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコンピュータ、DSP、ROM、RAM、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0041】
以下、制御回路70による表示装置22の制御、および、表示装置22の動作を具体的に説明する。制御回路70は、画面内の複数の表示領域の1つに対する部分的な画像表示と、画面内の複数のタッチ検出領域の1つに対する部分的なタッチ検出とを交互に繰り返して、画像表示とタッチ検出を時分割に制御する。
【0042】
図5は、図1の表示装置22の動作を説明する図である。表示装置22は、画面内の複数の共通電極34が複数のグループに分割された4つのタッチ検出領域R1,R2,R3,R4を含む。タッチ検出領域R1からR4は、観察者から見て水平方向に左から右に順に並ぶ。表示装置22の全体の複数の共通電極34は、タッチ検出領域R1からR4のそれぞれに複数ずつ配置される。図5に示す各タッチ検出領域に配置される共通電極34の数は一例である。表示装置22のタッチ検出領域の数は「4」に限定されない。タッチ検出領域は観察者から見て垂直方向に並んでもよい。
【0043】
タッチ検出回路76は、A/Dコンバータ761と、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4とを有する。図示は省略するが、それぞれのスイッチは、複数組の入力端子と出力端子を有する。図5では図面を簡略化するために共通電極34と信号線36の接続を省略して描いている。
【0044】
スイッチSW1の複数の入力端子は、タッチ検出領域R1に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW2の複数の入力端子は、タッチ検出領域R2に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW3の複数の入力端子は、タッチ検出領域R3に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW4の複数の入力端子は、タッチ検出領域R4に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。
【0045】
スイッチSW1からSW4の出力端子は、A/Dコンバータ761の入力ポートに接続されている。A/Dコンバータ761の入力ポートの数は画面内の共通電極34の数より少ないため、A/Dコンバータ761の入力ポートに接続される共通電極34がスイッチにより切り替えられる。A/Dコンバータ761の入力ポートの数は、A/Dコンバータ761が同時に処理可能な入力信号の数と等しく、入力チャンネル数とも呼べる。
【0046】
制御回路70は、ノイズが検出されたか否かに応じて異なる制御を行う。
【0047】
(1)第1周波数のノイズが非検出の場合
図6(a)は、図1の表示装置22におけるノイズが非検出の場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。
【0048】
図6(a)に示す例は、単位フレーム期間(1フレーム期間)Faに、1枚の画像を表示し、1画面のタッチ検出を2回実行する例である。本実施の形態では、60Hz駆動で画像を表示する表示装置22を想定しているため、単位フレーム期間Faは約16.7(=1/60)msに設定される。1画面のタッチ検出は単位フレーム期間Faに2回実行されるため、約8.3(=1/120)ms周期で実行される。よって、タッチレポートレートは120Hzである。
【0049】
単位フレーム期間Faは、2つのサブフレーム期間Fbに分割される。各サブフレーム期間Fbは、4つの表示期間Daと、4つのタッチ検出期間T1a,T2a,T3a,T4aとを含む。表示期間Daとタッチ検出期間は交互に配置される。各サブフレーム期間Fbにおいて、表示期間Da、タッチ検出期間T1a、表示期間Da、タッチ検出期間T2a、表示期間Da、タッチ検出期間T3a、表示期間Da、タッチ検出期間T4aは、この順に並ぶ。単位フレーム期間Faの表示期間Daの数とタッチ検出期間の数は、それぞれ「8」に限定されない。
【0050】
表示装置22は、表示期間Da毎に1フレームを1/8ずつ表示する。単位フレーム期間Faの8個の表示期間Daにより、1フレームが表示される。具体的には表示期間Daの間、第1駆動回路72は、複数のソース線にソース信号SSを供給し、対象のゲート線にゲート信号GSを供給し、第2駆動回路74は複数の共通電極34に基準電圧VCOMを供給する。第2駆動回路74は、表示期間Daにはタッチ駆動信号TXの供給を停止する。
【0051】
第2駆動回路74は、それぞれのタッチ検出期間の間、タッチ検出領域R1からR4の複数の共通電極34に第1周波数のタッチ駆動信号TXを供給する。1つのタッチ検出期間に含まれるパルス数は、「6」に限定されない。第2駆動回路74は、タッチ検出期間には基準電圧VCOMの供給を停止する。
【0052】
制御回路70は、スイッチSW1からSW4のうちタッチ検出期間ごとに異なる1つを導通させる。導通したスイッチに入力されるタッチ検出信号RXは、A/Dコンバータ761に出力される。A/Dコンバータ761は、スイッチを介して入力されるアナログのタッチ検出信号RXを、デジタルのタッチ検出信号に変換する。
【0053】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T1aの間、タッチ検出領域R1の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R1への物体のタッチを検出する。タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T2aの間、タッチ検出領域R2の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R2への物体のタッチを検出する。
【0054】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T3aの間、タッチ検出領域R3の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R3への物体のタッチを検出する。タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T4aの間、タッチ検出領域R4の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R4への物体のタッチを検出する。
【0055】
このようにタッチ検出回路76は、第1周波数のノイズが非検出の場合、1つのタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極34から受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該1つのタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出する。1つのタッチ検出期間の長さが検出時間である。タッチ検出回路76は、検出対象のタッチ検出領域を順次変更し、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域でタッチを検出する。単位フレーム期間Faの8個のタッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が2回実行され、1画面のタッチ検出が終了する度にタッチレポートが出力される。
【0056】
(2)第1周波数のノイズが検出された場合
図6(b)は、図1の表示装置22におけるノイズが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。単位フレーム期間Faの長さ、サブフレーム期間Fbの長さ、各表示期間Daの長さ、各タッチ検出期間の長さ、表示期間Daの数、タッチ検出期間の数、表示期間Daとタッチ検出期間の配置は、図6(a)のノイズが非検出の場合と等しい。そのため制御の過度な複雑化を抑制できる。また、ノイズが非検出の場合と同等の画質の画像を表示できる。
【0057】
タッチ駆動信号TXの周波数は、第2周波数であり、第1周波数の1/2である。そのため、1つのタッチ検出期間に含まれるパルス数は、ノイズが非検出の場合の1/2である。
【0058】
制御回路70は、第1周波数のノイズが検出された場合、タッチ駆動信号TXの周波数を変更するとともに、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。ここでは検出時間を2倍に変更する。タッチ検出回路76は、単位フレーム期間Faの2つのタッチ検出期間T1aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、2つのタッチ検出期間T1aで1回、タッチ検出領域R1におけるタッチを検出する。2つのタッチ検出期間T1aの長さが検出時間である。具体的には、タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T1aのタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和がタッチ検出閾値以上であれば、タッチ有りと判定する。2つのタッチ検出期間T1aに含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数は、ノイズが非検出の場合に1つのタッチ検出期間T1aに含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数と等しいため、得られる検出値の数もノイズが非検出の場合と等しい。その結果、タッチ検出の感度をノイズが非検出の場合と同等にでき、感度低下を抑制できる。
【0059】
同様に、タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T2aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、2つのタッチ検出期間T2aで1回、タッチ検出領域R2におけるタッチを検出する。タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T3aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、2つのタッチ検出期間T3aで1回、タッチ検出領域R3におけるタッチを検出する。タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T4aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、2つのタッチ検出期間T4aで1回、タッチ検出領域R4におけるタッチを検出する。
【0060】
このようにタッチ検出回路76は、ノイズが検出された場合、所定数の複数のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出する。タッチ検出回路76は、検出対象のタッチ検出領域を順次変更し、所定数の複数のタッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域でタッチを検出する。
【0061】
最初のサブフレーム期間Fbが終了したタイミングではタッチの有無は判定されず、単位フレーム期間Faが終了したタイミングで1画面分のタッチの有無の判定が終了し、制御回路70がタッチレポートを出力する。つまり、タッチレポートレートは、ノイズが非検出の場合の1/2になり、60Hzである。
【0062】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、ノイズが検出された場合、複数のタッチ検出領域の一部に限りタッチ検出を実行することが、第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
ノイズが検出された場合、タッチ検出回路76は、予め定められた複数のタッチ検出領域R1からR4の一部、すなわちタッチ検出領域R1,R2でタッチ検出を実行し、タッチ検出領域R1からR4の残り、すなわちタッチ検出領域R3,R4でタッチ検出を非実行とする。タッチ検出領域R1,R2は、タッチ検出領域R3,R4よりタッチ検出の優先度が高く、たとえば緊急通報用などのGUI(Graphical User Interface)が表示される領域を含むことを想定する。なお、タッチ検出が実行されるタッチ検出領域の数と、タッチ検出が非実行とされるタッチ検出領域の数は、同数でなくてもよく、それぞれ1以上であればよい。
【0064】
図7は、第2の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。図7では、単位フレーム期間Faの長さ、サブフレーム期間Fbの長さ、各表示期間Daの長さ、各タッチ検出期間の長さ、表示期間Daの数、タッチ検出期間の数、表示期間Daとタッチ検出期間の配置は、第1の実施の形態のノイズが検出された場合と同一である。タッチ検出期間T2a,T3a,T4aのそれぞれでタッチが検出されるタッチ検出領域は、第1の実施の形態と異なる。タッチ検出期間T2aではタッチ検出領域R1のタッチが検出され、タッチ検出期間T3aではタッチ検出領域R2のタッチが検出され、タッチ検出期間T4aではタッチ検出領域R2のタッチが検出される。
【0065】
各サブフレーム期間Fbにおいて、タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T1a,T2aで得られる検出値の総和にもとづいてタッチ検出領域R1のタッチを検出し、2つのタッチ検出期間T3a,T4aで得られる検出値の総和にもとづいてタッチ検出領域R2のタッチを検出する。2つのタッチ検出期間の長さが検出時間である。2つのタッチ検出期間に含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数は、ノイズが非検出の場合に1つのタッチ検出期間に含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数と等しい。よって、タッチ検出の感度を同等にでき、感度低下を抑制できる。
【0066】
サブフレーム期間Fbが終了したタイミングで1画面の一部のタッチの有無の判定が終了し、制御回路70がタッチレポートを出力する。よって、タッチレポートレートをノイズが非検出の場合と等しくできる。つまり、第1の実施の形態と比較して、ノイズが検出された場合にタッチ検出が実行されるタッチ検出領域の数が少ないので、タッチレポートレートをより高くできる。
【0067】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、第1の実施の形態のノイズが検出された場合の2つのタッチ検出期間を1つにまとめ、2つの表示期間を1つにまとめる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
図8は、第3の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。単位フレーム期間Faは、サブフレーム期間を含まず、4つの表示期間Da’と、4つのタッチ検出期間T1a’からT4a’とを含む。このように、単位フレーム期間Faにおいて、ノイズが非検出の場合と比較してタッチ検出期間の数は少なく、表示期間Da’の数も少ない。
【0069】
表示期間Da’の長さは、ノイズが非検出の場合の表示期間Daの長さの2倍である。たとえば、FHD(full high definition)の場合、単位フレーム期間Faに1画面の1080行が描画される。そのため、ノイズが非検出の場合には1つの表示期間Daに135行が描画され、ノイズが検出された場合には1つの表示期間Da’に270行が描画される。
【0070】
タッチ検出回路76は、ノイズが検出された場合、それぞれのタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出期間ごとにタッチを検出する。タッチ検出期間の長さが検出時間である。タッチ検出期間T1a’からT4a’のそれぞれの長さは、たとえば400μsであり、ノイズが非検出の場合のタッチ検出期間T1aからT4aのそれぞれの長さである200μsの2倍である。そのため、1つのタッチ検出期間に含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数は、ノイズが非検出の場合に1つのタッチ検出期間に含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数と等しい。よって、タッチ検出の感度を同等にでき、感度低下を抑制できる。
【0071】
また、第1の実施の形態と比較して、単位フレーム期間Faの分割数が減るので、ノイズが検出された場合の制御をより簡素化できる。
【0072】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、ノイズが検出された場合の周波数を1/1.5倍とすることが第3の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0073】
図9は、第4の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。単位フレーム期間Faは、5つの表示期間Da’’と、5つのタッチ検出期間T1a’’からT4a’’,T1a’’とを含む。表示期間Da’’、タッチ検出期間T1a’’、表示期間Da’’、タッチ検出期間T2a’’、表示期間Da’’、タッチ検出期間T3a’’、表示期間Da’’、タッチ検出期間T4a’’、表示期間Da’’、タッチ検出期間T1a’’は、この順に並ぶ。各表示期間Da’’に216行が描画される。
【0074】
第2周波数は、ノイズが非検出の場合の第1周波数の1/1.5倍である。タッチ検出期間T1a’’からT4a’’のそれぞれの長さは、300μsであり、ノイズが非検出の場合のタッチ検出期間T1aからT4aのそれぞれの長さの1.5倍である。よって、1つのタッチ検出期間に含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数は、ノイズが非検出の場合に1つのタッチ検出期間に含まれるタッチ駆動信号TXのパルス数と等しい。そのため、タッチ検出の感度を同等にでき、感度低下を抑制できる。
【0075】
4つのタッチ検出期間T1a’’からT4a’’で1画面分のタッチが検出され、期間Tbごとにタッチレポートが出力される。タッチレポートレートは、75(=60×5/4)Hzであり、第3の実施の形態より高くできる。タッチレポートレートは画像表示のフレームレートより高いので、以降の単位フレーム期間Faで描画されるフレームに最新のタッチレポートの内容を反映させやすくできる。
【0076】
最後のタッチ検出期間T1a’’におけるタッチ検出領域R1のタッチ検出結果は、次の単位フレーム期間Faでのタッチレポートに含まれる。次の単位フレーム期間Faは、タッチ検出期間T2a’’からT4a’’,T1a’’,T2a’’をこの順に含む。つまり、連続する複数の単位フレーム期間Faのそれぞれにおいて、最初のタッチ検出期間はT1a’’,T2a’’,T3a’’,T4a’’の順に変わる。
【0077】
なお、第2周波数は、第1周波数の1/1.5倍に限らず、第1周波数の1/n(nは1より大きい実数)倍であってよい。第2時間は、第1時間のn倍であってよい。nの値は、タッチ検出期間の長さ、タッチ検出回路76の性能などに応じて実験やシミュレーションにより適宜決定できる。nの値に応じて、単位フレーム期間Faの表示期間の数と長さ、タッチ検出期間の数と長さが予め定められる。
【0078】
本実施の形態によれば、ノイズが検出された場合のタッチ駆動信号TXの周波数の選択範囲を広げることができる。
【0079】
以上の第1から第4の実施の形態では、ノイズが検出されたか否かによらず単位フレーム期間Faの長さは一定であるが、以下の実施の形態では、ノイズが検出された場合に単位フレーム期間を長くする。
【0080】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さがノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さの2倍であることが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
図10は、第5の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Fa’のタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。単位フレーム期間Fa’は、ノイズが非検出の場合の2倍の約33.4(=1/30)msに設定され、フレームレートは30Hzである。単位フレーム期間Fa’は4つのサブフレーム期間Fbを含む。各サブフレーム期間Fbの長さと構成は、図6(b)のサブフレーム期間Fbの長さと構成と同一である。
【0082】
画像データDDは60Hzのフレームレートでのデータであるため、表示装置22は、2フレームのデータごとに1フレームを表示する。つまり表示装置22は、1フレームおきにフレームを表示し、複数のフレームの半分を表示しない。この場合でも、カーナビゲーション画面などの比較的低速な変化の画像を表示するときは画質の低下が少ない。
【0083】
1画面のタッチ検出は単位フレーム期間Fa’に2回実行されるため、約16.7(=1/60)ms周期で実行される。よって、タッチレポートレートは60Hzであり、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間Fa’あたりのタッチレポートの出力回数をノイズが未検出の場合の単位フレーム期間Faあたりのタッチレポートの出力回数と等しくできる。
【0084】
なお、タッチ検出回路76は、ノイズが検出された場合、4つのタッチ検出期間T1aからT4aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該4つのタッチ検出期間ごとに1つのタッチ検出領域でタッチを検出してもよい。この場合、タッチ駆動信号TXの第2周波数を第1周波数の1/4とする。4つのタッチ検出期間の長さが検出時間である。タッチレポートレートは30Hzであり、フレームレートと等しい。4つのタッチ検出期間で得られる検出値の数はノイズが非検出の場合と等しいため、感度低下を抑制できる。これにより、第1の実施の形態よりもタッチ駆動信号TXの周波数を低くできるので、周波数の選択範囲を広げることができる。
【0085】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態では、第2の実施の形態において、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さをノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さの2倍とする。以下、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0086】
図11は、第6の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Fa’のタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。単位フレーム期間Fa’は、4つのサブフレーム期間Fbを含む。各サブフレーム期間Fbの構成は、図7のサブフレーム期間Fbの構成と同一である。1画面のタッチ検出は単位フレーム期間Fa’に4回実行される。よって、タッチレポートレートは120Hzであり、ノイズが検出された場合のタッチレポートレートをノイズが未検出の場合と等しくできる。
【0087】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、ノイズが検出された場合におけるタッチを検出するタッチ検出領域の順番が第5の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0088】
図12は、第7の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。最初のサブフレーム期間Fbにおいて、タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T1aとT2aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R1におけるタッチを検出し、2つのタッチ検出期間T3aとT4aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R2におけるタッチを検出する。
【0089】
2番目のサブフレーム期間Fbにおいて、タッチ検出回路76は、2つのタッチ検出期間T1aとT2aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R3におけるタッチを検出し、2つのタッチ検出期間T3aとT4aに受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R4におけるタッチを検出する。
【0090】
3番目のサブフレーム期間Fbでは、最初のサブフレーム期間Fbと同じ制御が実行され、4番目のサブフレーム期間Fbでは、2番目のサブフレーム期間Fbと同じ制御が実行される。
【0091】
本実施の形態によれば、1つの表示期間Daを挟んで隣り合う2つのタッチ検出期間ごとにタッチを検出するので、第5の実施の形態よりも制御を簡素化できる。
【0092】
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態では、第3の実施の形態において、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さをノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さの2倍とする。以下、第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0093】
図13は、第8の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Fa’のタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。単位フレーム期間Fa’は、図8の単位フレーム期間Faの構成を2つ含む。1画面のタッチ検出は単位フレーム期間Fa’に2回実行される。よって、タッチレポートレートは60Hzであり、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間Fa’あたりのタッチレポートの出力回数をノイズが未検出の場合の単位フレーム期間Faあたりのタッチレポートの出力回数と等しくできる。
【0094】
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態では、ノイズが検出されて第2周波数に変更された場合、定期的に第1周波数のノイズを確認することが第2の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
図14は、第9の実施の形態に係るノイズが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。この単位フレーム期間Faの前の連続する所定数の単位フレーム期間Faは、それぞれ図7の単位フレーム期間Faと同じである。図14の最初のサブフレーム期間Fbでは図7のサブフレーム期間Fbと同じ制御が実行され、2番目のサブフレーム期間Fbでは図6(a)のサブフレーム期間Fbと同じ制御が実行される。
【0096】
このように制御回路70は、第1周波数のノイズが検出されてタッチ駆動信号TXの周波数を第2周波数に変更した場合、所定数のサブフレーム期間Fb、すなわち所定期間が経過するごとに、図6(a)のサブフレーム期間Fbと同じ制御を実行し、タッチ駆動信号TXの周波数を第1周波数に戻す。このサブフレーム期間Fbに、タッチ検出回路76は第1周波数のノイズを検出する。
【0097】
第1周波数のノイズが非検出であれば、制御回路70は、タッチ駆動信号TXの周波数を第1周波数に決定し、検出時間をノイズが非検出の場合の検出時間に決定する。これにより、この後も図6(a)のサブフレーム期間Fbと同じ制御が行われる。よって、第1周波数のノイズが検出された後で第1周波数のノイズが減少すると、第2周波数のノイズが少ない状態であっても、第1周波数のノイズが非検出の場合の制御に戻すことができ、4つのタッチ検出領域R1からR4でタッチを検出できる。
【0098】
一方、図14の2番目のサブフレーム期間Fbで第1周波数のノイズが検出されれば、制御回路70は、タッチ駆動信号TXの周波数を第2周波数に変更し、検出時間をノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。これにより、この後の所定数のサブフレーム期間Fbに図7のサブフレーム期間Fbの制御が行われる。よって、引き続きノイズによる誤検出を抑制しつつ、タッチ検出の感度低下を抑制できる。
【0099】
図15は、第9の実施の形態に係る表示システム1のノイズ検出処理を示すフローチャートである。この処理は、表示システム1が起動すると開始する。第1周波数のノイズが検出されていない場合(S10のN)、S10に戻る。第1周波数のノイズが検出された場合(S10のY)、制御回路70は、タッチ検出回路76によるタッチ検出の制御を変更し(S12)、タッチ駆動信号TXの周波数を第2周波数に変更する(S14)。所定数のサブフレーム期間Fbが経過していない場合(S16のN)、S16に戻る。所定数のサブフレーム期間Fbが経過した場合(S16のY)、制御回路70は、タッチ検出の制御を元に戻し(S20)、タッチ駆動信号TXの周波数を第1周波数に変更し(S22)、S10に戻る。
【0100】
以上、本開示について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0101】
たとえば、第3の実施の形態を第2の実施の形態と組み合わせてもよい。第4の実施の形態を第1、第2、第4から第9の実施の形態のいずれかと組み合わせてもよい。第9の実施の形態を第1、第3から第8の実施の形態のいずれかと組み合わせてもよい。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0102】
また、周波数ホッピングのためのノイズの検出は、タッチ駆動信号TXの供給を停止して実行してもよい。この場合、予め定められた数の単位フレーム期間Faごとに、隣り合う2つの単位フレーム期間Faの間にノイズ検出期間が配置される。第2駆動回路74は、ノイズ検出期間ではタッチ駆動信号TXの供給を停止し、基準電圧VCOMを供給する。タッチ検出回路76は、ノイズ検出期間において、複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに含まれるタッチ駆動信号TXの周波数のノイズ量を測定する。
【0103】
あるいは、タッチ検出回路76は、ノイズ検出期間において、複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに含まれる第1周波数、第2周波数などの所定の複数の周波数のノイズ量を測定してもよい。第1周波数の所定レベル以上のノイズが検出された場合、制御回路70は、タッチ駆動信号TXの周波数をノイズ量が最小である周波数に変更する。これらの変形例では、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0104】
また、実施の形態では制御装置24がタッチディスプレイ20に含まれるが、制御装置24はホスト10に含まれてもよい。実施の形態では第1駆動回路72が基準クロック信号を生成するが、第2駆動回路74が基準クロック信号を生成してもよい。単位フレーム期間は、表示装置22のタッチ検出領域の数の3倍以上のタッチ検出期間を含んでもよい。これらの変形例では、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0105】
本開示の一態様に係る表示システムは、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、
前記駆動回路と前記タッチ検出回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記タッチ検出回路は、前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。
この態様によると、タッチ駆動信号の周波数のノイズが検出された場合、タッチ駆動信号の周波数を低く変更し、検出時間を長く変更するので、ノイズによる誤検出を抑制しつつ、タッチ検出の感度低下を抑制できる。
【0106】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記ノイズが検出された場合のタッチ検出期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合のタッチ検出期間の長さと等しく、
前記ノイズが非検出の場合、前記タッチ検出回路は、それぞれのタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、タッチ検出期間ごとにタッチを検出し、
前記ノイズが検出された場合、前記タッチ検出回路は、所定数の複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出する、としても良い。
この場合、ノイズが非検出の場合とノイズが検出された場合とにおいて、タッチ検出期間の長さが等しいので、同等の画質の画像を表示できる。
【0107】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記ノイズが検出された場合のタッチ検出期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合のタッチ検出期間の長さより長く、
前記タッチ検出回路は、それぞれのタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、タッチ検出期間ごとにタッチを検出する、としても良い。
この場合、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の分割数を減らすことができ、制御を簡素化できる。
【0108】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、前記複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置され、
前記タッチ検出回路は、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出し、
前記タッチ検出回路は、
前記ノイズが非検出の場合、前記複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチを検出し、
前記ノイズが検出された場合、前記複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出を実行し、かつ、前記複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出を非実行とする、としても良い。
この場合、ノイズが検出された場合のタッチレポートレートの低下を抑制できる。
【0109】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記表示装置は、複数のタッチ検出領域を含み、前記複数の共通電極は、それぞれのタッチ検出領域に複数ずつ配置され、
前記タッチ検出回路は、1以上のタッチ検出期間に検出対象のタッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該1以上のタッチ検出期間ごとに当該検出対象のタッチ検出領域におけるタッチを検出し、
前記タッチ検出回路は、
前記ノイズが非検出の場合、前記複数のタッチ検出領域のそれぞれでタッチを検出し、
前記ノイズが検出された場合、前記複数のタッチ検出領域の一部でタッチ検出を実行し、かつ、前記複数のタッチ検出領域の残りでタッチ検出を非実行とする、としても良い。
この場合、ノイズが検出された場合のタッチレポートレートの低下を抑制できる。
【0110】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さと等しい、としても良い。
この場合、ノイズが検出された場合にノイズが非検出の場合と同等の画質の画像を表示できる。
【0111】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記ノイズが検出された場合の単位フレーム期間の長さは、前記ノイズが非検出の場合の単位フレーム期間の長さより長い、としても良い。
この場合、ノイズが検出された場合の単位フレーム期間あたりのタッチレポートの出力回数の低下を抑制できる。
【0112】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数の1/n(nは1より大きい実数)倍に変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間のn倍に変更する、としても良い。
この場合、ノイズが検出された場合のタッチ駆動信号の周波数の選択範囲を広げることができる。
【0113】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記ノイズが非検出の場合の前記タッチ駆動信号の周波数は、第1周波数であり、
前記ノイズが検出された場合の前記タッチ駆動信号の周波数は、第2周波数であり、
前記制御回路は、前記タッチ駆動信号の周波数を前記第2周波数に変更した場合、所定期間が経過すると当該タッチ駆動信号の周波数を当該第1周波数に戻し、当該第1周波数のノイズが非検出であれば、当該タッチ駆動信号の周波数を当該第1周波数に決定し、検出時間を前記ノイズが非検出の場合の検出時間に決定する、としても良い。
この場合、第1周波数のノイズが減少するとノイズが非検出の場合の設定に戻すことができる。
【0114】
本開示の一態様に係る制御装置は、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出し、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、タッチ検出回路と、
前記駆動回路と前記タッチ検出回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記タッチ検出回路は、前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出し、
前記制御回路は、前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更する。
この態様によると、ノイズによる誤検出を抑制しつつ、タッチ検出の感度低下を抑制できる。
【0115】
本開示の一態様に係る制御方法は、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置の制御方法であって、
前記表示装置における単位フレーム期間に前記表示装置が画像を表示する表示期間とタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記複数の共通電極のそれぞれに対してタッチ駆動信号を供給するステップと、
1以上のタッチ検出期間に前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップであって、当該1以上のタッチ検出期間の長さが検出時間である、ステップと、
前記タッチ検出信号にもとづいて前記タッチ駆動信号の周波数のノイズを検出するステップと、
前記ノイズが検出された場合、前記タッチ駆動信号の周波数を当該ノイズが非検出の場合の周波数より低く変更し、かつ、検出時間を当該ノイズが非検出の場合の検出時間より長く変更するステップと、
を備える。
この態様によると、ノイズによる誤検出を抑制しつつ、タッチ検出の感度低下を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本開示は、タッチ検出機能を有する表示システム、制御装置および制御方法に利用できる。
【符号の説明】
【0117】
1…表示システム、12…制御装置、22…表示装置、24…制御装置、34…共通電極、70…制御回路、72…第1駆動回路、74…第2駆動回路、76…タッチ検出回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15