(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】噴霧装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B05B 7/04 20060101AFI20231208BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20231208BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231208BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B05B7/04
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
B05D3/12 Z
(21)【出願番号】P 2020037060
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 航太
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽介
(72)【発明者】
【氏名】小川 修
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-051823(JP,A)
【文献】特開2017-154091(JP,A)
【文献】特開2005-279562(JP,A)
【文献】特開2008-261441(JP,A)
【文献】特開平07-292745(JP,A)
【文献】特開2018-015738(JP,A)
【文献】特開2017-176975(JP,A)
【文献】特開平02-185664(JP,A)
【文献】特開2003-284936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-3/18
7/00-9/08
B05D1/00-7/26
G03B21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを噴霧する二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給する噴霧装置側気体流路と、
前記噴霧装置側気体流路に前記気体を供給する気体供給源と、
前記二流体ノズルに前記液体を供給する噴霧装置側液体流路と、
前記噴霧装置側液体流路に前記液体を供給する液体供給源と、
前記二流体ノズルと前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されてパルス信号で弁開度を調整して前記噴霧装置側液体流路の前記液体の流量を制御するパルス駆動の液体流量調整弁と、
前記二流体ノズルと前記気体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置されて前記噴霧装置側気体流路の前記気体の圧力を検知する気体側圧力計と、
前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されて前記噴霧装置側液体流路の前記液体の圧力を検知する液体側圧力計と、
前記液体流量調整弁と前記液体側圧力計との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されて前記噴霧装置側液体流路を開閉する開閉弁と、
前記液体側圧力計で検知した前記液体の圧力が前記気体側圧力計で検知した前記気体の圧力よりも高く、かつ、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記液体流量調整弁に予め設定される許容差圧以上となった場合に、前記開閉弁が閉塞状態となるよう制御し、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記許容差圧未満である場合に、前記開閉弁が開放状態となるよう制御する制御部と、
を備えた、噴霧装置。
【請求項2】
前記液体側圧力計と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置され、前記液体供給源から吐出される前記液体の圧力を減圧するための減圧弁をさらに備え、
前記減圧弁は、前記気体側圧力計で検知した前記気体の圧力と前記液体側圧力計で検知した前記液体の圧力との差が前記許容
差圧未満となるように構成された、
請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
液体と気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを噴霧する二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給する噴霧装置側気体流路と、
前記噴霧装置側気体流路に前記気体を供給する気体供給源と、
前記二流体ノズルに前記液体を供給する噴霧装置側液体流路と、
前記噴霧装置側液体流路に前記液体を供給する液体供給源と、
前記二流体ノズルと前記液体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置されたパルス駆動の液体流量調整弁と、
前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置され、前記液体供給源から吐出される前記液体の圧力を減圧するための減圧弁と、を備え、
前記気体供給源は、吐出する前記気体の圧力が前記
液体流量調整弁の許容圧力未満となるよう構成され、
前記減圧弁で、前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力が前記液体流量調整弁の許容圧力未満になるようにし、
前記減圧弁が、前記気体供給源が吐出する前記気体の圧力と前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力との差が前記許容
差圧未満となるように構成された、噴霧装置。
【請求項4】
前記二流体ノズルと前記気体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置されて前記噴霧装置側気体流路の前記気体の圧力を検知する気体側圧力計と、
前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されて前記噴霧装置側液体流路の前記液体の圧力を検知する液体側圧力計と、
前記気体側圧力計で検知した気体の圧力と前記液体側圧力計で検知した液体の圧力との差が前記許容
差圧未満となるよう前記減圧弁を制御する制御部と、
をさらに備えた、請求項3に記載の噴霧装置。
【請求項5】
気体供給源から気体を噴霧装置側気体流路を介して二流体ノズルに供給するとともに、液体供給源から液体を噴霧装置側液体流路及び前記噴霧装置側液体流路に設置されたパルス駆動の液体流量調整弁を介して前記二流体ノズルに供給し、前記二流体ノズルに供給された前記液体と前記気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを前記二流体ノズルから噴霧し、
この噴霧時に、前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置された液体側圧力計で検知した液体の圧力が、前記二流体ノズルと前記気体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置された気体側圧力計で検知した気体の圧力よりも高く、かつ、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記液体流量調整弁に予め設定される許容差圧以上となった場合に、前記液体流量調整弁と前記液体側圧力計との間の前記噴霧装置側液体流路に設置された開閉弁が閉塞状態となるよう制御部で制御し、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記許容差圧未満である場合に、前記開閉弁が開放状態となるよう前記制御部で制御する、
噴霧方法。
【請求項6】
気体供給源から気体を噴霧装置側気体流路を介して二流体ノズル
に供給するとともに、液体供給源から液体を噴霧装置側液体流路及び前記噴霧装置側液体流路に設置されたパルス駆動の液体流量調整弁を介して前記二流体ノズルに供給し、前記二流体ノズルに供給された前記液体と前記気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを前記二流体ノズルから噴霧し、
この噴霧時に、前記
液体流量調整弁の許容圧力未満となる圧力で前記気体が前記気体供給源から吐出されるとともに、前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置され、前記液体供給源から吐出される前記液体の圧力を減圧するための減圧弁で、
前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力が前記液体流量調整弁の許容圧力未満になるようにするとともに、前記気体供給源が吐出する前記気体の圧力と前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力との差が前記許容
差圧未満となるように減圧されている、噴霧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二流体ノズルを用いて液体と気体とを混合して液体を微粒化したミストを室内空間に噴霧する噴霧装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ミストを利用した映像投影方法が開発されており、アート又はエンタテイメントにおける利用可能性が広がっている。
【0003】
例えば、
図5に示すように、特許文献1に記載された投影装置311は、投影部312、及びこれと電気的に接続されたスクリーン形成装置313とで構成されている。
図6に示すように、このスクリーン形成装置313は、発生部301と、この発生部301にダクト302を介して連通された噴出部303とで構成されている。発生部301は、一端面に開口部305が設けられたタンク307を有し、タンク307の他端面にダクト302が連通されている。タンク307内には、例えば、水308が収容され、水308内に超音波振動子309が配置されている。ミストの濃度測定管理のために、発生部301内と噴出部303内のそれぞれに発光部401及び受光部402を有している。スクリーン形成装置313は、一様なミストスクリーンを形成し、画像をミストスクリーンに適切に投影することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-179130号公報
【文献】WO2018/179474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体を微粒化したミストを室内空間に噴霧し、そのミスト空間を多様な形で演出するためには、ミストの噴霧量を多段階に調整し、ミストと他の演出機器との組み合わせにより、室内空間のミスト濃度を、都度意図した状態へ調整する必要がある。
【0006】
このため、特許文献2のように、液体と気体とを混合させてミストを生成する二流体噴霧ノズルを使用した噴霧システムに、パルス制御で弁の開度を調節し、供給量を多段階に制御できる液体流量調整弁を搭載して噴霧量を調整するものがある。
【0007】
しかしながら、このような構成では、ノズルに供給する気体と液体との圧力の差圧が液体流量調整弁の許容差圧を超えてしまい、液体流量調整弁の駆動トルク以上の圧力が液体流量調整弁に印加され、液体流量調整弁に開閉不良等の動作不良が発生していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、噴霧装置側液体流路の液体流量調整弁に発生する不具合を抑制する噴霧装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成している。
【0010】
本発明の第1態様によれば、
液体と気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを噴霧する二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給する噴霧装置側気体流路と、
前記噴霧装置側気体流路に前記気体を供給する気体供給源と、
前記二流体ノズルに前記液体を供給する噴霧装置側液体流路と、
前記噴霧装置側液体流路に前記液体を供給する液体供給源と、
前記二流体ノズルと前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されてパルス信号で弁開度を調整して前記噴霧装置側液体流路の前記液体の流量を制御するパルス駆動の液体流量調整弁と、
前記二流体ノズルと前記気体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置されて前記噴霧装置側気体流路の前記気体の圧力を検知する気体側圧力計と、
前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されて前記噴霧装置側液体流路の前記液体の圧力を検知する液体側圧力計と、
前記液体流量調整弁と前記液体側圧力計との間の前記噴霧装置側液体流路に設置されて前記噴霧装置側液体流路を開閉する開閉弁と、
前記液体側圧力計で検知した前記液体の圧力が前記気体側圧力計で検知した前記気体の圧力よりも高く、かつ、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記液体流量調整弁に予め設定される許容差圧以上となった場合に、前記開閉弁が閉塞状態となるよう制御し、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記許容差圧未満である場合に、前記開閉弁が開放状態となるよう制御する制御部と、
を備える、噴霧装置を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、
液体と気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを噴霧する二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給する噴霧装置側気体流路と、
前記噴霧装置側気体流路に前記気体を供給する気体供給源と、
前記二流体ノズルに前記液体を供給する噴霧装置側液体流路と、
前記噴霧装置側液体流路に前記液体を供給する液体供給源と、
前記二流体ノズルと前記液体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置されたパルス駆動の液体流量調整弁と、
前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置され、前記液体供給源から吐出される前記液体の圧力を減圧するための減圧弁と、
を備え、
前記気体供給源は、吐出する前記気体の圧力が前記液体流量調整弁の許容圧力未満となるよう構成され、
前記減圧弁で、前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力が前記液体流量調整弁の許容圧力未満になるようにし、
前記減圧弁が、前記気体供給源が吐出する前記気体の圧力と前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力との差が前記許容差圧未満となるように構成された、噴霧装置を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、
気体供給源から気体を噴霧装置側気体流路を介して二流体ノズルに供給するとともに、液体供給源から液体を噴霧装置側液体流路及び前記噴霧装置側液体流路に設置されたパルス駆動の液体流量調整弁を介して前記二流体ノズルに供給し、前記二流体ノズルに供給された前記液体と前記気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを前記二流体ノズルから噴霧し、
この噴霧時に、前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置された液体側圧力計で検知した液体の圧力が、前記二流体ノズルと前記気体供給源との間の前記噴霧装置側気体流路に設置された気体側圧力計で検知した気体の圧力よりも高く、かつ、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記液体流量調整弁に予め設定される許容差圧以上となった場合に、前記液体流量調整弁と前記液体側圧力計との間の前記噴霧装置側液体流路に設置された開閉弁が閉塞状態となるよう制御部で制御し、前記液体の圧力と前記気体の圧力との差圧が前記許容差圧未満である場合に、前記開閉弁が開放
状態となるよう前記制御部で制御する、
噴霧方法を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、
気体供給源から気体を噴霧装置側気体流路を介して二流体ノズルに供給するとともに、液体供給源から液体を噴霧装置側液体流路及び前記噴霧装置側液体流路に設置されたパルス駆動の液体流量調整弁を介して前記二流体ノズルに供給し、前記二流体ノズルに供給された前記液体と前記気体とを混合して前記液体を微粒化したミストを前記二流体ノズルから噴霧し、
この噴霧時に、前記液体流量調整弁の許容圧力未満となる圧力で前記気体が前記気体供給源から吐出されるとともに、前記液体流量調整弁と前記液体供給源との間の前記噴霧装置側液体流路に設置され、前記液体供給源から吐出される前記液体の圧力を減圧するための減圧弁で、前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力が前記液体流量調整弁の許容圧力未満になるようにするとともに、前記気体供給源が吐出する前記気体の圧力と前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力との差が前記許容差圧未満となるように減圧されている、噴霧方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の前記態様によれば、前記したように前記制御部により前記開閉弁で前記噴霧装置側液体流路を開閉制御し、又は、前記減圧弁を、前記気体供給源が吐出する前記気体の圧力と前記液体供給源が吐出する前記液体の圧力との差が前記許容圧力差未満となるように構成し、又は、前記二流体ノズル側から前記液体流量調整弁側への通流を不可とする逆止弁を備えるように構成している。このように構成することにより、液体の圧力と気体の圧力との差圧が液体流量調整弁に予め設定される許容差圧以上とならないため、液体流量調整弁の不具合の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本発明の実施の形態1における噴霧装置の構成図
【
図1B】本発明の実施の形態1の変形例における噴霧装置の構成図
【
図2A】本発明の実施の形態1における噴霧装置の二流体ノズルの断面図
【
図2B】本発明の実施の形態1における二流体ノズルの
図2Aの2B-2B線での断面図
【
図2C】本発明の実施の形態1における二流体ノズルの
図2Aの2C-2C線での断面図
【
図3A】本発明の実施の形態2における噴霧装置の構成図
【
図3B】本発明の実施の形態2の変形例における噴霧装置の構成図
【
図4】本発明の実施の形態3における噴霧装置の構成図
【
図6】従来のミストスクリーン形成装置の模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1Aは、本発明の実施の形態1における噴霧装置Aの構成図である。
【0019】
図1Aにおいて、噴霧装置Aは、二流体ノズル11と、噴霧装置側気体流路2と、気体供給源3と、噴霧装置側液体流路4と、液体供給源5と、液体流量調整弁6と、気体側圧力計7と、液体側圧力計8と、開閉弁9と、制御部10と、を少なくとも備えている。
【0020】
二流体ノズル11は、液体と気体とを混合して液体を微粒化したミストを噴霧する。
【0021】
噴霧装置側気体流路2は、二流体ノズル11に気体を供給する。
【0022】
気体供給源3は、噴霧装置側気体流路2に気体を供給する。
【0023】
噴霧装置側液体流路4は、二流体ノズル11に液体を供給する。
【0024】
液体供給源5は、噴霧装置側液体流路4に液体を供給する。
【0025】
液体流量調整弁6は、二流体ノズル11と液体供給源5の間の噴霧装置側液体流路4に設置されて、パルス駆動により、すなわち、パルス信号で弁開度を調整して噴霧装置側液体流路4の液体の流量を制御する。
【0026】
気体側圧力計7は、二流体ノズル11と気体供給源3との間の噴霧装置側気体流路2に設置されて、噴霧装置側気体流路2の気体の圧力を検知する。
【0027】
液体側圧力計8は、液体流量調整弁6と液体供給源5の間の噴霧装置側液体流路4に設置されて、噴霧装置側液体流路4の液体の圧力を検知する。
【0028】
開閉弁9は、液体流量調整弁6と液体側圧力計8との間の噴霧装置側液体流路4に設置されて、噴霧装置側液体流路4を開閉する。
【0029】
制御部10は、気体側圧力計7で検知された気体の圧力と液体側圧力計8で検知された液体の圧力と液体流量調整弁6で設定された許容差圧との情報に基づき、開閉弁9の開閉動作を制御する。
【0030】
以下、二流体ノズル11について詳細に説明する。
【0031】
図2Aは、本発明の実施の形態1における噴霧装置Aの二流体ノズル11を示す断面図である。以下、この二流体ノズル11の構成について
図2Aを参照しながら説明する。
【0032】
二流体ノズル11は、二流体ノズル本体部120と、液体導入部130と、気体導入部140と気液噴出部150を少なくとも備えている。液体導入部130と気体導入部140と気液噴出部150とで、気液混合部160を構成している。二流体ノズル11は、さらに、気液噴出部固定部170を備えている。
【0033】
二流体ノズル本体部120は、噴霧装置側液体流路4に接続されかつ円柱状部材の中心軸124の方向沿いに配置されたノズル側液体流路121と、噴霧装置側気体流路2に接続されかつノズル側液体流路121の周囲に間隔をおいて軸方向沿いに配置された円筒状のノズル側気体流路122とが、それぞれ形成されている。ノズル側液体流路121とノズル側気体流路122とは、二流体ノズル本体部120の一部として中央部に位置する円筒部123で区切られている。ノズル側液体流路121は、先端部のみを図示しており、後端部の図示しない液体供給口は、噴霧装置側液体流路4に接続されている。ノズル側気体流路122も、先端側のみを図示しており、後端の図示しない気体供給口は、噴霧装置側気体流路2に接続されている。円筒部123の先端は、円筒部123以外の二流体ノズル本体部120より先端側に少し突出し、その先端に液体導入部130が固定されている。
【0034】
液体導入部130は、二流体ノズル本体部120の先端に配置され、噴霧装置側液体流路4に接続されるノズル側液体流路121の開口を覆っている。液体導入部130は、円筒部123の端面と接する面に溝状の液体流路が形成されている。液体導入部130の中心軸124から半径方向にずれた少なくとも1箇所には、中心軸124方向に貫通する液体流入口131が形成されている。すなわち、液体流入口131は、液体導入部130の中心軸124から半径方向にずれた少なくとも1箇所に貫通して設けられる。液体流入口131は、例えば、気液混合部160の上流側で、円環状の気体導入部140の内周面近傍に位置しており、ノズル側液体流路121と気液混合部160とを連通させて、ノズル側液体流路121を流れる液体流を気液混合部160に流入させている。液体導入部130の先端面には、気液混合部160に突出した先細りの形状で、例えば、円錐状の凸部132が設けられている。円錐状の凸部132の中心軸は中心軸124に一致するように、円錐状の凸部132は中心軸124沿いに突出している。
【0035】
気液噴出部150は、二流体ノズル本体部120の先端に配置され、液体導入部130と気体導入部140を覆うとともに、ノズル側気体流路122の開口を覆いかつ軸方向断面略Ω形状をなしている。気液噴出部150は、液体導入部130との間に所定間隔の円筒状の外形の隙間133をあけて覆っている。気液噴出部150の先端部には、気液混合流体を流出させる管状流路151と、管状流路151と連通して気液混合流体を噴出させる噴出口152とが形成されている。気液噴出部150の先端部側の内面には、管状流路151と連通したテーパーを有する円錐状の流路153が形成されている。テーパーを有する流路153には、凹凸形状の開口を有する整流部154が設けられている。
【0036】
液体導入部130に設けられた円錐状の凸部132の先端は、整流部154の凹凸形状の開口との間で整流流出口155を形成している。円錐状の凸部132の先端部の先端は、整流部154の凹凸形状の開口に入り込んだ状態で整流流出口155を形成している。
【0037】
気液噴出部固定部170は、気液噴出部150を二流体ノズル本体部120の端面との間に挟持して固定している。なお、気液噴出部固定部170を無くして、気液噴出部150が、直接、二流体ノズル本体部120の端面に固定されるようにしてもよい。
【0038】
図2Bは、二流体ノズル11の
図2Aの2B-2B線での断面図を示している。
図2Bに示すように、円環状の気体導入部140の内周の接線方向沿いに、気体導入部140の少なくとも1箇所に切り欠きもしくは隙間が設けられて、気体流入口141が形成されている。気体流入口141は、ノズル側気体流路122と連通し、気体導入部の内側に気体流を流入させる。
【0039】
気体流入口141は、液体流入口131の近傍に配置され、かつ、液体流入口131から流入する液体流の流入方向に対して、前記気体流入口141から流入する前記気体流の流入方向が交差する(例えば、直交する)ように配置されている。気体流入口141から流入した気体流は、液体流入口131から流入した液体流に衝突し、円環状の気体導入部140の内周面に沿って周回して液体を微粒化する。
【0040】
図2Cは、二流体ノズル11の
図2Aの2C-2C線での断面図を示している。
図2Cに示すように、整流部154は、凹凸形状の開口を有し、凹凸形状の開口と円錐状の凸部132との間で整流流出口155を形成している。整流部154の凹凸形状の開口は、円筒又は円錐筒の内側の周面に三角形などの歯を円筒又は円錐筒の軸周りに所定間隔毎に又は均等に内歯歯車のように刻んで、三角形などの歯を所定間隔又は均等に突出させて、隣接する歯と歯との間に整流流出口155を形成するような形状となっている。
【0041】
ここで、整流流出口155は、円錐状の凸部132の先端部が整流部154の凹凸形状の開口に入り込んだ状態で、凹凸形状を外周に有する、円環状に形成されている。整流部154の凹凸形状は、凸部132の軸周りに複数個、所定間隔毎に又は均等に、配置された同じ形状又は類似する形状で形成され、かつ、軸周りに対称、例えば回転対称に配置されている。
【0042】
整流流出口155の一例としては、
図2A及び
図2Cに示すように、整流部154の凹凸形状の開口の内縁が円錐状の凸部132の先端部に接触して互いに仕切られた複数個の三角形の整流流出口155として形成することができる。
【0043】
このような構成において、噴霧装置側液体流路4から二流体ノズル11に供給された液体は、二流体ノズル本体部120に対して、図示しない液体供給口から二流体ノズル先端側にノズル側液体流路121を流れて液体流となる。その液体流は、ノズル側液体流路121と液体流入口131とを通って、気液混合部160に供給される。また、噴霧装置側気体流路2から二流体ノズル11に供給された気体は、二流体ノズル本体部120に対して、図示しない気体供給口から二流体ノズル先端側にノズル側気体流路122を流れて気体流となる。その気体流は、隙間133と気体流入口141とを通って、気液混合部160に供給される。
【0044】
気液混合部160に対して気体流と液体流とが供給されると、気液混合部160で互いに混合されて、液体が微粒化される。その後に、整流部154の凹凸形状の開口と円錐状の凸部132とで形成される整流流出口155を通って整流され、気液噴出部150に設けられた管状流路151を通って噴出口152から、混合されて微粒化された液体を外側に噴出する。
【0045】
ここで、以下に、気液混合部160での微粒化の機構について説明する。ノズル側液体流路121を流れてきた液体流は、液体導入部130に設けられた液体流入口131を通り、気液混合部160の円環状の気体導入部140の内面近傍より、液体流が気液噴出部150の方向へ供給される。
【0046】
一方、液体流入口131から気液混合部160に供給された液体流に対して、気体流入口141を通って気液混合部160に供給された気体流が、液体流に衝突して円環状の気体導入部140の内周面に沿って周回する。このように衝突することで、液体は、円環状の気体導入部140の内周面に押し広げられ、薄い膜状になる。さらに、液体は、この状態から、円環状の気体導入部140の内周面沿いの周方向に流れることにより、薄い膜状から、さらに細かな液滴へと変化する。さらに、この液滴を含む気液混合流体が、気液混合部160内で攪拌されることで、液滴をさらに微粒化することができ、平均粒径のより小さな液体を噴出口152から噴霧することが可能である。
【0047】
具体的には、気液混合部160を形成する円環状の気体導入部140は、内径6.0mm、高さ1.9mmである。整流部154の凹凸形状の開口の内接円156は、直径1.9mm、開口の外接円157は直径2.8mm、開口の面積は4.52mm2である。気液噴出部150の管状流路151は直径1.0mmで、流路断面積は0.79mm2である。液体流入口131は直径0.6mmである。気体流入口141の軸直交方向の流路断面は矩形であり、幅2.0mm、高さ1.0mmである。円錐状の凸部132の底面の直径は6mm、凸部132の高さは2.8mmである。整流流出口155の開口面積は1.6mm2である。
【0048】
二流体ノズル11の気体供給口へ、気体の例として圧縮空気を0.5MPa(ゲージ圧)の圧力で供給し、二流体ノズル11の液体供給口へ、液体の例として水を0.509MPa(ゲージ圧)の圧力で供給した。この条件で微粒化した液体のザウター平均粒径をレーザー回折法にて評価を行った。レーザー回折法の測定距離は、二流体ノズル11の先端から300mmの位置であり、ザウター平均粒径は6.0μmとなった。
【0049】
また、制御部10は、液体側圧力計8で検知した液体の圧力が気体側圧力計7で検知した気体の圧力よりも高く、かつ、液体の圧力と気体の圧力との差圧が液体流量調整弁6に予め設定される許容差圧以上となった場合に、開閉弁9が閉塞状態となるよう制御し、液体圧力と気体圧力との差圧が液体流量調整弁6の許容差圧未満である場合に、開閉弁9が開放状態となるよう制御する。
【0050】
これによって、制御部10により開閉弁9で噴霧装置側液体流路4を開閉制御することにより、液体の圧力と気体の圧力との差圧が液体流量調整弁6に予め設定される許容差圧以上とならないため、液体流量調整弁6の不具合の発生を抑制できる。
【0051】
例えば、液体流量調整弁6の許容差圧が0.3MPaの場合、液体の圧力と気体の圧力との差圧が0.3MPa以上である場合は、制御部10の制御により開閉弁9が閉じ、液体の圧力と気体の圧力との差圧が0.3MPa未満である場合は、制御部10の制御により開閉弁9が開くことになる。
【0052】
なお、開閉弁9は、二方向電磁弁を用いることができ、非通電時に弁が閉じ、かつ、通電時に弁が開くノーマルクローズのものが良い。
【0053】
また、
図1Bに示すように、前記実施の形態1の変形例として、液体側圧力計8と液体供給源5との間の噴霧装置側液体流路4に設置され、液体供給源5から吐出される液体の圧力を減圧するための減圧弁111をさらに備えることができる。
【0054】
このような変形例の場合、気体側圧力計7で検知した気体の圧力と液体側圧力計8で検知した液体の圧力との差が、液体流量調整弁6の許容圧力差未満となるように、減圧弁111を制御部10で制御する。
【0055】
これによって、液体供給源5から供給される液体の圧力と気体供給源3から供給される気体の圧力との差が液体流量調整弁6の許容圧力差以上とならないため、液体流量調整弁6の不具合の発生を、より確実に抑制できる。言い換えれば、減圧弁111を備えることで、液体供給源5の圧力に関わらず液体流量調整弁6を保護することができる。
【0056】
なお、気体供給源3の気体の圧力が既知で一定圧力を示す場合、減圧弁111としては、手動で減圧値を調整できる手動減圧弁を用いてもよい。
(実施の形態2)
図3Aは、本発明の実施の形態2における噴霧装置Bの構成図である。
【0057】
実施の形態2の噴霧装置Bは、実施の形態1の変形例にかかる噴霧装置Aから開閉弁9と気体側圧力計7と液体側圧力計8とを無くし、制御部10で減圧弁111を制御するものである。
【0058】
具体的には、
図3Aにおいて、噴霧装置Bは、二流体ノズル11と、噴霧装置側気体流路2と、気体供給源3と、噴霧装置側液体流路4と、液体供給源5と、液体流量調整弁6と、減圧弁111と、制御部10とを少なくとも備えている。
【0059】
ここでは、実施の形態1と同じ装置又は部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
減圧弁111は、実施の形態1の変形例と同様に、液体流量調整弁6と液体供給源5との間の噴霧装置側液体流路4に設置され、液体供給源5から吐出される液体の圧力を減圧する。
【0061】
制御部10は、気体供給源3から吐出する気体の圧力と液体供給源5から吐出する液体の圧力と液体流量調整弁6で設定された許容圧力との情報に基づき、減圧弁111を制御する。液体流量調整弁6は、印加される圧力の絶対圧と1次側と2次側との相対圧に対してそれぞれ許容圧力が設定されている。ここでいう「許容圧力」は、1次側と2次側との相対圧に対して設定された「許容圧力」である。
【0062】
気体供給源3は、気体用の設定圧力で気体を吐出可能なボンベなどの供給源であり、吐出する気体の圧力が液体流量調整弁6の許容圧力未満となるよう構成されている。
【0063】
液体供給源5は、液体用の設定圧力で液体を吐出可能なポンプなどの供給源である。
【0064】
制御部10は、液体供給源5が吐出する液体の圧力が液体流量調整弁6の許容圧力未満となるよう減圧弁111を制御する。
【0065】
この減圧弁111の制御によって、気体供給源3が吐出する気体の圧力が液体流量調整弁6の許容圧力未満となり、気体供給源3が吐出する気体の圧力と液体供給源5が吐出する液体の圧力との差が液体流量調整弁6の許容圧力差未満となるため、液体流量調整弁6の不具合の発生を抑制できる。
【0066】
なお、気体供給源3の気体の圧力が既知で一定圧力を示す場合、減圧弁111は手動で減圧値を調整できる手動減圧弁を用いてもよい。
【0067】
また、
図3Bに示すように、前記実施の形態2の変形例として、噴霧装置Bは、二流体ノズル1と気体供給源3との間の噴霧装置側気体流路2に設置されて、噴霧装置側気体流路2の気体の圧力を検知する気体側圧力計7と、液体流量調整弁6と液体供給源5との間の噴霧装置側液体流路4に設置されて、噴霧装置側液体流路4の液体の圧力を検知する液体側圧力計8とをさらに備えるようにしてもよい。
【0068】
制御部10は、気体側圧力計7で検知した気体の圧力が前記許容圧力未満となるよう気体供給源3からの気体の圧力を制御し、気体側圧力計7で検知した気体の圧力と液体側圧力計8で検知した液体圧力との差が前記許容圧力差未満となるように、減圧弁111を制御することで、液体供給源5の液体の圧力は、減圧弁111によって、気体側圧力計7と液体側圧力計8との計測値を用いて、計測値である気体の圧力と液体の圧力との差圧が液体流量調整弁6の許容差圧未満となるよう制御されて液体流量調整弁6に供給される。
【0069】
これによって、液体流量調整弁6の不具合の発生を、より確実に抑制できる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における噴霧装置Cの構成図である。
【0070】
実施の形態3の噴霧装置Cは、実施の形態1の変形例にかかる噴霧装置Aから開閉弁9と気体側圧力計7と液体側圧力計8と減圧弁111と制御部10とを無くし、かつ、逆止弁12を新たに備えるものである。
【0071】
具体的には、噴霧装置Cは、液体流量調整弁6と二流体ノズル11との間の噴霧装置側液体流路4に設置されて、液体流量調整弁6側から二流体ノズル11側への通流を可能とし、逆方向を通流不可とする逆止弁12を備えている。
【0072】
搭載した逆止弁12によって、気体供給源3が吐出する気体の圧力が液体流量調整弁6の許容圧力以上であり、気体供給源3が吐出する気体の圧力と液体供給源5が吐出する液体の圧力との差が許容圧力差未満である場合に、二流体ノズル11側から液体流量調整弁6側への通流を不可とすることで、液体流量調整弁6の気体供給源側に、気体供給源3が吐出する気体の圧力がかからない。すなわち、気体の圧力が許容圧よりも高い状態であっても、逆止弁12によって液体流量調整弁6に逆圧がかからないため、液体供給源5の供給がなく、気体供給源3からの供給があっても液体流量調整弁6は保護される。
【0073】
これによって、液体流量調整弁6の不具合の発生を、より確実に抑制できる。
【0074】
なお、逆止弁12を実施の形態1および2に適用しても、実施の形態3と同様の効果が得られる。
【0075】
なお、前記実施の形態又は変形例において、開閉弁9と減圧弁111とを備えるとき、開閉弁9と減圧弁111との配置は前後していても構わない。また、前記実施の形態又は変形例において、液体側圧力計8は、減圧弁111の下流に配置されることが好適である。
【0076】
なお、前記様々な実施の形態又は変形例のうちの任意の実施の形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施の形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施の形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施の形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の前記態様にかかる噴霧装置及び方法は、噴霧装置側液体流路のパルス駆動の液体流量調整弁に発生する不具合を抑制することができる。よって、前記噴霧装置及び方法では、二流体ノズルを用いて液体を微粒化したミストを室内空間に噴霧し、室内空間のミスト濃度を多段階に調整することができる。その結果、前記噴霧装置及び方法は、ミストと組み合わせる他の演出機器の出力、例えば音響又は光束の強弱に合わせてミスト濃度を調整することができ、アート又はエンタテイメント等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
2 噴霧装置側気体流路
3 気体供給源
4 噴霧装置側液体流路
5 液体供給源
6 液体流量調整弁
7 気体側圧力計
8 液体側圧力計
9 開閉弁
10 制御部
11 二流体ノズル
12 逆止弁
111 減圧弁