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特許7398687ディスプレイ用吊り下げ装置およびそれを備えたディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ディスプレイ用吊り下げ装置およびそれを備えたディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 351
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023159447
(22)【出願日】2023-09-25
【審査請求日】2023-09-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智典
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-352074(JP,A)
【文献】特開2006-317502(JP,A)
【文献】特開2008-091155(JP,A)
【文献】特開2014-004689(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108962046(CN,A)
【文献】中国実用新案第211040190(CN,U)
【文献】中国実用新案第205376001(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0147557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0057896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/30-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K5/00-5/06
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを含むディスプレイ本体を構造物から吊り下げた状態で保持するディスプレイ用吊り下げ装置であって、
前記ディスプレイ本体と前記構造物とを接続する1以上の索状の吊り下げ用部材と、
前記ディスプレイ本体と前記構造物に設けられた電源とを接続する電源ケーブルと、
前記ディスプレイ本体に取り付けられるハウジングと、
前記ハウジングに収容され、前記各吊り下げ用部材を巻き取るための第1のプーリと、
前記ハウジングに収容され、前記電源ケーブルを巻き取るための第2のプーリと、
を備えた、ディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項2】
前記第1のプーリの外径は、前記第2のプーリの外径よりも小さい、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項3】
前記第2のプーリの内径は、前記第1のプーリの内径よりも小さい、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項4】
前記第2のプーリの溝の幅は、前記第1のプーリの溝の幅よりも大きい、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項5】
前記吊り下げ用部材を複数備え、
前記第1のプーリは、前記各吊り下げ用部材にそれぞれ対応する溝を備える、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項6】
前記各吊り下げ用部材は、前記第1のプーリによる各吊り下げ用部材の巻き取り量の差を抑制するべく、対応する前記溝に対し、周方向において互いに異なる位置に接続される、請求項5に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項7】
前記第1のプーリが取り付けられた回転軸を更に備え、
前記第2のプーリは、前記回転軸と同軸上に配置される、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項8】
前記第2のプーリは、前記回転軸に固定される、請求項7に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項9】
前記ディスプレイ本体に予め設けられた所定規格のねじ孔に対し、ねじによって取り付けられる取付用部材を更に備え、
前記ハウジングは、前記取付用部材を介して前記ディスプレイ本体に取り付けられる、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項10】
前記取付用部材は、X字状をなし、
前記取付用部材において4つ方向に延びる部位が、それぞれ前記ディスプレイ本体にねじによって取り付けられる、請求項9に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項11】
前記ディスプレイ本体に取り付けられ、前記各吊り下げ用部材がそれぞれ挿通されるガイド筒を更に備えた、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項12】
前記電源ケーブルに電気的に接続された電源コンセントを更に備えた、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項13】
前記電源コンセントは、前記ハウジングの外壁に取り付けられた、請求項12に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項14】
前記構造物には、レール状の配線器具が取り付けられ、
前記吊り下げ用部材は、前記配線器具を介して前記構造物に接続され、
前記電源ケーブルは、前記配線器具を介して前記電源に接続される、請求項1に記載のディスプレイ用吊り下げ装置。
【請求項15】
請求項1に記載の前記ディスプレイ用吊り下げ装置と、
表示パネルを含むディスプレイ本体と、
を備えた、ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイ用吊り下げ装置およびそれを備えたディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や公共施設では、顧客や利用者等に対して種々の情報を表示するためにディスプレイ(すなわち、表示装置)が設置される。ディスプレイは、天井や壁などの構造物から吊り下げられた状態で設置される場合がある。
【0003】
例えば、表示パネルを天井に吊り下げるための装置として、外部から供給される電力を表示パネルに伝送する電源ケーブルと、一端が表示パネル側に固定され、他端が天井側に接続される4つの吊材と、各吊材の中間部にそれぞれ設けられ、各吊材の少なくとも一部を巻き取ることにより、表示パネルの位置及び姿勢の少なくとも一方を変化させる吊材巻き取り機と、を含むものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また例えば、ディスプレイ装置本体を天井から吊り紐で吊り下げるようにしたディスプレイ装置において、上側の両隅に形成した開放空間に突出したシャーシの取り付け部にリールを取り付け、これに巻き付けた吊り紐によってディスプレイ装置本体を吊り下げるように構成したものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-126119号公報
【文献】特開2000-19981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載された従来技術では、各吊材(すなわち、吊り下げ用部材)を巻き取るための吊材巻き取り機が各、吊材の中間部にそれぞれ設けられるため、装置構成が複雑になる。
【0007】
また、上記特許文献1に記載された従来技術では、表示パネルの位置(すなわち、吊り下げ高さ)を変化させるにあたり、各吊材巻き取り機による各吊材の巻き取り量をそれぞれ制御する必要が生じる。
【0008】
さらに、上記特許文献1に記載された従来技術では、吊材に代えて電源ケーブルによって表示パネルを懸架し、その電源ケーブルをケーブル巻き取り機によって巻き取る構成も採用され得る。しかし、表示パネルへの電力供給を安定して行う観点から、表示パネルの懸架により電源ケーブルに対して過度に張力を作用させることは好ましくない。また、上記特許文献1に記載された従来技術では、そのような吊材および電源ケーブルを共に巻き取ることにより、ディスプレイ本体を所望の位置で吊り下げることについては特段の配慮はなされていない。これは、特許文献2に記載された従来技術についても同様である。
【0009】
そこで、本開示は、簡易な構成によって吊り下げ用部材および電源ケーブルを巻き取ることにより、表示パネルを含むディスプレイ本体を所望の位置で吊り下げることができるディスプレイ用吊り下げ装置およびそれを備えたディスプレイを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のディスプレイ用吊り下げ装置は、表示パネルを含むディスプレイ本体を構造物から吊り下げた状態で保持するディスプレイ用吊り下げ装置であって、前記ディスプレイ本体と前記構造物とを接続する1以上の索状の吊り下げ用部材と、前記ディスプレイ本体と前記構造物に設けられた電源とを接続する電源ケーブルと、前記ディスプレイ本体に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記各吊り下げ用部材を巻き取るための第1のプーリと、前記ハウジングに収容され、前記電源ケーブルを巻き取るための第2のプーリと、を備えた構成とする。
【0011】
本開示のディスプレイは、前記ディスプレイ用吊り下げ装置と、表示パネルを含むディスプレイ本体と、を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ディスプレイ用吊り下げ装置は、簡易な構成によって吊り下げ用部材および電源ケーブルを巻き取ることにより、表示パネルを含むディスプレイ本体を所望の位置で吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るディスプレイ用吊り下げ装置を備えたディスプレイの前側の構成を示す説明図
図2図1に示したディスプレイの後側の構成を示す説明図
図3】ディスプレイの要部分解斜視図
図4】吊り下げ装置の内部構造の要部を示す斜視図
図5図4に示した吊り下げ装置の分解斜視図
図6】吊り下げ装置におけるワイヤ用プーリ周辺の構造を示す斜視図
図7】吊り下げ装置における電源ケーブル用プーリ周辺の構造を示す斜視図
図8】吊り下げ装置の下面側の構成を示す斜視図
図9】吊り下げ装置におけるワイヤ用プーリに対するワイヤの接続位置を示す説明図
図10】吊り下げ装置におけるワイヤ用プーリ及び電源ケーブル用プーリの変形例を示す説明図
図11図3に示した取付用部材の変形例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、表示パネルを含むディスプレイ本体を構造物から吊り下げた状態で保持するディスプレイ用吊り下げ装置であって、前記ディスプレイ本体と前記構造物とを接続する1以上の索状の吊り下げ用部材と、前記ディスプレイ本体と前記構造物に設けられた電源とを接続する電源ケーブルと、前記ディスプレイ本体に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記各吊り下げ用部材を巻き取るための第1のプーリと、前記ハウジングに収容され、前記電源ケーブルを巻き取るための第2のプーリと、を備えた構成とする。
【0015】
これによると、第1のプーリおよび第2のプーリを含む簡易な構成によって吊り下げ用部材および電源ケーブルを巻き取ることにより、表示パネルを含むディスプレイ本体を所望の位置で吊り下げることができる。
【0016】
また、第2の発明は、前記第1のプーリの外径は、前記第2のプーリの外径よりも小さい構成とする。
【0017】
これによると、第1のプーリの外径が過大となることを回避できる。
【0018】
また、第3の発明は、前記第2のプーリの内径は、前記第1のプーリの内径よりも小さい構成とする。
【0019】
これによると、第2のプーリの外径を増大させることなく、第2のプーリによる電源ケーブルの必要な巻き取り量を確保することができる。
【0020】
また、第4の発明は、前記第2のプーリの溝の幅は、前記第1のプーリの溝の幅よりも大きい構成とする。
【0021】
これによると、第2のプーリの外径を増大させることなく、第2のプーリによる電源ケーブルの必要な巻き取り量を確保することができる。
【0022】
また、第5の発明は、前記吊り下げ用部材を複数備え、前記第1のプーリは、前記各吊り下げ用部材にそれぞれ対応する溝を備える構成とする。
【0023】
これによると、複数の吊り下げ用部材を用いてディスプレイ本体を所望の位置に安定して吊り下げることができる。
【0024】
また、第6の発明は、前記各吊り下げ用部材は、前記第1のプーリによる各吊り下げ用部材の巻き取り量の差を抑制するべく、対応する前記溝に対し、周方向において互いに異なる位置に接続される構成とする。
【0025】
これによると、第1のプーリによる各吊り下げ用部材の巻き取り量の差が容易に抑制されるため、ディスプレイ本体の意図しない傾き等を抑制することができる。
【0026】
また、第7の発明は、前記第1のプーリが取り付けられた回転軸を更に備え、前記第2のプーリは、前記回転軸と同軸上に配置される構成とする。
【0027】
これによると、ハウジングの大型化を抑制しつつ、第1のプーリおよび第2のプーリを配置することができる。
【0028】
また、第8の発明は、前記第2のプーリは、前記回転軸に固定される構成とする。
【0029】
これによると、1のプーリおよび第2のプーリを簡易な構成によって駆動することができる。
【0030】
また、第9の発明は、前記ディスプレイ本体に予め設けられた所定規格のねじ孔に対し、ねじによって取り付けられる取付用部材を更に備え、前記ハウジングは、前記取付用部材を介して前記ディスプレイ本体に取り付けられる構成とする。
【0031】
これによると、ディスプレイ本体が有する所定規格のねじ孔を利用して、ディスプレイ用吊り下げ装置をディスプレイ本体に容易に取り付けることができる。
【0032】
また、第10の発明は、前記取付用部材は、X字状をなし、前記取付用部材において4つ方向に延びる部位が、それぞれ前記ディスプレイ本体にねじによって取り付けられる構成とする。
【0033】
これによると、ディスプレイ用吊り下げ装置をディスプレイ本体に取り付けるための取付用部材を簡易な構成によって実現できる。
【0034】
また、第11の発明は、前記ディスプレイ本体に取り付けられ、前記各吊り下げ用部材がそれぞれ挿通されるガイド筒を更に備えた構成とする。
【0035】
これによると、ディスプレイ本体を吊り下げ用部材によって安定的に吊り下げることができる。また、ガイド筒の上端(すなわち、各吊り下げ用部材の出口)の位置を調整することにより、ディスプレイ本体の重心とハウジングにおける各吊り下げ用部材の出口との位置のずれに起因するディスプレイ本体の意図しない傾きを抑制することができる。
【0036】
また、第12の発明は、前記電源ケーブルに電気的に接続された電源コンセントを更に備えた構成とする。
【0037】
これによると、ディスプレイに電力を供給するためのコードの一端に設けられたプラグをディスプレイ用吊り下げ装置の電源コンセントに挿せる構成とすることで、ディスプレイ本体の位置(すなわち、吊り下げ用部材や電源ケーブルの巻き取り量)にかかわらずディスプレイの電力を安定的に確保することができる。
【0038】
また、第13の発明は、前記電源コンセントは、前記ハウジングの外壁に取り付けられた構成とする。
【0039】
これによると、ディスプレイに電力を供給するためのコードの一端に設けられたプラグを、ディスプレイ用吊り下げ装置に対して容易に着脱することができる。
【0040】
また、第14の発明は、前記構造物には、レール状の配線器具が取り付けられ、前記吊り下げ用部材は、前記配線器具を介して前記構造物に接続され、前記電源ケーブルは、前記配線器具を介して前記電源に接続される構成とする。
【0041】
これによると、吊り下げ用部材および電源ケーブルを簡易な構成により構造物に対して接続することができる。
【0042】
また、第15の発明は、ディスプレイであって、前記ディスプレイ用吊り下げ装置と、表示パネルを含むディスプレイ本体と、を備えた構成とする。
【0043】
これによると、簡易な構成のディスプレイ用吊り下げ装置により、表示パネルを含むディスプレイ本体を所望の位置で吊り下げることができる。
【0044】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図1に示す矢印の方向に従ってディスプレイ1及びその構成要素の上下方向および左右方向を定める。さらに、ディスプレイ本体3の表示パネル2側およびその反対側をそれぞれ前方向および後方向と定める。
【0045】
図1は、実施形態に係るディスプレイ用吊り下げ装置4(図2参照)を備えたディスプレイ1の前側の構成を示す説明図である。図2は、図1に示したディスプレイ1の後側の構成を示す説明図である。図3は、吊り下げ装置4を備えたディスプレイ1の要部分解斜視図である。
【0046】
ディスプレイ1は、店舗や公共施設などにおいて、顧客や利用者等に対して種々の情報を表示するための表示装置である。図1図3に示すように、ディスプレイ1は、表示パネル2を含むディスプレイ本体3と、ディスプレイ本体3の後部(すなわち、背部)に取り付けられるディスプレイ用吊り下げ装置4(以下、単に吊り下げ装置4という。)とを備える。表示パネル2には、公知のパネル(例えば、液晶パネルや有機ELパネル)が用いられる。
【0047】
吊り下げ装置4は、一般的な人の背の高さよりも上方に位置する構造物(例えば、天井や壁)からディスプレイ本体3を吊り下げた状態で保持する。ディスプレイ本体3は、吊り下げ装置4から上方に延びる2本のワイヤ6、7(索状の吊り下げ用部材の一例)によって、天井から吊り下げられる。本実施形態では、2本のワイヤ6、7が、既存のライティングレール8を介して天井に接続される例を示す。なお、以下では、2本のワイヤ6、7を区別する必要がある場合には、それぞれ左ワイヤ6および右ワイヤ7と称する。
【0048】
ライティングレール8は、ペンダントライトやスポットライトなどの照明器具が取り付けられるレール状の配線器具である。ライティングレール8のレール部には、ワイヤ6、7の上端がそれぞれ係止されるフック部材11、12が取り付けられている。フック部材11、12は、絶縁体によって構成されることにより高い電気絶縁性を有する。
【0049】
また、ライティングレール8には、吊り下げ装置4から上方に延びる電源ケーブル13の上端部13Aが電気的に接続されている。これにより、電源ケーブル13は、ライティングレール8を介して電源(図示せず)に接続され、電源から吊り下げ装置4に対して電力が供給される。ライティングレール8において電源ケーブル13の上端部13Aは、フック部材11、12の中間に位置する。吊り下げ装置4に供給された電力は、更に電源コード14を介してディスプレイ本体3に供給される。
【0050】
なお、本実施形態では、ワイヤ6、7および電源ケーブル13が、それぞれライティングレール8を介して天井および天井に設けられた電源に接続される構成としたが、ライティングレール8は省略されてもよい。その場合、フック部材11、12は、天井に直接取り付けられ得る。また、電源ケーブル13の上端部13Aは、天井に設けられた照明用のコンセントに接続され得る。
【0051】
図2及び図3に示すように、吊り下げ装置4は、取付用部材15を介してディスプレイ1の後部に取り付けられる。取付用部材15は、略矩形状をなす平板状の部材である。吊り下げ装置4は、取付用部材15の一方側の面(すなわち、後面15A)に対してねじ留めや接着によって固定され得る。
【0052】
一般にディスプレイ本体は、所定の規格に準じて予め設けられた複数のねじ孔を有する場合がある。本実施形態では、ディスプレイ本体3は、図3に示すように、VESA(Video Electronics Standards Association)規格に準ずる4つのねじ孔16を有する。取付用部材15は、それらのねじ孔16を利用してねじ17によって固定される。このように、吊り下げ装置4は、ディスプレイ本体3が有する所定規格のねじ孔(すなわち、既存のねじ孔)を利用して、ディスプレイ本体に対して容易に取り付けられる。
【0053】
取付用部材15の上部の左右には、ワイヤ6、7がそれぞれ挿通される管状のワイヤガイド部18、19が設けられている。ワイヤガイド部18、19は、同様の構成を有し、それぞれ上下方向に略直線状に延在する。また、ワイヤガイド部18、19の上端には、ワイヤ6、7がそれぞれ挿通されるガイド筒21、22が接続されている。ガイド筒21、22は、同様の構成を有し、それぞれワイヤガイド部18、19を上方に延長するように上下方向に略直線状に延在する。ガイド筒21、22の周面の少なくとも一部は、ディスプレイ本体3の後部に対して取り付けられている(例えば、接着等によって固定されている)とよい。また、取付用部材15の上部の中央には、電源ケーブル13が上下方向に挿通される貫通孔を有するケーブルガイド部23が設けられている。
【0054】
ガイド筒21、22の上端21A、22A(すなわち、ガイド筒21、22からのワイヤ6、7の出口)は、それぞれディスプレイ本体3の上縁3A付近に位置するとよい。ガイド筒21、22の上端21A、22Aの位置を調整することにより、ディスプレイ本体3の重心と吊り下げ装置4におけるワイヤ6、7の出口との位置のずれに起因するディスプレイ本体3の意図しない傾きを抑制することができる。好ましくは、ガイド筒21、22の上端21A、22Aは、ディスプレイ本体3の重心を通り、かつ表示パネル2の表面に平行な仮想平面上に位置するとよい。その場合、ガイド筒21、22は、上端21A、22Aの位置を調整するために、その一部(例えば、上部)が湾曲した構成を有してもよい。
【0055】
また、取付用部材15の左右の下部には、サブワイヤ24、25(図2を参照)の上端がそれぞれ接続されるサブワイヤ取付部26、27が設けられている。サブワイヤ取付部26、27は、それぞれガイド筒21、22の下方への延長線上に位置するとよい。サブワイヤ24、25の下端は、床などの下方に位置する構造物にそれぞれ接続される。サブワイヤ24、25によってディスプレイ本体3の位置(特に、前後および左右方向の位置)が安定的に保持される。
【0056】
なお、サブワイヤ24、25は、後述するワイヤ6、7の巻き取りによるディスプレイ本体3の位置調整(すなわち、ディスプレイ本体3の最終的な位置決め)が完了した後に設置される。吊り下げ装置4は、ハウジング31(後述する図4を参照)に対して着脱自在に設けられた操作ハンドル32を備える。後述するように、ユーザ(例えば、ディスプレイ1を設置する作業者)は、操作ハンドル32を回転させる操作を行うことにより、ワイヤ6、7を手動で巻き取ることができる。
【0057】
なお、図1及び図2では、長方形状をなす表示パネル2(すなわち、画面)が縦長となるようにディスプレイ本体3が配置される例を示したが、表示パネル2が横長となるようにディスプレイ本体3が配置されてもよい。また、サブワイヤ取付部26、27やサブワイヤ24、25は省略されてもよい。
【0058】
次に、吊り下げ装置4の構造およびその動作の詳細について説明する。
【0059】
図4は、吊り下げ装置4の内部構造の要部を示す斜視図である。図5は、図4に示した吊り下げ装置4の分解斜視図である。図6は、吊り下げ装置4におけるワイヤ用プーリ41周辺の構造を示す斜視図である。図7は、吊り下げ装置4における電源ケーブル用プーリ42周辺の構造を示す斜視図である。図8は、吊り下げ装置4の下面側の構成を示す斜視図である。図9は、吊り下げ装置4におけるワイヤ用プーリ41に対するワイヤ6、7の接続位置を示す説明図である。
【0060】
図4及び図5に示すように、吊り下げ装置4は、外殻をなすハウジング31と、ハウジング31に対して着脱自在に設けられた操作ハンドル32と、ハウジング31からそれぞれ延出するワイヤ6、7および電源ケーブル13とを有する。
【0061】
ハウジング31は、略箱状をなし、ワイヤ6、7および電源ケーブル13を巻き取るための巻き取り機構と、ディスプレイ本体3に電力を供給するための電力供給機構とを収容する。ただし、ハウジング31の内部スペースは全て壁で覆われる必要はなく、ハウジング31の少なくとも一部がフレームによって構成されてもよい。
【0062】
操作ハンドル32は、図4に示すように、ハウジング31の後壁31Aに対して着脱自在に取り付けられる。より詳細には、操作ハンドル32の接続端32A(図3参照)は、ハウジング31の後壁31Aに回転自在に支持された入力軸33に対して連結される。入力軸33には、前側に位置する入力歯車35と、後側に位置するラチェット歯車36とがそれぞれ取り付けられている。これにより、入力歯車35およびラチェット歯車36は、入力軸33と一体的に回転する。ラチェット歯車36は、ハウジング31の後壁31Aに取り付けられたストッパ37と共にラチェット機構を構成する。図示は省略するが、ハウジング31(すなわち、後壁31A)には、ユーザがストッパ37を操作するためのレバーが設けられている。ユーザによるレバーの操作により、ストッパ37のラチェット歯車36に対する係止が解除される。
【0063】
ハウジング31には、巻き取り機構として、ワイヤ6、7を巻き取るためのワイヤ用プーリ41(第1のプーリの一例)と、電源ケーブル13を巻き取るための電源ケーブル用プーリ42(第2のプーリの一例)とが収容されている。
【0064】
ワイヤ用プーリ41は、図5に示すように、左ワイヤ6が巻き付けられる溝45Aを有する前プーリ45と、右ワイヤ7が巻き付けられる溝46Aを有する後プーリ46とから構成される。本実施形態では、溝45A、46Aは、それぞれ左ワイヤ6および右ワイヤ7の直径と同等の幅を有する。つまり、左ワイヤ6および右ワイヤ7は、溝45A、46Aに対して1列で巻き取られる。前プーリ45および後プーリ46は、ともに出力軸49(回転軸の一例)に固定される。出力軸49は、前プーリ45および後プーリ46の軸孔45B、46Bに挿入される。これにより、前プーリ45および後プーリ46は、出力軸49と一体的に回転する。つまり、ワイヤ6、7は、それぞれ巻き取り方向に回転する前プーリ45および後プーリ46に対して同時に巻き取られ、また、巻き取り方向とは逆に回転する前プーリ45および後プーリ46から同時に繰り出される。
【0065】
出力軸49は、前後方向に延在し、その基端側はハウジング31の後壁31Aに対して回転自在に支持される。また、出力軸49の先端側は、略U字状をなすブラケット51によって支持される。ブラケット51は、出力軸49の先端が挿入される貫通孔51Aを有する。また、ブラケット51の両端51Bは、それぞれハウジング31の後壁31Aに設けられた取付用ブロック53に対してねじ54によって固定される。
【0066】
出力軸49には、後プーリ46の後方に出力歯車57が取り付けられている。出力歯車57は、入力歯車35と噛み合った状態で配置される。これにより、入力軸33からの動力が入力歯車35および出力歯車57を介して出力軸49に伝達される。
【0067】
ブラケット51の貫通孔51Aから前方に延出する出力軸49の先端には、電源ケーブル13が巻き付けられる溝42Aを有する電源ケーブル用プーリ42が取り付けられている。本実施形態では、溝42Aは、電源ケーブル13の直径と同等の幅を有する。つまり、電源ケーブル13は、溝42Aに対して1列で巻き取られる。電源ケーブル用プーリ42は、出力軸49に固定されることなく、出力軸49に対して回転自在に支持される。これにより、電源ケーブル用プーリ42は、ワイヤ用プーリ41(すなわち、前プーリ45および後プーリ46)と同軸上に配置される。また、電源ケーブル用プーリ42は、前プーリ45および後プーリ46とは独立して回転(すなわち、相対的に回転)することが可能である。
【0068】
出力軸49の先端において、電源ケーブル用プーリ42の後方にはゼンマイばね61が取り付けられている。ゼンマイばね61の内端は、出力軸49に接続される。或いは、ゼンマイばね61の内端は、ブラケット51に接続されてもよい。一方、ゼンマイばね61の外端は、電源ケーブル用プーリ42に接続される。これにより、電源ケーブル用プーリ42は、ゼンマイばね61により、電源ケーブル13を巻き取る方向に回転するように常時付勢される。
【0069】
ディスプレイ本体3が下降する際には、電源ケーブル13は、ゼンマイばね61の付勢力に抗して電源ケーブル用プーリ42から繰り出される。また、ディスプレイ本体3が上昇する際には、電源ケーブル13は、ゼンマイばね61の付勢力によって電源ケーブル用プーリ42に巻き取られる。これにより、ワイヤ6、7の巻き取り、または繰り出しに追随することで、ライティングレール8とディスプレイ本体3との間の電源ケーブル13の長さが適切に調整される。
【0070】
なお、吊り下げ装置4では、電源ケーブル用プーリ42が出力軸49に固定された構成とすることも可能である。その場合、電源ケーブル用プーリ42は、ワイヤ用プーリ41と一体的に回転する。これにより、ワイヤ用プーリ41および電源ケーブル用プーリ42を簡易な構成によって駆動することができる。この構成の場合、ゼンマイばねは省略されてもよい。
【0071】
電源ケーブル用プーリ42の前側には、電力供給機構として、スリップリング63が設けられている。スリップリング63の回転部63Aは、電源ケーブル用プーリ42の前壁42Bに固定され、電源ケーブル用プーリ42と共に回転可能である。電源ケーブル用プーリ42に巻き取られる電源ケーブル13の下端部は、スリップリング63の回転部63Aに電気的に接続される。一方、スリップリング63の固定部63Bは、内部ケーブル65の一端に電気的に接続され、電源ケーブル用プーリ42の回転にかかわらず静止した状態で保持される。内部ケーブル65の他端は、ハウジング31の下壁31B(ハウジング31の外壁の一例)に設けられた電源コンセント66(図8参照)に電気的に接続される。電源コンセント66には、ディスプレイ本体3の電源コード14のプラグ14Aが接続される。
【0072】
図6に示すように、前プーリ45から繰り出される左ワイヤ6は、ハウジング31の上壁31Cに設けられたワイヤ用の左開口67を通ってハウジング31の外に延出する。ハウジング31から延出した左ワイヤ6は、図2に示したように、左斜め上方に延びてワイヤガイド部18およびガイド筒21を通り、そこから鉛直方向に延びてライティングレール8に至る。
【0073】
後プーリ46から繰り出される右ワイヤ7は、ハウジング31の上壁31Cに設けられたワイヤ用の右開口68を通ってハウジング31の外に延出する。ハウジング31から延出した右ワイヤ7は、図2に示したように、右斜め上方に延びてワイヤガイド部19およびガイド筒22を通り、そこから鉛直方向に延びてライティングレール8に至る。
【0074】
図7に示すように、電源ケーブル用プーリ42から繰り出される電源ケーブル13は、ハウジング31の上壁31Cに設けられた電源ケーブル13用の中央開口69を通ってハウジング31の外に延出する。ハウジング31から延出した電源ケーブル13は、図2に示したように、上方に延びてケーブルガイド部23を通り、そこから鉛直方向に延びてライティングレール8に至る。
【0075】
図9に示すように、ワイヤ6、7は、前プーリ45の溝45Aおよび後プーリ46の溝46Aに対し、周方向において互いに異なる位置に接続されるとよい。つまり、周方向において(すなわち、回転軸70の方向から見て)、前プーリ45に対する左ワイヤ6の接続位置71は、後プーリ46に対する右ワイヤ7の接続位置72とは異なる位置に設定されるとよい。これにより、前プーリ45および後プーリ46によるそれぞれの巻き取り量の差を容易に抑制できる。
【0076】
吊り下げ装置4では、前プーリ45から繰り出される左ワイヤ6の起点75と、右ワイヤ7が後プーリ46から繰り出される起点76とは、周方向において異なる位置となる。左ワイヤ6の接続位置71は、起点75から左ワイヤ6の巻き取り方向に所定量(左ワイヤ6が1周巻き取られるよりも小さい量)だけ移動した位置に設定される。同様に、右ワイヤ7の接続位置72は、起点76から右ワイヤ7の巻き取り方向に所定量(右ワイヤ7が1周巻き取られるよりも小さい量)だけ移動した位置に設定される。このような構成により、前プーリ45および後プーリ46が巻き取り方向(図9中の矢印を参照)に回転しても、起点75、76の位置は周方向には大きく変動することはない。
【0077】
上述の構成を有するディスプレイ1のユーザは、まず、ディスプレイ本体3を吊り下げ装置4から延出したワイヤ6、7によってライティングレール8に対して係止する。また、ユーザは、吊り下げ装置4から延出した電源ケーブル13をライティングレール8に接続する。このとき、ワイヤ6、7および電源ケーブル13は、ワイヤ用プーリ41および電源ケーブル用プーリ42からそれぞれ十分に繰り出された状態にある。これにより、ディスプレイ本体3の初期位置は、ディスプレイ本体3が最も下降した位置となる。
【0078】
その後、ユーザは、操作ハンドル32を操作することにより、ワイヤ用プーリ41によるワイヤ6、7の巻き取りを行う。これにより、ディスプレイ本体3は、初期位置から徐々に上昇する。このとき、電源ケーブル13は、ゼンマイばね61の付勢力によって電源ケーブル用プーリ42に適切な量だけ巻き取られる。
【0079】
ユーザがディスプレイ本体3を所望の高さまで上昇させると、ユーザによるディスプレイ本体3の吊り下げ作業(すなわち、ディスプレイ本体3の位置決め)が完了する。なお、ユーザは、ディスプレイ本体3を下降させる必要が生じた場合、ラチェット歯車36に対するストッパ37の係合を解除することにより、ワイヤ用プーリ41が反転(すなわち、ワイヤ6、7の繰り出し方向に回転)可能となる。これにより、ユーザは、ワイヤ6、7を必要な量だけ繰り出してディスプレイ本体3を所望の位置まで下降させることができる。
【0080】
図10は、吊り下げ装置4におけるワイヤ用プーリ41及び電源ケーブル用プーリ42の変形例を示す説明図である。
【0081】
上述の吊り下げ装置4(例えば、図4参照)では、前プーリ45および後プーリ46の溝45A、46Aの幅については、ワイヤ6、7の径との関係において比較的狭く設定された例を示した。また、電源ケーブル用プーリ42の溝42Aの幅については、電源ケーブル13の径との関係において比較的狭く設定された例を示した。しかしながら、それらの例に限らず、ワイヤ用プーリ41および電源ケーブル用プーリ42の形態は、種々の変更が可能である。
【0082】
例えば図10に示すように、前プーリ45の溝45Aの幅は、その幅方向に複数列(ここでは、2列)のワイヤ6を配置可能なように設定することが可能である。後プーリ46の溝46Aの幅についても同様である。ただし、図10では、最も内周側のワイヤ6、7のみが示されている。また、電源ケーブル用プーリ42の溝42Aの幅は、その幅方向に複数列(ここでは、3列)の電源ケーブル13を配置可能なように設定することが可能である。ただし、図10では、最も内周側のワイヤ6、7および最も内周側の電源ケーブル13のみが示されている。
【0083】
前プーリ45および後プーリ46の外径R1は、電源ケーブル用プーリ42の外径R2よりも小さく設定されるとよい。これにより、ワイヤ用プーリ41の外径が過大となることを回避できる。
【0084】
また、電源ケーブル用プーリ42の内径R4(すなわち、溝42Aの内周の径)は、前プーリ45および後プーリ46の内径R3(すなわち、溝45Aおよび溝46Aの内周の径)よりも小さく設定されるとよい。これにより、電源ケーブル用プーリ42の外径を増大させることなく、電源ケーブル用プーリ42による電源ケーブル13の必要な巻き取り量を確保することができる。
【0085】
また、電源ケーブル13の直径は、左ワイヤ6および右ワイヤ7の直径よりも大きいため、電源ケーブル用プーリ42の溝42Aの幅W2は、前プーリ45および後プーリ46の溝45A、46Aの幅W1よりも大きく設定されるとよい。これにより、電源ケーブル用プーリ42の外径を増大させることなく、電源ケーブル用プーリ42による電源ケーブル13の必要な巻き取り量を確保することができる。
【0086】
図11は、図3に示した取付用部材15の変形例を示す説明図である。変形例に係る取付用部材115を含むディスプレイ1について、以下で特に言及しない事項については、上述のディスプレイ1の場合と同様である。
【0087】
上述の吊り下げ装置4(例えば、図2参照)では、取付用部材15を、略矩形状をなす平板状の部材とした例を示した。しかしながら、それらの例に限らず、取付用部材15の形態は種々の変更が可能である。
【0088】
上述の取付用部材15に代えて、例えば図11に示すように、略X字状をなす平板状の取付用部材115を用いることができる。取付用部材115は、4つ方向にそれぞれ延びる部位としてアーム115A-115Dを有する。取付用部材115は、ディスプレイ本体3のねじ孔16に対してねじ17によって固定されるが、取付用部材115とディスプレイ本体3との間にはスペーサ117が介装される。これにより、取付用部材115とディスプレイ本体3との間には所定の間隙が確保される。
【0089】
ハウジング31から延出した左ワイヤ6は、左斜め上方に延びて取付用部材115の左上部アーム115Aに設けられた左ガイド孔121を通り、そこから鉛直方向に延びてライティングレール8に至る。ハウジング31から延出した右ワイヤ7は、右斜め上方に延びて取付用部材115の右上部アーム115Bに設けられた右ガイド孔122を通り、そこから鉛直方向に延びてライティングレール8に至る。
【0090】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0091】
例えば、吊り下げ装置4が2本のワイヤ6、7を用いた例を示したが、1本のワイヤのみが用いられてもよい。その場合、例えば、上述のワイヤ6、7の一端(例えば、上端)同士が接続された構成を採用することもできる。
【0092】
また、ワイヤ用プーリ41は、2つのプーリ(すなわち、前プーリ45および後プーリ46)から構成された例を示したが、ワイヤ用プーリ41は、複数の溝を有する1つのプーリによって構成されてもよい。
【0093】
また、吊り下げ装置4は、手動によって(すなわち、ユーザによる操作ハンドル32の操作によって)駆動される例を示したが、ワイヤ用プーリ41の駆動には電動モータ等が用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本開示に係るディスプレイ用吊り下げ装置およびそれを備えたディスプレイは、簡易な構成によって吊り下げ用部材および電源ケーブルを巻き取ることにより、表示パネルを含むディスプレイ本体を所望の位置で吊り下げることができるという効果を有し、店舗や公共施設などに設置されるディスプレイ用吊り下げ装置およびそれを備えたディスプレイなどとして有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 :ディスプレイ
2 :表示パネル
3 :ディスプレイ本体
4 :ディスプレイ用吊り下げ装置
6、7:ワイヤ
8 :ライティングレール
11、12:フック部材
13 :電源ケーブル
14 :電源コード
15 :取付用部材
16 :ねじ孔
17 :ねじ
18、19:ワイヤガイド部
21、22:ガイド筒
23 :ケーブルガイド部
24、25:サブワイヤ
26、27:サブワイヤ取付部
31 :ハウジング
31A:後壁
31B:下壁
31C:上壁
32 :操作ハンドル
33 :入力軸
35 :入力歯車
36 :ラチェット歯車
37 :ストッパ
41 :ワイヤ用プーリ
42 :電源ケーブル用プーリ
45 :前プーリ
46 :後プーリ
49 :出力軸
57 :出力歯車
61 :ゼンマイばね
63 :スリップリング
65 :内部ケーブル
66 :電源コンセント
67 :左開口
68 :右開口
69 :中央開口
70 :回転軸
71 :接続位置
72 :接続位置
75 :起点
76 :起点
115:取付用部材
【要約】
【課題】簡易な構成によって吊り下げ用部材および電源ケーブルを巻き取ることにより、ディスプレイを所望の位置で吊り下げ可能とする。
【解決手段】ディスプレイ用吊り下げ装置4が、ディスプレイ本体3と構造物とを接続する1以上の索状の吊り下げ用部材6、7と、ディスプレイ本体5と構造物に設けられた電源とを接続する電源ケーブル13と、ディスプレイ本体3に取り付けられるハウジング31と、ハウジング31に収容され、各吊り下げ用部材6、7を巻き取るための第1のプーリ41と、ハウジング31に収容され、電源ケーブル13を巻き取るための第2のプーリ42と、を備えた構成とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11